ステアリングホイールの温度制御装置
【課題】部品点数の増加を抑制しつつ、ペルチェ素子の故障を精度よく検出することができるステアリングホイールの温度制御装置を提供する。
【解決手段】冷却目標温度値Tct及び初期温度値Tcsの温度差DTcsを算出する。温度差DTcsと単調非減少の関係で温度変化分閾値を、温度差DTcsと単調非増加の関係で継続時間閾値を算出する。検出温度に基づき単位時間当たりの温度変化分ΔTcを検出し、デューティ比率が所定値よりも大きいとき、単位時間当たりの温度変化分ΔTcが温度変化分閾値よりも小さい状態にあるときの継続時間Δτdc1を検出し、継続時間Δτdc1が継続時間閾値よりも大きいときにペルチェ素子の故障を判断する。
【解決手段】冷却目標温度値Tct及び初期温度値Tcsの温度差DTcsを算出する。温度差DTcsと単調非減少の関係で温度変化分閾値を、温度差DTcsと単調非増加の関係で継続時間閾値を算出する。検出温度に基づき単位時間当たりの温度変化分ΔTcを検出し、デューティ比率が所定値よりも大きいとき、単位時間当たりの温度変化分ΔTcが温度変化分閾値よりも小さい状態にあるときの継続時間Δτdc1を検出し、継続時間Δτdc1が継続時間閾値よりも大きいときにペルチェ素子の故障を判断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイールの温度制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリングホイールの温度制御装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この装置は、発熱・吸熱する熱電変換素子としてのペルチェ素子をステアリングホイールに内蔵しており、該ステアリングホイールの現在の温度(実温度)を温度センサ(サーミスタ)により検出して、所定の温度にするように、加熱・冷却を選択すべくペルチェ素子への印加電圧の極性を切り替えるととともに、該印加電圧のオン・オフ(断続)制御によりステアリングホイールの温度を調節する。
【特許文献1】特開昭60−88679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このようにペルチェ素子への印加電圧の制御によりステアリングホイールの温度を調節する構成において、該ペルチェ素子の故障検出を行うことが検討されている。例えば、ペルチェ素子の通電電流検出用の抵抗で生じる電圧降下をコンパレータで監視して、該コンパレータが出力する電圧の状態と前記ペルチェ素子への印加電圧の状態との一致・不一致に応じてペルチェ素子の正常・故障の判断を行うことが提案されている。これは、ペルチェ素子は、電気的には抵抗体であり、該ペルチェ素子に流れる電流波形、即ちコンパレータが出力する電圧の波形は、通常は印加電圧の波形と一致(同期)することを利用するものである。しかしながら、この場合には、故障検出に係る回路(コンパレータ等)の分だけ部品点数が増加され、ひいてはコストの増大を余儀なくされる。また、故障検出に係る回路の実装のために基板にスペースを確保する必要があり、該基板のコストが増大されてしまう。
【0004】
本発明の目的は、部品点数の増加を抑制しつつ、ペルチェ素子の故障を精度よく検出することができるステアリングホイールの温度制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ステアリングホイールに設けられたペルチェ素子と、前記ステアリングホイールの温度を検出する温度検出手段とを備え、前記ペルチェ素子による温度調節作用の強さと単調非減少の関係で該ペルチェ素子に対する印加電圧のデューティ比率を設定して、前記ステアリングホイールの温度を目標温度に制御するステアリングホイールの温度制御装置において、目標温度及び温度調節開始時に前記温度検出手段により検出された温度の温度差を算出する算出手段と、前記算出された温度差と単調非減少の関係で温度変化分閾値を算出する第1算出手段と、前記算出された温度差と単調非増加の関係で継続時間閾値を算出する第2算出手段と、前記温度検出手段により検出された温度に基づき、単位時間当たりの温度変化分を検出する変化分検出手段と、前記デューティ比率が所定値よりも大きいとき、前記変化分検出手段により検出された単位時間当たりの温度変化分が前記温度変化分閾値よりも小さい状態にあるときの継続時間を検出する継続時間検出手段と、前記継続時間検出手段により検出された継続時間が、前記継続時間閾値よりも大きいときに前記ペルチェ素子の故障を判断する判断手段とを備えたことを要旨とする。
【0006】
一般に、ステアリングホイールの温度を目標温度に制御すべく、前記ペルチェ素子による温度調節作用を開始した場合、該ステアリングホイールの温度、即ち前記温度検出手段により検出される温度は、時間の経過とともに徐々に前記目標温度へと近付く。この際、前記ペルチェ素子が正常であっても、目標温度及び温度調節開始時に前記温度検出手段により検出された温度、即ち初期温度の温度差が大きいときほど、単位時間当たりの温度変化分が大きくなる傾向を示す。また、初期温度及び目標温度の温度差が小さいときほど、単位時間当たりの温度変化分が小さい状態にあるときの継続時間が大きくなる傾向を示す。一方、前記ペルチェ素子が故障(異常)であれば、該ペルチェ素子による温度調節作用を開始しても、ステアリングホイールの温度、即ち前記温度検出手段により検出される温度は概ね初期温度の近くを推移する。
【0007】
同構成によれば、このような単位時間当たりの温度変化分及び前記継続時間の傾向を反映して、前記温度変化分閾値及び前記継続時間閾値が算出される。そして、前記温度変化分閾値による単位時間当たりの温度変化分の閾値判定及び前記継続時間閾値による前記継続時間の閾値判定に基づいて、前記ペルチェ素子の故障(異常)を精度よく判断することができる。また、基本的に温度制御装置による演算処理のみで、前記ペルチェ素子の故障を検出(判断)できるため、例えば当該故障検出に係る回路(コンパレータ等)を割愛できる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明では、故障検出に係る回路等を用いることなく、ペルチェ素子の故障を精度よく判断できるステアリングホイールの温度制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態に係るステアリングホイールを示す断面図である。同図に示されるように、ステアリングホイールは、車両のステアリングシャフトに取着される取付部11と、該取付部11から放射状に延出する複数(4本)のスポーク部12と、これらスポーク部12の先端部を連結する円環状のリング部13とを備えて構成される。
【0010】
前記リング部13は、例えばアルミニウムからなる蓄熱体としての円環状のリム部21を備える。図1に拡大して示すように、このリム部21には、上下に隣り合う前記スポーク部12間で前記リング部13に形成される左右のグリップ部に合わせて、複数(12個)のペルチェ素子22が配設されている。これら12個のペルチェ素子22は、前記リング部13の左右のグリップ部に6個ずつ配置されている。各グリップ部に配置された6個のペルチェ素子22は、電気的に直列接続されて、ペルチェ素子アセンブリ23を構成する。各ペルチェ素子アセンブリ23は、対応するグリップ部において前記リム部21と熱伝導的に接続されている。また、各ペルチェ素子アセンブリ23を構成する6個のペルチェ素子22は、リング部13の外周側及び内周側に3個ずつで配置されている。
【0011】
各ペルチェ素子アセンブリ23において、前記リング部13の外周側及び内周側に配置された3個のペルチェ素子22には、例えば銅からなる伝熱プレート24が装着されている。各伝熱プレート24は、対応する3個のペルチェ素子22と熱伝導的に接続されている。
【0012】
そして、前記リム部21は、前記ペルチェ素子アセンブリ23(ペルチェ素子22)及び伝熱プレート24とともに、例えば本皮や合成皮革からなる表皮25により覆われている。
【0013】
図1に併せ示したように、各グリップ部のペルチェ素子アセンブリ23は、マイクロコンピュータ(マイコン)を備えた制御ユニット31に電気的に接続されており、該制御ユニット31からの通電出力に従って対応するグリップ部の表面を加熱又は冷却する。具体的には、例えばグリップ部の表面を冷却すべく通電出力された場合、ペルチェ素子アセンブリ23は、前記伝熱プレート24から吸熱するとともに、前記リム部21の熱容量を利用して該リム部21に蓄熱・熱放散する。これにより、表皮25の熱がリム部21へと移動し、グリップ部の表面が冷却される。
【0014】
なお、各グリップ部には、その温度を検出する温度検出手段としてのサーミスタ32が設けられている。制御ユニット31は、各サーミスタ32からの温度信号入力によって対応するグリップ部の温度を検出するとともに、該検出された温度に応じて前記ペルチェ素子アセンブリ23への通電出力を制御する。つまり、制御ユニット31は、左右のグリップ部の温度調節を個別に行う。前記リング部13において、各グリップ部がペルチェ素子アセンブリ23等による温度調節領域を形成することはいうまでもない。
【0015】
次に、制御ユニット31の電気的構成について、図2の回路図に従って説明する。
同図に示されるように、制御ユニット31は、各種制御プログラムを格納するとともに該制御プログラムを実行するマイコン33を備える。このマイコン33は、定電圧電源回路34を介して所定電圧VB(例えば12V)を有するバッテリ35のプラス端子と電気的に接続されるとともに、グランドGNDに接地されている。定電圧電源回路34は、前記マイコン33に所定電圧Vcc(例えば5V)を電源として供給する。
【0016】
前記マイコン33は、左右のグリップ部に配設されたペルチェ素子アセンブリ23及びサーミスタ32とそれぞれ電気的に接続されている。なお、マイコン33との電気的な接続構造は、左右のグリップ部で同様であるため、以下では、左側のグリップ部に配設されたペルチェ素子アセンブリ23及びサーミスタ32との電気的な接続構造を代表して説明し、右側のグリップ部については同一の符号を付して詳細な説明を割愛する。
【0017】
前記マイコン33は、抵抗Rb1,Rb2を介してNPN型のトランジスタTr1,Tr2のベースにそれぞれ接続されるとともに、これらトランジスタTr1,Tr2のコレクタは、リレー36を構成するコイルL1,L2の一方の接続点にそれぞれ接続されている。なお、トランジスタTr1,Tr2のエミッタは、グランドGNDに接地されている。
【0018】
前記リレー36は、前記バッテリ35のプラス端子に電気的に接続された一対の接点a1,a2を備えるとともに、これら接点a1,a2は、前記コイルL1,L2の他方の接続点にそれぞれ接続されている。また、前記リレー36は、一対の接点b1,b2を備えるとともに、これら接点b1,b2は、N型のパワーFET37のドレインに接続されている。なお、パワーFET37のゲートは、前記マイコン33に接続されるとともに、そのソースは、グランドGNDに接地されている。
【0019】
さらに、前記リレー36は、接点a1,b1間及び接点a2,b2間で接点を切り替える一対の可動子c1,c2を備える。これら可動子c1,c2は、前記ペルチェ素子アセンブリ23の両接続点P1,P2にそれぞれ接続されている。一方の可動子c1は、通常は接点b1に接続されており、前記マイコン33によりトランジスタTr1がオンされて、前記コイルL1が通電されると、前記可動子c1は、前記コイルL1に駆動されて接点a1(所定電圧VB)に接続される。同様に、他方の可動子c2は、通常は接点b2に接続されており、前記マイコン33によりトランジスタTr2がオンされて、前記コイルL2が通電されると、前記可動子c2は、前記コイルL2に駆動されて接点a2(所定電圧VB)に接続される。
【0020】
従って、例えば前記コイルL1の駆動により一方の可動子c1を接点a1に接続したとき、前記マイコン33によりパワーFET37がオンされると、接点b2はパワーFET37を介してグランドGNDに接地される。そして、前記ペルチェ素子アセンブリ23には、可動子c1に接続された一方の接続点P1から、可動子c2に接続された他方の接続点P2へと電流が流れる。本実施形態では、上述の方向で前記ペルチェ素子アセンブリ23に電流が流れるときに、グリップ部の表面が冷却されるように設定されている。
