説明

スプレー缶の圧抜き構造

【課題】スプレー缶の圧力を容易かつ迅速に抜くことのできるスプレー缶の圧抜き構造を提供すること。
【解決手段】流体を圧縮して入れる密閉缶体14と、該密閉缶体14内の流体を外部へ導く噴出経路16と、該噴出経路16を閉鎖又は開放する開閉手段18と、該噴出経路16を開放した状態に維持する開放維持手段と、から成るスプレー缶の圧抜き構造350であって、密閉缶体14にガード352が取り付けられ、開放維持手段が、このガード352に折り曲げ可能に設けられた折曲プレート358から構成されており、押圧部材38を押し下げた状態で、折曲プレート358を折り曲げて噴出経路16を開放した状態に維持して密閉缶体14内の圧力を外部へ抜くようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品、塗料、又はプロパンガス等を圧縮充填しておいて噴出させるスプレー缶の圧抜き構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、化粧品等の流体をスプレー缶に充填して販売している。図36に、このスプレー缶の一例として、化粧品のスプレー缶101を示す。スプレー缶101は、化粧品(流体)102を圧縮して入れる密閉缶体103と、この化粧品102を外部へ導く噴出経路104と、この噴出経路104を閉鎖又は開放する開閉手段105とを備えている。噴出経路104は、図37に示すように、密閉缶体103内の化粧品102内に通じるパイプ106と、外部に通じる噴出口107と、パイプ106及び噴出口107を連結する連結経路108とを備えている。連結経路108は、パイプ106を支持するパイプ支持部材109の中空部110と、パイプ支持部材109に挿入された移動部材111の中空部112とから構成される。開閉手段105は、中空部110と中空部112との連結部を閉鎖するパッキン113と、移動部材111を押し下げてパッキン113による閉鎖を開放する押圧部材114とから構成されている。このスプレー缶101は、パッキン113によって噴出経路104を閉鎖して密閉する一方で、使用時には、図38に示すように、押圧部材114を指115で押し下げてパッキン113を変形させ、噴出経路104を開放して化粧品102を外部へ噴出させることができる。
【0003】
このようなスプレー缶101は、廃棄する場合には、多少残っているガスの暴発を防止するために、押圧部材114を指115で押し下げて化粧品102を殆ど全て噴出させることにより、密閉缶体103内の圧力を抜いて外部圧力と略同じにしていた。しかし、このようにして圧力を抜くには時間がかかった。また、密閉缶体103に孔を開けることによって密閉缶体103内の圧力を抜くこともあった。しかし、この場合には、工具を使用して困難な作業を行う必要があり、専用装置を使用する場合にはコストが必要となった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明者は、スプレー缶の圧抜き構造に関して、さらに鋭意研究を重ねた結果、本発明に至ったのである。すなわち、本発明は、使用済のスプレー缶を廃棄する際に、スプレー缶の内圧を、容易、迅速かつ安全に抜くようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、流体を圧縮して入れる密閉缶体と、該密閉缶体内の流体を外部へ導く噴出経路と、該噴出経路を閉鎖又は開放する開閉手段と、該噴出経路を開放した状態に維持する開放維持手段と、から成るスプレー缶の圧抜き構造であり、
前記噴出経路は、前記密閉缶体内に通じるパイプと、外部に通じる噴出口と、該パイプ及び該噴出口を連結する連結経路と、から構成され、
前記連結経路は、前記パイプを支持するパイプ支持部材の中空部と、該パイプ支持部材に挿入された移動部材の中空部と、から構成され、
前記開閉手段は、前記パイプ支持部材の中空部と前記移動部材の中空部との連結部を閉鎖するパッキンと、前記移動部材を押し下げてパッキンによる閉鎖を開放する押圧部材と、から構成され、
前記密閉缶体のかしめ突起部に前記押圧部材を囲むようにガードが取り付けられ、該押圧部材の一端部が該ガードに連結され、該押圧部材の他端部にレバーが設けられ、
前記開放維持手段が、前記ガードに折り曲げ可能に設けられた折曲プレートから構成されており、
前記レバーを操作して前記押圧部材を押し下げた状態で、前記折曲プレートを折り曲げて該折曲プレートの下側で該押圧部材を係合させることによって、前記噴出経路を開放した状態に維持して前記密閉缶体内の圧力を外部へ抜くことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
開放維持手段を備える本発明のスプレー缶及びスプレー缶の圧抜き構造によれば、噴出経路が開放した状態で維持できる。このため、スプレー缶を廃棄する際には、噴出経路が開放した状態に維持して放置するのみで圧力を抜くことができる。
【0007】
破砕手段を備える本発明のスプレー缶及びスプレー缶の圧抜き構造によれば、密閉缶体内の流体を外部へ噴出させるための経路を別個に形成することができ、流体を噴出させる際の流体摩擦等を少なくできる。このため、スプレー缶を廃棄する際に、流体を迅速かつ容易に外部へ抜くことができる。
【0008】
また、破砕手段が連結経路を分離する手段である本発明のスプレー缶及びスプレー缶の圧抜き構造によれば、噴出経路の同一位置で確実に破砕することができる。このため、破砕が不十分であるために外部へ噴出させるための経路を別個に形成することができない場合、又は形成した経路が流体摩擦等を少なくするには不十分の寸法である場合が生じることはない。
【0009】
また、押圧部材の移動距離を規制する規制手段を備えた本発明のスプレー缶及びスプレー缶の圧抜き構造によれば、通常使用する際は押圧部材の移動を規制して噴出経路の破砕を防止できる一方、スプレー缶を廃棄する際は規制を解除して噴出経路を破砕できる。
【0010】
また、開閉手段の押圧部材が破砕手段の押圧部材である本発明のスプレー缶及びスプレー缶の圧抜き構造によれば、開閉部材の押圧部材を、噴出経路を破砕するための押圧部材として兼用できる。このため、スプレー缶全体の構成がコンパクトになる、コストの低減を図ることができる。
【0011】
