説明

スパッタリング装置及びそのスパッタリング方法

【課題】ターゲット全表面に生成される不純物層の除去を的確かつ効率よく行なうことを可能とするスパッタリング装置及びそのスパッタリング方法を提供する。
【解決手段】カソード2を構成する磁石機構4を自転軸81Aの周りに回転させる自転機構と、磁石機構を公転軸82Aの周りに回転させる公転機構と、自転機構と公転機構とを自転軸及び公転軸とは異なる回転軸の周りに回転させる回転機構と、ターゲット5表面の不純物層の膜厚を測定する測定手段と、測定手段を前記ターゲット表面の一端から他端まで移動させる駆動機構とを有し、自転機構は自転軸の自転速度を変更させる自転速度変更機構を備え、公転機構は公転軸の公転速度を変更させる公転速度変更機構を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面に所定の薄膜を形成するスパッタリング装置及びそのスパッタリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マグネトロンスパッタリング装置による薄膜形成は、高品質の膜が得られしかも高速成膜が可能であることから、様々な分野で実用化されている。半導体デバイスや電子部品の製造においても例外ではなく、これらデバイス等の特性を左右する重要な技術として位置づけられている。半導体デバイスや電子部品は近年その高性能化および高集積化(微細化)が急速に進み、薄膜の品質およびその形成条件などについてもより厳しい要求がなされ、例えば成膜時の半導体基板へ高品質(低抵抗)な薄膜を形成することが求められている。
【0003】
上記マグネトロンスパッタ装置においては、基板上に異なる複数の膜種を連続で形成することがあり、異種の薄膜の連続形成においては、放電させるガス種によってターゲット上のエロージョン分布(すなわちターゲット表面におけるターゲット材のスパッタリング速度の分布)が異なるため、エロージョンの浅い領域(すなわちターゲット表面におけるターゲット材のスパッタリング速度の遅い領域)に生成物が形成され、薄膜の機能劣化を引き起こす問題などがあった。
【0004】
また、マグネトロンスパッタ装置による基板上への薄膜形成においては、定期的にチャンバーメンテナンスなどによって真空容器が一時的に大気に曝されることがあり、この際にターゲット表面に酸化層などの不純物層が生成される。また、長い積算成膜時間である連続成膜を行なうとターゲット表面のうちエロージョンの浅い領域にターゲット材の再付着膜が付着することがある。この表面酸化層が十分に除去できない状態のまま薄膜を形成した場合、または、連続成膜を行なうことでターゲット表面に形成されるターゲット材の再付着膜が残留した状態で成膜した場合には、基板上に形成された薄膜の比抵抗が高く、良好な膜質の薄膜を形成することができず、デバイスの機能劣化および歩留まり低下を招くという問題が生じる。従って、高機能な薄膜の形成においては、スパッタクリーニングを適切に施すことによって、ターゲットの表面状態を整えることが重要である。
【0005】
従来のスパッタクリーニン装置の一例を図13に基づいて説明する(特許文献1参照)。図13において、101は真空室、102は基板ホルダ、103は基板、104は電極104、105はターゲット、106は高圧電源、107は電流計、108は電圧計、109はコントローラ、110は電源スイッチ、111はシャッタである。図13の装置において、本スパッタ(基板上への成膜)を行う場合には、スイッチ110をONすると、陰極であるターゲット105にプラズマ中のイオンが衝突し、ターゲット105の原子がたたき出される。このスパッタ原子が基板103に付着して膜を形成する。
【0006】
本スパッタの前にプリスパッタ(ターゲット表面のプリスパッタ)を行なう場合には、プリスパッタ用のダミー基板103を基板ホルダ102に取り付け(ステップS1)、1回目の放電(プリスパッタ1)を所定時間だけ行なう。次に、2回目の放電(プリスパッタ2)を行なう(ステップS3)。このプリスパッタ2は、プリスパッタ1に比べて高い電力で放電する。そして、2回目の放電を行いながら、ターゲット5とダミー基板103との間に流れる電流値または電圧値を所定時間間隔で測定し、これら値をモニタリングする。次に、モニタリングした電流値または電圧値が安定したかどうか、具体的には、前回モニタリングした値と今回モニタリングした値とが同一であるか否かを判定する(ステップS5)。今回モニタリングした電流値または電圧値が、前回モニタリングした値と同一でない場合には、放電を続行し、同一になった場合には、放電を中止する。
【0007】
一方、特許文献2記載のスパッタクリーニング方法は、最後にスパッタリングを終了した時から基準時間以上経過後にスパッタリングを行う場合に、スパッタリングに先立ってプリスパッタ(ターゲット表面のプリスパッタ)を行うようにしたものである。特許文献2は、効果的・効率的にプリスパッタを行う観点から、基準時間として、スパッタリング装置の連続不使用時間と薄膜の不具合発生との関係の予備調査から求めた時間を用いている。
【0008】
さらに、従来のスパッタクリーニングを施す装置を、図14を用いて説明する(特許文献3参照)。図14において、301は真空処理室、302はターゲット、303は電子銃、304はオージェ電子エネルギー検出部、305はデータ送受信部、306はデータ演算処理部、307はシャッター、308は基板、309は基板保持部、310は不活性ガス供給管、311は反応ガス供給管、312は装置コントローラー、313はデータ送受信ケーブルである。
【0009】
図14の装置において成膜する場合には、真空処理室301内に、ガス供給配管310とガス供給配管311とにより、不活性ガスと反応ガスを供給し、ターゲット302と基板308の間に電圧を印加してプラズマを生成し、反応性スパッタにより基板308に所望の膜を成膜する。プリスパッタする場合には、ガス供給配管310より不活性ガスのみを真空処理室301内部に供給し、ターゲット302とシャッター307Aの間で放電し、プリスパッタを実施する。プリスパッタを終了後、電子銃303とターゲット302間を遮蔽していたシャッター307Bが回転・移動し、ターゲット302表面に電子銃303を用いて電子ビームを照射することで、各元素固有のオージェ電子エネルギーが放出され、これをオージェ電子エネルギー検出部304で検出する。ターゲット302表面の状態が設定した元素含有量の規格内であれば、次に成膜される基板308を真空処理室301に搬入する指示を、装置コントローラー312に送信する。測定結果が規格外の場合は、再度プリスパッタを行う指示を装置コントローラー312に送信し、ターゲット302表面が設定した規格内となるまでプリスパッタと、組成分析を繰り返す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−152564号公報
【特許文献2】特開2003−89871号公報
【特許文献3】特開2006−73786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1・特許文献2記の方法では、ターゲットの消耗に伴って放電特性が変化するため、スパッタクリーニングによってターゲット表面の酸化層(不純物層)が除去されたのかターゲットが消耗されたのかどうかわからないという問題がある。また、放電電圧値・電流値はスパッタリングが起こっているターゲット上へ流入する電荷の挙動を示しているものなので、それ以外の領域、例えばスパッタが起こっていないターゲット表面の酸化膜(不純物層)が十分に除去されているかどうかがわからないという問題があり、本発明者の知りうる範囲でこの点を解消するものは未だ知られていない。
