説明

ステントデリバリー装置

【課題】カテーテル部の遠位端の管腔への挿入作業を容易に行うことができるステントデリバリー装置を提供する。
【解決手段】その遠位端近傍の外周面上にステント4を配置するためのステント配置部27を有する内管21と、内管21がスライド可能に挿通されるとともに、ステント配置部27に配置されたステント4を縮径させた状態で保持する外管22とを有するカテーテル部2を備えるステントデリバリー装置1であって、カテーテル部2の遠位端近傍を湾曲させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステントを体内に留置させるために用いられるステントデリバリー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
狭窄化した消化器管、血管、その他の管腔の開存を確保するために、狭窄部位にステントを留置する医療方法が知られている。ステントは、狭窄部位で拡張されることによって管腔が確保されるように留置されるデバイスである。ステントとしては、バルーン拡張型、自己拡張型などがあるが、自己拡張型のステントを管腔に留置するための装置としては、例えば、下記特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載のステントデリバリー装置は、内管と、該内管がスライド可能に挿通された外管とを有するカテーテル部を備え、内管の遠位端近傍に設けられたステント配置部にステントを配置して、外管の遠位端近傍の内側で該ステントを縮径させた状態で保持し、該カテーテル部の近位端側において、内管に対して外管を引き抜くようにスライドさせることにより、ステントを拡径させるようにしている。カテーテル部の遠位端を目的とする狭窄部に導く際には、内管内に挿通され、先行して管腔内に挿入されたガイドワイヤーに沿って、該カテーテル部を進行させる(押し込む)操作が行われる。
【0004】
ところで、例えば、肝臓内の胆管(肝内胆管)にステントを留置させる場合、肝内胆管は急角度に屈曲していることが多いため、デリバリー装置はガイドワイヤーに追従しながら、屈曲部に円滑に挿入できる必要がある。特に肝内胆管の分岐部において、一方の分岐に渡ってステントを留置した後、さらに他方の分岐に渡ってステントを配置する場合等には、先に留置したステントの側壁の隙間部分から当該他方の分岐に向かってカテーテル部の遠位端を円滑に挿入する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2007/122901
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のステントデリバリー装置では、カテーテル部の遠位端近傍は直線状に形成されているため、ガイドワイヤーが屈曲部に沿って曲がっていても、カテーテル部の遠位端が直進しようとするため、ガイドワイヤーに沿った方向への挿入作業が必ずしも容易でなかった。特に肝内胆管の分岐部において、一方の分岐に渡ってステントを留置した後、さらに他方の分岐に渡ってステントを配置する場合には、先に留置したステントにカテーテル部の遠位端が引っかかってしまい、ガイドワイヤーに沿った方向への挿入作業が難しい場合が多かった。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、カテーテル部の遠位端の挿入作業を容易に行うことができるステントデリバリー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のステントデリバリー装置は、その遠位端近傍の外周面上にステントを配置するためのステント配置部を有する内管と、前記内管がスライド可能に挿通されるとともに、前記ステント配置部に配置された前記ステントを縮径させた状態で保持する外管とを有するカテーテル部を備えるステントデリバリー装置であって、前記カテーテル部の遠位端近傍を湾曲させたことを特徴とする。
【0009】