また、リリース経路形成手段を備えた本発明のスプレー缶及びスプレー缶の圧抜き構造によれば、例えば密閉缶体の外部に直接通じるリリース経路を形成することによって、流体を迅速かつ容易に外部へ抜くことができる。
【0012】
また、開閉手段が噴出経路を開放できない状態に維持するロック手段を備えた本発明のスプレー缶及びスプレー缶の圧抜き構造によれば、このロック手段を解除しない限り、化粧品を噴出することができないので、スプレー缶のキャップを不要にすることができ、スプレー缶全体の構成がコンパクトになる、コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明に係るスプレー缶、及びスプレー缶の圧抜き構造の実施の形態について図面に基づいて詳しく説明する。
【0014】
図1において、符号200は、本発明のスプレー缶である。スプレー缶200は、ヘアトリートメント等の化粧品(流体)を圧縮して入れる密閉缶体14と、密閉缶体14内の化粧品を外部へ導く噴出経路16と、噴出経路16を閉鎖又は開放する開閉手段18と、噴出経路16を開放した状態に維持する開放維持手段202とを備えている。開放維持手段202がスプレー缶の圧抜き構造として機能する。
【0015】
噴出経路16は、密閉缶体14内の化粧品内に通じるパイプ22と、外部に通じる噴出口24と、パイプ22及び噴出口24を連結する連結経路26とを備えている。連結経路26は、パイプ22を支持するパイプ支持部材28の中空部30と、パイプ支持部材28に挿入された移動部材32の中空部34とから構成される。開閉手段18は、中空部30と中空部34との連結部を閉鎖するパッキン36と、移動部材32を押し下げてパッキン36による閉鎖を開放する押圧部材38とから構成されている。
【0016】
開放維持手段202は、移動部材32のまわりに回動可能な押圧部材38に設けられた2個の凸部204と、密閉缶体14に設けられた2個の爪部206とから構成されている。
【0017】
このスプレー缶200は、化粧品用等として通常に使用する場合には、押圧部材38を押圧して移動部材32を下へ移動させることにより、移動部材32に係合されているパッキン36が変形し、中空部30と中空部34とが通じることとなる。中空部30と中空部34とが通じることにより、密閉缶体14内の圧力によって、化粧品がパイプ22から中空部30及び34を通って噴出口24から噴出する。
【0018】
次に、スプレー缶200が使用済となり、スプレー缶200を廃棄する場合、押圧部材38を90°回動させ、押圧部材を押圧して移動部材32を下へ移動させた状態で、図2(a)に示すように、凸部204を爪部206の下に係合させる。凸部204を爪部206の下に係合させることにより、図2(b)に示すように、パッキン36が変形して中空部30と中空部34とが通じる状態が維持される。中空部30と中空部34とが通じる状態が維持されることにより、押圧部材38から手を離して放置しておいても、化粧品がパイプ22から中空部30及び34を通って噴出口24から噴出し続け、密閉缶体14内の圧力が自動的に抜かれていく。
【0019】
このようにして化粧品を密閉缶体14から抜くことにより、密閉缶体14内の圧力が減少して略大気圧と同じになる。圧力が略大気圧と同じになった状態でスプレー缶200を廃棄処分する。
【0020】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明のスプレー缶は、その他の形態でも実施し得るものである。
【0021】
例えば、本発明のスプレー缶は、図3に示すスプレー缶210であっても良い。このスプレー缶210は、密閉缶体14と、噴出経路16と、開閉手段18と、噴出経路16の一部を破砕する破砕手段212とを備えている。破砕手段212が、スプレー缶の圧抜き構造として機能する。破砕手段212は、移動部材32によって構成され、移動部材32を深く押し下げることにより、移動部材32によってパイプ支持部材28を分離し破砕するように構成されている。なお、パイプ支持部材28の周囲には、分離しやすいようにV字断面の切り欠き42が設けられている。また、密閉缶体14の最上部には係合凹部214を有するリング216が備えられている。一方、押圧部材38を覆うキャップ218が備えられ、キャップ218の内面には、係合凹部214に係合する係合凸部220及び係合凹部214に嵌合する嵌合凸部222が設けられている。
【0022】
このスプレー缶210は、通常に使用する場合には、図4に示すように、押圧部材38を指48で押圧して移動部材32を下へ移動させることにより、移動部材32に係合されているパッキン36が変形し、中空部30と中空部34とが通じることとなる。中空部30と中空部34とが通じることにより、密閉缶体14内の圧力によって、化粧品がパイプ22から中空部30及び34を通って噴出口24から噴出する。
【0023】
次に、スプレー缶210が使用済となり、スプレー缶210を廃棄する場合、キャップ218を手で下へ強く押圧して、図5に示すように、嵌合凸部222を係合凹部214に嵌合させる。次に、キャップ218を手で把持して引っ張り上げることにより、図6に示すように、押圧部材38及びリング216が上へ離脱させられる。次に、スプレー缶210を逆さに向けて移動部材32を下に向けて硬い地面等に叩きつける。これに伴い移動部材32が、上記通常の使用時よりも移動し、移動部材32がパイプ支持部材28の内面に当たり、パイプ支持部材28が切り欠き42から分離して破砕する。図7に示すように、分離した部分は、密閉缶体14内に落下する。パイプ支持部材28が破砕することにより、密閉缶体14内の圧力によって、化粧品は破砕部から中空部30に流入し外部へ噴出する。化粧品はパイプ22内を介さずに噴出するため、パイプ22内面との流体摩擦による速度減少がなく、化粧品は、より迅速に噴出する。なお、パイプ支持部材28を破砕したとき、移動部材32をも密閉缶体14内に落下させても良い。このことで、化粧品を更に迅速に噴出させることが可能となる。また、スプレー缶210の移動部材32を下に向けて硬い地面等に当てて、スプレー缶210に体重を掛けてパイプ支持部材28を破砕しても良い。また、押圧部材38自体を地面等に叩きつけ或いは体重を掛けてパイプ支持部材28を破砕しても良い。この場合、移動部材32をより長く構成することが好ましい。
【0024】
また、スプレー缶210において、リング216を蝋等の破砕しやすい材料から構成しておき、リング216を破砕して取り去り、移動部材32を深く押し込める構成としても良い。また、リング216を、上方へ抜き出せる構成にしても良い。