【0021】
また、前記コイルL2の駆動により他方の可動子c2を接点a2に接続したとき、前記マイコン33によりパワーFET37がオンされると、接点b1はパワーFET37を介してグランドGNDに接地される。そして、前記ペルチェ素子アセンブリ23には、可動子c2に接続された他方の接続点P2から、可動子c1に接続された一方の接続点P1へと電流が流れる。本実施形態では、上述の方向で前記ペルチェ素子アセンブリ23に電流が流れるときに、グリップ部の表面が加熱されるように設定されている。
【0022】
なお、前記マイコン33は、パワーFET37のゲートに一定周期のパルス信号を出力しており、該一定周期中のパルス信号のオン時間の割合、即ち前記ペルチェ素子アセンブリ23に対する印加電圧のデューティ比率を変更することで、該ペルチェ素子アセンブリ23による冷却又は加熱作用の強さを制御する。
【0023】
前記サーミスタ32は、一方の接続点が抵抗Ruを介して所定電圧Vccに接続されるとともに、他方の接続点がグランドGNDに接地されている。そして、サーミスタ32及び抵抗Ruの接続点Cは、前記マイコン33に接続されている。マイコン33は、抵抗Ru及びサーミスタ32による所定電圧Vccの分圧(接続点Cの電圧)を温度信号として入力して、前記サーミスタ32の設けられたグリップ部の温度(検出温度T)を検出する。
【0024】
また、マイコン33には、バッテリ電圧検出部38が接続されている。このバッテリ電圧検出部38は、直列接続の抵抗Rc,Rdを備えるとともに、該抵抗Rc,Rdの接続点C1において前記マイコン33に接続されている。なお、抵抗Rcの残りの接続点は所定電圧VB(バッテリ35のプラス端子)に接続されるとともに、抵抗Rdの残りの接続点はグランドGNDに接地されている。マイコン33は、抵抗Rc,Rdによる所定電圧VBの分圧(接続点C1の電圧)をバッテリ電圧信号として入力して、前記バッテリ35の電圧(+B電源電圧)を検出する。
【0025】
次に、前記ペルチェ素子アセンブリ23に対する印加電圧の極性と、その作用との関係について図3に示した一覧図に基づいて総括して説明する。同図に示されるように、前述の態様でペルチェ素子アセンブリ23の接続点P1をプラス側である所定電圧VBに接続するとともに、接続点P2をマイナス側であるグランドGNDに接続すると、前記ペルチェ素子アセンブリ23の作用は冷却となる。一方、ペルチェ素子アセンブリ23の接続点P1をマイナス側であるグランドGNDに接続するとともに、接続点P2をプラス側である所定電圧VBに接続すると、前記ペルチェ素子アセンブリ23の作用は加熱となる。以上により、ペルチェ素子アセンブリ23による冷却又は加熱作用が、印加電圧の極性によって切り替えられる。この印加電圧の極性の切り替えが、前記トランジスタTr1,Tr2による前記リレー36(コイルL1,L2)の選択的な駆動によって行われることはいうまでもない。
【0026】
次に、前記ペルチェ素子アセンブリ23に対する電圧の印加態様について総括して説明する。なお、図4は、冷却・加熱のそれぞれにおける印加電圧を示すタイムチャートであり、図5は、同じく冷却・加熱のそれぞれにおける印加電圧のデューティ比率と前記ペルチェ素子アセンブリ23による冷却・加熱作用の強さとの関係を示す説明図である。図4では、冷却時の印加電圧の極性をプラス側で表している。
【0027】
図4に示されるように、例えば冷却時に前記ペルチェ素子アセンブリ23の両接続点P1,P2間に印加される電圧は、所定周期tcを有するオン・オフ波形となっており、各周期tc内の通電時間τcにおいて所定電圧VBが印加される。これは、各ペルチェ素子22に対しその吸熱の効率が優れる2V(=12/6V)程度の電圧を供給してその損失を抑えるためである。なお、通電時間τcを周期tcで除した値の百分率(=τc/tc×100)[%]が、冷却時の前記ペルチェ素子アセンブリ23に対する印加電圧のデューティ比率Dcである。前記マイコン33は、デューティ比率Dcを変更することで、前記ペルチェ素子アセンブリ23による冷却作用の強さを制御する。
【0028】
一方、加熱時に前記ペルチェ素子アセンブリ23の両接続点P1,P2間に印加される電圧は、所定周期thを有するオン・オフ波形となっており、各周期th内の通電時間τhにおいて逆極性となる所定電圧−VBが印加される。なお、通電時間τhを周期thで除した値の百分率(=τh/th×100)[%]が、加熱時の前記ペルチェ素子アセンブリ23に対する印加電圧のデューティ比率Dhである。前記マイコン33は、デューティ比率Dhを変更することで、前記ペルチェ素子アセンブリ23による加熱作用の強さを制御する。
【0029】
図5に示されるように、例えば前記ペルチェ素子アセンブリ23による冷却作用の強さは、冷却時の印加電圧のデューティ比率Dcが0〜100%の間で増減されることで、該デューティ比率Dcの0%で皆無となり、100%で最大となるように連続的に制御される。つまり、デューティ比率Dcは、前記ペルチェ素子アセンブリ23による温度調節作用(冷却作用)の強さと単調非減少の関係で設定される。同様に、前記ペルチェ素子アセンブリ23による加熱作用の強さは、加熱時の印加電圧のデューティ比率Dhが0〜100%の間で増減されることで、該デューティ比率Dhの0%で皆無となり、100%で最大となるように連続的に制御される。つまり、デューティ比率Dhは、前記ペルチェ素子アセンブリ23による温度調節作用(加熱作用)の強さと単調非減少の関係で設定される。
【0030】
なお、各デューティ比率Dc,Dhに基づく前記ペルチェ素子アセンブリ23の通電制御は、前記バッテリ電圧検出部38に検出された+B電源電圧が所定の作動電圧範囲内(例えば10〜16V)にあるときに実行され、該所定の作動電圧範囲外では停止されるようになっている。
【0031】
次に、本実施形態におけるデューティ比率Dc,Dhの設定態様について説明する。なお、両デューティ比率Dc,Dhは、基本的にステアリングホイール(グリップ部)の各対応する所定温度範囲において、該ステアリングホイールの温度の変化に対し比例関係で変化するように設定される。各デューティ比率Dc,Dhの制御は、前記マイコン33による制御プログラムの実行によって行われる。
【0032】
まず、冷却作用時のデューティ比率Dcの設定態様について説明する。図6は、冷却作用時の検出温度T(ステアリングホイールの温度)とデューティ比率Dcとの関係を示すマップである。同図に示されるように、検出温度Tが所定温度値Tc0(例えば43.3°C)から所定温度値Tcc(例えば60°C)までの範囲にあるときに、デューティ比率Dcは、0%から100%へと比例関係で推移するように設定されている(比例制御)。そして、検出温度Tが所定温度値Tc0よりも低温側にあるとき(T<Tc0)にはデューティ比率Dcは0%に設定され、検出温度Tが所定温度値Tccよりも高温側にあるとき(T>Tcc)にはデューティ比率Dcは100%に設定される。なお、冷却作用時の目標の温度である冷却目標温度値Tct(例えば50°C)において、該冷却目標温度値Tctを保持するための所定のデューティ比率Dct(例えば40%)が設定されている。
【0033】
次に、本実施形態における検出温度T(ステアリングホイールの温度)及びデューティ比率Dcの推移について説明する。
図7(a)(b)は、それぞれステアリングホイールの冷却開始時の検出温度T(実際には、左右のサーミスタ32による検出温度Tの平均温度、以下、初期温度値Tcsという)が高め(例えば85°C)のときの検出温度T及びデューティ比率Dcの推移を示すタイムチャートである。また、図8(a)(b)は、それぞれ初期温度値Tcsが低め(例えば70°C)のときの検出温度T及びデューティ比率Dcの推移を示すタイムチャートである。同図に示されるように、時刻τcs1,τcs2において冷却が開始されると、検出温度Tが温度値Tccに達する時刻τcc1,τcc2までデューティ比率Dcは100%に設定される。そして、100%のデューティ比率Dcによりペルチェ素子アセンブリ23による強い冷却作用が行われる。
【0034】
検出温度Tが温度値Tccに達した後は、検出温度Tが前記冷却目標温度値Tctに達する時刻τct1,τct2までデューティ比率Dcは漸減されて、ペルチェ素子アセンブリ23により該デューティ比率Dcに応じた冷却作用が行われる。なお、図7及び図8には、それぞれ冷却開始から冷却目標温度値Tctに達するまでの時間Δτcst1(=τct1−τcs),Δτcst2(=τct2−τcs2)を併記している。
【0035】
図7、図8から明らかなように、冷却目標温度値Tct及び初期温度値Tcsの温度差が大きいときほど、冷却開始直後の単位時間当たりの温度変化分(温度低下分)が大きくなる傾向を示すことが確認される。また、冷却目標温度値Tct及び初期温度値Tcsの温度差が小さいときほど、単位時間当たりの温度変化分が小さい状態にあるときの継続時間が大きくなる傾向を示すことが確認される。
【0036】
次に、加熱作用時のデューティ比率Dhの設定態様について説明する。なお、デューティ比率Dhは、加熱作用に対応して前記所定温度範囲及び目標とする温度変化の方向が異なることを除けば、前記デューティ比率Dcと同様の処理で設定される。
【0037】
図9は、加熱作用時の検出温度T(ステアリングホイールの温度)とデューティ比率Dhとの関係を示すマップである。同図に示されるように、検出温度Tが所定温度値Th0(例えば34.3°C)から所定温度値Thc(例えば20°C)までの範囲にあるときに、デューティ比率Dhは、0%から100%へと比例関係で推移するように設定されている(比例制御)。そして、検出温度Tが所定温度値Th0よりも高温側にあるとき(T>Th0)にはデューティ比率Dhは0%に設定され、検出温度Tが所定温度値Thcよりも低温側にあるとき(T<Thc)にはデューティ比率Dhは100%に設定される。なお、加熱作用時の目標の温度である加熱目標温度値Tht(例えば30°C)において、該加熱目標温度値Thtを保持するための所定のデューティ比率Dht(例えば30%)が設定されている。
【0038】
次に、本実施形態における検出温度T(ステアリングホイールの温度)及びデューティ比率Dhの推移について説明する。
図10(a)(b)は、それぞれステアリングホイールの加熱開始時の検出温度T(実際には、左右のサーミスタ32による検出温度Tの平均温度、以下、初期温度値Thsという)が低め(例えば−10°C)のときの検出温度T及びデューティ比率Dhの推移を示すタイムチャートである。また、図11(a)(b)は、それぞれ初期温度値Thsが高め(例えば10°C)のときの検出温度T及びデューティ比率Dhの推移を示すタイムチャートである。同図に示されるように、時刻τhs1,τhs2において加熱が開始されると、検出温度Tが温度値Thcに達する時刻τhc1,τhc2までデューティ比率Dhは100%に設定される。そして、100%のデューティ比率Dhによりペルチェ素子アセンブリ23による強い加熱作用が行われる。
【0039】
検出温度Tが温度値Thcに達した後は、検出温度Tが前記加熱目標温度値Thtに達する時刻τht1,τht2までデューティ比率Dhは漸減されて、ペルチェ素子アセンブリ23により該デューティ比率Dhに応じた加熱作用が行われる。これにより、なお、図10及び図11には、それぞれ加熱開始から加熱目標温度値Thtに達するまでの時間Δτhst1(=τht1−τhs),Δτhst2(=τht2−τhs2)を併記している。
【0040】
なお、図10、図11から明らかなように、加熱目標温度値Tht及び初期温度値Thsの温度差が大きいときほど、加熱開始直後の単位時間当たりの温度変化分(温度上昇分)が大きくなる傾向を示すことが確認される。また、加熱目標温度値Tht及び初期温度値Thsの温度差が小さいときほど、単位時間当たりの温度変化分が小さい状態にあるときの継続時間が大きくなる傾向を示すことが確認される。