また、特許文献3記載の装置では、ターゲット302表面に電子ビームを照射する電子銃303とターゲット302表面の状態を検出するオージェ電子エネルギー検出部304とが、固定されているため、ターゲット全面を測定できないというという問題がある。
以上のことから、ターゲット全面に亘って直接的なターゲット表面観察が可能な反射光計測する手法が有効となるが、本発明者の知りうる範囲でこの点を解消するものは未だ知られていない。
そこで、本発明は、上記従来の問題点を解決し、ターゲット全表面に生成される不純物層の除去を的確かつ効率よく行なうことを可能とするスパッタリング装置及びそのスパッタリング方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、排気手段を備えた真空容器と、真空容器内の所定位置に配置されたカソードと、該カソードに対向するようにして真空容器内の所定位置に基板を配置するための基板ホルダーとを備え、カソードを構成するターゲット表面をスパッタして基板上に所定の薄膜を形成するスパッタリング装置であって、前記カソードを構成する磁石機構を自転軸の周りに回転させる自転機構と、前記磁石機構を公転軸の周りに回転させる公転機構と、前記自転機構と前記公転機構とを前記自転軸及び前記公転軸とは異なる回転軸の周りに回転させる回転機構と、ターゲット表面の不純物層の膜厚を測定する測定手段と、前記測定手段を前記ターゲット表面の一端から他端まで移動させる駆動機構とを有し、前記自転機構は自転軸の自転速度を変更させる自転速度変更機構を備え、前記公転機構は公転軸の公転速度を変更させる公転速度変更機構を備えることを特徴とするスパッタリング装置としたものである。
上記目的を達成するため、排気手段を備えた真空容器と、真空容器内の所定位置に配置されたカソードと、該カソードに対向するようにして真空容器内の所定位置に基板を配置するための基板ホルダーとを備え、該カソードを構成するターゲット表面をスパッタして基板上に所定の薄膜を形成するスパッタリング装置であって、前記カソードを構成する磁石機構を自転軸の周りに回転させる自転機構と、前記磁石機構を公転軸の周りに回転させる公転機構と、ターゲット表面の不純物層の膜厚を測定する測定手段と、前記測定手段を前記ターゲット表面の一端から他端まで移動させる駆動機構とを有し前記自転軸と前記公転軸との偏心距離を変更するための偏心距離駆動機構を設けたことを特徴とするスパッタリング装置としたものである。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記測定手段は、前記ターゲットに対し光を照射する投光部と、該ターゲットから反射した光を観測する受光部と、前記投光部および受光部を載置するためのステージとを有し、前記ステージに、ターゲットに対する照射位置および受光位置の変更が可能な前記駆動機構を取り付けたことを特徴とするスパッタリング装置としたものである。
請求項4記載の発明は、前記磁石機構は前記ターゲットの基板側に対してその裏側に配置され、前記磁石機構によりターゲット上に少なくとも1ヶ所以上のマグネトロン放電のための磁気回路を形成しており、前記自転機構、前記公転機構、および前記回転機構のうち少なくとも1つ以上により前記磁石機構を駆動させることで、ターゲット表面の様々な位置に回転磁場を形成することを可能としたことを特徴とする、請求項1記載のスパッタリング装置としたものである。
請求項5記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記磁石機構は前記ターゲットの基板側に対してその裏側に配置され、前記磁石機構によりターゲット上に少なくとも1ヶ所以上のマグネトロン放電のための磁気回路を形成しており、前記自転機構、前記公転機構のうち少なくとも1つ以上により前記磁石機構を駆動させることで、ターゲット表面の様々な位置に回転磁場を形成することを可能としたことを特徴とするスパッタリング装置としたものである。
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記測定手段によって得られた前記ターゲット表面の一端から他端までの膜厚を解析し、前記ターゲット表面の一端から他端までの膜厚分布情報を算出する信号処理機構を備えたことを特徴とするスパッタリング装置としたものである。
請求項7記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記測定手段によって得られた前記ターゲット表面の一端から他端までの膜厚を解析し、前記ターゲット表面の一端から他端までの膜厚分布情報を出力する信号処理機構を備えたことを特徴とするスパッタリング装置としたものである。
請求項8記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記信号処理機構は、前記膜厚分布情報と事前に計測されたターゲットエロージョン分布情報とを比較し、前記自転速度と前記公転速度とを設定することを特徴とするスパッタリング装置としたものである。
請求項9記載の発明は、請求項7記載の発明において、前記信号処理機構は、前記膜厚分布情報と事前に計測された前記ターゲットエロージョン分布情報とを比較し、前記偏心距離を設定することを特徴とするスパッタリング装置としたものである。
請求項10記載の発明は、請求項1記載のスパッタリング装置を用いて前記ターゲット表面をプリスパッタリングするスパッタリング方法であって、真空容器内に設けられたターゲット表面の一端から他端までの膜厚を計測する第1の工程と、前記膜厚を解析し前記ターゲット表面の一端から他端までの膜厚分布情報を算出する第2の工程と、前記膜厚分布情報により、ターゲットのプリスパッタリングが必要かどうかを判断する第3の工程と、前記膜厚分布情報と事前に計測されたターゲットエロージョン分布情報とを比較し、前記自転速度と前記公転速度とを設定する第4の工程と、前記設定された自転速度と公転速度に基づき、前記磁石機構を自転軸と公転軸の周りに回転させ、更に前記磁石機構を前記回転軸の回りに回転させる第5の工程と、前記ターゲット表面をプリスパッタリングする第6の工程とを有することを特徴とするスパッタリング方法としたものである。
請求項11記載の発明は、請求項2記載のスパッタリング装置を用いて前記ターゲット表面をプリスパッタリングするスパッタリング方法であって、真空容器内に設けられたターゲット表面の一端から他端までの膜厚を計測する第1の工程と、前記膜厚を解析し前記ターゲット表面の一端から他端までの膜厚分布情報を算出する第2の工程と、前記膜厚分布情報により、ターゲットのプリスパッタリングが必要かどうかを判断する第3の工程と、前記膜厚分布情報と事前に計測されたターゲットエロージョン分布情報とを比較し、前記偏心距離を設定する第4の工程と、前記設定された偏心距離に基づき前記自転軸と前記公転軸とを偏心させる第5の工程と、前記磁石機構を自転軸と公転軸の少なくともいずれか一方の軸の周りに回転させる第6の工程と、前記ターゲット表面をプリスパッタリングする第7の工程とを有することを特徴とするスパッタリング方法としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本願の請求項1記載の発明によれば、測定手段により測定されたターゲット表面の不純物層の膜厚分布情報により、自転軸の自転速度を変更し、公転軸の公転速度を変更した後、磁石機構を自転軸、公転軸、回転軸の周りに回転させながら、ターゲットをプリスパッタすることができるので、的確かつ効率的にターゲット表面の不純物層の除去できるという効果がある。
