スペーサ配置方法及び液晶表示装置
【課題】予め定められた複数個の単一スペーサを基板上の各場所に配置できるスペーサ配置方法及びこれによる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】複数の単一スペーサ220を予め結合してなる結合スペーサ230を含むスペーサ含有液200を基板上に付着させる付着工程と、付着したスペーサ含有液中の結合スペーサ230を基板100に固着させる固着工程と、を備える。
【解決手段】複数の単一スペーサ220を予め結合してなる結合スペーサ230を含むスペーサ含有液200を基板上に付着させる付着工程と、付着したスペーサ含有液中の結合スペーサ230を基板100に固着させる固着工程と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサ配置方法及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等の製造において、ヘッド容器内のスペーサ含有液をそのヘッド容器の開口から液滴として吐出し、基板の所望の場所に付着させるスペーサ配置方法が知られている。液滴付着後にこの液滴を乾燥させることにより、液滴中のスペーサが基板上に固着される。
【0003】
このようにしてスペーサを基板上に配置する場合には、吐出される液滴中のスペーサの個数を、例えば、1個等の予め定められた個数とし、その予め定められた個数のスペーサを基板上の所望の場所に配置させることが望まれる。
【0004】
従来は、スペーサ含有液中に単一スペーサを均一に分散させると共に、スペーサ含有液中の単一スペーサの濃度等を適切に調節することにより、ヘッド容器の開口から吐出される液滴中の単一スペーサの個数をほぼ1個程度に調節していた。
【特許文献1】特開2004−145101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近では、基板上の1つの場所に、例えば、2個、3個、4個、5個、6個程度の予め定められた複数個の単一スペーサを配置することが要求される場合がある。この場合、吐出される一つの液滴中に予め定められた複数個の単一スペーサを含有させることが必要となる。
【0006】
しかしながら、液滴中に予め定められた複数個の単一スペーサを高精度に含ませることは困難であった。例えば、単一スペーサが分散したスペーサ含有液中のスペーサ濃度を、1つの液滴中に平均4個の単一スペーサが含まれるような濃度に調整しても、単一スペーサを4個含まない液滴、例えば、単一スペーサを1個又は0個含む液滴等がかなりの確率で生成されてしまう。したがって、基板上の1つの場所に所定の複数個の単一スペーサを配置することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、予め定められた複数個の単一スペーサを基板上の各場所に配置できるスペーサ配置方法及びこれにより得られる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るスペーサの配置方法は、複数の単一スペーサを予め結合してなる結合スペーサを含むスペーサ含有液を基板上に付着させる付着工程と、付着したスペーサ含有液中の結合スペーサを基板に固着させる固着工程と、を備える。
【0009】
本発明によれば、複数の単一スペーサを予め結合してなる結合スペーサがスペーサ含有液中に含まれるので、固着工程によりこの結合スペーサがそのまま基板に固着することとなる。したがって、結合スペーサにおける単一スペーサの個数を適切に調節することにより、所定の複数個の単一スペーサを基板上の各場所に容易に配置することができる。
【0010】
ここで、付着工程では、スペーサ含有液の液滴を形成し、当該液滴を基板上に付着させることが好ましい。
【0011】
スペーサ含有液においては、結合スペーサがそれぞれあたかも1つの粒子として振舞う。したがって、スペーサ含有液中における結合スペーサ濃度を適切に調整することにより、形成される液滴中に1つの結合スペーサを含有させることは、結合せずに分散する単一スペーサを液滴中に所定の複数個含有させることよりもはるかに容易である。
【0012】
特に、付着工程では、基板に対して相対的に移動可能なヘッド容器の開口から基板に向かって液滴を吐出することが好ましい。
【0013】
これによれば、基板上の所望の各場所に容易にスペーサ含有液の液滴を配置できる。
【0014】
一方、付着工程では、基板に対して前記スペーサ含有液の液滴を噴霧してもよい。また、付着工程では、スペーサ含有液の液膜を基板上に形成してもよい。
【0015】
これらによれば、簡易にスペーサ含有液の液膜や液滴を基板上に付着させられる。
【0016】
また、固着工程ではスペーサ含有液を乾燥させることが好ましい。
【0017】
スペーサ含有液を乾燥させると、スペーサ含有液中の結合スペーサを基板に容易に固着させられる。
【0018】
特に、結合スペーサの表面が樹脂により形成されている、又は、結合スペーサの表面に基板と結合可能な官能基が結合されていると、スペーサ周りの液体を乾燥させることによって極めて良好にスペーサを基板に対して固着できる。
【0019】
一方、結合スペーサの表面が光の照射により硬化する樹脂により形成されている場合には、固着工程において、スペーサ含有液中の結合スペーサを基板の表面と接触させた状態で、結合スペーサに対して光を照射することも好ましい。
【0020】
これによれば、スペーサ含有液中において基板と接触している結合スペーサの表面が光により硬化するので、スペーサ含有液を乾燥させること無く結合スペーサを基板に固着させることができる。
【0021】
また、固着工程では、基板の一部のみにマスクを介して光を照射することにより基板の一部の上に存在するスペーサ含有液中の結合スペーサを基板に固着させることもできる。
【0022】
これによれば、基板の一部、すなわち、所望の場所の上に存在するスペーサ含有液中の結合スペーサを選択的に基板に固着させられて好ましい。この場合、赤外光により液滴を乾燥させてもよく、また、結合スペーサ硬化用の光により結合スペーサを硬化させて固着させてもよい。
【0023】
また、結合スペーサが、単一スペーサ同士を熱可塑性のバインダにより予め結合したものである場合や、各単一スペーサの表面が熱可塑性樹脂により形成されており、結合スペーサは、単一スペーサの表面同士を予め加熱により直接結合させたものであることが好ましい。このような結合スペーサは製造が容易である。
【0024】
また、このような結合スペーサを用いた場合には、固着工程の後に、基板上に結合スペーサを介して他の基板を重ねる、重ね工程をさらに備え、重ね工程において結合スペーサを加熱することができる。
【0025】
この場合、結合スペーサが加熱される事により各結合スペーサにおける単一スペーサの再配列が可能となるので、特に、4つ以上の単一スペーサを結合した立体的な結合スペーサを基板に固着させた場合でも、一対の基板間において結合スペーサの各単一スペーサが一層分の厚みに再配置させられ、基板間、例えば、カラーフィルタと駆動基板との間の間隔の均一化が容易に行える。
【0026】
本発明に係る液晶表示装置は、画素電極を有する液晶駆動基板と、液晶駆動基板と対向配置されたカラーフィルタと、液晶駆動基板とカラーフィルタとの間に配置されたスペーサと、を備え、スペーサは単一スペーサを複数結合してなる結合スペーサである。
【0027】
このような液晶表示装置は、結合スペーサを有するので、スペーサが移動しにくく、さらに、局部加圧によるスペーサのつぶれも起り難くなる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、予め定められた複数個の単一スペーサを基板上の各場所に配置でき、優れた液晶表示装置が実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係るスペーサの配置方法及び液晶表示装置の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面においては、寸法比率は説明のものとは必ずしも一致していない。
【0030】
(第1実施形態)
本発明においては、複数の単一スペーサを結合してなる結合スペーサを作成し、結合スペーサを含有するスペーサ含有液をヘッドの開口から液滴として吐出してカラーフィルタ上に付着させ、液滴を乾燥させ、その後、カラーフィルタ上にTFT基板を載せる。以下、詳細に説明する。
【0031】
(結合スペーサ作成工程)
まず、図1の(a)に示すように、単一スペーサ220を用意する。単一スペーサ220の材料は特に限定されないが、例えば、シリカ等の珪素酸化物粒子や、シリコン変性ポリマー等のプラスチック粒子等を使用できる。また、単一スペーサ220の粒径も特に限定されず、例えば、粒径1〜7μm程度とすることができる。
【0032】
なお、単一スペーサ220の表面がポリマー等の樹脂により形成されている、又は、単一スペーサの表面に、TFT基板表面に形成され液晶を配向させる配向膜や、カラーフィルタ(特に配向膜)に対して結合可能な官能基、例えば、エポキシ基、グリシジル基、オキセタン基、酸無水物基、ラクトン基、アミド基、カルボキシル基等が結合されているとカラーフィルタとの固着力を強くできて好ましい。
【0033】
例えば、単一スペーサ220の表面が樹脂により形成されていると、後述する乾燥時の熱等により単一スペーサとカラーフィルタやTFT基板表面の配向膜との固着性をより高められる。樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び、光の照射により硬化する樹脂、例えば、可視光線硬化樹脂、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化樹脂等が挙げられる。ここで、単一スペーサ全体が樹脂から形成されていても、表層のみが樹脂から形成されていてもよい。また、単一スペーサの表面に上述の官能基がついていても、官能基とカラーフィルタやTFT基板表面の配向膜との化学的結合等により単一スペーサ220とカラーフィルタやTFT基板表面の配向膜との固着性を高められる。さらに、光の照射により硬化する樹脂の場合には、当該光の照射によりカラーフィルタやTFT基板表面の配向膜と固着させることも可能である。
【0034】
続いて、複数の単一スペーサ220を結合して図1の(b)〜(f)に示すように、結合スペーサ230を作成する。結合スペーサ230が含む単一スペーサ220の個数は、複数であれば良く、例えば、2個、3個、4個、6個等である。
【0035】
結合スペーサ230の製造方法は特に限定されないが、公知の造粒方法が使用できる。具体的には、例えば、皿型造粒機や、流動層造粒コーティング装置、スプレードライヤーを応用した造粒装置等を用いることができる。また、液中に分散剤を溶解させ、固着用の樹脂(溶解させてもスペーサより小さく分散させてもよい)とスペーサ(スペーサに固着剤が化学的に処理されていてもよい)を分散させた後、溶液の溶解度パラメータを変化させ造粒してもよい。また、上記溶液を乾燥(凍結乾燥でもよい)させた後、粉砕し分級して大きさをそろえてもよい。
