スロットボウタイアンテナ
【課題】薄型で単向性を実現することができ、不平衡線路で給電できる広帯域な円偏波アンテナを提供する。
【解決手段】クロススロットボウタイアンテナ11は、ループ導体2と、スロット導体4と、グランド導体3と、を備えている。ループ導体2は、一端と他端とを近接させてループ状に形成される。スロット導体4は、ループ導体2との間に誘電層を挟み、当該ループ導体2と略平行に配置される。グランド導体3は、ループ導体2から見てスロット導体4が配置されている側と反対側に配置される。また、スロット導体4には、複数の三角形が頂点を突き合わせて放射状に配置された形状のボウタイスロット4aがループ導体2と対向する位置に形成される。そして、ループ導体2とグランド導体3とはマイクロストリップラインを構成している。
【解決手段】クロススロットボウタイアンテナ11は、ループ導体2と、スロット導体4と、グランド導体3と、を備えている。ループ導体2は、一端と他端とを近接させてループ状に形成される。スロット導体4は、ループ導体2との間に誘電層を挟み、当該ループ導体2と略平行に配置される。グランド導体3は、ループ導体2から見てスロット導体4が配置されている側と反対側に配置される。また、スロット導体4には、複数の三角形が頂点を突き合わせて放射状に配置された形状のボウタイスロット4aがループ導体2と対向する位置に形成される。そして、ループ導体2とグランド導体3とはマイクロストリップラインを構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロット型のボウタイアンテナの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
図15(a)に、公知のボウタイアンテナの模式的な形状を示す。この図15(a)に示すボウタイアンテナ90は、二等辺三角形状に形成された放射導体91の対を有し、図のように蝶ネクタイ(bow tie)状に構成されている。ボウタイアンテナ90は公知のバイコニカルアンテナを平面化したものと考えることができ、広帯域特性を持つことが特徴である。給電には平衡型線路が用いられ、前記2つの三角形の頂点の間が給電点とされている。また、このボウタイアンテナ90の指向性は双方向性である。
【0003】
上記のように、ボウタイアンテナは平衡型の給電を要する。このため、同軸線路やマイクロストリップ線路などの不平衡型線路で給電するためには、変換器であるバランが必要となり、給電系が複雑になってしまう。この点、特許文献1から3は、無給電素子を用いることにより、バランを設けなくても不平衡線路と直接的に接続することができるスロット型ボウタイアンテナを開示する。このスロット型のボウタイアンテナは、図15(a)に示す通常のボウタイアンテナと同様に、広帯域性を有し、双方向性であるという特徴がある。
【特許文献1】特開2003−78345号公報
【特許文献2】特開2003−87050号公報
【特許文献3】特開2004−289592号公報
【0004】
一方、図15(b)に示すような、キャビティ(空洞)付きクロススロットアンテナも知られている。図に示すクロススロットアンテナ93においては、直交する2本のスロット94が形成されており、2本のスロットの長さに長短をつけることで一点給電による円偏波発生が可能である。更に、給電点95の位置を変えることにより、右旋円偏波と左旋円偏波の発生が可能となっている。また、スロット94の背面にキャビティ96を設けているため、背面輻射を抑えて指向性を単向性とすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、特許文献1から3の構成のスロット型ボウタイアンテナの方向性は双方向性である。このため、これを単方向性にするには放射導体から1/4波長の位置に反射板を設ける必要があり、薄型化が困難であった。更に、特許文献1から3までのスロット型ボウタイアンテナは広帯域性は有するものの、円偏波を発生させることができない。
【0006】
一方、図15(a)に示す従来のボウタイアンテナを直交するように2本配置し、当該2本のボウタイアンテナへの給電位相差が90度となるように構成することで、円偏波を発生させることも可能である。しかしこの場合、90度位相差を与えるために給電系が更に複雑になってしまう。また、上記特許文献1から3までの場合と同様に、背面輻射を抑えるために放射導体から1/4波長の位置に反射板を設ける必要があるため薄型化が困難である。
【0007】
この点、図15(b)に示したキャビティ付きのクロススロットアンテナは、単向性を実現するための反射板が必要ないので薄型に構成することができ、しかも円偏波を発生させることができる。しかし、一点給電式であるため円偏波帯域が狭くなってしまっていた。
【0008】
本願発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、薄型で単向性を実現することができ、不平衡線路で給電できる広帯域な円偏波アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の観点によれば、以下の構成のスロットボウタイアンテナが提供される。即ち、このスロットボウタイアンテナは、ループ導体と、スロット導体と、グランド導体と、を備える。前記ループ導体は、一端と他端とを近接させてループ状に形成される。前記スロット導体は、前記ループ導体との間に誘電層を挟み、当該ループ導体と略平行に配置される。前記グランド導体は、前記ループ導体から見て前記スロット導体が配置されている側と反対側に配置される。また、前記スロット導体には、複数の三角形が頂点を突き合わせて放射状に配置された形状のボウタイスロットが前記ループ導体と対向する位置に形成される。そして、前記ループ導体と前記グランド導体とはマイクロストリップラインを構成している。
【0011】
以上の構成で、ループ導体とグランド導体とが構成するマイクロストリップラインに電磁波を伝達させることにより、電磁結合を介して、スロット導体に対して給電することができる。従って、例えば給電の際にバランなどの平衡−不平衡変換器が不要となり、給電系を非常に簡略に構成することができる。更に、三角形状のスロットから放射することにより、ボウタイアンテナの特徴である広帯域性を確保することができる。また、別途反射板を設けなくてもグランド導体によって背面輻射を抑圧できるので、コンパクトな単向性アンテナを構成することができる。
【0012】
前記のスロットボウタイアンテナにおいては、前記ループ導体は、一端が給電部に接続され、他端は整合終端部に接続されるとともに、当該ループ導体のループの1周の長さが概ね1波長であることが好ましい。なお、「ループの1周の長さが概ね1波長」とは、電気的に見たときのループの1周の長さが概ね1波長であることをいう。
【0013】
これにより、ループ導体に対して給電することによって、当該ループ導体から電磁結合を介してスロット導体の各部に給電位相差を与えつつ給電することができる。従って、円偏波を発生させることができるとともに、ボウタイアンテナの広帯域性を維持しつつ1点給電による給電を実現することができる。また、放射に寄与しなかった余剰電力を整合終端部によって吸収することができる。
【0014】
前記のスロットボウタイアンテナにおいては、前記ボウタイスロットは、4つの二等辺三角形が、頂角を突き合わせるようにして略十字型に配置された形状に形成されていることが好ましい。
【0015】
これにより、スロット導体の4つの二等辺三角形に対応する部分に対して、約90度の給電位相差をループ導体から与え、良好に円偏波を発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、図面を参照して発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るスロットボウタイアンテナとしてのクロススロットボウタイアンテナ11の外観斜視図である。図2はクロススロットボウタイアンテナ11の平面図、図3は図2のA−A断面矢視図である。