本発明のステントデリバリー装置において、前記ステント配置部に前記ステントを配置し、前記外管で前記ステント配置部に配置された前記ステントを縮径させた状態で保持し、前記ステントを含む前記内管および前記外管の遠位端近傍を一体的に湾曲させた状態で癖付け加工することにより、湾曲させるようにできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のステントデリバリー装置では、カテーテル部の遠位端近傍を湾曲させているので、管腔の屈曲部に沿ってガイドワイヤーが比較的に急激に曲がっている場合であっても、カテーテル部の遠位端が該ガイドワイヤーに追従し易くなり、ガイドワイヤーに沿った方向への挿入作業を円滑かつ容易に行うことができる。特に管腔の分岐部において、一方の分岐に渡ってステントを留置した後、さらに他方の分岐に渡ってステントを配置する場合等であっても、先に留置したステントにカテーテル部の遠位端が引っかかってしまうことが少なくなり、ガイドワイヤーに沿った方向への挿入作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態のステントデリバリー装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図である。
【図3】本発明の実施形態のステントデリバリー装置のカテーテル部の遠位端近傍を示す図である。
【図4】本発明の実施形態のステントデリバリー装置のカテーテル部の遠位端近傍の癖付け加工の際に用いるマンドレルを示す図である。
【図5】本発明の実施形態のステントデリバリー装置のカテーテル部の遠位端近傍の癖付け加工時の様子を示す図である。
【図6】模擬胆管の一方の分岐に渡ってステントを留置した状態を示す図である。
【図7】模擬胆管の他方の分岐にガイドワイヤーを挿入した状態を示す図である。
【図8】本発明の実施形態のステントデリバリー装置のカテーテル部を模擬胆管に挿入する際の利点を説明するための図である。
【図9】従来技術のステントデリバリー装置のカテーテル部を模擬胆管に挿入する際の欠点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るステントデリバリー装置について、図面を参照して具体的に説明する。本実施形態のステントデリバリー装置は、自己拡張型のステントを総胆管の狭窄部に留置するために用いられる医療用処置具であり、内視鏡の処置具案内管を介して総胆管内に挿入する内視鏡方式の装置である。但し、本発明はこれに限定されず、バルーン拡張型のステントを管腔内に留置するために用いるステントデリバリー装置に適用することができる。また、胆管を対象とするものでなく、血管やその他の管腔を対象とするものであっても適用することができる。さらに、内視鏡の処置具案内管を介して挿入する内視鏡方式のもののみならず、直接針を刺してアプローチする経皮方式のものにも適用することができる。
【0013】
図1は本発明の実施形態のステントデリバリー装置としてのステントデリバリーカテーテル(以下、単にカテーテルともいう)1の全体を示す平面図であり、図2は図1のA−A線に沿って切断した断面図である。カテーテル1は患者の体内(管腔)に挿入される細長いカテーテル部2およびカテーテル部2の近位端側に接続され、体外側から体内のカテーテル部2を操作するための操作部3を概略備えている。なお、図1では、カテーテル部2の内部構造の理解を容易なものとするために、後述する外管22が近位端側にスライド(移動)されてステント4が露出している状態を示している。また、後に詳述するように、外管22が遠位端側に移動してステント4がその内部に収容保持された状態(組み上げられた状態)で、ステント4を含むカテーテル部2の遠位端近傍は湾曲しているが、図1では便宜的に直線的に描かれている。
【0014】
図1および図2に示されるように、カテーテル部2は、遠位端および近位端を有する内管21と、遠位端および近位端を有する外管22と、内管21の遠位端に設けられる先端チップ23と、外管22の外周を覆うように、外管22と同心状に配される最外管24とを備えている。先端チップ23には、遠位端側に向けて細くなるようなテーパが形成されている。また、内管21および外管22の遠位端近傍には、それぞれ造影マーカー25、26が取り付けられている。
【0015】
内管21には、ガイドワイヤー7(図7参照)を挿通するための内腔が形成されている。ガイドワイヤー7を体内に挿入して体外と体内との経路を確保した後、カテーテル部2を構成する内管21の内腔内に挿通されたガイドワイヤー7に沿ってカテーテル部2を押し込む(進行させる)ことにより、カテーテル部2の遠位端近傍を体内の目的部位に挿入することができる。また、内管21の遠位端側には、ステント配置部27が形成されており、ステント配置部27には、ステント4が内管21を覆うように配置されている。
【0016】
本実施形態においては、内管21は、ステント配置部27よりも近位端側で、内管内層21aと該内管内層21aを覆うように形成された内管外層21bとを備える二層構造とされている。そして、内管内層21aの遠位端は内管外層21bの遠位端より遠位端側に位置しており、これによって内管外層21bの遠位端に段差が形成されている。この段差は、ステント4を所定位置に留置する際に必要な操作である外管22の近位端側へのスライド操作の際に、ステント4が外管22と共にステント配置部27から近位端側に移動してしまわないようにするためのストッパの役割を果たしている。
