説明

ステアリングホイール

【課題】溝に中間ヒータ部が配置された状態で溝に皮革を入れ込むことができるとともに、ステアリングホイールの生産性を向上させること。
【解決手段】ステアリングホイールのリム部芯体22には皮革部21と加飾部19との区画部位に皮革20の端縁部20aを木目込みための木目込み溝29が形成されている。皮革部21におけるリム部芯体22は、第1ヒータ部25によって覆われている。また、加飾部19におけるリム部芯体22は、第2ヒータ部26によって覆われている。さらに、木目込み溝29には、第1ヒータ部25と第2ヒータ部26とを接続する中間ヒータ部30が配置されている。そして、第1ヒータ部25、第2ヒータ部26、中間ヒータ部30は、共通のヒータ線を有しており、中間ヒータ部30の短手方向の幅は、第1ヒータ部25の短手方向の幅及び第2ヒータ部26の短手方向の幅よりも狭く形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮革部と表面意匠部との区画部位に溝が設けられ、溝に皮革の端縁を入れ込む構成のステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
ステアリングホイールでは、例えば、寒冷地で使用されることでステアリングホイール自体の温度が低下した場合、運転時に乗員がステアリングホイールのリム部をしっかり握れないことや、乗員がステアリングホイールのリム部を握ったときに不快に感じることがある。そこで、従来、この問題に対して、特許文献1には、ステアリングホイールのリング部の周囲をヒータ部で覆い、ヒータ部がリング部に固定されるステアリングホイール用分離型ヒータが記載されている。そして、このヒータ部は、複数の絶縁されたヒータ素線が経編みされてなる網目状発熱体を備え、ヒータ素線に電流が流されることで生じる熱によってステアリングホイールのリング部を暖めるように構成されている。
【特許文献1】特開2008−10354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1に記載のステアリングホイール用分離型ヒータは、合成樹脂からなる円弧状部材を対象にして暖めるものであるため、木材からなる円弧状部材は、暖められない。したがって、例えば、厳寒時において、運転者が木材からなる円弧状部材に触れたときに、運転者は、木材からなる円弧状部材をしっかり握れないことや、不快に感じてしまうという問題があった。また、仮に、ステアリングホイールのリング部全体を暖めようとした場合、合成樹脂からなる円弧状部材及び木材からなる円弧状部材の両方に跨るような大きさのヒータ部にすることが考えられる。ところが、特許文献1に記載のステアリングホイール用分離型ヒータが装着されるステアリングホイールは、合成樹脂からなる円弧状部材に対して皮革が巻き付けられる構成であり、通常、この場合には、木材からなる円弧状部材と合成樹脂からなる円弧状部材との区画部分に皮革の端縁部を木目込むための木目込み溝が形成されている。そして、合成樹脂からなる円弧状部材及び木材からなる円弧状部材の両方に跨るような大きさのヒータ部を用いる場合には、木目込み溝にもヒータ部が配置されることになるため、ヒータ部に被せるようにして木目込み溝に皮革を入れ込もうとしても、ヒータ部にしわが寄って皮革の端縁部を十分に入れ込むことができなくなる虞があるという問題があった。
【0004】
また、木目込み溝にヒータ部を配置しなくてもいいように、木材からなる円弧状部材及び合成樹脂からなる円弧状部材のそれぞれを覆う別々のヒータ部を配置するという方法も考えられる。ところが、この場合には、それぞれのヒータ部に対して別々の電線を引き回したうえで、各ヒータ部のヒータ素線と電線とを半田付け又はかしめ等によって電気的に接続しなければならないため、ステアリングホイールの製作に手間がかかるという欠点があった。
【0005】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、溝に中間ヒータ部が配置された状態で溝に皮革の端縁を入れ込むことができるとともに、ステアリングホイールの生産性を向上させることができるステアリングホイールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、リム部は、表面部が皮革によって構成された皮革部、及び表面部が前記皮革とは異なる素材からなる意匠部材によって構成された表面意匠部を有し、前記リム部の芯体には前記皮革部と前記表面意匠部との区画部位に溝が形成され、前記溝に前記皮革の端縁を木目込む構成のステアリングホイールにおいて、通