説明

スティフナー貼付け装置

【課題】ビードコアに装着されたスティフナーの表面に凹凸が生じるのを防止可能なスティフナー貼付け装置を提供する。
【解決手段】ビードコア支持手段と、周方向に並べられてスティフナーの一側面を支持する支持面を形成する複数の揺動羽根22と、揺動羽根22を揺動させて支持面24上に横たわったスティフナーSを起立させることにより、該スティフナーSをビードコア支持手段に支持されるビードコアBの外周面に搭載する揺動手段と、を具えるスティフナー貼付け装置であって、揺動羽根22を、水平状態のみならず傾斜状態においても支持面24が周方向に無端状に延在するよう、ビードコア支持手段の位置する側の端部とは反対側の端部に向かうに連れて周方向に沿った長さが長くなるよう形成してなるスティフナー貼付け装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば先端に向かうに連れて先細りとなる形状のスティフナー(エペックスまたはビードフィラともいう。)をビードコアの外周面に搭載し貼り付ける装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビードコアへスティフナーを貼り付ける装置としては、例えば特許文献1に記載されるように、円筒状のドラムと、該ドラムに設けられ、収縮しているときに、先端に向かうに連れて先細りとなるスティフナーが周囲に円筒状に巻き付けられ、膨張することで、該巻きつけられたスティフナーをその基端を中心として略鍔状に起立させ、ビードコアの外周に貼り付けるブラダとを具えたもとが知られている。
【0003】
ところが、このようなブラダ式の装置では、膨張後のブラダの形状が常に一定ではないことに起因して、ブラダによりスティフナーを起立させた際にスティフナーの角度が安定せず、スティフナーを所期する形状でビードコアに装着することができないことがある。この場合、その後のタイヤ成型工程においてスティフナー付きのビードコアをタイヤ成型ドラムにセットし、カーカスプライを該ビードコアの周りに折り返した際に、カーカスプライの本体部とスティフナーとの間に隙間が生じ、タイヤ内へのエア残留による故障が懸念される。このような理由から、スティフナーは、タイヤ成型ドラムにセットする前工程において、タイヤ成型ドラムの形状に合った形状としておくことが好ましいが、ブラダでは、上述のように膨張後の形状が安定せず、これを実現するのは難しい。
【0004】
一方、特許文献2には、図5に示すように、ブラダに代えて、円周状に並べられた複数の平面視長方形の揺動部材100を具え、該揺動部材100をアーム103により放射状に拡開させることによりスティフナーSをビードコアBに装着するとともに該揺動部材100でスティフナーSを垂直板105に押し当ててスティチングするようにした装置が開示されており、この装置によれば、スティフナーSを常に一定の角度でビードコアBに貼り付けることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−164232号公報
【特許文献2】特開2011−46025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載されたような装置にあっては、各揺動部材100の周方向に沿う長さが、揺動の中心となる一端部から他端部まで一定であることから、図5(c)に示すように、揺動部材100を放射状に拡開させた際に各揺動部材100間に放射方向に延びる隙間gが生じ、この隙間gではスティフナーSをステッチングできないことから、スティフナーSの表面に凹凸が生じ、このことによって、その後のタイヤ成型工程においてスティフナー付きのビードコアをタイヤ成型ドラムにセットし、カーカスプライを該ビードコアの周りに折り返した際に、やはりカーカスプライとスティフナーとの間に隙間ができてタイヤ内へのエア残留による故障が懸念されることとなる。
【0007】
