説明

スリーブおよびポートを含む外科手術アクセスの方法およびアセンブリ

【課題】最小侵襲性外科手術処置において用いられる外科手術アクセスのアセンブリを提供すること。
【解決手段】下にある組織部位にアクセスするために組織内に挿入するように適合されるスリーブであって、スリーブは第1の通路を規定し、第1の通路は第1の直径を有する、スリーブと、ポートであって、少なくとも1つの第2の通路を規定し、ポートは、スリーブの第1の通路と実質的に密閉の関係でスリーブの第1の通路内に挿入されるように適合され、少なくとも1つの第2の通路は、少なくとも1つの第2の通路を通って外科手術物体を実質的に密閉して受容するように適合され、少なくとも1つの第2の通路は、少なくとも1つの第2の直径を有するポートとを備え、ポートは、スリーブの第1の通路内に選択可能で取り外し可能に位置決め可能であり、第1の直径は、少なくとも1つの第2の直径より大きい、外科手術アクセスアセンブリ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この特許出願は、2010年4月12日に出願された米国仮出願第61/323,102号の利益および優先権を主張し、この仮出願の内容全体が本明細書に参照によって援用される。
【0002】
(背景)
(技術分野)
本開示は、概して、内視鏡または腹腔鏡型処置などの最小侵襲性外科手術処置において用いられる外科手術アクセスのアセンブリおよび方法に関し、より詳細には、体腔へのアクセスを提供する、スリーブおよびポートを含む外科手術アクセスの方法およびアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の背景)
今日、多くの外科手術処置は、患者に対する外傷および回復時間の両方を減少させる努力において、従来の処置において典型的に必要とされるより大きな切開と比較して、皮膚の小さな切開を通して行われる。概して、そのような処置は、患者の腹部に対して行なわれる場合を除いて、「内視鏡処置」と呼ばれ、患者の腹部に対して行われる場合、処置は「腹腔鏡処置」と呼ばれる。本開示の全体を通して、用語「最小侵襲性」は、内視鏡処置および腹腔鏡処置の両方を包含すると理解されるべきである。
【0004】
典型的な最小侵襲性処置中、外科手術アクセスデバイス(例えば、トロカールアセンブリおよびカニューレアセンブリ)または内視鏡などの外科手術物体は、組織の切開を通って患者の体内に挿入される。概して、患者の体内に外科手術物体を導入する前に、より大きくより多くアクセス可能な作業領域を作るために、通気気体が用いられ、標的の外科手術部位の周囲の領域を拡大する。従って、通気気体の漏れおよび拡大された外科手術部位の収縮またはへこみを阻止するように、実質的に流体密閉のシールを維持することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この目的のために、弁およびシールを有する様々なアクセスデバイスが最小侵襲性処置の進行中に用いられ、それらは当該分野において周知である。しかしながら、外科医にとって比較的容易にかつ面倒が少なく、下にある組織部位へのアクセスし易さを促進し得る外科手術アクセスデバイスに対する継続したニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
本開示は、スリーブとポートとを含む外科手術アクセスアセンブリに関する。スリーブは、第1の端部と第2の端部とを有するスリーブ本体を含む。スリーブ本体は、可撓性材料から形成され得、第1および第2の端部は、1つ以上の剛性および半剛性の材料から形成され得る。スリーブは、下にある組織部位にアクセスするために組織内に挿入するように適合される。スリーブはスリーブを通る第1の通路を規定する。第1の通路は、下にある組織部位への密閉されないアクセスを可能にする。第1の通路は第1の直径を有する。
【0007】
ポートは、ポートを通って延びる1つ以上の第2の通路を規定する。ポートは、スリーブの第1の通路と実質的に密閉の関係でスリーブの第1の通路内に挿入されるように適合される。1つ以上の第2の通路は、1つ以上の第2の通路を通って外科手術物体を実質的に密閉して受容するように適合される。1つ以上の第2の通路は、1つ以上の第2の直径を有する。ポートは、スリーブの第1の通路内に選択可能で取り外し可能に位置決め可能である。第1の直径は、1つ以上の第2の直径より大きい。スリーブおよびポートのうちの1つまたはその両方は、実質的に腰細の形状であり得る。
