説明

ステアリングホイール

【課題】第1表面意匠部及び第2表面意匠部の温度を調節し、人が第1表面意匠部及び第2表面意匠部に触れたときに違和感を感じることを抑制すること。
【解決手段】ステアリングホイールには、そのリム部の表面部に、皮革及び加飾部材が設けられている。そして、皮革の温度を調節する第1ヒータ部24及び加飾部材の温度を調節する第2ヒータ部32は、ECU16によって個々に制御されるように構成されている。ECU16は、皮革の温度を検出するための第1温度検出素子29、及び加飾部材の温度を検出するための第2温度検出素子37と電気的に接続されている。ECU16は、通電制御時に、第1温度検出素子29の検出結果に基づいて第1ヒータ部24をON又はOFFに制御し、第2温度検出素子37の検出結果に基づいて第2ヒータ部32をON又はOFFに制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度調節機能を有するステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に搭載されたステアリングホイールの場合、車両が夏期の炎天下で駐車されると、車内は高温となり、これに伴いステアリングホイールの温度も高くなる。また、車両が寒冷地で使用されると、ステアリングホイールの温度は低下する。このような状態で、運転者が車両に乗って運転を開始する際、熱い又は冷たいリム部を握ることになり、操舵がしづらい。そこで、リム部の温度を調節する温度調節部が設けられたステアリングホイールが従来から種々提案されており、例えば、特許文献1には、ステアリングホイールのリング部の周囲を温度調節部としてのヒータ部で覆うステアリングホイール用分離型ヒータが記載されている。そして、特許文献1では、ステアリングホイールのリング部のうち、合成樹脂からなる円弧状部材にステアリングホイール用分離型ヒータを使用し、合成樹脂からなる円弧状部材の箇所のみ暖めることが記載されている。
【特許文献1】特開2008−10354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1に記載のステアリングホイール用分離型ヒータは、暖める箇所が合成樹脂からなる円弧状部材の箇所のみであり、木材からなる円弧状部材の温度は調節されない。そのため、木材からなる円弧状部材は、熱くなることや冷たくなることがあり、このような状態で、運転者が木材からなる円弧状部材に触れたときには操舵がしづらい。また、仮に、合成樹脂からなる円弧状部材のみならず、リング部全体にステアリングホイール用分離型ヒータを使用したとしても、合成樹脂からなる円弧状部材と木材からなる円弧状部材とで熱伝導率と熱容量とが異なるため、合成樹脂からなる円弧状部材と木材からなる円弧状部材とで暖まり方や冷え方が異なる。したがって、運転者が合成樹脂からなる円弧状部材と木材からなる円弧状部材の両方に触れた場合には、合成樹脂からなる円弧状部材と木材からなる円弧状部材との間の温度差を感じて、違和感を感じるという問題があった。
【0004】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、第1表面意匠部及び第2表面意匠部の温度を調節し、人が第1表面意匠部及び第2表面意匠部に触れたときに違和感を感じることを抑制できるステアリングホイールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的と達成するために、請求項1に記載の発明は、リム部の表面部に、第1表面意匠部、及び前記第1表面意匠部とは熱伝導率の異なる第2表面意匠部が設けられたステアリングホイールにおいて、前記第1表面意匠部の内側に設けられ、通電により前記第1表面意匠部に対して吸熱又は放熱を行う第1温度調節体と、前記第2表面意匠部の内側に設けられ、通電により前記第2表面意匠部に対して吸熱又は放熱を行う第2温度調節体と、前記第1温度調節体及び前記第2温度調節体に対する通電を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1温度調節体及び前記第2温度調節体を個々に制御することを要旨とする。
【0006】
この発明では、制御手段は、第1温度検出素子の検出結果に基づいて、第1温度調節体を制御して吸熱又は放熱を行わせることで、第1表面意匠部の温度を調節する。また、制御手段は、第2温度検出素子の検出結果に基づいて、第2温度調節体を制御して吸熱又は放熱を行わせることで、第2表面意匠部の温度を調節する。すなわち、制御手段は、第1温度調節体及び第2温度調節体を個々に制御することで、第1表面意匠部及び第2表面意匠部それぞれの温度を、第1表面意匠部及び第2表面意匠部それぞれの材料の熱特性(熱伝導率や熱容量)に合わせて調節することができる。そのため、第1表面意匠部と第2表面意匠部との表面温度差を抑制して、人が第1表面意匠部及び第2表面意匠部に触れたときに違和感を感じることを抑制できる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1表面意匠部の温度を検出する第1温度検出素子と、前記第2表面意匠部の温度を検出する第2温度検出素子と、を備え、前記制御手段は、前記第1温度検出素子からの検出結果に基づいて前記第1温度調節体に対する通電を制御するとともに、前記第2温度検出素子からの検出結果に基づいて前記第2温度調節体に対する通電を制御することを要旨とする。
【0008】
