スプレー乾燥された粉体及び粒状化された材料の特性の改良方法、並びにそれによって製造した製品
固体材料の調製方法が記載されている。該方法の一態様は、有機材料を該有機材料に対する溶剤と非溶剤のブレンド中に含む混合物を準備する工程と、該混合物を液滴又は顆粒のいずれか中に分配する工程と、前記溶剤と非溶剤の混合物を気化させて、平均サイズが約0.5μmから約5000μmの粒子を形成する工程とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2005年7月28日に出願された米国特許出願第60/703,374号の利益を求めるものであり、該出願の内容を参照してここに取り込む。
本発明は、スプレー乾燥された粉体及び粒状化された材料の特性を改良する方法、並びにそれによって製造した製品を対象とする。より詳しくは、本発明は、有機材料を該有機材料に対する溶剤と非溶剤のブレンド中に含む混合物を利用して固体材料を調製して、スプレー乾燥組成物を製造する方法に関する。本発明の特定の実施態様によれば、前記有機材料は、ポリマーである。
【背景技術】
【0002】
粒子特性の選択的なカスタム化によって、医薬、ヘルスケア、農業、パーソナルケア、殺生物剤及び工業用途等の多くの産業で、生産プロセス及び活性物のデリバリーに対して興味深い機会を提供することができる。形態が密度、残留溶剤含有率、流動性等のバルクの粉体特性に直接的に影響するので、個々の粒子の形態がこの研究で中心的な役割を果たす。加えて、粒子の形状及び内部構造を変更する技術は、活性物充填量、結晶化度、放出速度、溶解度、生体利用効率等の製品特性に大きく影響する可能性がある。従って、粒子形態の設計能力は、製造プロセス及び製品属性と重大で密接な関係を有する。
【発明の開示】
【0003】
一態様によれば、本発明は、一工程のプロセスから、残留溶剤含有率が低いスプレー乾燥粉体又は粒状化製品を製造するための方法を提供する。加えて、得られる粉体は、粒子の形態及びサイズが変化しているため、通常、従前の方法で製造した対照物よりもバルク・タップ密度が高い。活性成分を組み込んだ製品の製造に適用する場合、ポリマーの系を用いて、粒子の形態を変更できるだけでなく、活性物の性能特性も変更できる。
【0004】
本発明の一態様は、ポリマーと慎重に選択した溶剤ブレンドとの組み合わせを含む。このブレンドは、ポリマーが可溶な溶剤を含む。”可溶”との語句は、ポリマーと溶剤分子との間の引力がポリマー分子間の分子間引力及び分子内引力より大きいことを意味する。簡単にするために、この溶剤を単に”溶剤”と呼ぶ。また、上記溶剤ブレンドは、逆が真である溶剤、即ち、ポリマーと溶剤分子との間の引力がポリマー分子間の分子間引力及び分子内引力より小さい溶剤を含む。この第2の溶剤は、ポリマーが溶解しないため、非溶剤と呼ばれる。本発明の一実施態様によれば、一種のポリマーと適切な溶剤/非溶剤ブレンドが提供される。加えて、該溶剤は、非溶剤よりも沸点が低い。(共沸組成の溶剤ブレンドは、溶剤又は非溶剤を構成できるが、一緒に溶剤/非溶剤ブレンドの判定基準を満たすことはない。)好ましくは、溶剤及び非溶剤は、混和性である。溶剤の非溶剤に対する比は、ポリマーが溶剤ブレンドに”溶解している”と見なし得るような比である。
【0005】
本発明の他の態様においては、上記有機材料がポリマー状ではない。非溶剤は、有機材料が溶剤の蒸発損失の間に溶液から沈殿するように選択される。溶剤の気化の間にこの沈殿を達成する溶剤と非溶剤との間の有機材料の溶解度の差は、本発明の範囲内である。共沸組成にある溶剤ブレンドは、溶剤又は非溶剤を構成できるが、一緒に溶剤/非溶剤ブレンドの判定基準を満たすことはない。
【0006】
溶剤ブレンドを気化させることによって、類希な粒子特性を創造することができる。例えば、この気化は、供給溶液のスプレー乾燥や造粒プロセスの間に起こり得る。溶剤のブレンドを含有する霧化された液滴は、気化によって、総溶剤組成の変化を被る。該方法は、液滴が如何に発生したか或いは如何に霧化されたかには依存しない。最初に、有機材料は、溶液中の溶剤が十分な濃度であるため、溶解状態で存在する。溶剤が気化するに従って(溶剤は、非溶剤よりも低い温度で沸騰する)、液滴中の非溶剤の濃度が上昇する。最終的には、非溶剤の濃度は、溶液中に有機材料を維持するのに要する量を超える。有機材料がポリマーを含む場合、ポリマーが溶液から落ちて、ポリマー自体の上に集まる。このポリマーの立体配座における変化により、液滴の気化動力学が変化して、最終の粉体特性に影響する粒子形態を創造できる。或いは、有機材料がポリマーを含まない場合、有機材料は、溶液中の非溶剤の濃度が上昇するため、気化プロセスの間に沈殿する。
【0007】
この溶剤/非溶剤のアプローチにより、残留溶剤がより少なく、粒径がより小さいスプレー乾燥粉体を製造できる。本発明のある態様に従うこの巧に設計された粒子形態の更なる結末は、粉体の嵩密度の上昇である。上昇した粉体密度は、薬剤学、ヘルスケア、パーソナルケア、農業、殺生物剤、工業化学薬品等の多くの用途に対して、重要な特性である。有機材料がポリマーを含む場合、その沈降度、及びそれによるスプレー乾燥粉体の特性への正味の影響は、溶剤の非溶剤に対する初期比率、スプレー乾燥される溶液中の固形分濃度、ポリマーの化学構造及び分子量等のポリマーの溶媒和因子に左右される。別のポリマーの存在は、第1のポリマー及び溶媒系との相互作用によって、最終の粒子形態に寄与するかもしれない。
【0008】
残留溶剤含有率の減少及び密度の上昇に加えて、組成物が活性成分を含む場合、粒子の形態だけでなく、活性物の形態にも影響を及ぼし、それによって、活性物の充填量、結晶化度、溶解度、安定性及び放出に影響を及ぼすために、主ポリマーを溶剤/非溶剤系と組み合わせてもよい。追加の目的を果たす、即ち、活性物の再結晶化を更に阻害するため、活性物濃度を更に最大化するため、並びに溶解速度を更に向上/遅延/妨害するために、追加のポリマー状助剤を添加してもよい。これらの機能を達成するためには、助剤の溶解度が主たるポリマーに対して選択された溶剤ブレンドと適合している必要がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
”〜を含む”との語句は、より制限的な語句である”本質的に〜からなる”及び”〜からなる”を包含する。
【0010】
ここで使用する総てのパーセント、比及び比率は、特に他のことを指定しない限り、重量によるものである。
【0011】
ここで使用する”固体分散体”との語句は、少なくとも2種の成分を含む固体状態の系を指し、該系においては、一方の成分が、他方の一種又は複数種の成分の全体に均一に分散している。”固体分散体”との語句には、完全に結晶性の小さな粒子を有する系、完全にアモルファス状の小さな粒子を有する系、又は両者の間の任意の状態の小さな粒子を有する系も含まれ、通常、直径が約1μm未満で、一方の相が他方の相中に分散している。
【0012】
ここで使用する”固溶体”との語句は、系が全体として化学的及び物理的に均一及び均質であるように、一成分が分子レベルで他の成分の全体に分散している固体分散体の一タイプを指す。これらの系は、熱分析又はX線回折で証明されるように、結晶又は微結晶状態の活性成分を有意量では含まない。
【0013】
以下の説明は主としてスプレー乾燥組成物の調製を対象とするが、本発明は、スプレー乾燥組成物に限定されるものではない。また、本発明の範囲には、顆粒及び多粒子組成物等の他の固体材料の調製方法も含まれる。これらの固体材料は、砂糖、ポリマー、活性物質、又はこれら材料の混合物等、如何なる有機物を含んでもよい。それらの他の固体材料は、高剪断造粒、流動床造粒、膜被覆、又はそれらの関連技術等の従前の技術に従って調製することができる。本発明の他の態様によれば、溶剤/非溶剤ブレンド中に有機材料が含まれる混合物を粒子状基材に塗布して、被膜が有機材料、好ましくはアモルファス状態の有機材料を含む、被覆された粒子を形成することができる。
【0014】
一実施態様によれば、本発明は、ポリマーを該ポリマーに対する溶剤と非溶剤のブレンド中に含む混合物を準備し、該混合物をスプレー乾燥して、スプレー乾燥組成物を形成するスプレー乾燥組成物の調製方法に関するものである。スプレー乾燥粒子は、特に限定されるものではないが、製剤学、栄養補助食品、ヘルスケア、農業、殺生物剤及び工業化学薬品等の多様な用途において有用かもしれない。本発明のある実施態様によれば、スプレー乾燥された粒子は、経口の形態で、固体剤形である医薬品において有用である。他の実施態様によれば、吸入に適切な0.5μm程の小ささの粉体が製造される。本発明のある実施態様に従う医薬用スプレー乾燥粉体は、通常、平均粒径が約0.5μm−500μmである。
【0015】
スプレー乾燥機の操作は、粒子の特徴に影響を及ぼす。マスターズ(1991)は、3つの段階を通じて、霧化された球体からの溶剤の気化が進行することを提案しており、最初に、液滴の表面が溶剤で飽和した際に、一定速度で気化が進行し、これを乾燥の第一段階と称している。表面上に乾燥固体が形成されることに起因して、更なる乾燥と共に、乾燥速度が変化することに言及している。この臨界点では、表面は、もはや、溶剤で支障なく飽和しているとは見なされない。液滴からの更なる溶剤の気化は、より低速で進行し、固体の表面層を通じて、拡散又は毛管現象が必要となる。乾燥のこの段階では、できるだけ多くの溶剤を除去し、並びに液滴の拡大及び低密度粉体の生成を避けるために、スプレー乾燥機の慎重な操作が望まれる。入口及び出口温度、並びに乾燥ガスの流れ構造をコントロールする必要がある。
【0016】
それにもかかわらず、スプレー乾燥機が製品特性に負の影響を及ぼす条件で作動することを回避できないことが時々ある。一種又は複数種の溶剤に溶解したポリマー等の塗膜形成要素を含む配合は、早期に表面気化の臨界点に達し、表面硬化に近づく又は達した状態に至り得る。外側ポリマー膜の表面硬化は、スプレー乾燥した粉体を破壊することなくしては、完全又は実質完全に溶剤を除去することを困難又は実質不可能にしてしまい得る。また、固体ポリマー(又はポリマー様の)表面膜は、粉体の密度を低下させ得る。乾燥機の作動によって捕捉された溶剤の体積膨張によって、乾燥工程又は材料の取り扱いにおいて破裂する傾向がある、低密度で、壁の薄い粒子が生成する。
【0017】
本発明の一態様によれば、主ポリマーと呼ばれるポリマーと、適切な溶剤/非溶剤ブレンドとを含むポリマー系が提供される。このアプローチは、ポリマーが溶解可能な溶剤を含む。ポリマーの溶解度の規定における指針は、膨張係数(α):
【数1】
[式中、
は鎖の末端間の距離の平均の2乗であり、
は非摂動長である]で与えられる。(方程式§1は分岐状ポリマーに対し類似の形式で、重心に関する回転半径の平均の2乗
と対応する非摂動長
を用いて記載することができる)αが1又は1より大きい場合、ポリマー溶解性がもたらされ、この条件を満たす溶剤を”良溶剤”又は単に”溶剤”と呼ぶ。ポリマー−溶剤間の引力がポリマー−ポリマー間の引力よりも大きいため、溶剤は、ポリマー分子を真直ぐに伸ばす(乃至拡張させる)。光散乱法(例えば、ビスコテック社のトリプル・ディテクター・アレイ)を用いて、方程式§1で表現される変数を決定することができる。これらの概念は、マルコム・P.・スティーブンスのテキスト「ポリマー化学、序文」中で定義されており、参照してここに取り込む。
【0018】
αが1に等しい場合、ポリマー−溶剤間の力とポリマー−ポリマー間の力とがバランスされた特別な状況が存在する。この条件を可能とする溶剤は、θ溶剤と呼ばれる。本発明においては、αが1にほぼ等しい又は1より大きい場合、溶剤を”良溶剤”と見なす。温度がαに影響し、そのため、単に温度を変化させることで良溶剤を非溶剤に転換させられることは高く評価されることである。
【0019】
本発明の更に他の実施態様では、溶剤ブレンドは、逆が真である溶剤、即ち、ポリマー−ポリマー間の力がポリマー−溶剤間の力よりも大きい溶剤も含む。この場合、αは1未満であり、ポリマーが折りたたまれた状態で存在するので、該溶剤は非溶剤と呼ばれる。本発明の一実施態様によれば、適切な溶剤/非溶剤ブレンドを含むポリマーが提供される。溶剤/非溶剤のブレンドは、ポリマーの溶媒和状態を維持する。加えて、溶剤は、非溶剤よりも沸点が低い。(共沸混合物を形成する溶剤/非溶剤の組み合わせは、この基準を満たさない。)好ましくは、溶剤と非溶剤とは、混和性である。
【0020】
溶剤ブレンドを気化させることによって、類希な粒子特性を創造することができる。例えば、この気化は、供給溶液のスプレー乾燥や造粒プロセスの間に起こり得る。溶剤のブレンドを含む霧化された液滴は、気化に起因して総溶剤組成の変化を被る。該方法は、液滴を如何にして発生させたか、或いは液滴を如何にして霧化したかによって左右されないようである。最初、ポリマーは、溶剤の量が十分であるため、溶媒和状態で存在する。気化に従って、液滴中の非溶剤の濃度が上昇する(溶剤は、非溶剤よりも低い温度で沸騰する)。最終的には、溶剤組成が溶媒和ポリマーを維持するのに不十分となる。そうなることで、ポリマーが収縮する。このポリマーの立体配座の変化は、液滴の気化動力学を変化させ、最終の粉体特性に影響する粒子形態を作り出す。好適なポリマー/溶剤/非溶剤の組み合わせの例としては、特に限定されるものではないが、ポリビニルピロリドン(PVP)/ジクロロメタン/アセトン、ポリビニルピロリドン-co-酢酸ビニル(PVP−VA)/アセトン/ヘキサン、及びエチルセルロース/アセトン/水が挙げられる。
【0021】
本発明の他の態様においては、有機材料がポリマー状でない。非溶剤よりも低い温度で沸騰する溶剤の蒸発減の間に、有機材料が、溶液から沈殿するように非溶剤を選択する。溶剤の気化の間にこの沈殿を達成する溶剤と非溶剤との間の有機材料の溶解度の違いは、本発明の範囲内である。一実施態様において、有機材料の溶解度は、非溶剤中よりも溶剤中の方が少なくとも約10倍大きく、特には少なくとも約25倍大きく、より一層詳しくは少なくとも約50倍大きく、本発明の特に有用な実施態様では、有機材料の溶解度は、非溶剤中よりも溶剤中の方が少なくとも約100倍大きい。共沸組成にある溶剤ブレンドは、溶剤又は非溶剤を構成できるが、一緒に溶剤/非溶剤ブレンドの基準を満たすことはない。
【0022】
非溶剤の濃度が基準値を超える場合、有機材料の収縮又は沈殿によって類希な粒子構造が創成される。この基準比Rcは、
【数2】
