説明

スタッド溶接ピン

【課題】スタッド溶接で耐磨耗板を金属母材に取り付ける方法において、スタッド溶接ピンが先行的に磨耗するために耐磨耗板が剥離したり、スタッド溶接後にスタッド溶接ピンに耐磨耗材を取付けるために作業性が低下したり、スタッド溶接ピンのフランジ上面に耐磨耗材を装着する構造のためにスタッド溶接ピンのフランジ厚みと耐磨耗材の厚み分だけ耐磨耗板の厚みを不必要に厚くしたりするなどの問題があった。
【解決手段】スタッド溶接ピンに通電軸を立設し、該通電軸に貫通孔を有する耐磨耗ライナを挿入し、該耐磨耗ライナを前記スタッド溶接ピンと通電軸にロウ付けして、スタッド溶接ピンが磨耗しないようにし、高温環境や遠心力のような外力が作用する環境でも耐磨耗材がスタッド溶接ピンから脱落しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスタッド溶接ピンを金属母材にスタッド溶接して、該スタッド溶接ピンでセラミックス板や超硬板のような耐磨耗板を前記金属母材などの表面に取付ける構造およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックス板や超硬板のような耐磨耗板は金属母材を被覆して、金属母材を磨耗から保護するために使用されている。特にセラミックス板は耐磨耗以外にも耐熱性、耐腐食性、耐溶損性、美観性など使用目的は多岐に渡る。セラミックス板や超硬板のような耐磨耗板を金属母材上に取付ける手段として、スタッド溶接による方法が各種提案されている。
【0003】
(1)セラミックスピース本体の表面に凹部を形成し、この凹部に裏面側に連通する孔部を穿設するとともに固定部材を収容し、上記孔部にスタッドのピン部を裏面より挿通して、上記固定部材でこのピン部を固定することによって、セラミックスピース本体を上記スタッドのフランジ部と固定部材とで挟持した構造のセラミックスピースの取付け方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
(2)中央部に貫通孔を備えたセラミックス板と該セラミックス板の貫通孔内に装着され、貫通孔内においてセラミックス板に当接されるとともに、被取付け材(金属母材)に対してスタッド溶接可能なスタッド溶接ピンと該スタッド溶接ピンに対して着脱可能でかつ貫通孔と所定の隙間を維持して装着されるセラミックス蓋で構成されているセラミックス板の取付け方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
(3)フランジ部からコア部上端にかけて断面積が最小となる部分を設け、この形状に対応した空洞部をもつセラミックスピース本体に挿入することによって、スタッドとセラミックスピース本体とをロウ付けする必要なく固定する方法が提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平6−91376号広報
【特許文献2】特開平10−305367号広報
【特許文献3】実開昭63−111280号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の方法においては、(1)通電性や接合強度を確保するためスタッド溶接ピンの径を太くすると、セラミックス板表面に露出したスタッド溶接ピンはダストカットを受けやすくなり急速に磨耗するので、固定部材がスタッド溶接ピンから脱落してセラミックスピースが剥離する、(2)固定部材とスタッドでセラミックスピースを狭持するので、固定部材とホルダー部のロウ付け部分に大きな残留応力がかかり固定部材が剥離する危険性がある。(3)セラミックスピースに遠心力が作用する場合、固定部材とホルダー部のロウ付け部分に大きな力がかかり固定部材が剥離するなどの問題がある。
【0008】
特許文献2の方法においては、(1)スタッド溶接ピンをスタッド溶接した後で、耐磨耗材のセラミックス蓋をスタッド溶接ピンに装着しなければならず作業性が悪かった、(2)スタッド溶接ピンフランジの上にセラミックス蓋が載せられているので、スタッド溶接ピンのフランジ厚みとセラミック蓋の厚み分だけセラミックス板が厚くなり、セラミックス板の重量が増すので、高速回転体などのライニングに使用するのは難しく適用範囲が限定されるなどの問題がある。