電されると発熱するとともに、前記皮革に対して放熱可能な状態で前記皮革部内に設けられた第1ヒータ部と、通電されると発熱するとともに、前記意匠部材に対して放熱可能な状態で前記表面意匠部内に設けられた第2ヒータ部と、前記第1ヒータ部と前記第2ヒータ部との間で前記溝に入れ込まれた状態に配置され、前記第1ヒータ部及び前記第2ヒータ部を接続する中間ヒータ部と、を備え、前記第1ヒータ部、前記第2ヒータ部、前記中間ヒータ部は、共通のヒータ線を有しており、前記リム部の周方向における前記中間ヒータ部の幅は、前記リム部の周方向における前記第1ヒータ部の幅及び前記リム部の周方向における前記第2ヒータ部の幅よりも狭いことを要旨とする。
【0007】
なお、「リム部の周方向」とは、リム部の軸線と直交するリム部の断面に対して向かい合った場合に見えるリム部の外周に沿う方向のことを意味する。
この発明では、第1ヒータ部及び第2ヒータ部が共有するヒータ線に電流が流されると、第1ヒータ部及び第2ヒータ部は発熱する。すると、皮革は第1ヒータ部からの熱によって暖められるとともに、意匠部材は第2ヒータ部からの熱によって暖められる。したがって、厳寒時において、人は不快を感じずに皮革部及び表面意匠部のどちらも把持することができる。
【0008】
また、リム部の周方向における中間ヒータ部の幅がリム部の周方向における第1ヒータ部及び第2ヒータ部の幅よりも狭いことで、溝において、中間ヒータ部が存在する部分の割合は小さくなり、中間ヒータ部が存在しない部分の割合は大きくなる。そのため、溝に皮革の端縁を入れ込もうとしたときに中間ヒータ部にシワが寄って、皮革の端縁を溝に入れ込み難くなることを抑制できる。
【0009】
また、第1ヒータ部と第2ヒータ部とは、ヒータ線を共有しているため、第1ヒータ部及び第2ヒータ部のいずれかに向けて電線を引き回し、共有するヒータ線に接続すれば、第1ヒータ部及び第2ヒータ部のヒータ線に電流を供給可能になる。したがって、第1ヒータ部及び第2ヒータ部のそれぞれに対して別々の電線を引き回さなくともよく、第1ヒータ部及び第2ヒータ部が有するヒータ線が別々である場合に比べてステアリングホイールの生産性を向上させることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記意匠部材の端部には、前記溝に挿入されて前記意匠部材を前記リム部の前記芯体に対して位置決めする位置決め突部が形成されており、前記位置決め突部には、前記中間ヒータ部との干渉を避けるための凹部が形成されていることを要旨とする。
【0011】
この発明では、位置決め突部が溝に挿入されても、位置決め突部は中間ヒータ部と干渉しないため、リム部の芯体に対する加飾部材の取り付け作業を行うときに、加飾部材が中間ヒータ部に干渉して加飾部材の位置がずれてしまうことを回避できる。したがって、加飾部材をリム部の芯体に対して正確に位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、溝に中間ヒータ部が配置された状態で溝に皮革を木目込むことができるとともに、ステアリングホイールの生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
図1に示すように、車両の運転席に装備されるステアリングホイール11は、正面視円形状であるとともに、ステアリングホイール11の中心部には操舵輪に連結される操舵軸12が一体回転可能に連結されている。そして、ステアリングホイール11を構成するリム部(ハンドル部)13は、操舵軸12の軸線Lを中心とした円環状に形成されるとともに、通常、運転者がステアリングホイール11を操作するときに把持する部分として構成されている。また、リム部13の内周面には、リム部13によって囲まれているパッド14が複数(本実施形態では、4本)のスポーク部15を介して連結されている。パッド14の内側には電子制御ユニット(以下、ECUという。)16が配設されている。そして、リム部13及びスポーク部15には、その内部に、ステアリングホイール11全体の骨格部分をなす芯材としての芯体17が設けられている。そして、芯体17には、パッド14が装着されている。
【0014】
リム部13は、その表面部が意匠部材としての加飾部材18で構成された加飾部19と、その表面部が皮革20で構成された皮革部21とによって構成されている。なお、加飾部19及び皮革部21は、それぞれ操舵軸12の軸線Lを中心として対称に2つずつ配設されている。そして、芯体17のうち、リム部13と対応する部分は、操舵軸12の軸線Lを中心とした円環状のリム部芯体22として構成されている。
【0015】
