スペーサ、スペーサ装置、及びスペーサを用いた配線・配管材保護カバーの固定方法
【課題】
建物壁面に対して1又は複数のスペーサを用いて保護カバーを嵩上げして固定する場合に、スペーサ同士又はスペーサと保護カバーのベース体とがばらけないようにして前記壁面に固定可能にすることにより、前記固定作業を容易にすることである。
【解決手段】
建物の壁面Wと、該壁面Wに沿って配設される配線・配管材保護カバーCとの間に介装されるスペーサS1 ,S2 であって、上面の載置面11と裏面の当接面との巾方向に沿って対応する位置に、ずれ止め突条21と嵌着面22とがそれぞれ形成され、2枚のスペーサS1 ,S2 を重ね合わせた際に、一方のスペーサS1 のずれ止め突条21が、他方のスペーサS2 の嵌着面22に嵌着されて、各スペーサS1 ,S2 が巾方向に相互にずれない状態で一体化される構成にする。
建物壁面に対して1又は複数のスペーサを用いて保護カバーを嵩上げして固定する場合に、スペーサ同士又はスペーサと保護カバーのベース体とがばらけないようにして前記壁面に固定可能にすることにより、前記固定作業を容易にすることである。
【解決手段】
建物の壁面Wと、該壁面Wに沿って配設される配線・配管材保護カバーCとの間に介装されるスペーサS1 ,S2 であって、上面の載置面11と裏面の当接面との巾方向に沿って対応する位置に、ずれ止め突条21と嵌着面22とがそれぞれ形成され、2枚のスペーサS1 ,S2 を重ね合わせた際に、一方のスペーサS1 のずれ止め突条21が、他方のスペーサS2 の嵌着面22に嵌着されて、各スペーサS1 ,S2 が巾方向に相互にずれない状態で一体化される構成にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁面における長尺状の配線・配管材保護カバーの配線位置に突出部、段差部等が存在する場合に、建物の壁面と前記保護カバーとの間に介装されて、建物の壁面に保護カバーを嵩上げした状態で、確実かつ安定して固定させるためのスペーサ、スペーサ装置、及びスペーサを用いた配線・配管材保護カバーの固定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記用途に使用されるスペーサとしては、特許文献1に開示のものが知られている。このスペーサを使用して、壁面に形成された突出部との干渉を避けて、或いは段差部の存在とは無関係な状態で、配線・配管材保護カバー(以下、単に「保護カバー」と略す場合もある)を壁面に固定する場合には、保護カバーを構成するベース体の裏面にスペーサを重ね合わせた状態で、ベース体とスペーサとをビスを用いて一体にして固定している。また、突出部の高さ、又は段差部の段差が大きい場合には、複数のスペーサを使用して、保護カバーを嵩上げしており、スペーサの数が多い場合には、最上部のベース体を含めて複数のスペーサを一度に一本のビスで固定するのが難しいことがある。この場合には、1又は複数のスペーサを壁面に固定した後に、ベース体のみ、或いは裏面に1又は複数のスペーサを重ね合わせたベース体を、壁面に固定済の1又は複数のスペーサに固定する場合がある。
【0003】
上記したいずれの場合でも、複数のスペーサ、又は1ないし複数のスペーサを裏面に重ね合わせたベース体を一度に壁面に固定する場合には、スペーサ同士、又はスペーサとベース体とがばらけ易いために、一方の手でスペーサ同士又はスペーサとベース体とを巾方向に揃った状態を維持させながら、他方の手でビスを螺入せざるを得ない場合があり、前記固定作業が難しかった。また、壁面に固定済の1又は複数のスペーサに対してベース体のみ、或いは裏面にスペーサを重ね合わせたベース体を固定する場合には、固定済のスペーサに対してベース体又は別のスペーサが巾方向にずれてしまうことがあり、この場合においても固定作業は難しかった。特に、スペーサ及びベース体が長尺状の場合には、長手方向の一端部と巾方向の双方を合わせた状態で、スペーサ同士、又は1又は複数のスペーサとベース体とを片手で支持しながら、他方の手でドライバー等で壁面に固定する作業は特に大変であった。
【特許文献1】特開平11−325382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、建物壁面に対して1又は複数のスペーサを用いて保護カバーを嵩上げして固定する場合に、スペーサ同士又はスペーサと保護カバーのベース体とがばらけないようにして前記壁面に固定可能にすることにより、前記固定作業を容易にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、建物の壁面と、該壁面に沿って配設される配線・配管材保護カバーとの間に介装されるスペーサであって、上面の載置面と裏面の当接面との巾方向に沿って対応する位置に、ずれ止め突部と嵌着部とがそれぞれ形成され、2枚のスペーサを重ね合わせた際に、一方のスペーサのずれ止め突部が、他方のスペーサの嵌着部に嵌着されて、各スペーサが巾方向に相互にずれない状態で一体化される構成になっていることを特徴としている。
【0006】
請求項1の発明によれば、複数枚のスペーサを重ね合わせた際に、その重合せ面に成形された一方のスペーサのずれ止め突部が他方のスペーサの嵌着部に嵌着されて、巾方向にずれない状態で相互に一体化される。このため、壁面に存在している突出部を避けて保護カバーを配設したり、或いは壁面の段差部に保護カバーを配設したりする際に、複数のスペーサを重ね合わせないと前記突出部又は段差部に対応できない場合がある。この場合には、複数のスペーサを巾方向にずれない状態で一体化できるため、一体化された複数のスペーサをビスを用いて壁面に固定する際に、スペーサ同士が相互に巾方向にずれなくなって、一方の手で複数のスペーサが巾方向にずれるのを防止することなく、両手を使用して壁面に対するスペーサの固定作業を行える。具体的には、一方の手でビスを保持しながらドライバー等を操作できるので、前記固定作業が容易になると共に、スペーサが部分的に巾方向に突出した状態で固定されることもなくなる。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記スペーサは、長尺状に形成され、前記ずれ止め突部及び嵌着部は、いずれも長手方向に連続して形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明によれば、スペーサの長手方向の任意の位置において、重ね合わせられた複数のスペーサを壁面に固定可能となって、壁面に対するスペーサの固定位置の制約がなくなって、前記固定作業が容易となる。また、複数のスペーサが巾方向にずれない状態で嵌着されて一体化されている状態で、一方のスペーサを他方のスペーサに対してスライドさせて、長手方向の一端部を揃える(位置合わせする)ことができ、長手方向の一端部を揃えた後に、重ね合わせられた複数のスペーサを壁面に固定できる。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記ずれ止め突部、及び嵌着部の少なくとも一方は、2枚のスペーサの嵌着状態において摩擦力により両スペーサが一体化されるように、弾性変形可能な弾性部材で構成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明によれば、重ね合わせられた2枚のスペーサの嵌着部分の少なくとも一方は、弾性変形可能な弾性部材であるので、重ね合わせられた2枚のスペーサの嵌着部分の摩擦力が大きくなって嵌着力が大きくなり、容易にばらけなくなる。
【0011】
また、請求項4の発明は、スペーサと、該スペーサを介して建物の壁面に固定される保護カバーを構成するベース体との組み合わせから成るスペーサ装置であって、前記ベース体の裏面には、前記スペーサのずれ止め突部が嵌着される嵌着部が形成され、ベース体の裏面にスペーサを重ね合わせた際に、ベース体の嵌着部にスペーサのずれ止め突部が嵌着されて、ベース体とスペーサとが巾方向にずれない状態で一体化される構成であることを特徴としている。
【0012】
請求項4の発明によれば、ベース体の裏面にスペーサを重ね合わせた状態で、ベース体とスペーサとは、相互に巾方向にずれるのが防止された状態で一体化される。よって、ベース体の裏面にスペーサを重ね合わせた状態で壁面に当てがっておいて、ビスによりベース体とスペーサとを同時に壁面に固定する作業が容易となる。ここで、複数のスペーサを介してベース体を壁面に固定する場合において、複数のスペーサ同士を請求項1の発明のように構成して、複数のスペーサ同士が巾方向にずれないように嵌着させることもできる。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記スペーサのずれ止め突部、及び前記ベース体の嵌着部の少なくとも一方は、ベース体とスペーサとの嵌着状態において摩擦力によりスペーサとベース体とが一体化されるように、弾性変形可能な弾性部材で構成されていることを特徴としている。
【0014】
請求項5の発明によれば、ベース体とスペーサとの嵌着部分の摩擦力が大きくなるために、ベース体とスペーサとの嵌着力を大きくできて、両者が一体に連結された状態において容易にばらけなくなる。
【0015】
また、請求項6の発明は、請求項4又は5の発明において、前記スペーサ及び前記ベース体は、いずれも長尺状に形成され、前記ずれ止め突部及び嵌着部は、いずれも長手方向に連続して形成されていることを特徴としている。
【0016】
請求項6の発明によれば、スペーサ及びベース体の長手方向の任意の位置において、スペーサ及びベース体を壁面に固定可能となって、壁面に対するスペーサ及びベース体の固定位置の制約がなくなって、前記固定作業が容易となる。
【0017】
また、請求項7の発明は、請求項4ないし6のいずれかの発明において、前記ベース体に形成された一つの嵌着部には、スペーサに形成された一つのずれ止め突部が嵌着されることを特徴としている。
【0018】
請求項7の発明によれば、ずれ止め突部の両側に、嵌着溝を形成する側壁面が存在するために、嵌着状態が安定して、ベース体に対してスペーサが外れにくくなる。
【0019】
また、請求項8の発明は、1又は複数のスペーサを介して建物の壁面に配線・配管材保護カバーのベース体をビスを介して固定する方法であって、複数のスペーサ、若しくは1又は複数のスペーサと前記ベース体とを巾方向にずれないように、スペーサ同士又はスペーサとベース体とを相互に嵌着させて一体化させた状態で、全体を前記壁面に当てがって固定することを特徴としている。
【0020】
請求項8の発明によれば、スペーサ同士又はスペーサとベース体とを相互に嵌着させて一体化させた状態で、全体を前記壁面に当てがってビスの螺入により固定するために、一体化されたスペーサ同士又はスペーサとベース体とが巾方向にずれなくなって、前記固定作業が容易になると共に、固定状態においてスペーサが部分的に巾方向に突出することもなくなる。
【0021】
また、請求項9の発明は、複数のスペーサを介して建物の壁面に配線・配管材保護カバーをビスを介して固定する方法であって、1又は複数の第1番目のスペーサを壁面に固定した後に、1又は複数の第2番目のスペーサのみ、1又は複数の第2番目のスペーサと保護カバーのベース体、若しくは前記ベース体のみを、前記第1番目のスペーサに対して巾方向にずれないように相互に嵌着した状態で、壁面に固定された第1番目のスペーサに対して1又は複数の第2番目のスペーサ又はベース体を前記第1番目のスペーサに固定することを特徴としている。
【0022】
壁面に形成された突出部の高さ、又は段差部の段差によっては、複数のスペーサにより保護カバーを嵩上げして配設する必要が生じ、この場合において、1又は複数のスペーサを壁面に固定した後に、別のスペーサをベース体の裏面に重ね合わせて、固定済のスペーサに対して更にベース体の裏面に一体化されたスペーサの厚さだけ嵩上げしてベース体を固定する場合がある。請求項9の発明によれば、上記各固定作業において、スペーサ同士又はスペーサとベース体は、巾方向にずれることなく一体化されているため、壁面に対する1又は複数のスペーサの固定作業(最初の固定作業)、及び固定済の1又は複数のスペーサに対する一体化されたスペーサとベース体との固定作業(次の固定作業)のいずれもが容易になると共に、固定済の1又は複数のスペーサに対して一体化されたスペーサとベース体とが巾方向にずれることなく固定できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るスペーサによれば、2枚のスペーサ同士、又はスペーサと保護カバーのベース体とを重ね合わせるのみで、その対向面の一方に形成されたずれ止め突部が他方に形成された嵌着部に嵌着されて、2枚のスペーサ同士、又はスペーサとベース体とが巾方向にずれなくなる。よって、重ね合わせられた複数のスペーサ、又は裏面にスペーサを重ね合わせたベース体をまとめてビスを用いて壁面に固定する際の固定作業が容易となる。
【0024】
