説明

スピアチューブ組立体の分解組立装置

【課題】スピアチューブ組立体において、スピアチューブからメインシールパッキン及びコイルスプリングを破壊することなく分解しかつ組み立て可能な分解組立装置を提供する。
【解決手段】本発明のスピアチューブ組立体3の分解組立装置10は、スピアチューブ4をスプリング受け8側から支持するチューブ支持手段14と、メインシールパッキン6とコイルスプリング9との間に差し込み可能なスプリング押さえ33と、組み立てられた状態でチューブ支持手段14にスピアチューブ4を支持したときに、スプリング押さえ33を、メインシールパッキン6とコイルスプリング9との間に臨む第1の位置Aと、第1の位置Aよりもコイルスプリング9の圧縮量を増加させる方向に偏位した第2の位置Bと、第1の位置Aよりもコイルスプリング9の圧縮量を減少させる方向に偏位した第3の位置Cにそれぞれ駆動するスプリング押さえ駆動手段20,22と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ビール樽等のスピアバルブに用いられるスピアチューブ組立体の分解組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生ビール樽等の圧力容器の上部には、スピアバルブと呼ばれる圧力容器バルブが着脱可能に取り付けられる。このようなスピアバルブは、圧力容器の口金に螺合されるボディと、このボディ内にその上部が収納されたスピアチューブ組立体とからなる。スピアチューブ組立体は、先端に天面フランジ及び側部に径方向に張り出したスプリング受けを備えたスピアチューブと、該スピアチューブの天面フランジの下に装着されたメインシールパッキンと、メインシールパッキンの下に挿通された座金と、座金と前記スプリング受けとの間に挿通されたコイルスプリングとを備え、メインシールパッキンがコイルスプリングの圧縮に対する反発力によって前記スピアチューブの天面フランジに対して押し付けられている。
【0003】
このようなスピアチューブ組立体を組み立てる装置としては、下部にシリンダを配置した先金具の載置面にメインシールパッキンを載置し、このメインシールパッキン上に座金を配置し、その上にコイルスプリングを挿通したスピアチューブを天面フランジを下にして配置し、先金具を押し上げてメインシールパッキン、座金及びコイルスプリングをスピアチューブに対して上昇させてスピアチューブの天面フランジ上まで押し上げてスピアチューブに装着する装置が存在する(特許文献1参照)。
【0004】
また、スピアチューブ組立体を分解する装置としては、スピアチューブ組立体を天面フランジを下にして固定し、メインシールパッキンを外周から挟持しつつ、金属棒を天面側からメインシールパッキンに向って突き刺し、座金とコイルスプリングのみ押し上げてメインシールパッキンと座金を分離し、スピアチューブ組立体を分離する装置が存在する(特許文献2参照)。
【0005】
更に、スピアチューブ組立体のメインシールパッキンを交換する装置としては、スピアチューブを天面フランジを上にしてベースに固定し、座金とメインシールパッキンとの間に押さえ板を差し込んで固定し、ベースをスピアチューブの軸方向に移動させ、スピアチューブとメインシールパッキンとを押し上げてメインシールパッキンと座金とを分離し、メインシールパッキンをパッキン除去手段により除去し、また取り付ける装置が存在する(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2000−25814号公報
【特許文献2】特開2000−25813号公報
【特許文献3】特開2000−109194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の装置は、スピアチューブ組立体を組み立てることはできても、分解することはできない。特許文献2に記載の装置は、メインシールパッキンが破壊されてしまうため、メインシールパッキンが劣化していない場合でも再利用することはできない。またスピアチューブ組立体の分解はできるが、組み立てることもできない。特許文献3に記載の装置は、メインシールパッキンの交換はできても、スピアチューブからコイルスプリング及び座金を取り外して分解することはできず、これらの点検や交換はきない。
【0007】