図2(a)に示すように、リム部芯体22は、自身の軸線Pと直交する断面形状が円形状に形成されている。リム部芯体22は、リム部芯体22の軸線Pと直交する断面形状がチャネル状となるように形成されたリム部芯金23と、リム部芯金23を被覆するように設けられた充填材24とから構成されている。充填材24は、発泡ポリウレタン等の軟質(弾性)材料からなる。そして、皮革部21では、リム部芯体22の外周部22aが第1ヒータ部25によって覆われている。さらに、皮革部21では、リム部芯体22及び第1ヒータ部25が皮革20によって覆われている。そして、皮革20は、そのリム部13の周方向における端部同士が縫合されている。
【0016】
一方、図2(b)に示すように、表面意匠部としての加飾部19では、リム部芯体22の外周部22aが第2ヒータ部26によって覆われている。さらに、加飾部19では、リム部芯体22及び第2ヒータ部26が、2分割されてなる同形状の一対の意匠部材としての加飾部材18によって覆われている。加飾部材18は、リム部芯体22の軸線Pに直交する断面が略円弧状に形成された合成樹脂製の基部18aと、基部18aの外側面18bに貼り付けられた木製の加飾板18cとによって構成されている。一対の加飾部材18は接着等の手段によって相互に接合されるとともに、相互に接合された状態ではリム部芯体22の軸線方向(図1で図示するX方向)に沿うように湾曲した筒形状となる。そして、図3に示すように、加飾部材18には、その端縁部18dから内側に延びる位置決め突部27が形成されている。位置決め突部27の先端面27aは、リム部芯体22の外周部22a(図2(a)及び(b)参照)に沿うような曲面である。また、位置決め突部27の先端面27aには、凹部28が形成されている。
【0017】
そして、図4(a)に示すように、加飾部材18の位置決め突部27は、ステアリングホイール11の周方向における皮革部21と加飾部19との境界部分に形成された無端状の木目込み溝29に差し込まれている。木目込み溝29はその深さ方向がリム部芯体22の径方向に沿うとともに、リム部芯体22の軸線P(図2(a)及び(b)参照)を中心として一周するように延びている。そして、図4(b)に示すように、木目込み溝29には、第1ヒータ部25と第2ヒータ部26とを連結する中間ヒータ部30が差し込まれている。また、木目込み溝29には、中間ヒータ部30の一部を覆うように皮革20の端縁部20aが差し込まれて取り付けられている。
【0018】
中間ヒータ部30はリム部芯体22の軸線方向において、第1ヒータ部25と第2ヒータ部26との間に位置するとともに、木目込み溝29の底部29aに接している。図5に示すように、中間ヒータ部30は、第1ヒータ部25及び第2ヒータ部26と一体に構成されている。第1ヒータ部25、中間ヒータ部30、及び第2ヒータ部26は、共通の熱伝導シート31に対して共通の単数のヒータ線32が縫いこまれることで構成されている。なお、熱伝導シート31は、不織布から構成されている。中間ヒータ部30は平面状に展開された状態で略細長矩形状に形成されるとともに、その短手方向の幅T1が第1ヒータ部25の短手方向の幅S1及び第2ヒータ部26の短手方向の幅S2よりも狭く形成されている。なお、中間ヒータ部30、第1ヒータ部25、第2ヒータ部26それぞれの短手方向は、中間ヒータ部30、第1ヒータ部25、第2ヒータ部26がリム部芯体22に巻き付けられた状態でリム部13の周方向(図2(a)及び(b)で図示する矢印Y方向)と平行になる方向である。ここで、「リム部13の周方向」とは、リム部13の軸線Pと直交するリム部13の断面に対して向かい合った場合に見えるリム部13の外周に沿う方向のことを意味する。また、中間ヒータ部30は、その長手方向の幅T2が、木目込み溝29の加飾部19側深さt1(図4(b)参照)と木目込み溝29の皮革部21側深さt2(図4(b)参照)とリム部芯体22の軸線方向に沿った木目込み溝29の幅t3(図4(b)参照)の総和よりも長く形成されている。
【0019】
また、ヒータ線32は、連続して延びるとともに、途中で自身と重なることなく延びており、その両端末が端子部33に接続されている。ヒータ線32は、第1ヒータ部25及び第2ヒータ部26では波状に延びるとともに、中間ヒータ部30では一定の間隔T3を空けて平行に延びている。そして、ヒータ線32は、端子部33に接続された電線34を介してコネクタ36と電気的に接続されている。コネクタ36は、ECU16(図1参照)の図示しない電源端子に差し込まれるように構成されている。なお、端子部33には、ヒータ線32の温度を検知し、その結果をECU16に入力する温度検出素子35が設けられている。