この発明では、制御手段は、第1温度検出素子及び第2温度検出素子を用い、第1温度調節体及び第2温度調節体をフィードバック制御するため、より正確に第1表面意匠部及び第2表面意匠部の温度を調節することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記制御手段は、前記第1表面意匠部の温度が目標温度に達するまで、前記第1温度調節体に対して通電して前記第1表面意匠部を昇温させる第1通電制御を実行し、前記第1温度検出素子の検出結果に基づいて前記第1表面意匠部の温度が目標温度に達したと判断すると、前記第1通電制御を終了し、前記制御手段は、前記第2表面意匠部の温度が目標温度に達するまで、前記第2温度調節体に対して通電して前記第2表面意匠部を昇温させる第2通電制御を実行し、前記第2温度検出素子の検出結果に基づいて前記第2表面意匠部の温度が目標温度に達したと判断すると、前記第2通電制御を終了することを要旨とする。
【0010】
この発明では、第1表面意匠部及び第2表面意匠部の熱伝導率が異なっても、第1温度調節体と第2温度調節体とを個々に制御して、第1表面意匠部の表面の温度と第2表面意匠部の表面の温度とを同じ目標温度にすることができる。したがって、人が第1表面意匠部及び第2表面意匠部に触れたときに違和感を感じることをより抑制できる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記第2表面意匠部は前記第1表面意匠部よりも熱伝導率や熱容量が高く、前記制御手段の前記第2温度調節体に対する通電量は、前記制御手段の前記第1温度調節体に対する通電量よりも小さいことを要旨とする。
【0012】
この発明では、第1温度調節体に対する通電と第2温度調節体に対する通電とを同時に開始した場合であっても、第2温度調節体に対する通電量を小さくすることで、第2表面意匠部と第1表面意匠部とが同じ所要時間で目標温度にまで暖まるようにすることができる。
【0013】
また、第1温度調節体に対する通電と第2温度調節体に対する通電とを同時に開始した場合に、第1表面意匠部及び第2表面意匠部の暖まり方や冷え方に差がでることを抑制できる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記第1温度調節体は、第1ヒータ線、及び前記第1ヒータ線が取り付けられた第1熱伝導シートからなり、前記第2温度調節体は、第2ヒータ線、及び前記第2ヒータ線が取り付けられる第2熱伝導シートからなり、前記第1熱伝導シート及び前記第2熱伝導シートは、一体化され、前記第1ヒータ線と前記第2ヒータ線とは、前記制御手段から個々に通電されるように構成されていることを要旨とする。
【0015】
この発明では、第1熱伝導シートと第2熱伝導シートとが一体化されていれば、第1表面意匠部の内側に第1ヒータ部を配設する作業と、第2表面意匠部の内側に第2ヒータ部を配設する作業とをまとめて行うことができる。したがって、第1ヒータ部及び第2ヒータ部の取り付け作業を簡単に行うことができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記第1温度調節体が電気的に接続される第1端子と、前記第2温度調節体が電気的に接続される第2端子と、を備え、前記第1端子と前記制御手段とは電線を介して電気的に接続され、前記第2端子と前記制御手段とは電線を介して電気的に接続され、前記第1端子と前記第2端子とは、前記リム部のうち前記第1温度調節体が設けられている側に集約して配設されていることを要旨とする。
【0017】
この発明では、第1端子と第2端子とが別々の箇所にバラバラに設けられている場合に比べて、制御手段から第1端子及び第2端子までを接続する各電線の配設が簡単である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1表面意匠部及び第2表面意匠部の温度を調節し、人が第1表面意匠部及び第2表面意匠部に触れたときに違和感(温度差)を感じることを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
図1に示すように、車両の運転席に装備されるステアリングホイール11は、正面視円形状であるとともに、ステアリングホイール11の中心部には操舵輪に連結された操舵軸12が一体回転可能に連結されている。そして、ステアリングホイール11を構成するリム部(ハンドル部)13は、操舵軸12の軸線Lを中心とした円環状に形成されるとともに、通常、運転者がステアリングホイール11を操作するときに把持する部分として構成されている。また、リム部13の内周面には、リム部13によって囲まれているパッド14が複数(本実施形態では、4本)のスポーク部15を介して連結されている。パッド14の内側には、電子制御ユニット(以下、ECUという。)16が配設されている。そして、リム部13及びスポーク部15には、その内部に、ステアリングホイール11全体の骨格部分をなす芯材としての芯体17が設けられている。そして、芯体17には、その中央部にパッド14が装着されている。
【0020】
リム部13は、その表面部が木目模様で加飾された加飾部18と、その表面部が皮革19からなる皮革部20とによって構成されている。なお、加飾部18及び皮革部20は、それぞれ操舵軸12の軸線Lを中心として対称に配設されている。そして、芯体17のうち、リム部13と対応する部分は、リム部芯体21として構成されている。リム部芯体21は、正面視において操舵軸12の軸線Lを中心とした円環状に形成されている。
【0021】