【0036】
特に、バインダを使用することにより、単一スペーサ220の材質を問わず結合スペーサ230を好適に形成することができる。バインダは特に限定されないが、特に、熱可塑性バインダを用いることが好ましい。熱可塑性バインダとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィンワックス、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂等、スペーサ含有液に対して殆ど(LCDの信頼性に影響を与えない程度)又は全く溶解しない樹脂等が挙げられる。また、このような樹脂に対して、熱を加えることにより粒子と反応するような官能基を付与したり、液晶の配向乱れを防止するような官能基を持たせてもよい。バインダ235により3つの単一スペーサ220同士を結合した結合スペーサ230の例を図1の(b)に示す。
【0037】
また、バインダを用いないで結合スペーサ230を形成することもできる。例えば、単一スペーサ220の表面が熱可塑性樹脂により形成されている場合には、これらの単一スペーサ220を加熱しながら攪拌する等によって単一スペーサ220の表面同士を直接結合させることができ、バインダを使用しないでも結合スペーサ230の生成が可能である。
【0038】
バインダ235を用いずに単一スペーサ220同士を結合してなる結合スペーサ230の例を図1の(c)〜(f)に示す。図1の(b)及び(d)は3個の単一スペーサ220を結合した結合スペーサ230、図1の(c)は2個の単一スペーサ220を結合した結合スペーサ230、図1の(e)は4個の単一スペーサ220を結合した結合スペーサ230、図1の(f)は6個の単一スペーサ220を結合した結合スペーサ230の一例である。
【0039】
ここで、上述の如き造粒方法により形成した結合スペーサ230の集合物において、各結合スペーサ230が有する単一スペーサ220の数はそれほど均一にはならないので、造粒後の結合スペーサ230の集合物を分級することが好ましい。分級方法は特に限定されないが、例えば、液中でのマルチサイクロンや静置等の比重差による造粒粒子の沈降を利用した分級方法や、ハイドロダイナミッククロマトグラフィーなどを利用した分級方法、メッシュ、篩、メンブラン等を利用した分級方法が挙げられ、これにより、所定の複数個の単一スペーサ220を結合してなる結合スペーサ230を高い割合で含む結合スペーサ230の集合物を得ることができる。
【0040】
具体的には、例えば、個数基準において、全結合スペーサ230中に、予め定められた複数個の単一スペーサ220を結合してなる結合スペーサ230が90%以上、好ましくは95%以上含むようなシャープな分布を示す結合スペーサ230の集合物を作成することが好ましい。
【0041】
そして、このようにして得られた結合スペーサ230の集合物を、スペーサキャリア液中に分散させ、結合スペーサ230が分散したスペーサ含有液を得る。ここでは、結合スペーサ230をあたかも1つの粒子として液中に分散させる。なお、スペーサ含有液中における結合スペーサ230の濃度は、ヘッド容器の開口(詳しくは後述)から吐出される液滴の体積V中に概ね1つの結合スペーサ230が含まれるような濃度に調節する。本実施形態では、図1の(d)の如き3つのスペーサが結合した結合スペーサを含むスペーサ含有液を使った場合について説明する。
【0042】
なお、結合スペーサ230が分散されるスペーサキャリア液11としては、例えば、水とIPAの混合液等が利用できる。また、必要に応じて分散剤を用いることもできる。
【0043】
(配置工程)
続いて、図2に示すようなスペーサ配置装置1を用いて、スペーサ含有液12から液滴200を形成し、この液滴をカラーフィルタ100の表面に付着させる。
【0044】
まず、スペーサ配置装置1及びカラーフィルタ100の実施例について説明する。
【0045】
(スペーサ配置装置)
このスペーサ配置装置1は、ヘッド装置41から上方のカラーフィルタ100に対してスペーサ含有液をそれぞれ噴射して、カラーフィルタ100の下面にスペーサ含有液の液滴を付着させる装置である。
【0046】
スペーサ配置装置1は、主として、スペーサ含有液12を攪拌する攪拌槽20と、攪拌槽20内から供給されるスペーサ含有液12を上方のカラーフィルタ100に向けて液滴200として噴射するヘッド装置41と、カラーフィルタ100をヘッド装置41の上方で移動させる基板移動ユニット80と、ヘッド装置41や基板移動ユニット80等を制御するコントローラ90と、を主として備えている。
【0047】
ヘッド装置41は、カラーフィルタ100の幅方向に延在した箱状をなすヘッド容器42を有している。ヘッド容器42の上面には開口37が所定のピッチ37Pで多数一列に並んで形成されている。開口37の配列方向はカラーフィルタの幅方向と平行であり、カラーフィルタの移動方向と垂直である。
【0048】
ここで、開口37の径は、例えば、10〜50μm程度とすることができる。また、開口37のピッチ37Pは、例えば、100μm程度とすることができる。
【0049】
ヘッド容器42内には上から順にハンマー52及びピエゾ素子54が設けられている。ピエゾ素子54の底部はヘッド容器42の底部に固定されている。また、ピエゾ素子54は、コントローラ90に接続されており、コントローラ90からの信号に応じて上下に伸縮する。ハンマー52はピエゾ素子54上に固定されている。ハンマー52の上面は各開口37に対して下から対向すると共に各開口37に対して所定間隔離間している。
【0050】
そして、ピエゾ素子54が、コントローラ90からの信号により上方に伸びると、ハンマー52が上方に動く。したがって、開口37近傍のスペーサ含有液12がハンマー52の上端面52dによって開口37から押し出され、上方に向かってスペーサ含有液12の液滴200が噴射される。
【0051】
攪拌槽20はモータ17aにより回転する攪拌翼17を備え、前述の結合スペーサ230が分散しているスペーサ含有液12を攪拌して結合スペーサ230をスペーサキャリア液11中に分散させる。なお、攪拌強度は、結合スペーサ230の結合が破壊されないような強度とする。
【0052】
ヘッド容器42の一端はラインL1により攪拌槽20と接続されている。また、ヘッド容器42の他端は、循環ポンプ70を備えるラインL2により攪拌槽20と接続されている。循環ポンプ70は、ヘッド容器42内のスペーサ含有液を吸引し攪拌槽20内に排出する。これに対応して、攪拌槽20内のスペーサ含有液12がラインL1を介してヘッド容器42内に供給される。
【0053】
基板移動ユニット80は、基板吸引部82と基板移動部84とを有している。基板吸引部82は、ヘッド装置41の上方でカラーフィルタ100を静電気や減圧等によって吸引してカラーフィルタ100を支持する。ここでは、カラーフィルタ100の上膜160(詳しくは後述)の窪み部160aが下向きかつ開口37の配列方向と平行となるように基板吸引部82がカラーフィルタ100を支持する。
【0054】
また、基板移動部84は、カラーフィルタ100を吸引した基板吸引部82をカラーフィルタ移動方向、すなわち、カラーフィルタの幅方向と直交する方向に水平に移動させる。すなわち、カラーフィルタ100とヘッド装置41の開口37とは、カラーフィルタ100の表面に沿って、相対的に移動することとなる。また、基板移動部84は、カラーフィルタ100をカラーフィルタの幅方向にも所定距離動かせるようになっており、カラーフィルタ100のアラインメントが可能となっている。基板移動部84としては、カラーフィルタ100を高精度に移動可能なリニアモータ式のものが好ましい。
【0055】
コントローラ90は、予め定められたプログラムに基づいて処理を行うコンピュータ装置であり、基板移動ユニット80、ピエゾ素子54、循環ポンプ70、及び、モータ17aに接続され、これらの駆動を制御する。
【0056】
(カラーフィルタ)
続いて、液滴が付着されるべき基板としてのカラーフィルタの一例について図3を参照して説明する。液滴200が配置されるべきカラーフィルタ100は、透明基板110、ブラックマトリクス120、赤色着色部130R、緑色着色部130G、青色着色部130B、上膜160を備えている。
【0057】
透明基板110は、ガラス等から形成された透明な平板である。
【0058】
ブラックマトリクス120は、可視光を遮光する材料からなる膜である。ブラックマトリクス120の材料としては、例えば、クロム、クロム/酸化クロム等の金属系材料や、樹脂材料等が挙げられる。このブラックマトリクス120は格子形状又はストライプ形状をなし、多数の開口120pを形成している。ブラックマトリクスの幅120Wは、例えば、5〜30μm程度とすることができる。また、ブラックマトリクスの高さ120Hは、例えば0.1〜2μm程度とすることができる。
【0059】
赤色着色部130R、緑色着色部130G、青色着色部130Bは、それぞれ、ブラックマトリクス120の各開口120p内に順に配置されている。赤色着色部130R、緑色着色部130G、青色着色部130Bは、それぞれ、各色の可視光を選択的に透過可能な透明着色材料からなり、例えば、透明着色樹脂を使用できる。各着色部130R,130G,130Bの幅130Wは、例えば、5〜100μmとすることができる。各着色部130R,130G,130Bの高さ130Hは、例えば、1〜2μmとすることができる。
【0060】
ここで、各着色部130R,130G,130Bの高さ130Hは、ブラックマトリクス120の高さ120Hよりも十分に高くされている。
【0061】
そして、これらの各着色部130R,130G,130B及びブラックマトリクス120上に亘って上膜160が形成されている。この上膜160は、透明基板110側から順に、必要に応じて設けられる透明平坦化膜(不図示)、透明電極膜140、及び配向膜150等を有する積層体である。
【0062】
透明電極膜140は、液晶ディスプレイ駆動用の液晶駆動基板の画素電極(詳しくは後述)に対向配置されるべき共通電極であり、ITO等の透明な導電材料により形成される。透明電極膜140の厚みは、例えば、約0.1μm程度である。
【0063】
配向膜150は、液晶を所望の方向に配向させるものであり、例えば、ポリイミド等の樹脂材料等により形成できる。配向膜150の厚みは、例えば、約0.1μm程度である。
【0064】
そして、ブラックマトリクス120の上面と、各着色部130R,130G,130Bの上面と、の段差に対応して、カラーフィルタ100の表面、すなわち、上膜160の表面においては、ブラックマトリクス120上に窪み部160aが形成されている。ブラックマトリクス120は格子状又はストライプ状であり、この窪み部160aは、ブラックマトリクス120に沿う溝形状となっている。また、各着色部130R,130G,130Bのブラックマトリクス120側の端部はそれぞれ盛り上がっている。
【0065】