【0025】
次に、本発明のスプレー缶は、図8に示すスプレー缶230であっても良い。このスプレー缶230は、中空部30の下部付近がテーパー形状に構成され、リング216を外して移動部材32を深く押し込むことにより、移動部材32が中空部30内に圧入されて固定され、圧力が抜ける状態に維持できるように構成されている。中空部30の下部付近のテーパー形状が、開放維持手段(圧抜き構造)として機能する。
【0026】
次に、本発明のスプレー缶は、図9に示すスプレー缶240であっても良い。このスプレー缶240は、密閉缶体14の底部に溝模様242を備えている。この溝模様242は、小円溝244、大円溝246及び放射状溝248から構成されている。このような溝模様242を設けておくことにより、スプレー缶240を廃棄する際に、手や工具等によって容易に密閉缶体14の底部を破砕して圧力を抜くことができる。なお、図9においては、一例として、密閉缶体14の底部の内面に溝模様242を備える形態を示しているが、溝模様242を密閉缶体14の底部の外面に備えても良い。また、図9においては、一例として、菊模様乃至オレンジの輪切り模様の溝模様242を示しているが、亀甲模様又は鱗模様等であっても良い。
【0027】
また、本発明のスプレー缶は、図10に示すスプレー缶10であっても良い。スプレー缶10は、ヘアトリートメント等の化粧品(流体)を圧縮して入れる密閉缶体14と、密閉缶体14内の化粧品を外部へ導く噴出経路16と、噴出経路16を閉鎖又は開放する開閉手段18と、噴出経路16の一部を破砕する破砕手段20とを備えている。破砕手段20は、移動部材32とバネ40とによって構成され、移動部材32を深く押し下げることにより、バネ40の付勢力によってパイプ支持部材28を分離し破砕するように構成されている。なお、パイプ支持部材28の周囲には、分離しやすいようにV字断面の切り欠き42が設けられている。また、スプレー缶10の廃棄時以外にパイプ支持部材28が破砕しないように、押圧部材38を押し下げる距離を規制する樹脂製のストッパー44(規制手段)が押圧部材38の下部に分離可能に固定されている。
【0028】
このスプレー缶10は、通常に使用する場合には、図11に示すように、押圧部材38を指48で押圧して移動部材32を下へ移動させることにより、移動部材32に係合されているパッキン36が変形し、中空部30と中空部34とが通じることとなる。中空部30と中空部34とが通じることにより、密閉缶体14内の圧力によって、化粧品がパイプ22から中空部30及び34を通って噴出口24から噴出する。
【0029】
次に、スプレー缶10が使用済となり、スプレー缶10を廃棄する場合、ストッパー44を図12に示す切取線46から切り取る。次に、押圧部材38を指48で押圧して押圧部材38が密閉缶体14に接触する程度まで押し下げる。これに伴い移動部材32が、上記通常の使用時よりも下へ移動し、バネ40の付勢力は上記通常の使用時よりも増大する。増大した付勢力により、図13に示すように、パイプ支持部材28が切り欠き42から分離して破砕する。パイプ支持部材28が破砕することにより、密閉缶体14内の圧力によって、化粧品は破砕部から中空部30に流入し外部へ噴出する。化粧品はパイプ22内を介さずに噴出するため、パイプ22内面との流体摩擦による速度減少がなく、化粧品は、より迅速に噴出する。
【0030】
次に、本発明のスプレー缶は、図14に示すスプレー缶50であっても良い。このスプレー缶50は、移動部材52が図10のスプレー缶10の移動部材32よりも長く構成されている。このため、スプレー缶50を廃棄する際にストッパー44を切り取って押圧部材38を押し下げた場合、移動部材52が直接的にパイプ支持部材28に当たって、図15に示すように、パイプ支持部材28が分離する。
【0031】
また、図16に示すスプレー缶56であっても良い。このスプレー缶56は、パッキン58を含んで構成される噴出経路16において、スプレー缶56を廃棄する際にストッパー44を切り取って押圧部材38を押し下げた場合、移動部材32に係合されているパッキン58が伸びて破砕するように構成されている。
【0032】
次に、本発明のスプレー缶は、図17に示すスプレー缶60であっても良い。このスプレー缶60は、密閉缶体14と、噴出経路16と、開閉手段18と、化粧品を外部へ抜くリリース経路を形成するリリース経路形成手段62とを備えている。リリース経路形成手段62がスプレー缶の圧抜き構造として機能する。リリース経路形成手段62は、図18に示すように、移動部材64の外周に設けられた凹部66とパッキン36とにより構成される。押圧部材38は、圧力を抜く孔68が設けられている。このスプレー缶60は、廃棄する際にストッパー44を切り取って押圧部材38を押し下げた場合、図19に示すように、パッキン36と凹部66との間にリリース経路70が形成され、リリース経路70から孔68を通って化粧品が抜かれていく。
【0033】
また、本発明のスプレー缶は、図20に示すスプレー缶72であっても良い。このスプレー缶72は、密閉缶体14に孔74が設けられ、孔74を閉鎖部材76によって閉鎖している。孔74と閉鎖部材76は斜面によって接触し、密閉缶体14の内圧によって閉鎖部材76が押圧され孔74に密着している。このスプレー缶72は、廃棄する際には、押圧部材38を取り外し又は破壊し、閉鎖部材76を密閉缶体14の内側に向けて押圧し、密閉缶体14内に落とすことにより、孔74が開放されて圧力を抜くリリース経路となる。
【0034】
また、本発明のスプレー缶は、図21に示すスプレー缶300であっても良い。このスプレー缶300は、押圧部材38が密閉缶体14に対して回動可能であり、押圧部材38は凸部302を備え、密閉缶体14は爪部304を備えている。このスプレー缶300は、販売時には、図21(a)及び(b)に示すように凸部302が爪部304の上側に係合されて止められ、押圧部材38を下へ移動させて化粧品を噴出することができない状態となっている。即ち、凸部302及び爪部304によって、噴出経路16を開放できない状態に維持するロック手段を構成している。押圧部材38を回動させてロック手段を解除しない限り、化粧品を噴出することができないので、スプレー缶のキャップが不要となる。
【0035】
