説明

スロットル装置

【課題】ECUおよび各種センサ類を、スロットルボディの周囲のスペースに効率よく配設できるようにしたスロットル装置を提供する。
【解決手段】スロットルバルブ開度センサ80およびPbセンサ81は、エンジンの制御を行う制御ユニット62と別体のセンサケース63に収納される。センサケース63は、スロットルボディ61の左壁面90に接して配設する。制御ユニット62は、センサケース63に設けられるカプラ64によってセンサケース63と電気的に接続することで、スロットルボディ61の上壁面91に接して配設される。センサケース63および制御ユニット62は、スロットルボディ61の左壁面90および上壁面91に対する取付面63a,62aの面積が他の面より大きい略直方体とされる。制御ユニット62の取付面62aとセンサケース63の取付面63aとが互いに略直角をなすように配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットル装置に係り、特に、スロットルボディにエンジン制御装置および各種センサを取り付けるようにしたスロットル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンの燃料噴射量や点火時期等を制御するECUと、スロットル開度センサや吸気圧センサ等の各種センサ類とをスロットル装置のスロットルボディに直接取り付けるようにした構成が知られている。
【0003】
特許文献1には、スロットルボディの一壁面に、該スロットルボディと一体式の箱状ケース部を設け、この箱状ケース部の内部にECUの基板および吸気圧センサを収納するようにしたスロットル装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−285898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された構成では、ECUの基板および吸気圧センサをスロットルボディの一壁面に取り付けられた単一のケース部に収納する構造のため、スロットルボディの一壁面側のみが大型化しやすくなると共に、スロットルボディの他の壁面の周囲に形成されるデッドスペースが大きくなる可能性があるという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、ECUおよび各種センサ類を、スロットルボディの周囲のスペースに効率よく配設できるようにしたスロットル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、スロットルバルブ(70)を軸支するスロットルボディ(61)に、エンジンの制御を行う制御ユニット(62)と、少なくともスロットルバルブ開度センサ(80)を含むセンサ類(80,81)とを取り付けるようにしたスロットル装置(60)において、前記センサ類(80,81)は、前記制御ユニット(62)と別体のセンサケース(63)に収納されており、前記センサケース(63)は、前記スロットルボディ(61)の一壁面(90,93)に接して配設されており、前記制御ユニット(62)は、前記センサケース(63)に設けられるカプラ(64)によって前記センサケース(63)と電気的に接続されると共に、前記スロットルボディ(61)の他の壁面(91,92)に接して配設される点に第1の特徴がある。
【0008】
また、前記センサケース(63)は、前記スロットルボディ(61)の一壁面(90,93)に対する取付面(63a)の面積が他の面より大きい略直方体に形成され、前記制御ユニット(62)は、前記スロットルボディ(61)の他の壁面(91,92)に対する取付面(62a)の面積が他の面より大きい略直方体に形成されている点に第2の特徴がある。
【0009】
また、前記制御ユニット(62)と前記センサケース(63)とは、前記制御ユニット(62)の取付面(62a)と前記センサケース(63)の取付面(63a)とが、互いに略直角をなすように配設されている点に第3の特徴がある。
【0010】
また、前記制御ユニット(62)には、少なくとも1つの発熱素子(82)が収納されており、前記発熱素子(82)は、前記制御ユニット(62)内で前記スロットルボディ(61)寄りに配設されている点に第4の特徴がある。
【0011】
また、前記制御ユニット(62)が配設される他の壁面(91)は、前記スロットルボディ(61)の車体上方側の上壁面である点に第5の特徴がある。
