説明

スピン溶接装置

【課題】スピン溶接装置において、チューブとコネクタとの質の良いスピン溶接を提供する。
【解決手段】燃料チューブ1を保持するチューブ保持部材30と、チューブ保持部材30に対向配置されコネクタ2を保持するコネクタ保持部材33と、チューブ保持部材30をチューブ及びコネクタ保持部材30,33の対向方向に移動させる移動機構34と、コネクタ保持部材33をこれにより保持されたコネクタ2のチューブ挿入溝部20aの中心軸x周りに回転させる回転機構35とを設ける。チューブ保持部材30により燃料チューブ1を保持するとともに、コネクタ保持部材33によりコネクタ2を保持した後、移動機構34によりチューブ保持部材30をコネクタ保持部材33側に移動させることで燃料チューブ1をチューブ挿入溝部20aに押し付けながら、回転機構35によりコネクタ保持部材33を回転させることにより、燃料チューブ1とコネクタ2とをスピン溶接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製のチューブを樹脂製のコネクタに形成された環状のチューブ挿入溝部に挿入して、スピン溶接するスピン溶接装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂製の部材同士をスピン溶接するスピン溶接装置が従来技術として知られている。
【0003】
特許文献1のスピン溶接装置は、ワークステージに固定側部材を固定する受け治具を有していて、この受け治具に対向させて回転盤が配設されている。この回転盤は回転駆動手段により高速回転を付与されるとともに、圧接駆動装置により受け治具に対して接近・離反の往復運動をするようになっている。そして、上述の如く構成されたスピン溶接装置では、ワークステージの受け治具に固定側部材を固定した後、この固定側部材の溶接部に可動側部材を当接させる。次に、回転駆動手段により回転盤を高速回転させて、所定の回転モーメントが生成されたところで圧接駆動装置により回転盤を可動側部材を介して固定側部材に圧接すると、両部材の接触面が摩擦熱で溶融する。そして、回転盤の回転を停止すると、その接触面が冷却固化される。以上のようにして、両部材のスピン溶接が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−115055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、チューブをコネクタに形成された環状のチューブ挿入溝部に挿入して、スピン溶接するスピン溶接装置において、チューブ側を回転させて、チューブとコネクタとをスピン溶接すると、チューブが長尺であったり、チューブに曲がりがあったりする場合、その回転によりチューブがぶれて、チューブとコネクタとのスピン溶接の質が悪くなる虞がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、樹脂製のチューブを樹脂製のコネクタに形成された環状のチューブ挿入溝部に挿入して、スピン溶接するスピン溶接装置において、チューブとコネクタとのスピン溶接の質を良くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、樹脂製のチューブを樹脂製のコネクタに形成された環状のチューブ挿入溝部に挿入して、スピン溶接するスピン溶接装置であって、上記チューブを保持するチューブ保持部材と、上記チューブ保持部材に対向配置され、上記コネクタを保持するコネクタ保持部材と、上記チューブ保持部材を、該チューブ保持部材及び上記コネクタ保持部材の対向方向に移動させる移動機構と、上記コネクタ保持部材を、該コネクタ保持部材により保持されたコネクタのチューブ挿入溝部の中心軸周りに回転させる回転機構とを備えており、上記チューブ保持部材により上記チューブを保持するとともに、上記コネクタ保持部材により上記コネクタを保持した後、上記移動機構により上記チューブ保持部材を上記コネクタ保持部材側に移動させることで上記チューブを上記チューブ挿入溝部に押し付けながら、上記回転機構により上記コネクタ保持部材を回転させることにより、上記チューブと上記コネクタとをスピン溶接することを特徴とするものである。
【0008】
これによれば、チューブ保持部材によりチューブを保持するとともに、コネクタ保持部材によりコネクタを保持した後、移動機構によりチューブ保持部材をコネクタ保持部材側に移動させることでチューブをチューブ挿入溝部に押し付けながら、回転機構によりコネクタ保持部材を回転させることにより、チューブとコネクタとをスピン溶接するので、チューブが長尺であったり、チューブに曲がりがあったりしても、チューブがぶれるのを防止することができ、チューブとコネクタとのスピン溶接の質を良くすることができる。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記チューブ保持部材により保持されるチューブの上記コネクタ側の端面を当接させる、該端面の位置決め用のストッパをさらに備えていることを特徴とするものである。
【0010】
これによれば、チューブ保持部材により保持されるチューブのコネクタ側の端面を当接させる、この端面の位置決め用のストッパを設けているので、チューブのコネクタ側の端面位置のばらつきを防止することができ、スピン溶接時におけるチューブの絶対位置を正確に検出することができる。
【0011】