【0008】
複数の実施形態において、1つ以上のクランプは、スリーブとポートとを動作可能に連結し得る。1つ以上のクランプは、クランプされた構成とクランプされない構成との間で再位置決め可能である。1つ以上のクランプは、1つ以上のロッキング要素を含み得る。1つ以上のロッキング要素は、クランプされた構成に位置を決められたとき、スリーブとポートとを一緒にロックするように適合される。
【0009】
一局面において、本開示は、下にある組織部位にアクセスする方法に関する。方法は、スリーブとポートとを含む外科手術アクセスアセンブリを提供することを含む。スリーブは、スリーブを通る第1の通路を規定する。第1の通路は、第1の直径を有する。ポートは、ポートを通って延びる1つ以上の第2の通路を規定する。1つ以上の第2の通路は、1つ以上の第2の直径を規定する。1つの第2の直径は、第1の直径よりも小さい。方法は、患者の切開または自然の穴にスリーブを選択可能に位置を決めることと、スリーブの第1の通路内にポートの位置を選択可能に決めることと、第1の通路のうちの1つ以上および1つ以上の第2の通路を通って下にある組織部位に選択可能にアクセスすることと
を含む。方法は、1つ以上の第2の通路と実質的に密閉の関係で1つ以上の第2の通路を通って外科手術物体を前進させることを含み得る。一関連において、方法は、スリーブからポートを選択可能に取り外すことを含む。別の関連において、方法は、Hasson切開内にスリーブを挿入することを含み得る。方法は、結腸にアクセスするために患者内にスリーブを挿入することを含み得る。方法は、スリーブおよびポートが互いに対してロックされた位置になるように、クランプを用いてスリーブとポートとを連結することを含み得る。一関連において、方法は、スリーブの第1の通路を通って標本を引っ込めることを含む。
【0010】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
下にある組織部位にアクセスするために組織内に挿入するように適合されるスリーブであって、該スリーブは該スリーブを通る第1の通路を規定し、該第1の通路は第1の直径を有する、スリーブと、
ポートであって、該ポートを通って延びる少なくとも1つの第2の通路を規定し、該ポートは、該スリーブの該第1の通路と実質的に密閉の関係で該スリーブの該第1の通路内に挿入されるように適合され、該少なくとも1つの第2の通路は、該少なくとも1つの第2の通路を通って外科手術物体を実質的に密閉して受容するように適合され、該少なくとも1つの第2の通路は、少なくとも1つの第2の直径を有する、ポートと
を備え、
該ポートは、該スリーブの該第1の通路内に選択可能で取り外し可能に位置決め可能であり、該第1の直径は、該少なくとも1つの第2の直径より大きい、外科手術アクセスアセンブリ。
(項目2)
上記第1の通路は、上記下にある組織部位への密閉されないアクセスを可能にする、上記項目に記載の外科手術アクセスアセンブリ。
(項目3)
上記スリーブは、第1および第2の端部を有するスリーブ本体を含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスアセンブリ。
(項目4)
上記スリーブ本体は、可撓性材料から形成され、上記第1および第2の端部は、剛性の材料および半剛性の材料のうちの少なくとも1つから形成される、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスアセンブリ。
(項目5)
上記スリーブおよび上記ポートを動作可能に連結する少なくとも1つのクランプをさらに備えている、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスアセンブリ。
(項目6)
上記少なくとも1つのクランプは、クランプされた構成とクランプされない構成との間で再位置決め可能である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスアセンブリ。
(項目7)
上記少なくとも1つのクランプは、少なくとも1つのロッキング要素を含み、該少なくとも1つのロッキング要素は、クランプされた構成に位置を決められたとき、上記スリーブと上記ポートとを一緒にロックするように適合される、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスアセンブリ。
(項目8)
