説明

スポットカラー補正方法

【課題】 プリンタなどの画像出力装置でスポットカラー補正を行う際に、補正テーブルの更新が必要かどうかわからないユーザであっても、手軽に補正テーブルの更新が行えるようにする。
【解決手段】 スポットカラー補正テーブルの有効条件(有効期限や目標色との最大色差など)をあらかじめフロントエンドサーバに格納しておき、テーブルの更新が必要かどうかをチェックさせる。必要と判断されれば、自動的にテーブルの更新処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラープリンタに出力する際に、ある特定の色に対して安定した出力を得るために行うキャリブレーションまたはプリンタプロファイルの調整技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラープリンタを使ってある目標色を忠実に再現する技術として、スポットカラーマッチング技術などがある。これは、初期状態でプリンタプロファイルが適切に調整されていることが前提で成り立つ技術であり、プリンタの状態が環境変動などの影響を受けると、安定した出力が得られないことがある。その解決案として、プリンタプロファイルの再作成が考えられるが、これはプリンタの色再現空間全体に対して最適化したプロファイルを生成するものであるため、その作業の手間と時間がかかることが問題となる。
【0003】
そこで、初期プロファイルにおいてデバイス非依存色空間からプリンタ色再現空間への対応関係で目標色の変換に影響する部分を変更し、目標色に対して上記推定したプリンタ色が対応するようにプリンタプロファイルの調整を行うという手法が提案された。また、特開2006-174371において、プロファイルを書き換えずに別途テーブルを持たせることで、テーブルの更新履歴や色再現精度をユーザがチェックした上で、指定した場合にのみ補正結果を適用する手法が提案された。
【特許文献1】特開2006−174371号公報
【特許文献2】特開2001−324846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記提案では、スポットカラー補正を行う際には必ずユーザが更新履歴や精度をチェックしなければならず、プリンタの色再現に関する知識を持たないユーザにとって、補正データがどういう場合に有効なのか判断がしづらく、手軽に補正を行うことは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために、本発明は、
プリンタプロファイルを使ったカラーマッチングによりプリンタにカラー画像を出力させるシステムにおいて、
既存のプリンタプロファイルが存在する場合に、色票の色名等で表現された目標色を設定する手段と、
上記目標色と、上記目標色をプリンタプロファイルを用いて再現したデバイス色との差分をスポットカラー補正テーブルとして保持する手段と、
上記スポットカラー補正テーブルの上記目標色に該当する部分の履歴情報を保持する手段と、
プリンタの色再現に関する知識のあるユーザがあらかじめ設定した補正テーブルの有効条件を保持する手段と、
上記履歴情報とスポットカラー補正テーブルの有効条件を比較する手段と、
上記比較結果に応じた処理を行う手段と
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、スポットカラー補正テーブルが有効である条件をあらかじめ設定しておくことで、プリンタの色再現について詳しいユーザだけでなく、特別な知識を持たないユーザであっても手軽にスポットカラー補正を行うことできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明の実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
図1は本発明の一実施例によるネットワークシステムの構成を示す図である。
【0009】
図1のように、本実施例によるネットワークシステムは、LAN等のサイトAに、プリンタコントローラとなるフロントエンドサーバ1、プリンタエンジン2(フロントエンドサーバでネットワークに接続)、クライアントA(PCとモニタを含む)が接続され、構成されている。クライアントAは、ユーザに対して情報表示やデータ入力の受け付けをするUIが接続されており、また、画像処理に必要なCPU・VRAM等及びネットワーク上の通信に必要な通信機能を備えている。