【0017】
図1から図3に示す本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11は、ループ導体2と、グランド導体3と、スロット導体4と、を主に備えている。
【0018】
ループ導体2は一定の厚みを有する扁平な金属部材として構成されている。また、ループ導体2はその一端と他端を近接させて略C字形(一部を切り欠いた円形)のループ状に形成されるとともに、当該ループの線幅が一定となるように構成されている。ループ導体2の下側には、前記C字形(ループ形状)を含む平面と平行になるように平板状のグランド導体3が配置されている。図3に示すように、ループ導体2とグランド導体3との間には空隙(空気)からなる誘電層8が形成されている。以上の構成で、ループ導体2及びグランド導体3によってマイクロストリップラインが形成されている。
【0019】
また、ループ導体2の上側(ループ導体2から見て前記グランド導体3の反対側)には、空隙からなる誘電層9を挟み、当該ループ導体2のC字形ループを含む平面と平行になるように平板状のスロット導体4が配置されている。そして、このスロット導体4の一部が切り抜いたように構成され、ボウタイ状のスロット(ボウタイスロット4a)が形成されている。具体的には、このボウタイスロット4aは、図2に示すように複数の三角形が頂点を突き合わせるように放射状に配置された形状(より具体的には、4つの二等辺三角形が90度間隔で略十字形状に配置され、各二等辺三角形の頂角を突き合わせたような形状)に形成されている。また、ボウタイスロット4aは、前記十字形の中心部(前記二等辺三角形の頂角を突き合わせた位置)がループ導体2のループの中心位置と対応する位置になるように形成されており、これによりボウタイスロット4aとループ導体2とが向き合うように構成されている。
【0020】
このようにボウタイスロット4aが2つのスロット型ボウタイアンテナが直交したように配置された形状に形成されているので、このクロススロットボウタイアンテナ11は、ボウタイアンテナが有する広帯域性という特徴を備えている。また、マイクロストリップラインが備えるグランド導体3によって背面輻射が抑えられるため、反射板を備えることなく単向性を実現することができる。
【0021】
また、スロット導体4の4辺と、グランド導体3の4辺と、の間には、側面導体5が配置されている。そして、スロット導体4とグランド導体3の4つの各辺は、前記側面導体5によって接続されることにより短絡されている。これにより、スロット導体4、グランド導体3及び側面導体5によって、図のように直方体状の空洞(キャビティ)が形成されている。そして、この空洞の内側にループ導体2が配置された構成となっている。
【0022】
次に、ループ導体2及びボウタイスロット4aに対して給電するための構成について説明する。前記ループ導体2の一端には第1接続部2aが形成され、他端には第2接続部2bが形成されている。また、図3に示すように、前記グランド導体3の裏側(ループ導体2が配置されている側と反対の面)には、給電ポート(給電部)6と整合終端ポート(整合終端部)7が配置されている。
【0023】
前記給電ポート6及び整合終端ポート7は公知の同軸ケーブルとして構成されており、給電ポート6は図略の給電装置に、整合終端ポート7は図略の整合負荷に、それぞれ接続されている。この整合負荷は、放射に寄与しなかった過剰電力を吸収するためのものである。前記給電ポート6の同軸ケーブルは、中心導体6aと、当該中心導体6aの周囲に同軸状に配置される同軸外導体6bと、中心導体と同軸外導体の間に配置される図略の絶縁体と、を備えている。また、整合終端ポート7の同軸ケーブルも同様に、中心導体7aと、同軸外導体7bと、図略の絶縁体と、を備えている。
【0024】
グランド導体3の前記第1接続部2a及び第2接続部2bに対応する位置には、図略の挿通孔が形成されている。そして、給電ポート6の中心導体6a及び整合終端ポート7の中心導体7aは、グランド導体3の裏面から表面(ループ導体2が配置されている側の面)に前記挿通孔を介して通され、中心導体6aは第1接続部2aに、中心導体7aは第2接続部2bに、それぞれ電気的に接続されている。なお、中心導体6a及び7aは、前記挿通孔を非接触で通過しており、グランド導体3に対しては非接続であるように構成されている。
【0025】
また、給電ポート6の同軸外導体6b及び整合終端ポート7の同軸外導体7bは、それぞれグランド導体3と電気的に接続されている。
【0026】
以上の構成で、前記給電装置によって高周波電流を供給することにより、ループ導体2に進行波を伝播させることができる。また、ループ導体2とグランド導体3は前述のようにマイクロストリップラインを構成しており、ループ導体2からスロット導体4に対して電磁結合を介した給電を行うことができる。そして、ループ導体2のループ1周の電気的な長さを波長とほぼ一致させることにより、ボウタイスロット4aを構成している4つの二等辺三角形のそれぞれに対応する位置での給電位相が約90度ずつシフトするように給電することができる。
【0027】
従って、ループ導体2に対して給電することにより、ボウタイスロット4aを構成する4つの二等辺三角形に対して誘電層9を介した電磁結合によって90度位相差を与えるようにして給電し、スロット導体4によって円偏波を発生させることができるのである。
【0028】
次に、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11の構成を更に具体的に説明する。この実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11は、5.8GHz帯の右旋円偏波スロットボウタイアンテナとして構成されたものである。なお、以下で説明するクロススロットボウタイアンテナ11の寸法、形状などは、使用する帯域に応じて適宜変更可能であることは勿論である。
【0029】
以下、主に図2を参照して説明する。ループ導体2は、一定の厚みを有し、当該ループ導体2が構成するC字形ループの直径方向の線幅W1が4mmで一定の円弧形状(C字形)となるように形成されている。前記C字の内径D1は13mm、外径D2は21mmである。
【0030】
グランド導体3及びスロット導体4は、縦幅L1及び横幅L2を何れも28mmとしている。また、誘電層9の大きさ(図3で示す高さh1)は2mm、誘電層8の大きさ(図3で示す高さh2)は1mmとしている。
【0031】
スロット導体4に形成されたボウタイスロット4aは、4つの二等辺三角形それぞれが、底辺の長さL3が9.5mm、高さL4が11.5mmとなるように形成されている。
【0032】
以上のように構成することで、ループ導体2の1周の電気的な長さが概ね5.8GHz帯の1波長分とされる。これにより、ループ導体2から誘電層9を介して電磁結合を利用してボウタイスロット4aに給電することで、前記ボウタイスロット4aを構成する4つの二等辺三角形に90度位相差を与え、円偏波を発生させることができる。
【0033】
次に、図4から図7を参照して、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11を用いた場合の特性について説明する。
【0034】
図4は、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11の天頂方向の軸比周波数特性のシミュレーション結果を表したグラフである。グラフの縦軸は円偏波の長軸と短軸の軸比であり、長軸の長さと短軸の長さが一致する完全円偏波の軸比が0dBである。また一般に、円偏波アンテナとして良好な特性を得ることができる軸比は3dB以下とされる。図4に示すように、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11の最適軸比は0.1dBであり、極めて良好である。また、軸比3dB以下となる帯域幅は比帯域で40%であり、広帯域円偏波特性が得られていることが分かる。