第3の発明は、上記第1又は2の発明において、上記チューブ保持部材は、第1保持盤と、該第1保持盤に対向配置された第2保持盤とを有していて、上記第1保持盤の上記第2保持盤側の面に上記チューブの該第1保持盤側の部分が収容される第1収容溝が形成されているとともに、上記第2保持盤の上記第1保持盤側の面における上記第1収容溝に対応する部分に上記チューブの上記第2保持盤側の部分が収容される第2収容溝が形成され、上記第1及び第2収容溝に上記チューブを収容した状態で上記第1及び第2保持盤により上記チューブを挟み込むことにより、上記チューブを保持することを特徴とするものである。
【0012】
これによれば、第1保持盤の第1収容溝及び第2保持盤の第2収容溝にチューブを収容した状態で第1及び第2保持盤によりチューブを挟み込むことにより、チューブを保持するので、チューブをしっかりと保持することができる。
【0013】
第4の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、上記チューブ保持部材及び上記コネクタ保持部材の対向方向は、水平方向であることを特徴とするものである。
【0014】
これによれば、チューブ保持部材及びコネクタ保持部材の対向方向が水平方向であるので、その対向方向が鉛直方向である場合に垂れ下がること等により保持困難な長尺のチューブを保持することができる。
【0015】
第5の発明は、上記第1〜4のいずれか1つの発明において、上記移動機構は、電動シリンダを有していることを特徴とするものである。
【0016】
これによれば、移動機構が電動シリンダを有しているので、チューブの、コネクタのチューブ挿入溝部への押し付け荷重やその押し付け速度を一定に維持することができる。
【0017】
ここで、チューブの、コネクタのチューブ挿入溝部への押し付け荷重が一定に維持されると、以下のような効果を奏することができる。つまり、その押し付け荷重が大きくなると、チューブとコネクタとの接触面の摩擦力が大きくなり、回転機構によるコネクタ保持部材の回転速度が一定に維持することができない虞がある。また、その押し付け荷重が小さくなると、チューブとコネクタとの溶接部に巣や隙ができる虞がある。これに対して、その押し付け荷重が一定に維持されると、そのような虞がない。
【0018】
第6の発明は、上記第1〜5のいずれか1つの発明において、上記回転機構は、サーボモータを有していることを特徴とするものである。
【0019】
これによれば、回転機構が、始動や停止を短時間で行うサーボモータを有しているので、チューブとコネクタとの溶接角度を正確に、所望の溶接角度にすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、チューブ保持部材によりチューブを保持するとともに、コネクタ保持部材によりコネクタを保持した後、移動機構によりチューブ保持部材をコネクタ保持部材側に移動させることでチューブをチューブ挿入溝部に押し付けながら、回転機構によりコネクタ保持部材を回転させることにより、チューブとコネクタとをスピン溶接するので、チューブが長尺であったり、チューブに曲がりがあったりしても、チューブがぶれるのを防止することができ、チューブとコネクタとのスピン溶接の質を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係るスピン溶接装置によりスピン溶接された、燃料チューブとコネクタとの接合構造を示す図であり、(a)は側面図、(b)は、(a)のIb−Ib線の矢視断面図である。
【図2】スピン溶接装置をその上方から見た部分断面図である。
【図3】スピン溶接装置をその右方から見た部分断面図である。
【図4】図3のIV−IV線の矢視図である。
【図5】図3のV−V線の矢視図である。
【図6】コネクタ保持部材をその前方から見た図である。
【図7】スピン溶接装置による燃料チューブ及びコネクタのスピン溶接の手順の一部を示す要部側面図である。
【図8】スピン溶接装置による燃料チューブ及びコネクタのスピン溶接の手順の一部を示す要部側面図である。
【図9】スピン溶接装置による燃料チューブ及びコネクタのスピン溶接の手順の一部を示す要部側面図である。
【図10】チューブ保持部材の変形例をその上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係るスピン溶接装置によりスピン溶接された、樹脂製の燃料チューブ1と樹脂製のコネクタ2との接合構造を示しており、この接合構造は、例えば、自動車の燃料タンクの燃料をエンジンに供給するのに用いられる。
【0024】
燃料チューブ1は、一直線に延びる長尺(例えば400mm)でかつ低剛性の円管であり、内外に積層された2つの層(不図示)からなる。内層は、例えばフッ素系樹脂からなり、外層は、例えばナイロン系樹脂からなる。コネクタ2は、燃料パイプ(不図示)を脱着可能な短小でかつ略L字状の所謂クイックコネクタであり、例えばナイロン系樹脂からなる。コネクタ2は、燃料チューブ1が挿入(嵌合)されてスピン溶接される円筒状のチューブ挿入部20と、このチューブ挿入部20の燃料チューブ1とは反対側端部から直角に延びて、チューブ挿入部20よりも長く、燃料パイプが取り付けられる円筒状のパイプ取付部21とを有している。チューブ挿入部20には、燃料チューブ1側(図1では左方)に向かって開口して、燃料チューブ1(チューブ挿入部20)の軸方向から見て円環状をなすチューブ挿入溝部20aが形成されている。このチューブ挿入溝部20aには、燃料チューブ1のコネクタ側先端部10が挿入されて(押し込まれて)、スピン溶接されるようになっている。チューブ挿入溝部20aの内周縁部は、その外周縁部よりも燃料チューブ1側に突出している。また、上述の如くチューブ挿入部20がナイロン系樹脂からなるため、同じくナイロン系樹脂からなる燃料チューブ1の外層への溶接が容易になる。
