説明

ステップ追従時のオーバーシュート抑制用フィードフォワード項のオートチューニング方法及び装置

【課題】 オーバーシュート防止用のフィードフォワード項をオートチューニングできるようにする。
【解決手段】 上流側にFF制御ブロック5を備えたフィードバック制御系2の制御対象4の応答を入力可能なオートチューニング装置1を備える。FF制御ブロック5を無効にした状態で、ステップ目標値Xに対するステップ応答を求め、値が最大になるオーバーシュートの頂点と、与えられたステップ目標値の大きさから、オーバーシュート率αを求める。又、ステップ目標値が与えられた後にオーバーシュートの頂点に達するまでの時間から、ステップ応答の立ち上がり時間を求める。FF制御ブロック5に、入力されるステップ目標値Xの1−(α/(1+α))倍の値の一段目のステップ信号を出力した後、ステップ応答の立ち上がり時間ごとに、増加幅がα/(1+α)倍ずつ小さくなる多段階のステップ信号Sを出力させる指令を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステップ目標値に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値に収束する特性を備えた系に対し、フィードフォワード制御を用いてステップ目標値からのオーバーシュートを抑制する際に、フィードフォワード項をオートチューニングするために用いるステップ追従時のオーバーシュート抑制用フィードフォワード項のオートチューニング方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、制御系は、フィードバック制御とフィードフォワード制御に大別され、このうち、フィードバック制御として多く用いられているPID(比例、積分、微分)制御については、様々なオートチューニングの手法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、フィードフォワード制御については、二自由度制御系において、制御対象を特定して、該制御対象の詳細なモデルを用いてフィードフォワード項をオートチューニングする手法が従来提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
ところで、フィードバック制御系や、流体圧で作動する部材のような振動する部材を備えた制御対象では、制御目標として或るステップ目標値が入力される(与えられる)と、該或るステップ目標値に対してステップ追従するときに、一旦オーバーシュートを生じ、その後、上記或るステップ目標値に応じた一定値に収束するようなステップ追従特性を示すことが一般に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−161301号公報
【特許文献2】特許第3545006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に示された手法によれば、制御対象の詳細なモデルを用いることなくオートチューニングを行うことが可能であるが、その対象は、フィードバック制御であるPID制御に限られている。
【0007】
一方、特許文献2に示されたものは、フィードフォワード制御に関連するオートチューニング手法であるが、該手法では、制御対象の詳細なモデルが必要とされるため、この制御対象の詳細なモデルを作成するために、設計段階で制御対象の物理特性を特定する必要が生じることから、手間と時間を要するというのが実状である。
【0008】
そこで、本発明者等は、前述したような制御目標となる或るステップ目標値の入力に対するステップ追従時に、一旦オーバーシュートを生じた後、上記或るステップ目標値に応じた一定値に収束するような特性を示すステップ追従特性を備えた系において、オーバーシュートを抑制できるようにするためのフィードフォワード制御を行うに当り、そのためのフィードフォワード項のオートチューニングを、詳細なモデルを必要とすることなく実施できるようにするための工夫、研究を行った結果、多くのプラントや機械系等の制御系で近似的に成立する線形性と、時不変性という2つの基本的な性質に着目して、本発明をなした。
【0009】