【0035】
図5は、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11の5.8GHzにおける右旋円偏波(主偏波)成分と左旋円偏波(直交偏波)成分の指向特性のシミュレーション結果を示したグラフである。円偏波を発生するように構成されたボウタイアンテナにおいては、天頂方向に主偏波成分、背面方向に直交偏波成分が同程度の強度で輻射されるため、指向特性を単向性とするためには反射板が必要であった。この点、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11では、図5に示すように、右旋円偏波成分の天頂方向(図中の0°方向)への輻射に比べて、左旋円偏波成分の背面方向(図中の−180°方向)への輻射は約11.2dB小さくなっている。従って、反射板を設けなくても背面輻射を良好に抑圧することができている。
【0036】
図6は、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11の入力インピーダンス(VSWR:電圧定在波比)特性のシミュレーション結果を示したグラフである。縦軸はVSWRであり、一般的にVSWRは2以下が実用範囲とされる。本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11は、給電系が整合のとれたマイクロストリップラインで構成されているため、非常に広帯域にわたって良好な特性が得られている(VSWRが2以下の帯域幅が比帯域で50%以上)。
【0037】
図7は、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11の利得周波数特性のシミュレーション結果を示したグラフである。縦軸は天頂方向における利得(単位:dBi)を表している。図に示すように、右旋円偏波(主偏波)成分の利得ピークから3dB下がった帯域幅は、比帯域で33%と非常に広帯域である。
【0038】
次に、図8から図10を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。図8は、本発明の第2実施形態に係るスロットボウタイアンテナとしてのクロススロットボウタイアンテナ12の外観斜視図である。図9はクロススロットボウタイアンテナ12の平面図、図10はクロススロットボウタイアンテナ12の側面図である。なお、以降の説明において、上記の第1実施形態と同一又は類似の構成については、図面に同一の符号を付して説明を省略することがある。
【0039】
本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12は、第1実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11から側面導体を取り除くとともに、ループ導体2、グランド導体3及びスロット導体4を誘電体基板上に構成したものである。
【0040】
図8等に示すように、クロススロットボウタイアンテナ12は第1誘電体基板21と第2誘電体基板22を備えており、前記第1誘電体基板21と第2誘電体基板22とは平行になるように配置されている。
【0041】
第1誘電体基板21の表面(第2誘電体基板22とは反対側を向く面)には、スロット導体4が形成されている。このスロット導体4には、第1実施形態と同様に、ボウタイスロット4aが形成されている。なお、スロットが形成されているのはスロット導体4のみであって、第1誘電体基板21そのものにはスロットは形成されていない。
【0042】
第2誘電体基板22の表面(第1誘電体基板21の方を向く面)には、ループ導体2が形成されている。また、図10に示すように、第2誘電体基板22の裏面(ループ導体2が形成されている面とは反対側の面)には、グランド導体3が形成されている。以上の構成で、ループ導体2とグランド導体3とによって、マイクロストリップラインが構成されている。
【0043】
また、図10に示すように、第1誘電体基板21と第2誘電体基板22との間には空隙23が設けられている。即ち、第1実施形態における空隙による誘電層9の代わりに、空隙23と第1誘電体基板21とによってループ導体2とスロット導体4と間に誘電層が構成されている。
【0044】
また、第2誘電体基板22の裏面側には、給電ポート6及び整合終端ポート7が配置されている。そして、第2誘電体基板22及びグランド導体3には、ループ導体2の第1接続部2a及び第2接続部2bに対応する位置に図略の挿通孔が形成されている。これにより、中心導体6aを第2誘電体基板22の裏面から表面に通して、第1接続部2aに接続することができる。同様に、中心導体7aを第2誘電体基板22の裏面から表面に通して、第2接続部2bに接続することができる。
【0045】
次に、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12の構成を更に具体的に説明する。この実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12は、5.8GHz帯の右旋円偏波スロットボウタイアンテナとして構成されたものである。なお、以下で説明するクロススロットボウタイアンテナ12の寸法、形状などは、使用する帯域に応じて適宜変更可能であることは勿論である。
【0046】
以下、主に図9を参照して説明する。ループ導体2は、一定の厚みを有し、当該ループ導体2が構成するC字形ループの直径方向の線幅W2が1.2mmで一定の円弧形状(C字形)となるように形成されている。前記C字の内径D3は8mm、外径D4は10.4mmである。
【0047】
第1誘電体基板21及び第2誘電体基板22は、縦幅L5及び横幅L6を何れも28mmとしている。また、図10に示す第1誘電体基板21の厚さt1は1mm、第2誘電体基板22の厚さt2は0.6mmであり、第1誘電体基板21と第2誘電体基板との間の空隙23の大きさ(図10で示す高さh3)は0.5mmである。
【0048】
また、スロット導体4は、縦幅L7及び横幅L8を何れも25mmとしている。スロット導体4に形成されたボウタイスロット4aは、4つの二等辺三角形それぞれが、底辺の長さL9が8.7mm、高さL10が10.5mmとなるように形成されている。
【0049】
次に、図11から図14を参照して、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11を用いた場合の特性について説明する。
【0050】
図11は、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12の天頂方向の軸比周波数特性のシミュレーション結果を表したグラフである。グラフの縦軸は円偏波の長軸と短軸の軸比である。図11に示すように、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12の最適軸比は0.6dBであり、良好である。また、軸比3dB以下となる帯域幅は比帯域で40%であり、広帯域円偏波特性が得られていることが分かる。
【0051】
図12は、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12の5.8GHzにおける右旋円偏波(主偏波)成分と左旋円偏波(直交偏波)成分の指向特性のシミュレーション結果を示したグラフである。図に示すように、右旋円偏波成分の天頂方向(図中の0°方向)への輻射に比べて、左旋円偏波成分の背面方向(図中の−180°方向)への輻射は約17.2dB小さくなっている。従って、反射板を設けなくても背面輻射を良好に抑圧することができている。
【0052】