【0025】
図2〜図6に示すように、スピン溶接装置3は、燃料チューブ1を保持するチューブ保持部材30と、このチューブ保持部材30により保持される燃料チューブ1のコネクタ側先端面11(コネクタ2側の端面)を当接させる、該コネクタ側先端面11の位置決め用の手動ストッパ31と、チューブ保持部材30による燃料チューブ1の保持を固定維持するクランプ部材32と、チューブ保持部材30に水平方向(図2では左右方向)に対向配置され、コネクタ2を保持するコネクタ保持部材33と、チューブ保持部材30をチューブ保持部材30及びコネクタ保持部材33の対向方向、すなわち水平方向に移動させる移動機構34と、コネクタ保持部材33を、該コネクタ保持部材33により保持されたコネクタ2のチューブ挿入溝部20aの中心軸x(図7〜図9のみ図示)周りに回転させる回転機構35と、制御装置(不図示)による移動機構34及び回転機構35の制御を行うための種々の電気的な操作スイッチ・計器類を1カ所に集めた操作盤36とを備えている。
【0026】
尚、本実施形態では、チューブ保持部材30及びコネクタ保持部材33の対向方向はスピン溶接装置3の前後方向と一致しており、この方向を以下、単に前後方向という。そして、以下の説明では、便宜上、チューブ保持部材30側を前方、コネクタ保持部材33側を後方とする。また、図2〜図5では、図を見易くするため、スピン溶接装置3を構成する部材の図示を適宜省略している。
【0027】
上記チューブ保持部材30は、矩形状の上側保持盤30a(第1保持盤)と、この上側保持盤30aの下方に対向配置された矩形状の下側保持盤30b(第2保持盤)とを有している。上側保持盤30aの下面(下側保持盤30b側の面)には、燃料チューブ1の上部(上側保持盤30a側の部分)が収容される上側収容溝30c(第1収容溝)が前後方向に一直線に延びるように形成されている。この上側収容溝30cは、燃料チューブ1の形状構造に対応するように半円状に形成されていて、上側保持盤30aの前面及び後面に向かって開口している。下側保持盤30bは、矩形状の第1載置盤37の上面の、スピン溶接装置3の左右方向(以下、単に左右方向という)中央部に形成された凹部37aにボルトで載置固定されている。この第1載置盤37は、矩形状の第2載置盤38の上面後端部に載置固定されている。下側保持盤30bの上面(上側保持盤30a側の面)における上側収容溝30cに対応する部分には、燃料チューブ1の下部(下側保持盤30b側の部分)が収容される半円状の下側収容溝30d(第2収容溝)が前後方向に一直線に延びるように形成されている。この下側収容溝30dは、燃料チューブ1の形状構造に対応するように半円状に形成されていて、下側保持盤30bの前面及び後面に向かって開口している。そして、チューブ保持部材30は、上側及び下側収容溝30c,30dに燃料チューブ1を嵌合収容した状態で、上側及び下側保持盤30a,30bにより燃料チューブ1を、その両先端部がチューブ保持部材30からそれぞれ前後に突出するように挟み込むことにより、燃料チューブ1を、その両先端部がチューブ保持部材30からそれぞれ前後に突出した状態で保持するようになっている。
【0028】
上記手動ストッパ31は、チューブ保持部材30の後方近傍に配置されていて、フランジ付リニアブッシュ(以下、単にリニアブッシュという)31aと、このリニアブッシュ31aに上下方向に摺動可能に挿通されたシャフト31bと、このシャフト31bの上端面にボルトで取付固定され、上下方向から見て矩形状をなす当接部材31cと、シャフト31bの下端面にボルトで取付固定された矩形状の係合板31dとを有している。リニアブッシュ31aは、中空円筒状の筒部31eと、この筒部31eの上端部に一体に形成された鍔状のフランジ部31fとを有していて、筒部31eが第3載置盤39本体部39a後端部の左右方向中央部に形成された円状の貫通孔39bを貫通して、フランジ部31fが本体部39a上面の貫通孔39b周縁部に円環状の環状部材31gを介してボルトで取付固定されている。この第3載置盤39は、矩形状のテーブル40の上面前部に前後の支持脚41を介して設置固定されていて、矩形状の本体部39aと、この本体部39aの右端部後縁から後方に延びる矩形状の延長部39cとを有している。
【0029】
当接部材31cは、その長手方向一端部がシャフト31bに取り付けられていて、チューブ保持部材30の下側収容溝30dに嵌合収容された燃料チューブ1のコネクタ側先端面11に前後方向に対向する上側位置と、リニアブッシュ31aフランジ部31fの上面に当接する下側位置との間で移動可能になっている(図2、図3、図5では上側位置)。当接部材31cは、上側位置では、シャフト31bから後方に突出して、長手方向一端側の短辺側側面31hが燃料チューブ1のコネクタ側先端面11に前後方向に対向している一方、下側位置では、シャフト31bから左右方向一方側に突出している。そして、上側位置における当接部材31cの長手方向一端側の短辺側側面31hに、チューブ保持部材30の下側収容溝30dに嵌合収容した燃料チューブ1のコネクタ側先端面11を当接させることにより、該コネクタ側先端面11を位置決めするようになっている。
