説明

スーパーオキシドジスムターゼ活性を有する置換型ピリジノペンタアザ大環錯体

【課題】スーパーオキシドを不均化する触媒として有効である化合物の提供。
【解決手段】スーパーオキシドを触媒的に不均化する置換型不飽和複素環ペンタアザシクロペンタデカン配位子のマンガンまたは鉄錯体。最も好ましくはシクロヘキシル、ヒドロキシルアルキルチオ、アルキル(2−チオ酢酸)エステル、ベンジルオキシ、メトキシアリールチオ、アルコキシカルボニルアリールチオおよびアリール(2−チオ酢酸)エステル置換基を有するものである。好ましくは、含窒複素環基は芳香族、より好ましくはピリジノ基である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、1997年6月20日に出願され、現在では放棄された仮特許出願番号60/050,402号の利益を主張する、1998年4月9日に出願され、特許されている米国特許出願番号第09/057,831号の一部継続出願である、1999年9月16日に出願され、特許されている米国特許出願番号第09/398,120号の一部継続出願である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は、スーパーオキシドを不均化する触媒として有効である化合物に関し、より詳細には、スーパーオキシドを触媒的に不均化する置換型不飽和複素環ペンタアザシクロペンタデカン配位子のマンガンまたは鉄錯体に関する。
【0003】
関連技術
酵素スーパーオキシドジスムターゼは、式(1)に従ってスーパーオキシドから酸素および過酸化水素への変換を触媒する(以後、本明細書中にて不均化という)
2O+2H→O+H(1)
スーパーオキシド由来の反応性酸素代謝物は、虚血心筋に対する再灌流傷害、炎症性腸疾患、慢性関節リューマチ、骨関節症、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、転移、乾癬、器官移植拒絶反応、放射性誘導傷害、喘息、インフルエンザ、卒中、火傷および外傷性障害のごとき多くの炎症性の疾患および障害における組織病理に寄与していることが立証されている。例えば、Simic, M. G.ら, Oxygen Radicals in Biology and Medicine, Basic Life Sciences, Vol. 49, Plenum Press, New York and London, 1988; Weiss, J. Cell. Biochem., 1991, Suppl. 15C, 216 Abstract C110 (1991); Petkau, A., Cancer Treat. Rev. 13, 17 (1986); McCord, J. Free Radicals Biol. Med., 2, 307 (1986);およびBannister, J. V.ら, Crit. Rev. Biochem., 22, 111 (1987)を参照されたい。
【0004】
スーパーオキシドは、一酸化窒素(NO)として同定されている内皮由来弛緩因子(EDFR)の分解に関与することも知られており、そのEDRFがスーパーオキシドジスムターゼによって分解から保護されることも知られている。このことは、高血圧症、血管痙攣、血栓症およびアテローム性動脈硬化症の病因におけるスーパーオキシド由来の活性化酸素種の中心的役割を示唆している。例えば、Gryglewski, R. J.ら, "Superoxide Anion is Involved in the Breakdown of Endothelium-derived Vascular Relaxing Factor", Nature, Vol. 320, pp. 454-56 (1986)およびPalmer, R. M. J.ら, "Nitric Oxide Release Accounts for the Biological Activity of Endothelium Derived Relaxing Factor", Nature, Vol. 327, pp. 523-26 (1987).を参照されたい。
【0005】
天然、組換えおよび修飾スーパーオキシドジスムターゼ酵素を用いた臨床的試行および動物実験が完了しているか、または前記した疾患状態におけるスーパーオキシドのレベルを低下させる治療効力を立証するために進行中である。しかしながら、効力のある治療剤としての該酵素の使用に伴って多くの問題点が持ちあがり、それには経口活性の不足、イン・ビボ(in vivo)での短い半減期、非ヒト由来酵素の免疫原性、および不足した組織分布が含まれる。
【0006】
スーパーオキシドジスムターゼ酵素に関連する問題点を克服する努力において、スーパーオキシドを不均化する非タンパク質触媒の設計および種々のスーパーオキシドに関連する病気におけるそれらの使用に幾つかの研究が行われている。天然スーパーオキシドジスムターゼ酵素とほぼ同様に有効な触媒であることが示されている一群の触媒は、米国特許第5,610,293号、第5,637,578号および第5,874,421号に記載されているペンタアザシクロペンタデカン配位子のマンガンおよび鉄錯体である。これらのリガンドは、大環の炭素上に種々の置換基を、または大環の炭素に結合した環式または複素環構造を有するペンタアザシクロペンタデカン大環として記載されている。これらの化合物は、触媒的スーパーオキシド不均化活性ならびに抗炎症活性を有すること、ならびに酸化的損傷を予防することが示されている。さらに、これらの化合物はラット前足カラギーナン痛覚過敏症モデルにおいて痛覚脱失活性を有することが示されている(米国特許出願番号第09/057,831号)。2のかかる記載されている痛覚脱失SOD擬似化合物は、化合物Aおよび化合物Bである:
【0007】
【化1】

