説明

スプリングリターン型電動流量調整装置

【課題】自動的にスプリングリターン動作回数を正確にカウントし、リターンスプリングの交換時期を定量的に知ることができるようにする。
【解決手段】弁体7の通常の開度制御範囲θ0 〜θ100 の外側にリターン動作終点位置θSRを定める。例えば、フェールセーフ方向を全閉方向とした場合、全閉位置θ0 よりも下位の位置にリターン動作終点位置θSRを定める。このリターン動作終点位置θSRへの駆動軸1の動作位置の到達回数をスプリングリターン動作回数としてカウントし、不揮発性のメモリに更新保持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リターンスプリングの復帰力によって駆動軸の動作位置を強制的に所定のリターン動作終点位置に戻す機能を備えたスプリングリターン型電動流量調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のスプリングリターン型電動流量調整装置として、流量制御用のバルブや風量制御用のダンパなどの電動流量調整装置が用いられている。このスプリングリターン型電動流量調整装置では、モータの回転力を電磁クラッチおよび減速機構を介して駆動軸へ伝達することにより、トルクを増加させて、バルブやダンパなどの流量規制機構の開度制御を行う。駆動軸にはリターンスプリングが設けられており、停電などにより電動流量調整装置への電源が遮断された場合、電磁クラッチが切れ、リターンスプリングの復帰力によって強制的に流量規制機構が駆動され、全閉又は全開とされる。
【0003】
図7に従来のスプリングリターン型電動弁(スプリングリターン型電動流量調整装置)の一例を示す(例えば、特許文献1参照)。同図において、1は駆動軸、2は駆動軸1に付設されたリターンスプリング、3は減速機構、4は電磁クラッチ、5はモータ、6’は制御部、7は駆動軸1の動作位置に応じて流体の流量を規制する弁体(流量規制機構)、8は駆動軸1の動作位置を弁体7の現在の開度θpvとして検出する開度センサである。
【0004】
このスプリングリターン型電動弁100’において、制御部6’は電源(例えば、AC24V)の供給を受けて動作し、モータ5に正転指令や逆転指令を送る。また、電磁クラッチ4へは制御部6’への電源が分岐して常時供給され、クラッチ接となり、モータ5の出力軸を減速機構3を介して駆動軸1に常時回転結合する。
【0005】
これにより、モータ5の回転力が電磁クラッチ4および減速機構3を介して駆動軸1に伝達され、弁体7の開度制御が行われる。この場合、制御部6’は、弁体7の現在の開度θpvを目標開度θspに一致させるように、モータ5に正転指令や逆転指令を送る。なお、正転指令や逆転指令を受けた後、モータ5が停止すると、モータ5の保持トルクにより、駆動軸1は現在の動作位置を維持する。
【0006】
停電などにより、スプリングリターン型電動弁100’への電源の供給が遮断されると、電磁クラッチ4への電源も断たれる。このため、電磁クラッチ4が断となり、モータ5のトルクが駆動軸1へ伝達されなくなり、リターンスプリング2の復帰力によって駆動軸1が閉方向あるいは開方向(フェールセーフ方向)に動作し、弁体7が強制的に全閉(θ0 )あるいは全開(θ100 )とされる。この機能をスプリングリターン機能と呼んでいる。
【0007】
このスプリングリターン型電動弁100’では、現場への設置時や定期点検時に、スプリングリターン機能が正常に働くか否かを作業者が確認している。このスプリングリターン機能の動作確認(スプリングリターン動作の確認)は、スプリングリターン型電動弁100’への電源の供給を故意に断ったり、スプリングリターン型電動弁100’に付設されている確認ボタン(図示せず)を押したりすることによって行う。制御部6’は、確認ボタンが押されると、その確認ボタンが押されたことを示す信号をリターンスプリング2に対する動作確認指令(スプリングリターン動作確認指令)として受けて、電磁クラッチ4を断とする。
【0008】
このスプリングリターン型電動弁100’において、リターンスプリング2は、スプリングリターン動作が行われる毎に、徐々にではあるが疲労・劣化して行く。そこで、スプリングリターン型電動弁100’の製造元では、スプリングリターン動作回数の上限値を定め、この上限値を超過したら、リターンスプリング2を交換するように推奨している。
【0009】
【特許文献1】特開2002−174269号公報
【特許文献2】特開平10−332040号公報(特許第3129677号)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来は作業者が手動・目視でスプリングリターン動作を確認していたため、面倒であり、操作ミスや動作回数のカウントミスがあった。また、作業者が容易に近づけないような場所に設置されて、動作確認ができない場合もあった。
【0011】
なお、特許文献2では、駆動軸が弁体の全閉位置および全開位置まで回転したときに位置検出信号を発信する検出体を設け、これら検出体の位置検出信号の発信回数を積算表示することにより、弁体やシートリングの交換時期を知らせるようにしている。
【0012】