図2(a)に示すように、リム部芯体21は、自身の軸線Pと直交する断面形状が円形状に形成されている。そして、リム部芯体21は、リム部芯体21の軸線Pと直交する断面形状がチャネル状(下向きに開口したコ字状)となるように形成されたリム部芯金22と、リム部芯金22を被覆するように設けられた充填材23とから構成されている。充填材23は、発泡ポリウレタン等の軟質(弾性)材料からなる。そして、皮革部20では、リム部芯体21の外周部21aが第1温度調節体としての第1ヒータ部24によって覆われている。そして、皮革部20では、リム部芯体21及び第1ヒータ部24が皮革19によって覆われている。
【0022】
第1ヒータ部24は、不織布からなる熱伝導シート25に、単数のヒータ線26が一筆書き状に縫いこまれることで構成されている。熱伝導シート25は皮革19に接着されている。ヒータ線26はリム部芯体21の外周部21aに接している。図2(b)に示すように、熱伝導シート25は、平面状に展開した状態で略細長矩形状に形成されるとともに、その短手方向の幅T1が、リム部芯体21(図2(a)参照)の断面外周長さS1(図2(a)参照)よりも長く形成されている。なお、断面外周長さS1とは、リム部芯体21の軸線Pと直交するリム部芯体21の断面に向かい合った場合に見える、リム部芯体21の外周の長さのことである。ヒータ線26は、途中で自身と重なることなく連続して波状に延びている。そして、ヒータ線26の両端末は、第1ヒータ部用端子部27を介して第1ヒータ部用電線28に電気的に接続されている。第1ヒータ部用端子部27には、温度が上昇するにつれて抵抗が下がる特性を有する第1温度検出素子29が設けられている。
【0023】
第1温度検出素子29は、本実施形態では、サーミスタによって構成されるとともに、検知部がヒータ線26に接し、ヒータ線26の温度に応じて出力が変化するようになっている。なお、第1温度検出素子29が実際に検知する温度は、皮革19(図2(a)参照)の表面の温度とは異なる。これは、ヒータ線26からの熱が皮革19の内側から皮革19の表面に伝わるまでに、皮革19の蓄熱性及び熱伝導性の影響を受けることで、皮革19の内側の温度と皮革19の表面の温度とが変わるためである。第1ヒータ部用電線28には、第1ヒータ部用端子部27側とは反対側の端部に第1コネクタ30が接続されている。なお、図2(b)では、第1コネクタ30に対し一つの第1ヒータ部24のみが接続されている状態を示しているが、実際の第1コネクタ30には、ステアリングホイール11に設けられた複数の第1ヒータ部24が電気的に接続されるように構成されている。そして、第1コネクタ30は、ECU16(図1参照)に設けられた図示しない第1カプラに接続されるようになっている。
【0024】
一方、図3(a)に示すように、加飾部18では、リム部芯体21の外側に、2分割されてなる同形状の一対の加飾部材31が設けられている。加飾部材31は、リム部芯体21の軸線Pに直交する断面が略円弧状に形成された合成樹脂製の基部31aと、基部31aの外側面31bに貼り付けられた木製の加飾板31cとによって構成されている。加飾部材31は、皮革19よりも熱伝導率が高く、かつ皮革19よりも熱容量が小さくなっている。一対の加飾部材31は接着等の手段によって相互に接合されるとともに、相互に接合された状態ではステアリングホイール11の周方向(図1で図示するX方向)に沿うように湾曲した筒形状となる。そして、一対の加飾部材31それぞれの内側面31dには、第2温度調節体としての第2ヒータ部32が取り付けられている。
【0025】
第2ヒータ部32はリム部芯体21と加飾部材31とによって挟まれるとともに、熱伝導シート25(図2(b)参照)と同じ不織布からなる熱伝導シート33に、ヒータ線26(図2(b)参照)と同じ材質からなる単数のヒータ線34が一筆書き状に縫いこまれることで構成されている。熱伝導シート33は加飾部材31の内側面31dに接着されている。ヒータ線26はリム部芯体21の外周部21aに接している。図3(b)に示すように、熱伝導シート33は、平面状に展開した状態で略細長矩形状に形成されるとともに、その短手方向の幅T2が、加飾部材31(図3(a)参照)の断面内周長さS2(図3(a)参照)よりも短く形成されている。なお、断面内周長さS2とは、リム部芯体21の軸線Pと直交するリム部芯体21の断面に向かい合った場合に見える、加飾部材31の内周の長さのことである。ヒータ線34の配設パターンは、ヒータ線26の配設パターンとは異なっている。ヒータ線34は、折れ曲がりながら、熱伝導シート33の第1端部33aから第2端部33bに向かい、熱伝導シート33の第2端部33bにまで到達すると引き返し、途中で自身と重なることなく、折れ曲がりながら、第1端部33aまで戻るように配設されている。そして、ヒータ線34の両端末は、第2ヒータ部用端子部35を介して第2ヒータ部用電線36に電気的に接続されている。第2ヒータ部用端子部35には、温度が上昇するにつれて抵抗が下がる特性を有する第2温度検出素子37が設けられている。
【0026】
第2温度検出素子37は、本実施形態では、サーミスタによって構成されるとともに、検知部がヒータ線34に接し、ヒータ線34の温度に応じて出力が変化するようになっている。なお、第2温度検出素子37が実際に検知する温度は、加飾部材31(図3(a)参照)の表面の温度とは異なる。これは、ヒータ線34からの熱が加飾部材31の内側から加飾部材31の表面に伝わるまでに、加飾部材31の蓄熱性及び熱伝導性の影響を受けて、加飾部材31の内側の温度と加飾部材31の表面の温度とが変わるためである。第2ヒータ部用電線36には、第2ヒータ部用端子部35側とは反対側の端部に第2コネクタ38が接続されている。なお、図3(b)では、第2コネクタ38に対し一つの第2ヒータ部32のみが接続されている状態を示しているが、実際の第2コネクタ38には、ステアリングホイール11に設けられた複数の第2ヒータ部32が電気的に接続されるように構成されている。そして、第2コネクタ38は、ECU16に設けられた図示しない第2カプラに接続されるようになっている。
