スプラウト栽培装置
【課題】空間の利用率を十分に高めるとともに、保存期間を延長させ、且つ全体のコストを節減するスプラウト栽培装置を提供する。
【解決手段】底部に接続部と刳り貫き部を形成し、且つ吸水シートを設けた格子構造体を複数形成してなる格子盤を複数交差させて設けたベースと、該格子構造体と略同等の殻取り開口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける殻取り部と、該格子構造体と、該殻取り開口と略同等の可動切断口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける可動切断板と、該格子構造体と、該殻取り開口と、該可動切断口と略同等の固定切断口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける固定切断板と、該ベースと該固定切断盤の上部に設け、内部が中空のハウジングとを含み構成する。
【解決手段】底部に接続部と刳り貫き部を形成し、且つ吸水シートを設けた格子構造体を複数形成してなる格子盤を複数交差させて設けたベースと、該格子構造体と略同等の殻取り開口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける殻取り部と、該格子構造体と、該殻取り開口と略同等の可動切断口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける可動切断板と、該格子構造体と、該殻取り開口と、該可動切断口と略同等の固定切断口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける固定切断板と、該ベースと該固定切断盤の上部に設け、内部が中空のハウジングとを含み構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スプラウトと称し、芽を食する野菜を栽培するスプラウト栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食生活において、肉食が中心となると血液の酸化を促し、不健康な状態となる。このような場合、例えば野菜、果物などのアルカリ性の食物を接種して血液を中和する必要がある。
【0003】
一般にスプラウトと称し、芽を食する野菜は種類が多いが、次に掲げるものがよく食用されている。
【0004】
ビタミンA、B、C、E等の数十種類のミネラル物質、及び蛋白質等を含むホイートグラス。ビタミンA、B、C、E、K、カルシウム、鉄分、カリウム、蛋白質等を含むアルファルファスプラウト。ビタミンE、B、Complex、カルシウム、カリウム、蛋白質等を含むヒマワリの新芽。ビタミンA、B、C、鉄分、カルシウム、アミノ酸、及び蛋白質等を含むエンドウの新芽。ビタミンA、C、E、カルシウム、鉄分、レシチン、蛋白質等を含むソバの新芽。ビタミンB17、A、C、E、鉄分、カリウム、蛋白質などを含む緑豆の新芽。ビタミンA、鉄分、リン、カルシウム、蛋白質などを含むコロハの新芽。ビタミンA、C、カルシウム、鉄分、カリウム、蛋白質などを含む大根の新芽。
【0005】
スプラウトは一般に、栽培ボックス全体を利用した大量生産方式で栽培する。係る栽培方式は次に掲げる欠点を有する。
1. 栽培ボックス内に種子が無秩序で任意に散布される。このため、スプラウトの茎が容易に湾曲し、外観が揃わない。下方で圧迫を受ける新芽は、茎が容易に折れ傷口を形成する。また、スプラウトは茎が絡み易いので、水を注入した容器にスプラウトを収納し、浮力でスプラウトの茎が絡み合うのを防ぐようにしている。但し、スプラウトの茎に傷が生じると、長時間水に浸した場合、容易に腐乱し、外観に影響を与える。しかも長持ちしない。
2. スプラウトの芽の部分が上になったり、下になったりして揃わない。このため、一括して根の部分を切り取ることができず、加工の作業に手間がかかる。
3. スプラウトが、ばらばらで一山になるため、販売する場合、包装に不便である。
4. スプラウトの栽培、運送を経て消費者に渡るまで、掴み取って搬送する作業を何度も繰り返す。このため、スプラウトが傷み易く、また包装の材料を浪費する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、種子が整列され、且つ空間の利用率を十分に高めることのできるスプラウト栽培装置を提供することを課題とする。
【0007】
またこの発明は、栽培の過程において、スプラウトが散乱して一山になることなく、且つ傷がつかないスプラウト栽培装置を提供することを課題とする。
【0008】