そこで、本発明は、圧力容器バルブ用スピアチューブ組立体において、スピアチューブからメインシールパッキン及びコイルスプリングを破壊することなく分解し、かつ組み立てることができる分解組立装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、スピアチューブ(4)上に配置されたメインシールパッキン(6)を、該スピアチューブ(4)のスプリング受け(8)と前記メインシールパッキン(6)との間に介装されたコイルスプリング(9)の圧縮に対する反発力を利用して前記スピアチューブ(4)の天面フランジ(5)に所定圧力で押し付けるスピアチューブ組立体(3)の分解組立装置(10)であって、前記スピアチューブ(4)を前記スプリング受け(8)側から支持するチューブ支持手段(14)と、前記メインシールパッキン(6)と前記コイルスプリング(9)との間に差し込み可能なスプリング押さえ(33)と、前記チューブ支持手段(14)に前記スピアチューブ(4)が支持され、かつ、前記メインシールパッキン(6)が前記天面フランジ(5)に前記所定圧力で押さえ付けられている状態を基準としたときに、前記スプリング押さえ(33)を、前記メインシールパッキン(6)と前記コイルスプリング(9)との間に臨む第1の位置(A)と、前記第1の位置(A)よりも前記コイルスプリング(9)の圧縮量を増加させる方向に偏位した第2の位置(B)と、前記第1の位置(A)よりも前記コイルスプリング(9)の圧縮量を減少させる方向に偏位した第3の位置(C)にそれぞれ駆動するスプリング押さえ駆動手段(20,22)と、を備えたスピアチューブ組立体(3)の分解組立装置(10)により上述した課題を解決する。
【0009】
本発明の分解組立装置によると、メインシールパッキンが天面フランジに所定圧力で押さえ付けられている状態でスピアチューブをチューブ支持手段によって支持し、スプリング押さえを第1の位置であるメインシールパッキンとコイルスプリングとの間に挿し込み、スプリング押さえ駆動手段により、スプリング押さえを第2の位置に押し下げ、メインシールパッキンが所定圧力から解放された状態で、スピアチューブからメインシールパッキンを取り外すことができる。また、更にメインシールパッキンを取り外した後、更にスプリング押さえ駆動手段によりスプリング押さえを第3の位置に上昇させて、コイルスプリングを非圧力状態とした状態で、スピアチューブからコイルスプリングを取り外すことができる。また、その逆の手順によりスピアチューブにコイルスプリング、及びメインシールパッキンを取り付けてスピアチューブ組立体を組み立てることができる。
【0010】
本発明の一形態において、軸線を中心として互いに近づく方向及び離れる方向に水平に旋回可能な2本のアーム(32)と、前記アーム(32)の他端が挿通される水平方向に延びる案内スリットが設けられたアーム案内板(27)と、を更に備え、前記スプリング押さえ(33)が、中央部を半円状に切り取った断面楔形を有し、各アーム(32)の相向う側部に取り付けられ、かつ前記各アーム(32)を互いに近付けると組み合わさって円輪形状を成す半円部材から成るものであってもよい。
【0011】
これによると、アームの他端をアーム案内板の外側から案内スリットに沿って水平に移動させ、当該アームを軸線を中心として互いに近づく方向に水平に旋回させてスプリング押さえをメインシールパッキンとコイルスプリングとの間に差し込むことができる。これによると案内スリットによってアームの水平移動が案内されているため、スプリング押さえをメインシールパッキンとコイルスプリングとの間に容易に配置することができる。また、スプリング押さえがアームを互いに近付けたときに円輪形状となるため、スプリングの上部に配置されたときに均等な力でスプリングを抑えることができる。
【0012】
また、本発明の一形態において、前記スプリング押さえ駆動手段(20,22)が、前記スプリング押さえ(33)を前記スピアチューブ(4)の軸線方向に移動させる第1のエアシリンダ(22)及び、該第1のエアシリンダ(22)を前記スピアチューブ(4)の軸線方向に移動させる第2のエアシリンダ(20)であってもよい。そして、前記スプリング押さえ(33)を、前記第1のエアシリンダ(22)を非作用状態、前記第2のエアシリンダ(20)を作用状態とすることで前記第1の位置(A)に駆動し、前記第1のエアシリンダ(22)を作用状態、前記第2のエアシリンダ(20)を作用状態とすることで前記第2の位置(B)に駆動し、前記第1のエアシリンダ(22)を非作用状態、前記第2のエアシリンダ(20)を非作用状態とすることで前記第3の位置(C)に駆動してもよい。これによると、スプリング押さえの、第1の位置、第2の位置及び第3の位置という3段階の位置を容易かつ安価に実現することができる。