しかしながら、この特許文献2に示された技術では、単に駆動軸が弁体の全閉位置および全開位置まで回転したときに位置検出信号を発信するだけであるので、例えばフェールセーフ方向を全閉方向とした場合、通常の開度制御により駆動軸が全閉位置まで回転した場合とスプリングリターン動作で駆動軸が全閉位置まで回転した場合とを区別することなく発信回数が積算されてしまう。このため、スプリングリターン動作回数を正確にカウントすることができず、リターンスプリングの正常・異常の判断は、従来どおり作業者の目視確認に頼らざるを得ない。
【0013】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、スプリングリターン動作回数を正確にカウントし、リターンスプリングの交換時期を自動的に知ることができるスプリングリターン型電動流量調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために、第1発明(請求項1に係る発明)は、電源の供給を受けて回転するモータと、このモータの出力軸に電磁クラッチおよび減速機構を介して接続された駆動軸と、この駆動軸の動作位置に応じて流体の流量を規制する流量規制機構と、モータに指令を与えて流量規制機構の開度を制御する制御部と、電磁クラッチが断とされた場合に駆動軸の動作位置を所定のリターン動作終点位置に戻すリターンスプリングとを備えたスプリングリターン型電動流量調整装置において、流量規制機構の通常の開度制御範囲の外側にリターン動作終点位置を定め、このリターン動作終点位置への駆動軸の動作位置の到達回数をスプリングリターン動作回数としてカウントし、不揮発性のメモリに更新保持させるようにしたものである。
【0015】
この発明によれば、流量規制機構の通常の開度制御範囲を全閉(θ0 )から全開(θ100 )までの開度範囲とすると、この開度範囲の外側にリターン動作終点位置(θSR)が定められる。例えば、フェールセーフ方向を全閉方向とした場合、全閉位置よりも下位の位置にリターン動作終点位置が定められる。これにより、電磁クラッチが断とされ、駆動軸の動作位置が通常の開度制御範囲を超え、リターン動作終点位置に到達した場合にのみ、それがスプリングリターン動作回数としてカウントされる。例えば、スプリングリターン動作指令を受けて、電磁クラッチが断とされると、リターンスプリングの復帰力により、駆動軸の動作位置がリターン動作終点位置に戻される。この時、スプリングリターン動作回数が1アップされ、不揮発性のメモリに更新保持される。また、電動流量調整装置への電源が遮断され、電磁クラッチが断とされると、リターンスプリングの復帰力により、駆動軸の動作位置がリターン動作終点位置に戻される。この場合、電源の遮断が復旧した後に、スプリングリターン動作回数が1アップされ、不揮発性のメモリに更新保持される。
【0016】
第1発明において、スプリングリターン動作回数は、スプリングリターン動作確認指令を受けた場合のスプリングリターン動作回数(NA)とスプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数(NB)とを合わせたトータル値(NT=NA+NB)としてカウントされ、これがスプリングリターン動作回数として不揮発性のメモリに更新保持される。なお、第1発明において、電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数には、電源の供給を故意に遮断した場合の回数と停電した時の回数とが含まれる。
【0017】
第2発明(請求項2に係る発明)では、スプリングリターン動作確認指令を受けた後のリターン動作終点位置への駆動軸の動作位置の到達回数をスプリングリターン動作回数としてカウントするようにする。すなわち、スプリングリターン動作確認指令を受けた場合のスプリングリターン動作回数(NA)のみをカウントするようにし、スプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数(NB)のカウントは行わない。電源を遮断しないようにすれば、スプリングリターン動作確認指令を受けた場合のスプリングリターン動作回数(NA)だけでも、リターンスプリングの交換時期を知ることは可能である。
【0018】
第3発明(請求項3に係る発明)では、リターン動作終点位置への駆動軸の動作位置の到達回数をスプリングリターン動作総回数としてカウントすると共に、スプリングリターン動作確認指令を受けた後のリターン動作終点位置への駆動軸の動作位置の到達回数をスプリングリターン動作試験回数としてカウントするようにする。すなわち、スプリングリターン動作確認指令を受けた場合のスプリングリターン動作回数(NA)とスプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数(NB)とを合わせたトータル値をスプリングリターン動作総回数(NT=NA+NB)としてカウントすると共に、スプリングリターン動作確認指令を受けた場合のスプリングリターン動作回数をスプリングリターン動作試験回数(NA)としてカウントする。この第3発明において、スプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数(NB)は、スプリングリターン動作総回数(NT)からスプリングリターン動作試験回数(NA)を差し引くことにより、計算によって求めることが可能である。
【0019】