またこの発明は、栽培から消費者の手元に至るまでスプラウトの根が切断されることなく、成長状態を維持し、腐乱することなく、保存時間を延長させ、運送時において、包装が容易でスプラウトを傷めないスプラウト栽培装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明の発明者は従来の技術に見られる欠点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、底部に接続部と刳り貫き部を形成し、且つ吸水シートを設けた格子構造体を複数形成してなる格子盤を複数交差させて設けたベースと、該格子構造体と略同等の殻取り開口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける殻取り部と、該格子構造体と、該殻取り開口と略同等の可動切断口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける可動切断板と、該格子構造体と、該殻取り開口と、該可動切断口と略同等の固定切断口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける固定切断板と、該ベースと該固定切断盤の上部に設け、内部が中空のハウジングとを含み構成するスプラウト栽培装置によって課題を解決できる点に着眼し、かかる知見に基づいて本発明を完成させた。
【0010】
以下、この発明について具体的に説明する。
請求項1に記載するスプラウト栽培装置は、底部に接続部と刳り貫き部を形成し、且つ吸水シートを設けた格子構造体を複数形成してなる格子盤を複数交差させて設けたベースと、該格子構造体と略同等の殻取り開口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける殻取り部と、該格子構造体と、該殻取り開口と略同等の可動切断口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける可動切断板と、該格子構造体と、該殻取り開口と、該可動切断口と略同等の固定切断口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける固定切断板と、該ベースと該固定切断盤の上部に設け、内部が中空のハウジングとを含み構成される。
【0011】
請求項2に記載するスプラウト栽培装置は、請求項1における格子構造体内に種子を置いた後、該殻取り部で該ベースを覆い、該可動切断板で該から取り部を覆い、該固定切断板で該可動切断板と殻取り盤上方を覆い、該ハウジングで該固定切断板と、該可動切断板と該殻取り部を覆って栽培装置を組み立て、該可動切断板が該ベース底部に延伸する箇所に把持部を形成し、適宜な側縁部に予め切断ワイヤを設け、把持部を引き出すことによって該可動切断板を外方向に引き出す。
【0012】
請求項3に記載するスプラウト栽培装置は、請求項1における格子構造体が、方形か、もしくは長条形であって、該格子構造体の側縁には内方向に突出する複数の茎支持部を形成し、該茎支持部が湾曲した爪状を呈し、且つ表面を粗くする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によるスプラウト栽培装置は、空間を十分に利用してスプラウトを栽培することができ、且つ成長したスプラウトが揃い、傷を受けることないという利点を有する。
【0014】
また、この発明によるスプラウト栽培装置は、消費者が食用する場合に装置に設けられた可動切断板を利用して根を切断するため、一回の操作で根を切断することができ便利であるとともに、消費者の手に至るまで根を切断しないので成長状態を維持し、保存期間を延長させ、更には包装の手間と包装材料を節約することができ、コストを低減させることができるという利点を有する。
【実施例】
【0015】
図1に、この発明によるスプラウト栽培装置を開示する。図面によれば、スプラウト栽培装置1は、ベース2と、殻取り部3と、可動切断板4と、固定切断板5と、ハウジング6によってなる。
【0016】
ベース2は格子盤21を有する。格子盤21内には複数の格子構造体22を形成する。格子構造体22は底部に接続部23と、刳り貫き部24を形成する。ベース2の底部に貯水部28を形成する。また、格子盤21の底部には吸水シート29を設ける。吸水シート29は、岩綿、不織布、もしくはその他水栽培用に用いるものと同等の効果を有するものを用いる。
【0017】
殻取り部3は、ベース2の適宜な側の側縁部に回動自在に設ける。また、殻取り部3には格子構造体22とほぼ対応する位置に複数の殻取り開口31を形成する。それぞれの殻取り開口31内には凸出した茎支持部32を複数形成する。
【0018】
