説明

スロットイン型ディスク装置

【課題】 スロットイン型ディスク装置において、ディスク駆動手段Aをトレイ型ディスク装置のそれと共通化する。ディスク搬入動作と光ピックアップの動作とを1つのモータで行わせる。2種類の異サイズのディスクを機械的に正確に判別する。
【解決手段】 光ピックアップなどを備えるディスク駆動手段Aにディスク搬送手段としての搬送ローラ25を組み合わせる。歯車列20によってモータMの動力を第1ピニオンと搬送ローラ25とに選択的に伝える。セレクトレバー91によって大サイズディスクと小サイズディスクとを判別する。スライダ30に、ディスクストッパ50の動作やピニオン・ラック機構の動作などを制御するためのカム機構を集約して具備させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットイン型ディスク装置、特に異サイズの大小2種類のディスクを取り扱うことができ、ディスク駆動手段の光ピックアップと、ディスクを搬入するためのディスク搬送手段とが単一のモータを駆動源として動作するようになっているスロットイン型ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクを光ピックアップで光学的に処理するディスク装置には、ディスクをディスクトレイに乗せて搬入するタイプ(トレイ型という)や、ディスクに直接に送り力を与えてディスクを単独で搬入するタイプ(スロットイン型という)などがあり、いずれのタイプのディスク装置についても、ディスク搬入から光ピックアップによる光学的処理に至るまでの途中で、搬入したディスクをターンテーブルに確実に保持させることが要求され、また、ターンテーブルと共にディスクを回転させながら光ピックアップによる光学的処理が行われるという点で共通している。言い換えると、そのようなディスクの装着や光ピックアップの動作を行わせるためのディスク駆動手段の作用はトレイ型とスロットイン型とに共通している。この点に着目すると、スロットイン型ディスク装置の量産性を向上させるためには、トレイ型ディスク装置とスロットイン型ディスク装置との両方に同一構成のディスク駆動手段を共用し、そのディスク駆動手段に、トレイ型又はスロットイン型のそれぞれに適するディスク搬送手段を組み合わせてディスク装置を構成することが有効であると云える。
【0003】
一方、スロットイン型ディスク装置については、異サイズの2種類のディスクを取り扱うものが従来より種々提案されている(たとえば特許文献1〜5参照)。このうち、特許文献1には、搬送ローラによりディスクを吸い込ませる場合に、種々のアームやストッパ、カム手段をなどを組み合わせることによって、大小2種類のディスクを機械的に判別するようにしたものが記載されている。特許文献2〜5にも同様に機械的に大小2種類のディスクを判別するものが記載されている。
【0004】
また、従来より、ディスク装置において、ディスクの搬入からクランプまでの工程の正確性を図る技術(特許文献6)が提案されているほか、ディスクの搬入と光ピックアップの送り動作とを1つのモータで行わせる技術(特許文献7〜9)も提案されている。
【特許文献1】特開平6−44660号公報
【特許文献2】特開2002−175658号公報
【特許文献3】特開2002−150650号公報
【特許文献4】特開2000−113546号公報
【特許文献5】特開2003−257108号公報
【特許文献6】特開2004−152345号公報
【特許文献7】特開2002−288911号公報
【特許文献8】特開2003−59153号公報
【特許文献9】特開2004−19862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の状況に鑑みてなされたものである。すなわち、スロットイン型ディスク装置において、トレイ型ディスク装置のディスク駆動手段を流用することが容易であるだけでなく、ディスクの搬入と光ピックアップの送り動作とを1つのモータで行わせることを可能にする対策を講じ、しかも、ディスクの搬入の動作と光ピックアップの動作とを適切なタイミングを保って連動させることの対策を講じることによって、量産性に適応させることの容易なスロットイン型ディスク装置を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、2種類の異サイズのディスクを機械的に正確に判別することが可能であり、搬入されたディスクのサイズに応じた適切なタイミングでターンテーブルへのディスクの装着や光ピックアップの動作を行わせることのできるスロットイン型ディスク装置を提供することを目的とする。
【0007】
さらに、本発明は、2種類の異サイズのディスクの機械的な判別動作やディスク駆動手段の動作タイミングなどを図るための各機構を単一のスライド部材に集約することによって、それらの動作安定性や動作信頼性を向上させることのできるスロットイン型ディスク装置を提供することを目的とする。
【0008】
さらに、本発明は、上記各目的を達成することができるにもかかわらず、構成が簡単で必要部品点数が少なく抑えられるスロットイン型ディスク装置を提供すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るスロットイン型ディスク装置は、ターンテーブルと、このターンテーブルに載架されたディスクの径方向に沿う方向に走行してそのディスクに対する光学的処理を行う光ピックアップと、この光ピックアップを走行させるための第1ピニオン・ラック機構と、この第1ピニオン・ラック機構の第1ラックを第1ピニオンから離間させて上記光ピックアップを初期位置に保持するロック機構と、このロック機構によるロック状態を解除するロック解除機構と、上記第1ピニオンを含みかつモータに連結された歯車列とを備えるディスク駆動手段に、異サイズの2種類のディスクから選択されたディスクに送り力を付与してそのディスクを上記ターンテーブルに対して搬入するためのディスク搬送手段を組み合わせてなる。