それゆえ、本発明は、所期の角度でスティフナーをビードコアに装着することができることを前提として、ビードコアに装着されたスティフナーの表面に凹凸が生じるのを防止することのできるスティフナー貼付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明のスティフナー貼付け装置は、環状のビードコアを半径方向内側から支持するビードコア支持手段と、周方向に並べられてスティフナーの一側面を支持する支持面を形成する複数の揺動羽根であって、前記ビードコア支持手段に支持される前記ビードコアの軸方向に沿って延びる水平状態と、前記揺動羽根の、前記ビードコア支持手段の位置する側の端部を揺動支点として揺動し前記軸方向に対して傾斜して延びる傾斜状態との間で揺動自在に設けられた、複数の揺動羽根と、前記揺動羽根を揺動させて前記支持面上に横たわった前記スティフナーを起立させることにより、該スティフナーを前記ビードコア支持手段に支持されるビードコアの外周面に搭載する揺動手段と、を具えるスティフナー貼付け装置であって、前記揺動羽根を、前記水平状態のみならず前記傾斜状態においても前記支持面が周方向に無端状に延在するよう、前記ビードコア支持手段の位置する側の前記端部とは反対側の端部に向かうに連れて周方向に沿った長さが長くなるよう形成してなる、ことを特徴とするものである。
【0009】
なお、本発明のスティフナー貼付け装置にあっては、前記ビードコアの外周面に搭載されたスティフナーの、前記支持面に支持された前記一側面とは反対側の他側面を押圧する押圧手段を具えることが好ましい。
【0010】
また、本発明のスティフナー貼付け装置にあっては、前記揺動手段は、前記揺動羽根を任意の傾斜角度に設定可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスティフナー貼付け装置によれば、揺動羽根を、水平状態のみならず傾斜状態においても支持面が周方向に無端状に延在するよう、ビードコア支持手段の位置する側の端部とは反対側の端部に向かうに連れて周方向に沿った長さが長くなるよう形成したことから、揺動羽根を放射状に拡開させた際に各揺動羽根間に隙間が生じるのを回避することができ、すなわち、このような隙間によってスティフナーの表面に凹凸が生じるのを防止することができ、タイヤへのエア混入、残留の問題を解消することができる。
【0012】
また、ビードコアの外周面に搭載されたスティフナーの、支持面に支持された一側面とは反対側の他側面を押圧する押圧手段を設けた場合には、従来のように揺動羽根を用いてスティフナーを垂直板に押し付けてスティフナーの形を整える場合に比べて、局所的に押圧(スティチング)できるため、スティフナーの接着力(特に大型タイヤでは積層スティフナーを用いるため、積層スティフナー間の接着力)を高めることができるとともに、ビードコア付近のスティフナー端の、ビードコアへの確実な接着を図ることができる。
【0013】
さらに、揺動羽根を任意の傾斜角度に設定可能に構成した場合には、スティフナーをビードコアに所望の傾斜角度で貼り付けることができて、タイヤ成型ドラム上でのタイヤ構成部材の組立て作業をより精度高くかつ簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態のスティフナー貼付け装置の軸方向に沿う断面図である。
【図2】(a)は図1のスティフナー貼付け装置の概略図であり、(b)は揺動羽根の一つを取り出して示した概略平面図であり、(c)は図2(b)中のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図1のスティフナー貼付け装置の揺動羽根を拡開させた状態を示しており、(a)は軸方向に沿った断面図であり、(b)は軸方向に沿ってみたときの側面図である。
【図4】本発明の他の実施形態のスティフナー貼付け装置を示しており、(a)は、概略斜視図であり、(b)は、揺動羽根を拡開させた状態における軸方向に沿った断面図であり、(c)は揺動羽根を拡開させた状態における側面図である。
【図5】従来のスティフナー貼付け装置を示しており、(a)は、概略斜視図であり、(b)は、揺動羽根を拡開させた状態における軸方向に沿った断面図であり、(b)は揺動羽根を拡開させた状態における側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。本発明は、後述する揺動羽根22の構成に特徴を有するものであるが、まず、それらの揺動羽根22を揺動させる機構を含スティフナー貼付け装置の全体について説明する。
【0016】