第1発明や第2発明において、メモリに保持されているスプリングリターン動作回数(NT,NA)は、スプリングリターン型電動流量調整装置に表示部を設けて通知するようにしたり、ネットワークを介して遠隔地に通知するようにしてもよい。この場合、スプリングリターン動作回数(NT,NA)と合わせて、スプリングリターン動作回数の上限値(NTmax,NAmax)に対する割合など、関係情報を通知するようにするとよい(第4発明(請求項4に係る発明))。
【0020】
第5発明(請求項5に係る発明)でも、第3発明と同様にして、メモリに保持されているスプリングリターン動作総回数(NT)およびスプリングリターン動作試験回数(NA)を通知するようにする。この場合、スプリングリターン動作総回数(NT)およびスプリングリターン動作試験回数(NA)と合わせて、スプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数(NB)など、関係情報を通知するようにするとよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、流量規制機構の通常の開度制御範囲の外側にリターン動作終点位置を定め、このリターン動作終点位置への駆動軸の動作位置の到達回数をカウントするようにしたので、スプリングリターン動作総回数やスプリングリターン動作試験回数などのスプリングリターン動作回数を通常の開度制御の全閉や全開などと区別して正確にカウントすることができ、このカウントされたスプリング動作回数から作業者の目視確認に頼ることなく、自動的に、リターンスプリングの交換時期を知ることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係るスプリングリターン型電動弁(スプリングリターン型電動流量調整装置)の一実施の形態を含むスプリングリターン動作確認システムの概略を示す図である。同図において、図7と同一符号は図7を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0023】
この実施の形態において、スプリングリターン型電動弁100の制御部6は、図7に示した従来のスプリングリターン型電動弁100’の制御部6’とはその機能が一部異なっており、ネットワーク200を介して接続される遠隔監視装置300との通信機能を備えている。
【0024】
また、この実施の形態において、スプリングリターン型電動弁100の弁体(流量規制機構)7の通常の開度制御範囲は全閉(θ0 )〜全開(θ100 )までの開度範囲とされ、この開度範囲の外側にリターン動作終点位置θSRが定められている。この例では、フェールセーフ方向を全閉方向とし、全閉位置θ0 よりも下位の位置にリターン動作終点位置θSRが定められている。
【0025】
すなわち、電磁クラッチ4が断とされた場合、リターンスプリング2の復帰力によって駆動軸1が閉方向に動作し、弁体7を強制的に全閉とするが、この弁体7を強制的に全閉とした後も駆動軸1が回転し、全閉位置θ0 よりも下位の位置に定められたリターン動作終点位置θSRで停止するものとされている。
【0026】
なお、フェールセーフ方向を全開方向とする場合には、全開位置θ100 よりも上位の位置にリターン動作終点位置θSRを定めるようにする。
【0027】
図2にスプリングリターン型電動弁100における制御部6のハード構成の概略を示す。同図において、6−1はCPU、6−2はRAM、6−3はROM、6−4はAC/DC変換器、6−5〜6−8はインターフェイス、6−9はEEPROMなどの再書き込みが可能な不揮発性のメモリである。AC/DC変換器6−4は、電磁クラッチ4やモータ5への電源(AC24V)を分岐入力とし、この電源を直流電圧に変換して、CPU6−1,RAM6−2,ROM6−3,インタフェース6−5〜6−8、不揮発性のメモリ6−9に供給する。
【0028】
CPU6−1は、RAM6−2や不揮発性のメモリ6−9にアクセスしながら、ROM6−3に格納されたプログラムに従って動作し、モータ5へ正転指令や逆転指令を送り、電磁クラッチ4にON指令やOFF指令を送る。ROM6−3には、本実施の形態特有のプログラムとして、スプリングリターン動作確認プログラムが格納されている。
【0029】
なお、不揮発性のメモリ6−9には、後述する実施の形態1では、工場出荷段階で、スプリングリターン動作総回数NTの初期値として0(NT=0)が格納されているものとし、後述する実施の形態2では、工場出荷段階で、スプリングリターン動作試験回数NAの初期値として0(NA=0)が格納されているものとする。
【0030】
また、後述する実施の形態3では、工場出荷段階で、スプリングリターン動作総回数NTおよびスプリングリターン動作試験回数NAの初期値として、それぞれ0(NT=0、NA=0)が格納されているものとし、後述する実施の形態4では、工場出荷段階で、スプリングリターン動作試験回数NAおよびスプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBの初期値として、それぞれ0(NA=0、NB=0)が格納されているものとする。
【0031】
スプリングリターン動作総回数NT、スプリングリターン動作試験回数NA、スプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBについては後述する。