図13は、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12の入力インピーダンス(VSWR:電圧定在波比)特性のシミュレーション結果を示したグラフである。縦軸はVSWRである。本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12は、給電系が整合のとれたマイクロストリップラインで構成されているため、非常に広帯域にわたって良好な特性が得られている(VSWRが2以下の帯域幅が比帯域で50%以上)。
【0053】
図14は、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12の利得周波数特性のシミュレーション結果を示したグラフである。縦軸は天頂方向における利得(単位:dBi)を表している。図に示すように、右旋円偏波(主偏波)成分の利得ピークから3dB下がった帯域幅は、比帯域で12%と広帯域である。
【0054】
以上に説明したように、上記実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11,12は、ループ導体2と、スロット導体4と、グランド導体3と、を備えている。ループ導体2は、一端と他端とを近接させてループ状に形成される。スロット導体4は、ループ導体2との間に誘電層を挟み、当該ループ導体2と略平行に配置される。グランド導体3は、ループ導体2から見てスロット導体4が配置されている側と反対側に配置される。また、スロット導体4には、複数の三角形が頂点を突き合わせて放射状に配置された形状のボウタイスロット4aがループ導体2と対向する位置に形成される。そして、ループ導体2とグランド導体3とはマイクロストリップラインを構成している。
【0055】
以上の構成で、ループ導体2とグランド導体3とが構成するマイクロストリップラインに電磁波を伝達させることにより、電磁結合を介して、スロット導体4に対して給電することができる。従って、例えば給電の際にバランなどの平衡−不平衡変換器が不要となり、給電系を非常に簡略に構成することができる。更に、三角形状のスロットから放射することにより、ボウタイアンテナの特徴である広帯域性を確保することができる。また、別途反射板を設けなくてもグランド導体3によって背面輻射を抑圧できるので、コンパクトな単向性アンテナを構成することができる。
【0056】
また、上記実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11,12においては、ループ導体2は、一端が給電ポート6に接続され、他端は整合終端ポート7に接続されるとともに、当該ループ導体2のループの1周の電気的長さが概ね1波長である。
【0057】
これにより、ループ導体2に対して給電することによって、当該ループ導体2から電磁結合を介してスロット導体4の各部に給電位相差を与えつつ給電することができる。従って、円偏波を発生させることができるとともに、クロススロットボウタイアンテナ11,12の広帯域性を維持しつつ1点給電による給電を実現することができる。また、放射に寄与しなかった余剰電力を整合終端ポート7によって吸収することができる。
【0058】
また、上記実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11,12において、ボウタイスロット4aは、4つの二等辺三角形が、頂角を突き合わせるようにして略十字型に配置された形状に形成されている。
【0059】
これにより、スロット導体4の4つの二等辺三角形に対応する部分に対して、約90度の給電位相差をループ導体から与え、良好に円偏波を発生させることができる。
【0060】
以上に本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0061】
マイクロストリップラインを構成するループ導体2の形状は、周長が電気的に約1波長であれば良く、上記実施形態のように円形(C字形)に限らない。ただし、ボウタイスロットに90度位相差を与えることのできる形状であることが好ましい。
【0062】
第2実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12において、空隙23を無くして、誘電体基板のみで誘電層を構成するようにしても良い。また、第1実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11においても、空隙で構成されている箇所を誘電体で充填しても良い。
【0063】
ボウタイスロット4aは、上記実施形態のように4つ二等辺三角形を等間隔に並べた形状に限らない。例えば、厳密に二等辺三角形である必要はないし、4つの三角形が合同でなくても良い。また、三角形が頂点を突き合わせて放射状に配置された形状に形成されていれば良く、必ずしも略十字形でなくても良い(即ち、必ずしも三角形が等間隔で並んでいなくても良い)。また三角形は4つに限らず、3つ又は5つ以上でも円偏波を発生させることが可能である。
【0064】
給電方式はグランド導体3の背面からの同軸給電のほか、ループ導体2と同一面の共平面給電方式としても良い。
【0065】
上記実施形態では送信アンテナとしての構成を説明したが、第1接続部2aに給電装置に代えて受信回路を接続することにより、クロススロットボウタイアンテナ11,12を受信アンテナとして機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態に係るクロススロットボウタイアンテナの外観斜視図。
【図2】第1実施形態のクロススロットボウタイアンテナの平面図。
【図3】図2のA−A断面矢視図。
【図4】第1実施形態のクロススロットボウタイアンテナの軸比周波数特性のシミュレーション結果を示したグラフ。
【図5】第1実施形態のクロススロットボウタイアンテナの指向特性のシミュレーション結果を示したグラフ。
【図6】第1実施形態のクロススロットボウタイアンテナのVSWRのシミュレーション結果を示したグラフ。
【図7】第1実施形態のクロススロットボウタイアンテナの利得周波数特性のシミュレーション結果を示したグラフ。
【図8】本発明の第2実施形態に係るクロススロットボウタイアンテナの外観斜視図。
【図9】第2実施形態のクロススロットボウタイアンテナの平面図。
【図10】第2実施形態のクロススロットボウタイアンテナの側面図。
【図11】第2実施形態のクロススロットボウタイアンテナの軸比周波数特性のシミュレーション結果を示したグラフ。
【図12】第2実施形態のクロススロットボウタイアンテナの指向特性のシミュレーション結果を示したグラフ。
【図13】第2実施形態のクロススロットボウタイアンテナのVSWRのシミュレーション結果を示したグラフ。
【図14】第2実施形態のクロススロットボウタイアンテナの利得周波数特性のシミュレーション結果を示したグラフ。
【図15】(a)従来技術のボウタイアンテナの構成を示した模式図。(b)従来技術のキャビティ付きクロススロットアンテナの構成を示した斜視図。
【符号の説明】
【0067】
11,12 クロススロットボウタイアンテナ(スロットボウタイアンテナ)
2 ループ導体
3 グランド導体
4 スロット導体
4a ボウタイスロット
5 側面導体
6 給電ポート(給電部)
7 整合終端ポート(整合終端部)
9 誘電層
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロット型のボウタイアンテナの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
図15(a)に、公知のボウタイアンテナの模式的な形状を示す。この図15(a)に示すボウタイアンテナ90は、二等辺三角形状に形成された放射導体91の対を有し、図のように蝶ネクタイ(bow tie)状に構成されている。ボウタイアンテナ90は公知のバイコニカルアンテナを平面化したものと考えることができ、広帯域特性を持つことが特徴である。給電には平衡型線路が用いられ、前記2つの三角形の頂点の間が給電点とされている。また、このボウタイアンテナ90の指向性は双方向性である。
【0003】