したがって、本発明の目的とするところは、制御目標となるステップ目標値の入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値に収束するステップ追従特性を備えた系についてフィードフォワード制御を用いてステップ目標値からのオーバーシュートを抑制する場合に、上記系の応答と、線形性及び時不変性の2つの基本的な性質のみを用いてフィードフォワード項をオートチューニングできるようにするためのステップ追従時のオーバーシュート抑制用フィードフォワード項のオートチューニング方法及び装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、ステップ目標値の入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値に収束するステップ追従特性を備えた系の上流側にフィードフォワード制御ブロックを備えた構成における上記フィードフォワード制御ブロックを無効にした状態で、上記系のステップ目標値に対するステップ応答を求め、次に、上記ステップ応答の値が最大になる点をオーバーシュートの頂点と定めて、該頂点の値と上記ステップ目標値の大きさを基に、オーバーシュート率αを決定すると共に、上記ステップ応答について、上記ステップ目標値が与えられた後にオーバーシュートの頂点に達するまでの経過時間を、ステップ応答のむだ時間と立ち上がり時間とし、且つ該立ち上がり時間と等しい収束時間で上記オーバーシュートの頂点よりステップ目標値に直線的に収束する近似応答で近似し、しかる後、上記フィードフォワード制御ブロックを、該フィードフォワード制御ブロックに制御目標として入力されるステップ目標値の1−(α/(1+α))1/n倍の値の一段目のステップ信号を出力した後、上記ステップ応答の立ち上がり時間の1/n倍の時間が経過するごとに、ステップ間の増加幅を(α/(1+α))1/n倍ずつ小さくするよう設定したn段目のステップ信号(nは正の整数)を出力させるようにオートチューニングするようにするステップ追従時のオーバーシュート抑制用フィードフォワード項のオートチューニング方法とする。
【0011】
又、上記構成において、ステップ目標値の入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値に収束するステップ追従特性を備えた系のステップ目標値に対するステップ応答に、二次微分フィルターを掛け、その値が最大になる点を、応答が立ち上がる点として、上記系に上記ステップ目標値が与えられてから、上記応答が立ち上がる点までの時間をステップ応答のむだ時間とし、上記応答が立ち上がる点から、上記ステップ応答のオーバーシュートの頂点までの時間をステップ応答の立ち上がり時間と定めるようにする。
【0012】
更に、上記各構成において、ステップ目標値の入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値に収束するステップ追従特性を備えた系を、フィードバック制御系又は制御対象自体とするようにする。
【0013】
又、請求項4に対応して、ステップ目標値の入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値に収束するステップ追従特性を備えた系の上流側にフィードフォワード制御ブロックを備えた構成における上記フィードフォワード制御ブロックを無効にした状態で、上記系のステップ目標値に対するステップ応答を求める機能と、上記ステップ応答の値が最大になる点を、オーバーシュートの頂点と定めて、該頂点の値と上記ステップ目標値の大きさを基に、オーバーシュート率αを決定すると共に、上記ステップ応答について、上記ステップ目標値が与えられた後にオーバーシュートの頂点に達するまでの経過時間を、ステップ応答のむだ時間と立ち上がり時間とし、且つ該立ち上がり時間と等しい収束時間で上記オーバーシュートの頂点よりステップ目標値に直線的に収束する近似応答で近似する機能と、上記フィードフォワード制御ブロックに、該フィードフォワード制御ブロックに制御目標として入力されるステップ目標値の1−(α/(1+α))1/n倍の値の一段目のステップ信号を出力させ、その後、上記ステップ応答の立ち上がり時間の1/n倍の時間が経過するごとに、ステップ間の増加幅を(α/(1+α))1/n倍ずつ小さくするよう設定したn段目のステップ信号(nは正の整数)を出力させるよう指令を与えて、該フィードフォワード制御ブロックをオートチューニングする機能を備えてなる構成を有するステップ追従時のオーバーシュート抑制用フィードフォワード項のオートチューニング装置とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)ステップ目標値の入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値に収束するステップ追従特性を備えた系の上流側にフィードフォワード制御ブロックを備えた構成における上記フィードフォワード制御ブロックを無効にした状態で、上記系のステップ目標値に対するステップ応答を求め、次に、上記ステップ応答の値が最大になる点をオーバーシュートの頂点と定めて、該頂点の値と上記ステップ目標値の大きさを基に、オーバーシュート率αを決定すると共に、上記ステップ応答について、上記ステップ目標値が与えられた後にオーバーシュートの頂点に達するまでの経過時間を、ステップ応答のむだ時間と立ち上がり時間とし、且つ該立ち上がり時間と等しい収束時間で上記オーバーシュートの頂点よりステップ目標値に直線的に収束する近似応答で近似し、しかる後、上記フィードフォワード制御ブロックを、該フィードフォワード制御ブロックに制御目標として入力されるステップ目標値の1−(α/(1+α))1/n倍の値の一段目のステップ信号を出力した後、上記ステップ応答の立ち上がり時間の1/n倍の時間が経過するごとに、ステップ間の増加幅を(α/(1+α))1/n倍ずつ小さくするよう設定したn段目のステップ信号(nは正の整数)を出力させるようにオートチューニングするようにするステップ追従時のオーバーシュート抑制用フィードフォワード項のオートチューニング方法及び装置としてあるので、上記ステップ目標値の入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値に収束するステップ追従特性を備えた系の上流側のフィードフォワード制御ブロックについて、その制御内容であるフィードフォワード項を、上記系の詳細なモデルを必要とすることなく、その応答と、線形性及び時不変性の2つの基本的な性質のみを用いてオートチューニングすることができる。
(2)しかも、上記オートチューニングされたフィードフォワード制御ブロックにより、上記系の応答を、オーバーシュートを抑制した状態で、速やかに上記ステップ目標値に追従させるようにフィードフォワード制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のステップ追従時のオーバーシュート抑制用フィードフォワード項のオートチューニング方法及び装置の実施の一形態として、ステップ目標値の入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値に収束するステップ追従特性を備えた系をフィードバック制御系として、該フィードバック制御系についてフィードフォワード制御を用いてステップ目標値からのオーバーシュートを抑制する場合の適用例の概要を示すブロック線図である。
【図2】図1のオートチューニング装置によるFF制御ブロックを無効にした状態でフィードバック制御系よりステップ応答を得る状態を示すブロック線図である。
【図3】図2のステップ応答の時間変化を示す図である。
【図4】図3のステップ応答を近似して設定した近似応答を示す図である。
【図5】ステップ目標値に対するオーバーシュートを解消するためにステップ目標値よりも低く設定した入力値に対する近似応答を示す図である。
【図6】図5の近似応答における収束に伴うステップ目標値に対するオーバーシュートを補うために二段階の入力を行う場合の近似応答を示す図である。
【図7】入力値を多段化した場合の近似応答を示す図である。
【図8】図7と同様の多段化した入力値に対する制御対象の応答を示す図である。
【図9】本発明の実施の他の形態として、FF制御ブロックより出力させる多段階のステップ信号のステップ段数を増やした場合の制御対象の応答を示す図である。
【図10】本発明の実施の更に他の形態として、ステップ目標値の入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値に収束するステップ追従特性を備えてなる制御対象について、フィードフォワード制御を用いてステップ目標値からのオーバーシュートを抑制する場合の適用例の概要を示すブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1乃至図8は本発明のステップ追従時のオーバーシュート抑制用フィードフォワード項のオートチューニング方法及び装置の実施の一形態として、ステップ目標値の入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値に収束するステップ追従特性を備えた系を、フィードバック制御系とし、該フィードバック制御系についてフィードフォワード制御を用いてステップ目標値からのオーバーシュートを抑制する場合の適用例の概要を示すもので、以下のようにしてある。
【0018】
すなわち、本発明のステップ追従時のオーバーシュート抑制用フィードフォワード項のオートチューニング方法及び装置を適用する制御系は、図1に示すように、フィードバック制御ブロック(以下、FB制御ブロックと記す)3と制御対象4とを直列に接続してなるフィードバック制御系2の上流側に、本発明のステップ追従時のオーバーシュート抑制用フィードフォワード項のオートチューニング装置1(以下、単に、本発明のオートチューニング装置1と云う)によるオートチューニングの対象とするフィードフォワード制御ブロック(以下、FF制御ブロックと記す)5を備えた構成としてある。
【0019】
上記構成としてある制御系に適用する本発明のオートチューニング装置1は、上記フィードバック制御系2によりフィードバック制御された上記制御対象4より出力される応答(出力値)Yを入力できるようにした構成とする。更に、上記本発明のオートチューニング装置1は、上記FB制御ブロック3及びFF制御ブロック5を制御する機能を備えると共に、上記フィードバック制御された制御対象4より応答Yが入力されると、該応答Yを基に、後述する処理により求める指令を上記FF制御ブロック5へ与える機能を備えてなるものとする。