【0030】
係合板31dは、シャフト31bから当接部材31cと同じ方向に突出するように、長手方向一端部がシャフト31bに取り付けられていて、当接部材31cが上側位置にある際に、長手方向他端部が矩形状の被係合板31iの左右方向中央部に形成された凹部31jに嵌合係合されることにより、当接部材31cを上側位置に固定維持するようになっている。この被係合板31iは、テーブル40の前後方向中央部に形成された矩形状の中央貫通孔40aの後縁部に左右方向に延びるように設置固定されている。一方、係合板31dは、当接部材31cが上側位置にある際に、上方に僅かに持ち上げられてシャフト31bの中心軸周りに90度回転すると、長手方向他端部の、被係合板31iの凹部31jへの係合が解除されて、中央貫通孔40aを抜けて下方に移動する。この下方移動により、シャフト31bが下方に移動し、この下方移動に従って、当接部材31cが下側位置に移動してリニアブッシュ31aの上面に当接する。
【0031】
上記クランプ部材32は、第1載置盤37の上面における凹部37aの右側に設置固定されていて、チューブ保持部材30の上側保持盤30aをその上面から押し付ける押し付け部材32aと、この押し付け部材32aに連動連結され、該押し付け部材32aを操作する手動操作レバー(不図示)とを有している。押し付け部材32aは、上側保持盤30aをその上面から押し付ける押し付け状態と、上側保持盤30aから離間してその押し付けが解除される解除状態とに切り換え可能になっている(図3、図4では押し付け状態)。そして、クランプ部材32は、手動操作レバーが操作されて押し付け部材32aが解除状態から押し付け状態へと切り換えられると、該押し付け部材32aが上側保持盤30aをその上面から押し付けることにより、チューブ保持部材30による燃料チューブ1の保持を固定維持するようになっている。一方、クランプ部材32は、手動操作レバーが操作されて押し付け部材32aが押し付け状態から解除状態へと切り換えられると、該押し付け部材32aが上側保持盤30aから離間してその押し付けが解除されることにより、その固定維持を解除するようになっている。
【0032】
上記コネクタ保持部材33は、ブロック状の本体部33aと、この本体部33aの前面中央部から前方に延びる延長部33bとを有している。本体部33aの前面には、上下方向に延びて、コネクタ2のパイプ取付部21をその後方から受けて収容保持する第1収容凹部33cが形成されている。この第1収容凹部33cは、パイプ取付部21の形状構造に対応するように形成されていて、本体部33aの上面に向かって開口している。延長部33bの上面には、第1収容凹部33cに連続するように前後方向に延びて、コネクタ2のチューブ挿入部20をその下方から受けて収容保持する第2収容凹部33dが形成されている。この第2収容凹部33dは、チューブ挿入部20の形状構造に対応するように形成されていて、延長部33bの前面に向かって開口している。第1及び第2収容凹部33c,33dは、全体として、略L字状をなしている。第2収容凹部33dに収容保持されたチューブ挿入部20は、そのチューブ挿入溝部20aの中心軸xが前後方向に延び、延長部33bから前方に突出している。そして、コネクタ保持部材33は、第1収容凹部33cにパイプ取付部21を収容保持しかつ、第2収容凹部33dにチューブ挿入部20を収容保持することにより、コネクタ2を、そのチューブ挿入部20のチューブ側先端面20bが燃料チューブ1のコネクタ側先端面11に前後方向に対向しかつ、チューブ挿入溝部20aの中心軸xが燃料チューブ1のコネクタ側先端部10の中心軸と一致するように保持するようになっている。
【0033】
上記移動機構34は、チューブ保持部材30を前後方向に案内するLMガイド34aと、移動機構34の動力源であるメカシリンダ34b(電動シリンダ)とを有している。LMガイド34aは、LMブロック34cと、このLMブロック34cを支えて走らせるLMレール34dとを有している。LMブロック34cは、第2載置盤38の下面左右両側に前後に1つずつ取付固定されている。LMレール34dは、第3載置盤39本体部39aの上面左右両側に前後方向に延びるようにそれぞれ設置固定されていて、LMブロック34cを該LMレール34dに沿ってスライド移動可能に係合支持している。
【0034】
メカシリンダ34bは、モータが回転することによりボールネジが回転し、スライダ34eが前後方向に移動する単軸ロボットであり、多点位置決めや速度・加速度制御、押し付け動作、ピッチ送り、ゾーン出力などが可能になっている。メカシリンダ34bは、第3載置盤39の上面右端部における右側LMガイド34aの右側に設置固定されている。第2載置盤38の後面には、取付板34fが左右方向に延びるようにボルトで取付固定されており、この取付板34fは、略矩形状の本体部34gと、この本体部34gの右端部上縁から右方に延びる延長部34hとを有している。この延長部34hの右端部には、スライダ34eが連結部材34iを介して連結固定されている。本体部34gの上縁部におけるチューブ保持部材30に対応する部分には、矩形状の切り欠き34jが形成されている。
【0035】