上記のように、ボウタイアンテナは平衡型の給電を要する。このため、同軸線路やマイクロストリップ線路などの不平衡型線路で給電するためには、変換器であるバランが必要となり、給電系が複雑になってしまう。この点、特許文献1から3は、無給電素子を用いることにより、バランを設けなくても不平衡線路と直接的に接続することができるスロット型ボウタイアンテナを開示する。このスロット型のボウタイアンテナは、図15(a)に示す通常のボウタイアンテナと同様に、広帯域性を有し、双方向性であるという特徴がある。
【特許文献1】特開2003−78345号公報
【特許文献2】特開2003−87050号公報
【特許文献3】特開2004−289592号公報
【0004】
一方、図15(b)に示すような、キャビティ(空洞)付きクロススロットアンテナも知られている。図に示すクロススロットアンテナ93においては、直交する2本のスロット94が形成されており、2本のスロットの長さに長短をつけることで一点給電による円偏波発生が可能である。更に、給電点95の位置を変えることにより、右旋円偏波と左旋円偏波の発生が可能となっている。また、スロット94の背面にキャビティ96を設けているため、背面輻射を抑えて指向性を単向性とすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、特許文献1から3の構成のスロット型ボウタイアンテナの方向性は双方向性である。このため、これを単方向性にするには放射導体から1/4波長の位置に反射板を設ける必要があり、薄型化が困難であった。更に、特許文献1から3までのスロット型ボウタイアンテナは広帯域性は有するものの、円偏波を発生させることができない。
【0006】
一方、図15(a)に示す従来のボウタイアンテナを直交するように2本配置し、当該2本のボウタイアンテナへの給電位相差が90度となるように構成することで、円偏波を発生させることも可能である。しかしこの場合、90度位相差を与えるために給電系が更に複雑になってしまう。また、上記特許文献1から3までの場合と同様に、背面輻射を抑えるために放射導体から1/4波長の位置に反射板を設ける必要があるため薄型化が困難である。
【0007】
この点、図15(b)に示したキャビティ付きのクロススロットアンテナは、単向性を実現するための反射板が必要ないので薄型に構成することができ、しかも円偏波を発生させることができる。しかし、一点給電式であるため円偏波帯域が狭くなってしまっていた。
【0008】
本願発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、薄型で単向性を実現することができ、不平衡線路で給電できる広帯域な円偏波アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の観点によれば、以下の構成のスロットボウタイアンテナが提供される。即ち、このスロットボウタイアンテナは、ループ導体と、スロット導体と、グランド導体と、を備える。前記ループ導体は、一端と他端とを近接させてループ状に形成される。前記スロット導体は、前記ループ導体との間に誘電層を挟み、当該ループ導体と略平行に配置される。前記グランド導体は、前記ループ導体から見て前記スロット導体が配置されている側と反対側に配置される。また、前記スロット導体には、複数の三角形が頂点を突き合わせて放射状に配置された形状のボウタイスロットが前記ループ導体と対向する位置に形成される。そして、前記ループ導体と前記グランド導体とはマイクロストリップラインを構成している。
【0011】
以上の構成で、ループ導体とグランド導体とが構成するマイクロストリップラインに電磁波を伝達させることにより、電磁結合を介して、スロット導体に対して給電することができる。従って、例えば給電の際にバランなどの平衡−不平衡変換器が不要となり、給電系を非常に簡略に構成することができる。更に、三角形状のスロットから放射することにより、ボウタイアンテナの特徴である広帯域性を確保することができる。また、別途反射板を設けなくてもグランド導体によって背面輻射を抑圧できるので、コンパクトな単向性アンテナを構成することができる。
【0012】
前記のスロットボウタイアンテナにおいては、前記ループ導体は、一端が給電部に接続され、他端は整合終端部に接続されるとともに、当該ループ導体のループの1周の長さが概ね1波長であることが好ましい。なお、「ループの1周の長さが概ね1波長」とは、電気的に見たときのループの1周の長さが概ね1波長であることをいう。
【0013】
これにより、ループ導体に対して給電することによって、当該ループ導体から電磁結合を介してスロット導体の各部に給電位相差を与えつつ給電することができる。従って、円偏波を発生させることができるとともに、ボウタイアンテナの広帯域性を維持しつつ1点給電による給電を実現することができる。また、放射に寄与しなかった余剰電力を整合終端部によって吸収することができる。
【0014】
前記のスロットボウタイアンテナにおいては、前記ボウタイスロットは、4つの二等辺三角形が、頂角を突き合わせるようにして略十字型に配置された形状に形成されていることが好ましい。
【0015】
これにより、スロット導体の4つの二等辺三角形に対応する部分に対して、約90度の給電位相差をループ導体から与え、良好に円偏波を発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、図面を参照して発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るスロットボウタイアンテナとしてのクロススロットボウタイアンテナ11の外観斜視図である。図2はクロススロットボウタイアンテナ11の平面図、図3は図2のA−A断面矢視図である。
【0017】
図1から図3に示す本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11は、ループ導体2と、グランド導体3と、スロット導体4と、を主に備えている。
【0018】
ループ導体2は一定の厚みを有する扁平な金属部材として構成されている。また、ループ導体2はその一端と他端を近接させて略C字形(一部を切り欠いた円形)のループ状に形成されるとともに、当該ループの線幅が一定となるように構成されている。ループ導体2の下側には、前記C字形(ループ形状)を含む平面と平行になるように平板状のグランド導体3が配置されている。図3に示すように、ループ導体2とグランド導体3との間には空隙(空気)からなる誘電層8が形成されている。以上の構成で、ループ導体2及びグランド導体3によってマイクロストリップラインが形成されている。
【0019】
また、ループ導体2の上側(ループ導体2から見て前記グランド導体3の反対側)には、空隙からなる誘電層9を挟み、当該ループ導体2のC字形ループを含む平面と平行になるように平板状のスロット導体4が配置されている。そして、このスロット導体4の一部が切り抜いたように構成され、ボウタイ状のスロット(ボウタイスロット4a)が形成されている。具体的には、このボウタイスロット4aは、図2に示すように複数の三角形が頂点を突き合わせるように放射状に配置された形状(より具体的には、4つの二等辺三角形が90度間隔で略十字形状に配置され、各二等辺三角形の頂角を突き合わせたような形状)に形成されている。また、ボウタイスロット4aは、前記十字形の中心部(前記二等辺三角形の頂角を突き合わせた位置)がループ導体2のループの中心位置と対応する位置になるように形成されており、これによりボウタイスロット4aとループ導体2とが向き合うように構成されている。
【0020】
このようにボウタイスロット4aが2つのスロット型ボウタイアンテナが直交したように配置された形状に形成されているので、このクロススロットボウタイアンテナ11は、ボウタイアンテナが有する広帯域性という特徴を備えている。また、マイクロストリップラインが備えるグランド導体3によって背面輻射が抑えられるため、反射板を備えることなく単向性を実現することができる。