【0012】
また、前記制御ユニット(62)が配設される他の壁面(92)は、前記スロットルボディ(61)の車体下方側の下壁面である点に第6の特徴がある。
【0013】
また、前記制御ユニット(62)は、2組のカプラ(64,65)の一方側(64)を用いて前記センサケース(63)と接続されると共に、前記2組のカプラ(64,65)の他方側(65)を用いて車体側のハーネス(66)と接続される点に第7の特徴がある。
【0014】
また、前記スロットル装置(60)は、自動二輪車(1)の左右一対のフレームパイプ(31,32)の内側に配設されている点に第8の特徴がある。
【0015】
さらに、前記スロットルバルブ(70)の回動軸(71)は、自動二輪車(1)の車幅方向に指向して配設されており、前記回動軸(71)の一端部に、前記スロットルバルブ開度センサ(80)が取り付けられており、前記センサケース(63)は、前記スロットルバルブ開度センサ(80)を収納すると共に、前記スロットルボディ(61)の車幅方向に位置する壁面(90,93)に取り付けられる点に第9の特徴がある。
【発明の効果】
【0016】
第1の特徴によれば、センサ類は、制御ユニットと別体のセンサケースに収納されており、センサケースは、スロットルボディの一壁面に接して配設されており、制御ユニットは、センサケースに設けられるカプラによってセンサケースと電気的に接続されると共に、スロットルボディの他の壁面に接して配設されるので、制御ユニットとセンサケースとが別体式とされるため、スロットルボディの任意の2面を使って制御ユニットおよびセンサケースを配置することが可能となり、スロットルボディまわりのスペース利用効率を向上させることができる。また、制御ユニットとセンサケースとをカプラによって接続するため、制御ユニットとセンサケースとの間に配線等が不要となり、取り扱いが容易な上に、センサ出力へのノイズの影響も小さくすることができる。
【0017】
第2の特徴によれば、センサケースは、スロットルボディの一壁面に対する取付面の面積が他の面より大きい略直方体に形成され、制御ユニットは、スロットルボディの他の壁面に対する取付面の面積が他の面より大きい略直方体に形成されているので、制御ユニットおよびセンサケースをスロットルボディの外壁に沿って配設することが容易になり、スロットルボディまわりのスペースの有効活用が可能になる。
【0018】
第3の特徴によれば、制御ユニットとセンサケースとは、制御ユニットの取付面とセンサケースの取付面とが、互いに略直角をなすように配設されているので、スロットルボディまわりに制御ユニットおよびセンサケースを効率よく配設することが可能となる。また、制御ユニットとセンサケースとの間の接続距離を短くすることができる。
【0019】
第4の特徴によれば、制御ユニットには、少なくとも1つの発熱素子が収納されており、発熱素子は、制御ユニット内でスロットルボディ寄りに配設されているので、発熱素子の熱がスロットルボディに伝達され、発熱素子の熱引き性を高めることができる。
【0020】
第5の特徴によれば、制御ユニットが配設される他の壁面は、スロットルボディの車体上方側の上壁面であるので、制御ユニットへの水はねやエンジン熱の影響を低減させることができる。
【0021】
第6の特徴によれば、制御ユニットが配設される他の壁面は、スロットルボディの車体下方側の下壁面であるので、スロットルボディの車体下部のデッドスペースを有効利用して制御ユニットを取り付けることができる。例えば、従来のキャブレター方式ではスロットルボディの下側にフロート部分が設けられていたが、燃料噴射方式では該フロート部分が不要になるので、かかるデッドスペースを有効活用することができる。
【0022】
第7の特徴によれば、制御ユニットは、2組のカプラの一方側を用いてセンサケースと接続されると共に、2組のカプラの他方側を用いて車体側のハーネスと接続されるので、制御部ユニットを中継伝達手段として機能させて、車体側ハーネスとセンサケースとを接続することができる。これにより、部品点数を削減すると共に、スロットル装置の組み付け性を向上させることができる。
【0023】
第8の特徴によれば、スロットル装置は、自動二輪車の左右一対のフレームパイプの内側に配設されているので、スロットル装置の車幅方向左右をフレームパイプで保護することができる。
【0024】