【0009】
特許文献3の方法においては、(1)スタッド溶接後にスタッドをプレスしてセラミックスピースの孔形状に変形させる必要がありセラミックスピースが割損しやすい、(2)セラミックスの孔形状の加工工程が複雑でコスト高となり実用的でないなどの問題がある。
【0010】
本発明は、従来の構成が有していた上記問題を解決しようとするものであり、解決しようとしている課題は、(1)スタッド溶接ピンとスタッド溶接ピンを保護するための耐磨耗材を強固に接合しスタッド溶接ピンからの耐磨耗材の脱落を防止する、(2)スタッド溶接ピンの磨耗を防止して、耐磨耗板を長期に渡り保持できるようにする、(3)スタッド溶接後にスタッド溶接ピンへの耐磨耗材の装着作業を解消する、(4)耐磨耗板を薄くすることにより、ブロワーランナーやポンプインペラーなどの高速回転体へのライニング適用を拡大することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の解決手段は特許請求項1に示すように、耐磨耗板に縮径の貫通孔を設け、該貫通孔に当接する縮径のスタッド溶接ピンを挿入し、該スタッド溶接ピンを金属母材にスタッド溶接して、前記耐磨耗板を該金属母材に取付ける方法において、前記スタッド溶接ピンの上面に通電軸を立設せしめ、該通電軸に貫通孔を有する耐摩耗ライナを挿入し、該耐摩耗ライナを前記通電軸や前記スタッド溶接ピンの上面にロウ付けで接合したスタッド溶接ピンである。
【0012】
第2の解決手段は特許請求項2に示すように、スタッド溶接ピンの上面に孔を設け、該孔に前記通電軸を挿入して立設せしめているスタッド溶接ピンである。
【0013】
第3の解決手段は特許請求項3に示すように、スタッド溶接ピンの上面に雌ネジを設けるとともに、前記通電軸の片側に雄ネジを設け、該雄ネジを前記雌ネジにネジ込んで、前記通電軸を立設せしめているスタッド溶接ピンである。
【0014】
第4の解決手段は特許請求項4に示すように、前記耐摩耗ライナの貫通孔をテーパ貫通孔として、該テーパ貫通孔と当接する前記通電軸の部分をテーパにして、該通電軸の先端部をストレートもしくは雄ネジとするとともに、前記スタッド溶接ピン上面に孔もしくは雌ネジを設けて、該スタッド溶接ピン上面に前記耐摩耗ライナを載置して、該耐摩耗ライナのテーパ貫通孔及び前記スタッド溶接ピン上面の孔もしくは雌ネジに前記通電軸を挿入して立設せしめたスタッド溶接ピンである。
【0015】
第5の解決手段は特許請求項5に示すように、前記耐摩耗ライナがセラミックスであり、該セラミックスの表面をメタライズもしくは無電解メッキもしくはメタライズ後に電解メッキして、該セラミックスを通電軸と前記スタッド溶接ピン上面にロウ付けしたスタッド溶接ピンである。
【発明の効果】
【0016】
第1の解決手段による効果は、(1)通電軸をスタッド溶接ガンで把持してスタッド溶接できるので作業性がよい、(2)耐摩耗ライナの表面に露出するスタッド溶接ピン通電軸の径を細くできるので、通電軸が磨耗しにくくなる、(3)耐磨耗板の貫通孔にスタッド溶接ピンが当接するので、耐摩耗ライナには耐磨耗板を押圧する力がかからないので、耐摩耗ライナとスタッド溶接ピン上面との接合力を大きくする必要はない、(4)耐摩耗ライナの厚みやスタッド溶接ピンの厚みを薄くできるので、耐磨耗板を薄くすることができる、(5)耐磨耗板と耐磨耗ライナの間隙を小さくできるので境界部が選択的にダストカットされることはない、(6)スタッド溶接後に通電軸が残留するが、グラインダやカッターで簡単に除去でき、使用上問題なければ放置しておけば自然磨耗して消滅することである。
【0017】
第2の解決手段による効果は、(1)スタッド溶接ピンと通電軸を別々に製作して組み合わせるので、通電軸性のよい材料を選択できる、(2)通電性のよい材料を選択することにより、通電軸の径を細くできるので一層通電軸が磨耗しにくくなる。