で定義でき、沈殿が起こる前の非溶剤の最大割合である。所定の系に対する比Rcは、溶液の濁度を著しく上昇させる各成分の質量分率を実験的に特定することで求めることができる。系に対するRc値が特定できる場合、系は溶剤/非溶剤ブレンドを含む。約10%(w/w)のPVP、18%(w/w)のジクロロメタン、及び72%(w/w)のアセトンからなる溶液が一例であり、該溶液に対するRcは0.80に等しい。通常、ポリマー系を、該系に対するRc値よりも低い溶剤/非溶剤ブレンドで、使用する。それは、一種又は複数種の活性成分の粒子形態/粒径、並びに、結晶化度、溶解度、生体利用効率及び/又は放出特性をコントロールするために、より複雑なポリマー/溶剤系を配合するのに有効かもしれない。
【0023】
他の実施態様に従う本発明は、スプレー乾燥された粉体の密度を上昇させる方法を提供する。通常、スプレー乾燥は、ある程度内部空隙を有する球様の粒子を生成させる。この空隙は、質量を増加させずに、粒子の嵩を上昇させて、低密度の材料を創り出す。非溶剤を作動溶液/分散液に加えることで、粒径及び粒子形態が変化して、密度が上昇する。粒子は、溶剤のみを用いて調製したものよりも、小さく、皺が寄っており、へこんでおり、並びに/或いは、収縮しているかもしれない。また、溶剤/非溶剤のアプローチは、平均粒径を減少させ、粉体をより良好に詰め込むことを可能とする。加えて、粉体の流れ及び粉体−粉体混合特性が向上する。
【0024】
ある態様に従う本発明は、スプレー乾燥された粉体及び造粒された材料を二次乾燥する必要性を低減又は排除する方法を提供する。これらの製品は、大抵の場合、残留溶剤を含み、より乾燥した製品の製造が望まれ、或いは必要となる。残留溶剤含有率が高いことは、配合や処理限界に起因する可能性がある。一般的な慣行では、スプレー乾燥される固体を溶解する溶剤が用いられる。そうすることで、表面硬化に起因して、スプレー乾燥された粉体又は造粒されたビーズの内側に、溶剤が捕捉される。加工される材料に対する低沸点溶剤と高沸点非溶剤とを意図的に組み合わせることで、加工ポリマーに対する非溶剤の1又は複数の作用によって、残留溶剤がより少ない製品を生産することが可能となる。
【0025】
本発明のある実施態様によれば、結晶化度を低下させ、活性物濃度を向上させる方法が提供される。種々の溶剤気化方法(例えば、回転蒸発、スプレー乾燥)を用いて、結晶性の活性物をアモルファス形態に変換する。これらの方法には、通常、活性物/ポリマー/溶剤系の配合が含まれる。”良溶剤”が、活性物及び1種又は複数種のポリマーを溶解させるために選択される。しかしながら、このアプローチを採用する場合、アモルファスへの変換に要するポリマーのタイプ及び量が普遍的ではなく、活性物の結晶性を取り除くためにポリマーを高充填する必要が時々ある。非溶剤の意図的な添加は、完全に異なる方式で活性物の結晶性の度合に大きな且つ驚くべき影響を及ぼす。
【0026】
本発明の一実施態様においては、主ポリマーに対する非溶剤として、溶剤よりも低い温度で沸騰する非溶剤を選択する。理論に拘束されるものではないが、この非溶剤の添加により系の乾燥動力学が変化するようである。結晶性活性物のアモルファス変換を達成するのに要するポリマーがより少ないことが分かった。従って、これらの組成物は、溶剤のみの方法を用いて作り出すことが可能なものよりも、含有する活性物の濃度が高い。本発明の特定の実施態様によれば、活性物を約25重量%より多く含む、より好ましくは活性物を約50重量%より多く含む、ある実施態様によれば活性物を約75重量%より多く含む溶剤/非溶剤ブレンドからスプレー乾燥されたポリマー及び活性物を含む系から組成物を調製することができる。
【0027】
更には、溶剤/非溶剤アプローチで作製した組成物は、異なる溶解プロファイルで特徴付けられ、該溶解プロファイルは、より速い放出速度で、又はより高い放出度で、或いはその両方で進行する。本発明の特定の実施態様によれば、ここに記載した溶剤/非溶剤系から類似の条件下でスプレー乾燥したポリマー及び活性物を含む系から調製した組成物は、非溶剤を含まない同一の溶剤からスプレー乾燥した同一のポリマー及び活性物を含む系から調製した対照組成物よりも、時間中のある時点における活性物の放出百分率が少なくとも約25%、特には少なくとも約50%、ある場合においては少なくとも約100%大きい溶解プロファイルを示す。これらの限界は、好ましくは約120分以内、特には約60分以内、一層詳しくは約30分以内で得られる。溶解プロファイルは、例に記載した試験方法を用いて決定できる。
【0028】
本発明の更なる発展においては、1種又は2種以上のポリマーが溶剤/非溶剤と連携して新規な粒子形態を創り出すように、ポリマー系を選択する。粒子形態に加えて、活性物の溶解度及び放出特性に影響を及ぼすために、必要に応じて、他の1種又は複数種のポリマーを添加してもよい。(特に限定されるものではないが)向上した濡れ性、アモルファスな活性物形態の創成、再結晶化に対する安定化、及び/又は共溶媒和効果等の多くの因子によって、溶解度を向上させることができる。そうすることで、活性物の過飽和溶液が生成する。”放出の変性”とは、活性物が放出される期間が変化すること、即ち、即座、遅延、延長されることを指す。1種又は複数種の機能性ポリマーを適切な溶剤/非溶剤ブレンドと適合させることで、これらの変更された放出を創造することができる。
【0029】
本発明のプロセスで使用するのに好適な溶剤及び非溶剤は、溶剤の場合は有機材料が溶解し、非溶剤の場合は有機材料が溶解しない如何なる有機化合物又は水であってもよい。有機材料がポリマーを含まない場合、有機材料の溶解度は、非溶剤中よりも溶剤中の方が約10倍大きく、好ましくは非溶剤中よりも溶剤中の方が約100倍大きい。或いは、有機材料が1種又は2種以上のポリマーを含む場合、溶剤/非溶剤の選択及び比は、主ポリマーの選択に左右される。従って、溶剤又は非溶剤の選択は、主ポリマーに左右される。そのため、1つの系における溶剤は、他の系においては非溶剤となり得る。特に有用な溶剤及び非溶剤としては、特に限定されるものではないが、酢酸、アセトン、アセトニトリル、アニソール、1-ブタノール、2-ブタノール、酢酸ブチル、tert-ブチルメチルエーテル、クロロベンゼン、クロロホルム、クメン、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、1,2-ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、1,4-ジオキサン、エタノール、2-エトキシエタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、エチルエーテル、ギ酸エチル、ホルムアミド、ギ酸、ヘプタン、ヘキサン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メタノール、酢酸メチル、2-メトキシエタノール、3-メチル-1-ブタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-メチル-1-プロパノール、N-メチルピロリドン、ニトロメタン、ペンタン、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、酢酸プロピル、ピリジン、スルホラン、テトラヒドロフラン、テトラリン、1,2,2-トリクロロエテン、トルエン、水及びキシレンが挙げられる。溶剤の混合物及び非溶剤の混合物を用いることもできる。溶剤の共沸ブレンド(通常の温度で沸騰する)は、溶剤又は非溶剤を含むことができるが、溶剤/非溶剤ブレンドを含むことはできない。
【0030】
本発明の混合物に使用するのに好適な主ポリマー及び他の有機材料は、溶剤に対して溶解性で、非溶剤に対して不溶性であるべきである。有用な有機材料の具体例としては、特に限定されるものではないが、脂肪族ポリエステル類(例えば、ポリD-ラクチド)、糖アルコール類(例えば、ソルビトール、マルチトール、イソマルト)、カルボキシアルキルセルロース類(例えば、カルボキシメチルセルロース及び架橋カルボキシメチルセルロース)、アルキルセルロース類(例えば、エチルセルロース)、ゼラチン類、ヒドロキシアルキルセルロース類(例えば、ヒドロキシメチルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース類(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)、ポリアミン類(例えば、キトサン)、ポリエチレングリコール類(例えば、PEG8000、PEG20000)、メタクリル酸重合体及び共重合体(例えば、ローム・ファーマ社のポリマーのオイドラギット(登録商標)シリーズ)、N-ビニルピロリドンの単独重合体及び共重合体(例えば、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドン-co-酢酸ビニル)、ビニルラクタムの単独重合体及び共重合体、デンプン類(例えば、コーンスターチ、デンプングリコール酸ナトリウム)、多糖類(例えば、アルギン酸)、ポリグリコール類(例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、ポリビニルエステル類(例えば、ポリ酢酸ビニル)、精製/変性セラックが挙げられる。混合物中に存在するポリマー又は有機材料の量は、混合物の約1重量%から約95重量%、特には約5重量%から約90重量%の範囲とすることができる。有基材料の混合物を使用してもよい。
【0031】
また、スプレー乾燥混合物は、活性材料を含んでもよい。以下の記載は、主として医薬として活性な材料を対象としているが、本発明は、医薬として活性な材料に限定されるものではない。本発明の範囲には、パーソナルケア(例えば、ヘアケア、スキンケア、又は口腔ケア)、農業、殺生物剤及び他の工業又は民生用途に使用される活性成分も含まれる。ここで使用する”医薬として活性な材料”には、栄養的に活性な材料、栄養補助食品、及びビタミン材料が含まれることを意図する。混合物は、活性物の所望の投与量に依存して、約1%から約95%の活性剤、特には約20%から約80%の活性剤を含むことができる。本発明に従って使用することができる活性物は、特に限定されるものではない。使用可能な活性物の例としては、特に限定されるものではないが、硫酸アバカビル、アセブトロール、アセトアミノフェン、アセメタシン・アセチルシステイン、アセチルサリチル酸、アシクロビル、アデフォビル・ディピボキシル、アルプラゾラム、アルブミン、アルファカルシドール、アラントイン、アロプリノール、アンブロキソール、アミカシン、アミロリド、アミノ酢酸、アミオダロン、アミトリプチリン、アムロジピン、アモキシシリン、アモキシシリン三水和物、アミオダロン塩酸塩、アンホテリシンB、アンピシリン・アンプレナビル、アプレピタント、アナストロゾール、アスコルビン酸、アスパルテーム、アステミゾール、硫酸アタザナビル、アテノロール、アトルバスタチンカルシウム、アザチオプリン、アジスロマイシン、アジスロマイシン二水素化物、ベクロメタソン、ベンセラジド、水酸化ベンズアルコニウム、ベンゾカイン、安息香酸、ベータメタゾン、ベザフィブレート、ビカルタミド、ビオチン、ビペリデン、ビソプロロール、ボセンタン、ブロマゼパム、ブロムヘキシン、ブロモクリプチン、ブデソニド、ブフェキサマク、ブフロメジル、ブスピロン、カフェイン、樟脳、カンデサルタンシレキセチル、カプトプリル、カルバマゼピン、カルビドパ、カルボプラチン、カルベジロール、セファクロール、セファレキシン、セファドロキシル、セファゾリン、セフジニル、セフィキシム、セフォタキシム、セフタジジム、セフトリアキソン、セフロキシム、セレコキシブ、クロラムフェニコール、クロルヘキシジン、クロルフェニラミン、クロルタリドン、コリン、シラスタチン、シロスタゾール、シメチジン、シプロフロキサシン、シサプリド、シスプラチン、シタロプラム臭化水素酸塩、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クロミプラミン、クロナゼパム、クロニジン、クロピドグレル重硫酸塩、クロトリマゾール、クロザピン、コデイン、コレスチラミン、コエンザイムQ10、クロモグリク酸、シアノコバラミン、サイクロスポリン、シプロテロン、ダナゾール、メシル酸デラビルジン、デシプラミン、デスロラタジン、デスモプレシン、デソゲストレル、デキサメタゾン、デクスパンテノール、デキストロメトルファン、デキストロプロキシフェン、ジアゼパム、ジクロフェナク、ジゴキシン、ジヒドロコデイン、ジヒドロエルゴタミン、ジルチアゼム、ジフェンヒドラミン、ジピリダモール、ジピロン、ジソピラミド、ドセタキセル、ドンペリドン、ドーパミン、ドキシサイクリン、塩酸ドキソルビシン、ドロナビノール、デュタステライド、エファビレンツ、臭化水素酸エレトリプタン、エムトリシタビン、エナラプリル、エンロフロキサシン、エンタカポン、エフェドリン、エピネフリン、エプレレノン、エプロサルタンメシラート、エルゴカルシフェロール、エルゴロイドメシラート、酒石酸エルゴタミン、エリスロマイシン、シュウ酸エスシタロプラム、エストラジオール、エチニルエストラジオール、エトポシド、エキセメスタン、エゼチミブ、ファモチジン、フェロジピン、フェノフィブラート、フェノテロール、フェンタニール、塩酸フェキソフェナジン、フィナステリド、フラビンモノヌクレオチド、フルコナゾール、フルナリジン、フルオロウラシル、フルオキセチン、フルルビプロフェン、塩酸フルフェナジン、フルタミド、プロピオン酸フルチカゾン、フルバスタチン、フォスアンプレナビル、フォスアンプレナビルカルシウム、フロセミド、ガバペンチン、ガランタミン臭化水素酸塩、ガンシクロビル、ゲムフィブロジル、ゲンタマイシン、イチョウ葉エキス、グリベンクラミド、グリメピリド、グリピジド、ヨウカンゾウ、グリブリド、グアイフェネシン、グアナベンズ、ハロペリドール、ヘパリン、ヒアルロン酸、ヒドロクロロチアジド、ヒドロコドン、ヒドロコルチゾン、ヒドロモルホン、ヒドロキシ・テトラサイクリン、水酸化イプラトロピウム、イブプロフェン、イダルビシン、イミペネム、塩酸イミプラミン、硫酸インジナビル、インドメタシン、イオヘキソール、イオパミドール、イリノテカン、イソソルビドジニトレート、イルベサルタン、イソソルビドモノニトラート、イソトレチノイン、イスラジピン、イトラコナゾール、サジテン、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトロラック、ラベタロール、ラクツロース、ラミブジン、ラモトリジン、ランソプラゾール、レシチン、レベチラセタム、レボカルニチン、レボドパ、レボグルタミド、レボノルゲストレル、レボチロキシン、リドカイン、リパーゼ、リシノプリル、ロペラミド、ロピナビル、ロラタジン、ロラゼパム、ロバスタチン、メドロキシプロゲステロン、メロキシカム、メルファラン、メントール、メルカプトプリン、メサラミン、メトトレキセート・メチルドパ、N-メチルエフェドリン、メチルプレドニゾロン、メトクロプラミド、メトラゾン、メトプロロール、ミコナゾール、ミダゾラム、ミノサイクリン、ミノキシジル、ミソプロストール、ミトーテン、モダファニル、モメタゾン、モルヒネ、モサプリド、マルチビタミン及びミネラル、ナブメトン、ナドロール、ナフチドロフリル、ナプロキセン、ネファゾドン、メシル酸ネルフィナビル、ネオマイシン、ネビラピン、塩酸ニカルジピン、ニセルゴリン、ニコチン酸アミド、ニコチン、ニコチン酸、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ニザチジン、ノルエチステロン、ノルフロキサシン、ノルゲストレル、ノルトリプチリン、ナイスタチン、オフロキサシン、オランゼピン、オルメサルタンメドキソミル、オメプラゾール、オンダンセトロン、オルリスタット、オキスカルバゼピン、パクリタキセル、パンクレアチン、パンテノール、パントプラゾール、パントテン酸、パラセタモール、パロキセチン塩酸塩、ペニシリンG、ペニシリンV、ペルフェナジン、フェノバルビタール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、フェニトイン、ピメクロリムス、ピモジド、塩酸ピオグリタゾン、ピロキシカム、ポリミキシンB、ポビドンヨード、プラバスタチンナトリウム、プラゼパム、プラゾシン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プログルメタシン、塩酸プロパフェノン、プロプラノロール、プロポフォル、プソイドエフェドリン、ピリドキシン、塩酸キナピリル、キニジン、塩酸ラロキシフィン、ラミプリル、ラニチジン、レセルピン、レチノール、リバビリン、リボフラビン、リファンピシン、リスペリドン、リトナビル、ロスバスタチンカルシウム、ルトシド、サッカリン、サルブタモール、サルカトニン、サリチル酸、サルメテロールキシナホ酸塩、サキナビル、セルトラリン、クエン酸シルデナフィル、シンバスタチン、シロリムス、ソマトロピン、ソタロール、スピロノラクトン、スタブジン、スクラルフェート、スルバクタム、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、スルピリド、タクロリムス、タダラフィル、タモキシフェン、塩酸タムスロシン、テガフール、フマル酸テノホビルジソプロキシル、テノキシカム、テプレノン、テラゾシン、塩酸テルビナフィン、マレイン酸テガセロド、テルミサルタン、テルブタリン、テルフェナジン、サリドマイド、テオフィリン、チアミン、チアプロフェン酸、チクロピジン、チモロール、チザニジン塩酸塩、トピラメート、トランドラプリル、トラネキサム酸、トレチノイン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムテレン、トリアゾラム、トリメトプリム、トロキセルチン、ウラシル、バルデコキシブ、バルガンシクロビル塩酸塩、バルプロン酸、バルルビシン、バルサルタン、バンコマイシン、ベラパミル、塩酸バルデナフィル、ビタミンE、ザフィルルカスト、ザルシタビン、ザレプロン、ジドブジン、ジプラシドン、ゾルピデム酒石酸塩、ゾニサミド、ゾテピンが挙げられる。
【0032】
また、スプレー乾燥混合物は、スプレー乾燥組成物の性質を変えることが可能な他の有機材料を含んでもよい。例えば、ある有機物質を含有させて、粒子形態/粒径、並びに、活性成分の溶解度、生体利用効率及び放出特性を制御できる。また、混合物中に追加の有機材料を含有させて、活性物の再結晶を更に抑制し、活性物の濃度を更に最大化し、溶解速度を更に向上/遅延/阻害することもできる。この系に組み込むことが可能な追加の有機材料は、特に限定されるものではない。本発明の一実施態様においては、追加の有機材料がポリマー状である。
【0033】
スプレー乾燥される混合物は、混合物の総重量を基準として、通常溶剤/非溶剤を合計で約40重量%から約99.9重量%、特には溶剤/非溶剤を合計で約80重量%から約95重量%含む。臨界比Rcは、約0.01−0.99、特には約0.1−0.9、一層具体的には約0.3−0.8の間で変動し得る。
【0034】
また、溶剤、ポリマー及び任意の活性物に加えて、スプレー乾燥される混合物は、混合物の性能、ハンドリング、又は加工性を向上させるために、他の成分を含んでもよい。代表的な成分としては、特に限定されるものではないが、界面活性剤、pH調整剤、充填材、錯化剤、可溶化剤、色素、潤滑油、流動促進剤、味剤、可塑剤、味覚マスキング剤等が挙げられ、それらは、通常の目的に対して通常の量で使用することができる。
【0035】
本発明のプロセスで使用するスプレー乾燥装置は、種々の市販の装置のどれであってもよい。スプレー乾燥装置の具体例としては、ニロ社製のスプレー乾燥機(例えば、SD−マイクロ(登録商標)、PSD(登録商標)−1、PSD(登録商標)−2等)、ミニスプレドライヤー(ビュッヒ・ラボテクニック社)、スプレー・ドライイング・システムズ社製のスプレー乾燥機(例えば、モデル30、48、72)及び有限会社SSPのスプレー乾燥機が挙げられる。
【0036】
スプレー乾燥プロセス及びスプレー乾燥設備が、ペリーの化学技術者用ハンドブック、第6版、(R.H.ペリー、D.W.グリーン、J.O.マローニー著)、マグローヒルブック社、20−54から20−57頁に一般的に説明されている。スプレー乾燥プロセス及び設備のより詳細な説明が、マーシャル、”霧化及びスプレー乾燥”、50 ケミカル・エンジニアリング・プログレス・モノグラフ・シリーズ2(1954)に総括されている。これらの参考文献の内容を参照してここに取り込む。
【0037】
”スプレー乾燥”との語句は、従来より用いれられており、一般に、液体混合物を散らばらせて小さな液滴とすること、及び容器(スプレー乾燥装置)中の混合物から速やかに溶剤を取り除くことを含み、液滴から溶剤を気化させるための強力な推進力が存在する。霧化技術としては、二流体圧力ノズル、ロータリー噴霧器が挙げられる。液滴の乾燥温度において、溶剤の蒸気圧未満にスプレー乾燥機中の溶剤の分圧を上手く維持することで、溶剤の気化のための推進力が一般的にもたらされる。これは、(1)部分真空にスプレー乾燥機内の圧力を維持すること、(2)液体の滴を暖かい乾燥ガスと混合すること、又は(3)両方によって達成することができる。
【0038】
一般に、霧化された液滴が実質固体となる装置の壁に到達する時間までに十分に乾燥するように、並びに微細な粉体を形成し装置の壁に貼り付かないように、乾燥ガスの温度及び流量、並びにスプレー乾燥機のデザインを選択する。このレベルの乾燥を達成する実際の時間の長さは、液滴の大きさ、配合、及びスプレー乾燥機の操作に左右される。固体化に続いて、固体状の粉体をスプレー乾燥容器中に5−60秒滞留させ、固体状の粉体から溶剤を更に気化させてもよい。乾燥機内に存在するにつれ粒子の最終溶剤含有率は当然低くなるので、これによって製品のハンドリング及び安定性が向上する。一般に、スプレー乾燥組成物の残留溶剤含有率は、約10重量%未満であるべきで、好ましくは約2重量%未満である。本発明によれば通常必要ではないが、非溶剤の存在がより残留溶剤含有率の低いスプレー乾燥粉体をもたらすので、本発明のある実施態様によれば、スプレー乾燥組成物を更に乾燥して、残留溶剤をより一層低いレベルにすることが有用かもしれない。特定のスプレー乾燥プロセスに関する更なる詳細を、例においてより詳しく説明する。しかしながら、粉体をスプレー乾燥するための操作条件は、当該術分野で周知であり、当業者であれば、容易に調整することができる。更に、例は、実験室規模のスプレー乾燥機で得られた結果を説明している。当業者の一人であれば、製造規模のユニットで類似の結果を得るために、変数を変更しなければならないことを容易に理解するであろう。
【0039】
広範囲の産業で一般に利用されている無数の形態で、本発明の組成物を提供してもよい。例示的な提供例は、粉体、顆粒、多粒子である。これらの形態を直接用いて、或いは更に加工して、錠剤、カプセル、又はピルを製造してもよいし、或いは、水又は他の液体の添加により再構成して、ペースト、スラリー、懸濁液又は溶液を形成してもよい。種々の添加剤を本発明の組成物と共に混合、磨砕、造粒して、上記製品形態に好適な材料を形成してもよい。
【0040】
本発明の組成物は、液体の賦形剤中に粒子が懸濁した液として運ばれるように、種々の形態に調合してもよい。かかる懸濁液は、製造時に液体として、或いはペーストとして調合してもよいし、乾燥粉末として調合し、後ほど但し使用前に、液体、通常は水を添加してもよい。懸濁液に構成されるそのような粉体は、しばしば、小袋又は構成用経口粉末(OPC)とも呼ばれる。かかる製品形態は、公知の手法で調合及び再構成することができる。
【0041】
医薬用途では、本発明の組成物を、特に限定されるものではないが、口腔、鼻、直腸、膣、皮下、静脈、肺等の多種多様なルートで運ぶことができる。一般には、経口ルートが好ましい。
【0042】
経口で、固体剤形の医薬用スプレー乾燥粉末は、通常、平均粒径が0.5μm−500μmであり、一般に総固形分濃度が1%以上、特には約2−50%、一層具体的には約3−25%の溶液から調製される。
【0043】
経口で、固体剤形の医薬用顆粒は、通常、平均粒径が50μm−5000μmである。顆粒を製造する技術としては、特に限定されるものではないが、湿式造粒、及び種々の流動床造粒方法が挙げられる。
【0044】
以下の非限定的な例によって、本発明を更に詳細に説明する。
【実施例】
【0045】
A.例#1
1.ポリビニルピロリドン(PVP)(プラスドン(登録商標)K−29/32、インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ)(10重量%)溶液を、単一溶剤溶液、及び溶剤/非溶剤比が異なる2種の溶剤/非溶剤ブレンド溶液からスプレー乾燥した。溶剤はジクロロメタンであり、非溶剤はアセトンであった。
2.SD−マイクロ(登録商標)(ニロ社)のスプレー乾燥機上でスプレー乾燥を行い、スプレー乾燥される溶液の溶剤組成以外は実験条件を一定に維持した。
3.残留溶剤含有率
4.粒子形態
a.溶剤から:図1Aに示すように、粘稠作用に起因して球形及び糸様の尾部。
b.溶剤/非溶剤から:非溶剤含有率が上昇するにつれて形状の不規則性が向上した、より小さく、非球形の粒子(図1B及び1C)、100%溶剤の実験で観測された粘稠な糸は失われている。
【0046】
B.例#2
1.ポリビニルピロリドン(PVP)(プラスドン(登録商標)K−29/32、インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ)(10重量%)を、第2の添加ポリマーとしてメタクリル酸共重合体が添加された、並びに添加されていない、60%溶剤/40%非溶剤の溶剤混合液からスプレー乾燥した。溶剤はジクロロメタンであり、非溶剤はアセトンであった。
2.SD−マイクロ(登録商標)(ニロ社)のスプレー乾燥機上で、第2ポリマーの添加以外は同一の実験条件下で、スプレー乾燥を行った。
3.結果:
a.残留溶剤含有率:
【0047】
C.例#3
1.1部のカルバマゼピン(CBZ)を、1部のポリビニルピロリドン(PVP)(プラスドン(登録商標)K−29/32、インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ)(10重量%)及び1部のポリビニルピロリドン-co-酢酸ビニル(PVP−VA)(プラスドン(登録商標)S−630、インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ)と共に、10重量%の固形分濃度で、溶剤/非溶剤溶液からスプレー乾燥した。溶剤はジクロロメタン(20%)であり、非溶剤はアセトン(80%)であった。
2.SD−マイクロ(登録商標)(ニロ社)のスプレー乾燥機上で、溶剤組成以外は同一の実験条件下で、スプレー乾燥を行った。
3.結果
a.溶剤溶液からのCBZ
1)粒子形態:図2Aに示すように球状
2)粒径(光学顕微鏡による):10μm
3)スプレー乾燥直後の残留溶媒:3.2%
4)嵩密度:0.041g/mL
5)1250回タップ後の密度:0.064g/mL
6)変調示差走査熱量計(MDSC)で検出され、図3に示すように、製品はポリマー形態のCBZ結晶を含んでいた。
b.溶剤/非溶剤溶液からのCBZ
1)粒子形態:図2Bに示すように球状
2)粒径(光学顕微鏡による):3μm−5μm
3)スプレー乾燥直後の残留溶媒:2.0%
4)嵩密度:0.057g/mL
5)1250回タップ後の密度:0.18g/mL
6)先の例に基づくと球状の形態は予期されず、窪みがあり、レーズン様で、或いは折り畳まれた粒子が予期される。第2ポリマーの存在が粒子形態を変え、球状粒子を創り出す。
7)MDSCでは、結晶の残留は検出されなかった(図3)。
【0048】
D.例#4
1.1部のエファビレンツ(EFV)を、3部のポリビニルピロリドン-co-酢酸ビニル(PVP−VA)(プラスドン(登録商標)S−630、インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ)と共に、10重量%の固形分濃度で、溶剤/非溶剤溶液からスプレー乾燥した。溶剤はアセトン(33%)であり、非溶剤はヘキサン(66%)であった。
2.SD−マイクロ(登録商標)(ニロ社)のスプレー乾燥機上で、溶剤組成以外は同一の実験条件下で、スプレー乾燥を行った。
3.結果
a.溶剤溶液からのEFV
1)粒子形態:図4Aに示すように球状
2)粒径(光学顕微鏡による):5μm
3)嵩密度:0.13g/mL
4)1250回タップ後の密度:0.21g/mL
b.溶剤/非溶剤溶液からのEFV
1)粒子形態:図4Bに示すように球状
2)粒径(光学顕微鏡による):1μm
3)嵩密度:0.28g/mL
4)1250回タップ後の密度:0.47g/mL
【0049】
E.例#5
