説明

ストリームデータ記録装置およびストリームデータ再生装置

【課題】1台のストリームデータ記録再生装置の記録容量に応じた時間よりも長い時間のストリームデータを適切なタイミングで再生できるように記録し、再生する。
【解決手段】制御部310、311の制御により、HDD103では、ストリームデータ入力部301から出力されたパケットがタイムスタンプ付加部303によりタイムスタンプが付加されてバッファ304、ストリームデータ生成部306、ストリームデータ出力部を経由して、HDD104に転送される。ストリームデータの転送に先行して、HDD104に記録すべき最初の所定量のストリームデータが、HDD103から送信される。HDD104では、HDD103から送信されたデータに基づいて、タイムスタンプが時間情報に同期したものに設定される。以降、その続きのタイムスタンプが転送されたストリームデータに付加され、HDD本体部305に記録される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送される番組などのストリームデータを記録、再生するストリームデータ記録再生装置に関する技術に属し、特に、長時間の連続したストリームデータを記録、再生することができるストリームデータ記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放送局から放送される番組などのストリームデータの形式としては、例えばMPEG−2トランスポートストリーム(以下「MPEG−2TS」と称する。)フォーマットが用いられている。(ここで、上記MPEGはMotion Picture Expert Groupの略であり、MPEG−2はISO/IECにおける規格番号13818の規格である。)上記のような形式のストリームデータは、放送局から所定の伝送レートで送出され、受信側のデコーダのシステムタイムクロックを送信側のエンコーダと同期させることにより、適切なタイミングで映像や音声の提示が行われるようになっている。
【0003】
ところが、受信したストリームデータをそのまま例えばハードディスク等の記録再生装置(記録媒体)に記録した後に再生すると、上記放送を受信した場合のように映像や音声の提示を行うことが困難である。これは、一般に、ハードディスク等に対するデータの記録、読み出し速度が特に管理されていない(正確な速度が保証されていない)ため、読み出されたデータをそのまま出力したのでは、適切なタイミングのストリームデータを得ることができないからである。
【0004】
そこで、上記送信側のエンコーダに同期させたシステムタイムクロック等に基づいて、受信したデータにパケット単位などでタイムスタンプを付加して記録するタイムスタンプ記録方式が知られている。これによれば、記録されたデータの再生時に、記録媒体から読み出されたデータをタイムスタンプに応じたタイミングで出力することにより、放送を受信した場合などと同様に映像や音声の提示を行うことができる。
【0005】
また、1台のハードディスクの残り記憶容量に応じた時間よりも長い時間のストリームデータを、複数のハードディスクに分割して記録し、連結して再生するために、時間情報を含む所定量のストリームデータを、あらかじめ複数のハードディスクに転送して連続したタイムスタンプを生成し、ストリームデータに付加することにより、適切なタイミングで再生する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−264784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記技術の場合、転送されたデータを受信する装置側と転送元の装置との、記録すべきデータに付加されるタイムスタンプの連続性を確保する必要がある。
【0007】
また、複数の装置に分割して記録されたデータを再生する場合、複数の装置における2台の再生装置の一方が他方にデータを転送し、転送されたデータを受信した装置側で、1つのストリームデータにして再生する必要がある。このとき、受信した装置側で転送されたデータに付加されるタイムスタンプと、当該装置内のハードディスクに保存しているストリームデータに付加されたタイムスタンプとの連続性を確保する必要がある。
【0008】
本発明は、ストリームデータを複数の装置に分割して記録し、連結して再生するストリームデータ記録再生装置に関して、複数のストリームデータ記録再生装置間におけるタイムスタンプの連続性を確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために講じた手段は、再生タイミングに応じた時間情報を含み、再生時間の推移に応じたタイミングで入力されたストリームデータを記録媒体に記録するストリームデータ記録装置として、上記入力されたストリームデータを解析して、上記記録媒体に記録する記録データを抽出する解析手段と、上記記録データに含まれる上記時間情報に同期したタイムスタンプを生成し、上記記録データに付加するタイムスタンプ付加手段と、上記記録データを上記記録媒体に記録する記録手段と、上記記録データから上記タイムスタンプを除去して転送ストリームデータを生成するとともに、上記時間情報を含むデータを他のストリームデータ記録装置に出力してから、上記生成された転送ストリームデータを上記タイムスタンプに応じたタイミングで上記他のストリームデータ記録装置に出力する転送出力手段とを備えたものとする。
【0010】
これによると、時間情報を含むデータが他のストリームデータ記録装置に出力されてから、転送ストリームデータが他のストリームデータ記録装置に出力される。したがって、それぞれのストリームデータ記録装置において、記録するストリームデータに連続したタイムスタンプを付加することが可能となる。
【0011】
具体的には、上記時間情報を含むデータは、上記転送ストリームデータの先頭部分を含む所定量のデータであるものとする。
【0012】
また具体的には、上記時間情報を含むデータは、上記転送ストリームデータに含まれる時間情報と連続した時間情報を含む擬似的に生成されたデータであるものとする。
【0013】
また、上記課題を解決するために講じた手段は、再生タイミングに応じた時間情報を含み、再生時間の推移に応じたタイミングで入力されたストリームデータを記録媒体に記録するストリームデータ記録装置として、上記入力されたストリームデータを解析して、上記記録媒体に記録する記録データを抽出する解析手段と、上記入力されたストリームデータの先頭部分を含む所定量のデータから上記時間情報を抽出し、当該時間情報に同期したタイムスタンプを設定してから、その続きのタイムスタンプを生成し、上記記録データに付加するタイムスタンプ付加手段と、上記記録データを上記記録媒体に記録する記録手段とを備えたものとする。
【0014】
これによると、入力されたストリームデータの先頭部分を含む所定量のデータから時間情報が抽出され、当該時間情報に同期したタイムスタンプが設定されてから、その続きのタイムスタンプが記録データへ付加される。したがって、ストリームデータ記録装置において、記録するストリームデータに連続したタイムスタンプを付加することが可能となる。
【0015】
また上記課題を解決するために講じた手段は、ストリームデータ再生装置の記録媒体に、タイムスタンプが付加されて記録された記録データからストリームデータを再生するストリームデータ再生装置として、上記記録媒体から上記記録データを読み出し、上記タイムスタンプを除去するタイムスタンプ除去手段と、転送ストリームデータの先頭部分を含む所定量のデータを出力してから、上記タイムスタンプに応じたタイミングで上記転送ストリームデータを出力する転送出力手段を備えたものとする。