全く同様に、壁面に予め固定されている1ないし複数のスペーサに対してベース体を単体、或いは裏面にスペーサが重ね合わせられた状態で固定する場合においても、壁面に固定されている最上部のスペーサと、ベース体、或いはベース体の裏面に重ね合わせられた別のスペーサとが、対向面に形成されたずれ止め突部と嵌着部との嵌着により、巾方向にずれないので、この場合においても固定作業が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、複数の最良の実施形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は、第1実施例の二種類のスペーサS1 ,S2 の使用により、建物の壁面Wに上下方向に配設された電線保護モールMとの干渉を回避して、保護カバーCで保護された流体管Pを前記壁面Wに水平に配管した状態の斜視図であり、図2は、同様の状態における縦断面図であり、図3は、図2のX−X線拡大断面図であり、図4は、二種類のスペーサS1 ,S2 と、保護カバーCを構成するベース体40及びカバー体50との分解斜視図であり、図5は、二種類のスペーサS1 ,S2 と保護カバーCのベース体40との分離状態の横断面図、図6は、図3のスペーサS1 の嵌着面22とスペーサS2 のずれ止め突条21との嵌着構造を示す部分拡大断面図である。
【0027】
図4及び図5に示される二種類のスペーサS1 ,S2 は、いずれも樹脂の押出成形により形成された長尺状であって、各厚さ(T1 ,T2 )を除いて形状的に同一であるので、厚さT1 の厚い側の一方のスペーサS1 を主体に説明し、他方のスペーサS2 は同S1 との対比においてのみ説明する。スペーサS1 の上面は、保護カバーCのベース体40又はスペーサS2 等の別のスペーサが載置される載置面11となっていて、該載置面11の裏面側の巾方向の両端部に一対の第1立脚部12が形成され、更に一対の第1立脚部12の内側には、所定間隔をおいて一対の第2立脚部13が形成されている。スペーサS1 の巾方向の中央部には、前記載置面11よりも低くて、ビスB1 ,B2 の頭部1が全て収容可能な巾と深さを有する凹部14が形成され、該凹部14はビス頭部収容空間15となっている。凹部14の底部は、ビスB1 の螺入によりスペーサS1 の全体を建物の壁面Wや別のスペーサに固定するための固定部16となっている。固定部16の内面(上面)の巾方向の中央部には、ビスB1 の軸部2の先端3があてがわれるようにガイドするためのガイド凹溝17が長手方向に沿って形成されている。
【0028】
ここで、スペーサS2 の凹部14’の深さは、ビスB1 ,B2 の頭部1の厚さよりも小さい(浅い)が、図3に示されるように、保護カバーCのベース体40の底板部41の裏側に形成されたカス収容空間45と合体することにより、或いは図9に示されるように、自身の載置面11に載置される別のスペーサS2 のカス収容空間19と合体することにより、ビスB1 ,B2 の頭部1を収容可能な寸法関係になっている。
【0029】
固定部16の裏面の巾方向の両端部には、ビスB1 を使用してスペーサS1 を建物の壁面W又は別のスペーサに固定する際に、前記固定部16の撓みを防止するための一対の補強脚部18が形成されている。この結果、一対の補強脚部18の間には、固定部16に対するビスB1 の螺入時に形成されるカスRを収容可能なカス収容空間19が形成されている。二種類のスペーサS1 ,S2 において、載置面11には、巾方向に所定間隔をおいて一対のずれ止め突条21が長手方向に形成され、一対のずれ止め突条21は、他方のスペーサS2 (S1 )の一対の第2立脚部13の内側の各嵌着面22、又は保護カバーCを構成するベース体40の底板部41の裏面に形成された一対の嵌着溝43に嵌着されて、スペーサS1 ,S2 どうし、又はスペーサS1 (S2 )と保護カバーCのベース体40とが、巾方向にずれない構成となっている。従って、スペーサS1 ,S2 に関しては、一対の第1立脚部12の内巾(L1 )と、一対のずれ止め突条21の外巾(L2 )の各寸法には、各スペーサS1 ,S2 を重ね合わせて、一対の第1立脚部12の内側の嵌着面22に一対のずれ止め突条21を圧入嵌着させた場合に、各スペーサS1 ,S2 が一体化されて小さな力では分離されない(嵌着面22からずれ止め突条21が抜け出ない)と共に、各スペーサS1 ,S2 が重ね合わせられた状態で自重のみでは長手方向にスライドしないが、大きな力を加えてはじめて長手方向にスライドするような交差が設けられている。また、図6に拡大して示されているように、一対のずれ止め突条21の外側面21aは、載置面11に対して鋭角状に交差する(交差角α<90°)ように傾斜して形成されていて、前記外側面21aの上端の最も外方に突出した上端突出部21bのみが、第1立脚部12の内側面である嵌着面22に圧入嵌着される構成となっている。これにより、複数のスペーサS1 (S2 )を重ね合わせた状態で、分離することなく取り扱うことができると共に、複数のスペーサS1 (S2 )の長手方向の一端の端面が互いに一致していない場合には、特定のスペーサS1 (S2 )を他のスペーサS1 (S2 )に対して長手方向にスライドさせて、一方の端面を簡単に合致させられる。なお、第1及び第2の各立脚部12,13及び一対の補強脚部18の先端の各当接面は、スペーサS1 の載置面11から当距離の部分に配置され、建物の壁面W、又は別のスペーサの載置面11に安定して当接可能となっている。
【0030】
次に、図3ないし図5を参照して、流体管Pを収容して保護する保護カバーCについて説明する。保護カバーCは、直線長尺状であって、本発明に係るスペーサS1 ,S2 を介して、又は直接に建物の壁面Wに固定されるベース体40と、該ベース体40に流体管Pが収容された状態で覆蓋されるカバー体50とで構成される。ベース体40及びカバー体50は、いずれも樹脂の押出成形品である。ベース体40は、巾方向の中央部が両端部よりも高く形成されて巾方向に沿って段差状となった底板部41と、該底板部41の内面側に対向した状態で一体に設けられた一対の保持壁部42とで構成される。保持壁部42の上端部(自由端部)は内側に向けて緩やかにわん曲されている。底板部41の裏面には、前記スペーサS1 ,S2 のずれ止め突条21が嵌着される一対の嵌着溝43が形成され、該一対の嵌着溝43の内側には、前記嵌着溝43を構成する内側突条44を介して前記嵌着溝43とほぼ同一深さのカス収容空間45が形成されている。一対の嵌着溝43の内巾(L1 )とスペーサS1 (S2 )の載置面11に形成された一対のずれ止め突条21の外巾(L2 )との各寸法は、上記したスペーサS1 ,S2 の重ね合わせの場合と同様に、ベース体40の下方にスペーサS2 (S1 )を重ね合わせて、ベース体40の一対の嵌着溝43に、スペーサS2 (S1 )の一対のずれ止め突条21を圧入嵌着させた場合に、ベース体40とスペーサS2 (S1 )が一体化されて小さな力では分離されない(嵌着溝43からずれ止め突条21が抜け出ない)と共に、ベース体40とスペーサS2 が重ね合わせられた状態で自重のみでは長手方向にスライドしないが、大きな力を加えてはじめて長手方向にスライドするような交差が設けられている。また、ベース体40の嵌着溝43のうち圧入嵌着の機能を果たしているのは、外方の内側面であって、ベース体の嵌着溝43にスペーサS2 (S1 )のずれ止め突条21を嵌着させた場合において、嵌着溝43の内方の内側面とずれ止め突条21との間には、所定の隙間が形成される(図3参照)。また、一対の保持壁部42の基端部と底板部41の巾方向の両端部との間には、カバー体50の嵌合凸部53が嵌合される嵌合凹部46が側方に開口して形成されている。なお、底板部41の内面の巾方向の中央部には、ビスB2 の先端をガイドするためのガイド凹溝47が形成されている。
【0031】
一方、カバー体50は、前記ベース体40の各保持壁部42の先端との間に所定の隙間を有して配置される天板部51と、ベース体40の各保持壁部42との間に所定の隙間を有して配置されて、前記天板部51の両側に対向して一体に設けられた一対の側板部52とを備え、前記天板部51と対向する側が開口している。各側板部52の内側であって、しかも開口側の端部には、中空状をした一対の嵌合凸部53が巾方向に対向して長手方向に沿って連続して形成されている。カバー体50の内面における天板部51から各側板部52の基端部に至る部分には、所定厚の断熱材54が貼り付けられている。
【0032】
次に、図1及び図2に示されるように、建物の壁面Wに電線5を収容した電線保護モールMが垂直方向に沿って貼り付けられていて、前記モールMとの干渉を回避すべく、該モールMを跨いだ状態で流体管Pを壁面Wに沿って水平方向に配置して、保護カバーC内に収容して保護するには、以下のようにして行う。なお、モールMは、壁面Wに両面テープ(図示せず)を介して固定されるベース体6と、該ベース体6に電線5を収容した状態で該ベース体6に嵌着されるカバー体7とからなる。モールMの高さ(H1)〔図2参照〕は、スペーサS1 の厚さT1 よりも大きくして、各スペーサS1 ,S2 の各厚さの和(T1 +T2 )よりは小さいので、スペーサS1 と同S2 を重ね合わせて使用することにより、モールMとの干渉を避けて保護カバーCを水平に配置できる。
【0033】
まず、図7で2点鎖線で示されるように、厚さの異なる各スペーサS1 ,S2 を1枚ずつ選択して、スペーサS1 の載置面11の上に別のスペーサS2 を載置して、上側のスペーサS2 の一対の第1立脚部12の内側に形成された各嵌着面22に、下側のスペーサS1 に形成された一対のずれ止め突条21をそれぞれ圧入嵌着させて、2枚のスペーサS1 ,S2 を重ね合わせる。前記圧入嵌着の際には、ずれ止め突条21は僅かに内側に弾性変形される。重ね合わせられた2枚のスペーサS1 ,S2 は、スペーサS1 のずれ止め突条21とスペーサS2 の嵌着面22との嵌着により巾方向へのずれが防止されていると共に、板厚方向に沿っても前記嵌着により2枚のスペーサS1 ,S2 は簡単には分離しないために、恰も一体物のように取り扱うことができる。また、2枚のスペーサS1 ,S2 の長手方向の一端部がずれている場合には、相互にスライドさせて各端部を合わせる(揃える)ことができる。壁面Wに垂直に取付けられているモールMの両側の流体管Pの配管位置には、罫書き線(図示せず)が罫書かれていて、該罫書き線に沿って一体に重ね合わせられた2枚のスペーサS1 ,S2 を配置する。この状態で、図7に示されるように、上方のスペーサS2 のガイド凹溝17にビスB1 の先端部を当てがった状態で、該ビスB1 をドライバーDにより回転させると、前記ビスB1 は、スペーサS2 の固定部16及びスペーサS1 の固定部16に順次螺入された後に、壁面Wに螺入される。ビスB1 は、タッピンねじで構成されているため、その螺入時には自ら下孔と雌ねじを形成しながら螺入されるため、上方のスペーサS2 の固定部16に対する螺入時に発生するカス(樹脂粉)Rは、自身の裏面に形成されたカス収容空間19とスペーサS1 の上面に形成された凹部14とが合体して形成される空間に収容され、下方のスペーサS1 の固定部16に対する螺入時に発生するカスRは、前記固定部16の裏面に開口して形成されたカス収容空間19と壁面Wとの密閉空間に収容される。このため、ビスB1 の螺入時において発生するカスが各スペーサS1 ,S2 の間、或いは下方のスペーサS1 と壁面Wとの間に入り込まなくなって、スペーサS1 が壁面Wから、或いはスペーサS2 がスペーサS1 の載置面11から、それぞれ浮き上がるのを確実に防止した状態で、重ね合わせられた2枚のスペーサS1 ,S2 は、壁面の所定位置に水平に固定される。また、上下の各スペーサS1 ,S2 は、スペーサS1 の各ずれ止め突条21がスペーサS2 の各嵌着面22に圧入嵌着されて恰も一体物のようになっていて、相互に巾方向にずれない組付け構造になっているため、前記ビスB1 の螺入時においては、一方のスペーサS1 が他方のスペーサS2 に対して巾方向にずれなくなって、即ち2枚のスペーサS1 ,S2 がばらけなくなって、ビスB1 の前記螺入作業を安定して行える。
【0034】
なお、スペーサS1 ,S2 の各固定部16は、全体厚さT1 ,T2 に比較して著しく薄くなっているので、ビスB1 の螺入時には、ねじ下孔を予め明けることなく、ビスB1 の螺入時に下孔と雌ねじとが同時に形成可能である。このため、前記カスRの発生量が多くなるが、前記凹部14及びカス収容空間19は長手方向に連続して形成されているため、前記凹部14及びカス収容空間19、特に横断面積の小さなカス収容空間19に収容されようとするカスRの量が多い場合には、前記カスRは横方向に押し出されて収容されるので、カスRの発生量が多くなっても、スペーサS1 ,S2 の間、或いはスペーサS1 と壁面Wとの間にカスRが入り込む(詰まる)ことはない。
【0035】