1.エファビレンツ(EFV)と溶解度向上ポリマーとを、EFV:ポリビニルピロリドン(PVP)(プラスドン(登録商標)K−29/32、インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ)の比を1:3とし、2%のラウリル硫酸ナトリウム(乾燥基準)と共に、溶剤/非溶剤溶液からスプレー乾燥した。ジクロロメタンを溶剤とし、アセトンを非溶剤とした。
2種の溶液を、SD−マイクロ(登録商標)(ニロ社)のスプレー乾燥機上で、同一条件下でスプレー乾燥し、スプレー乾燥粉体を生産した。
2.示差走査熱量計を用いて、2種の組成物におけるEFVの結晶化度を分析した。EFVの溶融による吸熱がないことで示されるように、両方の粉体ともアモルファス状であった(図5)。
3.両方のアモルファス状EFV組成物は、USP装置II(櫂)で試験したところ、結晶形態よりも、USP水中での放出速度が速く、最大濃度が高かった。驚くべきことに、溶剤/非溶剤溶液からのスプレー乾燥粉体は、溶剤のみの溶液からスプレー乾燥した粉体よりも、放出が速く、放出度合が高かった(図6)。
【0050】
J.例#6
1.コエンザイムQ10(CoQ10)を、ポリビニルピロリドン(PVP)(プラスドン(登録商標)K−29/32、インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ)と共に、CoQ10:PVPの比を1:3とし、総固形分20%で、スプレー乾燥した。2種のスプレー乾燥粉体を、一方は100%のジクロロメタン(DCM)から、もう一方は80%のDCMと20%のアセトンとの混合液から作製した。CoQ10はDCM及びアセトンの両方に可溶であるものの、PVPはDCMのみに可溶である。他の総てのスプレー乾燥条件は、同一のままとした。
2.サンプルの分析は、装置II(櫂)を用いたUSP溶解を含む。総てのサンプルをサイズ1のゼラチンカプセルに手で詰めた。浴温を37℃とし、最初の60分間、櫂速度を50rpmとし、次に、追加の15分間、櫂速度を200rpmとした。溶解媒体は、クレモフォー(登録商標)EL(BASF社)を2%、アコノン(登録商標)MC8(アビテック社)を4%含んでいた。試験結果を表1に示す。
3.両方のスプレー乾燥粉体とも、結晶性CoQ10(標準)に比べて、溶解特性が向上していた(図7)。溶剤系の変化が溶解挙動に影響を及ぼし、溶剤/非溶剤溶液からの粉体は、放出が顕著に速く、放出度合が顕著に高かった。驚くべきことに、CoQ10が50%溶解するのに要する時間(t50%)が18分(100%溶剤)から5分(溶剤/非溶剤混合液)に短縮された。同様に、CoQ10が80%溶解するのに要する時間(t80%)が、100%溶剤から溶剤/非溶剤混合液に変更することで、68分から12分に短縮された。
4.溶剤溶液からの粒子は、球状/球形であった(図8A)のに対し、溶剤/非溶剤混合液から形成された粒子は、より小さく、糸様であった(図8B)。また、溶剤から溶剤/非溶剤に変更することで、スパンが小さくなること(表1)で示されるように、粒径の分布が小さくなった(図9)。
5.驚くべきことに、溶剤系の変更は、CoQ10の物理化学をも変化させた。両方の製品とも原料よりも結晶性が低いが、溶剤/非溶剤混合液から調製したサンプルはアモルファス状であり、一方、100%DCMからスプレー乾燥した粉体では有意の結晶化度が測定された(図10)。溶剤/非溶剤混合液によるアプローチの他の利点としては、残留溶剤含有率がより低いこと、密度がより高いことが挙げられる。
【0051】
【表1】
【0052】
当業者であれば、添付の特許請求の範囲で規定される発明の精神及び範囲から逸脱すことなく、ここに記載した組成物及び/又は製造方法の工程又は工程の順番を変更できるかもしれない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1A】例1#に従って製造された粒子の顕微鏡写真の像である。
【図1B】例1#に従って製造された粒子の顕微鏡写真の像である。
【図1C】例1#に従って製造された粒子の顕微鏡写真の像である。
【図2A】例3#に従って製造された粒子の顕微鏡写真の像である。
【図2B】例3#に従って製造された粒子の顕微鏡写真の像である。
【図3】例3#に従って製造された粒子の熱流対温度のプロットである。
【図4A】例4#に従って製造された粒子の顕微鏡写真の像である。
【図4B】例4#に従って製造された粒子の顕微鏡写真の像である。
【図5】例5#に従って製造された組成物の熱流対温度のプロットである。
【図6】例5#に従って製造された組成物の放出百分率対時間のプロットである。
【図7】例6#に従って製造された組成物の放出百分率対時間のプロットである。
【図8A】例6#に従って製造された粒子の顕微鏡写真の像である。
【図8B】例6#に従って製造された粒子の顕微鏡写真の像である。
【図9】例6#に従って製造された粒子の頻度対粒径のプロットである。
【図10】例6#に従って製造された組成物の熱流対温度のプロットである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、2005年7月28日に出願された米国特許出願第60/703,374号の利益を求めるものであり、該出願の内容を参照してここに取り込む。
本発明は、スプレー乾燥された粉体及び粒状化された材料の特性を改良する方法、並びにそれによって製造した製品を対象とする。より詳しくは、本発明は、有機材料を該有機材料に対する溶剤と非溶剤のブレンド中に含む混合物を利用して固体材料を調製して、スプレー乾燥組成物を製造する方法に関する。本発明の特定の実施態様によれば、前記有機材料は、ポリマーである。
【背景技術】
【0002】
粒子特性の選択的なカスタム化によって、医薬、ヘルスケア、農業、パーソナルケア、殺生物剤及び工業用途等の多くの産業で、生産プロセス及び活性物のデリバリーに対して興味深い機会を提供することができる。形態が密度、残留溶剤含有率、流動性等のバルクの粉体特性に直接的に影響するので、個々の粒子の形態がこの研究で中心的な役割を果たす。加えて、粒子の形状及び内部構造を変更する技術は、活性物充填量、結晶化度、放出速度、溶解度、生体利用効率等の製品特性に大きく影響する可能性がある。従って、粒子形態の設計能力は、製造プロセス及び製品属性と重大で密接な関係を有する。
【発明の開示】
【0003】
一態様によれば、本発明は、一工程のプロセスから、残留溶剤含有率が低いスプレー乾燥粉体又は粒状化製品を製造するための方法を提供する。加えて、得られる粉体は、粒子の形態及びサイズが変化しているため、通常、従前の方法で製造した対照物よりもバルク・タップ密度が高い。活性成分を組み込んだ製品の製造に適用する場合、ポリマーの系を用いて、粒子の形態を変更できるだけでなく、活性物の性能特性も変更できる。
【0004】
本発明の一態様は、ポリマーと慎重に選択した溶剤ブレンドとの組み合わせを含む。このブレンドは、ポリマーが可溶な溶剤を含む。”可溶”との語句は、ポリマーと溶剤分子との間の引力がポリマー分子間の分子間引力及び分子内引力より大きいことを意味する。簡単にするために、この溶剤を単に”溶剤”と呼ぶ。また、上記溶剤ブレンドは、逆が真である溶剤、即ち、ポリマーと溶剤分子との間の引力がポリマー分子間の分子間引力及び分子内引力より小さい溶剤を含む。この第2の溶剤は、ポリマーが溶解しないため、非溶剤と呼ばれる。本発明の一実施態様によれば、一種のポリマーと適切な溶剤/非溶剤ブレンドが提供される。加えて、該溶剤は、非溶剤よりも沸点が低い。(共沸組成の溶剤ブレンドは、溶剤又は非溶剤を構成できるが、一緒に溶剤/非溶剤ブレンドの判定基準を満たすことはない。)好ましくは、溶剤及び非溶剤は、混和性である。溶剤の非溶剤に対する比は、ポリマーが溶剤ブレンドに”溶解している”と見なし得るような比である。
【0005】
本発明の他の態様においては、上記有機材料がポリマー状ではない。非溶剤は、有機材料が溶剤の蒸発損失の間に溶液から沈殿するように選択される。溶剤の気化の間にこの沈殿を達成する溶剤と非溶剤との間の有機材料の溶解度の差は、本発明の範囲内である。共沸組成にある溶剤ブレンドは、溶剤又は非溶剤を構成できるが、一緒に溶剤/非溶剤ブレンドの判定基準を満たすことはない。
【0006】
溶剤ブレンドを気化させることによって、類希な粒子特性を創造することができる。例えば、この気化は、供給溶液のスプレー乾燥や造粒プロセスの間に起こり得る。溶剤のブレンドを含有する霧化された液滴は、気化によって、総溶剤組成の変化を被る。該方法は、液滴が如何に発生したか或いは如何に霧化されたかには依存しない。最初に、有機材料は、溶液中の溶剤が十分な濃度であるため、溶解状態で存在する。溶剤が気化するに従って(溶剤は、非溶剤よりも低い温度で沸騰する)、液滴中の非溶剤の濃度が上昇する。最終的には、非溶剤の濃度は、溶液中に有機材料を維持するのに要する量を超える。有機材料がポリマーを含む場合、ポリマーが溶液から落ちて、ポリマー自体の上に集まる。このポリマーの立体配座における変化により、液滴の気化動力学が変化して、最終の粉体特性に影響する粒子形態を創造できる。或いは、有機材料がポリマーを含まない場合、有機材料は、溶液中の非溶剤の濃度が上昇するため、気化プロセスの間に沈殿する。
【0007】
この溶剤/非溶剤のアプローチにより、残留溶剤がより少なく、粒径がより小さいスプレー乾燥粉体を製造できる。本発明のある態様に従うこの巧に設計された粒子形態の更なる結末は、粉体の嵩密度の上昇である。上昇した粉体密度は、薬剤学、ヘルスケア、パーソナルケア、農業、殺生物剤、工業化学薬品等の多くの用途に対して、重要な特性である。有機材料がポリマーを含む場合、その沈降度、及びそれによるスプレー乾燥粉体の特性への正味の影響は、溶剤の非溶剤に対する初期比率、スプレー乾燥される溶液中の固形分濃度、ポリマーの化学構造及び分子量等のポリマーの溶媒和因子に左右される。別のポリマーの存在は、第1のポリマー及び溶媒系との相互作用によって、最終の粒子形態に寄与するかもしれない。
【0008】
残留溶剤含有率の減少及び密度の上昇に加えて、組成物が活性成分を含む場合、粒子の形態だけでなく、活性物の形態にも影響を及ぼし、それによって、活性物の充填量、結晶化度、溶解度、安定性及び放出に影響を及ぼすために、主ポリマーを溶剤/非溶剤系と組み合わせてもよい。追加の目的を果たす、即ち、活性物の再結晶化を更に阻害するため、活性物濃度を更に最大化するため、並びに溶解速度を更に向上/遅延/妨害するために、追加のポリマー状助剤を添加してもよい。これらの機能を達成するためには、助剤の溶解度が主たるポリマーに対して選択された溶剤ブレンドと適合している必要がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
”〜を含む”との語句は、より制限的な語句である”本質的に〜からなる”及び”〜からなる”を包含する。
【0010】
ここで使用する総てのパーセント、比及び比率は、特に他のことを指定しない限り、重量によるものである。
【0011】
ここで使用する”固体分散体”との語句は、少なくとも2種の成分を含む固体状態の系を指し、該系においては、一方の成分が、他方の一種又は複数種の成分の全体に均一に分散している。”固体分散体”との語句には、完全に結晶性の小さな粒子を有する系、完全にアモルファス状の小さな粒子を有する系、又は両者の間の任意の状態の小さな粒子を有する系も含まれ、通常、直径が約1μm未満で、一方の相が他方の相中に分散している。
【0012】
ここで使用する”固溶体”との語句は、系が全体として化学的及び物理的に均一及び均質であるように、一成分が分子レベルで他の成分の全体に分散している固体分散体の一タイプを指す。これらの系は、熱分析又はX線回折で証明されるように、結晶又は微結晶状態の活性成分を有意量では含まない。
【0013】
以下の説明は主としてスプレー乾燥組成物の調製を対象とするが、本発明は、スプレー乾燥組成物に限定されるものではない。また、本発明の範囲には、顆粒及び多粒子組成物等の他の固体材料の調製方法も含まれる。これらの固体材料は、砂糖、ポリマー、活性物質、又はこれら材料の混合物等、如何なる有機物を含んでもよい。それらの他の固体材料は、高剪断造粒、流動床造粒、膜被覆、又はそれらの関連技術等の従前の技術に従って調製することができる。本発明の他の態様によれば、溶剤/非溶剤ブレンド中に有機材料が含まれる混合物を粒子状基材に塗布して、被膜が有機材料、好ましくはアモルファス状態の有機材料を含む、被覆された粒子を形成することができる。
【0014】
一実施態様によれば、本発明は、ポリマーを該ポリマーに対する溶剤と非溶剤のブレンド中に含む混合物を準備し、該混合物をスプレー乾燥して、スプレー乾燥組成物を形成するスプレー乾燥組成物の調製方法に関するものである。スプレー乾燥粒子は、特に限定されるものではないが、製剤学、栄養補助食品、ヘルスケア、農業、殺生物剤及び工業化学薬品等の多様な用途において有用かもしれない。本発明のある実施態様によれば、スプレー乾燥された粒子は、経口の形態で、固体剤形である医薬品において有用である。他の実施態様によれば、吸入に適切な0.5μm程の小ささの粉体が製造される。本発明のある実施態様に従う医薬用スプレー乾燥粉体は、通常、平均粒径が約0.5μm−500μmである。
【0015】
スプレー乾燥機の操作は、粒子の特徴に影響を及ぼす。マスターズ(1991)は、3つの段階を通じて、霧化された球体からの溶剤の気化が進行することを提案しており、最初に、液滴の表面が溶剤で飽和した際に、一定速度で気化が進行し、これを乾燥の第一段階と称している。表面上に乾燥固体が形成されることに起因して、更なる乾燥と共に、乾燥速度が変化することに言及している。この臨界点では、表面は、もはや、溶剤で支障なく飽和しているとは見なされない。液滴からの更なる溶剤の気化は、より低速で進行し、固体の表面層を通じて、拡散又は毛管現象が必要となる。乾燥のこの段階では、できるだけ多くの溶剤を除去し、並びに液滴の拡大及び低密度粉体の生成を避けるために、スプレー乾燥機の慎重な操作が望まれる。入口及び出口温度、並びに乾燥ガスの流れ構造をコントロールする必要がある。
【0016】
