ステビオシドの多形及び無定形形態、これらの配合方法、並びに使用法
【課題】
【解決手段】 本発明の例示的実施形態は、実質的に原料ステビオシドを生成する方法、ステビオシドの多形及び無定形形態を調製する方法、並びにその方法で調製される多形及び無定形形態を包含する。
【解決手段】 本発明の例示的実施形態は、実質的に原料ステビオシドを生成する方法、ステビオシドの多形及び無定形形態を調製する方法、並びにその方法で調製される多形及び無定形形態を包含する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ステビオシドの多形及び無定形形態並びにステビオシドの多形及び無定形形態を調製する方法に関する。より詳細には、本発明は、向上した溶解速度を有するステビオシドの多形及び無定形形態に関する。
【背景技術】
【0002】
ステビオシドは、下記の化学構造を有する高甘味度ジテルペノイド配糖体甘味料である。
【化1】
ステビオシドは、他のステビオル配糖体と共に、日本、シンガポール、台湾、マレーシア、韓国、中国、イスラエル、インド、ブラジル、オーストラリア、及びパラグアイで商業的に栽培されている甘葉ステビア植物(「ステビア」)から単離及び抽出される。ステビオシドは、多くの高甘味度甘味料より優れた官能及び知覚特性を備えた代替ノンカロリー甘味料である。ステビアの処理された形態は、砂糖の70倍から400倍の甘味度がある。しかし、ステビオシドの室温で約1.25g/Lという低い水溶性(米国特許第4,082,858号)のために、ステビオシドの使用は困難になっている。従って、向上した溶解速度を有するステビオシドの多形及び無定形形態を開発することが望ましい。
【0003】
米国特許第5,962,678号に、純度91.6%のステビオシドを得るための無水メタノール溶液を用いたステビオシドの再結晶化が開示されている。メタノール水で再結晶化を何回も繰り返すことで、ステビオシドの純度を99%以上に増加させることができる。米国特許公開第2007/0082103号に、メタノールから、さらに90%のエタノールによる再結晶化でステビオシドを精製する方法が開示され、原料ステビオシド(64.6%)からの2段階の再結晶化によって純度が99%を超えるステビオシドを大量に形成することができると主張している。しかし、これらの先行技術の方法は、単一の再結晶化工程だけで実質的に純粋なステビオシド組成物を提供しない。従って、簡単な経済的な結晶化方法を用いてステビオシドを精製する方法を開発することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の例示的実施形態は、ステビオシドの多形及び無定形形態とステビオシドの多形及び無定形形態を製造する方法とを提供することで上記の必要性に取り組む。
【0005】
本発明の例示的実施形態は、実質的に純粋なステビオシド、ステビオシドの多形及び無定形形態、ステビオシドを精製する方法、並びにステビオシドの多形及び無定形形態を製造する方法を提供することで上記の必要性に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特定の実施形態では、ステビオシドを精製する方法は簡単な結晶化を含む。一実施形態では、ステビオシドを精製する方法は、原料ステビオシドと有機溶媒又は水性有機溶媒とを結合させてステビオシド溶液を形成する工程であって、水性有機溶液が約5重量%から約25重量%の量の水を含む工程と、単一の工程で原料ステビオシド溶液から乾燥ベースで約95重量%を超える純度の実質的に純粋なステビオシドを結晶化する工程とを含む。
【0007】
別の特定の実施形態では、ステビオシドの様々な多形及び無定形形態とステビオシドの様々な多形及び無定形形態を調製する方法とが提供される。本発明の他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになろう。別段の定義がない限り、本明細書で使用するすべての技術及び科学用語並びに略語は、本発明が関連する通常の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載するのと同様又は均等の方法及び組成物を本発明を実施する際に使用することができるが、適切な方法及び組成物の記述にあたってそのようないかなる方法及び組成物も本明細書に記載する本発明を限定することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のある実施形態による散乱角2θに対する散乱強度を示す線図上での3つのステビオシドの多形体である形態1、2A及び2Bを比較する粉末x線回折走査を示す図である。
【図2】本発明のある実施形態による散乱角2θに対する散乱強度を示す線図上でのステビオシドの多形体の粉末x線回折走査を示す図である。
【図3】本発明のある実施形態による散乱角2θに対する散乱強度を示す線図上でのステビオシドの多形体の粉末x線回折走査を示す図である。
【図4】本発明のある実施形態による散乱角2θに対する散乱強度を示す線図上でのステビオシドの多形体の粉末x線回折走査を示す図である。
【図5】本発明のある実施形態による散乱角2θに対する散乱強度を示す線図上でのステビオシドの無定形形態の粉末x線回折走査を示す図である。
【図6】本発明のある実施形態によるステビオシドを精製する方法の概略図である。
【図7】本発明のある実施形態によるステビオシド多形及び無定形形態の形成及び変換の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ステビオシドは、一般に手ごろなコストで入手可能な天然高甘味度甘味料である。しかし、ステビオシドは、一般に口から摂取可能な組成物内に組み込むことを困難にする比較的低い溶解性を有する。本発明の実施形態は、向上した溶解速度を有するステビオシドの多形及び無定形形態と向上した溶解速度を有するステビオシドの多形及び無定形形態を製造する方法とを提供することで上記の必要性に取り組む。
【0010】
簡単に説明すると、本発明の例示的実施形態は、ステビオシドの多形及び/又は無定形形態を形成する方法とそれによって生成される多形及び無定形形態とを提供する。特定の実施形態では、実質的に純粋なステビオシドの組成物は、1つ又は複数のステビオシドの多形体を含む。本発明の別の例示的実施形態は、ステビオシドの無定形形態及びステビオシドの無定形形態を調製する方法を包含する。さらに別の実施形態では、多形体の1つの形態を多形体の別の形態又は無定形形態に変換する方法が提供される。本発明の例示的実施形態について以下に詳述し、図1〜図5に示す。
【0011】
本明細書で使用する「実質的に純粋なステビオシド」という用語は、乾燥ベースで少なくとも約80重量%のステビオシドを含むステビオシド組成物を指す。別の態様では、実質的に純粋なステビオシド組成物は、乾燥ベースで少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、又は少なくとも約98重量%のステビオシドを含む。
【0012】
本明細書で使用する「純度」という用語は、ステビオシド組成物内に生の又は精製された形態で存在するステビオシドの重量パーセントを表す。一実施形態では、ステビオシド組成物は、特定の純度のステビオシドを含み、組成物の残りは他のステビオシド配糖体の混合物又はステビオシドではない任意の成分を含む。組成物の純度は、当業者には周知の方法を用いて測定することができる。そのような1つの方法は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を含む。当業者であれば、試料内の水分が純度測定の精度に影響する場合があることを理解されたい。従って、組成物は、実質的に乾燥していることが特に望ましい。本明細書で使用する実質的に乾燥した組成物は、最大約10重量%の水分を含む。
【0013】
本明細書で使用する「実質的に純粋な形態」という用語は、少なくとも約80重量%のステビオシドの特定の多形又は無定形形態を含むステビオシド組成物を指す。別の態様では、ステビオシド組成物の実質的に純粋な形態は、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、又は少なくとも約98重量%の特定のステビオシドの多形又は無定形形態を含む。
【0014】
ステビオシドの多形及び無定形形態
以下に記載する精製方法を用いて、形態1:ステビオシド水和物と形態2:ステビオシド溶解和物(メタノール溶解和物2A及びエタノール溶解和物2B)とを含むステビオシドの少なくとも2つの異なる多形形態を製造することができることが発見されている。以下に記載する方法(図示せず)によってステビオシドの第3の多形形態、すなわち、無水ステビオシドも製造することができる。当業者であれば、有機溶媒又は水性有機溶媒と本明細書に記載する精製工程の温度が実質的に純粋なステビオシド組成物内に作成される多形体に影響する場合があることは理解することができるだろう。
【0015】
多形性は、物質が結晶格子において分子の異なる構成及び/又はconformation(配座)を有する2つ以上の結晶状態として存在できる能力として定義される。有機化合物の約30%が多形性を示すと考えられている(Zell他、テトラヘドロン 56(36)6603−16(2000))。多形性は、医薬品、顔料及び染料、甘味料、爆薬、及び農業用化学物質の配合の際に重要である。多形性によって、濃度、融点、及び溶解速度などの物理的特性が変化する場合がある。
【0016】