次に、図8に示されるように、保護カバーCを構成するベース体40を、壁面Wに固定されている上方のスペーサS2 の載置面11に押し付けて、ベース体40の一対の嵌着溝43に上方のスペーサS2 の一対のずれ止め突条21を圧入嵌着させると、ベース体40は、上方のスペーサS2 に対して巾方向にずれることなく一体に取付けられる。なお、ベース体40の一対の嵌着溝43に上方のスペーサS2 の一対のずれ止め突条21を圧入嵌着させた状態で、ベース体40とスペーサS2 の各端部がずれている場合には、スペーサS2 に対してベース体40をスライドさせるのであるが、2枚のスペーサS1 ,S2 を壁面Wに固定しているビスB1 の頭部1は、スペーサS2 の凹部14’とベース体40のカス収容空間45との合体空間に収容されているので、前記スライド操作の際に、ビスB1 の頭部1とベース体40とが干渉することはない。そして、ビスB1 を使用して行う壁面Wに対する2枚のスペーサS1 ,S2 の固定作業と全く同様にして、ビスB1 に比較して短い別のビスB2 をドライバーDにより回転させて、ベース体40の底板部41と上方のスペーサS2 の固定部16とを一体に連結することにより、ビスB1 を介して壁面Wに固定されているスペーサS2 に対してビスB2 を介してベース体40を固定する。これにより、保護カバーCのベース体40は、壁面Wに垂直方向に取付けられたモールMを跨いだ状態で、各スペーサS1 ,S2 を介して壁面Wに水平方向に沿って固定される。ビスB2 をベース体40の底板部41及びスペーサS2 の固定部16にそれぞれ螺入する際に発生するカスRは、ベース体40のカス収容空間45及びスペーサS2 のカス収容空間19とスペーサS1 の凹部14との合体空間にそれぞれ収容される。また、スペーサS1 ,S2 の各カス収容空間19の巾方向の両側には、それぞれ補強脚部18が形成されているので、固定部16にビスB1 ,B2 を押し付けて螺入させる際に、前記固定部16が下方に撓まなくなって、前記螺入作業を安定して確実に行える。更に、図3に示されるように、スペーサS2 の凹部14’の深さは、ビスB2 の頭部1の厚さよりも小さいが、スペーサS2 の凹部14’は、その載置面11に載置固定されたベース体40のカス収容空間45と合体し、ビスB2 の頭部1は、前記合体空間内に収容される。
【0036】
次に、ベース体40に流体管Pを収容した後に、前記ベース体40の嵌合凹部46にカバー体50の嵌合凸部53を嵌合させることにより、ベース体40に対してカバー体50を覆蓋させる。これにより、保護カバーCの内部に流体管Pが収容保護されて、壁面Wに垂直方向に取付けられているモールMを跨いだ状態で、水平方向に配管された流体管Pが、スペーサS1 ,S2 により壁面Wに対して嵩上げされた状態の保護カバーC内に収容保護される。
【0037】
また、図9は、1枚のスペーサS1 と2枚のスペーサS2 とを重ね合わせたものを使用して流体管Pを配管した状態の横断面図である。下方のスペーサS1 と上方のスペーサS2 とは、上記した図7に示されるのと同様に重ね合わせられて、上方のスペーサS2 の一対の嵌着面22に下方のスペーサS1 の一対のずれ止め突条21が圧入嵌着されて、2枚のスペーサS1 ,S2 が上下一体となった状態で、ビスB1 によって壁面Wに固定される。次に、図10で2点鎖線で示されるように、保護カバーCのベース体40の裏面の一対の嵌着溝43にスペーサS2 の載置面11の一対のずれ止め突条21が圧入嵌着されて、ベース体40の裏面に別のスペーサS2 を重ね合わせ、その後に、図10で実線で示されるように、重ね合わせられたスペーサS2 の一対の嵌着面22に、壁面Wに予め固定されている別のスペーサS2 の一対のずれ止め突条22を圧入嵌着させる。これにより、壁面Wに固定済のスペーサS2 に対して別のスペーサS2 が巾方向にずれることなく恰も一体に取付けられ、更に前記別のスペーサS2 に対してベース体40が同様の状態で取付けられて、未固定の前記別のスペーサS2 及びベース体40は、壁面Wに固定されたスペーサS2 に巾方向へのずれが確実に防止された状態でしっかりと取付けられる。この状態で、ベース体40の底板部41及び2枚重ねとなった2枚のスペーサS2 の各固定部16にそれぞれビスB2 を螺入させると、予め壁面Wに固定されているスペーサS2 の固定部16に、別のスペーサS2 及びベース体40がそれぞれ固定される。ビスB2 の螺入による上記固定作業においては、未固定のスペーサS2 及びベース体40は、相互に巾方向のずれが防止されて一体化されていると共に、固定済のスペーサS2 に対しても巾方向にずれることなくしっかりと取付けられた状態で行われるので、未固定スペーサS2 及びベース体40が巾方向にばらけることなく、当該固定作業を安定した状態で容易に行える。また、ビスB2 の螺入時に発生するカスRは、ベース体40のカス収容空間45とスペーサS2 の凹部14’との合体空間、スペーサS2 のカス収容空間19と別のスペーサS2 の凹部14’との合体空間、及びスペーサS2 のカス収容空間19とスペーサS1 の凹部14との合体空間にそれぞれ収容される。なお、ビスB1 により壁面Wに固定されている上方のスペーサS2 の凹部14’と、このスペーサS2 の上方に載置された別のスペーサS2 のカス収容空間19との合体により形成される空間に、ビスB1 の頭部1が収容される構成である。
【実施例2】
【0038】
図11は、第2実施例の2枚のスペーサS11,S12の使用により、保護カバーC内に収容保護された流体管Pを壁面Wの段差部60に水平に配管した状態の一部を破断した平面図であり、図12は、図11のY−Y線断面図であり、図13は、互いに嵌着された2枚のスペーサS11,S12を段差壁面W1 に固定している状態を示す側面断面図であり、図14は、段差壁面W1 に固定されたスペーサS12に対してベース体40を固定している状態を示す側面断面図であり、図15(イ),(ロ)は、それぞれスペーサS11及び同S12の横断面図である。図15において、スペーサS11は、第1実施例のスペーサS1 と同一の厚さT1 を有していて、上面の載置面31の巾方向の中央部には、ビスB1 の頭部1の高さよりも小さな深さを有する凹部32が形成されて、該凹部32の両側には、ベース体40の一対の内側突条44の内側にそれぞれ嵌着される一対のずれ止め突条33が長手方向に形成されている。載置面31には、前記凹部32の深さだけ低くなった位置に固定部34が形成され、該固定部34の裏面にはカス収容空間35が形成されている。前記載置面31の巾方向の両端部には、それぞれ凹部36が形成されて、スペーサS12の巾方向の両端部には、一対の巾広の当接部37が形成されている。前記カス収容空間35の両側には、それぞれ補強脚部38が形成され、該補強脚部38の外側面と前記当接部37の内側面との間は、別のスペーサのずれ止め突条33が嵌着される嵌着溝39となっている。また、固定部34の上面には、ガイド凹溝30が形成されている。
【0039】
スペーサS11は、前記スペーサS1 に対して、ビスB1 の頭部1を収容可能な凹部32、固定部34の裏面に形成されたカス収容空間35、該カス収容空間35の両側に形成された一対の補強脚部38を備えている構成は共通しているが、一対のずれ止め突条33の巾方向に沿った形成位置、裏面側に別のスペーサS12の一対のずれ止め突条33と嵌着される一対の嵌着溝39が形成されている構成、各立脚部12,13に替えて巾広の当接部37が設けられている構成等において相違している。また、スペーサS12は、前記スペーサS2 に対応しているものであって、スペーサS11に対して厚さT2 が異なるのみで、形状的にはスペーサ11と同一であるので、深さ等が異なるのみで実質的に同一形状の部分には、スペーサS11に使用した同一符号に「’」を付して図示してある。
【0040】
そして、図11に示されるように、壁面Wに段差H2 の段差部60が存在する場合には、スペーサS11と同S12の各厚さT1 ,T2 より前記段差部60の段差H2 (=T1 +T2 )を確保して、厚さの異なる2枚のスペーサS11,S12を重ね合わせた状態で、壁面Wにおける段差H2 だけ低い段差壁面W1 に配置させて、壁面Wにおける保護カバーCの配設位置のみを同一平面状にして、壁面Wにおける段差H2 だけ低い段差壁面W1 では、重ね合わせられた2枚のスペーサS11,S12により嵩上げした状態で保護カバーCのベース体40を壁面Wに固定する。
【0041】
まず、図13に示されるように、スペーサS11の一対のずれ止め突条33をスペーサS12の嵌着溝39’に圧入嵌着して、2枚のスペーサS11,S12を重ね合わせた状態で段差壁面W1 に当接させて、ビスB1 により重ね合わせられた2枚のスペーサS11,S12を段差壁面W1 に固定する。重ね合わせられた2枚のスペーサS11,S12は、前記嵌着により巾方向にずれるのが防止されているので、2枚重ねのスペーサS11,S12がばらけることなく、ビスB1 による固定作業は安定した状態で容易に行える。また、スペーサS11,S12の各固定部34にビスB1 を順次螺入する際に発生するカスRは、スペーサS12のカス収容空間35とスペーサS11の凹部32との合体空間、及びスペーサS11と段差壁面W1 とで形成される密閉空間にそれぞれ収容される。このため、各スペーサS11,S12の間、及びスペーサS11と段差壁面W1 との間に前記カスRが侵入しなくなる作用は、上記実施例1のスペーサS1 ,S2 の場合と全く同様である。
【0042】
次に、図14に示されるように、段差壁面W1 に固定された2枚のスペーサS11,S12のうち上方のスペーサS12の一対のずれ止め突条33を、ベース体40の底板部41の裏面に形成された一対の内側突条44の内側の嵌着面に圧入嵌着させると、固定済のスペーサS12に対してベース体40の巾方向のずれが防止された状態で嵌着される。この状態で、固定済のスペーサS12に対してベース体40をビスB2 により固定する。ベース体40の固定時においても、固定済のスペーサS12に対してベース体40が巾方向にずれるのを防止された状態で嵌着されているため、ベース体40の固定作業も安定して行える。また、ベース体40の底板部41及びスペーサS12の固定部34にビスB2 を螺入する際に発生するカスRは、ベース体40のカス収容空間45とスペーサS12の凹部32’との合体空間、及びスペーサS12のカス収容空間35とスペーサS11の凹部32との合体空間にそれぞれ収容される。なお、壁面Wの残りの部分〔段差H2 を介して高い部分〕には、ベース体40の底板部41が直接に当接してビス(図示せず)を介して固定される。
【実施例3】
【0043】
図16(イ),(ロ)は、それぞれ第3実施例のスペーサS22の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図であって、第1実施例のスペーサS2 に対して異なる部分についてのみ説明する。スペーサS22は、スペーサS2 に対して、上面側では、載置面11に形成された一対のずれ止め突条21の間の全巾内に凹部14’が形成されていて、裏面側では、一対の第2立脚部13の間の全巾にカス収容空間19’が形成されている構成が異なる。同(ロ)に示されるように、2枚重ねの状態で、下方のスペーサS22の一対のずれ止め突条21が、上方のスペーサS22の一対の第2立脚部13の内側に嵌着される。
【実施例4】
【0044】
図17(イ),(ロ)は、それぞれ第4実施例のスペーサS32の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図であって、第3実施例のスペーサS22の第1及び第2の各立脚部12,13を合体させて当接部71として、上面に凹部72を形成した構成である。2枚重ねの状態では、上方のスペーサS32の各当接部71の対向内側面の嵌着面71aに、下方のスペーサS32の各ずれ止め突条21が嵌着される構成である。
【実施例5】
【0045】
図18(イ),(ロ)は、それぞれ第5実施例のスペーサS42の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。スペーサS42は、上面の載置面11に一対のずれ止め突条21が形成され、裏面には、一対の第1立脚部12及び一対の第2立脚部13が形成され、一対の第1立脚部12の対向内側面が嵌着面12aとなった構成である。2枚重ねの状態では、上方のスペーサS42の一対の第1立脚部12の対向内側面である各嵌着面12aに、下方のスペーサS42のずれ止め突条21がそれぞれ嵌着される。
【実施例6】
【0046】
図19(イ),(ロ)は、それぞれ第6実施例のスペーサS52の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。スペーサS52は、上面の載置面11に断面略円形の一対のずれ止め突条73が形成され、裏面には、別のスペーサS52の一対のずれ止め突条73と嵌着される関係にある一対の嵌着溝74が形成された構成である。なお、一方のスペーサS52の嵌着溝74に他方のスペーサS52のずれ止め突条73を嵌着させる際には、前記嵌着溝74を構成する一対の嵌着片74aは、外方に僅かに弾性変形した後に復元力により原形状に復元する。
【実施例7】
【0047】