図1において、11は固定フレーム12に固定され中心軸が水平な円筒状の外筒であり、この外筒11の内周には軸方向に延びる複数、ここでは16本のガイドレール13が周方向に等距離離れて敷設されている。14は前記固定フレーム12に回転可能に支持されるとともに、図示しない駆動モータにより駆動回転される主軸であり、この主軸14は外筒11の中心軸上に配置されるとともに、その軸方向一端部(先端部)には該主軸14と同軸で、一側に向かうに従い大径となった円錐台状のスライド基台15が固定されている。
【0017】
スライド基台15の外周には該スライド基台15の母線に平行な複数、ここでは前記ガイドレール13と同数のガイドレール18が周方向に等距離離れて敷設されている。19は複数(ガイドレール18と同数)の略半径方向に延びるスライドアームであり、これらのスライドアーム19の半径方向内端には前記ガイドレール18に摺動可能に係合するスライドベアリング20がそれぞれ固定されている。
【0018】
これらスライドアーム19の半径方向外端部にはそれぞれ短リンク21の一端部がピン23を介して回動可能に連結され、これら短リンク21の他端にはそれぞれ、軸方向に直交する断面において弧状を呈している揺動羽根22の基端部が固定されている。揺動羽根22は周方向に複数(ガイドレール18と同数)並べられて、スティフナーSの一側面を支持する支持面24を形成するとともに、後述のビードコア支持手段に支持されるビードコアBの軸方向に沿って延びる水平状態と、揺動羽根22の、ビードコア支持手段の位置する側の端部を揺動支点として揺動し軸方向に対して傾斜して延びる傾斜状態との間で揺動自在に設けられている。
【0019】
上記主軸14の軸方向中央部には略円筒状をしたスライドシリンダ25が軸方向に移動可能に外嵌され、このスライドシリンダ25内には該スライドシリンダ25と上記主軸14とにより囲まれたシリンダ室26が形成されている。27は上記主軸14の軸方向中央部外周に固定されるとともに、上記シリンダ室26内に収納されたリング状のピストンであり、このピストン27は上記シリンダ室26を軸方向一側の一側室26aと軸方向他側の他側室26bとに区画する。
【0020】
上記スライドシリンダ25の外周にはリング状の支持リング29が固定され、この支持リング29の一端部には複数(スライドアーム19と同数)の連結リンク30の他端部が回動可能に連結されている。これら連結リンク30は周方向に等距離離れて配置されるとともに、その一端部は前記スライドアーム19の半径方向内端部に回動可能に連結されている。
【0021】
この結果、上記スライドシリンダ25が軸方向一側に向かって移動すると、スライドアーム19は支持リング29、連結リンク30に押されてガイドレール18にガイドされながら軸方向一側にスライドシリンダ25とほぼ等速(連結リンク30の揺動によりスライドシリンダ25より僅かに遅い速度)で移動するが、このとき、ガイドレール18が傾斜しているので、スライドアーム19は徐々に半径方向外側に向かって移動する。
【0022】
33はスライドシリンダ25より軸方向他側の主軸14に固定された固定部材であり、この固定部材33の半径方向外端部には上記主軸14の中心軸に平行に延びる複数(スライドアーム19と同数)のラック34が固定され、これらのラック34の半径方向外側面にはラック歯が形成されている。これらラック34と前記外筒11との間には該ラック34に平行で対をなすラック35がそれぞれ配置され、これらラック35の半径方向外側面にはガイドレール13に摺動可能に係合するスライドベアリング36が取付けられた中間部材37が固定され、一方、半径方向内側面にはラック歯が形成されている。
【0023】
40は上記支持リング29の外周にブラケット41を介して回転可能に支持された複数(ラック34、35と同数)のピニオンであり、これらのピニオン40は周方向に等距離離れて配置されるとともに、上記ラック34、35に噛み合っている。この結果、スライドシリンダ25が軸方向一側に向かって移動すると、ラック35はガイドレール13にガイドされながらスライドシリンダ25の2倍の速度で該スライドシリンダ25と同一方向に移動する。
【0024】