そして、移動機構34は、メカシリンダ34bのモータが正転することでスライダ34eが後方に移動し、この後方移動により、スライダ34eに連結固定された第2載置盤38及びこの第2載置盤38に載置固定された第1載置盤37が、LMガイド34aのLMブロック34cがLMレール34dに沿って後方にスライド移動することで後方に移動し、この後方移動により、第1載置盤37に載置固定されたチューブ保持部材30を後方に移動させるようになっている。一方、移動機構34は、メカシリンダ34bのモータが逆転することでスライダ34eが前方に移動し、この前方移動により、第1及び第2載置盤37,38が、LMガイド34aのLMブロック34cがLMレール34dに沿って前方にスライド移動することで前方に移動し、この前方移動により、チューブ保持部材30を前方に移動させるようになっている。
【0036】
また、第2載置盤38の左右両端部には、リニアブッシュ42が前後方向に延びるようにそれぞれボルトで取付固定されている。この各リニアブッシュ42には、シャフト43が前後方向に摺動可能に挿通されている。この各シャフト43の前端部は、第3載置盤39本体部39aの上面前後方向中央部に左右方向に延びるように設置固定された矩形棒状の取付部材44の、左右方向各端部にボルトで取付固定されている。シャフト43の後端部は、取付板34f本体部34gの左右方向各端部にボルトで取付固定されている。そして、シャフト43は、移動機構34によりチューブ保持部材30を前後方向に移動させた際に、リニアブッシュ42に対して前後方向に僅かに移動するようになっている。
【0037】
上記回転機構35は、該回転機構35の動力源であるエンコーダ付サーボモータ35a(以下、単にサーボモータという)と、このサーボモータ35aの動力をタイミングベルト35bを介してコネクタ保持部材33へと伝達するシャフト35cとを有している。サーボモータ35aは、サーボ機構の最終制御要素として機能して、該サーボモータ35aの位置を検出するものであり、始動や停止を短時間で行い、所望の位置に対して高精度で停止するようになっている。サーボモータ35aは、テーブル40の後部下方に配置されていて、該サーボモータ35aの本体部35dが矩形状の取付板35eの下部に形成された貫通孔35fの周縁部前面に取付固定されている。この取付板35eは、テーブル40の後部に形成された矩形状の後側貫通孔40bを貫通していて、ブロック部材35gの後面下部に取付固定されている。このブロック部材35gは、テーブル40の上面後部における後側貫通孔40bの前側に矩形棒状の左右一対の取付部材35hを介してボルトで設置固定されており、その後面下部は、その上部よりも後方に突出している。サーボモータ35aのモータシャフト35iは、本体部35dから後方に突出して、取付板35eの貫通孔35fを貫通しており、その先端部(後端部)には、モータ側タイミングプーリ35jが取付固定されている。
【0038】
シャフト35cは、サーボモータ35aの上方に対向配置されていて、その前後端寄りがベアリングホルダ35kに支持されたベアリング35lにそれぞれ軸支されている。この各ベアリングホルダ35kは、ブロック部材35gの前面上部及び後面上部に矩形状の取付板35mを介してそれぞれボルトで取付固定されている。この各取付板35mは、ブロック部材35gから上方に突出しており、その上部には、シャフト35cが貫通する円状の貫通孔35nが形成されている。シャフト35cの前端部には、コネクタ保持部材33が、該コネクタ保持部材33により保持されたコネクタ2のチューブ挿入溝部20aの中心軸xがシャフト35cの中心軸と一致するように取付固定されている。シャフト35cの後端部には、シャフト側タイミングプーリ35oが取付固定されている。タイミングベルト35bは、テーブル40の後側貫通孔40bを貫通していて、モータ側タイミングプーリ35jとシャフト側タイミングプーリ35oとの間に掛け渡されている。
【0039】
そして、回転機構35は、サーボモータ35aが回転して、その回転がタイミングベルト35b及びシャフト35cを介してコネクタ保持部材33へと伝達されることにより、コネクタ保持部材33を、該コネクタ保持部材33により保持されたコネクタ2のチューブ挿入溝部20aの中心軸x周りに回転させるようになっている。
【0040】
また、第2載置盤38の中央部には、略矩形状の貫通孔38aが形成されており、この貫通孔38aには、燃料チューブ1の、コネクタ2のチューブ挿入溝部20aへの押し付け荷重を検出するS字型ロードセル45(以下、単にロードセルという)が収容されている。このロードセル45の前端部は、貫通孔38aの前縁部に取付部材45aを介してボルトで取付固定されている。ロードセル45の後端面からは、ボルト45bが後方に突出しており、このボルト45bは、矩形状の取付板45cの前面下部に取付固定されている。この取付板45cは、その上部が第1載置盤37の前面左右方向中央部にボルトで取付固定されている。ロードセル45の上方には、該ロードセル45を覆うプレート46が配設されている。そして、ロードセル45は、移動機構34によりチューブ保持部材30を後方に移動させることにより燃料チューブ1をコネクタ2のチューブ挿入溝部20aに押し付けると、後方に引っ張られることにより、その引張荷重を燃料チューブ1の、コネクタ2のチューブ挿入溝部20aへの押し付け荷重として検出して、その検出値を制御装置に出力するようになっている。
【0041】
第3載置盤39延長部39cの上面におけるメカシリンダ34bの後端部左側には、チューブ保持部材30により保持された燃料チューブ1の位置を検出するリニアゲージ47がボルトで取付固定されている。このリニアケージ47は、コネクタ保持部材33及び回転機構35の右方に対向配置されている。そして、リニアゲージ47は、その検出値を制御装置に出力するようになっている。
