説明

ステープルカートリッジ、画像形成装置、及びステープル不足通知方法

【課題】ステープル不足による印刷処理の中断を適切に防止することのできるステープルカートリッジ、画像形成装置、及びステープル不足通知方法の提供を目的とする。
【解決手段】画像形成装置に利用されるステープルカートリッジであって、ステープルの残量が記録された記憶手段を有し、ステープルの消費に応じ、前記記憶手段に記録されているステープルの残量が更新されることにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステープルカートリッジ、画像形成装置、及びステープル不足通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の、複写機又は複合機等の画像形成装置は、ソート機能、折り機能、パンチ機能、又はステープル機能等のいわゆる後処理機能を備えているものが一般的になりつつある。後処理機能の中で、ステープル機能は、ステープル(針)を利用する点において、他の後処理機能と異なる側面を有する。すなわち、ステープルは消耗品であり、印刷途中において不足してしまう可能性がある。
【0003】
従来、印刷中においてステープルが不足した場合(使い切ってしまった場合)、印刷処理又は後処理が中断してしまったり、ステープル機能を実行せずに排紙したりしていた(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−035107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像形成装置本来の機能である印刷が実行可能な状態であるにも拘わらず、後処理であるステープル機能が実行できないことによって印刷処理又は後処理が途中で中断してしまうのはユーザにとって不便である。
【0005】
また、ステープル機能が実行されずに排紙されてしまうのは、ユーザにとって意図したものと異なる結果が得られてしまい、好ましくない。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、ステープル不足による印刷処理の中断を適切に防止することのできるステープルカートリッジ、画像形成装置、及びステープル不足通知方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで上記課題を解決するため、本発明は、画像形成装置に利用されるステープルカートリッジであって、ステープルの残量が記録された記憶手段を有し、ステープルの消費に応じ、前記記憶手段に記録されているステープルの残量が更新されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記記載のステープルカートリッジを利用する画像形成装置であって、現在利用しているステープルカートリッジの前記記憶手段に記録されているステープルの残量を取得する残量取得手段と、印刷指示に応じてステープルの必要量を算出する必要量算出手段と、前記残量と前記必要量とを比較することによりステープルの不足を判定する判定手段とを有し、前記判定手段による判定結果に応じて、前記ステープルの不足を通知させる通知手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、ステープルカートリッジを利用する画像形成装置であって、各ステープルカートリッジを識別する識別情報に応じて、ステープルの残量が記録されたステープル残量記憶手段と、現在利用しているステープルカートリッジに記録されている前記識別情報を取得し、取得された識別情報と、前記ステープル残量記憶手段とに基づいて現在利用しているステープルカートリッジの残量を取得する残量取得手段と、印刷指示に応じてステープルの必要量を算出する必要量算出手段と、前記残量と前記必要量とを比較することによりステープルの不足を判定する判定手段とを有し、前記判定手段の判定結果に応じて、前記ステープルの不足を通知させる通知手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、画像形成装置に利用されるステープルカートリッジであって、
ステープルの消費に応じて変化する物理量又は物理量の変化量を計測する計測手段と、
前記計測手段による計測値を前記画像形成装置に通知する通知手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記記載のステープルカートリッジを利用する画像形成装置であって、ステープルの消費に応じ、ステープルの消費量と前記ステープルカートリッジより通知される前記計測値とを記録する記録手段と、記録されたステープルの消費量と前記計測値との履歴に基づいて、前記ステープルの消費量と前記計測値との関係を導出する関係導出手段と、印刷指示に応じて、ステープルの必要量を算出する必要量算出手段と、印刷指示がされたときの前記計測値と、前記消費量と前記計測値との関係とに基づいて前記ステープルカートリッジにおけるステープルの残量を推定する残量推定手段と、前記必要量と推定された残量とを比較することによりステープルの不足を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に応じて、前記ステープルの不足を通知させる通知手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ステープル不足による印刷処理の中断を適切に防止することのできるステープルカートリッジ、画像形成装置、及びステープル不足通知方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における複合機の一例の外観図である。図1において、複合機1は、画像形成装置の一例であり、本体部100と、撮像部121と、自動原稿送り部122と、給紙部123a、123b、及び123c(以下、総称する場合「給紙部123」という。)と、排紙部124a及び124b(以下、総称する場合「排紙部124」という。)と、後処理部125と等を有する。
【0014】
本体部100は、複合機1の制御部等が格納される。撮像部121は、スキャナ等によって構成され、原稿より画像を読み取る。自動原稿送り部122は、原稿を自動的に連続して撮像部121に読み取らせるための機構を有する。給紙部123は、給紙トレイ等によって構成され、印刷用紙が格納される。排紙部124は、排紙トレイ等により構成され、印刷された用紙を排出する。後処理部125は、ステープル処理、パンチ処理、折り処理、ソート処理等の後処理を実行する。
【0015】
図2は、第一の実施の形態における複合機の制御部及び後処理部の構成例を示す図である。図2中、図1と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0016】
図2において、制御部110は、それぞれバスBで相互に接続されている、CPU111、補助記憶装置112、メモリ装置113、ネットワークインタフェース114、通信装置115、及び後処理入出力部116等より構成される。
【0017】
補助記憶装置112には、インストールされたプログラムや、撮像部121によって読み取られた画像データ等が記録される。メモリ装置113は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置112からプログラムを読み出して格納する。CPU111は、メモリ装置113に格納されたプログラムに従って複合機1に係る機能を実行する。ネットワークインタフェース114は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介した通信を制御する。通信装置115は、FAX通信の制御を行う。後処理入出力部116は、後処理部125との通信を制御する。