ステビオシドの多形体は、当業者には周知の技術である粉末x線回折(XRPD)を用いた試料の分析によって同定された。図1〜図4は、散乱角2θに対する散乱強度を描画することで作成される実質的に純粋なステビオシドの多形形態のXRPD走査を示す図である。試料は、CuKα放射を使用する島津製XRD−6000x線粉末回折計を用いてXRPDで分析された。この装置は、長精密焦点x線管を備えていた。管の電圧及びアンペアは、それぞれ40kV及び40mAに設定されていた。発散及び散乱スリットは、1°に設定され、受光スリットは、0.15mmに設定されていた。回折放射は、NaIシンチレーション検出器によって検出された。2.5から40°2θの3°/秒(0.4秒/0.02°刻み)でのθ−2θの連続走査が使用された。シリコン標準を分析して装置のアライメントが検査された。データが収集されXRD−60000v.4.1を用いて分析された。各パターンは、反射の解像度を表し、試料が結晶材料から構成されていることを示す。
【0017】
図1は、メタノール、エタノール、又は水を含む溶液を使用する下記の精製方法を用いて調製されるステビオシドの多形形態の代表的なパターンを示す。特定の実施形態では、形態1、2A、又は2Bにそれぞれ対応する図2、図3、又は図4のx線回折パターンと実質的に同様のx線回折パターンを有するステビオシドの多形体が提供される。別の特定の実施形態では、図2、図3、又は図4と実質的に同様のx線回折パターンを有する2つ以上のステビオシド多形体の混合物が提供される。
【0018】
上記の少なくとも3つのステビオシドの多形形態に加えて、本明細書では、図5と実質的に同様のx線回折パターンを有するステビオシドの無定形形態も提供される。ステビオシドの無定形形態は、無定形である組成物を同定する幅が広い無定形ハローを有する。本明細書で使用する無定形とは、非結晶固体材料を指す。ステビオシドの無定形形態は、ステビオシドの多形形態と比較して溶解速度が向上しているために特に望ましい。甘味料組成物の溶解速度が、その非限定的な例が、チューインガム、焼菓子類、及び飲料を含む固体及び液体甘味付与可能な組成物を配合する際に重要であることは当業者には周知である。
【0019】
また、本明細書では、上記のステビオシドの多形及び無定形形態の組合せも提供される。従って、当業者であれば、本明細書で実施されるステビオシド組成物を変性してステビオシド組成物の所望の品質(すなわち、溶解速度など)に応じて少なくとも1つのステビオシドの多形及び/又は無定形形態の所望の混合物を得ることができることを理解されたい。例えば、ある実施形態では、ステビオシド組成物は、約1重量%から約100重量%の範囲の、約25重量%より大きい、約50重量%より大きい、又は約75重量%より大きい量のステビオシドの特定の多形又は無定形形態を含むことができる。別の実施形態では、約80重量%より大きい、約85重量%より大きい、約90重量%より大きい、約95重量%より大きい、又は約98重量%より大きい量の実質的に純粋な形態のステビオシドの多形又は無定形形態が提供される。
【0020】
本明細書で提供されるステビオシドの多形及び無定形形態は、また、2006年6月19日出願の米国仮特許出願第60/805,216号及び2007年2月12日出願の第60/889,318号に開示された実質的に純粋なレバウディオシドAの多形及び/又は無定形形態と組み合わせて所望の特性(例えば、甘さ、溶解速度など)を有する甘味料組成物を得ることができる。例えば、特定の実施形態では、レバウディオシドA水和物とステビオシド水和物とを組み合わせることができる。別の実施形態では、レバウディオシドA溶解和物とステビオシド溶解和物とを組み合わせることができる。それ故、レバウディオシドAの多形及び無定形形態の任意の組合せを本明細書で提供されるステビオシドの多形及び無定形形態の任意の組合せと組み合わせることができる。
【0021】
ステビオシドの精製方法
本発明の実施形態は、また、ステビオシドを精製して実質的に純粋なステビオシド又はステビオシドの実質的に純粋な形態の多形又は無定形形態を得る方法を提供する。ある実施形態によれば、純度が約40重量%から約95重量%の、約60重量%から約85重量%の、又は約70重量%から約85重量%のステビオシドを含む原料ステビオシド生成物が市販されている。ステビア植物から抽出された生の形態の原料ステビオシドは、本明細書にその開示の全体を参照として組み込むものとする、2006年6月19日出願の米国仮特許出願第60/805,216号及び2007年2月12日出願の第60/889,318号に開示された方法と類似の方法で再結晶化によって精製することができることが想定される。
【0022】
図6に示す特定の実施形態では、ステビオシドを精製する方法110は、原料ステビオシド112を水性有機溶液又は有機溶媒116と組み合わせる工程114によって原料ステビオシド溶液118を調製する工程を含む。本明細書で使用する水性有機溶液116は、少なくとも一種類の有機溶媒とオプションとして水の混合物を含む。有機溶媒の非限定的な例としては、アルコール、アセトン、及びアセトニトリルが挙げられる。本明細書で使用するアルコールは、少なくとも1つのヒドロキシル部分に付着した任意の直鎖状、分岐状、又は環状、置換又は非置換のアルキル、アルケニル、又はC1−C5アルキニル基を指す。アルコール類の非限定的な例としては、エタノール、メタノール、イソプロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノール、及びペンタノールを含む。
【0023】
当業者であれば、水性有機溶液116内の水の量は、所望の生成量と純度とに応じて調整することができることを理解することができるだろう。特定の実施形態では、水性有機溶液116は、約5重量%から約25重量%の量の水と少なくとも一種類の有機溶媒とを含むことができ、別の実施形態では、水性有機溶液116は、約5重量%から約20重量%の量、約5重量%から約15重量%の量、約5重量%から約10重量%の量、又は約8重量%の量の水を含むことができる。
【0024】
特定の実施形態では、原料ステビオシド溶液118は、重量比が原料ステビオシド約1に対して有機溶媒又は水性有機溶液が約10部から約4部の範囲の有機溶媒又は水性有機溶液116と原料ステビオシド112とを含む。別の例示的実施形態では、原料ステビオシド溶液114は、重量比が原料ステビオシド約1部に対して有機溶媒又は水性有機溶媒が約5部から約3部の範囲の有機溶媒又は水性有機溶液116と原料ステビオシド112とを含む。
【0025】
ステビオシドを精製する方法110は、原料ステビオシド溶液118を約20℃から約80℃、約30℃から約75℃、約40℃から約70℃の温度範囲、又はその間の任意の他の温度範囲まで加熱する工程120をさらに含むことができる。別の実施形態では、原料ステビオシド溶液118は、約1分間から約8時間加熱される(120)。
【0026】
ステビオシドを精製する方法110は、原料ステビオシド溶液118を冷却する工程122をさらに含むことができる。特定の実施形態では、原料ステビオシド溶液118は、約4℃から約25℃の温度まで冷却される(122)。別の特定の実施形態では、原料ステビオシド溶液118は、約0.5時間から約72時間冷却される(122)。
【0027】
特定の実施形態では、原料ステビオシド溶液118が冷却されると、実質的に純粋なステビオシド組成物124が水性有機溶液又は有機溶媒116内で結晶化する(126)。実質的に純粋なステビオシド組成物124は、乾燥ベースで約80重量%より大きい、約85重量%より大きい、約90重量%より大きい、約95重量%より大きい、約97重量%より大きい、約98重量%より大きい、又は約99重量%より大きい純度レベルのステビオシドを含んでいてもよい。
【0028】
ステビオシドを精製する方法110は、オプションとして、ステビオシドの結晶化を促進して実質的に純粋なステビオシド組成物124を形成するのに十分な量の実質的に純粋なステビオシドの結晶130を原料ステビオシド溶液118に散布する工程128をさらに含むことができる。実質的に純粋なステビオシド124の結晶化を促進するのに十分な量のステビオシドは、原料ステビオシド溶液118内に存在するステビオシドの約0.0001重量%から約1重量%の量を含み、別の実施形態では、原料ステビオシド溶液118内に存在するステビオシドの約0.01重量%から約1重量%の量を含む。原料ステビオシド溶液118を散布するのに適当な温度128は、約18℃から約35℃の範囲内の温度を含む。
【0029】
別の実施形態では、ステビオシドを精製する方法110は、オプションとして、実質的に純粋なステビオシド組成物124を分離する工程132と洗浄する工程134とをさらに含む。実質的に純粋なステビオシド組成物124は、遠心力を利用し、これらに限定はされないが、垂直及び水平穿孔バスケット遠心機、固形ボウル遠心機、デキャンタ遠心機、ピーラー型遠心機、プッシャー型遠心機、ハインケル型遠心機、ディスクスタック遠心機及びサイクロン分離を含む様々な固体−液体分離技術によって、水性有機溶液又は有機溶媒116から分離することができる(132)。さらに、分離は、これらに限定はされないが、ベルト、ドラム、ナッチェ型、リーフ、プレート、ローゼンムント型、スパークラー型、及びバッグフィルタの使用並びにフィルタプレスを含む圧力、真空及び重力ろ過方法のいずれかによって拡張することができる。ステビオシド固体−液体分離装置の動作は、連続的、半連続的又はバッチモードであってもよい。実質的に純粋なステビオシド組成物124は、様々な水性有機溶媒136とその混合物とを用いて分離装置上で洗浄することができる(134)。実質的に純粋なステビオシド組成物124は、これらに限定はされないが、窒素及びアルゴンを含む任意の種類のガスを用いて分離装置上で部分的又は完全に乾燥させて残留液体溶媒を蒸発させることができる。実質的に純粋なステビオシド組成物124は、固体を溶解するか、又は固体形態を維持することで液体、気体又は機械的手段を用いて分離装置から自動的に又は手動で取り除くことができる。
【0030】