【0020】
上記FF制御ブロック5は、上記制御目標となるステップ目標値Xの入力に対し、後述する図8に線Fで示す如き多段階のステップ信号Sを出力する機能を有するようにしてある。
【0021】
上記FB制御ブロック3は、一般的なフィードバック制御に用いられる、PID制御、最適レギュレーター制御、H無限大制御等、線形制御手法であれば、いかなる形式の制御手法のものを採用したものでもよい。
【0022】
以下、本発明のオートチューニング装置1における処理手順に即して、該本発明のオートチューニング装置1の機能について説明する。
【0023】
本発明のオートチューニング装置1は、先ず、上記FF制御ブロック5を無効にした状態、すなわち、図2に示すように、FB制御ブロック3と制御対象4とからなるフィードバック制御系2に、制御目標となるステップ目標値Xが直接入力されるようにした状態で、上記FB制御ブロック3のチューニングを行うようにしてある。
【0024】
この際、上記FB制御ブロック3のチューニング手法としては、試行錯誤で行ってもよく、又、該FB制御ブロック3の制御手法がPID制御の場合は、既存のオートチューニング手法を用いるようにしてもよい。
【0025】
上記のようにしてFB制御ブロック3のチューニングが終了すると、本発明のオートチューニング装置1は、次に、上記FF制御ブロック5を無効にした状態のままで、上記チューニングが終了した後のFB制御ブロック3を備えたフィードバック制御系2に対し、ステップ目標値Xを与えて、該フィードバック制御系2のみによるステップ応答Yaを取る。この際、上記フィードバック制御系2は、ステップ目標値Xの入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値に収束するステップ追従特性を備えていることから、上記ステップ応答Yaは、たとえば、図3に実線で示すようになる。図3における破線は、制御目標となるステップ目標値Xである(後述する図4乃至図9でも同様)。
【0026】
次いで、上記本発明のオートチューニング装置1では、上記得られたステップ応答Yaについて近似を行って、図4に示す如き近似応答(近似したステップ応答)Ybを求める。
【0027】
この近似は、具体的には、図4に示すように、上記ステップ応答Yaにおいて値が最大になる点を、オーバーシュートの頂点Aと定め、該オーバーシュートの頂点Aの値と、上記与えられたステップ目標値Xの高さ(大きさ)xとを基に、上記オーバーシュートの頂点Aの値がx(1+α)となるようにオーバーシュート率αを決定する。
【0028】
更に、上記ステップ目標値Xが上記フィードバック制御系2に与えられた後に上記ステップ応答Yaがオーバーシュートの頂点Aに達するまでの経過時間Tを、ステップ応答のむだ時間Tと、上記ステップ応答の立ち上がり時間Tに分けて、上記近似応答Ybを、上記フィードバック制御系2に上記ステップ目標値Xが与えられた後、上記ステップ応答のむだ時間T経過後に、上記ステップ応答の立ち上がり時間Tでオーバーシュートの頂点Aまで直線的に立ち上がるものとし、しかる後、上記ステップ応答の立ち上がり時間Tと等しい収束時間T(T=T)で上記ステップ目標値Xに直線的に収束するものとして設定する。
【0029】
なお、上記ステップ応答のむだ時間Tと、ステップ応答の立ち上がり時間Tは、上記ステップ応答Yaに、二次微分フィルター[1,−2,1]を掛け、その値が最大になる点を、応答が立ち上がる点Bと決めて、上記フィードバック制御系2に上記ステップ目標値Xが与えられてから、上記応答が立ち上がる点Bまでの時間をステップ応答のむだ時間Tとし、上記応答が立ち上がる点Bから、上記ステップ応答Yaにおけるオーバーシュートの頂点Aまでの時間をステップ応答の立ち上がり時間Tと定めるようにすることが好ましい。このようにすれば、上記ステップ応答のむだ時間Tと立ち上がり時間Tとを自動的に演算で求めることができると共に、上記ステップ応答Yaの変化をより良好に反映した近似応答Ybを得ることができるようになる。
【0030】
上記のようにして近似応答Ybが定まると、上記本発明のオートチューニング装置1では、以下のような導出原理で、上記近似応答Ybを、オーバーシュートなくステップ目標値Xに追従させるよう変化させるために必要とされる入力値を求めるようにしてある。
【0031】
具体的には、上記したステップ目標値Xの入力時に上記近似応答Ybにおいて値が最大となるオーバーシュートの頂点Aの値がx(1+α)であること(図4参照)に鑑みて、図5に線Cで示すように、ステップ入力の入力値を、上記実際のステップ目標値Xよりも低い、x・(1−α/(1+α))=x/(1+α)に設定すると、図5に示すように、この場合の上記フィードバック制御系2の近似応答Ycは、入力値(x/(1+α))を入力してからステップ応答のむだ時間T及び立ち上がり時間T経過後に、該入力値(x/(1+α))に対してオーバーシュートを生じるが、このオーバーシュートによる最大値は、該フィードバック制御系2の有している線形性により、図4の場合と同様に、入力された値の(1+α)倍となるため、上記近似応答Ycの最大の値が、上記実際のステップ目標値Xに合うようになる。