化粧品を噴出させる場合には、図21(c)に示すように、押圧部材38を略90°回動させて凸部302が爪部304に干渉しない状態とし、押圧部材38を下へ移動させて化粧品を噴出することができる。また、廃棄時には、押圧部材38を下へ移動させてから略90°回動させて凸部302を爪部304の下側に係合して止めることによって、噴出経路16を開放した状態に維持することができ、化粧品が噴出する状態に維持できる。
なお、凸部302の上部に切断可能な突起を設け、廃棄時に押圧部材38を下へ移動させて回動させる際、この突起を切断して凸部302を爪部304の下側に係合するようにしても良い。このことで、スプレー缶の廃棄時以外に、押下げた押圧部材38が回動して凸部302が爪部304の下側に係合してしまい、押圧部材38を上へ戻せなくなることを防止することができる。また、押圧部材38の上面に、コインを利用して押圧部材38を回動させるためのコイン溝を設けても良い。また、図21では、爪部304を密閉缶体14と一体に設けているが、密閉缶体14とは別体に作成した爪部304を、密閉缶体14の上部に圧入等によって取り付けても良い。
【0036】
また、図22に示すように、スプレー缶の圧抜き構造310として、密閉缶体14に対して回動可能な押圧部材38の噴出口24に凸部318を設ける一方、押圧部材38の周囲を囲むように、密閉缶体14のかしめ突起部15にガード312を取り付け、このガード312の内側に、ロック手段を構成する突起314と、開放維持手段を構成する窓部316とを設けても良い。かしめ突起部15は、従来の密閉缶体のかしめ突起を利用することができ、このかしめ突起にガード312が着脱自在に取り付けられている。また、窓部316は、ガード312の外面に連通している。
【0037】
このスプレー缶の圧抜き構造310は、販売時には、図22に示すように、凸部318が突起314の上側に係合されて、押圧部材38を下へ移動させて化粧品を噴出することができない状態となっている。そして、化粧品を噴出させる場合には、押圧部材38を回動させて凸部318を突起314から外し、押圧部材38を下へ移動させて化粧品を噴出することができる。また、廃棄時には、押圧部材38を下へ移動させてから回動させて凸部318を窓部316内に係合して止めることによって、噴出経路16を開放した状態に維持することができ、化粧品が噴出する状態に維持できる。なお、押圧部材38の上面にコイン溝を設け、コインによってのみ押圧部材38を回動できるようにするのが好ましい。子供等が容易に回動できないので安全上好ましい。
【0038】
このスプレー缶の圧抜き構造310は、かしめ突起を有する従来の密閉缶体に適用できるので、押圧部材38及びガード312を用意しさえすれば、従来の密閉缶体に対して圧抜き作業を行うことができる。化粧品、塗料、プロパンガス等を圧縮充填した密閉缶体14を、押圧部材38等を取り付けていない状態で市場に提供し、手持ちの押圧部材38及びガード312を密閉缶体14に装着して使用し、圧抜き作業を行うことも可能である。このように密閉缶体14単体で市場に提供する場合、誤噴射を防止するために予め密閉缶体14の移動部材32に弾性チューブ、キャップ等を取り付けておくことが好ましい。
【0039】
また、本発明のスプレー缶は、図23に示すスプレー缶320であっても良い。このスプレー缶320は、押圧部材38に、規制手段としての切断可能なストッパー322と、密閉缶体14の係合凹部324に係合可能な開放維持手段としての係合凸部326とを備えている。このスプレー缶320は、廃棄時には、押圧部材38を叩き付ける等してストッパー322が鎖線で示すように切断する程度に押圧部材38を密閉缶体14側へ押し込んで、係合凸部326を係合凹部324に係合させる。このことで、押圧部材38の押圧状態が維持され、噴出経路16が開放されて化粧品が噴出する状態に維持できる。なお、押圧部材38を密閉缶体14側へ押し込んでストッパー322が切断した時、押圧部材38の下部付近が弾性的に広がって係合凸部326が係合凹部324に係合することが好ましい。また、押圧部材38の押し下げ距離を規制するストッパー322によって、廃棄時以外に係合凸部326が係合凹部324に係合することはない。
【0040】
また、図24に示すように、スプレー缶の圧抜き構造330として、押圧部材38に、規制手段としての分離可能なストッパー44と、密閉缶体14のかしめ突起部15の下方に係合可能な開放維持手段としての係合凸部332を設けても良い。このスプレー缶の圧抜き構造330は、廃棄時に、押圧部材38の下部のストッパー44を切り取って押圧部材38を押し込み、係合凸部332を鎖線で示すようにかしめ突起部15の下方に係合させる。このことで、押圧部材38の押圧状態が維持され、噴出経路16が開放されて化粧品が噴出する状態に維持できる。なお、押圧部材38の押し下げ距離を規制するストッパー44によって、廃棄時以外に係合凸部332がかしめ突起部15に係合することはない。このスプレー缶の圧抜き構造330にあっても、かしめ突起を有する従来の密閉缶体に適用できるので、この押圧部材38を用意しさえすれば、従来の密閉缶体に対する圧抜き作業を行うことができる。
【0041】
また、図25に示すように、スプレー缶の圧抜き構造340として、押圧部材38を挟むように密閉缶体14のかしめ突起部15にガード342を取り付け、このガード342の押圧部材38に対向する内側面に、一対の上溝344と、開放維持手段を構成する一対の下溝346とを設け、これら一対の上溝344間、又は一対の下溝346間にプレート348を抜き差し可能に係合しても良い。このスプレー缶の圧抜き構造340は、販売時には、図25に示すように、プレート348が一対の上溝344間に係合され、押圧部材38の上方を覆って押圧部材38を下へ移動させて化粧品を噴出することができない状態となっている。
【0042】
そして、化粧品を噴出させる場合には、プレート348を上溝344間から後方へ引き抜いて外し、押圧部材38を下へ移動させて化粧品を噴出することができる。また、廃棄時には、押圧部材38を下へ移動させてから、プレート348を下溝346間へ差し入れ、プレート348の下側に押圧部材38を係合して止めることによって、噴出経路16を開放した状態に維持することができ、化粧品が噴出する状態に維持できる。このスプレー缶の圧抜き構造340にあっても、かしめ突起を有する従来の密閉缶体に適用できるので、ガード342及びプレート348を用意しさえすれば、従来の密閉缶体に対する圧抜き作業を行うことができる。
