説明

スナバモジュール

【課題】
小型・軽量でスナバ用コンデンサの交換が容易、かつスナバ効果の優れたなスナバモジュールを提案すること。
【解決手段】
ブリッジ構成に接続されている複数のスナバ用ダイオードとスナバ用コンデンサとを組み合わせてなるスナバモジュールにおいて、前記スナバ用ダイオードは、第1の一対のダイオードのカソード同士が接続されているカソードコモンダイオード部と、第2の一対のダイオードのアノード同士が接続されているアノードコモンダイオード部とからなり、前記カソードコモンダイオード部と前記アノードコモンダイオード部とは、互いに並列接続となるように一端が第1の引き出し電極部材に接続され、他端が第2の引き出し電極部材に接続されており、前記スナバ用コンデンサは、前記カソードコモンダイオード部のカソードと前記アノードコモンダイオード部のアノードとの間に接続されていることを特徴とするスナバモジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スナバモジュール、特に互いに逆方向に並列接続されたIGBT又はFETなどからなる双方向性半導体スイッチ、あるいはその双方向性半導体スイッチを複数接続してなるマトリクスコンバータをサージ電圧から保護するのに適したスナバモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
インバータ回路などにあっては、IGBT又はFETなどの半導体スイッチをブリッジなど所定の回路構成に接続し、それら半導体スイッチをパルス幅制御することによって、直流電力を交流電力に変換している。このような半導体スイッチのスイッチング時、特に半導体スイッチのターンオフ時には、フィルタの平滑用チョークコイルのインダクタンス又は回路に含まれるインダクタンス成分に蓄えられたエネルギーを継続して流そうとするために、半導体スイッチの両端に過渡的に大きな電圧が発生するので、前記エネルギーを半導体スイッチからバイパスすることによって、過渡的な大きな電圧が発生するのを抑制するスナバ回路が前記半導体スイッチに並列に設けられる場合が多い。インバータ回路のようなDC−ACコンバータにあっては、半導体スイッチに一方向の電流が流れるだけであるので、スナバ回路としてはコンデンサ、あるいはコンデンサと抵抗、又はコンデンサと抵抗とコンデンサとを組み合わせた回路など種々のスナバ回路が提案されている。
【0003】
しかしながら、双方向性半導体スイッチ又はマトリクスコンバータなどの双方向性コンバータにあっては、電流が双方向に流れるために双方向性半導体スイッチに並列にコンデンサを接続、あるいは双方向性コンバータの各相間にコンデンサを接続してスナバ回路としている場合が多い。そのような中で、マトリクスコンバータの有効的なスナバ回路として、マトリクスコンバータの入力端子側に複数のスナバ用ダイオードをブリッジ接続してなるダイオード回路を接続すると共に、出力端子側に複数のスナバ用ダイオードをブリッジ接続した別のダイオード回路を接続し、さらにそのダイオード回路の出力端子間にスナバ用コンデンサを接続してなるスナバ回路が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2003−333826公報
【特許文献2】特開2004−096974公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前掲特許文献1で開示されたスナバモジュールにあっては、ディスクリートのダイオード部品で構成されているために小型化が難しく、また、それらダイオード部品間を接続している配線が長くなってしまうためにインダクタンスが大きくなってしまい、サージ電圧を抑制する効果が低くなることが知られている。前掲特許文献2で開示されたスナバモジュールは前掲特許文献1の欠点を除去できるが、複数のダイオード素子とコンデンサとそれらの間を接続している配線をすべて電気絶縁樹脂でモールドしているので、ダイオード素子の発熱が電気絶縁樹脂を介してコンデンサに伝達され、コンデンサの温度上昇の原因になっている。このことは容量のより大きなダイオード素子、コンデンサを用いねばならないことになり、スナバモジュールの大型化を招き、電気絶縁樹脂の使用量の増大と重量の増大とを招いている。また、コストアップの一因にもなっている。
【0005】
したがって、本発明は前述の問題点を解決し、小型・軽量でスナバ用コンデンサの交換が容易なスナバモジュールを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、双方向の電流を開閉する双方向性半導体スイッチの両端に接続される複数のスナバ用ダイオードとスナバ用コンデンサとを組み合わせてなるスナバモジュールにおいて、前記スナバ用ダイオードは、第1の一対のダイオードのカソード同士が接続されているカソードコモンダイオード部と、第2の一対のダイオードのアノード同士が接続されているアノードコモンダイオード部とからなり、前記カソードコモンダイオード部は、前記第1の一対のダイオードのそれぞれのカソードがカソードコモン端子となる第1の金属ベース部材の一方の主面に接続されると共に、前記第1の金属ベース部材と対向する位置にそれぞれのアノード端子を有し、前記アノードコモンダイオード部は、前記第2の一対のダイオードのそれぞれのアノードがアノードコモン端子となる第2の金属ベース部材の一方の