【0032】
しかし、上記近似応答Ycでは、図5に示すように、上記オーバーシュートで最大値に達した後、上記入力値(x/(1+α))に向けて収束時間Tで収束するため、上記オーバーシュートの後、収束時間Tが経過すると、上記実際のステップ目標値Xに対しては、アンダーシュートが生じることになり、この近似応答Ycにおける実際のステップ目標値Xに対するアンダーシュートの値は、x−x/(1+α)=x・α/(1+α)となる。
【0033】
そこで、図6に線Dで示すように、上記図5に示したと同様のx/(1+α)の入力値を一段目として入力させた後、この入力から上記ステップ応答の立ち上がり時間Tに対応する時間が経過した時点で、二段目のステップ信号を、上記一段目の入力値にx・α/(1+α)を加えた値で入力させると、上記フィードバック制御系2の有している時不変性に基づいて、この二段目のステップ信号の入力時よりステップ応答のむだ時間T経過後、すなわち、上記一段目の入力値に応じたステップ応答が、図5に示したと同様のオーバーシュートの頂点に達した時点で、図6に二点鎖線Eで示すように、上記二段目のステップ信号に対するステップ応答の立ち上がりが開始される。この際、上記二段目のステップ信号に対するステップ応答の立ち上がりは、上記フィードバック制御系2の有している線形性により、ステップ応答の立ち上がり時間Tで、上記与えられた二段目のステップ信号の大きさx・α/(1+α)の(1+α)倍の値、すなわち、x・α/(1+α)の大きさとなるオーバーシュートの頂点に向けて直線的に立ち上がるようになることから、この二段目のステップ信号に対するステップ応答の立ち上がりによって、上記一段目の入力値に応じたステップ応答がオーバーシュートの頂点に達した後の収束時間T(T=T)で収束するときに生じていた実際のステップ目標値Xに対するアンダーシュートが相殺される。
【0034】
よって、この場合の近似応答Ydは、図6に示すように、上記線Dにおける一段目の信号に対するステップ応答がオーバーシュートの頂点に達してから、二段目の信号に対するステップ応答がオーバーシュートの頂点に達する間の値が、上記実際のステップ目標値Xに合うようになる。
【0035】
しかし、上記二段目の信号に対するステップ応答がオーバーシュートの頂点に達した後は、上記実際のステップ目標値Xに対してアンダーシュートを生じるようになる。
【0036】
そこで、上記2段目のステップ信号と同様にして、先行する段のステップ信号によるステップ応答がオーバーシュートの頂点に達した後、収束時間Tで収束することによって生じる実際のステップ目標値Xに対するアンダーシュートを、ステップ応答の立ち上がり時間Tに対応する時間ずらした時点で入力させる次の段のステップ信号によるステップ応答のオーバーシュートに達するまでの立ち上がりで相殺させることができるように、該次の段のステップ信号を入力するようにして、図7に線Fで示すように入力値を多段化すれば、近似応答Yeは、オーバーシュートを生じずに、又、アンダーシュートをほとんど生じることなく、上記実際のステップ目標値Xに追従するようになる。
【0037】
なお、上記図7のようにして求めた多段のステップ信号(線F)を、図2に示したと同様のFB制御ブロック3と制御対象4とからなるフィードバック制御系2に入力すると、図8に示すように、オーバーシュートのほとんどない応答Yfが得られることが判明している。
【0038】
以上の点に鑑みて、本発明のオートチューニング装置1は、上記のようにして求めてあるオーバーシュート率αと、ステップ応答の立ち上がり時間Tを基に、上記制御目標となるステップ目標値(ステップ信号)Xが入力されるFF制御ブロック5に対し、先ず、上記ステップ目標値Xの1−α/(1+α)=1/(1+α)倍の値となる一段目のステップ信号を出力させ、次に、図4のようにして求めたステップ応答の立ち上がり時間Tが経過した時点で、元のステップ目標値Xのα/(1+α)倍の値を増加させた二段目のステップ信号を出力させ、次いで、更にステップ応答の立ち上がり時間Tが経過した時点で、元のステップ目標値Xのα/(1+α)倍の値を増加させた三段目のステップ信号を出力させ、その後、同様にして、ステップ応答の立ち上がり時間Tが経過するごとに、元のステップ目標値Xのαh−1/(1+α)倍の値を加えたh段目(hは4以上の整数)のステップ信号を順次出力させるようにする指令を与えるようにしてある。
【0039】