【0010】
そして、上記歯車列によって、上記モータの動力を上記第1ピニオンに伝える第1伝達路と、上記ディスク搬送手段に伝える第2伝達路とが形成されていると共に、上記ディスク搬送手段によって搬入されたディスクが係合してそのディスクにより直線路に沿って後退方向に押し込まれるディスクストッパと、上記ディスク搬送手段によるディスクの搬入が終了するタイミングに合わせて上記ディスクストッパをそのディスクから離れる位置まで後退させるディスクストッパ押切り機構と、このディスクストッパ押切り機構に連動して上記ディスク搬送手段を動作位置から非動作位置に退避させるディスク搬送停止機構と、このディスク搬送停止機構の退避動作と上記ロック解除機構の動作とに連動してディスクをターンテーブルに保持させるディスククランプ機構と、を備えている。
【0011】
この発明において、異サイズの2種類のディスクから選択されたディスクは、ディスク搬送手段により送り力が付与されてターンテーブルに対して搬入されるので、異サイズの2種類のディスクの使い分けが可能であり、しかも、ディスクにはディスク搬送手段により送り力が付与されるため、ディスク搬送手段がスロットイン型ディスク装置に適したものになる。
【0012】
また、ディスク駆動手段が、ターンテーブルと、光ピックアップと、光ピックアップを走行させるための第1ピニオン・ラック機構と、この第1ピニオン・ラック機構の第1ラックを第1ピニオンから離間させて上記光ピックアップを初期位置に保持するロック機構と、このロック機構によるロック状態を解除するロック解除機構と、上記第1ピニオンを含みかつモータに連結された歯車列とを備えていて、そのようなディスク駆動手段に、ディスククランプ機構を付加する構成を採用しているので、ディスク駆動手段の構成がトレイ型ディスク装置のそれと共通化される。そのため、ディスク駆動手段として、トレイ型ディスク装置のディスク駆動手段を流用することが可能になってスロットイン型ディスク装置の量産性を図りやすくなる。
【0013】
さらに、上記歯車列に第1伝達路と第2伝達路とを形成することにより、1つのモータの動力を光ピックアップを動作させるための第1ピニオンとディスクに送り力を付与するためのディスク搬送手段とに伝えることを可能にしているので、トレイ型ディスク装置のディスク駆動手段を流用することが可能であるにもかかわらずモータが1つで済むという利点がある。
【0014】
さらに、ディスクストッパと、ディスクストッパ押切り機構、ディスク搬送停止機構、ディスククランプ機構などの各機構の動作タイミングを適切に定めてあることにより、ディスク搬入から光ピックアップによるディスクの光学的処理に至る動作が円滑に行われる。
【0015】
本発明では、上記ディスクストッパ押切り機構が、上記歯車列に介在されている第2ピニオンに噛み合う第2ラックを一体に備えたスライダと、このスライダに形成された押切りカム機構と、この押切りカム機構の作用を通じてスライダのスライド動作を上記ディスクストッパの後退動作に変換する単一の制御アームとを備えていることが望ましい。この構成であれば、ディスクストッパ押切り機構の押切りカム機構とディスクストッパとが単一の制御アームによって連係されてディスクストッパ押切り機構を少ない数の部品で簡単に構成することが可能になる。
【0016】
本発明では、上記押切りカム機構が、上記ディスク搬送手段によるディスクの搬入が終了するタイミングに合わせて上記スライダをスライドさせることにより、上記第2ラックを上記第2ピニオンに対する離間位置からその第2ピニオンに対する噛合い位置まで移動させるスライダ始動手段を備えていることが望ましい。これによれば、スライダ始動手段が押切りカム機構の一部分によって構成されているために、スライダ始動手段を別途構成する必要がなくなってそれだけ構成が簡単になる。
【0017】
本発明では、上記スライダ始動手段が、大サイズディスクに対応する第1始動手段と小サイズディスクに対応する第2始動手段とに分かれていると共に、大サイズディスクが搬入されたときに第1始動手段だけを動作させ、小サイズディスクが搬入されたときに第2始動手段だけを動作させるセレクト機構を備えているという構成を採用することが可能である。これによれば、搬入されたディスクの大きさを機械的に判別することがセレクト機構によって可能になる。
【0018】
本発明では、上記第1始動手段が、上記押切りカム機構のカム面に具備された係合部と、上記カム面と共働して上記押切りカム機構を形成しかつ大サイズディスクにより上記ディスクストッパが押込み限界位置付近から押込み限界位置まで押し込まれたときに上記係合部に係合してその係合部を押すことにより上記スライダをスライドさせるカムフォロワとによって構成され、上記第2始動手段が、上記カム面の初期位置に位置する上記カムフォロワに対向して上記スライダに設けられた突起と、小サイズディスクにより上記ディスクストッパが押込み限界位置付近から限界位置まで押し込まれたときに上記突起を押すことにより上記スライダをスライドさせる上記カムフォロワとによって構成され、上記セレクト機構が、ディスク未搬入時に上記カム面の初期位置に位置する上記カムフォロワと上記突起との間に介在され、かつ、大サイズディスクが搬入されたときにのみ応動して上記カムフォロワと上記突起との相互間位置の外側に退避するばね板を備え、上記第2始動手段の上記カムフォロワによる上記突起を押す動作が、そのカムフォロワに押されて撓み変形した上記ばね板を介して行われるようになっているという構成を採用することができる。この場合、上記ばね板は、大サイズディスクが搬入されたときにその大サイズディスクに押されて当該ばね板を上記相互間位置に退避させる方向に揺動変位し、かつ、小サイズディスクが搬入されたときには初期位置に位置して当該ばね板を上記相互間位置に保つセレクトレバーの先端に設けられていることが望ましい。この構成を採用すると、構成が簡単でありながら、搬入されたディスクの大きさに応じて第1始動手段や第2始動手段が正確に動作するようになる。