【0027】
次に、第1ヒータ部24及び第2ヒータ部32を制御する電気的構成を説明する。
図4に示すように、ステアリングホイール11に設けられた種々のアクチュエータを制御するECU16には、制御動作を所定の手順で実行することができるCPU(中央処理装置)40と、ROM(読み出し専用メモリ)41とが設けられている。ROM41には、アクチュエータの各種動作を制御するための制御プログラム等が記憶されている。
【0028】
ECU16には、第1温度検出素子29及び第2温度検出素子37が電気的に接続されている。ECU16は、第1温度検出素子29の抵抗変化に応じた出力電圧を第1電圧値V1として取り入れるように構成されている。ECU16は、第2温度検出素子37の抵抗変化に応じた出力電圧を第2電圧値V2として取り入れるように構成されている。そして、ECU16は、第1電圧値V1に基づいて皮革19の温度を把握するとともに、第2電圧値V2に基づいて加飾部材31の温度を把握するように構成されている。なお、第1温度検出素子29と第2温度検出素子37とは、同じ出力特性である。
【0029】
また、ECU16には、第1ヒータ部24及び第2ヒータ部32が電気的に接続されている。ECU16は、第1ヒータ部24及び第2ヒータ部32に対して別々の指令を出力可能に構成されている。ECU16は、第1ヒータ部24のONとOFFとを切り換え可能に構成されている。ECU16は、第1ヒータ部24をONにした場合、ヒータ線26に対して第1通電量の通電を行ってヒータ線26のジュール熱により皮革19を昇温させる通電制御を実行し、第1ヒータ部24をOFFにした場合、通電制御を終了しヒータ線26に対する通電を行わないように構成されている。ECU16は、第2ヒータ部32のONとOFFとを切り換えることができるように構成されている。ECU16は、第2ヒータ部32をONにした場合、ヒータ線34に対して第2通電量の通電を行ってヒータ線34のジュール熱により加飾部材31を昇温させる通電制御を実行し、第2ヒータ部32をOFFにした場合、通電制御を終了しヒータ線34に対する通電を行わないように構成されている。ここで、第1通電量は、第2通電量よりも小さい値に設定されている。ECU16は、第1ヒータ部24及び第2ヒータ部32それぞれに対する通電を制御する制御手段として構成されている。
【0030】
また、ROM41には、第1ヒータ部24をONにするか、OFFにするか決定するための第1目標電圧v1が記憶されている。さらに、ROM41には、第2ヒータ部32をONにするか、OFFにするか決定するための第2目標電圧v2が記憶されている。第1目標電圧v1は、皮革19の蓄熱性及び熱伝導性を考慮して、第1電圧値V1が第1目標電圧v1に達したときに、皮革19の温度が目標温度に達したとみなすことができる値に設定されている。すなわち、本実施形態では、皮革19の表面が目標温度になったときの皮革19の内側における温度を推定し、その推定した温度に対応する第1温度検出素子29の出力値が第1目標電圧v1として設定されている。第2目標電圧v2は、加飾部材31の蓄熱性及び熱伝導性を考慮して、第2電圧値V2が第2目標電圧v2に達したときに、加飾部材31の温度が目標温度に達したとみなすことができる値に設定されている。すなわち、本実施形態では、加飾部材31の表面が目標温度になったときの加飾部材31の内側における温度を推定し、その推定した温度に対応する第2温度検出素子37の出力値が第2目標電圧v2として設定されている。なお、皮革19における目標温度は、加飾部材31における目標温度と同じである。目標温度とは、人が加飾部材31や皮革19に触れても不快に感じない温度であり、具体的には、通常、人がとりうる体温の範囲内(例えば、36〜37℃)の温度に設定される。
【0031】
次に、ECU16が第1ヒータ部24及び第2ヒータ部32に対して通電制御を行う場合の制御処理について説明する。
エンジン始動のためのスイッチ操作が行われて図示しない車載ECUからECU16に起動指令が入力されると、ECU16は、図5のフローチャートに従って第1ヒータ部24及び第2ヒータ部32に対する制御を開始する。ECU16は、ステップ(以下、Sとする。)1において、第1温度検出素子29及び第2温度検出素子37からそれぞれ第1電圧値V1及び第2電圧値V2を取り出し、第1電圧値V1及び第2電圧値V2を一時的にROM41に記憶する。次に、S2において、ECU16は、第1電圧値V1が第1目標電圧v1よりも高いと判断すると、S3に移行し、第1ヒータ部24をOFFにした後、S5に移行する。また、S2において、ECU16は、第1電圧値V1が第1目標電圧v1以下であると判断すると、S4に移行し、第1ヒータ部24をONにした後、S5に移行する。
【0032】