【0013】
更に、本発明の一形態によると、前記チューブ支持手段(14)の上部に、開閉可能な安全カバー(19)を備え、該安全カバー(19)が開いた状態では、前記第1のエアシリンダ(22)及び前記第2のエアシリンダ(20)のエアが抜かれて共に非作用状態であって前記スプリング押さえ(33)が前記第3の位置(C)にあると共に、前記第1のエアシリンダ(22)及び前記第2のエアシリンダ(20)の動力用エアが遮断されて動作不能となるようにしてもよい。これによると、安全カバーを開いた状態では両エアシリンダが作用状態となることがないため、スプリング押さえがコイルスプリング上よりずれた状態となっても、コイルスプリングが飛び出すことがなく安全である。
【0014】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明したように、本発明の分解組立装置によれば、スピアチューブから、メインシールパッキン及びコイルスプリングを破壊することなく分離しかつ組み立てることができる。故にこれらの部品の点検が可能となる。また、操作が簡単で熟練が不要であり、単純な操作であるため処理能力が高く、しかもコイルスプリングの圧縮力を非圧縮状態にしてスプリング押さえを取り外すことができるため、安全性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、生ビール樽等の圧力容器に取り付けられる、スピアバルブ1を示した図である。図示したように、スピアバルブ1は、生ビール樽の口金に螺合されるボディ2と、このボディ2内にその上部が収納されたスピアチューブ組立体3とからなる。スピアチューブ組立体3は、スピアチューブ4と、スピアチューブ4の先端に設けられた天面フランジ5と、天面フランジ5の下面に設けられたメインシールパッキン6と、このメインシールパッキン6の下面に設けられる座金7と、スピアチューブ4の外周に半径方向に張り出すスプリング受け8と、スプリング受け8と座金7との間に介装されるコイルスプリング9とを備える。そしてこのスピアバルブは、使用によってメインシールパッキン6を含む各部品が劣化してくるため、定期的に分解して点検することが必要である。
【0017】
本発明の一形態にかかるスピアチューブ組立体3の分解組立装置10は、このようなスピアバルブ1の分解及び組立を行う装置であって、図2はその概略斜視図である。なお、本明細書において、前方とは図2の手前側をいい、上下とは、図2における上下をいう。
【0018】
図示したように、分解組立装置10は、その分解組立装置10の他の構成部品が載置されるベース11を備える。ベース11は、4本の脚12により支えられた台であり、そのベース11の前方所定箇所には、円形孔11aが設けられている。また、その円形孔11aと中心を同じくして、円形孔11aと内径が等しいチューブ支持手段である円筒体14が溶接されている。更に、ベース11の後方所定箇所には、垂直に上方に延びる矩形の側壁15が、取付ブロック16を介して取り付けられている。
【0019】
側壁15の上端の前側部には、直方体の上部ブロック18が固定されている。そしてこの上部ブロック18の前側部には、側面の一部が上部ブロック18の前側部に取り付けられた安全カバー19が、その取付部19cを中心にして旋回可能に配置されている。この安全カバー19は、矩形の枠体19aの内にプラスチック等の割れにくい透明な窓19bがはめ込まれたものであり、円筒体14上に安全カバー19が張り出した水平なカバー位置と、取付部19cを中心として他端を上に旋回させて略垂直とした非カバー位置とのいずれの位置でも静止して維持することができるようになっている。
【0020】
上部ブロック18の下には第2のエアシリンダ20が取り付けられている。この第2のエアシリンダ20は、エアが供給されない非作用状態では縮んだ状態であってエアが供給された作用状態では下方に延びる。第2のエアシリンダ20の下には、中部ブロック21が取り付けられている。また、中部ブロック21の下には第1のエアシリンダ22が取り付けられており、この第1のエアシリンダ22もエアが供給されない非作用状態では縮んだ状態であって、エアが供給された作用状態では下方に延びる。
【0021】