【0019】
本発明は次の構成を採用することによっていっそう具体化される。すなわち、ターンテーブルと、このターンテーブルに載架されたディスクの径方向に沿う方向に走行してそのディスクに対する光学的処理を行う光ピックアップと、この光ピックアップを走行させるための第1ピニオン・ラック機構と、この第1ピニオン・ラック機構の第1ラックを第1ピニオンから離間させて上記光ピックアップを初期位置に保持するロック機構と、このロック機構によるロック状態を解除するロック解除機構と、上記第1ピニオンを含みかつモータに連結された歯車列とを備えるディスク駆動手段に、異サイズの2種類のディスクから選択されたディスクに送り力を付与してそのディスクを上記ターンテーブルに対して搬入するためのディスク搬送手段を組み合わせてなり、上記歯車列によって、上記モータの動力を上記第1ピニオンに伝える第1伝達路と、上記ディスク搬送手段に伝える第2伝達路とが形成されていると共に、上記ディスク搬送手段によって搬入されたディスクが係合してそのディスクにより直線路に沿って後退方向に押し込まれるディスクストッパと、上記ディスク搬送手段によるディスクの搬入が終了するタイミングに合わせて上記ディスクストッパをそのディスクから離れる位置まで後退させるディスクストッパ押切り機構と、このディスクストッパ押切り機構に連動して上記ディスク搬送手段を動作位置から非動作位置に退避させるディスク搬送停止機構と、このディスク搬送停止機構の退避動作と上記ロック解除機構の動作とに連動してディスクをターンテーブルに保持させるディスククランプ機構と、を備え、上記ディスクストッパ押切り機構が、上記歯車列に介在されている第2ピニオンに噛み合う第2ラックを一体に備えたスライダと、このスライダに形成された押切りカム機構と、この押切りカム機構の作用を通じてスライダのスライド動作を上記ディスクストッパの後退動作に変換する単一の制御アームとを備え、上記押切りカム機構が、上記ディスク搬送手段によるディスクの搬入が終了するタイミングに合わせて上記スライダをスライドさせることにより、上記第2ラックを上記第2ピニオンに対する離間位置からその第2ピニオンに対する噛合い位置まで移動させるスライダ始動手段を備え、そのスライダ始動手段が、上記押切りカム機構のカム面に具備された係合部と、上記カム面と共働して上記押切りカム機構を形成しかつ大サイズディスクにより上記ディスクストッパが押込み限界位置付近から押込み限界位置まで押し込まれたときに上記係合部に係合してその係合部を押すことにより上記スライダをスライドさせるカムフォロワとによって構成されて大サイズディスクに対応する第1始動手段と、上記カム面の初期位置に位置する上記カムフォロワに対向して上記スライダに設けられた突起と、小サイズディスクにより上記ディスクストッパが押込み限界位置付近から限界位置まで押し込まれたときに上記突起を押すことにより上記スライダをスライドさせる上記カムフォロワとによって構成されて小サイズディスクに対応する第2始動手段とに分かれていると共に、大サイズディスクが搬入されたときに第1始動手段だけを動作させ、小サイズディスクが搬入されたときに第2始動手段だけを動作させるセレクト機構を備え、上記セレクト機構が、ディスク未搬入時に上記カム面の初期位置に位置する上記カムフォロワと上記突起との間に介在され、かつ、大サイズディスクが搬入されたときにのみ応動して上記カムフォロワと上記突起との相互間位置の外側に退避するばね板を備え、上記第2始動手段の上記カムフォロワによる上記突起を押す動作が、そのカムフォロワに押されて撓み変形した上記ばね板を介して行われるようになっていると共に、上記ばね板は、大サイズディスクが搬入されたときにその大サイズディスクに押されて当該ばね板を上記相互間位置に退避させる方向に揺動変位し、かつ、小サイズディスクが搬入されたときには初期位置に位置して当該ばね板を上記相互間位置に保つセレクトレバーの先端に設けられており、上記ディスク搬送停止機構及び上記ディスククランプ機構の各動作が、上記押切りカム機構と共に上記スライダに設けられた各別のカム機構によって制御されるようになっている、という構成を採用することによっていっそう具体化される。そして、この発明によれば、ディスク搬送停止機構及びディスククランプ機構の各動作や、セレクト機構の動作が、1つのスライダの動作を介して制御されるようになる。そのため、2種類の異サイズのディスクの機械的な判別動作やディスク駆動手段の動作タイミングなどを確保するための各機構が単一のスライド部材に集約されてそれらの動作安定性や動作信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明に係るスロットイン型ディスク装置によれば、トレイ型ディスク装置のディスク駆動手段を流用した場合でも、ディスクの搬入と光ピックアップの送り動作とを1つのモータで行わせることが可能になって、スロットイン型ディスク装置の量産化を促進することが容易になり、そのようなスロットイン型ディスク装置を安価に提供することが可能になる。