【0010】
図2は前出のフロントエンドサーバ1、プリンタエンジン2の構成を示す図である。
【0011】
図2のように、フロントエンドサーバ1はネットワークに接続するためのネットワークI/F(インタフェース)部10、ジョブデータを制御するジョブ制御部11、PDL(ページ記述言語)を解析して中間データを生成するPDLインタプリタ部12、PDLインタプリタ部で生成された中間データが格納される中間データ格納部13、中間データ格納部に格納された中間データをビットマップイメージデータに変換するレンダリング部14、プリンタエンジン2とのデータのやり取りを行うための通信インタフェース部15、ユーザが設定するデバイス非依存色空間の色値である目標色を格納する目標色格納部16、目標色に対して生成される複数の色から構成されるカラーパッチチャートを生成するカラーパッチ生成部17、該カラーパッチを格納するカラーパッチデータ格納部17A、ジョブに対して指定されたカラーマッチング及びキャリブレーション処理を行うカラーマネージメント処理部18、カラーマッチングに使用されるプロファイルが格納されるプロファイル格納部18A、キャリブレーションデータのうち、一次元LUTが格納されるキャリブレーション一次元LUT(Look Up Table)格納部18B、デバイス非依存のカラーパッチデータをプリンタ色に変換したデバイス色パッチデータの保存場所であるデバイス色パッチデータ格納部19、現在の状態ではプリンタが目標色をどんな色で出力するかを、カラーセンサの測色結果を元に推測するデバイス色推定部20、該デバイス色を格納するデバイス色格納部20A、初期プリンタプロファイルを現在の状態に合わせるためのスポットカラー補正テーブルを生成・更新するスポットカラー補正テーブル調整部21、該スポットカラー補正テーブルを格納するスポットカラー補正テーブル格納部21A、スポットカラー補正テーブルが有効とされる条件データを格納するテーブル有効条件格納部21B、目標色をカラーセンサが読み取ったデータが格納される測色値格納部22から構成される。
【0012】
また、ジョブ制御部11は、ジョブをホールドする等の管理を行うジョブ管理部11A、ジョブ中のジョブチケットを解析するジョブ解析部11Bから構成されている。
【0013】
プリンタエンジン2は、フロントエンドサーバ1とデータをやりとりする通信I/F部23、出力部24、カラーセンサを制御するカラーセンサ制御部25、パッチ出力を読み取るカラーセンサ26、カラーセンサで読み取られたデータが格納される測色値格納部27から成る。
【0014】
図3は、画像データの処理の流れを示す図である。通常のカラーマネージメント処理においてRGBデータもしくはCMYKデータが入力されるとソースプロファイル、プリンタプロファイルを通してカラーマッチングされ、その後キャリブレーション一次元LUTに通され、補正されたCMYKデータとなって出力される。スポットカラー補正の結果を適用する場合は、スポットカラー補正テーブルの目標色の補正データとプリンタプロファイルの両方を参照して、該画像データを出力する。
【0015】
図4は、本発明で使用されるスポットカラー補正テーブルの一例である。色票毎にテーブルを分け、各テーブルはそれぞれ、色名、該当する色度、該色票色を出力する際の初期プリンタプロファイルとの差分値(デバイス色の補正値)、テーブル更新日時を項目として保持する。
【0016】
図5は、本発明の一実施例を説明するLab色空間の模式図である。目標色 (L1,a1,b1) に対してプリンタプロファイルのルックアップテーブル(Lab→CMYK)の目標色を囲む8点のグリッドを示している。変動前は初期プロファイルによるマッチング結果 (C1,M1,Y1,K1) で目標色 (L1,a1,b1) が再現できていた。プリンタの変動により目標色 (L1,a1,b1) を再現するためにマッチング結果が (C2,M2,Y2,K2) となるようにスポットカラー補正テーブルの調整を行う。
【0017】