S5において、ECU16は、第2電圧値V2が第2目標電圧v2よりも高いと判断すると、S6に移行し、第2ヒータ部32をOFFにした後、S1に戻る。また、S5において、ECU16は、第2電圧値V2が第2目標電圧v2以下であると判断すると、S7に移行し、第2ヒータ部32をONにした後、S1に戻る。そして、ECU16は、起動指令が入力されている間、図5に示すフローチャートの処理を繰り返し行うため、第1ヒータ部24を一旦OFFにした後、皮革19の表面温度が下がって第1電圧値V1が第1目標電圧v1以下になったと判断すると、再び、第1ヒータ部24をONにする。また、ECU16は、第2ヒータ部32を一旦OFFにした後、加飾部材31の表面温度が下がって第2電圧値V2が第2目標電圧v2以下になったと判断すると、再び、第2ヒータ部32をONにする。
【0033】
なお、エンジン停止のためのスイッチ操作が行われて、図示しない車載ECUからECU16に停止指令が入力されると、ECU16は第1ヒータ部24及び第2ヒータ部32をそれぞれOFFにして、第1ヒータ部24及び第2ヒータ部32に対する制御を停止する。
【0034】
次に、本実施形態におけるステアリングホイールの作用を説明する。
車両が冬季の厳寒下で駐車されると、車内の温度が低くなり、これに伴い、リム部13を含むステアリングホイール11の温度も低くなる。この状態で、運転者が運転席に座って運転を開始する場合、運転者によってエンジン始動のためのスイッチ操作が行われる。すると、ECU16によって第1ヒータ部24及び第2ヒータ部32に対する通電制御が同時に開始される。すると、第1ヒータ部24のヒータ線26からは、第1通電量に応じたジュール熱が発生し、その熱が熱伝導シート25を介して皮革19に放熱されて皮革19は暖められる。また、第2ヒータ部32のヒータ線34からは、第2通電量に応じたジュール熱が発生し、その熱が熱伝導シート33を介して加飾部材31に放熱されて加飾部材31は暖められる。そして、所定時間経過後、皮革19の表面及び加飾部材31の表面は、ほぼ同時に同じ目標温度にまで達する。したがって、その後、運転者がステアリングホイール11を操作するために皮革部20と加飾部18とを跨ぐように把持しても、運転者が違和感を感じることはない。
【0035】
この実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)リム部13の皮革部20には、第1ヒータ部24が設けられている。リム部13の加飾部18には、第2ヒータ部32が設けられている。ECU16は、第1ヒータ部24及び第2ヒータ部32と電気的に接続され、第1ヒータ部24及び第2ヒータ部32それぞれに対する通電を制御可能に構成されている。したがって、ECU16は第1ヒータ部24及び第2ヒータ部32を個々に制御することで、皮革19及び加飾部材31それぞれの温度を調節して、皮革19の表面と加飾部材31の表面との間の温度差を抑制することができ、運転者が皮革部20及び加飾部18に跨って触れたときに違和感を感じることを抑制できる。
【0036】
(2)皮革19の温度は、第1温度検出素子29によって検出され、第1温度検出素子29による検出結果はECU16に入力されるようになっている。また、加飾部材31の温度は、第2温度検出素子37によって検出され、第2温度検出素子37による検出結果はECU16に入力されるようになっている。したがって、第1温度検出素子29及び第2温度検出素子37を用いて、第1ヒータ部24及び第2ヒータ部32をフィードバック制御することができるため、より正確に皮革19及び加飾部材31の温度を調節することができる。
【0037】
(3)第1ヒータ部24をONにするかOFFにするか決定するための第1目標電圧v1は、皮革19の温度が目標とする温度に達したとみなすことができる値に設定されている。第2ヒータ部32をONにするかOFFにするか決定するための第2目標電圧v2は、加飾部材31の温度が目標とする温度に達したとみなすことができる値に設定されている。したがって、皮革19の温度と加飾部材31の温度とを同じ目標温度にまで昇温させることができ、運転者が皮革部20及び加飾部18に跨って触れたときに違和感を感じることを抑制できる。
【0038】
(4)加飾部材31は、皮革19よりも熱伝導率が高くなっている。そして、皮革19に比べて加飾部材31の方が熱伝導率が高い分だけ、ECU16からのヒータ線34に対する第2通電量は、ECU16からのヒータ線26に対する第1通電量よりも小さく設定されている。そのため、加飾部材31の熱伝導率が皮革19の熱伝導率より高くても、ヒータ線34で発するジュール熱は小さくなることで、加飾部材31及び皮革19を目標温度にまで昇温させるのに要する所要時間を同じにすることができる。
【0039】
(5)ヒータ線26は熱伝導シート25を介して皮革19に取り付けられている。ヒータ線34は熱伝導シート33を介して加飾部材31に取り付けられている。したがって、運転者がリム部13を把持したときに、運転者にリム部13の内部にヒータ線26,34が設けられていることを感じさせないようにすることができる。
【0040】
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・ S3において、ECU16は、第1ヒータ部24をOFFしなくともよい。例えばする、ECU16は、S3において、皮革19を昇温させるための通電制御を終了し、第1ヒータ部24を制御して皮革19を保温するようにもよい。すなわち、ECU16は、S3に移行すると、ヒータ線26に対して第1通電量よりも小さい通電量で通電する状態に移行し、ヒータ線26から発生するジュール熱によって皮革19が外部に放熱する分の熱を補い、皮革19の温度を目標温度で保温するようにしてもよい。また、ECU16は、S3において、皮革19の温度を保温するための第1ヒータ部24に対する通電制御を所定時間行い、その後、この通電制御を終了するようにしてもよい。