【0017】
内管21は可撓性を有しており、その材料としては、ある程度の剛性と摺動性が求められる。本実施形態においては、内管内層21aが高剛性のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂であり、内管外層21bが摺動性に優れる高密度ポリエチレン(HDPE)としている。なお、内管にはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)のみでなく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、高分子からなる樹脂層に金属線の編組体が埋設されたものが使用され、内管内層21aおよび内管外層21bを組み合わせることにより多種類の内管を使用することができる。剛性や摺動性の向上等のために、材料の表面にコーティング等がなされていてもよい。内管21の寸法は、通常、長さは外管22と操作部3の長さを合計した程度であり、外径は0.5〜3.0mm程度である。
【0018】
外管22は、内管21の外径よりもわずかに大きい内径を有しており、その内側に内管21が挿通されている。内管21の外周面と外管22の内周面との間には、ステント4が装着できるように所定の隙間が形成されている。外管22の近位端は、操作部3に接続されている。外管22は、操作部3を操作することにより、内管21に対して軸方向にスライド(相対移動)可能である。
【0019】
外管22は可撓性を有しており、高分子材料からなる樹脂層22aと、この樹脂層22aに埋設され、複数本の線材を螺旋状に編組してなる管状の編組体22bとを備えている。編組体22bは、ステント配置部27に相当する部分以外の部分にのみ設けられている。
【0020】
樹脂層22aを構成する材料としては、外管22を透かしてその内部にあるステント4を目視できる透明な高分子材料が好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、ポリエステルポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等の各種樹脂材料や、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の各種熱可塑性エラストマーを使用することがでる。これらのうち2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0021】
編組体22bは、金属製の線材を複数本編組することにより構成され、全体として管状体をなす。この編組体22bにおいて、各々の線材は、螺旋状に巻回された形状を有している。編組体22bを構成する線材の材料は、例えば、金、銀、白金、銅、イリジウム、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、アルミニウム、錫、亜鉛などの金属単体、ステンレス鋼、ニクロム鋼、ニッケル−チタン合金、チタン系合金などの合金が挙げられる。なかでも、加工性、強度、耐食性の観点より、SUS304、SUS316等のステンレス鋼を用いることが好ましい。
【0022】
本実施形態のステントデリバリーカテーテル1に装着されるステント4は、収縮状態から自己の弾性力によって拡張する自己拡張型のステントであり、ニッケルチタン合金やコバルトクロム合金などの超弾性金属あるいは形状記憶金属等で構成される。
【0023】
先端チップ23は、カテーテル1の挿入抵抗を低減し、体内への挿入を容易にする役割を果たしており、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、およびポリエチレン等のポリオレフィン樹脂を含む当分野で周知のあらゆる好適な材料から形成することができる。
【0024】