図6は、本発明におけるクライアントAのUIの一例である。スポットカラー補正テーブルの有効条件を、本画面において入力することができる。ユーザはこの画面から、スポットカラー補正テーブルの有効期限と、スポットカラー補正テーブルを利用した際の測色値と目標色との最大色差ΔEを設定し、この条件を満たさない場合は自動的にスポットカラー補正テーブルの更新処理が行われる。
【0018】
図7は、テーブル有効条件格納部21Bに格納される、スポットカラー補正テーブルの有効条件データの一例である。スポットカラー補正テーブル調整部21は、この条件データを参照して、スポットカラー補正テーブルを更新するか判断する。
【0019】
図8は、本提案で使用されるカラーセンサの例である。特開2001−324846号公報の図8で示されたようなカラーセンサを使用してもよい。カラーセンサ28は、ホルダー28C内に、LEDなどの発光素子28A、およびフォトダイオード、CdSなどの受光素子28Bに組み込んで成っている。カラーセンサ28は、発光素子28Aから光を転写ベルト29上のパッチTに照射し、パッチTからの反射光を受光素子28Bで受け取ることにより、パッチTの色度を測定するものである。
【0020】
図9は、ジョブデータが、ジョブに対して処理を指示する内容が記述されているジョブチケットデータと、PDF、PS、TIFF、JPEG等の実際のデータであるジョブデータファイルから構成されていることを示している。
【0021】
図10は、ジョブチケットデータの一例を示している。ここでは、レイアウト情報には用紙サイズ設定情報、用紙種類の情報、ページオリエンテーション情報等が含まれる。またカラーマネージメント情報は、RGBとCMYKのソースプロファイル、プリンタプロファイル、キャリブレーション設定などで構成されている。
【0022】
図11は、スポットカラー補正テーブルの有効条件をフロントエンドサーバ1に格納する処理を示したフローチャートである。
【0023】
ステップ110で、ユーザは図6に示すUIを用いて有効条件データを入力し、ステップ111に進む。
【0024】
ステップ111において、入力された有効条件データは、テーブル有効条件格納部21Bに格納され、処理を終了する。
【0025】
図12は、図2の構成を用いて本発明のスポットカラー補正テーブルの有効条件との比較工程を説明するフローチャートである。
【0026】
ステップ120において、クライアントAのUIから目標色の色番号が入力され、プロファイル格納部18Aにあるスポットカラー用ソースプロファイルを参照して、目標色の色番号に対応するデバイス非依存の色値を得て、色番号と共に目標色格納部16に保持される。
【0027】
ステップ121において、プロファイル格納部18Aにある初期プリンタプロファイルを参照して、目標色に対応するデバイス色(C1,M1,Y1,K1)を得て、ステップ102に進む。
【0028】
ステップ122において、スポットカラー補正テーブル格納部21Aにあるスポットカラー補正テーブルより、該初期プリンタプロファイル作成時と該スポットカラー補正テーブル作成時とのデバイス色の差分値データ(C2-C1, M2-M1, Y2-Y1, K2-K1)と、該スポットカラー補正テーブルの該当個所の最終更新日時を得る。
【0029】
ステップ123において、スポットカラー補正テーブル調整部21で、テーブル有効条件格納部21Bに格納されている、スポットカラー補正テーブルの有効期限データと、上記テーブルの最終更新日時の比較を行い、有効期限を過ぎていない場合は処理を終了する。過ぎている場合は、ステップ124に進む。
【0030】
ステップ124において、上記初期プリンタプロファイルに上記差分値データを適用したスポットカラー補正テーブル作成時のデバイス色推定値(C2,M2,K2,Y2)のパッチを、カラーマネージメント処理部18とプリンタエンジン2の出力部24を利用して出力する。
【0031】
ステップ125において、出力した2つのパッチをカラーセンサ26によって測色し、目標色(L1,a1,b1)との色差ΔEを算出する。
【0032】
ステップ126において、ΔEは有効条件の範囲内かをチェックし、範囲内である場合は処理を終了する。範囲外の場合は、ステップ127に進む。
【0033】
ステップ127において、上記スポットカラー補正テーブルの該当個所を更新する処理を行い、処理を終了する。このステップでの処理については、図13で詳細に説明する。
【0034】