その上、2種類の異サイズのディスクを機械的に正確に判別し、搬入されたディスクのサイズに応じた適切なタイミングでターンテーブルへのディスクの装着や光ピックアップの動作を行わせることができるので、電気的なディスク判別制御を行う必要がなくなり、この点からもスロットイン型ディスク装置を安価に提供することが可能になる。さらに、2種類の異サイズのディスクの機械的な判別動作やディスク駆動手段の動作タイミングなどを図るための各機構を単一のスライド部材に集約したものでは、それらの動作安定性や動作信頼性を向上し、構成が簡単で必要部品点数が少なく抑えられてユーザにとって使い勝手がよく、しかも、動作安定性や動作信頼性に優れたスロットイン型ディスク装置を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1〜図5は大サイズディスク使用時のスロットイン型ディスク装置の構成や作用を示した説明図、図6〜図8は小サイズディスク使用時のスロットイン型ディスク装置の構成や作用を示した説明図、図9は歯車列の説明図、図10は制御アームの平面図、図11は押切りカム機構などの構成と作用を示した説明図、図12はロック機構とロック解除機構とを説明的に示した横断面図、図13は図12のXIII矢視図に相応する拡大図である。
【0022】
図9、図12及び図13を参照してディスク駆動手段Aを説明する。ディスク駆動手段Aは、図示していないモータに直結されたターンテーブル11と、光ピックアップ12と、第1ピニオン・ラック機構13と、ロック機構16と、ロック解除機構18と、歯車列20とを備えている。ターンテーブル11はフレーム枠10の略中央部に配備され、光ピックアップ12は、ターンテーブル11に対する遠近方向の直線経路に沿って走行するようにフレーム枠10に取り付けられている。光ピックアップ12は、ターンテーブル11に載架されたディスク(不図示)を光学的に走査処理するのであって、上記遠近方向はそのディスクの半径方向Rに一致している。光ピックアップ12には、上記第1ピニオン・ラック機構13の第1ラック14が備わっており、その相手方である第1ピニオン15が図9に示した歯車列20に介在されている。ロック機構16は、第1ラック14と一体に設けられた係合ピン16aと、第1ラック14の移動方向に対し直交する方向に移動可能な可動枠17に具備された係合溝部16bとによって構成されており、光ピックアップ12が図12に示した初期位置に位置しているときには、係合ピン16が図示のように係合溝部16bに嵌合して第1ラック14の移動を阻止することにより光ピックアップ12を初期位置に保持している(ロック状態)のに対し、このロック状態から可動枠17が図中右方向(矢印b)に往動すると、係合ピン16aが係合溝部16bに連続するカム溝16cにより案内されて第1ラック14を矢印aのように後押しする。ここで、光ピックアップ12が初期位置に位置しているときには、図示のように第1ラック14が第1ピニオン15から離間しており、可動枠17の矢印b方向の往動でカム溝16cにより案内された係合ピン16aが第1ラック14を後押しすると、その第1ラック14が第1ピニオン15に噛み合って光ピックアップ12が第1ピニオン15の回転方向に応じてディスクの半径方向Rに正逆移動しディスクの光学的処理を行うようになっている。ロック解除機構18はロック機構16によるロック状態を解除する作用を担っている。このロック解除機構18は、後述するスライダ30の第1カム板30Aに設けられている長孔31の一端縁31aと、可動枠17に突設されて長孔31に嵌合された係止軸32とによって形成されており、スライダ30が矢印c方向に移動して長孔31の一端縁31aが係止軸32を図中右方向に押し移動させることによって動作するものである。図19に示した歯車列20は、フレーム枠10の前側スペースSに配備されて、フレーム枠10のモータ設置スペースS1に設置されたモータMの回転を伝達する作用を行う。
【0023】
この実施形態では、上記したディスク駆動手段Aを筐体100(図1など参照)に収容し、その筐体100のスロット部分に臨ませて図9に示した搬送ローラ25でなるディスク搬送手段を取り付けることにより、この搬送ローラ25を上記ディスク駆動手段Aに組み合わせてある。
【0024】
搬送ローラ25は、その支軸26がスライダ30(図1などを参照)の第2カム板30Bに設けられたカム溝33に嵌合されていると共に、端部に従動歯車27を備え、この従動歯車27の相手方である歯車28が、第2ピニオン43(後述する)などを介して上記歯車列20の終端ギヤ29に連動連結されている。そして、第2カム板30Bが移動すると、カム溝33によって案内される支軸26の上下動によって、上記従動歯車26が歯車28に噛み合う位置と噛合いが解除される位置との間で移動する。
【0025】
図1〜図5又は図6〜図8に示したように、筐体100には、上記したディスク駆動手段Aが収容されているほか、ディスクストッパ50、上記スライダ30、ディスククランプ機構60などが収容されている。
【0026】
ディスクストッパ50は、ディスク搬入方向に対面してその搬入方向に平行な直線路に沿って前進後退自在に筐体100に取り付けられていて、そのディスクストッパ50には、円板状のディスクの外周端面の2箇所に係合してディスクに求心作用を及ぼす係止部51,51が備わっている。
【0027】