可動切断板4は、ベース2の適宜な側の側縁部に回動自在に設ける。また、可動切断板4には格子構造体22及び殻取り開口31とほぼ対応する位置に複数の可動切断口41を形成する。
【0019】
固定切断板5は、ベース2の適宜な側の側縁部に回動自在に設ける。また、固定切断板5には格子構造体22、殻取り開口31及び可動切断口41とほぼ対応する位置に複数の固定切断口51を形成する。また、固定切断板5とベース2との間には押し圧板52を設ける。押し圧板52の上には押し圧ブロック53を設ける。更に、固定切断板5の外側には挟持板54を設ける。
【0020】
ハウジング6はベース2上を覆うものであって、接続板65を介してベース2の適宜な側の側縁部に設ける。ハウジング6の内部空間は、スプラウトが成長する成長空間61とする。また、適宜な位置に押し圧板62と押し圧ブロック63を形成する。上面にはネット64を設ける(図5参照)。
【0021】
図2から図5に開示するように、スプラウトを栽培する場合は、種子7をそれぞれの格子構造体22内に置く。それぞれの格子構造体22内には単一、もしくは適量の種子7を置く。更に、格子盤21と吸水シート29をベース2内に置く。次いで、殻取り部3でベース2上を覆う(図2参照)。更に可動切断板4で殻取り部3上を覆い(図3参照)、固定切断板5で可動切断板4と殻取り部3を覆い(図4参照)、最後にハウジング6で固定切断板5、可動切断板4、殻取り部3上を覆い(図5参照)、スプラウト栽培装置1の組み合わせを完成させる。
【0022】
固定切断板5内の押し圧板52内に形成する押し圧ブロック53は、ハウジング6の押し圧板62に形成する押し圧ブロック63とともに緊密に接合させる作用を有する。固定切断板5の挟持板54は、ハウジング6とベース2とが接触する位置の接続板65の間に挟持される。
【0023】
格子構造体22の底部には、接続部23を形成する。よって、種子7が下方に落ちないように受け止めることができる。接続部23は円弧状の構造を呈し、円形の種子7を置くと中心の位置に固定し、上部が茎支持部32の中央に対するようにすることができる。また、図6に開示するように、格子構造体22の底部には刳り貫き部24を形成する。格子構造体22の底部には吸水シート29を置く。吸水シート29は水、または培養液に浸す。水、または培養液が種子7に吸収されて養分となり、発芽、成長する。
【0024】
芽が成長する場合、先に下方に向かって根が張り、更に上方に向かって茎8が伸びる。よって、引力の影響を受け、種子7の下方に向かう茎が種子7と接続する部位が先に茎支持部32の狭い柄状部に接触する。茎支持部32の二つの串状の細い棒は、ピッチが種子7よりやや小さく、底部延伸の茎8が成長して通過するように位置決めし、その挟持力によって柔らかくなり、且つ避けた種子7の外皮を剥く(図7参照)。また、弾性を有し、胚芽体がその束縛を解いて上方に成長できる。後日種子の殻を容易に取り出すことができる。また、茎支持部32は、茎8が成長する場合にこれを支持する作用を有する。
【0025】
スプラウトを消費者に販売し、消費者が食用する場合は、図1、8、9、10、11に開示する通りである。可動切断板4のベース2底部に延伸する箇所に把持部42を形成し、且つ適宜な側縁部に、切断ワイヤ43を予め設ける。よって、図8、9に開示するように、消費者が切断ワイヤ43を反転させ、把持部42を引くことによって可動切断板4が外方向に引き出される。この場合、可動切断板4の可動切断口41が外方向に移動する。但し、殻取り開口31と固定切断口51は動かない。可動切断口41に方形の開口部によって切断の作用が発生し、茎8と種子7とを切断して分解する(図10、11参照)。従って、根の部分を容易に切断することができ、殻が無く、揃った茎8を食用することができる。理想的で便利である。
【0026】
大量に栽培する場合は、複数のスプラウト栽培装置1を水栽培ベッド91に置き(flooding irrigation)、配管92にポンプ93と培養液供給タンク94を連結して、大量栽培を行う(図12参照)。または、図13に開示するように、散布式の栽培を行ってもよい。培養液供給タンク95に配管96を連結し、ノズル97を介して栽培装置1の状面のネット64から培養液をスプラウト栽培装置1内に送る。
【0027】
野菜の種を撒く場合は一般にスポット式と線状に撒く2種類の形式が多い。スポット式は発芽率の高い品質に適する。発芽率の低い種は発芽しない場合があり、構造空間の浪費に繋がる。線状に撒く方式は発芽率が低い品種と種の形状が変わっていて、一致しない品種に適する。両種の装置の差異は仕切り板の構造の違いにある。前述する方形の格子構造体22はスポット式に適する。線状に撒く場合は、図15に開示するように隣り合う複数の格子構造体22を連通させて配管96を連結し、長条形格子構造体221を形成する。成長の比率で多めの種子を撒くことができ、低発芽率によって発生する空間の浪費を補うことができる。茎支持部34は、長条形格子構造体221の側縁部に細い棒状にして排列させる。茎支持部34の表面は粗くし、前端をやや湾曲させて爪状にする。その広さ、ピッチの比率、湾曲度、数量は異なる種子の特性に基づいて適宜に調整し、好ましい殻を阻む効果が得られるようにする。
【0028】
図16に他の実施形態を開示する。その構造と原理は前述の実施例と同様であって、線状に撒く方式に適する。基板71に長条形格子構造体72を設け、長条形格子構造体72には茎支持部73を排列する。固定切断板74、可動切断板75で基板71を覆い、長条形格子構造体72の茎支持部73に形成される凹状の空間に種子を置き、給水シートをかぶせ、底蓋76をかぶせ、最後に全体を上下反転させて組み合わせを完成させる。
【0029】
以上は、この発明の好ましい実施例であって、この発明の実施の範囲を限定するものではない。よって、当業者のなし得る修正、もしくは変更であって、この発明の精神の下においてなされ、この発明に対して均等の効果を有するものは、いずれもこの発明の特許請求の範囲に属するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明によるスプラウト栽培装置の分解図である。
【図2】この発明において、殻取り部で覆う動作を示した説明図である。
【図3】この発明において、可動切断板で覆う動作を示した説明図である。
【図4】この発明において、固定切断板で覆う動作を示した説明図である。
【図5】この発明において、ハウジングで覆う動作を示した説明図である。
【図6】この発明において、発芽した状態を示した説明図である。
【図7】この発明において、新芽が成長した状態を示した説明図である。
【図8】この発明において、スプラウトが成長した状態を示した説明図である。
【図9】この発明において、可動切断板の把持部を操作する状態を示した説明図である。
【図10】この発明において、可動切断板を引いて根を切断する動作を示した説明図である。
【図11】この発明において、根を切断する動作を示した他の説明図である。
【図12】この発明を利用してflooding irrigation方式で大量栽培を行う場合の説明図である。
【図13】この発明を利用して散布方式で大量栽培を行う場合の説明図である
【図14】この発明における格子構造体に、他の実施形態による茎支持体を設けた状態を示した説明図である。
【図15】この発明における格子構造体を長条形にした実施形態を示した説明図である。
【図16】他の実施形態によるスプラウト栽培装置の構造を示した説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 スプラウト栽培装置
2 ベース
21 格子盤
22 格子構造体
221 長条形格子構造体
23 接続部
24 刳り貫き部
28 貯水部
29 吸水シート
3 殻取り部
31 殻取り開口
32 茎支持部
33 茎支持部
34 茎支持部
39 茎支持部
4 可動切断板
41 可動切断口
42 把持部
43 切断ワイヤ
5 固定切断板
51 固定切断口
52 押し圧板
53 押し圧ブロック
54 挟持板
6 ハウジング
61 成長空間
62 押し圧板
63 押し圧ブロック
64 ネット
65 接続板
7 種子
71 基板
72 長条形格子構造体
73 茎支持部
74 固定切断板
75 可動切断板
76 底蓋
8 茎
91 水栽培ベッド
92 配管
93 ポンプ
94 培養液供給タンク
95 培養液供給タンク
96 配管
97 ノズル
【技術分野】
【0001】
この発明は、スプラウトと称し、芽を食する野菜を栽培するスプラウト栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食生活において、肉食が中心となると血液の酸化を促し、不健康な状態となる。このような場合、例えば野菜、果物などのアルカリ性の食物を接種して血液を中和する必要がある。
【0003】
一般にスプラウトと称し、芽を食する野菜は種類が多いが、次に掲げるものがよく食用されている。
【0004】
ビタミンA、B、C、E等の数十種類のミネラル物質、及び蛋白質等を含むホイートグラス。ビタミンA、B、C、E、K、カルシウム、鉄分、カリウム、蛋白質等を含むアルファルファスプラウト。ビタミンE、B、Complex、カルシウム、カリウム、蛋白質等を含むヒマワリの新芽。ビタミンA、B、C、鉄分、カルシウム、アミノ酸、及び蛋白質等を含むエンドウの新芽。ビタミンA、C、E、カルシウム、鉄分、レシチン、蛋白質等を含むソバの新芽。ビタミンB17、A、C、E、鉄分、カリウム、蛋白質などを含む緑豆の新芽。ビタミンA、鉄分、リン、カルシウム、蛋白質などを含むコロハの新芽。ビタミンA、C、カルシウム、鉄分、カリウム、蛋白質などを含む大根の新芽。