図13は、ステップ127のスポットカラー補正テーブルの該当個所を更新する処理の詳細を示すフローチャートである。
【0035】
ステップ130において、カラーパッチ生成部17により目標色とプロファイル格納部18Aに格納されている初期プリンタプロファイルを使って、デバイス非依存色のカラーパッチデータが生成される。この処理の詳細は、図14を用いて後ほど説明する。該カラーパッチデータはカラーパッチデータ格納部17Aに格納される。
【0036】
ステップ131で、カラーマネージメント処理部18により、カラーパッチ格納部17Aに格納されているデバイス非依存色のカラーパッチデータが、初期プリンタプロファイルを使ってデバイス色パッチデータに変換される。例えば、目標色 (L1,a1,b1) に対しては、 (C1,M1,K1,Y1) という結果が得られる。これをデバイス色パッチデータ格納部19に格納する。
【0037】
ステップ132で、先ほどのデバイス色パッチデータがプリンタエンジン2に転送され、出力部24が該デバイス色パッチデータを使ってカラーチャート出力物を出力する。
【0038】
ステップ133で、カラーセンサ制御部25がカラーセンサ26を使ってカラーチャート出力物の測色を行い、カラーチャート測色値を求め、測色値格納部27に格納する。
【0039】
ステップ134において、測色値格納部27にあるカラーチャート測色値がフロントエンドサーバ1に転送され、デバイス色推定部20がデバイス色パッチデータと該カラーチャート測色値から目標色を再現するためのデバイス色を推定する。例えばデバイス非依存色空間において補間計算をすればよい。ここでの計算例は、図14の説明の後に、詳細に説明する。ここで得られたデバイス色推定値を(C2,M2,K2,Y2)とし、デバイス色格納部20Aに格納される。
【0040】
ステップ135において、スポット補正テーブル調整部21が目標色(L1,a1,b1)に対してのマッチング結果が、デバイス色(C2,M2,K2,Y2)になるように、スポット補正テーブルに初期プリンタプロファイルとの差分値(C2-C1, M2-M1, Y2-Y1, K2-K1)を書き込む。また、テーブルの最終更新日時を更新する。更新したテーブルは、スポット補正テーブル格納部21Aに格納し、処理を終了する。
【0041】
図14は、ステップ130におけるカラーパッチデータ作成処理を詳細に説明するフローチャートである。
【0042】
ステップ140で、入力された目標色を (L1,a1,b1) とする。
【0043】
0≦L1≦100, -128≦a1≦128, -128≦b1≦128
ステップ141で、プロファイルのルックアップテーブルのグリッド数から1を減算した値を n とする。例えばグリッド数が33であれば n = 32 である。
【0044】
i = L1/100 * n
j = (a1+128)/256 * n
k = (b1+128)/256 * n
(小数点以下切捨て)
上記式によりLab色空間グリッドのインデックス i, j, k を求める。0≦i, j, k≦n
ステップ142において、初期プリンタプロファイルの BToA1Tag の3次元ルックアップテーブルから
(i, j, k) (i, j, k+1) (i, j+1, k) (i, j+1, k+1)
(i+1, j, k) (i+1, j, k+1) (i+1, j+1, k) (i+1, j+1, k+1)
上記のインデックスで示される8点グリッドのデータをカラーパッチデータとし、順に P11, P12, P13, P14, P15, P16, P17, P18 とする。これで処理を終了する。
【0045】
ここで、ステップ134におけるデバイス色の推定処理例を詳細に説明する。
【0046】
上記8点のカラーパッチ P11〜P18 のデバイス色パッチデータをそれぞれ(C11,M11,Y11,K11)〜(C18,M18,Y18,K18)とし、カラーチャート測色値をそれぞれ(L11,a11,b11)〜(L18,a18,b18)とする。またP21〜P27は、デバイス色推定値P2を求めるための中間データとする。
【0047】
(P11,P12からP21を求める)
L21 = (L12-L11)*(b1-b11)/(b12-b11) + L11
a21 = (a12-a11)*(b1-b11)/(b12-b11) + a11