主面に接続されると共に、前記第2の金属ベース部材と対向する位置にそれぞれのカソード端子を有し、前記カソードコモンダイオード部の一方の前記アノード端子と前記アノードコモンダイオード部の一方の前記カソード端子とが、前記双方向性半導体スイッチの一端に接続される第1の引き出し電極部材で接続され、前記カソードコモンダイオード部の他方の前記アノード端子と前記アノードコモンダイオード部の他方の前記カソード端子とが、前記双方向性半導体スイッチの他端に接続される第2の引き出し電極部材で接続されることにより、前記カソードコモンダイオード部と前記アノードコモンダイオード部とが並列に接続されており、前記スナバ用コンデンサの双方の端子は、それぞれ前記第1の金属ベース部材の他方の主面と前記第2の金属ベース部材の他方の主面とに、直接的あるいは間接的に接続されていることを特徴とするスナバモジュールを提供するものである。
【0007】
第2の発明は、前記第1の発明において、前記第1の金属ベース部材と前記第2の金属ベース部材との前記他方の主面は、同一平面上にあることを特徴とするスナバモジュールを提供するものである。
【0008】
第3の発明は、双方向の電流を開閉する双方向性半導体スイッチの両端に接続される複数のスナバ用ダイオードとスナバ用コンデンサとを組み合わせてなるスナバモジュールにおいて、前記スナバ用ダイオードは、一対のダイオードのカソード同士が接続されている第1、第2、第3のカソードコモンダイオード部と、一対のダイオードのアノード同士が接続されている第1、第2、第3のアノードコモンダイオード部とからなり、前記第1、第2、第3のカソードコモンダイオード部は、それぞれ、カソードコモン端子となる金属ベース部材と、それぞれの金属ベース部材と対向する位置に2つのアノード端子を有し、前記第1、第2、第3のアノードコモンダイオード部は、それぞれ、アノードコモン端子となる金属ベース部材と、それぞれの金属ベース部材と対向する位置に2つのカソード端子を有し、前記第1のカソードコモンダイオード部と前記第1のアノードコモンダイオード部、前記第2のカソードコモンダイオード部と前記第2のアノードコモンダイオード部、前記第3のカソードコモンダイオード部と前記第3のアノードコモンダイオード部が、それぞれ並列接続されるように、それぞれの一方のアノード端子と一方のカソード端子とが、他方のアノード端子と他方のカソード端子とが、それぞれ、第1の引き出し電極部材と第2の引き出し電極部材、第3の引き出し電極部材と第4の引き出し電極部材、第5の引き出し電極部材と第6の引き出し電極部材で接続され、前記第1、第2、第3のカソードコモンダイオード部のそれぞれの金属ベース部材は互いに第1の幅広導体に電気的にも機械的にも結合され、前記第1、第2、第3のアノードコモンダイオード部のそれぞれの金属ベース部材は互いに第2の幅広導体に電気的にも機械的にも結合され、前記スナバ用コンデンサは、前記第1の幅広導体と前記第2の幅広導体とに電気的にも機械的にも結合されることを特徴とするスナバモジュールを提供するものである。
【0009】
第4の発明は、前記第3の発明において、前記第1、第3、第5の引き出し電極部材と前記第2、第4、第6の引き出し電極部材は、それぞれ、三相交流電源と三相交流負荷との間に接続される9つの前記双方向性スイッチの内の3つの前記双方向性スイッチを1組とした3組共通の3つの入力端子、又は、各組で3つの出力端子を結合した3組それぞれの3つの出力端子のどちらかに接続されることを特徴とするスナバモジュールを提供するものである。
【0010】
第5の発明は、前記第3の発明又は前記第4の発明において、前記第1、第2、第3のカソードコモンダイオード部、前記第1、第2、第3のアノードコモンダイオード部は、それらの金属ベース部材、及びアノード端子又はカソード端子が露出するようにそれぞれ電気絶縁材料でモールドされていることを特徴とするスナバモジュールを提供するものである。
【0011】
第6の発明は、前記第3の発明ないし前記第5の発明のいずれかにおいて、前記第1、第2、第3のカソードコモンダイオード部、前記第1、第2、第3のアノードコモンダイオード部は、それらの金属ベース部材、及びアノード端子又はカソード端子が露出するように、電気絶縁材料で一体的にモールドされていることを特徴とするスナバモジュールを提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
前記第1の発明又は前記第2の発明によれば、スナバ用ダイオードを金属ベース部材と引き出し電極部材との間に挟んで接着する構造であるので、配線インダクタンスを最小限にできると共に、スナバダイオードの放熱を極めて良好なものにできる。したがって双方向性半導体スイッチのいずれの方向のターンオフ時にも、双方向性半導体スイッチの両端に発生するサージ電圧を確実に制限することができるだけでなく、小型で経済性に優れたスナバモジュールを提供することができる。
【0013】
また、前記第3の発明ないし前記第6の発明によれば、配線を担うインダクタンスのより小さな部材を用いた簡単で経済的な構造のスナバモジュールでもって、マトリクスコンバータのいずれの方向の電流の開閉時にも、その両端に発生するサージ電圧を確実に制限することができる。また、第1、第2の幅広導体はカソードコモンダイオード部とカソードコモンダイオード部の放熱を良好なものにするだけでなく、スナバ用コンデンサやその放電回路を接続する端子も兼ねることができ、回路インダクタンスの低減とスナバモジュールの構造の簡単化に役立っている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[実施形態1]