【0021】
また、スロット導体4の4辺と、グランド導体3の4辺と、の間には、側面導体5が配置されている。そして、スロット導体4とグランド導体3の4つの各辺は、前記側面導体5によって接続されることにより短絡されている。これにより、スロット導体4、グランド導体3及び側面導体5によって、図のように直方体状の空洞(キャビティ)が形成されている。そして、この空洞の内側にループ導体2が配置された構成となっている。
【0022】
次に、ループ導体2及びボウタイスロット4aに対して給電するための構成について説明する。前記ループ導体2の一端には第1接続部2aが形成され、他端には第2接続部2bが形成されている。また、図3に示すように、前記グランド導体3の裏側(ループ導体2が配置されている側と反対の面)には、給電ポート(給電部)6と整合終端ポート(整合終端部)7が配置されている。
【0023】
前記給電ポート6及び整合終端ポート7は公知の同軸ケーブルとして構成されており、給電ポート6は図略の給電装置に、整合終端ポート7は図略の整合負荷に、それぞれ接続されている。この整合負荷は、放射に寄与しなかった過剰電力を吸収するためのものである。前記給電ポート6の同軸ケーブルは、中心導体6aと、当該中心導体6aの周囲に同軸状に配置される同軸外導体6bと、中心導体と同軸外導体の間に配置される図略の絶縁体と、を備えている。また、整合終端ポート7の同軸ケーブルも同様に、中心導体7aと、同軸外導体7bと、図略の絶縁体と、を備えている。
【0024】
グランド導体3の前記第1接続部2a及び第2接続部2bに対応する位置には、図略の挿通孔が形成されている。そして、給電ポート6の中心導体6a及び整合終端ポート7の中心導体7aは、グランド導体3の裏面から表面(ループ導体2が配置されている側の面)に前記挿通孔を介して通され、中心導体6aは第1接続部2aに、中心導体7aは第2接続部2bに、それぞれ電気的に接続されている。なお、中心導体6a及び7aは、前記挿通孔を非接触で通過しており、グランド導体3に対しては非接続であるように構成されている。
【0025】
また、給電ポート6の同軸外導体6b及び整合終端ポート7の同軸外導体7bは、それぞれグランド導体3と電気的に接続されている。
【0026】
以上の構成で、前記給電装置によって高周波電流を供給することにより、ループ導体2に進行波を伝播させることができる。また、ループ導体2とグランド導体3は前述のようにマイクロストリップラインを構成しており、ループ導体2からスロット導体4に対して電磁結合を介した給電を行うことができる。そして、ループ導体2のループ1周の電気的な長さを波長とほぼ一致させることにより、ボウタイスロット4aを構成している4つの二等辺三角形のそれぞれに対応する位置での給電位相が約90度ずつシフトするように給電することができる。
【0027】
従って、ループ導体2に対して給電することにより、ボウタイスロット4aを構成する4つの二等辺三角形に対して誘電層9を介した電磁結合によって90度位相差を与えるようにして給電し、スロット導体4によって円偏波を発生させることができるのである。
【0028】
次に、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11の構成を更に具体的に説明する。この実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11は、5.8GHz帯の右旋円偏波スロットボウタイアンテナとして構成されたものである。なお、以下で説明するクロススロットボウタイアンテナ11の寸法、形状などは、使用する帯域に応じて適宜変更可能であることは勿論である。
【0029】
以下、主に図2を参照して説明する。ループ導体2は、一定の厚みを有し、当該ループ導体2が構成するC字形ループの直径方向の線幅W1が4mmで一定の円弧形状(C字形)となるように形成されている。前記C字の内径D1は13mm、外径D2は21mmである。
【0030】
グランド導体3及びスロット導体4は、縦幅L1及び横幅L2を何れも28mmとしている。また、誘電層9の大きさ(図3で示す高さh1)は2mm、誘電層8の大きさ(図3で示す高さh2)は1mmとしている。
【0031】
スロット導体4に形成されたボウタイスロット4aは、4つの二等辺三角形それぞれが、底辺の長さL3が9.5mm、高さL4が11.5mmとなるように形成されている。
【0032】
以上のように構成することで、ループ導体2の1周の電気的な長さが概ね5.8GHz帯の1波長分とされる。これにより、ループ導体2から誘電層9を介して電磁結合を利用してボウタイスロット4aに給電することで、前記ボウタイスロット4aを構成する4つの二等辺三角形に90度位相差を与え、円偏波を発生させることができる。
【0033】
次に、図4から図7を参照して、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11を用いた場合の特性について説明する。
【0034】
図4は、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11の天頂方向の軸比周波数特性のシミュレーション結果を表したグラフである。グラフの縦軸は円偏波の長軸と短軸の軸比であり、長軸の長さと短軸の長さが一致する完全円偏波の軸比が0dBである。また一般に、円偏波アンテナとして良好な特性を得ることができる軸比は3dB以下とされる。図4に示すように、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11の最適軸比は0.1dBであり、極めて良好である。また、軸比3dB以下となる帯域幅は比帯域で40%であり、広帯域円偏波特性が得られていることが分かる。
【0035】
図5は、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11の5.8GHzにおける右旋円偏波(主偏波)成分と左旋円偏波(直交偏波)成分の指向特性のシミュレーション結果を示したグラフである。円偏波を発生するように構成されたボウタイアンテナにおいては、天頂方向に主偏波成分、背面方向に直交偏波成分が同程度の強度で輻射されるため、指向特性を単向性とするためには反射板が必要であった。この点、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11では、図5に示すように、右旋円偏波成分の天頂方向(図中の0°方向)への輻射に比べて、左旋円偏波成分の背面方向(図中の−180°方向)への輻射は約11.2dB小さくなっている。従って、反射板を設けなくても背面輻射を良好に抑圧することができている。
【0036】
図6は、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11の入力インピーダンス(VSWR:電圧定在波比)特性のシミュレーション結果を示したグラフである。縦軸はVSWRであり、一般的にVSWRは2以下が実用範囲とされる。本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11は、給電系が整合のとれたマイクロストリップラインで構成されているため、非常に広帯域にわたって良好な特性が得られている(VSWRが2以下の帯域幅が比帯域で50%以上)。
【0037】
図7は、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11の利得周波数特性のシミュレーション結果を示したグラフである。縦軸は天頂方向における利得(単位:dBi)を表している。図に示すように、右旋円偏波(主偏波)成分の利得ピークから3dB下がった帯域幅は、比帯域で33%と非常に広帯域である。
【0038】