43は複数(スライドアーム19と同数)の揺動角度調整手段としての傾斜シリンダであり、これら傾斜シリンダ43のヘッド側はラック35の一端にピン42を介して回動可能に連結されている。これら傾斜シリンダ43のピストンロッド44の先端には長リンク45の他端部が固定され、これら長リンク45の一端部にはそれぞれ短リンク46の一端部がピン47を介して回動可能に連結されている。また、これら短リンク46の他端には揺動羽根22の中央部が固定されている。そして、スライドシリンダ25が軸方向他側限まで移動しているとき、揺動羽根22は図1の上半分及び図2(a)に示すように軸方向に延びて全体として無端状の円筒形を呈している。
【0025】
50は固定フレーム12、主軸14の一側に設けられた支持フレームであり、この支持フレーム50には主軸14の軸線と同軸の弧状をしたスライダ51が周方向に等距離離れて複数支持され、これらのスライダ51は図示しない移動手段により半径方向に同期して移動される。移動手段としては、ボールネジ回転型アクチュエータやエアシリンダ等を挙げることができるがこれらに限定されない。これらスライダ51には円環状をしたビードコアBを半径方向内側から支持する弧状の受け52がそれぞれ固定され、これら受け52により支持されたとき、ビードコアBは主軸14と同軸となる。これらの支持フレーム50、移動手段および受け52は、全体として、環状のビードコアBを半径方向内側から支持するビードコア支持手段を構成する。
【0026】
また、前述のように揺動羽根22全体が無端の円筒形を呈しているとき、図示しない押出機から押出された直後の帯状ゴムが、回転している揺動羽根22に供給されて周囲に巻き付けられ、円筒状のスティフナーSが形成される。ここで、スティフナーSはビードコア支持手段の位置する側の端部である基端部が最も厚肉で、先端に向かうに連れて先細りとなる三角形または台形をなすものである。
【0027】
この状態でスライドシリンダ25を軸方向一側に移動させてラック35をスライドシリンダ25の2倍の速度で同一方向に移動させると、長リンク45は該ラック35に押されてラック35とほぼ等速で軸方向一側に移動するが、このとき、前述のようにスライドアーム19はスライドシリンダ25とほぼ等速で軸方向一側に移動するため、上記長リンク45とスライドアーム19との速度差により、長リンク45はピン42を中心として半径方向外側に揺動する。
【0028】
この結果、揺動羽根22はその基端部がビードコアBの外周近傍まで移動するとともに、その先端部が半径方向外側に移動し、これにより、該揺動羽根22はピン23を中心として前述の軸方向に延びた状態から徐々に軸方向に垂直となるまで半径方向外側に同期揺動する。この結果、揺動羽根22に巻き付けられその支持面24に支持されているスティフナーSは起立して円筒状から略鍔状に拡開する。
【0029】
前述したスライド基台15、ガイドレール18、スライドアーム19、スライドベアリング20、短リンク21、連結リンク30、ガイドレール13、固定部材33、ラック34、35、スライドベアリング36、中間部材37、ピニオン40、ブラケット41、長リンク45、短リンク46、スライドシリンダ25、ピストン27、支持リング29は全体として、揺動羽根22の先端を半径方向外側に移動させることで、揺動羽根22により形成される支持面24上に横たわったスティフナーSを起立させて受け52に支持されるビードコアBの外周面に貼り付ける揺動手段を構成するが、揺動手段はこれに限定されない。
【0030】
図1において、符号54は、支持フレーム50に隣接して設けられ、ビードコアBの外周面に搭載されたスティフナーSの、上記支持面24に支持された一側面とは反対側の他側面を押圧する、押圧手段としての押圧ローラである。
【0031】
次に、揺動羽根22の詳細について説明する。図2(a)は、揺動羽根22を揺動させる前の状態(水平状態)のスティフナー貼付け装置の概略図であり、図2(b)は揺動羽根22の一つを示す平面図であり、図2(c)は図2(b)のA−A線に沿う断面図である。そして、図3(a)は、揺動羽根22を揺動させることにより、スティフナーSを起立させた状態(傾斜状態)のスティフナー貼付け装置の一部を示す概略図であり、図3(b)は傾斜状態にある揺動羽根22を軸方向に沿ってみた側面図である。
【0032】