それにもかかわらず、スプレー乾燥機が製品特性に負の影響を及ぼす条件で作動することを回避できないことが時々ある。一種又は複数種の溶剤に溶解したポリマー等の塗膜形成要素を含む配合は、早期に表面気化の臨界点に達し、表面硬化に近づく又は達した状態に至り得る。外側ポリマー膜の表面硬化は、スプレー乾燥した粉体を破壊することなくしては、完全又は実質完全に溶剤を除去することを困難又は実質不可能にしてしまい得る。また、固体ポリマー(又はポリマー様の)表面膜は、粉体の密度を低下させ得る。乾燥機の作動によって捕捉された溶剤の体積膨張によって、乾燥工程又は材料の取り扱いにおいて破裂する傾向がある、低密度で、壁の薄い粒子が生成する。
【0017】
本発明の一態様によれば、主ポリマーと呼ばれるポリマーと、適切な溶剤/非溶剤ブレンドとを含むポリマー系が提供される。このアプローチは、ポリマーが溶解可能な溶剤を含む。ポリマーの溶解度の規定における指針は、膨張係数(α):
【数1】
[式中、
は鎖の末端間の距離の平均の2乗であり、
は非摂動長である]で与えられる。(方程式§1は分岐状ポリマーに対し類似の形式で、重心に関する回転半径の平均の2乗
と対応する非摂動長
を用いて記載することができる)αが1又は1より大きい場合、ポリマー溶解性がもたらされ、この条件を満たす溶剤を”良溶剤”又は単に”溶剤”と呼ぶ。ポリマー−溶剤間の引力がポリマー−ポリマー間の引力よりも大きいため、溶剤は、ポリマー分子を真直ぐに伸ばす(乃至拡張させる)。光散乱法(例えば、ビスコテック社のトリプル・ディテクター・アレイ)を用いて、方程式§1で表現される変数を決定することができる。これらの概念は、マルコム・P.・スティーブンスのテキスト「ポリマー化学、序文」中で定義されており、参照してここに取り込む。
【0018】
αが1に等しい場合、ポリマー−溶剤間の力とポリマー−ポリマー間の力とがバランスされた特別な状況が存在する。この条件を可能とする溶剤は、θ溶剤と呼ばれる。本発明においては、αが1にほぼ等しい又は1より大きい場合、溶剤を”良溶剤”と見なす。温度がαに影響し、そのため、単に温度を変化させることで良溶剤を非溶剤に転換させられることは高く評価されることである。
【0019】
本発明の更に他の実施態様では、溶剤ブレンドは、逆が真である溶剤、即ち、ポリマー−ポリマー間の力がポリマー−溶剤間の力よりも大きい溶剤も含む。この場合、αは1未満であり、ポリマーが折りたたまれた状態で存在するので、該溶剤は非溶剤と呼ばれる。本発明の一実施態様によれば、適切な溶剤/非溶剤ブレンドを含むポリマーが提供される。溶剤/非溶剤のブレンドは、ポリマーの溶媒和状態を維持する。加えて、溶剤は、非溶剤よりも沸点が低い。(共沸混合物を形成する溶剤/非溶剤の組み合わせは、この基準を満たさない。)好ましくは、溶剤と非溶剤とは、混和性である。
【0020】
溶剤ブレンドを気化させることによって、類希な粒子特性を創造することができる。例えば、この気化は、供給溶液のスプレー乾燥や造粒プロセスの間に起こり得る。溶剤のブレンドを含む霧化された液滴は、気化に起因して総溶剤組成の変化を被る。該方法は、液滴を如何にして発生させたか、或いは液滴を如何にして霧化したかによって左右されないようである。最初、ポリマーは、溶剤の量が十分であるため、溶媒和状態で存在する。気化に従って、液滴中の非溶剤の濃度が上昇する(溶剤は、非溶剤よりも低い温度で沸騰する)。最終的には、溶剤組成が溶媒和ポリマーを維持するのに不十分となる。そうなることで、ポリマーが収縮する。このポリマーの立体配座の変化は、液滴の気化動力学を変化させ、最終の粉体特性に影響する粒子形態を作り出す。好適なポリマー/溶剤/非溶剤の組み合わせの例としては、特に限定されるものではないが、ポリビニルピロリドン(PVP)/ジクロロメタン/アセトン、ポリビニルピロリドン-co-酢酸ビニル(PVP−VA)/アセトン/ヘキサン、及びエチルセルロース/アセトン/水が挙げられる。
【0021】
本発明の他の態様においては、有機材料がポリマー状でない。非溶剤よりも低い温度で沸騰する溶剤の蒸発減の間に、有機材料が、溶液から沈殿するように非溶剤を選択する。溶剤の気化の間にこの沈殿を達成する溶剤と非溶剤との間の有機材料の溶解度の違いは、本発明の範囲内である。一実施態様において、有機材料の溶解度は、非溶剤中よりも溶剤中の方が少なくとも約10倍大きく、特には少なくとも約25倍大きく、より一層詳しくは少なくとも約50倍大きく、本発明の特に有用な実施態様では、有機材料の溶解度は、非溶剤中よりも溶剤中の方が少なくとも約100倍大きい。共沸組成にある溶剤ブレンドは、溶剤又は非溶剤を構成できるが、一緒に溶剤/非溶剤ブレンドの基準を満たすことはない。
【0022】
非溶剤の濃度が基準値を超える場合、有機材料の収縮又は沈殿によって類希な粒子構造が創成される。この基準比Rcは、
【数2】
で定義でき、沈殿が起こる前の非溶剤の最大割合である。所定の系に対する比Rcは、溶液の濁度を著しく上昇させる各成分の質量分率を実験的に特定することで求めることができる。系に対するRc値が特定できる場合、系は溶剤/非溶剤ブレンドを含む。約10%(w/w)のPVP、18%(w/w)のジクロロメタン、及び72%(w/w)のアセトンからなる溶液が一例であり、該溶液に対するRcは0.80に等しい。通常、ポリマー系を、該系に対するRc値よりも低い溶剤/非溶剤ブレンドで、使用する。それは、一種又は複数種の活性成分の粒子形態/粒径、並びに、結晶化度、溶解度、生体利用効率及び/又は放出特性をコントロールするために、より複雑なポリマー/溶剤系を配合するのに有効かもしれない。
【0023】
他の実施態様に従う本発明は、スプレー乾燥された粉体の密度を上昇させる方法を提供する。通常、スプレー乾燥は、ある程度内部空隙を有する球様の粒子を生成させる。この空隙は、質量を増加させずに、粒子の嵩を上昇させて、低密度の材料を創り出す。非溶剤を作動溶液/分散液に加えることで、粒径及び粒子形態が変化して、密度が上昇する。粒子は、溶剤のみを用いて調製したものよりも、小さく、皺が寄っており、へこんでおり、並びに/或いは、収縮しているかもしれない。また、溶剤/非溶剤のアプローチは、平均粒径を減少させ、粉体をより良好に詰め込むことを可能とする。加えて、粉体の流れ及び粉体−粉体混合特性が向上する。
【0024】
ある態様に従う本発明は、スプレー乾燥された粉体及び造粒された材料を二次乾燥する必要性を低減又は排除する方法を提供する。これらの製品は、大抵の場合、残留溶剤を含み、より乾燥した製品の製造が望まれ、或いは必要となる。残留溶剤含有率が高いことは、配合や処理限界に起因する可能性がある。一般的な慣行では、スプレー乾燥される固体を溶解する溶剤が用いられる。そうすることで、表面硬化に起因して、スプレー乾燥された粉体又は造粒されたビーズの内側に、溶剤が捕捉される。加工される材料に対する低沸点溶剤と高沸点非溶剤とを意図的に組み合わせることで、加工ポリマーに対する非溶剤の1又は複数の作用によって、残留溶剤がより少ない製品を生産することが可能となる。
【0025】
本発明のある実施態様によれば、結晶化度を低下させ、活性物濃度を向上させる方法が提供される。種々の溶剤気化方法(例えば、回転蒸発、スプレー乾燥)を用いて、結晶性の活性物をアモルファス形態に変換する。これらの方法には、通常、活性物/ポリマー/溶剤系の配合が含まれる。”良溶剤”が、活性物及び1種又は複数種のポリマーを溶解させるために選択される。しかしながら、このアプローチを採用する場合、アモルファスへの変換に要するポリマーのタイプ及び量が普遍的ではなく、活性物の結晶性を取り除くためにポリマーを高充填する必要が時々ある。非溶剤の意図的な添加は、完全に異なる方式で活性物の結晶性の度合に大きな且つ驚くべき影響を及ぼす。
【0026】
本発明の一実施態様においては、主ポリマーに対する非溶剤として、溶剤よりも低い温度で沸騰する非溶剤を選択する。理論に拘束されるものではないが、この非溶剤の添加により系の乾燥動力学が変化するようである。結晶性活性物のアモルファス変換を達成するのに要するポリマーがより少ないことが分かった。従って、これらの組成物は、溶剤のみの方法を用いて作り出すことが可能なものよりも、含有する活性物の濃度が高い。本発明の特定の実施態様によれば、活性物を約25重量%より多く含む、より好ましくは活性物を約50重量%より多く含む、ある実施態様によれば活性物を約75重量%より多く含む溶剤/非溶剤ブレンドからスプレー乾燥されたポリマー及び活性物を含む系から組成物を調製することができる。
【0027】
更には、溶剤/非溶剤アプローチで作製した組成物は、異なる溶解プロファイルで特徴付けられ、該溶解プロファイルは、より速い放出速度で、又はより高い放出度で、或いはその両方で進行する。本発明の特定の実施態様によれば、ここに記載した溶剤/非溶剤系から類似の条件下でスプレー乾燥したポリマー及び活性物を含む系から調製した組成物は、非溶剤を含まない同一の溶剤からスプレー乾燥した同一のポリマー及び活性物を含む系から調製した対照組成物よりも、時間中のある時点における活性物の放出百分率が少なくとも約25%、特には少なくとも約50%、ある場合においては少なくとも約100%大きい溶解プロファイルを示す。これらの限界は、好ましくは約120分以内、特には約60分以内、一層詳しくは約30分以内で得られる。溶解プロファイルは、例に記載した試験方法を用いて決定できる。
【0028】
本発明の更なる発展においては、1種又は2種以上のポリマーが溶剤/非溶剤と連携して新規な粒子形態を創り出すように、ポリマー系を選択する。粒子形態に加えて、活性物の溶解度及び放出特性に影響を及ぼすために、必要に応じて、他の1種又は複数種のポリマーを添加してもよい。(特に限定されるものではないが)向上した濡れ性、アモルファスな活性物形態の創成、再結晶化に対する安定化、及び/又は共溶媒和効果等の多くの因子によって、溶解度を向上させることができる。そうすることで、活性物の過飽和溶液が生成する。”放出の変性”とは、活性物が放出される期間が変化すること、即ち、即座、遅延、延長されることを指す。1種又は複数種の機能性ポリマーを適切な溶剤/非溶剤ブレンドと適合させることで、これらの変更された放出を創造することができる。
【0029】
本発明のプロセスで使用するのに好適な溶剤及び非溶剤は、溶剤の場合は有機材料が溶解し、非溶剤の場合は有機材料が溶解しない如何なる有機化合物又は水であってもよい。有機材料がポリマーを含まない場合、有機材料の溶解度は、非溶剤中よりも溶剤中の方が約10倍大きく、好ましくは非溶剤中よりも溶剤中の方が約100倍大きい。或いは、有機材料が1種又は2種以上のポリマーを含む場合、溶剤/非溶剤の選択及び比は、主ポリマーの選択に左右される。従って、溶剤又は非溶剤の選択は、主ポリマーに左右される。そのため、1つの系における溶剤は、他の系においては非溶剤となり得る。特に有用な溶剤及び非溶剤としては、特に限定されるものではないが、酢酸、アセトン、アセトニトリル、アニソール、1-ブタノール、2-ブタノール、酢酸ブチル、tert-ブチルメチルエーテル、クロロベンゼン、クロロホルム、クメン、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、1,2-ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、1,4-ジオキサン、エタノール、2-エトキシエタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、エチルエーテル、ギ酸エチル、ホルムアミド、ギ酸、ヘプタン、ヘキサン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メタノール、酢酸メチル、2-メトキシエタノール、3-メチル-1-ブタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-メチル-1-プロパノール、N-メチルピロリドン、ニトロメタン、ペンタン、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、酢酸プロピル、ピリジン、スルホラン、テトラヒドロフラン、テトラリン、1,2,2-トリクロロエテン、トルエン、水及びキシレンが挙げられる。溶剤の混合物及び非溶剤の混合物を用いることもできる。溶剤の共沸ブレンド(通常の温度で沸騰する)は、溶剤又は非溶剤を含むことができるが、溶剤/非溶剤ブレンドを含むことはできない。
【0030】
本発明の混合物に使用するのに好適な主ポリマー及び他の有機材料は、溶剤に対して溶解性で、非溶剤に対して不溶性であるべきである。有用な有機材料の具体例としては、特に限定されるものではないが、脂肪族ポリエステル類(例えば、ポリD-ラクチド)、糖アルコール類(例えば、ソルビトール、マルチトール、イソマルト)、カルボキシアルキルセルロース類(例えば、カルボキシメチルセルロース及び架橋カルボキシメチルセルロース)、アルキルセルロース類(例えば、エチルセルロース)、ゼラチン類、ヒドロキシアルキルセルロース類(例えば、ヒドロキシメチルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース類(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)、ポリアミン類(例えば、キトサン)、ポリエチレングリコール類(例えば、PEG8000、PEG20000)、メタクリル酸重合体及び共重合体(例えば、ローム・ファーマ社のポリマーのオイドラギット(登録商標)シリーズ)、N-ビニルピロリドンの単独重合体及び共重合体(例えば、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドン-co-酢酸ビニル)、ビニルラクタムの単独重合体及び共重合体、デンプン類(例えば、コーンスターチ、デンプングリコール酸ナトリウム)、多糖類(例えば、アルギン酸)、ポリグリコール類(例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、ポリビニルエステル類(例えば、ポリ酢酸ビニル)、精製/変性セラックが挙げられる。混合物中に存在するポリマー又は有機材料の量は、混合物の約1重量%から約95重量%、特には約5重量%から約90重量%の範囲とすることができる。有基材料の混合物を使用してもよい。
【0031】