第9の特徴によれば、スロットルバルブの回動軸は、自動二輪車の車幅方向に指向して配設されており、回動軸の一端部に、スロットルバルブ開度センサが取り付けられており、センサケースは、スロットルバルブ開度センサを収納すると共に、スロットルボディの車幅方向に位置する壁面に取り付けられるので、スロットルバルブの回動軸が車幅方向に指向することでスロットルボディの整備性が保持されると共に、センサケースへのアクセスが容易となりスロットルバルブ開度センサ等の各種センサの整備も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットル装置を備えた自動二輪車の左壁面図である。
【図2】自動二輪車の要部拡大平面図である。
【図3】スロットル装置を車体左側から見た壁面図である。
【図4】スロットル装置の上面図である。
【図5】スロットル装置を図3のA方向から見た正面図である。
【図6】本実施形態の変形例に係るスロットル装置の正面図である。
【図7】本実施形態の第2変形例に係るスロットル装置の正面図である。
【図8】本実施形態の第3変形例に係るスロットル装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るスロットル装置60を備えた自動二輪車1の左壁面図である。また、図2は、自動二輪車1の要部拡大平面図である。自動二輪車1の車体フレーム3は、ヘッドパイプ30、第1メインフレーム31、第2メインフレーム32、ダウンフレーム33、リヤフレーム34、並びにこれらフレームに接合されるガセット、ブラケット、ステー等の部材からなる。
【0027】
ツインプラグ方式の単気筒4サイクルのエンジン2は、シリンダ20、シリンダヘッド21、およびシリンダヘッドカバー22を備え、下部にクランクケース4を備える。エンジン2は、エンジン2と一体に結合されているクランクケース4を車体フレーム3に複数個所で連結することにより車体フレーム3に保持される。クランクケース4の車体左側には、ACジェネレータ5が設けられる。ACジェネレータ5は、エンジン2のクランク軸6に連結されて駆動される。
【0028】
第1メインフレーム31上には、燃料ポンプ7を内蔵した燃料タンク8およびシート9が保持される。燃料タンク8とエンジン2との間にはバッテリを収容するバッテリケース10が設けられる。エンジン2のシリンダヘッド21の左壁には第1の点火プラグ11が設けられ、後壁には第2の点火プラグ12が設けられている。
【0029】
シリンダヘッドカバー22の車体前方側には、車幅方向中央の位置に点火コイル13が配置されている。第1の点火プラグ11および第2の点火プラグ12は、点火コイル13に対して第1のハイテンションコード14および第2のハイテンションコード15によってそれぞれ接続される。第1のハイテンションコード14は、シリンダヘッドカバー22の左側方を通って前方に配索されており、第2のハイテンションコード15はシリンダヘッドカバー22の上方を通って前方に配索されている。なお、第2のハイテンションコード15は、その中間部分がバッテリケース10の底面に保持され、シリンダヘッドカバー22の上面との間で所定の距離を維持して配索されている。
【0030】
第2メインフレーム32の下端部には、スイングアーム16を上下揺動自在に支持するピボットボス17が設けられる。第2メインフレーム32は、リヤクッション18を介してスイングアーム16を懸架する。スイングアーム16の後部には、後輪WRが回転自在に軸支されている。クランクケース4から車体左側に突出する減速機の出力軸19と後輪WRとの間には駆動チェーン23が架け渡されている。
【0031】
シリンダヘッド22の前部から引き出される排気管24は、クランクケース4の下を回って車体右後方に延長され、その後端部にマフラ25が連結されている。シリンダヘッド22の後部には、本発明に係るスロットル装置60および吸気管27が接続され、吸気管27の後端部にはエアクリーナボックス28が連結されている。
【0032】
ヘッドパイプ30は、ステアリング軸29を回動自在に保持し、ステアリング軸29の上下にはトップブリッジ35およびボトムブリッジ36がそれぞれ結合されている。左右一対のフロントフォーク37は、トップブリッジ35およびボトムブリッジ36によって保持されており、その下端には前輪WFが回転自在に軸支されている。フロントフォーク37には、前輪WFを覆うフロントフェンダ38が取り付けられている。
【0033】
