説明

スペクトル生体認証センサ

生体認証機能を実行する方法およびシステムを提供する。個人の目的の皮膚部位は、照明光で照明される。目的の皮膚部位は、表面と接触している。目的の皮膚部位から散乱される光は、表面を含む平面において受光される。画像は、受光した光から形成される。画像テクスチャ測定値は、画像から生成される。生成された画像テクスチャ測定値を分析して、生体認証機能を実行する。また、特定の実施形態において、生体認証機能は、なりすまし対抗機能を含み、このような実施形態において、目的の皮膚部位が生体組織を含むか否かを判断するために、画像テクスチャ測定値が分析される。その他の実施形態において、生体認証機能は、身元機能を含み、このような実施形態において、個人の身元を判断するために、画像テクスチャ測定値が分析される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、同時係属の米国特許出願第10/818,698号(2004年4月5日出願、名称「MULTISPECTRAL BIOMETRIC SENSOR」、出願人(Robert K.Roweら)、「’698出願」)の一部継続出願である。’698出願は、次の仮出願のそれぞれの非仮出願である:米国仮特許出願第60/460,247号(2003年4月4日出願、名称「NONINVASIVE ALCOHOL MONITOR」);同第60/483,281号(2003年6月27日出願、名称「HYPERSPECTRAL FINGERPRINT READER」、出願人(Robert K.Roweら));同第60/504,594号(2003年9月18日出願、名称「HYPERSPECTRAL FINGERPRINTTNG」、出願人(Robert K.Roweら));および同第60/552,662号(2004年3月10日出願、名称「OPTICAL SKIN SENSOR FOR BIOMETRICS」)。これら前述の出願のそれぞれの開示内容は、全ての目的のために参照として本明細書に援用される。
【0002】
また、本願は、同時係属の米国特許出願第11/219,006号(2005年9月1日出願、名称「COMPARATIVE TEXTURE A.NALYSIS OF TISSUE FOR BIOMETRIC SPOOF DETECTION」、出願人(Robert K.Roweら)、「’006出願」)の一部継続出願である。’006出願は、米国特許出願第10/818,698号(2004年4月5日出願、名称「MULTISPECTRAL BIOMETRIC SENSOR」、出願人(Robert K.Roweら))の一部継続出願であって、後者は、米国仮特許出願第60/460、247号(2003年4月4日出願)、同第60/483、281号(2003年6月27日出願)、同第60/504、594号(2003年9月18日出願)、および同60/552、662号(2004年3月10日出願)のそれぞれの非仮出願である。これら前述の出願のそれぞれの開示内容は、全ての目的のために参照として本明細書に援用される。
【0003】
また、’006出願は、米国特許出願第11/115,100号(2005年4月25日出願、名称「MULTISPECTRAL IMAGING BIOMETRICS」、出願人(Robert K.Roweら))の一部継続出願であって、後者は、米国仮特許出願第60/576,364号(2004年6月1日出願)、同第60/600、867号(2004年8月11日出願)、同第60/610、802号(2004年9月17日出願)、同第60/654、354号(2005年2月18日出願)、および同第60/659、024号(2005年3月4日出願)のそれぞれの非仮出願である。これら前述の出願のそれぞれの開示内容は、全ての目的のために参照として本明細書に援用される。
【0004】
また、’006出願は、米国特許出願第11/115,101号(2005年4月25日出願、名称「MULTISPECTRAL BIOMETRIC IMAGING」、出願人(Robert K.RoweおよびStephen P.Corcoran))の一部継続出願であって、後者は、米国仮特許出願第60/576,364号(2004年6月1日出願)、同第60/600、867号(2004年8月11日出願)、同第60/610、802号(2004年9月17日出願)、同第60/654、354号(2005年2月18日出願)、および同第60/659、024号(2005年3月4日出願)のそれぞれの非仮出願である。これら前述の出願のそれぞれの開示内容は、全ての目的のために参照として本明細書に援用される。
【0005】
また、’006出願は、米国特許出願第11/115,075号(2005年4月25日出願、名称「MULTISPECTRAL LIVENESS DETERMINATION」、出願人(Robert K.Rowe))の一部継続出願であって、後者は、米国仮特許出願第60/576,364号(2004年6月1日出願)、同第60/600、867号(2004年8月11日出願)、同第60/610、802号(2004年9月17日出願)、同第60/654、354号(2005年2月18日出願)、および同第60/659、024号(2005年3月4日出願)のそれぞれの非仮出願である。これら前述の出願のそれぞれの開示内容は、全ての目的のために参照として本明細書に援用される。
【0006】
また、本願は、米国特許出願第09/874,740号(2001年6月5日出願、名称「APPARATUS AND METHOD OF BIOMETRIC DETERMINATION USING SPECIALIZED OPTICAL SPECTROSCOPY SYSTEM」)に関連している。
【0007】
(発明の技術分野)
本願は、概して、生体認証に関する。より具体的には、本願は、スペクトル情報を使用する生体認証測定を実行する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0008】
「生体認証」は、一般的に、生体の特徴に関する統計分析を指す。生体認証の一カテゴリとして、「生体認証識別」が挙げられ、これは、一般に、人々の自動識別を提供するため、あるいは人々の目的の(purported)身元を検証するための2つのモードのうちの1つに基づいて動作する。生体認証検出技術は、人の身体的特徴または行動的特徴を測定し、これらの特徴を、事前に記録した類似の測定値と比較して、一致するか否かを判断する。一般に、生体認証識別に使用される身体的特徴には、顔、虹彩、掌形、血管構造、および指紋パターンが含まれ、これらは、全ての生体認証識別特徴の中で最も一般的なものである。収集された指紋を分析するための現在の方法には、光学的な、容量性の、無線周波数の、熱的な、超音波の、および他のいくつかのあまり一般的ではない手法が含まれる。
【0009】
指紋収集方法の大部分は、指の表面におけるまたはそれに近接する皮膚の特徴を測定することに依存する。具体的には、光学式指紋読み取り器は、典型的には、センサのプラテンと、その上に置かれる指との間の屈折率における差異の有無に依存する。空気で充填された指紋の溝線が、プラテンの特定の位置の上にある場合、全内部反射率(「TIR」)は、空気とプラテンとの屈折率の差により、プラテンにおいて発生する。あるいは、特有の屈折率の皮膚が、プラテンと光学的に接触している場合、この位置におけるTIRは「減衰」され、光は、プラテンと皮膚との界面を横断することが可能になる。指がプラテンに接触している領域におけるTIRの差異の写像は、従来の光学式指紋読み取りの基礎を形成する。明視野と暗視野との両光学配置の光学的界面に関するこの変形を検出するために使用される多数の光配置が存在する。一般には、単一の準単色光を使用して、このTIRベースの測定を実行する。
【0010】
非TIR光学式指紋センサも存在する。ほとんどの場合において、これらのセンサは、指先の前部、側部、または後部を照明して、光を皮膚に拡散させる準単色光のある配置に依存する。皮膚とプラテンとの境界における隆線および溝線の光透過率の差異により指紋画像が形成される。光透過率の差異は、当業者に既知であるように、溝線における任意の中間空隙の有無によるフレネル反射特徴における変化に起因する。
【0011】
光学式指紋読み取り器は、特に、非理想条件により画質問題の影響を受け易い。皮膚が過剰に乾燥している場合、プラテンとの屈折率の一致は損なわれ、結果として画像コントラストが悪くなる。同様に、指が非常に湿っている場合、溝線は、水分で満たされている可能性があり、それにより指紋領域全体において光結合が発生し、画像コントラストが実質的に低下する。プラテン上の指の圧力が少なすぎるまたは大きすぎる場合、皮膚またはセンサが不潔である場合、皮膚が老化および/または荒れている場合、あるいは、場合により、特定の民族および幼児における過度に微細な特徴が存在する場合、類似の影響が発生し得る。これらの影響により、画質が低下し、それによって指紋センサの全体的な性能が低下する。場合により、商用光学式指紋読み取り器は、このような影響の緩和および性能の復元に役立つシリコーン等の軟質材料の薄膜を内蔵する。軟質材料のように、膜は、損傷、摩耗、および汚染を受け易いため、保守をしなければセンサの使用が制限される。
【0012】
TIR、ならびに静電容量、RF、およびその他のもの等のその他のモダリティ等に基づく読み取り器等の光学式指紋読み取り器は、典型的には、捕捉中に存在する非理想的な撮像条件にある程度影響を受けた画像を生成する。したがって、結果として生じる画像のテクスチャ特徴の分析は、サンプリング条件によって影響を受け、人の皮膚のテクスチャ特徴を観察する能力が制限あるいは不明瞭になり得る。この結果として、このような感知モダリティにおいて、テクスチャの有用性は制限される。
【0013】
生体認証センサ、具体的には、指紋生体認証センサは、一般的に、種々の形式のなりすましサンプルに対抗できない傾向にある。指紋読み取り器の場合、当技術分野において、ある種類の紙、ゼラチン、エポキシ樹脂、ラテックス、およびその同等物等の非生物物質に埋め込まれる認可ユーザの指紋パターンを読み手に提示するための多種多様の方法が知られている。したがって、指紋読み取り器が、指紋パターンの一致の有無を確実に判断すると考えられることが可能であっても、パターン一致が、本物の生体の指から捕捉されているかを確実にすることが、システム全体のセキュリティには欠かせず、これは多くの一般的なセンサを用いて確認することは困難であり得る。
【0014】
いくつかの生体認証システムが対抗できない別の方式は、リプレーアタックの使用によるものである。本シナリオにおいて、侵入者は、認可ユーザがシステムを使用する際にセンサにより生じる信号を記録する。その後、侵入者は、事前に記録された認可信号をシステムに入力するようにセンサシステムを操作することによって、センサ自体をすり抜け、生体認証により保護されるシステムへのアクセスを入手する。
【0015】
生体認証センサをより強固、より安全、およびよりエラー発生傾向を低くする一般的な手法は、「2重」、「組み合わせ」、「層状」、「融合」、「多重生体認証」、または「多因子生体認証」感知を使用するものとして当技術分野において呼ばれることのある手法を使用して、生体認証信号のソースを組み合わせることにある。こうしてセキュリティを強化するために、生体認証技術は、異なる技術が身体の部位を同時に測定するように組み合わされ、組み合わせられた異なるセンサに対抗する異なるサンプルまたは技法を使用する詐欺に抵抗を示す。身体の同一の一部を閲覧するように技術を組み合わせる場合、これらの技術は、「密結合される」と呼ばれる。
【0016】
グルコース、アルコール、ヘモグロビン、尿素、およびコレステロール等の生理学的検体の非侵襲性の光学的測定に関する精度は、皮膚組織の変形によって悪影響を受ける可能性がある。場合により、生体認証測定と併用して、1つ以上の生理学的検体を測定することが有利である。このような2重測定は、潜在的利益を有し、商業市場および法執行市場の両方に適用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、当技術分野において、マルチスペクトル撮像のシステムおよび方法を使用する生体認証検出および検体推定のための改善された方法およびシステムに対する一般的なニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の実施形態は、生体認証機能を実行する方法およびシステムを提供する。画像テクスチャ測定値を使用する、皮膚部位のテクスチャ特徴の分析によって生体認証機能を実行するテクスチャ生体認証が可能になる。
【0019】
したがって、第1の組の実施形態において、生体認証機能を実行する方法を提供する。個人の目的の皮膚部位は、照明光で照明される。目的の皮膚部位は表面に接触している。目的の皮膚部位から散乱される光は、表面を含む平面において実質的に受光される。画像は、受光した光から形成される。画像テクスチャ測定値は、画像から生成される。生成された画像テクスチャ測定値を分析して、生体認証機能を実行する。
【0020】