図1は本発明の実施形態1にかかるスナバモジュールの基本的な回路構成を示す図である。図2は実施形態1にかかるスナバモジュールの構造を説明するための図面である。図1において、スナバモジュール100は双方向性半導体スイッチQの両端に接続されている。双方向性半導体スイッチQは一般的なものであって、例えば2個のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)Q1、Q2を並列接続したものからなる。スナバモジュール100は、2個のダイオードD1とD2とのカソード同士を互いに接続してなるカソードコモンダイオード部1と、2個のダイオードD3とD4とのアノード同士を互いに接続してなるアノードコモンダイオード部2と、それら互いに接続されたカソード部とアノード部との間に接続されたスナバ用コンデンサ3と、スナバ用コンデンサ3に並列に接続された抵抗器4とからなる。
【0015】
このスナバ回路の動作を簡単に説明する。今、一方の半導体スイッチQ2がオフ状態で、他方の半導体スイッチQ1がオン状態にあり、半導体スイッチQ1がオンからオフに変ると、それまで半導体スイッチQ1を流れていた電流はスナバモジュール100のダイオードD1、スナバ用コンデンサ3、ダイオードD4を通して流れることによって、半導体スイッチQ1の両端に現出するサージ電圧を抑制する。スナバ用コンデンサ3に充電された電荷は抵抗器4を通して放電され、消費される。半導体スイッチQ1がオフで、半導体スイッチQ2がオン状態にあり、半導体スイッチQ2がオフする場合には、半導体スイッチQ2を流れていた電流はスナバモジュール100のダイオードD2、スナバ用コンデンサ3、ダイオードD3を通して流れることによって、半導体スイッチQ2の両端に現出するサージ電圧を抑制する。
【0016】
次に、このように動作するスナバモジュール100の構造について図2を用いて説明する。図2(A)はスナバモジュール100を下方から見た説明図であり、図2(B)はスナバモジュール100を側面から見た説明図であって、分かり易いように鎖線で表示する部分も実線で示している部分がある。カソードコモンダイオード部1とアノードコモンダイオード部2とは外形、寸法ともに同じである。カソードコモンダイオード部1は、フラットな金属ベース部材1Aと、金属ベース部材1Aの一方の主面に不図示のカソード電極がハンダ付けなどによって接着されたダイオードD1、D2(図1)をモールドしてなる電気絶縁材料1B、ダイオードD1のアノード端子1C、ダイオードD2のアノード端子1Dを有する。ここで、ダイオードD1は金属ベース部材1Aとアノード端子1Cとの間に挟まれており、ダイオードD2は金属ベース部材1Aとアノード端子1Dとの間に挟まれた構造になっている。アノードコモンダイオード部2も同様であり、フラットな金属ベース部材2Aと、金属ベース部材2Aの一方の主面に不図示のアノード電極がハンダ付けなどによって接着されたダイオードD3、D4(図1)をモールドしてなる電気絶縁材料2B、ダイオードD3のカソード端子2C、ダイオードD4のカソード端子2Dを有する。ダイオードD3は金属ベース部材2Aとカソード端子2Cとの間に挟まれており、ダイオードD4は金属ベース部材2Aとカソード端子2Dとの間に挟まれた構造になっている。したがって、この構造によればダイオードD1〜D4の放熱が良好である。ここで、ダイオードD1、D2のカソードが接着された金属ベース部材1Aの一方の主面とは反対側になる他方の主面、及びダイオードD3、D4のアノードが接着された金属ベース部材1Aの一方の主面とは反対側になる他方の主面は、互いにほぼ同じレベル、つまり同一平面上に位置する。
【0017】
これらカソードコモンダイオード部1とアノードコモンダイオード部2とは、アノード端子1Cと1D、カソード端子2Cと2Dとが樹脂ケース5内に位置し、かつ少なくとも金属ベース部材1Aと2Aとが樹脂ケース5から突出するように納められている。樹脂ケース5は、図2(B)において下方向から見て開いており、上方向から見たときには、ダイオードD1とダイオードD2とを包囲してなる電気絶縁材料1B、及びダイオードD3とダイオードD3とを包囲してなる電気絶縁材料2Bをそれぞれ納めるための不図示の開口を有する。樹脂ケース5の相対する一対の側壁5A、5Bからは内外に向けて第1の引き出し電極部材6、第2の引き出し電極部材7が延びている。第1、第2の引き出し電極部材6、7は、図1に示した双方向性半導体素子Qの不図示の取付け用外部端子に取り付けるための取付け部6A、7Aと、互いに相対する方向に延びる接続部6B、7Bとからなる。なお、第2の引き出し電極部材7の接続部7Bについては、分かり易いように樹脂ケース5内の部分を鎖線で示している。なお、樹脂ケース5は必要に応じて用いればよく、必ずしも必要ではない。
【0018】