【0041】
ここで、本実施形態におけるペルチェ素子アセンブリ23(ペルチェ素子22)の故障検出態様について説明する。なお、ここでの故障原因としては、例えばペルチェ素子アセンブリ23(あるいはこれを構成する各ペルチェ素子22)の断線や、その接続配線系の断線が挙げられる。ペルチェ素子アセンブリ23の故障検出は、前記マイコン33による制御プログラムの実行によって行われる。
【0042】
まず、ステアリングホイールの温度調節(冷却・加熱)時における上述した検出温度Tの推移を鑑みて、ペルチェ素子アセンブリ23(ペルチェ素子22)の故障検出に供し得る各種要因について説明する。
【0043】
図12は、ペルチェ素子アセンブリ23を故障判定するための各種要因と該要因を選定した根拠を示す説明図である。
同図に示されるように、要因(1)は、印加電圧のデューティ比率Dc,Dhが所定値(例えば95%)Dcth,Dhth以上であること。これは、ペルチェ素子アセンブリ23による冷却・加熱作用の強さが十分に大きい方が、検出温度Tの推移に明確な変化が生じ、故障検出により好ましいためである。なお、前記バッテリ電圧検出部38に検出された+B電源電圧が所定の作動電圧範囲内(例えば10〜16V)にあること、換言すれば、バッテリ35の電圧変動の影響が抑制されていることを前提条件とする。
【0044】
また、要因(2)は、検出温度T(実温度)及び冷却目標温度値Tct又は加熱目標温度値Thtの温度差DTc又はDThが、その大小比較に係る温度差閾値DTcth又はDThthよりも大きいこと。これは、特に温度制御開始直後のように前記温度差DTc又はDThが大きい場合、結果としてデューティ比率Dc,Dhが大きくなって要因(1)を満たす状態になるためである。つまり、この状態に対応して、ペルチェ素子アセンブリ23が十分に強い冷却・加熱作用を正常に行えば、検出温度Tの推移に明確な変化が生じ、故障検出により好ましくなる。
【0045】
さらに、要因(3)は、検出温度T(実温度)の単位時間(例えば1秒)当たりの温度変化分ΔTc又はΔThが、その大小比較に係る温度変化分閾値ΔTcth又はΔThthよりも小さいこと。これは、ペルチェ素子アセンブリ23の冷却・加熱作用による温度変化(温度低下又は温度上昇)が生じていないとき、該ペルチェ素子アセンブリ23が作用していないこと、即ち故障していることを示唆するためである。
【0046】
さらにまた、要因(4)は、要因(1)〜(3)を全て満たす状態が連続して継続する時間(継続時間)Δτdc又はΔτdhが、その大小比較に係る継続時間閾値Δτdcth又はΔτdhth以上であること。これは、要因(1)〜(3)を全て満たす状態が十分に長い時間連続して継続することをもって、前記ペルチェ素子アセンブリ23が作用していないこと、即ち故障していることを確定する方がその検出精度を向上させることができるためである。
【0047】
次に、上述した各種要因(1)〜(4)、即ちペルチェ素子アセンブリ23(ペルチェ素子22)の通電制御の出力状態や検出温度Tの状態及びその変化状態に関する要因を、前述した検出温度Tの推移の特性に反映させて、故障検出に供する態様について説明する。
【0048】
図13(a)(b)(c)は、ステアリングホイールの冷却時における冷却目標温度値Tct及び初期温度値Tcsの温度差DTcsと、温度差閾値DTcth、温度変化分閾値ΔTcth、継続時間閾値Δτdcthとの関係をそれぞれ示すマップである。また、図14(a)(b)(c)は、ステアリングホイールの加熱時における加熱目標温度値Tht及び初期温度値Thsの温度差DThsと、温度差閾値DThth、温度変化分閾値ΔThth、継続時間閾値Δτdhthとの関係をそれぞれ示すマップである。
【0049】
図13(a)及び図14(a)に示されるように、温度差閾値DTcth,DThthは、温度差DTcs,DThsに対し単調非減少の関係で推移する。これは、初期温度値Tcs,Thsとの温度差DTcs,DThsが大きいほど、特に温度調節の開始直後において検出温度Tとの温度差DTc,DThが大きくなる傾向にあり、従って、これに対応して温度差閾値DTcth,DThthを大きくした方がより正確な故障検出になることによる。
【0050】
また、図13(b)及び図14(b)に示されるように、温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthは、温度差DTcs,DThsに対し単調非減少の関係で推移する。これは、初期温度値Tcs,Thsとの温度差DTcs,DThsが大きいほど、特に温度調節の開始直後において温度変化分ΔTc,ΔThが大きくなる傾向にあり、従って、これに対応して温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthを大きくした方がより正確な故障検出になることによる。
【0051】
さらに、図13(c)及び図14(c)に示されるように、継続時間閾値Δτdcth,Δτdhthは、温度差DTcs,DThsに対し単調非増加の関係で推移する。これは、初期温度値Tcs,Thsとの温度差DTcs,DThsが小さいほど、温度変化分ΔTc,ΔThの小さい状態が長時間継続する傾向にあり、従って、これに対応して継続時間閾値Δτdcth,Δτdhthを大きくした方がより正確な故障検出になることによる。換言すれば、温度差DTcs,DThsが大きければ、特に温度調節の開始直後において短時間で大きな温度変化分ΔTc,ΔThが得られることから、温度変化分ΔTc,ΔThの小さい状態の短時間の継続であっても故障を検出し得る。
【0052】
次に、ペルチェ素子アセンブリ23の故障時の検出温度Tの推移及びその故障検出態様について説明する。
図15は、図7と同様、冷却時の初期温度値Tcsが高めであり、従って温度差DTcsが大きいときの検出温度Tの推移を示すグラフであって、ペルチェ素子アセンブリ23への通電制御が正常なときを破線で、該ペルチェ素子アセンブリ23が故障のときを実線でそれぞれ示す。ここで、時刻τcs1において冷却が開始されると、正常であれば温度変化分ΔTcが大きく現れるのに対し、故障時は温度変化分ΔTcが小さく現れる。また、故障時は判別時の検出温度Tとの温度差DTcが大きく現れる。従って、温度差DTcsが大きいときは、継続時間Δτdc1が短めであっても、温度変化分ΔTcは正常時と故障時とで顕著な違いが現れ、相互の判別が可能であることが確認される。なお、故障時であっても若干の温度変化が生じるのは、冷房又は窓開放による車室内温度の低下の影響を受けることによる。
【0053】
一方、図16は、図8と同様、冷却時の初期温度値Tcsが低めであり、従って温度差DTcsが小さいときの検出温度Tの推移を示すグラフであって、ペルチェ素子アセンブリ23への通電制御が正常なときを破線で、該ペルチェ素子アセンブリ23が故障のときを実線でそれぞれ示す。ここで、時刻τcs2において冷却が開始されると、正常であれば小さいながらも温度変化分ΔTcがある程度現れるのに対し、故障時は温度変化分ΔTcが極小で現れる。また、故障時は判別時の検出温度Tとの温度差DTcが小さく現れる。従って、温度差DTcsが小さいときは、継続時間Δτdc2を長めにすることで、正常時と故障時との間の温度変化分ΔTcの違いを顕在化させることができ、相互の判別が可能であることが確認される。
【0054】
また、図17は、図10と同様、加熱時の初期温度値Thsが低めであり、従って温度差DThsが大きいときの検出温度Tの推移を示すグラフであって、ペルチェ素子アセンブリ23への通電制御が正常なときを破線で、該ペルチェ素子アセンブリ23が故障のときを実線でそれぞれ示す。ここで、時刻τhs1において加熱が開始されると、正常であれば温度変化分ΔThが大きく現れるのに対し、故障時は温度変化分ΔThが小さく現れる。また、故障時は判別時の検出温度Tとの温度差DThが大きく現れる。従って、温度差DThsが大きいときは、継続時間Δτdh1が短めであっても、温度変化分ΔThは正常時と故障時とで顕著な違いが現れ、相互の判別が可能であることが確認される。なお、故障時であっても若干の温度変化が生じるのは、暖房による車室内温度の上昇の影響を受けることによる。
【0055】
一方、図18は、図11と同様、加熱時の初期温度値Thsが高めであり、従って温度差DThsが小さいときの検出温度Tの推移を示すグラフであって、ペルチェ素子アセンブリ23への通電制御が正常なときを破線で、該ペルチェ素子アセンブリ23が故障のときを実線でそれぞれ示す。ここで、時刻τhs2において加熱が開始されると、正常であれば小さいながらも温度変化分ΔThがある程度現れるのに対し、故障時は温度変化分ΔThが極小で現れる。また、故障時は判別時の検出温度Tとの温度差DThが小さく現れる。従って、温度差DThsが小さいときは、継続時間Δτdh2を長めにすることで、正常時と故障時との間の温度変化分ΔThの違いを顕在化させることができ、相互の判別が可能であることが確認される。
【0056】
以上により、温度差DTcs,DThsが大きいときは、温度差閾値DTcth,DThth及び温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthを大きく設定するとともに、継続時間閾値Δτdcth,Δτdhthを小さく設定し、反対に、温度差DTcs,DThsが小さいときは、温度差閾値DTcth,DThth及び温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthを小さく設定するとともに、継続時間閾値Δτdcth,Δτdhthを大きく設定することで、冷却・加熱時を問わず故障検出の精度が高まる。
【0057】
次に、マイコン33による検出温度T、即ちステアリングホイールの温度の制御態様及び故障判定態様について総括的に説明する。
図19はメインルーチンを示すフローチャートである。同図に示されるように、この制御が起動されると、各種初期化処理を行い(ステップS1)、現在の検出温度Tを初期温度値Tcs,Thsとして読み込む(ステップS2)。そして、初期温度値Tcs,Thsと冷却・加熱時の目標温度値Tct,Thtとの温度差DTcs,DThsを算出する(ステップS3:算出手段)。
【0058】
次いで、温度差DTcs,DThsに基づき、図13(a)及び図14(a)のマップに従って、検出温度Tと冷却・加熱時の目標温度値Tct,Thtとの温度差DTc,DThに関する温度差閾値DTcth,DThthを算出する(ステップS4)。また、温度差DTcs,DThsに基づき、図13(b)及び図14(b)のマップに従って、検出温度Tの温度変化分ΔTc,ΔThに関する温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthを算出する(ステップS5:第1算出手段)。さらに、温度差DTcs,DThsに基づき、図13(c)及び図14(c)のマップに従って、継続時間Δτdc,Δτdhに関する継続時間閾値Δτdcth,Δτdhthを算出する(ステップS6:第2算出手段)。
【0059】
続いて、メインルーチンの各種処理を行い(ステップS7)、内部(メモリ)に記憶するペルチェ素子22(ペルチェ素子アセンブリ23)・配線系の故障情報の有無を判断する(ステップS8)。そして、故障情報がないと判断されると、ペルチェ素子22の通電制御処理を行い(ステップS9)、故障判別処理を行って(ステップS10)、ステップS7に戻り同様の処理を繰り返す。また、ステップS8で故障情報があると判断されると、ステップS7に戻ってメインルーチンの各種処理のみを繰り返す。
【0060】
図20は、ステップS9におけるペルチェ素子22の通電制御処理態様を示すフローチャートである。なお、既述のように、左右のグリップ部の温度制御は個別に行われるものの、基本的に左側を右側に言い換えることで同様の処理になる。従って、以下では、左側のグリップ部の温度制御について代表して説明し、右側のグリップ部については詳細な説明を割愛する。
【0061】
同図に示されるように、この処理に移行すると、初期温度値Tcs,Thsと所定温度(例えば50°C)との大小関係に基づいて、温度調節の方向(冷却又は加熱)を判断する(ステップS11)。