また、本願の請求項2記載の発明によれば、測定手段により測定されたターゲット表面の不純物層の膜厚により、前記自転軸と前記公転軸との偏心距離を変更した後、磁石機構を自転軸又は公転軸のいずれか一方の軸の周りに回転させながら、ターゲットをプリスパッタすることができるので、的確かつ効率的にターゲット表面の不純物層の除去できるという効果がある。
また、本願の請求項10記載の発明によれば、膜厚分布情報と事前に計測されたターゲットエロージョン分布情報とにより設定された自転速度と公転速度に基づき、磁石機構を自転軸と公転軸の周りに回転させ、更に前記磁石機構を前記回転軸の回りに回転させて、ターゲット表面をプリスパッタリングすることができるので、的確かつ効率的にターゲット表面の不純物層の除去できるという効果がある。
また、本願の請求項11記載の発明によれば、膜厚分布情報と事前に計測されたターゲットエロージョン分布情報とにより設定された偏心距離に基づき自転軸と前記公転軸とを偏心し、磁石機構を自転軸と公転軸の少なくともいずれか一方の軸の周りに回転させながら、ターゲット表面をプリスパッタリングすることができるので、的確かつ効率的にターゲット表面の不純物層の除去できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明と従来のスパッタクリーニング工程を示すフローチャートである。
【図2】本発明のスパッタリング装置の概略構成を示した正面図である。
【図3】図2の装置における回転系8の構成の詳細を示す正面断面概略図である。
【図4】図2及び図3に示された本実施形態のスパッタリング装置で使用された磁石機構の詳細を示す平面図である。
【図5】本発明における磁石機構の自転及び公転の際における磁石機構上の一点aの軌跡を示した概略図である。
【図6】本発明における磁石機構の自転及び公転の際における磁石機構上の一点Pの軌跡を示した概略図である。
【図7】本発明における膜厚を測定する測定手段の駆動機構を示す図である。
【図8】本発明の反射光測定機構の分光特性の膜圧依存を示す図である。
【図9A】偏心距離と偏心角度とを変更させた場合のターゲットエロージョンの状態を示す図である。
【図9B】偏心距離を変更させた場合のターゲットエロージョンの状態を示す図である。
【図10】ターゲット表面の酸化膜厚分布とエロージョン分布を示す図である。
【図11】ターゲット表面酸化層のスパッタリング時間依存性を示す図である。
【図12A】本発明における偏心距離駆動機構の概略構成を示した図である。
【図12B】本発明の偏心距離駆動機構を用いて偏心距離を変更させる場合を示す図である。
【図13】従来(特許文献1)のスパッタリング装置の概略構造図である。
【図14】従来(特許文献3)のスパッタリング装置の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施形態について説明する。
図2は本発明の実施形態に係わるスパッタリング装置の模式図である。図2に示すスパッタリング装置は、排気手段11を備えた真空容器1と、真空容器1内の所定位置に配置されたカソード2と、カソード2に対向した所定位置に基板30を配置するための基板ホルダー3と、真空容器1内に放電用ガスを導入する放電用ガス導入系6と、磁石機構4を回転させる回転系8と、反射光計測機構90とから主に構成されている。なお、図2は、基板30を成膜後、基板30を基板ホルダー3から真空容器1外に搬出した状態を示す。
【0016】
上記のように構成されたカソード2をそのターゲット5の表面が薄膜形成対象である基板30に対向するようにして、その基板30とともに真空処理室内に設置し、スパッタガス導入後、ターゲット5へグロー放電用の高圧電源50により電力を供給することにより、カソード2に磁石機構4が形成する磁気回路内に閉じ込められたスパッタ用の高密度なプラズマ7が生成される。このプラズマ7中のイオンが、陰極シースで加速されターゲット5に衝突すると、ターゲット5からその構成原子がスパッタされ、その原子が基板30の表面へ付着して薄膜が形成される。
【0017】
カソード2はマグネトロン放電を達成するための磁石機構4と、磁石機構4の前面側に設けられたターゲット5とから構成されている。磁石機構4は、後述する機構を備えた回転系8によって自転軸81Aの周りに自転するとともに、公転軸82Aの周りに公転するよう構成されている。
【0018】
上記回転系8の構成を、図3を使用して詳しく説明する。図3は図2の装置における回転系8の構成の詳細を示す正面断面概略図である。回転系8は、図2に示すとおり、磁石機構4とその磁石機構4の中心軸である自転軸81Aの周りに回転させる自転機構81と、磁石機構4をターゲット5の中心軸と同軸上の公転軸82Aの周りに回転させる公転機構82と、自転機構81と公転機構82とを自転軸81Aおよび公転軸82Aとは異なる回転軸83Aの周りに回転させる回転機構83とから主に構成されている。なお、ターゲット5の中心軸と同軸上の公転軸82Aとは同軸でなくてもよい。
【0019】
まず、自転機構81の構成について説明する。
自転機構81は、磁石機構4の背面に固定された保持棒811と、保持棒811の短部に固定された自転用第一ギア812と、自転用第一ギア812に噛み合う自転用第二ギア813と、自転用第二ギア813を回転させるモーターなどの自転用駆動源(自転速度変更機構)814とから主に構成されている。図3に示すように、保持棒811は自転軸81Aと中心軸が一致するように磁石機構4の背面に固定されている。自転用駆動源814が駆動されると、自転用第二ギア813および自転用第一ギア812を介して保持棒811が回転し、これによって、磁石機構4が全体に自転することになる。
【0020】
次に公転機構82について説明する。
公転機構82は、保持棒811を挿通させるようにして設けた公転用ブッシング821と、公転用ブッシング821の端部に設けられた公転用第一ギア822と、公転用第一ギア822に噛み合う公転用第二ギア823と、公転用第二ギア823に連結された公転用駆動源(公転速度変更機構)824とから主に構成されている。
【0021】
公転用ブッシング821は、保持棒811よりも若干大きな径の円柱状の内部空間を有し、この内部空間に保持棒811を挿通させている。また、図3に示すように公転用ブッシング821と保持棒811との間には、上下に二つのベアリング820が設けられている。公転用駆動源824が駆動されると、公転用第二ギア823および公転用第一ギア822を介して公転用ブッシング821が回転し、これによって、保持棒811、自転用駆動源814が全体に公転軸82Aの周りに回転することになる。この結果、磁石機構4も公転軸82Aの周りに回転するようになっている。
【0022】
次に、回転機構83の構成について説明する。