特定の実施形態において、生体認証機能は、なりすまし対抗機能を含み、このような実施形態において、目的の皮膚部位が生体組織を含むか否かを判断するために、画像テクスチャ測定値が分析される。その他の実施形態において、生体認証機能は、身元機能を含み、このような実施形態において、個人の身元を判断するために、画像テクスチャ測定値が分析される。さらにその他の実施形態において、生体認証機能は、人口統計学機能または身体計測機能を含み、このような実施形態において、個人の人口統計学特徴または身体計測特徴を推定するために、画像テクスチャ測定値が分析される。
【0021】
表面は、撮像検出器の表面であってもよく、目的の皮膚部位から散乱される光は、撮像検出器において受光される。あるいは、光のパターンは、パターンを実質的に劣化または減衰することなく、平面から平面の外部に配置される撮像検出器に移動されてもよく、移動したパターンは、撮像検出器において受光される。異なる実施形態において、目的の皮膚部位から散乱される光は、単色撮像検出器またはカラー撮像検出器において受光されてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、照明光は白色光である。画像は、異なる波長に対応する複数の画像を含んでもよい。画像テクスチャ測定値は、複数の画像の各々の空間移動窓分析を実行することによって適宜生成されてもよい。例えば、移動窓フーリエ変換が、複数の画像において計算されてもよい。あるいは、複数の画像の移動窓中心性測定値および移動窓変動性測定値が計算されてもよい。
【0023】
生体認証機能を実行するために生成された画像テクスチャ測定値を分析する際に、生成された画像テクスチャ測定値は、基準画像テクスチャ測定値と比較されてもよい。場合により、基準画像テクスチャ測定値は、基準皮膚部位から散乱される光から形成される基準画像から生成されていてもよく、目的の皮膚部位は、基準皮膚部位とは実質的に異なる。特定の実施形態において、受光した光のスペクトル特性は、生体認証機能を実行する際に基準スペクトル特性と比較される。
【0024】
第2の組の実施形態において、生体認証センサを提供する。センサは、表面と、照明サブシステムと、検出サブシステムと、計算ユニットとを含む。表面は、目的の皮膚部位と接触するように適合される。照明サブシステムは、目的の皮膚部位が表面と接触している際に、目的の皮膚部位を照明するように配置される。検出サブシステムは、目的の皮膚部位から散乱される光を受光するように配置され、光は、表面を含む平面において実質的に受光される。計算ユニットは、検出サブシステムと相互作用され、受光した光から画像を形成するための命令を有する。また、計算ユニットは、画像から画像テクスチャ測定値を生成するための命令と、生体認証機能を実行するために、生成された画像テクスチャ測定値を分析するための命令とを含む。
【0025】
このようなセンサで実行され得る多数の異なる生体認証機能が存在する。一実施形態において、生体認証機能は、なりすまし対抗機能を含み、計算ユニットは、目的の皮膚部位が生体組織を含むか否かを判断するための命令を含む。別の実施形態において、生体認証機能は、身元機能を含み、計算ユニットは、個人の身元を、生成された画像テクスチャ測定値から判断するための命令を含む。さらに別の実施形態において、生体認証機能は、個人の人口統計学特徴または身体計測特徴を、生成された画像テクスチャ測定値から推定するための命令を有する計算ユニット含む人口統計学機能または身体計測機能を含む。
【0026】
いくつかの事例において、生体認証センサは、撮像検出器をさらに含む。このような一実施形態において、表面は、撮像検出器の表面であり、検出サブシステムは、撮像検出器を含み、目的の皮膚部位から散乱される光を撮像検出器において受光するように構成される。このような別の実施形態において、撮像検出器は、平面の外部に配置される。光学配置は、パターンを実質的に劣化または減衰することなく、光のパターンを平面から撮像検出器に移動するように構成される。検出システムは、撮像検出器を含み、かつ移動したパターンを撮像検出器において受光するように構成される。撮像検出器は、異なる実施形態において、単色撮像検出器またはカラー撮像検出器を含んでもよい。
【0027】
場合により、照明サブシステムは、目的の皮膚部位を白色光で照明するように構成される。画像は、異なる波長に対応する複数の画像を含んでもよく、画像テクスチャ測定値を生成するための命令は、複数の画像の各々の空間移動窓分析を実行するための命令を含む。例えば、一実施形態において、複数の画像において移動窓フーリエ変換を計算するための命令が存在してもよいが、別の実施形態は、複数の画像の移動窓中心性測定値および移動窓変動性測定値を計算するための命令を有する。
【0028】
一実施形態において、生体認証機能を実行するために生成された画像テクスチャ測定値を分析するための命令は、生成された画像テクスチャ測定値を、基準画像テクスチャ測定値と比較するための命令を含む。このような基準画像テクスチャ測定値は、基準皮膚部位から散乱される光から形成される基準画像から生成されていてもよく、目的の皮膚部位は、基準皮膚部位とは実質的に異なる。特定の実施形態において、計算ユニットは、生体認証機能を実行する際に、受光した光のスペクトル特性を、基準スペクトル特性と比較するための命令をさらに有する。
【0029】
本発明の実施形態は、生体認証機能を実行するための方法およびシステムを提供する。白色光を使用して目的の皮膚部位を照明し、また、マルチスペクトルデータを生成するために、カラー撮像器を使用して目的の皮膚部位から散乱される光を収集する。これらのマルチスペクトルデータは、異なる照明波長で収集された皮膚部位の多数の画像の形式において生成されてもよく、これは、照明された組織の異なる量に対応する。次に、これらのデータは、実行する生体認証機能の具体的な側面に依存する異なる種類の分析を受ける。
【0030】
第3の組の実施形態において、生体認証センサを提供する。白色光照明サブシステムは、個人の目的の皮膚部位を白色光で照明するように配置される。検出サブシステムは、目的の皮膚部位から散乱される光を受光するように配置され、かつ受光した光が入射するカラー撮像器を含む。計算ユニットは、検出サブシステムと相互作用する。計算ユニットは、目的の皮膚部位の空間的に分布した複数の画像を、カラー撮像器で受光した光から導き出すための命令を有する。空間的に分布した複数の画像は、個人の照明された組織の異なる量に対応する。また、計算ユニットは、生体認証機能を実行するために、空間的に分布した複数の画像を分析するための命令も有する。
【0031】
これらの実施形態のうちの1つにおいて、生体認証機能は、なりすまし対抗機能を含み、空間的に分布した複数の画像を分析するための命令は、目的の皮膚部位が生体組織を含むか否かを判断するための命令を含む。これの実施形態のうちの別の実施形態において、生体認証機能を実行するために空間的に分布した複数の画像を分析するための命令は、個人の人口統計学特徴または身体計測特徴を推定するために、空間的に分布した複数の画像を分析するための命令を含む。これらの実施形態のうちのさらに別の実施形態において、生体認証機能を実行するために空間的に分布した複数の画像を分析するための命令は、個人の血液における検体の濃度を判断するために、空間的に分布した複数の画像を分析するための命令を含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、生体認証センサは、目的の皮膚部位に接触しているプラテンをさらに含んでもよく、白色光照明サブシステムは、プラテンを通って目的の皮膚部位を照明するように適合される。その他の実施形態において、白色光照明サブシステムは、皮膚部位が生体認証センサと物理的に接触していない場合に、代わりに、目的の皮膚部位を照明するように適合される。
【0033】
白色光は、異なる実施形態において異なる方式で提供されてもよい。例えば、一実施形態において、白色光照明サブシステムは、白色光の広帯域光源を含む。別の実施形態において、白色光照明サブシステムは、複数の狭帯域光源と、複数の狭帯域光源によって提供される光を組み合わせるための光学配置とを含む。複数の狭帯域光源は、1組の原色の各々に対応する波長において光を提供してもよい。場合により、目的の皮膚部位および目的の皮膚部位が照明される照明領域は相対的に動く。
【0034】
いくつかの実施形態は、白色光を偏光するように配置される照明システムにおいて第1の偏光を含むステップによって、偏光を利用する。次に、検出システムは、受光した光に衝突するように配置される第2の偏光子を含む。第1および第2の偏光子は、相互に交差してもよい。その他の実施形態において、第1および第2の偏光子は、平行であってもよい。いくつかの実施形態において、第1の偏光子を省略し、第2の偏光子を保持してもよい。いくつかの実施形態において、これらの偏光オプションのうちの2つ以上を、単一の装置において組み合わせてもよい。また、検出システムは、受光した光がカラー撮像器に入射する前に、受光した光に衝突するように配置される赤外線フィルタを含む場合があってもよい。
【0035】
特定の事例において、目的の皮膚部位は、指または手の掌側の表面であり、生体認証機能は、生体認証識別を含む。空間的に分布した複数の画像を分析するための命令は、目的の皮膚部位の表面指紋または掌紋画像を、空間的に分布した複数の画像から導き出すための命令を含む。次に、表面指紋または掌紋画像は、個人を識別するために、指紋画像または掌紋画像のデータベースと比較される。生体認証機能が生体認証識別を含むその他の実施形態において、空間的に分布した複数の画像を分析するための命令は、個人を識別するために、空間的に分布した複数の画像を、マルチスペクトル画像のデータベースと比較するための命令を代わりに含む。
【0036】
第4の組の実施形態において、生体認証機能を実行するための方法を提供する。個人の目的の皮膚部位は、白色光で照明される。目的の皮膚部位から散乱される光は、受光した光が入射するカラー撮像器で受光される。目的の皮膚部位の空間的に分布した複数の画像が導き出され、空間的に分布した複数の画像は、個人の照明された組織の異なる量に対応する。空間的に分布した複数の画像を分析して、生体認証機能を実行する。
【0037】
これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、生体認証機能は、なりすまし対抗機能を含み、空間的に分布した複数の画像を分析するステップは、目的の皮膚部位が生体組織を含むか否かを判断するステップを含む。これらの実施形態のうちのその他の実施形態において、空間的に分布した複数の画像は、個人の人口統計学特徴または身体計測特徴を推定するために分析される。これらの実施形態のうちのさらに異なる実施形態において、空間的に分布した複数の画像は、個人の血液における検体の濃度を判断するために分析される。
【0038】
目的の皮膚部位は、目的の皮膚部位に接触しているプラテンを通って、白色光を誘導することによって照明される場合があってもよい。いくつかの事例において、目的の皮膚部位は、白色光の広帯域光源で照明されてもよいが、その他の事例において、1組の原色に恐らく対応する複数の狭帯域光源を生成および組み合わせてもよい。目的の皮膚部位は、目的の皮膚部位が照明される照明領域と相対的に動く場合があってもよい。
【0039】
一実施形態において、白色光は、第1の偏光で偏光され、目的の皮膚部位から散乱する受光した光は、第2の偏光で偏光される。第1および第2の偏光は、相互に実質的に交差し、あるいは相互に実質的に平行である。受光した光は、受光した光がカラー撮像器に入射する前に、赤外線波長においてフィルタリングされる場合があってもよい。
【0040】
いくつかの事例において、生体認証機能は、生体認証識別を含む。例えば、目的の皮膚部位は、指または手の掌側の表面であってもよい。次に、空間的に分布した複数の画像の分析は、目的の皮膚部位の表面指紋または掌紋画像を、空間的に分布した複数の画像から導き出すステップと、表面指紋または掌紋画像を、指紋画像または掌紋画像のデータベースと比較するステップによって処理されてもよい。代替実施形態において、空間的に分布した複数の画像は、個人を識別するために、マルチスペクトル画像のデータベースと比較されてもよい。
【0041】
明細書の残りの部分および図面を参照することによって、本発明の性質および利点に関するさらなる理解を実現することが可能であり、また、本図面において、同一の参照表示は、いくつかの図面において、類似の構成要素を指すために使用される。いくつかの事例において、参照表示は、ラテン文字の接尾語が後にくる数字部分を含み、参照表示の数字の部分のみの参照は、異なるラテン文字の接尾語以外のその数字部分のみを有する全参照表示を総称して指すように意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明の一実施形態における非接触式生体認証センサの正面図を提供する。
【図2A】図2Aは、本発明の実施形態において使用され得るバイエルカラーフィルタ配列の構造に関する図を提供する。
【図2B】図2Bは、図2Aに示されるようなバイエルカラーフィルタ配列に関する色応答曲線を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明の別の実施形態における非接触式生体認証センサの正面図を提供する。
【図4】図4は、皮膚部位と、センサの光学的に活性領域との間の相対運動中にデータを収集するセンサ構成の上面図を提供する。
【図5】図5は、本発明の特定の実施形態において使用され得るマルチスペクトルデータキューブを示す。