【0018】
なお、図2では、図1において図示されていなかった、印刷部126及び操作部127が図示されている。印刷部126は、感光体ドラム及び転写ベルト等によって構成され、印刷用紙に画像を転写する。操作部127は、いわゆる操作パネルであり、操作指示の入力を受け付けるための各種のボタン(キー)や、情報の表示及び操作指示の入力を受け付けるためのLCD(Liquid Crystal Display)等によって構成される。
【0019】
一方、後処理装置125には、ステープルカートリッジ200が装着される。ステープルカートリッジに格納されたステープル(針)によって、ステープル処理が実現される。図2において、ステープルカートリッジ200は、情報記憶部201及び情報通信部202等を備える。情報記憶部201には、ステープルカートリッジ200におけるステープルの残量が記録される。ステープルカートリッジ200の出荷時には、そのときに格納されているステープルの残量が記録される。情報通信部202は、後処理入出力部116との間の有線又は無線通信を実現することにより、情報記憶部201に記録されているステープル残量へのアクセス経路を後処理入出力部116に提供する。なお、情報記憶部201及び情報通信部202は、RFID(Radio Frequency Identification)等によって一体的に構成されてもよい。
【0020】
図3は、第一の実施の形態におけるステープルカートリッジの構成図である。図3中、図2と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図3において、ステープルカートリッジ200は、ステープル積層203、圧板204、ばね205、ステープル押し出し部206、及びステープル射出部207等を有する。
【0021】
ステープル積層203は、それぞれ直線のステープル(針)を平面状に並べることによって構成される板状のステープルの集合(図中における一つの層に相当する。)を積層することによって構成される。図中において、各ステープルの長手方向は、図面に対して垂直方向となる。圧板205は、ばね205の弾力によってステープル積層203を上方より押し付けるための板上の部材である。ばね205は、圧板205とステープルカートリッジ200の天井部との間に配設され、圧板205に対してステープル積層203を図中における下方に押し付けるための荷重を作用させる。なお、ばね205の代わりに、ばね205と同様の力を作用させる弾性体を用いてもよい。ステープル押し出し部206は、最下層のステープルを一本ずつ矢印の方向に押し出す(送り出す)ための部材である。押し出されたステープルは、ステープル射出部207より射出される。
【0022】
ステープル押し出し部206は、射出されたステープル幅の分だけ矢印方向(左方向)に移動する。一層分の全てのステープルが射出されると、ステープル押し出し部206は、右端に移動する。それに応じて、ステープル積層203は圧板204によって下方に押しつけられ、1層分だけ下降し、新たな最下層が射出対象となる。すなわち、ステープルが消費されるに応じて圧板204は下降する。
【0023】
図4は、第一の実施の形態における複合機の機能構成例を説明するための図である。図4において、複合機1は、印刷処理制御部11、必要量算出部12、残量判定部13、不足判定部14、不足通知部15、及び残量更新部16等より構成される。これら各部は、プログラムがCPU111によって処理されることにより実現されるソフトウェアである。
【0024】
印刷処理制御部11は、印刷指示やコピー指示等(以下、「印刷指示等」という。)に応じて実行される印刷処理全般の制御を行う。必要量算出部12は、印刷指示等の内容に基づいて、当該印刷指示に応じたステープル処理において必要とされる(消費される)ステープルの本数(以下、「ステープル必要量」という。)を算出する。残量判定部13は、印刷指示受け付け時におけるステープルの残量(以下、「ステープル残量」という。)を判定する。第一の実施の形態では、残量判定部13は、ステープルカートリッジ200の情報記憶部201よりテープル残量を取得する。不足判定部14は、ステープル必要量とステープル残量とを比較することにより、印刷実行前にステープルが不足する可能性の有無を判定する。不足通知部15は、不足判定部14によって、ステープルの不足の可能性が有ると判定されたときに、その旨をユーザに通知するための処理を制御する。残量更新部16は、ステープルの消費に応じて、ステープルカートリッジ200の情報記憶部201におけるステープル残量の値を更新する。
【0025】
以下、複合機1の処理手順について説明する。図5は、第一の実施の形態における複合機の処理手順を説明するためのフローチャートである。図5の処理は、撮像部121によって読み取られた画像データ、補助記憶装置112に保存されている画像データ、又はネットワークを介して受信される画像データの印刷が指示され、当該印刷指示において、ステープル処理の実行が指定されている場合において、印刷が開始される前、又は遅くとも排紙が開始される前に実行される。
【0026】
ステップS101において、残量判定部13は、ステープルの残量を判定する。第一の実施の形態では、ステープルカートリッジ200の情報記憶部201に記録されているステープル残量を取得する。続いて、必要量算出部12は、印刷指示の内容に基づいて、ステープル必要量を算出する(S102)。例えば、印刷指示において指定されている、ステープルを行う部数、ステープルを行う箇所等のパラメータに基づいてステープルの必要量が算出される。
【0027】
続いて、不足判定部14は、ステープル必要量とステープル残量とを比較することにより、今回の印刷指示に対するステープル処理においてステープルが不足するか否かを判定する(S103)。ステープル必要量がステープル残量を超える場合、ステープルは不足すると判定され(S103でYes)、不足通知部15は、ステープルが不足する可能性があることを通知する(S104)。当該通知(不足通知)は、例えば、操作部127を介して印刷指示が入力された場合は、操作部127にステープルの不足を通知する画面(以下、「不足通知画面」という。)を表示させることにより行われる。また、ネットワークを介して接続されているPC(Personal Computer)等より印刷指示が入力された場合は、当該PCに不足通知画面を表示させることにより行われる。不足通知により、ユーザは、印刷処理が開始される前、又は排紙が開始される前に、ステープルの不足を予め認識することができる。
【0028】
不足通知に応じて、ユーザが、ステープルカートリッジ200を交換する等によってステープルを補給した場合(S105でYes)、印刷処理制御部11は、印字(印刷用紙への画像の転写)を印刷部126に実行させる(S107)。
【0029】
一方、不足通知に応じて、ユーザがステープルを補給しない場合、例えば、不足通知画面において、ステープルの補給を行わないことがボタン等を介して入力された場合(S105でNo)、印処理制御部11は、対応指示を入力させる(S106)。対応指示の入力とは、例えば、印刷条件の変更(印刷部数の変更、ステープルの箇所の変更、又はステープル処理の解除等)や、印刷の中止の指示等が相当する。対応指示が入力されると、印刷の中止が指示された場合を除き、印刷処理制御部11は、印字を印刷部126に実行させる(S107)。なお、対応指示の入力において、印刷条件が変更された場合、再度、ステップS102以降を繰り返すことにより、ステープルの不足を判定してもよい。