【0041】
・ S5において、ECU16は、第2ヒータ部32をOFFしなくともよい。例えば、ECU16は、S5において、加飾部材31を昇温させるための通電制御を終了し、第2ヒータ部32を制御して加飾部材31を保温するようにしてもよい。すなわち、ECU16は、S5に移行すると、ヒータ線34に対して第2通電量よりも小さい通電量で通電する状態に移行し、ヒータ線34から発生するジュール熱によって加飾部材31が外部に放熱した分の熱を補い、加飾部材31の温度を目標温度で保温するようにしてもよい。また、ECU16は、S5において、加飾部材31の温度を保温するための第2ヒータ部32に対する通電制御を所定時間行い、その後、この通電制御を終了するようにしてもよい。
【0042】
・ ECU16は、S1の処理を実行した後、同時にS2及びS5へ移行し、S2及びS5の処理を並行して行うようにしてもよい。この場合、ECU16は、S2に移行した後、S3又はS4に移行し、その後、S1に戻る処理と、S5に移行した後、S6又はS7に移行し、その後、S1に戻る処理と、を実行する。
【0043】
・ 皮革19における目標温度と、加飾部材31における目標温度とは、同じ値に設定しなくともよい。人が皮革19及び加飾部材31に触れたときに違和感を感じない温度差の範囲内であるならば、例えば、皮革19と加飾部材31とで異なる目標温度を設定し、皮革19と加飾部材31とが異なる温度となるように調節してもよい。
【0044】
・ 第1ヒータ部24を構成するヒータ線26の配設パターンについてはとくに限定しない。例えば、第1ヒータ部24のヒータ線26を編み状に形成してもよい。
・ 第1ヒータ部24を皮革19の内側に接着する代わりに、第1ヒータ部24をリム部芯体21の外周部21aに接着して、密着させてもよい。
【0045】
・ 第1ヒータ部24のヒータ線26と熱伝導シート25との配置を逆にしてもよい。すなわち、ヒータ線26よりも内側に熱伝導シート25が位置するように、第1ヒータ部24を構成してもよい。
【0046】
・ 第2ヒータ部32を構成するヒータ線34の配設パターンについてはとくに限定しない。例えば、第2ヒータ部32のヒータ線34の配設パターンを編み状に形成してもよい。
【0047】
・ 第2ヒータ部32を加飾部材31の内側に接着する代わりに、第2ヒータ部32をリム部芯体21の外周部21aに接着して、密着させてもよい。
・ 第2ヒータ部32のヒータ線34と熱伝導シート33との配置を逆にしてもよい。すなわち、ヒータ線34よりも内側に熱伝導シート33が位置するように、第2ヒータ部32を構成してもよい。
【0048】
・ 第1ヒータ部24を構成する熱伝導シート25と第2ヒータ部32を構成する熱伝導シート33とを一体化してもよい。この場合、熱伝導シート25と熱伝導シート33とを連続するように一体化して、例えば、図6に示すように、共通の一枚状の熱伝導シート50を形成し、この熱伝導シート50に第1ヒータ線51及び第2ヒータ線52を縫い込むことで形成してもよい。この場合、熱伝導シート50の一方の側(図6の右側)に第1ヒータ線51が存在するとともに熱伝導シート50の他方の側(図6の左側)に第2ヒータ線52が存在し、第1ヒータ線51と第2ヒータ線52とは個々に通電可能に構成されている。そして、熱伝導シート50と第1ヒータ線51とは第1ヒータ部53を構成するとともに、熱伝導シート50と第2ヒータ線52とは第2ヒータ部54を構成する。この構成によれば、皮革19の内側に第1ヒータ部53を配設する作業と、加飾部材31の内側に第2ヒータ部32を配設する作業とをまとめて行うことができるため、第1ヒータ部53及び第2ヒータ部54の取り付け作業を簡単に行うことができる。また、第1ヒータ線51の両端末が接続される第1端子としての第1ヒータ部用端子部55及び第2ヒータ線52の両端末が接続される第2端子としての第2ヒータ部用端子部56は、熱伝導シート50の一側縁部50aの第1ヒータ部53側に集約して配設されている。すなわち、第1ヒータ部用端子部55及び第2ヒータ部用端子部56は、隣接するように配置されるとともに、第1ヒータ部53及び第2ヒータ部54がステアリングホイール11(図1参照)に装着された状態では両方とも皮革部20(図1参照)周りに位置するように構成されている。そして、第1ヒータ部用端子部55及び第2ヒータ部用端子部56とECU16(図1参照)とは、それぞれ第1電線57及び第2電線58を介して電気的に接続されている。この構成によれば、第1ヒータ部用端子部55及び第2ヒータ部用端子部56は、加飾部18周りに設けられる場合に比べてECU16の近くに位置する。そして、第1ヒータ部用端子部55及び第2ヒータ部用端子部56は、集約して配設されているため、別々の箇所にバラバラに設けられる場合に比べてECU16から第1ヒータ部用端子部55及び第2ヒータ部用端子部56に対する第1電線57及び第2電線58の配設が簡単になる。
【0049】
・ 第1温度調節体を第1ヒータ部24以外の部材で構成してもよく、第1温度調節体をペルチェ素子によって構成してもよい。この場合、例えば、ステアリングホイール11に特開2007−153026号公報で示すペルチェ素子及びペルチェ素子と熱交換を行うヒートパイプを設ければ、ECU16からペルチェ素子に通電を行うことで、皮革19に対して放熱を行うことができる。また、リム部13の温度が高くなった場合には、ECU16がペルチェ素子に対して放熱時とは逆の電流を流し、ペルチェ素子が皮革19に対して吸熱を行うように制御することで、皮革19を冷却してもよい。