【0016】
これによると、転送ストリームデータの先頭部分を含む所定量のデータが出力されてから、転送ストリームデータが出力される。したがって、出力された転送ストリームデータに出力先のストリームデータ再生装置の記録媒体内の記録データに付加されたタイムスタンプと連続したタイムスタンプを付加することが可能となる。
【0017】
また上記課題を解決するために講じた手段は、そのストリームデータ再生装置の第1の記録媒体、および他のストリームデータ再生装置の第2の記録媒体に、連続したタイムスタンプが付加されてそれぞれ記録された第1および第2の記録データから連続したストリームデータを再生するストリームデータ再生装置として、上記第1の記録媒体から上記第1の記録データを読み出して、第1の再生出力データとして出力する再生手段と、上記他のストリームデータ再生装置が、上記第2の記録媒体から上記第2の記録データを読み出して、上記タイムスタンプを除去するとともに上記タイムスタンプに応じたタイミングで出力した転送ストリームデータを解析して、第2の再生出力データを抽出する解析手段と、上記第2の再生出力データの先頭部分を含む所定量のデータから時間情報を抽出し、上記時間情報に同期したタイムスタンプを設定してから、その続きのタイムスタンプを生成し、上記第2の再生出力データに付加するタイムスタンプ付加手段と、上記第1の再生出力データ、および上記第2の再生出力データから上記タイムスタンプを除去して再生ストリームデータを生成するとともに、生成された再生ストリームデータを上記タイムスタンプに応じたタイミングで順次出力する再生出力手段とを備えたものとする。
【0018】
これによると、第2の再生出力データの先頭部分を含む所定量のデータから時間情報が抽出され、当該時間情報に同期したタイムスタンプが設定されてから、その続きのタイムスタンプが第2の再生出力データへ付加される。したがって、第2の再生出力データに第1の記録データに付加されたタイムスタンプと連続したタイムスタンプを付加することが可能となる。
【0019】
また上記課題を解決するために講じた手段は、そのストリームデータ再生装置の第1の記録媒体、および他のストリームデータ再生装置の第2の記録媒体に、連続したタイムスタンプが付加されてそれぞれ記録された第1および第2の記録データから連続したストリームデータを再生するストリームデータ再生装置として、上記第1の記録媒体から上記第1の記録データを読み出して、第1の再生出力データとして出力する再生手段と、上記他のストリームデータ再生装置が、上記第2の記録媒体から上記第2の記録データを読み出して、上記タイムスタンプを除去するとともに上記タイムスタンプに応じたタイミングで出力した転送ストリームデータを解析して、第2の再生出力データを抽出する解析手段と、上記第2の再生出力データに含まれる時間情報に同期したタイムスタンプを生成し、上記第2の再生出力データに付加するタイムスタンプ付加手段と、上記第1の再生出力データ、および上記第2の再生出力データから上記タイムスタンプを除去して再生ストリームデータを生成するとともに、生成された再生ストリームデータを上記タイムスタンプに応じたタイミングで順次出力する再生出力手段とを備えたものとする。ここで、上記タイムスタンプ付加手段は、上記第2の再生出力データに含まれる時間情報を検出するまでは、上記時間情報に同期しないタイムスタンプを生成し、上記第2の再生出力データに付加するものとする。また、上記再生出力手段は、上記再生ストリームデータを生成する際、上記タイムスタンプが、上記時間情報に同期していないものから同期したものへ切り替わるタイミングを検出し、上記再生ストリームデータを出力するタイミングを調整するものとする。
【0020】
これによると、再生出力手段によって、時間情報に同期していないタイムスタンプから同期したものへ切り替わるタイミングが検出され、再生ストリームデータを出力するタイミングが調整される。したがって、第2の再生出力データの出力に先行して、特に時間情報を含むデータを出力することなく、第1および第2の再生出力データから、連続した再生ストリームデータを生成することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によると、ストリームデータを複数装置に分割して記録した場合であっても、その分割されたデータ間のタイムスタンプは連続的なものとなり、正常に再生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
本発明に係る第1の実施の形態として、ストリームデータ記録再生装置であるハードディスクドライブ(以下「HDD」と略称する。)、およびこれを備えた受信記録再生装置の例について説明する。
【0024】
図1は受信記録再生装置101の要部の構成を示すブロック図である。この受信記録再生装置101には、音声画像提示装置等が接続される受信部102と、例えば2台のHDD103,104とが設けられている。上記受信部102、HDD103,104は、互いにIEEE1394規格のバス110により接続されてネットワークを構成し、主として、アイソクロノス通信によりAVデータ(音声画像データ)がストリームデータとして転送されるとともに、非同期通信によりコマンド等が送受されるようになっている。
【0025】
上記受信部102は、放送局等から放送電波やネットワーク等を介して送られた番組のストリームデータを受信し、IEEE1394規格のインタフェイスに従ってバス110に出力するようになっている。上記放送局から送出されるストリームデータや、バス110によって転送されるストリームデータの形式としては、MPEG−2TS形式(MPEG−2トランスポートストリームフォーマット)が用いられるようになっている。このMPEG−2TS形式では、時刻の経過に従って、ビデオデータやオーディオデータがビデオパケットやオーディオパケットなどの188バイトのパケット単位で伝送されるようになっている。これらのパケットは、複数の番組について多重されることが可能で、パケット中に含まれるPID(パケット識別子)などにより各番組等が識別されるようになっている。また、伝送されるパケットには、システムタイムクロックを送信側のシステムタイムクロックと同期させるための時間情報(時刻情報)を含むPCRパケット(Program Clock Referenceパケット)やデータパケットなどのパケットなども含まれている。
【0026】
またHDD103,104は、IEEE1394インタフェイスを有し、上記ストリームデータを記録、再生するものである。また、後述する制御部310,311が異なる点を除いて同じ構成を有している。具体的には、図2に示すように、ストリームデータ入力部301(解析手段)と、タイムスタンプ生成部302(タイムスタンプ付加手段)と、タイムスタンプ付加部303(タイムスタンプ付加手段)と、バッファ304と、HDD本体部305(記録手段、再生手段、記録媒体)と、ストリームデータ生成部306(転送出力手段、再生出力手段)と、ストリームデータ出力部307と、受信制御部308と、受信用FIFO308bと、PCR抽出部309と、制御部310または311とを備えて構成されている。
【0027】
ストリームデータ入力部301は、バス110を介してMPEG−2TS形式で伝送されるストリームデータ(AVビットストリーム)のパケットを解析して、HDD103が記録すべきパケット(例えば所定の番組のビデオパケット、オーディオパケット、およびPCRパケット等)を抽出し出力するようになっている。