【0030】
ステップS107に続いて、印刷処理制御部11は、対応指示において、ステープル処理の解除(スキップ)が指定されたか否かを判定する(S108)。ステープル処理の解除が指定されていない場合、又はステープルが不足していない場合(S108でNo)、印刷処理制御部11は、後処理装置125にステープル処理を実行させる(S109)。続いて、残量更新部16は、ステープル残量を更新する(S110)。第一の実施の形態では、ステップS101において取得されたステープル残量から、ステップS109において消費されたステープルの本数(ステープル消費量)を減ずることにより新たなステープル残量を算出し、算出されたステープル残量をステープルカートリッジ200の情報記憶部201に書き込む。なお、ステープル消費量は、実際にステープルの射出が行われた回数を後処理装置125より取得することにより把握してもよいし、ステップS102において算出されたステープル必要量をステープル消費量としてもよい。
【0031】
一方、対応指示において、ステープルの解除が指定された場合(S108でYes)、印刷処理制御部11は、ステープル処理の実行をスキップする。
【0032】
ステップS110又はステップS108でYesの場合に続いて、印刷処理制御部11は、印刷された用紙の排紙を排紙部124に実行させる(S111)。この際、ステープル処理が実行された場合は、ステープル処理が施された用紙が排紙される。
【0033】
上述したように、第一の実施の形態によれば、ステープルが不足すると予測される場合にそれを事前にユーザに知らせることができ、ステープルの補給や印刷条件の変更等、代替処理手段を事前に選択させる事ができる。これによってステープルの不足によって印刷処理が中断されることを回避することができる。また、ステープルの不足の通知に応じてステープルが補給された場合、ユーザが当初期待した通りの形式によって印刷結果を出力することができる。また、ステープルが補給されない場合でも、代替手段を選択させる機会を与えることにより、ユーザが納得済みの形式で印刷結果を出力することができる。
【0034】
また、ステープル残量は、複合機1が自動的に判定するため、ステープルカートリッジを交換した際やステープルを補給した際に、ユーザは、ステープルの補給量をわざわざ手入力する必要はない。
【0035】
また、ステープル残量は、ステープルカートリッジ200の記憶部に記録されるため、途中まで使用されて取り外されたステープルカートリッジ200が再度装着された場合であっても、装着されたステープルカートリッジ200のステープル残量が正確に把握される。
【0036】
次に、第二の実施の形態について説明する。第二の実施の形態では第一の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及しない点については第一の実施の形態と同様でよい。
【0037】
図6は、第二の実施の形態における複合機の機能構成例を説明するための図である。図6中、図4と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図6に示されるように、第二の実施の形態では、残量管理テーブル17が新たに構成要素とされる。
【0038】
図7は、残量管理テーブルの構成例を示す図である。図7に示されるように、残量管理テーブル17は、装着されたステープルカートリッジ200ごとにカートリッジIDとステープル残量とを管理するテーブルであり、例えば、補助記憶装置112に記録される。カートリッジIDは、ステープルカートジ200ごとに一意のIDである。すなわち、第二の実施の形態では、ステープル残量は、複合機1内で管理される。なお、第二の実施の形態において、各ステープルカートリッジ200の情報記憶部201には、当該ステープルカートリッジ200のカートリッジIDとステープル残量(新品時(満杯時)の残量)とが記録されている。
【0039】
以下、第二の実施の形態の複合機1の処理手順について説明する。処理手順の主な流れは、図5に示される通りである。但し、第二の実施の形態では、ステップS101におけるステープル残量の判定処理と、ステップS110におけるステープル残量の更新処理とが異なる。
【0040】
図8は、第二の実施の形態におけるステープル残量の判定処理を説明するためのフローチャートである。
【0041】
ステップS201において、残量判定部13は、ステープルカートリッジ200の情報記憶部201よりカートリッジIDを読み取る。続いて、残量判定部13は、読み取ったカートリッジIDに係るレコードが残量管理テーブル17に存在するか否か(管理済みIDであるか否か)を判定する(S202)。当該レコードが存在する場合(S202でYes)、残量判定部13は、当該レコードに記録されているステープル残量を読み出し、読み出されたステープル残量を、現在装着されているステープルカートリッジ200のステープル残量として判定する(S203)。
【0042】
一方、当該レコードが存在しない場合(S202でNo)、残量判定部13は、ステップS201において読み取ったカートリッジIDを、残量管理テーブル17の新たなレコード(以下、「新規レコード」という。)に記録する(S204)。続いて、残量判定部13は、ステープル残量をステープルカートリッジ200の情報記憶部201より取得し新規レコードに記録する(S205)。この場合、取得されたステープル残量が、現在装着されているステープルカートリッジ200のステープル残量として判定される。
【0043】
続いて、図9は、第二の実施の形態におけるステープル残量の更新処理を説明するためのフローチャートである。
【0044】
ステップS251において、残量更新部16は、元のステープル残量からステープル消費量を減じた値によって、残量管理テーブル17において、現在装着されているステープルカートリッジ200のステープルIDに対応ステープル残量の値を更新する。
【0045】
上述したように、第二の実施の形態の複合機1によれば、第一の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
また、第二の実施の形態では、ステープル残量は、残量管理テーブル17で管理されるため、ステープルカートリッジ200の情報記憶部201には、新品時のステープル数が記録されていればよく、また、書き込みが不可能な構成であってもよい。なお、複合機1に装着可能なステープルカートリッジ200が限定されており、その全ての新品時のステープル数が固定値であれば、ステープルカートリッジ200の情報記憶部201に、ステープル数は記録されていなくてもよい。図8のステップS205において、当該固定値を残量管理テーブル17に記録すればよいからである
また、予め、型番等、ステープルカートリッジ200の仕様を識別する識別情報ごとに、新品時のステープル数が登録されたテーブルを複合機1の補助記憶装置112に記録しておき、当該テーブルに基づいて、新たに装着されたステープルカートリッジ200のステープル残量を判定してもよい。この場合、ステープルカートリッジ200の情報記憶部201には、当該仕様を識別する識別情報も記録されていればよい。残量取得部13は、当該識別情報を取得し、当該テーブルに基づいて交換時のステープルの残量を把握することができるからである。
【0047】
次に、第三の実施の形態について説明する。第三の実施の形態では第一の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及しない点については第一の実施の形態と同様でよい。
【0048】