【0020】
また、図4(a)及び(b)に示すように、第1ヒータ部25、第2ヒータ部26、及び中間ヒータ部30は、ヒータ線32がリム部芯体22の外周部22aに接し、熱伝導シート31が皮革20及び加飾部材18に接している状態で、リム部芯体22に巻き付けられている。そして、中間ヒータ部30は、木目込み溝29に配置されているが、中間ヒータ部30の短手方向の幅T1は狭いため、木目込み溝29にはリム部13の周方向において中間ヒータ部30が配置されていない領域が広く確保されている。
【0021】
次に、リム部芯体22に対して加飾部材18及び皮革20を取り付ける作業について説明する。
まず、第1ヒータ部25、中間ヒータ部30、第2ヒータ部26を準備して、皮革部21に対応するリム部芯体22に対して第1ヒータ部25を巻き付けるとともに、加飾部19に対応するリム部芯体22に対して第2ヒータ部26を巻き付けて、さらに、木目込み溝29に中間ヒータ部30を差し込む。そして、図示しない保持手段(例えば、接着剤)によって、第1ヒータ部25及び第2ヒータ部26をリム部芯体22に巻き付けた状態を保持する。次に、位置決め突部27に形成された凹部28が中間ヒータ部30に対応するようにして、一対の加飾部材18それぞれの位置決め突部27を木目込み溝29に差し込む。このとき、図4(a)に示すように、中間ヒータ部30が存在しない箇所では、位置決め突部27は木目込み溝29の底部29aに達するまで差し込まれる。そして、位置決め突部27を木目込み溝29に差し込んだ後、一対の加飾部材18を相互に接合することで、加飾部材18をリム部芯体22に取り付ける。さらに、皮革部21に対応するリム部芯体22に対して第1ヒータ部25を覆うように皮革20を巻き付けた後、充填材24を巻き込みつつ皮革20の端縁部20aを木目込み溝29に入れ込む。このとき、木目込み溝29に対して中間ヒータ部30が配置されている領域の割合は小さいため、木目込み溝29には皮革20の端縁部20aを木目込める程の深さが確保され、中間ヒータ部30にシワが寄ることもない。したがって、皮革20の端縁部20aは木目込み溝29に木目込まれて、加飾部材18及び皮革20の取り付け作業は完了する。
【0022】
次に前記のように構成されたステアリングホイール11の作用について説明する。
車両が冬季の厳寒下で駐車されると、車内の温度が低くなり、これに伴い、リム部13を含むステアリングホイール11の温度も低くなる。この状態で、運転者が運転席に座って運転を開始する場合、運転者によってエンジン始動のためのスイッチ操作が行われる。すると、ECU16によって通電制御が開始され、電線34を介して第1ヒータ部25、中間ヒータ部30、第2ヒータ部26が共有するヒータ線32には電流が流される。ヒータ線32に電流が流されると、ヒータ線32はジュール熱を発生する。すると、皮革20には第1ヒータ部25から熱が放熱され、加飾部材18には第2ヒータ部26から熱が放熱される。したがって、皮革20及び加飾部材18は暖められて昇温するため、運転者は、不快に感じずにリム部13を把持してステアリングホイール11を操作することができる。
【0023】
また、第1ヒータ部25、中間ヒータ部30及び第2ヒータ部26はヒータ線32を共有しているため、ECU16はヒータ線32に電流を供給すれば、第1ヒータ部25、第2ヒータ部26の両方から熱が放熱され、皮革20及び加飾部材18の両方を暖めることができる。そのため、ECU16から第1ヒータ部25に向けて引き回される電線34をヒータ線32に接続するだけで、第1ヒータ部25及び第2ヒータ部26の両方に通電を行うことができ、ECU16から第1ヒータ部25及び第2ヒータ部26のそれぞれに対して電線を引き回さなくともよい。したがって、ECU16から引き回す電線の数が減った分だけステアリングホイール11を製作する際に行う作業が少なくなり、ステアリングホイール11の生産性を向上させることができる。
【0024】
この実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)中間ヒータ部30の短手方向の幅T1は、第1ヒータ部25の短手方向の幅S1、及び第2ヒータ部26の短手方向の幅S2よりも狭く設定されている。したがって、木目込み溝29に皮革20の端縁部20aを木目込もうとしたときに、中間ヒータ部30にシワが寄って、木目込み溝29に皮革20の端縁部20aを木目込めなくなることを抑制できる。
【0025】