また、スプレー乾燥混合物は、活性材料を含んでもよい。以下の記載は、主として医薬として活性な材料を対象としているが、本発明は、医薬として活性な材料に限定されるものではない。本発明の範囲には、パーソナルケア(例えば、ヘアケア、スキンケア、又は口腔ケア)、農業、殺生物剤及び他の工業又は民生用途に使用される活性成分も含まれる。ここで使用する”医薬として活性な材料”には、栄養的に活性な材料、栄養補助食品、及びビタミン材料が含まれることを意図する。混合物は、活性物の所望の投与量に依存して、約1%から約95%の活性剤、特には約20%から約80%の活性剤を含むことができる。本発明に従って使用することができる活性物は、特に限定されるものではない。使用可能な活性物の例としては、特に限定されるものではないが、硫酸アバカビル、アセブトロール、アセトアミノフェン、アセメタシン・アセチルシステイン、アセチルサリチル酸、アシクロビル、アデフォビル・ディピボキシル、アルプラゾラム、アルブミン、アルファカルシドール、アラントイン、アロプリノール、アンブロキソール、アミカシン、アミロリド、アミノ酢酸、アミオダロン、アミトリプチリン、アムロジピン、アモキシシリン、アモキシシリン三水和物、アミオダロン塩酸塩、アンホテリシンB、アンピシリン・アンプレナビル、アプレピタント、アナストロゾール、アスコルビン酸、アスパルテーム、アステミゾール、硫酸アタザナビル、アテノロール、アトルバスタチンカルシウム、アザチオプリン、アジスロマイシン、アジスロマイシン二水素化物、ベクロメタソン、ベンセラジド、水酸化ベンズアルコニウム、ベンゾカイン、安息香酸、ベータメタゾン、ベザフィブレート、ビカルタミド、ビオチン、ビペリデン、ビソプロロール、ボセンタン、ブロマゼパム、ブロムヘキシン、ブロモクリプチン、ブデソニド、ブフェキサマク、ブフロメジル、ブスピロン、カフェイン、樟脳、カンデサルタンシレキセチル、カプトプリル、カルバマゼピン、カルビドパ、カルボプラチン、カルベジロール、セファクロール、セファレキシン、セファドロキシル、セファゾリン、セフジニル、セフィキシム、セフォタキシム、セフタジジム、セフトリアキソン、セフロキシム、セレコキシブ、クロラムフェニコール、クロルヘキシジン、クロルフェニラミン、クロルタリドン、コリン、シラスタチン、シロスタゾール、シメチジン、シプロフロキサシン、シサプリド、シスプラチン、シタロプラム臭化水素酸塩、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クロミプラミン、クロナゼパム、クロニジン、クロピドグレル重硫酸塩、クロトリマゾール、クロザピン、コデイン、コレスチラミン、コエンザイムQ10、クロモグリク酸、シアノコバラミン、サイクロスポリン、シプロテロン、ダナゾール、メシル酸デラビルジン、デシプラミン、デスロラタジン、デスモプレシン、デソゲストレル、デキサメタゾン、デクスパンテノール、デキストロメトルファン、デキストロプロキシフェン、ジアゼパム、ジクロフェナク、ジゴキシン、ジヒドロコデイン、ジヒドロエルゴタミン、ジルチアゼム、ジフェンヒドラミン、ジピリダモール、ジピロン、ジソピラミド、ドセタキセル、ドンペリドン、ドーパミン、ドキシサイクリン、塩酸ドキソルビシン、ドロナビノール、デュタステライド、エファビレンツ、臭化水素酸エレトリプタン、エムトリシタビン、エナラプリル、エンロフロキサシン、エンタカポン、エフェドリン、エピネフリン、エプレレノン、エプロサルタンメシラート、エルゴカルシフェロール、エルゴロイドメシラート、酒石酸エルゴタミン、エリスロマイシン、シュウ酸エスシタロプラム、エストラジオール、エチニルエストラジオール、エトポシド、エキセメスタン、エゼチミブ、ファモチジン、フェロジピン、フェノフィブラート、フェノテロール、フェンタニール、塩酸フェキソフェナジン、フィナステリド、フラビンモノヌクレオチド、フルコナゾール、フルナリジン、フルオロウラシル、フルオキセチン、フルルビプロフェン、塩酸フルフェナジン、フルタミド、プロピオン酸フルチカゾン、フルバスタチン、フォスアンプレナビル、フォスアンプレナビルカルシウム、フロセミド、ガバペンチン、ガランタミン臭化水素酸塩、ガンシクロビル、ゲムフィブロジル、ゲンタマイシン、イチョウ葉エキス、グリベンクラミド、グリメピリド、グリピジド、ヨウカンゾウ、グリブリド、グアイフェネシン、グアナベンズ、ハロペリドール、ヘパリン、ヒアルロン酸、ヒドロクロロチアジド、ヒドロコドン、ヒドロコルチゾン、ヒドロモルホン、ヒドロキシ・テトラサイクリン、水酸化イプラトロピウム、イブプロフェン、イダルビシン、イミペネム、塩酸イミプラミン、硫酸インジナビル、インドメタシン、イオヘキソール、イオパミドール、イリノテカン、イソソルビドジニトレート、イルベサルタン、イソソルビドモノニトラート、イソトレチノイン、イスラジピン、イトラコナゾール、サジテン、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトロラック、ラベタロール、ラクツロース、ラミブジン、ラモトリジン、ランソプラゾール、レシチン、レベチラセタム、レボカルニチン、レボドパ、レボグルタミド、レボノルゲストレル、レボチロキシン、リドカイン、リパーゼ、リシノプリル、ロペラミド、ロピナビル、ロラタジン、ロラゼパム、ロバスタチン、メドロキシプロゲステロン、メロキシカム、メルファラン、メントール、メルカプトプリン、メサラミン、メトトレキセート・メチルドパ、N-メチルエフェドリン、メチルプレドニゾロン、メトクロプラミド、メトラゾン、メトプロロール、ミコナゾール、ミダゾラム、ミノサイクリン、ミノキシジル、ミソプロストール、ミトーテン、モダファニル、モメタゾン、モルヒネ、モサプリド、マルチビタミン及びミネラル、ナブメトン、ナドロール、ナフチドロフリル、ナプロキセン、ネファゾドン、メシル酸ネルフィナビル、ネオマイシン、ネビラピン、塩酸ニカルジピン、ニセルゴリン、ニコチン酸アミド、ニコチン、ニコチン酸、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ニザチジン、ノルエチステロン、ノルフロキサシン、ノルゲストレル、ノルトリプチリン、ナイスタチン、オフロキサシン、オランゼピン、オルメサルタンメドキソミル、オメプラゾール、オンダンセトロン、オルリスタット、オキスカルバゼピン、パクリタキセル、パンクレアチン、パンテノール、パントプラゾール、パントテン酸、パラセタモール、パロキセチン塩酸塩、ペニシリンG、ペニシリンV、ペルフェナジン、フェノバルビタール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、フェニトイン、ピメクロリムス、ピモジド、塩酸ピオグリタゾン、ピロキシカム、ポリミキシンB、ポビドンヨード、プラバスタチンナトリウム、プラゼパム、プラゾシン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プログルメタシン、塩酸プロパフェノン、プロプラノロール、プロポフォル、プソイドエフェドリン、ピリドキシン、塩酸キナピリル、キニジン、塩酸ラロキシフィン、ラミプリル、ラニチジン、レセルピン、レチノール、リバビリン、リボフラビン、リファンピシン、リスペリドン、リトナビル、ロスバスタチンカルシウム、ルトシド、サッカリン、サルブタモール、サルカトニン、サリチル酸、サルメテロールキシナホ酸塩、サキナビル、セルトラリン、クエン酸シルデナフィル、シンバスタチン、シロリムス、ソマトロピン、ソタロール、スピロノラクトン、スタブジン、スクラルフェート、スルバクタム、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、スルピリド、タクロリムス、タダラフィル、タモキシフェン、塩酸タムスロシン、テガフール、フマル酸テノホビルジソプロキシル、テノキシカム、テプレノン、テラゾシン、塩酸テルビナフィン、マレイン酸テガセロド、テルミサルタン、テルブタリン、テルフェナジン、サリドマイド、テオフィリン、チアミン、チアプロフェン酸、チクロピジン、チモロール、チザニジン塩酸塩、トピラメート、トランドラプリル、トラネキサム酸、トレチノイン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムテレン、トリアゾラム、トリメトプリム、トロキセルチン、ウラシル、バルデコキシブ、バルガンシクロビル塩酸塩、バルプロン酸、バルルビシン、バルサルタン、バンコマイシン、ベラパミル、塩酸バルデナフィル、ビタミンE、ザフィルルカスト、ザルシタビン、ザレプロン、ジドブジン、ジプラシドン、ゾルピデム酒石酸塩、ゾニサミド、ゾテピンが挙げられる。
【0032】
また、スプレー乾燥混合物は、スプレー乾燥組成物の性質を変えることが可能な他の有機材料を含んでもよい。例えば、ある有機物質を含有させて、粒子形態/粒径、並びに、活性成分の溶解度、生体利用効率及び放出特性を制御できる。また、混合物中に追加の有機材料を含有させて、活性物の再結晶を更に抑制し、活性物の濃度を更に最大化し、溶解速度を更に向上/遅延/阻害することもできる。この系に組み込むことが可能な追加の有機材料は、特に限定されるものではない。本発明の一実施態様においては、追加の有機材料がポリマー状である。
【0033】
スプレー乾燥される混合物は、混合物の総重量を基準として、通常溶剤/非溶剤を合計で約40重量%から約99.9重量%、特には溶剤/非溶剤を合計で約80重量%から約95重量%含む。臨界比Rcは、約0.01−0.99、特には約0.1−0.9、一層具体的には約0.3−0.8の間で変動し得る。
【0034】
また、溶剤、ポリマー及び任意の活性物に加えて、スプレー乾燥される混合物は、混合物の性能、ハンドリング、又は加工性を向上させるために、他の成分を含んでもよい。代表的な成分としては、特に限定されるものではないが、界面活性剤、pH調整剤、充填材、錯化剤、可溶化剤、色素、潤滑油、流動促進剤、味剤、可塑剤、味覚マスキング剤等が挙げられ、それらは、通常の目的に対して通常の量で使用することができる。
【0035】
本発明のプロセスで使用するスプレー乾燥装置は、種々の市販の装置のどれであってもよい。スプレー乾燥装置の具体例としては、ニロ社製のスプレー乾燥機(例えば、SD−マイクロ(登録商標)、PSD(登録商標)−1、PSD(登録商標)−2等)、ミニスプレドライヤー(ビュッヒ・ラボテクニック社)、スプレー・ドライイング・システムズ社製のスプレー乾燥機(例えば、モデル30、48、72)及び有限会社SSPのスプレー乾燥機が挙げられる。
【0036】
スプレー乾燥プロセス及びスプレー乾燥設備が、ペリーの化学技術者用ハンドブック、第6版、(R.H.ペリー、D.W.グリーン、J.O.マローニー著)、マグローヒルブック社、20−54から20−57頁に一般的に説明されている。スプレー乾燥プロセス及び設備のより詳細な説明が、マーシャル、”霧化及びスプレー乾燥”、50 ケミカル・エンジニアリング・プログレス・モノグラフ・シリーズ2(1954)に総括されている。これらの参考文献の内容を参照してここに取り込む。
【0037】
”スプレー乾燥”との語句は、従来より用いれられており、一般に、液体混合物を散らばらせて小さな液滴とすること、及び容器(スプレー乾燥装置)中の混合物から速やかに溶剤を取り除くことを含み、液滴から溶剤を気化させるための強力な推進力が存在する。霧化技術としては、二流体圧力ノズル、ロータリー噴霧器が挙げられる。液滴の乾燥温度において、溶剤の蒸気圧未満にスプレー乾燥機中の溶剤の分圧を上手く維持することで、溶剤の気化のための推進力が一般的にもたらされる。これは、(1)部分真空にスプレー乾燥機内の圧力を維持すること、(2)液体の滴を暖かい乾燥ガスと混合すること、又は(3)両方によって達成することができる。
【0038】
一般に、霧化された液滴が実質固体となる装置の壁に到達する時間までに十分に乾燥するように、並びに微細な粉体を形成し装置の壁に貼り付かないように、乾燥ガスの温度及び流量、並びにスプレー乾燥機のデザインを選択する。このレベルの乾燥を達成する実際の時間の長さは、液滴の大きさ、配合、及びスプレー乾燥機の操作に左右される。固体化に続いて、固体状の粉体をスプレー乾燥容器中に5−60秒滞留させ、固体状の粉体から溶剤を更に気化させてもよい。乾燥機内に存在するにつれ粒子の最終溶剤含有率は当然低くなるので、これによって製品のハンドリング及び安定性が向上する。一般に、スプレー乾燥組成物の残留溶剤含有率は、約10重量%未満であるべきで、好ましくは約2重量%未満である。本発明によれば通常必要ではないが、非溶剤の存在がより残留溶剤含有率の低いスプレー乾燥粉体をもたらすので、本発明のある実施態様によれば、スプレー乾燥組成物を更に乾燥して、残留溶剤をより一層低いレベルにすることが有用かもしれない。特定のスプレー乾燥プロセスに関する更なる詳細を、例においてより詳しく説明する。しかしながら、粉体をスプレー乾燥するための操作条件は、当該術分野で周知であり、当業者であれば、容易に調整することができる。更に、例は、実験室規模のスプレー乾燥機で得られた結果を説明している。当業者の一人であれば、製造規模のユニットで類似の結果を得るために、変数を変更しなければならないことを容易に理解するであろう。
【0039】
広範囲の産業で一般に利用されている無数の形態で、本発明の組成物を提供してもよい。例示的な提供例は、粉体、顆粒、多粒子である。これらの形態を直接用いて、或いは更に加工して、錠剤、カプセル、又はピルを製造してもよいし、或いは、水又は他の液体の添加により再構成して、ペースト、スラリー、懸濁液又は溶液を形成してもよい。種々の添加剤を本発明の組成物と共に混合、磨砕、造粒して、上記製品形態に好適な材料を形成してもよい。
【0040】
本発明の組成物は、液体の賦形剤中に粒子が懸濁した液として運ばれるように、種々の形態に調合してもよい。かかる懸濁液は、製造時に液体として、或いはペーストとして調合してもよいし、乾燥粉末として調合し、後ほど但し使用前に、液体、通常は水を添加してもよい。懸濁液に構成されるそのような粉体は、しばしば、小袋又は構成用経口粉末(OPC)とも呼ばれる。かかる製品形態は、公知の手法で調合及び再構成することができる。
【0041】
医薬用途では、本発明の組成物を、特に限定されるものではないが、口腔、鼻、直腸、膣、皮下、静脈、肺等の多種多様なルートで運ぶことができる。一般には、経口ルートが好ましい。
【0042】
経口で、固体剤形の医薬用スプレー乾燥粉末は、通常、平均粒径が0.5μm−500μmであり、一般に総固形分濃度が1%以上、特には約2−50%、一層具体的には約3−25%の溶液から調製される。
【0043】
経口で、固体剤形の医薬用顆粒は、通常、平均粒径が50μm−5000μmである。顆粒を製造する技術としては、特に限定されるものではないが、湿式造粒、及び種々の流動床造粒方法が挙げられる。