【図6】図6は、本発明の一実施形態における接触式生体認証センサの正面図である。
【図7A】図7Aは、実施形態における接触式生体認証センサの側面図を提供する。
【図7B】図7Bは、別の実施形態における接触式生体認証センサの側面図を提供する。
【図8】図8は、本発明のさらなる実施形態における接触式生体認証センサの正面図を提供する。
【図9A】図9Aは、本発明の実施形態における接触式テクスチャ生体認証センサの構造を示す。
【図9B】図9Bは、一構成における接触式テクスチャ生体認証センサの側面図を提供する。
【図9C】図9Cは、別の構成における接触式テクスチャ生体認証センサの側面図を提供する。
【図10】図10は、本発明の実施形態に従う接触式および非接触式生体認証センサの機能を管理するために使用され得るコンピュータシステムに関する略図である。
【図11】図11は、接触式および非接触式生体認証センサを使用する方法を概説するフロー図であり、実行され得る多数の異なる生体認証機能を示す。
【図12】図12は、本発明の実施形態に従う接触式テクスチャ生体認証センサの動作の方法を概説するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(1.概要)
本発明の実施形態は、いくつかの実施形態における統合型多因子生体認証測定を含む、多種多様の異なる種類の生体認証測定の収集および処理を可能にする方法およびシステムを提供する。これらの測定は、人物の身元に関する強力な確実性ならびに測定される生体認証サンプルの信憑性を提供してもよい。いくつかの実施形態において、センサは、人の皮膚の表面を透過する白色光を使用し、皮膚および/または下層組織内で散乱する。本明細書で使用する際、「白色光」は、場合により原色を含み得る構成波長帯域への分離の影響を受け易いスペクトル組成を有する光を指す。白色光の定義に使用される通常の原色は、赤、緑、および青であるが、当業者に既知であるように、その他の組み合わせをその他の事例において使用してもよい。明確にするために、本明細書に使用される「白色光」は、ヒトの観測者には白色に見えない場合があり、正確な波長分布および構成波長帯域の強度により、区別可能な淡い色またはそれに関連する色を有することが強調される。その他の場合において、白色光は、紫外線または赤外線スペクトル領域に1つ以上の帯域を含んでもよい。いくつかの場合において、白色光は、赤外線および/または紫外線スペクトル領域における波長帯域を含む場合、ヒトの観測者に見えない場合がある。皮膚および/または下層組織が散乱される光の一部は、皮膚を出て、皮膚の表面における組織およびその下の組織の構造の画像の形成に使用される。皮膚の波長依存特性により、白色光が含む光の各波長から形成される画像は、その他の波長において形成される画像と異なってもよい。したがって、本発明の実施形態は、結果として生成される画像から特徴的なスペクトルおよび空間情報を抽出するように、画像を収集する。
【0044】
いくつかの用途において、生体認証測定とは独立して、あるいはそれと組み合わせて、身体に関するその他のパラメータおよび特徴を推定することが望ましい場合がある。例えば、このような具体的な一実施形態において、指紋パターンの測定と同時に、人の検体レベルを測定する能力が提供される。法の執行への適用は、測定検体が人の血中アルコール濃度を含む実施形態において見られ、このような実施形態は、車両アクセスの制限を含む多種多様の商業用途も可能にする。このように、検体測定および測定される人の身元は、密接に結びついている。
【0045】
皮膚組成および構造は、非常に独特かつ非常に複雑であって、人によって異なる。皮膚および下層組織の空間スペクトル特性の光学的測定を実行することによって、多数の査定を行なってもよい。例えば、生体認証識別機能を実行して、誰の皮膚が測定されているかを識別または検証してもよく、生存性機能を実行して、測定されるサンプルが生体および生存皮膚であり、別の種類の材料でないことを確実にしてもよく、また、年齢、性別、民族性、およびその他の人口統計学特徴および身体計測特徴等の多種多様な生物学的パラメータにより推定を行なってもよく、ならびに/もしくは、測定は、種々の検体の濃度と、アルコール、グルコース、血流かん流度および酸素化度、ビリルビン、コレステロール、尿素、ならびにその同等物を含むパラメータにより行なわれてもよい。
【0046】
皮膚の複雑な構造を異なる実施形態において使用して、方法およびシステムの側面を特定の機能のために調整してもよい。皮膚の最外層である表皮は、下層真皮および下皮に支持される。表皮自体は、角質層、透明層、顆粒層、有棘層、および基底層を含む5つの識別される副層を有してもよい。したがって、例えば、最上部の角質層下の皮膚は、表面トポログラフィに関するいくつかの特徴と、皮膚の深さに応じて変化するいくつかの特徴を有する。皮膚への血液供給が皮層に存在する間、真皮は、「真皮乳頭」として知られる表皮への突出を有し、この真皮乳頭は、毛細血管を介して表面付近に血液供給を運ぶ。指の掌側の表面において、この毛細血管構造は、表面における隆線および溝線のパターンに従う。身体におけるその他のいくつかの位置において、毛細血管床の構造は、あまり規則的ではないが、それでも依然として特定の位置および人の特徴を示している。同様に、皮膚の異なる層の間の界面のトポログラフィは、非常に複雑であり、皮膚位置および人の特徴を示す。皮膚の表面下構造および下層組織のこれらのソースは、生体認証判断または検体測定のための、皮膚の非撮像型光学的測定のための有意なノイズ源を表すが、構造差は、本発明の実施形態により有利に比較可能である空間特徴によって明示される。
【0047】
いくつかの事例において、インク、染料、および/またはその他の色素が、局所塗布物または表面下入れ墨として、皮膚の部分に存在する場合がある。これらの形式の人工色素は、ヒトの裸眼では見える場合と見えない場合がある。しかしながら、本発明の装置によって使用される1つ以上の波長は、色素に対して感受性が高く、いくつかの実施形態においてセンサを使用して、その他の所望の測定タスクに加えて、色素の存在、量、および/または形状を検証することが可能である。
【0048】
一般的に、本発明の実施形態は、独立した空間次元およびスペクトル次元を有する多次元データ構造において表され得る空間スペクトル情報を収集する方法およびシステムを提供する。特定の事例において、所望の情報は、全体の多次元データ構造の一部だけに含まれる。例えば、均一に分布した、スペクトル的に活性化合物の推定は、全体の多次元データ構造から抽出され得るスペクトル特性の測定を必要とし得る。このような場合において、画像画素の数を単一画素の制限に減少させることによって、収集されたデータの空間成分を減少または削除するように、全体のシステム設計を単純化してもよい。したがって、開示されるシステムおよび方法は、一般的に、空間スペクトル撮像に関する内容において記載されているが、単一の検出器要素が存在する地点にまで撮像の度合いが実質的に低下する類似の測定を、本発明が包含することを認識されたい。
【0049】
(2.非接触式生体認証センサ)
本発明の一実施形態は、図1の概略図で示され、本図は、非接触式生体認証センサ101の正面図を示す。センサ101は、1つ以上の光源103を有する照明サブシステム121と、撮像器115を有する検出サブシステム123とを含む。本図面は、照明サブシステム121が、複数の照明サブシステム121aおよび121bを含む実施形態を示すが、本発明は、照明または検出サブシステム121または123の数によって制限されない。例えば、照明サブシステム121の数は、特定レベルの照明を達成するように、実装要件を満たすように、およびセンサ101のその他の構造的拘束を満たすように、便宜的に選択されてもよい。照明光は、光源103から、投光、光線、光点、およびその同等物の形状などの所望の形式に照明を成形する照明光学素子105を通過する。照明光学素子105は、レンズを含むものとして便宜上図示されるが、より一般的には、1つ以上のレンズ、1つ以上の鏡、および/またはその他の光学素子の任意の組み合わせを含んでもよい。また、照明光学素子105は、特定の1次元または2次元パターンの照明光を走査するための走査機構(図示せず)を含んでもよい。光源103には、点光源、線光源、面光源が含まれてもよく、または異なる実施形態においてこのような一連の光源を含んでもよい。一実施形態において、照明光は、直線偏光子107を配置する等によって偏光として提供され、光は、調査中の人の指119またはその他の皮膚部位に当たる前に直線偏光子107を通過する。図1に示されるような実施形態は、撮像される皮膚部位が、任意の固体表面と接触することなく光と相互作用するように配置されるため、本明細書において「非接触式」センサと呼ばれる。以下に詳述される「接触式」生体認証センサにおいて、撮像される皮膚部位は、プラテンまたは光検出器等のある固体表面と接触している。
【0050】
いくつかの事例において、光源103は、白色光源を含み、この白色光源は、異なる実施形態において、広帯域光源として、あるいは狭帯域エミッタの集合として提供されてもよい。広帯域光源の例として、白色発光ダイオード(「LED」)、白熱電球またはグローバー、およびその同等物が含まれる。狭帯域エミッタの集合として、赤色LEDまたはレーザーダイオード、緑色LEDまたはレーザーダイオード、ならびに青色LEDまたはレーザーダイオードを含む実施形態等において、原色波長を有する準単色光源が含まれてもよい。
【0051】
直接反射する光を減少させるための代替機構は、光学偏光子を利用する。直線偏光子および円偏光子の両方を有利に用いて、当業者に既知であるように、一定の皮膚の深さにおいて光学的測定の感受性が高くなるようにすることが可能である。図1に示す実施形態において、照明光は、直線偏光子107によって偏光される。次に、検出サブシステム123も、直線偏光子111を含んでもよく、この直線偏光子111は、その光軸が照明偏光子107と実質的に直交するように配置される。このように、サンプルからの光は、その偏光状態を実質的に変更するために、多数の散乱事象を被らなければならない。このような事象は、光が、皮膚の表面を透過し、多数の散乱事象の後に検出サブシステム123に散乱されて戻る際に発生する。
【0052】
反対に、2つの偏光子107および111を使用して、偏光子107に実質的に平行するように偏光子111を配置することによって、直接反射する光の影響を増加させてもよい。いくつかのシステムにおいて、単一の装置に2つ以上の偏光構成を組み合わせて、2つの異なる偏光条件下(つまり、交差偏光条件下および平行偏光条件下)で収集されるマルチスペクトルデータの収集を可能にすることが有利であってもよい。その他の実施形態において、偏光子107または111あるいはその両方を省略して、実質的にランダムな偏光の収集を可能にしてもよい。
【0053】
検出サブシステム123は、レンズ、鏡、位相板および波面符号化器、ならびに/あるいは検出器115に画像を形成するその他の光学素子を含む検出光学素子を内蔵してもよい。また、検出光学素子113は、検出器115の上に全体の画像の部分を順番に置きなおすための走査機構(図示せず)を含んでもよい。あらゆる場合において、検出サブシステム123は、皮膚の表面を透過した光に対して感受性が高いように構成され、また、皮膚を出る前に、皮膚および/または下層組織内の光散乱を受けるように構成される。
【0054】
白色光を使用する実施形態において、検出器115は、バイエルカラーフィルタ配列を含んでもよく、このバイエルカラーフィルタ配列では、1組の原色に対応するフィルタ要素がバイエルパターンで配置される。このようなパターンの例を、赤204、緑212、および青208のカラーフィルタ要素を使用して配置する図2Aに示す。いくつかの事例において、検出器サブシステム123は、検出される赤外線の量を減少させるように配置される赤外線フィルタ114を付加的に含んでもよい。図2Bに示される典型的なバイエルフィルタ配列の色応答曲線から分かるように、一般的に、フィルタ要素の赤224、緑232、および青228の伝送特性のスペクトル領域にいくつかの重複が存在する。特に、緑232および青228の伝送特性の曲線において明らかであるように、フィルタ配列によって赤外線の伝送が可能になり得る。これは、検出器サブシステムの一部として赤外線フィルタ114を含めることによって回避される。その他の実施形態において、赤外線フィルタ114を省略してもよく、赤外線を発光する1つ以上の光源103を内蔵してもよい。このように、全カラーフィルタ要素204、208、および212は、光の実質的な通過を可能にし、結果として、検出器115全体に赤外線画像をもたらしてもよい。
【0055】