スライダ30は、第3カム板30Cを備えていて、上記した第1カム板30Aと第2カム板30Bとがこの第3カム板3Cの幅方向両端縁から立ち上げられている。そして、第2カム板30Bには、搬送ローラ25の支軸26を上下動させるための上記カム溝33のほか、ディスククランプ機構60を昇降させるためのカム溝34が備わり、それらの2つのカム溝33,34は略同一形状に形成されている。ディスククランプ機構60は、カム溝34に嵌合された係合軸65を中間部に備えたクランパホルダー61の一端部62を筐体100に回動自在に連結してあると共に、クランパホルダー61には、ターンテーブル11と共働してディスクを挟持するためのクランパ63が取り付けられている。
【0028】
図例のスロットイン型ディスク装置は、搬送ローラ25によるディスクの搬入が終了するタイミングに合わせてディスクストッパ50をそのディスクから離れる位置まで後退させるディスクストッパ押切り機構と、このディスクストッパ押切り機構に連動して搬送ローラ25を動作位置から非動作位置に退避させるディスク搬送停止機構(カム溝33によって構成されている)とを備えていて、ディスク搬送停止機構による搬送ローラ25の退避動作と上記したロック解除機構18の動作とに連動してディスククランプ機構60が動作するようになっている。次に、ディスクストッパ押切り機構を説明する。
【0029】
ディスクストッパ押切り機構は、歯車列20に介在されている第2ピニオン43に噛み合う第2ラック71を一体に備えた上記スライダ30と、このスライダ30に形成された押切りカム機構72と、この押切りカム機構72の作用を通じてスライダ30のスライド動作をディスクストッパ50の後退動作に変換する単一の制御アーム76とを備えている。
【0030】
押切りカム機構72を図7又は図11を参照して説明する。押切りカム機構72は、所定形状のカム面73とこのカム面73と共働するカムフォロワ74とを備えていて、カム面73には、カムフォロワ74の初期位置を規定する1つの凹入部73aと、1つの係合部73bと、2つの押切り作用部73c,73dとが備わっているのに対し、上記カムフォロワ74は、中間部が軸体77を介して筐体100側に回動自在に取り付けられた略L字形の上記制御アーム76の一端部に設けられている。この押切りカム機構72において、係合部73bと上記カムフォロワ74とが大サイズディスクD1に対応する第1始動手段を形成している。また、カム面73の初期位置(凹入部73a)に位置するカムフォロワ74に対向してスライダ30に設けられた突起78とカムフォロワ74とが小サイズディスクD2に対応する第2始動手段を形成している。これらの第1始動手段や第2始動手段は、搬送ローラ25によるディスクD1,D2の搬入が終了するタイミングに合わせてスライダ30をスライドさせることにより、第2ラック71を第2ピニオン43に対する離間位置からその第2ピニオン43に対する噛合い位置まで移動させるスライダ始動手段を構成している。これに対し、上記制御アーム76の他端部には長孔79が備わり、その長孔79に、ディスクストッパ50に設けられている係止突起52が摺動自在に嵌合されている。
【0031】
そして、上記した第1始動手段の動作と第2始動手段の動作とが、筐体100に取り付けられたセレクト機構90によって選択されるようになっている。すなわち、大サイズディスクD1が搬入されたときにはセレクト機構90が第1始動手段だけを動作させ、小サイズディスクD2が搬入されたときにはセレクト機構90が第2始動手段だけを動作させる。
【0032】
セレクト機構90は図10に示したセレクトバー91を有している。このセレクトレバー91は、基端部92が筐体100に回動自在に取り付けられ、その先端部にばね板93を一体に備えていて、セレクトレバー91が基端部92を中心として揺動することにより、ばね板93が、カム面73の初期位置に位置するカムフォロワ74と突起78との相互間に介在される位置(図7に仮想線で示してある)と、カムフォロワ74と突起78との相互間位置の外側に退避する位置とで移動する。また、セレクトレバー91は、図10に例示したようにばね94によって、ばね板93がカムフォロワ74と突起78との相互間位置に近づく方向に常時弾発付勢されていると共に、そのフレクトレバー91の中間部に、大サイズディスクD1が搬入されたときにその大サイズディスクD1によって押し出される摺接部95を備えている。
【0033】
以上説明した構成を備える実施形態のスロットイン型ディスク装置では、大サイズディスク(直径12cm)D1と小サイズディスク(直径8cm)D2とを使い分けることが可能である。以下に、それぞれのディスクD1,D2を使用する場合の作用を説明する。
【0034】
図1〜図5は大サイズディスクD1(以下「ディスクD1」という)を搬入する段階からセット位置に配備するまでの段階を示している。
【0035】
筐体100のスロット部分にディスクD1を差し込むと、搬送ローラ25の回転によってディスクD1に送り力が付与されてディスクD1が図1(A)(B)の矢印dのように搬入される。この場合、搬送ローラ25には、図9に示したモータMの回転が、歯車列20や歯車28及び従動歯車27によって形成される第2伝達路を経て伝達されている。
【0036】
搬送ローラ25により送り力が付与されたディスクD1は、図2(A)(B)の矢印dのように送られてその外周端面の2箇所がディスクストッパ50の2つの係止部51,51に突き当たって求心作用を受けると共に、そのディスクD1がセレクトレバー91の摺接部95を押し出し、それに伴ってセレクトレバー91が外方へ揺動してばね板93が初期位置のカムフォロワ74と突起78との相互間位置の外側に退避する。
【0037】