図20(イ),(ロ)は、それぞれ第7実施例のスペーサS62の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。スペーサS62は、上面の載置面11に一対のずれ止め突条21が形成され、裏面の一対の当接部71の間に一本の嵌着溝75が形成されて、2枚重ねの状態で、上方のスペーサS62の嵌着溝75の対向内側面である各嵌着面75aに、下方のスペーサS62の各ずれ止め突条21が嵌着される構成である。なお、前記嵌着の際には、ずれ止め突条21は、内方に僅かに弾性変形した後に原形状に復元する。
【実施例8】
【0048】
図21(イ),(ロ)は、それぞれ第8実施例のスペーサS72の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。第8実施例のスペーサS72は、第1実施例のスペーサS2 の載置面11に形成される左右一対のずれ止め突条21の内側面の間隔をそのままにして、外側面の間隔を狭くすると共に、外側が低くなるように上端面81aをわん曲させて形成した一対の突条81を形成して、各突条81の上端面81aから外側面81bに至る部分に、軟質塩化ビニル樹脂等の軟質材からなる弾性部材82を一体に接合させて、ずれ止め突条83とした構成が異なるのみで、他の構成は、第1実施例のスペーサS2 と同等である。弾性部材82が一体に接合された状態における左右一対のずれ止め突条83の外側面の間隔(K1)は、裏面側に形成された左右一対の第1立脚部12の内側面の間隔(K2)よりも僅かに大きくなっている(K1 >K2)。なお、スペーサS72は、弾性部材82を成形する軟質樹脂と、弾性部材82を除く残りの大部分を成形する硬質樹脂(一般樹脂)との硬度の異なる2種類の樹脂を押出成形すること(2色押出成形)により成形可能である。
【0049】
よって、図21(ロ)に示されるように、2枚のスペーサS72を重ね合わせて、一方のスペーサS72の左右一対のずれ止め突条83の外側に、他方のスペーサS72の左右一対の第1立脚部12を嵌着させると、一方のスペーサS72のずれ止め突条83を構成している弾性部材82が、他方のスペーサS72の第1立脚部12の嵌着面22に弾接して僅かに弾性変形されて、弾性部材82と嵌着面22との摩擦抵抗によって、前記嵌着が確実となって、重ね合わせられた2枚のスペーサS72は、容易にばらけなくなる。また、2枚のスペーサS72を重ね合わせることにより、ずれ止め突条83を構成する弾性部材82が弾性変形して、左右一対の第1立脚部12の内側面の間隔(K2)、及び左右一対の突条81の外側面の間隔に製作誤差があった場合でも、許容範囲内であれば前記製作誤差が弾性部材82の弾性変形により吸収されて、2枚のスペーサS72を容易にばらけることなく重ね合わせられる。なお、第8実施例のスペーサS72においては、2枚のスペーサS72を重ね合わせた場合に、一方のスペーサS72の第1及び第2の各立脚部12、13のみが、他方のスペーサS72の載置面11に当接して、補強脚部18は、固定部16に対するビスの螺入時に、当該固定部16が撓まさせた場合にのみ、載置面11に当接するようになっている。
【実施例9】
【0050】
図22(イ),(ロ)は、それぞれ第9実施例のスペーサS82の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。第9実施例のスペーサS82は、第8実施例のスペーサS72に対してずれ止め突条93の構成が異なるのみである。即ち、ずれ止め突条93は、スペーサS82の本体部と一体に形成された山形の突条91に弾性部材92が押出成形時に一体に接合された構成であって、大部分が弾性部材92で構成されて、突条91の機能は、弾性部材92を接合させることである。弾性部材92は、内側面92aが平面状に形成されているのみで、残りの上面を含んだ外側面92bは、連続した曲面で形成されている。第8実施例のスペーサS72と同様に、左右一対のずれ止め突状93の外側面92bの間隔(K3)は、裏面側に形成された左右一対の第1立脚部12の内側面の間隔(K4)よりも僅かに大きくなっている(K3 >K4)。
【0051】
このため、2枚のスペーサS82を重ね合わせると、第8実施例のスペーサS72と同様に、一方のスペーサS82の弾性部材92が僅かに内方に弾性変形されて、他方のスペーサS82の嵌着面22に弾接し、両部分の摩擦抵抗によって、2枚のスペーサS82は、容易にばらけることなく、一体に組み付けられる。
【0052】
また、実施例8,9のいずれのスペーサS72,S82においても、弾性部材82,92は、ずれ止め突条83,93の側に設けられているが、嵌着面22の側に設けること、及び双方に設けることも可能であり、各スペーサS72,S82のずれ止め突条83,93、又は嵌着面22の側に設ける弾性部材としては、ゴムを用いることも可能である。更に、実施例1において、スペーサS2 のずれ止め突条21、及びベース体40の嵌合部を構成する内側突条44のいずれか一方を弾性部材で構成することにより、スペーサS2 とベース体40との一体化を確実にすることも可能である。
【0053】
また、上記各実施例のスペーサは、長手方向の全長に亘ってずれ止め突部と嵌着部がそれぞれ形成された例であるが、重ね合わせるスペーサの嵌着部位が予め特定されている場合には、ずれ止め突部と嵌着部とは、長手方向に沿って断続的に形成したものでもよい。
【0054】
また、実施例1,2の各スペーサS1 ,S2 ,S11,S12においても、保護カバーCの長手方向の全長に亘ってスペーサS1 ,S2 ,S11,S12を配置する必要は必ずしもなく、長さの短いスペーサを断続的に配置して、保護カバーCを壁面W(W1 )から必要高さだけ嵩上げしてもよい。なお、建物の壁面に設けられる突出部の他の例としては、柱が挙げられる。
【0055】
更に、上記各実施例では、スペーサ及びベース体が長尺状の場合について説明したが、建物のコーナー部、入隅部、出隅部等においては、長尺状のスペーサ及びベース体と接続される短尺状のスペーサ及びベース体が使用され、このような短尺状のスペーサ及びベース体に対しても本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第1実施例の二種類のスペーサS1 ,S2 の使用により、建物の壁面Wに上下方向に配設された電線保護モールMとの干渉を回避して、保護カバーCで保護された流体管Pを前記壁面Wに水平に配管した状態の斜視図である。
【図2】同様の状態における縦断面図である。
【図3】図2のX−X線拡大断面図である。
【図4】二種類のスペーサS1 ,S2 と、保護カバーCを構成するベース体40及びカバー体50との分解斜視図である。
【図5】二種類のスペーサS1 ,S2 と保護カバーCのベース体40との分離状態の横断面図である。
【図6】図3のスペーサS1 の嵌着面22とスペーサS2 のずれ止め突条21との嵌着構造を示す部分拡大断面図である。
【図7】スペーサS1 と同S2 を重ね合わせたものを壁面Wに固定している状態を示す側面断面図である。
【図8】壁面Wに固定された2枚重ねの上方のスペーサS2 に対して保護カバーCのベース体40を固定している状態を示す側面断面図である。
【図9】1枚のスペーサS1 と2枚のスペーサS2 とを重ね合わせたものを使用して流体管Pを配管した状態の横断面図である。
【図10】壁面Wに固定された2枚重ねの上方のスペーサS2 に対して重ね合わせられて一体化された別のスペーサS2 とベース体40とをビスB3 を使用して固定した状態を示す側面断面図である。
【図11】第2実施例の2枚のスペーサS11,S12の使用により、保護カバーC内に収容保護された流体管Pを壁面Wの段差部60に水平に配管した状態の一部を破断した平面図である。
【図12】図11のY−Y線断面図である。
【図13】互いに嵌着された2枚のスペーサS11,S12を段差壁面W1 に固定している状態を示す側面断面図である。
【図14】段差壁面W1 に固定されたスペーサS12に対してベース体40を固定している状態を示す側面断面図である。
【図15】(イ),(ロ)は、それぞれスペーサS11及び同S12の横断面図である。
【図16】(イ),(ロ)は、それぞれ第3実施例のスペーサS22の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。
【図17】(イ),(ロ)は、それぞれ第4実施例のスペーサS32の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。
【図18】(イ),(ロ)は、それぞれ第5実施例のスペーサS42の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。
【図19】(イ),(ロ)は、それぞれ第6実施例のスペーサS52の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。
【図20】(イ),(ロ)は、それぞれ第7実施例のスペーサS62の単体状態の断面図、 及び重ね合わせた状態の断面図である。
【図21】(イ),(ロ)は、それぞれ第8実施例のスペーサS72の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。
【図22】(イ),(ロ)は、それぞれ第9実施例のスペーサS82の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。
【符号の説明】
【0057】
B1 〜B3 :ビス
C:配線・配管材保護カバー
H1 :電線保護モールの高さ
H2 :壁面の段差
R:カス
S1 ,S2 ,S11,S12,S22,S32,S42,S52,S62,S72,S82:スペーサ
W:建物の壁面
W1 :建物の段差壁面
11,31:載置面
12:第1立脚部(立脚部) 13:第2立脚部(立脚部) 15:ビス頭部収容空間
21,33,73,83,93:ずれ止め突条(ずれ止め突部)
22:嵌着面(嵌着部) 37,71:当接部
40:ベース体
43:ベース体の嵌着溝
39,74,75:嵌着溝(嵌着部)
60:段差部
82,92:弾性部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁面における長尺状の配線・配管材保護カバーの配線位置に突出部、段差部等が存在する場合に、建物の壁面と前記保護カバーとの間に介装されて、建物の壁面に保護カバーを嵩上げした状態で、確実かつ安定して固定させるためのスペーサ、スペーサ装置、及びスペーサを用いた配線・配管材保護カバーの固定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記用途に使用されるスペーサとしては、特許文献1に開示のものが知られている。このスペーサを使用して、壁面に形成された突出部との干渉を避けて、或いは段差部の存在とは無関係な状態で、配線・配管材保護カバー(以下、単に「保護カバー」と略す場合もある)を壁面に固定する場合には、保護カバーを構成するベース体の裏面にスペーサを重ね合わせた状態で、ベース体とスペーサとをビスを用いて一体にして固定している。また、突出部の高さ、又は段差部の段差が大きい場合には、複数のスペーサを使用して、保護カバーを嵩上げしており、スペーサの数が多い場合には、最上部のベース体を含めて複数のスペーサを一度に一本のビスで固定するのが難しいことがある。この場合には、1又は複数のスペーサを壁面に固定した後に、ベース体のみ、或いは裏面に1又は複数のスペーサを重ね合わせたベース体を、壁面に固定済の1又は複数のスペーサに固定する場合がある。
【0003】
上記したいずれの場合でも、複数のスペーサ、又は1ないし複数のスペーサを裏面に重ね合わせたベース体を一度に壁面に固定する場合には、スペーサ同士、又はスペーサとベース体とがばらけ易いために、一方の手でスペーサ同士又はスペーサとベース体とを巾方向に揃った状態を維持させながら、他方の手でビスを螺入せざるを得ない場合があり、前記固定作業が難しかった。また、壁面に固定済の1又は複数のスペーサに対してベース体のみ、或いは裏面にスペーサを重ね合わせたベース体を固定する場合には、固定済のスペーサに対してベース体又は別のスペーサが巾方向にずれてしまうことがあり、この場合においても固定作業は難しかった。特に、スペーサ及びベース体が長尺状の場合には、長手方向の一端部と巾方向の双方を合わせた状態で、スペーサ同士、又は1又は複数のスペーサとベース体とを片手で支持しながら、他方の手でドライバー等で壁面に固定する作業は特に大変であった。
【特許文献1】特開平11−325382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、建物壁面に対して1又は複数のスペーサを用いて保護カバーを嵩上げして固定する場合に、スペーサ同士又はスペーサと保護カバーのベース体とがばらけないようにして前記壁面に固定可能にすることにより、前記固定作業を容易にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、建物の壁面と、該壁面に沿って配設される配線・配管材保護カバーとの間に介装されるスペーサであって、上面の載置面と裏面の当接面との巾方向に沿って対応する位置に、ずれ止め突部と嵌着部とがそれぞれ形成され、2枚のスペーサを重ね合わせた際に、一方のスペーサのずれ止め突部が、他方のスペーサの嵌着部に嵌着されて、各スペーサが巾方向に相互にずれない状態で一体化される構成になっていることを特徴としている。