最外管24は、操作部3から遠位端方向に、一定長さの外管22の外周面を覆うように、外管22と同心円状に配された管であり、その近位端側が操作部3におけるハウジング31の前方キャップ32の先端に固定されている。本実施形態において、最外管24は必ずしも必須ではないが、外管22がカテーテル部2の最外層になると、ステント4の留置操作である外管22の近位端側へのスライドの際に、外管22を手で保持することが不可能となる。なぜならば、近位端側に動こうとする外管22を手で保持して、その位置で固定してしまうと、結果的に内管21が体内壁に対して遠位端方向に移動してしまい、ステント4の留置位置がずれ易くなるからである。したがって、カテーテル1を手で保持することを可能とし、ステント4の留置位置をずれ難くする観点からは、最外管24を設けることが好ましい。最外管24は、通常、長さが外管22よりも500〜1500mm程度短く、内径が外管22の外径よりも0.05〜1.0mm程度大きい寸法で設けられる。材料は特に限定はないが、合成樹脂を用いることができ、本実施形態においてはポリアセタールが使用されている。
【0025】
内管21および外管22の遠位端近傍に装着されている造影マーカー25,26は、X線透視によりその位置が検出されて体内における標識となるものであり、例えば金、白金、タングステン等の金属材料や、硫酸バリウムや酸化ビスマスがブレンドされたポリマー等により形成される。内管21および/または外管22の遠位端近傍に造影マーカー25,26を装着すると、X線透視によって、造影マーカー25,26の位置を検出することが可能となり、カテーテル部2の先端部分の位置を正確に把握できるため好ましい。
【0026】
特に、図示のように内管21と外管22の両方に造影マーカー25,26を装着すると、それぞれの管の相対位置を把握することでステント4が解放されたか否かが分かるため、好ましい。造影マーカー25,26の形状は特に限定されないが、リング状であることが好ましい。また、造影マーカー25,26は、内管21および/または外管22の内周面あるいは外周面に装着してもよいし、内管21および/または外管22に埋設してもよい。本実施形態では、上述のように内管外層21bがステント4のストッパの役割を果たしているが、内管21が一層のみから構成されている場合等には、内管21の外周面にリング状の造影マーカー25を取り付けて段差を形成することにより、造影マーカー25にストッパの役割を付与することもできる。
【0027】
操作部3としては、駆動レバー33を操作して外管22を近位端側に移動させる構成としたが、これには限定されず、例えば、手動操作により内管に対して外管を近位端側へ引くことによって、ステントを開放するような比較的簡易な構成としてもよい。要するに、外管を軸方向に移動させて、ステントの規制および開放を行うことができれば、その構成は特に限定されない。
【0028】
なお、図1に示す状態においては、ステント4と内管21および外管22との位置関係を明確にするために、内管21のステント配置部27上に拡張していない状態のステント4が示されているが、本実施形態のステント4は自己拡張型のステントであるので、図示のように外管22から開放されると、拡張してステント配置部27の外周面から離れた状態となる。
【0029】
本実施形態のステントデリバリーカテーテル1のカテーテル部2の遠位端近傍の部分は、図3に示されているように、組み上げた状態、すなわち、内管21のステント配置部27にステント4を縮径した状態で配置し、外管22の遠位端近傍がステント4の外側を覆ってその内部に収容保持するように、内管21に対してスライドさせた状態において、湾曲するように癖付け加工されている。この癖付け加工は、その遠位端近傍が直線的に形成された状態のカテーテル部2の内管21(先端キャップ23を含む)内に、図4に示すように予め所定形状に湾曲された金属等からなるマンドレル5を挿入して、図5に示されているような状態とし、オーブン(加熱装置)を用いて所定の温度で所定の時間だけ加熱することにより、行うことができる。
【0030】
加熱後、カテーテル部2からマンドレル5を引き抜くと、カテーテル部2の遠位端近傍は、マンドレル5の屈曲に対してある程度戻ってしまい、マンドレル5の曲率よりもその曲率が小さくなってしまうため、この戻り分を考慮して、癖付け加工に用いるマンドレル5の曲率、オーブンによる加熱温度および加熱時間を設定して、カテーテル部2の遠位端近傍を目的とする曲率となるように癖付けする。
【0031】
本実施形態では、一例として、80℃で1時間加熱することにより、図3に示したような目的とする湾曲形状を得ている。本実施形態では、カテーテル部2の遠位端近傍の湾曲された部分(湾曲部)は、一例として、カテーテル部2の遠位端(先端キャップ23の遠位端)から約2.0mmの部分とし、その半径はr=4.5mmに設定している。
【0032】
なお、湾曲部はステントの搭載部より先端部のみとし、半径は2.0〜10.0mmの範囲に規定する。
【0033】