【0005】
スプラウトは一般に、栽培ボックス全体を利用した大量生産方式で栽培する。係る栽培方式は次に掲げる欠点を有する。
1. 栽培ボックス内に種子が無秩序で任意に散布される。このため、スプラウトの茎が容易に湾曲し、外観が揃わない。下方で圧迫を受ける新芽は、茎が容易に折れ傷口を形成する。また、スプラウトは茎が絡み易いので、水を注入した容器にスプラウトを収納し、浮力でスプラウトの茎が絡み合うのを防ぐようにしている。但し、スプラウトの茎に傷が生じると、長時間水に浸した場合、容易に腐乱し、外観に影響を与える。しかも長持ちしない。
2. スプラウトの芽の部分が上になったり、下になったりして揃わない。このため、一括して根の部分を切り取ることができず、加工の作業に手間がかかる。
3. スプラウトが、ばらばらで一山になるため、販売する場合、包装に不便である。
4. スプラウトの栽培、運送を経て消費者に渡るまで、掴み取って搬送する作業を何度も繰り返す。このため、スプラウトが傷み易く、また包装の材料を浪費する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、種子が整列され、且つ空間の利用率を十分に高めることのできるスプラウト栽培装置を提供することを課題とする。
【0007】
またこの発明は、栽培の過程において、スプラウトが散乱して一山になることなく、且つ傷がつかないスプラウト栽培装置を提供することを課題とする。
【0008】
またこの発明は、栽培から消費者の手元に至るまでスプラウトの根が切断されることなく、成長状態を維持し、腐乱することなく、保存時間を延長させ、運送時において、包装が容易でスプラウトを傷めないスプラウト栽培装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明の発明者は従来の技術に見られる欠点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、底部に接続部と刳り貫き部を形成し、且つ吸水シートを設けた格子構造体を複数形成してなる格子盤を複数交差させて設けたベースと、該格子構造体と略同等の殻取り開口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける殻取り部と、該格子構造体と、該殻取り開口と略同等の可動切断口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける可動切断板と、該格子構造体と、該殻取り開口と、該可動切断口と略同等の固定切断口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける固定切断板と、該ベースと該固定切断盤の上部に設け、内部が中空のハウジングとを含み構成するスプラウト栽培装置によって課題を解決できる点に着眼し、かかる知見に基づいて本発明を完成させた。
【0010】
以下、この発明について具体的に説明する。
請求項1に記載するスプラウト栽培装置は、底部に接続部と刳り貫き部を形成し、且つ吸水シートを設けた格子構造体を複数形成してなる格子盤を複数交差させて設けたベースと、該格子構造体と略同等の殻取り開口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける殻取り部と、該格子構造体と、該殻取り開口と略同等の可動切断口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける可動切断板と、該格子構造体と、該殻取り開口と、該可動切断口と略同等の固定切断口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける固定切断板と、該ベースと該固定切断盤の上部に設け、内部が中空のハウジングとを含み構成される。
【0011】
請求項2に記載するスプラウト栽培装置は、請求項1における格子構造体内に種子を置いた後、該殻取り部で該ベースを覆い、該可動切断板で該から取り部を覆い、該固定切断板で該可動切断板と殻取り盤上方を覆い、該ハウジングで該固定切断板と、該可動切断板と該殻取り部を覆って栽培装置を組み立て、該可動切断板が該ベース底部に延伸する箇所に把持部を形成し、適宜な側縁部に予め切断ワイヤを設け、把持部を引き出すことによって該可動切断板を外方向に引き出す。
【0012】