本発明の装置における回転機構83は、公転用ブッシング821を挿通させた回転用ブッシング831と、回転用ブッシング831の外側面に固定された回転用第一ギア832と、回転用ブッシング831の外側面に固定された回転用第一ギア832と、回転用ブッシング832に噛み合う回転用第二ギア833と、回転用第二ギア833に連結された回転用駆動源834から主に構成されている。
【0023】
回転用ブッシング831は、公転用ブッシング821の外径よりも若干大きな径の円柱状の内部空間を有し、この内部空間に公転用ブッシング821を挿通させている。回転用ブッシング831と公転用ブッシング821との間には、図3に示すように上下に二つのベアリング830が設けられている。
【0024】
また、図3に示す通り、この回転系8が設けられた部分の真空容器1の器壁には、上下に突出するようにして取り付け板14が設けられている。そして、回転用ブッシング831の周辺部分には、図3に示すように取り付け板14が設けられている。そして、回転用ブッシング831の周辺部分には、図3に示すように取り付け板14が内部に位置する凹部が周状に形成されている。この凹部も取り付け板14も、回転軸83Aを中心とした円筒状の形状である。
【0025】
上記構造によって、回転用ブッシング831は、ベアリング835を介して回転可能に取り付け板14に保持された状態となっている。回転用駆動源834が駆動されると、回転用ギア833および回転用第一ギア832を介して回転用ブッシング831が回転し、この回転によって自転機構81と公転用82とが一体に回転軸83Aの周りに回転するようになっている。
【0026】
この回転機構83による回転の回転軸83Aは、公転軸82Aとは異なる位置に設定されており、公転軸82Aおよび自転軸81Aは回転軸83Aの周りに回転していくことになる。この際、自転の回転速度および公転の回転速度を適宜設定することにより、自転軸81Aと公転軸82Aとの位置関係が周期的に変化することになる。なお、回転に伴い、ターゲットの中心軸からの自転軸81Aの偏心距離Lが変更されることになる。即ち、ターゲットの中心軸と公転軸82Aとが同軸の場合は、偏心距離Lは公転軸82Aから自転軸81Aの距離となる。
【0027】
次に、図2に戻り、本実施形態のスパッタリング装置のその他の構成について説明する。本実施形態のスパッタリング装置は、放電用ガスを導入する放電用ガス導入系6を備えている。放電用ガス導入系6はアルゴンなどのスパッタ率の高い通常の放電用ガスを導入するものである。この放電用ガス導入系6は、不図示のボンベに繋がる配管に設けられたバルブ61や流量調整器62によって構成されている。
【0028】
なお、前述した各機構を有する回転系8は、制御部80を備えている。制御部80は、回転系8の各機構の動作を制御するコントローラやコントローラへの信号を入力する入力部、入力部に入力された命令に基づいて各機構が動作すべき状態を算出するコンピュータ等から主に構成されている。
【0029】
次に上記構成に係る本実施形態のスパッタリング装置の作用について説明する。まず、真空容器1に設けられた不図示のゲートバルブを開いて基板30を真空容器1内に搬送し、基板ホルダー3上に載置する。真空容器1内は排気系11により10-6Pa程度まで排気されており、この状態でまず放電用ガス導入系6を動作させる。ターゲット5の材料はWである。
【0030】
放電用ガス導入系6は例えばアルゴンを導入するように構成されており、アルゴンを例えば100sccm程度の流量で真空容器1内に導入する。この状態で、カソード2を動作させる。すなわち、磁石機構4に設けられた回転系8を動作させるとともにターゲット5に設けられたターゲット電源50を動作させ、磁石機構4に所定の回転を与えながらターゲット5に所定の負の直流電圧を印加してスパッタ放電を生じさせる。ターゲット電源50が与える負の直流電圧は、例えば、−400V程度である。このようなスパッタ放電によってターゲット5がスパッタされ、基板30上に所定の薄膜が形成される。このようにして、薄膜の成膜を行ったあと、カソード2およびガス導入系の動作を停止させて、基板30を真空容器1から取り出す。なお、sccm=一分間当たり供給されるガス流量0℃1気圧で表したcm数=1.69×10−3Pa・m/s(0℃において)である。
【0031】
次に、エロージョンの形成について、図4、図5、図6を用いて詳しく説明する。図4は図2および図3に示された本実施形態のスパッタリング装置で使用された磁石機構の詳細を示す平面図、図5および6は磁石機構磁石機構の自転および公転の際における磁石機構上の一点の軌跡を示す概略図である。
【0032】
まず、図4に示すように、本実施形態の装置における磁石機構4は、中心側に位置する中心磁石41と、中心磁石41を取り囲む周状の周辺磁石42と、中心磁石41と周辺磁石42とを前面に載せて繋いだヨーク43とから構成されている。
【0033】
中心磁石41は、図3に示すように平面視が台形である柱状の部材である。また、周辺磁石42は左右が若干膨らんだほぼ方形の輪郭を有する周状の磁石である。そして、図4に示すように、例えば中心磁石の表面がS極、周辺磁石42の表面がN極になっており、周辺磁石42から中心磁石41にかけてアーチ状の磁力線が設定されるようになっている。なお、図3に81Aで示す点は、磁石機構4の中心点であり、磁石機構42の自転軸である。また、82Aで示す点は、ターゲット5の中心点であり、磁石機構42の公転軸である。
【0034】
ここで、磁石機構42上の任意の点 例えば周辺部分に位置する点aと自転軸81Aの近傍の点Pとについて、それぞれ磁石機構42が自転および公転を行った際にどのような軌跡を描くのかについて検討してみる。この軌跡を描いたのが、図5および図6であり、図5が点aの軌跡を示し、図6が点Pの軌跡を示している。
【0035】
まず、図5の(1)には、公転軸82Aがターゲットの中心軸に一致した状態で固定され、自転軸81Aと公転軸82Aとの偏心距離Lが一定の場合の点aの軌跡を示している。また、図5の(2)および(3)には、何らかの手段により公転軸82Aをターゲットの中心軸に一致させた状態を保ちながら偏心距離Lを変化させた場合の点aの軌跡を示している。図5の(1)、(2)および(3)においてa1,a2,a3が点aの軌跡を示し、L1、L2、L3が公転軸に対する自転軸の軌跡をそれぞれ示している。なお、図5における点aの原点は、図示の都合上、図4の図示状態に対して90度反時計回りにずらした位置に設定されている。
【0036】
図5の(2)、(3)に示す通り、偏心距離Lを変化させると点aは偏心距離Lを変化させない場合とは異なったパターンで移動するようになり、従って、磁石機構4によって形成される磁場も異なったパターンで回転していくことになる。
【0037】
さらに、図6の(1)から(5)には、各偏心距離Lにおける点Pの軌跡が示されている。まず、図6の(1)には偏心距離Lを最大とし、この最大の値で変化させずに磁石機構4を自転および公転させた場合の点Pの軌跡P1が示されている。また、図6の(2)には、偏心距離Lを最大の偏心距離Lの1/2にした場合の点Pの軌跡P2が示されている。また、図6の(3)には、偏心距離を最大偏心距離Lからその1/2の偏心距離の間で変化させた際の点Pの軌跡P3が示されている。また、図6の(4)には、図6の(3)の場合とは異なるパターンで偏心距離Lを変化させた場合の点Pの軌跡が示されている。さらに、図6の(5)には、偏心距離Lをゼロ、すなわち、自転軸81Aをターゲットの中心軸82Aに一致させ公転無しとした場合の点Pの軌跡P5が示されている。