非接触式生体認証センサの別の実施形態を、図3の正面図で概略的に示す。本実施形態において、生体認証センサ301は、照明サブシステム323および検出サブシステム325を含む。図1に関連して説明した実施形態と同様に、いくつかの実施形態において、多数の照明サブシステム323が存在してもよく、図3は、2つの照明サブシステム323を有する具体的な実施形態を示す。照明サブシステム323が含む白色光源303は、上述のように、広帯域光源または狭帯域光源の組み合わせを含む任意の白色光源であってもよい。白色光源303からの光は、皮膚部位119に入る前に、照明光学素子305および直線偏光子307を通過する。光の一部は、皮膚部位119から検出サブシステム325に拡散的に反射し、この検出サブシステム325は、撮像光学素子315および319、直線偏光子311、および分散光学素子313を含む。分散素子313は、1次元または2次元の格子を含んでもよく、この格子は、透過型または反射型、プリズム、あるいは当技術分野で既知のその他の任意の光学的構成要素であってもよく、光の波長の関数として光の経路の偏位を引き起こす。図示される実施形態において、第1の撮像光学素子319は、直線偏光子311および分散素子313を透過するように、皮膚部位119から反射する光の視準を合わせる役割を果たす。光のスペクトル成分は、分散素子313によって角度分離され、第2の撮像光学素子315によって別々に検出器に焦点が合わされる。図1に関連して説明したように、偏光子307および311の光軸が、相互に対して実質的に直交するように配向される場合、照明システム323および検出サブシステム325がそれぞれ含む偏光子307および311は、検出器317において、直接反射する光の検出を減少させる役割を果たす。また、偏光子307、311は、光軸が実質的に平行であるように配向されてもよく、それによって、検出器317において直接反射する光の検出が増加する。いくつかの実施形態において、偏光子307または311あるいはその両方を省略してもよい。
【0056】
したがって、検出器で受光した光から生成される画像は、コンピュータ断層撮像分光器(「CTIS」)の方式における「符号化」画像である。スペクトル情報および空間情報の両方は、結果として生じる画像に同時に存在する。個々のスペクトルパターンは、符号化画像の数学的反転または「再構成」によって入手されてもよい。
【0057】
図1の非接触式センサの説明では、照明光を走査するために走査機構が提供され得ることに留意した。これは、照明領域および皮膚部位の相対運動が存在する、より一般的な種類の実施形態に関する例である。このような実施形態において、画像は、相対運動中に収集された別々の画像部分を集めることによって構成されてもよい。このような相対運動は、センサをスワイプ構成で構成する実施形態において達成されてもよく、この構成において、ユーザは、皮膚部位を平行移動するように指示される。図4の概略図の上面図において、スワイプセンサの一例を示す。本図において、センサ401の照明領域および検出領域405は、実質的に共線的である。スワイプセンサ401のいくつかの実施形態において、複数の照明領域が存在してもよい。例えば、複数の照明領域が検出領域405のいずれかの側に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、照明領域403は、部分的または全体的に検出領域に重複してもよい。画像データは、図4における矢印で示されるように、光学的に活性領域を介して指またはその他の身体部分を平行移動することによって、センサで収集される。上述の非接触式センサ構成のうちのいずれかによってスワイプセンサを実装してもよいが、いくつかの実装において、スワイプセンサを接触式構成で使用してもよく、その例については以下に詳述する。皮膚部位の個別の部分から連続的に受光する光を使用して、生体認証用途のために後に使用する画像を集める。
【0058】
上述の実施形態は、多数の空間スペクトルデータを生成し、このデータは、以下に説明されるように生体認証用途において使用され得る。本発明は、多数の空間スペクトルデータの格納または分析に関する任意の特定の方式に限定されない。図示目的のために、図5においてデータキューブの形で示される。データキューブ501は、スペクトル次元に沿って、複数の平面503、505、507、509、511に分解されるように示され、その各々は、光スペクトルの異なる部分に対応し、また、その各々は空間情報を含む。いくつかの事例において、多数の空間スペクトルデータは、空間情報およびスペクトル情報以外の追加の種類の情報を含んでもよい。例えば、異なる照明構造、異なる偏光、およびその同等物により定義される異なる照明条件は、追加の次元の情報を提供してもよい。より広義では、複数の光学的条件下で収集されたデータは、データの収集が同時または連続的であるかにかかわらず、本明細書において「マルチスペクトル」データと呼ばれる。マルチスペクトルデータの側面に関するより完璧な説明は、2006年4月24日に出願された、名称が「MULTISPECTRAL BIOMETRIC SENSORS」である同時係属の、同一出願人による米国特許出願第11/379,945号に記載されており、その全体の開示は、全目的のために参照することによって本明細書に組み込まれる。したがって、空間スペクトルデータは、光学的条件が異なると照明波長が異なる特定の種類のマルチスペクトルデータのサブセットであると考えられ得る。
【0059】
照明が白色光の下において発生する実施形態において、画像503、505、507、509、および511は、例えば、450nm、500nm、550nm、600nm、および650nmで光を使用して生成される画像に対応してもよい。別の例において、画素位置毎に、赤、緑、および青のスペクトル帯における光の量に対応する3つの画像が存在してもよい。各画像は、皮膚と相互作用する特定の波長の光の光学的効果を表す。波長によって変化する皮膚および皮膚成分の光学的特性により、マルチスペクトル画像503、505、507、509、および511の各々は、一般的に、他のものとは異なる。したがって、データキューブは、R(X,Y,X,Y,λ)と表現されてもよく、光源点X、Yにおいて照明される場合の、各画像点X、Yにおいて見られる波長λの拡散的に反射する光の量を記述する。異なる照明構成(投光、線光等)は、適切な光源点位置上の点の応答を合計することによって集計することが可能である。従来の非TIR指紋画像F(X,Y)は、所定の波長λのマルチスペクトルデータキューブとして広義に記載可能であり、全体の光源配置について次式のように合計され、
【0060】
【数1】

反対に、スペクトル生体認証データセットS(λ)は、次式のように、
【0061】
【数2】

所定の波長λの測定光強度を、照明位置と検出位置との間の差分
【0062】
【数3】

に関連付ける。したがって、データキューブRは、従来の指紋画像と、スペクトル生体認証データセットとの両方に関連付けられる。データキューブRは、他の2つのデータセットのうちのどちらかの上位集合であり、相関と、2つの別々のモダリティのどちらかにおいて損失され得る他の情報とを含む。
【0063】
皮膚および/または下層組織に入る光は、一般的に、異なる波長における皮膚および/または下層組織の異なる光学的特性によって影響を受ける。異なる波長において異なるように影響を受ける皮膚および/または下層組織における2つの光学的効果は、散乱および吸光である。皮膚組織における光散乱は、一般的に、円滑かつ比較的ゆっくり変化する機能の波長である。反対に、皮膚における吸光は、一般的に、皮膚に存在する特定の成分の吸光特徴に起因する、波長の強い関数である。例えば、血液、メラニン、水分、カロチン、ビリルビン、エタノール、およびグルコースは、全て、白色光源によって含まれ得る400nm〜2.5μmのスペクトル領域において有意な吸光特性を有する。
【0064】
光学的吸光および散乱を組み合わせた効果により、異なる照明波長は、異なる深さまで皮膚を透過する。これにより、効果的に、異なるスペクトル画像が、異なる量の照明組織に対応する異なる情報および補足情報を持つようになる。具体的には、皮膚表面に近い毛細血管層は、血液が強力に吸収する波長において撮像可能である個別の空間特徴を有する。皮膚および下層組織の複雑な波長依存特性により、所定の画像位置に対応するスペクトル値の組は、明確なおよび個別のスペクトル特性を有する。これらのスペクトル特性を使用して、画素毎ベースで収集された画像を分類してもよい。1組の正規の画像から典型的な組織スペクトル品質を生成することによって、この査定を実行してもよい。例えば、図5に示される空間スペクトルデータは、N×5のマトリクスとして記録されてもよく、ここで、Nは、空中の周辺領域からではなく生体組織からのデータを含む画像画素の数である。このセットマトリクスにおいて実行される固有分析またはその他の要因分析は、これらの組織画素の代表的なスペクトル特性をもたらす。次に、後のデータセットにおける画素のスペクトルを、マハラノビス距離およびスペクトル残差等の測定基準を使用して、過去に確立したスペクトル特性と比較してもよい。過半数の画像画素が、生体組織に一致しないスペクトル品質を有する場合、サンプルは、本物でないと見なされ、かつ拒否されることによって、サンプルの生存性の判断に基づいて、センサにおいてなりすましに対抗する方法を内蔵する機構を提供する。
【0065】
あるいは、単独で、またはスペクトル特性と併用して、皮膚のテクスチャ特徴を使用して、サンプルの信憑性を判断してもよい。例えば、種々の空間特徴の大きさを記述するように、各スペクトル画像を分析してもよい。それを行なうための方法には、ウェーブレット変換、フーリエ変換、コサイン変換、グレーレベル共起、およびその同等物が含まれる。このような任意の変換から結果としてもたらされる係数は、その係数が導き出される画像のテクスチャの側面を記述している。したがって、スペクトル画像の組から導き出されるこのような係数の組は、マルチスペクトルデータの色彩テクスチャ特徴の記述をもたらす。次に、これらの特徴を、既知のサンプルの類似する特徴と比較して、なりすましまたは生存性判断等の生体認証判断を実行してもよい。このような判断を実行するための方法は、一般的に、上述のスペクトル特性について記載した方法と類似している。このような判断のための適用可能な分類手法には、1次および2次の判別分析、分類ツリー、神経回路網、および当業者に既知であるその他の方法が含まれる。
【0066】
同様に、サンプルが手または指の掌側の表面である実施形態において、画像画素は、そのスペクトル品質またはその色彩テクスチャ品質に基づいて、「隆線」、「溝線」、または「その他」に分類されてもよい。この分類は、1次判別分析、2次判別分析、主成分分析、神経回路網、および当業者に既知のその他のもの等の判別分析方法を使用して実行可能である。隆線および溝線画素は、典型的な掌側の表面において隣接しているため、いくつかの事例において、関心画像画素周辺の局所近傍からのデータを使用して、画像画素を分類する。このように、さらなる処理および生体認証査定のために、従来の指紋画像を抽出してもよい。「その他」のカテゴリは、本物のサンプルにおいて予測されるものとは異なるスペクトル品質を有する画像画素を示してもよい。「その他」に分類される画像における画素の全数に関する閾値を設定してもよい。この閾値を超える場合、サンプルは、本物でないと判断され、適切な標示が作成され、行動がとられる。
【0067】
同様に、指の掌側の表面等の領域から収集されたマルチスペクトルデータを分析して、「特徴点」の位置を直接推定してもよく、この特徴点は、隆線が終了する位置、分岐する位置、またはこのような局所的変更を受けるその他の位置として定義される。例えば、マルチスペクトルデータセットの色彩テクスチャ品質を、上述の方式で判断してもよい。次に、これらの品質を使用して、前述の方式で、各画像位置を「隆線端点」、「隆線分岐点」、または「その他」に分類してもよい。このように、画像正規化,画像2値化,画像細線化、および特徴点フィルタリング、当業者に既知である手法等の、計算的に困難な計算を実行することを必要とせずに、直接マルチスペクトルデータからの特徴点の特徴抽出を達成してもよい。
【0068】
身元の生体認証判断は、空間スペクトルデータ全体またはその特定部分を使用して行なってもよい。例えば、適切な空間フィルタを適用して、組織におけるスペクトル的に活性な、より深い構造の典型的な代表である低域空間周波数情報を分離してもよい。類似の空間周波数分離および/または上述の画素分類方法を使用して、指紋データを抽出してもよい。スペクトル情報は、上述の方式で、画像の活性部分から分離可能である。次に、当業者に既知の方法を使用して、多くの空間スペクトルデータのうちのこれらの3つの部分を処理して、対応する登録データと比較し、一致度を判断してもよい。これらの特徴の一致の強度に基づいて、サンプルの登録データとの一致に関して判断を行なうことが可能である。実行してもよい特定の種類の空間スペクトル分析に関する追加の詳細は、Robert K.Roweらにより2004年4月5日に出願された名称が「MULTISPECTRAL BIOMETRIC SENSOR」である米国特許出願第10/818,698号に記載されており、その全体の開示は、全目的のために参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0069】
上述のように、皮膚および下層組織に存在し得る特定の物質は、個々の吸光特徴を有する。例えば、エタノールは、約2.26μm、2.30μm、および2.35μmにおいて特徴吸光ピークを有し、スペクトルのトラフは、2.23μm、2.28μm、2.32μm、および2.38μmである。いくつかの実施形態において、2.1〜2.5μmの領域、より具体的には2.2〜2.4μmの領域における波長で、非侵襲光学的測定を実行する。ピーク波長のうちの少なくとも1つおよびトラフ波長のうちの1つを含む実施形態において、部分最小二乗法、主成分回帰、および当業者に既知であるその他のもの等の多変量手法を使用して、結果として生じるスペクトルデータを分析し、組織におけるアルコール濃度の推定を提供し、また、被験者の生体認証署名を提供する。血中アルコール濃度と、これらの波長のサブセットについて判断される値とを関係付けてもよいが、少なくとも3つのスペクトルピーク値を検査することが好ましく、7つのスペクトルピーク値およびトラフ値を測定する場合に、より正確な結果が得られる。