(2)第1ヒータ部25、第2ヒータ部26、中間ヒータ部30は、共通のヒータ線32を有している。したがって、第1ヒータ部25及び第2ヒータ部26のそれぞれに対して別々の電線を引き回さなくともよく、第1ヒータ部25に向けて電線34を引き回せば第1ヒータ部25及び第2ヒータ部26に対して通電を行うことができるため、ステアリングホイール11の生産性を向上させることができる。
【0026】
(3)加飾部材18の端縁部18dには、位置決め突部27が形成されている。位置決め突部27には、中間ヒータ部30との干渉を避けるための凹部28が形成されている。したがって、リム部芯体22に対して加飾部材18を取り付けるときに、加飾部材18の位置決め突部27が中間ヒータ部30に干渉して加飾部材18の位置がリム部芯体22に対してずれてしまうことを回避できる。したがって、加飾部材18をリム部芯体22に対して正確に位置決めすることができる。
【0027】
(4)第1ヒータ部25、第2ヒータ部26、及び中間ヒータ部30がリム部芯体22に装着された状態において、ヒータ線32はリム部芯体22の外周部22aに接し、熱伝導シート31は皮革20及び加飾部材18に接している。したがって、運転者がリム部13を把持したときに、運転者にリム部13の内部にヒータ線32が設けられていることを感じさせないようにすることができる。
【0028】
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・ 中間ヒータ部30の短手方向の幅T1を変更してもよい。中間ヒータ部30の短手方向の幅T1は、第1ヒータ部25の短手方向の幅S1及び第2ヒータ部26の短手方向の幅S2よりも狭く、なおかつヒータ線32を形成することが可能な範囲内であれば、広くしてもよいし、狭くしてもよい。
【0029】
・ 中間ヒータ部30の長手方向の幅T2を変更してもよい。中間ヒータ部30の長手方向の幅T2は、第1ヒータ部25と第2ヒータ部26との間に第1ヒータ部25及び第2ヒータ部26が木目込み溝29に入り込まない程度の間隔を確保できるのであれば、狭くしてもよいし、広くしてもよい。
【0030】
・ 皮革部21と加飾部19との区画部位に形成される溝は、皮革20の端縁部20aが木目込まれる木目込み溝29に限らない。例えば、図6(a)に示すように、皮革部21と加飾部19との区画部位に、深さの浅い溝40を形成し、その溝40に中間ヒータ部30を配置してもよい。そして、第1ヒータ部25及び中間ヒータ部30の外側に設けられた加飾部材42の端縁部42aを、溝40を通過して皮革部21側にまで到達するように延長する。さらに、端縁部42aにおいて溝40に対応する部分を凹状に形成し、溝40に沿うようにする。そして、この場合、溝40には、端縁部42aの凹状部分42bと、皮革20の端縁部20aが裏面側へ折り返されてなる縁返し部43とが入れ込まれる。ここで、縁返し部43の内部には糸44が挿通されるとともに、縁返し部43は、溝40に入れ込まれ、糸44によって溝40に巻き付けられる。この構成によれば、皮革20の端縁部20aを木目込む構成となっていない浅い溝40に中間ヒータ部30を配置し、その外側に縁返し部43を巻き付ける場合であっても、中間ヒータ部30にシワが寄ることなく、支障なく縁返し部43を溝40に入れ込むことができる。なお、図6(a)及び(b)に示すように、リム部芯体22には、溝40と隣り合う加飾部19側の外周部22aに環状の支持リブ45が設けられている。支持リブ45は、加飾部材42の基部41の内側を支持するように構成されている。そして、リム部芯体22のうち支持リブ45よりも加飾部19側の部分は縮径されているため、第1ヒータ部25とリム部芯体22との間には、第1ヒータ部25がリム部芯体22に干渉することを回避するための空隙46が存在している。なお、図6(b)では、支持リブ45が加飾部材42の内側を支持している状態を示すため、図6(a)で示す支持リブ45の一部を破断し、その部分を拡大して図示している。また、図6(a)に示すように、支持リブ45には、中間ヒータ部30と対応する部分に、中間ヒータ部30との干渉を避けるための切り欠き47が形成されている。そのため、リム部芯体22に対して加飾部材42を取り付けるときに、加飾部材42が中間ヒータ部30の影響を受けて加飾部材42の位置がリム部芯体22に対してずれてしまうことを回避できる。
【0031】
・ 加飾部材18の位置決め突部27に設けられた凹部28を省略してもよい。ただし、凹部28を設けた場合、加飾部材18がリム部芯体22に対してずれ難くなるため好ましい。
【0032】