【発明の概要】
【0008】
驚くべきことに、本出願人らは、前記錯体のペンタアザシクロペンタデカン大環上の不飽和含窒複素環基への置換基の付加が、両方ともスーパーオキシドジスムターゼ触媒活性を劇的に変化させ、かつ、医薬剤としてのこれらの錯体の効力を上昇させ得ることを見出した。本出願人らは、置換型不飽和含窒複素環基を含む本発明の化合物が、予期せぬことに、非置換型含窒複素環部分との以前に開示された複合体と比較してオピオイド耐性の予防または反転についての効力において顕著な上昇を示すことを見出した。さらに、これらの置換型不飽和含窒複素環化合物は抗炎症および痛覚脱失組成物用の医薬剤として10倍までにもより効力が高く、かつ、エンドトキシン誘導性難治性低血圧症の治療のごとき適用において親非置換型化合物と同等に良好であるかまたはより良好である場合もある。したがって、本発明の化合物は、非置換型含窒複素環基との以前に記載したペンタアザシクロペンタデカン錯体を超える医薬に重要な特徴における予期せぬ改善を示す。
【0009】
本発明は、スーパーオキシドアニオンが関り合う炎症疾患状態および障害用の治療剤として有用なスーパーオキシドラジカルの不均化用の低分子量触媒(SOD擬似物)に指向される。本発明のSOD擬似物は、置換型不飽和含窒複素環基を含む15員含窒大環リガンドのマンガンまたは鉄錯体、最も好ましくはシクロヘキシル、ヒドロキシルアルキルチオ、アルキル(2−チオ酢酸)エステル、ベンジルオキシ、メトキシアリールチオ、アルコキシカルボニルアリールチオおよびアリール(2−チオ酢酸)エステル置換基を有するものである。好ましくは、含窒複素環基は芳香族、より好ましくはピリジノ基である。
【0010】
本発明は、これらの錯体の前駆体配位子である置換型不飽和含窒複素環基を含むペンタアザシクロペンタデカン大環にも指向される。
また、本発明は、前記SOD擬似物の製法、より詳細には、遷移金属イオンとのキレート化後に複素環基上の置換基を修飾する新規な方法にも指向される。
また、本発明は、疾患状態または障害を治療または予防するのに十分な量で本発明のSOD擬似物を含む医薬組成物に指向される。
さらに、本発明は、スーパーオキシドアニオンが関り合う種々の疾患状態および障害を治療するためにこれらの触媒を用いる方法に指向される。
他の目的および特徴は、以後、本明細書中にて一部明らかとなり、一部指摘する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】内毒素血症ラット、実施例16からの平均動脈圧データのチャートである。黒塗り菱形 塩類溶液を受けた群(対照);白抜き四角 LPSのみを受けた群;白抜き三角 1時間目にLPSおよび0.25mg/kg/時間の化合物Aの注入を受けた群;黒塗り三角 5時間目にLPSおよび0.25mg/kg/時間の化合物Aを受けた群
【図2】内毒素血症ラット、実施例16からの平均動脈圧データのチャートである。黒塗り菱形 塩類溶液を受けた群(対照);白抜き四角 LPSのみを受けた群;白抜き三角 3時間目にLPSおよび0.075mg/kg/時間の化合物25の注入を受けた群
【図3】内毒素血症ラット、実施例16からの平均動脈圧データのチャートである。黒塗り菱形 塩類溶液を受けた群(対照);白抜き四角 LPSのみを受けた群;白抜き三角 3時間目にLPSおよび0.075mg/kg/時間の化合物31の注入を受けた群
【図4】実施例14、ラット脚カラギーナンモデルにおける脚体積変化のチャートである。黒塗り四角 カラギーナン注射のみを受けた群;黒塗り丸 カラギーナン注射の15分前に6mg/kg/時間の化合物Aの注入を受けた群
【図5】実施例14、ラット脚カラギーナンモデルにおける脚体積変化のチャートである。黒塗り四角 カラギーナン注射のみを受けた群;黒塗り丸 カラギーナン注射の15分前に10mg/kg/時間の化合物13の注入を受けた群
【図6】実施例14、ラット脚カラギーナンモデルにおける脚体積変化のチャートである。黒塗り四角 カラギーナン注射のみを受けた群;黒塗り丸 カラギーナン注射の15分前に1mg/kg/時間の化合物14の注入を受けた群;黒塗り三角 カラギーナン注射の15分前に10mg/kg/時間の化合物14の注入を受けた群
【図7】実施例14、ラット脚カラギーナンモデルにおける脚体積変化のチャートである。黒塗り四角 カラギーナン注射のみを受けた群;黒塗り丸 カラギーナン注射の15分前に10mg/kg/時間の化合物25の注入を受けた群
【図8】実施例14、ラット脚カラギーナンモデルにおける脚体積変化のチャートである。黒塗り四角 カラギーナン注射のみを受けた群;黒塗り丸 カラギーナン注射の15分前に10mg/kg/時間の化合物31の注入を受けた群
【図9】生イー・コリ(E.coli)誘導ショックのラットモデルにおける化合物Aの保護効果を図示するチャートである。図9aはMAPの低下を予防することにおける化合物Aの保護効果を示している。図9bは心拍数における低下を予防することにおける化合物Aの保護効果を示している。
【図10】本発明の化合物25の分子構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
本明細書中で用いる“SOD擬似物”なる語句は、スーパーオキシドアニオンを過酸化水素および分子状酸素に変換するための低分子量触媒を意味する。この触媒は、ペンタアザシクロペンタデカン部分を有する有機配位子およびキレート化遷移金属イオン、好ましくはマンガンまたは鉄よりなる。この語句は、有機配位子として、(15アミノ酸未満の)短鎖ポリペプチドまたはアミノ酸由来の大環構造を含む触媒を含み得る。この語句は、いずれの天然起源から得られるスーパーオキシドジスムターゼ酵素も明確に排除する。
“前駆体配位子”なる語句は、キレート化した遷移金属カチオンおよび荷電中和アニオンを含まないSOD擬似物の有機リガンドを意味する。
“置換型”なる語句は、記載する基が少なくとも1の炭素またはヘテロ原子を含み、さらに0ないし22の炭素原子、より好ましくは1ないし15の炭素原子を含み、かつ、0ないし22、より好ましくは0ないし15のO、S、N、P、Si、B、F、Cl、BrまたはIよりなる群から選択されるヘテロ原子を含む1またはそれを超える置換基を有することを意味する。これらの原子は多くの配置で配列し得、不飽和、飽和または芳香族である置換基を創製し得る。かかる置換基の例には、分枝または非分枝のアルキル、アルケニル、またはアルキニル、環式、複素環、アリール、ヘテロアリール、アリル、ポリシクロアルキル、ポリシクロアリール、ポリシクロヘテロアリール、イミン、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシル、フェノール、アミンオキシド、チオアルキル、カルボアルコキシアルキル、カルボン酸およびその誘導体、ケト、エーテル、アルデヒド、アミン、アミド、ニトリル、ハロ、チオール、スルホキシド、スルホン、スルホン酸、スルフィド、ジスルフィド、ホスホン酸、ホスフィン酸、アクリル酸、スルホンアミド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、炭水化物、核酸、脂肪酸、脂質、ニトロ、ヒドロキシルアミン、ヒドロキサム酸、チオカルボニル、チオカルボニル、ボラート、ボラン、ボラザ、シリル、シラザ、シロキシおよびそれらの組合せが含まれる。
【0013】
“アルキル”なる語句は、単独または組み合わせて、1ないし約22の炭素原子、好ましくは約1ないし約18の炭素原子、および最も好ましくは約1ないし約12の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。かかる基の例には、限定されるものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソ−アミル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルおよびエイコシルが含まれる。
【0014】
“アルケニル”なる語句は、単独または組み合わせて、1またはそれを超える二重結合を有するアルキル基を意味する。かかるアルケニル基の例には、限定されるものではないが、エテニル、プロペニル、1−ブテニル、cis−2−ブテニル、trans−2−ブテニル、イソ−ブチレニル、cis−2−ペンテニル、trans−2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、1−オクテニル、デセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、cis−およびtrans−9−オクタデセニル、1,3−ペンタジエニル、2,4−ペンタジエニル、2,3−ペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、2,4−ヘキサジエニル、5,8,11,14−エイコサテトラエニルおよび9,12,15−オクタデカトリエニルが含まれる。