【0070】
その他の実施形態において、1.5〜1.9μmの領域、より具体的には1.6〜1.8μmの領域における波長で、非侵襲光学的測定を実行する。具体的な実施形態において、約1.67μm、1.69μm、1.71μm、1.73μm、1.74μm、1.76μm、および1.78μmのうちの1つ以上の波長で、光学的測定を実行する。アルコールの存在は、1.69μm、1.73μm、および1.76μmにおけるスペクトルピーク、ならびに1.67μm、1.71μm、1.74μm、および1.78μmにおけるスペクトルトラフによるこれらの波長において特徴付けられる。2.1〜2.5μmの波長領域と同様に、アルコール濃度は、スペクトルピーク値およびトラフ値のうちの1つ以上の相対強度によって特徴付けられる。また、血中アルコール濃度と、1.5〜1.9μm領域におけるこれらの波長のサブセットについて判断される値とを関連付けてもよいが、少なくとも3つのスペクトルピーク値を検査することが好ましく、7つのスペクトルピーク値およびトラフ値を測定する場合に、より正確な結果が得られる。
【0071】
小型のアルコール監視スペクトル装置を、多種多様のシステムおよび特定の実施形態における用途に内蔵してもよい。アルコール監視スペクトル装置は、法の執行人に提供される専用システムとして構成可能であり、あるいは、個人の個人的な使用のために、電子フォブ、腕時計、携帯電話、PDA、またはその他の任意の電子装置等の電子装置の一部として統合されてもよい。このような装置は、血中アルコール濃度が規定限度内にあるか否かを個人に標示するための機構を含んでもよい。例えば、装置は、赤色LEDおよび緑色LEDを含んでもよく、個人の血中アルコール濃度が規定限度内に有る場合に緑色LEDが照明し、限度内に無い場合に赤色LEDが照明する装置における電子装置を含む。一実施形態において、アルコール監視器は、自動車に含まれてもよく、典型的には、個人が、指先等の組織を便宜的に装置の上に置けるように配置される。いくつかの事例において、本装置は、運転許容性を標示する情報ガイドとしてのみ機能してよいが、その他の事例において、自動車の点火装置は、個人の血中アルコール濃度が所定のレベル未満であるという判断に肯定的に依存してもよい。
【0072】
(3.接触式生体認証センサ)
生体認証センサは、図1および3に示されるセンサに類似の方式で構築されてもよいが、皮膚部位がプラテンに接触して配置されるように構成される。このような設計は、光とプラテンとの相互作用から生じる追加の特定特徴を有し、この追加の情報は、収集空間スペクトルデータの一部として組み込まれることが可能になる場合がある。
【0073】
一実施形態について図6に示し、本図面は、接触式生体認証センサ601の正面図を提供する。図1に示されるセンサのように、接触式センサ601は、1つ以上の照明サブシステム621および検出サブシステム623を有する。照明サブシステム621の各々は、1つ以上の白色光源603と、光源603によって提供される光を所望の形状に成形する照明光学素子とを含む。非接触式の配置と同様に、照明光学素子は、一般的に、任意の組み合わせの光学素子を含んでもよく、走査機構を含む場合があってもよい。いくつかの事例において、照明光は、偏光子607を配置することによって偏光として提供され、照明光は、この偏光子607を通過する。白色光源603の例として、広帯域光源および狭帯域光源が上述されているが、光源603は、異なる実施形態において異なる形状を有する光源を提供するように構成されてもよい。
【0074】
照明光は、プラテン617を通過するように照明光学素子621によって誘導され、皮膚部位119を照明する。センサレイアウト601および構成要素は、照明光学素子621の直接反射を最小限に抑えるように有利に選択されてもよい。一実施形態において、このような直接反射は、検出される直接反射する光の量を最小限に抑えるように照明サブシステム621および検出サブシステム623を相対的に配向することによって減少する。例えば、照明サブシステム621および検出サブシステム623の光軸を、プラテン617上に配置の鏡が相当量の照明光を検出サブシステム623に誘導しないような角度で配置してもよい。さらに、照明システム621および検出サブシステム623の光軸を、両方のサブシステムの角度受容がシステム601の臨界角未満になるような、プラテン617に対する角度で配置してもよく、このような構成により、プラテン617と皮膚部位119との間の全内部反射率による相当な影響が回避される。
【0075】
プラテン617の存在は、偏光子の使用により直接反射する光を減少させる能力に不利に干渉しない。検出サブシステム623は、偏光子611を含んでもよく、この偏光子611は、照明サブシステム621が含む偏光子607に対して実質的に直交または平行である光軸を有する。偏光子611および607が、相互に実質的に直交するように配向される場合において、サンプルからの光が、検出器615による感知の前に、その偏光の状態を変更するように十分に多数の散乱事象を受けなければならないため、プラテン617と皮膚部位119との間の界面における表面反射は減少する。検出サブシステム623は、プラテン表面617近傍の領域の画像を検出器615に形成する検出光学素子を付加的に内蔵してもよい。一実施形態において、検出光学素子613は、プラテン領域の部分を検出器615上に順番に置きなおすための走査機構(図示せず)を含む。具体的には、バイエルフィルタ配列を使用する場合等の、検出器615が赤外線に対して感受性の高い実施形態において、検出される赤外線の量を減少させるように、赤外線フィルタ614を含んでもよい。反対に、上述のように、赤外線フィルタ614を、いくつかの実施形態において省略してもよく、また、赤外線発光を含む追加の光源603を、いくつかの実施形態において含めてもよい。
【0076】
上述のその他の配置のように、検出サブシステム623は、一般的に、皮膚の表面を透過した光に対して感受性が高いように構成され、また、皮膚および/または下層組織内の光散乱を受けるように構成される。表面特徴を形成または強調するために、偏光子を使用する場合があってもよい。例えば、プラテン617に平行な方向(「P」)において照明光を偏光する場合、検出サブシステム623は、垂直配向(「S」)にある偏光子611を内蔵し、反射光は、偏光子の対の消光比によって阻止される。しかしながら、隆線点において皮膚部位に交差する光は、光学的に散乱し、それによって偏光を効果的にランダム化する(但し、当業者に既知であるように、皮膚は、それ自体の特徴偏光質をいくらか有する)。これにより、吸光および再発光された光の約50%が、S型偏光撮像システムによって認められる。
【0077】
発明の実施形態のうちの1つの側面図について、図7Aに提供される概略図で示す。明確にするために、本図は、検出サブシステムではなく、照明サブシステム621を明確に示している。本実施形態における照明サブシステム621は、空間的に分散される複数の白色光源703を有する。図面に示されるように、照明光学素子621は、投光照明を提供するように構成されるが、代替実施形態において、円筒型光学素子、集束光学素子、または当業者に既知であるその他の光学的構成要素を内蔵することによって、線、点、またはその他のパターン型照明を提供するように配置されてもよい。
【0078】
図7Aの白色光源703の配列は、実際は、図面に示されるように平面である必要はない。例えば、その他の実施形態において、光ファイバ、ファイバ束、あるいはファイバ光フェースプレートまたはテーパは、ある便利な位置における光源からの光を照明面に伝達してもよく、この場合、光は、皮膚部位119上に再び撮像される。LEDのように、駆動電流のスイッチをオンおよびオフするように光源を制御してもよい。あるいは、白熱光源を使用する場合、液晶変調器等のある形式の空間光変調器を使用して、あるいは微小電気機械システム(「MEMS」)技術を使用して、口径、鏡、またはその他のこのような光学素子を制御するように、光のスイッチを達成してもよい。このような構成により、センサの構造の簡略化が可能になってもよい。一実施形態について図7Bに示し、本図は、光ファイバおよびLED等の照明源の電子走査の使用を示す。個々のファイバ716aは、照明アレイ710に位置するLEDの各々を撮像表面に連結し、その他のファイバ716bは、反射光を撮像器712に送り返し、この撮像器712は、フォトダイオードアレイ、CMOSアレイ、またはCCDアレイを含んでもよい。したがって、ファイバ716aおよび716bの組は、光を送る際に使用される光ファイバ束714を画定する。
【0079】
接触式生体認証センサの別の実施形態について、図8の正面図で概略的に示す。本実施形態において、生体認証センサ801は、1つ以上の白色光照明サブシステム823および検出サブシステム825を含む。照明サブシステム823は、照明光学素子805および偏光子807を通過する光を、皮膚部位119を上に配置するプラテン817に誘導するように提供する白色光源803を含む。光の一部は、皮膚部位119から検出サブシステム825に拡散的に反射され、この検出サブシステム825は、撮像光学素子815および819、交差型偏光子811、ならびに分散光学素子813を含む。第1の撮像光学素子819は、交差型偏光子811および分散素子813を透過するように、皮膚部位119から反射する光の視準を合わせる。分離されたスペクトル成分の焦点は、第2の撮像光学素子815によって別々に検出器817に合わせられる。
【0080】
また、図6〜8に示されるような接触式生体認証センサは、照明領域が皮膚部位に対して相対的に動く構成の影響を受け易い。前述のように、このような相対運動は、照明光を走査するための機構によって、および/または皮膚部位を動かすことによって実装されてもよい。接触式センサの実施形態におけるプラテンの存在は、一般的に、皮膚部位の表面を規定面に閉じ込めることによって皮膚部位の動きを促進する。動きの自由を3次元で許容する実施形態において、さらなる困難が、撮像深度外の皮膚部位の動きにより生じる場合がある。スワイプセンサは、上記の図4に関連して概して説明した態様で、接触式生体認証センサと適宜実装されてもよいが、皮膚部位の一方向の動きを防止するプラテンを含む。いくつかの実施形態において、スワイプセンサは、定置式システムであってもよく、接触式構成により、白色光に対して透過的であるローラ構造上で皮膚部位が転がるローラシステムが、実装可能になる。符号器は、配置情報を記録し、当業者が理解するように、結果として生じる一連の画像スライスから、完全な2次元画像にまとめることを支援する。皮膚部位の個別の部分から受光する光を使用して、画像を集める。
【0081】
非接触式および接触式生体認証センサの上記説明は、白色光を使用する一実施形態に焦点を合わせているが、その他の実施形態は、類似の構造配置のその他のスペクトル組み合わせの光を利用してもよい。さらに、他の実施形態は、マルチスペクトル条件を提供する光学的条件において追加の変形を含んでもよい。このようなマルチスペクトル出願に関するいくつかの説明は、Robert K. Roweらにより2004年4月5日に出願された名称が「MULTISPECTRAL BIOMETRIC SENSOR」である同一出願人による米国特許出願第10/818,698号、Robert K.Roweにより2005年7月8日に出願された名称が「LIVENESS SENSOR」である米国特許第11/177,817号、Robert K.RoweおよびStephen P.Corcoranにより2004年6月1日に出願された名称が「MULTISPECTRAL FINGER RECOGNITION」である米国仮特許第60/576,364号、Robert K.Roweにより2004年8月11日に出願された名称が「MULTISPECTRAL IMAGING BIOMETRIC」である米国仮特許出願第60/600,867号、Robert K.Roweにより2005年4月25日に出願された名称が「MULTISPECTRAL IMAGING BIOMETRICS」である米国特許第11/115,100号、2005年4月25日に出願された名称が「MULTISPECTRAL BIOMETRIC IMAGING」である米国特許出願第11/115,101号、2005年4月25日に出願された名称が「MULTISPECTRAL LIVENESS DETERMINATION」である米国特許11/115,075、Robert K.Roweらにより2005年3月4日に出願された名称が「MULTISPECTRAL IMAGING OF THE FINGER FOR BIOMETRICS」である米国仮特許出願第60/659,024号、Robert K.Roweにより2005年4月27日に出願された名称が「MULTISPECTRAL BIOMETRIC SENSORS」である米国仮特許出願第60/675,776号、およびRobert K.Roweにより2006年4月24日に出願された名称が「MULTISPECTRAL BIOMETRIC SENSORS」である米国特許出願第11/379,945号において提供される。前述の出願の各々の全体の開示は、全目的のために参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0082】