次に、図8から図10を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。図8は、本発明の第2実施形態に係るスロットボウタイアンテナとしてのクロススロットボウタイアンテナ12の外観斜視図である。図9はクロススロットボウタイアンテナ12の平面図、図10はクロススロットボウタイアンテナ12の側面図である。なお、以降の説明において、上記の第1実施形態と同一又は類似の構成については、図面に同一の符号を付して説明を省略することがある。
【0039】
本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12は、第1実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11から側面導体を取り除くとともに、ループ導体2、グランド導体3及びスロット導体4を誘電体基板上に構成したものである。
【0040】
図8等に示すように、クロススロットボウタイアンテナ12は第1誘電体基板21と第2誘電体基板22を備えており、前記第1誘電体基板21と第2誘電体基板22とは平行になるように配置されている。
【0041】
第1誘電体基板21の表面(第2誘電体基板22とは反対側を向く面)には、スロット導体4が形成されている。このスロット導体4には、第1実施形態と同様に、ボウタイスロット4aが形成されている。なお、スロットが形成されているのはスロット導体4のみであって、第1誘電体基板21そのものにはスロットは形成されていない。
【0042】
第2誘電体基板22の表面(第1誘電体基板21の方を向く面)には、ループ導体2が形成されている。また、図10に示すように、第2誘電体基板22の裏面(ループ導体2が形成されている面とは反対側の面)には、グランド導体3が形成されている。以上の構成で、ループ導体2とグランド導体3とによって、マイクロストリップラインが構成されている。
【0043】
また、図10に示すように、第1誘電体基板21と第2誘電体基板22との間には空隙23が設けられている。即ち、第1実施形態における空隙による誘電層9の代わりに、空隙23と第1誘電体基板21とによってループ導体2とスロット導体4と間に誘電層が構成されている。
【0044】
また、第2誘電体基板22の裏面側には、給電ポート6及び整合終端ポート7が配置されている。そして、第2誘電体基板22及びグランド導体3には、ループ導体2の第1接続部2a及び第2接続部2bに対応する位置に図略の挿通孔が形成されている。これにより、中心導体6aを第2誘電体基板22の裏面から表面に通して、第1接続部2aに接続することができる。同様に、中心導体7aを第2誘電体基板22の裏面から表面に通して、第2接続部2bに接続することができる。
【0045】
次に、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12の構成を更に具体的に説明する。この実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12は、5.8GHz帯の右旋円偏波スロットボウタイアンテナとして構成されたものである。なお、以下で説明するクロススロットボウタイアンテナ12の寸法、形状などは、使用する帯域に応じて適宜変更可能であることは勿論である。
【0046】
以下、主に図9を参照して説明する。ループ導体2は、一定の厚みを有し、当該ループ導体2が構成するC字形ループの直径方向の線幅W2が1.2mmで一定の円弧形状(C字形)となるように形成されている。前記C字の内径D3は8mm、外径D4は10.4mmである。
【0047】
第1誘電体基板21及び第2誘電体基板22は、縦幅L5及び横幅L6を何れも28mmとしている。また、図10に示す第1誘電体基板21の厚さt1は1mm、第2誘電体基板22の厚さt2は0.6mmであり、第1誘電体基板21と第2誘電体基板との間の空隙23の大きさ(図10で示す高さh3)は0.5mmである。
【0048】
また、スロット導体4は、縦幅L7及び横幅L8を何れも25mmとしている。スロット導体4に形成されたボウタイスロット4aは、4つの二等辺三角形それぞれが、底辺の長さL9が8.7mm、高さL10が10.5mmとなるように形成されている。
【0049】
次に、図11から図14を参照して、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11を用いた場合の特性について説明する。
【0050】
図11は、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12の天頂方向の軸比周波数特性のシミュレーション結果を表したグラフである。グラフの縦軸は円偏波の長軸と短軸の軸比である。図11に示すように、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12の最適軸比は0.6dBであり、良好である。また、軸比3dB以下となる帯域幅は比帯域で40%であり、広帯域円偏波特性が得られていることが分かる。
【0051】
図12は、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12の5.8GHzにおける右旋円偏波(主偏波)成分と左旋円偏波(直交偏波)成分の指向特性のシミュレーション結果を示したグラフである。図に示すように、右旋円偏波成分の天頂方向(図中の0°方向)への輻射に比べて、左旋円偏波成分の背面方向(図中の−180°方向)への輻射は約17.2dB小さくなっている。従って、反射板を設けなくても背面輻射を良好に抑圧することができている。
【0052】
図13は、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12の入力インピーダンス(VSWR:電圧定在波比)特性のシミュレーション結果を示したグラフである。縦軸はVSWRである。本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12は、給電系が整合のとれたマイクロストリップラインで構成されているため、非常に広帯域にわたって良好な特性が得られている(VSWRが2以下の帯域幅が比帯域で50%以上)。
【0053】
図14は、本実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12の利得周波数特性のシミュレーション結果を示したグラフである。縦軸は天頂方向における利得(単位:dBi)を表している。図に示すように、右旋円偏波(主偏波)成分の利得ピークから3dB下がった帯域幅は、比帯域で12%と広帯域である。
【0054】
以上に説明したように、上記実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11,12は、ループ導体2と、スロット導体4と、グランド導体3と、を備えている。ループ導体2は、一端と他端とを近接させてループ状に形成される。スロット導体4は、ループ導体2との間に誘電層を挟み、当該ループ導体2と略平行に配置される。グランド導体3は、ループ導体2から見てスロット導体4が配置されている側と反対側に配置される。また、スロット導体4には、複数の三角形が頂点を突き合わせて放射状に配置された形状のボウタイスロット4aがループ導体2と対向する位置に形成される。そして、ループ導体2とグランド導体3とはマイクロストリップラインを構成している。
【0055】
以上の構成で、ループ導体2とグランド導体3とが構成するマイクロストリップラインに電磁波を伝達させることにより、電磁結合を介して、スロット導体4に対して給電することができる。従って、例えば給電の際にバランなどの平衡−不平衡変換器が不要となり、給電系を非常に簡略に構成することができる。更に、三角形状のスロットから放射することにより、ボウタイアンテナの特徴である広帯域性を確保することができる。また、別途反射板を設けなくてもグランド導体3によって背面輻射を抑圧できるので、コンパクトな単向性アンテナを構成することができる。
【0056】