【0018】
第3の解決手段による効果は、(1)スタッド溶接ピンと通電軸を別々に製作して組み合わせるので、通電軸性のよい材料を選択できる、(2)通電性のよい材料を選択することにより、通電軸の径を細くできるので一層通電軸が磨耗しにくくなる、(3)通電軸とスタッド溶接ピンがネジ接合なので接合の信頼性と接合強度が向上する。
【0019】
第4の解決手段による効果は、(1)耐摩耗ライナの貫通孔と通電軸がテーパになっているので、耐摩耗ライナを機械的にスタッド溶接ピンに固定できる、(2)ロウ付け接合のみの場合よりも耐摩耗ライナと通電軸の接合強度を高くすることができる。
【0020】
第5の解決手段による効果は、耐摩耗ライナをセラミックスとして、セラミックスの表面にメタライズあるいはメッキなどの表面処理を施しているので、セラミックスをスタッド溶接ピン上面や通電軸にロウ付けが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図7に基づいて説明する。
【0022】
第1の解決手段は、耐磨耗板10に縮径の貫通孔11を設け、該貫通孔11に当接する縮径のスタッド溶接ピン20を挿入し、該スタッド溶接ピン20を金属母材50にスタッド溶接して、前記耐磨耗板10を該金属母材50に取付ける方法において、前記スタッド溶接ピン20の上面22に通電軸30を立設せしめ、該通電軸30に貫通孔41を有する耐摩耗ライナ40を挿入し、該耐摩耗ライナ40を前記通電軸や前記スタッド溶接ピン上面22にロウ付け60で接合したスタッド溶接ピン20である。
【0023】
耐磨耗板10の貫通孔11は縮径形状であり、例えば、段付き面12やテーパ面13などにより金属母材側の径が細くなるようにする。スタッド溶接ピン20は耐磨耗板10の縮径の貫通孔11に重ね合う縮径の形状である。図1や図2に示すように、耐磨耗板10の貫通孔11が段付きになっており段付き面12を有する場合は、スタッド溶接ピン20の胴部23に段付き面としてフランジ面24を設けて、段付き面12にフランジ面24が当接するようにする。図6に示すように、耐磨耗板10の貫通孔11がテーパになっておりテーパ面13を有する場合は、スタッド溶接ピン20もテーパ胴26にして、テーパ面13にテーパ胴26が当接するようにする。スタッド溶接ピン20を金属母材50にスタッド溶接する際は、スタッド溶接ピン20に立設した通電軸30をスタッド溶接ガン(図示せず)で把持し、スタッド溶接ピン20を金属母材50に押付けて通電することができる。図7はスタッド溶接後の横断面図である。スタッド溶接ピン20の突起21と底部25の一部が溶融してスタッド溶接ピン20と金属母材50が溶接される。スタッド溶接ピン20のフランジ面24が耐磨耗板10の段付き面12に当接して耐磨耗板10が金属母材50に固定される。スタッド溶接後に通電軸30が残留するがグラインダなどで容易に除去できる。また、ダストカットで磨耗して消滅するので使用上問題なければ放置しておいてもよい。
【0024】
耐磨耗板10はセラミックス板、超硬合金板、ゴム板、金属板、樹脂板、ガラス板などが使用できる。セラミックス板にはアルミナ、窒化珪素、ジルコニア、炭化珪素などのセラミックスが使用できる。超硬合金板にはタングステンカーバイトおよびタングステンカーバイト系合金(WC−Co、WC−Ti−Co)などが使用できる。耐磨耗板としてのセラミックス板の厚みは1.0mm〜50.0mmがよい。1.0mmより薄いと割れやすくなる。50.0mmより厚いとセラミックス板の重量が増し機械構造が大きくなり実機への応用が困難となる。望ましくは3.0mm〜30.0mmである。耐磨耗板10としての超硬板の厚みは1.0mm〜20.0mmがよい。1.0mmより薄いと割れやすく、20.0mm以上であると機械構造が大きくなり実機への応用が困難となる。望ましくは0.5mm〜10.0mmである。
【0025】