トップブリッジ35には、ステアリングハンドル39が固定され、ステアリングハンドル39の左右にはグリップ40およびバックミラー41が設けられる。トップブリッジ35およびボトムブリッジ36から前方に延びるステー42には、ヘッドライト43、フロントウィンカ44およびメータ装置45が取り付けられている。第1メインフレーム31の後部に連なるリヤフレーム34の後端には、リヤフェンダ46に固定されたテールライト47およびリヤウィンカ48が配設されている。
【0034】
ACジェネレータ5から上方に延びるハーネス49は、車体前後方向に延びるメインハーネス50に合流する。メインハーネス50内の配線は、バッテリケース10内のバッテリや、ヘッドライト43、フロントウィンカ44、テールライト47、リヤウィンカ48等の灯火器やリレー等の電装部品に結線されている。
【0035】
車体フレーム3の車体前端部にはヘッドパイプ30が配されており、このヘッドパイプ30に接合される第1メインフレーム31が車体後部側に延在している。第1メインフレーム31および第2メインフレーム32は、いずれも車体左方向に張り出した左部材と車体右方向に張り出した右部材とからなる左右一対のパイプ材である。第2メインフレーム32は、第1メインフレーム31が接合されている位置よりも下方でヘッドパイプ30に接合され、車体後方側に途中まで延びてその先が下方に湾曲して終端する。
【0036】
ダウンフレーム33は、ヘッドパイプ30にその先端が接合されて車体下方に延在する矩形横断面のパイプ部材である。リヤフレーム34は、第2メインフレーム32の垂下部分に先端が接合され、かつ上後方に延びて第1メインフレーム31の後部に接合されている。ダウンフレーム33の車体前方側には、オイルクーラ51が取り付けられている。オイルクーラ51とクランクケース4とは、不図示のパイプによってオイルが循環されるように接続される。第2メインフレーム32の下端部に形成されたピボットボス17は、スイングアーム16およびクランクケース4の後部を連結するピボット軸を支持する。
【0037】
図2を参照して、バッテリ(不図示)を収納するバッテリケース10は、左右一対の第1メインフレーム31および左右一対の第2メインフレーム32の間の位置に配置される。バッテリケース10は、バッテリを収容する箱体から左右に張り出したウィング部10aを備え、該ウィング部10aが第1メインフレーム31の上面に当接する。
【0038】
第1点火プラグ11に一端が接続される第1のハイテンションコード14の他端は、点火コイル13の一方の高圧出力端子53に接続されている。一方、第2点火プラグ12に一端が接続される第2のハイテンションコード15の他端は、点火コイル13の他方の高圧出力端子52に接続されている。高圧出力端子52,53は、いずれも点火コイル13上でエンジン2のシリンダヘッドカバー22寄りで、かつ点火コイル13上で車体左右方向の一側部(本実施形態では車体左側)に向けて配置されている。点火コイル13の右側には、電源端子55、56が突出しており、電源端子55、56に接続されるハーネス54は前記メインハーネス50に統合される。
【0039】
前記したように、本発明に係るスロットル装置60は、吸気通路が車体前後方向に指向するようにシリンダヘッド22の車体後方側に配置されている。スロットル装置60は、略直方体の吸気通路を開閉するスロットルバルブ70(図3参照)を内蔵した略直方体のスロットルボディ61を備える。スロットルボディ61の車体上壁面には、エンジンの点火タイミングや燃料噴射タイミング等を制御する制御ユニット(ECU)62が配設されている。また、スロットルボディ61の車体左壁面には、少なくともスロットルバルブ開度センサを含む各種センサが収納された略直方体のセンサケース63が配設されている。制御ユニット62とセンサケース63とは、カプラ64によって接続されている。また、制御ユニット62は、カプラ65によって、車体側のハーネス66に接続されている。
【0040】
また、スロットル装置60は、左右一対のフレームパイプ、すなわち、第1のメインフレーム31および第2のメインフレーム32の内側に配設されている。これにより、スロットル装置60の車幅方向左右をメインフレーム31,32で保護することができる。
【0041】
図3は、スロットル装置60を車体左側から見た壁面図である。図4は、スロットル装置60の上面図である。図5は、スロットル装置60を図3のA方向から見た正面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。