【0038】
この図6の各図に示すように、偏心距離Lをいろいろと変化させ、その変化のパターンをさらに変化させることで、磁石機構4上の点Pは種々の様々な異なった軌跡を取ることが分かる。このように、公転軸82Aに対する自転軸81Aの偏心距離Lを適宜変化させることにより、磁石機構4上の点Pは種々の様々なパターンで軌跡を描くことになり、したがって、磁石機構4による磁場も種々の異なったパターンで回転させることができることになる。
【0039】
図5および図6に示すものと異なるが、図3に示す実施形態において、自転用駆動源814の回転速度、公転用駆動源824の回転速度、さらには、回転用駆動源834の回転速度を適宜選定して与えることにより、任意のパターンが作成できる。したがって、必要なエロージョン形状との関係であらかじめ望ましい回転磁場の形状のパターンを算出しておき、そのようなパターンになるように各駆動源814、824、834に制御部80から制御信号を送るようにするのである。
【0040】
このような制御により、たとえターゲット5上に表面酸化層などが形成された場合でも、それらに適した回転磁場のパターンがターゲット5上に形成され、ターゲット5上の不純物層をスパッタクリーニングすることができる。このため、自転機構81と公転機構82とを自転軸81Aおよび公転軸82Aとは異なる回転軸83Aとの回りに回転させる構成は、ターゲット5上の磁場のパターンを非常に自由に変更させることができ、最適なエロージョン形状の選定という点で優れた効果を有するのである。
【0041】
次に反射光計測機機構90によるターゲット5表面反射光の解析方法について説明する。解析方法として、分光スペクトル解析による酸化状態の計測、反射率解析による表面粗さ計測などに用いることができるが、ここでは、分光スペクトル解析について以下に記述する。
【0042】
反射光計測機機構90は、ターゲット5に対し光を照射する投光部90Aと、照射された光を観測する受光部90Bと、投光部90Aと受光部90Bとを載置するためのステージ90Cと、受光部90Bで受光した光の分光特性から酸化膜の厚さを算出する信号処理機構95とを備えている。投光部90Aには、白色光(波長:370 nm 〜 1000 nm)を出射するための光源として、ハロゲン (QTH)ランプを備えている。受光部90Bには入射した光の波長を識別するための受光素子として、Siフォトダイオードを備えている。また、反射光計測の際、ターゲット5全面に亘って光を照射するため、投光部90Aおよび受光部90Bを載置するためのステージ90Cには、照射位置および受光位置の変更が可能な駆動機構94が備えられている。
【0043】
図7(a)は駆動機構94の平面図、図7(b)は駆動機構94の断面図である。駆動機構94は、駆動源本体94C1(例えば、ステッピングモータ)と、第1の駆動軸94A1と、第1の駆動軸94Aに接続された第1のアーム部94B1(例えばベルト等)から構成されている。第1のアーム部94B1は、第2の駆動軸94A2と接続されている。ステージ90Cは第3の駆動軸94A3の周りに回転するようになっている。第2の駆動軸94A2と第3の駆動軸94A3とは、第2のアーム部94A2と接続されている。投光部90Aと受光部90Bとを、図7(a)の実線の位置から点線の位置に移動させる場合は、駆動機構94の駆動源本体94C(例えば、ステッピングモータ)を反時計方向に回転させることにより、これに連動して第1のアーム部94B1と第2のアーム部94B2とが反時計方向に回転する。これにより、第3の駆動軸94A3に連結されているステージ90Cも反時計方向に回転するため、投光部90Aと受光部90Bとを、図7(a)に示す実線の位置から点線の位置に移動(2点鎖線の矢印で示す方向に移動)することが可能となる。
【0044】
通常の成膜時は、反射光計測機構90は排気室1A側へ移動し投光部90Aおよび受光部90Bへのスパッタ膜の付着を防止する。反射光計測時は真空容器1側へと移動する。
反射光計測時は、投光部90Aの光源からターゲット5に光を照射し、出射した光の偏光状態とターゲット5表面で反射した光の偏光状態の変化を測定する。
この変化は、s偏光とp偏光の位相差:Δ(デルタ)、s偏光とp偏光の反射振幅比角:tanψ(プサイ)として定義され、通常は,ψ、Δとして表される。
(ψ,Δ)は、* 波長(λ)、*
入射角度(φ)、* 膜厚( d )、 * 物質の光学定数 (複素反射光:N または複素誘電率:E) 、これらのパラメータによって変化する。
(ψ,Δ)が求まれば、ここから、
* 膜厚( d )、 * 物質の光学定数(N or E)
を計算することができる。
【0045】
具体的には、光は電磁波であり、その電界ベクトルは光の進行方向に対し、垂直に振動している。光はその電界ベクトルの振動がランダムは無偏光と、規則的な偏光とに区別される。偏光では、その電界ベクトルの先端の軌跡が、光の進行方向に垂直な平面内で直線、円、楕円を描いており、この様な光はそれぞれ直線偏光、円偏光、および楕円偏光と呼ばれている。さらに円偏光と楕円偏光の場合には電界ベクトルの先端の動きが光線を覗き込む方向から見て、左回りの場合と右回りの場合とがある。これらの光の偏光状態は進行方向に垂直な平面内で直行する二つの直線偏光の重ね合わせとして考えることもできる。電場が入射面に対し平行に振動する直線偏光をp偏光、電場が入射面に対し垂直に振動する直線偏光をs偏光と呼ぶ。p、s偏光を試料に入射させたときp、s偏光の振幅反射係数はそれぞれ異なる。そのため、試料での光反射によりp、s偏光のそれぞれの振幅及び位相は大きく変化する。ここでは、反射p、s偏光の位相差及び振幅比を角度で表したΔとψの二つの値を決定する。
【0046】
複素屈折率や複素誘電率からは下記の式を通して最終的に各層の膜の屈折率(
n )や消衰係数( k )が求められる。
N=n + ik 式(1)
E=εr + iεi 式(2)
このようにして、ターゲット5表面から反射された光の分光特性を受光部90Bで得ることにより、ターゲット5表面に形成された酸化膜の膜厚を観測することができる。また、光の照射位置をターゲットに対して走査することにより、ターゲット5表面のどの領域にどの程度の厚さの酸化膜が形成されているのかどうかを観測することができる。
【0047】
次に、本実施形態におけるマグネトロンスパッタ装置を用いてターゲット5上の不純物層を効率的にスパッタクリーニング(プリスパッタリング)するための準備工程の詳細を図1(b)に基づいて説明する。
【0048】
まず、従来の一般的なターゲットクリーニング工程を図1(a)に基づき説明する。ターゲットクリーニングをスタートする(ステップ11)。次に、工程1において、ターゲットクリーニング条件を検討する(ステップ12)。次に、工程1により決定されたクリーニング条件に基づき、工程2においてターゲットを一定時間クリーニングする(ステップ13)。次に、工程2においてクリーニングされたターゲットを用いて、ダミー基板に成膜を行い、ダミー基板上の薄膜の状態をモニターする(ステップ14)。ダミー基板上の薄膜の状態が正常であれば、ターゲットクリーニングを中止する。もし、ダミー基板上の薄膜の状態が異常であれば、ステップ12に戻り、再度、ターゲットクリーニング条件を検討する。従来のターゲットクリーニング工程は、クリーニング条件検討において、試行錯誤的要素を多く含むため、過剰にターゲットクリーニングをすることになる。その結果、ターゲット利用効率の低下を招くおそれがある。また、クリーニング条件の妥当性判断が困難であることから、ターゲットクリーニング条件最適化の工程に大きな時間と手間を要する。そのため、スパッタ装置の稼働率が低下し、デバイス製造コスト増加を招くおそれがある。