取付け部6A、7Aはそれぞれ長孔6a、7aを有し、これら長孔6a、7aに不図示のボルトを挿入して双方向性半導体スイッチQの両端における不図示の外部端子に取り付ける。接続部6B、7Bはそれぞれ二つのボルト用孔6b1と6b2、ボルト用孔7b1と7b2を有する。カソードコモンダイオード部1のアノード端子1C、アノードコモンダイオード部2のカソード端子2Cにそれぞれ設けられた不図示のネジ孔にボルト用孔6b1、6b2を位置合わせした上で、不図示のボルトをそれら孔に挿入して螺回することによって、第1の引き出し電極部材6がアノード端子1Cとカソード端子2Cとに固定され、かつ電気的に接続される。同様に、アノードコモンダイオード部2のカソード端子2D、カソードコモンダイオード部1のアノード端子1Dのそれぞれに設けられた不図示のネジ孔にボルト用孔7b1、7b2を位置合わせした上で、不図示のボルトを挿入して螺回することによって、第2の引き出し電極部材7がアノード端子1Dとカソード端子2Dとに固定され、かつ電気的に接続される。
【0019】
前記不図示のボルトによって第1、第2の引き出し電極部材6、7をカソードコモンダイオード部1とアノードコモンダイオード部2とに取り付ける工程は、図2(B)下方向から、つまり樹脂ケース5の開口から行われるので、取り付け作業は容易に行える。なお、フラットな金属ベース部材1A、2Aは図2(A)において、電気絶縁材料1B、2Bから上下方向に突出し、その突出した部分に任意の形状の取付け用孔1aと1b、2aと2bとを有するが、実施形態1では必ずしも電気絶縁材料1B、2Bから突出する必要は無く、また取付け用孔1aと1b、取付け用孔2aと2bとを有する必要も無い。この実施形態1では、図1に示したスナバ用コンデンサ3と抵抗器4との両端子がフラットな金属ベース部材1A、2Aにそれぞれハンダ付け、又は不図示のボルトとハトメを利用して取付け用孔1aと1b、取付け用孔2aと2bに固定されている。抵抗器4はスナバ用コンデンサ3の陰に位置するので図示されていない。
【0020】
なお、図2(B)のスナバ用コンデンサ3は、電気的な接続を示す図であり、実際には、配線インダクタンスを低減するようにカソードコモン部1とアノードコモン部2とに取り付けることが好ましい。例えば、フラットな金属ベース部材1A、2Aそれぞれに、取付け用孔1aと1b、取付け用孔2aと2bとを利用して不図示のボルトなどによって、機械的な強度の補強と放熱も兼ねる幅広導体8、9(破線で示す)を取り付け、その幅広導体8、9にスナバ用コンデンサ3と抵抗器4とを取り付ける構造としてもよい。スナバ用コンデンサ3と幅広導体8、9とを接続する際には、配線インダクタンスを低減するために、幅広導体8、9から幅広の状態で、かつ最短距離でスナバ用コンデンサ3の両端に接続することが好ましい。具体的な構成については、実施形態2で説明する。このような構成にすることによって、スナバ用コンデンサ3と、それぞれカソードコモンダイオード部1及びアノードコモンダイオード部2との配線インダクタンスを低減することができるため、サージ電圧を抑制する効果を高めることができる。
【0021】
また、上記のように、カソードコモンダイオード部1及びアノードコモンダイオード部1の上にスナバ用コンデンサ3を配置する構成にしているため、比較的大きな容量のコンデンサを適用した場合でも、コンデンサの占有面積を十分に確保することがき、さらに、スナバモジュール全体を小型化することが可能となる。また、設計値に適したスナバ用コンデンサ3に変更する必要がある場合でも、容易に交換が可能となる。さらに、スナバ用コンデンサ3とカソードコモンダイオード部1及びアノードコモンダイオード部2とが、電気絶縁樹脂等によってモールドされていないため、スナバ用コンデンサ3とカソードコモンダイオード部1及びアノードコモンダイオード部2との間の空気の層によって、ダイオードの発熱を断熱することができる。したがって、スナバ用コンデンサ3の温度上昇を防止することができ、コンデンサの破損を防ぎ、寿命を延ばすことができる。
【0022】
また、必要に応じて、樹脂ケース5内に電気絶縁樹脂に注入してもよい。実施形態1の樹脂ケース5は、スナバ用コンデンサ3と抵抗器4とが樹脂ケース5の外側に位置し、カソードコモンダイオード部1とアノードコモンダイオード部2との下側部分のみが納められる程度の低い背高であるので、仮に樹脂ケース5内に電気絶縁樹脂に注入しても重量は少し増えるだけである。また、抵抗器4に代えて、半導体スイッチQ1、Q2の双方がオフの期間にオンしてスナバ用コンデンサ3の充電電荷を放電する不図示の半導体スイッチ用素子をスナバ用コンデンサ3の両端に並列に接続してもよい。
【0023】
[実施形態2]
次に、図3及び図4によって本発明の実施形態2であるスナバモジュール200について説明する。図3はスナバモジュール200の回路構成を示し、図4はスナバモジュール200の構造を説明するための図である。図3及び図4において、図1、図2で用いた記号と同じ記号は同じ名称の部材を示すものとする。スナバモジュール200は、前掲の特許文献2に記載されたマトリクスコンバータのスナバモジュールとして用いるのに適しており、特に前掲の特許文献2の図4に示されるマトリクスコンバータ用の半導体スイッチモジュールのスナバ用として適している。その半導体スイッチモジュールについては参考のために図5に掲げるが、前掲の特許文献2で説明されているので詳しくは説明しない。なお、図4(A)は図4(B)において下方向から見た図である。
【0024】