C21 = (C12-C11)*(b1-b11)/(b12-b11) + C11
M21 = (M12-M11)*(b1-b11)/(b12-b11) + M11
Y21 = (Y12-Y11)*(b1-b11)/(b12-b11) + Y11
K21 = (K12-K11)*(b1-b11)/(b12-b11) + K11
(P13,P14からP22を求める)
L22 = (L14-L13)*(b1-b13)/(b14-b13) + L13
a22 = (a14-a13)*(b1-b13)/(b14-b13) + a13
C22 = (C14-C13)*(b1-b13)/(b14-b13) + C13
M22 = (M14-M13)*(b1-b13)/(b14-b13) + M13
Y22 = (Y14-Y13)*(b1-b13)/(b14-b13) + Y13
K22 = (K14-K13)*(b1-b13)/(b14-b13) + K13
(P21,P22からP23を求める)
L23 = (L22-L21)*(a1-a21)/(a22-a21) + L21
C23 = (C22-C21)*(a1-a21)/(a22-a21) + C21
M23 = (M22-M21)*(a1-a21)/(a22-a21) + M21
Y23 = (Y22-Y21)*(a1-a21)/(a22-a21) + Y21
K23 = (K22-K21)*(a1-a21)/(a22-a21) + K21
(P15,P16からP24を求める)
L24 = (L16-L15)*(b1-b15)/(b16-b15) + L15
a24 = (a16-a15)*(b1-b15)/(b16-b15) + a15
C24 = (C16-C15)*(b1-b15)/(b16-b15) + C15
M24 = (M16-M15)*(b1-b15)/(b16-b15) + M15
Y24 = (Y16-Y15)*(b1-b15)/(b16-b15) + Y15
K24 = (K16-K15)*(b1-b15)/(b16-b15) + K15
(P17,P18からP25を求める)
L25 = (L18-L17)*(b1-b17)/(b18-b17) + L17
a25 = (a18-a17)*(b1-b17)/(b18-b17) + a17
C25 = (C18-C17)*(b1-b17)/(b18-b17) + C17
M25 = (M18-M17)*(b1-b17)/(b18-b17) + M17
Y25 = (Y18-Y17)*(b1-b17)/(b18-b17) + Y17
K25 = (K18-K17)*(b1-b17)/(b18-b17) + K17
(P24,P25からP26を求める)
L26 = (L25-L24)*(a1-a24)/(a25-a24) + L24
C26 = (C25-C24)*(a1-a24)/(a25-a24) + C24
M26 = (M25-M24)*(a1-a24)/(a25-a24) + M24
Y26 = (Y25-Y24)*(a1-a24)/(a25-a24) + Y24
K26 = (K25-K24)*(a1-a24)/(a25-a24) + K24
(P23,P26からP27を求める)
C27 = (C26-C23)*(L1-L23)/(L26-L23) + C23
M27 = (M26-M23)*(L1-L23)/(L26-L23) + M23
Y27 = (Y26-Y23)*(L1-L23)/(L26-L23) + Y23
K27 = (K26-K23)*(L1-L23)/(L26-L23) + K23
(C27,M27,Y27,K27)が推定されたデバイス色(C2,M2,Y2,K2)である。
【0048】
図15、図16は、本発明において実際にスポットカラー補正テーブルを使用して、ジョブを出力する処理の一例を詳細に示したフローチャートである。
【0049】
ステップ150において、クライアントAからジョブデータをフロントエンドサーバ1にネットワークを通じて送信してステップ151に進む。
【0050】
ステップ151で、ジョブデータ中のジョブチケットデータのみを取り出し、ステップ152に進む。
【0051】
ステップ152で、該ジョブチケットデータをジョブ解析部11Bで解析して、ステップ153へ進む。
