説明

スピン処理装置

【課題】回転体の回転により生じた気流を用い、処理基板を吸着することが可能なスピン処理装置を提供する。
【解決手段】スピン処理装置において、エジェクタは漏斗状空気導入口を有し、回転体は、1分間に600回転以上回転することを特徴とするスピン処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態はフラットパネルディスプレイ素子製造装置に関わり、特に素子基板の洗浄工程でのスピン式洗浄装置や、レジスト塗布工程でのスピン塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスピン式洗浄装置や、スピン塗布装置で基板をバキュームチャックする機構を搭載した装置では、バキューム発生源を回転体上ではない部分に設置し、回転体へはロータリージョイントなどの自由継手を介して供給していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−203829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、既存の装置にバキュームチャックを設ける場合など、真空配管を追加することは大掛かりな改造が必要で、費用・改造時間の点で不利がある。また、自由継手の磨耗による真空漏れが、機構上不可避である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、架台と、前記架台に設置された回転体と、前記回転体を回転させるモータと、前記回転体に形成されたバキュームパッドと、前記バキュームパッドに接続され、前記回転体に設置されたエジェクタと、を備えるスピン処理装置において、前記エジェクタは漏斗状空気導入口を有し、前記回転体は、1分間に600回転以上回転することを特徴とするスピン処理装置を提供することで上記課題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の実施形態に係るスピン洗浄装置での実施例を示した図である。
【図2】図1の漏斗状空気導入口の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図1及び図2を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0008】
スピン洗浄装置を例に上げて説明する。
【0009】
フラットパネルディスプレイ素子を製造するプロセスにおいて、基板上のパーティクル除去のための洗浄は極めて重要で、ライン内に数多く設置されており、装置の床面積が小さくできるスピン式洗浄装置は広く普及している。
【0010】
スピン式洗浄装置は、架台1の上に回転用モータ2に接続された回転体3を設け、その上に洗浄する基板4を搭載して、洗浄する間、所定の回転数で回転させる。回転体3の上には洗浄液を吐出させるためのノズル5と、そのノズル5を移動させるためのアーム機構6を設ける。ノズル5は洗浄液を輸送するためのチューブ7を介してポンプ8、洗浄液タンク9に接続され、必要なタイミングで洗浄液を回転体3上に設置された基板4に供給する。
【0011】
回転体3の、基板4が搭載される部分にはバキュームパッド10が設けられている。バキュームパッド10は真空発生装置であるエジェクタ11に接続されている。エジェクタ11の圧縮空気供給口には、漏斗状空気導入口12が取り付けられており、その漏斗状空気導入口12は、回転体3の回転方向、回転円の接線に沿った向きに向けて、さらに回転体上で回転体の回転中心からもっとも離れた位置に設置する。なお、回転体は例えば1分間に600回転以上回転する場合、効果を得やすい。バキュームパッド10が複数設置されている場合で、1台のエジェクタ11では充分な真空圧が得られない場合は、エジェクタ11も複数台設置する。また、バキュームパッドの代わりにバキュームチャック
板を使用することも可能である。
【0012】
さらに、電磁バルブとその制御線を設けることが可能な場合は、エジェクタを真空圧貯蔵タンク(リザーバタンク)に電磁弁を介して接続し、その電磁弁を回転体が回転してエジェクタが真空を発生している
間のみ開いてタンクを真空引きして真空圧を貯蔵することで、得られた真空圧を基板のチャッキングのために、回転体が停止しているときにも適宜使用することができる。この場合、バキュームパッド10と
真空貯蔵タンクの間にも電磁バルブを設け、バキュームパッドを使用していない間のみ、パッドに真空圧を供給する機構とする。
【0013】
以上の実施例による発明の効果について説明する。
【0014】
既設スピン洗浄設備の基板保持機構をバキュームチャッキング式に改造する場合、本願実施の形態のようにエジェクタを使用し、回転体の回転により生じる空気圧をエジェクタに供給することにより、回転が開始すると自動的に基板がバキュームチャックで保持され、回転が終了すると保持も自動的に解除されるため、一切の外部制御が不要なため、容易に機構を変更できる。
【0015】
また、仮に回転開始前に基板を固定する必要があり、リザーバタンクを使用する場合でも、通常電気配線と比較して太いバキュームラインを外部から困難な回転体へ敷設する必要が無いため、改良が
容易になる効果がある。
【符号の説明】
【0016】
1・・・架台
2・・・スピン用モータ
3・・・回転体
4・・・基板
5・・・洗浄液吐出ノズル
6・・・ノズル保持アーム
7・・・洗浄液輸送用チューブ
8・・・ポンプ
9・・・洗浄液タンク
10・・・バキュームパッド
11・・・エジェクタ
12・・・漏斗状空気導入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台と、
前記架台に設置された回転体と、
前記回転体を回転させるモータと、
前記回転体に形成されたバキュームパッドと、
前記バキュームパッドに接続され、前記回転体に設置されたエジェクタと、
を備えるスピン処理装置において、
前記エジェクタは漏斗状空気導入口を有し、
前記回転体は、1分間に600回転以上回転することを特徴とするスピン処理装置。
【請求項2】
前記エジェクタは前記回転体の中心部から離れた位置に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のスピン処理装置。
【請求項3】
前記エジェクタは真空貯蔵タンクを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスピン処理装置。
【請求項4】
架台と、
前記架台に設置された回転体と、
前記回転体を回転させるモータと、
前記回転体に形成されたバキュームパッドと、
前記バキュームパッドに接続され、前記回転体に設置され、漏斗状空気導入口を有するエジェクタと、
を備えるスピン処理装置において、
前記回転体上に処理基板を準備し、
前記回転体は1分間に600回転以上回転し、
前記エジェクタは前記漏斗状空気導入口から外気を取り入れ、前記処理基板を吸着することを特徴とするスピン処理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−79848(P2012−79848A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222319(P2010−222319)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(302020207)東芝モバイルディスプレイ株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】