【0032】
〔通常モード〕
制御部6のCPU6−1は、遠隔監視装置300からスプリングリターン動作確認指令を受けていない通常モードでは、電磁クラッチ4にON指令を送り、電磁クラッチ4をクラッチ接の状態とする。また、弁体7の現在の開度θpvを目標開度θspに一致させるように、モータ5に正転指令や逆転指令を送る。これにより、モータ5の出力軸が減速機構3を介して駆動軸1に常時回転結合され、モータ5の回転力が電磁クラッチ4および減速機構3を介して駆動軸1に伝達され、弁体7の開度制御が行われる。なお、正転指令や逆転指令を受けた後、モータ5が停止すると、モータ5の保持トルクにより、駆動軸1は現在の動作位置を維持する。
【0033】
〔実施の形態1:スプリングリターン動作総回数NTのみをカウントする例〕
〔スプリングリターン動作の確認〕
管理者は、スプリングリターン型電動弁100のスプリングリターン動作を確認したい場合、遠隔監視装置300よりネットワーク200を介してスプリングリターン型電動弁100へスプリングリターン動作確認指令を送る。このスプリングリターン動作確認指令を受けて、制御部6のCPU6−1は、電磁クラッチ4へOFF指令を送る。これにより、電磁クラッチ4への電源が遮断され、電磁クラッチ4が断となり、モータ5のトルクが駆動軸1へ伝達されなくなる。
【0034】
この場合、スプリングリターン機能が正常に働けば、リターンスプリング2の復帰力によって駆動軸1が閉方向に動作し、強制的に弁体7が全閉とされる。この時、駆動軸1の動作位置は、全閉位置θ0 よりも下位の位置に定められているリターン動作終点位置θSRに戻される。これにより、開度センサ8から制御部6へ送られる開度値θpvがθSRとなり、CPU6−1において駆動軸1の動作位置がリターン動作終点位置θSRに戻されたことが確認される。
【0035】
CPU6−1は、駆動軸1の動作位置がリターン動作終点位置θSRに戻されたことを確認すると(図3に示すステップ101のYES)、不揮発性のメモリ6−9からスプリングリターン動作総回数NTを読み出し、このスプリングリターン動作総回数NTに1を加算し(ステップ102)、すなわちスプリングリターン動作総回数NTを1カウントアップし、このカウントアップしたスプリングリターン動作総回数NTを不揮発性のメモリ6−9に更新保持する(ステップ103)。
【0036】
そして、不揮発性のメモリ6−9に更新保持したスプリングリターン動作総回数NTを予め定められているスプリングリターン動作回数の上限値NTmaxと比較し(ステップ104)、スプリングリターン動作総回数NTが上限値NTmax以内であれば(ステップ104のNO)、その時のスプリングリターン動作総回数NTと、上限値NTmaxに対するスプリングリターン動作総回数NTの割合((NT/NTmax)×100(%))とを、インタフェース6−8を介し、ネットワーク200を経由して、遠隔監視装置300へ通知する(ステップ105)。
【0037】
スプリングリターン動作総回数NTが上限値NTmaxを超えていれば(ステップ104のYES)、CPU6−1は、スプリングリターン動作総回数NTが上限値NTmaxを超過した旨の判定結果と合わせて、その時のスプリングリターン動作総回数NTと、上限値NTmaxに対するスプリングリターン動作総回数NTの割合((NT/NTmax)×100(%))とを、インタフェース6−8を介し、ネットワーク200を経由して、遠隔監視装置300へ通知する(ステップ106)。
【0038】
〔電源遮断時〕
停電などにより、スプリングリターン型電動弁100への電源の供給が遮断されると、電磁クラッチ4への電源も断たれる。このため、電磁クラッチ4が断となり、モータ5のトルクが駆動軸1へ伝達されなくなり、リターンスプリング2の復帰力によって駆動軸1が閉方向に動作し、強制的に弁体7が全閉とされる。この時、駆動軸1の動作位置は、全閉位置θ0 よりも下位の位置に定められているリターン動作終点位置θSRに戻される。一方、メモリ6−2は不揮発性のメモリであるので、電源が遮断される前のスプリング動作総回数NTを保持する。
【0039】
この場合、電源の遮断が復旧した後に、CPU6−1は、駆動軸1の動作位置がリターン動作終点位置θSRに戻されていることを確認し(ステップ101のYES)、不揮発性のメモリ6−9からスプリングリターン動作総回数NTを読み出し、このスプリングリターン動作総回数NTに1を加算し(ステップ102)、すなわちスプリングリターン動作総回数NTを1カウントアップし、このカウントアップしたスプリングリターン動作総回数NTを不揮発性のメモリ6−9に更新保持させる(ステップ103)。
【0040】
そして、不揮発性のメモリ6−9に更新保持させたスプリングリターン動作総回数NTをスプリングリターン動作回数の上限値NTmaxと比較し(ステップ104)、スプリングリターン動作総回数NTが上限値NTmax以内であれば(ステップ104のNO)、その時のスプリングリターン動作総回数NTと、上限値NTmaxに対するスプリングリターン動作総回数NTの割合((NT/NTmax)×100(%))とを、インタフェース6−8を介し、ネットワーク200を経由して、遠隔監視装置300へ通知する(ステップ105)。