上記スリーブおよび上記ポートのうちの少なくとも1つは実質的に腰細の形状である、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスアセンブリ。
(項目9)
上記ポートは、複数の第2の通路を含む、上記項目のいずれかに記載の外科手術アクセスアセンブリ。
(項目10)
下にある組織部位にアクセスするシステムであって、
外科手術アクセスアセンブリであって、該外科手術アクセスアセンブリは、
スリーブであって、該スリーブを通る第1の通路を規定するように構成され、該第1の通路は第1の直径を有する、スリーブと、
ポートであって、該ポートを通って延びる少なくとも1つの第2の通路を規定するように構成され、該少なくとも1つの第2の通路は、少なくとも1つの第2の直径を規定し、該少なくとも1つの第2の直径は該第1の直径よりも小さい、ポートと
を備え、
該スリーブは、患者の切開または自然の穴に選択可能に位置を決められるように構成され、
該ポートは、該スリーブの該第1の通路内に選択可能に位置を決められるように構成され、
該下にある組織部位は、該第1の通路および該少なくとも1つの第2の通路のうちの少なくとも1つを通って選択可能にアクセスされるように構成される、システム。
(項目11)
上記少なくとも1つの第2の通路と実質的に密閉の関係で該少なくとも1つの第2の通路を通って前進するように構成される物体をさらに備える、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目12)
上記ポートは、上記スリーブから選択可能に取り外されるように構成される、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目13)
上記スリーブは、Hasson切開内に挿入されるように構成される、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目14)
上記スリーブは、結腸にアクセスするために患者内に挿入されるように構成される、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目15)
上記スリーブおよび上記ポートが互いに対してロックされた位置になるように、該スリーブおよび該ポートは、連結されるように構成される、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目16)
上記スリーブの上記第1の通路は、該スリーブの第1の通路を通って標本を引っ込めることを可能にするように構成される、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目17)
下にある組織部位にアクセスするために組織内に挿入するように適合されるスリーブであって、該スリーブは該スリーブを通る第1の通路を規定し、該第1の通路は第1の直径を有する、スリーブと、
可撓性ポートであって、該可撓性ポートを通って延びる少なくとも1つの第2の通路を規定し、該ポートは、該スリーブの該第1の通路内に挿入されるように適合され、該可撓性ポートは、該組織内に挿入のために圧縮可能であり、該組織内に該ポートを維持するようにかつ該ポートと該組織との間に該スリーブを維持するように、一旦該ポートが該切開内に正しく配置されると、付勢力を提供するように構成され、該少なくとも1つの第2の通路は、該少なくとも1つの第2の通路を通って外科手術物体を実質的に密閉して受容するように適合され、該少なくとも1つの第2の通路は、少なくとも1つの第2の直径を有する、ポートと
を備え、
該ポートは、該スリーブの該第1の通路内に選択可能で取り外し可能に位置決め可能であり、該第1の直径は、該少なくとも1つの第2の直径より大きい、外科手術アクセスアセンブリ。
(項目10a)
下にある組織部位にアクセスする方法であって、
外科手術アクセスアセンブリを提供するステップであって、該外科手術アクセスアセンブリは、
スリーブであって、該スリーブを通る第1の通路を規定し、該第1の通路は第1の直径を有する、スリーブと、
ポートであって、該ポートを通って延びる少なくとも1つの第2の通路を規定し、該少なくとも1つの第2の通路は、少なくとも1つの第2の直径を規定し、該少なくとも1つの第2の直径は該第1の直径よりも小さい、ポートと
を備えている、ステップと、
患者の切開または自然の穴に該スリーブを選択可能に位置を決めるステップと、
該スリーブの該第1の通路内に該ポートの位置を選択可能に決めるステップと、