【0050】
・ 第2温度調節体を第2ヒータ部32以外の部材で構成してもよい。第2温度調節体をペルチェ素子によって構成してもよい。この場合も、例えば、ステアリングホイール11に特開2007−153026号公報で示すペルチェ素子及びペルチェ素子と熱交換を行うヒートパイプを設ければ、ECU16からペルチェ素子に通電を行うことで、加飾部材31に対して放熱又は吸熱を行うことができる。
【0051】
・ 第1温度検出素子29を設ける位置を変更してもよい。例えば、リム部13外に第1温度検出素子29を設け、皮革19の表面温度を第1温度検出素子29の検知部によって検出するように構成してもよい。この場合、第1温度検出素子29は皮革19の表面温度を直接検知できるため、ECU16は皮革19の蓄熱性及び熱伝導性を考慮して皮革19の表面温度を把握しなくともよい。したがって、ECU16は、第1温度検出素子29の出力値から求められる第1温度検出素子29の検知温度と目標温度とを比較して、皮革19の表面温度が目標温度に達したか否かを判断することができる。
【0052】
・ 第2温度検出素子37を設ける位置を変更してもよい。例えば、リム部13外に第2温度検出素子37を設け、加飾部材31の表面温度を第2温度検出素子37の検知部によって検出するように構成してもよい。この場合、第2温度検出素子37は加飾部材31の表面温度を直接検知できるため、ECU16は、加飾部材31の蓄熱性及び熱伝導性を考慮して加飾部材31の表面温度を把握しなくともよい。したがって、ECU16は、第2温度検出素子37の出力値から求められる第2温度検出素子37の検知温度と目標温度とを比較して、加飾部材31の表面温度が目標温度に達したか否かを判断することができる。
【0053】
・ 第1温度検出素子29と第2温度検出素子37とで、出力特性の異なるものを用いてもよい。例えば、第1温度検出素子29と第2温度検出素子37とで出力特性が異なる場合には、第1温度検出素子29の出力特性を考慮して目標温度に応じた第1目標電圧v1の値を設定し、第2温度検出素子37の出力特性を考慮して目標温度に応じた第2目標電圧v2の値を設定すればよい。
【0054】
・ 第1温度検出素子29及び第2温度検出素子37を省略し、ROM41に予め定めた通電制御のパターンを記憶させ、そのパターンに基づいて第1ヒータ部24及び第2ヒータ部32を制御するようにしてもよい。すなわち、ROM41には、ヒータ線26に対する第1通電量、第1通電量に応じた第1通電時間、ヒータ線34に対する第2通電量、第2通電量に応じた第2通電時間を記憶させる。そして、エンジンが始動されると、ECU16は前記したパターンに基づいてヒータ線26及びヒータ線34に対する通電制御を開始するとともに、ECU16は通電を開始してからの経過時間を計測する。そして、ECU16は、通電制御を開始してからの経過時間が、第1通電時間及び第2通電時間に達したと判断すると、皮革19の表面及び加飾部材31の表面はそれぞれ目標温度に達したとみなし、第1ヒータ部24及び第2ヒータ部32に対する通電制御を終了する。
【0055】
・ リム部13の表面部を、同じ部材で構成してもよい。例えば、リム部13の表面部を、皮革19のみで構成してもよい。この場合、例えば、リム部13の表面部が、熱伝導率の異なる第1皮革と第2皮革とで構成される場合には、第1皮革の内側に第1ヒータ部24を設けるとともに、第2皮革の内側に第2ヒータ部32を設ける。このように構成すれば、第1皮革及び第2皮革のそれぞれの温度を、第1ヒータ部24及び第2ヒータ部32によって調節することができる。
【0056】
・ リム部13の表面部を構成する第1表面意匠部及び第2表面意匠部を同じ熱容量の部材から構成してもよい。例えば、第1表面意匠部としての皮革19及び第2表面意匠部としての加飾部材31の熱容量が同じであっても、熱伝導率が異なれば、皮革19と加飾部材31の温度をそれぞれ調節する必要がある。
【0057】
・ リム部13の表面部を構成する第1表面意匠部及び第2表面意匠部を同じ熱伝導率の素材から構成してもよい。表面意匠部を同じ熱伝導率の素材から構成しても、例えば、同じ素材からなる第1皮革及び第2皮革を第1表面意匠部及び第2表面意匠部とした場合であっても、第1皮革と第2皮革とで厚みが異なれば、第1皮革と第2皮革とで熱容量が異なるため、第1皮革及び第2皮革それぞれの温度を調節した方が好ましい。
【0058】
・ 充填材23を構成する材料を変更してもよい。例えば、充填材23を硬質材料であるポリプロピレンによって形成してもよい。
・ リム部芯体21の構成を変更してもよい。例えば、充填材23を省略し、リム部芯金22のみでリム部芯体21を構成してもよい。
【0059】
・ ステアリングホイール11の径方向におけるリム部13の断面形状は、真円形状でもよいし、楕円形状でもよい。また、多角形状でもよい。
・ 芯材としてのリム部芯金22を構成する材料についてはとくに限定しない。例えば、鉄、アルミニウム、マグネシウムのいずれかによって構成してもよいし、又は、それらの合金によって形成してもよい。また、芯材を構成する材料は、金属からなるリム部芯金22でなくともよく、例えば、樹脂でもよい。
【0060】
・ 本発明は、車両以外の移動体の操舵装置に用いられるステアリングホイールに適用してもよい。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
【0061】