【0041】
スプリングリターン動作総回数NTが上限値NTmaxを超えていれば(ステップ104のYES)、CPU6−1は、スプリングリターン動作総回数NTが上限値NTmaxを超過した旨の判定結果と合わせて、その時のスプリングリターン動作総回数NTと、上限値NTmaxに対するスプリングリターン動作総回数NTの割合((NT/NTmax)×100(%))とを、インタフェース6−8を介し、ネットワーク200を経由して、遠隔監視装置300へ通知する(ステップ106)。
【0042】
以上の説明から分かるように、この実施の形態1において、スプリングリターン動作回数は、スプリングリターン動作確認指令を受けた場合のスプリングリターン動作回数NAとスプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBとを合わせたトータル値としてカウントされ、これがスプリングリターン動作総回数NTとして不揮発性のメモリ6−9に更新保持される。
【0043】
この場合、スプリングリターン動作総回数NTは、駆動軸1の動作位置が弁体7の全閉位置θ0 よりも下位の位置に定められたリターン動作終点位置θSRに到達した回数としてカウントされるので、スプリングリターン動作回数を通常の開度制御の全閉位置θ0 と区別して正確にカウントすることができ、このカウントされたスプリング動作回数から作業者の目視確認に頼ることなく、リターンスプリング2の交換時期を自動的に知ることができる。
【0044】
なお、この実施の形態1では、遠隔監視装置300からスプリングリターン動作確認指令をネットワーク200を介してスプリングリターン型電動弁100へ送るようにしたが、スプリングリターン型電動弁100に付設されている確認ボタン(図示せず)を押したり、スプリングリターン型電動弁100への電源の供給を故意に断ったりして、スプリングリターン動作の確認を行うようにしてもよい。CPU6−1は、このような場合のスプリングリターン動作回数も含めて、スプリングリターン動作総回数NTとしてカウントする。
【0045】
〔実施の形態2:スプリングリターン動作試験回数NAのみをカウントする例〕
〔スプリングリターン動作の確認〕
管理者は、スプリングリターン型電動弁100のスプリングリターン動作を確認したい場合、遠隔監視装置300よりネットワーク200を介してスプリングリターン型電動弁100へスプリングリターン動作確認指令を送る。このスプリングリターン動作確認指令を受けて、制御部6のCPU6−1は、電磁クラッチ4へOFF指令を送る。これにより、電磁クラッチ4への電源が遮断され、電磁クラッチ4が断となり、モータ5のトルクが駆動軸1へ伝達されなくなる。
【0046】
この場合、スプリングリターン機能が正常に働けば、リターンスプリング2の復帰力によって駆動軸1が閉方向に動作し、強制的に弁体7が全閉とされ、駆動軸1の動作位置がリターン動作終点位置θSRに戻される。これにより、開度センサ8から制御部6へ送られる開度値θpvがθSRとなり、駆動軸1の動作位置がリターン動作終点位置θSRに戻されたことをCPU6−1が確認する。
【0047】
CPU6−1は、遠隔監視装置300からのスプリングリターン動作確認指令を受けた後(図4に示すステップ201のYES)、駆動軸1の動作位置がリターン動作終点位置θSRに戻されたことを確認すると(ステップ202のYES)、不揮発性のメモリ6−9からスプリングリターン動作試験回数NAを読み出し、このスプリングリターン動作試験回数NAに1を加算し(ステップ203)、すなわちスプリングリターン動作試験回数NAを1カウントアップし、このカウントアップしたスプリングリターン動作試験回数NAを不揮発性のメモリ6−9に更新保持させる(ステップ204)。
【0048】
そして、不揮発性のメモリ6−9に更新保持されたスプリングリターン動作試験回数NTを予め定められているスプリングリターン動作試験回数の上限値NAmaxと比較し(ステップ205)、スプリングリターン動作試験回数NAが上限値NAmax以内であれば(ステップ205のNO)、その時のスプリングリターン動作試験回数NAと、上限値NAmaxに対するスプリングリターン動作試験回数NAの割合((NA/NAmax)×100(%))とを、インタフェース6−8を介し、ネットワーク200を経由して、遠隔監視装置300へ通知する(ステップ206)。
【0049】
スプリングリターン動作試験回数NAが上限値NAmaxを超えていれば(ステップ205のYES)、CPU6−1は、スプリングリターン動作試験回数NAが上限値NAmaxを超過した旨の判定結果と合わせて、その時のスプリングリターン動作試験回数NAと、上限値NAmaxに対するスプリングリターン動作試験回数NAの割合((NA/NAmax)×100(%))とを、インタフェース6−8を介し、ネットワーク200を経由して、遠隔監視装置300へ通知する(ステップ207)。
【0050】
以上の説明から分かるように、この実施の形態2において、スプリングリターン動作回数は、スプリングリターン動作確認指令を受けた場合のスプリングリターン動作回数のみがカウントされ、これがスプリングリターン動作試験回数NAとして不揮発性のメモリ6−9に更新保持される。この場合、スプリングリターン動作確認指令を受けずにスプリングリターン型電動弁100への電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数はカウントされないが、スプリングリターン動作試験回数NAだけでも、リターンスプリング2の交換時期を知ることができる。