このようなカラーフィルタ100は、例えば、透明基板110上に、フォトリソグラフィー法等によってブラックマトリクス120を形成した後、ブラックマトリクス120の開口120pに、フォトリソグラフィー法等によって順次各着色部130R,130G,130Bをブラックマトリクス120よりもそれぞれ高くなるように形成し、その後、ブラックマトリクス120及び各着色部130R,130G,130B上にスパッタリング法や蒸着法等によって所定の厚みの透明電極膜140を形成し、透明電極膜140の上にさらにポリイミド樹脂等の配向膜材料を所定の厚み塗布して固化し、その表面をラビングして配向膜150とすることにより容易に得られる。
【0066】
(液滴吐出及び付着)
続いて、液滴の吐出及び付着工程について説明する。本実施形態では、図2に示すように、カラーフィルタ100をカラーフィルタ移動方向に移動させつつ、ヘッド容器42の各開口37から液滴200を繰り返し吐出し、複数の液滴200からなる行(ライン)を基板表面に繰り返し付着(図3参照)させることにより、図4及び図5に示すように、カラーフィルタ100の表面に複数の液滴200をマトリクス状に付着させる。
【0067】
ここでは、基板移動ユニット80及びピエゾ素子54を制御することにより、上膜160の表面のうちの窪み部160a上に液滴200が付着するようにカラーフィルタ100の移動を制御する。各窪み部160a上における液滴200のピッチ37Pは、ヘッド容器42の開口37のピッチ37Pに対応する。
【0068】
カラーフィルタ100上における液滴200の径は、例えば、50〜100μm程度とすることができる。したがって、液滴200の体積Vは、例えば、10〜100pL程度となる。ここで、前述のとおり、ヘッド容器42内のスペーサ含有液12中の結合スペーサ230の濃度は、液滴200の体積V中に結合スペーサ230が概ね1つ、例えば、0.9〜1.1個程度含まれる濃度とされている。したがって、ヘッド容器42の開口37から吐出される液滴200の殆どには、図3〜図5に示すように、結合スペーサ230を1つのみ含んでいる。
【0069】
そして、各結合スペーサ230は、所望の複数個の単一スペーサ220を結合したものであるため、所定の複数個の単一スペーサ220がカラーフィルタ上の所望の場所に配置されることとなる。
【0070】
ここで、液滴200中に結合スペーサが概ね1つ含まれることについて図6を参照して詳しく説明する。図6は、スペーサ含有液12中に結合スペーサ230を単一粒子として分散させ、この結合スペーサ230の濃度を、A:液滴の体積V中に約1個、及び、B:液滴の体積V中に約3個となるように設定した場合に、それぞれ、実際に吐出される1つの液滴200中に含まれる結合スペーサ230の個数の頻度分布を示すグラフの一例である。また、このグラフは、スペーサ含有液12中に単一スペーサ220を単一粒子として分散させ、この単一スペーサ220の濃度を、A:液滴の体積V中に約1個、及び、B:液滴の体積V中に約3個となるように設定した場合に、それぞれ、実際に吐出される1つの液滴200中に含まれる単一スペーサ220の個数の頻度分布を示すグラフでもある。
【0071】
従来のようにスペーサ含有液12中に単一スペーサ220を単一粒子として分散させた場合には、図6のBのように、スペーサ含有液12中の単一スペーサ220の濃度を、液滴の体積V中に3個の単一スペーサ220が含まれる濃度に設定しても、液滴200中の単一スペーサ220の個数の頻度分布はブロードになってしまい、液滴200中の単一スペーサ220の数は大きくばらつきやすくなる。
【0072】
ところが、本実施形態のように、予め定められた複数個の単一スペーサ220を結合してなる結合スペーサ230を単一粒子としてスペーサ含有液12に分散させた場合には、この結合スペーサ230があたかも1つの粒子として振舞う。そして、スペーサ含有液12中における結合スペーサ230の濃度を、液滴の体積V中に結合スペーサ230が概ね1つ含まれる濃度に設定すると、図6のAに示すように、吐出される液滴200中にかなりの確率で結合スペーサ230を1つのみ含有させることができる。これは、スペーサ含有液12中に単一スペーサ220を単一粒子として分散させ、単一スペーサ220の濃度を液滴の体積V中に単一スペーサ220が1つ含有する濃度に設定すると、比較的高精度に液滴200中に1つの単一スペーサ220が含まれるようになることと共通する。
【0073】
したがって、本実施形態によれば、所定の複数個の単一スペーサ220を含む液滴200をカラーフィルタ100上の各場所に配置できる。
【0074】
(固着工程)
続いて、このような液滴200中の結合スペーサ230をカラーフィルタ100に固着させる。固着方法は特に限定されず、例えば、赤外線ランプ等による加熱や、送風等による乾燥法が挙げられる。液滴200を乾燥させると、図7に示すように、液滴200中の結合スペーサ230がカラーフィルタ100上に固着する。このときに、通常、結合スペーサ230の各単一スペーサ220間の結合はほとんど破壊されない。
【0075】
ここで、図4に点線で示すように、意図しない場所に液滴200Aが付着してしまった場合等に、意図しない場所へ結合スペーサ230Aが固着することを防止すべく、図8に示すように、窪み部160aやブラックマトリクス120に対応する部分が開口OPとされたマスクMを介してカラーフィルタ100に対して赤外線を照射すると好ましい。そうすると、図9に示すように、開口OPに対応する部分上の液体が乾燥し当該場所において選択的に結合スペーサ230が固着する一方、赤外線が照射されない液滴200Aは乾燥しないので、カラーフィルタ100における意図したところ以外に結合スペーサ230Aが固着することを極めて効率よく抑制できる。この場合、所望の結合スペーサ230を固着させた後に、図10に示すように、カラーフィルタの表面にノズル480から液体、例えば、スペーサ含有液の溶媒等を流下させると、固着しなかった結合スペーサ230Aのみをカラーフィルタ上から除去することができる。なお、ガス等により吹き飛ばすことや、液中に浸漬することにより、未固着の結合スペーサ230Aを除去してもよい。
【0076】
なお、乾燥により固着させる過程において、液滴200が上向きの様態で行っても下向きの状態で行っても、最終的に、結合スペーサ230の各単一スペーサ220がカラーフィルタ100に接触することとなる。本実施形態では、特に、3つの単一スペーサを結合した結合スペーサ230を用いており、通常、乾燥後に、結合スペーサ230のいずれの単一スペーサ220ともカラーフィルタ100の表面に接触する、すなわち、固着時には、結合スペーサ230の高さは単一スペーサ220の高さと同じとなる。
【0077】
また、乾燥以外の方法により結合スペーサを固着させることもできる。たとえば、結合スペーサ230の表面が光の照射により硬化する樹脂、例えば、可視光線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、赤外線硬化樹脂等である場合には、液滴200中の結合スペーサ230がカラーフィルタ100の表面に接触した状態で、当該樹脂を硬化させる光を照射することにより、結合スペーサ230をカラーフィルタ10上に固着できる。この場合は、乾燥は必ずしも必要はない。また、意図しないところへ結合スペーサ230Aが固着することを抑制すべく、マスクMを介して光を照射することが好ましい。また、未固着の結合スペーサ230Aは前述のようにして除去すればよい。
【0078】
なお、硬化による固着と同時、又は、硬化による固着の後に、マスクMを介してカラーフィルタ100に対して赤外線を照射し、結合スペーサ230G周りの液体を乾燥させて結合スペーサ230Gとカラーフィルタ100との固着力を増加させることも可能である。
【0079】
(駆動基板の重ね工程)
つづいて、図11に示すように、カラーフィルタ100上に、結合スペーサ230を介して画素電極402(例えばTFT素子等)を有する液晶駆動基板400を載せる。液晶駆動基板400は、ガラス基板401上に、画素電極402や配向膜403等を設けたものである。
【0080】
そして、カラーフィルタ100液晶駆動基板400との間が、従来のように、1つの単一スペーサ220によるのではなく、より精度良く数がコントロールされた複数の単一スペーサ220の集合体である結合スペーサ230によりそれぞれ支持されることになるので、パネルGAPが均一になり表示がきれいになる。また、集合体であるため、スペーサが移動しにくくなり、また、局部加圧によりスペーサがつぶれることも起りにくい。
【0081】
この後、液晶駆動基板400とカラーフィルタ100との間に液晶を充填すれば液晶表示装置300が完成する。なお、カラーフィルタ100上に液晶駆動基板400を載せる前にカラーフィルタ100上に液晶を滴下してもよい。
【0082】
上述のように、本実施形態によれば、複数の単一スペーサ220を結合してなる結合スペーサ230を含むスペーサ含有液12を用いているので、スペーサ含有液12においては、結合スペーサ230がそれぞれあたかも1つの粒子として振舞う。そして、スペーサ含有液12中における結合スペーサ230の濃度を調整することにより、吐出される液滴200中におおむね1つの結合スペーサ230を含有させることが容易である。したがって、従来に比して、高精度に、所定の複数個の単一スペーサ220がカラーフィルタの所望の場所に配置される。
【0083】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態について説明する。本実施形態では、図1における(e)のように4つの結合スペーサが立体的に結合した結合スペーサ230を用いる。この場合、上述のような液滴の付着及び乾燥後に、図12に示すような状態となる。そして、その後、カラーフィルタ100上にカラーフィルタ100を重ね、カラーフィルタ100と液晶駆動基板400とで結合スペーサ230を挟むことにより結合スペーサ230に対して所定の応力を与え、結合スペーサ230の各単一スペーサ220間の結合を解除させて、結合スペーサ230を構成していた各単一スペーサ220を1層に再配列させる。これにより、図11のように、カラーフィルタ100と液晶駆動基板400との距離が単一スペーサ220の高さによって規定されることとなる。
【0084】
ここで、結合スペーサ230が、単一スペーサ220同士を熱可塑性のバインダ235を介して結合したものである場合や、各単一スペーサ220の表面が熱可塑性樹脂により形成されており、結合スペーサ230が単一スペーサ220の表面同士を加熱により直接結合させたものである場合には、この重ね工程において赤外線ランプ等により結合スペーサ230を加熱することにより、比較的弱い応力で、単一スペーサ220を容易に再配列させることができ、また、再配列した状態で熱可塑性樹脂により再び単一スペーサ220を結合させて再配列した結合スペーサとすることができる。
【0085】
(第3実施形態)
続いて、本発明に係る第3実施形態について説明する。第3実施形態では、図13に示すように、第1実施形態及び第2実施形態のようなスペーサ配置装置1でなく、液滴噴霧ノズル202を有する噴霧装置2を用いてカラーフィルタ100上に多数の液滴200を噴霧により付着させる。