該第1の通路および該少なくとも1つの第2の通路のうちの少なくとも1つを通って該下にある組織部位に選択可能にアクセスするステップと
を包含する、方法。
(項目11a)
上記少なくとも1つの第2の通路と実質的に密閉の関係で該少なくとも1つの第2の通路を通って外科手術物体を前進させるステップをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目12a)
上記スリーブから上記ポートを選択可能に取り外すステップをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目13a)
Hasson切開内に上記スリーブを挿入するステップをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14a)
結腸にアクセスするために患者内に上記スリーブを挿入するステップをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目15a)
上記スリーブおよび上記ポートが互いに対してロックされた位置になるように、クランプを用いて該スリーブとポートとを連結するステップをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16a)
上記スリーブの上記第1の通路を通って標本を引っ込めるステップをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0011】
(摘要)
外科手術アクセスアセンブリはスリーブとポートとを含む。
【0012】
下にある組織部位にアクセスするために組織内に挿入するように適合される。スリーブは、スリーブを通る第1の通路を規定する。スリーブは、スリーブを通る第1の通路を規定する。第1の通路は、第1の直径を有する。ポートは、ポートを通って延びる1つ以上の第2の通路を規定する。ポートは、スリーブの第1の通路と実質的に密閉の関係でスリーブの第1の通路内に挿入されるように適合される。1つ以上の第2の通路は、1つ以上の第2の通路を通って外科手術物体を実質的に密閉して受容するように適合される。1つ以上の第2の通路は、1つ以上の第2の直径を有する。ポートは、スリーブの第1の通路内に選択可能で取り外し可能に位置決め可能である。第1の直径は、1つ以上の第2の直径より大きい。
【0013】
本開示の様々な実施形態は、以下に図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、部品が分離されている、本開示に従う外科手術アクセスアセンブリの一実施形態の分解組立断面図である。
【図2】図2は、本開示に従うクランプの一実施形態の平面図である。
【図3】図3は、組織内に位置を決められて示される、図1の外科手術アクセスアセンブリの断面図である。
【図4】図4は、複数の器具が外科手術アクセスアセンブリの中に位置を決められて示される、本開示に従う外科手術アクセスアセンブリの別の実施形態の側面図である。
【図5】図5は、複数の器具が外科手術アクセスアセンブリの中に位置を決められて示される、図4のアクセスアセンブリの上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態の詳細な説明)
本開示の特定の実施形態が、本明細書において添付の図面を参照して説明される。図面において示されかつ以下の説明の全体を通して説明されるように、そして物体に対して相対的な位置決めをいうとき従来のように、用語「近位」または「後(trailing)はユーザにより近い、装置の端部をいい、用語「遠位」または「前(leading)はユーザからより遠い、装置の端部をいう。以下の説明において、不必要な詳細で本開示を不明瞭にすることを避けるために、周知の機能または構成は詳細に説明されない。
【0016】
本明細書において説明される1つのタイプの最小侵襲性外科手術は、単一の外科手術ポートを通る複数の器具アクセスである。この技術は最小侵襲性外科手術処置であり、その最小侵襲性外科手術処置は典型的には患者のへそである単一の入口点を通って外科医が操作することを可能にする。開示される処置は、体腔に通気し、患者の皮膚における開口部(例えば、切開または自然に存在する穴)内にハウジング部材の位置を決めることを伴う。内視鏡と、グラスパ、ステープラ、鉗子または類似のものなどの追加の器具とを含む複数の器具は、外科手術処置を実行するためにポート内に導入され得る。
【0017】