【0051】
なお、この実施の形態2においても、スプリングリターン型電動弁100に付設されている確認ボタン(図示せず)を押してもよい。
【0052】
〔実施の形態3:スプリングリターン動作総回数NTとスプリングリターン動作試験回数NAをカウントする例〕
実施の形態1では、スプリングリターン動作総回数NTのみをカウントするようにし、実施の形態2では、スプリングリターン動作試験回数NAのみをカウントするようにしたが、スプリングリターン動作総回数NTとスプリングリターン動作試験回数NAの両方をカウントするようにしてもよい。この場合、スプリングリターン動作総回数NTからスプリングリターン動作試験回数NAを差し引くことにより、スプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBを求めることができる。
【0053】
図5にこの場合のフローチャートを示す。このフローチャートによれば、ステップ301〜303の処理によりスプリングリターン動作総回数NTがカウントされ、不揮発性のメモリ6−9に更新保持される。また、ステップ304〜306の処理によりスプリングリターン動作試験回数NAがカウントされ、不揮発性のメモリ6−9に更新保持される。そして、不揮発性のメモリ6−9に更新保持されたスプリングリターン動作総回数NTとスプリングリターン動作回数の上限値NTmaxとが比較される(ステップ307)。
【0054】
ここで、スプリングリターン動作総回数NTが上限値NTmax以内であれば(ステップ307のNO)、その時のスプリングリターン動作総回数NTと、スプリングリターン動作試験回数NAと、スプリングリターン動作総回数NTとスプリングリターン動作試験回数NAとの差として計算されるスプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBと、上限値NTmaxに対するスプリングリターン動作総回数NTの割合と、上限値NTmaxに対するスプリングリターン動作試験回数NTの割合と、上限値NTmaxに対するスプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBの割合とが、インタフェース6−8を介し、ネットワーク200を経由して、遠隔監視装置300へ通知される(ステップ308)。
【0055】
スプリングリターン動作総回数NTが上限値NTmaxを超えていれば(ステップ307のYES)、スプリングリターン動作総回数NTが上限値NTmaxを超過した旨の判定結果と合わせて、その時のスプリングリターン動作総回数NTと、スプリングリターン動作試験回数NAと、スプリングリターン動作総回数NTとスプリングリターン動作試験回数NAとの差として計算されるスプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBと、上限値NTmaxに対するスプリングリターン動作総回数NTの割合と、上限値NTmaxに対するスプリングリターン動作試験回数NTの割合と、上限値NTmaxに対するスプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBの割合とが、インタフェース6−8を介し、ネットワーク200を経由して、遠隔監視装置300へ通知される(ステップ309)。
【0056】
〔実施の形態4:スプリングリターン動作試験回数NAとスプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBをカウントする例〕
実施の形態3では、スプリングリターン動作総回数NTとスプリングリターン動作試験回数NAをカウントし、スプリングリターン動作総回数NTからスプリングリターン動作試験回数NAを差し引くことにより、スプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBを求めるようにしたが、スプリングリターン動作試験回数NAとスプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBをカウントし、スプリングリターン動作試験回数NAとスプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBとを足し合わせることにより、スプリングリターン動作総回数NTを求めるようにしてもよい。
【0057】
図6にこの場合のフローチャートを示す。このフローチャートによれば、ステップ401〜404の処理によりスプリングリターン動作試験回数NAがカウントされ、不揮発性のメモリ6−9に更新保持される。また、ステップ401,405〜407の処理により電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBがカウントされ、不揮発性のメモリ6−9に更新保持される。
【0058】