【0086】
液滴噴霧ノズル202としては、例えば、2流体ノズル等を利用できる。この液滴噴霧ノズル202には、ラインL20を介してブロア204が接続されていると共に、ラインL22を介してポンプ206及び第1実施形態と同様の攪拌槽20が接続されている。そして、ポンプ206によりスペーサ含有液12が液滴噴霧ノズル202に供給されると共に、ブロア204によりエアーが液滴噴霧ノズル202に供給され、液滴噴霧ノズル202からスペーサ含有液の液滴200が多数形成される。この多数の液滴200は、液滴噴霧ノズル202に対向して配置されるカラーフィルタ100の表面に付着する。なお、液滴噴霧ノズル202のオリフィス径、スペーサ含有液やエアーの圧力等の噴霧条件は、液滴の径が所望の大きさとなるように設定される。なお、各液滴200は、それぞれ結合スペーサ230を好ましくは1個含んでいる。
【0087】
このような噴霧法では、カラーフィルタ100上における液滴200の付着位置を第1実施形態のように制御することは困難であり、図14に示すように、結合スペーサ230を含む液滴200はカラーフィルタ100上にほぼランダムに配置されることとなる。そして、液滴200中の結合スペーサ230は、ブラックマトリクス120上に配置される結合スペーサ230Gと、ブラックマトリクス120以外の部分の上に配置される結合スペーサ230Hとに区別される。
【0088】
続いて、図8に示すようなマスクM、すなわち、カラーフィルタ100のブラックマトリクス120の部分に対応する部分が開口OPとされ、他の部分が遮光部とされたストライプ状のマスクMを介してカラーフィルタ100のブラックマトリクス120に対して光を照射する。そうすると、ブラックマトリクス120上にある結合スペーサ230Gがブラックマトリクス120上に固着する一方、ブラックマトリクス120以外の部分には光が照射されないので、ブラックマトリクス120以外の部分の上にある結合スペーサ230Hはカラーフィルタ100と固着しない。
【0089】
固着方法としては、第1実施形態の如く、例えば、赤外線により液体を乾燥させる方法や、結合スペーサを硬化させる光を照射する等の方法が挙げられる。
【0090】
そして、ブラックマトリクス120上の結合スペーサ230Gをカラーフィルタに固着させた後に、第1実施形態等と同様に、流水等により未固着結合スペーサ230Hをカラーフィルタ表面から除去すれば、図15に示すように、ブラックマトリクス120上に選択的に結合スペーサ230Gを配置することができる。
【0091】
その後、第1実施形態又は第2実施形態と同様に重ね工程を行えばよい。
【0092】
(第4実施形態)
本実施形態では、図16及び図17に示すように、液滴200でなく、スペーサ含有液12の液膜210をカラーフィルタ100上に付着させる。具体的には、公知の種々の塗布装置を用いてスペーサ含有液12の液膜210をカラーフィルタ100上に形成できる。例えば、図16に示すダイコータ3等を用いて、液膜210の形成が可能である。また、第3実施形態のようなスプレーノズルによる液滴の噴霧を十分長時間行うことによっても液膜210の形成は可能である。
【0093】
このような液膜210を形成すると、図16及び図17に示すように、液膜210中において、結合スペーサ230はカラーフィルタ100上にほぼランダムに配置される。ここで、ブラックマトリクス120上に配置された結合スペーサを230Gとし、ブラックマトリクス120以外の部分の上に配置された結合スペーサを230Hとする。
【0094】
その後、第3実施形態と同様に、マスクMを介して光を照射すればよい。赤外線によりブラックマトリクス120上の結合スペーサ230G周りの液体を乾燥させることにより結合スペーサ230Gをカラーフィルタ100に固着させても良く、また、光により結合スペーサ230Gの表面を硬化させて結合スペーサ230Gとカラーフィルタ100とを固着させてもよい。そして、固着後に、未固着の結合スペーサ230Hを洗浄等により除去すればよい。これにより、図15のように、ブラックマトリクス120上に選択的に結合スペーサ230が配置されることとなる。 その後、第1実施形態又は第2実施形態と同様に重ね工程を行えばよい。
【0095】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず様々な変形態様が可能である。例えば、各結合スペーサ230が有する単一スペーサ220の個数は複数であれば特に制限は無く、2個でも良いし、また、開口37からの吐出に支障が無ければ数十個等でも良い。
【0096】
また、上記実施形態では、ヘッド容器42の開口37から液滴200を上向きに吐出しているが、下向きや横向きに吐出してもよい。
【0097】
また、マスクMの開口OPの幅と、結合スペーサ230を配置させたい場所(例えば、ブラックマトリクス)の幅との関係は、概ね同等の関係とすればよく、光の種類(紫外線/可視光線/赤外線:種類によって直線性が異なる)、マスクとカラーフィルタとの距離、カラーフィルタの凹凸の程度、光源からカラーフィルタまで光がどのように到達するか(平行光か収束光か)等の性質に応じて、開口OPの幅OPW(図8参照)と、スペーサを配置させたい場所の幅(例えば、図3の120W)との関係は任意好適に設定できる。通常は、(開口の幅)≦(スペーサを配置させたい場所の幅)とすればよい。
【0098】
また、カラーフィルタ以外の製造の際、例えば、TFT基板、また、球状スペーサによるセルギャップを必要とする液晶表示素子、さらにはギャップ制御を必要とするマルチモード光導波路やコネクターなどの光学デバイスなどを製造する際に、基板等に対してスペーサを配置するのに上記各実施形態の方法を用いることももちろん可能である。
【産業上の利用可能性】
【0099】
このように、本発明によれば、所望の複数個の単一スペーサを基板上に配置できるので、より高機能の液晶ディスプレイ等の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1は、単一スペーサ、及び単一スペーサを結合してなる結合スペーサを説明する模式図である。
【図2】図2は、本実施形態で使用するスペーサ散布装置の一例の概略構成図である。
【図3】図3は、本実施形態で使用するカラーフィルタの一例の断面図である。
【図4】図4は、カラーフィルタ上に液滴が散布された状態を示す上面図である。
【図5】図5は、図4のV−V矢視図である。
【図6】図6は、スペーサ含有液中の単一スペーサ又は結合スペーサの濃度が、A:液滴体積中に約一個、及び、B:液滴体積中に約3個とした場合に、実際に1つの液滴中に含まれる単一スペーサ又は結合スペーサの個数の頻度分布を示すグラフである。
【図7】図7は、図4のカラーフィルタの液滴を乾燥させた状態を示す断面図である。
【図8】図8は、開口OPを有するマスクMを示す上面図である。
【図9】図9は、図4のカラーフィルタに対してマスクMを介して光を照射することにより乾燥させた後の状態を示す矢視図であり、その場所は図4のVIII−VIII面に対応する。
【図10】図10は、図9の状態のカラーフィルタ上から未固着の結合スペーサを除去する状態を示す断面図である。
【図11】図11は、カラーフィルタ上に液晶駆動基板を載置舌状態を示す断面図である。
【図12】図12は、カラーフィルタ上に4個の単一スペーサを結合した結合スペーサを固着させた状態を示す断面図である。
【図13】図13は、第3実施形態に係るスペーサ含有液滴散布方法を示す概念図である。
【図14】図14は、カラーフィルタ上に液滴が付着した状態を示す平面図である。
【図15】図15は、ブラックマトリクス上に選択的に結合スペーサが固着した状態を示す平面図である。
【図16】図16は、第4実施形態に係るスペーサ含有液膜形成方法を示す概念断面図である。
【図17】図17は、カラーフィルタ上に液膜が付着した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0101】
12…スペーサ含有液、37…開口、42…ヘッド容器、100…カラーフィルタ(基板)、200…液滴(スペーサ含有液)、202…画素電極、210…液膜(スペーサ含有液)、220…単一スペーサ、230…結合スペーサ、300…液晶表示装置、400…液晶駆動基板(他の基板)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサ配置方法及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等の製造において、ヘッド容器内のスペーサ含有液をそのヘッド容器の開口から液滴として吐出し、基板の所望の場所に付着させるスペーサ配置方法が知られている。液滴付着後にこの液滴を乾燥させることにより、液滴中のスペーサが基板上に固着される。
【0003】
このようにしてスペーサを基板上に配置する場合には、吐出される液滴中のスペーサの個数を、例えば、1個等の予め定められた個数とし、その予め定められた個数のスペーサを基板上の所望の場所に配置させることが望まれる。
【0004】
従来は、スペーサ含有液中に単一スペーサを均一に分散させると共に、スペーサ含有液中の単一スペーサの濃度等を適切に調節することにより、ヘッド容器の開口から吐出される液滴中の単一スペーサの個数をほぼ1個程度に調節していた。
【特許文献1】特開2004−145101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近では、基板上の1つの場所に、例えば、2個、3個、4個、5個、6個程度の予め定められた複数個の単一スペーサを配置することが要求される場合がある。この場合、吐出される一つの液滴中に予め定められた複数個の単一スペーサを含有させることが必要となる。
【0006】
しかしながら、液滴中に予め定められた複数個の単一スペーサを高精度に含ませることは困難であった。例えば、単一スペーサが分散したスペーサ含有液中のスペーサ濃度を、1つの液滴中に平均4個の単一スペーサが含まれるような濃度に調整しても、単一スペーサを4個含まない液滴、例えば、単一スペーサを1個又は0個含む液滴等がかなりの確率で生成されてしまう。したがって、基板上の1つの場所に所定の複数個の単一スペーサを配置することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、予め定められた複数個の単一スペーサを基板上の各場所に配置できるスペーサ配置方法及びこれにより得られる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るスペーサの配置方法は、複数の単一スペーサを予め結合してなる結合スペーサを含むスペーサ含有液を基板上に付着させる付着工程と、付着したスペーサ含有液中の結合スペーサを基板に固着させる固着工程と、を備える。
【0009】
本発明によれば、複数の単一スペーサを予め結合してなる結合スペーサがスペーサ含有液中に含まれるので、固着工程によりこの結合スペーサがそのまま基板に固着することとなる。したがって、結合スペーサにおける単一スペーサの個数を適切に調節することにより、所定の複数個の単一スペーサを基板上の各場所に容易に配置することができる。