【0052】
ステップ153において、図10のジョブチケットデータ中の、出力する用紙種類の情報をInfo_mediaにセットしてステップ154へ進む。
【0053】
ステップ154で、PDLインタプリタ部12でジョブファイルのデータを解析して、中間データを生成して、ステップ155に進む。
【0054】
ステップ155において、ステップ154で生成された中間データを中間データ格納部13に格納し、ステップ156に進む。
【0055】
ステップ156において、図10のキャリブレーション設定情報を取り出し、スポットカラー補正テーブルによる補正を行うかどうかチェックする。行わない場合はステップ157へ進み、中間データ格納部13に格納された中間データに対して、カラーマネージメント処理部18において、RGB、CMYKデータに対してカラーマッチング及びキャリブレーション処理を行う通常のフローを適用してステップ159に進む。スポットカラー補正テーブルによる補正を行う場合は、ステップ158に進む。
【0056】
ステップ158において、中間データ格納部13に格納された中間データに対して、本発明で提案したスポットカラー補正テーブルによる処理をカラーマッチング処理部18にて行い、ステップ159に進む。
【0057】
ステップ159で、ステップ157もしくはステップ158の中間データを、レンダリング部14でビットマップイメージデータに展開して、ステップ160に進む。
【0058】
ステップ160において、前記展開されたビットマップイメージデータをプリンタエンジン2に転送し、ステップ161に進む。
【0059】
ステップ161で、Info_media情報に基づいて用紙を選択してステップ162に進む。
【0060】
ステップ162で、前記選択された用紙に印刷し、処理を終了する。
【0061】
図17は、ステップ158のスポットカラー補正テーブルを用いた補正処理の詳細を示すフローチャートである。
【0062】
ステップ170において、図10のキャリブレーション設定情報から取り出した、目標色の色番号が入力される。
【0063】
ステップ171において、スポットカラー用ソースプロファイルから、入力した色番号に対応した目標色 (L1,a1,b1)を得て、ステップ172に進む。
【0064】
ステップ172において、 プロファイル格納部18Aにある初期プリンタプロファイルより目標色 (L1,a1,b1)に対応するデバイス依存のデバイス色を得る。その結果を (C1,M1,K1,Y1) とする。また、スポットカラー補正テーブル格納部21Aにあるスポットカラー補正テーブルより、初期プリンタプロファイル作成時のデバイス色と現在の状態でのデバイス色との差分値(C2-C1, M2-M1, Y2-Y1, K2-K1)を得る。
【0065】
ステップ173において、初期プロファイルの3次元ルックアップテーブルのグリッドでLab色空間上において目標色 (L1,a1,b1) を囲む上述の P11〜P18 の8点に対して、(C2-C1, M2-M1, Y2-Y1, K2-K1) を加算して、カラーマネージメント処理部18にてカラーマッチングを行い、処理を終了する。
【0066】
(他の実施例)
本実施例では、出力パッチの読み取り手段として、カラーセンサ(RGB)を例として挙げているが、色度を測定可能な測色計を代用することも可能である。
【0067】
また本実施例では、1つのサイトによる処理を挙げているが、カラーセンサのように自動的に測色する測色機を利用することにより、WAN等の大規模ネットワークで結ばれた複数のサイトで構成されるネットワーク上においてリモート処理を行うことも可能である。
【0068】
また本実施例では、目標色を色票の色番号によって指定する例を挙げているが、デバイス非依存の色値をインデックスとしたスポットカラー補正テーブルへの拡張も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施例によるネットワークシステムの構成を示す図である
【図2】フロントエンドサーバ1、プリンタエンジン2の構成を示す図である
【図3】カラーマネージメント処理のフロー図である
【図4】本発明で使用するスポット補正テーブルの一例である
【図5】本発明の一実施例を説明するLab色空間の模式図である