また、上記実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11,12においては、ループ導体2は、一端が給電ポート6に接続され、他端は整合終端ポート7に接続されるとともに、当該ループ導体2のループの1周の電気的長さが概ね1波長である。
【0057】
これにより、ループ導体2に対して給電することによって、当該ループ導体2から電磁結合を介してスロット導体4の各部に給電位相差を与えつつ給電することができる。従って、円偏波を発生させることができるとともに、クロススロットボウタイアンテナ11,12の広帯域性を維持しつつ1点給電による給電を実現することができる。また、放射に寄与しなかった余剰電力を整合終端ポート7によって吸収することができる。
【0058】
また、上記実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11,12において、ボウタイスロット4aは、4つの二等辺三角形が、頂角を突き合わせるようにして略十字型に配置された形状に形成されている。
【0059】
これにより、スロット導体4の4つの二等辺三角形に対応する部分に対して、約90度の給電位相差をループ導体から与え、良好に円偏波を発生させることができる。
【0060】
以上に本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0061】
マイクロストリップラインを構成するループ導体2の形状は、周長が電気的に約1波長であれば良く、上記実施形態のように円形(C字形)に限らない。ただし、ボウタイスロットに90度位相差を与えることのできる形状であることが好ましい。
【0062】
第2実施形態のクロススロットボウタイアンテナ12において、空隙23を無くして、誘電体基板のみで誘電層を構成するようにしても良い。また、第1実施形態のクロススロットボウタイアンテナ11においても、空隙で構成されている箇所を誘電体で充填しても良い。
【0063】
ボウタイスロット4aは、上記実施形態のように4つ二等辺三角形を等間隔に並べた形状に限らない。例えば、厳密に二等辺三角形である必要はないし、4つの三角形が合同でなくても良い。また、三角形が頂点を突き合わせて放射状に配置された形状に形成されていれば良く、必ずしも略十字形でなくても良い(即ち、必ずしも三角形が等間隔で並んでいなくても良い)。また三角形は4つに限らず、3つ又は5つ以上でも円偏波を発生させることが可能である。
【0064】
給電方式はグランド導体3の背面からの同軸給電のほか、ループ導体2と同一面の共平面給電方式としても良い。
【0065】
上記実施形態では送信アンテナとしての構成を説明したが、第1接続部2aに給電装置に代えて受信回路を接続することにより、クロススロットボウタイアンテナ11,12を受信アンテナとして機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態に係るクロススロットボウタイアンテナの外観斜視図。
【図2】第1実施形態のクロススロットボウタイアンテナの平面図。
【図3】図2のA−A断面矢視図。
【図4】第1実施形態のクロススロットボウタイアンテナの軸比周波数特性のシミュレーション結果を示したグラフ。
【図5】第1実施形態のクロススロットボウタイアンテナの指向特性のシミュレーション結果を示したグラフ。
【図6】第1実施形態のクロススロットボウタイアンテナのVSWRのシミュレーション結果を示したグラフ。
【図7】第1実施形態のクロススロットボウタイアンテナの利得周波数特性のシミュレーション結果を示したグラフ。
【図8】本発明の第2実施形態に係るクロススロットボウタイアンテナの外観斜視図。
【図9】第2実施形態のクロススロットボウタイアンテナの平面図。
【図10】第2実施形態のクロススロットボウタイアンテナの側面図。
【図11】第2実施形態のクロススロットボウタイアンテナの軸比周波数特性のシミュレーション結果を示したグラフ。
【図12】第2実施形態のクロススロットボウタイアンテナの指向特性のシミュレーション結果を示したグラフ。
【図13】第2実施形態のクロススロットボウタイアンテナのVSWRのシミュレーション結果を示したグラフ。
【図14】第2実施形態のクロススロットボウタイアンテナの利得周波数特性のシミュレーション結果を示したグラフ。
【図15】(a)従来技術のボウタイアンテナの構成を示した模式図。(b)従来技術のキャビティ付きクロススロットアンテナの構成を示した斜視図。
【符号の説明】
【0067】
11,12 クロススロットボウタイアンテナ(スロットボウタイアンテナ)
2 ループ導体
3 グランド導体
4 スロット導体
4a ボウタイスロット
5 側面導体
6 給電ポート(給電部)
7 整合終端ポート(整合終端部)
9 誘電層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端と他端とを近接させてループ状に形成されたループ導体と、
前記ループ導体との間に誘電層を挟み、当該ループ導体と略平行に配置されたスロット導体と、
前記ループ導体から見て前記スロット導体が配置されている側と反対側に配置されたグランド導体と、
を備え、
前記スロット導体には、複数の三角形が頂点を突き合わせて放射状に配置された形状のボウタイスロットが前記ループ導体と対向する位置に形成され、
前記ループ導体と前記グランド導体とはマイクロストリップラインを構成していることを特徴とするスロットボウタイアンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のスロットボウタイアンテナであって、
前記ループ導体は、一端が給電部に接続され、他端は整合終端部に接続されるとともに、
当該ループ導体のループの1周の長さが概ね1波長であることを特徴とするスロットボウタイアンテナ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスロットボウタイアンテナであって、
前記ボウタイスロットは、4つの二等辺三角形が、頂角を突き合わせるようにして略十字型に配置された形状に形成されていることを特徴とするスロットボウタイアンテナ。
【請求項1】
一端と他端とを近接させてループ状に形成されたループ導体と、
前記ループ導体との間に誘電層を挟み、当該ループ導体と略平行に配置されたスロット導体と、
前記ループ導体から見て前記スロット導体が配置されている側と反対側に配置されたグランド導体と、
を備え、
前記スロット導体には、複数の三角形が頂点を突き合わせて放射状に配置された形状のボウタイスロットが前記ループ導体と対向する位置に形成され、
前記ループ導体と前記グランド導体とはマイクロストリップラインを構成していることを特徴とするスロットボウタイアンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のスロットボウタイアンテナであって、
前記ループ導体は、一端が給電部に接続され、他端は整合終端部に接続されるとともに、
当該ループ導体のループの1周の長さが概ね1波長であることを特徴とするスロットボウタイアンテナ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスロットボウタイアンテナであって、
前記ボウタイスロットは、4つの二等辺三角形が、頂角を突き合わせるようにして略十字型に配置された形状に形成されていることを特徴とするスロットボウタイアンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−109623(P2010−109623A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278916(P2008−278916)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】
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