【0028】
タイムスタンプ生成部302は、PLL(Phase Locked Loop)回路を構成するもので、上記ストリームデータ入力部301から出力されるPCRパケットに含まれる時間情報に同期した、HDD本体部305に記録する各パケットの再生タイミングを示す例えば6バイトのタイムスタンプを生成するものである。また、タイムスタンプ生成部302は、記録予備動作として、入力された時間情報を含む所定量のパケットに基づいて、タイムスタンプを時間情報に同期した値に初期化する機能を有する。図3は、図2に示したタイムスタンプ生成部302の内部構成を示す。タイムスタンプ生成部302は、最初に入力されたパケットに付加されたタイムスタンプを保持するタイムスタンプ保持部302aと、最初に入力されたPCRパケットに付加されたタイムスタンプを保持するPCRタイムスタンプ保持部302bと、最初に入力されたPCRパケットのPCR値を保持するPCR値保持部302cと、PCR値から一意に決定されるタイムスタンプを算出するタイムスタンプ算出部302dと、2つのタイムスタンプの差分を求める差分算出部302e,302fと、カウント値を制御するカウンタ制御部302gと、カウンタ302hとで構成されている。
【0029】
図1に戻り、タイムスタンプ付加部303は、上記タイムスタンプ生成部302によって生成されたタイムスタンプをストリームデータ入力部301から出力される各パケットに付加するものである。
【0030】
バッファ304は、受信用FIFO308bから出力されたタイムスタンプ付加部303でタイムスタンプが付加されたパケットをHDD本体部305に書き込むまでの間保持するとともに、HDD本体部305から読み出されたパケットをストリームデータ生成部306に出力するまでの間保持するものである。さらに、このバッファ304は、受信用FIFO308bから出力されたパケットをHDD本体部305に書き込むとともに、またはHDD本体部305に書き込むことなく、ストリームデータ生成部306に出力し得るようにもなっている。
【0031】
HDD本体部305は、記録媒体に記録データを磁気的に保持し、また、出力するものである。
【0032】
ストリームデータ生成部306は、バッファ304に保持されたパケットをそのパケットに付加されたタイムスタンプに応じたタイミングで出力するものである。より詳しくは、このストリームデータ生成部306は、タイムスタンプ抽出部306aと、送信用FIFO306bと、送信制御部306cと、タイムスタンプ保持部306dと、カウンタ306eと、比較部306f,306kと、カウンタ制御部306gと、同期タイムスタンプ保持部306hと、非同期タイムスタンプ保持部306iと、オフセット値保持部306jと、差分算出部306lとで構成されている。
【0033】
タイムスタンプ抽出部306aは、バッファ304から出力されたパケットからタイムスタンプを抽出するとともにタイムスタンプを除去したパケットを出力する。送信用FIFO306bは、上記タイムスタンプの除去されたパケットを一旦保持する。送信制御部306cは、比較部306fによって一致が検出されたとき、送信用FIFO306bに対してパケットの出力を指示する。また、送信制御部306cは、タイムスタンプ抽出部306aに対してタイムスタンプ保持部306dの保持するタイムスタンプを更新するよう指示する。一方、送信開始からの送信パケット数が一定の値に達したとき、送信制御部306cは、後述するカウンタ制御部306gに対してカウンタ306eの保持するカウント値の更新を指示する。さらに、送信制御部306cは、送信用FIFO306bがオーバフローやアンダフローしないように、バッファ304からタイムスタンプ抽出部306aへのパケットの出力タイミングを制御する。
【0034】
タイムスタンプ保持部306dは、タイムスタンプ抽出部306aにより抽出されたタイムスタンプを保持する。カウンタ306eは、タイムスタンプ比較用の基準クロックをカウントする。比較部306fは、タイムスタンプ保持部306dのタイムスタンプと、カウンタ306eのカウント値とを比較する。カウンタ制御部306gは、送信制御部306cの指示を受けてカウンタ306eのカウント値を制御する。同期タイムスタンプ保持部306hは、タイムスタンプ生成部302から入力された時間情報に同期したタイムスタンプを保持する。非同期タイムスタンプ保持部306iは、タイムスタンプ生成部302からの同期タイムスタンプ生成完了タイミングに従い、タイムスタンプ生成部302が保持する時間情報を含むパケットに付与された非同期タイムスタンプを保持する。比較部306kは、タイムスタンプ抽出部306aで抽出されたタイムスタンプと非同期タイムスタンプ保持部306iに保持されたタイムスタンプとを比較する。差分算出部306jは、タイムスタンプ抽出部306aで抽出されたタイムスタンプと、オフセット値保持部306jに保持されたオフセット値との差分を算出する。
【0035】
ストリームデータ出力部307は、上記ストリームデータ生成部306の送信用FIFO306bから出力されるパケットをMPEG−2TS形式のストリームデータとして、IEEE1394規格のインタフェイスに従ってバス110に出力する。
【0036】
また、制御部310は、記憶構造の管理(インデックスや実体データの記憶場所の管理など)や、空き容量の管理、受信部102などとの間のコマンド処理等を行うとともに、それぞれ図4または図5に示す各制御部による以下のようなデータの流れの制御によって、HDD103,104にまたがった分割記録再生の制御を行うようになっている。
【0037】
(1)HDD103の制御部310(図4)
(a)記録制御部310a
タイムスタンプ付加部303→バッファ304→HDD本体部305
(b)記録中継制御部310b
タイムスタンプ付加部303→バッファ304→ストリームデータ生成部306
(c)再生制御部310c
HDD本体部305 →バッファ304→ストリームデータ生成部306
(d)記録時間情報送信制御部310d
タイムスタンプ生成部302→バッファ304→ストリームデータ生成部306
【0038】
(2)HDD104の制御部311(図5)
(a)記録制御部311a
タイムスタンプ付加部303→バッファ304→HDD本体部305
(b)記録中継制御部311b
タイムスタンプ付加部303→バッファ304→ストリームデータ生成部306
(c)再生中継制御部311c
タイムスタンプ付加部303→バッファ304→ストリームデータ生成部306
(d)再生制御部311d
HDD本体部305 →バッファ304→ストリームデータ生成部306
(e)記録予備動作制御部311e
タイムスタンプ付加部303→バッファ304→(読み捨て)
【0039】
ここで、上記記録制御部310aと記録制御部311a、および再生制御部310cと再生制御部311dは、それぞれ同じものである。また、記録中継制御部310b,311bと再生中継制御部311cとは、それぞれ記録時または再生時に他方のHDDへのストリームデータの中継制御を行うものであるが、その中継動作自体は同様のものである。なお、上記のような制御動作は、例えばソフトウェアによって実現することができるが、これに限定されるものではない。
【0040】
次に、図1に示した受信記録再生装置101について、まず、HDD103だけを対象とした通常の記録再生動作を説明する。
【0041】
(HDD103への通常の記録動作)
