説明

スライドユニット機構

【課題】本発明は電子機器等に内蔵される薄型のスライドユニット機構に関し、外観からスライド内部構造が視認される面積を減少させつつ、ガイドプレートにガタツキが発生するのを防止することを課題とする。
【解決手段】スライドユニット機構に、スライドプレートに係合してそのガタツキを防止するガタツキ防止機構20を設ける。このガタツキ防止機構20を、第2の固定プレート4の表側でスライド部2aの移動軌跡上に開口する開口部23を有する窪み部21と、この窪み部21内に装着されると共に一端部に開口部23からスライド部2aの移動軌跡上に露出する係合部材25が配設された係止用トーションバネ24と、スライド部2aに設けられると共に係合部材25と係合可能な係合凹部26とにより構成する。そして、スライドプレート2が閉位置にスライドした際、係合部材25が係合凹部26に係止用トーションバネ24のバネ力を介して係合するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスライドユニット機構に係り、特に電子機器等に内蔵される薄型のスライドユニット機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スライド式の電子機器においては、トーションバネの一端をモニター部となる第一筐体に固着し、他端を本体部となる第二筐体に固着することによってトーションバネのバネ圧を利用して操作するスライド装置が用いられている。
【0003】
また、近年ワンセグ携帯等の普及によって、横長のモニターを筐体に設置し、短手方向にスライドプレートをスライドさせる携帯用の電子機器も開発されている。例えば、特許文献1には、短手方向にスライドプレートをスライドさせる携帯機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−267238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるような短手方向にスライドさせる携帯用電子機器においてもトーションバネが用いられているが、所定のバネ力が必要となることからトーションバネの配置がスライド長(ストローク量)の半分以上を占める場合もあり、更にスライドを隠すためのプレートの面積も大きくなっていた。そのため、携帯機器の外観から上記プレートを隠すためにスライド長が規制され、その結果、上層部(モニター部)をスライドさせることで露出される下層部(操作部)の面積が狭くなることから、操作ボタンの大きさや配置等が制限されていた。
【0006】
また、短手方向にスライドさせる携帯用電子機器では、スライド方向が短手方向となるため、必然的にスライド長が短くなる。スライド長を長く取るためには、スライドプレートのスライド方向に対する幅を小さく設定する必要がある。しかしながら、スライドプレートのスライド方向に対する幅を小さく設定すると、スライドプレートのスライドを案内するガイド部材に対する抱え込み幅(係合幅)が狭くなり、スライドプレートにガタツキが発生するという問題点があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、外観からスライド内部構造が視認される面積を減少させつつ、ガイドプレートにガタツキが発生するのを防止しうるスライドユニット機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、第1の観点からは、
四角形状の裏面中央のスライド方向に凸部が形成され該凸部の両側位置に凹部が形成された第1の固定プレートと、
該第1の固定プレートの両端にスライド可能に係合するスライド部と、該スライド部を前記第1の固定プレートの表側において連設する連結部とを有し、前記第1の固定プレート上を開位置と閉位置との間でスライド動作するスライドプレートと、
前記第1の固定プレートよりも大きな形状を有し、前記スライドプレートが配設された前記第1の固定プレートが取り付けられる第2の固定プレートと、
前記第1の固定プレートと前記第2の固定プレートの間で、かつ前記凹部内にそれぞれ配置されており、一端が前記第1の固定プレートのスライド方向略中央部に係止されると共に、他端が前記スライド材に係止されたスライド用バネ手段と、
前記スライドプレートが前記開位置及び前記閉位置の少なくとも一方の位置にスライドした際、前記スライドプレートに係合してそのガタツキを防止するガタツキ防止機構とを有するスライドユニット機構であって、