さらに別の例示的実施形態では、ステビオシドを精製する方法110は、実質的に純粋なステビオシド組成物124を乾燥させる工程138をさらに含む。実質的に純粋なステビオシド組成物124を乾燥させる(138)のに適した方法は当業者には周知であり、これらに限定はされないが、回転真空乾燥機、流体床乾燥機、回転トンネル乾燥機、プレート乾燥機、トレイ乾燥機、Nauta型乾燥機、噴霧乾燥機、フラッシュ乾燥機、ミクロン乾燥機、皿乾燥機、高速及び低速パドル乾燥機及びマイクロ波乾燥機の使用を含む。例示的実施形態では、実質的に純粋なステビオシド組成物124は、窒素又はアルゴンパージを用いて乾燥され(138)、約40℃から約60℃の範囲の温度で約1時間から約100時間かけて残留溶媒136が除去される。
【0031】
さらに精製を望む場合、本明細書に記載するステビオシドを精製する方法110を繰り返してもよく、又はカラムクロマトグラフィ(図示せず)などの代替の精製方法を用いて実質的に純粋なステビオシド組成物124をさらに精製してもよい。
【0032】
ステビオシドの多形及び無定形形態を調製する方法
上記の精製方法及び下記の精製方法を用いてステビオシドの様々な多形及び無定形形態が得られることが発見されている。当業者であれば、本明細書に記載する水性有機溶液及び精製工程の温度の両方が実質的に純粋なステビオシド組成物内に存在可能な結果として得られる多形及び無定形形態に影響を与える可能性があることを理解することができるだろう。
【0033】
さらに、当業者であれば、ステビオシドのある多形又は無定形形態をステビオシドの別の多形又は無定形形態に変換することができる(図7)ことを理解することができるだろう(図7)。
【0034】
例えば、ほぼ室温で約2〜約16時間、無水溶媒内で形態1をスラリーにするか、又はほぼ還流温度で約0.5から約3時間の間、無水溶媒内で形態1をスラリーにすることで形態1を形態2に変換することができる。ほぼ室温で約16時間、又はほぼ還流温度で約2から約3時間水中の多形体をスラリーにすることで形態2を形態1に変換することができる。形態2は乾燥工程中に形態1に変換することができるが、乾燥温度を約70℃以上に上げるか又は実質的に純粋なステビオシド組成物の乾燥時間を長くするとステビオシドが分解する場合がある。形態2は、水を追加して形態1に変換することができる。無水形態は、無水有機溶液から形態1又は形態2を析出させることで作成することができる。形態1及び形態2は、無定形形態を生成する下記の方法のいずれかにより形態3に変換することができる。
【0035】
ステビオシドの初期結晶化の間に、又は当業者には周知の方法を用いて任意の個々の多形体又は多形体の組合せから直接、無定形形態を得ることができる。さらに、原料ステビオシド組成物又は当業者には周知の精製技術を用いて得た実質的に純粋なステビオシド組成物から無定形形態を得ることもできる。ステビオシドの無定形形態を調製する方法の非限定的な例としては、ステビオシド組成物のボールミル粉砕、析出、凍結乾燥、低温粉砕及び噴霧乾燥が挙げられる。
【0036】
特定の実施形態では、無定形形態は、ステビオシド組成物の溶液を噴霧乾燥することでステビオシド組成物から調製することができる。簡単に説明すると、噴霧乾燥では、一般に窒素/空気の一定の流れの助けにより溶液を霧状にして液滴噴霧にするノズル噴霧器内に供給ポンプを通してステビオシド溶液を供給することが必要である。水分は、乾燥チャンバ内の管理された温度条件と空気流条件の下で液滴から蒸発し、無定形ステビオシドの乾燥した微粒子が形成される。無定形ステビオシドの純度は、ステビオシド溶液の純度に依存する。
【0037】
別の特定の実施形態では、ステビオシドの非無定形形態をミル粉砕することでステビオシド組成物から無定形形態を調製することができる。ミル粉砕は、ステビオシドの結晶形態を無定形形態に変換するエネルギーの局所領域を生成すると信ずる機械的な工程である。例示的なミル粉砕技術は、ボールミル粉砕又はエアジェットミル粉砕を含み、両方の技術とも当業者には周知である。簡単に説明すると、ステビオシドの非無定形形態は、無定形ステビオシドを形成するのに有効な期間と速度でミル粉砕される。これらのパラメータは、当業者が決定することができる。通常のミル粉砕期間は約15分から約2時間の範囲内であるが、別の期間を採用してもよい。
【0038】
さらに本発明について、いかなる場合もその範囲を限定しないものと解釈される以下の実施例によって例示する。逆に、当業者であれば、本明細書の記載を読めば、本発明の精神及び/又は特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な他の実施形態、変形形態、及びその均等物を思い付くことができることをはっきりと理解することができるだろう。別段の指定がない限り、パーセンテージ(%)は重量%である。
【0039】
下記に得られるステビオシド組成物の純度は、HPLCを用いて決定された。HPLC分析を実行する方法は当業者には周知である。簡単に説明すると、HPLC分析は、ZORBAX NH2カラム(150×4.6mm、5μm)を用いて30℃の温度で実行された。移動相は、流量が1.5mL/分の緩衝液20%とアセトニトリル80%の溶液を含んでいた。各々の試料の12μLが重ねて噴射され、試料は、260nm(100nmの帯域幅)を基準として210nm(4nmの帯域幅)でUV検出器を用いて分析された。HPLC分析では、40から60分の実行時間が必要であった。
【0040】
0.125gの酢酸アンモニウムと125μLの氷酢酸とを1リットルの水に溶解させることで、0.0125%の酢酸と0.0125%の酢酸アンモニウムの緩衝液が調製された。移動相が、緩衝液をアセトニトリルと混合して調製され、4.5±0.5分のステビオシド保持時間が達成された。最初、これは、約20%の緩衝液(緩衝液200mLとアセトニトリル800mL)であった。アセトニトリルの量を1から2%だけ増やすことで、ステビオシドの保持時間は約1分だけ増加した。
【0041】
アセトニトリル750mLと緩衝液250mLを混合することで希釈液が調製された。12.5±0.5mg(ほぼ0.1mgまで記録)のステビオシド標準液を5mLの希釈液で希釈することで、ステビオシド標準液が調製され、約2500mg/L標準液(ストックA)の標準液を得た(水分及び純度を補正)。次に、ステビオシド標準液は、1mLのストックAを用いて10mLの希釈液に希釈されて250g/mL標準液(ストックB)を生成した。各標準液は、2.5から5.0mg/Lの範囲の最終濃度に希釈された。標準液が調製されるたびにカール−フィッシャー分析によって含水率が測定され、分析証明書による溶媒純度に基づいて補正が実行された。
【0042】
下記の表は、ステビオシド及び他のステビオル配糖体の保持時間(RT)のガイドラインを示す。しかし、当業者であれば、保持時間(RT)は、必要に応じて変更できることを理解することができるだろう。
【表1】
【0043】
下記に得られたステビオシド組成物についてもカール−フィッシャー分析が実行されて、Mettler Toledo DL39 Karl Fischer滴定装置を用いて含水率が決定された。約11〜56mgの試料が約3.5〜3.7gの乾燥ハイドラナール−クーロマットADに溶解した。結果として得られた溶液の約0.9〜1.0gがハイドラナール−クーロマットADを含むKF滴定容器に入れられ、10秒間混合されて確実に溶解された。試料は、電気化学酸化によってヨウ素を生成する発生電極によって滴定された:2I−→I2+2e。実験は3回繰り返されて再現性が確認された。
【0044】
3種類のステビオシド多形及びステビオシド無定形形態の材料特性を下記の表にまとめた。
【表2】
【0045】
実施例A
市販の試料源から原料ステビオシドが得られた。乾燥ベース(含水率3.92%)でHPLCを用いて不純物(76.8%のステビオシド、8.24%のレバウディオシドA、2.38%のステビオルビオシド、0.109%のレバウディオシドD、4.133%のその他のステビオル配糖体、0.293%のレバウディオシドB、2.38%のステビオルビオシド)が同定され、定量化された。
【0046】
原料ステビオシド(76%、1g)が30.0mLのメタノール(99%)内に懸濁され、10分間連続で撹拌されて45℃まで加温された。原料が完全に溶解して溶液が透明になるまで、水が液滴(約2.5mL)として添加された。透明な溶液が高温状態でろ過され、室温になるまで一晩冷却された。析出された固体はろ過され、メタノール(2×3〜4mL,99%)で洗浄され、真空オーブン内で減圧下(20mm)にて50℃で3〜4時間乾燥され、乾燥ベース(含水率2.63%)で0.588gの精製ステビオシド(HPLCにより>95%)が生成された。図3に示すXRPDの結果は、結晶化ステビオシドが異なる結晶形態であったことを示す。
【0047】
実施例B
市販の試料源から原料ステビオシド(76%、5g)が得られ、100mLのエタノール(99.96%)内に懸濁され、69℃まで加温された。ステビオシドは5分以内に溶解した。溶液をさらに10分間沸騰させて、2日間室温になるまで冷却された。結晶化ステビオシドはろ過され、真空オーブン内で減圧下(20mm)にて48〜50℃で3.5時間乾燥され、乾燥ベース(含水率3.55%)で純粋な結晶化ステビオシド(HPLCにより>97.0%)の73.00%の収率が得られた。図4に示すXRPDの結果は、結晶化ステビオシドが実施例Aと別の結晶形態であったことを示す。
【0048】
実施例C
実施例Bから得られたステビオシド(>97%、2g)は、溶液を1分間44℃で撹拌することで100mLの水に溶解した。溶液は、室温になるまで1日間冷却された。析出物はろ過され、真空オーブン内で減圧下(20mm)にて60℃で24時間乾燥され、乾燥ベース(含水率5.33%)で結晶化ステビオシド(HPLCにより>97.0%)の95%の収率が得られた。図2に示すXRPDの結果は、結晶化ステビオシドが実施例A又はBのものとは別の結晶形態であったことを示す。
【0049】
実施例D