上述の非接触式および接触式生体認証センサは、特定の実施形態において、白色光撮像を使用する。白色光の使用により、多数の色において画像が同時に収集可能になり、データ収集の全体の速度は、個別の状態を別々に収集する実施形態よりも速くなる。このデータ収集時間の短縮により、データ収集中に皮膚部位が動く際の運動アーチファクトが減少する。センサ全体のサイズも縮小され、異なる色に個別の照明源を使用する場合に比べて使用する光源の数が減少することにより、費用が減少する。光源の調整動作の対応に使用される電子装置においても、対応する縮小が可能である。さらに、カラー撮像器は、単色撮像器よりも典型的には低い価格で現在入手可能である。
【0083】
また、所望の解像度を達成する際に全画素を使用するようにセンサを設計する場合に、白色光撮像の使用により、データ量の減少が可能になる。例えば、典型的な設計基準は、500ドット/インチ解像度で1インチフィールドを提供し得る。これは、500×500画素を有する単色カメラで達成可能である。また、これは、各色平面を別々に抽出する場合に、1000×1000のカラーカメラでも達成可能である。同一の解像度は、500×500カラー撮像器を使用し、3つ組の{R,G,B}に変換し、次に、画像の単色部分を抽出することによって達成可能である。これは、3原色に変換し、その後、画像の単色部分を抽出することによってカラー撮像器を使用することにより一般的な手順に関する具体的な例である。このような手順により、一般的に、その他の抽出法を使用するよりも、効果的に所望の解像度が達成可能になる。
【0084】
(4.テクスチャ生体認証センサ)
本発明の実施形態において提供される別の形式の接触式生体認証センサは、テクスチャ生体認証センサである。「画像テクスチャ」は、一般的に、画像の色調特徴の空間分布に関するある側面を記述する多数の測定基準のうちのいずれかを指し、そのうちのいくつかに関しては上述している。例えば、指紋パターンまたは木目に通常見られるもの等のいくつかのテクスチャは、流れ状であり、配向およびコヒーレンス等の測定基準によって十分記述され得る。空間的規則性を有する(少なくとも局所的に)テクスチャでは、エネルギコンパクト性、卓越周波数、および方向性等のフーリエ変換および関連のパワースペクトルに関する特定の特徴が重要である。平均、分散、非対称、および尖度等の特定の人口統計学的モーメントを使用して、テクスチャを記述してもよい。スケール、回転、およびその他の摂動における変化に対して不変である種々のモーメントの組み合わせであるモーメント不変量を使用してもよい。グレートーン空間依存マトリクスを生成および分析して、画像テクスチャを記述してもよい。画像領域上のエントロピーを画像テクスチャの測定として計算してもよい。種々の種類のウェーブレット変換を使用して画像テクスチャの側面を記述してもよい。可動ピラミッド、ガボールフィルタ、および空間的有界の基底関数を使用するその他の機構を使用して画像テクスチャを記述してもよい。これらのおよびその他のこのような当業者に既知であるテクスチャの測定を、個々にあるいは本発明の実施形態と組み合わせて使用してもよい。
【0085】
したがって、画像における画素強度の変動によって、画像テクスチャを明示してもよく、これを本発明の実施形態において使用して生体認証機能を実行してもよい。いくつかの実施形態において、このようなテクスチャ分析を、マルチスペクトルデータセットから抽出される異なるスペクトル画像について実行する場合に、追加の情報を抽出して、皮膚部位の色彩テクスチャ記述を生成してもよい。これらの実施形態により、皮膚部位の画像の一部を捕捉することによって生体認証機能を有利に実行することが可能になる。皮膚部位のテクスチャ特徴は、皮膚部位についてほぼ一貫していると見込まれ、画像位置の異なる部分において行なわれる測定によって、生体認証機能が実行可能になる。多くの事例において、異なる測定に使用される皮膚部位の部分が相互に重複する必要はない。
【0086】
皮膚部位の異なる部分を使用するこの能力により、使用され得る構造設計においてかなりの柔軟性が提供される。これは、一部には、決定論的空間パターンに対する一致を必要とする代わりに、生体認証一致が統計的に実行され得るという事実の結果である。センサは、特定の空間範囲において画像を必要としないため、小型に構成可能になる。また、小型のセンサを提供する能力により、生体認証機能の実行のために完全な空間情報の収集を必要とするセンサよりも経済的にセンサを作製することが可能になる。異なる実施形態において、生体認証機能は、純粋なスペクトル情報により実行してもよいが、その他の実施形態では、空間スペクトル情報を使用する。
【0087】
テクスチャ生体認証センサの構造の一例を図9Aに概略的に示す。センサ900は、複数の光源904および撮像器908を含む。いくつかの実施形態において、光源904は、白色光源を含むが、その他の実施形態において、光源は、準単色光源を含む。同様に、撮像器908は、単色撮像器またはカラー撮像器を含んでもよく、その一例として、バイエルパターンを有する撮像器が挙げられる。センサ900は、測定される皮膚部位119の平面において実質的に画像を収集するため、本明細書において「接触式」センサと呼ばれる。しかしながら、センサを動作する構成が異なることが可能であってもよく、皮膚部位119と実質的に接触している撮像器908もあれば、皮膚部位119の平面から移動している撮像器908もある。
【0088】
これを、図9Bおよび9Cにおける2つの図示される実施形態について示す。図9Bの実施形態において、撮像器908は、皮膚部位119と実質的に接触している。光源904からの光は、皮膚部位119の組織の下を伝播し、皮膚部位119および下層組織から散乱される光が、撮像器908によって検出可能になる。撮像器908が皮膚部位119から変位させられている代替実施形態について、図9Cに概略的に示す。本図面において、センサ900’は、皮膚部位119の平面における画像を撮像器に移動し、かつ複数の光ファイバを含んでもよい光学配置912を含み、この光ファイバは、強度を実質的に損失することなく、ファイバに沿った全内部反射によって画像の個々の画素を移動する。このように、撮像器908によって検出される光パターンは、皮膚部位119の平面において形成される光パターンと実質的に同一である。したがって、センサ900’は、図9Bに示されるセンサ900と実質的に同一の方式で動作してもよい。つまり、光源904からの光は、皮膚部位に伝播し、この場合、皮膚部位119に透過した後に下位組織によって光が反射および散乱する。情報は、実質的に損失することなく単に移動するため、このような実施形態において撮像器908によって形成される画像は、図9Aと同様の配置で形成される画像と実質的に同一である。
【0089】
純粋なスペクトル情報を使用して生体認証機能を実行する実施形態において、受信したデータにおけるスペクトル特性は、識別され、かつスペクトルの登録データベースと比較される。結果として生じる特定の個人の組織スペクトルは、該当するスペクトル特性を抽出するように装置が設定されると、個人の識別に使用可能である固有のスペクトル特性およびスペクトル特性の組み合わせを含む。該当するスペクトル特性の抽出を、判別分析法を含む多数の異なる手法で実行してもよい。スペクトル出力の視覚分析では容易に明白にならないが、このような解析的手法は、生体認証機能を実行するために区別可能な固有の特徴を繰り返し抽出することが可能である。具体的な手法の例は、名称が「APPARATUS AND METHOD OF BIOMETRIC IDENTIFICATION AND VERIFICATION OF INDIVIDUALS USING OPTICAL SPECTROSCOPY」である同一出願人による米国特許第6,560,352号、名称が「METHODS AND SYSTEMS FOR BIOMETRIC IDENTIFICATION OF INDIVIDUALS USING LINEAR OPTICAL SPECTROSCOPY」である米国特許第6,816,605号、名称が「APPARATUS AND METHOD FOR IDENTIFICATION OF INDIVIDUALS BY NEAR−INFRARED SPECTROSCOPY」である米国特許第6,628,809号、Robert K.Roweらにより2003年9月12日に出願された名称が「APPARATUS AND METHOD FOR IDENTIFICATION OF INDIVIDUAL BY NEAR−INFRARED SPECTROSCOPY」である米国特許出願第10/660,884号、およびRobert K.Roweらにより2001年6月5日に出願された名称が「APPARATUS AND METHOD OF BIOMETRIC DETERMINATION USING SPECIALIZED OPTICAL SPECTROSCOPY SYSTEM」である米国特許出願第09/874,740号に開示される。前述の特許出願の各々の全体の開示は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0090】
生体認証識別を含む画像テクスチャ情報により生体認識機能を実行する能力は、生体からの信号の大部分が毛細管血に起因するという事実を活用してもよい。例えば、皮膚部位119が指を含む場合、既知の生理的特徴は、指の毛細血管が外側の指紋隆線構造のパターンに従うということである。したがって、照明波長に対する指紋の特徴のコントラストは、血液のスペクトル特性に関連する。具体的には、約580nmよりも長い波長で撮られる画像のコントラストは、約580nm未満の波長で撮られる画像よりも実質的に低下する。非血液色素およびフレネル反射率等のその他の光学的効果で生成される指紋パターンは、異なるスペクトルコントラストを有する。
【0091】
皮膚部位119から散乱される光は、異なる実施形態において、多種多様の異なる種類の比較テクスチャ分析を受けてもよい。いくつかの実施形態は、性能指数を生成するために収集された光から導き出された画像データの移動窓分析の形式を利用してもよく、それによって、テクスチャまたは性能指数の測定を評価する。いくつかの実施形態において、移動窓操作は、ブロック−バイ−ブロックまたはタイル分析に置換されてもよい。いくつかの実施形態において、画像または画像全体の単一の領域を、一度に分析してもよい。
【0092】
一実施形態において、画像データの1つ以上の領域において高速フーリエ変換を実行する。平均またはDC電力の帯域内パワーに対する比として、このような実施形態において帯域内コントラスト性能指数Cを生成する。具体的には、白色光が含む複数の波長のうちの1つに対応する指標iに対して、コントラスト性能指数は、
【0093】
【数4】

である。本式において、F(ξ,η)は、指標iに対応する波長における画像f(x,y)のフーリエ変換であり、ここで、xおよびyは、画像の空間座標である。RlowおよびRhighで画定される領域は、指紋特徴の関心空間周波数における限界を表す。例えば、Rlowは、一実施形態において約1.5フリンジ/mmであってもよく、Rhighは、3.0フリンジ/mmであってもよい。代替の式において、コントラスト性能指数は、2つの異なる空間周波数帯における統合パワーの比として定義されてもよい。上記の式は、帯域の1つがDC空間周波数のみを含む具体的な事例である。
【0094】
別の実施形態において、移動窓平均および標準偏差は、収集された多数のデータに関して計算され、かつ性能指数を生成するために使用される。本実施形態において、指標iに対応する波長毎に、移動窓平均μおよび移動窓標準偏差σが、収集された画像f(x,y)から計算される。計算毎の移動窓は、同一の大きさであってもよく、また、約2〜3個の指紋隆線に及ぶように便宜的に選択されてもよい。好ましくは、窓サイズは、指紋特徴を除去するために十分大きいが、背景変動を維持させるために十分小さいものである。本実施形態における性能指数Cは、移動窓標準偏差の移動窓平均に対する比として次式のように計算される。
【0095】
【数5】

さらに別の実施形態において、類似のプロセスを実行してもよいが、移動窓標準偏差の代わりに移動窓領域(つまり、最大(画像値)−最小(画像値))を使用する。したがって、前述の実施形態と同様に、指標iに対応する波長毎に、移動窓平均μおよび移動窓領域δが、収集された画像f(x,y)から計算される。前述のように、移動窓平均の計算のための窓サイズは、好ましくは、指紋特徴を除去するために十分大きいが、背景変動を維持させるために十分小さいものである。いくつかの事例において、移動窓平均の計算のための窓サイズは、移動窓領域の計算のためのものと同一であり、約2〜3個の指紋隆線に及ぶ一実施形態において適切な値である。本実施形態における性能指数は、移動窓平均の比として次式のように計算される。
【0096】
【数6】