第1のエアシリンダ22の更に下には下部ブロック23が取り付けられている。その下部ブロック23の側部からは第1の懸垂板25が水平横方向に延びている。その第1の懸垂板25の先端には、矩形の板材であって、下部に横方向の案内スリット27aが設けられたアーム案内板27がボルトで固定されている。また、案内スリット27aの上辺の2箇所にはアーム固定溝27bが設けられている。なお、このアーム案内板27の下端はベース11より浮いている。
【0022】
また、下部ブロック23の、第1の懸垂板25が取り付けられた側と反対側の前側部からは、第2の懸垂板29が斜め前方に延びており、その第2の懸垂板29の先端には下方に向って延びるアーム軸31が取り付けられている。またそのアーム軸31には、当該アーム軸31を軸線として互いに近づく方向及び離れる方向に水平に旋回可能な2本のアーム32,32が取り付けられている。なお、このアーム軸31の下端もベース11より浮いている。
【0023】
両アーム32,32に取り付けられているスプリング押さえ33,33は、中央部を半円状に切り取った断面楔形の半円部材からなり、両アーム32,32を互いに近付けると組み合わさって円輪形状となる。
【0024】
2本のアーム32,32の先端は、上述したアーム案内板27の案内スリット27aを通ってアーム案内板27の反対側に延びている。そして案内スリット27aに沿ってアーム32,32の先端を水平に移動させることにより、スプリング押さえ33,33を移動することができる。
【0025】
また、下部ブロック23の下面には、ベース11から延びるばね保持部材36の上端に取り付けられたばね37の上端が取り付けられている。このばね37により下部ブロック23は上方に付勢されている。
【0026】
更に、上部ブロック18の側部にはメカニカルバルブ39が取り付けられている。このメカニカルバルブ39は安全カバー19に連結され、安全カバー19を開けた非カバー位置では第2のエアシリンダ20及び第1のエアシリンダ22の動力用エアが遮断され、同時に二次側エアも抜け、これら第2のエアシリンダ20及び第1のエアシリンダ22の動作ができないようになっている。
【0027】
また、ベース11の、アーム案内板27が位置する側と反対側の側部には、第2のエアシリンダ20を操作する上ハンドル40と、第1のエアシリンダ22を操作する下ハンドル41が取り付けられたハンドル取付台42が固定されている。上ハンドル40を下方に移動すると第2のエアシリンダ20が延びて中部ブロック21が下方に移動し、下ハンドル41を下方に移動すると第1のエアシリンダ22が延びて下部ブロック23が下方に移動する。
【0028】
以下、スピアチューブ組立体3を本形態の分解組立装置10により分解する作業の説明を図3を参照して行う。まず、ボディ2を取り外したスピアチューブ組立体3のスピアチューブ4の下端のスプリング受け8側を円筒体14に挿入する。安全カバー19を降ろし、両シリンダ20,22を動作可能とする。そして上ハンドル40を下にして第2のエアシリンダ20を作用状態とし中部ブロック21を下降させる。下ハンドル41は上のままで、第1のエアシリンダ22は非作用状態であって下部ブロック23は中部ブロック21に対して上昇した位置にある。これによりスプリング押さえ33の垂直位置は、メインシールパッキン6と座金7との間に臨む図3(a)に示した第1の位置Aとなる。この状態で安全カバー19の上から窓19bを通して観察しながら、アーム案内板27の外側から両アーム32,32を操作し、両アーム32,32に取り付けられたスプリング押さえ33,33を互いに近付けてスピアチューブ組立体3の座金7とメインシールパッキン6との間に挿入する。その状態が図3(a)に示した状態である。
【0029】
次に、下ハンドル41を下にして第1のエアシリンダ22を作用状態にし、下部ブロック23を中部ブロック21に対して下降させる。これによりスプリング押さえ33は、第1の位置Aよりもコイルスプリング9の圧縮量を増加させる方向に偏位した図3(b)に示す第2の位置Bとなる。図示したように、下部ブロック23が下降することにより、スプリング押さえ33が座金7を押しながら下降し、コイルスプリング9が圧縮されて、座金7とメインシールパッキン6とが分離される。このように座金7とメインシールパッキン6とが分離された状態では、メインシールパッキン6をスピアチューブ4から容易に取り外すことができる。この場合、メインシールパッキン6が劣化により硬くなっている場合は、専用の治具等を用いることもできる。