・ 加飾部材18に加飾される装飾は、木目模様でなくともよい。例えば、表面にマークやロゴタイプが加飾されたものを加飾部材18として用いてもよい。また、リム部芯体22に加飾部材18を取り付ける代わりに、皮革とは異なる素材からなる意匠部材をリム部芯体22に取り付けてもよい。この場合、意匠部材を、例えば、アルミニウム素材から構成しもよいし、表面が銀色等に着色された樹脂素材から構成してもよい。
【0033】
・ 第1ヒータ部25、第2ヒータ部26、中間ヒータ部30が共有するヒータ線32の配設パターンについてはとくに限定しない。例えば、ヒータ線32を編み状に形成し、熱伝導シート31全体に配設してもよい。
【0034】
・ 熱伝導シートを省略してもよい。この場合、第1ヒータ部25、第2ヒータ部26、及び中間ヒータ部30は、共通するヒータ線32のみで構成されることになる。
・ 充填材24を構成する材料を変更してもよい。例えば、充填材24を硬質材料であるポリプロピレンによって形成してもよい。
【0035】
・ リム部芯体22の構成を変更してもよい。例えば、充填材24を省略し、リム部芯金23のみでリム部芯体22を構成してもよい。
・ ステアリングホイール11の径方向におけるリム部13の断面形状は、真円形状でもよいし、楕円形状でもよい。また、多角形状でもよい。
【0036】
・ 芯材としてのリム部芯金23を構成する材料についてはとくに限定しない。例えば、鉄、アルミニウム、マグネシウムのいずれかによって構成してもよいし、又は、それらの合金によって形成してもよい。また、芯材を構成する材料は、金属からなるリム部芯金23でなくともよく、例えば、樹脂でもよい。
【0037】
・ 本発明は、車両以外の移動体の操舵装置に用いられるステアリングホイールに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施形態におけるステアリングホイールの概略正面図。
【図2】(a)は図1のA−A線に沿ったリム部の概略部分断面図、(b)は図1のB−B線に沿ったリム部の概略部分断面図。
【図3】加飾部材を示す概略部分斜視図。
【図4】(a)は図1のC−C線に沿ったリム部の概略部分断面図、(b)はリム部芯体の軸心を通るとともに図4(a)の断面に対して所定角度傾けたリム部の概略部分断面図。
【図5】第1ヒータ部、中間ヒータ部、第2ヒータ部を平面状に展開した展開図。
【図6】(a)は別の実施形態におけるリム部の概略部分断面図、(b)は図6(a)の概略部分破断断面図。
【符号の説明】
【0039】
T1…中間ヒータ部の短手方向の幅、S1…第1ヒータ部の短手方向の幅、S2…第2ヒータ部の短手方向の幅、11…ステアリングホイール、13…リム部、18,42…意匠部材としての加飾部材、18d…端部としての端縁部、19…表面意匠部としての加飾部、20…皮革、20a…端縁部、21…皮革部、22…芯体としてのリム部芯体、25…第1ヒータ部、26…第2ヒータ部、27…位置決め突部、28…凹部、29…溝としての木目込み溝、30…中間ヒータ部、32…ヒータ線、40…溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リム部は、表面部が皮革によって構成された皮革部、及び表面部が前記皮革とは異なる素材からなる意匠部材によって構成された表面意匠部を有し、前記リム部の芯体には前記皮革部と前記表面意匠部との区画部位に溝が形成され、前記溝に前記皮革の端縁を入れ込む構成のステアリングホイールにおいて、
通電されると発熱するとともに、前記皮革に対して放熱可能な状態で前記皮革部内に設けられた第1ヒータ部と、
通電されると発熱するとともに、前記意匠部材に対して放熱可能な状態で前記表面意匠部内に設けられた第2ヒータ部と、
前記第1ヒータ部と前記第2ヒータ部との間で前記溝に入れ込まれた状態に配置され、前記第1ヒータ部及び前記第2ヒータ部を接続する中間ヒータ部と、を備え、
前記第1ヒータ部、前記第2ヒータ部、前記中間ヒータ部は、共通のヒータ線を有しており、
前記リム部の周方向における前記中間ヒータ部の幅は、前記リム部の周方向における前記第1ヒータ部の幅及び前記リム部の周方向における前記第2ヒータ部の幅よりも狭いことを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
前記意匠部材の端部には、前記溝に挿入されて前記意匠部材を前記リム部の前記芯体に対して位置決めする位置決め突部が形成されており、
前記位置決め突部には、前記中間ヒータ部との干渉を避けるための凹部が形成されている請求項1に記載のステアリングホイール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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