図10は、第三の実施の形態における複合機の制御部及び後処理部の構成例を示す図である。図10中、図2と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0049】
図10に示されるように、第三の実施の形態では、ステープルカートリッジ200において、計測部300が新たに構成要素とされている。計測部300は、ステープルカートリッジ200におけるステープルの消費(減少)に応じて変化する物理量(ステープルカートリッジ200の状態)を計測するために用いられる。なお、後述されるように、計測部300の一部又は全部は、ステープルカートリッジ200内に配設されていなくてもよい。また、第三の実施の形態において、情報記憶部201には、ステープル残量(新品時におけるステープル数も含む。)は記録されていなくてもよい。
【0050】
図11は、第三の実施の形態における複合機の機能構成例を説明するための図である。図11中、図4と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図11に示されるように、第三の実施の形態では、計測値記録部18、関係導出部19、及び履歴テーブル21等が新たに構成要素とされる。
【0051】
計測値記録部18は、ステープルの消費に応じて、ステープルの消費量と、計測部300による計測値とを履歴テーブル21に記録する。
【0052】
関係導出部19は、履歴テーブル21に記録されている、ステープルの消費量と計測値との履歴に基づいて、ステープルの消費量と計測値の変化との関係を導出する。
【0053】
履歴テーブル21は、印刷が行われるたび(例えば、印刷ジョブが完了するたび)に、ステープルの消費量と計測部300による計測値とが記録されるテーブルである。
【0054】
図12は、履歴テーブルの構成例を示す図である。履歴テーブル21における各行(各レコード)は、ステープルの消費量と、ステープル消費後(印刷完了後)の計測部300による計測値とを項目として含み、印刷が行われるたび、又はステープルが消費されるたびに追加(記録)される。なお、計測値の変化量が毎回記録されるようにしてもよい。
【0055】
以下、第三の実施の形態の複合機1の処理手順について説明する。処理手順の主な流れは、図5に示される通りである。但し、第三の実施の形態では、ステップS101におけるステープル残量の判定処理と、ステップS110におけるステープル残量の更新処理とが異なる。
【0056】
図13は、第三の実施の形態におけるステープル残量の判定処理を説明するためのフローチャートである。
【0057】
まず、関係導出部19は、履歴テーブル21に記録されているステープル消費量と計測値の全ての記録(履歴)を読み出す(S301、S302)。続いて、関係導出部19は、読み出された履歴に基づいて、ステープル消費量と計測値の変化との関係を導出する(S303)。当該関係は、例えば、ステープル一本当たりの計測値の変化量であってもよいし、計測値の所定の変化量当たりのステープル消費量であってもよい。いずれの場合であっても、履歴テーブル21より取得された過去の履歴における所定期間(例えば、全期間)において消費されたステープル数と、当該所定期間の計測値の変化量とに基づいて算出すればよい。
【0058】
続いて、残量判定部13は、ステープルカートリッジ200の計測部300より、現在の物理量の計測値を取得する(S304)。但し、履歴テーブル21において、計測値の変化量ではなく、計測値がそのまま記録されている場合は、履歴テーブル21の最後(最新)のレコードの計測値を取得し、現在の計測値として扱ってもよい。
【0059】
続いて、残量判定部13は、現在の計測値と、ステップS303において導出されたステープル消費量と計測値の変化との関係に基づいて、ステープル残量を算出する(S305)。なお、計測値には多少の誤差が含まれる可能性があるため、ここで算出されるステープル残量は推定値となる。
【0060】
続いて、図14は、第三の実施の形態におけるステープル残量の更新処理を説明するためのフローチャートである。
【0061】
ステップS351において、残量更新部16は、履歴テーブル21に新たなレコードを作成し、当該レコードに今回の印刷処理によるステープルの消費量を記録する。続いて、残量更新部16は、ステープルカートリッジ200の計測部300より、現在の物理量の計測値を取得し、取得された値を新たに生成されたレコードに記録する(S352)。なお、計測値の変化量を記録する場合は、現在の計測値と、図13のステップS304において取得された値との差分を算出し、その算出結果を記録すればよい。
【0062】
なお、ステープルカートリッジ200が交換されたときは、ステープル消費量と計測値の変化との関係が異なる可能性があるため、履歴テーブル21をクリア(全てのレコードを削除)するようにしてもよい。
【0063】
以下、計測部300の具体例について説明する。以下の各図において、図3と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0064】
図15は、計測部の第1の例を示す図である。図15では、計測部300として反射型フォトセンサ301を用いた例が示されている。反射型フォトセンサ301は、ステープルカートリッジ200の側面に、ステープルによる光の反射が検出可能なようにステープルの消費に応じてステープル積層203の高さが変化する方向(圧板204が下降する方向)に並べて配設される。反射型フォトセンサ301は、ステープルカートリッジ200に配設されていてもよいし、後処理装置125側のステープルカートリッジ200の取り付け部に配設されてもよい。
【0065】
斯かる構成において、ばね205が位置する部分の反射型フォトセンサ301は、光の反射を検出せず、圧板204又はステープル積層203が位置する部分の反射型フォトセンサ301は、圧板204又はステープル積層203による光の反射を検出する。ステープルの消費に応じて圧板204の位置が下降すると、光の反射を検出しないセンサの数は増加し、光の反射を検出するセンサの数は減少する。したがって、当該センサの数の増加又は減少によって、ステープル積層203の高さの変化が検出されうる。
【0066】
この場合、計測値記録部18は、反射が検出された反射型フォトセンサ301の数、又は反射が検出されなかった反射型フォトセンサ301の数(以下「検出数」という。)を計測値として履歴テーブル21に記録する。関係導出部19は、例えば、ステープル1本当たりの検出数の変化量を算出する(この算出結果をVとする。)。残量判定部13は、現在の検出数と、ステープル残量が0となったときの検出数との差分をVで除すことにより、ステープル残量の推定値を算出する。ステープル残量が0となったときの検出数は、予め、ステープルカートリッジ200の情報記憶部201又は複合機1の補助記憶装置112等に記録しておけばよい。
【0067】
なお、光を検知する手段ではなく、超音波方式等の他の手段の物と置き換えても良い。
【0068】
次に、図16は、計測部の第2の例を示す図である。図16では、計測部300として発光素子302a及び受光素子302bを用いた例が示されている。発光素子302bはステープルカートリッジ200の側面に、受光素子302bはステープル積層203を挟んで発光素子302aと対向する側面に、それぞれステープルの消費に応じてステープル積層203の高さが変化する方向(圧板204が下降する方向)に並べて配設される。発光素子302a及び受光素子302bは、ステープルカートリッジ200に配設されていてもよいし、後処理装置125側のステープルカートリッジ200の取り付け部に配設されてもよい。
【0069】