【0062】
そして、ステップS11で冷却と判断されると、左側用のリレー36を冷却通電の状態に設定する(ステップS12)。具体的には、前記トランジスタTr1によりリレー36の一方のコイルL1を駆動して、ペルチェ素子アセンブリ23により冷却作用が行われるように、印加電圧の極性を切り替える。そして、左側のグリップ部の温度を前記冷却目標温度値Tctに制御するための処理を行う(ステップS13)。
【0063】
すなわち、現在の+B電源電圧を読み込んで(ステップS14)、+B電源電圧が前記所定の作動電圧範囲内にあるかを判断する(ステップS15)。そして、+B電源電圧が前記所定の作動電圧範囲内にある、即ち前記バッテリ35の電圧変動の影響が抑制されていると判断されると、左側のグリップ部の検出温度Tを検出する(ステップS16)。そして、検出温度Tに基づき、図6のマップに従って、左側のグリップ部のペルチェ素子アセンブリ23に対するデューティ比率Dcを算出する(ステップS17)。
【0064】
次いで、算出されたデューティ比率Dcとなるパルスを、左側用のパワーFET37に出力する(ステップS18)。これにより、左側のグリップ部のペルチェ素子アセンブリ23は、設定されたデューティ比率Dcに応じた強さで冷却作用を行う。
【0065】
また、ステップS15で、+B電源電圧が前記所定の作動電圧範囲内にない、即ち前記バッテリ35の電圧変動の影響が大きいと判断されると、デューティ比率Dcを0%にして左側用のパワーFET37へのパルスを停止する(ステップS18)。
【0066】
一方、ステップS11で加熱と判断されると、左側用のリレー36を加熱通電の状態に設定する(ステップS22)。具体的には、前記トランジスタTr2によりリレー36の他方のコイルL2を駆動して、ペルチェ素子アセンブリ23により加熱作用が行われるように、印加電圧の極性を切り替える。そして、左側のグリップ部の温度を前記加熱目標温度値Thtに制御するための処理を行う(ステップS23)。
【0067】
すなわち、現在の+B電源電圧を読み込んで(ステップS24)、+B電源電圧が前記所定の作動電圧範囲内にあるかを判断する(ステップS25)。そして、+B電源電圧が前記所定の作動電圧範囲内にある、即ち前記バッテリ35の電圧変動の影響が抑制されていると判断されると、左側のグリップ部の検出温度Tを検出する(ステップS26)。そして、検出温度Tに基づき、図9のマップに従って、左側のグリップ部のペルチェ素子アセンブリ23に対するデューティ比率Dhを算出する(ステップS27)。
【0068】
次いで、算出されたデューティ比率Dhとなるパルスを、左側用のパワーFET37に出力する(ステップS28)。これにより、左側のグリップ部のペルチェ素子アセンブリ23は、設定されたデューティ比率Dhに応じた強さで加熱作用を行う。
【0069】
また、ステップS15で、+B電源電圧が前記所定の作動電圧範囲内にない、即ち前記バッテリ35の電圧変動の影響が大きいと判断されると、デューティ比率Dcを0%にして左側用のパワーFET37へのパルスを停止する(ステップS18)。
【0070】
そして、ステップS18,S19、ステップS28,S29のいずれかの処理を行うと、メインルーチンに戻ってステップS10の故障判別処理に移行する。
図21は、ステップS10におけるペルチェ素子22の故障判別処理態様を示すフローチャートである。なお、以下でも、左側のグリップ部の温度制御について代表して説明し、右側のグリップ部については詳細な説明を割愛する。
【0071】
同図に示されるように、この処理に移行すると、ステップS18,S19、ステップS28,S29のいずれかで設定されたデューティ比率Dc,Dhを読み込み(ステップS31)、該デューティ比率Dc,Dhが所定値Dcth,Dhth以上であるかを判断する(ステップS32)。そして、デューティ比率Dc,Dhが所定値Dcth,Dhth以上と判断されると、ステップS16、S26で検出された検出温度Tが読み込まれ(ステップS33)、該検出温度Tとそのときの温度調節(冷却又は加熱)に対応する目標温度値Tct,Thtとの温度差DTc,DThを算出する(ステップS34)。
【0072】
そして、検出温度Tとの温度差DTc,DThが、ステップS4で算出された温度差閾値DTcth,DThthよりも大きいかを判断し(ステップS35)、該温度差閾値DTcth,DThthよりも大きいと判断されると、検出温度Tの単位時間当たりの温度変化分ΔTc,ΔThを算出する(ステップS36:変化分検出手段)。
【0073】
次いで、単位時間当たりの温度変化分ΔTc,ΔThが、ステップS5で算出された温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthよりも小さいかを判断し(ステップS37)、該温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthよりも小さいと判断されると、更に故障の判別のための継続時間Δτdc,Δτdhをカウント中かを判断する(ステップS38)。
【0074】
ここで、継続時間Δτdc,Δτdhがカウント中でないと判断されると該継続時間Δτdc,Δτdhのカウントを開始し(ステップS39)、一方、カウント中と判断されると現在の該継続時間Δτdc,Δτdhが、ステップS6で算出された継続時間閾値Δτdcth,Δτdhthよりも大きいか(超過したか)を判断する(ステップS40:判断手段)。
【0075】
そして、現在の該継続時間Δτdc,Δτdhが継続時間閾値Δτdcth,Δτdhthよりも大きくないと判断されると、該継続時間Δτdc,Δτdhのカウントを継続する(ステップS41:継続時間検出手段)。一方、継続時間閾値Δτdcth,Δτdhthよりも大きいと判断されると、左側のペルチェ素子22(ペルチェ素子アセンブリ23)・配線系の故障情報を内部(メモリ)に記憶する(ステップS42)。そして、左側のペルチェ素子22への出力用のリレー36を完全に停止する(ステップS43)。
【0076】
また、ステップS32でデューティ比率Dc,Dhが所定値Dcth,Dhth未満と判断され、あるいはステップS35で検出温度Tとの温度差DTc,DThが温度差閾値DTcth,DThthよりも大きくないと判断され、あるいはステップS37で単位時間当たりの温度変化分ΔTc,ΔThが温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthよりも小さくないと判断されると、継続時間Δτdc,Δτdhのカウントをリセットする(ステップS44)。
【0077】
つまり、デューティ比率Dc,Dhが所定値Dcth,Dhth以上であり、且つ、検出温度Tとの温度差DTc,DThが温度差閾値DTcth,DThthよりも大きく、且つ、単位時間当たりの温度変化分ΔTc,ΔThが温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthよりも小さいときに、継続時間Δτdc,Δτdhとして連続的にカウントされて、ステップS40での判断(故障判断)に供される。
【0078】
そして、ステップS39,S41,S43,S44のいずれかの処理を行うと、メインルーチンに戻る。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
【0079】
(1)本実施形態では、デューティ比率Dc,Dhが所定値Dcth,Dhth以上であり、且つ、検出温度Tとの温度差DTc,DThが温度差閾値DTcth,DThthよりも大きく、且つ、単位時間当たりの温度変化分ΔTc,ΔThが温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthよりも小さいときの継続時間Δτdc,Δτdhを、継続時間閾値Δτdcth,Δτdhthにより閾値判定することで、ペルチェ素子22(ペルチェ素子アセンブリ23)の故障(異常)を精度よく判断することができる。また、基本的にマイコン33(制御ユニット31)による演算処理のみで、ペルチェ素子22の故障を検出(判断)できるため、例えば当該故障検出に係る回路(コンパレータ等)を割愛でき、ひいてはコストを削減することができる。
【0080】
また、故障検出に係る回路の実装のために基板にスペース(面積)を確保する必要もなくなり、該基板のコストを削減することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0081】
・前記実施形態において、ペルチェ素子22(ペルチェ素子アセンブリ23)の故障検出に係る要因(2)、即ち図21のステップS35の判断を割愛してもよい。
・前記実施形態において、ペルチェ素子22の個数は一例であり、例えば1個だけであってもよい。ただし、各ペルチェ素子22に対し高効率な印加電圧(2V程度)が設定される好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態を示す断面図。
【図2】同実施形態を示す回路図。
【図3】ペルチェ素子アセンブリに対する印加電圧の極性と、その作用との関係を示す一覧図。
【図4】ペルチェ素子アセンブリに対する印加電圧を示すタイムチャート。
【図5】印加電圧のデューティ比率とペルチェ素子アセンブリによる冷却・加熱作用の強さとの関係を示す説明図。
【図6】冷却作用時の検出温度とデューティ比率との関係を示すマップ。
【図7】(a)(b)は、初期温度が高めのときの冷却作用時の検出温度及びデューティ比率の推移を示すタイムチャート。
【図8】(a)(b)は、初期温度が低めのときの冷却作用時の検出温度及びデューティ比率の推移を示すタイムチャート。
【図9】加熱作用時の検出温度とデューティ比率との関係を示すマップ。
【図10】(a)(b)は、初期温度が低めのときの加熱作用時の検出温度及びデューティ比率の推移を示すタイムチャート。
【図11】(a)(b)は、初期温度が高めのときの加熱作用時の検出温度及びデューティ比率の推移を示すタイムチャート。
【図12】故障判定するための各種要因と該要因を選定した根拠を示す説明図。
【図13】(a)(b)(c)は、冷却作用時の初期温度との温度差及び検出温度との温度差閾値、温度変化分閾値、継続時間閾値の関係を示すマップ。
【図14】(a)(b)(c)は、加熱作用時の初期温度との温度差及び検出温度との温度差閾値、温度変化分閾値、継続時間閾値の関係を示すマップ。
【図15】初期温度が高めのときの冷却作用時の故障検出態様を示すタイムチャート。
【図16】初期温度が低めのときの冷却作用時の故障検出態様を示すタイムチャート。
【図17】初期温度が低めのときの加熱作用時の故障検出態様を示すタイムチャート。
【図18】初期温度が高めのときの加熱作用時の故障検出態様を示すタイムチャート。
【図19】同実施形態の故障検出態様を示すフローチャート。
【図20】同実施形態の故障検出態様を示すフローチャート。
【図21】同実施形態の故障検出態様を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0083】
22…ペルチェ素子、23…ペルチェ素子アセンブリ、32…サーミスタ(温度検出手段)、31…制御ユニット、33…マイコン(算出手段、第1算出手段、第2算出手段、変化分検出手段、継続時間検出手段、判断手段)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイールの温度制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリングホイールの温度制御装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この装置は、発熱・吸熱する熱電変換素子としてのペルチェ素子をステアリングホイールに内蔵しており、該ステアリングホイールの現在の温度(実温度)を温度センサ(サーミスタ)により検出して、所定の温度にするように、加熱・冷却を選択すべくペルチェ素子への印加電圧の極性を切り替えるととともに、該印加電圧のオン・オフ(断続)制御によりステアリングホイールの温度を調節する。