したがって、以上の構成としてある本発明のオートチューニング装置1を備えた図1に示した如き制御系では、制御目標となる或るステップ目標値XがFF制御ブロック5に入力されると、上記本発明のオートチューニング装置1からの指令に基づいて、該FF制御ブロック5から、上記ステップ目標値Xの1/(1+α)倍の値となる一段目のステップ信号と、その後、ステップ応答の立ち上がり時間Tが経過するごとに、元のステップ目標値Xのαi−1/(1+α)倍の値を順次加えた値、すなわちステップ間の増加幅をα/(1+α)倍ずつ順次小さくしたi段目(iは2以上の整数)のステップ信号からなる多段階のステップ信号Sが出力されるように、該FF制御ブロック5のオートチューニングが行われるようになる。
【0040】
これにより、上記FF制御ブロック5より出力された多段階のステップ信号Sが入力されるフィードバック制御系2では、制御対象4の応答Yが、図8に示した応答Yfと同様にオーバーシュートの発生が抑制された状態で出力されるようになる。
【0041】
このように、本発明のステップ追従時のオーバーシュート抑制用フィードフォワード項のオートチューニング方法、及び、本発明のオートチューニング装置1によれば、本来のステップ追従特性として、制御目標となるステップ目標値Xの入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値Xに収束するようなステップ追従特性を備えた上記フィードバック制御系2の上流側に設けるFF制御ブロック5について、その制御内容であるフィードフォワード項を、上記フィードバック制御系2の詳細なモデルを必要とすることなく、該フィードバック制御系2の応答と、線形性及び時不変性の2つの基本的な性質のみを用いてオートチューニングして、上記フィードバック制御系2における制御対象4の応答Yを、オーバーシュートを抑制した状態で、速やかに上記ステップ目標値Xに追従させるようにすることができる。
【0042】
なお、上記本発明のオートチューニング装置1からの指令に基づいて上記FF制御ブロック5より出力させる多段階のステップ信号Sは、段数が多くなるにつれて元のステップ目標値Xとの差が小さくなるため、この元のステップ目標値Xとの差が小さくなった状態では、オーバーシュートが生じるとしても、上記元のステップ目標値Xから逸脱する量が小さくなる。この点に鑑みて、制御対象4の応答Yのオーバーシュートの許容範囲に応じて、上記FF制御ブロックより出力させる多段階のステップ信号Sの段数を、所要の複数段に予め決めておくようにしてもよい。
【0043】
上記図1乃至図8の実施の形態においては、本発明のオートチューニング装置1によりオートチューニングするFF制御ブロック5より、多段階のステップ信号Sとして、先ず、上記FF制御ブロック5に入力されるステップ目標値Xの1/(1+α)倍の値となる一段目のステップ信号を出力させ、その後、ステップ応答の立ち上がり時間Tが経過するごとに、元のステップ目標値Xのαi−1/(1+α)倍の値を順次加えたi段目(iは2以上の整数)のステップ信号、すなわち、ステップごとの増加幅をα/(1+α)倍ずつ小さくしたステップ信号からなる多段階のステップ信号Sを出力させるものとして示したが、上記多段階のステップ信号Sのステップ段数を更に増やすようにしてもよい。
【0044】
この場合、たとえば、図9に線Gで示すように、上記FF制御ブロック5より出力させる多段階のステップ信号Sの各段(各ステップ)の時間間隔を、上記ステップ応答の立ち上がり時間Tの半分(T/2)にする場合は、一段当たりのステップ信号の増加幅を低減させる割合を小さく設定できるようにすればよい。
【0045】
具体的には、最初に、上記FF制御ブロック5より、該FF制御ブロック5に制御目標として入力されるステップ目標値Xに対し、1−(α/(1+α))1/2倍の値の一段目のステップ信号を出力させ、その後、上記ステップ応答の立ち上がり時間Tの半分の時間(T/2)が経過するごとに、ステップ間の増加幅を(α/(1+α))1/2倍ずつ小さくするよう設定した多段階のステップ信号Sを出力させるように、上記FF制御ブロック5をオートチューニングすればよい。
【0046】
このようにすれば、上記図1乃至図8の実施の形態と同様の効果に加えて、図9に示すように、制御対象4の応答Ygをより滑らかなものとすることができるため、該制御対象4の応答Ygのオーバーシュートの抑制をより効果的に行うことが可能になる。
【0047】
更には、図示してないが、上記FF制御ブロック5より出力させる多段階のステップ信号Sの各段(各ステップ)の時間間隔を、上記ステップ応答の立ち上がり時間Tの1/3、1/4、・・・としてもよい。
【0048】
上記多段階のステップ信号Sの各段(各ステップ)の時間間隔を、上記ステップ応答の立ち上がり時間Tの1/j(jは3以上の正の整数)とする場合は、上記FF制御ブロック5より、該FF制御ブロック5に制御目標として入力されるステップ目標値Xに対し、1−(α/(1+α))1/j倍の値の一段目のステップ信号を出力させ、その後、上記ステップ応答の立ち上がり時間Tの1/j時間が経過するごとに、ステップ間の増加幅を(α/(1+α))1/j倍ずつ小さくしたステップ信号を出力させるように上記FF制御ブロック5をオートチューニングすればよい。