斯かる構成において、ばね205が位置する部分の受光素子302bは、発光素子302aからの光を検出し、圧板204又はステープル積層203が位置する部分の受光素子302bは、発光素子302aからの光は検出しない。ステープルの消費に応じて圧板204の位置が下降すると、光を検出する受光素子302bの数は増加し、光を検出しない受光素子302bの数は減少する。したがって、当該素子の数の増加又は減少によって、ステープル積層203の高さの変化が検出されうる。
【0070】
この場合、計測値記録部18は、光が検出された受光素子302bの数、又は光が検出されなかった受光素子302bの数(以下「検出数」という。)を計測値として履歴テーブル21に記録する。関係導出部19は、例えば、ステープル1本当たりの検出数の変化量を算出する(この算出結果をVとする。)。残量判定部13は、現在の検出数と、ステープル残量が0となったときの検出数との差分をVで除すことにより、ステープル残量の推定値を算出する。ステープル残量が0となったときの検出数は、予め、ステープルカートリッジ200の情報記憶部201又は複合機1の補助記憶装置112等に記録しておけばよい。
【0071】
なお、発光素子302aと受光素子302bとは同数でなくてもよい。また、発光素子302aと受光素子302bの代わりに、ピエゾ素子などを組み合わせて超音波を使う等、同様の機構を別の手段によって構築してもよい。
【0072】
次に、図17は、計測部の第3の例を示す図である。図17では、計測部300として測距センサ303を用いた例が示されている。測距センサ303は、ステープルの消費に応じて距離が変化する間隔、例えば、ステープルカートリッジ200の上面と圧板204の上面との距離が計測可能なように、例えばステープルカートリッジ200の天井部に配設される。測距センサ303は、ステープルカートリッジ200に配設されていてもよいし、後処理装置125側のステープルカートリッジ200の取り付け部に配設されてもよい。
【0073】
斯かる構成において、ステープルの消費に応じて圧板204の位置が下降すると、測距センサ303によって検出される距離は増加する。
【0074】
この場合、計測値記録部18は、測距センサ303によって検出される距離を計測値として履歴テーブル21に記録する。関係導出部19は、例えば、ステープル1本当たりの距離の変化量を算出する(この算出結果をVとする。)。残量判定部13は、現在の距離と、ステープル残量が0となったときの距離との差分をVで除すことにより、ステープル残量の推定値を算出する。ステープル残量が0となったときの距離は、予め、ステープルカートリッジ200の情報記憶部201又は複合機1の補助記憶装置112等に記録しておけばよい。
【0075】
なお、圧板204の上面に測距センサ303を配設し、圧板204の上面からステープルカートリッジ200の上面までの距離を測定するようにしてもよい。
【0076】
次に、図18は、計測部の第4の例を示す図である。図18では、計測部300として圧板連動部材304及びロータリエンコーダ305を用いた例が示されている。圧板連動部材304は、圧板204に対して固定され、圧板204と連動して上下動する棒状の部材である。ロータリエンコーダ305は、圧板連動部材304の移動を検出可能な位置に配設される。ロータリエンコーダ305は、ステープルカートリッジ200に配設されていてもよいし、後処理装置125側のステープルカートリッジ200の取り付け部に配設されてもよい。
【0077】
斯かる構成において、ステープルの消費に応じて圧板204の位置が下降すると、それに連動して圧板連動部材304も下降し、ロータリエンコーダ305によってその移動量が計測される。
【0078】
この場合、計測値記録部18は、計測された移動量を計測値として履歴テーブル21に記録する。関係導出部19は、例えば、ステープル1本当たりの移動量を算出する(この算出結果をVとする。)。残量判定部13は、新品時からステープル残量が0となるまでの総移動量と、現在までの移動量との差分をVで除すことにより、ステープル残量の推定値を算出する。総移動量は、予め、ステープルカートリッジ200の情報記憶部201又は複合機1の補助記憶装置112等に記録しておけばよい。
【0079】
なお、ロータリエンコーダ305は、必ずしも回転式である必要はなく、直線型のエンコーダでも良い。圧板連動部材304に縞模様もしくはスリットを付け、その状況の変化を観測する事で、同様の機能を実現できる。
【0080】
また、ロータリエンコーダ305を圧板204に固定し、圧板連動部材304を圧板204の移動に対して固定されるように配設してもよい。
【0081】
次に、図19は、計測部の第5の例を示す図である。図19では、計測部300として圧板連動部材306及びロータリスイッチ307を用いた例が示されている。圧板連動部材306は、圧板204に対して固定され、圧板204と連動して上下動する棒状の部材である。ロータリスイッチ307は、圧板連動部材306の移動を検出可能な位置に配設される。ロータリスイッチ307は、ステープルカートリッジ200に配設されていてもよいし、後処理装置125側のステープルカートリッジ200の取り付け部に配設されてもよい。ロータリスイッチ307は、複数の電極を有し、圧板連動部材306の移動によって電極のON/OFFの組み合わせが変化する。その変化によって、圧板連動部材306の移動量が計測される。
【0082】
斯かる構成において、ステープルの消費に応じて圧板204の位置が下降すると、それに連動して圧板連動部材306も下降し、ロータリスイッチ307によってその移動量が計測される。
【0083】
この場合、計測値記録部18は、計測された移動量を計測値として履歴テーブル21に記録する。関係導出部19は、例えば、ステープル1本当たりの移動量を算出する(この算出結果をVとする。)。残量判定部13は、新品時からステープル残量が0となるまでの総移動量と、現在までの移動量との差分をVで除すことにより、ステープル残量の推定値を算出する。総移動量は、予め、ステープルカートリッジ200の情報記憶部201又は複合機1の補助記憶装置112等に記録しておけばよい。
【0084】
なお、ロータリスイッチ307を圧板204に固定し、圧板連動部材306を圧板204の移動に対して固定されるように配設してもよい。
【0085】
また、ロータリスイッチの代わりにスライドスイッチを用いてもよい。
【0086】
次に、図20は、計測部の第6の例を示す図である。図19では、計測部300として可変抵抗器の一例である摺動抵抗器308を用いた例が示されている。摺動抵抗器308は、圧板204に対して固定され、圧板204と連動して上下動する抵抗体308aと、抵抗体308aの抵抗を計測する抵抗計測部308bとより構成される。図示されるように、抵抗体308aは、U字型を形成し、抵抗計測部308bは、抵抗計測部308に接触している抵抗体308aの一端から他端までの抵抗値を計測する。なお、抵抗計測部308bは、ステープルカートリッジ200に配設されていてもよいし、後処理装置125側のステープルカートリッジ200の取り付け部に配設されてもよい。
【0087】
斯かる構成において、ステープルの消費に応じて圧板204の位置が下降すると、それに連動して抵抗体308aも下降し、抵抗計測部308bに接触する一端から他端までの長さが変化する(短くなる)。したがって、抵抗計測部308bによって計測される抵抗値が変化する。
【0088】