【0015】
“アルキニル”なる語句は、単独または組み合わせて、1またはそれを超える三重結合を有するアルキル基を意味する。かかるアルキニル基の例には、限定されるものではないが、エチニル、プロピニル(プロパルギル)、1−ブチニル、1−オクチニル、9−オクタデシニル、1,3−ペンタジイニル、2,4−ペンタジイニル、1,3−ヘキサジイニルおよび2,4−ヘキサジイニルが含まれる。
【0016】
“シクロアルキル”なる語句は、単独または組み合わせて、3ないし約10、好ましくは3ないし約8、および最も好ましくは3ないし約6の炭素原子を含むシクロアルキル基を意味する。かかるシクロアルキル基の例には、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルおよびペルヒドロナフチルが含まれる。
【0017】
”シクロアルキルアルキル”なる語句は、前記定義のシクロアルキル基によって置換された前記定義のアルキル基を意味する。シクロアルキルアルキル基の例には、限定されるものではないが、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、(4−イソプロピルシクロヘキシル)メチル、(4−t−ブチル−シクロヘキシル)メチル、3−シクロヘキシルプロピル、2−シクロヘキシルメチルペンチル、3−シクロペンチルメチルヘキシル、1−(4−ネオペンチルシクロヘキシル)メチルヘキシル、および1−(4−イソプロピルシクロヘキシル)メチルヘプチルが含まれる。
【0018】
“シクロアルキルシクロアルキル”なる語句は、前記定義のもう1のシクロアルキル基によって置換された前記定義のシクロアルキル基を意味する。シクロアルキルシクロアルキル基の例には、限定されるものではないが、シクロヘキシルシクロペンチルおよびシクロヘキシルシクロヘキシルが含まれる。
【0019】
“シクロアルケニル”なる語句は、単独または組み合わせて、1またはそれを超える二重結合を有するシクロアルキル基を意味する。シクロアルケニル基の例には、限定されるものではないが、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニルおよびシクロオクタジエニルが含まれる。
【0020】
“シクロアルケニルアルキル”なる語句は、前記定義のシクロアルケニル基によって置換された前記定義のアルキル基を意味する。シクロアルケニルアルキル基の例には、限定されるものではないが、2−シクロヘキセン−1−イルメチル、1−シクロペンテン−1−イルメチル、2−(1−シクロヘキセン−1−イル)エチル、3−(1−シクロペンテン−1−イル)プロピル、1−(1−シクロヘキセン−1−イルメチル)ペンチル、1−(1−シクロペンテン−1−イル)ヘキシル、6−(1−シクロヘキセン−1−イル)ヘキシル、1−(1−シクロペンテン−1−イル)ノニルおよび1−(1−シクロヘキセン−1−イル)ノニルが含まれる。
【0021】
“アルキルシクロアルキル”および“アルケニルシクロアルキル”なる語句は、前記定義のアルキルまたはアルケニル基によって置換された前記定義のシクロアルキル基を意味する。アルキルシクロアルキルおよびアルケニルシクロアルキル基の例には、限定されるものではないが、2−エチルシクロブチル、1−メチルシクロペンチル、1−ヘキシルシクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−(9−オクタデセニル)シクロペンチルおよび1−(9−オクタデセニル)シクロヘキシルが含まれる。
【0022】
“アルキルシクロアルケニル”および“アルケニルシクロアルケニル”なる語句は、前記定義のアルキルまたはアルケニル基によって置換された前記定義のシクロアルケニル基を意味する。アルキルシクロアルケニルおよびアルケニルシクロアルケニル基の例には、限定されるものではないが、1−メチル−2−シクロペンチル、1−ヘキシル−2−シクロペンテニル、1−エチル−2−シクロヘキセニル、1−ブチル−2−シクロヘキセニル、1−(9−オクタデセニル)−2−シクロヘキセニルおよび1−(2−ペンテニル)−2−シクロヘキセニルが含まれる。
【0023】
“アリール”なる語句は、単独または組み合わせて、フェニル、p−トリル、4−メトキシフェニル、4−(tert−ブトキシ)フェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、4−ヒドロキシフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルなどのごとき、所望によりアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、複素環、アルコキシアリール、アルカリル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、アミン、シアノ、ニトロ、アルキルチオ、フェノキシ、エーテル、トリフルオロメチルなどから選択される1またはそれを超える置換基を運んでいてもよいフェニルまたはナフチル基を意味する。
【0024】
“アラルキル”なる語句は、単独または組み合わせて、ベンジル、2−フェニルエチルなどのごとき、1の水素原子が前記定義のアリール基によって置き換わっている前記定義のアルキルまたはシクロアルキル基を意味する。
【0025】
“複素環”なる語句は、環中に炭素に加えて少なくとも1の他の種類の原子を含む環構造を意味する。最も一般的な他の種類の原子には、窒素、酸素および硫黄が含まれる。複素環の例には、限定されるものではないが、ピロリジニル、ピペリジル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチエニル、フリル、チエニル、ピリジル、キノリル、イソキノリル、ピリダジニル、ピラジニル、インドリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、トリアゾリルおよびテトラゾリル基が含まれる。
【0026】
“飽和、部分飽和または不飽和の環状”なる語句は、環の2の炭素も15員大環配位子の一部分でもある縮合環構造を意味する。環構造は、3ないし20の炭素原子、好ましくは5ないし10の炭素原子を含み得、炭素に加えて1またはそれを超える他の種類の原子も含み得る。最も一般的な他の種類の原子には、窒素、酸素および硫黄が含まれる。環構造は1を超える環を有することもできる。
【0027】
“飽和、部分飽和または不飽和の環構造”なる語句は、環の1の炭素が15員大環配位子の部分である環構造を意味する。環構造は、3ないし20、好ましくは5ないし10の炭素原子を含み得、窒素、酸素および/または硫黄原子も含み得る。
【0028】
“含窒複素環”なる語句は、環の2の炭素および窒素も15員大環配位子の一部分でもある環構造を意味する。環構造は、2ないし20、好ましくは4ないし10の炭素原子を含み得、置換型または非置換型の部分的または完全な不飽和または飽和となり得、15員大環配位子の一部分でもない環の一部分に窒素、酸素および/または硫黄原子も含み得る。
【0029】
”スーパーオキシドアニオンが関り合っている疾患状態および障害”なる語句は、スーパーオキシドアニオン、または(ペルオキシ硝酸塩のごとき)スーパーオキシドアニオンが関与する反応の生成物が疾患状態または障害の進行における因子であることが知られているかまたは予想されるいずれの疾患状態または障害をも意味する。かかる疾患状態および障害の例は、炎症および虚血再灌流傷害である。
【0030】
“有機酸アニオン”なる語句は、約1ないし約18の炭素原子を有するカルボン酸アニオンをいう。
“ハロゲン化物”なる語句は、クロリド、フルオリド、ヨージドまたはブロミドを意味する。
本明細書中で用いる“R基”とは、大環の炭素原子に結合した全てのR基、すなわち、R、R'、R1、R'1、R2、R'2、R3、R'3、R4、R'4、R5、R'5、R6、R'6、R7、R'7、R8、R'8、R9を意味する。
【0031】
本明細書中で引用する全ての参考文献は、出典明示して本明細書の一部とみなす。
対応する参照記号は、図面全体を通して対応する部分を示す。
【0032】
発明の詳細な説明
本発明は、含窒15員大環配位子、および式:
【0033】
【化2】