ここで図面を参照すると、図面において同様な参照数字はいくつかの図を通して同一かまたは実質的に類似する部品を識別し、図1は、スリーブ110とポート120とを含む外科手術アクセスアセンブリ100を例示する。スリーブ110は、スリーブ本体112と一体に形成され、スリーブ本体112の近位端に第1の端部112aと、遠位端に第2の端部112bとを有するスリーブ本体112を含む。スリーブ本体112は、切開または自然の穴の組織路「TT」(図3)に順応するために、例えば、ゴムなどのエラストマー材料などの可撓性材料または任意の他の適切な材料から形成され得る。代わりに、下記にさらに説明されるように、スリーブ本体112は、非可撓性材料から形成され得、ポートの付勢力のために切開または自然の穴の組織路「TT」(図3)に順応し得る。
【0018】
複数の実施形態において、環状のリング112aであり得る第1の端部112aおよび環状のリング112bであり得る第2の端部112bは、例えばポリマー材料などの剛性材料および/または半剛性の材料、または任意の他の適切な材料から形成され得る。例えば、第1の端部112aは環状のリング112aを含み得、第2の端部112bは環状のリング112bを含み得、環状のリング112aおよび環状のリング112bは、前環状のリング112bが体における切開または開口部の中に挿入されるように変形され得るように半剛性でありかつ一旦スリーブが切開または開口部内に配置されると切開または開口部内にスリーブを保持するように最初の位置の方に弾性をもって付勢される材料から形成される。さらに、第1の端部112aは、後環状のリングが切開内へのポートの挿入前、挿入中または挿入後に切開を収縮させるためにスリーブ112の上に例えば回転され得るように、半剛性である材料から形成される環状のリングを含み得る。第1のリング112aは、例えば、回転させられるリングの能力を改善するために、ユーザに把持表面を提供し、非回転に抵抗するスリーブの能力を改善する、例えば断面形状などの任意の数の種々の形状を有し得る。代わりに、円形または実質的に円形の断面を有する単純なリング112aが用いられ得る。
【0019】
図3に最も良く示されるように、スリーブ110は、例えば腹腔鏡外科手術処置に関連して腹壁または腹膜壁を通って下にある組織部位「TS」にアクセスするために、組織「T」内に挿入されるように適合される。スリーブ110は、スリーブ110を通る第1の通路114を規定する。第1の通路114は、下にある組織部位「TS」への密閉しないアクセスを可能にする。第1の通路114は、ポート120を第1の通路114に収容するように適合される第1の直径を有する。
【0020】
ポート120は、ポート120を通って延びる1つ以上の第2の通路122を規定する。用いられ得る1つのタイプのポートは、2007年10月5日に出願された本出願人の米国仮特許出願第60/997,885号に開示されそして例示され、その仮出願の内容全体が本明細書に参照によって援用される。スリーブ110が組織「T」の開口部を通って挿入されたとき、ポート120は、スリーブの第1の通路と実質的に密閉の関係でスリーブ110の第1の通路内に挿入されるように適合される。1つ以上の第2の通路122は、1つ以上の第2の通路を通って、例えばカニューレまたは他のタイプの外科手術器具などの外科手術物体「I」(図4および図5)を実質的に密閉して受容するように適合される。1つ以上の第2の通路122は、1つ以上の第2の通路122と実質的に密閉した関係で様々な寸法で作られた外科手術物体「I」(図4および図5)を収容するために1つ以上の第2の直径を有し得る。ポート120がスリーブ110の第1の通路114内に選択可能で取り外し可能に位置を決められ得るように、第1の直径は1つ以上の第2の直径より大きい。ポート120は、1つ以上の外科手術物体「I」(図4および図5)の周りに密閉を形成するほど十分な順応性を有する適切な発泡体またはゲル材料などの使い捨てで圧縮可能でかつ/または可撓性のタイプの材料から作られ得る。発泡体は、好ましくは外科手術物体の非軸運動に対応するほど十分に順応性がある。一実施形態において、発泡体はポリイソプレンを含む。複数の実施形態において、材料はエラストマーであり得る。
【0021】