前記ガタツキ防止機構を、
前記第2の固定プレートの裏側で、前記スライドプレートの前記開位置又は前記閉位置の少なくとも一方と対応する位置に設けられた窪み部と、
前記窪み部内から前記第2の固定プレートの表側に貫通するよう形成されており、形成位置が前記スライド部の移動軌跡上にあるよう設定された開口部と、
該窪み部内に装着されており、一端が前記第2の固定プレートに係止されると共に、他端に前記開口部から前記スライド部の移動軌跡上に露出する係合部材が配設された係止用トーションバネと、
前記スライド部に設けられ、前記係合部材と係合可能な構成とされた係合凹部とを有する構成とし、
前記スライドプレートのスライド動作に伴い、前記開位置又は前記閉位置で前記係合部材が前記係合凹部と係合するよう構成すると共に、係合状態で前記係止用トーションバネの弾性力により前記係合部材が前記係合凹部に向けて付勢されるよう構成したことを特徴とするスライドユニット機構により解決することができる。
【発明の効果】
【0009】
開示のスライドユニット機構によれば、スライドプレートが開位置又は閉位置にある時、ガタツキ防止機構の係合部材がスライドプレートに形成された係合凹部と係合し、かつ係止用トーションバネの弾性力により係合部材が係合凹部に向けて付勢されるため、スライドプレートにガタツキが発生することを防止することができる。
【0010】
また、ガタツキ防止機構を構成する係止用トーションバネや係合部材は、第2の固定プレートに形成された窪み部内に配設されるため、スライドユニット機構の薄型化を図ることができると共に、外部に露出する面積を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の第1実施形態であるスライドユニット機構を説明するための図であり、(A)は背面図、(B)は平面図、(C)は正面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態であるスライドユニット機構を表側から見た斜視図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態であるスライドユニット機構を背面側から見た斜視図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態であるスライドユニット機構の分解斜視図である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態であるスライドユニット機構を構成する第1の固定プレートを説明するための斜視図である。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態であるスライドユニット機構のガタツキ防止機構を拡大して示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態であるスライドユニット機構を説明するための図である。
【図8】図8は、本発明の第3実施形態であるスライドユニット機構を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0013】
図1乃至図4は、本発明の第1実施形態であるスライドユニット機構10Aを説明するための図である。本実施形態に係るスライドユニット機構10Aは、第1の固定プレート1,スライドプレート2,第2の固定プレート4,スライド用トーションバネ5,及びガタツキ防止機構20等を有した構成とされている。
【0014】
このスライドユニット機構10Aは、例えば下部筐体(操作部)に対して上部筐体(モニター部)を短手方向にスライドさせる携帯用電子機器に搭載されるものである。第1及び第2の固定プレート1,4は図示しない下部筐体に取り付けられ、スライドプレート2は図示しない上部筐体に取り付けられる。
【0015】
よって、本実施形態に係るスライドユニット機構10Aは、第1及び第2の固定プレート1,4に対してスライドプレート2が各固定プレート1,4の短手方向(図中、矢印X1,X2方向)にスライドする構成とされている。これにより、上部筐体は下部筐体に対して開位置と閉位置との間でスライドする。なお、以下の説明において、スライドプレート2が図中矢印X1方向の端部までスライドした時の位置を閉位置、矢印X2方向の端部までにスライドした時の位置を開位置とする。