【0049】
次に、本発明のターゲットクリーニング工程を図1(b)に基づき説明する。なお、ターゲットクリーニング工程の前に行う成膜工程は、磁石機構4の偏心距離Lを10mm、放電中は磁石機構4を自転軸81Aと公転軸82Aの周りに自転・公転させて行った。
まず、準備工程1(ステップ1)として、磁石機構4の偏心距離Lとターゲット5上に形成される回転磁場によって決まるターゲットエロージョン分布情報をシミュレーションによって算出する。このシミュレーション作業は、あらかじめ複数の駆動条件で算出しておくことが望ましい。
【0050】
図9Bは、本実施形態における磁石機構4を自転および公転させ、更に回転軸83Aの周りに回転させて放電した場合のターゲット5上に形成されるエロージョン分布との関係を示すシミュレーション結果の実例である。グラフの横軸はターゲット中心からの距離を示し、縦軸はターゲット5の上に形成されるエロージョン深さが最大となる点を基準値(1.0)とした場合のエロージョン深さの相対値を示している。
【0051】
図8は、図2記載の反射光計測機構90を使用した場合の分光特性の膜厚依存性を示す。受光部90Bによる反射光計測時は、投光部90Aの光源からターゲット5のある一点に光を照射し、波長を0nmから1500nmまで変化させながら、出射した光の偏光状態とターゲット5表面で反射した光の偏光状態の変化を受光部90Bで測定した。図8(a)において、横軸は波長、縦軸はs偏光とp 偏光の反射振幅比角を示す。図8(b)において、横軸は波長、縦軸はs 偏光とp 偏光の位相差である。図8に示すとおり、ターゲット表面上に不純物層の膜厚が異なると、偏光の反射振幅比角:tanψ(プサイ)、偏光の位相差:Δ(デルタ)の波形が異なることが判る。
【0052】
図11は、図2に示す反射光計測機構90を移動させて、ターゲット表面酸化膜の膜厚分布を測定した結果を示す。図11に示すとおり、ターゲット表面の酸化膜の膜厚は、ターゲット表面を一定時間クリーニングすることにより、ターゲット表面酸化膜の厚さが許容値(薄膜として正常な状態)になることが判る。
【0053】
次に、図1(b)を用いて、本発明のターゲットクリーニング工程について説明する。まず、準備工程1(ステップ1)では、マグネット(磁石機構)4の駆動条件とターゲットエロージョン分布の相関関係の確認を行う。マグネット(磁石機構)4の駆動条件は、(1)自転軸81Aの自転速度、(2)公転軸82Aの公転速度、(3)回転軸83Aの回転速度により決定する。エロージョンノシミュレーションは、図9Bで確認したデータを用いる。
【0054】
次に、準備工程2(ステップ2)として、ターゲット5の表面状態とターゲット表面からの反射光との関係をあらかじめ求めておき、ターゲットクリーニングを行なう判断基準を決定しておく。準備工程2の判断は、図11に示すデータを用いる。なお、準備工程1・準備工程2の相関確認情報は、記憶装置(例えば、コンピュータのハードディスク)に事前に記憶しておく。準備工程1、準備工程2の相関確認が終了した後、ターゲットクリーニング工程をスタートする(ステップ3)。
【0055】
次に、工程1(ステップ4)として、準備工程1(ステップ1)、準備工程2(ステップ2)で準備した情報をもとにターゲットクリーニング条件の検討を行う。具体的には、図2に示す真空容器1内から成膜済みの基板30を基板搬送機構(不図示)により、真空容器1外に搬出する。次に、反射光計測機構90を駆動機構94により、排気室1Aから真空容器1内に搬入する。この状態で、反射光計測機構90をターゲット5の一端から他端まで移動させ、ターゲット全表面の膜厚分布情報を測定する。測定された膜厚分布情報は、信号処理機構95に送信される。信号処理機構95は、受信した膜厚分布情報と準備工程1・準備工程2で記憶装置(例えば、コンピュータのハードディスク)に事前に記憶されている相関確認情報とを比較し、クリーニングが必要な領域を検出する。クリーニングが必要な領域を検出の一例を説明する。例えば、反射光計測機構90により、測定された膜厚分布情報が、図9Bの偏心距離4mmのターゲットエロージョン分布情報と一致する場合は、偏心距離4mmの位置でスパッタクリーニングを行う。測定された膜厚分布情報とターゲットエロージョン分布情報とが一致するかどうかは、図10(a)(b)に示すように、膜厚分布情報とターゲットエロージョン分布情報とを対比して行う。また、ターゲットクリーニングが必要かどうかは、反射光計測機構90により測定したターゲット表面の酸化膜の膜厚を、図11に示すデータと比較して決定する。工程1(ステップ4)により、ターゲットクリーニングが必要と判断された場合には、工程2(ステップ5)に進み、前記変更された偏心距離4mmの位置で、磁石機構4を自転軸81Aと公転軸82Aの周りに回転するとともに、回転軸83Aの周りに回転した。なお、回転軸83Aの回転速度は、成膜時とターゲットクリーニング(プリスパッタ)時で同様とした。また、自転軸81Aの自転速度と公転軸82Aの公転速度は、偏心距離4mmとなるように変更する。この状態で、ターゲットクリーニングを実施する(ステップ5)。一定時間(例えば、10分)、ターゲットクリーニングを実施した後、一旦、ターゲットクリーニングを中止し、判定工程1(ステップ6)を実施する。判定工程1では、ターゲットの表面状態(膜厚)を計測し、図11に示す情報と比較し、ターゲット表面酸化膜の厚さが許容値以下ならば、ターゲットクリーニングを中止する(ステップ6)。ターゲット表面酸化膜の厚さが許容値以上ならば、計測したターゲット表面上の酸化膜形成情報をフィードバックし(ステップ9)、工程1(ステップ4)を再度行う。ターゲット表面酸化膜の厚さが許容値以下ならば、判定工程2(ステップ7)を実施する。判定工程2では、真空容器1内に、基板搬送機構(不図示)によりダミー基板を搬入し、モニター成膜を実施し、ダミー基板上に成膜された薄膜が正常ならば、ターゲットクリーニングを中止する(ステップ7)。次に、ダミー基板を基板搬送機構(不図示)により真空容器1外に搬出し、真空容器1内に基板30を搬入し、成膜を行う(ステップ8)。なお、判定工程2で、ダミー基板上に成膜された薄膜が異常と判断された場合には、工程1(ステップ4)を再度実施する。なお、この場合には、準備工程1、準備工程2の相関確認情報(例えば、ターゲット表面酸化膜の厚さの許容値)を再設定する
【0056】