なお、本実施形態では、ステント4を含む組み上げた状態のカテーテル部2の遠位端近傍を全体として一体的に湾曲させるようにしているが、内管21および外管22を別々に分離した状態で癖付け加工した後に、ステント4と共に組み上げるようにしてもよい。但し、後者の場合は、癖付け加工および組み上げの工数が多くなるため、前者のように組み上げ後に一体として癖付け加工する方がより好ましい。
【0034】
図6に総胆管をイメージした透明樹脂から作成した模擬胆管が示されている。同図において、十二指腸側(図において下側)の胆管6aから分岐部を経て肝臓側の胆管6bおよび胆管6cに分岐されており、分岐部近傍において狭窄部を開存するため、胆管6aから胆管6bに渡ってステント4が留置されている。この状態から胆管6aおよび胆管6cに渡って、または胆管6c内に新たなステントを留置させる場合には、まず、図7に示されているように、ガイドワイヤー7を胆管6a側から挿入し、留置済みのステント4の側壁の隙間部分を通過させて胆管6cに導く。
【0035】
次いで、図8に示されているように、カテーテル部2(内管21)内に挿通されたガイドワイヤー7に沿って、カテーテル部2を押し込む(進行させる)と、カテーテル部2の遠位端近傍が適宜に湾曲されているので、分岐部において留置済みのステント4に干渉することが少なく、ガイドワイヤー7の湾曲に沿って追従し易く、胆管6c内に比較的に円滑に導くことができる。したがって、カテーテル部2の管腔(胆管)内への挿入作業が容易である。
【0036】
これに対し、図9に示されているように、カテーテル部2の遠位端近傍が直線的に形成された従来構成のものでは、ガイドワイヤー7の湾曲に追従し難く、真っ直ぐに進行しようとするため、同図中矢印Bで示すように、カテーテル部2の遠位端が留置済みのステント4の側壁や胆管の内壁に干渉して引っかかることが多く、目的とする胆管6cへの挿入作業が難しいことがわかる。
【0037】
カテーテル部2が胆管内の所定の位置に導入された後、操作部3の駆動レバー33を操作すると、外管22は操作部3の内部に引かれるように、内管21に対して相対的に近位端側へ一定の距離を移動する。その結果、外管22に完全に覆われていた内管21のステント配置部27の外周面上にあるステント4の遠位端側の一部が露出する。駆動レバー33の操作を繰り返すことにより、最終的にステント4を正確に術者の意図した部位における内管21のステント配置部27の外周面上で完全に露出させることができる。そして、完全に露出したステント4は、外方に拡張して体内に留置される。
【0038】
本実施形態では、総胆管内にステント4を留置する場合を例示したが、ステント4を留置する体内の部位は特に限定されず、例えば、食道、十二指腸、小腸、大腸などの消化器管、尿管、尿道などの泌尿器管、気管あるいは血管など、あらゆる体腔にステント4を留置するために用いることができる。
【0039】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上述した実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0040】
1…ステントデリバリー装置(ステントデリバリーカテーテル)、
2…カテーテル部、
21…内管、
22…外管、
23…先端チップ、
24…最外管、
25,26…造影マーカー、
27…ステント配置部、
3…操作部、
31…ハウジング、
32…先端キャップ、
33…駆動レバー、
4…ステント、
5…マンドレル、
6…模擬胆管、
7…ガイドワイヤー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その遠位端近傍の外周面上にステントを配置するためのステント配置部を有する内管と、前記内管がスライド可能に挿通されるとともに、前記ステント配置部に配置された前記ステントを縮径させた状態で保持する外管とを有するカテーテル部を備えるステントデリバリー装置であって、
前記カテーテル部の遠位端近傍を湾曲させたことを特徴とするステントデリバリー装置。
【請求項2】
前記ステント配置部に前記ステントを配置し、前記外管で前記ステント配置部に配置された前記ステントを縮径させた状態で保持し、前記ステントを含む前記内管および前記外管の遠位端近傍を一体的に湾曲させた状態で癖付け加工したことを特徴とする請求項1に記載のステントデリバリー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−139471(P2012−139471A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1119(P2011−1119)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】