【0006】
請求項1の発明によれば、複数枚のスペーサを重ね合わせた際に、その重合せ面に成形された一方のスペーサのずれ止め突部が他方のスペーサの嵌着部に嵌着されて、巾方向にずれない状態で相互に一体化される。このため、壁面に存在している突出部を避けて保護カバーを配設したり、或いは壁面の段差部に保護カバーを配設したりする際に、複数のスペーサを重ね合わせないと前記突出部又は段差部に対応できない場合がある。この場合には、複数のスペーサを巾方向にずれない状態で一体化できるため、一体化された複数のスペーサをビスを用いて壁面に固定する際に、スペーサ同士が相互に巾方向にずれなくなって、一方の手で複数のスペーサが巾方向にずれるのを防止することなく、両手を使用して壁面に対するスペーサの固定作業を行える。具体的には、一方の手でビスを保持しながらドライバー等を操作できるので、前記固定作業が容易になると共に、スペーサが部分的に巾方向に突出した状態で固定されることもなくなる。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記スペーサは、長尺状に形成され、前記ずれ止め突部及び嵌着部は、いずれも長手方向に連続して形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明によれば、スペーサの長手方向の任意の位置において、重ね合わせられた複数のスペーサを壁面に固定可能となって、壁面に対するスペーサの固定位置の制約がなくなって、前記固定作業が容易となる。また、複数のスペーサが巾方向にずれない状態で嵌着されて一体化されている状態で、一方のスペーサを他方のスペーサに対してスライドさせて、長手方向の一端部を揃える(位置合わせする)ことができ、長手方向の一端部を揃えた後に、重ね合わせられた複数のスペーサを壁面に固定できる。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記ずれ止め突部、及び嵌着部の少なくとも一方は、2枚のスペーサの嵌着状態において摩擦力により両スペーサが一体化されるように、弾性変形可能な弾性部材で構成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明によれば、重ね合わせられた2枚のスペーサの嵌着部分の少なくとも一方は、弾性変形可能な弾性部材であるので、重ね合わせられた2枚のスペーサの嵌着部分の摩擦力が大きくなって嵌着力が大きくなり、容易にばらけなくなる。
【0011】
また、請求項4の発明は、スペーサと、該スペーサを介して建物の壁面に固定される保護カバーを構成するベース体との組み合わせから成るスペーサ装置であって、前記ベース体の裏面には、前記スペーサのずれ止め突部が嵌着される嵌着部が形成され、ベース体の裏面にスペーサを重ね合わせた際に、ベース体の嵌着部にスペーサのずれ止め突部が嵌着されて、ベース体とスペーサとが巾方向にずれない状態で一体化される構成であることを特徴としている。
【0012】
請求項4の発明によれば、ベース体の裏面にスペーサを重ね合わせた状態で、ベース体とスペーサとは、相互に巾方向にずれるのが防止された状態で一体化される。よって、ベース体の裏面にスペーサを重ね合わせた状態で壁面に当てがっておいて、ビスによりベース体とスペーサとを同時に壁面に固定する作業が容易となる。ここで、複数のスペーサを介してベース体を壁面に固定する場合において、複数のスペーサ同士を請求項1の発明のように構成して、複数のスペーサ同士が巾方向にずれないように嵌着させることもできる。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記スペーサのずれ止め突部、及び前記ベース体の嵌着部の少なくとも一方は、ベース体とスペーサとの嵌着状態において摩擦力によりスペーサとベース体とが一体化されるように、弾性変形可能な弾性部材で構成されていることを特徴としている。
【0014】
請求項5の発明によれば、ベース体とスペーサとの嵌着部分の摩擦力が大きくなるために、ベース体とスペーサとの嵌着力を大きくできて、両者が一体に連結された状態において容易にばらけなくなる。
【0015】
また、請求項6の発明は、請求項4又は5の発明において、前記スペーサ及び前記ベース体は、いずれも長尺状に形成され、前記ずれ止め突部及び嵌着部は、いずれも長手方向に連続して形成されていることを特徴としている。
【0016】
請求項6の発明によれば、スペーサ及びベース体の長手方向の任意の位置において、スペーサ及びベース体を壁面に固定可能となって、壁面に対するスペーサ及びベース体の固定位置の制約がなくなって、前記固定作業が容易となる。
【0017】
また、請求項7の発明は、請求項4ないし6のいずれかの発明において、前記ベース体に形成された一つの嵌着部には、スペーサに形成された一つのずれ止め突部が嵌着されることを特徴としている。
【0018】
請求項7の発明によれば、ずれ止め突部の両側に、嵌着溝を形成する側壁面が存在するために、嵌着状態が安定して、ベース体に対してスペーサが外れにくくなる。
【0019】
また、請求項8の発明は、1又は複数のスペーサを介して建物の壁面に配線・配管材保護カバーのベース体をビスを介して固定する方法であって、複数のスペーサ、若しくは1又は複数のスペーサと前記ベース体とを巾方向にずれないように、スペーサ同士又はスペーサとベース体とを相互に嵌着させて一体化させた状態で、全体を前記壁面に当てがって固定することを特徴としている。
【0020】
請求項8の発明によれば、スペーサ同士又はスペーサとベース体とを相互に嵌着させて一体化させた状態で、全体を前記壁面に当てがってビスの螺入により固定するために、一体化されたスペーサ同士又はスペーサとベース体とが巾方向にずれなくなって、前記固定作業が容易になると共に、固定状態においてスペーサが部分的に巾方向に突出することもなくなる。
【0021】
また、請求項9の発明は、複数のスペーサを介して建物の壁面に配線・配管材保護カバーをビスを介して固定する方法であって、1又は複数の第1番目のスペーサを壁面に固定した後に、1又は複数の第2番目のスペーサのみ、1又は複数の第2番目のスペーサと保護カバーのベース体、若しくは前記ベース体のみを、前記第1番目のスペーサに対して巾方向にずれないように相互に嵌着した状態で、壁面に固定された第1番目のスペーサに対して1又は複数の第2番目のスペーサ又はベース体を前記第1番目のスペーサに固定することを特徴としている。
【0022】
壁面に形成された突出部の高さ、又は段差部の段差によっては、複数のスペーサにより保護カバーを嵩上げして配設する必要が生じ、この場合において、1又は複数のスペーサを壁面に固定した後に、別のスペーサをベース体の裏面に重ね合わせて、固定済のスペーサに対して更にベース体の裏面に一体化されたスペーサの厚さだけ嵩上げしてベース体を固定する場合がある。請求項9の発明によれば、上記各固定作業において、スペーサ同士又はスペーサとベース体は、巾方向にずれることなく一体化されているため、壁面に対する1又は複数のスペーサの固定作業(最初の固定作業)、及び固定済の1又は複数のスペーサに対する一体化されたスペーサとベース体との固定作業(次の固定作業)のいずれもが容易になると共に、固定済の1又は複数のスペーサに対して一体化されたスペーサとベース体とが巾方向にずれることなく固定できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るスペーサによれば、2枚のスペーサ同士、又はスペーサと保護カバーのベース体とを重ね合わせるのみで、その対向面の一方に形成されたずれ止め突部が他方に形成された嵌着部に嵌着されて、2枚のスペーサ同士、又はスペーサとベース体とが巾方向にずれなくなる。よって、重ね合わせられた複数のスペーサ、又は裏面にスペーサを重ね合わせたベース体をまとめてビスを用いて壁面に固定する際の固定作業が容易となる。
【0024】
全く同様に、壁面に予め固定されている1ないし複数のスペーサに対してベース体を単体、或いは裏面にスペーサが重ね合わせられた状態で固定する場合においても、壁面に固定されている最上部のスペーサと、ベース体、或いはベース体の裏面に重ね合わせられた別のスペーサとが、対向面に形成されたずれ止め突部と嵌着部との嵌着により、巾方向にずれないので、この場合においても固定作業が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、複数の最良の実施形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は、第1実施例の二種類のスペーサS1 ,S2 の使用により、建物の壁面Wに上下方向に配設された電線保護モールMとの干渉を回避して、保護カバーCで保護された流体管Pを前記壁面Wに水平に配管した状態の斜視図であり、図2は、同様の状態における縦断面図であり、図3は、図2のX−X線拡大断面図であり、図4は、二種類のスペーサS1 ,S2 と、保護カバーCを構成するベース体40及びカバー体50との分解斜視図であり、図5は、二種類のスペーサS1 ,S2 と保護カバーCのベース体40との分離状態の横断面図、図6は、図3のスペーサS1 の嵌着面22とスペーサS2 のずれ止め突条21との嵌着構造を示す部分拡大断面図である。
【0027】
図4及び図5に示される二種類のスペーサS1 ,S2 は、いずれも樹脂の押出成形により形成された長尺状であって、各厚さ(T1 ,T2 )を除いて形状的に同一であるので、厚さT1 の厚い側の一方のスペーサS1 を主体に説明し、他方のスペーサS2 は同S1 との対比においてのみ説明する。スペーサS1 の上面は、保護カバーCのベース体40又はスペーサS2 等の別のスペーサが載置される載置面11となっていて、該載置面11の裏面側の巾方向の両端部に一対の第1立脚部12が形成され、更に一対の第1立脚部12の内側には、所定間隔をおいて一対の第2立脚部13が形成されている。スペーサS1 の巾方向の中央部には、前記載置面11よりも低くて、ビスB1 ,B2 の頭部1が全て収容可能な巾と深さを有する凹部14が形成され、該凹部14はビス頭部収容空間15となっている。凹部14の底部は、ビスB1 の螺入によりスペーサS1 の全体を建物の壁面Wや別のスペーサに固定するための固定部16となっている。固定部16の内面(上面)の巾方向の中央部には、ビスB1 の軸部2の先端3があてがわれるようにガイドするためのガイド凹溝17が長手方向に沿って形成されている。
【0028】
ここで、スペーサS2 の凹部14’の深さは、ビスB1 ,B2 の頭部1の厚さよりも小さい(浅い)が、図3に示されるように、保護カバーCのベース体40の底板部41の裏側に形成されたカス収容空間45と合体することにより、或いは図9に示されるように、自身の載置面11に載置される別のスペーサS2 のカス収容空間19と合体することにより、ビスB1 ,B2 の頭部1を収容可能な寸法関係になっている。
【0029】
固定部16の裏面の巾方向の両端部には、ビスB1 を使用してスペーサS1 を建物の壁面W又は別のスペーサに固定する際に、前記固定部16の撓みを防止するための一対の補強脚部18が形成されている。この結果、一対の補強脚部18の間には、固定部16に対するビスB1 の螺入時に形成されるカスRを収容可能なカス収容空間19が形成されている。二種類のスペーサS1 ,S2 において、載置面11には、巾方向に所定間隔をおいて一対のずれ止め突条21が長手方向に形成され、一対のずれ止め突条21は、他方のスペーサS2 (S1 )の一対の第2立脚部13の内側の各嵌着面22、又は保護カバーCを構成するベース体40の底板部41の裏面に形成された一対の嵌着溝43に嵌着されて、スペーサS1 ,S2 どうし、又はスペーサS1 (S2 )と保護カバーCのベース体40とが、巾方向にずれない構成となっている。従って、スペーサS1 ,S2 に関しては、一対の第1立脚部12の内巾(L1 )と、一対のずれ止め突条21の外巾(L2 )の各寸法には、各スペーサS1 ,S2 を重ね合わせて、一対の第1立脚部12の内側の嵌着面22に一対のずれ止め突条21を圧入嵌着させた場合に、各スペーサS1 ,S2 が一体化されて小さな力では分離されない(嵌着面22からずれ止め突条21が抜け出ない)と共に、各スペーサS1 ,S2 が重ね合わせられた状態で自重のみでは長手方向にスライドしないが、大きな力を加えてはじめて長手方向にスライドするような交差が設けられている。また、図6に拡大して示されているように、一対のずれ止め突条21の外側面21aは、載置面11に対して鋭角状に交差する(交差角α<90°)ように傾斜して形成されていて、前記外側面21aの上端の最も外方に突出した上端突出部21bのみが、第1立脚部12の内側面である嵌着面22に圧入嵌着される構成となっている。これにより、複数のスペーサS1 (S2 )を重ね合わせた状態で、分離することなく取り扱うことができると共に、複数のスペーサS1 (S2 )の長手方向の一端の端面が互いに一致していない場合には、特定のスペーサS1 (S2 )を他のスペーサS1 (S2 )に対して長手方向にスライドさせて、一方の端面を簡単に合致させられる。なお、第1及び第2の各立脚部12,13及び一対の補強脚部18の先端の各当接面は、スペーサS1 の載置面11から当距離の部分に配置され、建物の壁面W、又は別のスペーサの載置面11に安定して当接可能となっている。