【0034】
{式中、大環の窒素およびそれが結合する2の隣接する炭素原子は、独立して、2ないし20の炭素原子、より好ましくは4ないし10の炭素原子を有する置換型不飽和含窒複素環Wを形成し、それは、複素環および大環の両方の一部分である窒素に結合した水素ならびに複素環および大環の両方の一部分である炭素原子に結合したR基が存在しない場合には、芳香族複素環となり得;
R、R、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、RおよびR'は、独立して、水素、または置換型もしくは非置換型のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルシクロアルキル、シクロアルケニルアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロアルケニル、アルケニルシクロアルキル、アルケニルシクロアルケニル、複素環、アリールおよびアラルキル基を表し;
所望により、RもしくはR'とRもしくはR'、RもしくはR'とRもしくはR'、RもしくはR'とRもしくはR'、またはRもしくはR'とRもしくはR'の1またはそれを超えるものは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、独立して、2ないし20の炭素原子を有する置換型または非置換型の含窒複素環を形成し得、それは、複素環および大環の両方の一部分である窒素に結合した水素ならびに複素環および大環の両方の一部分である炭素原子に結合したR基が存在しない場合には、芳香族複素環となり得;
所望により、RおよびR'、RおよびR'、RおよびR'、RおよびR'、RおよびR'、RおよびR'、RおよびR'、ならびにRおよびR'の1またはそれを超えるものは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、独立して、3ないし20の炭素原子を有する飽和、部分飽和または不飽和の環式または複素環を形成し;
所望により、R、R、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、RおよびR'の1は、大環配位子中の異なる炭素原子に結合したR、R、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、RおよびR'の異なる1と一緒になって結合して、式:
−(CH−M−(CH−L−(CH−J−(CH
[ここに、w、x、yおよびzは、独立して、0ないし10の整数であって、M、LおよびJは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルカリル、アルクヘテロアリール、アザ、アミド、アンモニウム、オキサ、チア、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、ホスホリル、ホスフィニル、ホスフィノ、ホスホニウム、ケト、エステル、アルコール、カルバマート、尿素、チオカルボニル、ボラート、ボラン、ボラザ、シリル、シロキシ、シラザおよびそれらの組合せよりなる群から選択される]
によって表されるストラップを形成し得;ならびに前記いずれかの組合せであり;
Mは遷移金属のカチオン、好ましくはマンガンまたは鉄であり;ならびに
X、YおよびZは、いずれかの単座または多座配位子または配位子系由来の好適な配位子または荷電中和アニオンあるいはそれらの対応するアニオン(例えば、安息香酸またはベンゾアートアニオン、フェノールまたはフェノキシドアニオン、アルコールまたはアルコキシドアニオン)を表し、あるいは、X、YおよびZは、独立して、ハロゲン化物、オキソ、アクオ、ヒドロキソ、アルコール、フェノール、二酸素、ペルオキソ、ヒドロペルオキソ、アルキルペルオキソ、アリールペルオキソ、アンモニア、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアリールアミノ、アミンオキシド、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、アリールヒドラジン、一酸化窒素、シアン化物、シアナート、チオシアナート、イソシアナート、イソチオシアナート、アルキルニトリル、アリールニトリル、アルキルイソニトリル、アリールイソニトリル、ニトラート、ニトライト、アジド、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルアリールスルホキシド、アルキルスルフェン酸、アリールスルフェン酸、アルキルスルフィン酸、アリールスルフィン酸、アルキルチオールカルボン酸、アリールチオールカルボン酸、アルキルチオールチオカルボン酸、アリールチオールチオカルボン酸、アルキルカルボン酸(酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸のごとき)、アリールカルボン酸(安息香酸、フタル酸のごとき)、尿素、アルキル尿素、アリール尿素、アルキルアリール尿素、チオ尿素、アルキルチオ尿素、アリールチオ尿素、アルキルアリールチオ尿素、スルファート、スルファイト、ビスルファート、ビスルファイト、チオスルファート、チオスルファイト、ヒドロスルファイト、アルキルホスフィン、アリールホスフィン、アルキルホスフィンオキシド、アリールホスフィンオキシド、アルキルアリールホスフィンオキシド、アルキルホスフィンスルフィド、アリールホスフィンスルフィド、アルキルアリールホスフィンスルフィド、アルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、アルキルホスフィン酸、アリールホスフィン酸、アルキル亜ホスフィン酸、アリール亜ホスフィン酸、ホスファート、チオホスファート、ホスファイト、ピロホスファイト、トリホスファート、ハイドロジェンホスファート、ジハイドロジェンホスファート、アルキルグアニジノ、アリールグアニジノ、アルキルアリールグアニジノ、アルキルカルバマート、アリールカルバマート、アルキルアリールカルバマート、アルキルチオカルバマート、アリールチオカルバマート、アルキルアリールチオカルバマート、アルキルジチオカルバマート、アリールジチオカルバマート、アルキルアリールジチオカルバマート、ジカルボナート、カルボナート、ペルクロラート、クロラート、クロライト、ハイポクロライト、ペルブロマート、ブロマート、ブロマイト、ハイポブロマイト、テトラハロマンガナート、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスファート、ヘキサフルオロアンチモナート、ハイポホスファイト、ヨーダート、ペルイオダート、メタボラート、テトラアリールボラート、テトラアルキルボラート、タートラート、サリシラート、スクシナート、シトラート、ラクタート、グルコナート、アスコルバート、サッカリナート、アミノ酸、ヒドロキサム酸、チオトシラートおよびイオン交換樹脂のアニオンよりなる群から選択され得る}
によって記載される、遷移金属とのそれらの錯体に指向される。それからX、YおよびZが選択される好ましい配位子には、ハロゲン化物、有機酸、ニトラートおよびビカルボナートアニオンが含まれる。
【0035】
したがって、本発明のSOD擬似物は、置換型または非置換型のR基、飽和、部分飽和または不飽和の環式、環構造、含窒複素環または前記定義のストラップのいずれかの組合せを有し得る。
【0036】
また、本発明の範囲内に存在するのは、以下の式:
【化3】