スナバモジュール200は、基本的には実施形態1のスナバモジュール100を3個並列接続した構成を有するものである。スナバモジュール200はカソードコモンダイオード部1と同じ構成のカソードコモンダイオード部11〜13、アノードコモンダイオード部2と同じ構造のアノードコモンダイオード部21〜23を備える。カソードコモンダイオード部11〜13とアノードコモンダイオード部21〜23とは外形及び寸法はすべて同じである。図3に示すように、カソードコモンダイオード部11とアノードコモンダイオード部21とは、引き出し電極部材6、7と同様な第1、第2の引き出し電極部材61と71との間に並列接続されている。カソードコモンダイオード部12とアノードコモンダイオード部22とは引き出し電極部材61と71と同様な第3、第4の引き出し電極部材62と72との間に並列接続され、また、カソードコモンダイオード部13とアノードコモンダイオード部23とは引き出し電極部材61と71と同様な第5、第6の引き出し電極部材63と73との間に並列接続されている。図4に示すように、カソードコモンダイオード部11〜13は樹脂ケース5に縦一列に配置されており、また、アノードコモンダイオード部21〜23も樹脂ケース5に縦一列に配置されている。カソードコモンダイオード部11〜13とアノードコモンダイオード部21〜23との間には電気絶縁を確保できる間隔が存在する。なお、端子8’と9’は必ずしも必要でないが、端子8’と9’間に跨ってスナバ用コンデンサ3が接続されると共に、必要があればスナバ用コンデンサ3の充電電荷の放電を適切なタイミングで高速で行うための不図示の放電回路が接続される。実施形態1と同様にスナバ用コンデンサ3の充電電荷の放電を抵抗器で行う場合にはこの端子8’、9’は不要であり、予め前記抵抗器を組み込んでおけばよい。
【0025】
実施形態1で説明したカソードコモンダイオード部1、アノードコモンダイオード部2と同様に、カソードコモンダイオード部11は金属ベース部材11Aを備え、金属ベース11Aは取付け用孔11aと11bを有する。アノードコモンダイオード部21は金属ベース部材21Aを備え、金属ベース21Aは取付け用孔21aと21bを有する。カソードコモンダイオード部12と13も同様に、金属ベース12A、金属ベース13Aをそれぞれ備え、またアノードコモンダイオード部22と23も同様に、金属ベース22A、金属ベース23Aをそれぞれ備える。そして、図面が複雑となって見難くなるので、金属ベース部材11A、21A以外については取付け用孔について記号を付していないが、これら金属ベース部材も金属ベース部材11A、金属ベース部材21Aと同様な取付け用孔を図示のように備える。金属ベース11Aの取付け用孔11b、金属ベース21Aの取付け用孔21bは前記ボルトの位置の自由度を高めるために、切り欠いた取付け用孔になっている。取付け用孔11a、21aも同様な切り欠いた取付け用孔になっていてもよい。金属ベース12A、13A、金属ベース22A、23Aについても同様である。
【0026】
カソードコモンダイオード部11〜13の金属ベース部材11A、12A、13Aは、小型化の面、及び金属ベース11Aの取付け用孔11aと11bに対する金属ベース12A、金属ベース13Aの取付け用孔の位置が一定になるという面から互いに当接していた方が好ましいが、必ずしも接触していなくてもよい。アノードコモンダイオード部21〜23の金属ベース部材21A、22A、23Aも同様である。なお、少なくともカソードコモンダイオード部11〜13の金属ベース部材11A〜13A、及びアノードコモンダイオード部21〜23の金属ベース部材21A〜23Aは樹脂ケース5の外側、つまり図4(B)で樹脂ケース5の外部上側に位置する。なお、この実施形態2においても、樹脂ケース5は必要に応じて用いればよい。
【0027】
カソードコモンダイオード部11のアノード端子11Cとアノードコモンダイオード部21のカソード端子21Cとにそれぞれ設けられている不図示のネジ孔に、第1の引き出し電極部材61のボルト用孔61b1、61b2を位置合わせした上で、ボルト81、82をそれら孔に挿入して螺回することによって、第1の引き出し電極部材61が固定され、かつアノード端子11Cとカソード端子21Cとが電気的に接続される。同様に、カソードコモンダイオード部11のアノード端子11Dとアノードコモンダイオード部21のカソード端子21Dとにそれぞれ設けられた不図示のネジ孔に、第2の引き出し電極部材71のボルト用孔71b1、71b2を位置合わせした上で、ボルト83、84を挿入して螺回することによって、第2の引き出し電極部材71が固定され、かつアノード端子11Dとカソード端子21Dとが電気的に接続される。カソードコモンダイオード部12とアノードコモンダイオード部22、カソードコモンダイオード部13とアノードコモンダイオード部23についても全く同様であるので説明を省略する。また、図面が複雑となって見難くなるので、カソードコモンダイオード部12とアノードコモンダイオード部22、カソードコモンダイオード部13とアノードコモンダイオード部23のアノード端子、カソード端子については記号を図示していない。このようにして、カソードコモンダイオード部11〜13とアノードコモンダイオード部21〜23とは、樹脂ケース5の側壁から延びる引き出し電極部材61〜63、71〜73の対応するもの、つまり、カソードコモンダイオード部11とアノードコモンダイオード部21とは引き出し電極部材61、71に、カソードコモンダイオード部12とアノードコモンダイオード部22とは引き出し電極部材62、72に、カソードコモンダイオード部13とアノードコモンダイオード部23とは引き出し電極部材63と73に機械的結合及び電気的接続が行われる。