例えばユーザによって所望の放送番組のHDD103への記録指示操作がなされると、受信部102は、受信したストリームデータをバス110を介してHDD103に出力する。HDD103では、ストリームデータ入力部301が、受信部102から送られたストリームデータのパケットを解析し、ユーザの指示に応じた記録すべきパケットだけを出力する。
【0042】
タイムスタンプ生成部302は、最初に、記録予備動作(タイムスタンプ同期動作)として、ストリームデータ入力部301から出力されるPCRパケットによって示される時間情報に基づいてタイムスタンプの生成を開始する。この記録予備動作の時点では、ストリームデータ入力部301から出力されるパケットは、タイムスタンプの付加およびバッファ304への格納は行われるが、HDD本体部305への記録は行われない。具体的には、例えばバッファ304への書き込みと同時にまたは所定のタイミングで読み出しポインタを進めることにより空読みされる。(なお、上記タイムスタンプの付加およびバッファ304への格納も行われないようにしたり、書き込みポインタを固定したままで同じ領域に上書きさせて結果的に書き込みがなされないようにしたりしてもよい。)
【0043】
やがて、PCRパケットの時間情報に同期した正確なタイムスタンプが生成されるようになると、HDD本体部305への記録が開始される。すなわち、タイムスタンプ付加部303は、ストリームデータ入力部301から出力されるパケットに、その出力タイミング(すなわち受信部102による放送の受信タイミング)に応じた時々刻々のタイムスタンプを付加して、バッファ304に一旦保持させる。このようにタイムスタンプが付加されたパケットは、以下の再生動作で説明するように、上記タイムスタンプに基づいて、再生時に出力タイミングを制御することができる。それゆえ、バッファ304に保持されたパケットは、ストリームデータ入力部301からストリームデータのパケットが出力されるタイミングとは非同期にHDD本体部305に記録することができる。
【0044】
(HDD103からの通常の再生動作)
ユーザによる上記記録内容の再生指示操作等がなされると、HDD本体部305に記録されているパケットが読み出されて、一旦、バッファ304に保持され、送信制御部306cの制御によって、送信用FIFO306bがオーバフローやアンダフローしない程度のタイミングでタイムスタンプ抽出部306aに入力される。タイムスタンプ抽出部306aは、入力されたパケットに付加されているタイムスタンプを除去して送信用FIFO306bに出力するとともに、上記タイムスタンプを抽出してタイムスタンプ保持部306dに出力する。タイムスタンプ保持部306dは、タイムスタンプ抽出部306aから出力されたタイムスタンプを順次保持する。一方、カウンタ306eは、基準クロックをカウントする。比較部306fは、タイプスタンプ保持部306dに保持されたタイムスタンプとカウンタ306eに保持されたカウント値とを比較し、両者が一致したタイミングで、送信制御部306cに対して送信用FIFO306bから次のパケットを出力するように指示する。また、送信制御部306cは、タイムスタンプ抽出部306aに対してはタイプスタンプ保持部306dが保持する値を、カウンタ制御部306gに対してはカウンタ306eの保持する値をそれぞれ更新するよう指示する。
【0045】
ストリームデータ出力部307は、送信用FIFO306bから出力されたパケットをMPEG−2TS形式のストリームデータとして、IEEE1394規格のインタフェイスに従ってバス110に出力する。上記のようにタイムスタンプに応じた出力タイミングの制御がなされることにより、ストリームデータ入力部301に入力されたときと同じタイミングでストリームデータの各パケットが出力されるので、受信部102を介して図示しない提示装置による映像や音声の適切な提示等が行われる。
【0046】
(HDD103,104への分割記録動作)
次に、受信部102によって受信されたストリームデータが分割されて、HDD104に続けてHDD103に記録される場合の動作を説明する。
【0047】
まず、概要について説明すると、受信部102から出力されたストリームデータのパケットは、一旦、全てHDD103に入力され、記録すべきパケットだけが抽出されてタイムスタンプが付加される。このタイムスタンプが付加されたパケットの一部は、タイムスタンプが除去されるとともにそのタイムスタンプに基づいたタイミングで再度ストリームデータとして出力され、HDD104に送られてHDD104のHDD本体部305に記録され、残りは、HDD103のHDD本体部305に記録される。
【0048】
また、上記HDD104に送られるパケットがストリームデータとして出力される前に、HDD104に記録すべき最初の所定量のパケットが、あらかじめ記録予備動作用のパケットとして出力される。HDD104では、ストリームデータの記録開始に先行して、入力された記録予備動作用のパケットに基づいて記録予備動作が行われることにより、HDD103および104に記録されるパケットに付加されたタイムスタンプの連続性が確保されるようになっている。
【0049】
すなわち、上記のように全てのパケットが、一旦、HDD103に入力されて記録すべきパケットだけが抽出されるので、HDD103の空き領域、またはあらかじめ記録のために確保された領域の空き領域に記録可能なパケットと、HDD104に記録するパケットとの判別を容易に行うことができ、データの重複や欠落を生じないように分割して記録することが容易に可能となる。また、HDD104に記録するパケットは、タイムスタンプに基づいたストリームデータとしてHDD103からHDD104に送られるので、HDD104では、受信部102から直接送られた場合と同様に、適切なタイミングで再生可能なようにタイムスタンプを付加して記録することができる。さらに、上記記録予備動作によってタイムスタンプの連続性が確保されることにより、再生時にHDD103,104から出力されるパケットのつなぎ目でも時間的な連続性を保った適切な再生を行うことが容易にできるようになる。
【0050】
以下、各部の具体的な動作について説明する。まず、HDD103のHDD本体部305への記録は、上記通常の記録の場合と同様に行われる。すなわち、例えば、図6(a)に示すように受信部102からHDD103に記録開始コマンドが発行されると、その後に受信部102から送られてストリームデータ入力部301から出力されたパケットは、順次タイムスタンプが付加されて、一旦、バッファ304に保持された後に、HDD104への記録予備動作用の転送が開始される。すなわち、まず、図6(b)に示すようにHDD103からHDD104に非同期通信等によって記録予備動作開始コマンドが発行される。その後、最初の所定量のパケットが、HDD104の記録予備動作用のパケットとしてストリームデータ生成部306に出力される。ストリームデータ生成部306に入力されたパケットは、前記通常の再生動作の場合と同様にして、タイムスタンプが除去されるとともにそのタイムスタンプに基づいたタイミングで、ストリームデータ出力部307を介してストリームデータとしてHDD104に転送される。
【0051】