【0037】
[式中、“R”基およびWは前記定義に同じ;
大環の炭素原子に結合した“R”基は大環に対してアキシアルまたはエクアトリアルの位置で存在し得;“R”基が水素以外である場合または2の隣接する“R”基、すなわち隣接する炭素原子上のものがそれらが結合する炭素原子と一緒になった場合、飽和、部分飽和または不飽和の環式または含窒複素環を形成する場合、あるいは、同じ炭素原子上の2のR基がそれらが結合する炭素原子と一緒になった場合、飽和、部分飽和または不飽和の環構造を形成する場合、改善された活性および安全性の理由のため、少なくとも幾つかの“R”基がエクアトリアル位置で存在することが好ましい]
によって記載される、前記の錯体の非キレート化前駆体配位子である。前記定義は、錯体が1を超える水素ではない“R”基を含む場合に特にそうである。
【0038】
本発明の好ましい化合物は、以下の式:
【0039】
【化4】

【0040】
[式中、R基、W、M、X、YおよびZは前記定義に同じであって、UおよびVは3ないし20、好ましくは4ないし10の炭素原子を含み、それらが結合する炭素原子とシクロアルキル環を形成する飽和環式構造である]
によって記載されるものである。本発明のより好ましい具体例において、UおよびVは2のtrans−シクロヘキサノ縮合環である。本発明のより好ましい具体例において、Wは置換型ピリジンであって、R、RおよびW内の大環の窒素上のHは存在しない。本発明の特に好ましい具体例において、Wは置換型ピリジンであって、UおよびVはtrans−シクロヘキサノ縮合環である。W上の好ましい置換基は、医薬適用用の触媒の効力を高めるものである。例えば、触媒の標的が患者の疎水性組織である場合には脂肪親和性置換基が好ましい。触媒活性またはlogPおよび同時の標的化/薬物速度論的効果を変化することに加えて、出願人らは、ある種の置換基が一般的に医薬組成物において使用するための触媒の効力を高めることを発見した。これらの好ましい置換基には、シクロヘキシル、ヒドロキシルアルキルチオ、アルキル(2−チオ酢酸)エステル、ベンジルオキシ、メトキシアリールチオ、アルコキシカルボニルアリールチオおよびアリール(2−チオ酢酸)エステルが含まれる。本発明の錯体の例には、限定されるものではないが、以下の式を有する化合物が含まれる:
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
【表5】