【0010】
ここで、付着工程では、スペーサ含有液の液滴を形成し、当該液滴を基板上に付着させることが好ましい。
【0011】
スペーサ含有液においては、結合スペーサがそれぞれあたかも1つの粒子として振舞う。したがって、スペーサ含有液中における結合スペーサ濃度を適切に調整することにより、形成される液滴中に1つの結合スペーサを含有させることは、結合せずに分散する単一スペーサを液滴中に所定の複数個含有させることよりもはるかに容易である。
【0012】
特に、付着工程では、基板に対して相対的に移動可能なヘッド容器の開口から基板に向かって液滴を吐出することが好ましい。
【0013】
これによれば、基板上の所望の各場所に容易にスペーサ含有液の液滴を配置できる。
【0014】
一方、付着工程では、基板に対して前記スペーサ含有液の液滴を噴霧してもよい。また、付着工程では、スペーサ含有液の液膜を基板上に形成してもよい。
【0015】
これらによれば、簡易にスペーサ含有液の液膜や液滴を基板上に付着させられる。
【0016】
また、固着工程ではスペーサ含有液を乾燥させることが好ましい。
【0017】
スペーサ含有液を乾燥させると、スペーサ含有液中の結合スペーサを基板に容易に固着させられる。
【0018】
特に、結合スペーサの表面が樹脂により形成されている、又は、結合スペーサの表面に基板と結合可能な官能基が結合されていると、スペーサ周りの液体を乾燥させることによって極めて良好にスペーサを基板に対して固着できる。
【0019】
一方、結合スペーサの表面が光の照射により硬化する樹脂により形成されている場合には、固着工程において、スペーサ含有液中の結合スペーサを基板の表面と接触させた状態で、結合スペーサに対して光を照射することも好ましい。
【0020】
これによれば、スペーサ含有液中において基板と接触している結合スペーサの表面が光により硬化するので、スペーサ含有液を乾燥させること無く結合スペーサを基板に固着させることができる。
【0021】
また、固着工程では、基板の一部のみにマスクを介して光を照射することにより基板の一部の上に存在するスペーサ含有液中の結合スペーサを基板に固着させることもできる。
【0022】
これによれば、基板の一部、すなわち、所望の場所の上に存在するスペーサ含有液中の結合スペーサを選択的に基板に固着させられて好ましい。この場合、赤外光により液滴を乾燥させてもよく、また、結合スペーサ硬化用の光により結合スペーサを硬化させて固着させてもよい。
【0023】
また、結合スペーサが、単一スペーサ同士を熱可塑性のバインダにより予め結合したものである場合や、各単一スペーサの表面が熱可塑性樹脂により形成されており、結合スペーサは、単一スペーサの表面同士を予め加熱により直接結合させたものであることが好ましい。このような結合スペーサは製造が容易である。
【0024】
また、このような結合スペーサを用いた場合には、固着工程の後に、基板上に結合スペーサを介して他の基板を重ねる、重ね工程をさらに備え、重ね工程において結合スペーサを加熱することができる。
【0025】
この場合、結合スペーサが加熱される事により各結合スペーサにおける単一スペーサの再配列が可能となるので、特に、4つ以上の単一スペーサを結合した立体的な結合スペーサを基板に固着させた場合でも、一対の基板間において結合スペーサの各単一スペーサが一層分の厚みに再配置させられ、基板間、例えば、カラーフィルタと駆動基板との間の間隔の均一化が容易に行える。
【0026】
本発明に係る液晶表示装置は、画素電極を有する液晶駆動基板と、液晶駆動基板と対向配置されたカラーフィルタと、液晶駆動基板とカラーフィルタとの間に配置されたスペーサと、を備え、スペーサは単一スペーサを複数結合してなる結合スペーサである。
【0027】
このような液晶表示装置は、結合スペーサを有するので、スペーサが移動しにくく、さらに、局部加圧によるスペーサのつぶれも起り難くなる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、予め定められた複数個の単一スペーサを基板上の各場所に配置でき、優れた液晶表示装置が実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係るスペーサの配置方法及び液晶表示装置の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面においては、寸法比率は説明のものとは必ずしも一致していない。
【0030】
(第1実施形態)
本発明においては、複数の単一スペーサを結合してなる結合スペーサを作成し、結合スペーサを含有するスペーサ含有液をヘッドの開口から液滴として吐出してカラーフィルタ上に付着させ、液滴を乾燥させ、その後、カラーフィルタ上にTFT基板を載せる。以下、詳細に説明する。
【0031】
(結合スペーサ作成工程)
まず、図1の(a)に示すように、単一スペーサ220を用意する。単一スペーサ220の材料は特に限定されないが、例えば、シリカ等の珪素酸化物粒子や、シリコン変性ポリマー等のプラスチック粒子等を使用できる。また、単一スペーサ220の粒径も特に限定されず、例えば、粒径1〜7μm程度とすることができる。
【0032】
なお、単一スペーサ220の表面がポリマー等の樹脂により形成されている、又は、単一スペーサの表面に、TFT基板表面に形成され液晶を配向させる配向膜や、カラーフィルタ(特に配向膜)に対して結合可能な官能基、例えば、エポキシ基、グリシジル基、オキセタン基、酸無水物基、ラクトン基、アミド基、カルボキシル基等が結合されているとカラーフィルタとの固着力を強くできて好ましい。
【0033】
例えば、単一スペーサ220の表面が樹脂により形成されていると、後述する乾燥時の熱等により単一スペーサとカラーフィルタやTFT基板表面の配向膜との固着性をより高められる。樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び、光の照射により硬化する樹脂、例えば、可視光線硬化樹脂、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化樹脂等が挙げられる。ここで、単一スペーサ全体が樹脂から形成されていても、表層のみが樹脂から形成されていてもよい。また、単一スペーサの表面に上述の官能基がついていても、官能基とカラーフィルタやTFT基板表面の配向膜との化学的結合等により単一スペーサ220とカラーフィルタやTFT基板表面の配向膜との固着性を高められる。さらに、光の照射により硬化する樹脂の場合には、当該光の照射によりカラーフィルタやTFT基板表面の配向膜と固着させることも可能である。
【0034】
続いて、複数の単一スペーサ220を結合して図1の(b)〜(f)に示すように、結合スペーサ230を作成する。結合スペーサ230が含む単一スペーサ220の個数は、複数であれば良く、例えば、2個、3個、4個、6個等である。
【0035】
結合スペーサ230の製造方法は特に限定されないが、公知の造粒方法が使用できる。具体的には、例えば、皿型造粒機や、流動層造粒コーティング装置、スプレードライヤーを応用した造粒装置等を用いることができる。また、液中に分散剤を溶解させ、固着用の樹脂(溶解させてもスペーサより小さく分散させてもよい)とスペーサ(スペーサに固着剤が化学的に処理されていてもよい)を分散させた後、溶液の溶解度パラメータを変化させ造粒してもよい。また、上記溶液を乾燥(凍結乾燥でもよい)させた後、粉砕し分級して大きさをそろえてもよい。
【0036】
特に、バインダを使用することにより、単一スペーサ220の材質を問わず結合スペーサ230を好適に形成することができる。バインダは特に限定されないが、特に、熱可塑性バインダを用いることが好ましい。熱可塑性バインダとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィンワックス、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂等、スペーサ含有液に対して殆ど(LCDの信頼性に影響を与えない程度)又は全く溶解しない樹脂等が挙げられる。また、このような樹脂に対して、熱を加えることにより粒子と反応するような官能基を付与したり、液晶の配向乱れを防止するような官能基を持たせてもよい。バインダ235により3つの単一スペーサ220同士を結合した結合スペーサ230の例を図1の(b)に示す。
【0037】
また、バインダを用いないで結合スペーサ230を形成することもできる。例えば、単一スペーサ220の表面が熱可塑性樹脂により形成されている場合には、これらの単一スペーサ220を加熱しながら攪拌する等によって単一スペーサ220の表面同士を直接結合させることができ、バインダを使用しないでも結合スペーサ230の生成が可能である。
【0038】
バインダ235を用いずに単一スペーサ220同士を結合してなる結合スペーサ230の例を図1の(c)〜(f)に示す。図1の(b)及び(d)は3個の単一スペーサ220を結合した結合スペーサ230、図1の(c)は2個の単一スペーサ220を結合した結合スペーサ230、図1の(e)は4個の単一スペーサ220を結合した結合スペーサ230、図1の(f)は6個の単一スペーサ220を結合した結合スペーサ230の一例である。
【0039】
ここで、上述の如き造粒方法により形成した結合スペーサ230の集合物において、各結合スペーサ230が有する単一スペーサ220の数はそれほど均一にはならないので、造粒後の結合スペーサ230の集合物を分級することが好ましい。分級方法は特に限定されないが、例えば、液中でのマルチサイクロンや静置等の比重差による造粒粒子の沈降を利用した分級方法や、ハイドロダイナミッククロマトグラフィーなどを利用した分級方法、メッシュ、篩、メンブラン等を利用した分級方法が挙げられ、これにより、所定の複数個の単一スペーサ220を結合してなる結合スペーサ230を高い割合で含む結合スペーサ230の集合物を得ることができる。
【0040】
具体的には、例えば、個数基準において、全結合スペーサ230中に、予め定められた複数個の単一スペーサ220を結合してなる結合スペーサ230が90%以上、好ましくは95%以上含むようなシャープな分布を示す結合スペーサ230の集合物を作成することが好ましい。
【0041】
そして、このようにして得られた結合スペーサ230の集合物を、スペーサキャリア液中に分散させ、結合スペーサ230が分散したスペーサ含有液を得る。ここでは、結合スペーサ230をあたかも1つの粒子として液中に分散させる。なお、スペーサ含有液中における結合スペーサ230の濃度は、ヘッド容器の開口(詳しくは後述)から吐出される液滴の体積V中に概ね1つの結合スペーサ230が含まれるような濃度に調節する。本実施形態では、図1の(d)の如き3つのスペーサが結合した結合スペーサを含むスペーサ含有液を使った場合について説明する。
【0042】
なお、結合スペーサ230が分散されるスペーサキャリア液11としては、例えば、水とIPAの混合液等が利用できる。また、必要に応じて分散剤を用いることもできる。