(イ)リム部の表面に、第1表面意匠部、及び前記第1表面意匠部とは熱容量の異なる第2表面意匠部が設けられたステアリングホイールにおいて、前記第1表面意匠部の内側に設けられ、通電により前記第1表面意匠部に対して吸熱又は放熱を行う第1温度調節体と、前記第1表面意匠部の温度を検出する第1温度検出素子と、前記第2表面意匠部の内側に設けられ、通電により前記第2表面意匠部に対して吸熱又は放熱を行う第2温度調節体と、前記第2表面意匠部の温度を検出する第2温度検出素子と、前記第1温度検出素子からの検出結果に基づいて前記第1温度調節体に対する通電を制御するとともに、前記第2温度検出素子からの検出結果に基づいて前記第2温度調節体に対する通電を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1温度調節体及び前記第2温度調節体を個々に制御することを特徴とするステアリングホイール
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施形態におけるステアリングホイールの概略正面図。
【図2】(a)はA−A線に沿ったリム部の概略部分断面図、(b)は第1ヒータ部を示す概略部分平面図。
【図3】(a)はB−B線に沿ったリム部の概略部分断面図、(b)は第2ヒータ部を示す概略部分平面図。
【図4】ステアリングホイールの電気的構成を示すブロック図。
【図5】ECUが第1ヒータ部及び第2ヒータ部に対して行う制御のフローチャート。
【図6】別の実施形態における第1ヒータ部及び第2ヒータ部の概略展開図。
【符号の説明】
【0063】
11…ステアリングホイール、13…リム部、16…制御手段としての電子制御ユニット、19…第1表面意匠部としての皮革、24,53…第1温度調節体としての第1ヒータ部、29…第1温度検出素子、31…第2表面意匠部としての加飾部材、32,54…第2温度調節体としての第2ヒータ部、37…第2温度検出素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リム部の表面部に、第1表面意匠部、及び前記第1表面意匠部とは熱伝導率の異なる第2表面意匠部が設けられたステアリングホイールにおいて、
前記第1表面意匠部の内側に設けられ、通電により前記第1表面意匠部に対して吸熱又は放熱を行う第1温度調節体と、
前記第2表面意匠部の内側に設けられ、通電により前記第2表面意匠部に対して吸熱又は放熱を行う第2温度調節体と、
前記第1温度調節体及び前記第2温度調節体に対する通電を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1温度調節体及び前記第2温度調節体を個々に制御することを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
前記第1表面意匠部の温度を検出する第1温度検出素子と、
前記第2表面意匠部の温度を検出する第2温度検出素子と、を備え、
前記制御手段は、前記第1温度検出素子からの検出結果に基づいて前記第1温度調節体に対する通電を制御するとともに、前記第2温度検出素子からの検出結果に基づいて前記第2温度調節体に対する通電を制御することを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1表面意匠部の温度が目標温度に達するまで、前記第1温度調節体に対して通電して前記第1表面意匠部を昇温させる第1通電制御を実行し、前記第1温度検出素子の検出結果に基づいて前記第1表面意匠部の温度が目標温度に達したと判断すると、前記第1通電制御を終了し、
前記制御手段は、前記第2表面意匠部の温度が目標温度に達するまで、前記第2温度調節体に対して通電して前記第2表面意匠部を昇温させる第2通電制御を実行し、前記第2温度検出素子の検出結果に基づいて前記第2表面意匠部の温度が目標温度に達したと判断すると、前記第2通電制御を終了する請求項2に記載のステアリングホイール。
【請求項4】
前記第2表面意匠部は前記第1表面意匠部よりも熱伝導率及び熱容量が高く、
前記制御手段の前記第2温度調節体に対する通電量は、前記制御手段の前記第1温度調節体に対する通電量よりも小さい請求項3に記載のステアリングホイール。
【請求項5】
前記第1温度調節体は、第1ヒータ線、及び前記第1ヒータ線が取り付けられた第1熱伝導シートからなり、
前記第2温度調節体は、第2ヒータ線、及び前記第2ヒータ線が取り付けられる第2熱伝導シートからなり、
前記第1熱伝導シート及び前記第2熱伝導シートは、一体化され、
前記第1ヒータ線と前記第2ヒータ線とは、前記制御手段から個々に通電されるように構成されている請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のステアリングホイール。
【請求項6】
前記第1温度調節体が電気的に接続される第1端子と、
前記第2温度調節体が電気的に接続される第2端子と、を備え、
前記第1端子と前記制御手段とは電線を介して電気的に接続され、
前記第2端子と前記制御手段とは電線を介して電気的に接続され、
前記第1端子と前記第2端子とは、前記リム部のうち前記第1温度調節体が設けられている側に集約して配設されている請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のステアリングホイール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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