【0049】
このようにすれば、上記制御対象4の応答Y(図1参照)を更に円滑なものとすることができる。よって、制御対象4の応答のオーバーシュートの抑制をより効果的に行う効果が期待できる。
【0050】
次いで、図10は本発明の実施の他の形態として、ステップ目標値の入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値に収束するステップ追従特性を、制御対象4A自体が元々備えている場合に、該制御対象4Aについてフィードフォワード制御を用いてステップ目標値からのオーバーシュートを抑制する場合の適用例の概要を示すもので、以下のようにしてある。
【0051】
すなわち、この場合は、図1に示したと同様の構成において、フィードバック制御系2に代えて、上記制御対象4A自体の上流側に、本発明のオートチューニング装置1によるオートチューニングの対象とするFF制御ブロック5を備えた構成とし、本発明のオートチューニング装置1は、上記制御対象4Aより出力される応答(出力値)Yを入力できるようにした構成とする。なお、上記制御対象4Aは、制御に関して線形性、及び、時不変性を備えているものとする。
【0052】
この状態で、本発明のオートチューニング装置1は、上記図2乃至図8に示したと同様の手順で、先ず、上記FF制御ブロック5を無効にした状態で、制御対象4Aに対し、ステップ目標値Xを与えたときのステップ応答Ya(図3参照)を求め、このステップ応答Yaにおけるオーバーシュートの頂点Aと、オーバーシュート率αと、ステップ応答のむだ時間Tと、立ち上がり時間Tと、該立ち上がり時間Tと等しい収束時間T(T=T)を決定した近似応答Ybを求めるようにしてある(図4参照)。
【0053】
次いで、上記本発明のオートチューニング装置1は、上記オーバーシュート率αと、ステップ応答の立ち上がり時間Tを基に、制御目標となるステップ目標値(ステップ信号)Xが入力されるFF制御ブロック5に対し、先ず、上記ステップ目標値Xの1/(1+α)倍の値となる一段目のステップ信号を出力させた後、上記ステップ応答の立ち上がり時間Tが経過するごとに、ステップ間の増加幅をα/(1+α)倍ずつ順次小さくしたi段目(iは2以上の整数)のステップ信号からなる多段階のステップ信号Sを出力させるように指令を与えるようにしてある。
【0054】
これにより、上記FF制御ブロック5より出力された多段階のステップ信号Sが入力される制御対象4Aでは、該制御対象4Aの応答Yが、図8に示したフィードバック制御系2の応答Yfと同様に、オーバーシュートの発生が抑制された状態で出力されるようになる。
【0055】
したがって、本実施の形態によれば、本来のステップ追従特性として、制御目標となるステップ目標値Xの入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値Xに収束するようなステップ追従特性を備えた上記制御対象4Aの上流側に設けるFF制御ブロック5について、その制御内容であるフィードフォワード項を、上記制御対象4Aの詳細なモデルを必要とすることなく、該制御対象4Aの応答と、線形性及び時不変性の2つの基本的な性質のみを用いてオートチューニングして、上記制御対象4Aの応答Yを、オーバーシュートを抑制した状態で、速やかに上記ステップ目標値Xに追従させるようにすることができる。
【0056】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、制御目標となるステップ目標値の入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値に収束するステップ追従特性を備えていれば、上記フィードバック制御系2、及び、制御対象4Aはいかなるものであってもよい。
【0057】
図4に示した近似応答Ybは、FF制御ブロック5を無効にした状態で得られるステップ応答Yaを基に、オーバーシュートの頂点Aに至るステップ応答の立ち上がり時間Tと、収束時間Tが等しくなるように設定できれば、ステップ応答のむだ時間Tの長さを、上記ステップ応答Yaに、二次微分フィルター[1,−2,1]を掛け、その値が最大になる点を、応答が立ち上がる点Bと決めて、ステップ目標値Xが与えられてから、上記応答が立ち上がる点Bまでの時間をステップ応答のむだ時間Tとする場合に比して増減してもよい。
【0058】
図1乃至図8の実施の形態にて、本発明のオートチューニング装置1よりFB制御ブロック3のオートチューニング機能を省略してもよい。この場合は、本発明のオートチューニング装置1によるFF制御ブロック5のオートチューニングを開始させる前に、別の装置で予め上記FB制御ブロック3のオートチューニングを行わせるようにすればよい。
【0059】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0060】