HDD104では、まず、HDD103からストリームデータ入力部301に入力された記録予備動作用のパケットに対して、以下に示す記録予備動作が行われる。すなわち、タイムスタンプ保持部302aによって、最初に入力されたパケットに付加されたタイムスタンプが保持される。また、PCRタイムスタンプ保持部302bによって、最初に入力されたPCRパケットに付加されたタイムスタンプが保持され、そのPCRパケットのPCR値が、PCR値保持部302cによって保持される。PCR値保持部302cによって保持されたPCR値から一意に決定されるタイムスタンプがタイムスタンプ算出部302dによって算出される。そして、差分算出部302eによって、タイムスタンプ保持部302aに保持されたタイムスタンプと、PCRタイムスタンプ保持部302bに保持されたタイムスタンプとの差分が算出される。さらに、差分算出部302eで算出された値とタイムスタンプ算出部302dで算出されたタイムスタンプとの差分が、差分算出部302fによって算出され、その値がタイムスタンプ初期値として保持される。この記録予備動作の時点では、ストリームデータ入力部301から出力されるパケットは、タイムスタンプの付加およびバッファ304への格納は行われるが、HDD本体部305への記録は行われない。(なお、この場合にも通常の記録動作で説明したように上記タイムスタンプの付加およびバッファ304への格納は必ずしも必要ない。)
【0052】
HDD103から出力された記録予備動作用のパケットに続いて、HDD104に記録すべきストリームデータが入力される。このストリームデータには、記録予備動作で保持したタイムスタンプ初期値に基づいて生成されたタイムスタンプが付加される。したがって、HDD103で各パケットに付加されるタイムスタンプと連続したタイムスタンプが生成・付加される。これにより、HDD103,104で、重複や欠落のない連続したデータの記録が可能となる。
【0053】
なお、上記記録予備動作用のパケットの「所定量」は、タイムスタンプ生成部302がシステムタイムクロックを同期させるために十分な量(例えばPCRパケットが必ず含まれる量)であれば特に限定はされないが、HDD103,104で対応するように設定されている必要がある。そのためには、あらかじめ定められた量が設定されるようにしてもよいし、装置の起動時や記録または記録予備動作の開始時などにHDD103,104間で通知するようにしたり、受信部102等の他の装置からの指示により設定されるようにするなどしてもよい。
【0054】
HDD104は、HDD本体部305への記録を継続し、やがて、HDD本体部305の空き領域が所定量、例えば最小の記録単位量や所定数のパケット量などになると、HDD103に最終記録開始の通知が行われる。
【0055】
HDD103は、HDD104に記録すべき最後の所定量のパケットの送信が完了すると、以降のパケットについては、HDD本体部305への記録を開始する。すなわち、通常の記録動作同様、バッファ304に保持されたパケットデータを、バッファに所定量だけ貯まるごとに、HDD305に記録していく。
【0056】
なお、上記のようにして分割記録された記録内容の管理は、特に限定されないが、例えば各HDD103,104への記録内容の関連性と記録順序を示す管理情報を設けることなどによって容易に行うことができる。また、そのような管理は、受信部102やHDD103,104、また他の制御装置などの何れが行うようにしてもよい。
【0057】
なお、上記の例では、記録予備動作用のパケットとして、最初の所定量のパケットを用いたが、転送ストリームデータに含まれる時間情報と連続した時間情報を含む擬似的に生成されたデータであってもよい。例えば、ストリームデータの先頭パケットのタイムスタンプをATS1とする。また、ストリームデータに含まれる最初のPCRパケットのタイムスタンプをATS2、PCR値をPCR2とする。このとき、擬似的に生成されるパケットのタイムスタンプATS’及びPCR値PCR’は以下の条件を満たすものであればよい。
1)ATS’<ATS1<ATS2
2)ATS2−ATS’=PCR2−PCR’
3)ATS1−ATS’>1394バスで送信可能なパケット間隔
【0058】
(HDD103,104からの連結再生動作)
次に、上記のようにしてHDD103,104に分割記録されたストリームデータが再生される場合の動作を説明する。
【0059】
まず、概要について説明すると、この再生動作では、HDD104に記録されているパケットは、HDD103を介してから、受信部102(したがって図示しない提示装置等)に出力される。すなわち、まず、HDD104のHDD本体部305から読み出されたパケットが、タイムスタンプの除去およびそのタイムスタンプに基づくタイミング制御により、ストリームデータとして、一旦、HDD103に転送される。HDD103に転送されたパケットには、PCRパケットが検出されるまでは、時間情報に同期しないタイムスタンプが付加される。そして、当該パケットは、一旦バッファ304に保持された後、タイムスタンプの除去およびそのタイムスタンプに基づくタイミング制御により出力され、受信部102を介して提示装置等に送られる。一方、転送されたパケットにPCRパケットが検出された以降は、時間情報に同期したタイムスタンプが付加される。そして、一旦バッファ304に保持された後に、さらにタイムスタンプの除去およびそのタイムスタンプに基づくタイミング制御により出力され、受信部102を介して提示装置等に送られる。また、HDD103のHDD本体部305に記録されているパケットは、上記HDD104から転送されてバッファ304に保持されたパケットに続けて、HDD本体部305から読み出されてバッファ304に保持され、同様のタイミング制御によって出力される。
【0060】
ストリームデータ生成部306において、時間情報に同期しないタイムスタンプが付加されたパケットと時間情報に同期したタイムスタンプが付加されたパケットとの切り替わりを検出し、その出力タイミングを調整することにより、連続したタイムスタンプが付加されていたのと同じタイミングで再生することが可能となる。
【0061】
以下、各部の具体的な動作について説明する。例えば、図7(a)に示すように受信部102から、HDD103経由で、HDD104に再生開始コマンドが発行されると、まず、前記通常の再生の場合と同様に、HDD104に記録されたストリームデータの再生が行われる。すなわち、HDD本体部305に記録されているパケットが読み出されて、一旦、バッファ304に保持される。
【0062】
バッファ304に保持されたパケットは、ストリームデータ生成部306に入力され、タイムスタンプが除去されるとともに、そのタイムスタンプに基づいたタイミングで、ストリームデータ出力部307からストリームデータとして出力される。ただし、その出力先は、受信部102(AVデータの提示装置)ではなく、HDD103である点が通常の再生と異なる。
【0063】
HDD103では、PCRパケットが検出されるまでは、HDD104からストリームデータ入力部301に入力されたパケットに順次、時間情報に同期しないタイムスタンプが付加されて、バッファ304に一旦保持される。次に、PCRパケットが検出されると以下のタイムスタンプ抽出ステップが実行される。すなわち、最初に入力されたPCRパケットに付加されたタイムスタンプがPCRタイムスタンプ保持部302bによって保持される。また、PCRパケットのPCR値がPCR値保持部302cによって保持され、保持されたPCR値から一意に決定されるタイムスタンプがタイムスタンプ算出部302dによって算出される。ここで、最初に入力されたPCRパケットより後に入力されたパケットには、記録時と同様の処理により、時間情報に同期したタイムスタンプが付加される。すなわち、以降のパケットに付加されるタイムスタンプは、HDD104のHDD本体部305に記録されていたときと同じタイムスタンプとなる。