次に、公転軸82Aと自転軸81Aとの偏心距離Lを変更するための偏心距離駆動機構について、図12A、図12Bを用いて説明する。図12Aにおいて、81B1は駆動機構81の第1のベアリング、81B2は駆動機構81の第2のベアリング、81C1は駆動機構81の第1の歯車、81C1は駆動機構81の第2の歯車、82B1は駆動機構82の第1のベアリング、82B2は駆動機構82の第2のベアリング、82C1は駆動機構82の第1の歯車、82C1は駆動機構82の第2の歯車、86は偏心軸駆動機構、86Aは偏心軸、86B1は駆動機構86の第1のベアリング、86B2は駆動機構86の第2のベアリング、86C1は駆動機構86の第1の歯車、86C1は駆動機構86の第2の歯車である。図12Bにおいて、実線は自転軸81Aの回転中心、点線は偏心変更軸86Aの回転中心、二点鎖線は公転軸82Aの回転中心を示す。また、図12Bにおいて、自転軸81Aと公転軸82Aとは、偏心変更軸86Aを中心として左右対称の位置に配置されている。自転軸81Aの回転中心は磁石機構4(マグネットユニット)の中心に位置している。公転軸82Aの回転中心は、ターゲットの中心に位置している。図12Bでは、自転軸81Aと公転軸82A間の距離(偏心距離)は25mmである。また、図12Bでは、偏心軸86Aの回転中心は、自転軸81Aと公転軸82Aのちょうど中間に位置している。図12Bでは、自転軸81Aと偏心変更軸86A間の距離、公転軸82Aと偏心軸86A間の距離はそれぞれ12.5mmである。上記のような位置関係にすることにより、偏心軸86Aの回転量に応じて、自転軸81Aと公転軸82A間の偏心距離Lを変更することができる。その結果、磁石機構4(マグネットユニット)を偏心(ターゲット中心位置と磁石機構4マグネットユニット中心位置とが離れた状態)させることができる。具体的には、自転軸81Aと公転軸82A間の距離(偏心距離)Lの変更は、偏心軸86Aを中心として、自転軸81Aを駆動機構86により回転させて行う。
【0057】
次に、図12A、図12Bに示す偏心距離駆動機構を用いて、ターゲットクリーニング工程を行う場合について、図1(b)に基づき説明する。なお、ターゲットクリーニング工程の前に行う成膜工程は、磁石機構4の偏心距離Lを適宜設定し、偏心角度を0度とし、放電中は磁石機構4を公転軸82Aの周りに公転のみさせて行った。
【0058】
図9Aは、自転軸81Aと公転軸82Aの偏心距離L・偏心角度を変化させた場合の、ターゲットエロージョンの依存を示す図である。なお、図9Aでは磁石機構4は公転軸82Aの周りに公転のみさせている。縦軸の「偏心角度」とはターゲット5に対する磁石機構4の角度を示す。例えば、図4に示す位置に磁石機構がある時を偏心角度0度と定義し、磁石機構4を反時計方向に90度回転した時を偏心角度90度と定義し 磁石機構4を反時計方向に180度回転した時を偏心角度180度と定義する。横軸の「偏心距離」とは自転軸81Aと公転軸82A間の距離(偏心距離)を示す。なお、図9Aでは、図2・図3に示す磁石機構は公転のみしており自転、回転していない。
【0059】
図10(a)は、図2に示す反射光計測機構90を移動させて、ターゲット表面を測定した膜厚分布情報の一例を示す。図10(a)において、縦軸はターゲット表面の酸化膜厚分布を示し、横軸はターゲット中心からの距離(mm)である。図10(b)はターゲット表面のエロージョン分布を示し、横軸はターゲット中心からの距離を(mm)、縦軸はターゲットエロージョンである。なお、図10は、ターゲット中心軸と磁石機構4の自転軸81Aとの偏心距離Lを10mmとし、偏心角度を180度磁石とし、磁石機構4を公転のみした場合の結果を示す。
【0060】
次に、図1(b)を用いて、本発明のターゲットクリーニング工程について説明する。まず、準備工程1(ステップ1)では、マグネット(磁石機構)4の駆動条件とターゲットエロージョン分布の相関関係の確認を行う。マグネット(磁石機構)4の駆動条件は、(1)ターゲット中心軸と磁石機構4の自転軸81Aとの偏心距離L、(2)偏心角度により決定する。偏心距離L、偏心角度を変化した場合のターゲットエロージョン分布情報は、図9Aで確認したデータを用いる。
【0061】
次に、準備工程2(ステップ2)として、ターゲット5の表面状態とターゲット表面からの反射光との関係をあらかじめ求めておき、ターゲットクリーニングを行なう判断基準を決定しておく。準備工程2の判断は、図8、図9A、図11に示すデータを用いる。なお、準備工程1・準備工程2の相関確認情報は、記憶装置(例えば、コンピュータのハードディスク)に事前に記憶しておく。準備工程1、準備工程2の相関確認が終了した後、ターゲットクリーニング工程をスタートする(ステップ3)。
【0062】
次に、工程1(ステップ4)として、準備工程1(ステップ1)、準備工程2(ステップ2)で準備した情報をもとにターゲットクリーニング条件の検討を行う。具体的には、図2に示す真空容器1内から成膜済みの基板30を基板搬送機構(不図示)により、真空容器1外に搬出する。次に、反射光計測機構90を駆動機構(不図示)により、排気室1Aから真空容器1内に搬入する。この状態で、反射光計測機構90をターゲット5の一端から他端まで移動させ、ターゲット全表面の膜厚分布情報を測定する。測定された膜厚分布情報は、信号処理機構95に送信される。信号処理機構95は、受信した膜厚分布情報と準備工程1・準備工程2で記憶装置(例えば、コンピュータのハードディスク)に事前に記憶されている相関確認情報とを比較し、クリーニングが必要な領域を検出する。クリーニングが必要な領域を検出の一例を、図10を用いて説明する。例えば、反射光計測機構90により測定された膜厚分布図10(a)が、図10(b)(偏心距離10mm、偏心角度180度)と一致する場合は、駆動機構4を偏心距離10mm、偏心角度180度に設定する。また、ターゲットクリーニングが必要かどうかは、反射光計測機構90により測定したターゲット表面の酸化膜の膜厚を、図11に示すデータと比較して決定する。工程1(ステップ4)により、ターゲットクリーニングが必要と判断された場合には、工程2(ステップ5)に進み、ターゲットクリーニングを実施する。一定時間(例えば、10分)、ターゲットクリーニングを実施した後、一旦、ターゲットクリーニングを中止し、判定工程1(ステップ6)を実施する。判定工程1では、ターゲットの表面状態(膜厚分布情報)を計測し、図11に示す情報と比較し、ターゲット表面酸化膜の厚さが許容値以下ならば、ターゲットクリーニングを中止する(ステップ6)。ターゲット表面酸化膜の厚さが許容値以上ならば、計測したターゲット表面上の酸化膜形成情報をフィードバックし(ステップ9)、工程1(ステップ4)を再度行う。ターゲット表面酸化膜の厚さが許容値以下ならば、判定工程2(ステップ7)を実施する。判定工程2では、真空容器1内に、基板搬送機構(不図示)によりダミー基板を搬入し、モニター成膜を実施し、ダミー基板上に成膜された薄膜が正常ならば、ターゲットクリーニングを中止する(ステップ7)。次に、ダミー基板を基板搬送機構(不図示)により真空容器1外に搬出し、真空容器1内に基板30を搬入し、成膜を行う(ステップ8)。なお、判定工程2で、ダミー基板上に成膜された薄膜が異常と判断された場合には、工程1(ステップ4)を再度実施する。なお、この場合には、準備工程1、準備工程2の相関確認情報(例えば、ターゲット表面酸化膜の厚さの許容値)を再設定する
【0063】
上述の通り、本発明では、ターゲットの一端から他端の分光特性が得られるため、どの領域にどの程度の不純物層(例えば酸化膜)が形成されているのか観察することができるので、クリーニング条件を検討するうえで、必要な情報として、装置にフィードバックするための制御システムが動作する。このとき、準備工程1であらかじめ用意しておいた磁石機構4における自転位置および公転位置とターゲット5上に形成されるエロージョン分布との関係を参考に、クリーニング条件が自動的に決定される。本実施形態では、膜厚が100nm程度の場合に、クリーニングが必要であると判断することにした。この基準値はターゲット材などによって最適値を設定することが望ましい。