【図6】ステップ120において、スポットカラー補正テーブルの有効条件を入力するUIの一例である
【図7】ステップ121において、有効条件格納部に格納するデータ形式の一例である
【図8】本発明において使用されるカラーセンサの一例である
【図9】ジョブデータの内部構成を示す図である
【図10】ジョブチケットデータの内部構成を示す図である
【図11】スポットカラー補正テーブルの有効条件を入力する処理の詳細を示すフローチャートである
【図12】本発明のメイン処理のフローチャートである
【図13】ステップ117スポットカラー補正テーブルの更新処理を詳細に示すフローチャートである
【図14】ステップ130でのカラーパッチデータ作成処理の詳細を示すフローチャートである
【図15】本発明での処理結果をジョブ出力時に適用する処理の一例を示すフローチャートである
【図16】本発明での処理結果をジョブ出力時に適用する処理の一例を示すフローチャートである
【図17】ステップ158でのスポットカラー補正テーブルによるカラーマッチング処理の詳細を示すフローチャートである
【符号の説明】
【0070】
10 ネットワークI/F部
11 ジョブ制御部
11A ジョブ管理部
11B ジョブ解析部
12 PDLインタプリタ部
13 中間データ格納部
14 レンダリング部
15 (フロントエンドサーバ1)通信I/F部
16 目標値格納部
17 カラーパッチ生成部
17A カラーパッチデータ格納部
18 カラーマネージメント処理部
18A プロファイル格納部
18B キャリブレーション一次元LUT
19 デバイス色パッチデータ格納部
20 デバイス色推定部
20A デバイス色格納部
21 スポットカラー補正テーブル調整部
21A スポットカラー補正テーブル格納部
21B テーブル有効条件格納部
22 測色値格納部
23 (プリンタエンジン2)通信I/F部
24 出力部
25 カラーセンサ制御
26 カラーセンサ
27 (プリンタエンジン2)測色値格納部
28 カラーセンサ
28A 発光素子
28B 受光素子
28C ホルダー
29 転写ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタプロファイルを使ったカラーマッチングによりプリンタにカラー画像を出力させるシステムにおいて、
既存のプリンタプロファイルが存在する場合に、識別子で表現された目標色を設定する手段と、
上記目標色と、上記目標色をプリンタプロファイルを用いて再現したデバイス色との差分をスポットカラー補正テーブルとして保持する手段と、
上記スポットカラー補正テーブルの上記目標色に該当する部分の履歴情報を保持する手段と、
プリンタの色再現に関する知識のあるユーザがあらかじめ設定した補正テーブルの有効条件を保持する手段と、
上記履歴情報とスポットカラー補正テーブルの有効条件を比較する手段と、
上記比較結果に応じた処理を行う手段と
を有することを特徴とするスポットカラー補正方法。
【請求項2】
前記履歴情報は、前記目標色について、プリンタプロファイルとスポットカラー補正テーブルの最終更新日、測色値、目標色との色差ΔEであることを特徴とする請求項1記載のスポットカラー補正方法。
【請求項3】
ある時点でのプリンタの状態で、プリンタプロファイルとスポットカラー補正テーブルを利用して目標色を出力し、測色機で測色した結果と、目標色との色差であることを特徴とする請求項2記載の測色値と目標色との色差ΔE。
【請求項4】
上記スポットカラー補正テーブルの有効条件は、テーブルの有効期限や、テーブルを用いた補正結果と目標色との最大色差を設定することを特徴とする請求項1記載のスポットカラー補正方法。
【請求項5】
上記比較結果に応じた処理を行う手段において、
上記有効条件を満たす場合はそのまま処理を終了し、満たさない場合に自動的にスポットカラー補正テーブルの更新処理を行うことを特徴とする請求項1記載のスポットカラー補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−301350(P2008−301350A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146973(P2007−146973)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】