【0016】
図1乃至図4に示すスライドユニット機構10Aは、スライドプレート2が閉位置にある状態を示している。第1の固定プレート1及びスライドプレート2は、いずれも矩形状(平面視で四角形状)とされている。また、第2の固定プレート4は、正面視で第1の固定プレート1に対して広い面積を有するよう構成されている。
【0017】
第1の固定プレート1は、その裏面中央にスライド方向(X1,X2方向)に延在する凸部6が形成されている。また、第1の固定プレート1の凸部6が形成された両側位置には、凹部7がそれぞれ形成されている(図5参照)。
【0018】
スライドプレート2は、この第1の固定プレート1にスライド可能に取り付けられる。スライドプレート2は、第1の固定プレート1の短手方向の両端に位置する側縁部8にスライド可能に係合するスライド部2aと、このスライド部2aを第1の固定プレート1の表側(図1(C),図2に示す側が表側となる)において連設する連結部2bとを有している。
【0019】
スライド部2aは、第1の固定プレート1の表面に配置されている連結部2bより裏側に折り返され、第1の固定プレート1の側縁部8に係合している(図5参照)。また、スライド部2aの折り返された裏側には、中央の一部が内側に延出しストッパー部3を形成している。なお、スライド部2aは樹脂により形成されると共に連結部2bは金属により形成されている。そして、スライド部2aはインサート成型されることにより、連結部2bに配設されている。
【0020】
上記構成とされたスライドプレート2は、第1の固定プレート1上を開位置と閉位置との間でスライド動作する。また本実施形態に係るスライドユニット機構10Aは、前記のようにスライドプレート2が各固定プレート1,4の短手方向にスライドする構成である。このため、スライドのストローク量を増加させるためにスライドプレート2の幅寸法(図1(C)及び図2に矢印Wで示す)は、スライドプレート2の強度を低下させない範囲で極力短い寸法に設定されている。
【0021】
スライドプレート2が配設された第1の固定プレート1は、スライドプレート2がスライド可能な状態で第2の固定プレート4に取り付けられる。第2の固定プレート4は、中央位置に第1の固定プレート1に形成された凸部6を収納するための矩形開口11が形成されている。また、第2の固定プレート4の表側には第1の固定プレート1が取り付けられる装着凹部15が形成されると共に、裏側には肉薄部14が形成されている。
【0022】
このように、肉薄部14及び装着凹部15を設けることにより、大きな形状を有する第2の固定プレート4であっても軽量化を図ることができる。また、第2の固定プレート4の第1の固定プレート1が取り付けられる部位に装着凹部15を設けることにより、スライドユニット機構10Aの薄型化を図ることができる。
【0023】
第1の固定プレート1は、ネジ9を用いて第2の固定プレート4に固定される。また、第1の固定プレート1の四隅位置にはストッパー部材16が配設されている。このストッパー部材16は、図5に示すように金属プレート16aとストッパーゴム16bとを積層した構造を有している。前記のようにスライドプレート2は閉位置と開位置との間でスライドするが、スライドプレート2が閉位置にあるとは、図5に示すようにストッパー部3はX1方向に位置するストッパー部材16のストッパーゴム16bと当接し、また開位置にある時はX2方向に位置するストッパー部材16のストッパーゴム16bと当接するよう構成されている。これにより、スライドプレート2が閉位置と開位置を越えてスライドすることを防止することができる。
【0024】
スライド用トーションバネ5(請求項に記載のスライド用バネ手段に相当する)は、第1の固定プレート1の左右に形成された凹部7にそれぞれ配置されている。各スライド用トーションバネ5の一端は、第2の固定プレート4のスライド方向に対する略中央位置に設けられているボス(図示せず)に係止される。またスライド用トーションバネ5の他端は、スライド部2aのストッパー部3に係止される。
【0025】
またスライド用トーションバネ5の巻回部は、平面渦巻き状に形成されている。このようにトーションバネの巻回部を垂直方向に巻くのではなく、平面渦巻き状に形成することによって、スライドユニット機構をより薄型にすることができる。
【0026】