ここで図2および図3を参照すると、1つ以上のクランプ130は、スリーブ110とポート120とを動作可能に連結し得る。1つ以上のクランプ130は、クランプされた構成(図3)とクランプされない構成(図2)との間で再位置決め可能である。図2に示されるように、1つ以上のクランプ130は、例えばねじ「S」およびナット「N」ならびに第1の部分130aおよび第2の部分130bなどの1つ以上のロッキング要素132を含み得る。図3を参照すると、1つ以上のロッキング要素132は、クランプされた構成で位置を決められた場合、スリーブ110とポート120とをロックするように適合される。特に、ねじ「S」は、第1の部分130aおよび第2の部分130bの各々内に規定されるねじ穴(図示されていない)を通って、スリーブ本体112がポート120に固定されるまで締め付けられ得る。図3に最も良く示されるように、第1の部分130aおよび第2の部分130bは、ポート120の上部リップ124aと下部リップ124bとの間のポート120の周囲に規定されるチャネル126内に固定されるように適合され得る。
【0022】
外科手術アクセスアセンブリ100の使用時、スリーブ110、210は、第1の通路114を通って、下にある組織部位「TS」(例えば、結腸、子宮など)に選択可能にアクセスするために、例えば、へそ切開もしくはHasson切開、または、肛門および膣を含み得る、患者の自然の穴などの切開における所定の深さまで選択可能に位置を決められる。ポート120は、次いで、1つ以上の第2の通路122を通って下にある組織部位「TS」に選択可能にアクセスするために、スリーブ110の第1の通路114内に選択可能に位置を決められ得る。図1〜図3に示される実施形態において、ポート120は、切開の外側に位置を決められるように構成され(図3を参照されたい)、その結果、ポート120の遠位面が患者の体の外壁に対するように置かれている。図3に例示されるように、クランプ130は次いで、スリーブ110、210およびポート120、220が互いに対してロックされた位置になるように、スリーブ110とポート120とを連結するために用いられ得る。外科手術物体「I」は次いで、1つ以上の第2の通路122と実質的に密閉の関係で1つ以上の第2の通路122を通って前進させられ得、必要に応じ、下にある組織部位「TS」に作業空間を作るために、例えばCOなどの通気流体が、1つ以上の外科手術物体「T」を用いて下にある組織部位「TS」の中に導入され得る。医療従事者が、例えば下にある組織部位「TS」から標本を取るために、より大きな直径を通って下にある組織部位「TS」にアクセスする必要がある場合、医療従事者は次いで、クランプ130を容易に選択可能に分離し、スリーブ110からポート120を外し、第1の通路114を通って再びアクセスし得る。
【0023】
図4および図5に例示されるように、外科手術アクセスアセンブリの一実施形態は、全体的に200として示される。この実施形態において、外科手術アクセスアセンブリ200は、スリーブ210とポート220とを含む。スリーブ210は、スリーブ本体212と一体に形成されるか、またはさもなければスリーブ本体212に接続されるスリーブ本体212の近位端に第1の端部212aと、遠位端に第2の端部212bとを有するスリーブ本体212を含む。スリーブ210およびポート220のうちの1つまたは両方は、実質的に腰細の形状であり得る。代わりに、ポート220は、腰細の形状であり得、一方スリーブ212は、非動作位置の場合概ね円筒形であり得る。
【0024】
外科手術アクセスアセンブリ200の使用時、スリーブ210は、第1の通路114を通って、下にある組織部位「TS」(例えば、結腸、子宮など)に選択可能にアクセスするために、例えば、へそ切開もしくはHasson切開、または、肛門および膣を含み得る、患者の自然の穴などの切開における所定の深さまで選択可能に位置を決められる。ポート220は、次いで、1つ以上の第2の通路122を通って下にある組織部位「TS」に選択可能にアクセスするために、スリーブ110、210の第1の通路114内に選択可能に位置を決められ得る。スリーブ110およびポート120が互いに対してロックされた位置になるように、クランプ130がスリーブ110とポート120とを連結するために用いられる、図1〜図3に示される実施形態とは異なり、この実施形態において、ポート220は、切開または開口部内に適合するように圧縮された後、外側に拡張するポート220の付勢力によって適切な位置に維持される。より具体的には、切開または開口部がない場合、ポート220は、どんな方法でもスリーブ210に対して確実に取り付けられないしまたは固定されないで、むしろスリーブ210に対して完全に自由に動く。スリーブ210は、ポート220と係合しないで、むしろ切開または開口部の壁と可撓性ポートの側壁との間に置かれる。