【0064】
上記バッファ304に保持されたパケットは、次にストリームデータ生成部306に出力され、再度タイムスタンプが除去されてストリームデータとして出力され、受信部102を介して提示装置等に送られるが、この時のストリームデータ生成部306内部では以下のステップが実行される。すなわち、送信制御部306cの制御によって、送信用FIFO306bがオーバフローやアンダフローしない程度のタイミングでバッファ304からパケットが出力される。バッファ304から出力されたパケットはタイムスタンプ抽出部306aに入力され、タイムスタンプ抽出部306aによってパケットに付加されたタイムスタンプが除去され送信用FIFO306bに出力される。また、上記パケットから抽出されたタイムスタンプが、タイムスタンプ抽出部306aからタイムスタンプ保持部306dに出力される。タイムスタンプ抽出部306aから出力されたタイムスタンプはタイムスタンプ保持部306dで順次保持されるとともに、タイムスタンプ抽出ステップにおいてPCRタイムスタンプ保持部302bで保持されて非同期タイムスタンプ保持部306iに入力されたタイムスタンプと比較される。
【0065】
一方、カウンタ306eによって基準クロックがカウントされる。タイムスタンプ保持部306dに保持されたタイムスタンプとカウンタ306eのカウント値とが、比較部306fによって比較され、両者が一致したとき送信制御部306によって送信用FIFO306bから次のパケットの出力が指示される。また、送信制御部306cによって、タイムスタンプ抽出部306aにはタイムスタンプ保持部306dの保持するタイムスタンプ値の更新が指示され、カウンタ制御部306gにはカウンタ306eの保持するカウント値の更新が指示される。
【0066】
また、上記のタイムスタンプ抽出部306aで抽出したタイムスタンプと、タイムスタンプ抽出ステップにおいてPCRタイムスタンプ保持部302bに保持されて非同期タイムスタンプ保持部306iに入力されたタイムスタンプとが比較され、比較結果が一致した場合、以下のカウンタ更新ステップが実施される。まず、パケット送出完了を示す信号が送信制御部306cからカウンタ制御部306gに出力される。そして、カウンタ制御部306gの制御により、カウンタ306eのカウント値が、タイムスタンプ抽出ステップにおいてタイムスタンプ算出部302dによって算出された同期タイムスタンプ保持部306hの保持するタイムスタンプ値で初期化される。このカウンタ更新ステップを実施することにより、時間情報に非同期のタイムスタンプが付加されたパケットと時間情報に同期したタイムスタンプが付加されたパケットとが、連続したタイムスタンプが付加されていたのと同じタイミングで再生される。
【0067】
ストリームデータ出力部307は、送信用FIFO306bから出力されたパケットをMPEG−2TS形式のストリームデータとして、IEEE1394規格のインタフェイスに従ってバス110に出力する。上記のようにタイムスタンプに応じた出力タイミングの制御がなされることにより、ストリームデータ入力部301に入力されたときと同じタイミングでストリームデータの各パケットが出力されるので、受信部102を介して図示しない提示装置による映像や音声の適切な提示等が行われる。
【0068】
その後、HDD104は、HDD本体部305に記録されている最後のパケットまで、HDD本体部305から読み出してHDD103への転送を行い、HDD103は、上記転送されたパケットの中継を行う。
【0069】
やがて、HDD104からの転送が完了する際には、まず、図7(b)に示すように、HDD104からHDD103に例えば非同期通信によって再生完了通知(中継終了/自己再生開始コマンド)が送られる。このように非同期通信によって通知することができるのは、HDD104からHDD103に転送されるデータ量が、HDD104の最小記録単位の倍数なので、その最小記録単位のデータが転送される範囲内のタイミングで通知が行われれば、HDD103は転送されるデータの終端を検知することができるからである。なお、このような再生完了通知を送るのに限らず、あらかじめHDD104からHDD103に転送されるデータ量が通知され、HDD103が実際に転送されたデータ量をカウントするなどしてもよい。HDD104からの転送が完了すると、HDD103では、HDD本体部305に記録されているパケットの読み出しが開始され、読み出されたパケットがバッファ304に保持される。
【0070】
ここで、上述したカウンタ更新ステップの実施以降、HDD104から転送されてバッファ304に保持されているパケットのタイムスタンプは、HDD104のHDD本体部305に記録されていたときと同じタイムスタンプとなっている。したがって、HDD103のHDD本体部305から最初に読み出されてバッファ304に保持されるパケットのタイムスタンプは、HDD104から最後に転送されてバッファ304に保持されているパケットのタイムスタンプに連続したものとなっている。このため、HDD103からは、HDD104に記録されていた最後のパケットに続けて、適切なタイミングで、HDD103に記録されている最初のパケットが出力されるので、連続したストリームデータとして提示装置による提示等を行うことが可能となる。
【0071】
なお、分割されたデータ間のタイムスタンプを連続的にするため、分割記録動作で説明した記録予備動作と同様の方法で、時間情報に同期したタイムスタンプを生成・付加してもよい。すなわち、HDD104から、再生データの転送開始前に、再生データの最初の所定量が予備動作用のパケットとし送信され、HDD103において、タイムスタンプ初期値の設定が行われる。HDD104から、タイムスタンプ設定用のパケットに続いて、再生データがHDD103へ転送される。この再生データには、設定されたタイムスタンプ初期値に基づいて生成されたタイムスタンプが付加される。したがって、本来再生すべきストリームデータの先頭から、連続したタイムスタンプが付加される。
【0072】
(コマンド制御について)
上記の例では、分割記録時や連結再生時に受信部102から発行されるコマンドは、便宜上、HDD103に対する分割記録、または連結再生用の記録開始コマンドまたは再生開始コマンドとして説明したが、受信部102は通常の記録、再生と区別することなく同一の記録開始コマンドまたは再生開始コマンドを発行するだけでもよく、HDD103の方で、記録の停止が指示されるまでに空き容量がなくなれば自発的に104に記録予備動作開始コマンドを発行して転送を開始するようにしたり、再生を指示されたストリームデータが分割記録されたものである場合には自発的にHDD104に中継開始コマンド等を発行するようにしたりすることもできる。すなわち、HDD103,104として上記のような構成のものを用いれば、受信部102としては、分割記録、連結再生の有無に係らず同じものを用いることができる。
【0073】
なお、上記に限らず、受信部102として通常の記録再生時と異なる動作をさせ得るものを用いる場合(またはコマンド制御を行う制御部等を受信部102とは別途設ける場合)には、例えば、記録時には、図8に示すように、HDD104の空き領域が所定量になったときに、HDD104から受信部102に最終記録開始通知を発行し、これを受けて、受信部102がHDD103に記録開始コマンドを発行するようにしてもよい。また、再生時には、再生開始時に、図9(a)に示すように、受信部102がHDD104に再生開始コマンドを発行するとともに、103に中継開始コマンドを発行し、また、HDD104の再生が完了する際に、図9(b)に示すようにHDD104が受信部102に最終再生開始通知を発行し、受信部102がこれを受けてHDD103に再生開始コマンドを発行するようにするなどしてもよい。