上記のスライド用トーションバネ5は、図5に示されるように、第1の固定プレート1の背面側に配設される。よって、第1の固定プレート1を第2の固定プレート4に装着すると、スライド用トーションバネ5は第1の固定プレート1と第2の固定プレート4との離間部分に位置した状態となる。このため、スライド用トーションバネ5は、スライドユニット機構10Aの外部からは見えない構成となる。
【0027】
このスライド用トーションバネ5は、スライドプレート2が閉位置と開位置との中間位置に至ると、スライドプレート2に対する付勢力を反転させる。よって、スライドプレート2を閉位置から開位置に向けてスライドさせる場合には、閉位置から中間位置までの間はスライド用トーションバネ5はスライドプレート2を閉位置に向けて付勢し、中間位置を過ぎるとスライド用トーションバネ5はスライドプレート2を開位置に向けて付勢する。逆に、スライドプレート2を開位置から閉位置に向けてスライドさせる場合には、開位置から中間位置までの間はスライド用トーションバネ5はスライドプレート2を開位置に向けて付勢し、中間位置を過ぎるとスライド用トーションバネ5はスライドプレート2を閉位置に向けて付勢する。即ち、スライドユニット機構10Aは、セミオートのスライド機構を構成する。
【0028】
なお各図に示す12は、スライドユニット機構10Aを電子機器に搭載した際、下部筐体と上部筐体とを電気的に接続するフレキシブル基板(FPC)を挿通するためのFPC用孔である。
【0029】
次に、図1乃至図4に加えて図5及び図6を用いて、ガタツキ防止機構20について説明する。
【0030】
ガタツキ防止機構20は、窪み部21、開口部23、係止用トーションバネ24、係合部材25、及び係合凹部26等を有している。このガタツキ防止機構20は、本実施形態ではスライドプレート2が閉位置にスライドした際、このスライドプレート2にガタツキが発生することを防止する機能を奏するものである。
【0031】
窪み部21は、第2の固定プレート4背面側で、スライドプレート2の閉位置近傍に形成されている。係止用トーションバネ24及び係合部材25は、この窪み部21内に装着される。よって、係止用トーションバネ24及び係合部材25は、第2の固定プレート4の背面に突出することはなく、よってガタツキ防止機構20を設けてもスライドユニット機構10Aの薄型化が維持される。
【0032】
窪み部21は、その内部に係止用トーションバネ24を装着するためのバネ取り付けボス22が形成されている。このバネ取り付けボス22は、第2の固定プレート4に一体的に形成されている。係止用トーションバネ24の巻回部分がバネ取り付けボス22に装着されることにより、係止用トーションバネ24は窪み部21内に取り付けられる。
【0033】
更に、窪み部21内には開口部23が形成されている。この開口部23は、第2の固定プレート4の背面から表面に貫通して形成するよう形成されている。前記のように第2の固定プレート4にはスライドプレート2をスライド可能に装着した第1の固定プレート1が取り付けられるが、この開口部23が第2の固定プレート4の表面に開口する位置は、スライド部2aの移動軌跡上となるよう設定されている。具体的には、スライドプレート2が閉位置に位置している時、スライドプレート2を構成するスライド部2aと対向する位置に開口部23は形成されている。
【0034】
係合部材25は、係止用トーションバネ24の一端部24aに取り付けられる。また、係止用トーションバネ24の他端部24bは、窪み部21の内壁に当接するよう構成されている。係合部材25は、ローラ状の部材であり樹脂により形成されている。この係合部材25の材質としては、例えば耐衝撃性及び摺動特性に優れたエンジニアリングプラスチックであるポリアセタール(POM)の適用が考えられる。
【0035】
この係合部材25は、ガタツキ防止機構20が第2の固定プレート4に取り付けられた状態において、前記した開口部23から第2の固定プレート4の表側に突出すよう構成されている。従って係合部材25は、スライド部2aの移動軌跡上に位置することとなり、後述するようにスライドプレート2が閉位置にスライドした際、スライドプレート2のスライド部2aと係合する。この係合部材25は、係止用トーションバネ24の弾性力により、外側に向けて付勢されている(図6に矢印Aで示す方向に付勢されている)。
【0036】