【0030】
次に、図3ないし図5を参照して、流体管Pを収容して保護する保護カバーCについて説明する。保護カバーCは、直線長尺状であって、本発明に係るスペーサS1 ,S2 を介して、又は直接に建物の壁面Wに固定されるベース体40と、該ベース体40に流体管Pが収容された状態で覆蓋されるカバー体50とで構成される。ベース体40及びカバー体50は、いずれも樹脂の押出成形品である。ベース体40は、巾方向の中央部が両端部よりも高く形成されて巾方向に沿って段差状となった底板部41と、該底板部41の内面側に対向した状態で一体に設けられた一対の保持壁部42とで構成される。保持壁部42の上端部(自由端部)は内側に向けて緩やかにわん曲されている。底板部41の裏面には、前記スペーサS1 ,S2 のずれ止め突条21が嵌着される一対の嵌着溝43が形成され、該一対の嵌着溝43の内側には、前記嵌着溝43を構成する内側突条44を介して前記嵌着溝43とほぼ同一深さのカス収容空間45が形成されている。一対の嵌着溝43の内巾(L1 )とスペーサS1 (S2 )の載置面11に形成された一対のずれ止め突条21の外巾(L2 )との各寸法は、上記したスペーサS1 ,S2 の重ね合わせの場合と同様に、ベース体40の下方にスペーサS2 (S1 )を重ね合わせて、ベース体40の一対の嵌着溝43に、スペーサS2 (S1 )の一対のずれ止め突条21を圧入嵌着させた場合に、ベース体40とスペーサS2 (S1 )が一体化されて小さな力では分離されない(嵌着溝43からずれ止め突条21が抜け出ない)と共に、ベース体40とスペーサS2 が重ね合わせられた状態で自重のみでは長手方向にスライドしないが、大きな力を加えてはじめて長手方向にスライドするような交差が設けられている。また、ベース体40の嵌着溝43のうち圧入嵌着の機能を果たしているのは、外方の内側面であって、ベース体の嵌着溝43にスペーサS2 (S1 )のずれ止め突条21を嵌着させた場合において、嵌着溝43の内方の内側面とずれ止め突条21との間には、所定の隙間が形成される(図3参照)。また、一対の保持壁部42の基端部と底板部41の巾方向の両端部との間には、カバー体50の嵌合凸部53が嵌合される嵌合凹部46が側方に開口して形成されている。なお、底板部41の内面の巾方向の中央部には、ビスB2 の先端をガイドするためのガイド凹溝47が形成されている。
【0031】
一方、カバー体50は、前記ベース体40の各保持壁部42の先端との間に所定の隙間を有して配置される天板部51と、ベース体40の各保持壁部42との間に所定の隙間を有して配置されて、前記天板部51の両側に対向して一体に設けられた一対の側板部52とを備え、前記天板部51と対向する側が開口している。各側板部52の内側であって、しかも開口側の端部には、中空状をした一対の嵌合凸部53が巾方向に対向して長手方向に沿って連続して形成されている。カバー体50の内面における天板部51から各側板部52の基端部に至る部分には、所定厚の断熱材54が貼り付けられている。
【0032】
次に、図1及び図2に示されるように、建物の壁面Wに電線5を収容した電線保護モールMが垂直方向に沿って貼り付けられていて、前記モールMとの干渉を回避すべく、該モールMを跨いだ状態で流体管Pを壁面Wに沿って水平方向に配置して、保護カバーC内に収容して保護するには、以下のようにして行う。なお、モールMは、壁面Wに両面テープ(図示せず)を介して固定されるベース体6と、該ベース体6に電線5を収容した状態で該ベース体6に嵌着されるカバー体7とからなる。モールMの高さ(H1)〔図2参照〕は、スペーサS1 の厚さT1 よりも大きくして、各スペーサS1 ,S2 の各厚さの和(T1 +T2 )よりは小さいので、スペーサS1 と同S2 を重ね合わせて使用することにより、モールMとの干渉を避けて保護カバーCを水平に配置できる。
【0033】
まず、図7で2点鎖線で示されるように、厚さの異なる各スペーサS1 ,S2 を1枚ずつ選択して、スペーサS1 の載置面11の上に別のスペーサS2 を載置して、上側のスペーサS2 の一対の第1立脚部12の内側に形成された各嵌着面22に、下側のスペーサS1 に形成された一対のずれ止め突条21をそれぞれ圧入嵌着させて、2枚のスペーサS1 ,S2 を重ね合わせる。前記圧入嵌着の際には、ずれ止め突条21は僅かに内側に弾性変形される。重ね合わせられた2枚のスペーサS1 ,S2 は、スペーサS1 のずれ止め突条21とスペーサS2 の嵌着面22との嵌着により巾方向へのずれが防止されていると共に、板厚方向に沿っても前記嵌着により2枚のスペーサS1 ,S2 は簡単には分離しないために、恰も一体物のように取り扱うことができる。また、2枚のスペーサS1 ,S2 の長手方向の一端部がずれている場合には、相互にスライドさせて各端部を合わせる(揃える)ことができる。壁面Wに垂直に取付けられているモールMの両側の流体管Pの配管位置には、罫書き線(図示せず)が罫書かれていて、該罫書き線に沿って一体に重ね合わせられた2枚のスペーサS1 ,S2 を配置する。この状態で、図7に示されるように、上方のスペーサS2 のガイド凹溝17にビスB1 の先端部を当てがった状態で、該ビスB1 をドライバーDにより回転させると、前記ビスB1 は、スペーサS2 の固定部16及びスペーサS1 の固定部16に順次螺入された後に、壁面Wに螺入される。ビスB1 は、タッピンねじで構成されているため、その螺入時には自ら下孔と雌ねじを形成しながら螺入されるため、上方のスペーサS2 の固定部16に対する螺入時に発生するカス(樹脂粉)Rは、自身の裏面に形成されたカス収容空間19とスペーサS1 の上面に形成された凹部14とが合体して形成される空間に収容され、下方のスペーサS1 の固定部16に対する螺入時に発生するカスRは、前記固定部16の裏面に開口して形成されたカス収容空間19と壁面Wとの密閉空間に収容される。このため、ビスB1 の螺入時において発生するカスが各スペーサS1 ,S2 の間、或いは下方のスペーサS1 と壁面Wとの間に入り込まなくなって、スペーサS1 が壁面Wから、或いはスペーサS2 がスペーサS1 の載置面11から、それぞれ浮き上がるのを確実に防止した状態で、重ね合わせられた2枚のスペーサS1 ,S2 は、壁面の所定位置に水平に固定される。また、上下の各スペーサS1 ,S2 は、スペーサS1 の各ずれ止め突条21がスペーサS2 の各嵌着面22に圧入嵌着されて恰も一体物のようになっていて、相互に巾方向にずれない組付け構造になっているため、前記ビスB1 の螺入時においては、一方のスペーサS1 が他方のスペーサS2 に対して巾方向にずれなくなって、即ち2枚のスペーサS1 ,S2 がばらけなくなって、ビスB1 の前記螺入作業を安定して行える。
【0034】
なお、スペーサS1 ,S2 の各固定部16は、全体厚さT1 ,T2 に比較して著しく薄くなっているので、ビスB1 の螺入時には、ねじ下孔を予め明けることなく、ビスB1 の螺入時に下孔と雌ねじとが同時に形成可能である。このため、前記カスRの発生量が多くなるが、前記凹部14及びカス収容空間19は長手方向に連続して形成されているため、前記凹部14及びカス収容空間19、特に横断面積の小さなカス収容空間19に収容されようとするカスRの量が多い場合には、前記カスRは横方向に押し出されて収容されるので、カスRの発生量が多くなっても、スペーサS1 ,S2 の間、或いはスペーサS1 と壁面Wとの間にカスRが入り込む(詰まる)ことはない。
【0035】
次に、図8に示されるように、保護カバーCを構成するベース体40を、壁面Wに固定されている上方のスペーサS2 の載置面11に押し付けて、ベース体40の一対の嵌着溝43に上方のスペーサS2 の一対のずれ止め突条21を圧入嵌着させると、ベース体40は、上方のスペーサS2 に対して巾方向にずれることなく一体に取付けられる。なお、ベース体40の一対の嵌着溝43に上方のスペーサS2 の一対のずれ止め突条21を圧入嵌着させた状態で、ベース体40とスペーサS2 の各端部がずれている場合には、スペーサS2 に対してベース体40をスライドさせるのであるが、2枚のスペーサS1 ,S2 を壁面Wに固定しているビスB1 の頭部1は、スペーサS2 の凹部14’とベース体40のカス収容空間45との合体空間に収容されているので、前記スライド操作の際に、ビスB1 の頭部1とベース体40とが干渉することはない。そして、ビスB1 を使用して行う壁面Wに対する2枚のスペーサS1 ,S2 の固定作業と全く同様にして、ビスB1 に比較して短い別のビスB2 をドライバーDにより回転させて、ベース体40の底板部41と上方のスペーサS2 の固定部16とを一体に連結することにより、ビスB1 を介して壁面Wに固定されているスペーサS2 に対してビスB2 を介してベース体40を固定する。これにより、保護カバーCのベース体40は、壁面Wに垂直方向に取付けられたモールMを跨いだ状態で、各スペーサS1 ,S2 を介して壁面Wに水平方向に沿って固定される。ビスB2 をベース体40の底板部41及びスペーサS2 の固定部16にそれぞれ螺入する際に発生するカスRは、ベース体40のカス収容空間45及びスペーサS2 のカス収容空間19とスペーサS1 の凹部14との合体空間にそれぞれ収容される。また、スペーサS1 ,S2 の各カス収容空間19の巾方向の両側には、それぞれ補強脚部18が形成されているので、固定部16にビスB1 ,B2 を押し付けて螺入させる際に、前記固定部16が下方に撓まなくなって、前記螺入作業を安定して確実に行える。更に、図3に示されるように、スペーサS2 の凹部14’の深さは、ビスB2 の頭部1の厚さよりも小さいが、スペーサS2 の凹部14’は、その載置面11に載置固定されたベース体40のカス収容空間45と合体し、ビスB2 の頭部1は、前記合体空間内に収容される。
【0036】
次に、ベース体40に流体管Pを収容した後に、前記ベース体40の嵌合凹部46にカバー体50の嵌合凸部53を嵌合させることにより、ベース体40に対してカバー体50を覆蓋させる。これにより、保護カバーCの内部に流体管Pが収容保護されて、壁面Wに垂直方向に取付けられているモールMを跨いだ状態で、水平方向に配管された流体管Pが、スペーサS1 ,S2 により壁面Wに対して嵩上げされた状態の保護カバーC内に収容保護される。
【0037】
また、図9は、1枚のスペーサS1 と2枚のスペーサS2 とを重ね合わせたものを使用して流体管Pを配管した状態の横断面図である。下方のスペーサS1 と上方のスペーサS2 とは、上記した図7に示されるのと同様に重ね合わせられて、上方のスペーサS2 の一対の嵌着面22に下方のスペーサS1 の一対のずれ止め突条21が圧入嵌着されて、2枚のスペーサS1 ,S2 が上下一体となった状態で、ビスB1 によって壁面Wに固定される。次に、図10で2点鎖線で示されるように、保護カバーCのベース体40の裏面の一対の嵌着溝43にスペーサS2 の載置面11の一対のずれ止め突条21が圧入嵌着されて、ベース体40の裏面に別のスペーサS2 を重ね合わせ、その後に、図10で実線で示されるように、重ね合わせられたスペーサS2 の一対の嵌着面22に、壁面Wに予め固定されている別のスペーサS2 の一対のずれ止め突条22を圧入嵌着させる。これにより、壁面Wに固定済のスペーサS2 に対して別のスペーサS2 が巾方向にずれることなく恰も一体に取付けられ、更に前記別のスペーサS2 に対してベース体40が同様の状態で取付けられて、未固定の前記別のスペーサS2 及びベース体40は、壁面Wに固定されたスペーサS2 に巾方向へのずれが確実に防止された状態でしっかりと取付けられる。この状態で、ベース体40の底板部41及び2枚重ねとなった2枚のスペーサS2 の各固定部16にそれぞれビスB2 を螺入させると、予め壁面Wに固定されているスペーサS2 の固定部16に、別のスペーサS2 及びベース体40がそれぞれ固定される。ビスB2 の螺入による上記固定作業においては、未固定のスペーサS2 及びベース体40は、相互に巾方向のずれが防止されて一体化されていると共に、固定済のスペーサS2 に対しても巾方向にずれることなくしっかりと取付けられた状態で行われるので、未固定スペーサS2 及びベース体40が巾方向にばらけることなく、当該固定作業を安定した状態で容易に行える。また、ビスB2 の螺入時に発生するカスRは、ベース体40のカス収容空間45とスペーサS2 の凹部14’との合体空間、スペーサS2 のカス収容空間19と別のスペーサS2 の凹部14’との合体空間、及びスペーサS2 のカス収容空間19とスペーサS1 の凹部14との合体空間にそれぞれ収容される。なお、ビスB1 により壁面Wに固定されている上方のスペーサS2 の凹部14’と、このスペーサS2 の上方に載置された別のスペーサS2 のカス収容空間19との合体により形成される空間に、ビスB1 の頭部1が収容される構成である。