【0028】
次に、断面がL字状に折り曲げられている第1の幅広導体8が金属ベース部材11A〜13Aに固定される。L字状の幅広導体8は、図4(A)のように金属ベース部材11A〜13Aを配置したときに、金属ベース部材11A〜13Aの両端の間隔にほぼ等しい長さを有すると共に、金属ベース部材11A〜13Aの幅、つまり図4(B)において金属ベース部材11Aの左右方向の幅とほぼ同程度の幅を有する。実施形態2では、図4(A)に示すように、カソードコモンダイオード部11〜13の金属ベース部材11A〜13Aが互いに当接しており、それら金属ベース部材11A〜13Aの大きさはほぼ等しいので、金属ベース部材11Aの取付け用孔11aと11bに対する金属ベース部材12A、金属ベース部材13Aの取付け用孔の間隔は予め決められた値であり、幅広導体8の平坦部分8Aにはその間隔で貫通孔が設けられている。したがって、これら貫通孔が金属ベース部材11Aの取付け用孔11aと11bに合致するように幅広導体8を金属ベース部材11A〜13Aの上に載せれば、他の貫通孔も金属ベース部材12A、13Aの取付け用孔に合致する。この状態でボルトを前記貫通孔を通して金属ベース部材11A〜13Aの取付け用孔に螺合させることによって、幅広導体8を金属ベース部材11A〜13Aに強固に固定することができる。例えば図4(B)では、ボルト91を前記貫通孔を通して金属ベース部材11Aの取付け用孔11aに螺合させており、同様に他の貫通孔を通して金属ベース部材11Aの取付け用孔11bに不図示のボルトを螺合させる。なお、前記ボルトに螺合するナットについては図示するのを省略している。
【0029】
第1の幅広導体8と同様に断面がL字状に折り曲げられている第2の幅広導体9は金属ベース部材21A〜23Aに固定される。L字状の幅広導体9は、図4(A)のように金属ベース部材21A〜23Aを配置したときに、金属ベース部材21A〜23Aの両端の間隔にほぼ等しい長さを有すると共に、金属ベース部材21A〜23Aの幅、つまり図4(B)において金属ベース部材21Aの左右方向の幅とほぼ同程度の幅を有する。図4(A)に示すように、カソードコモンダイオード部21〜23の金属ベース部材21A〜23Aが互いに当接しているので、金属ベース部材11Aの取付け用孔21aと21bに対する金属ベース部材22A、金属ベース部材23Aの取付け用孔の間隔は予め決められた値であり、幅広導体9の平坦部分9Aにはその間隔で貫通孔が設けられている。したがって、幅広導体8の場合と同様にボルト92などを用いて幅広導体9を金属ベース部材11A〜13Aに固定することができる。なお、幅広導体8、9の幅を特に限定する必要は無い。
【0030】
前述からも分かるように、幅広導体8は電気的には図3のカソードコモンラインKLの働きを行い、幅広導体9は電気的には図3のアノードコモンラインALの働きを行う。そして、第1、第2の幅広導体8、9の起立部分8B、9Bは図3における端子8’9’の働きを行う。したがって、幅広導体8、9の起立部分8B、9Bにスナバ用コンデンサ3が接続される。その接続はハンダ付け、あるいは通常のハトメを用いてボルトとナットとで固定されてもよい。また、スナバ用コンデンサ3が1個の場合には背高が高くなるので、複数個のスナバ用コンデンサを用いればそれぞれのコンデンサは小型になり、例えば小型の3個のコンデンサを並列に幅広導体8、9の起立部分8B、9Bに接続すれば、このスナバモジュール200の背高を低くできる。幅広導体8、9の起立部分8B、9Bは図3における端子8’9’も兼ねるので、図示しない放電回路の端子が接続し易いような構造になっていても勿論構わない。
【0031】
なお、スナバ用コンデンサ3の大きさに応じて、幅広導体8、9の起立部分8B、9Bの間隔を変えてもよい。このような構成にすることによって、配線インダクタンスを低減することができる。また、スナバ用コンデンサ3をカソードコモンダイオード部1とアノードコモンダイオード部2との間に形成された空間に搭載するようにしてもよい。このような構成にすることによって、スナバモジュール200全体の小型化が可能となる。なお、スナバモジュール100においても同様な構成が可能である。
【0032】
以上述べたようなスナバモジュール200は、図5に示す半導体スイッチモジュールSMの6個の端子T1、T2、T3、T4、T5、T6に図示しないボルトなどによって簡単に固定される。例えば、引き出し電極部材61は端子T1に、引き出し電極部材62は端子T2に、引き出し電極部材63は端子T3に、また、引き出し電極部材71は端子T4に、引き出し電極部材72は端子T5に、引き出し電極部材73は端子T6にそれぞれ固定され、電気的に接続される。なお、GTは、複数の双方向性半導体スイッチを駆動するゲート端子である。
【0033】
図6に、スナバモジュール200を半導体スイッチモジュールSMに接続した回路図を示す。この実施例では、半導体スイッチモジュールSMの端子T1、T2、T3は、それぞれ、三相交流電源のR、S、T相に接続され、端子T4、T5、T6は、それぞれ、三相交流負荷のU、V、W相に接続されている。Q11〜Q19は、それぞれ2個のIGBTを並列接続した双方向性半導体スイッチであり、実施形態1で説明した双方向性半導体スイッチQと同様な構成である。9つの双方向性半導体スイッチQ11〜Q19を3つの双方向性半導体スイッチにより構成された3組の双方向性半導体スイッチQ11〜Q13、Q14〜Q16、Q17〜Q19に分け、各組の3つの入力端子をそれぞれR、S、T相に接続し、3つの出力端子を結合した各組1つの出力端子をそれぞれU、V、W相に接続している。なお、スナバモジュール200及び半導体スイッチモジュールSMの回路動作については、従来と同様であるので説明を省略する。