【0043】
(配置工程)
続いて、図2に示すようなスペーサ配置装置1を用いて、スペーサ含有液12から液滴200を形成し、この液滴をカラーフィルタ100の表面に付着させる。
【0044】
まず、スペーサ配置装置1及びカラーフィルタ100の実施例について説明する。
【0045】
(スペーサ配置装置)
このスペーサ配置装置1は、ヘッド装置41から上方のカラーフィルタ100に対してスペーサ含有液をそれぞれ噴射して、カラーフィルタ100の下面にスペーサ含有液の液滴を付着させる装置である。
【0046】
スペーサ配置装置1は、主として、スペーサ含有液12を攪拌する攪拌槽20と、攪拌槽20内から供給されるスペーサ含有液12を上方のカラーフィルタ100に向けて液滴200として噴射するヘッド装置41と、カラーフィルタ100をヘッド装置41の上方で移動させる基板移動ユニット80と、ヘッド装置41や基板移動ユニット80等を制御するコントローラ90と、を主として備えている。
【0047】
ヘッド装置41は、カラーフィルタ100の幅方向に延在した箱状をなすヘッド容器42を有している。ヘッド容器42の上面には開口37が所定のピッチ37Pで多数一列に並んで形成されている。開口37の配列方向はカラーフィルタの幅方向と平行であり、カラーフィルタの移動方向と垂直である。
【0048】
ここで、開口37の径は、例えば、10〜50μm程度とすることができる。また、開口37のピッチ37Pは、例えば、100μm程度とすることができる。
【0049】
ヘッド容器42内には上から順にハンマー52及びピエゾ素子54が設けられている。ピエゾ素子54の底部はヘッド容器42の底部に固定されている。また、ピエゾ素子54は、コントローラ90に接続されており、コントローラ90からの信号に応じて上下に伸縮する。ハンマー52はピエゾ素子54上に固定されている。ハンマー52の上面は各開口37に対して下から対向すると共に各開口37に対して所定間隔離間している。
【0050】
そして、ピエゾ素子54が、コントローラ90からの信号により上方に伸びると、ハンマー52が上方に動く。したがって、開口37近傍のスペーサ含有液12がハンマー52の上端面52dによって開口37から押し出され、上方に向かってスペーサ含有液12の液滴200が噴射される。
【0051】
攪拌槽20はモータ17aにより回転する攪拌翼17を備え、前述の結合スペーサ230が分散しているスペーサ含有液12を攪拌して結合スペーサ230をスペーサキャリア液11中に分散させる。なお、攪拌強度は、結合スペーサ230の結合が破壊されないような強度とする。
【0052】
ヘッド容器42の一端はラインL1により攪拌槽20と接続されている。また、ヘッド容器42の他端は、循環ポンプ70を備えるラインL2により攪拌槽20と接続されている。循環ポンプ70は、ヘッド容器42内のスペーサ含有液を吸引し攪拌槽20内に排出する。これに対応して、攪拌槽20内のスペーサ含有液12がラインL1を介してヘッド容器42内に供給される。
【0053】
基板移動ユニット80は、基板吸引部82と基板移動部84とを有している。基板吸引部82は、ヘッド装置41の上方でカラーフィルタ100を静電気や減圧等によって吸引してカラーフィルタ100を支持する。ここでは、カラーフィルタ100の上膜160(詳しくは後述)の窪み部160aが下向きかつ開口37の配列方向と平行となるように基板吸引部82がカラーフィルタ100を支持する。
【0054】
また、基板移動部84は、カラーフィルタ100を吸引した基板吸引部82をカラーフィルタ移動方向、すなわち、カラーフィルタの幅方向と直交する方向に水平に移動させる。すなわち、カラーフィルタ100とヘッド装置41の開口37とは、カラーフィルタ100の表面に沿って、相対的に移動することとなる。また、基板移動部84は、カラーフィルタ100をカラーフィルタの幅方向にも所定距離動かせるようになっており、カラーフィルタ100のアラインメントが可能となっている。基板移動部84としては、カラーフィルタ100を高精度に移動可能なリニアモータ式のものが好ましい。
【0055】
コントローラ90は、予め定められたプログラムに基づいて処理を行うコンピュータ装置であり、基板移動ユニット80、ピエゾ素子54、循環ポンプ70、及び、モータ17aに接続され、これらの駆動を制御する。
【0056】
(カラーフィルタ)
続いて、液滴が付着されるべき基板としてのカラーフィルタの一例について図3を参照して説明する。液滴200が配置されるべきカラーフィルタ100は、透明基板110、ブラックマトリクス120、赤色着色部130R、緑色着色部130G、青色着色部130B、上膜160を備えている。
【0057】
透明基板110は、ガラス等から形成された透明な平板である。
【0058】
ブラックマトリクス120は、可視光を遮光する材料からなる膜である。ブラックマトリクス120の材料としては、例えば、クロム、クロム/酸化クロム等の金属系材料や、樹脂材料等が挙げられる。このブラックマトリクス120は格子形状又はストライプ形状をなし、多数の開口120pを形成している。ブラックマトリクスの幅120Wは、例えば、5〜30μm程度とすることができる。また、ブラックマトリクスの高さ120Hは、例えば0.1〜2μm程度とすることができる。
【0059】
赤色着色部130R、緑色着色部130G、青色着色部130Bは、それぞれ、ブラックマトリクス120の各開口120p内に順に配置されている。赤色着色部130R、緑色着色部130G、青色着色部130Bは、それぞれ、各色の可視光を選択的に透過可能な透明着色材料からなり、例えば、透明着色樹脂を使用できる。各着色部130R,130G,130Bの幅130Wは、例えば、5〜100μmとすることができる。各着色部130R,130G,130Bの高さ130Hは、例えば、1〜2μmとすることができる。
【0060】
ここで、各着色部130R,130G,130Bの高さ130Hは、ブラックマトリクス120の高さ120Hよりも十分に高くされている。
【0061】
そして、これらの各着色部130R,130G,130B及びブラックマトリクス120上に亘って上膜160が形成されている。この上膜160は、透明基板110側から順に、必要に応じて設けられる透明平坦化膜(不図示)、透明電極膜140、及び配向膜150等を有する積層体である。
【0062】
透明電極膜140は、液晶ディスプレイ駆動用の液晶駆動基板の画素電極(詳しくは後述)に対向配置されるべき共通電極であり、ITO等の透明な導電材料により形成される。透明電極膜140の厚みは、例えば、約0.1μm程度である。
【0063】
配向膜150は、液晶を所望の方向に配向させるものであり、例えば、ポリイミド等の樹脂材料等により形成できる。配向膜150の厚みは、例えば、約0.1μm程度である。
【0064】
そして、ブラックマトリクス120の上面と、各着色部130R,130G,130Bの上面と、の段差に対応して、カラーフィルタ100の表面、すなわち、上膜160の表面においては、ブラックマトリクス120上に窪み部160aが形成されている。ブラックマトリクス120は格子状又はストライプ状であり、この窪み部160aは、ブラックマトリクス120に沿う溝形状となっている。また、各着色部130R,130G,130Bのブラックマトリクス120側の端部はそれぞれ盛り上がっている。
【0065】
このようなカラーフィルタ100は、例えば、透明基板110上に、フォトリソグラフィー法等によってブラックマトリクス120を形成した後、ブラックマトリクス120の開口120pに、フォトリソグラフィー法等によって順次各着色部130R,130G,130Bをブラックマトリクス120よりもそれぞれ高くなるように形成し、その後、ブラックマトリクス120及び各着色部130R,130G,130B上にスパッタリング法や蒸着法等によって所定の厚みの透明電極膜140を形成し、透明電極膜140の上にさらにポリイミド樹脂等の配向膜材料を所定の厚み塗布して固化し、その表面をラビングして配向膜150とすることにより容易に得られる。
【0066】
(液滴吐出及び付着)
続いて、液滴の吐出及び付着工程について説明する。本実施形態では、図2に示すように、カラーフィルタ100をカラーフィルタ移動方向に移動させつつ、ヘッド容器42の各開口37から液滴200を繰り返し吐出し、複数の液滴200からなる行(ライン)を基板表面に繰り返し付着(図3参照)させることにより、図4及び図5に示すように、カラーフィルタ100の表面に複数の液滴200をマトリクス状に付着させる。
【0067】
ここでは、基板移動ユニット80及びピエゾ素子54を制御することにより、上膜160の表面のうちの窪み部160a上に液滴200が付着するようにカラーフィルタ100の移動を制御する。各窪み部160a上における液滴200のピッチ37Pは、ヘッド容器42の開口37のピッチ37Pに対応する。
【0068】
カラーフィルタ100上における液滴200の径は、例えば、50〜100μm程度とすることができる。したがって、液滴200の体積Vは、例えば、10〜100pL程度となる。ここで、前述のとおり、ヘッド容器42内のスペーサ含有液12中の結合スペーサ230の濃度は、液滴200の体積V中に結合スペーサ230が概ね1つ、例えば、0.9〜1.1個程度含まれる濃度とされている。したがって、ヘッド容器42の開口37から吐出される液滴200の殆どには、図3〜図5に示すように、結合スペーサ230を1つのみ含んでいる。
【0069】
そして、各結合スペーサ230は、所望の複数個の単一スペーサ220を結合したものであるため、所定の複数個の単一スペーサ220がカラーフィルタ上の所望の場所に配置されることとなる。
【0070】
ここで、液滴200中に結合スペーサが概ね1つ含まれることについて図6を参照して詳しく説明する。図6は、スペーサ含有液12中に結合スペーサ230を単一粒子として分散させ、この結合スペーサ230の濃度を、A:液滴の体積V中に約1個、及び、B:液滴の体積V中に約3個となるように設定した場合に、それぞれ、実際に吐出される1つの液滴200中に含まれる結合スペーサ230の個数の頻度分布を示すグラフの一例である。また、このグラフは、スペーサ含有液12中に単一スペーサ220を単一粒子として分散させ、この単一スペーサ220の濃度を、A:液滴の体積V中に約1個、及び、B:液滴の体積V中に約3個となるように設定した場合に、それぞれ、実際に吐出される1つの液滴200中に含まれる単一スペーサ220の個数の頻度分布を示すグラフでもある。
【0071】
従来のようにスペーサ含有液12中に単一スペーサ220を単一粒子として分散させた場合には、図6のBのように、スペーサ含有液12中の単一スペーサ220の濃度を、液滴の体積V中に3個の単一スペーサ220が含まれる濃度に設定しても、液滴200中の単一スペーサ220の個数の頻度分布はブロードになってしまい、液滴200中の単一スペーサ220の数は大きくばらつきやすくなる。
【0072】