図2に示すように、各揺動羽根22はそれぞれ、揺動の中心側となる基端部から先端部に向かうに連れて周方向に沿った長さが長くなるよう平面視にて扇状に形成されており、すななち、上記水平状態では、揺動羽根22は隣接する揺動羽根22と部分的に重複し、その重複領域は、先端部に向かうに連れて増大している。これにより、図3に示すように、揺動羽根22によって形成される上記支持面24を、水平状態のみならず上記傾斜状態においても周方向に無端状に延在させることができる。なお、水平状態における隣り合う揺動羽根22間での重複する量は、揺動羽根22を軸方向に垂直な位置まで同期揺動させた際にも隣り合う揺動羽根22間に隙間が形成されないよう設定することが好ましい。
【0033】
また、本実施形態では、各揺動羽根22には、上記重複領域に対応する部分が半径方向内側に段下がりになっており、これにより水平状態において隣接する揺動羽根22の一部を該段差内に収めて支持面24を段差のない平坦な円筒状に形成することができ、支持面24上で形成するスティフナーSの精度を向上させることができる。
【0034】
次に、このようになるスティフナー貼付け装置の作動について説明する。
今、シリンダ室26の他側室26bに高圧流体が供給されてスライドシリンダ25が、図1の上半分に示すように、他側限まで移動しているとする。このとき、揺動羽根22は軸方向に延びて全体として円筒状を呈している。一方、支持フレーム50側においては、ビードBが搬入された後、スライダ51が移動手段により受け52と共に半径方向外側に同期移動し、これにより、ビードBは受け52によって半径方向内側から支持される。
【0035】
次に、主軸14を駆動モータにより回転させることで、円筒状の揺動羽根22を一体回転させるとともに、押出機から押出された直後の帯状ゴムを揺動羽根22で構成された無端状の支持面24に供給してその周囲に巻き付ける。これにより、揺動羽根22の周囲には円筒状のスティフナーSが形成される。
【0036】
次に、図1の下半図に示すように、シリンダ室26の一側室26aに高圧流体を供給すると、スライドシリンダ25は軸方向一側に向かって移動する。この結果、スライドアーム19は支持リング29、連結リンク30に押されてガイドレール18にガイドされながら軸方向一側にスライドシリンダ25とほぼ等速で移動するが、このとき、ガイドレール18が傾斜しているので、スライドアーム19は前記軸方向一側への移動とともに、徐々に半径方向外側に向かって移動する。これにより、揺動羽根22はその基端がビードBの外周近傍まで移動する。
【0037】
一方、前記スライドシリンダ25の軸方向一側への移動によりラック34、35に噛み合っているピニオン40が回転しながらスライドシリンダ25と等速で同一方向に移動するが、このピニオン40の回転移動によりラック35、長リンク45はガイドレール13にガイドされながらスライドシリンダ25の2倍の速度で該スライドシリンダ25と同一方向に移動する。このようにスライドアーム19の移動速度より長リンク45の移動速度が大であるため、長リンク45はピン42を中心として半径方向外側に揺動するとともに、揺動羽根22はピン23を中心として軸方向に延びた状態から徐々に軸線に垂直となるまで半径方向外側に同期揺動する。これにより、揺動羽根22に巻き付けられているスティフナーSは、図3(a),(b)に示すように、円筒状から略鍔状に拡開し、ビードコアBの外周面に貼り付けられる。この際、揺動羽根22は先端部に向かうに連れて周方向に沿った長さが長い扇状に形成されていることから、支持面24は、軸方向に垂直な状態においても周方向に無端状に延在し、隣り合う揺動羽根22間には隙間は発生しない。
【0038】
その後、傾斜シリンダ43を作動してピストンロッド44を突出又は引っ込めると、揺動羽根22は当該垂直位置から所定角度だけ一側又は他側に揺動するので、各揺動羽根22を任意の傾斜角度に設定、保持することができる。
【0039】
この状態にて、図3(a)に示すように、支持フレーム50に隣接して設けられた押圧ローラ54により、ビードコアBの外周面に搭載されたスティフナーSの、上記支持面24に支持された一側面とは反対側の他側面を押圧することで、スティフナーSを支持面24に押し付けながら所望の形状に整えることができる。
【0040】
かかる実施形態のスティフナー貼付け装置によれば、揺動羽根22を、水平状態のみならず傾斜状態においても支持面24が周方向に無端状に延在するよう、ビードコア支持手段の位置する側の端部とは反対側の端部に向かうに連れて周方向に沿った長さが長くなるよう形成したことから、揺動羽根22を放射状に拡開させた際に各揺動羽根22間に隙間が生じるのを回避することができ、すなわち、このような隙間によってスティフナーSの表面に凹凸が生じるのを防止することができ、タイヤへのエア混入、残留の問題を解消することができる。