【0044】
以下の非限定的な例によって、本発明を更に詳細に説明する。
【実施例】
【0045】
A.例#1
1.ポリビニルピロリドン(PVP)(プラスドン(登録商標)K−29/32、インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ)(10重量%)溶液を、単一溶剤溶液、及び溶剤/非溶剤比が異なる2種の溶剤/非溶剤ブレンド溶液からスプレー乾燥した。溶剤はジクロロメタンであり、非溶剤はアセトンであった。
2.SD−マイクロ(登録商標)(ニロ社)のスプレー乾燥機上でスプレー乾燥を行い、スプレー乾燥される溶液の溶剤組成以外は実験条件を一定に維持した。
3.残留溶剤含有率
4.粒子形態
a.溶剤から:図1Aに示すように、粘稠作用に起因して球形及び糸様の尾部。
b.溶剤/非溶剤から:非溶剤含有率が上昇するにつれて形状の不規則性が向上した、より小さく、非球形の粒子(図1B及び1C)、100%溶剤の実験で観測された粘稠な糸は失われている。
【0046】
B.例#2
1.ポリビニルピロリドン(PVP)(プラスドン(登録商標)K−29/32、インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ)(10重量%)を、第2の添加ポリマーとしてメタクリル酸共重合体が添加された、並びに添加されていない、60%溶剤/40%非溶剤の溶剤混合液からスプレー乾燥した。溶剤はジクロロメタンであり、非溶剤はアセトンであった。
2.SD−マイクロ(登録商標)(ニロ社)のスプレー乾燥機上で、第2ポリマーの添加以外は同一の実験条件下で、スプレー乾燥を行った。
3.結果:
a.残留溶剤含有率:
【0047】
C.例#3
1.1部のカルバマゼピン(CBZ)を、1部のポリビニルピロリドン(PVP)(プラスドン(登録商標)K−29/32、インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ)(10重量%)及び1部のポリビニルピロリドン-co-酢酸ビニル(PVP−VA)(プラスドン(登録商標)S−630、インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ)と共に、10重量%の固形分濃度で、溶剤/非溶剤溶液からスプレー乾燥した。溶剤はジクロロメタン(20%)であり、非溶剤はアセトン(80%)であった。
2.SD−マイクロ(登録商標)(ニロ社)のスプレー乾燥機上で、溶剤組成以外は同一の実験条件下で、スプレー乾燥を行った。
3.結果
a.溶剤溶液からのCBZ
1)粒子形態:図2Aに示すように球状
2)粒径(光学顕微鏡による):10μm
3)スプレー乾燥直後の残留溶媒:3.2%
4)嵩密度:0.041g/mL
5)1250回タップ後の密度:0.064g/mL
6)変調示差走査熱量計(MDSC)で検出され、図3に示すように、製品はポリマー形態のCBZ結晶を含んでいた。
b.溶剤/非溶剤溶液からのCBZ
1)粒子形態:図2Bに示すように球状
2)粒径(光学顕微鏡による):3μm−5μm
3)スプレー乾燥直後の残留溶媒:2.0%
4)嵩密度:0.057g/mL
5)1250回タップ後の密度:0.18g/mL
6)先の例に基づくと球状の形態は予期されず、窪みがあり、レーズン様で、或いは折り畳まれた粒子が予期される。第2ポリマーの存在が粒子形態を変え、球状粒子を創り出す。
7)MDSCでは、結晶の残留は検出されなかった(図3)。
【0048】
D.例#4
1.1部のエファビレンツ(EFV)を、3部のポリビニルピロリドン-co-酢酸ビニル(PVP−VA)(プラスドン(登録商標)S−630、インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ)と共に、10重量%の固形分濃度で、溶剤/非溶剤溶液からスプレー乾燥した。溶剤はアセトン(33%)であり、非溶剤はヘキサン(66%)であった。
2.SD−マイクロ(登録商標)(ニロ社)のスプレー乾燥機上で、溶剤組成以外は同一の実験条件下で、スプレー乾燥を行った。
3.結果
a.溶剤溶液からのEFV
1)粒子形態:図4Aに示すように球状
2)粒径(光学顕微鏡による):5μm
3)嵩密度:0.13g/mL
4)1250回タップ後の密度:0.21g/mL
b.溶剤/非溶剤溶液からのEFV
1)粒子形態:図4Bに示すように球状
2)粒径(光学顕微鏡による):1μm
3)嵩密度:0.28g/mL
4)1250回タップ後の密度:0.47g/mL
【0049】
E.例#5
1.エファビレンツ(EFV)と溶解度向上ポリマーとを、EFV:ポリビニルピロリドン(PVP)(プラスドン(登録商標)K−29/32、インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ)の比を1:3とし、2%のラウリル硫酸ナトリウム(乾燥基準)と共に、溶剤/非溶剤溶液からスプレー乾燥した。ジクロロメタンを溶剤とし、アセトンを非溶剤とした。
2種の溶液を、SD−マイクロ(登録商標)(ニロ社)のスプレー乾燥機上で、同一条件下でスプレー乾燥し、スプレー乾燥粉体を生産した。
2.示差走査熱量計を用いて、2種の組成物におけるEFVの結晶化度を分析した。EFVの溶融による吸熱がないことで示されるように、両方の粉体ともアモルファス状であった(図5)。
3.両方のアモルファス状EFV組成物は、USP装置II(櫂)で試験したところ、結晶形態よりも、USP水中での放出速度が速く、最大濃度が高かった。驚くべきことに、溶剤/非溶剤溶液からのスプレー乾燥粉体は、溶剤のみの溶液からスプレー乾燥した粉体よりも、放出が速く、放出度合が高かった(図6)。
【0050】
J.例#6
1.コエンザイムQ10(CoQ10)を、ポリビニルピロリドン(PVP)(プラスドン(登録商標)K−29/32、インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ)と共に、CoQ10:PVPの比を1:3とし、総固形分20%で、スプレー乾燥した。2種のスプレー乾燥粉体を、一方は100%のジクロロメタン(DCM)から、もう一方は80%のDCMと20%のアセトンとの混合液から作製した。CoQ10はDCM及びアセトンの両方に可溶であるものの、PVPはDCMのみに可溶である。他の総てのスプレー乾燥条件は、同一のままとした。
2.サンプルの分析は、装置II(櫂)を用いたUSP溶解を含む。総てのサンプルをサイズ1のゼラチンカプセルに手で詰めた。浴温を37℃とし、最初の60分間、櫂速度を50rpmとし、次に、追加の15分間、櫂速度を200rpmとした。溶解媒体は、クレモフォー(登録商標)EL(BASF社)を2%、アコノン(登録商標)MC8(アビテック社)を4%含んでいた。試験結果を表1に示す。
3.両方のスプレー乾燥粉体とも、結晶性CoQ10(標準)に比べて、溶解特性が向上していた(図7)。溶剤系の変化が溶解挙動に影響を及ぼし、溶剤/非溶剤溶液からの粉体は、放出が顕著に速く、放出度合が顕著に高かった。驚くべきことに、CoQ10が50%溶解するのに要する時間(t50%)が18分(100%溶剤)から5分(溶剤/非溶剤混合液)に短縮された。同様に、CoQ10が80%溶解するのに要する時間(t80%)が、100%溶剤から溶剤/非溶剤混合液に変更することで、68分から12分に短縮された。
4.溶剤溶液からの粒子は、球状/球形であった(図8A)のに対し、溶剤/非溶剤混合液から形成された粒子は、より小さく、糸様であった(図8B)。また、溶剤から溶剤/非溶剤に変更することで、スパンが小さくなること(表1)で示されるように、粒径の分布が小さくなった(図9)。
5.驚くべきことに、溶剤系の変更は、CoQ10の物理化学をも変化させた。両方の製品とも原料よりも結晶性が低いが、溶剤/非溶剤混合液から調製したサンプルはアモルファス状であり、一方、100%DCMからスプレー乾燥した粉体では有意の結晶化度が測定された(図10)。溶剤/非溶剤混合液によるアプローチの他の利点としては、残留溶剤含有率がより低いこと、密度がより高いことが挙げられる。
【0051】
【表1】
【0052】
当業者であれば、添付の特許請求の範囲で規定される発明の精神及び範囲から逸脱すことなく、ここに記載した組成物及び/又は製造方法の工程又は工程の順番を変更できるかもしれない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1A】例1#に従って製造された粒子の顕微鏡写真の像である。
【図1B】例1#に従って製造された粒子の顕微鏡写真の像である。
【図1C】例1#に従って製造された粒子の顕微鏡写真の像である。
【図2A】例3#に従って製造された粒子の顕微鏡写真の像である。
【図2B】例3#に従って製造された粒子の顕微鏡写真の像である。
【図3】例3#に従って製造された粒子の熱流対温度のプロットである。
【図4A】例4#に従って製造された粒子の顕微鏡写真の像である。
【図4B】例4#に従って製造された粒子の顕微鏡写真の像である。
【図5】例5#に従って製造された組成物の熱流対温度のプロットである。
【図6】例5#に従って製造された組成物の放出百分率対時間のプロットである。
【図7】例6#に従って製造された組成物の放出百分率対時間のプロットである。
【図8A】例6#に従って製造された粒子の顕微鏡写真の像である。
【図8B】例6#に従って製造された粒子の顕微鏡写真の像である。
【図9】例6#に従って製造された粒子の頻度対粒径のプロットである。
【図10】例6#に従って製造された組成物の熱流対温度のプロットである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)有機材料を該有機材料に対する溶剤と非溶剤のブレンド中に含む混合物を準備し、
b)該混合物を液滴又は顆粒のいずれか中に分配し、
c)前記溶剤と非溶剤の混合物を気化させて、平均サイズが約0.5μmから約5000μmの粒子を形成する
固体材料の調製方法。
【請求項2】
前記溶剤は、前記非溶剤より沸点が低いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機材料が炭水化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記有機材料が活性物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記有機材料がポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記混合物が、更に活性剤を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記混合物が、更に一種以上の医薬として受容可能な成分を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記有機材料が、脂肪族ポリエステル類、糖アルコール類、カルボキシアルキルセルロース類、アルキルセルロース類、ゼラチン類、ヒドロキシアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体、ポリアミン類、ポリエチレングリコール、メタクリル酸重合体及び共重合体、N-ビニルピロリドンの単独重合体及び共重合体、ビニルラクタムの単独重合体及び共重合体、デンプン類、多糖類、ポリグリコール類、ポリビニルエステル類、精製/変性セラック、並びにそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記有機材料がポリビニルピロリドンを含み、前記溶剤がジクロロメタンを含み、前記非溶媒がアセトンを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記有機材料がヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを含み、前記溶剤がアセトンを含み、前記非溶媒がシクロヘキサンを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記有機材料がポリビニルピロリドン-co-酢酸ビニルを含み、前記溶剤がアセトンを含み、前記非溶媒がヘキサンを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記有機材料がエチルセルロースを含み、前記溶剤がアセトンを含み、前記非溶媒が水を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒及び非溶媒が、溶剤約5%:非溶剤約95%から溶剤約95%:非溶剤約5%の比で存在することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒対非溶媒の比を、前記ポリマーが前記混合物に溶解するように選択することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記混合物中の前記有機材料の濃度が、約1%から約90%であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記混合物が、更に第2の有機材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の有機材料がポリビニルピロリドンを含み、前記第2の有機材料が活性剤であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記固体組成物は、溶剤のみを含有する混合物から製造した固体組成物よりも、スプレー乾燥又は造粒直後に含有する残留溶剤が少ないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記固体組成物は、含有する残留溶剤が約2%未満であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記固体材料が粒子を含み、該粒子は、溶剤のみを含有する混合物から製造した粒子よりも、密度が高いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記混合物は、固形分含有率が約1重量%よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