なお、この場合、第1のエアシリンダ22及び第2のエアシリンダ20によりアーム32のアーム軸31に固定された部分は下に押された状態にあるが、スプリング9の圧縮力によって、アーム32,32のスプリング押さえ33,33が取り付けられた部分には上に力が加わっている。このため、アーム32,32のアーム案内板27に挿入された他端は、更に上に持ち上がり、アーム32,32の案内スリット27aに挿入されている部分がアーム固定溝27bに嵌合される。従ってアーム32,32の水平移動が制限され、誤った操作で両側に開いてスプリング押さえ33,33が座金7の上部から外れてしまうことがなく、コイルスプリング8が飛び出すことがない。
【0030】
そして上ハンドル40を上にして第2のエアシリンダ20を非作用状態とし、中部ブロック21を上昇させ、また下ハンドル41も上にして第1のエアシリンダ22も非作用状態とし、下部ブロック23も上昇させる。これにより、スプリング押さえ33は、第1の位置Aよりもコイルスプリング9の圧縮量を減少させる方向に偏位した図3(c)の第3の位置Cとなる。図示したように、スプリング押さえ33,33はスピアチューブ4の天面フランジ5よりも上に位置し、コイルスプリング9は非圧縮状態の自然長となる。この場合、アーム32に加わるコイルスプリング9の圧縮力も全くない状態である。したがって、アーム32がアーム固定溝27bに弱い嵌合か又は嵌合されず、容易に案内スリット27aを滑らせることができる。そして、両アーム32,32を互いに離れる方向に移動させることによりスプリング押さえ33,33を座金7の上部よりずらす。この場合、上述したように、コイルスプリング9の圧縮力は全くない状態であるため、上方に飛び出すことがなく、スピアチューブ4から、コイルスプリング9、及び座金4を取り外すことができ、スピアチューブ組立体3の分解を行うことができる。
【0031】
このように本形態の分解組立装置10によると、スピアチューブ組立体3においてメインシールパッキン6だけでなく、座金7、コイルスプリング9もスピアチューブ4から取り外して分解することが可能となり、故に全ての部材を点検することができる。
【0032】
次にスピアチューブ組立体の組立工程について説明する。まず、上ハンドル40が上で第2のエアシリンダ20が非作用状態であって中部ブロック21が上昇位置にあり、下ハンドル41も上で第2のエアシリンダ23も非作用状態であって下部ブロック23も上昇している第3の位置Cで、両アーム32,32を開いてスピアチューブ4を円筒体14に挿入する。そしてスピアチューブ4にコイルスプリング9を挿入し、更にコイルスプリング9の上に座金7を載せる。そして両アーム32,32を閉じてスプリング押さえ33,33を座金の上に配置する。この状態は図3(c)の状態と同様である。
【0033】
この状態で、上ハンドル40を下にして第2のエアシリンダ20を作用状態にし、中部ブロック21を下降させる。また下ハンドル41も下にして第1のエアシリンダ22も作用状態にし、下部ブロック23を中部ブロック21に対して下降させる。この下降途中でアーム32を少し動かし、スピアチューブ4とスプリング押さえ33,33の芯出しを行い、スプリング押さえ33,33がスピアチューブ4の側面を下降できるようにする。そしてスプリング押さえ33が第2の位置Bとなった状態においてメインシールパッキン6をスピアチューブ4の天面フランジ5の部分にはめ込む。この状態は図3(b)と同様である。
【0034】
そして上ハンドル40は下のまま維持し、下ハンドル41を上にして第1のエアシリンダ22を非作用状態にし、下部ブロック23を中部ブロック21に対して上昇させる。これによりスプリング押さえ33は第1の位置Aとなる。これは図3(a)に示した状態と同様である。そしてアーム32を開いてスピアチューブ組立体3を取り出す。このように本形態の分解組立装置10によると、スピアチューブ組立体3を組み立てることもできる。
【0035】
本形態によると、このようにスプリング押さえ33の垂直方向の位置調整を2個のシリンダ操作によって行うことができるため3段階の位置調整を容易な操作で安価に行うことができる。また各シリンダの動作方向とシリンダを操作するハンドルの操作方向とが同じ方向であるため、操作ミスの防止が図られる。
【0036】