係合凹部26は、スライドプレート2のスライド部2aに形成されている。この係合凹部26の形状は、上記した係合部材25の形状と対応した形状とされている。また、係合凹部26の形成位置は、スライド部2aの側縁部であり、この位置はスライドプレート2が閉位置に移動した際に前記の係合部材25と対向する位置である。よって、スライドプレート2が閉位置にスライドした際、係合部材25はスライド部2aの係合凹部26と係合し、係止用トーションバネ24の弾性力により係合凹部26を押圧する。
【0037】
この際、ガタツキ防止機構20は閉位置にあるスライドプレート2を挟んで2個設けられているため、スライドプレート2はその両側から係合部材25を介して係止用トーションバネ24で弾性付勢される。即ち、スライドプレート2は、一対のガタツキ防止機構20により、その両側を挟持された構成となる。更に、係合部材25は係合凹部26に係合した構成であるため、スライドプレート2のスライド方向(X1,X2方向)の移動は規制されている。よって、ガタツキ防止機構20を設けることにより、スライドプレート2が閉位置にある際、スライドプレート2にガタツキが発生することを確実に防止することができる。
【0038】
特に本実施形態のように、スライドプレート2のストローク量を増加させるためにスライドプレート2の幅寸法Wを短くした構成では、スライド部2aと側縁部8との係合範囲が狭くなってガタツキが発生しやすくなる。しかしながら、本実施形態に係るスライドユニット機構10Aのように、ガタツキ防止機構20を設けることにより、スライドプレート2の幅寸法を短くしても閉位置におけるガタツキの発生を抑制することができる。
【0039】
また、スライドプレート2を開位置から閉位置に向けスライドさせる際、スライドプレート2が閉位置に至ると、係合部材25が係合凹部26に係合するため、操作者はこれをクリック感として認識することができる。よってスライドユニット機構10Aの操作者は、このクリック感によりスライドプレート2が閉位置まで移動したことを確認することができる。
【0040】
次に、図7及び図8を用いて、本発明の第2及び第3実施形態であるスライドユニット機構10B,10Cについて説明する。なお、図7及び図8において、図1乃至図6を用いて説明した第1実施形態に係るスライドユニット機構10Aの構成と対応する構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図7は、第2実施形態であるスライドユニット機構10Bを示している。上記した第1実施形態に係るスライドユニット機構10Aは、ガタツキ防止機構20をスライドプレート2の閉位置と対応する位置に設けることにより、閉位置に位置したスライドプレート2のガタツキの発生を防止する構成について示した。
【0042】
これに対して本実施形態に係るスライドユニット機構10Bは、図7に示すようにスライドプレート2の閉位置及び開位置の双方に設けたことを特徴とするものである。この構成とすることにより、閉位置及び開位置の双方において、スライドプレート2にガタツキが発生することを防止することができる。なお、図示しないがガタツキ防止機構20を開位置にのみ設ける構成とすることも可能である。
【0043】
図8は、第3実施形態であるスライドユニット機構に設けられる第1の固定プレート1を示している。前記した第1実施形態に係るスライドユニット機構10Aでは、スライド用バネ手段としてスライド用トーションバネ5を用いた例を示した。これに対して本実施形態では、スライド用バネ手段としてバネユニット30を用いたことを特徴としている。このバネユニット30は、スライド用トーションバネ5と同様に第1の固定プレート1の両側に形成された凹部7にそれぞれ配設されている。
【0044】
バネユニット30は、大略すると中間部材31、第1のスライド部材32、第2のスライド部材33、第1の引張りバネ34、及び第2の引張りバネ35を有した構成とされている。
【0045】
第1及び第2のスライド部材32,33は、中間部材31に図中矢印Z1,Z2で示す方向にスライド可能に取り付けられている。また、第1のスライド部材32と中間部材31との間には第1の引張りバネ34が張架され、第2のスライド部材33と中間部材31との間には第2の引張りバネ35が張架されている。
【0046】
よって、第1のスライド部材32が中間部材31に対して矢印Z1方向に移動すると、これに伴い第1の引張りバネ34は伸長し、第1のスライド部材32を矢印Z2方向に付勢する弾性力を発生させる。また、第2のスライド部材33が中間部材31に対して矢印Z2方向に移動すると、これに伴い第2の引張りバネ35は伸長し、第2のスライド部材33を矢印Z2方向に付勢する弾性力を発生させる。