5.0gの結晶化ステビオシドを200mLの水溶液内に溶解させて透明になるまで40〜50℃まで加熱することで、実施例Bから得た結晶化ステビオシドから濃溶液が調製された。高温の透明な溶液は、Lab−Plant製の乾燥機SD−04装置(英国西ヨークシャー、Lab−Plant Ltd.)で噴霧乾燥された。溶液は、供給ポンプを通してノズル噴霧器内に供給され、ノズル噴霧器は、窒素/空気の一定の流れの助けにより溶液を霧状にして液滴噴霧にした。水分は、乾燥チャンバ内の管理された温度条件(約90から約97℃)及び空気流条件の下で液滴から蒸発し、乾燥した微粒子が形成された。この乾燥粉末は、乾燥チャンバから連続的に排出され、清潔な乾燥した収集びん内に収集された。乾燥ベース(含水率3.20%)で純粋なステビオシド(HPLCにより>97%)の98%収率が得られた。図5に示すXRPDの結果は、ステビオシドが無定形形態であったことを示す。
【0050】
以上、本発明の特定の実施形態に関して本発明について詳細に説明してきたが、上記説明を理解すれば、当業者であればこれらの実施形態の代替形態、変形形態、及び均等物を容易に思い付くことができることを理解されたい。従って、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲及びその均等物に関して評価されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ステビオシドの多形及び無定形形態並びにステビオシドの多形及び無定形形態を調製する方法に関する。より詳細には、本発明は、向上した溶解速度を有するステビオシドの多形及び無定形形態に関する。
【背景技術】
【0002】
ステビオシドは、下記の化学構造を有する高甘味度ジテルペノイド配糖体甘味料である。
【化1】
ステビオシドは、他のステビオル配糖体と共に、日本、シンガポール、台湾、マレーシア、韓国、中国、イスラエル、インド、ブラジル、オーストラリア、及びパラグアイで商業的に栽培されている甘葉ステビア植物(「ステビア」)から単離及び抽出される。ステビオシドは、多くの高甘味度甘味料より優れた官能及び知覚特性を備えた代替ノンカロリー甘味料である。ステビアの処理された形態は、砂糖の70倍から400倍の甘味度がある。しかし、ステビオシドの室温で約1.25g/Lという低い水溶性(米国特許第4,082,858号)のために、ステビオシドの使用は困難になっている。従って、向上した溶解速度を有するステビオシドの多形及び無定形形態を開発することが望ましい。
【0003】
米国特許第5,962,678号に、純度91.6%のステビオシドを得るための無水メタノール溶液を用いたステビオシドの再結晶化が開示されている。メタノール水で再結晶化を何回も繰り返すことで、ステビオシドの純度を99%以上に増加させることができる。米国特許公開第2007/0082103号に、メタノールから、さらに90%のエタノールによる再結晶化でステビオシドを精製する方法が開示され、原料ステビオシド(64.6%)からの2段階の再結晶化によって純度が99%を超えるステビオシドを大量に形成することができると主張している。しかし、これらの先行技術の方法は、単一の再結晶化工程だけで実質的に純粋なステビオシド組成物を提供しない。従って、簡単な経済的な結晶化方法を用いてステビオシドを精製する方法を開発することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の例示的実施形態は、ステビオシドの多形及び無定形形態とステビオシドの多形及び無定形形態を製造する方法とを提供することで上記の必要性に取り組む。
【0005】
本発明の例示的実施形態は、実質的に純粋なステビオシド、ステビオシドの多形及び無定形形態、ステビオシドを精製する方法、並びにステビオシドの多形及び無定形形態を製造する方法を提供することで上記の必要性に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特定の実施形態では、ステビオシドを精製する方法は簡単な結晶化を含む。一実施形態では、ステビオシドを精製する方法は、原料ステビオシドと有機溶媒又は水性有機溶媒とを結合させてステビオシド溶液を形成する工程であって、水性有機溶液が約5重量%から約25重量%の量の水を含む工程と、単一の工程で原料ステビオシド溶液から乾燥ベースで約95重量%を超える純度の実質的に純粋なステビオシドを結晶化する工程とを含む。
【0007】
別の特定の実施形態では、ステビオシドの様々な多形及び無定形形態とステビオシドの様々な多形及び無定形形態を調製する方法とが提供される。本発明の他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになろう。別段の定義がない限り、本明細書で使用するすべての技術及び科学用語並びに略語は、本発明が関連する通常の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載するのと同様又は均等の方法及び組成物を本発明を実施する際に使用することができるが、適切な方法及び組成物の記述にあたってそのようないかなる方法及び組成物も本明細書に記載する本発明を限定することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のある実施形態による散乱角2θに対する散乱強度を示す線図上での3つのステビオシドの多形体である形態1、2A及び2Bを比較する粉末x線回折走査を示す図である。
【図2】本発明のある実施形態による散乱角2θに対する散乱強度を示す線図上でのステビオシドの多形体の粉末x線回折走査を示す図である。
【図3】本発明のある実施形態による散乱角2θに対する散乱強度を示す線図上でのステビオシドの多形体の粉末x線回折走査を示す図である。
【図4】本発明のある実施形態による散乱角2θに対する散乱強度を示す線図上でのステビオシドの多形体の粉末x線回折走査を示す図である。
【図5】本発明のある実施形態による散乱角2θに対する散乱強度を示す線図上でのステビオシドの無定形形態の粉末x線回折走査を示す図である。
【図6】本発明のある実施形態によるステビオシドを精製する方法の概略図である。
【図7】本発明のある実施形態によるステビオシド多形及び無定形形態の形成及び変換の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ステビオシドは、一般に手ごろなコストで入手可能な天然高甘味度甘味料である。しかし、ステビオシドは、一般に口から摂取可能な組成物内に組み込むことを困難にする比較的低い溶解性を有する。本発明の実施形態は、向上した溶解速度を有するステビオシドの多形及び無定形形態と向上した溶解速度を有するステビオシドの多形及び無定形形態を製造する方法とを提供することで上記の必要性に取り組む。
【0010】
簡単に説明すると、本発明の例示的実施形態は、ステビオシドの多形及び/又は無定形形態を形成する方法とそれによって生成される多形及び無定形形態とを提供する。特定の実施形態では、実質的に純粋なステビオシドの組成物は、1つ又は複数のステビオシドの多形体を含む。本発明の別の例示的実施形態は、ステビオシドの無定形形態及びステビオシドの無定形形態を調製する方法を包含する。さらに別の実施形態では、多形体の1つの形態を多形体の別の形態又は無定形形態に変換する方法が提供される。本発明の例示的実施形態について以下に詳述し、図1〜図5に示す。
【0011】
本明細書で使用する「実質的に純粋なステビオシド」という用語は、乾燥ベースで少なくとも約80重量%のステビオシドを含むステビオシド組成物を指す。別の態様では、実質的に純粋なステビオシド組成物は、乾燥ベースで少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、又は少なくとも約98重量%のステビオシドを含む。
【0012】
本明細書で使用する「純度」という用語は、ステビオシド組成物内に生の又は精製された形態で存在するステビオシドの重量パーセントを表す。一実施形態では、ステビオシド組成物は、特定の純度のステビオシドを含み、組成物の残りは他のステビオシド配糖体の混合物又はステビオシドではない任意の成分を含む。組成物の純度は、当業者には周知の方法を用いて測定することができる。そのような1つの方法は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を含む。当業者であれば、試料内の水分が純度測定の精度に影響する場合があることを理解されたい。従って、組成物は、実質的に乾燥していることが特に望ましい。本明細書で使用する実質的に乾燥した組成物は、最大約10重量%の水分を含む。
【0013】
本明細書で使用する「実質的に純粋な形態」という用語は、少なくとも約80重量%のステビオシドの特定の多形又は無定形形態を含むステビオシド組成物を指す。別の態様では、ステビオシド組成物の実質的に純粋な形態は、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、又は少なくとも約98重量%の特定のステビオシドの多形又は無定形形態を含む。
【0014】
ステビオシドの多形及び無定形形態
以下に記載する精製方法を用いて、形態1:ステビオシド水和物と形態2:ステビオシド溶解和物(メタノール溶解和物2A及びエタノール溶解和物2B)とを含むステビオシドの少なくとも2つの異なる多形形態を製造することができることが発見されている。以下に記載する方法(図示せず)によってステビオシドの第3の多形形態、すなわち、無水ステビオシドも製造することができる。当業者であれば、有機溶媒又は水性有機溶媒と本明細書に記載する精製工程の温度が実質的に純粋なステビオシド組成物内に作成される多形体に影響する場合があることは理解することができるだろう。
【0015】
多形性は、物質が結晶格子において分子の異なる構成及び/又はconformation(配座)を有する2つ以上の結晶状態として存在できる能力として定義される。有機化合物の約30%が多形性を示すと考えられている(Zell他、テトラヘドロン 56(36)6603−16(2000))。多形性は、医薬品、顔料及び染料、甘味料、爆薬、及び農業用化学物質の配合の際に重要である。多形性によって、濃度、融点、及び溶解速度などの物理的特性が変化する場合がある。