【符号の説明】
【0064】
1 真空容器
2 カソード
3 基板ホルダー
30 基板
4 磁石機構
5 ターゲット
50 ターゲット電源
6 放電用ガス導入系
61 流量調整用バルブ
62 ガス流量コントローラ
7 プラズマ
8 回転系
81 自転機構
81A 自転軸
82 公転機構
82A 公転軸
83 回転機構
83A 回転軸
86 偏心軸駆動機構
86A 偏心軸
L 偏心距離
11 排気コンダクタンス調整バルブ
90 反射光計測機構
90A 投光部
90B 受光部
90Cステージ
94 駆動機構
95 信号処理機構


【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気手段を備えた真空容器と、真空容器内の所定位置に配置されたカソードと、該カソードに対向するようにして真空容器内の所定位置に基板を配置するための基板ホルダーとを備え、カソードを構成するターゲット表面をスパッタして基板上に所定の薄膜を形成するスパッタリング装置であって、
前記カソードを構成する磁石機構を自転軸の周りに回転させる自転機構と、
前記磁石機構を公転軸の周りに回転させる公転機構と、
前記自転機構と前記公転機構とを前記自転軸及び前記公転軸とは異なる回転軸の周りに回転させる回転機構と、
ターゲット表面の不純物層の膜厚を測定する測定手段と、
前記測定手段を前記ターゲット表面の一端から他端まで移動させる駆動機構とを有し、
前記自転機構は自転軸の自転速度を変更させる自転速度変更機構を備え、
前記公転機構は公転軸の公転速度を変更させる公転速度変更機構を備えることを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項2】
排気手段を備えた真空容器と、真空容器内の所定位置に配置されたカソードと、該カソードに対向するようにして真空容器内の所定位置に基板を配置するための基板ホルダーとを備え、カソードを構成するターゲット表面をスパッタして基板上に所定の薄膜を形成するスパッタリング装置であって、
前記カソードを構成する磁石機構を自転軸の周りに回転させる自転機構と、
前記磁石機構を公転軸の周りに回転させる公転機構と、
ターゲット表面の不純物層の膜厚を測定する測定手段と、
前記測定手段を前記ターゲット表面の一端から他端まで移動させる駆動機構とを有し
前記自転軸と前記公転軸との偏心距離を変更するための偏心距離駆動機構を設けたことを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項3】
前記測定手段は、前記ターゲットに対し光を照射する投光部と、該ターゲットから反射した光を観測する受光部と、前記投光部および受光部を載置するためのステージとを有し、前記ステージに、ターゲットに対する照射位置および受光位置の変更が可能な前記駆動機構を取り付けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスパッタリング装置。
【請求項4】
前記磁石機構は前記ターゲットの基板側に対してその裏側に配置され、前記磁石機構によりターゲット上に少なくとも1ヶ所以上のマグネトロン放電のための磁気回路を形成しており、前記自転機構、前記公転機構、および前記回転機構のうち少なくとも1つ以上により前記磁石機構を駆動させることで、ターゲット表面の様々な位置に回転磁場を形成することを可能としたことを特徴とする、請求項1記載のスパッタリング装置。
【請求項5】
前記磁石機構は前記ターゲットの基板側に対してその裏側に配置され、前記磁石機構によりターゲット上に少なくとも1ヶ所以上のマグネトロン放電のための磁気回路を形成しており、前記自転機構、前記公転機構のうち少なくとも1つ以上により前記磁石機構を駆動させることで、ターゲット表面の様々な位置に回転磁場を形成することを可能としたことを特徴とする請求項2記載のスパッタリング装置。
【請求項6】
前記測定手段によって得られた前記ターゲット表面の一端から他端までの膜厚を解析し、前記ターゲット表面の一端から他端までの膜厚分布情報を算出する信号処理機構を備えたことを特徴とする請求項1記載のスパッタリング装置。
【請求項7】
前記測定手段によって得られた前記ターゲット表面の一端から他端までの膜厚を解析し、前記ターゲット表面の一端から他端までの膜厚分布情報を出力する信号処理機構を備えたことを特徴とする請求項2記載のスパッタリング装置。
【請求項8】
前記信号処理機構は、前記膜厚分布情報と事前に計測されたターゲットエロージョン分布情報とを比較し、前記自転速度と前記公転速度とを設定することを特徴とする請求項6記載のスパッタリング装置。
【請求項9】
前記信号処理機構は、前記膜厚分布情報と事前に計測された前記ターゲットエロージョン分布情報とを比較し、前記偏心距離を設定することを特徴とする請求項7記載のスパッタリング装置。
【請求項10】
請求項1記載のスパッタリング装置を用いて前記ターゲット表面をプリスパッタリングするスパッタリング方法であって、
真空容器内に設けられたターゲット表面の一端から他端までの膜厚を計測する第1の工程と、
前記膜厚を解析し前記ターゲット表面の一端から他端までの膜厚分布情報を算出する第2の工程と、
前記膜厚分布情報により、ターゲットのプリスパッタリングが必要かどうかを判断する第3の工程と、
前記膜厚分布情報と事前に計測されたターゲットエロージョン分布情報とを比較し、前記自転速度と前記公転速度とを設定する第4の工程と、
前記設定された自転速度と公転速度に基づき、前記磁石機構を自転軸と公転軸の周りに回転させ、更に前記磁石機構を前記回転軸の回りに回転させる第5の工程と、
前記ターゲット表面をプリスパッタリングする第6の工程
とを有することを特徴とするスパッタリング方法。
【請求項11】
請求項2記載のスパッタリング装置を用いて前記ターゲット表面をプリスパッタリングするスパッタリング方法であって、
真空容器内に設けられたターゲット表面の一端から他端までの膜厚を計測する第1の工程と、
前記膜厚を解析し前記ターゲット表面の一端から他端までの膜厚分布情報を算出する第2の工程と、
前記膜厚分布情報により、ターゲットのプリスパッタリングが必要かどうかを判断する第3の工程と、
前記膜厚分布情報と事前に計測されたターゲットエロージョン分布情報とを比較し、前記偏心距離を設定する第4の工程と、
前記設定された偏心距離に基づき前記自転軸と前記公転軸とを偏心させる第5の工程と、前記磁石機構を自転軸と公転軸の少なくともいずれか一方の軸の周りに回転させる第6の工程と、
前記ターゲット表面をプリスパッタリングする第7の工程
とを有することを特徴とするスパッタリング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−140648(P2012−140648A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292114(P2010−292114)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000227294)キヤノンアネルバ株式会社 (564)
【Fターム(参考)】