【0043】
なお、上溝344、下溝346の形成方向、即ち、プレート348の差込方向は、押圧部材38の移動方向に対し垂直方向に限定されるものではなく、押圧部材38を押下げ状態に維持できるのであれば、押圧部材38の移動方向に対し平行方向に形成しても良く、斜め方向に形成しても良い。なお、一対の上溝344間又は一対の下溝346間にプレート348を抜き差し可能に係合する代わりに、ガード342の押圧部材38に対向する内側面に、一対の上孔と開放維持手段を構成する一対の下孔とを設け、これら一対の上孔間又は一対の下孔間にピン材を抜き差し可能に係合しても良い。また、図25では、ガード342を密閉缶体14の上方からかしめ突起部15の外側に嵌合して取り付ける例を示しているが、ガード342を密閉缶体14のかしめ突起部15の内側に嵌合しても良く、また、ガード342を密閉缶体14の側方からかしめ突起部15の外側に嵌合しても良い。更にまた、密閉缶体14の上部に外向きの爪部を設け、この爪部にガード342を着脱自在に係合させて取り付けても良く、密閉缶体14の上部にガード342を螺着して取り付けても良い。
【0044】
また、図26に示すように、スプレー缶の圧抜き構造350として、押圧部材38を囲むように密閉缶体14のかしめ突起部15にガード352を取り付け、このガード352に設けた軸受け354に、押圧部材38の一端部に設けた軸部356を係合することによって、押圧部材38の他端部に設けたレバー357を操作して押圧部材38を上下移動させるように構成しても良い。ガード352の上部には、開放維持手段として、折り曲げ可能な一対の折曲プレート358が設けられている。このスプレー缶の圧抜き構造350は、廃棄時には、レバー357を引いて押圧部材38を下へ移動させてから、図26(b)の鎖線で示すように、折曲プレート358を押圧部材38側へ折り曲げることによって、折曲プレート358の下側に押圧部材38を係合させる。このことで、押圧部材38の押圧状態が維持され、噴出経路16が開放されて化粧品が噴出する状態に維持できる。
【0045】
また、図27に示すように、スプレー缶の圧抜き構造360として、押圧部材38を囲むように密閉缶体14のかしめ突起部15にガード362を取り付け、このガード362に可撓連結部364を介して押圧部材38の一端側を連結することによって、押圧部材38の他端部に設けたレバー366を操作して押圧部材38を上下移動させるように構成しても良い。このレバー366の下部には、凸部368が設けられ、ガード362には凸部368を係止する係止突起370が設けられている。これら凸部368と係止突起370とが、規制手段及び開放維持手段を構成している。このスプレー缶の圧抜き構造360は、廃棄時には、レバー366を強く押し込むことによって、凸部368を係止突起370の下方に係合させる。このことで、押圧部材38の押圧状態が維持され、噴出経路16が開放されて化粧品が噴出する状態に維持できる。なお、廃棄時以外には、凸部368が係止突起370の上方に当たり、押圧部材38の押し下げ距離が規制される。
【0046】
また、本発明のスプレー缶の圧抜き構造は、図28に示す圧抜き構造400であっても良い。この圧抜き構造400は、密閉缶体14のかしめ突起部15の内側に着脱自在に取り付けられるキャップ402から構成されている。キャップ402の外側面には、かしめ突起部15に係合可能な開放維持手段としての上突起404を備え、キャップ402の下部に、切取線46で切り取り可能なストッパー44を備えている。また、このストッパー44の外側面には、かしめ突起部15の内側に係合可能な下突起406を備えている。また、キャップ402の天板内側には、先端にV字溝が形成された押圧突起408が突設され、キャップ402の側面に開口部410が開設されている。
【0047】
この圧抜き構造400は、販売時には、図28に示すように、ストッパー44の下突起406がかしめ突起部15の下方に係合されてキャップ402が密閉缶体14に取り付けられている。廃棄時には、キャップ402の下部のストッパー44を切り取って、押圧突起408で移動部材32を下へ移動させながら、キャップ402をかしめ突起部15の内側へ押し込んで、上突起404をかしめ突起部15の下方に係合させる。このことで、移動部材32の押圧状態が維持され、噴出経路16が開放されて化粧品が噴出する状態に維持できる。なお、図28は密閉缶体14がカセットコンロ用のガスボンベである例を図示しているが、移動部材32の上部に押圧部材が取り付けられたスプレー缶にも適用可能である。また、キャップ402の天板内側の押圧突起408は必ずしも設ける必要はなく、キャップ402の天板で直接、移動部材32を押し下げても良い。また、上突起404及び下突起406をキャップ402の内側面に設けることにより、キャップ402をかしめ突起部15の外側に着脱自在に取り付けるようにしても良い。
【0048】
このスプレー缶の圧抜き構造400は、かしめ突起を有する従来の密閉缶体に適用できるので、キャップ402を用意しさえすれば、従来の密閉缶体に対して圧抜き作業を行うことができる。化粧品、塗料、プロパンガス等を圧縮充填した密閉缶体14を、押圧部材等を取り付けていない状態で市場に提供し、手持ちのキャップ402を密閉缶体14に装着して圧抜き作業を行なうことも可能である。このように、密閉缶体14単体で市場に提供する場合、誤噴射を防止するために予め密閉缶体14の移動部材32に弾性チューブ、キャップ等を取り付けておくことが好ましい。
【0049】
また、図29に示すように、スプレー缶の圧抜き構造420として、キャップ422の天板に、開放維持手段としての押下部材424を上下動可能に螺合しても良い。押下部材424の上面に設けられた溝部426にコイン等を係合して押下部材424を回転させることによって、キャップ422に対して押下部材424を上下動させる。また、キャップ422の下部には、かしめ突起部15に係合可能な突起428を備え、キャップ422の側面には、開口部430を備えている。
【0050】