搬送ローラ25から送り力を与えられているディスクD1がその後にディスクストッパ50を図3(A)の矢印eのように押し込んで後退させると、そのディスクストッパ50の後退動作が制御アーム76の揺動(矢印f)に変換されるので、それまでカム面73の初期位置に位置していたカムフォロワ74がカム面73の係合部73bまで移動する。この後、搬送ローラ25から送り力を与えられているディスクD1がさらにディスクストッパ50を後退させると、ディスクストッパ50が押込み限界位置付近から押込み限界位置まで押し込まれると共に、係合部73bに係合しているカムフォロワ74がその係合部73bを押してスライダ30を図4(A)の矢印gのようにスライドさせる。このときのスライダ30のスライドにより、第2ラック71が第2ピニオン43に対する離間位置からその第2ピニオン43に対する噛合い位置まで移動する。そのため、第1ピニオン43の回転が第2ラック71に伝達されるようになり、第1ピニオン43の回転によってスライダ30が矢印gのように移動すると、図5(B)のようにカム溝33の案内作用で搬送ローラ25の支軸26が動作位置から非動作位置まで下降して搬送ローラ25がディスクD1から離れてディスクD1の搬入が終了する。併せて、図5(B)のようにカム溝34の案内作用でディスククランパ60の係合軸65が下降し、ディスクD1がターンテーブル11とクランパ63とにより挟持される。また、このときのスライダ30のスライドにより、図11(A)(B)のように、カムフォロワ74がカム面73の一方の押切り作用部73cに到達する。この押切り作用部73cは、カム面73に対してレベル差δを備えているので、カムフォロワ74がカム面73の一方の押切り作用部73cに到達すると、制御アーム76が図11(B)の矢印fのようにさらに揺動し、この揺動によって、ディスクストッパ50が図5(A)(B)の矢印hのように後退してディスクD1から離れる。また、ディスクD1の搬入が終了するタイミングに合わせて、図12で説明したロック解除機構18が動作を開始し、第1ピニオン・ラック機構13の第1ラック14が第1ピニオン15に噛み合う。そのため歯車列20により形成される第1伝達路を経てモータMの回転が第1ピニオン15を経て第1ラック14に伝達され、光ピックアップ12が走行動作するようになる。
【0038】
ディスクD1を搬出するときには、モータMの回転が逆向きに切り換えられる。そのため、第1ラック14の係合ピン16aがカム溝16cを経て係合溝部16aに入ってロックされることと、クランパ63が復帰することと、第2ピニオン43の逆回転に伴うスライダ30の復帰方向へのスライド動作を通じて行われる制御レバー76の逆向き揺動を介してディスクストッパ50がディスクD1を押し出すことと、動作位置に復帰した搬送ローラ25が排出作用を発揮すること、などによってディスクD1が搬出される。
【0039】
図6〜図8は小サイズディスクD2(以下「ディスクD2」という)を搬入する段階からセット位置に配備するまでの段階を示している。
【0040】
筐体100のスロット部分にディスクD2を差し込むと、モータMの回転が歯車列20の第2伝達路を経て伝達されている搬送ローラ25の回転によってディスクD2に送り力が付与され、ディスクD2が図6の矢印dのように搬入される。
【0041】
搬送ローラ25により送り力が付与されたディスクD2は、図7のようにその外周端面の2箇所がディスクストッパ50の2つの係止部51,51に突き当たって求心作用を受ける。なお、ディスクD2は小サイズであるので、このディスクD2の搬入動作にセレクトレバー91が往動することはない。搬送ローラ25から送り力を与えられているディスクD2がその後にディスクストッパ50を図7のように押し込むと、ディスクストッパ50の後退動作が制御アーム76の揺動に変換されるので、それまでカム面73の初期位置に位置していたカムフォロワ74が、そのカムフォロワ74と突起78との相互間に介在されているばね体93を押して撓み変形させて突起78を矢印iのように押す。そのため、スライダ30がスライドして第2ラック71が第2ピニオン43に対する離間位置からその第2ピニオン43に対する噛合い位置まで移動する。その後、第1ピニオン43の回転が第2ラック71に伝達されるようになり、第1ピニオン43の回転によってスライダ30が矢印gのように移動すると、既述したようにカム溝33の案内作用で搬送ローラ25の支軸26が動作位置から非動作位置まで下降し、搬送ローラ25がディスクD1から離れてディスクD2の搬入が終了する。併せて、カム溝34の案内作用でディスククランパ60の係合軸65が下降し、ディスクD2がターンテーブル11とクランパ63とにより挟持される(図5参照)。また、このときのスライダ30のスライドにより、図8のように、カムフォロワ74がカム面73の他方の押切り作用部73dに到達する。この押切り作用部73dも、カム面73に対してレベル差を備えているので、カムフォロワ74がカム面73の他方の押切り作用部73dに到達すると、制御アーム76が図8の矢印fのようにさらに揺動し、この揺動によって、ディスクストッパ50が矢印hのように後退してディスクD2から離れる。また、ディスクD2の搬入が終了するタイミングに合わせて、図12で説明したロック解除機構18が動作を開始し、第1ピニオン・ラック機構13の第1ラック14が第1ピニオン15に噛み合う。そのため歯車列20により形成される第1伝達路を経てモータMの回転が第1ピニオン15を経て第1ラック14に伝達され、光ピックアップ12が走行動作するようになる。
【0042】