なお、本発明は上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、メインシールパッキンとコイルスプリングとの間に座金が設けられたスピアチューブ組立体の分解組立方法について説明したが、これに限定されず、座金が設けられていないチューブ組立体に対しても本形態の分解組立装置は利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】スピアバルブの部分断面図。
【図2】本発明の一形態にかかるスピアチューブ組立体の分解組立装置の概略斜視図。
【図3】本発明の分解組立装置を用いてスピアチューブ組立体を分解する動作を示した図。
【符号の説明】
【0038】
3 スピアチューブ組立体
4 スピアチューブ
5 天面フランジ
6 メインシールパッキン
8 スプリング受け
9 コイルスプリング
10 分解組立装置
14 チューブ支持手段
19 安全カバー
20 第2のエアシリンダ
22 第1のエアシリンダ
27 アーム案内板
27a 案内スリット
31 アーム軸
32 アーム
33 スプリング押さえ
A 第1の位置
B 第2の位置
C 第3の位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピアチューブ上に配置されたメインシールパッキンを、該スピアチューブのスプリング受けと前記メインシールパッキンとの間に介装されたコイルスプリングの圧縮に対する反発力を利用して前記スピアチューブの天面フランジに所定圧力で押し付けるスピアチューブ組立体の分解組立装置であって、
前記スピアチューブを前記スプリング受け側から支持するチューブ支持手段と、
前記メインシールパッキンと前記コイルスプリングとの間に差し込み可能なスプリング押さえと、
前記チューブ支持手段に前記スピアチューブが支持され、かつ、前記メインシールパッキンが前記天面フランジに前記所定圧力で押さえ付けられている状態を基準としたときに、前記スプリング押さえを、前記メインシールパッキンと前記コイルスプリングとの間に臨む第1の位置と、前記第1の位置よりも前記コイルスプリングの圧縮量を増加させる方向に偏位した第2の位置と、前記第1の位置よりも前記コイルスプリングの圧縮量を減少させる方向に偏位した第3の位置にそれぞれ駆動するスプリング押さえ駆動手段と、を備えたことを特徴とするスピアチューブ組立体の分解組立装置。
【請求項2】
軸線を中心として互いに近づく方向及び離れる方向に水平に旋回可能な2本のアームと、
前記アームの他端が挿通される水平方向に延びる案内スリットが設けられたアーム案内板と、を更に備え、
前記スプリング押さえが、中央部を半円状に切り取った断面楔形を有し、各アームの相向う側部に取り付けられ、かつ前記各アームを互いに近付けると組み合わさって円輪形状を成す半円部材からなることを特徴とする請求項1に記載の分解組立装置。
【請求項3】
前記スプリング押さえ駆動手段が、前記スプリング押さえを前記スピアチューブの軸線方向に移動させる第1のエアシリンダ及び、該第1のエアシリンダを前記スピアチューブの軸線方向に移動させる第2のエアシリンダであることを特徴とする請求項1又は2に記載の分解組立装置。
【請求項4】
前記スプリング押さえを、前記第1のエアシリンダを非作用状態、前記第2のエアシリンダを作用状態とすることで前記第1の位置に駆動し、前記第1のエアシリンダを作用状態、前記第2のエアシリンダを作用状態とすることで前記第2の位置に駆動し、前記第1のエアシリンダを非作用状態、前記第2のエアシリンダを非作用状態とすることで前記第3の位置に駆動することを特徴とする請求項3に記載の分解組立装置。
【請求項5】
前記チューブ支持手段の上部に、開閉可能な安全カバーを備え、該安全カバーが開いた状態では、前記第1のエアシリンダ及び前記第2のエアシリンダのエアが抜かれて共に非作用状態であって前記スプリング押さえが前記第3の位置にあると共に、前記第1のエアシリンダ及び前記第2のエアシリンダの動力用エアが遮断されて動作不能となることを特徴とする請求項3又は4に記載の分解組立装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−176512(P2007−176512A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374311(P2005−374311)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000253503)麒麟麦酒株式会社 (247)
【Fターム(参考)】