この場合、計測値記録部18は、計測された抵抗値を計測値として履歴テーブル21に記録する。関係導出部19は、例えば、ステープル1本当たりの抵抗値の変化量を算出する(この算出結果をVとする。)。残量判定部13は、現在の抵抗値と、ステープル残量が0となったときの抵抗値との差分をVで除すことにより、ステープル残量の推定値を算出する。ステープル残量が0となったときの抵抗値は、予め、ステープルカートリッジ200の情報記憶部201又は複合機1の補助記憶装置112等に記録しておけばよい。
【0089】
なお、抵抗計測部308bを圧板204に固定し、抵抗体308aを圧板204の移動に対して固定されるように配設してもよい。
【0090】
次に、図21は、計測部の第7の例を示す図である。図21では、計測部300として圧力センサ309を用いた例が示されている。圧力センサ309は、ばね205の荷重(圧力)が計測可能なように、例えば、ばね205の伸縮方向(ステープルが積層される方向)においてばね205の一端である、ステープルカートリッジ200の天井部に配設される。
【0091】
斯かる構成において、ステープルの消費に応じて圧板204の位置が下降すると、ばね205は伸張し、圧力センサ309によって検出される荷重は減少する。
【0092】
この場合、計測値記録部18は、圧力センサ309によって検出される荷重を計測値として履歴テーブル21に記録する。関係導出部19は、例えば、ステープル1本当たりの荷重の変化量を算出する(この算出結果をVとする。)。残量判定部13は、現在の荷重と、ステープル残量が0となったときの荷重との差分をVで除すことにより、ステープル残量の推定値を算出する。ステープル残量が0となったときの荷重は、予め、ステープルカートリッジ200の情報記憶部201又は複合機1の補助記憶装置112等に記録しておけばよい。
【0093】
なお、圧板204の上面に圧力センサ309を配設してもよい。
【0094】
次に、図22は、計測部の第8の例を示す図である。図22では、計測部300として識別バー310及び少なくとも一つの反射型フォトセンサ311を用いた例が示されている。識別バー310は、圧板204に対して固定され、圧板204と連動して上下動する棒状の部材であり、その表面(少なくとも一つの側面)は、移動方向(長手方向)において反射率が一方向(増加方向又は減少方向)に徐々に一定の割合で変化するように形成されている。反射型フォトセンサ311は、識別バー310の表面の反射率を検出(計測)可能な位置に、識別バー310の移動に対して固定されて配設される。反射型フォトセンサ311は、ステープルカートリッジ200に配設されていてもよいし、後処理装置125側のステープルカートリッジ200の取り付け部に配設されてもよい。
【0095】
斯かる構成において、ステープルの消費に応じて圧板204の位置が下降すると、それに連動して識別バー310も下降し、反射型フォトセンサ311によって計測される反射率が変化する。
【0096】
この場合、計測値記録部18は、計測された反射率を計測値として履歴テーブル21に記録する。関係導出部19は、例えば、ステープル1本当たりの反射率の変化量を算出する(この算出結果をVとする。)。残量判定部13は、ステープル残量が0となったときの反射率と、現在の反射率との差分をVで除すことにより、ステープル残量の推定値を算出する。ステープル残量が0となったときの反射率は、予め、ステープルカートリッジ200の情報記憶部201又は複合機1の補助記憶装置112等に記録しておけばよい。
【0097】
なお、反射型フォトセンサ311を圧板204に固定し、識別バー310を圧板204の移動に対して固定されるように配設してもよい。
【0098】
また、反射型フォトセンサの代わりに透過型フォトセンサを用いてもよい。この場合、識別バー310を、長手方向において、透過率が一方向に一定の割合で変化するように形成し、透過型フォトセンサによって検出される透過率を計測値として用いればよい。
【0099】
次に、図23は、計測部の第9の例を示す図である。図23では、計測部300として識別バー312及び複数の反射型フォトセンサ313を用いた例が示されている。識別バー312は、圧板204に対して固定され、圧板204と連動して上下動する棒状の部材であり、その表面(少なくとも一つの側面)には、所定のパターン(例えばグレイコードカウンタのパターン)が形成(印刷)されている。複数の反射型フォトセンサ313は、識別バー312の移動と交差(直交)する方向に一列に並ぶように、識別バー312の移動に対して固定されるよう配設され、それぞれ識別バー312の異なる位置の表面からの光の反射の有無を検出する。すなわち、識別バー312の表面に形成されるパターンは、光を反射する部分(反射率が所定の閾値以上の部分)と、光を反射しない部分(反射率が所定の閾値未満の部分)とより構成され、光を反射する部分としない部分との配列(順列)は、各反射型フォトセンサ313に対応させて識別バー312の長手方向において変化する。なお、反射型フォトセンサ313は、ステープルカートリッジ200に配設されていてもよいし、後処理装置125側のステープルカートリッジ200の取り付け部に配設されてもよい。
【0100】
斯かる構成において、ステープルの消費に応じて圧板204の位置が下降すると、それに連動して識別バー312も下降し、各反射型フォトセンサ313によって検出される光の反射の有無の順列が変化する。
【0101】
この場合、計測値記録部18は、複数の反射型フォトセンサ313によって検出された反射の有無(ON/OFF)の順列を計測値として履歴テーブル21に記録する。関係導出部19は、予めステープルカートリッジ200の情報記憶部201又は複合機1の補助記憶装置112等に記録されている、反射の有無の順列ごとにステープルの残量が登録された情報を取得する。残量判定部13は、当該情報に現在の反射の有無を当てはめることによりステープル残量の推定値を求める。
【0102】
なお、反射型フォトセンサ313を圧板204に固定し、識別バー312を圧板204の移動に対して固定されるように配設してもよい。
【0103】
また、反射型フォトセンサの代わりに透過型フォトセンサを用いてもよい。
【0104】
次に、図24は、計測部の第10の例を示す図である。図24中、図22と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図24は、計測部300として識別バー310、導光線314、及び光センサ315等を用いた例が示されている。導光線314は、例えば、光ファイバによって構成され、検出位置316において識別バー310の表面より検出される光を光センサ315に伝達する。光センサ315は、導光線314によって伝達される光を検出し、電気信号を出力する。
【0105】
斯かる構成において、ステープルの消費に応じて圧板204の位置が下降すると、それに連動して識別バー310も下降し、光センサ315による計測値が変化する。
【0106】
この場合、計測値記録部18は、光センサ315による計測値を履歴テーブル21に記録する。関係導出部19は、例えば、ステープル1本当たりの計測値の変化量を算出する(この算出結果をVとする。)。残量判定部13は、ステープル残量が0となったときの計測値と、現在の計測値との差分をVで除すことにより、ステープル残量の推定値を算出する。ステープル残量が0となったときの計測値は、予め、ステープルカートリッジ200の情報記憶部201又は複合機1の補助記憶装置112等に記録しておけばよい。
【0107】
第10の例のような構成によれば、センサ類とステープルカートリッジ200との距離を或る程度確保することができるため、センサ類の配置位置の自由度を高めることができる。なお、図24は、第8の例の変形例に相当するが、識別バー310の代わりに、第9の例における識別バー312を用いてもよい。この場合、複数の光センサによって、複数の導光線より伝達される複数の検出位置における光を検出するようにすればよい。