【特許文献1】特開昭60−88679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このようにペルチェ素子への印加電圧の制御によりステアリングホイールの温度を調節する構成において、該ペルチェ素子の故障検出を行うことが検討されている。例えば、ペルチェ素子の通電電流検出用の抵抗で生じる電圧降下をコンパレータで監視して、該コンパレータが出力する電圧の状態と前記ペルチェ素子への印加電圧の状態との一致・不一致に応じてペルチェ素子の正常・故障の判断を行うことが提案されている。これは、ペルチェ素子は、電気的には抵抗体であり、該ペルチェ素子に流れる電流波形、即ちコンパレータが出力する電圧の波形は、通常は印加電圧の波形と一致(同期)することを利用するものである。しかしながら、この場合には、故障検出に係る回路(コンパレータ等)の分だけ部品点数が増加され、ひいてはコストの増大を余儀なくされる。また、故障検出に係る回路の実装のために基板にスペースを確保する必要があり、該基板のコストが増大されてしまう。
【0004】
本発明の目的は、部品点数の増加を抑制しつつ、ペルチェ素子の故障を精度よく検出することができるステアリングホイールの温度制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ステアリングホイールに設けられたペルチェ素子と、前記ステアリングホイールの温度を検出する温度検出手段とを備え、前記ペルチェ素子による温度調節作用の強さと単調非減少の関係で該ペルチェ素子に対する印加電圧のデューティ比率を設定して、前記ステアリングホイールの温度を目標温度に制御するステアリングホイールの温度制御装置において、目標温度及び温度調節開始時に前記温度検出手段により検出された温度の温度差を算出する算出手段と、前記算出された温度差と単調非減少の関係で温度変化分閾値を算出する第1算出手段と、前記算出された温度差と単調非増加の関係で継続時間閾値を算出する第2算出手段と、前記温度検出手段により検出された温度に基づき、単位時間当たりの温度変化分を検出する変化分検出手段と、前記デューティ比率が所定値よりも大きいとき、前記変化分検出手段により検出された単位時間当たりの温度変化分が前記温度変化分閾値よりも小さい状態にあるときの継続時間を検出する継続時間検出手段と、前記継続時間検出手段により検出された継続時間が、前記継続時間閾値よりも大きいときに前記ペルチェ素子の故障を判断する判断手段とを備えたことを要旨とする。
【0006】
一般に、ステアリングホイールの温度を目標温度に制御すべく、前記ペルチェ素子による温度調節作用を開始した場合、該ステアリングホイールの温度、即ち前記温度検出手段により検出される温度は、時間の経過とともに徐々に前記目標温度へと近付く。この際、前記ペルチェ素子が正常であっても、目標温度及び温度調節開始時に前記温度検出手段により検出された温度、即ち初期温度の温度差が大きいときほど、単位時間当たりの温度変化分が大きくなる傾向を示す。また、初期温度及び目標温度の温度差が小さいときほど、単位時間当たりの温度変化分が小さい状態にあるときの継続時間が大きくなる傾向を示す。一方、前記ペルチェ素子が故障(異常)であれば、該ペルチェ素子による温度調節作用を開始しても、ステアリングホイールの温度、即ち前記温度検出手段により検出される温度は概ね初期温度の近くを推移する。
【0007】
同構成によれば、このような単位時間当たりの温度変化分及び前記継続時間の傾向を反映して、前記温度変化分閾値及び前記継続時間閾値が算出される。そして、前記温度変化分閾値による単位時間当たりの温度変化分の閾値判定及び前記継続時間閾値による前記継続時間の閾値判定に基づいて、前記ペルチェ素子の故障(異常)を精度よく判断することができる。また、基本的に温度制御装置による演算処理のみで、前記ペルチェ素子の故障を検出(判断)できるため、例えば当該故障検出に係る回路(コンパレータ等)を割愛できる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明では、故障検出に係る回路等を用いることなく、ペルチェ素子の故障を精度よく判断できるステアリングホイールの温度制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態に係るステアリングホイールを示す断面図である。同図に示されるように、ステアリングホイールは、車両のステアリングシャフトに取着される取付部11と、該取付部11から放射状に延出する複数(4本)のスポーク部12と、これらスポーク部12の先端部を連結する円環状のリング部13とを備えて構成される。
【0010】
前記リング部13は、例えばアルミニウムからなる蓄熱体としての円環状のリム部21を備える。図1に拡大して示すように、このリム部21には、上下に隣り合う前記スポーク部12間で前記リング部13に形成される左右のグリップ部に合わせて、複数(12個)のペルチェ素子22が配設されている。これら12個のペルチェ素子22は、前記リング部13の左右のグリップ部に6個ずつ配置されている。各グリップ部に配置された6個のペルチェ素子22は、電気的に直列接続されて、ペルチェ素子アセンブリ23を構成する。各ペルチェ素子アセンブリ23は、対応するグリップ部において前記リム部21と熱伝導的に接続されている。また、各ペルチェ素子アセンブリ23を構成する6個のペルチェ素子22は、リング部13の外周側及び内周側に3個ずつで配置されている。
【0011】
各ペルチェ素子アセンブリ23において、前記リング部13の外周側及び内周側に配置された3個のペルチェ素子22には、例えば銅からなる伝熱プレート24が装着されている。各伝熱プレート24は、対応する3個のペルチェ素子22と熱伝導的に接続されている。
【0012】
そして、前記リム部21は、前記ペルチェ素子アセンブリ23(ペルチェ素子22)及び伝熱プレート24とともに、例えば本皮や合成皮革からなる表皮25により覆われている。
【0013】
図1に併せ示したように、各グリップ部のペルチェ素子アセンブリ23は、マイクロコンピュータ(マイコン)を備えた制御ユニット31に電気的に接続されており、該制御ユニット31からの通電出力に従って対応するグリップ部の表面を加熱又は冷却する。具体的には、例えばグリップ部の表面を冷却すべく通電出力された場合、ペルチェ素子アセンブリ23は、前記伝熱プレート24から吸熱するとともに、前記リム部21の熱容量を利用して該リム部21に蓄熱・熱放散する。これにより、表皮25の熱がリム部21へと移動し、グリップ部の表面が冷却される。
【0014】
なお、各グリップ部には、その温度を検出する温度検出手段としてのサーミスタ32が設けられている。制御ユニット31は、各サーミスタ32からの温度信号入力によって対応するグリップ部の温度を検出するとともに、該検出された温度に応じて前記ペルチェ素子アセンブリ23への通電出力を制御する。つまり、制御ユニット31は、左右のグリップ部の温度調節を個別に行う。前記リング部13において、各グリップ部がペルチェ素子アセンブリ23等による温度調節領域を形成することはいうまでもない。
【0015】
次に、制御ユニット31の電気的構成について、図2の回路図に従って説明する。
同図に示されるように、制御ユニット31は、各種制御プログラムを格納するとともに該制御プログラムを実行するマイコン33を備える。このマイコン33は、定電圧電源回路34を介して所定電圧VB(例えば12V)を有するバッテリ35のプラス端子と電気的に接続されるとともに、グランドGNDに接地されている。定電圧電源回路34は、前記マイコン33に所定電圧Vcc(例えば5V)を電源として供給する。
【0016】
前記マイコン33は、左右のグリップ部に配設されたペルチェ素子アセンブリ23及びサーミスタ32とそれぞれ電気的に接続されている。なお、マイコン33との電気的な接続構造は、左右のグリップ部で同様であるため、以下では、左側のグリップ部に配設されたペルチェ素子アセンブリ23及びサーミスタ32との電気的な接続構造を代表して説明し、右側のグリップ部については同一の符号を付して詳細な説明を割愛する。
【0017】
前記マイコン33は、抵抗Rb1,Rb2を介してNPN型のトランジスタTr1,Tr2のベースにそれぞれ接続されるとともに、これらトランジスタTr1,Tr2のコレクタは、リレー36を構成するコイルL1,L2の一方の接続点にそれぞれ接続されている。なお、トランジスタTr1,Tr2のエミッタは、グランドGNDに接地されている。
【0018】
前記リレー36は、前記バッテリ35のプラス端子に電気的に接続された一対の接点a1,a2を備えるとともに、これら接点a1,a2は、前記コイルL1,L2の他方の接続点にそれぞれ接続されている。また、前記リレー36は、一対の接点b1,b2を備えるとともに、これら接点b1,b2は、N型のパワーFET37のドレインに接続されている。なお、パワーFET37のゲートは、前記マイコン33に接続されるとともに、そのソースは、グランドGNDに接地されている。
【0019】
さらに、前記リレー36は、接点a1,b1間及び接点a2,b2間で接点を切り替える一対の可動子c1,c2を備える。これら可動子c1,c2は、前記ペルチェ素子アセンブリ23の両接続点P1,P2にそれぞれ接続されている。一方の可動子c1は、通常は接点b1に接続されており、前記マイコン33によりトランジスタTr1がオンされて、前記コイルL1が通電されると、前記可動子c1は、前記コイルL1に駆動されて接点a1(所定電圧VB)に接続される。同様に、他方の可動子c2は、通常は接点b2に接続されており、前記マイコン33によりトランジスタTr2がオンされて、前記コイルL2が通電されると、前記可動子c2は、前記コイルL2に駆動されて接点a2(所定電圧VB)に接続される。
【0020】
従って、例えば前記コイルL1の駆動により一方の可動子c1を接点a1に接続したとき、前記マイコン33によりパワーFET37がオンされると、接点b2はパワーFET37を介してグランドGNDに接地される。そして、前記ペルチェ素子アセンブリ23には、可動子c1に接続された一方の接続点P1から、可動子c2に接続された他方の接続点P2へと電流が流れる。本実施形態では、上述の方向で前記ペルチェ素子アセンブリ23に電流が流れるときに、グリップ部の表面が冷却されるように設定されている。
【0021】
また、前記コイルL2の駆動により他方の可動子c2を接点a2に接続したとき、前記マイコン33によりパワーFET37がオンされると、接点b1はパワーFET37を介してグランドGNDに接地される。そして、前記ペルチェ素子アセンブリ23には、可動子c2に接続された他方の接続点P2から、可動子c1に接続された一方の接続点P1へと電流が流れる。本実施形態では、上述の方向で前記ペルチェ素子アセンブリ23に電流が流れるときに、グリップ部の表面が加熱されるように設定されている。
【0022】
なお、前記マイコン33は、パワーFET37のゲートに一定周期のパルス信号を出力しており、該一定周期中のパルス信号のオン時間の割合、即ち前記ペルチェ素子アセンブリ23に対する印加電圧のデューティ比率を変更することで、該ペルチェ素子アセンブリ23による冷却又は加熱作用の強さを制御する。
【0023】
前記サーミスタ32は、一方の接続点が抵抗Ruを介して所定電圧Vccに接続されるとともに、他方の接続点がグランドGNDに接地されている。そして、サーミスタ32及び抵抗Ruの接続点Cは、前記マイコン33に接続されている。マイコン33は、抵抗Ru及びサーミスタ32による所定電圧Vccの分圧(接続点Cの電圧)を温度信号として入力して、前記サーミスタ32の設けられたグリップ部の温度(検出温度T)を検出する。
【0024】
また、マイコン33には、バッテリ電圧検出部38が接続されている。このバッテリ電圧検出部38は、直列接続の抵抗Rc,Rdを備えるとともに、該抵抗Rc,Rdの接続点C1において前記マイコン33に接続されている。なお、抵抗Rcの残りの接続点は所定電圧VB(バッテリ35のプラス端子)に接続されるとともに、抵抗Rdの残りの接続点はグランドGNDに接地されている。マイコン33は、抵抗Rc,Rdによる所定電圧VBの分圧(接続点C1の電圧)をバッテリ電圧信号として入力して、前記バッテリ35の電圧(+B電源電圧)を検出する。