【0041】
また、本実施形態では、ビードコアBの外周面に搭載されたスティフナーSの、支持面24に支持された一側面とは反対側の他側面を押圧する押圧ローラを設けたことから、従来のように揺動羽根22を用いてスティフナーSを垂直板に押し付けてスティフナーSの形を整える場合に比べて、局所的に押圧(スティチング)できるため、スティフナーSの接着力(特に大型タイヤでは積層スティフナーSを用いるため、積層スティフナーS間の接着力)を高めることができるとともに、ビードコア付近のスティフナー基端の、ビードコアBへの確実な接着を図ることができる。
【0042】
さらに、本実施形態では、傾斜シリンダ43により揺動羽根22を任意の傾斜角度に設定可能に構成したことから、スティフナーSをビードコアBに所望の傾斜角度で貼り付けることができて、タイヤ成型ドラム上でのタイヤ構成部材の組立て作業をより精度高くかつ簡単に行うことができる。
【0043】
次いで、本発明の他の実施形態のスティフナー貼付け装置について図4を参照して説明する。なお、前述の実施形態で説明した要素と同様の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0044】
図4に示す実施形態では、揺動羽根22の半径方向外側に、薄肉の円筒状の弾性シート(例えばゴム製シート)を設けて支持面24を包み込んでいる点で先の実施形態のスティフナー貼付け装置とは異なる。この弾性シートは、揺動羽根22の拡開に伴って伸び、ドーナツ状に変形可能である。
【0045】
本実施形態のスティフナー貼付け装置によれば、支持面24を円環状に変形可能な弾性シートで覆ったことから、揺動羽根22が拡開した際に隣り合う揺動羽根22によって形成される段差を弾性シートで消失させることができるので、支持面24に支持されたスティフナーSの外表面をより滑らかに形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
かくして、本発明により、所期の角度でスティフナーをビードコアに装着することができることを前提として、ビードコアに装着されたスティフナーの表面に凹凸が生じるのを防止することのできるスティフナー貼付け装置を提供することが可能となった。
【符号の説明】
【0047】
22 揺動羽根
43 傾斜シリンダ(揺動角度調整手段)
50 支持フレーム
52 受け
54 押圧ローラ
56 弾性シート
B ビードコア
S スティフナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のビードコアを半径方向内側から支持するビードコア支持手段と、
周方向に並べられてスティフナーの一側面を支持する支持面を形成する複数の揺動羽根であって、前記ビードコア支持手段に支持される前記ビードコアの軸方向に沿って延びる水平状態と、前記揺動羽根の、前記ビードコア支持手段の位置する側の端部を揺動支点として揺動し前記軸方向に対して傾斜して延びる傾斜状態との間で揺動自在に設けられた、複数の揺動羽根と、
前記揺動羽根を揺動させて前記支持面上に横たわった前記スティフナーを起立させることにより、該スティフナーを前記ビードコア支持手段に支持されるビードコアの外周面に搭載する揺動手段と、を具えるスティフナー貼付け装置であって、
前記揺動羽根を、前記水平状態のみならず前記傾斜状態においても前記支持面が周方向に無端状に延在するよう、前記ビードコア支持手段の位置する側の前記端部とは反対側の端部に向かうに連れて周方向に沿った長さが長くなるよう形成してなる、ことを特徴とするスティフナー貼付け装置。
【請求項2】
前記ビードコアの外周面に搭載されたスティフナーの、前記支持面に支持された前記一側面とは反対側の他側面を押圧する押圧手段を具える、請求項1に記載のスティフナー貼付け装置。
【請求項3】
前記揺動手段は、前記揺動羽根を任意の傾斜角度に設定可能である、請求項1または2に記載のスティフナー貼付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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