【0046】
【表6】

【0047】
【表7】

【0048】
【表8】

【0049】
【表9】

【0050】
【表10】

【0051】
【表11】

【0052】
【表12】

【0053】
【表13】

【0054】
スーパーオキシドを不均化するこれらの触媒の活性は、実施例3および出典明示して本明細書の一部とみなすRiley, D. P., Rivers, W. J.およびWeiss, R. H., "Stopped-Flow Kinetic Analysis for Monitoring Superoxide Decay in Aqueous Systems", Anal. Biochem., 196, 344-349 (1991)に記載されているストップフロー動力学解析技術を用いて立証し得る。ストップフロー動力学解析は、水中のスーパーオキシドの崩壊速度を定量的にモニターする正確かつ直接的な方法である。前記表中の例示化合物について記載している触媒定数は、この方法を用いて決定した。
表から認められ得るごとく、スーパーオキシド不均化活性を有する広範な種々の置換型不飽和複素環錯体を容易に合成し得る。マンガン−ベースSOD酵素の一般的に認められている作用機構には、2の酸化状態(II、III)の間のマンガン中心の環化が含まれる。J. V. Bannister, W. H. BannisterおよびG. Rotilio, Crit. Rev. Biochem., 22, 111-180 (1987)を参照されたい。
【0055】
1) Mn(II)+HO----→Mn(III)+HO
2) Mn(III)+O----→Mn(II)+O
【0056】
pH=7におけるO/OおよびHO/HOカップルについての正式な酸化還元電位は、各々−0.33vおよび0.87vである。A. E. G. Cass, in Metalloproteins: Part 1, Metal Proteins with Redox Roles, ed. P. Harrison, p 121. Verlag Chemie (Weinheim, GDR) (1985)を参照されたい。前記に開示した機構については、これらの電位は推定SOD触媒が−0.33vないし0.87vの範囲で酸化状態変化を迅速に受けることができることを必要とする。したがって、イオンの酸化還元電位が、スーパーオキシドアニオンが酸化型金属を還元し得かつプロトン付加スーパーオキシドが還元型金属を酸化し得る範囲に存在し、かつ、スーパーオキシドアニオンのアプローチの立体障害が最小である限り、触媒は約10−6ないし10−8のkcatで機能するであろう。
【0057】
本明細書中に記載するMn(II)由来の錯体およびC−置換型[15]アンN配位子の一般クラスを、サイクリックボルタンメトリーを用いて特徴付けしてそれらの酸化還元電位を測定した。本明細書中に記載するC−置換型錯体は、約+0.7v(SHE)の可逆酸化を有する。クーロメトリーは、この酸化が1電子プロセスであることを示す;すなわち、それはMn(II)錯体からMn(III)錯体への酸化である。したがって、SOD錯体として機能するためのこれらの錯体については、Mn(III)酸化状態が触媒サイクルに関与している。このことは、全てのこれらの配位子のMn(III)錯体がSOD触媒として等しく能力を有することを意味する。スーパーオキシドは、酸素を遊離しつつMn(III)をMn(II)に単純に還元するであろうため、スーパーオキシドが存在する場合にいずれの形態(Mn(II)またはMn(III))が存在するかは問題ではないからである。
【0058】
それら自体をいずれか特定の理論に限定することなく、出願人らはRileyら, 1999に記載されている機構がいかにしてこれらの触媒がスーパーオキシドを不均化するかの妥当な近似であることを提唱する。錯体がスーパーオキシドジスムターゼ活性を示すためには、アキシアル配位子と配位子環の5の窒素との間の八面体錯体の安定化を許容する立体配座に配位子がホールディングできなければならない。環を剛直な立体配座にホールドする、配位子の主要な15員環内に幾つかの共役二重結合を化合物が含む場合、化合物は触媒活性を示すと予想されないであろう。大環配位子を平面立体配座に固定する大環配位子に結合したR基は、低い触媒であると予想されるであろう。当業者であれば、これらの型の誘導体がスーパーオキシドジスムターゼ活性を欠くであろうことには驚かないであろう。詳細には、当業者であれば、立体障害を引き起こすであろう多くの大きな基を付加するか、または主要環に多すぎる二重結合を入れることによって大環のたわみ性が著しく変化することを回避するであろう。この効果は、錯体を剛直な平面構造に束縛するより小さなR基のある種の立体配置にも存在するであろう。これらの例およびガイドラインが与えられれば、当業者であれば本発明の記載したペンタアザシクロペンタデカン錯体のいずれのものがスーパーオキシド不均化活性を保持するかを認識できるであろう。
【0059】
本発明の触媒は、米国特許第5,610,293号に開示された方法によって製造することができる。しかしながら、本発明の触媒は後記に図示するテンプレート法によって合成することが好ましい。この合成法は、テンプレート法を用いた環化収率が、以前の方法を用いた約20%と比較して、通常約90%である点において以前に開示された方法を超えて有利である。幾つかのジアミンは出発物質として市販されており、あるいはジアミンは合成し得る。ジアミンは0℃の無水塩化メチレン中の塩化トリチルと反応させ、攪拌しつつ一晩放置して室温まで温める。ついで、生成物をメタノール中のグリオキサールと合し、16時間攪拌する。ついで、グリオキサールビスイミン生成物をTHF中のホウ化水素で還元する。対称生成物が望ましい場合には、1のジアミンを出発物質として用い得る。さらに、ピリジンに対峙する大環から垂れ下がった基が望ましい場合(RおよびR)には、置換型グリオキサールを用い得る。還元型グリオキサールビスイミンの代わりに、市販のテトラアミンも用い得る。グリオキサールビスイミンを還元した後に、塩基性条件下で、生成物を2,6−ジカルボキシアルデヒドピリジンまたは2,6−ジアセチルピリジンのごとき2,6−ジカルボニル置換型ピリジンおよびマンガンまたは鉄の塩と合する。遷移金属イオンは置換型ピリジンおよびテトラアミンの環化を促進するテンプレートとして作用する。幾つかの2,6−ジカルボニル置換型ピリジンは市販されており、ピリジンに隣接して大環から垂れ下がった基(RおよびR)を有する種々の配位子の容易な製造ができる。置換型不飽和複素環基を得るために本発明の触媒を合成する場合には、1またはそれを超える置換基(R、RおよびR)を有するピリジンを用いる。環化後に、3−4時間にわたって、生成物をギ酸アンモニウムおよびパラジウム触媒で3−4時間にわたって還元する。別法として、本発明の化合物のこの製法のあまり好ましくない具体例において、ビスアミンをNaBHのごとき水素化物還元剤を用いて、または水素ガスおよび金属触媒を用いて還元することもできる。“R”置換基に加えて、“R'”基も同一の炭素で置換し得る。“R”および“R’”基は、前記に示したいずれのものであってもよい。製法は、種々の出発物質に適合させるために当業者によく知られている原理に従って変化し得る。
【0060】
【化5】