【0074】
また、上記のようなHDD103,104の全体の動作等を示すコマンドや通知に限らず、バッファ304等の各部の動作を指示するコマンドの組み合わせ等を用いるようにすることもできる。すなわち、例えば、分割記録におけるHDD104の記録が開始される際に、HDD103は、受信制御部308からバッファ304への格納コマンドと、バッファ304からストリームデータ生成部306への読み出しコマンドとによって中継動作を行い、HDD104は、受信制御部308からバッファ304への格納コマンドと、バッファ304からHDD本体部305への記録コマンドとに応じて記録動作を行うようにしてもよい。このような、バッファ操作等のコマンドを用いて制御し得るようにする場合には、HDD103等の汎用性や、動作の柔軟性を高めたりすることも容易にできる。
【0075】
(変形例)
上記の例では、ストリームデータがHDD104に記録された後にHDD103に記録される例を示したが、制御部310,311に代えて、両者の機能をあわせ持つ制御部を設けて、何れのHDDからも先に記録を開始し得るようにしてもよい。
【0076】
また、2台のHDD103,104に分割して記録する例を示したが、3台以上に分割して記録することも容易にできる。すなわち、例えば図10(a)に示すように、HDD103とHDD104に加えて、HDD104と同様に、中継されたストリームデータを記録する機能と、HDD103と同様に、その記録前に他のHDDへストリームデータを中継する機能を有するHDD105を設けて、受信部102からHDD103に送られたパケットを、HDD103とHDD105を介してHDD104に中継するようにしてもよいし、図10(b)に示すように、HDD103とHDD104に加えて、HDD104とほぼ同様の機能を有するHDD104’を設け、HDD104’の空き領域が所定量になったときに、HDD104’がHDD103に最終記録開始通知を発行し、これを受けて、HDD103がHDD104に記録予備動作開始コマンドを発行するとともに転送を行うようにしてもい。また、HDD103が、各HDDに中継するデータ量をカウントして、各HDDの空き領域が所定量になったことを検出し得るように構成される場合には、単にHDD104を複数台設けるだけでよい。
【0077】
一方、3台のHDD103〜105からストリームデータを再生する場合には、例えば図11(a)に示すように、HDD104から出力されたパケットを、HDD105経由で、HDD103に入力し、HDD103から受信部102に出力されるようにしてもよい(この場合、例えば再生完了通知がHDD104からHDD105に送られるのと同様にHDD105からHDD103にも送られるようにすればよい。)。また、図11(b)に示すように、各HDD104,105から直接、HDD103にパケットが転送されるようにしてもよい(この場合には、HDD104からの再生完了通知は、直接またはHDD105を介してHDD103に送られるようにすればよい。)。
【0078】
また、これらの3台以上のHDDが設けられる場合にも、図8、9に示したように受信部102からのコマンドなどによって記録再生動作が制御されるようにしてもよい。
【0079】
また、上記のような分割記録、連結再生機能を有しないHDDもバス110に接続されて混在するようにしてもよい。
【0080】
また、上記の例では、受信部102からのストリームデータがHDD103に入力され、HDD104からHDD103の順序で記録される例を示したが、HDD103の方から先に記録されるようにしてもよい。すなわち、まず、HDD103が受信部102から入力されたストリームデータを記録し、HDD103の空き領域がなくなった後に、HDD104への記録を行うようにすればよい。
【0081】
また、同様に、再生時の順序も逆になるようにしてもよい。すなわち、上記の例では、最初にHDD104から再生されたストリームデータがHDD103に転送され、HDD103から(受信部102を介して)提示装置等に出力される例を示したが、例えば、まずHDD104から直接(受信部102を介して)提示装置等に出力された後に、HDD103から再生されたストリームデータがHDD104に転送されるようにしてもよい。
また、図12に示すように、例えばHDD本体部を備えず、制御部310を備えて、主としてストリームデータの中継および各HDDの制御を行う制御装置106を用いるようにしてもよい。これは、例えば前記図10(b)のHDD103、または図11(b)のHDD103自体の記録量が0である場合と同様なので、やはり、ストリームデータの分割記録、連結再生を適切に行うことができるとともに、HDD103,104の制御部310,311が記録中継制御部310bや再生中継制御部311cなどを備える必要がないので構成の簡素化を図ることもできる。さらに、上記制御装置106としての機能を受信部102に持たせるなどしてもよい。
【0082】
なお、上記の例では、HDD103等のシステムタイムクロックの同期をとるためにPCRパケットを用いる例を示したが、これに限らず、例えば時間情報を含むユーザパケットを用いるなどしてもよい。
【0083】
また、上記の例では、IEEE1394規格のバス110が用いられる例を示したが、再生タイミングに同期したストリームデータの伝送が可能で、ネットワークを構成することが可能なインタフェイスであれば、上記に限らず、HDDをネットワークに接続するだけで容易に増設することができ、ストリームデータの分割記録、連結再生を行うことができる。また、ストリームデータの形式も、MPEG−2TS形式に限るものではない。すなわち、HDD103,104間で、受信部102から出力されるのと同様のストリームデータの伝送を行うことによって、上記のように分割記録、連結再生を行うことができ、専用の信号線を必要とすることなく、また、特殊なパケットフォーマットを用いる必要もないので、同期性を有する伝送が可能な種々の伝送方式やデータフォーマットを用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明に係るストリームデータ記録再生装置は、複数の装置間において連続したタイムスタンプが付加されたストリームデータを分割記録し、また連結再生することが可能であるため、特に大容量のデータ記録・再生・転送装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本実施の形態におけるストリームデータ記録再生装置(ハードディスクドライブ)を有する受信記録再生装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したハードディスクドライブの構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示したタイムスタンプ生成部の構成を示す図である。
【図4】図2に示した制御部の一方の構成を示す図である。
【図5】図2に示した制御部の他方の構成を示す図である。
【図6】(a)(b)は、図1に示した受信記録再生装置において記録時に送受信されるコマンドの一例を示す図である。
【図7】(a)(b)は、図1に示した受信記録再生装置において再生時に送受信されるコマンドの一例を示す図である。