【0025】
次に、前記ペルチェ素子アセンブリ23に対する印加電圧の極性と、その作用との関係について図3に示した一覧図に基づいて総括して説明する。同図に示されるように、前述の態様でペルチェ素子アセンブリ23の接続点P1をプラス側である所定電圧VBに接続するとともに、接続点P2をマイナス側であるグランドGNDに接続すると、前記ペルチェ素子アセンブリ23の作用は冷却となる。一方、ペルチェ素子アセンブリ23の接続点P1をマイナス側であるグランドGNDに接続するとともに、接続点P2をプラス側である所定電圧VBに接続すると、前記ペルチェ素子アセンブリ23の作用は加熱となる。以上により、ペルチェ素子アセンブリ23による冷却又は加熱作用が、印加電圧の極性によって切り替えられる。この印加電圧の極性の切り替えが、前記トランジスタTr1,Tr2による前記リレー36(コイルL1,L2)の選択的な駆動によって行われることはいうまでもない。
【0026】
次に、前記ペルチェ素子アセンブリ23に対する電圧の印加態様について総括して説明する。なお、図4は、冷却・加熱のそれぞれにおける印加電圧を示すタイムチャートであり、図5は、同じく冷却・加熱のそれぞれにおける印加電圧のデューティ比率と前記ペルチェ素子アセンブリ23による冷却・加熱作用の強さとの関係を示す説明図である。図4では、冷却時の印加電圧の極性をプラス側で表している。
【0027】
図4に示されるように、例えば冷却時に前記ペルチェ素子アセンブリ23の両接続点P1,P2間に印加される電圧は、所定周期tcを有するオン・オフ波形となっており、各周期tc内の通電時間τcにおいて所定電圧VBが印加される。これは、各ペルチェ素子22に対しその吸熱の効率が優れる2V(=12/6V)程度の電圧を供給してその損失を抑えるためである。なお、通電時間τcを周期tcで除した値の百分率(=τc/tc×100)[%]が、冷却時の前記ペルチェ素子アセンブリ23に対する印加電圧のデューティ比率Dcである。前記マイコン33は、デューティ比率Dcを変更することで、前記ペルチェ素子アセンブリ23による冷却作用の強さを制御する。
【0028】
一方、加熱時に前記ペルチェ素子アセンブリ23の両接続点P1,P2間に印加される電圧は、所定周期thを有するオン・オフ波形となっており、各周期th内の通電時間τhにおいて逆極性となる所定電圧−VBが印加される。なお、通電時間τhを周期thで除した値の百分率(=τh/th×100)[%]が、加熱時の前記ペルチェ素子アセンブリ23に対する印加電圧のデューティ比率Dhである。前記マイコン33は、デューティ比率Dhを変更することで、前記ペルチェ素子アセンブリ23による加熱作用の強さを制御する。
【0029】
図5に示されるように、例えば前記ペルチェ素子アセンブリ23による冷却作用の強さは、冷却時の印加電圧のデューティ比率Dcが0〜100%の間で増減されることで、該デューティ比率Dcの0%で皆無となり、100%で最大となるように連続的に制御される。つまり、デューティ比率Dcは、前記ペルチェ素子アセンブリ23による温度調節作用(冷却作用)の強さと単調非減少の関係で設定される。同様に、前記ペルチェ素子アセンブリ23による加熱作用の強さは、加熱時の印加電圧のデューティ比率Dhが0〜100%の間で増減されることで、該デューティ比率Dhの0%で皆無となり、100%で最大となるように連続的に制御される。つまり、デューティ比率Dhは、前記ペルチェ素子アセンブリ23による温度調節作用(加熱作用)の強さと単調非減少の関係で設定される。
【0030】
なお、各デューティ比率Dc,Dhに基づく前記ペルチェ素子アセンブリ23の通電制御は、前記バッテリ電圧検出部38に検出された+B電源電圧が所定の作動電圧範囲内(例えば10〜16V)にあるときに実行され、該所定の作動電圧範囲外では停止されるようになっている。
【0031】
次に、本実施形態におけるデューティ比率Dc,Dhの設定態様について説明する。なお、両デューティ比率Dc,Dhは、基本的にステアリングホイール(グリップ部)の各対応する所定温度範囲において、該ステアリングホイールの温度の変化に対し比例関係で変化するように設定される。各デューティ比率Dc,Dhの制御は、前記マイコン33による制御プログラムの実行によって行われる。
【0032】
まず、冷却作用時のデューティ比率Dcの設定態様について説明する。図6は、冷却作用時の検出温度T(ステアリングホイールの温度)とデューティ比率Dcとの関係を示すマップである。同図に示されるように、検出温度Tが所定温度値Tc0(例えば43.3°C)から所定温度値Tcc(例えば60°C)までの範囲にあるときに、デューティ比率Dcは、0%から100%へと比例関係で推移するように設定されている(比例制御)。そして、検出温度Tが所定温度値Tc0よりも低温側にあるとき(T<Tc0)にはデューティ比率Dcは0%に設定され、検出温度Tが所定温度値Tccよりも高温側にあるとき(T>Tcc)にはデューティ比率Dcは100%に設定される。なお、冷却作用時の目標の温度である冷却目標温度値Tct(例えば50°C)において、該冷却目標温度値Tctを保持するための所定のデューティ比率Dct(例えば40%)が設定されている。
【0033】
次に、本実施形態における検出温度T(ステアリングホイールの温度)及びデューティ比率Dcの推移について説明する。
図7(a)(b)は、それぞれステアリングホイールの冷却開始時の検出温度T(実際には、左右のサーミスタ32による検出温度Tの平均温度、以下、初期温度値Tcsという)が高め(例えば85°C)のときの検出温度T及びデューティ比率Dcの推移を示すタイムチャートである。また、図8(a)(b)は、それぞれ初期温度値Tcsが低め(例えば70°C)のときの検出温度T及びデューティ比率Dcの推移を示すタイムチャートである。同図に示されるように、時刻τcs1,τcs2において冷却が開始されると、検出温度Tが温度値Tccに達する時刻τcc1,τcc2までデューティ比率Dcは100%に設定される。そして、100%のデューティ比率Dcによりペルチェ素子アセンブリ23による強い冷却作用が行われる。
【0034】
検出温度Tが温度値Tccに達した後は、検出温度Tが前記冷却目標温度値Tctに達する時刻τct1,τct2までデューティ比率Dcは漸減されて、ペルチェ素子アセンブリ23により該デューティ比率Dcに応じた冷却作用が行われる。なお、図7及び図8には、それぞれ冷却開始から冷却目標温度値Tctに達するまでの時間Δτcst1(=τct1−τcs),Δτcst2(=τct2−τcs2)を併記している。
【0035】
図7、図8から明らかなように、冷却目標温度値Tct及び初期温度値Tcsの温度差が大きいときほど、冷却開始直後の単位時間当たりの温度変化分(温度低下分)が大きくなる傾向を示すことが確認される。また、冷却目標温度値Tct及び初期温度値Tcsの温度差が小さいときほど、単位時間当たりの温度変化分が小さい状態にあるときの継続時間が大きくなる傾向を示すことが確認される。
【0036】
次に、加熱作用時のデューティ比率Dhの設定態様について説明する。なお、デューティ比率Dhは、加熱作用に対応して前記所定温度範囲及び目標とする温度変化の方向が異なることを除けば、前記デューティ比率Dcと同様の処理で設定される。
【0037】
図9は、加熱作用時の検出温度T(ステアリングホイールの温度)とデューティ比率Dhとの関係を示すマップである。同図に示されるように、検出温度Tが所定温度値Th0(例えば34.3°C)から所定温度値Thc(例えば20°C)までの範囲にあるときに、デューティ比率Dhは、0%から100%へと比例関係で推移するように設定されている(比例制御)。そして、検出温度Tが所定温度値Th0よりも高温側にあるとき(T>Th0)にはデューティ比率Dhは0%に設定され、検出温度Tが所定温度値Thcよりも低温側にあるとき(T<Thc)にはデューティ比率Dhは100%に設定される。なお、加熱作用時の目標の温度である加熱目標温度値Tht(例えば30°C)において、該加熱目標温度値Thtを保持するための所定のデューティ比率Dht(例えば30%)が設定されている。
【0038】
次に、本実施形態における検出温度T(ステアリングホイールの温度)及びデューティ比率Dhの推移について説明する。
図10(a)(b)は、それぞれステアリングホイールの加熱開始時の検出温度T(実際には、左右のサーミスタ32による検出温度Tの平均温度、以下、初期温度値Thsという)が低め(例えば−10°C)のときの検出温度T及びデューティ比率Dhの推移を示すタイムチャートである。また、図11(a)(b)は、それぞれ初期温度値Thsが高め(例えば10°C)のときの検出温度T及びデューティ比率Dhの推移を示すタイムチャートである。同図に示されるように、時刻τhs1,τhs2において加熱が開始されると、検出温度Tが温度値Thcに達する時刻τhc1,τhc2までデューティ比率Dhは100%に設定される。そして、100%のデューティ比率Dhによりペルチェ素子アセンブリ23による強い加熱作用が行われる。
【0039】
検出温度Tが温度値Thcに達した後は、検出温度Tが前記加熱目標温度値Thtに達する時刻τht1,τht2までデューティ比率Dhは漸減されて、ペルチェ素子アセンブリ23により該デューティ比率Dhに応じた加熱作用が行われる。これにより、なお、図10及び図11には、それぞれ加熱開始から加熱目標温度値Thtに達するまでの時間Δτhst1(=τht1−τhs),Δτhst2(=τht2−τhs2)を併記している。
【0040】
なお、図10、図11から明らかなように、加熱目標温度値Tht及び初期温度値Thsの温度差が大きいときほど、加熱開始直後の単位時間当たりの温度変化分(温度上昇分)が大きくなる傾向を示すことが確認される。また、加熱目標温度値Tht及び初期温度値Thsの温度差が小さいときほど、単位時間当たりの温度変化分が小さい状態にあるときの継続時間が大きくなる傾向を示すことが確認される。
【0041】
ここで、本実施形態におけるペルチェ素子アセンブリ23(ペルチェ素子22)の故障検出態様について説明する。なお、ここでの故障原因としては、例えばペルチェ素子アセンブリ23(あるいはこれを構成する各ペルチェ素子22)の断線や、その接続配線系の断線が挙げられる。ペルチェ素子アセンブリ23の故障検出は、前記マイコン33による制御プログラムの実行によって行われる。
【0042】
まず、ステアリングホイールの温度調節(冷却・加熱)時における上述した検出温度Tの推移を鑑みて、ペルチェ素子アセンブリ23(ペルチェ素子22)の故障検出に供し得る各種要因について説明する。
【0043】
図12は、ペルチェ素子アセンブリ23を故障判定するための各種要因と該要因を選定した根拠を示す説明図である。
同図に示されるように、要因(1)は、印加電圧のデューティ比率Dc,Dhが所定値(例えば95%)Dcth,Dhth以上であること。これは、ペルチェ素子アセンブリ23による冷却・加熱作用の強さが十分に大きい方が、検出温度Tの推移に明確な変化が生じ、故障検出により好ましいためである。なお、前記バッテリ電圧検出部38に検出された+B電源電圧が所定の作動電圧範囲内(例えば10〜16V)にあること、換言すれば、バッテリ35の電圧変動の影響が抑制されていることを前提条件とする。
【0044】
また、要因(2)は、検出温度T(実温度)及び冷却目標温度値Tct又は加熱目標温度値Thtの温度差DTc又はDThが、その大小比較に係る温度差閾値DTcth又はDThthよりも大きいこと。これは、特に温度制御開始直後のように前記温度差DTc又はDThが大きい場合、結果としてデューティ比率Dc,Dhが大きくなって要因(1)を満たす状態になるためである。つまり、この状態に対応して、ペルチェ素子アセンブリ23が十分に強い冷却・加熱作用を正常に行えば、検出温度Tの推移に明確な変化が生じ、故障検出により好ましくなる。
【0045】