請求項3に記載するスプラウト栽培装置は、請求項1における格子構造体が、方形か、もしくは長条形であって、該格子構造体の側縁には内方向に突出する複数の茎支持部を形成し、該茎支持部が湾曲した爪状を呈し、且つ表面を粗くする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によるスプラウト栽培装置は、空間を十分に利用してスプラウトを栽培することができ、且つ成長したスプラウトが揃い、傷を受けることないという利点を有する。
【0014】
また、この発明によるスプラウト栽培装置は、消費者が食用する場合に装置に設けられた可動切断板を利用して根を切断するため、一回の操作で根を切断することができ便利であるとともに、消費者の手に至るまで根を切断しないので成長状態を維持し、保存期間を延長させ、更には包装の手間と包装材料を節約することができ、コストを低減させることができるという利点を有する。
【実施例】
【0015】
図1に、この発明によるスプラウト栽培装置を開示する。図面によれば、スプラウト栽培装置1は、ベース2と、殻取り部3と、可動切断板4と、固定切断板5と、ハウジング6によってなる。
【0016】
ベース2は格子盤21を有する。格子盤21内には複数の格子構造体22を形成する。格子構造体22は底部に接続部23と、刳り貫き部24を形成する。ベース2の底部に貯水部28を形成する。また、格子盤21の底部には吸水シート29を設ける。吸水シート29は、岩綿、不織布、もしくはその他水栽培用に用いるものと同等の効果を有するものを用いる。
【0017】
殻取り部3は、ベース2の適宜な側の側縁部に回動自在に設ける。また、殻取り部3には格子構造体22とほぼ対応する位置に複数の殻取り開口31を形成する。それぞれの殻取り開口31内には凸出した茎支持部32を複数形成する。
【0018】
可動切断板4は、ベース2の適宜な側の側縁部に回動自在に設ける。また、可動切断板4には格子構造体22及び殻取り開口31とほぼ対応する位置に複数の可動切断口41を形成する。
【0019】
固定切断板5は、ベース2の適宜な側の側縁部に回動自在に設ける。また、固定切断板5には格子構造体22、殻取り開口31及び可動切断口41とほぼ対応する位置に複数の固定切断口51を形成する。また、固定切断板5とベース2との間には押し圧板52を設ける。押し圧板52の上には押し圧ブロック53を設ける。更に、固定切断板5の外側には挟持板54を設ける。
【0020】
ハウジング6はベース2上を覆うものであって、接続板65を介してベース2の適宜な側の側縁部に設ける。ハウジング6の内部空間は、スプラウトが成長する成長空間61とする。また、適宜な位置に押し圧板62と押し圧ブロック63を形成する。上面にはネット64を設ける(図5参照)。
【0021】
図2から図5に開示するように、スプラウトを栽培する場合は、種子7をそれぞれの格子構造体22内に置く。それぞれの格子構造体22内には単一、もしくは適量の種子7を置く。更に、格子盤21と吸水シート29をベース2内に置く。次いで、殻取り部3でベース2上を覆う(図2参照)。更に可動切断板4で殻取り部3上を覆い(図3参照)、固定切断板5で可動切断板4と殻取り部3を覆い(図4参照)、最後にハウジング6で固定切断板5、可動切断板4、殻取り部3上を覆い(図5参照)、スプラウト栽培装置1の組み合わせを完成させる。
【0022】
固定切断板5内の押し圧板52内に形成する押し圧ブロック53は、ハウジング6の押し圧板62に形成する押し圧ブロック63とともに緊密に接合させる作用を有する。固定切断板5の挟持板54は、ハウジング6とベース2とが接触する位置の接続板65の間に挟持される。
【0023】
格子構造体22の底部には、接続部23を形成する。よって、種子7が下方に落ちないように受け止めることができる。接続部23は円弧状の構造を呈し、円形の種子7を置くと中心の位置に固定し、上部が茎支持部32の中央に対するようにすることができる。また、図6に開示するように、格子構造体22の底部には刳り貫き部24を形成する。格子構造体22の底部には吸水シート29を置く。吸水シート29は水、または培養液に浸す。水、または培養液が種子7に吸収されて養分となり、発芽、成長する。
【0024】
芽が成長する場合、先に下方に向かって根が張り、更に上方に向かって茎8が伸びる。よって、引力の影響を受け、種子7の下方に向かう茎が種子7と接続する部位が先に茎支持部32の狭い柄状部に接触する。茎支持部32の二つの串状の細い棒は、ピッチが種子7よりやや小さく、底部延伸の茎8が成長して通過するように位置決めし、その挟持力によって柔らかくなり、且つ避けた種子7の外皮を剥く(図7参照)。また、弾性を有し、胚芽体がその束縛を解いて上方に成長できる。後日種子の殻を容易に取り出すことができる。また、茎支持部32は、茎8が成長する場合にこれを支持する作用を有する。
【0025】