ところが、本実施形態のように、予め定められた複数個の単一スペーサ220を結合してなる結合スペーサ230を単一粒子としてスペーサ含有液12に分散させた場合には、この結合スペーサ230があたかも1つの粒子として振舞う。そして、スペーサ含有液12中における結合スペーサ230の濃度を、液滴の体積V中に結合スペーサ230が概ね1つ含まれる濃度に設定すると、図6のAに示すように、吐出される液滴200中にかなりの確率で結合スペーサ230を1つのみ含有させることができる。これは、スペーサ含有液12中に単一スペーサ220を単一粒子として分散させ、単一スペーサ220の濃度を液滴の体積V中に単一スペーサ220が1つ含有する濃度に設定すると、比較的高精度に液滴200中に1つの単一スペーサ220が含まれるようになることと共通する。
【0073】
したがって、本実施形態によれば、所定の複数個の単一スペーサ220を含む液滴200をカラーフィルタ100上の各場所に配置できる。
【0074】
(固着工程)
続いて、このような液滴200中の結合スペーサ230をカラーフィルタ100に固着させる。固着方法は特に限定されず、例えば、赤外線ランプ等による加熱や、送風等による乾燥法が挙げられる。液滴200を乾燥させると、図7に示すように、液滴200中の結合スペーサ230がカラーフィルタ100上に固着する。このときに、通常、結合スペーサ230の各単一スペーサ220間の結合はほとんど破壊されない。
【0075】
ここで、図4に点線で示すように、意図しない場所に液滴200Aが付着してしまった場合等に、意図しない場所へ結合スペーサ230Aが固着することを防止すべく、図8に示すように、窪み部160aやブラックマトリクス120に対応する部分が開口OPとされたマスクMを介してカラーフィルタ100に対して赤外線を照射すると好ましい。そうすると、図9に示すように、開口OPに対応する部分上の液体が乾燥し当該場所において選択的に結合スペーサ230が固着する一方、赤外線が照射されない液滴200Aは乾燥しないので、カラーフィルタ100における意図したところ以外に結合スペーサ230Aが固着することを極めて効率よく抑制できる。この場合、所望の結合スペーサ230を固着させた後に、図10に示すように、カラーフィルタの表面にノズル480から液体、例えば、スペーサ含有液の溶媒等を流下させると、固着しなかった結合スペーサ230Aのみをカラーフィルタ上から除去することができる。なお、ガス等により吹き飛ばすことや、液中に浸漬することにより、未固着の結合スペーサ230Aを除去してもよい。
【0076】
なお、乾燥により固着させる過程において、液滴200が上向きの様態で行っても下向きの状態で行っても、最終的に、結合スペーサ230の各単一スペーサ220がカラーフィルタ100に接触することとなる。本実施形態では、特に、3つの単一スペーサを結合した結合スペーサ230を用いており、通常、乾燥後に、結合スペーサ230のいずれの単一スペーサ220ともカラーフィルタ100の表面に接触する、すなわち、固着時には、結合スペーサ230の高さは単一スペーサ220の高さと同じとなる。
【0077】
また、乾燥以外の方法により結合スペーサを固着させることもできる。たとえば、結合スペーサ230の表面が光の照射により硬化する樹脂、例えば、可視光線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、赤外線硬化樹脂等である場合には、液滴200中の結合スペーサ230がカラーフィルタ100の表面に接触した状態で、当該樹脂を硬化させる光を照射することにより、結合スペーサ230をカラーフィルタ10上に固着できる。この場合は、乾燥は必ずしも必要はない。また、意図しないところへ結合スペーサ230Aが固着することを抑制すべく、マスクMを介して光を照射することが好ましい。また、未固着の結合スペーサ230Aは前述のようにして除去すればよい。
【0078】
なお、硬化による固着と同時、又は、硬化による固着の後に、マスクMを介してカラーフィルタ100に対して赤外線を照射し、結合スペーサ230G周りの液体を乾燥させて結合スペーサ230Gとカラーフィルタ100との固着力を増加させることも可能である。
【0079】
(駆動基板の重ね工程)
つづいて、図11に示すように、カラーフィルタ100上に、結合スペーサ230を介して画素電極402(例えばTFT素子等)を有する液晶駆動基板400を載せる。液晶駆動基板400は、ガラス基板401上に、画素電極402や配向膜403等を設けたものである。
【0080】
そして、カラーフィルタ100液晶駆動基板400との間が、従来のように、1つの単一スペーサ220によるのではなく、より精度良く数がコントロールされた複数の単一スペーサ220の集合体である結合スペーサ230によりそれぞれ支持されることになるので、パネルGAPが均一になり表示がきれいになる。また、集合体であるため、スペーサが移動しにくくなり、また、局部加圧によりスペーサがつぶれることも起りにくい。
【0081】
この後、液晶駆動基板400とカラーフィルタ100との間に液晶を充填すれば液晶表示装置300が完成する。なお、カラーフィルタ100上に液晶駆動基板400を載せる前にカラーフィルタ100上に液晶を滴下してもよい。
【0082】
上述のように、本実施形態によれば、複数の単一スペーサ220を結合してなる結合スペーサ230を含むスペーサ含有液12を用いているので、スペーサ含有液12においては、結合スペーサ230がそれぞれあたかも1つの粒子として振舞う。そして、スペーサ含有液12中における結合スペーサ230の濃度を調整することにより、吐出される液滴200中におおむね1つの結合スペーサ230を含有させることが容易である。したがって、従来に比して、高精度に、所定の複数個の単一スペーサ220がカラーフィルタの所望の場所に配置される。
【0083】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態について説明する。本実施形態では、図1における(e)のように4つの結合スペーサが立体的に結合した結合スペーサ230を用いる。この場合、上述のような液滴の付着及び乾燥後に、図12に示すような状態となる。そして、その後、カラーフィルタ100上にカラーフィルタ100を重ね、カラーフィルタ100と液晶駆動基板400とで結合スペーサ230を挟むことにより結合スペーサ230に対して所定の応力を与え、結合スペーサ230の各単一スペーサ220間の結合を解除させて、結合スペーサ230を構成していた各単一スペーサ220を1層に再配列させる。これにより、図11のように、カラーフィルタ100と液晶駆動基板400との距離が単一スペーサ220の高さによって規定されることとなる。
【0084】
ここで、結合スペーサ230が、単一スペーサ220同士を熱可塑性のバインダ235を介して結合したものである場合や、各単一スペーサ220の表面が熱可塑性樹脂により形成されており、結合スペーサ230が単一スペーサ220の表面同士を加熱により直接結合させたものである場合には、この重ね工程において赤外線ランプ等により結合スペーサ230を加熱することにより、比較的弱い応力で、単一スペーサ220を容易に再配列させることができ、また、再配列した状態で熱可塑性樹脂により再び単一スペーサ220を結合させて再配列した結合スペーサとすることができる。
【0085】
(第3実施形態)
続いて、本発明に係る第3実施形態について説明する。第3実施形態では、図13に示すように、第1実施形態及び第2実施形態のようなスペーサ配置装置1でなく、液滴噴霧ノズル202を有する噴霧装置2を用いてカラーフィルタ100上に多数の液滴200を噴霧により付着させる。
【0086】
液滴噴霧ノズル202としては、例えば、2流体ノズル等を利用できる。この液滴噴霧ノズル202には、ラインL20を介してブロア204が接続されていると共に、ラインL22を介してポンプ206及び第1実施形態と同様の攪拌槽20が接続されている。そして、ポンプ206によりスペーサ含有液12が液滴噴霧ノズル202に供給されると共に、ブロア204によりエアーが液滴噴霧ノズル202に供給され、液滴噴霧ノズル202からスペーサ含有液の液滴200が多数形成される。この多数の液滴200は、液滴噴霧ノズル202に対向して配置されるカラーフィルタ100の表面に付着する。なお、液滴噴霧ノズル202のオリフィス径、スペーサ含有液やエアーの圧力等の噴霧条件は、液滴の径が所望の大きさとなるように設定される。なお、各液滴200は、それぞれ結合スペーサ230を好ましくは1個含んでいる。
【0087】
このような噴霧法では、カラーフィルタ100上における液滴200の付着位置を第1実施形態のように制御することは困難であり、図14に示すように、結合スペーサ230を含む液滴200はカラーフィルタ100上にほぼランダムに配置されることとなる。そして、液滴200中の結合スペーサ230は、ブラックマトリクス120上に配置される結合スペーサ230Gと、ブラックマトリクス120以外の部分の上に配置される結合スペーサ230Hとに区別される。
【0088】
続いて、図8に示すようなマスクM、すなわち、カラーフィルタ100のブラックマトリクス120の部分に対応する部分が開口OPとされ、他の部分が遮光部とされたストライプ状のマスクMを介してカラーフィルタ100のブラックマトリクス120に対して光を照射する。そうすると、ブラックマトリクス120上にある結合スペーサ230Gがブラックマトリクス120上に固着する一方、ブラックマトリクス120以外の部分には光が照射されないので、ブラックマトリクス120以外の部分の上にある結合スペーサ230Hはカラーフィルタ100と固着しない。
【0089】
固着方法としては、第1実施形態の如く、例えば、赤外線により液体を乾燥させる方法や、結合スペーサを硬化させる光を照射する等の方法が挙げられる。
【0090】
そして、ブラックマトリクス120上の結合スペーサ230Gをカラーフィルタに固着させた後に、第1実施形態等と同様に、流水等により未固着結合スペーサ230Hをカラーフィルタ表面から除去すれば、図15に示すように、ブラックマトリクス120上に選択的に結合スペーサ230Gを配置することができる。
【0091】
その後、第1実施形態又は第2実施形態と同様に重ね工程を行えばよい。
【0092】
(第4実施形態)
本実施形態では、図16及び図17に示すように、液滴200でなく、スペーサ含有液12の液膜210をカラーフィルタ100上に付着させる。具体的には、公知の種々の塗布装置を用いてスペーサ含有液12の液膜210をカラーフィルタ100上に形成できる。例えば、図16に示すダイコータ3等を用いて、液膜210の形成が可能である。また、第3実施形態のようなスプレーノズルによる液滴の噴霧を十分長時間行うことによっても液膜210の形成は可能である。
【0093】
このような液膜210を形成すると、図16及び図17に示すように、液膜210中において、結合スペーサ230はカラーフィルタ100上にほぼランダムに配置される。ここで、ブラックマトリクス120上に配置された結合スペーサを230Gとし、ブラックマトリクス120以外の部分の上に配置された結合スペーサを230Hとする。
【0094】