【0042】
スロットル装置60のスロットルボディ61は、略円形断面の吸気通路67が形成されたアルミニウム等の金属からなる部品である。スロットルボディ61の車体前後方向の両端部には、エアクリーナボックス28(図2参照)と連結される入口側ダクト部68およびシリンダヘッド21の吸気通路と連結される出口側ダクト部69が形成されている。
【0043】
スロットルボディ61の内部には、プーリ72の回動軸71に連結されて吸気通路67を開閉するスロットルバルブ70が配設されている。プーリ72には、スロットルバルブ70を閉方向に常時付勢するスプリング73が取り付けられている。図5に示すように、バタフライ式のスロットルバルブ70は、回動軸71と同軸固定された抑え板74に対してネジ75で固定されており、プーリ72の回転と同期して開閉するように構成されている。
【0044】
スロットルボディ61は、その長手方向に吸気通路が形成された略四角柱形状とされており、入口側ダクト部68および出口側ダクト部69を除いた4つの壁面90,91,92,93は、それぞれ平面形状を有している。スロットルボディ61の上壁面91および下壁面92は、それぞれ車体上下方向で対向するように配設され、左壁面90および右壁面93は、それぞれ車幅方向で対向するように配設されている。
【0045】
本実施形態では、スロットルボディ61の一壁面としての左壁面90にセンサケース63が取り付けられる一方、スロットルボディ61の他の壁面としての上壁面91に制御ユニット62が取り付けられている。センサケース63は、スロットルボディ61の一壁面としての左壁面90に対する取付面63aの面積が、センサケース63の他の面より大きな略直方体に形成されている。また、制御ユニット62は、スロットルボディ61の上壁面91に対する取付面62aの面積が、制御ユニット62の他の面より大きい略直方体に形成されている。
【0046】
センサケース63と制御ユニット62とは、カプラ64によって接続されている。そして、カプラ65によって制御ユニット62とハーネス66とが接続されることで、センサケース63からの出力信号に基づいた制御信号が、点火装置や燃料噴射装置に伝達されるように構成されている。
【0047】
センサケース63には、スロットルバルブ70の開度を検知するスロットルバルブ開度センサ80およびPbセンサ(吸気圧センサ)81が収納されている。なお、センサケース63には、さらに、IACV(アイドルエアコントロールバルブ)のユニットやその駆動量センサ等を収納することができる。
【0048】
センサケース63と制御ユニット62とを接続するカプラ64は、制御ユニット62に固定された凹カプラ64xと、センサケース63に固定された凸カプラ64yとからなり、互いに着脱自在に構成されている。また、制御ユニット62とハーネス66とを接続するカプラ65は、制御ユニット62に固定された凸カプラ65yと、ハーネス66に固定された凹カプラ65xとからなり、互いに着脱可能に構成されている。
【0049】
センサケース63は、スロットルボディ61の左壁面90に対してネジ等の締結部材によって固定されている。これに対し、制御ユニット62は、カプラ64によってセンサケース63と接続されることで、スロットルボディ61の上壁面91の所定位置に収まるように構成されている。このとき、スロットルボディ61の上壁面91と制御ユニット62側の取付面62aとの間に、制御ユニット62を所定位置に収めるための係合構造を設けるようにしてもよい。また、制御ユニット62は、カプラ64を係合させた後に、ネジ等の締結部材を用いてスロットルボディ61に固定する構造としてもよい。
【0050】
上記したように、本発明に係るスロットル装置60によれば、制御ユニット62とセンサケース63とを別体式とすることで、スロットルボディ61の任意の2面を使って制御ユニット62およびセンサケース63を配置することが可能となり、スロットルボディ61まわりのスペース利用効率を向上させることができる。また、制御ユニット62とセンサケース63とをカプラ64によって接続するため、制御ユニット62とセンサケース63との間に配線等が不要となり、取り扱いが容易な上に、センサ出力へのノイズの影響も小さくすることができる。
【0051】