スプラウトを消費者に販売し、消費者が食用する場合は、図1、8、9、10、11に開示する通りである。可動切断板4のベース2底部に延伸する箇所に把持部42を形成し、且つ適宜な側縁部に、切断ワイヤ43を予め設ける。よって、図8、9に開示するように、消費者が切断ワイヤ43を反転させ、把持部42を引くことによって可動切断板4が外方向に引き出される。この場合、可動切断板4の可動切断口41が外方向に移動する。但し、殻取り開口31と固定切断口51は動かない。可動切断口41に方形の開口部によって切断の作用が発生し、茎8と種子7とを切断して分解する(図10、11参照)。従って、根の部分を容易に切断することができ、殻が無く、揃った茎8を食用することができる。理想的で便利である。
【0026】
大量に栽培する場合は、複数のスプラウト栽培装置1を水栽培ベッド91に置き(flooding irrigation)、配管92にポンプ93と培養液供給タンク94を連結して、大量栽培を行う(図12参照)。または、図13に開示するように、散布式の栽培を行ってもよい。培養液供給タンク95に配管96を連結し、ノズル97を介して栽培装置1の状面のネット64から培養液をスプラウト栽培装置1内に送る。
【0027】
野菜の種を撒く場合は一般にスポット式と線状に撒く2種類の形式が多い。スポット式は発芽率の高い品質に適する。発芽率の低い種は発芽しない場合があり、構造空間の浪費に繋がる。線状に撒く方式は発芽率が低い品種と種の形状が変わっていて、一致しない品種に適する。両種の装置の差異は仕切り板の構造の違いにある。前述する方形の格子構造体22はスポット式に適する。線状に撒く場合は、図15に開示するように隣り合う複数の格子構造体22を連通させて配管96を連結し、長条形格子構造体221を形成する。成長の比率で多めの種子を撒くことができ、低発芽率によって発生する空間の浪費を補うことができる。茎支持部34は、長条形格子構造体221の側縁部に細い棒状にして排列させる。茎支持部34の表面は粗くし、前端をやや湾曲させて爪状にする。その広さ、ピッチの比率、湾曲度、数量は異なる種子の特性に基づいて適宜に調整し、好ましい殻を阻む効果が得られるようにする。
【0028】
図16に他の実施形態を開示する。その構造と原理は前述の実施例と同様であって、線状に撒く方式に適する。基板71に長条形格子構造体72を設け、長条形格子構造体72には茎支持部73を排列する。固定切断板74、可動切断板75で基板71を覆い、長条形格子構造体72の茎支持部73に形成される凹状の空間に種子を置き、給水シートをかぶせ、底蓋76をかぶせ、最後に全体を上下反転させて組み合わせを完成させる。
【0029】
以上は、この発明の好ましい実施例であって、この発明の実施の範囲を限定するものではない。よって、当業者のなし得る修正、もしくは変更であって、この発明の精神の下においてなされ、この発明に対して均等の効果を有するものは、いずれもこの発明の特許請求の範囲に属するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明によるスプラウト栽培装置の分解図である。
【図2】この発明において、殻取り部で覆う動作を示した説明図である。
【図3】この発明において、可動切断板で覆う動作を示した説明図である。
【図4】この発明において、固定切断板で覆う動作を示した説明図である。
【図5】この発明において、ハウジングで覆う動作を示した説明図である。
【図6】この発明において、発芽した状態を示した説明図である。
【図7】この発明において、新芽が成長した状態を示した説明図である。
【図8】この発明において、スプラウトが成長した状態を示した説明図である。
【図9】この発明において、可動切断板の把持部を操作する状態を示した説明図である。
【図10】この発明において、可動切断板を引いて根を切断する動作を示した説明図である。
【図11】この発明において、根を切断する動作を示した他の説明図である。
【図12】この発明を利用してflooding irrigation方式で大量栽培を行う場合の説明図である。
【図13】この発明を利用して散布方式で大量栽培を行う場合の説明図である
【図14】この発明における格子構造体に、他の実施形態による茎支持体を設けた状態を示した説明図である。
【図15】この発明における格子構造体を長条形にした実施形態を示した説明図である。
【図16】他の実施形態によるスプラウト栽培装置の構造を示した説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 スプラウト栽培装置
2 ベース
21 格子盤
22 格子構造体
221 長条形格子構造体
23 接続部
24 刳り貫き部
28 貯水部
29 吸水シート
3 殻取り部
31 殻取り開口