【実施例2】
【0038】
図11は、第2実施例の2枚のスペーサS11,S12の使用により、保護カバーC内に収容保護された流体管Pを壁面Wの段差部60に水平に配管した状態の一部を破断した平面図であり、図12は、図11のY−Y線断面図であり、図13は、互いに嵌着された2枚のスペーサS11,S12を段差壁面W1 に固定している状態を示す側面断面図であり、図14は、段差壁面W1 に固定されたスペーサS12に対してベース体40を固定している状態を示す側面断面図であり、図15(イ),(ロ)は、それぞれスペーサS11及び同S12の横断面図である。図15において、スペーサS11は、第1実施例のスペーサS1 と同一の厚さT1 を有していて、上面の載置面31の巾方向の中央部には、ビスB1 の頭部1の高さよりも小さな深さを有する凹部32が形成されて、該凹部32の両側には、ベース体40の一対の内側突条44の内側にそれぞれ嵌着される一対のずれ止め突条33が長手方向に形成されている。載置面31には、前記凹部32の深さだけ低くなった位置に固定部34が形成され、該固定部34の裏面にはカス収容空間35が形成されている。前記載置面31の巾方向の両端部には、それぞれ凹部36が形成されて、スペーサS12の巾方向の両端部には、一対の巾広の当接部37が形成されている。前記カス収容空間35の両側には、それぞれ補強脚部38が形成され、該補強脚部38の外側面と前記当接部37の内側面との間は、別のスペーサのずれ止め突条33が嵌着される嵌着溝39となっている。また、固定部34の上面には、ガイド凹溝30が形成されている。
【0039】
スペーサS11は、前記スペーサS1 に対して、ビスB1 の頭部1を収容可能な凹部32、固定部34の裏面に形成されたカス収容空間35、該カス収容空間35の両側に形成された一対の補強脚部38を備えている構成は共通しているが、一対のずれ止め突条33の巾方向に沿った形成位置、裏面側に別のスペーサS12の一対のずれ止め突条33と嵌着される一対の嵌着溝39が形成されている構成、各立脚部12,13に替えて巾広の当接部37が設けられている構成等において相違している。また、スペーサS12は、前記スペーサS2 に対応しているものであって、スペーサS11に対して厚さT2 が異なるのみで、形状的にはスペーサ11と同一であるので、深さ等が異なるのみで実質的に同一形状の部分には、スペーサS11に使用した同一符号に「’」を付して図示してある。
【0040】
そして、図11に示されるように、壁面Wに段差H2 の段差部60が存在する場合には、スペーサS11と同S12の各厚さT1 ,T2 より前記段差部60の段差H2 (=T1 +T2 )を確保して、厚さの異なる2枚のスペーサS11,S12を重ね合わせた状態で、壁面Wにおける段差H2 だけ低い段差壁面W1 に配置させて、壁面Wにおける保護カバーCの配設位置のみを同一平面状にして、壁面Wにおける段差H2 だけ低い段差壁面W1 では、重ね合わせられた2枚のスペーサS11,S12により嵩上げした状態で保護カバーCのベース体40を壁面Wに固定する。
【0041】
まず、図13に示されるように、スペーサS11の一対のずれ止め突条33をスペーサS12の嵌着溝39’に圧入嵌着して、2枚のスペーサS11,S12を重ね合わせた状態で段差壁面W1 に当接させて、ビスB1 により重ね合わせられた2枚のスペーサS11,S12を段差壁面W1 に固定する。重ね合わせられた2枚のスペーサS11,S12は、前記嵌着により巾方向にずれるのが防止されているので、2枚重ねのスペーサS11,S12がばらけることなく、ビスB1 による固定作業は安定した状態で容易に行える。また、スペーサS11,S12の各固定部34にビスB1 を順次螺入する際に発生するカスRは、スペーサS12のカス収容空間35とスペーサS11の凹部32との合体空間、及びスペーサS11と段差壁面W1 とで形成される密閉空間にそれぞれ収容される。このため、各スペーサS11,S12の間、及びスペーサS11と段差壁面W1 との間に前記カスRが侵入しなくなる作用は、上記実施例1のスペーサS1 ,S2 の場合と全く同様である。
【0042】
次に、図14に示されるように、段差壁面W1 に固定された2枚のスペーサS11,S12のうち上方のスペーサS12の一対のずれ止め突条33を、ベース体40の底板部41の裏面に形成された一対の内側突条44の内側の嵌着面に圧入嵌着させると、固定済のスペーサS12に対してベース体40の巾方向のずれが防止された状態で嵌着される。この状態で、固定済のスペーサS12に対してベース体40をビスB2 により固定する。ベース体40の固定時においても、固定済のスペーサS12に対してベース体40が巾方向にずれるのを防止された状態で嵌着されているため、ベース体40の固定作業も安定して行える。また、ベース体40の底板部41及びスペーサS12の固定部34にビスB2 を螺入する際に発生するカスRは、ベース体40のカス収容空間45とスペーサS12の凹部32’との合体空間、及びスペーサS12のカス収容空間35とスペーサS11の凹部32との合体空間にそれぞれ収容される。なお、壁面Wの残りの部分〔段差H2 を介して高い部分〕には、ベース体40の底板部41が直接に当接してビス(図示せず)を介して固定される。
【実施例3】
【0043】
図16(イ),(ロ)は、それぞれ第3実施例のスペーサS22の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図であって、第1実施例のスペーサS2 に対して異なる部分についてのみ説明する。スペーサS22は、スペーサS2 に対して、上面側では、載置面11に形成された一対のずれ止め突条21の間の全巾内に凹部14’が形成されていて、裏面側では、一対の第2立脚部13の間の全巾にカス収容空間19’が形成されている構成が異なる。同(ロ)に示されるように、2枚重ねの状態で、下方のスペーサS22の一対のずれ止め突条21が、上方のスペーサS22の一対の第2立脚部13の内側に嵌着される。
【実施例4】
【0044】
図17(イ),(ロ)は、それぞれ第4実施例のスペーサS32の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図であって、第3実施例のスペーサS22の第1及び第2の各立脚部12,13を合体させて当接部71として、上面に凹部72を形成した構成である。2枚重ねの状態では、上方のスペーサS32の各当接部71の対向内側面の嵌着面71aに、下方のスペーサS32の各ずれ止め突条21が嵌着される構成である。
【実施例5】
【0045】
図18(イ),(ロ)は、それぞれ第5実施例のスペーサS42の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。スペーサS42は、上面の載置面11に一対のずれ止め突条21が形成され、裏面には、一対の第1立脚部12及び一対の第2立脚部13が形成され、一対の第1立脚部12の対向内側面が嵌着面12aとなった構成である。2枚重ねの状態では、上方のスペーサS42の一対の第1立脚部12の対向内側面である各嵌着面12aに、下方のスペーサS42のずれ止め突条21がそれぞれ嵌着される。
【実施例6】
【0046】
図19(イ),(ロ)は、それぞれ第6実施例のスペーサS52の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。スペーサS52は、上面の載置面11に断面略円形の一対のずれ止め突条73が形成され、裏面には、別のスペーサS52の一対のずれ止め突条73と嵌着される関係にある一対の嵌着溝74が形成された構成である。なお、一方のスペーサS52の嵌着溝74に他方のスペーサS52のずれ止め突条73を嵌着させる際には、前記嵌着溝74を構成する一対の嵌着片74aは、外方に僅かに弾性変形した後に復元力により原形状に復元する。
【実施例7】
【0047】
図20(イ),(ロ)は、それぞれ第7実施例のスペーサS62の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。スペーサS62は、上面の載置面11に一対のずれ止め突条21が形成され、裏面の一対の当接部71の間に一本の嵌着溝75が形成されて、2枚重ねの状態で、上方のスペーサS62の嵌着溝75の対向内側面である各嵌着面75aに、下方のスペーサS62の各ずれ止め突条21が嵌着される構成である。なお、前記嵌着の際には、ずれ止め突条21は、内方に僅かに弾性変形した後に原形状に復元する。
【実施例8】
【0048】
図21(イ),(ロ)は、それぞれ第8実施例のスペーサS72の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。第8実施例のスペーサS72は、第1実施例のスペーサS2 の載置面11に形成される左右一対のずれ止め突条21の内側面の間隔をそのままにして、外側面の間隔を狭くすると共に、外側が低くなるように上端面81aをわん曲させて形成した一対の突条81を形成して、各突条81の上端面81aから外側面81bに至る部分に、軟質塩化ビニル樹脂等の軟質材からなる弾性部材82を一体に接合させて、ずれ止め突条83とした構成が異なるのみで、他の構成は、第1実施例のスペーサS2 と同等である。弾性部材82が一体に接合された状態における左右一対のずれ止め突条83の外側面の間隔(K1)は、裏面側に形成された左右一対の第1立脚部12の内側面の間隔(K2)よりも僅かに大きくなっている(K1 >K2)。なお、スペーサS72は、弾性部材82を成形する軟質樹脂と、弾性部材82を除く残りの大部分を成形する硬質樹脂(一般樹脂)との硬度の異なる2種類の樹脂を押出成形すること(2色押出成形)により成形可能である。
【0049】
よって、図21(ロ)に示されるように、2枚のスペーサS72を重ね合わせて、一方のスペーサS72の左右一対のずれ止め突条83の外側に、他方のスペーサS72の左右一対の第1立脚部12を嵌着させると、一方のスペーサS72のずれ止め突条83を構成している弾性部材82が、他方のスペーサS72の第1立脚部12の嵌着面22に弾接して僅かに弾性変形されて、弾性部材82と嵌着面22との摩擦抵抗によって、前記嵌着が確実となって、重ね合わせられた2枚のスペーサS72は、容易にばらけなくなる。また、2枚のスペーサS72を重ね合わせることにより、ずれ止め突条83を構成する弾性部材82が弾性変形して、左右一対の第1立脚部12の内側面の間隔(K2)、及び左右一対の突条81の外側面の間隔に製作誤差があった場合でも、許容範囲内であれば前記製作誤差が弾性部材82の弾性変形により吸収されて、2枚のスペーサS72を容易にばらけることなく重ね合わせられる。なお、第8実施例のスペーサS72においては、2枚のスペーサS72を重ね合わせた場合に、一方のスペーサS72の第1及び第2の各立脚部12、13のみが、他方のスペーサS72の載置面11に当接して、補強脚部18は、固定部16に対するビスの螺入時に、当該固定部16が撓まさせた場合にのみ、載置面11に当接するようになっている。
【実施例9】
【0050】
図22(イ),(ロ)は、それぞれ第9実施例のスペーサS82の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。第9実施例のスペーサS82は、第8実施例のスペーサS72に対してずれ止め突条93の構成が異なるのみである。即ち、ずれ止め突条93は、スペーサS82の本体部と一体に形成された山形の突条91に弾性部材92が押出成形時に一体に接合された構成であって、大部分が弾性部材92で構成されて、突条91の機能は、弾性部材92を接合させることである。弾性部材92は、内側面92aが平面状に形成されているのみで、残りの上面を含んだ外側面92bは、連続した曲面で形成されている。第8実施例のスペーサS72と同様に、左右一対のずれ止め突状93の外側面92bの間隔(K3)は、裏面側に形成された左右一対の第1立脚部12の内側面の間隔(K4)よりも僅かに大きくなっている(K3 >K4)。
【0051】
このため、2枚のスペーサS82を重ね合わせると、第8実施例のスペーサS72と同様に、一方のスペーサS82の弾性部材92が僅かに内方に弾性変形されて、他方のスペーサS82の嵌着面22に弾接し、両部分の摩擦抵抗によって、2枚のスペーサS82は、容易にばらけることなく、一体に組み付けられる。
【0052】