【0016】
ステビオシドの多形体は、当業者には周知の技術である粉末x線回折(XRPD)を用いた試料の分析によって同定された。図1〜図4は、散乱角2θに対する散乱強度を描画することで作成される実質的に純粋なステビオシドの多形形態のXRPD走査を示す図である。試料は、CuKα放射を使用する島津製XRD−6000x線粉末回折計を用いてXRPDで分析された。この装置は、長精密焦点x線管を備えていた。管の電圧及びアンペアは、それぞれ40kV及び40mAに設定されていた。発散及び散乱スリットは、1°に設定され、受光スリットは、0.15mmに設定されていた。回折放射は、NaIシンチレーション検出器によって検出された。2.5から40°2θの3°/秒(0.4秒/0.02°刻み)でのθ−2θの連続走査が使用された。シリコン標準を分析して装置のアライメントが検査された。データが収集されXRD−60000v.4.1を用いて分析された。各パターンは、反射の解像度を表し、試料が結晶材料から構成されていることを示す。
【0017】
図1は、メタノール、エタノール、又は水を含む溶液を使用する下記の精製方法を用いて調製されるステビオシドの多形形態の代表的なパターンを示す。特定の実施形態では、形態1、2A、又は2Bにそれぞれ対応する図2、図3、又は図4のx線回折パターンと実質的に同様のx線回折パターンを有するステビオシドの多形体が提供される。別の特定の実施形態では、図2、図3、又は図4と実質的に同様のx線回折パターンを有する2つ以上のステビオシド多形体の混合物が提供される。
【0018】
上記の少なくとも3つのステビオシドの多形形態に加えて、本明細書では、図5と実質的に同様のx線回折パターンを有するステビオシドの無定形形態も提供される。ステビオシドの無定形形態は、無定形である組成物を同定する幅が広い無定形ハローを有する。本明細書で使用する無定形とは、非結晶固体材料を指す。ステビオシドの無定形形態は、ステビオシドの多形形態と比較して溶解速度が向上しているために特に望ましい。甘味料組成物の溶解速度が、その非限定的な例が、チューインガム、焼菓子類、及び飲料を含む固体及び液体甘味付与可能な組成物を配合する際に重要であることは当業者には周知である。
【0019】
また、本明細書では、上記のステビオシドの多形及び無定形形態の組合せも提供される。従って、当業者であれば、本明細書で実施されるステビオシド組成物を変性してステビオシド組成物の所望の品質(すなわち、溶解速度など)に応じて少なくとも1つのステビオシドの多形及び/又は無定形形態の所望の混合物を得ることができることを理解されたい。例えば、ある実施形態では、ステビオシド組成物は、約1重量%から約100重量%の範囲の、約25重量%より大きい、約50重量%より大きい、又は約75重量%より大きい量のステビオシドの特定の多形又は無定形形態を含むことができる。別の実施形態では、約80重量%より大きい、約85重量%より大きい、約90重量%より大きい、約95重量%より大きい、又は約98重量%より大きい量の実質的に純粋な形態のステビオシドの多形又は無定形形態が提供される。
【0020】
本明細書で提供されるステビオシドの多形及び無定形形態は、また、2006年6月19日出願の米国仮特許出願第60/805,216号及び2007年2月12日出願の第60/889,318号に開示された実質的に純粋なレバウディオシドAの多形及び/又は無定形形態と組み合わせて所望の特性(例えば、甘さ、溶解速度など)を有する甘味料組成物を得ることができる。例えば、特定の実施形態では、レバウディオシドA水和物とステビオシド水和物とを組み合わせることができる。別の実施形態では、レバウディオシドA溶解和物とステビオシド溶解和物とを組み合わせることができる。それ故、レバウディオシドAの多形及び無定形形態の任意の組合せを本明細書で提供されるステビオシドの多形及び無定形形態の任意の組合せと組み合わせることができる。
【0021】
ステビオシドの精製方法
本発明の実施形態は、また、ステビオシドを精製して実質的に純粋なステビオシド又はステビオシドの実質的に純粋な形態の多形又は無定形形態を得る方法を提供する。ある実施形態によれば、純度が約40重量%から約95重量%の、約60重量%から約85重量%の、又は約70重量%から約85重量%のステビオシドを含む原料ステビオシド生成物が市販されている。ステビア植物から抽出された生の形態の原料ステビオシドは、本明細書にその開示の全体を参照として組み込むものとする、2006年6月19日出願の米国仮特許出願第60/805,216号及び2007年2月12日出願の第60/889,318号に開示された方法と類似の方法で再結晶化によって精製することができることが想定される。
【0022】
図6に示す特定の実施形態では、ステビオシドを精製する方法110は、原料ステビオシド112を水性有機溶液又は有機溶媒116と組み合わせる工程114によって原料ステビオシド溶液118を調製する工程を含む。本明細書で使用する水性有機溶液116は、少なくとも一種類の有機溶媒とオプションとして水の混合物を含む。有機溶媒の非限定的な例としては、アルコール、アセトン、及びアセトニトリルが挙げられる。本明細書で使用するアルコールは、少なくとも1つのヒドロキシル部分に付着した任意の直鎖状、分岐状、又は環状、置換又は非置換のアルキル、アルケニル、又はC1−C5アルキニル基を指す。アルコール類の非限定的な例としては、エタノール、メタノール、イソプロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノール、及びペンタノールを含む。
【0023】
当業者であれば、水性有機溶液116内の水の量は、所望の生成量と純度とに応じて調整することができることを理解することができるだろう。特定の実施形態では、水性有機溶液116は、約5重量%から約25重量%の量の水と少なくとも一種類の有機溶媒とを含むことができ、別の実施形態では、水性有機溶液116は、約5重量%から約20重量%の量、約5重量%から約15重量%の量、約5重量%から約10重量%の量、又は約8重量%の量の水を含むことができる。
【0024】
特定の実施形態では、原料ステビオシド溶液118は、重量比が原料ステビオシド約1に対して有機溶媒又は水性有機溶液が約10部から約4部の範囲の有機溶媒又は水性有機溶液116と原料ステビオシド112とを含む。別の例示的実施形態では、原料ステビオシド溶液114は、重量比が原料ステビオシド約1部に対して有機溶媒又は水性有機溶媒が約5部から約3部の範囲の有機溶媒又は水性有機溶液116と原料ステビオシド112とを含む。
【0025】
ステビオシドを精製する方法110は、原料ステビオシド溶液118を約20℃から約80℃、約30℃から約75℃、約40℃から約70℃の温度範囲、又はその間の任意の他の温度範囲まで加熱する工程120をさらに含むことができる。別の実施形態では、原料ステビオシド溶液118は、約1分間から約8時間加熱される(120)。
【0026】
ステビオシドを精製する方法110は、原料ステビオシド溶液118を冷却する工程122をさらに含むことができる。特定の実施形態では、原料ステビオシド溶液118は、約4℃から約25℃の温度まで冷却される(122)。別の特定の実施形態では、原料ステビオシド溶液118は、約0.5時間から約72時間冷却される(122)。
【0027】
特定の実施形態では、原料ステビオシド溶液118が冷却されると、実質的に純粋なステビオシド組成物124が水性有機溶液又は有機溶媒116内で結晶化する(126)。実質的に純粋なステビオシド組成物124は、乾燥ベースで約80重量%より大きい、約85重量%より大きい、約90重量%より大きい、約95重量%より大きい、約97重量%より大きい、約98重量%より大きい、又は約99重量%より大きい純度レベルのステビオシドを含んでいてもよい。
【0028】
ステビオシドを精製する方法110は、オプションとして、ステビオシドの結晶化を促進して実質的に純粋なステビオシド組成物124を形成するのに十分な量の実質的に純粋なステビオシドの結晶130を原料ステビオシド溶液118に散布する工程128をさらに含むことができる。実質的に純粋なステビオシド124の結晶化を促進するのに十分な量のステビオシドは、原料ステビオシド溶液118内に存在するステビオシドの約0.0001重量%から約1重量%の量を含み、別の実施形態では、原料ステビオシド溶液118内に存在するステビオシドの約0.01重量%から約1重量%の量を含む。原料ステビオシド溶液118を散布するのに適当な温度128は、約18℃から約35℃の範囲内の温度を含む。
【0029】
別の実施形態では、ステビオシドを精製する方法110は、オプションとして、実質的に純粋なステビオシド組成物124を分離する工程132と洗浄する工程134とをさらに含む。実質的に純粋なステビオシド組成物124は、遠心力を利用し、これらに限定はされないが、垂直及び水平穿孔バスケット遠心機、固形ボウル遠心機、デキャンタ遠心機、ピーラー型遠心機、プッシャー型遠心機、ハインケル型遠心機、ディスクスタック遠心機及びサイクロン分離を含む様々な固体−液体分離技術によって、水性有機溶液又は有機溶媒116から分離することができる(132)。さらに、分離は、これらに限定はされないが、ベルト、ドラム、ナッチェ型、リーフ、プレート、ローゼンムント型、スパークラー型、及びバッグフィルタの使用並びにフィルタプレスを含む圧力、真空及び重力ろ過方法のいずれかによって拡張することができる。ステビオシド固体−液体分離装置の動作は、連続的、半連続的又はバッチモードであってもよい。実質的に純粋なステビオシド組成物124は、様々な水性有機溶媒136とその混合物とを用いて分離装置上で洗浄することができる(134)。実質的に純粋なステビオシド組成物124は、これらに限定はされないが、窒素及びアルゴンを含む任意の種類のガスを用いて分離装置上で部分的又は完全に乾燥させて残留液体溶媒を蒸発させることができる。実質的に純粋なステビオシド組成物124は、固体を溶解するか、又は固体形態を維持することで液体、気体又は機械的手段を用いて分離装置から自動的に又は手動で取り除くことができる。