【0042】
上記制御装置は、ロードセル45やリニアゲージ47などの検出値に基づいて、移動機構34及び回転機構35を制御するようになっている。
【0043】
スピン溶接装置3による燃料チューブ1及びコネクタ2のスピン溶接の手順を以下、図7〜図9を参照しながら説明する。尚、移動機構34によるチューブ保持部材30の移動及び回転機構35によるコネクタ保持部材33の回転は自動で行われるが、それ以外は手動で行われる。
【0044】
チューブ保持部材30の下側保持盤30bの下側収容溝30dに燃料チューブ1を嵌合収容する。次に、手動ストッパ31の当接部材31cを上側位置に移動させて、その長手方向一端側の短辺側側面31hに燃料チューブ1のコネクタ側先端面11を当接させる。これにより、燃料チューブ1のコネクタ側先端面11が位置決めされる。この位置は、リニアゲージ47により検出される。続いて、下側保持盤30bに上側保持盤30aを乗せて、上側及び下側収容溝30c,30dに燃料チューブ1を嵌合収容した状態で、上側及び下側保持盤30a,30bにより燃料チューブ1を、その両先端部がチューブ保持部材30からそれぞれ前後に突出するように挟み込む。これにより、燃料チューブ1が、その両先端部がチューブ保持部材30からそれぞれ前後に突出した状態で該チューブ保持部材30に保持される。こうして燃料チューブ1がチューブ保持部材30にセットされる。
【0045】
それから、クランプ部材32の手動操作レバーを操作して、押し付け部材32aを解除状態から押し付け状態へと切り換える。これにより、図7に示すように、押し付け部材32aが上側保持盤30aをその上面から押し付け、チューブ保持部材30による燃料チューブ1の保持が固定維持される。
【0046】
次に、手動ストッパ31の係合板31dを上方に僅かに持ち上げて、シャフト31bの中心軸周りに90度回転させる。これにより、係合板31dの、被係合板31iの凹部31jへの係合が解除されて、係合板31dがテーブル40の中央貫通孔40aを貫通して下方に移動する。この下方移動により、図8に示すように、シャフト31bが下方に移動し、この下方移動に従って、当接部材31cが下側位置に移動してリニアブッシュ31aの上面に当接する。このように当接部材31cが下側位置に移動すると、手動ストッパ31がチューブ保持部材30の移動の妨げにならない。
【0047】
続いて、コネクタ保持部材33の第1及び第2収容凹部33c,33dにコネクタ2を収容保持する。これにより、コネクタ2が、そのチューブ挿入部20のチューブ側先端面20bが燃料チューブ1のコネクタ側先端面11に前後方向に対向しかつ、チューブ挿入溝部20aの中心軸xが燃料チューブ1のコネクタ側先端部10の中心軸と一致するようにコネクタ保持部材33に保持される。こうしてコネクタ2がコネクタ保持部材33にセットされる。
【0048】
それから、操作盤36を操作して、コネクタ保持部材33の回転を開始する際の燃料チューブ1の基準位置(以下、回転開始基準位置という)や燃料チューブ1のコネクタ2への溶け込み量、燃料チューブ1とコネクタ2との溶接角度、コネクタ保持部材33の回転を停止する際の燃料チューブ1の基準位置(以下、回転停止基準位置)などを設定する。
【0049】
次に、操作盤36のスタートスイッチを押すと、移動機構34のメカシリンダ34bのモータが正転して、スライダ34eが後方に移動し、燃料チューブ1を保持したチューブ保持部材30が後方に移動して、燃料チューブ1のコネクタ側先端部10がコネクタ2のチューブ挿入溝部20aに挿入されて押し付けられる。
【0050】
移動機構34により燃料チューブ1のコネクタ側先端部10がコネクタ2のチューブ挿入溝部20aに押し付けられると、図9に示すように、回転機構35のサーボモータ35aが回転して、その回転がタイミングベルト35b及びシャフト35cを介してコネクタ保持部材33へと伝達され、コネクタ2を保持したコネクタ保持部材33が、該コネクタ2のチューブ挿入溝部20aの中心軸x周りに回転する。燃料チューブ1がコネクタ2のチューブ挿入溝部20aに押し付けられた(当接した)か否かは、制御装置によりロードセル45の検出値に基づいて判定される。また、コネクタ保持部材33の回転を開始した際の燃料チューブ1の絶対位置がリニアゲージ47により検出され、この絶対位置と操作盤36により予め設定された回転開始基準位置とに基づいて制御装置により、その絶対位置の合否が判定される。つまり、この絶対位置が回転開始基準位置からずれていると、燃料チューブ1等に不具合があると判定される。
【0051】
移動機構34により燃料チューブ1のコネクタ側先端部10がコネクタ2のチューブ挿入溝部20aに押し付けられて後方に移動しながら、回転機構35によりコネクタ2がそのチューブ挿入溝部20aの中心軸x周りに回転すると、燃料チューブ1とコネクタ2との接触面が摩擦熱で溶融する。尚、燃料チューブ1の、コネクタ2のチューブ挿入溝部20aへの押し付け荷重は、移動機構34のメカシリンダ34bにより一定に維持される。
【0052】