【0047】
また、第1のスライド部材32の先端部はスライドプレート2のストッパー部3に接続され、第2のスライド部材33の先端部は第2の固定プレート4に設けられた図示しないボスに接続される。よって、本実施形態においても、バネユニット30は第1の固定プレート1と第2の固定プレート4との間に位置することになり、スライドユニット機構の外部から見えるようなことはない。
【0048】
図8は、スライドプレート2が閉位置に位置した状態を示しているが、この閉位置からスライドプレート2が開位置に向けて(X2方向に向けて)移動すると、バネユニット30は収縮する方向に付勢され、第1のスライド部材32はZ1方向に、第2のスライド部材33はZ2方向に移動する。よって、第1の引張りバネ34及び第2の引張りバネ35は伸長し、第1のスライド部材32をZ2方向に、第2のスライド部材33をZ1方向に弾性付勢する。従って、バネユニット30は第1実施形態におけるスライド用トーションバネ5と同一の機能を奏し、本実施形態に係るスライドユニット機構もセミオートのスライド機構を構成する。
【0049】
本実施形態によれば、スライド用トーションバネ5に比べてバネユニット30の薄型化を図ることができるため、スライドユニット機構全体の薄型化を図ることができる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【符号の説明】
【0051】
10A,10B スライドユニット機構
1 第1の固定プレート
2 スライドプレート
2a スライド部
2b 連結部
3 ストッパー部
4 第2の固定プレート
5 スライド用トーションバネ
8 側縁部
15 装着凹部
20 ガタツキ防止機構
21 窪み部
22 バネ取り付けボス
23 開口部
24 係止用トーションバネ
25 係合部材
26 係合凹部
30 バネユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形状の裏面中央のスライド方向に凸部が形成され該凸部の両側位置に凹部が形成された第1の固定プレートと、
該第1の固定プレートの両端にスライド可能に係合するスライド部と、該スライド部を前記第1の固定プレートの表側において連設する連結部とを有し、前記第1の固定プレート上を開位置と閉位置との間でスライド動作するスライドプレートと、
前記第1の固定プレートよりも大きな形状を有し、前記スライドプレートが配設された前記第1の固定プレートが取り付けられる第2の固定プレートと、
前記第1の固定プレートと前記第2の固定プレートの間で、かつ前記凹部内にそれぞれ配置されており、一端が前記第1の固定プレートのスライド方向略中央部に係止されると共に、他端が前記スライド材に係止されたスライド用バネ手段と、
前記スライドプレートが前記開位置及び前記閉位置の少なくとも一方の位置にスライドした際、前記スライドプレートに係合してそのガタツキを防止するガタツキ防止機構とを有するスライドユニット機構であって、
前記ガタツキ防止機構を、
前記第2の固定プレートの裏側で、前記スライドプレートの前記開位置又は前記閉位置の少なくとも一方と対応する位置に設けられた窪み部と、
前記窪み部内から前記第2の固定プレートの表側に貫通するよう形成されており、形成位置が前記スライド部の移動軌跡上にあるよう設定された開口部と、
該窪み部内に装着されており、一端が前記第2の固定プレートに係止されると共に、他端に前記開口部から前記スライド部の移動軌跡上に露出する係合部材が配設された係止用トーションバネと、
前記スライド部に設けられ、前記係合部材と係合可能な構成とされた係合凹部とを有する構成とし、
前記スライドプレートのスライド動作に伴い、前記開位置又は前記閉位置で前記係合部材が前記係合凹部と係合するよう構成すると共に、係合状態で前記係止用トーションバネの弾性力により前記係合部材が前記係合凹部に向けて付勢されるよう構成したことを特徴とするスライドユニット機構。
【請求項2】
前記スライド部及び前記係合部材を樹脂により形成したことを特徴とする請求項1記載のスライドユニット機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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