スタッド溶接ピン20は先端部に通電用の突起21を有し、耐磨耗板10の貫通孔11の段付き面12やテーパ面13に当接して耐磨耗板を固定できる構造であればよく、プレス加工や機械加工あるいはこれらを併用して製作することができる。スタッド溶接ピン20の材質は通電可能な金属類であれば適用可能であり、構造用炭素鋼、ステンレス材、チタン材、銅、コバールなどが適している。スタッド溶接ピン20の胴部径は3.0〜15.0mmがよい。3.0mmより薄いと耐磨耗材30や耐磨耗板10を保持する強度が不足する。15.0mmより厚いとスタッド溶接の信頼性が低下する。望ましくは5.0〜10.0mmである。
【0026】
通電軸30はスタッド溶接ピン20の上面22に一体的に機械加工して立設する。通電軸30の材質はスタッド溶接ピン20と同様に構造用炭素鋼、ステンレス材、チタン材、銅、コバールなどが適用される。通電軸30の径は0.5〜5.0mmがよい。0.5mmより細いと通電軸30とスタッド溶接ピン20を一体的に製作するのが困難となる。また通電抵抗が大きくなりスタッド溶接の信頼性が低下する。5.0mmより太いと露出面積が大きくなり磨耗しやすくなる。望ましくは1.0〜3.0mmである。スタッド溶接ピン20に立設する通電軸は径が小さいほど露出面積が少なくなり磨耗しにくくなる。
【0027】
耐摩耗ライナ40はセラミックスもしくは超硬合金とする。セラミックスからなる耐摩耗ライナ40としては、アルミナ、窒化珪素、ジルコニア、炭化珪素などやこれらのセラミックスに導電性微粉末や導電性繊維を混入して焼成した導電性セラミックスなどを使用できる。超硬合金からなる耐摩耗材40としては、タングステンカーバイトおよびタングステンカーバイト系の合金(WC−Co、WC−Ti−Co)などが使用できる。耐磨耗ライナ40の材質におけるセラミックスと超硬合金の使い分けは磨耗形態や温度などの環境条件やロウ付けの温度条件により選択できる。耐摩耗ライナ40の厚みは0.5〜50mmがよい。0.5mmより薄いと寿命が短くなる。50.0mmより厚いと重量が増し機械構造が大きくなり実機への応用が困難となる。望ましくは1.0〜30.0mmである。耐摩耗ライナ40の径はスタッド溶接ピンの径に合わせて3.0〜15.0mmがよい。耐摩耗ライナ40の貫通孔41の径は通電軸30に合わせて0.5〜5.0mmがよい。
【0028】
通電軸30と耐摩耗ライナ40のロウ付け隙間は0.005〜0.10mmがよい。望ましくは0.01〜0.05mmである。耐磨耗ライナ40に超硬合金を使用する場合は、スタッド溶接ピン20とのロウ付けは、活性金属ロウ、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)などを含有するロウ材によるロウ付けを適用できるが、スタッド溶接ピン20と接合できれば特に制限は無く、公知の方法を適用することができる。耐磨耗ライナ40にセラミックスを使用する場合は、スタッド溶接ピン20とのロウ付け60による接合は活性金属ロウなどが採用できる。活性金属ロウ付け法は、スタッド溶接ピン20と耐磨耗材30としてのセラミックスとの間に、板状あるいはペースト状の活性金属ロウ材を載置あるいは塗付し、真空炉やアルゴン雰囲気の炉で850℃以上に加熱して接合する方法である。活性金属ロウ付けとしては例えばAg−Cu−Ti−Inなどを組み合わせた成分系があるが特に制限は無く公知の活性金属用のロウ材を採用できる。
【0029】
耐磨耗板10が超硬合金や導電性セラミックスの場合は、耐磨耗板10とスタッド溶接ピン20を絶縁する必要がある。絶縁方法には耐磨耗板10と金属母材50の間を絶縁する方法と耐磨耗板10とスタッド溶接ピン20の間を絶縁する方法がある。耐磨耗板が金属母材と接触する部分や耐磨耗板がスタッド溶接ピンに接触する部分に絶縁材を被覆すればよい。絶縁材の被覆方法としては樹脂、塗料、エナメルなどを塗布したり、樹脂などのテープを張り付けたりする方法があるが、絶縁性があり被覆できる材料であれば特に制限はない。
【0030】