有利なことには、ポート220は、患者の切開または開口部の厚さを通って十分に延びるように寸法設定され、例えば、その結果、ポート220の上部分は、切開または開口部の外壁の上に位置を決められ、ポート220の中間部分は、切開または開口部内に位置を決められ、ポート220の下部分は、切開または開口部の下壁の下に位置を決められ、それによって、ポート220は、切開または開口部内の適切な位置に維持され、切開または開口部内のすべての位置において適切な密閉を提供する。外科手術物体「I」は次いで、1つ以上の第2の通路122と実質的に密閉の関係で1つ以上の第2の通路122を通って前進させられ得、必要に応じ、下にある組織部位「TS」に作業空間を作るために、例えばCOなどの通気流体が、1つ以上の外科手術物体「T」を用いて下にある組織部位「TS」の中に導入され得る。医療従事者が、例えば下にある組織部位「TS」から標本を取るために、より大きな直径を通って下にある組織部位「TS」にアクセスする必要がある場合、医療従事者は次いで、スリーブ210からポート220を容易に選択可能に外し、第1の通路114を通って再びアクセスし得る。さらに、所望する場合、医療従事者は次いで、スリーブ210内にポート220を戻し得、スリーブ210におけるそして切開または開口部内における適切な位置にあるポート220を用いて外科手術処置の他の局面に対して続行し得る。
【0025】
本開示の複数の実施形態において、外科手術アクセスアセンブリ100、200は、ポート120、220がスリーブ110、210内に配置され組み立て済の状態で入手され得る。代案において、ポート120、220は、上記に考察されるように、外科手術部位においてスリーブ110、210内に位置を決められ得る。
【0026】
本開示の例示的実施形態が添付の図面を参照して本明細書に説明されたが、上記の説明、開示および図は、限定するものとして解釈されるべきではなく、特定の実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。従って、本開示がそれらの正確な実施形態に限定されないこと、および様々な他の変更および修正が本開示の範囲または精神から逸脱することなく当業者によって本明細書において達成され得ることは理解されるべきである。
【符号の説明】
【0027】
100 外科手術アクセスアセンブリ
110 スリーブ
112 スリーブ本体
114 第1の通路
120 ポート
122 第2の通路
126 チャネル
132 ロッキング通路
210 スリーブ
212 スリーブ本体
220 ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下にある組織部位にアクセスするために組織内に挿入するように適合されるスリーブであって、該スリーブは該スリーブを通る第1の通路を規定し、該第1の通路は第1の直径を有する、スリーブと、
ポートであって、該ポートを通って延びる少なくとも1つの第2の通路を規定し、該ポートは、該スリーブの該第1の通路と実質的に密閉の関係で該スリーブの該第1の通路内に挿入されるように適合され、該少なくとも1つの第2の通路は、該少なくとも1つの第2の通路を通って外科手術物体を実質的に密閉して受容するように適合され、該少なくとも1つの第2の通路は、少なくとも1つの第2の直径を有する、ポートと
を備え、
該ポートは、該スリーブの該第1の通路内に選択可能で取り外し可能に位置決め可能であり、該第1の直径は、該少なくとも1つの第2の直径より大きい、外科手術アクセスアセンブリ。
【請求項2】
前記第1の通路は、前記下にある組織部位への密閉されないアクセスを可能にする、請求項1に記載の外科手術アクセスアセンブリ。
【請求項3】
前記スリーブは、第1および第2の端部を有するスリーブ本体を含む、請求項1に記載の外科手術アクセスアセンブリ。
【請求項4】
前記スリーブ本体は、可撓性材料から形成され、前記第1および第2の端部は、剛性の材料および半剛性の材料のうちの少なくとも1つから形成される、請求項1に記載の外科手術アクセスアセンブリ。
【請求項5】