【0030】
さらに別の例示的実施形態では、ステビオシドを精製する方法110は、実質的に純粋なステビオシド組成物124を乾燥させる工程138をさらに含む。実質的に純粋なステビオシド組成物124を乾燥させる(138)のに適した方法は当業者には周知であり、これらに限定はされないが、回転真空乾燥機、流体床乾燥機、回転トンネル乾燥機、プレート乾燥機、トレイ乾燥機、Nauta型乾燥機、噴霧乾燥機、フラッシュ乾燥機、ミクロン乾燥機、皿乾燥機、高速及び低速パドル乾燥機及びマイクロ波乾燥機の使用を含む。例示的実施形態では、実質的に純粋なステビオシド組成物124は、窒素又はアルゴンパージを用いて乾燥され(138)、約40℃から約60℃の範囲の温度で約1時間から約100時間かけて残留溶媒136が除去される。
【0031】
さらに精製を望む場合、本明細書に記載するステビオシドを精製する方法110を繰り返してもよく、又はカラムクロマトグラフィ(図示せず)などの代替の精製方法を用いて実質的に純粋なステビオシド組成物124をさらに精製してもよい。
【0032】
ステビオシドの多形及び無定形形態を調製する方法
上記の精製方法及び下記の精製方法を用いてステビオシドの様々な多形及び無定形形態が得られることが発見されている。当業者であれば、本明細書に記載する水性有機溶液及び精製工程の温度の両方が実質的に純粋なステビオシド組成物内に存在可能な結果として得られる多形及び無定形形態に影響を与える可能性があることを理解することができるだろう。
【0033】
さらに、当業者であれば、ステビオシドのある多形又は無定形形態をステビオシドの別の多形又は無定形形態に変換することができる(図7)ことを理解することができるだろう(図7)。
【0034】
例えば、ほぼ室温で約2〜約16時間、無水溶媒内で形態1をスラリーにするか、又はほぼ還流温度で約0.5から約3時間の間、無水溶媒内で形態1をスラリーにすることで形態1を形態2に変換することができる。ほぼ室温で約16時間、又はほぼ還流温度で約2から約3時間水中の多形体をスラリーにすることで形態2を形態1に変換することができる。形態2は乾燥工程中に形態1に変換することができるが、乾燥温度を約70℃以上に上げるか又は実質的に純粋なステビオシド組成物の乾燥時間を長くするとステビオシドが分解する場合がある。形態2は、水を追加して形態1に変換することができる。無水形態は、無水有機溶液から形態1又は形態2を析出させることで作成することができる。形態1及び形態2は、無定形形態を生成する下記の方法のいずれかにより形態3に変換することができる。
【0035】
ステビオシドの初期結晶化の間に、又は当業者には周知の方法を用いて任意の個々の多形体又は多形体の組合せから直接、無定形形態を得ることができる。さらに、原料ステビオシド組成物又は当業者には周知の精製技術を用いて得た実質的に純粋なステビオシド組成物から無定形形態を得ることもできる。ステビオシドの無定形形態を調製する方法の非限定的な例としては、ステビオシド組成物のボールミル粉砕、析出、凍結乾燥、低温粉砕及び噴霧乾燥が挙げられる。
【0036】
特定の実施形態では、無定形形態は、ステビオシド組成物の溶液を噴霧乾燥することでステビオシド組成物から調製することができる。簡単に説明すると、噴霧乾燥では、一般に窒素/空気の一定の流れの助けにより溶液を霧状にして液滴噴霧にするノズル噴霧器内に供給ポンプを通してステビオシド溶液を供給することが必要である。水分は、乾燥チャンバ内の管理された温度条件と空気流条件の下で液滴から蒸発し、無定形ステビオシドの乾燥した微粒子が形成される。無定形ステビオシドの純度は、ステビオシド溶液の純度に依存する。
【0037】
別の特定の実施形態では、ステビオシドの非無定形形態をミル粉砕することでステビオシド組成物から無定形形態を調製することができる。ミル粉砕は、ステビオシドの結晶形態を無定形形態に変換するエネルギーの局所領域を生成すると信ずる機械的な工程である。例示的なミル粉砕技術は、ボールミル粉砕又はエアジェットミル粉砕を含み、両方の技術とも当業者には周知である。簡単に説明すると、ステビオシドの非無定形形態は、無定形ステビオシドを形成するのに有効な期間と速度でミル粉砕される。これらのパラメータは、当業者が決定することができる。通常のミル粉砕期間は約15分から約2時間の範囲内であるが、別の期間を採用してもよい。
【0038】
さらに本発明について、いかなる場合もその範囲を限定しないものと解釈される以下の実施例によって例示する。逆に、当業者であれば、本明細書の記載を読めば、本発明の精神及び/又は特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な他の実施形態、変形形態、及びその均等物を思い付くことができることをはっきりと理解することができるだろう。別段の指定がない限り、パーセンテージ(%)は重量%である。
【0039】
下記に得られるステビオシド組成物の純度は、HPLCを用いて決定された。HPLC分析を実行する方法は当業者には周知である。簡単に説明すると、HPLC分析は、ZORBAX NH2カラム(150×4.6mm、5μm)を用いて30℃の温度で実行された。移動相は、流量が1.5mL/分の緩衝液20%とアセトニトリル80%の溶液を含んでいた。各々の試料の12μLが重ねて噴射され、試料は、260nm(100nmの帯域幅)を基準として210nm(4nmの帯域幅)でUV検出器を用いて分析された。HPLC分析では、40から60分の実行時間が必要であった。
【0040】
0.125gの酢酸アンモニウムと125μLの氷酢酸とを1リットルの水に溶解させることで、0.0125%の酢酸と0.0125%の酢酸アンモニウムの緩衝液が調製された。移動相が、緩衝液をアセトニトリルと混合して調製され、4.5±0.5分のステビオシド保持時間が達成された。最初、これは、約20%の緩衝液(緩衝液200mLとアセトニトリル800mL)であった。アセトニトリルの量を1から2%だけ増やすことで、ステビオシドの保持時間は約1分だけ増加した。
【0041】
アセトニトリル750mLと緩衝液250mLを混合することで希釈液が調製された。12.5±0.5mg(ほぼ0.1mgまで記録)のステビオシド標準液を5mLの希釈液で希釈することで、ステビオシド標準液が調製され、約2500mg/L標準液(ストックA)の標準液を得た(水分及び純度を補正)。次に、ステビオシド標準液は、1mLのストックAを用いて10mLの希釈液に希釈されて250g/mL標準液(ストックB)を生成した。各標準液は、2.5から5.0mg/Lの範囲の最終濃度に希釈された。標準液が調製されるたびにカール−フィッシャー分析によって含水率が測定され、分析証明書による溶媒純度に基づいて補正が実行された。
【0042】
下記の表は、ステビオシド及び他のステビオル配糖体の保持時間(RT)のガイドラインを示す。しかし、当業者であれば、保持時間(RT)は、必要に応じて変更できることを理解することができるだろう。
【表1】
【0043】
下記に得られたステビオシド組成物についてもカール−フィッシャー分析が実行されて、Mettler Toledo DL39 Karl Fischer滴定装置を用いて含水率が決定された。約11〜56mgの試料が約3.5〜3.7gの乾燥ハイドラナール−クーロマットADに溶解した。結果として得られた溶液の約0.9〜1.0gがハイドラナール−クーロマットADを含むKF滴定容器に入れられ、10秒間混合されて確実に溶解された。試料は、電気化学酸化によってヨウ素を生成する発生電極によって滴定された:2I−→I2+2e。実験は3回繰り返されて再現性が確認された。
【0044】
3種類のステビオシド多形及びステビオシド無定形形態の材料特性を下記の表にまとめた。
【表2】
【0045】
実施例A
市販の試料源から原料ステビオシドが得られた。乾燥ベース(含水率3.92%)でHPLCを用いて不純物(76.8%のステビオシド、8.24%のレバウディオシドA、2.38%のステビオルビオシド、0.109%のレバウディオシドD、4.133%のその他のステビオル配糖体、0.293%のレバウディオシドB、2.38%のステビオルビオシド)が同定され、定量化された。
【0046】
原料ステビオシド(76%、1g)が30.0mLのメタノール(99%)内に懸濁され、10分間連続で撹拌されて45℃まで加温された。原料が完全に溶解して溶液が透明になるまで、水が液滴(約2.5mL)として添加された。透明な溶液が高温状態でろ過され、室温になるまで一晩冷却された。析出された固体はろ過され、メタノール(2×3〜4mL,99%)で洗浄され、真空オーブン内で減圧下(20mm)にて50℃で3〜4時間乾燥され、乾燥ベース(含水率2.63%)で0.588gの精製ステビオシド(HPLCにより>95%)が生成された。図3に示すXRPDの結果は、結晶化ステビオシドが異なる結晶形態であったことを示す。
【0047】
実施例B
市販の試料源から原料ステビオシド(76%、5g)が得られ、100mLのエタノール(99.96%)内に懸濁され、69℃まで加温された。ステビオシドは5分以内に溶解した。溶液をさらに10分間沸騰させて、2日間室温になるまで冷却された。結晶化ステビオシドはろ過され、真空オーブン内で減圧下(20mm)にて48〜50℃で3.5時間乾燥され、乾燥ベース(含水率3.55%)で純粋な結晶化ステビオシド(HPLCにより>97.0%)の73.00%の収率が得られた。図4に示すXRPDの結果は、結晶化ステビオシドが実施例Aと別の結晶形態であったことを示す。
【0048】
実施例C