この圧抜き構造420は、販売時には、図29に示すように、突起428がかしめ突起部15の下方に係合されてキャップ422が密閉缶体14に取り付けられている。廃棄時には、キャップ422を密閉缶体14に取り付けた状態で、押下部材424を回転させて下へ移動させ、移動部材32を下へ押し下げる。このことで、移動部材32の押圧状態が維持され、噴出経路16が開放されて化粧品が噴出する状態に維持できる。このスプレー缶の圧抜き構造420にあっても、かしめ突起を有する従来の密閉缶体に適用できるので、このキャップ422を用意しさえすれば、従来の密閉缶体に対する圧抜き作業を行うことができる。また、押下部材424を無段階に下へ移動させることができるので、移動部材の長さが異なる各種の密閉缶体にも汎用的に適用することができる。なお、コインによってのみ押下部材424を回動できるようにするのが、子供等が容易に回動できないので安全上好ましい。なお、図29もまた、密閉缶体14がカセットコンロ用のガスボンベである例を図示しているが、移動部材32の上部に押圧部材が取り付けられたスプレー缶にも適用可能である。また、押圧部材が取り付けられたスプレー缶に使用する際、キャップ422の下部に切り欠き部を設け、この切り欠き部に移動部材32を挿入し、キャップ422本体を梃子として利用して押圧部材を抜くようにしても良い。
【0051】
また、図30に示すように、スプレー缶の圧抜き構造440として、キャップ442の天板に、開放維持手段としての押下部材444を上下動可能に係合しても良い。即ち、キャップ442の天板に上溝446及び下溝448が設けられ、押下部材444の側面に、上溝446または下溝448に係合可能な凸部450が設けられている。また、キャップ442の下部には、かしめ突起部15に係合可能な突起452を備え、キャップ442の側面には、開口部454を備えている。
【0052】
この圧抜き構造440は、販売時には、図30に示すように、押下部材444の突起450が上溝446に係合した状態で、突起452がかしめ突起部15の下方に係合されてキャップ442が密閉缶体14に取り付けられている。廃棄時には、キャップ442を密閉缶体14に取り付けた状態で、押下部材444を下方へ強く押し込み、移動部材32を下へ移動させながら、突起450を下溝448に係合させる。このことで、移動部材32の押圧状態が維持され、噴出経路16が開放されて化粧品が噴出する状態に維持できる。このスプレー缶の圧抜き構造440にあっても、かしめ突起を有する従来の密閉缶体に適用できるので、このキャップ442を用意しさえすれば、従来の密閉缶体に対する圧抜き作業を行うことができる。また、図30では、キャップ442を密閉缶体14の上方からかしめ突起部15の内側に嵌合して取り付ける例を示しているが、キャップ442を密閉缶体14のかしめ突起部15の外側に嵌合しても良く、また、キャップ442を密閉缶体14の側方からかしめ突起部15の外側に嵌合しても良い。
【0053】
また、図31に示すように、スプレー缶の圧抜き構造460として、キャップ462の天板に、開放維持手段として、折り曲げ可能な折曲プレート464を設けても良い。即ち、この折曲プレート464は、その両側辺部がキャップ462の天板から切り離されているとともに、その先端部がキャップ462の天板に破断部466を介して連結されており、基端部が折り曲げ可能にキャップ462の天板に連結されている。また、キャップ462の下部には、かしめ突起部15に係合可能な突起468が設けられており、キャップ442の側面には開口部469が設けられている。
【0054】
この圧抜き構造460は、販売時には、図31に示すように、突起468がかしめ突起部15の下方に係合されてキャップ462が密閉缶体14に取り付けられている。廃棄時には、キャップ462を外した状態で、折曲プレート464の先端側を強く押して破断部466を破断し、折曲プレート464を鎖線で示すようにキャップ462の内側へ折り曲げる。そして、この折り曲げた状態の折曲プレート464で移動部材32を下へ移動させながら、キャップ462をかしめ突起部15の内側へ押し込んで、突起468をかしめ突起部15の下方に係合させる。このことで、移動部材32の押圧状態が維持され、噴出経路16が開放されて化粧品が噴出する状態に維持できる。
【0055】
また、図32に示すように、スプレー缶の圧抜き構造470として、キャップ472の天板に、開放維持手段として、斜面474を備えた押下部材476を設けても良い。また、このキャップ472の下部には、かしめ突起部15の下方に嵌合可能な突起478を備えている。このキャップ472の片側は切り欠かれており、突起478をかしめ突起部15に嵌合させながら、密閉缶体14の側方からスライド嵌合できるように構成されている。この圧抜き構造470は、廃棄時には、キャップ472を密閉缶体14の側方からスライド嵌合させて、押下部材476の斜面474で移動部材32を下へ移動させる。このことで、移動部材32の押圧状態が維持され、噴出経路16が開放されて化粧品が噴出する状態に維持できる。
【0056】
また、図33に示すように、スプレー缶の圧抜き構造480として、キャップ482の側壁の一部に、開放維持手段として折り曲げ可能な折曲プレート484を設けても良い。即ち、この折曲プレート484は、その両側辺部がキャップ482の側壁から切り離されており、上部が折り曲げ可能にキャップ482の側壁に連結されている。また、キャップ482の下部には、かしめ突起部15の内側に係合可能な突起486が設けられている。
【0057】
この圧抜き構造480は、販売時には、図33に示すように、突起486がかしめ突起部15の下方に係合されてキャップ482が密閉缶体14に取り付けられている。廃棄時には、キャップ482を外した状態で、折曲プレート484の下端側を押して、鎖線で示すようにキャップ内側へ折り曲げ、折曲プレート484の下端部を、キャップ482の反対側の側壁の内面に当接させる。そして、この折り曲げ状態の折曲プレート484で移動部材32を下へ移動させながら、キャップ482をかしめ突起部15の内側へ押し込んで、突起486をかしめ突起部15の下方に係合させる。このことで、移動部材32の押圧状態が維持され、噴出経路16が開放されて化粧品が噴出する状態に維持できる。折曲プレート484を内側へ折り曲げたとき、キャップ482の側壁の一部には開口部が生じるので、この開口部を通して化粧品等を外部へ噴出させることができる。なお、キャップ482の反対側の側壁内面に凸部を設け、この凸部で折り曲げ状態の折曲プレート484の下端部を支持するようにしても良い。
【0058】