ディスクD2を搬出するときには、モータMの回転が逆向きに切り換えられる。そのため、第1ラック14の係合ピン16aがカム溝16cを経て係合溝部16aに入ってロックされることと、クランパ63が復帰することと、第2ピニオン43の逆回転に伴うスライダ30の復帰方向へのスライド動作を通じて行われる制御レバー76の逆向き揺動を介してディスクストッパ50がディスクD2の押し出すことと、動作位置に復帰した搬送ローラ25が排出作用を発揮すること、などによってディスクD2が搬出される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(A)は大サイズディスク搬入初期の概略平面図、(B)は同概略側面図である。
【図2】(A)は大サイズディスクがディスクストッパに係合した状態の概略平面図、(B)は同概略側面図である。
【図3】(A)は大サイズディスクの搬入終了直前の状態の概略平面図、(B)は同概略側面図である。
【図4】(A)は大サイズディスクの搬入が終了した状態の概略平面図、(B)は同概略側面図である。
【図5】(A)はディスクストッパが大サイズディスクから離れた状態の概略平面図、(B)は同概略側面図である。
【図6】小サイズディスク搬入初期の概略平面図である。
【図7】は小サイズディスクの搬入が終了した状態の概略平面図である。
【図8】小サイズディスクの搬入が終了した後にディスクストッパが小サイズディスクから離れた状態の概略平面図である。
【図9】歯車列の説明図である。
【図10】制御アームの平面図である。
【図11】(A)(B)は押切りカム機構の構成などを示した説明図である。
【図12】ロック機構とロック解除機構とを説明的に示した横断面図である。
【図13】図12のXIII矢視図に相応する拡大図である。
【符号の説明】
【0044】
A ディスク駆動手段
D1 大サイズディスク
D2 小サイズディスク
11 ターンテーブル
12 光ピックアップ
13 第1ピニオン・ラック機構
14 第1ラック
15 第1ピニオン
16 ロック機構
18 ロック解除機構
20 歯車列
25 搬送ローラ(ディスク搬送手段)
30 スライダ
43 第2ピニオン
50 ディスクストッパ
60 ディスククランプ機構
71 第2ラック
72 押切りカム機構
73b 係合部
73 カム面
74 カムフォロワ
76 単一の制御アーム
78 突起
90 セレクト機構
91 セレクトレバー
93 ばね板
33,34 カム溝(カム機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターンテーブルと、このターンテーブルに載架されたディスクの径方向に沿う方向に走行してそのディスクに対する光学的処理を行う光ピックアップと、この光ピックアップを走行させるための第1ピニオン・ラック機構と、この第1ピニオン・ラック機構の第1ラックを第1ピニオンから離間させて上記光ピックアップを初期位置に保持するロック機構と、このロック機構によるロック状態を解除するロック解除機構と、上記第1ピニオンを含みかつモータに連結された歯車列とを備えるディスク駆動手段に、異サイズの2種類のディスクから選択されたディスクに送り力を付与してそのディスクを上記ターンテーブルに対して搬入するためのディスク搬送手段を組み合わせてなり、
上記歯車列によって、上記モータの動力を上記第1ピニオンに伝える第1伝達路と、上記ディスク搬送手段に伝える第2伝達路とが形成されていると共に、上記ディスク搬送手段によって搬入されたディスクが係合してそのディスクにより直線路に沿って後退方向に押し込まれるディスクストッパと、上記ディスク搬送手段によるディスクの搬入が終了するタイミングに合わせて上記ディスクストッパをそのディスクから離れる位置まで後退させるディスクストッパ押切り機構と、このディスクストッパ押切り機構に連動して上記ディスク搬送手段を動作位置から非動作位置に退避させるディスク搬送停止機構と、このディスク搬送停止機構の退避動作と上記ロック解除機構の動作とに連動してディスクをターンテーブルに保持させるディスククランプ機構と、を備え、
上記ディスクストッパ押切り機構が、上記歯車列に介在されている第2ピニオンに噛み合う第2ラックを一体に備えたスライダと、このスライダに形成された押切りカム機構と、この押切りカム機構の作用を通じてスライダのスライド動作を上記ディスクストッパの後退動作に変換する単一の制御アームとを備え、
上記押切りカム機構が、上記ディスク搬送手段によるディスクの搬入が終了するタイミングに合わせて上記スライダをスライドさせることにより、上記第2ラックを上記第2ピニオンに対する離間位置からその第2ピニオンに対する噛合い位置まで移動させるスライダ始動手段を備え、そのスライダ始動手段が、上記押切りカム機構のカム面に具備された係合部と、上記カム面と共働して上記押切りカム機構を形成しかつ大サイズディスクにより上記ディスクストッパが押込み限界位置付近から押込み限界位置まで押し込まれたときに上記係合部に係合してその係合部を押すことにより上記スライダをスライドさせるカムフォロワとによって構成されて大サイズディスクに対応する第1始動手段と、上記カム面の初期位置に位置する上記カムフォロワに対向して上記スライダに設けられた突起と、小サイズディスクにより上記ディスクストッパが押込み限界位置付近から限界位置まで押し込まれたときに上記突起を押すことにより上記スライダをスライドさせる上記カムフォロワとによって構成されて小サイズディスクに対応する第2始動手段とに分かれていると共に、大サイズディスクが搬入されたときに第1始動手段だけを動作させ、小サイズディスクが搬入されたときに第2始動手段だけを動作させるセレクト機構を備え、