実施例Bから得られたステビオシド(>97%、2g)は、溶液を1分間44℃で撹拌することで100mLの水に溶解した。溶液は、室温になるまで1日間冷却された。析出物はろ過され、真空オーブン内で減圧下(20mm)にて60℃で24時間乾燥され、乾燥ベース(含水率5.33%)で結晶化ステビオシド(HPLCにより>97.0%)の95%の収率が得られた。図2に示すXRPDの結果は、結晶化ステビオシドが実施例A又はBのものとは別の結晶形態であったことを示す。
【0049】
実施例D
5.0gの結晶化ステビオシドを200mLの水溶液内に溶解させて透明になるまで40〜50℃まで加熱することで、実施例Bから得た結晶化ステビオシドから濃溶液が調製された。高温の透明な溶液は、Lab−Plant製の乾燥機SD−04装置(英国西ヨークシャー、Lab−Plant Ltd.)で噴霧乾燥された。溶液は、供給ポンプを通してノズル噴霧器内に供給され、ノズル噴霧器は、窒素/空気の一定の流れの助けにより溶液を霧状にして液滴噴霧にした。水分は、乾燥チャンバ内の管理された温度条件(約90から約97℃)及び空気流条件の下で液滴から蒸発し、乾燥した微粒子が形成された。この乾燥粉末は、乾燥チャンバから連続的に排出され、清潔な乾燥した収集びん内に収集された。乾燥ベース(含水率3.20%)で純粋なステビオシド(HPLCにより>97%)の98%収率が得られた。図5に示すXRPDの結果は、ステビオシドが無定形形態であったことを示す。
【0050】
以上、本発明の特定の実施形態に関して本発明について詳細に説明してきたが、上記説明を理解すれば、当業者であればこれらの実施形態の代替形態、変形形態、及び均等物を容易に思い付くことができることを理解されたい。従って、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲及びその均等物に関して評価されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステビオシドを精製する方法であって、
原料ステビオシドと有機溶媒又は水性有機溶媒とを結合させてステビオシド溶液を形成する工程であって、前記水性有機溶液が約5重量%から約25重量%の量の水を含む工程と、
単一の工程でステビオシド溶液から乾燥ベースで約95重量%を超えるステビオシドを含む純度の実質的に純粋なステビオシド組成物を結晶化する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記ステビオシド溶液を加熱する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステビオシド溶液を冷却する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記単一の結晶化工程内のステビオシド溶液が、撹拌されるか、又は撹拌されない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステビオシドの結晶化を促進するのに十分な量のステビオシドを適当な温度で前記ステビオシド溶液に散布する工程(オプション)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記実質的に純粋なステビオシド組成物を分離し洗浄する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記実質的に純粋なステビオシド組成物を乾燥させる工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
有機溶媒又は水性有機溶媒内で前記実質的に純粋なステビオシド組成物をスラリーにする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記実質的に純粋なステビオシド組成物を分離し洗浄する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記実質的に純粋なステビオシド組成物を乾燥させる工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記水性有機溶媒が、少なくとも一種類の有機溶媒と水の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも一種類の有機溶媒が、アルコールを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アルコールが、エタノールを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アルコールが、メタノールを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも一種類の水性有機溶媒が、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される有機溶媒を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記有機溶媒又は水性有機溶媒及び原料ステビオシドが、原料ステビオシド1部に対して水性有機溶媒が約4から約10部の重量比でステビオシド溶液内に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記有機溶媒又は水性有機溶媒及び前記原料ステビオシドが、原料ステビオシド1部に対して水性有機溶媒が約3から約5部の重量比でステビオシド溶液内に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
水性有機溶媒が、約10重量%から約25重量%の量の水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記原料ステビオシド混合物が、純度が約40重量%から約95重量%のステビオシドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記原料ステビオシド混合物が、純度が約60重量%から約85重量%のステビオシドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記原料ステビオシド混合物が、純度が約70重量%から約85重量%のステビオシドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、ほぼ室温で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記ステビオシド溶液を加熱する工程が、前記ステビオシド溶液を約20℃から約40℃の範囲内の温度まで加熱する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記ステビオシド溶液を加熱する工程が、前記ステビオシド溶液を約40℃から約60℃の範囲内の温度まで加熱する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
前記ステビオシド溶液を加熱する工程が、前記ステビオシド溶液をほぼ還流温度まで加熱する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項26】
前記ステビオシド溶液を冷却する工程が、前記ステビオシド溶液を約4℃から約25℃の範囲内の温度まで冷却する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項27】
前記ステビオシド溶液を冷却する工程が、前記ステビオシド溶液を約0.5時間から約24時間冷却する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項28】
前記実質的に純粋なステビオシド生成物が、乾燥ベースで約97重量%のステビオシドより高い純度のステビオシドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記実質的に純粋なステビオシド生成物が、乾燥ベースで約98重量%のステビオシドより高い純度のステビオシドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記実質的に純粋なステビオシド生成物が、乾燥ベースで約99重量%のステビオシドより高い純度のステビオシドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記ステビオシド溶液を加熱する工程と、
前記ステビオシド溶液を冷却する工程と、
実質的に純粋なステビオシド組成物を分離し洗浄する工程と、
前記実質的に純粋なステビオシド組成物を乾燥させる工程と、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記実質的に純粋なステビオシド組成物の無定形形態を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記実質的に純粋なステビオシド組成物の無定形形態を形成する工程が、ボールミル粉砕、結晶化、凍結乾燥、低温粉砕及び噴霧乾燥からなる群から選択される方法を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
図2と実質的に同様のX線回折パターンを有する多形体を含む実質的に純粋なステビオシド組成物。
【請求項35】
図3と実質的に同様のX線回折パターンを有する多形体を含む実質的に純粋なステビオシド組成物。
【請求項36】
図4と実質的に同様のX線回折パターンを有する多形体を含む実質的に純粋なステビオシド組成物。
【請求項37】
図5と実質的に同様のX線回折パターンを有する無定形形態を含む実質的に純粋なステビオシド組成物。
【請求項38】
ステビオシドの多形及び/又は無定形形態の組合せを含む組成物であって、前記組合せが、図2と実質的に同様のX線回折パターンを有する多形体と、図3と実質的に同様のX線回折パターンを有する多形体と、図4と実質的に同様のX線回折パターンを有する多形体と、図5と実質的に同様のX線回折パターンを有する無定形形態とからなる群から選択される複数のステビオシドの多形及び/又は無定形形態を含む組成物。