また、本発明のスプレー缶は、図34に示すスプレー缶500であっても良い。このスプレー缶500は、密閉缶体14と、噴出経路16と、開閉手段18と、噴出経路16の一部を破砕する破砕手段502とを備えている。破砕手段502が、スプレー缶の圧抜き構造として機能する。破砕手段502は、移動部材32により構成され、移動部材32を深く押し下げることにより、移動部材32でパイプ支持部材28を分離し破砕するように構成されている。パイプ支持部材28の周囲には、分離しやすいようにV字断面の切り欠き42が設けられている。また、移動部材32の上部には押圧部材504が着脱自在に取り付けられており、押圧部材504の周囲には、規制手段としての凸部506が設けられている。
【0059】
このスプレー缶500は、通常に使用する場合には、押圧部材504を押圧して移動部材32を下へ移動させて化粧品を噴出することができる。なお、押圧部材504を押し下げたとき、凸部506が密閉缶体14のかしめ突起部15に突き当たるので、移動部材32の下方移動を所定距離に規制することができる。そして、廃棄時には、押圧部材504を移動部材32から取り外し、密閉缶体14を逆さにして移動部材32を下に向けて硬い地面等に叩きつけるなどして、移動部材32をパイプ支持部材28の内面に衝突させ、パイプ支持部材28を切り欠き42で破砕する。こうして、密閉缶体14内の圧力によって化粧品が破砕部から中空部30に流入し外部へ噴出する。
【0060】
なお、廃棄時に、移動部材32から押圧部材504を外し易くするために、押圧部材504と密閉缶体14との隙間に挿入して押圧部材504をこじ取る梃子片を使用することが好ましく、この梃子片を押圧部材504に着脱自在に取り付けておいても良い。また、このスプレー缶500は、化粧品、塗料、プロパンガス等を圧縮充填した密閉缶体14を、押圧部材504を取り付けていない状態で市場に提供し、手持ちの押圧部材504を密閉缶体14に装着して通常使用することも可能である。このように、密閉缶体14単体で市場に提供する場合、誤ってパイプ支持部材28を破砕しないように、予め移動部材32に弾性チューブ、キャップ等を取り付けておくことが好ましい。
【0061】
また、本発明のスプレー缶は、図35に示すスプレー缶600であっても良い。このスプレー缶600は、密閉缶体14と、噴出経路16と、開閉手段18と、噴出経路16の一部を破砕する破砕手段602と、密閉缶体14のかしめ突起部15に取り付けられるガード604と、このガード604に着脱自在に係止された梃子片606とを備えている。破砕手段602は、移動部材32により構成され、移動部材32を深く押し下げることによって、移動部材32でパイプ支持部材28を分離し破砕するように構成されている。パイプ支持部材28の周囲には、分離しやすいようにV字断面の切り欠き42が設けられている。また、移動部材32の上部には押圧部材38が取り付けられている。
【0062】
ガード604の上部には、一対の溝部608が形成されており、各溝部608の溝縁部に一対の係止突起610が設けられている。これら係止突起610によって溝部608内に梃子片606が着脱自在に係止されている。また、ガード604の側方には、密閉缶体14のかしめ突起部15の内側との間に差し込み孔612を形成する側方溝部614が形成されている。この差し込み孔612内へ梃子片606を差し込むことによって、ガード604の側方に梃子片606を着脱自在に係止できるように構成されている。また、梃子片606の先端側はその厚みが小さくなっており、図35(b)に示すように、移動部材32を挿入可能な切り欠き部616が形成されている。
【0063】
このスプレー缶600は、販売時には、図35(a)及び(b)に示すように、梃子片606が溝部608に係止され、押圧部材38の上方を覆って押圧部材38を下へ移動させて化粧品を噴出することができない状態となっている。そして、化粧品を噴出させる場合には、梃子片606を溝部608から外すことにより、押圧部材38を下へ移動させて化粧品を噴出することができる。溝部608から外した梃子片606は、差し込み孔612内へ差し込んでガード604の側方に係止しておく。そして、廃棄時には、梃子片606を利用してガード604を密閉缶体14から取り外すとともに、梃子片606の切り欠き部616を移動部材32に嵌めて梃子の原理を利用して押圧部材38を移動部材32から取り外す。その後、密閉缶体14を逆さにして露出させた移動部材32を地面等に当てて密閉缶体14に体重を掛けるなどして移動部材32を押し込み、パイプ支持部材28を切り欠き42で破砕する。こうして、密閉缶体14内の圧力によって化粧品が破砕部から中空部30に流入し外部へ噴出する。
【0064】
その他、本発明の技術的範囲には、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様も含まれる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、いずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【0065】
例えば、移動部材を2段階の深さに移動させる構造は、図3、図10、図23及び図27に示す構造に限定されず、押圧部材に上から移動部材まで貫通する孔を設けておき、移動部材をより深く押し込む場合には、孔に指等を入れて移動部材を押圧する構造であっても良い。また、密閉缶体は化粧品の容器、ガスボンベ以外のものであっても良い。更にまた、押圧部材、ガード、キャップの形状についても上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、押圧部材を熊の頭部の形状にするなど、動物、植物等を模した形状に形成しても良い。更にまた、上記実施形態では、スプレー噴射構造として、バネの付勢力に抗して移動部材32を押し下げてパイプ支持部材28の中空部30と移動部材32の中空部34との連結部を閉鎖しているパッキン36を曲げ変形させることによって、これら中空部30と中空部34とを連通させて化粧品等を噴射させるタイプのスプレー噴射構造を例示しているが、本発明は勿論これに限定されるものではなく、上方へ付勢された移動部材を押し下げることによって、それまで閉鎖されていた噴射経路の一部分又は複数部分を開放させて化粧品等を噴射させることができる噴射構造であれば、各種のスプレー噴射構造を用いることができる。移動部材の付勢手段についても、コイルバネに限定されるものではなく、例えば、板バネ、空気バネ等を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明のスプレー缶を示す図であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)は一部正面断面図である。