その後、第3実施形態と同様に、マスクMを介して光を照射すればよい。赤外線によりブラックマトリクス120上の結合スペーサ230G周りの液体を乾燥させることにより結合スペーサ230Gをカラーフィルタ100に固着させても良く、また、光により結合スペーサ230Gの表面を硬化させて結合スペーサ230Gとカラーフィルタ100とを固着させてもよい。そして、固着後に、未固着の結合スペーサ230Hを洗浄等により除去すればよい。これにより、図15のように、ブラックマトリクス120上に選択的に結合スペーサ230が配置されることとなる。 その後、第1実施形態又は第2実施形態と同様に重ね工程を行えばよい。
【0095】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず様々な変形態様が可能である。例えば、各結合スペーサ230が有する単一スペーサ220の個数は複数であれば特に制限は無く、2個でも良いし、また、開口37からの吐出に支障が無ければ数十個等でも良い。
【0096】
また、上記実施形態では、ヘッド容器42の開口37から液滴200を上向きに吐出しているが、下向きや横向きに吐出してもよい。
【0097】
また、マスクMの開口OPの幅と、結合スペーサ230を配置させたい場所(例えば、ブラックマトリクス)の幅との関係は、概ね同等の関係とすればよく、光の種類(紫外線/可視光線/赤外線:種類によって直線性が異なる)、マスクとカラーフィルタとの距離、カラーフィルタの凹凸の程度、光源からカラーフィルタまで光がどのように到達するか(平行光か収束光か)等の性質に応じて、開口OPの幅OPW(図8参照)と、スペーサを配置させたい場所の幅(例えば、図3の120W)との関係は任意好適に設定できる。通常は、(開口の幅)≦(スペーサを配置させたい場所の幅)とすればよい。
【0098】
また、カラーフィルタ以外の製造の際、例えば、TFT基板、また、球状スペーサによるセルギャップを必要とする液晶表示素子、さらにはギャップ制御を必要とするマルチモード光導波路やコネクターなどの光学デバイスなどを製造する際に、基板等に対してスペーサを配置するのに上記各実施形態の方法を用いることももちろん可能である。
【産業上の利用可能性】
【0099】
このように、本発明によれば、所望の複数個の単一スペーサを基板上に配置できるので、より高機能の液晶ディスプレイ等の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1は、単一スペーサ、及び単一スペーサを結合してなる結合スペーサを説明する模式図である。
【図2】図2は、本実施形態で使用するスペーサ散布装置の一例の概略構成図である。
【図3】図3は、本実施形態で使用するカラーフィルタの一例の断面図である。
【図4】図4は、カラーフィルタ上に液滴が散布された状態を示す上面図である。
【図5】図5は、図4のV−V矢視図である。
【図6】図6は、スペーサ含有液中の単一スペーサ又は結合スペーサの濃度が、A:液滴体積中に約一個、及び、B:液滴体積中に約3個とした場合に、実際に1つの液滴中に含まれる単一スペーサ又は結合スペーサの個数の頻度分布を示すグラフである。
【図7】図7は、図4のカラーフィルタの液滴を乾燥させた状態を示す断面図である。
【図8】図8は、開口OPを有するマスクMを示す上面図である。
【図9】図9は、図4のカラーフィルタに対してマスクMを介して光を照射することにより乾燥させた後の状態を示す矢視図であり、その場所は図4のVIII−VIII面に対応する。
【図10】図10は、図9の状態のカラーフィルタ上から未固着の結合スペーサを除去する状態を示す断面図である。
【図11】図11は、カラーフィルタ上に液晶駆動基板を載置舌状態を示す断面図である。
【図12】図12は、カラーフィルタ上に4個の単一スペーサを結合した結合スペーサを固着させた状態を示す断面図である。
【図13】図13は、第3実施形態に係るスペーサ含有液滴散布方法を示す概念図である。
【図14】図14は、カラーフィルタ上に液滴が付着した状態を示す平面図である。
【図15】図15は、ブラックマトリクス上に選択的に結合スペーサが固着した状態を示す平面図である。
【図16】図16は、第4実施形態に係るスペーサ含有液膜形成方法を示す概念断面図である。
【図17】図17は、カラーフィルタ上に液膜が付着した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0101】
12…スペーサ含有液、37…開口、42…ヘッド容器、100…カラーフィルタ(基板)、200…液滴(スペーサ含有液)、202…画素電極、210…液膜(スペーサ含有液)、220…単一スペーサ、230…結合スペーサ、300…液晶表示装置、400…液晶駆動基板(他の基板)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単一スペーサを予め結合してなる結合スペーサを含むスペーサ含有液を基板上に付着させる付着工程と、
前記付着したスペーサ含有液中の結合スペーサを前記基板に固着させる固着工程と、を備えるスペーサの配置方法。
【請求項2】
前記付着工程では、前記スペーサ含有液の液滴を形成し、当該液滴を前記基板上に付着させる請求項1に記載のスペーサの配置方法。
【請求項3】
前記付着工程では、前記基板に対して相対的に移動可能なヘッド容器の開口から前記基板に向かって前記液滴を吐出する請求項2に記載のスペーサの配置方法。
【請求項4】
前記付着工程では、前記基板に対して前記スペーサ含有液の液滴を噴霧する請求項2に記載のスペーサの配置方法。
【請求項5】
前記付着工程では、前記スペーサ含有液の液膜を前記基板上に形成する請求項1に記載のスペーサの配置方法。
【請求項6】
前記固着工程では前記スペーサ含有液を乾燥させる請求項1〜5のいずれかに記載のスペーサの配置方法。
【請求項7】
前記結合スペーサの表面が樹脂により形成されている、又は、前記結合スペーサの表面に基板と結合可能な官能基が結合されている請求項6に記載のスペーサ配置方法。
【請求項8】
前記結合スペーサの表面が光の照射により硬化する樹脂により形成されており、
前記固着工程では、前記スペーサ含有液中の結合スペーサを前記基板の表面と接触させた状態で、前記結合スペーサに対して前記光を照射する請求項1〜5のいずれかに記載のスペーサ配置方法。
【請求項9】
前記固着工程では、前記基板の一部のみにマスクを介して光を照射することにより前記基板の一部の上に存在するスペーサ含有液中の結合スペーサを前記基板に固着させる請求項1〜8のいずれかに記載のスペーサの配置方法。
【請求項10】
前記結合スペーサは、前記単一スペーサ同士を熱可塑性のバインダにより予め結合したものである請求項1〜9のいずれかに記載のスペーサの配置方法。
【請求項11】
前記各単一スペーサの表面は熱可塑性樹脂により形成されており、前記結合スペーサは、前記単一スペーサの表面同士を予め加熱により直接結合させたものである請求項1〜10のいずれかに記載のスペーサの配置方法。
【請求項12】
前記固着工程の後に、前記基板上に前記結合スペーサを介して他の基板を重ねる、重ね工程をさらに備え、
前記重ね工程において前記結合スペーサを加熱する請求項10又は11に記載のスペーサの配置方法。
【請求項13】
画素電極を有する液晶駆動基板と、前記液晶駆動基板と対向配置されたカラーフィルタと、前記液晶駆動基板と前記カラーフィルタとの間に配置されたスペーサと、を備え、
前記スペーサは単一スペーサを複数結合してなる結合スペーサである液晶表示装置。
【請求項1】
複数の単一スペーサを予め結合してなる結合スペーサを含むスペーサ含有液を基板上に付着させる付着工程と、
前記付着したスペーサ含有液中の結合スペーサを前記基板に固着させる固着工程と、を備えるスペーサの配置方法。
【請求項2】
前記付着工程では、前記スペーサ含有液の液滴を形成し、当該液滴を前記基板上に付着させる請求項1に記載のスペーサの配置方法。
【請求項3】
前記付着工程では、前記基板に対して相対的に移動可能なヘッド容器の開口から前記基板に向かって前記液滴を吐出する請求項2に記載のスペーサの配置方法。
【請求項4】
前記付着工程では、前記基板に対して前記スペーサ含有液の液滴を噴霧する請求項2に記載のスペーサの配置方法。
【請求項5】
前記付着工程では、前記スペーサ含有液の液膜を前記基板上に形成する請求項1に記載のスペーサの配置方法。
【請求項6】
前記固着工程では前記スペーサ含有液を乾燥させる請求項1〜5のいずれかに記載のスペーサの配置方法。
【請求項7】
前記結合スペーサの表面が樹脂により形成されている、又は、前記結合スペーサの表面に基板と結合可能な官能基が結合されている請求項6に記載のスペーサ配置方法。
【請求項8】
前記結合スペーサの表面が光の照射により硬化する樹脂により形成されており、
前記固着工程では、前記スペーサ含有液中の結合スペーサを前記基板の表面と接触させた状態で、前記結合スペーサに対して前記光を照射する請求項1〜5のいずれかに記載のスペーサ配置方法。
【請求項9】
前記固着工程では、前記基板の一部のみにマスクを介して光を照射することにより前記基板の一部の上に存在するスペーサ含有液中の結合スペーサを前記基板に固着させる請求項1〜8のいずれかに記載のスペーサの配置方法。
【請求項10】
前記結合スペーサは、前記単一スペーサ同士を熱可塑性のバインダにより予め結合したものである請求項1〜9のいずれかに記載のスペーサの配置方法。
【請求項11】
前記各単一スペーサの表面は熱可塑性樹脂により形成されており、前記結合スペーサは、前記単一スペーサの表面同士を予め加熱により直接結合させたものである請求項1〜10のいずれかに記載のスペーサの配置方法。
【請求項12】
前記固着工程の後に、前記基板上に前記結合スペーサを介して他の基板を重ねる、重ね工程をさらに備え、
前記重ね工程において前記結合スペーサを加熱する請求項10又は11に記載のスペーサの配置方法。
【請求項13】
画素電極を有する液晶駆動基板と、前記液晶駆動基板と対向配置されたカラーフィルタと、前記液晶駆動基板と前記カラーフィルタとの間に配置されたスペーサと、を備え、
前記スペーサは単一スペーサを複数結合してなる結合スペーサである液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−156182(P2007−156182A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352490(P2005−352490)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000214272)長瀬産業株式会社 (137)
【出願人】(392007566)ナトコ株式会社 (42)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000214272)長瀬産業株式会社 (137)
【出願人】(392007566)ナトコ株式会社 (42)
【Fターム(参考)】
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