燃料チューブ1のコネクタ2への溶け込み量が操作盤36により予め設定された溶け込み量になると、回転機構35によるコネクタ2の回転が、燃料チューブ1とコネクタ2との溶接角度が操作盤36により予め設定された溶接角度になるように停止される。燃料チューブ1のコネクタ2への溶け込み量が予め設定された溶け込み量になったか否かは、制御装置によりリニアゲージ47の検出値に基づいて判定される。また、コネクタ保持部材33の回転を停止した際の燃料チューブ1の絶対位置がリニアゲージ47により検出され、この絶対位置と操作盤36により予め設定された回転停止基準位置とに基づいて制御装置により、その絶対位置の合否が判定される。つまり、この絶対位置が回転停止基準位置からずれていると、燃料チューブ1等に不具合があると判定される。
【0053】
次に、燃料チューブ1及びコネクタ2を、その溶融した接触面が冷却固化するまでチューブ保持部材30及びコネクタ保持部材33にそれぞれ保持する。続いて、移動機構34による燃料チューブ1の、コネクタ2のチューブ挿入溝部20aへの押し付けが停止される。
【0054】
それから、移動機構34によりチューブ保持部材30が元の位置に戻される。これにより、燃料チューブ1に溶接されたコネクタ2がコネクタ保持部材33から外れる。また、回転機構35によりコネクタ保持部材33が元の状態に戻される。その後、コネクタ2に溶接された燃料チューブ1をチューブ保持部材30から取り外す。
【0055】
以上のようにして、燃料チューブ1とコネクタ2とのスピン溶接が完了する。
【0056】
−効果−
以上より、本実施形態によれば、チューブ保持部材30により燃料チューブ1を保持するとともに、コネクタ保持部材33によりコネクタ2を保持した後、移動機構34によりチューブ保持部材30をコネクタ保持部材33側に移動させることで燃料チューブ1をコネクタ2のチューブ挿入溝部20aに押し付けながら、回転機構35によりコネクタ保持部材33を回転させることにより、燃料チューブ1とコネクタ2とをスピン溶接するので、燃料チューブ1が長尺であっても、燃料チューブ1がぶれるのを防止することができ、燃料チューブ1とコネクタ2とのスピン溶接の質を良くすることができる。
【0057】
また、チューブ保持部材30により保持される燃料チューブ1のコネクタ側先端面10を当接させる、このコネクタ側先端面10の位置決め用の手動ストッパ31を設けているので、燃料チューブ1のコネクタ側先端面10位置のばらつきを防止することができ、スピン溶接時における燃料チューブ1の絶対位置を正確に検出することができる。
【0058】
さらに、上側保持盤30aの上側収容溝30c及び下側保持盤30bの下側収容溝30dに燃料チューブ1を収容した状態で上側及び下側保持盤30a,30bにより燃料チューブ1を挟み込むことにより、燃料チューブ1を保持するので、燃料チューブ1をしっかりと保持することができる。
【0059】
さらにまた、チューブ保持部材30及びコネクタ保持部材33の対向方向が水平方向であるので、その対向方向が鉛直方向である場合に垂れ下がること等により保持困難な長尺の燃料チューブ1を保持することができる。
【0060】
また、チューブ保持部材30及びコネクタ保持部材33の対向方向が水平方向であるので、その対向方向が鉛直方向である場合と比較して、ロードセル45による燃料チューブ1の、コネクタ2のチューブ挿入溝部20aへの押し付け荷重の検出時に燃料チューブ1の重力が影響するのを防止することができる。
【0061】
さらに、移動機構34がメカシリンダ34bを有しているので、燃料チューブ1の、コネクタ2のチューブ挿入溝部20aへの押し付け荷重を一定に維持することができる。
【0062】
このように、燃料チューブ1の、コネクタ2のチューブ挿入溝部20aへの押し付け荷重が一定に維持されると、以下のような効果を奏することができる。つまり、その押し付け荷重が大きくなると、燃料チューブ1とコネクタ2との接触面の摩擦力が大きくなり、回転機構35によるコネクタ保持部材33の回転速度が一定に維持することができない虞がある。また、その押し付け荷重が小さくなると、燃料チューブ1とコネクタ2との溶接部に巣や隙ができる虞がある。これに対して、その押し付け荷重が一定に維持されると、そのような虞がない。
【0063】
さらにまた、移動機構34に重量物であるモータを配設していないので、移動機構34によるチューブ保持部材30の移動時にチューブ保持部材30を省エネルギーでかつ高速で移動させることができる。
【0064】
また、回転機構35が、始動や停止を短時間で行うサーボモータ35aを有しているので、燃料チューブ1とコネクタ2との溶接角度を正確に、所望の溶接角度にすることができる。
【0065】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、チューブは燃料チューブ1であるが、これ以外の用途のチューブであっても良い。
【0066】
また、上記実施形態では、チューブ保持部材30は上述の如く構成されているが、燃料チューブ1を保持することができる限り、その構成はこれに限定されない。
【0067】