非溶剤を含まないポリマー系を用いて達成可能な量よりも少ないポリマーを用いて、前記活性剤をアモルファス状態にすることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項23】
前記活性剤は、非溶剤を含まないポリマー系を用いて調製したコントロールの組成物に比べて溶解性が向上していることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項24】
前記活性剤は、非溶剤を含まないポリマー系を用いて調製したコントロールの組成物に比べて溶解速度が向上していることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項25】
前記活性剤は、非溶剤を含まないポリマー系を用いて調製したコントロールの組成物に比べて溶解度が向上していることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法で製造した粒子を含む組成物。
【請求項27】
請求項26に記載の組成物を含む医薬品組成物。
【請求項28】
経口の形態で、固体剤形である請求項26に記載の医薬品組成物。
【請求項29】
ポリマーを該ポリマーに対する溶剤と非溶剤のブレンド中に含む混合物をスプレー乾燥して、スプレー乾燥組成物を形成する
スプレー乾燥組成物の調製方法。
【請求項30】
前記スプレー乾燥組成物は、平均サイズが約0.5μmから約5000μmの粒子を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記混合物が、更に活性成分を含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記活性成分が、医薬として活性な材料を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記スプレー乾燥組成物が、活性成分を少なくとも約25重量%含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記スプレー乾燥組成物が、活性成分を少なくとも約50重量%含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記スプレー乾燥組成物が、活性成分を少なくとも約75重量%含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記スプレー乾燥組成物は、放出する活性物の百分率が、非溶剤を含まない同一の溶剤からスプレー乾燥された同一のポリマーと活性物を含む系から調製したコントロールの組成物よりも少なくとも約25%大きい溶解プロファイルを示すことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記スプレー乾燥組成物は、放出する活性物の初期速度が、非溶剤を含まない同一の溶剤からスプレー乾燥された同一のポリマーと活性物を含む系から調製したコントロールの組成物よりも少なくとも約25%大きい溶解プロファイルを示すことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記スプレー乾燥組成物は、放出する活性物の百分率が、非溶剤を含まない同一の溶剤からスプレー乾燥された同一のポリマーと活性物を含む系から調製したコントロールの組成物よりも少なくとも約100%大きい溶解プロファイルを示すことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項39】
前記スプレー乾燥組成物は、放出する活性物の初期速度が、非溶剤を含まない同一の溶剤からスプレー乾燥された同一のポリマーと活性物を含む系から調製したコントロールの組成物よりも少なくとも約100%大きい溶解プロファイルを示すことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項40】
請求項24に記載の方法で製造したスプレー乾燥組成物。
【請求項41】
更に、前記液滴を粒状の基材上に堆積させる、請求項1に記載の方法。
【請求項1】
a)有機材料を該有機材料に対する溶剤と非溶剤のブレンド中に含む混合物を準備し、
b)該混合物を液滴又は顆粒のいずれか中に分配し、
c)前記溶剤と非溶剤の混合物を気化させて、平均サイズが約0.5μmから約5000μmの粒子を形成する
固体材料の調製方法。
【請求項2】
前記溶剤は、前記非溶剤より沸点が低いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機材料が炭水化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記有機材料が活性物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記有機材料がポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記混合物が、更に活性剤を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記混合物が、更に一種以上の医薬として受容可能な成分を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記有機材料が、脂肪族ポリエステル類、糖アルコール類、カルボキシアルキルセルロース類、アルキルセルロース類、ゼラチン類、ヒドロキシアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体、ポリアミン類、ポリエチレングリコール、メタクリル酸重合体及び共重合体、N-ビニルピロリドンの単独重合体及び共重合体、ビニルラクタムの単独重合体及び共重合体、デンプン類、多糖類、ポリグリコール類、ポリビニルエステル類、精製/変性セラック、並びにそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記有機材料がポリビニルピロリドンを含み、前記溶剤がジクロロメタンを含み、前記非溶媒がアセトンを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記有機材料がヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを含み、前記溶剤がアセトンを含み、前記非溶媒がシクロヘキサンを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記有機材料がポリビニルピロリドン-co-酢酸ビニルを含み、前記溶剤がアセトンを含み、前記非溶媒がヘキサンを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記有機材料がエチルセルロースを含み、前記溶剤がアセトンを含み、前記非溶媒が水を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒及び非溶媒が、溶剤約5%:非溶剤約95%から溶剤約95%:非溶剤約5%の比で存在することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒対非溶媒の比を、前記ポリマーが前記混合物に溶解するように選択することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記混合物中の前記有機材料の濃度が、約1%から約90%であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記混合物が、更に第2の有機材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の有機材料がポリビニルピロリドンを含み、前記第2の有機材料が活性剤であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記固体組成物は、溶剤のみを含有する混合物から製造した固体組成物よりも、スプレー乾燥又は造粒直後に含有する残留溶剤が少ないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記固体組成物は、含有する残留溶剤が約2%未満であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記固体材料が粒子を含み、該粒子は、溶剤のみを含有する混合物から製造した粒子よりも、密度が高いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記混合物は、固形分含有率が約1重量%よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
非溶剤を含まないポリマー系を用いて達成可能な量よりも少ないポリマーを用いて、前記活性剤をアモルファス状態にすることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項23】
前記活性剤は、非溶剤を含まないポリマー系を用いて調製したコントロールの組成物に比べて溶解性が向上していることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項24】
前記活性剤は、非溶剤を含まないポリマー系を用いて調製したコントロールの組成物に比べて溶解速度が向上していることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項25】
前記活性剤は、非溶剤を含まないポリマー系を用いて調製したコントロールの組成物に比べて溶解度が向上していることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法で製造した粒子を含む組成物。
【請求項27】
請求項26に記載の組成物を含む医薬品組成物。
【請求項28】
経口の形態で、固体剤形である請求項26に記載の医薬品組成物。
【請求項29】
ポリマーを該ポリマーに対する溶剤と非溶剤のブレンド中に含む混合物をスプレー乾燥して、スプレー乾燥組成物を形成する
スプレー乾燥組成物の調製方法。
【請求項30】
前記スプレー乾燥組成物は、平均サイズが約0.5μmから約5000μmの粒子を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記混合物が、更に活性成分を含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記活性成分が、医薬として活性な材料を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記スプレー乾燥組成物が、活性成分を少なくとも約25重量%含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記スプレー乾燥組成物が、活性成分を少なくとも約50重量%含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記スプレー乾燥組成物が、活性成分を少なくとも約75重量%含むことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記スプレー乾燥組成物は、放出する活性物の百分率が、非溶剤を含まない同一の溶剤からスプレー乾燥された同一のポリマーと活性物を含む系から調製したコントロールの組成物よりも少なくとも約25%大きい溶解プロファイルを示すことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記スプレー乾燥組成物は、放出する活性物の初期速度が、非溶剤を含まない同一の溶剤からスプレー乾燥された同一のポリマーと活性物を含む系から調製したコントロールの組成物よりも少なくとも約25%大きい溶解プロファイルを示すことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記スプレー乾燥組成物は、放出する活性物の百分率が、非溶剤を含まない同一の溶剤からスプレー乾燥された同一のポリマーと活性物を含む系から調製したコントロールの組成物よりも少なくとも約100%大きい溶解プロファイルを示すことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項39】
前記スプレー乾燥組成物は、放出する活性物の初期速度が、非溶剤を含まない同一の溶剤からスプレー乾燥された同一のポリマーと活性物を含む系から調製したコントロールの組成物よりも少なくとも約100%大きい溶解プロファイルを示すことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項40】
請求項24に記載の方法で製造したスプレー乾燥組成物。
【請求項41】
更に、前記液滴を粒状の基材上に堆積させる、請求項1に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2009−502487(P2009−502487A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524228(P2008−524228)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/029604
【国際公開番号】WO2007/016435
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(596121138)アイエスピー インヴェストメンツ インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】ISP INVESTMENTS INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/029604
【国際公開番号】WO2007/016435
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(596121138)アイエスピー インヴェストメンツ インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】ISP INVESTMENTS INC.
【Fターム(参考)】
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