【図2】図1のスプレー缶の使用状態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は一部正面断面図である。
【図3】本発明のスプレー缶の他の実施形態を示す一部正面断面図である。
【図4】図3のスプレー缶の使用状態を示す一部正面断面図である。
【図5】図3のスプレー缶の使用状態を示す一部正面断面図である。
【図6】図3のスプレー缶の使用状態を示す一部正面断面図である。
【図7】図3のスプレー缶の廃棄状態を示す一部正面断面図である。
【図8】本発明のスプレー缶の更に他の実施形態を示す一部正面断面図である。
【図9】本発明のスプレー缶の更に他の実施形態を示す図であり、(a)は一部正面断面図であり、(b)は平面断面図である。
【図10】本発明のスプレー缶の更に他の実施形態を示す一部正面断面図である。
【図11】図10のスプレー缶の使用状態を示す一部正面断面図である。
【図12】図10のスプレー缶の押圧部材及び規制手段を示す右側面図である。
【図13】図10のスプレー缶の使用状態を示す一部正面断面図である。
【図14】本発明のスプレー缶の更に他の実施形態を示す一部正面断面図である。
【図15】図14のスプレー缶の使用状態を示す一部正面断面図である。
【図16】本発明のスプレー缶の他の実施形態を示す一部正面断面図である。
【図17】本発明のスプレー缶の他の実施形態を示す一部正面断面図である。
【図18】図17のスプレー缶を示す一部右側面断面図である。
【図19】図17のスプレー缶の使用状態を示す一部右側面断面図である。
【図20】本発明のスプレー缶の更に他の実施形態を示す一部正面断面図である。
【図21】本発明のスプレー缶の更に他の実施形態を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は一部正面断面図であり、(c)は平面図である。
【図22】本発明のスプレー缶の圧抜き構造の実施形態の一部正面断面図である。
【図23】本発明のスプレー缶の更に他の実施形態を示す一部正面断面図である。
【図24】本発明のスプレー缶の圧抜き構造の他の実施形態を示す一部正面断面図である。
【図25】本発明のスプレー缶の圧抜き構造の更に他の実施形態を示す一部正面断面図である。
【図26】本発明のスプレー缶の圧抜き構造の更に他の実施形態を示す図であり、(a)は一部正面断面図であり、(b)は平面図である。
【図27】本発明のスプレー缶の圧抜き構造の更に他の実施形態を示す一部正面断面図である。
【図28】本発明のスプレー缶の圧抜き構造の更に他の実施形態を示す一部正面断面図である。
【図29】本発明のスプレー缶の圧抜き構造の更に他の実施形態を示す一部正面断面図である。
【図30】本発明のスプレー缶の圧抜き構造の更に他の実施形態を示す一部正面断面図である。
【図31】本発明のスプレー缶の圧抜き構造の更に他の実施形態を示す一部正面断面図である。
【図32】本発明のスプレー缶の圧抜き構造の更に他の実施形態を示す一部正面断面図である。
【図33】本発明のスプレー缶の圧抜き構造の更に他の実施形態を示す一部正面断面図である。
【図34】本発明のスプレー缶の更に他の実施形態を示す一部正面断面図である。
【図35】本発明のスプレー缶の圧抜き構造の更に他の実施形態を示す図であり、(a)は一部正面断面図であり、(b)は平面図である。
【図36】従来のスプレー缶を示す正面断面図である。
【図37】図36のスプレー缶の使用状態を示す一部正面断面図である。
【図38】図36のスプレー缶の使用状態を示す一部正面断面図である。
【符号の説明】
【0067】
350;スプレー缶の圧抜き構造
14;密閉缶体
15;密閉缶体のかしめ突起部
16;噴出経路
18;開閉手段
22;パイプ
24;噴出口
26;連結経路
28;パイプ支持部材
30;パイプ支持部材の中空部
32;移動部材
34;移動部材の中空部
36;パッキン
38;押圧部材
352;ガード
357;レバー
358;折曲プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧縮して入れる密閉缶体と、該密閉缶体内の流体を外部へ導く噴出経路と、該噴出経路を閉鎖又は開放する開閉手段と、該噴出経路を開放した状態に維持する開放維持手段と、から成るスプレー缶の圧抜き構造であり、
前記噴出経路は、前記密閉缶体内に通じるパイプと、外部に通じる噴出口と、該パイプ及び該噴出口を連結する連結経路と、から構成され、
前記連結経路は、前記パイプを支持するパイプ支持部材の中空部と、該パイプ支持部材に挿入された移動部材の中空部と、から構成され、
前記開閉手段は、前記パイプ支持部材の中空部と前記移動部材の中空部との連結部を閉鎖するパッキンと、前記移動部材を押し下げてパッキンによる閉鎖を開放する押圧部材と、から構成され、
前記密閉缶体のかしめ突起部に前記押圧部材を囲むようにガードが取り付けられ、該押圧部材の一端部が該ガードに連結され、該押圧部材の他端部にレバーが設けられ、
前記開放維持手段が、前記ガードに折り曲げ可能に設けられた折曲プレートから構成されており、
前記レバーを操作して前記押圧部材を押し下げた状態で、前記折曲プレートを折り曲げて該折曲プレートの下側で該押圧部材を係合させることによって、前記噴出経路を開放した状態に維持して前記密閉缶体内の圧力を外部へ抜くことを特徴としたスプレー缶の圧抜き構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2007−76745(P2007−76745A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−336594(P2006−336594)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【分割の表示】特願2003−574538(P2003−574538)の分割
【原出願日】平成15年3月13日(2003.3.13)
【出願人】(502093058)
【Fターム(参考)】