【0061】
上記のテンプレート環化反応工程で生成したビスイミンは水素ガスを用いるより慣用的な手段によって還元し得るが、ビスイミンは、実施例2で説明するごとく触媒存在下、ギ酸アンモニウムで還元することが好ましい。このプロセスで使用する好ましい触媒にはパラジウムが含まれるが、ニッケル、ロジウム、白金、酸化白金およびルテニウムのごとき他の触媒金属を含む触媒も潜在的に好適であろう。このプロセスは、好ましい化合物の複素環基中のピリジン基の二重結合を保存しつつ、高い安全性およびイミン結合の高い還元効率の利点を与える。さらに、この方法は、水素またはホウ化水素の還元と比較してより濃縮された媒体で行い得、より短い反応時間を許容する。
【0062】
本発明の幾つかの触媒を生成するのに有用であるもう1の合成法は、実施例7に概説するキレート化後求核置換スキームである。幾つかの利点が、本発明のこのプロセスを用いることによって実感される。第1に、4−クロロ−2,6ジカルボキシアルデヒドピリジンのごとき、市販されているかまたは前記のテンプレート環化合成で比較的簡単に合成し得る反応物を用い、ついで、置換基との副反応なしに得られたキレート化大環配位子を修飾し得る。第2に、この反応はキレート化配位子の修飾を許容するため、塩化マンガンを用いた修飾後反応は必要でなく、反応プロセスを単純化し得る。遊離基置換型ピリジンペンタアザシクロペンタデカンキレート化配位子を、修飾反応における出発物質として用いる。良好な遊離基である好ましい求核性4−ピリジノ置換基はハロゲン化物である。Cl、BrおよびIはより好ましい置換基である。低温のDMF(または他の適当な溶媒)中のSOD擬似物触媒に求核試薬(1当量)を滴下し、その反応混合物を一晩攪拌する。ついで、溶媒を真空下(in vacuo)で除去し、得られた混合物を塩化メチレンで抽出し、ついで真空下にて濃縮する。ついで、SOD擬似物触媒は、フラッシュカラム・クロマトグラフィーによって精製し得る。この修飾反応において使用する求核試薬は、いずれの強力な求核試薬ともし得る。出願人らは、チオラートが本発明の化合物を製造するのに有用なキレート化後修飾試薬の広範な整列を提供することを見出している。この方法は主に好ましいピリジノ化合物と共に用いているが、同合成法は、4−クロロピリミジノ錯体のごとき求核原子置換型含窒アリール基を有する本発明の他のSOD擬似物と共に用い得る。
【0063】
通常、マンガンを本開示における実施例のキレート化遷移金属イオンとして用いるが、開示する配位子がFeClのごとき塩から得られる鉄(II)または鉄(III)カチオンと極めて簡単に錯体形成し得ることは理解されるべきである。一般的に、鉄を用いることによって10−7もの高いkcatがなお観察されるが、キレート化遷移金属イオンとしてマンガンを用いることによってより良好な触媒活性が観察されている。したがって、マンガンは本発明の錯体におけるキレート化遷移金属イオンとして好ましい。
【0064】
本発明のペンタアザ大環は1またはそれを超える不斉炭素原子を有し得、したがって光学異性体の形態ならびにそのラセミまたは非ラセミ混合物の形態で存在することができる。光学異性体は慣用的なプロセスに従って、例えば、光学活性酸を用いる処理によってジアステレオ異性体塩を形成することによって、ラセミ混合物を分割することによって得ることができる。適当な酸の例は酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびカンファスルホン酸であって、ついで結晶化につづいてこれらの塩から光学活性塩基を遊離することによってジアステレオマーの混合物を分離する。光学異性体を分離するための別のプロセスには、最適に選択したキラルクロマトグラフィーカラムを使用してエナンチオマーの分離を最大化することが含まれる。いまだもう1の有用な方法には、本発明の化合物の1またはそれを超える第二級アミン基(群)を活性化形態の光学的に純粋な酸または光学的に純粋なイソシアナートと反応させることによって、共有的ジアステレオ異性体分子を合成することが含まれる。合成したジアステレオ異性体はクロマトグラフィー、蒸留、結晶化または昇華のごとき慣用的手段によって分離し、ついで加水分解してエナンチオマー的に純粋な配位子に分配させることができる。本発明の光学的に活性な化合物は、同様に、天然アミノ酸のごとき光学的に活性な出発物質を用いることによって得ることができる。
【0065】
本発明の化合物は、疾患の幾つかのモデルにおいて顕著な効力および有用性を有することが示されている。実施例14において、疼痛および炎症治療用の本発明の化合物の有用性がラット前足カラギーナンモデルで実証されている。置換型不飽和含窒複素環化合物は、その効力、痛覚脱失の開始および効果の期間の点に関してベース化合物(化合物A)とは顕著に異なる場合がある。注記し得るごとく、含窒複素環基上の種々の小さなエステル基の置換は痛覚脱失作用の非常に迅速な開始をつくりだす。さらに、ベンジルエーテル置換型錯体は、両方ともより速い速度の触媒スーパーオキシド不均化を有する化合物AまたはBと比較して、このモデルにおいて特に効力がある。これらの化合物の異なる痛覚脱失時間プロフィールのため、これらの化合物は異なる領域の疼痛治療において特別な適用を見出し得る。あるいは、安定したレベルの疼痛軽減を供するためにこれらのうちの幾つかを組合せ得る。全体的に、この化合物は、親化合物Aと比較して顕著な種々の効果を示す。
【0066】
実施例15において、オピオイド耐性反転のげっ歯類モデルにおけるこの化合物の効力が、ivおよび皮下投与の両方によって示されている。以前に開示した化合物AおよびBと比較して、本発明の幾つかの化合物は、このモデルにおけるモルヒネ耐性の予防において仰天するような効力を示す。例えば、iv投与においては、化合物13および14は化合物Aを用いた効果のおおよそ1/2を達成するのに必要な濃度の1/30で非常に顕著なモルヒネ耐性の反転を示す。化合物28は、iv投与において、化合物Aを用いた同一の効果に必要な濃度の1/100でモルヒネ耐性の100%の反転を示す。同様な結果が皮下投与でも得られ、ここにおいて、化合物3は化合物Aを用いた同一の効果を達成するのに必要な用量の1/100でモルヒネ耐性の100%の反転を示した。かくして、本発明の化合物はオピオイド耐性を予防または反転する顕著な有用性を示す。
【0067】
さらに、化合物25および31も、内毒素血症ラットモデルにおける難治性低血圧症を予防するその能力について試験した(実施例16)。これらの化合物は両方とも、化合物Aを用いた同様な効果を達成するために用いる用量の1/3で内毒素血症動物における低血圧症を予防するのに有効であった。
【0068】