【0108】
ところで、図15〜図24では、ステープル積層203の高さ(圧板204の位置)の変化を検出するための手段について説明した。斯かる手段と同様の手段を横(水平)方向に適用することによって、1本ずつのステープルの消費に応じてその位置が横(水平)方向変化するステープル押し出し部206の移動量を計測し、当該計測値をステープルの残量の推定に用いてもよい。
【0109】
上述したように、第三の実施の形態によれば、ステープルの消費に応じて変化する物理量(の計測値)の履歴に基づいてステープルの残量を予測する。したがって、同一のステープルカートリッジ200において、ステープル(ステープル積層203)のみが補給された場合であっても、ステープルの残量を適切に予測することができる。
【0110】
なお、履歴テーブル21は、ステープルカートリッジ200の情報記憶部201に記録されるようにしてもよい。
【0111】
また、例えば、第6の例のように、計測値からステープルの残量の絶対値が導出できる場合には、計測値に基づいて、直接的に(ステープルの消費量と計測値の変化との関係を導出することなく)ステープル残量を求めるようにしてもよい。
【0112】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態における複合機の一例の外観図である。
【図2】第一の実施の形態における複合機の制御部及び後処理部の構成例を示す図である。
【図3】第一の実施の形態におけるステープルカートリッジの構成図である。
【図4】第一の実施の形態における複合機の機能構成例を説明するための図である。
【図5】第一の実施の形態における複合機の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図6】第二の実施の形態における複合機の機能構成例を説明するための図である。
【図7】残量管理テーブルの構成例を示す図である。
【図8】第二の実施の形態におけるステープル残量の判定処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】第二の実施の形態におけるステープル残量の更新処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】第三の実施の形態における複合機の制御部及び後処理部の構成例を示す図である。
【図11】第三の実施の形態における複合機の機能構成例を説明するための図である。
【図12】履歴テーブルの構成例を示す図である。
【図13】第三の実施の形態におけるステープル残量の判定処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】第三の実施の形態におけるステープル残量の更新処理を説明するためのフローチャートである。
【図15】計測部の第1の例を示す図である。
【図16】計測部の第2の例を示す図である。
【図17】計測部の第3の例を示す図である。
【図18】計測部の第4の例を示す図である。
【図19】計測部の第5の例を示す図である。
【図20】計測部の第6の例を示す図である。
【図21】計測部の第7の例を示す図である。
【図22】計測部の第8の例を示す図である。
【図23】計測部の第9の例を示す図である。
【図24】計測部の第10の例を示す図である。
【符号の説明】
【0114】
1 複合機
11 印刷処理制御部
12 必要量算出部
13 残量判定部
14 不足判定部
15 不足通知部
16 残量更新部
17 残量管理テーブル
18 計測値記録部
19 関係導出部
21 履歴テーブル
100 本体部
110 制御部
111 CPU
112 補助記憶装置
113 メモリ装置
114 ネットワークインタフェース
115 通信装置
116 後処理入出力部
121 撮像部
122 自動原稿送り部
123a、123b 給紙部
124a、124b 排紙部
125 後処理部
126 印刷部
127 操作部
200 ステープルカートリッジ
201 情報記憶部
202 情報通信部
203 ステープル積層
204 圧板
205 ばね
206 ステープル押し出し部
207 ステープル射出部
300 計測部
301 反射型フォトセンサ
302a 発光素子
302b 受光素子
303 測距センサ
304 圧板連動部材
305 ロータリエンコーダ
306 圧板連動部材
307 ロータリスイッチ
308 摺動抵抗器
308a 抵抗体
308b 抵抗計測部
309 圧力センサ
310、312 識別バー
311、313 反射型フォトセンサ
314 導光線
315 光センサ
B バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に利用されるステープルカートリッジであって、
ステープルの残量が記録された記憶手段を有し、
ステープルの消費に応じ、前記記憶手段に記録されているステープルの残量が更新されることを特徴とするステープルカートリッジ。
【請求項2】
請求項1記載のステープルカートリッジを利用する画像形成装置であって、
現在利用しているステープルカートリッジの前記記憶手段に記録されているステープルの残量を取得する残量取得手段と、
印刷指示に応じてステープルの必要量を算出する必要量算出手段と、
前記残量と前記必要量とを比較することによりステープルの不足を判定する判定手段とを有し、
前記判定手段による判定結果に応じて、前記ステープルの不足を通知させる通知手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載のステープルカートリッジを利用する画像形成装置が実行するステープル不足通知方法であって、
現在利用しているステープルカートリッジの前記記憶手順に記録されているステープルの残量を取得する残量取得手順と、
印刷指示に応じてステープルの必要量を算出する必要量算出手順と、
前記残量と前記必要量とを比較することによりステープルの不足を判定する判定手順とを有し、
前記判定手順における判定結果に応じて、前記ステープルの不足を通知させる通知手順とを有することを特徴とするステープル不足通知方法。
【請求項4】
ステープルカートリッジを利用する画像形成装置であって、
各ステープルカートリッジを識別する識別情報に応じて、ステープルの残量が記録されたステープル残量記憶手段と、
現在利用しているステープルカートリッジに記録されている前記識別情報を取得し、取得された識別情報と、前記ステープル残量記憶手段とに基づいて現在利用しているステープルカートリッジの残量を取得する残量取得手段と、
印刷指示に応じてステープルの必要量を算出する必要量算出手段と、
前記残量と前記必要量とを比較することによりステープルの不足を判定する判定手段とを有し、
前記判定手段の判定結果に応じて、前記ステープルの不足を通知させる通知手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
ステープルカートリッジを利用する画像形成装置が実行するステープル不足通知方法であって、
当該画像形成装置の記憶装置には、各ステープルカートリッジを識別する識別情報に応じて、ステープルの残量が記録され、
現在利用しているステープルカートリッジに記録されている前記識別情報を取得し、取得された識別情報と、前記ステープル残量記憶手順とに基づいて現在利用しているステープルカートリッジの残量を取得する残量取得手順と、
印刷指示に応じてステープルの必要量を算出する必要量算出手順と、
前記残量と前記必要量とを比較することによりステープルの不足を判定する判定手順とを有し、