【0034】
以上述べた実施形態1、2のスナバモジュールのカソードコモンダイオード部、アノードコモンダイオード部ではそれぞれ2個のダイオードを用いたが、4個又は6個など偶数個のダイオードを用いても勿論よい。また、アノード端子、例えばアノード端子1Cと1D、カソード端子、例えばカソード端子2Cと2Dの構造は特に限定されず、ハンダ付けによって引き出し電極部材に固定されてもよい。また、スナバモジュールのカソードコモンダイオード部、アノードコモンダイオード部の金属ベース部材1Aと2A、11A〜13A、21A〜23Aは抵抗溶接によって対応する引き出し電極部材に固定されてもよい。特に、図示しないコンデンサに蓄えたエネルギーを短時間(例えば10〜20ms程度)で放電して、パルス状電流を前記金属ベース部材と前記引き出し電極部材との間に流して抵抗溶接を行うスポット溶接法によれば、溶接時に発生する熱がほとんど拡散されないので、ダイオード素子に悪影響を与えることがなく、好ましい。勿論、ハンダ付けなどによっても互いに固定と接続とを行うことができる。このような溶接又はハンダ付けによる場合には、各金属ベース部材の取付け用孔、例えば金属ベース部材11Aの取付け用孔11a、11bは不要である。
【0035】
また、幅広導体8、9は基本的には断面がL字状に折り曲げられている構造が好ましいが、幅広導体8、9の熱膨張又は収縮が幅広導体8、9の材質、厚みなどの条件によってカソードコモンダイオード部、アノードコモンダイオード部に悪影響を与える場合には、それぞれの前記金属ベース部材と幅広導体8、9との固定に邪魔にならないように、幅広導体8、9の起立部分8B、9Bから起立部分8A、9Aの幅方向に延びる微小なスリットを必要な本数備えていてもよい。このようにすることによって、幅広導体8、9から前記金属ベース部材に与えられる応力を緩和することができる。また、実施形態2のスナバモジュール200でも、樹脂ケース5内に位置するアノード端子、カソード端子と対応する引き出し電極部材との固定部をエポキシ樹脂のような電気絶縁樹脂でモールドしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態1に係るスナバモジュール100の回路構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るスナバモジュール100の構造を示す図である。
【図3】本発明の実施形態2に係るスナバモジュール200の回路構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態2に係るスナバモジュール200の構造を示す図である。
【図5】本発明のスナバモジュールが接続される半導体スイッチモジュールの一例を示す図である。
【図6】本発明に係る実施形態2のスナバモジュール200を半導体スイッチモジュールSMに接続した回路図構成を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1・・・カソードコモンダイオード部
1A・・・金属ベース部材
1B・・・電気絶縁材料
1C、1D・・・アノード端子
2・・・アノードコモンダイオード部
2A・・・金属ベース部材
2B・・・電気絶縁材料
2C、2D・・・カソード端子
3・・・スナバ用コンデンサ
4・・・抵抗器
5・・・樹脂ケース
6、7・・・引き出し電極部材
6A、7A・・・取付け部
6B、7B・・・接続部
6a、7a・・・長孔
8’、9’・・・端子
8、9・・・第1、第2の幅広導体
10・・・インバータ回路又はスイッチ回路
11〜13・・・カソードコモンダイオード部
11A〜13A・・・金属ベース部材
11C、11D・・・カソードコモンダイオード部11のアノード端子
11a、11b・・・カソードコモンダイオード部11の取付け用孔
21〜23・・・アノードコモンダイオード部
21A〜23A・・・金属ベース部材
21C、21D・・・アノードコモンダイオード部21のカソード端子
21a、21b・・・アノードコモンダイオード部21の取付け用孔
61〜63・・・引き出し電極部材
61b1、61b2・・・引き出し電極部材61のボルト用孔
71〜73・・・引き出し電極部材
71b1、71b2・・・引き出し電極部材71のボルト用孔
81〜84・・・ボルト
91、92・・・ボルト
100、200・・・スナバモジュール
Q・・・双方向性半導体スイッチ
D1〜D4・・・ダイオード
SM・・・半導体スイッチモジュール
GT・・・ゲート端子
T1〜T6・・・端子
11〜Q19・・・双方向性半導体スイッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
双方向の電流を開閉する双方向性半導体スイッチの両端に接続される複数のスナバ用ダイオードとスナバ用コンデンサとを組み合わせてなるスナバモジュールにおいて、