そして、不揮発性のメモリ6−9に更新保持されたスプリングリターン動作試験回数NAとスプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBとを足し合わせてスプリングリターン動作総回数NTが求められ(ステップ408)、この求められたスプリングリターン動作総回数NTがスプリングリターン動作回数の上限値NTmaxとが比較される(ステップ409)。
【0059】
ここで、スプリングリターン動作総回数NTが上限値NTmax以内であれば(ステップ409のNO)、その時のスプリングリターン動作総回数NTと、スプリングリターン動作試験回数NAと、スプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBと、上限値NTmaxに対するスプリングリターン動作総回数NTの割合((NT/NTmax)×100(%))と、上限値NTmaxに対するスプリングリターン動作試験回数NTの割合((NA/NTmax)×100(%))と、上限値NTmaxに対するスプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBの割合((NB/NTmax)×100(%))とが、インタフェース6−8を介し、ネットワーク200を経由して、遠隔監視装置300へ通知される(ステップ410)。
【0060】
スプリングリターン動作総回数NTが上限値NTmaxを超えていれば(ステップ409のYES)、スプリングリターン動作総回数NTが上限値NTmaxを超過した旨の判定結果と合わせて、その時のスプリングリターン動作総回数NTと、スプリングリターン動作試験回数NAと、スプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBと、上限値NTmaxに対するスプリングリターン動作総回数NTの割合と、上限値NTmaxに対するスプリングリターン動作試験回数NTの割合と、上限値NTmaxに対するスプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBの割合とが、インタフェース6−8を介し、ネットワーク200を経由して、遠隔監視装置300へ通知される(ステップ411)。
【0061】
なお、上述した実施の形態1では、スプリングリターン動作総回数NTの関係情報として、上限値NTmaxに対するスプリングリターン動作総回数NTの割合を遠隔監視装置300に通知するようにしたが、上限値NTmaxに達するまでの残り回数や上限値NTmaxに達する時期の予測情報などを通知するようにし、メンテナンスの意思決定に利用するようにしてもよい。実施の形態2〜4についても同様である。
【0062】
また、実施の形態3,4とは別の方式として、スプリングリターン動作総回数NTとスプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBをカウントし、スプリングリターン動作総回数NTからスプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NBを差し引くことにより、スプリングリターン動作試験回数NAを求めるようにしてもよい。
【0063】
また、上述した実施の形態1〜4では、スプリングリターン型電動弁100をネットワーク200を介して遠隔監視装置300と接続した構成としたが、スプリングリターン型電動弁100単独でスプリングリターン動作の確認試験を行う構成としてもよい。この場合、スプリングリターン型電動弁100には、スプリングリターン動作総回数NTやスプリングリターン動作試験回数NA、スプリングリターン動作確認指令を受けずに電源の供給が遮断された場合のスプリングリターン動作回数NB、NT,NA,NBに関係する情報を通知する表示部を設けるようにするとよい。
【0064】
また、上述した実施の形態1〜4では、駆動軸1の動作位置を弁体7の現在の開度θpvとして検出する開度センサ8からの情報に基づいて駆動軸1の動作位置がリターン動作終点位置θSRに戻されたことを検出するようにしたが、開度センサ8とは別に駆動軸1の動作位置がリターン動作終点位置θSRに戻されたことを検出するセンサ(例えば、リミットスイッチ)を設け、このセンサからの情報をCPU6−1へ与えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係るスプリングリターン型電動弁の一実施の形態を含むスプリングリターン動作確認システムの概略を示す図である。
【図2】このスプリングリターン動作確認システムにおけるスプリングリターン型電動弁の制御部のハード構成の概略を示す図である。
【図3】このスプリングリターン型電動弁においてスプリングリターン動作が行われた場合の制御部でのスプリングリターン動作回数のカウント処理を示すフローチャート(実施の形態1)である。
【図4】このスプリングリターン型電動弁においてスプリングリターン動作が行われた場合の制御部でのスプリングリターン動作回数のカウント処理動作を説明するためのフローチャート(実施の形態2)である。
【図5】このスプリングリターン型電動弁においてスプリングリターン動作が行われた場合の制御部でのスプリングリターン動作回数のカウント処理動作を説明するためのフローチャート(実施の形態3)である。
【図6】このスプリングリターン型電動弁においてスプリングリターン動作が行われた場合の制御部でのスプリングリターン動作回数のカウント処理動作を説明するためのフローチャート(実施の形態4)である。