なお、スロットルバルブ開度センサ80には、スロットルバルブ70の回動軸71の回転角度を検知するロータリ式センサが用いられるため、センサケース63は、スロットルバルブ開度センサ80が効率よく収納されるように、回動軸71の軸方向に対して略垂直の面(本実施形態では、スロットルボディ61の左壁面90または右壁面93)に取り付けるのが好適である。他方、センサケース63は、スロットルバルブ70の回動軸71が車体上下方向に指向する場合には、スロットルボディ61の上壁面または下壁面に取り付けることもできる。なお、図4に2点鎖線で示した符号65aは、図6を用いて説明する変形例に係るカプラ65aの平面視形状を示している。
【0052】
また、制御ユニット62とセンサケース63とは、制御ユニット62の取付面62aとセンサケース63の取付面63aとが、互いに略直角をなすように配設されている。これにより、スロットルボディまわりに制御ユニットおよびセンサケースを効率よく配設することが可能となり、かつ制御ユニット62とセンサケース63との間の接続距離を短くすることができる。また、スロットル装置60の小型化が可能となることで、フレームパイプの車幅方向の間隔を狭めて車両全体の小型化を図ることができる。
【0053】
制御ユニット62には、少なくとも1つの発熱素子82が収納されており、発熱素子82は、制御ユニット62内でスロットルボディ61寄りに配設されている。これにより、パワートランジスタ等からなる発熱素子82の熱がスロットルボディ61に伝達されやすくなり、発熱素子82の放熱性を高めることができる。さらに、制御ユニット62が、スロットルボディ61の上壁面91に配設されているので、制御ユニット62への水はねやエンジン熱の影響を低減させることができる。
【0054】
図6は、本実施形態の変形例に係るスロットル装置100の正面図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。本変形例は、ハーネス66を取り付けるためのカプラ65aを、制御ユニット62の上面に取り付けた点に特徴がある。この配置によれば、スロットルボディ61の車幅方向左右どちらにでもハーネス66を取り回すことができ、レイアウトの自由度を高めることができる。
【0055】
図7は、本実施形態の第2変形例に係るスロットル装置101の正面図である。本変形例では、制御ユニット62bを、スロットルボディ61の下壁面92に取り付けるようにした点に特徴がある。この配置によれば、スロットルボディ61の車体下部のデッドスペースを有効利用して制御ユニット62bを取り付けることができる。このスペースは、キャブレターから燃料噴射装置に換装したことでキャブレターの燃料フロート室が存在した部分に形成されたものであり、上記した配置によってこのデッドスペースが有効利用されることとなる。なお、ハーネス66を接続するためのカプラ65bは、制御ユニット62bの側面に設けられている。
【0056】
図8は、本実施形態の第3変形例に係るスロットル装置102の正面図である。本変形例は、図7に示した制御ユニット62bの下面に、ハーネス66を取り付けるためのカプラ65cを取り付けた点に特徴がある。この配置によれば、スロットルボディ61の下壁面92に制御ユニット62bを取り付けた場合でも、ハーネス66の取り回し自由度が高められる。
【0057】
なお、スロットルボディ、制御ユニット、センサケース、カプラの形状や構造、センサケースに収納されるセンサの個数や種類、発熱素子の種類や配置等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、制御ユニットおよびセンサケースの形状は、略直方体に限られず、スロットルボディへの取付面が平面状であれば、その表面側に大小の凹凸等が形成されていてもよい。また、制御ユニットおよびセンサケースのスロットルボディへの取付面の外形は、長方形に限られず、楕円や菱形等の形状であってもよい。本発明に係るスロットル装置は、自動二輪車に限られず、鞍乗型の三/四輪車等の各種車両および汎用エンジン等に適用することもできる。
【符号の説明】
【0058】