本実施形態および前述の実施形態は、収集されたデータに移動窓計算を実行して移動窓中心性測定値および移動窓変動性測定値を計算するという、より一般的な実施形態に関する具体的な事例であると考えられ得る。具体的な実施形態は、中心性測定値が、非加重平均を含むが、より一般的には、特定の実施形態における加重平均または中央値等のその他の任意の種類の統計中心性測定値を含んでもよい場合を示す。同様に、具体的な実施形態は、変動性測定値が、標準偏差または領域を含むが、特定の実施形態における中央絶対偏差または平均の標準誤差等のその他の種類の統計変動性測定値を、より一般的に含んでもよい場合を示す。
【0097】
移動窓分析を活用しない別の実施形態において、ウェーブレット解析をスペクトル画像の各々に実行してもよい。いくつかの実施形態において、ウェーブレット解析は、結果として生じる係数が、ほぼ空間的に不変であるように実行されてもよい。これは、非間引きウェーブレット分解を実行し、デュアル−ツリー複素ウェーブレット法またはその他の同様の方法を適用することによって達成してもよい。また、ガボールフィルタ、可動ピラミッド、およびその他の同様の分解を適用して、類似の係数を生成してもよい。いかなる分解方法を選択しても、結果的に、画像の特定位置における特定の基底関数に対応する変動の大きさに比例する係数の集合となる。なりすまし検出を実行するために、ウェーブレット係数またはその導き出された集計を、本物のサンプルの期待係数と比較してもよい。比較により、結果が十分近似していることが示される場合、サンプルは、本物であると考えられる。そうでない場合は、サンプルは、なりすましであると判断される。同様に、測定中の係数の組と、同一の人と想定される人から過去に記録した組とを比較することによって、係数を生体認証検証に使用してもよい。
【0098】
(5.例示的用途)
種々の実施形態において、生体認証センサは、上述の種類のうちのいずれかの非接触式、接触式、またはテクスチャのセンサにかかわらず、生体認証機能性を実装するために、計算システムによって動作され得る。図10は、概して、個々のシステム要素が分離型またはより一体型の方式でいかに実装され得るかを示す。計算装置1000は、バス1026を介して電気的に連結されるハードウェア要素を含むように示され、また、バス1026は、生体認証センサ1056とも連結される。ハードウェア要素には、プロセッサ1002、入力装置1004、出力装置1006、記憶装置1008、コンピュータ可読記憶媒体読み取り器1010a、通信システム1014、DSPまたは専用プロセッサ等の処理加速ユニット1016、ならびにメモリ1018が含まれる。コンピュータ可読記憶媒体読み取り器1010aは、コンピュータ可読記憶媒体1010bにさらに接続され、その組み合わせは、遠隔的、局所的、固定、および/または着脱可能記憶装置と、コンピュータ可読情報を一時的および/または永続的に含む記憶媒体とを包括的に表す。通信システム1014は、有線、無線、モデム、および/またはその他の種類のインターフェース接続を含み、外部装置とデータを交換することを可能にする。
【0099】
また、計算装置1000は、作業メモリ1020内に位置するように図示されているソフトウェア要素も含み、このソフトウェア要素は、オペレーティングシステム1024と、本発明の方法を実装するように設計されるプログラム等のその他のコード1022を含む。具体的な要件に従って、大幅な変形を使用してもよいことが当業者に明らかである。例えば、カスタマイズされたハードウェアを使用してもよく、および/または特定の要素をハードウェア、ソフトウェア(アプレット等の携帯型ソフトウェアを含む)、またはその両方において実装してもよい。さらに、ネットワーク入力/出力装置等のその他の計算装置への接続を用いてもよい。
【0100】
計算装置を含んで実装され得る機能性の概要について、図11のフロー図で概説する。いくつかの実施形態において、ブロック1104に示されるように、目的の皮膚部位を白色光で照明する。これにより、ブロック1108において、生体認証センサが、目的の皮膚部位からの光を受光することが可能になる。上述のように、生体認証機能を実装する際に、多数の異なる方式で、受光した光を分析してもよい。本フロー図は、生体認証機能を実装する際に、特定の組み合わせの分析をいかに使用し得るかについて示すが、全てのステップを実行する必要はない。その他の事例において、ステップのサブセットを実行してもよく、追加のステップを実行してもよく、および/または示されるステップを、示される順番とは異なる順番で実行してもよい。
【0101】
ブロック1112において、通常は、目的の皮膚部位が生体組織の特徴を有することを検証することによって、目的の皮膚部位がある種類のなりすましでないことを確認するために、受光した光で生存性確認を実行してもよい。なりすましが検出される場合、ブロック1164において警告が発行されてもよい。発行される警告の具体的な種類は、生体認証センサが配置される環境に依存してもよく、可聴または可視警告が、センサ自体の付近で発行される場合がある。その他の事例において、セキュリティまたは法施行人員に、無音警告を伝送してもよい。
【0102】
ブロック1120において、目的の皮膚部位から散乱されて受光した光を使用して、目的の皮膚部位の表面画像を導き出してもよい。目的の皮膚部位が指の掌側の表面である事例において、このような表面画像は、指における隆線および溝線のパターンの表現を含み、ブロック1124において、それを従来の指紋のデータベースと比較する。付加的にまたは代替的に、ブロック1128において、受光した光を使用して空間スペクトル画像を導き出してもよい。ブロック1132において、この画像を、個人と関連付けられる画像を有する空間スペクトルデータベースと比較してもよい。どちらの事例においても、比較の結果、ブロック1136において、比較によって個人を識別することが可能になってもよい。一般的に、完全な空間スペクトル情報を使用して空間スペクトル画像との比較を提供することによって、より信頼性の高い識別が行なわれ得ることが期待される。しかし、いくつかの用途において、従来の指紋データをさらに利用することが可能であってもよく、個人によっては、空間スペクトルデータベースではなく、大型の法執行指紋データベースに自身の指紋を格納している。このような場合、本発明の実施形態は、従来の指紋画像の抽出が識別を実行することを有利に可能にする。
【0103】
空間スペクトルデータは、さらに追加の情報を含み、この情報により、識別が従来の指紋データベースで行なわれたか、空間スペクトル情報との比較により行なわれたかを問わず、識別における信頼性を高めることができる。例えば、ブロック1140において示されるように、受光した光から人口統計学特徴または身体計測特徴を推定してもよい。ブロック1136において画像に一致するデータベースの入力が、人口統計学情報または身体計測情報を含む場合、ブロック1144において整合性確認を行なってもよい。例えば、自身を提示する個人が、推定される人口統計学特徴および身体計測特徴から、20〜35歳の白人男性と識別されてもよい。画像が一致するデータベース項目が、個人を68歳の黒人女性と識別する場合、ブロック1164において警告の発行を引き起こし得る明確な不一致が存在する。
【0104】
ブロック1156において、受光した光から検体濃度等のその他の情報も判断してもよい。判断された検体レベルに従って、異なる行動を取る場合があってもよい。例えば、血中アルコール濃度がある閾値を超える場合に自動車の点火装置を制止してもよく、あるいは、患者の血糖値がある閾値を超える場合に警告を発行してもよい。皮膚の乾燥状態およびその同等物等のその他の生理学的パラメータをその他の用途において推定してもよく、それに応答してさらにその他の行動が取られる。
【0105】
図12は、テクスチャ生体認証センサの適用を示す類似のフロー図を提供する。ブロック1204において、個人の皮膚部位を検出器と接触して配置することによってセンサを使用する。前述のように、検出器は、指の表面の一部のみが検出器と接触して配置されるように比較的小さくてもよく、テクスチャ生体認証の性質により、異なる測定中に接触して位置する表面の特定部分における変動は、不利にはならない。ブロック1208において皮膚部位を照明し、ブロック1212において皮膚部位から散乱される光を検出器で受光することによって、データを収集する。
【0106】
フロー図は、異なる種類の分析を実行してもよいことを示す。これらの分析の各々をあらゆる場合において実行することは必須ではなく、また当然ながら、多く用途において、1種類のみの分析を使用することも一般的に考えられる。ブロック1216に概して示される分析のうちの1つのカテゴリは、情報についての純粋なスペクトル比較を使用する。ブロック1220および1228に概して示される分析のうちの別のカテゴリは、ブロック1220において、受光した光における空間スペクトル情報から画像テクスチャを判断し、ブロック1228において画像テクスチャをテクスチャ生体認証情報のデータベースと比較することによって、画像テクスチャ情報を使用する。一方または両方の種類の分析により、ブロック1232において、個人の識別等の生体認証機能を実行する。
【0107】
このように、いくつかの実施形態について説明したが、本発明の精神を逸脱することなく、種々の修正、代替の構成、および同等物を使用してもよいことを当業者は認識するだろう。したがって、以下の請求項において規定される本発明の範囲を限定するものとして、上述の説明を解釈するべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体認証機能を実行する方法であって、
個人の目的の皮膚部位を照明光で照明することであって、該目的の皮膚部位は、表面と接触している、ことと、
該目的の皮膚部位から散乱される光を受光することであって、該光は、該表面を含む平面において実質的に受光されることと、
該受光した光から画像を形成することと、
該画像から画像テクスチャ測定値を生成することと、
該生体認証機能を実行するために、該生成された画像テクスチャ測定値を分析することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記生体認証機能は、なりすまし対抗機能を含み、前記生成された画像テクスチャ測定値を分析することは、前記目的の皮膚部位が生体組織を含むか否かを、該生成された画像テクスチャ測定値から判断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生体認証機能は、身元機能を含み、前記生成された画像テクスチャ測定値を分析することは、前記個人の身元を、該生成された画像テクスチャ測定値から判断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記生体認証機能は、人口統計学機能または身体計測機能を含み、前記生成された画像テクスチャ測定値を分析することは、前記個人の人口統計学特徴または身体計測特徴を、該生成された画像テクスチャ測定値から評価することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記表面は、撮像検出器の表面であり、
前記目的の皮膚部位から散乱される光を受光することは、該目的の皮膚部位から散乱される光を、前記撮像検出器において受光することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記目的の皮膚部位から散乱される光を受光することは、
前記平面からの光のパターンを、該パターンを実質的に劣化または減衰させることなく、該平面の外部に配置される撮像検出器に移動することと、
該移動したパターンを、該撮像検出器において受光することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記照明光は白色光である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記画像は、異なる波長に対応する複数の画像を含み、
前記画像テクスチャ測定値を生成することは、該複数の画像の各々の空間移動窓分析を実行することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記空間移動窓分析を実行することは、前記複数の画像において移動窓フーリエ変換を計算することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記空間移動窓分析を実行することは、前記複数の画像の移動窓中心性測定値および移動窓変動性測定値を計算することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記目的の皮膚部位から散乱される光を受光することは、該目的の皮膚部位から散乱される光を、単色撮像検出器において受光することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記目的の皮膚部位から散乱される光を受光することは、該目的の皮膚部位から散乱される光を、カラー撮像検出器において受光することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記生体認証機能を実行するために前記生成された画像テクスチャ測定値を分析することは、該生成された画像テクスチャ測定値を、基準画像テクスチャ測定値と比較することを含み、