さらに、要因(3)は、検出温度T(実温度)の単位時間(例えば1秒)当たりの温度変化分ΔTc又はΔThが、その大小比較に係る温度変化分閾値ΔTcth又はΔThthよりも小さいこと。これは、ペルチェ素子アセンブリ23の冷却・加熱作用による温度変化(温度低下又は温度上昇)が生じていないとき、該ペルチェ素子アセンブリ23が作用していないこと、即ち故障していることを示唆するためである。
【0046】
さらにまた、要因(4)は、要因(1)〜(3)を全て満たす状態が連続して継続する時間(継続時間)Δτdc又はΔτdhが、その大小比較に係る継続時間閾値Δτdcth又はΔτdhth以上であること。これは、要因(1)〜(3)を全て満たす状態が十分に長い時間連続して継続することをもって、前記ペルチェ素子アセンブリ23が作用していないこと、即ち故障していることを確定する方がその検出精度を向上させることができるためである。
【0047】
次に、上述した各種要因(1)〜(4)、即ちペルチェ素子アセンブリ23(ペルチェ素子22)の通電制御の出力状態や検出温度Tの状態及びその変化状態に関する要因を、前述した検出温度Tの推移の特性に反映させて、故障検出に供する態様について説明する。
【0048】
図13(a)(b)(c)は、ステアリングホイールの冷却時における冷却目標温度値Tct及び初期温度値Tcsの温度差DTcsと、温度差閾値DTcth、温度変化分閾値ΔTcth、継続時間閾値Δτdcthとの関係をそれぞれ示すマップである。また、図14(a)(b)(c)は、ステアリングホイールの加熱時における加熱目標温度値Tht及び初期温度値Thsの温度差DThsと、温度差閾値DThth、温度変化分閾値ΔThth、継続時間閾値Δτdhthとの関係をそれぞれ示すマップである。
【0049】
図13(a)及び図14(a)に示されるように、温度差閾値DTcth,DThthは、温度差DTcs,DThsに対し単調非減少の関係で推移する。これは、初期温度値Tcs,Thsとの温度差DTcs,DThsが大きいほど、特に温度調節の開始直後において検出温度Tとの温度差DTc,DThが大きくなる傾向にあり、従って、これに対応して温度差閾値DTcth,DThthを大きくした方がより正確な故障検出になることによる。
【0050】
また、図13(b)及び図14(b)に示されるように、温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthは、温度差DTcs,DThsに対し単調非減少の関係で推移する。これは、初期温度値Tcs,Thsとの温度差DTcs,DThsが大きいほど、特に温度調節の開始直後において温度変化分ΔTc,ΔThが大きくなる傾向にあり、従って、これに対応して温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthを大きくした方がより正確な故障検出になることによる。
【0051】
さらに、図13(c)及び図14(c)に示されるように、継続時間閾値Δτdcth,Δτdhthは、温度差DTcs,DThsに対し単調非増加の関係で推移する。これは、初期温度値Tcs,Thsとの温度差DTcs,DThsが小さいほど、温度変化分ΔTc,ΔThの小さい状態が長時間継続する傾向にあり、従って、これに対応して継続時間閾値Δτdcth,Δτdhthを大きくした方がより正確な故障検出になることによる。換言すれば、温度差DTcs,DThsが大きければ、特に温度調節の開始直後において短時間で大きな温度変化分ΔTc,ΔThが得られることから、温度変化分ΔTc,ΔThの小さい状態の短時間の継続であっても故障を検出し得る。
【0052】
次に、ペルチェ素子アセンブリ23の故障時の検出温度Tの推移及びその故障検出態様について説明する。
図15は、図7と同様、冷却時の初期温度値Tcsが高めであり、従って温度差DTcsが大きいときの検出温度Tの推移を示すグラフであって、ペルチェ素子アセンブリ23への通電制御が正常なときを破線で、該ペルチェ素子アセンブリ23が故障のときを実線でそれぞれ示す。ここで、時刻τcs1において冷却が開始されると、正常であれば温度変化分ΔTcが大きく現れるのに対し、故障時は温度変化分ΔTcが小さく現れる。また、故障時は判別時の検出温度Tとの温度差DTcが大きく現れる。従って、温度差DTcsが大きいときは、継続時間Δτdc1が短めであっても、温度変化分ΔTcは正常時と故障時とで顕著な違いが現れ、相互の判別が可能であることが確認される。なお、故障時であっても若干の温度変化が生じるのは、冷房又は窓開放による車室内温度の低下の影響を受けることによる。
【0053】
一方、図16は、図8と同様、冷却時の初期温度値Tcsが低めであり、従って温度差DTcsが小さいときの検出温度Tの推移を示すグラフであって、ペルチェ素子アセンブリ23への通電制御が正常なときを破線で、該ペルチェ素子アセンブリ23が故障のときを実線でそれぞれ示す。ここで、時刻τcs2において冷却が開始されると、正常であれば小さいながらも温度変化分ΔTcがある程度現れるのに対し、故障時は温度変化分ΔTcが極小で現れる。また、故障時は判別時の検出温度Tとの温度差DTcが小さく現れる。従って、温度差DTcsが小さいときは、継続時間Δτdc2を長めにすることで、正常時と故障時との間の温度変化分ΔTcの違いを顕在化させることができ、相互の判別が可能であることが確認される。
【0054】
また、図17は、図10と同様、加熱時の初期温度値Thsが低めであり、従って温度差DThsが大きいときの検出温度Tの推移を示すグラフであって、ペルチェ素子アセンブリ23への通電制御が正常なときを破線で、該ペルチェ素子アセンブリ23が故障のときを実線でそれぞれ示す。ここで、時刻τhs1において加熱が開始されると、正常であれば温度変化分ΔThが大きく現れるのに対し、故障時は温度変化分ΔThが小さく現れる。また、故障時は判別時の検出温度Tとの温度差DThが大きく現れる。従って、温度差DThsが大きいときは、継続時間Δτdh1が短めであっても、温度変化分ΔThは正常時と故障時とで顕著な違いが現れ、相互の判別が可能であることが確認される。なお、故障時であっても若干の温度変化が生じるのは、暖房による車室内温度の上昇の影響を受けることによる。
【0055】
一方、図18は、図11と同様、加熱時の初期温度値Thsが高めであり、従って温度差DThsが小さいときの検出温度Tの推移を示すグラフであって、ペルチェ素子アセンブリ23への通電制御が正常なときを破線で、該ペルチェ素子アセンブリ23が故障のときを実線でそれぞれ示す。ここで、時刻τhs2において加熱が開始されると、正常であれば小さいながらも温度変化分ΔThがある程度現れるのに対し、故障時は温度変化分ΔThが極小で現れる。また、故障時は判別時の検出温度Tとの温度差DThが小さく現れる。従って、温度差DThsが小さいときは、継続時間Δτdh2を長めにすることで、正常時と故障時との間の温度変化分ΔThの違いを顕在化させることができ、相互の判別が可能であることが確認される。
【0056】
以上により、温度差DTcs,DThsが大きいときは、温度差閾値DTcth,DThth及び温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthを大きく設定するとともに、継続時間閾値Δτdcth,Δτdhthを小さく設定し、反対に、温度差DTcs,DThsが小さいときは、温度差閾値DTcth,DThth及び温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthを小さく設定するとともに、継続時間閾値Δτdcth,Δτdhthを大きく設定することで、冷却・加熱時を問わず故障検出の精度が高まる。
【0057】
次に、マイコン33による検出温度T、即ちステアリングホイールの温度の制御態様及び故障判定態様について総括的に説明する。
図19はメインルーチンを示すフローチャートである。同図に示されるように、この制御が起動されると、各種初期化処理を行い(ステップS1)、現在の検出温度Tを初期温度値Tcs,Thsとして読み込む(ステップS2)。そして、初期温度値Tcs,Thsと冷却・加熱時の目標温度値Tct,Thtとの温度差DTcs,DThsを算出する(ステップS3:算出手段)。
【0058】
次いで、温度差DTcs,DThsに基づき、図13(a)及び図14(a)のマップに従って、検出温度Tと冷却・加熱時の目標温度値Tct,Thtとの温度差DTc,DThに関する温度差閾値DTcth,DThthを算出する(ステップS4)。また、温度差DTcs,DThsに基づき、図13(b)及び図14(b)のマップに従って、検出温度Tの温度変化分ΔTc,ΔThに関する温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthを算出する(ステップS5:第1算出手段)。さらに、温度差DTcs,DThsに基づき、図13(c)及び図14(c)のマップに従って、継続時間Δτdc,Δτdhに関する継続時間閾値Δτdcth,Δτdhthを算出する(ステップS6:第2算出手段)。
【0059】
続いて、メインルーチンの各種処理を行い(ステップS7)、内部(メモリ)に記憶するペルチェ素子22(ペルチェ素子アセンブリ23)・配線系の故障情報の有無を判断する(ステップS8)。そして、故障情報がないと判断されると、ペルチェ素子22の通電制御処理を行い(ステップS9)、故障判別処理を行って(ステップS10)、ステップS7に戻り同様の処理を繰り返す。また、ステップS8で故障情報があると判断されると、ステップS7に戻ってメインルーチンの各種処理のみを繰り返す。
【0060】
図20は、ステップS9におけるペルチェ素子22の通電制御処理態様を示すフローチャートである。なお、既述のように、左右のグリップ部の温度制御は個別に行われるものの、基本的に左側を右側に言い換えることで同様の処理になる。従って、以下では、左側のグリップ部の温度制御について代表して説明し、右側のグリップ部については詳細な説明を割愛する。
【0061】
同図に示されるように、この処理に移行すると、初期温度値Tcs,Thsと所定温度(例えば50°C)との大小関係に基づいて、温度調節の方向(冷却又は加熱)を判断する(ステップS11)。
【0062】
そして、ステップS11で冷却と判断されると、左側用のリレー36を冷却通電の状態に設定する(ステップS12)。具体的には、前記トランジスタTr1によりリレー36の一方のコイルL1を駆動して、ペルチェ素子アセンブリ23により冷却作用が行われるように、印加電圧の極性を切り替える。そして、左側のグリップ部の温度を前記冷却目標温度値Tctに制御するための処理を行う(ステップS13)。
【0063】
すなわち、現在の+B電源電圧を読み込んで(ステップS14)、+B電源電圧が前記所定の作動電圧範囲内にあるかを判断する(ステップS15)。そして、+B電源電圧が前記所定の作動電圧範囲内にある、即ち前記バッテリ35の電圧変動の影響が抑制されていると判断されると、左側のグリップ部の検出温度Tを検出する(ステップS16)。そして、検出温度Tに基づき、図6のマップに従って、左側のグリップ部のペルチェ素子アセンブリ23に対するデューティ比率Dcを算出する(ステップS17)。
【0064】
次いで、算出されたデューティ比率Dcとなるパルスを、左側用のパワーFET37に出力する(ステップS18)。これにより、左側のグリップ部のペルチェ素子アセンブリ23は、設定されたデューティ比率Dcに応じた強さで冷却作用を行う。
【0065】
また、ステップS15で、+B電源電圧が前記所定の作動電圧範囲内にない、即ち前記バッテリ35の電圧変動の影響が大きいと判断されると、デューティ比率Dcを0%にして左側用のパワーFET37へのパルスを停止する(ステップS18)。
【0066】
一方、ステップS11で加熱と判断されると、左側用のリレー36を加熱通電の状態に設定する(ステップS22)。具体的には、前記トランジスタTr2によりリレー36の他方のコイルL2を駆動して、ペルチェ素子アセンブリ23により加熱作用が行われるように、印加電圧の極性を切り替える。そして、左側のグリップ部の温度を前記加熱目標温度値Thtに制御するための処理を行う(ステップS23)。
【0067】