1…自動二輪車、31…第1のメインフレーム、32…第2のメインフレーム、60…スロットル装置、62…制御ユニット、63…センサケース、64,65…カプラ、64x,65x…凹カプラ、64y,65y…凸カプラ、70…スロットルバルブ、71…回動軸、72…プーリ、80…スロットルバルブ開度センサ、81…Pbセンサ(吸気圧センサ)、82…発熱素子、90…左壁面(一壁面)、91…上壁面(他の壁面)、92…下壁面(他の壁面)、93…右壁面(一壁面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットルバルブ(70)を軸支するスロットルボディ(61)に、エンジンの制御を行う制御ユニット(62)と、少なくともスロットルバルブ開度センサ(80)を含むセンサ類(80,81)とを取り付けるようにしたスロットル装置(60)において、
前記センサ類(80,81)は、前記制御ユニット(62)と別体のセンサケース(63)に収納されており、
前記センサケース(63)は、前記スロットルボディ(61)の一壁面(90,93)に接して配設されており、
前記制御ユニット(62)は、前記センサケース(63)に設けられるカプラ(64)によって前記センサケース(63)と電気的に接続されると共に、前記スロットルボディ(61)の他の壁面(91,92)に接して配設されることを特徴とするスロットル装置。
【請求項2】
前記センサケース(63)は、前記スロットルボディ(61)の一壁面(90,93)に対する取付面(63a)の面積が他の面より大きい略直方体に形成され、
前記制御ユニット(62)は、前記スロットルボディ(61)の他の壁面(91,92)に対する取付面(62a)の面積が他の面より大きい略直方体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置。
【請求項3】
前記制御ユニット(62)と前記センサケース(63)とは、前記制御ユニット(62)の取付面(62a)と前記センサケース(63)の取付面(63a)とが、互いに略直角をなすように配設されていることを特徴とする請求項2に記載のスロットル装置。
【請求項4】
前記制御ユニット(62)には、少なくとも1つの発熱素子(82)が収納されており、
前記発熱素子(82)は、前記制御ユニット(62)内で前記スロットルボディ(61)寄りに配設されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のスロットル装置。
【請求項5】
前記制御ユニット(62)が配設される他の壁面(91)は、前記スロットルボディ(61)の車体上方側の上壁面であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスロットル装置。
【請求項6】
前記制御ユニット(62)が配設される他の壁面(92)は、前記スロットルボディ(61)の車体下方側の下壁面であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスロットル装置。
【請求項7】
前記制御ユニット(62)は、2組のカプラ(64,65)の一方側(64)を用いて前記センサケース(63)と接続されると共に、前記2組のカプラ(64,65)の他方側(65)を用いて車体側のハーネス(66)と接続されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のスロットル装置。
【請求項8】
前記スロットル装置(60)は、自動二輪車(1)の左右一対のフレームパイプ(31,32)の内側に配設されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のスロットル装置。
【請求項9】
前記スロットルバルブ(70)の回動軸(71)は、自動二輪車(1)の車幅方向に指向して配設されており、
前記回動軸(71)の一端部に、前記スロットルバルブ開度センサ(80)が取り付けられており、
前記センサケース(63)は、前記スロットルバルブ開度センサ(80)を収納すると共に、前記スロットルボディ(61)の車幅方向に位置する壁面(90,93)に取り付けられることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のスロットル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−52435(P2012−52435A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193922(P2010−193922)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】