第2の解決手段は図3に示すように、スタッド溶接ピン20の上面22に孔26を設け、該孔26に前記通電軸30を挿入して立設せしめているスタッド溶接ピン20である。通電軸30の材質はスタッド溶接ピン20と同様に構造用炭素鋼、ステンレス材、チタン材、銅、コバールなどが適用されるが、スタッド溶接ピンの材質と異なる材料を選択してもよい。例えば、スタッド溶接ピン20がステンレスで通電軸30を銅にした場合は、銅はステンレスよりも導電性がよいので通電軸30の径を細くすることができ、通電軸30の露出面積が小さくなるので磨耗しにくくなる。通電軸30の径は0.5〜5.0mmがよい。0.5mmより細いと通電抵抗が大きくなりスタッド溶接の信頼性が低下する。5.0mmより太いと露出面積が大きくなり磨耗しやすくなる。望ましくは1.0〜3.0mmである。スタッド溶接ピン20の孔26の径は通電軸に合わせて0.5〜5.0mmがよい。スタッド溶接ピン20の孔26の深さは1.0〜10.0mmがよい。1.0mmより浅いと通電軸30が自立しにくくなる。10.0より深いとスタッド溶接ピン20の底部25を貫通する。望ましくは2.0〜6.0mmよい。通電軸30とスタッド溶接ピン20の孔26はロウ付け60することにより、耐摩耗ライナ30とスタッド溶接ピン20の接合強度を向上させることができる。
【0031】
第3の解決手段は図4に示すように、スタッド溶接ピン20の上面22に雌ネジ27を設けるとともに、前記通電軸30の片側に雄ネジ31を設け、該雄ネジ31を前記雌ネジ27にネジ込んで、前記通電軸30を立設せしめているスタッド溶接ピン20である。雌ネジ27と雄ネジ31はM1〜M5よい。M1より小さいとネジの強度不足となる。M5より大きいと通電軸30の露出面積が大きくなり磨耗しやすくなる。雌ネジ27と雄ネジ31はロウ付け60してもよい。
【0032】
第4の解決手段は図5に示すように、前記耐摩耗ライナ40の貫通孔41をテーパ貫通孔42として、該テーパ貫通孔42と当接する前記通電軸30の部分をテーパ面32にして、該通電軸の先端部を雄ネジ31もしくはストレート部33とするとともに、前記スタッド溶接ピン20の上面22に孔26もしくは雌ネジ27を設けて、該スタッド溶接ピン20の上面22に前記耐摩耗ライナ40を載置して、該耐摩耗ライナ40のテーパ貫通孔42及び前記スタッド溶接ピン20の上面22の孔26もしくは雌ネジ27に前記通電軸30を挿入して立設せしめたスタッド溶接ピン20である。通電軸30のストレート部33をスタッド溶接ピン20の孔26にロウ付け60したり、通電軸30の雄ネジ31をネジ込んだりして、通電軸30をスタッド溶接ピン20に強固に固定できる。通電軸30がスタッド溶接ピン20と分離している構造なので、耐摩耗ライナ40をスタッド溶接ピン20の上面22に載置してから通電軸30を立設できるので、耐摩耗ライナ40のテーパ貫通孔42を通電軸30のテーパ面32で押圧して固定できる。耐摩耗ライナ40を通電軸30のテーパ面32で抑えることができるので耐摩耗ライナ40の取り付け強度が向上する。
【0033】
第5の解決手段は、前記耐摩耗ライナ40がセラミックスであり、該セラミックスの表面をメタライズもしくは無電解メッキもしくはメタライズ後に電解メッキして、該セラミックスを通電軸30と前記スタッド溶接ピン20の上面22にロウ付けしたスタッド溶接ピン20である。セラミックスの表面にメタライズや金属メッキを施すことにより、セラミックスとロウ材の濡れ性がよくなりロウ付けの接合強度が向上するとともに、セラミックスとスタッド溶接ピン20及び通電軸30との接合に各種のロウ付け方法が適用できるようになる。セラミックスにメタライズする方法としては、例えば高融点金属法(Mo−Mn法)のように、Mo−Mnなどの高融点金属粉末を主成分とするメタライズペーストをセラミックスに塗布し、加湿した還元性ガス中で焼成してメタライズ層を形成する方法がある。また、真空蒸着法あるいはスパッタリング法などが挙げられるが、セラミックスにメタライズできれば特に制限は無く、公知の形成方法を採用できる。セラミックスに直接的にメッキする方法としては、無電解NiメッキやNi−Bメッキあるいは無電解Cuメッキなどがある。例えば無電解Niメッキは樹脂やセラミックスなどの不活性な材料の表面に活性金属を吸着させて活性化し、その活性化金属に対してメッキする方法である。