さらに、上記実施形態では、チューブ保持部材30は、下面に上側収容溝30cが前後方向に一直線に延びるように形成された上側保持盤30aと、上面に下側収容溝30dが前後方向に一直線に延びるように形成された下側保持盤30bとを有しているが、これらの上側及び下側保持盤30a,30bは、燃料チューブ1の形状構造に応じて取り換えれば良い。例えば、燃料チューブ1に図10に示すような曲がりがある場合、上側及び下側保持盤30a,30bは、図10に示すようなものに取り換えられる。つまり、燃料チューブ1は、前方に行くに従って左方に湾曲するように形成されている。上側及び下側収容溝30c,30dは、それぞれ、前方に行くに従って左方に湾曲するように形成されていて、上側及び下側保持盤30a,30bの後面及び左面に向かって開口している。そして、チューブ保持部材30は、燃料チューブ1を、そのコネクタ側先端部10がチューブ保持部材30から後方に突出した状態で保持するようになっている。このように燃料チューブ1に曲がりがあっても、上述の如く構成されたスピン溶接装置3によれば、燃料チューブ1がぶれるのを防止することができ、燃料チューブ1とコネクタ2とのスピン溶接の質を良くすることができる。
【0068】
さらにまた、上記実施形態では、コネクタ保持部材33は、上述の如く構成されているが、コネクタ2を保持することができる限り、その構成はこれに限定されない。
【0069】
また、上記実施形態では、燃料チューブ1の、コネクタ2のチューブ挿入溝部20aへの押し付け荷重を、移動機構34のメカシリンダ34bにより一定に維持しているが、これに限らず、例えば、その押し付け速度をメカシリンダ34bにより一定に維持しても良い。
【0070】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0071】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、本発明に係るスピン溶接装置は、チューブとコネクタとのスピン溶接の質を良くすることが必要な用途等に適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 燃料チューブ
11 コネクタ側先端面(コネクタ側の端面)
2 コネクタ
20a チューブ挿入溝部
3 スピン溶接装置
30 チューブ保持部材
30a 上側保持盤(第1保持盤)
30b 下側保持盤(第2保持盤)
30c 上側収容溝(第1収容溝)
30d 下側収容溝(第2収容溝)
31 手動ストッパ
33 コネクタ保持部材
34 移動機構
34b メカシリンダ(電動シリンダ)
35 回転機構
35a サーボモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のチューブを樹脂製のコネクタに形成された環状のチューブ挿入溝部に挿入して、スピン溶接するスピン溶接装置であって、
上記チューブを保持するチューブ保持部材と、
上記チューブ保持部材に対向配置され、上記コネクタを保持するコネクタ保持部材と、
上記チューブ保持部材を、該チューブ保持部材及び上記コネクタ保持部材の対向方向に移動させる移動機構と、
上記コネクタ保持部材を、該コネクタ保持部材により保持されたコネクタのチューブ挿入溝部の中心軸周りに回転させる回転機構とを備えており、
上記チューブ保持部材により上記チューブを保持するとともに、上記コネクタ保持部材により上記コネクタを保持した後、上記移動機構により上記チューブ保持部材を上記コネクタ保持部材側に移動させることで上記チューブを上記チューブ挿入溝部に押し付けながら、上記回転機構により上記コネクタ保持部材を回転させることにより、上記チューブと上記コネクタとをスピン溶接することを特徴とするスピン溶接装置。
【請求項2】
請求項1記載のスピン溶接装置において、
上記チューブ保持部材により保持されるチューブの上記コネクタ側の端面を当接させる、該端面の位置決め用のストッパをさらに備えていることを特徴とするスピン溶接装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のスピン溶接装置において、
上記チューブ保持部材は、第1保持盤と、該第1保持盤に対向配置された第2保持盤とを有していて、上記第1保持盤の上記第2保持盤側の面に上記チューブの該第1保持盤側の部分が収容される第1収容溝が形成されているとともに、上記第2保持盤の上記第1保持盤側の面における上記第1収容溝に対応する部分に上記チューブの上記第2保持盤側の部分が収容される第2収容溝が形成され、上記第1及び第2収容溝に上記チューブを収容した状態で上記第1及び第2保持盤により上記チューブを挟み込むことにより、上記チューブを保持することを特徴とするスピン溶接装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のスピン溶接装置において、
上記チューブ保持部材及び上記コネクタ保持部材の対向方向は、水平方向であることを特徴とするスピン溶接装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のスピン溶接装置において、
上記移動機構は、電動シリンダを有していることを特徴とするスピン溶接装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のスピン溶接装置において、
上記回転機構は、サーボモータを有していることを特徴とするスピン溶接装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−45747(P2012−45747A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187871(P2010−187871)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000201869)倉敷化工株式会社 (282)
【Fターム(参考)】