前記スリーブおよび前記ポートを動作可能に連結する少なくとも1つのクランプをさらに備えている、請求項1に記載の外科手術アクセスアセンブリ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのクランプは、クランプされた構成とクランプされない構成との間で再位置決め可能である、請求項5に記載の外科手術アクセスアセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのクランプは、少なくとも1つのロッキング要素を含み、該少なくとも1つのロッキング要素は、クランプされた構成に位置を決められたとき、前記スリーブと前記ポートとを一緒にロックするように適合される、請求項6に記載の外科手術アクセスアセンブリ。
【請求項8】
前記スリーブおよび前記ポートのうちの少なくとも1つは実質的に腰細の形状である、請求項1に記載の外科手術アクセスアセンブリ。
【請求項9】
前記ポートは、複数の第2の通路を含む、請求項1に記載の外科手術アクセスアセンブリ。
【請求項10】
下にある組織部位にアクセスするシステムであって、
外科手術アクセスアセンブリであって、該外科手術アクセスアセンブリは、
スリーブであって、該スリーブを通る第1の通路を規定するように構成され、該第1の通路は第1の直径を有する、スリーブと、
ポートであって、該ポートを通って延びる少なくとも1つの第2の通路を規定するように構成され、該少なくとも1つの第2の通路は、少なくとも1つの第2の直径を規定し、該少なくとも1つの第2の直径は該第1の直径よりも小さい、ポートと
を備え、
該スリーブは、患者の切開または自然の穴に選択可能に位置を決められるように構成され、
該ポートは、該スリーブの該第1の通路内に選択可能に位置を決められるように構成され、
該下にある組織部位は、該第1の通路および該少なくとも1つの第2の通路のうちの少なくとも1つを通って選択可能にアクセスされるように構成される、システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第2の通路と実質的に密閉の関係で該少なくとも1つの第2の通路を通って前進するように構成される物体をさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ポートは、前記スリーブから選択可能に取り外されるように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記スリーブは、Hasson切開内に挿入されるように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記スリーブは、結腸にアクセスするために患者内に挿入されるように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記スリーブおよび前記ポートが互いに対してロックされた位置になるように、該スリーブおよび該ポートは、連結されるように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記スリーブの前記第1の通路は、該スリーブの第1の通路を通って標本を引っ込めることを可能にするように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
下にある組織部位にアクセスするために組織内に挿入するように適合されるスリーブであって、該スリーブは該スリーブを通る第1の通路を規定し、該第1の通路は第1の直径を有する、スリーブと、
可撓性ポートであって、該可撓性ポートを通って延びる少なくとも1つの第2の通路を規定し、該ポートは、該スリーブの該第1の通路内に挿入されるように適合され、該可撓性ポートは、該組織内に挿入のために圧縮可能であり、該組織内に該ポートを維持するようにかつ該ポートと該組織との間に該スリーブを維持するように、一旦該ポートが該切開内に正しく配置されると、付勢力を提供するように構成され、該少なくとも1つの第2の通路は、該少なくとも1つの第2の通路を通って外科手術物体を実質的に密閉して受容するように適合され、該少なくとも1つの第2の通路は、少なくとも1つの第2の直径を有する、ポートと
を備え、
該ポートは、該スリーブの該第1の通路内に選択可能で取り外し可能に位置決め可能であり、該第1の直径は、該少なくとも1つの第2の直径より大きい、外科手術アクセスアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−218168(P2011−218168A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84916(P2011−84916)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】