また、実施例8,9のいずれのスペーサS72,S82においても、弾性部材82,92は、ずれ止め突条83,93の側に設けられているが、嵌着面22の側に設けること、及び双方に設けることも可能であり、各スペーサS72,S82のずれ止め突条83,93、又は嵌着面22の側に設ける弾性部材としては、ゴムを用いることも可能である。更に、実施例1において、スペーサS2 のずれ止め突条21、及びベース体40の嵌合部を構成する内側突条44のいずれか一方を弾性部材で構成することにより、スペーサS2 とベース体40との一体化を確実にすることも可能である。
【0053】
また、上記各実施例のスペーサは、長手方向の全長に亘ってずれ止め突部と嵌着部がそれぞれ形成された例であるが、重ね合わせるスペーサの嵌着部位が予め特定されている場合には、ずれ止め突部と嵌着部とは、長手方向に沿って断続的に形成したものでもよい。
【0054】
また、実施例1,2の各スペーサS1 ,S2 ,S11,S12においても、保護カバーCの長手方向の全長に亘ってスペーサS1 ,S2 ,S11,S12を配置する必要は必ずしもなく、長さの短いスペーサを断続的に配置して、保護カバーCを壁面W(W1 )から必要高さだけ嵩上げしてもよい。なお、建物の壁面に設けられる突出部の他の例としては、柱が挙げられる。
【0055】
更に、上記各実施例では、スペーサ及びベース体が長尺状の場合について説明したが、建物のコーナー部、入隅部、出隅部等においては、長尺状のスペーサ及びベース体と接続される短尺状のスペーサ及びベース体が使用され、このような短尺状のスペーサ及びベース体に対しても本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第1実施例の二種類のスペーサS1 ,S2 の使用により、建物の壁面Wに上下方向に配設された電線保護モールMとの干渉を回避して、保護カバーCで保護された流体管Pを前記壁面Wに水平に配管した状態の斜視図である。
【図2】同様の状態における縦断面図である。
【図3】図2のX−X線拡大断面図である。
【図4】二種類のスペーサS1 ,S2 と、保護カバーCを構成するベース体40及びカバー体50との分解斜視図である。
【図5】二種類のスペーサS1 ,S2 と保護カバーCのベース体40との分離状態の横断面図である。
【図6】図3のスペーサS1 の嵌着面22とスペーサS2 のずれ止め突条21との嵌着構造を示す部分拡大断面図である。
【図7】スペーサS1 と同S2 を重ね合わせたものを壁面Wに固定している状態を示す側面断面図である。
【図8】壁面Wに固定された2枚重ねの上方のスペーサS2 に対して保護カバーCのベース体40を固定している状態を示す側面断面図である。
【図9】1枚のスペーサS1 と2枚のスペーサS2 とを重ね合わせたものを使用して流体管Pを配管した状態の横断面図である。
【図10】壁面Wに固定された2枚重ねの上方のスペーサS2 に対して重ね合わせられて一体化された別のスペーサS2 とベース体40とをビスB3 を使用して固定した状態を示す側面断面図である。
【図11】第2実施例の2枚のスペーサS11,S12の使用により、保護カバーC内に収容保護された流体管Pを壁面Wの段差部60に水平に配管した状態の一部を破断した平面図である。
【図12】図11のY−Y線断面図である。
【図13】互いに嵌着された2枚のスペーサS11,S12を段差壁面W1 に固定している状態を示す側面断面図である。
【図14】段差壁面W1 に固定されたスペーサS12に対してベース体40を固定している状態を示す側面断面図である。
【図15】(イ),(ロ)は、それぞれスペーサS11及び同S12の横断面図である。
【図16】(イ),(ロ)は、それぞれ第3実施例のスペーサS22の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。
【図17】(イ),(ロ)は、それぞれ第4実施例のスペーサS32の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。
【図18】(イ),(ロ)は、それぞれ第5実施例のスペーサS42の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。
【図19】(イ),(ロ)は、それぞれ第6実施例のスペーサS52の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。
【図20】(イ),(ロ)は、それぞれ第7実施例のスペーサS62の単体状態の断面図、 及び重ね合わせた状態の断面図である。
【図21】(イ),(ロ)は、それぞれ第8実施例のスペーサS72の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。
【図22】(イ),(ロ)は、それぞれ第9実施例のスペーサS82の単体状態の断面図、及び重ね合わせた状態の断面図である。
【符号の説明】
【0057】
B1 〜B3 :ビス
C:配線・配管材保護カバー
H1 :電線保護モールの高さ
H2 :壁面の段差
R:カス
S1 ,S2 ,S11,S12,S22,S32,S42,S52,S62,S72,S82:スペーサ
W:建物の壁面
W1 :建物の段差壁面
11,31:載置面
12:第1立脚部(立脚部) 13:第2立脚部(立脚部) 15:ビス頭部収容空間
21,33,73,83,93:ずれ止め突条(ずれ止め突部)
22:嵌着面(嵌着部) 37,71:当接部
40:ベース体
43:ベース体の嵌着溝
39,74,75:嵌着溝(嵌着部)
60:段差部
82,92:弾性部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁面と、該壁面に沿って配設される配線・配管材保護カバーとの間に介装されるスペーサであって、
上面の載置面と裏面の当接面との巾方向に沿って対応する位置に、ずれ止め突部と嵌着部とがそれぞれ形成され、
2枚のスペーサを重ね合わせた際に、一方のスペーサのずれ止め突部が、他方のスペーサの嵌着部に嵌着されて、各スペーサが巾方向に相互にずれない状態で一体化される構成になっていることを特徴とするスペーサ。
【請求項2】
前記スペーサは、長尺状に形成され、前記ずれ止め突部及び嵌着部は、いずれも長手方向に連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスペーサ。
【請求項3】
前記ずれ止め突部、及び嵌着部の少なくとも一方は、2枚のスペーサの嵌着状態において摩擦力により両スペーサが一体化されるように、弾性変形可能な弾性部材で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスペーサ。
【請求項4】
スペーサと、該スペーサを介して建物の壁面に固定される保護カバーを構成するベース体との組み合わせから成るスペーサ装置であって、
前記ベース体の裏面には、前記スペーサのずれ止め突部が嵌着される嵌着部が形成され、
ベース体の裏面にスペーサを重ね合わせた際に、ベース体の嵌着部にスペーサのずれ止め突部が嵌着されて、ベース体とスペーサとが巾方向にずれない状態で一体化される構成であることを特徴とするスペーサ装置。
【請求項5】
前記スペーサのずれ止め突部、及び前記ベース体の嵌着部の少なくとも一方は、ベース体とスペーサとの嵌着状態において摩擦力により、スペーサとベース体とが一体化されるように、弾性変形可能な弾性部材で構成されていることを特徴とする請求項4に記載のスペーサ装置。
【請求項6】
前記スペーサ及び前記ベース体は、いずれも長尺状に形成され、前記ずれ止め突部及び嵌着部は、いずれも長手方向に連続して形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のスペーサ装置。
【請求項7】
前記ベース体に形成された一つの嵌着部には、スペーサに形成された一つのずれ止め突部が嵌着されることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載のスペーサ装置。
【請求項8】
1又は複数のスペーサを介して建物の壁面に配線・配管材保護カバーのベース体をビスを介して固定する方法であって、
複数のスペーサ、若しくは1又は複数のスペーサと前記ベース体とを巾方向にずれないように、スペーサ同士又はスペーサとベース体とを相互に嵌着させて一体化させた状態で、全体を前記壁面に当てがって固定することを特徴とするスペーサを用いた配線・配管材保護カバーの固定方法。
【請求項9】
複数のスペーサを介して建物の壁面に配線・配管材保護カバーをビスを介して固定する方法であって、
1又は複数の第1番目のスペーサを壁面に固定した後に、1又は複数の第2番目のスペーサのみ、1又は複数の第2番目のスペーサと保護カバーのベース体、若しくは前記ベース体のみを、前記第1番目のスペーサに対して巾方向にずれないように相互に嵌着した状態で、壁面に固定された第1番目のスペーサに対して1又は複数の第2番目のスペーサ又はベース体を前記第1番目のスペーサに固定することを特徴とするスペーサを用いた配線・配管材保護カバーの固定方法。
【請求項1】
建物の壁面と、該壁面に沿って配設される配線・配管材保護カバーとの間に介装されるスペーサであって、
上面の載置面と裏面の当接面との巾方向に沿って対応する位置に、ずれ止め突部と嵌着部とがそれぞれ形成され、
2枚のスペーサを重ね合わせた際に、一方のスペーサのずれ止め突部が、他方のスペーサの嵌着部に嵌着されて、各スペーサが巾方向に相互にずれない状態で一体化される構成になっていることを特徴とするスペーサ。
【請求項2】
前記スペーサは、長尺状に形成され、前記ずれ止め突部及び嵌着部は、いずれも長手方向に連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスペーサ。
【請求項3】
前記ずれ止め突部、及び嵌着部の少なくとも一方は、2枚のスペーサの嵌着状態において摩擦力により両スペーサが一体化されるように、弾性変形可能な弾性部材で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスペーサ。
【請求項4】
スペーサと、該スペーサを介して建物の壁面に固定される保護カバーを構成するベース体との組み合わせから成るスペーサ装置であって、
前記ベース体の裏面には、前記スペーサのずれ止め突部が嵌着される嵌着部が形成され、
ベース体の裏面にスペーサを重ね合わせた際に、ベース体の嵌着部にスペーサのずれ止め突部が嵌着されて、ベース体とスペーサとが巾方向にずれない状態で一体化される構成であることを特徴とするスペーサ装置。
【請求項5】
前記スペーサのずれ止め突部、及び前記ベース体の嵌着部の少なくとも一方は、ベース体とスペーサとの嵌着状態において摩擦力により、スペーサとベース体とが一体化されるように、弾性変形可能な弾性部材で構成されていることを特徴とする請求項4に記載のスペーサ装置。
【請求項6】
前記スペーサ及び前記ベース体は、いずれも長尺状に形成され、前記ずれ止め突部及び嵌着部は、いずれも長手方向に連続して形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のスペーサ装置。
【請求項7】
前記ベース体に形成された一つの嵌着部には、スペーサに形成された一つのずれ止め突部が嵌着されることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載のスペーサ装置。
【請求項8】
1又は複数のスペーサを介して建物の壁面に配線・配管材保護カバーのベース体をビスを介して固定する方法であって、
複数のスペーサ、若しくは1又は複数のスペーサと前記ベース体とを巾方向にずれないように、スペーサ同士又はスペーサとベース体とを相互に嵌着させて一体化させた状態で、全体を前記壁面に当てがって固定することを特徴とするスペーサを用いた配線・配管材保護カバーの固定方法。
【請求項9】
複数のスペーサを介して建物の壁面に配線・配管材保護カバーをビスを介して固定する方法であって、
1又は複数の第1番目のスペーサを壁面に固定した後に、1又は複数の第2番目のスペーサのみ、1又は複数の第2番目のスペーサと保護カバーのベース体、若しくは前記ベース体のみを、前記第1番目のスペーサに対して巾方向にずれないように相互に嵌着した状態で、壁面に固定された第1番目のスペーサに対して1又は複数の第2番目のスペーサ又はベース体を前記第1番目のスペーサに固定することを特徴とするスペーサを用いた配線・配管材保護カバーの固定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図11】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2007−2999(P2007−2999A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133274(P2006−133274)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
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