【請求項39】
請求項1に記載の方法に従って製造される実質的に純粋なステビオシド組成物。
【請求項1】
ステビオシドを精製する方法であって、
原料ステビオシドと有機溶媒又は水性有機溶媒とを結合させてステビオシド溶液を形成する工程であって、前記水性有機溶液が約5重量%から約25重量%の量の水を含む工程と、
単一の工程でステビオシド溶液から乾燥ベースで約95重量%を超えるステビオシドを含む純度の実質的に純粋なステビオシド組成物を結晶化する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記ステビオシド溶液を加熱する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステビオシド溶液を冷却する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記単一の結晶化工程内のステビオシド溶液が、撹拌されるか、又は撹拌されない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステビオシドの結晶化を促進するのに十分な量のステビオシドを適当な温度で前記ステビオシド溶液に散布する工程(オプション)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記実質的に純粋なステビオシド組成物を分離し洗浄する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記実質的に純粋なステビオシド組成物を乾燥させる工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
有機溶媒又は水性有機溶媒内で前記実質的に純粋なステビオシド組成物をスラリーにする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記実質的に純粋なステビオシド組成物を分離し洗浄する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記実質的に純粋なステビオシド組成物を乾燥させる工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記水性有機溶媒が、少なくとも一種類の有機溶媒と水の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも一種類の有機溶媒が、アルコールを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アルコールが、エタノールを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アルコールが、メタノールを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも一種類の水性有機溶媒が、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される有機溶媒を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記有機溶媒又は水性有機溶媒及び原料ステビオシドが、原料ステビオシド1部に対して水性有機溶媒が約4から約10部の重量比でステビオシド溶液内に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記有機溶媒又は水性有機溶媒及び前記原料ステビオシドが、原料ステビオシド1部に対して水性有機溶媒が約3から約5部の重量比でステビオシド溶液内に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
水性有機溶媒が、約10重量%から約25重量%の量の水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記原料ステビオシド混合物が、純度が約40重量%から約95重量%のステビオシドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記原料ステビオシド混合物が、純度が約60重量%から約85重量%のステビオシドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記原料ステビオシド混合物が、純度が約70重量%から約85重量%のステビオシドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、ほぼ室温で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記ステビオシド溶液を加熱する工程が、前記ステビオシド溶液を約20℃から約40℃の範囲内の温度まで加熱する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記ステビオシド溶液を加熱する工程が、前記ステビオシド溶液を約40℃から約60℃の範囲内の温度まで加熱する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
前記ステビオシド溶液を加熱する工程が、前記ステビオシド溶液をほぼ還流温度まで加熱する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項26】
前記ステビオシド溶液を冷却する工程が、前記ステビオシド溶液を約4℃から約25℃の範囲内の温度まで冷却する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項27】
前記ステビオシド溶液を冷却する工程が、前記ステビオシド溶液を約0.5時間から約24時間冷却する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項28】
前記実質的に純粋なステビオシド生成物が、乾燥ベースで約97重量%のステビオシドより高い純度のステビオシドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記実質的に純粋なステビオシド生成物が、乾燥ベースで約98重量%のステビオシドより高い純度のステビオシドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記実質的に純粋なステビオシド生成物が、乾燥ベースで約99重量%のステビオシドより高い純度のステビオシドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記ステビオシド溶液を加熱する工程と、
前記ステビオシド溶液を冷却する工程と、
実質的に純粋なステビオシド組成物を分離し洗浄する工程と、
前記実質的に純粋なステビオシド組成物を乾燥させる工程と、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記実質的に純粋なステビオシド組成物の無定形形態を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記実質的に純粋なステビオシド組成物の無定形形態を形成する工程が、ボールミル粉砕、結晶化、凍結乾燥、低温粉砕及び噴霧乾燥からなる群から選択される方法を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
図2と実質的に同様のX線回折パターンを有する多形体を含む実質的に純粋なステビオシド組成物。
【請求項35】
図3と実質的に同様のX線回折パターンを有する多形体を含む実質的に純粋なステビオシド組成物。
【請求項36】
図4と実質的に同様のX線回折パターンを有する多形体を含む実質的に純粋なステビオシド組成物。
【請求項37】
図5と実質的に同様のX線回折パターンを有する無定形形態を含む実質的に純粋なステビオシド組成物。
【請求項38】
ステビオシドの多形及び/又は無定形形態の組合せを含む組成物であって、前記組合せが、図2と実質的に同様のX線回折パターンを有する多形体と、図3と実質的に同様のX線回折パターンを有する多形体と、図4と実質的に同様のX線回折パターンを有する多形体と、図5と実質的に同様のX線回折パターンを有する無定形形態とからなる群から選択される複数のステビオシドの多形及び/又は無定形形態を含む組成物。
【請求項39】
請求項1に記載の方法に従って製造される実質的に純粋なステビオシド組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2010−528029(P2010−528029A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509469(P2010−509469)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/063845
【国際公開番号】WO2008/147725
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(391026058)ザ・コカ−コーラ・カンパニー (238)
【氏名又は名称原語表記】THE COCA−COLA COMPANY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/063845
【国際公開番号】WO2008/147725
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(391026058)ザ・コカ−コーラ・カンパニー (238)
【氏名又は名称原語表記】THE COCA−COLA COMPANY
【Fターム(参考)】
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