前記スナバ用ダイオードは、第1の一対のダイオードのカソード同士が接続されているカソードコモンダイオード部と、第2の一対のダイオードのアノード同士が接続されているアノードコモンダイオード部とからなり、
前記カソードコモンダイオード部は、前記第1の一対のダイオードのそれぞれのカソードがカソードコモン端子となる第1の金属ベース部材の一方の主面に接続されると共に、前記第1の金属ベース部材と対向する位置にそれぞれのアノード端子を有し、
前記アノードコモンダイオード部は、前記第2の一対のダイオードのそれぞれのアノードがアノードコモン端子となる第2の金属ベース部材の一方の主面に接続されると共に、前記第2の金属ベース部材と対向する位置にそれぞれのカソード端子を有し、
前記カソードコモンダイオード部の一方の前記アノード端子と前記アノードコモンダイオード部の一方の前記カソード端子とが、前記双方向性半導体スイッチの一端に接続される第1の引き出し電極部材で接続され、前記カソードコモンダイオード部の他方の前記アノード端子と前記アノードコモンダイオード部の他方の前記カソード端子とが、前記双方向性半導体スイッチの他端に接続される第2の引き出し電極部材で接続されることにより、前記カソードコモンダイオード部と前記アノードコモンダイオード部とが並列に接続されており、
前記スナバ用コンデンサの双方の端子は、それぞれ前記第1の金属ベース部材の他方の主面と前記第2の金属ベース部材の他方の主面とに、直接的あるいは間接的に接続されていることを特徴とするスナバモジュール。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の金属ベース部材と前記第2の金属ベース部材との前記他方の主面は、同一平面上にあることを特徴とするスナバモジュール。
【請求項3】
双方向の電流を開閉する双方向性半導体スイッチの両端に接続される複数のスナバ用ダイオードとスナバ用コンデンサとを組み合わせてなるスナバモジュールにおいて、
前記スナバ用ダイオードは、一対のダイオードのカソード同士が接続されている第1、第2、第3のカソードコモンダイオード部と、一対のダイオードのアノード同士が接続されている第1、第2、第3のアノードコモンダイオード部とからなり、
前記第1、第2、第3のカソードコモンダイオード部は、それぞれ、カソードコモン端子となる金属ベース部材と、それぞれの金属ベース部材と対向する位置に2つのアノード端子を有し、
前記第1、第2、第3のアノードコモンダイオード部は、それぞれ、アノードコモン端子となる金属ベース部材と、それぞれの金属ベース部材と対向する位置に2つのカソード端子を有し、
前記第1のカソードコモンダイオード部と前記第1のアノードコモンダイオード部、前記第2のカソードコモンダイオード部と前記第2のアノードコモンダイオード部、前記第3のカソードコモンダイオード部と前記第3のアノードコモンダイオード部が、それぞれ並列接続されるように、それぞれの一方のアノード端子と一方のカソード端子とが、他方のアノード端子と他方のカソード端子とが、それぞれ、第1の引き出し電極部材と第2の引き出し電極部材、第3の引き出し電極部材と第4の引き出し電極部材、第5の引き出し電極部材と第6の引き出し電極部材で接続され、
前記第1、第2、第3のカソードコモンダイオード部のそれぞれの金属ベース部材は互いに第1の幅広導体に電気的にも機械的にも結合され、
前記第1、第2、第3のアノードコモンダイオード部のそれぞれの金属ベース部材は互いに第2の幅広導体に電気的にも機械的にも結合され、
前記スナバ用コンデンサは、前記第1の幅広導体と前記第2の幅広導体とに電気的にも機械的にも結合されることを特徴とするスナバモジュール。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1、第3、第5の引き出し電極部材と前記第2、第4、第6の引き出し電極部材は、それぞれ、三相交流電源と三相交流負荷との間に接続される9つの前記双方向性スイッチの内の3つの前記双方向性スイッチを1組とした3組共通の3つの入力端子、又は、各組で3つの出力端子を結合した3組それぞれの3つの出力端子のどちらかに接続されることを特徴とするスナバモジュール。
【請求項5】
請求項3又は請求項4において、
前記第1、第2、第3のカソードコモンダイオード部、前記第1、第2、第3のアノードコモンダイオード部は、それらの金属ベース部材、及びアノード端子又はカソード端子が露出するようにそれぞれ電気絶縁材料でモールドされていることを特徴とするスナバモジュール。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のいずれかにおいて、
前記第1、第2、第3のカソードコモンダイオード部、前記第1、第2、第3のアノードコモンダイオード部は、それらの金属ベース部材、及びアノード端子又はカソード端子が露出するように、電気絶縁材料で一体的にモールドされていることを特徴とするスナバモジュール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−244100(P2007−244100A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63406(P2006−63406)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(000103976)オリジン電気株式会社 (223)
【Fターム(参考)】