該基準画像テクスチャ測定値は、基準皮膚部位から散乱される光から形成される基準画像から生成されており、
該目的の皮膚部位は、該基準皮膚部位とは実質的に異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記生体認証機能を実行する際に、前記受光した光のスペクトル特性を、基準スペクトル特性と比較することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
個人の目的の皮膚部位と接触するように適合される表面と、
該目的の皮膚部位が該表面と接触している際に、該目的の皮膚部位を照明するように配置される照明サブシステムと、
該目的の皮膚部位から散乱される光を受光するように配置される検出サブシステムであって、該光は、該表面を含む平面において実質的に受光される、検出サブシステムと、
該検出サブシステムと相互作用する計算ユニットであって、
該受光した光から画像を形成する命令と、
該画像から画像テクスチャ測定値を生成する命令と、
該生体認証機能を実行するために、該生成された画像テクスチャ測定値を分析する命令と
を含む計算ユニットと
を含む、生体認証センサ。
【請求項16】
前記生体認証機能は、なりすまし対抗機能を含み、
前記生成された画像テクスチャ測定値を分析するための前記命令は、前記目的の皮膚部位が生体組織を含むか否かを、該生成された画像テクスチャ測定値から判断する命令を含む、請求項15に記載の生体認証センサ。
【請求項17】
前記生体認証機能は、身元機能を含み、
前記生成された画像テクスチャ測定値を分析する前記命令は、前記個人の身元を、該生成された画像テクスチャ測定値から判断する命令を含む、請求項15に記載の生体認証センサ。
【請求項18】
前記生体認証機能は、人口統計学機能または身体計測機能を含み、前記生成された画像テクスチャ測定値を分析する前記命令は、前記個人の人口統計学特徴または身体計測特徴を、該生成された画像テクスチャ測定値から評価する命令を含む、請求項15に記載の生体認証センサ。
【請求項19】
撮像検出器をさらに含み、
前記表面は、該撮像検出器の表面であり、
前記検出サブシステムは、該撮像検出器を含み、かつ前記目的の皮膚部位から散乱される光を該撮像検出器において受光するように構成される、請求項15に記載の生体認証センサ。
【請求項20】
前記平面の外部に配置される撮像検出器と、
光のパターンを、該パターンを実質的に劣化または減衰させることなく、該平面から該撮像検出器に移動するように構成される光学配置と
をさらに含み、
前記検出サブシステムは、該撮像検出器を含み、かつ該移動したパターンを該撮像検出器において受光するように構成される、請求項15に記載の生体認証センサ。
【請求項21】
前記照明サブシステムは、前記目的の皮膚部位を白色光で照明するように構成される、請求項15に記載の生体認証センサ。
【請求項22】
前記画像は、異なる波長に対応する複数の画像を含み、
前記画像テクスチャ測定値を生成する前記命令は、該複数の画像の各々の空間移動窓分析を実行する命令を含む、請求項21に記載の生体認証センサ。
【請求項23】
前記空間移動窓分析を実行する前記命令は、前記複数の画像において移動窓フーリエ変換を計算する命令を含む、請求項22に記載の生体認証センサ。
【請求項24】
前記空間移動窓分析を実行する前記命令は、前記複数の画像の移動窓中心性測定値および移動窓変動性測定値を計算する命令を含む、請求項22に記載の生体認証センサ。
【請求項25】
前記検出サブシステムは、単色撮像検出器を含み、かつ前記目的の皮膚部位から散乱する前記光を該単色撮像検出器において受光するように構成される、請求項15に記載の生体認証センサ。
【請求項26】
前記検出サブシステムは、カラー撮像検出器を含み、かつ前記目的の皮膚部位から散乱する前記光を該カラー撮像検出器において受光するように構成される、請求項15に記載の生体認証センサ。
【請求項27】
前記生体認証機能を実行するために、前記生成された画像テクスチャ測定値を分析する前記命令は、該生成された画像テクスチャ測定値を、基準画像テクスチャ測定値と比較する命令を含み、
該基準画像テクスチャ測定値は、基準皮膚部位から散乱される光から形成される基準画像から生成されており、
該目的の皮膚部位は、該基準皮膚部位とは実質的に異なる、請求項15に記載の生体認証センサ。
【請求項28】
前記計算ユニットは、前記生体認証機能を実行する際に、前記受光した光のスペクトル特性を、基準スペクトル特性と比較する命令をさらに含む、請求項15に記載の生体認証センサ。
【請求項29】
個人の目的の皮膚部位を白色光で照明するように配置される白色光照明サブシステムと、
該目的の皮膚部位から散乱される光を受光するように配置される検出サブシステムであって、該受光した光が入射するカラー撮像器を含む、検出サブシステムと、
該検出サブシステムと相互作用する計算ユニットであって、
該目的の皮膚部位の空間的に分布した複数の画像を、該カラー撮像器で該受光した光から導き出す命令であって、該空間的に分布した複数の画像は、該個人の照明された組織の異なる容量に対応する、命令と、
生体認証機能を実行するために、該空間的に分布した複数の画像を分析する命令と
を含む計算ユニットと
を含む、生体認証センサ。
【請求項30】
前記生体認証機能は、なりすまし対抗機能を含み、前記空間的に分布した複数の画像を分析する前記命令は、前記目的の皮膚部位が生体組織を含むか否かを判断する命令を含む、請求項29に記載の生体認証センサ。
【請求項31】
前記生体認証機能を実行するために、前記空間的に分布した複数の画像を分析する前記命令は、前記個人の人口統計学特徴または身体計測特徴を評価するために、該空間的に分布した複数の画像を分析する命令を含む、請求項29に記載の生体認証センサ。
【請求項32】
前記生体認証機能を実行するために、前記空間的に分布した複数の画像を分析する前記命令は、前記個人の血液における検体の濃度を判断するために、該空間的に分布した複数の画像を分析する命令を含む、請求項29に記載の生体認証センサ。
【請求項33】
前記目的の皮膚部位に接触しているプラテンをさらに含み、前記白色光照明サブシステムは、該プラテンを通って該目的の皮膚部位を照明するように適合される、請求項29に記載の生体認証センサ。
【請求項34】
前記白色光照明サブシステムは、前記目的の皮膚部位が前記生体認証センサと物理的に接触していない場合に、該目的の皮膚部位を照明するように適合される、請求項29に記載の生体認証センサ。
【請求項35】
前記白色光照明サブシステムは、白色光の広帯域光源を含む、請求項29に記載の生体認証センサ。
【請求項36】
前記白色光照明サブシステムは、複数の狭帯域光源と、該複数の狭帯域光源によって提供される光を組み合わせる光学配置とを含む、請求項29に記載の生体認証センサ。
【請求項37】
前記複数の狭帯域光源は、1組の原色の各々に対応する波長において光を提供する、請求項36に記載の生体認証センサ。
【請求項38】
前記照明サブシステムは、前記白色光を偏光するように配置される第1の偏光子を含み、
前記検出システムは、前記受光した光と遭遇するように配置される第2の偏光子を含み、
該第1および第2の偏光子は、相互に交差する、
請求項29に記載の生体認証センサ。
【請求項39】
前記検出システムは、前記受光した光が前記カラー撮像器に入射する前に、該受光した光と遭遇するように配置される赤外線フィルタを含む、請求項29に記載の生体認証センサ。
【請求項40】
前記目的の皮膚部位は、指または手の掌側の表面であり、
前記生体認証機能は、生体認証識別を含み、
前記空間的に分布した複数の画像を分析する前記命令は、
該目的の皮膚部位の表面の指紋または掌紋の画像を、該空間的に分布した複数の画像から導き出す命令と、
前記個人を識別するために、該表面の指紋または掌紋の画像を、指紋画像または掌紋画像のデータベースと比較する命令と
を含む、請求項29に記載の生体認証センサ。
【請求項41】
前記生体認証機能は、生体認証識別を含み、
前記空間的に分布した複数の画像を分析する前記命令は、前記個人を識別するために、前記空間的に分布した複数の画像を、マルチスペクトル画像のデータベースと比較する命令を含む、請求項29に記載の生体認証センサ。
【請求項42】
前記照明サブシステムは、照明領域における前記目的の皮膚部位を照明するように適合され、
該目的の皮膚部位および照明領域は、相対的に動いている、請求項29に記載の生体認証センサ。
【請求項43】
生体認証機能を実行する方法であって、
個人の目的の皮膚部位を白色光で照明することと、
受光した光が入射するカラー撮像器によって該目的の皮膚部位から散乱される光を受光することと、
該目的の皮膚部位の空間的に分布した複数の画像を、該カラー撮像器で該受光した光から導き出すことであって、該空間的に分布した複数の画像は、該個人の照明された組織の異なる容量に対応する、ことと、
該生体認証機能を実行するために、該空間的に分布した複数の画像を分析することと
を含む、方法。
【請求項44】
前記生体認証機能は、なりすまし対抗機能を含み、前記空間的に分布した複数の画像を分析することは、前記目的の皮膚部位が生体組織を含むか否かを判断することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記空間的に分布した複数の画像を分析することは、前記個人の人口統計学特徴または身体計測特徴を評価するために、該空間的に分布した複数の画像を分析することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記生体認証機能を実行するために、前記空間的に分布した複数の画像を分析することは、前記個人の血液における検体の濃度を判断するために、該空間的に分布した複数の画像を分析することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記目的の皮膚部位を照明することは、該目的の皮膚部位に接触しているプラテンを通って前記白色光を誘導することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記個人の前記目的の皮膚部位を白色光で照明することは、該個人の該目的の皮膚部位を、白色光の広帯域光源で照明することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
前記個人の前記目的の皮膚部位を白色光で照明することは、
複数の狭帯域光源で、複数の狭帯域光線の光を生成することと、
該複数の狭帯域光線の光を組み合わせることと
を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
前記複数の狭帯域光線の光は、1組の原色に対応する波長を有する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記目的の皮膚部位を照明することは、前記白色光を第1の偏光作用で偏光することを含み、
該目的の皮膚部位から散乱される光を受光することは、該受光した光を第2の偏光作用で偏光することを含み、
該第1および第2の偏光作用は、相互に実質的に交差する、請求項43に記載の方法。
【請求項52】
前記目的の皮膚部位から散乱される光を受光することは、前記受光した光が前記カラー撮像器に入射する前に、赤外線波長において該受光した光をフィルタリングすることを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項53】
前記目的の皮膚部位は、指または手の掌側の表面であり、
前記生体認証機能は、生体認証識別を含み、
前記空間的に分布した複数の画像を分析することは、
該目的の皮膚部位の表面の指紋または掌紋の画像を、該空間的に分布した複数の画像から導き出すことと、
前記個人を識別するために、該表面の指紋または掌紋の画像を、指紋画像または掌紋画像のデータベースと比較することと
を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項54】
前記生体認証機能は、生体認証識別を含み、
前記空間的に分布した複数の画像を分析することは、前記個人を識別するために、該空間的に分布した複数の画像を、マルチスペクトル画像のデータベースと比較することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項55】
個人の前記目的の皮膚部位を白色光で照明することは、照明領域において実行され、
該目的の皮膚部位および照明領域は、相対的に動いている、請求項43に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−544106(P2009−544106A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520999(P2009−520999)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/073886
【国際公開番号】WO2008/111994
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(503156596)ルミダイム インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】