1 オートチューニング装置
2 フィードバック制御系(系)
4,4A 制御対象
5 フィードフォワード制御ブロック
α オーバーシュート率
A オーバーシュートの頂点
B 応答が立ち上がる点
X ステップ目標値
Ya ステップ応答
Yb 近似応答
S ステップ信号
ステップ応答のむだ時間
ステップ応答の立ち上がり時間
収束時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップ目標値の入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値に収束するステップ追従特性を備えた系の上流側にフィードフォワード制御ブロックを備えた構成における上記フィードフォワード制御ブロックを無効にした状態で、上記系のステップ目標値に対するステップ応答を求め、次に、上記ステップ応答の値が最大になる点をオーバーシュートの頂点と定めて、該頂点の値と上記ステップ目標値の大きさを基に、オーバーシュート率αを決定すると共に、上記ステップ応答について、上記ステップ目標値が与えられた後にオーバーシュートの頂点に達するまでの経過時間を、ステップ応答のむだ時間と立ち上がり時間とし、且つ該立ち上がり時間と等しい収束時間で上記オーバーシュートの頂点よりステップ目標値に直線的に収束する近似応答で近似し、しかる後、上記フィードフォワード制御ブロックを、該フィードフォワード制御ブロックに制御目標として入力されるステップ目標値の1−(α/(1+α))1/n倍の値の一段目のステップ信号を出力した後、上記ステップ応答の立ち上がり時間の1/n倍の時間が経過するごとに、ステップ間の増加幅を(α/(1+α))1/n倍ずつ小さくするよう設定したn段目のステップ信号(nは正の整数)を出力させるようにオートチューニングすることを特徴とするステップ追従時のオーバーシュート抑制用フィードフォワード項のオートチューニング方法。
【請求項2】
ステップ目標値の入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値に収束するステップ追従特性を備えた系のステップ目標値に対するステップ応答に、二次微分フィルターを掛け、その値が最大になる点を、応答が立ち上がる点として、上記系に上記ステップ目標値が与えられてから、上記応答が立ち上がる点までの時間をステップ応答のむだ時間とし、上記応答が立ち上がる点から、上記ステップ応答のオーバーシュートの頂点までの時間をステップ応答の立ち上がり時間と定めるようにする請求項1記載のステップ追従時のオーバーシュート抑制用フィードフォワード項のオートチューニング方法。
【請求項3】
ステップ目標値の入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値に収束するステップ追従特性を備えた系を、フィードバック制御系又は制御対象自体とする請求項1又は2記載のステップ追従時のオーバーシュート抑制用フィードフォワード項のオートチューニング方法。
【請求項4】
ステップ目標値の入力に対するステップ追従時にオーバーシュートを生じた後、上記ステップ目標値に収束するステップ追従特性を備えた系の上流側にフィードフォワード制御ブロックを備えた構成における上記フィードフォワード制御ブロックを無効にした状態で、上記系のステップ目標値に対するステップ応答を求める機能と、上記ステップ応答の値が最大になる点を、オーバーシュートの頂点と定めて、該頂点の値と上記ステップ目標値の大きさを基に、オーバーシュート率αを決定すると共に、上記ステップ応答について、上記ステップ目標値が与えられた後にオーバーシュートの頂点に達するまでの経過時間を、ステップ応答のむだ時間と立ち上がり時間とし、且つ該立ち上がり時間と等しい収束時間で上記オーバーシュートの頂点よりステップ目標値に直線的に収束する近似応答で近似する機能と、上記フィードフォワード制御ブロックに、該フィードフォワード制御ブロックに制御目標として入力されるステップ目標値の1−(α/(1+α))1/n倍の値の一段目のステップ信号を出力させ、その後、上記ステップ応答の立ち上がり時間の1/n倍の時間が経過するごとに、ステップ間の増加幅を(α/(1+α))1/n倍ずつ小さくするよう設定したn段目のステップ信号(nは正の整数)を出力させるよう指令を与えて、該フィードフォワード制御ブロックをオートチューニングする機能を備えてなる構成を有することを特徴とするステップ追従時のオーバーシュート抑制用フィードフォワード項のオートチューニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−248519(P2011−248519A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119490(P2010−119490)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】