すなわち、現在の+B電源電圧を読み込んで(ステップS24)、+B電源電圧が前記所定の作動電圧範囲内にあるかを判断する(ステップS25)。そして、+B電源電圧が前記所定の作動電圧範囲内にある、即ち前記バッテリ35の電圧変動の影響が抑制されていると判断されると、左側のグリップ部の検出温度Tを検出する(ステップS26)。そして、検出温度Tに基づき、図9のマップに従って、左側のグリップ部のペルチェ素子アセンブリ23に対するデューティ比率Dhを算出する(ステップS27)。
【0068】
次いで、算出されたデューティ比率Dhとなるパルスを、左側用のパワーFET37に出力する(ステップS28)。これにより、左側のグリップ部のペルチェ素子アセンブリ23は、設定されたデューティ比率Dhに応じた強さで加熱作用を行う。
【0069】
また、ステップS15で、+B電源電圧が前記所定の作動電圧範囲内にない、即ち前記バッテリ35の電圧変動の影響が大きいと判断されると、デューティ比率Dcを0%にして左側用のパワーFET37へのパルスを停止する(ステップS18)。
【0070】
そして、ステップS18,S19、ステップS28,S29のいずれかの処理を行うと、メインルーチンに戻ってステップS10の故障判別処理に移行する。
図21は、ステップS10におけるペルチェ素子22の故障判別処理態様を示すフローチャートである。なお、以下でも、左側のグリップ部の温度制御について代表して説明し、右側のグリップ部については詳細な説明を割愛する。
【0071】
同図に示されるように、この処理に移行すると、ステップS18,S19、ステップS28,S29のいずれかで設定されたデューティ比率Dc,Dhを読み込み(ステップS31)、該デューティ比率Dc,Dhが所定値Dcth,Dhth以上であるかを判断する(ステップS32)。そして、デューティ比率Dc,Dhが所定値Dcth,Dhth以上と判断されると、ステップS16、S26で検出された検出温度Tが読み込まれ(ステップS33)、該検出温度Tとそのときの温度調節(冷却又は加熱)に対応する目標温度値Tct,Thtとの温度差DTc,DThを算出する(ステップS34)。
【0072】
そして、検出温度Tとの温度差DTc,DThが、ステップS4で算出された温度差閾値DTcth,DThthよりも大きいかを判断し(ステップS35)、該温度差閾値DTcth,DThthよりも大きいと判断されると、検出温度Tの単位時間当たりの温度変化分ΔTc,ΔThを算出する(ステップS36:変化分検出手段)。
【0073】
次いで、単位時間当たりの温度変化分ΔTc,ΔThが、ステップS5で算出された温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthよりも小さいかを判断し(ステップS37)、該温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthよりも小さいと判断されると、更に故障の判別のための継続時間Δτdc,Δτdhをカウント中かを判断する(ステップS38)。
【0074】
ここで、継続時間Δτdc,Δτdhがカウント中でないと判断されると該継続時間Δτdc,Δτdhのカウントを開始し(ステップS39)、一方、カウント中と判断されると現在の該継続時間Δτdc,Δτdhが、ステップS6で算出された継続時間閾値Δτdcth,Δτdhthよりも大きいか(超過したか)を判断する(ステップS40:判断手段)。
【0075】
そして、現在の該継続時間Δτdc,Δτdhが継続時間閾値Δτdcth,Δτdhthよりも大きくないと判断されると、該継続時間Δτdc,Δτdhのカウントを継続する(ステップS41:継続時間検出手段)。一方、継続時間閾値Δτdcth,Δτdhthよりも大きいと判断されると、左側のペルチェ素子22(ペルチェ素子アセンブリ23)・配線系の故障情報を内部(メモリ)に記憶する(ステップS42)。そして、左側のペルチェ素子22への出力用のリレー36を完全に停止する(ステップS43)。
【0076】
また、ステップS32でデューティ比率Dc,Dhが所定値Dcth,Dhth未満と判断され、あるいはステップS35で検出温度Tとの温度差DTc,DThが温度差閾値DTcth,DThthよりも大きくないと判断され、あるいはステップS37で単位時間当たりの温度変化分ΔTc,ΔThが温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthよりも小さくないと判断されると、継続時間Δτdc,Δτdhのカウントをリセットする(ステップS44)。
【0077】
つまり、デューティ比率Dc,Dhが所定値Dcth,Dhth以上であり、且つ、検出温度Tとの温度差DTc,DThが温度差閾値DTcth,DThthよりも大きく、且つ、単位時間当たりの温度変化分ΔTc,ΔThが温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthよりも小さいときに、継続時間Δτdc,Δτdhとして連続的にカウントされて、ステップS40での判断(故障判断)に供される。
【0078】
そして、ステップS39,S41,S43,S44のいずれかの処理を行うと、メインルーチンに戻る。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
【0079】
(1)本実施形態では、デューティ比率Dc,Dhが所定値Dcth,Dhth以上であり、且つ、検出温度Tとの温度差DTc,DThが温度差閾値DTcth,DThthよりも大きく、且つ、単位時間当たりの温度変化分ΔTc,ΔThが温度変化分閾値ΔTcth,ΔThthよりも小さいときの継続時間Δτdc,Δτdhを、継続時間閾値Δτdcth,Δτdhthにより閾値判定することで、ペルチェ素子22(ペルチェ素子アセンブリ23)の故障(異常)を精度よく判断することができる。また、基本的にマイコン33(制御ユニット31)による演算処理のみで、ペルチェ素子22の故障を検出(判断)できるため、例えば当該故障検出に係る回路(コンパレータ等)を割愛でき、ひいてはコストを削減することができる。
【0080】
また、故障検出に係る回路の実装のために基板にスペース(面積)を確保する必要もなくなり、該基板のコストを削減することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0081】
・前記実施形態において、ペルチェ素子22(ペルチェ素子アセンブリ23)の故障検出に係る要因(2)、即ち図21のステップS35の判断を割愛してもよい。
・前記実施形態において、ペルチェ素子22の個数は一例であり、例えば1個だけであってもよい。ただし、各ペルチェ素子22に対し高効率な印加電圧(2V程度)が設定される好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態を示す断面図。
【図2】同実施形態を示す回路図。
【図3】ペルチェ素子アセンブリに対する印加電圧の極性と、その作用との関係を示す一覧図。
【図4】ペルチェ素子アセンブリに対する印加電圧を示すタイムチャート。
【図5】印加電圧のデューティ比率とペルチェ素子アセンブリによる冷却・加熱作用の強さとの関係を示す説明図。
【図6】冷却作用時の検出温度とデューティ比率との関係を示すマップ。
【図7】(a)(b)は、初期温度が高めのときの冷却作用時の検出温度及びデューティ比率の推移を示すタイムチャート。
【図8】(a)(b)は、初期温度が低めのときの冷却作用時の検出温度及びデューティ比率の推移を示すタイムチャート。
【図9】加熱作用時の検出温度とデューティ比率との関係を示すマップ。
【図10】(a)(b)は、初期温度が低めのときの加熱作用時の検出温度及びデューティ比率の推移を示すタイムチャート。
【図11】(a)(b)は、初期温度が高めのときの加熱作用時の検出温度及びデューティ比率の推移を示すタイムチャート。
【図12】故障判定するための各種要因と該要因を選定した根拠を示す説明図。
【図13】(a)(b)(c)は、冷却作用時の初期温度との温度差及び検出温度との温度差閾値、温度変化分閾値、継続時間閾値の関係を示すマップ。
【図14】(a)(b)(c)は、加熱作用時の初期温度との温度差及び検出温度との温度差閾値、温度変化分閾値、継続時間閾値の関係を示すマップ。
【図15】初期温度が高めのときの冷却作用時の故障検出態様を示すタイムチャート。
【図16】初期温度が低めのときの冷却作用時の故障検出態様を示すタイムチャート。
【図17】初期温度が低めのときの加熱作用時の故障検出態様を示すタイムチャート。
【図18】初期温度が高めのときの加熱作用時の故障検出態様を示すタイムチャート。
【図19】同実施形態の故障検出態様を示すフローチャート。
【図20】同実施形態の故障検出態様を示すフローチャート。
【図21】同実施形態の故障検出態様を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0083】
22…ペルチェ素子、23…ペルチェ素子アセンブリ、32…サーミスタ(温度検出手段)、31…制御ユニット、33…マイコン(算出手段、第1算出手段、第2算出手段、変化分検出手段、継続時間検出手段、判断手段)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールに設けられたペルチェ素子と、前記ステアリングホイールの温度を検出する温度検出手段とを備え、前記ペルチェ素子による温度調節作用の強さと単調非減少の関係で該ペルチェ素子に対する印加電圧のデューティ比率を設定して、前記ステアリングホイールの温度を目標温度に制御するステアリングホイールの温度制御装置において、
目標温度及び温度調節開始時に前記温度検出手段により検出された温度の温度差を算出する算出手段と、
前記算出された温度差と単調非減少の関係で温度変化分閾値を算出する第1算出手段と、
前記算出された温度差と単調非増加の関係で継続時間閾値を算出する第2算出手段と、
前記温度検出手段により検出された温度に基づき、単位時間当たりの温度変化分を検出する変化分検出手段と、
前記デューティ比率が所定値よりも大きいとき、前記変化分検出手段により検出された単位時間当たりの温度変化分が前記温度変化分閾値よりも小さい状態にあるときの継続時間を検出する継続時間検出手段と、
前記継続時間検出手段により検出された継続時間が、前記継続時間閾値よりも大きいときに前記ペルチェ素子の故障を判断する判断手段とを備えたことを特徴とするステアリングホイールの温度制御装置。
【請求項1】
ステアリングホイールに設けられたペルチェ素子と、前記ステアリングホイールの温度を検出する温度検出手段とを備え、前記ペルチェ素子による温度調節作用の強さと単調非減少の関係で該ペルチェ素子に対する印加電圧のデューティ比率を設定して、前記ステアリングホイールの温度を目標温度に制御するステアリングホイールの温度制御装置において、
目標温度及び温度調節開始時に前記温度検出手段により検出された温度の温度差を算出する算出手段と、
前記算出された温度差と単調非減少の関係で温度変化分閾値を算出する第1算出手段と、
前記算出された温度差と単調非増加の関係で継続時間閾値を算出する第2算出手段と、
前記温度検出手段により検出された温度に基づき、単位時間当たりの温度変化分を検出する変化分検出手段と、
前記デューティ比率が所定値よりも大きいとき、前記変化分検出手段により検出された単位時間当たりの温度変化分が前記温度変化分閾値よりも小さい状態にあるときの継続時間を検出する継続時間検出手段と、
前記継続時間検出手段により検出された継続時間が、前記継続時間閾値よりも大きいときに前記ペルチェ素子の故障を判断する判断手段とを備えたことを特徴とするステアリングホイールの温度制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−232503(P2008−232503A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70875(P2007−70875)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]