32 茎支持部
33 茎支持部
34 茎支持部
39 茎支持部
4 可動切断板
41 可動切断口
42 把持部
43 切断ワイヤ
5 固定切断板
51 固定切断口
52 押し圧板
53 押し圧ブロック
54 挟持板
6 ハウジング
61 成長空間
62 押し圧板
63 押し圧ブロック
64 ネット
65 接続板
7 種子
71 基板
72 長条形格子構造体
73 茎支持部
74 固定切断板
75 可動切断板
76 底蓋
8 茎
91 水栽培ベッド
92 配管
93 ポンプ
94 培養液供給タンク
95 培養液供給タンク
96 配管
97 ノズル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に接続部と刳り貫き部を形成し、且つ吸水シートを設けた格子構造体を複数形成してなる格子盤を複数交差させて設けたベースと、
該格子構造体と略同等の殻取り開口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける殻取り部と、
該格子構造体と、該殻取り開口と略同等の可動切断口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける可動切断板と、
該格子構造体と、該殻取り開口と、該可動切断口と略同等の固定切断口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける固定切断板と、
該ベースと該固定切断盤の上部に設け、内部が中空のハウジングとを含み構成されることを特徴とするスプラウト栽培装置。
【請求項2】
前記格子構造体内に種子を置いた後、該殻取り部で該ベースを覆い、該可動切断板で該から取り部を覆い、該固定切断板で該可動切断板と殻取り盤上方を覆い、該ハウジングで該固定切断板と、該可動切断板と該殻取り部を覆って栽培装置を組み立て、
該可動切断板が該ベース底部に延伸する箇所に把持部を形成し、適宜な側縁部に予め切断ワイヤを設け、
把持部を引き出すことによって該可動切断板を外方向に引き出すことを特徴とする請求項1に記載のスプラウト栽培装置。
【請求項3】
前記格子構造体が方形か、もしくは長条形であって、該格子構造体の側縁には内方向に突出する複数の茎支持部を形成し、該茎支持部が湾曲した爪状を呈し、且つ表面を粗くすることを特徴とする請求項1に記載のスプラウト栽培装置。
【請求項1】
底部に接続部と刳り貫き部を形成し、且つ吸水シートを設けた格子構造体を複数形成してなる格子盤を複数交差させて設けたベースと、
該格子構造体と略同等の殻取り開口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける殻取り部と、
該格子構造体と、該殻取り開口と略同等の可動切断口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける可動切断板と、
該格子構造体と、該殻取り開口と、該可動切断口と略同等の固定切断口を複数形成してなり、該ベースの上部に設ける固定切断板と、
該ベースと該固定切断盤の上部に設け、内部が中空のハウジングとを含み構成されることを特徴とするスプラウト栽培装置。
【請求項2】
前記格子構造体内に種子を置いた後、該殻取り部で該ベースを覆い、該可動切断板で該から取り部を覆い、該固定切断板で該可動切断板と殻取り盤上方を覆い、該ハウジングで該固定切断板と、該可動切断板と該殻取り部を覆って栽培装置を組み立て、
該可動切断板が該ベース底部に延伸する箇所に把持部を形成し、適宜な側縁部に予め切断ワイヤを設け、
把持部を引き出すことによって該可動切断板を外方向に引き出すことを特徴とする請求項1に記載のスプラウト栽培装置。
【請求項3】
前記格子構造体が方形か、もしくは長条形であって、該格子構造体の側縁には内方向に突出する複数の茎支持部を形成し、該茎支持部が湾曲した爪状を呈し、且つ表面を粗くすることを特徴とする請求項1に記載のスプラウト栽培装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−151442(P2007−151442A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−349395(P2005−349395)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(592169415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(592169415)
【Fターム(参考)】
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