【図7】従来のスプリングリターン型電動弁の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1…駆動軸、2…リターンスプリング、3…減速機構、4…電磁クラッチ、5…モータ、6…制御部、6−1…CPU、6−2…RAM、6−3…ROM、6−4…AC/DC変換器、6−5〜6−8…インターフェイス、6−9…不揮発性のメモリ、7…弁体、8…開度センサ、100…スプリングリターン型電動弁、200…ネットワーク、300…遠隔監視装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源の供給を受けて回転するモータと、このモータの出力軸に電磁クラッチおよび減速機構を介して接続された駆動軸と、この駆動軸の動作位置に応じて流体の流量を規制する流量規制機構と、前記モータに指令を与えて前記流量規制機構の開度を制御する制御部と、前記電磁クラッチが断とされた場合に前記駆動軸の動作位置を前記流量規制機構の通常の開度制御範囲の外側に定められた所定のリターン動作終点位置に戻すリターンスプリングとを備えたスプリングリターン型電動流量調整装置であって、
前記リターン動作終点位置への前記駆動軸の動作位置の到達を検知するリターン動作終点位置検知手段と、
前記リターン動作終点位置への前記駆動軸の動作位置の到達回数をスプリングリターン動作回数としてカウントするカウント手段と、
前記カウント手段がカウントする前記スプリングリターン動作回数を更新保持する不揮発性のメモリと
を備えることを特徴とするスプリングリターン型電動流量調整装置。
【請求項2】
電源の供給を受けて回転するモータと、このモータの出力軸に電磁クラッチおよび減速機構を介して接続された駆動軸と、この駆動軸の動作位置に応じて流体の流量を規制する流量規制機構と、前記モータに指令を与えて前記流量規制機構の開度を制御する制御部と、前記電磁クラッチが断とされた場合に前記駆動軸の動作位置を前記流量規制機構の通常の開度制御範囲の外側に定められた所定のリターン動作終点位置に戻すリターンスプリングとを備えたスプリングリターン型電動流量調整装置であって、
前記リターンスプリングに対する動作確認指令を受けて前記電磁クラッチを断とするクラッチ断手段と、
前記リターン動作終点位置への前記駆動軸の動作位置の到達を検知するリターン動作終点位置検知手段と、
前記リターンスプリングに対する動作確認指令を受けた後の前記リターン動作終点位置への前記駆動軸の動作位置の到達回数をスプリングリターン動作回数としてカウントするカウント手段と、
このカウント手段がカウントする前記スプリングリターン動作回数を更新保持する不揮発性のメモリと
を備えることを特徴とするスプリングリターン型電動流量調整装置。
【請求項3】
電源の供給を受けて回転するモータと、このモータの出力軸に電磁クラッチおよび減速機構を介して接続された駆動軸と、この駆動軸の動作位置に応じて流体の流量を規制する流量規制機構と、前記モータに指令を与えて前記流量規制機構の開度を制御する制御部と、前記電磁クラッチが断とされた場合に前記駆動軸の動作位置を前記流量規制機構の通常の開度制御範囲の外側に定められた所定のリターン動作終点位置に戻すリターンスプリングとを備えたスプリングリターン型電動流量調整装置であって、
前記リターンスプリングに対する動作確認指令を受けて前記電磁クラッチを断とするクラッチ断手段と、
前記リターン動作終点位置への前記駆動軸の動作位置の到達を検知するリターン動作終点位置検知手段と、
前記リターン動作終点位置への前記駆動軸の動作位置の到達回数をスプリングリターン動作総回数としてカウントする第1のカウント手段と、
前記リターンスプリングに対する動作確認指令を受けた後の前記リターン動作終点位置への前記駆動軸の動作位置の到達回数をスプリングリターン動作試験回数としてカウントする第2のカウント手段と、
前記第1のカウント手段がカウントする前記スプリングリターン動作総回数および前記第2のカウント手段がカウントする前記スプリングリターン動作試験回数を更新保持する不揮発性のメモリと
を備えることを特徴とするスプリングリターン型電動流量調整装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載されたスプリングリターン型電動流量調整装置において、
前記メモリに保持されているスプリングリターン動作回数とその関係情報を通知する通知手段
を備えることを特徴とするスプリングリターン型電動流量調整装置。
【請求項5】
請求項3に記載されたスプリングリターン型電動流量調整装置において、
前記メモリに保持されているスプリングリターン動作総回数およびスプリングリターン動作試験回数とその関係情報を通知する通知手段
を備えることを特徴とするスプリングリターン型電動流量調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−138769(P2008−138769A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325554(P2006−325554)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】