【図8】図1に示した受信記録再生装置において記録時に送受信される他のコマンドの例を示す図である。
【図9】(a)(b)は、図1に示した受信記録再生装置において再生時に送受信される他のコマンドの例を示す図である。
【図10】(a)(b)は、変形例に係る記録動作を示す図である。
【図11】(a)(b)は、変形例に係る再生動作を示す図である。
【図12】変形例に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0086】
101 受信記録再生装置
102 受信部
103,104 ストリームデータ記録再生装置(HDD)
301 ストリームデータ入力部(解析手段)
302 タイムスタンプ生成部(タイムスタンプ付加手段)
303 タイムスタンプ付加部(タイムスタンプ付加手段)
304 バッファ
305 HDD本体部(記録手段,再生手段)
306 ストリームデータ生成部(転送出力手段,再生出力手段)
306a タイムスタンプ抽出部(タイムスタンプ除去手段)
306b 送信用FIFO
306c 送信制御部
306d タイムスタンプ保持部
306e カウンタ
306f,306k 比較部
306g カウンタ制御部
306h 同期タイムスタンプ保持部
306i 非同期タイムスタンプ保持部
306j オフセット値保持部
306l 差分算出部
307 ストリームデータ出力部
310,311 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生タイミングに応じた時間情報を含み、再生時間の推移に応じたタイミングで入力されたストリームデータを記録媒体に記録するストリームデータ記録装置であって、
上記入力されたストリームデータを解析して、上記記録媒体に記録する記録データを抽出する解析手段と、
上記記録データに含まれる上記時間情報に同期したタイムスタンプを生成し、上記記録データに付加するタイムスタンプ付加手段と、
上記記録データを上記記録媒体に記録する記録手段と、
上記記録データから上記タイムスタンプを除去して転送ストリームデータを生成するとともに、上記時間情報を含むデータを他のストリームデータ記録装置に出力してから、上記生成された転送ストリームデータを上記タイムスタンプに応じたタイミングで上記他のストリームデータ記録装置に出力する転送出力手段とを備えた
ことを特徴とするストリームデータ記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載のストリームデータ記録装置において、
上記時間情報を含むデータは、上記転送ストリームデータの先頭部分を含む所定量のデータである
ことを特徴とするストリームデータ記録装置。
【請求項3】
請求項1に記載のストリームデータ記録装置において、
上記時間情報を含むデータは、上記転送ストリームデータに含まれる時間情報と連続した時間情報を含む擬似的に生成されたデータである
ことを特徴とするストリームデータ記録装置。
【請求項4】
再生タイミングに応じた時間情報を含み、再生時間の推移に応じたタイミングで入力されたストリームデータを記録媒体に記録するストリームデータ記録装置であって、
上記入力されたストリームデータを解析して、上記記録媒体に記録する記録データを抽出する解析手段と、
上記ストリームデータの先頭部分を含む所定量のデータから上記時間情報を抽出し、当該時間情報に同期したタイムスタンプを設定してから、その続きのタイムスタンプを生成し、上記記録データに付加するするタイムスタンプ付加手段と、
上記記録データを上記記録媒体に記録する記録手段とを備えた
ことを特徴とするストリームデータ記録装置。
【請求項5】
ストリームデータ再生装置の記録媒体に、タイムスタンプが付加されて記録された記録データからストリームデータを再生するストリームデータ再生装置であって、
上記記録媒体から上記記録データを読み出し、上記タイムスタンプを除去するタイムスタンプ除去手段と、
転送ストリームデータの先頭部分を含む所定量のデータを出力してから、上記タイムスタンプに応じたタイミングで上記転送ストリームデータを出力する転送出力手段を備えた
ことを特徴とするストリームデータ再生装置。
【請求項6】
そのストリームデータ再生装置の第1の記録媒体、および他のストリームデータ再生装置の第2の記録媒体に、連続したタイムスタンプが付加されてそれぞれ記録された第1および第2の記録データから連続したストリームデータを再生するストリームデータ再生装置であって、
上記第1の記録媒体から上記第1の記録データを読み出して、第1の再生出力データとして出力する再生手段と、
上記他のストリームデータ再生装置が、上記第2の記録媒体から上記第2の記録データを読み出して、上記タイムスタンプを除去するとともに上記タイムスタンプに応じたタイミングで出力した転送ストリームデータを解析して、第2の再生出力データを抽出する解析手段と、
上記転送ストリームデータの先頭部分を含む所定量のデータから時間情報を抽出し、当該時間情報に同期したタイムスタンプを設定してから、その続きのタイムスタンプを生成し、上記第2の再生出力データに付加するタイムスタンプ付加手段と、
上記第1の再生出力データ、および上記第2の再生出力データから上記タイムスタンプを除去して再生ストリームデータを生成するとともに、生成された再生ストリームデータを上記タイムスタンプに応じたタイミングで順次出力する再生出力手段とを備えた
ことを特徴とするストリームデータ再生装置。
【請求項7】
そのストリームデータ再生装置の第1の記録媒体、および他のストリームデータ再生装置の第2の記録媒体に、連続したタイムスタンプが付加されてそれぞれ記録された第1および第2の記録データから連続したストリームデータを再生するストリームデータ再生装置であって、
上記第1の記録媒体から上記第1の記録データを読み出して、第1の再生出力データとして出力する再生手段と、
上記他のストリームデータ再生装置が、上記第2の記録媒体から上記第2の記録データを読み出して、上記タイムスタンプを除去するとともに上記タイムスタンプに応じたタイミングで出力した転送ストリームデータを解析して、第2の再生出力データを抽出する解析手段と、
上記第2の再生出力データに含まれる時間情報に同期したタイムスタンプを生成し、上記第2の再生出力データに付加するタイムスタンプ付加手段と、
上記第1の再生出力データ、および上記第2の再生出力データから上記タイムスタンプを除去して再生ストリームデータを生成するとともに、生成された再生ストリームデータを上記タイムスタンプに応じたタイミングで順次出力する再生出力手段とを備え、
上記タイムスタンプ付加手段は、上記第2の再生出力データに含まれる時間情報を検出するまでは、上記時間情報に同期しないタイムスタンプを生成し、上記第2の再生出力データに付加するものであり、
上記再生出力手段は、上記再生ストリームデータを生成する際、上記タイムスタンプが、上記時間情報に同期していないものから同期したものへ切り替わるタイミングを検出し、上記再生ストリームデータを出力するタイミングを調整するものである
ことを特徴とするストリームデータ再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−213737(P2007−213737A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34862(P2006−34862)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】