前記判定手順における判定結果に応じて、前記ステープルの不足を通知させる通知手順とを有することを特徴とするステープル不足通知方法。
【請求項6】
画像形成装置に利用されるステープルカートリッジであって、
ステープルの消費に応じて変化する物理量又は物理量の変化量を計測する計測手段と、
前記計測手段による計測値を前記画像形成装置に通知する通知手段とを有することを特徴とするステープルカートリッジ。
【請求項7】
前記計測手段は、
前記ステープルが積層される方向において少なくとも前記ステープルによる光の反射を検出可能なように並べて配設された複数のセンサを有し、
光の反射を検出するセンサの数及び光の反射を検出しないセンサの数の少なくともいずれか一方を前記計測値とすることを特徴とする請求項6記載のステープルカートリッジ。
【請求項8】
前記計測手段は、
前記ステープルが積層される方向に並べて配設された複数の発光素子と、前記ステープルを挟んで前記発行素子と対向するように配設された複数の受光素子とを有し、
前記発行素子からの光を検出する受光素子の数及び前記発行素子からの光を検出しない受光素子の数の少なくともいずれか一方を前記計測値とすることを特徴とする請求項6記載のステープルカートリッジ。
【請求項9】
前記計測手段は、
前記ステープルの消費に応じて距離が変化する間隔の距離を計測することを特徴とする請求項6記載のステープルカートリッジ。
【請求項10】
前記計測手段は、
エンコーダと、
前記ステープルの消費に応じて前記エンコーダに対して相対的に移動する部材とを有しし、
前記エンコーダは、前記部材の移動量を前記計測することを特徴とする請求項6記載のステープルカートリッジ。
【請求項11】
前記計測手段は、
前記ステープルの消費に応じて計測される抵抗値が変化する可変抵抗器を有することを特徴とする請求項6記載のステープルカートリッジ。
【請求項12】
前記計測手段は、
前記ステープルが積層される方向において前記ステープルに対して作用する荷重を計測することを特徴とする請求項6記載のステープルカートリッジ。
【請求項13】
前記計測手段は、
反射率を計測するセンサと、
前記ステープルの消費に応じて前記センサに対して相対的に移動する部材とを有し、
前記部材の表面は、当該部材の相対的な移動方向において反射率が変化するように形成され、
前記センサは、前記部材の反射率を計測することを特徴とする請求項6記載のステープルカートリッジ。
【請求項14】
前記計測手段は、
透過率を計測するセンサと、
前記ステープルの消費に応じて前記センサに対して相対的に移動する部材とを有し、
前記部材は、当該部材の相対的な移動方向において透過率が変化するように形成され、
前記センサは、前記部材の透過率を計測することを特徴とする請求項6記載のステープルカートリッジ。
【請求項15】
前記計測手段は、
反射率を計測する複数のセンサと、
前記ステープルの消費に応じて前記複数のセンサに対して相対的に移動する部材とを有し、
前記部材の表面には、前記複数のセンサによって検出される反射率の順列が前記部材の移動に応じて変化するパターンが形成され、
前記複数のセンサによって検出される反射率の順列を前記計測値とすることを特徴とする請求項6記載のステープルカートリッジ。
【請求項16】
請求項6乃至15いずれか一項記載のステープルカートリッジを利用する画像形成装置であって、
ステープルの消費に応じ、ステープルの消費量と前記ステープルカートリッジより通知される前記計測値とを記録する記録手段と、
記録されたステープルの消費量と前記計測値との履歴に基づいて、前記ステープルの消費量と前記計測値との関係を導出する関係導出手段と、
印刷指示に応じて、ステープルの必要量を算出する必要量算出手段と、
印刷指示がされたときの前記計測値と、前記消費量と前記計測値との関係とに基づいて前記ステープルカートリッジにおけるステープルの残量を推定する残量推定手段と、
前記必要量と推定された残量とを比較することによりステープルの不足を判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に応じて、前記ステープルの不足を通知させる通知手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項6乃至15いずれか一項記載のステープルカートリッジを利用する画像形成装置が実行するステープル不足通知方法であって、
ステープルの消費に応じ、ステープルの消費量と前記ステープルカートリッジより通知される前記計測値とを記録する記録手順と、
記録されたステープルの消費量と前記計測値との履歴に基づいて、前記ステープルの消費量と前記計測値との関係を導出する関係導出手順と、
印刷指示に応じて、ステープルの必要量を算出する必要量算出手順と、
印刷指示がされたときの前記計測値と、前記消費量と前記計測値との関係とに基づいて前記ステープルカートリッジにおけるステープルの残量を推定する残量推定手順と、
前記必要量と推定された残量とを比較することによりステープルの不足を判定する判定手順と、
前記判定手順の判定結果に応じて、前記ステープルの不足を通知させる通知手順とを有することを特徴とするステープル不足通知方法。
【請求項18】
ステープルの消費に応じて変化する物理量又は物理量の変化量を計測する計測手段と、
ステープルの消費に応じて、ステープルの消費量と前記計測手段による計測値とを記録する記録手段と、
記録されたステープルの消費量と前記計測値との履歴に基づいて、前記ステープルの消費量と前記計測値との関係を導出する関係導出手段と、
印刷指示に応じてステープルの必要量を算出する必要量算出手段と、
印刷指示がされたときの前記計測値と、前記消費量と前記計測値との関係とに基づいてステープルの残量を推定する残量推定手段と、
前記必要量と推定された残量とを比較することによりステープルの不足を判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に応じて、前記ステープルの不足を通知させる通知手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項19】
画像形成装置が実行するステープル不足通知方法であって、
ステープルの消費に応じて変化する物理量又は物理量の変化量を計測する計測手順と、
ステープルの消費に応じて、ステープルの消費量と前記計測値手順による計測値とを記録する記録手順と、
記録されたステープルの消費量と前記計測値との履歴に基づいて、前記ステープルの消費量と前記計測値との関係を導出する関係導出手順と、
印刷指示に応じてステープルの必要量を算出する必要量算出手順と、
印刷指示がされたときの前記計測値と、前記消費量と前記計測値との関係とに基づいてステープルの残量を推定する残量推定手順と、
前記必要量と推定された残量とを比較することによりステープルの不足を判定する判定手順と、
前記判定手順の判定結果に応じて、前記ステープルの不足を通知させる通知手順とを有することを特徴とするステープル不足通知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図23】
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【図22】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−29587(P2009−29587A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−196167(P2007−196167)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】