上記セレクト機構が、ディスク未搬入時に上記カム面の初期位置に位置する上記カムフォロワと上記突起との間に介在され、かつ、大サイズディスクが搬入されたときにのみ応動して上記カムフォロワと上記突起との相互間位置の外側に退避するばね板を備え、
上記第2始動手段の上記カムフォロワによる上記突起を押す動作が、そのカムフォロワに押されて撓み変形した上記ばね板を介して行われるようになっていると共に、上記ばね板は、大サイズディスクが搬入されたときにその大サイズディスクに押されて当該ばね板を上記相互間位置に退避させる方向に揺動変位し、かつ、小サイズディスクが搬入されたときには初期位置に位置して当該ばね板を上記相互間位置に保つセレクトレバーの先端に設けられており、上記ディスク搬送停止機構及び上記ディスククランプ機構の各動作が、上記押切りカム機構と共に上記スライダに設けられた各別のカム機構によって制御されるようになっていることを特徴とするスロットイン型ディスク装置。
【請求項2】
ターンテーブルと、このターンテーブルに載架されたディスクの径方向に沿う方向に走行してそのディスクに対する光学的処理を行う光ピックアップと、この光ピックアップを走行させるための第1ピニオン・ラック機構と、この第1ピニオン・ラック機構の第1ラックを第1ピニオンから離間させて上記光ピックアップを初期位置に保持するロック機構と、このロック機構によるロック状態を解除するロック解除機構と、上記第1ピニオンを含みかつモータに連結された歯車列とを備えるディスク駆動手段に、異サイズの2種類のディスクから選択されたディスクに送り力を付与してそのディスクを上記ターンテーブルに対して搬入するためのディスク搬送手段を組み合わせてなり、
上記歯車列によって、上記モータの動力を上記第1ピニオンに伝える第1伝達路と上記ディスク搬送手段に伝える第2伝達路とが形成されていると共に、上記ディスク搬送手段によって搬入されたディスクが係合してそのディスクにより直線路に沿って後退方向に押し込まれるディスクストッパと、上記ディスク搬送手段によるディスクの搬入が終了するタイミングに合わせて上記ディスクストッパをそのディスクから離れる位置まで後退させるディスクストッパ押切り機構と、このディスクストッパ押切り機構に連動して上記ディスク搬送手段を動作位置から非動作位置に退避させるディスク搬送停止機構と、このディスク搬送停止機構の退避動作と上記ロック解除機構の動作とに連動してディスクをターンテーブルに保持させるディスククランプ機構と、を備えていることを特徴とするスロットイン型ディスク装置。
【請求項3】
上記ディスクストッパ押切り機構が、上記歯車列に介在されている第2ピニオンに噛み合う第2ラックを一体に備えたスライダと、このスライダに形成された押切りカム機構と、この押切りカム機構の作用を通じてスライダのスライド動作を上記ディスクストッパの後退動作に変換する単一の制御アームとを備えている請求項2に記載したスロットイン型ディスク装置。
【請求項4】
上記押切りカム機構が、上記ディスク搬送手段によるディスクの搬入が終了するタイミングに合わせて上記スライダをスライドさせることにより、上記第2ラックを上記第2ピニオンに対する離間位置からその第2ピニオンに対する噛合い位置まで移動させるスライダ始動手段を備えている請求項3に記載したスロットイン型ディスク装置。
【請求項5】
上記スライダ始動手段が、大サイズディスクに対応する第1始動手段と小サイズディスクに対応する第2始動手段とに分かれていると共に、大サイズディスクが搬入されたときに第1始動手段だけを動作させ、小サイズディスクが搬入されたときに第2始動手段だけを動作させるセレクト機構を備えている請求項4に記載したスロットイン型ディスク装置。
【請求項6】
上記第1始動手段が、上記押切りカム機構のカム面に具備された係合部と、上記カム面と共働して上記押切りカム機構を形成しかつ大サイズディスクにより上記ディスクストッパが押込み限界位置付近から押込み限界位置まで押し込まれたときに上記係合部に係合してその係合部を押すことにより上記スライダをスライドさせるカムフォロワとによって構成され、
上記第2始動手段が、上記カム面の初期位置に位置する上記カムフォロワに対向して上記スライダに設けられた突起と、小サイズディスクにより上記ディスクストッパが押込み限界位置付近から限界位置まで押し込まれたときに上記突起を押すことにより上記スライダをスライドさせる上記カムフォロワとによって構成され、
上記セレクト機構が、ディスク未搬入時に上記カム面の初期位置に位置する上記カムフォロワと上記突起との間に介在され、かつ、大サイズディスクが搬入されたときにのみ応動して上記カムフォロワと上記突起との相互間位置の外側に退避するばね板を備え、
上記第2始動手段の上記カムフォロワによる上記突起を押す動作が、そのカムフォロワに押されて撓み変形した上記ばね板を介して行われるようになっている請求項5に記載したスロットイン型ディスク装置。
【請求項7】
上記ばね板は、大サイズディスクが搬入されたときにその大サイズディスクに押されて当該ばね板を上記相互間位置に退避させる方向に揺動変位し、かつ、小サイズディスクが搬入されたときには初期位置に位置して当該ばね板を上記相互間位置に保つセレクトレバーの先端に設けられている請求項6に記載したスロットイン型ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−172557(P2006−172557A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−361037(P2004−361037)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】