セラミックスに直接的に金属メッキができれば特に制限は無く、公知の形成方法を採用することができる。セラミックスに間接的にメッキする方法としては、高融点金属法(Mo−Mn法)などでメタライズした後に、NiやCuあるいはCrなどの電気メッキを施す方法がある。セラミックスのメタライズ面に金属メッキができれば特に制限は無く、公知の形成方法を採用できる。セラミックスにメタライズや金属メッキを施した後のロウ付け方法としては、活性金属ロウ付けの他、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)などを含有するロウ材を用いたロウ付け方法を適用できるが、スタッド溶接ピン20と接合できれば特に制限は無く公知の方法が採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】は第1の解決手段の部分断面斜視図である。
【図2】は第1の手段のスタッド溶接前の横断面図である。
【図3】は第2の手段のスタッド溶接前の横断面図である。
【図4】は第3の手段のスタッド溶接前の横断面図である。
【図5】は第4の手段のスタッド溶接前の横断面図である。
【図6】は第1の手段のスタッド溶接前の横断面図である。
【図7】は第1の手段のスタッド溶接後の横断面図である
【符号の説明】
【0035】
10:耐磨耗板、11:貫通孔、12:段付き面、13:テーパ面、20:スタッド溶接ピン、21:突起、22:上面、23:胴部、24:フランジ面、25:底部、26:孔、27:雌ネジ、30:通電軸、31:雄ネジ、32:テーパ面、33:ストレート部、40:耐摩耗ライナ、41:貫通孔、42:テーパ貫通孔、50:金属母材、60:ロウ付け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐磨耗板に縮径の貫通孔を設け、該貫通孔に当接する縮径のスタッド溶接ピンを挿入し、該スタッド溶接ピンを金属母材にスタッド溶接して、前記耐磨耗板を該金属母材に取付ける方法において、前記スタッド溶接ピンの上面に通電軸を立設せしめ、該通電軸に貫通孔を有する耐摩耗ライナを挿入し、該耐摩耗ライナを前記通電軸や前記スタッド溶接ピンの上面にロウ付けで接合したことを特徴とするスタッド溶接ピン。
【請求項2】
スタッド溶接ピンの上面に孔を設け、該孔に前記通電軸を挿入して立設せしめていることを特徴とする請求項1記載のスタッド溶接ピン。
【請求項3】
スタッド溶接ピンの上面に雌ネジを設けるとともに、前記通電軸の片側に雄ネジを設け、該雄ネジを前記雌ネジにネジ込んで、前記通電軸を立設せしめていることを特徴とする請求項1記載のスタッド溶接ピン。
【請求項4】
前記耐摩耗ライナの貫通孔をテーパ貫通孔として、該テーパ貫通孔と当接する前記通電軸の部分をテーパにして、該通電軸の先端部をストレートもしくは雄ネジとするとともに、前記スタッド溶接ピン上面に孔もしくは雌ネジを設けて、該スタッド溶接ピン上面に前記耐摩耗ライナを載置して、該耐摩耗ライナのテーパ貫通孔及び前記スタッド溶接ピン上面の孔もしくは雌ネジに前記通電軸を挿入して立設せしめたことを特徴とする請求項1もしくは請求項3もしくは請求項4記載のスタッド溶接ピン。
【請求項5】
前記耐摩耗ライナがセラミックスであり、該セラミックスの表面をメタライズもしくは無電解メッキもしくはメタライズ後に電解メッキして、該セラミックスを通電軸と前記スタッド溶接ピン上面にロウ付けしたことを特徴とする請求項1及び請求項2及び請求項3及び請求項4及び請求項5記載のスタッド溶接ピン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−66655(P2009−66655A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269507(P2007−269507)
【出願日】平成19年9月15日(2007.9.15)
【出願人】(504132962)
【Fターム(参考)】