実施例14、15および16によって実証するごとく、本発明の化合物または錯体を利用して、それを必要とする患者における多数の疾患状態および障害を治療し得る。“患者”および“対象”なる語句には、治療を必要とするヒトおよび非ヒト動物が含まれる。かかる疾患状態および障害には、限定されるものではないが、虚血心筋に対する再灌流傷害のごとき虚血器官に対する再灌流傷害、一般的炎症、炎症性腸疾患、慢性関節リューマチ、骨関節症、高血圧症、乾癬、器官移植拒絶反応、難治性低血圧症、器官保存、放射性誘導傷害、血小板凝集、卒中、自己免疫疾患、成人呼吸窮迫症候群、発癌、重篤な慢性疼痛、痛覚過敏症および腐敗症が含まれる。本発明の錯体は最良な痛覚脱失剤であって、それを用いていずれかの痛覚過敏症状態から生じる対象における疼痛を治療または予防し得る。さらに、その錯体は、オピエートに対する耐性を予防または低下させる活性を有し、オピエートに関連する呼吸抑制を強化することなくオピエートの痛覚脱失活性を強化する。さらに、その錯体はオピエート、ニコチンまたは他の薬剤に対する嗜癖に関連する離脱症候群を治療するのに有用である。本発明の錯体を全身的または局所的に用いて、皮膚のしわのごとき加齢のフリー酸素ラジカル媒介症状を予防または反転し、紫外線照射または化学剤への曝露によって引き起こされる環境的損傷を予防または反転することもできる。
【0069】
単一または分割用量で対象に投与する合計日用量は、例えば、非経口注射または連続注入として投与する場合、約0.00025ないし約20mg/kg体重/日、より好ましくは約0.001ないし約10mg/kg体重/日、より通常は約0.01ないし約3mg/kg体重/日の量とし得る。投与量ユニット組成物は、かかる量のその約数を含んで、日用量を構成することができる。単一投与量形態を作成するために担体材料と結合し得る有効成分の量は、治療する対象および投与の特定の様式に依存して変化するであろう。例えば、実質的により低い効果のデリバリーシステムである経皮投与または経口投与のごとき系は、非経口投与に必要な量よりも少なくとも一桁高い投与量を必要とし得る。本発明の化合物および/または組成物を用いて疾患症状を治療するための投与量様式は、患者のタイプ、年齢、体重、性別、食事および医療条件、疾患の重度、投与の経路、用いる特定の化合物の活性、効力、薬物速度論的および毒素学的プロフィール、いずれのドラッグデリバリーシステムを利用するかおよびいずれの化合物を薬剤組合せの一部分として投与するかを含む種々の因子に従って選択する。したがって、実際に用いる投与量様式は広く変化し得、したがって、前記した好ましい投与量様式から逸脱し得る。当業者であれば、本明細書中の教示および対象の日常的な分析に基づいていずれの特定の対象についても適当な投与量を容易に決定し得る。
【0070】
本発明の化合物は、限定されるものではないが、望ましい場合には、慣用的な無毒性の医薬上許容し得る担体、補助剤およびビヒクルを含有する投与量ユニット処方で、経口、非経口、吸入スプレー、直腸、局所または鼻腔内、膣内または眼内投与を含む、当業者に知られているいずれの技術によっても投与し得る。局所投与には、経皮パッチまたはイオン導入デバイスのごとき経皮投与の使用も含まれ得る。本明細書中にて用いる非経口なる語句には、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射、鞘内または点滴技術が含まれる。注射可能な調製物、例えば、無菌注射水または油性懸濁液は、好適な分散または湿潤剤および懸濁化剤を用いて知られている技術に従って処方化し得る。無菌の注射可能な調製物は、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液のごとき、無毒の非経口的に許容し得る希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液ともし得る。利用し得る許容し得るビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の固定油は、溶媒または懸濁化媒体として慣用的に利用されている。この目的に関して、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含むいずれの刺激の低い固定油も利用し得る。さらに、オレイン酸のごとき脂肪酸は、注射可能な調製物における用途を見出している。
【0071】
薬剤の直腸投与用の坐剤は、常温では固体であるが直腸温度では液体でありしたがって直腸中で融解して薬剤を放出するであろうカカオ脂およびポリエチレングリコールのごとき好適な非刺激性賦形剤と薬剤とを混合することによって調製し得る。経口投与用の固形投与量形態には、カプセル剤、錠剤、丸薬、粉剤、顆粒剤およびゲル剤が含まれ得る。かかる固形投与量形態においては、有効化合物はスクロース、ラクトースまたはデンプンのごとき少なくとも1の不活性希釈剤と混合し得る。かかる投与量形態には、通常の実施において、例えば、ステアリン酸マグネシウムのごとき潤滑剤のような不活性希釈剤以外のさらなる物質が含まれ得る。カプセル剤、錠剤および丸薬の場合には、投与量形態は緩衝化剤も含み得る。錠剤または丸薬は、さらに腸溶性コートを用いて調製し得る。経口投与用の液体投与量形態には、水のごとき当該技術分野で通常用いられている不活性希釈剤を含有する医薬上許容し得る乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリクシルが含まれ得る。かかる組成物には、湿潤化剤、乳化剤および懸濁化剤ならびに甘味剤、香味剤および賦香剤のごとき補助剤も含まれ得る。
【0072】
本発明の化合物は唯一の有効医薬剤として投与し得るが、それは、治療を目的としている特異的な疾患状態に対して有効であることが知られている1またはそれを超える化合物と組合せて用い得る。
【0073】
表1に示すごとく、本発明の化合物はスーパーオキシドの不均化用の極めて優れた触媒を製造する。したがって、それはスーパーオキシド濃度の低下が望まれる種々のイン・ビボ(in vivo)およびイン・ビトロ(in vitro)適用においてこの触媒能力で用い得る。
【0074】
本発明のSOD擬似化合物は、器官移植用または外科的濯ぎ用のごとき器官および組織用のすすぎまたは保存液に添加することもできる。例えば、切除した器官は、受容者に移植する前に保存溶液中に入れられることもある。保存溶液中に少なくとも1種のSOD擬似物を封入する場合には、保存の間の虚血に起因する損傷および受容者における再移植後の再灌流傷害を低減するために、通常約0.01mMないし10mMの濃度が望ましい。当該技術分野に記載されている種々の溶液が本発明のこれらの化合物の封入に好適であり、限定されるものではないが、出典明示して本明細書の一部とみなす米国特許第5,145,771号;Beyersdorf(1990) Chem Abst. 113: 84849w;米国特許第4,879,283号;米国特許第4,873,230号;および米国特許第4,798,824号に記載されているものが含まれる。本発明の化合物は輸血用の管外遊出血液に添加して、保存の間の赤血球および血液成分に対するオキシラジカル損傷を阻害することもでき;同様に、これらの化合物はイン・ビボ(in vivo)で赤血球に対するオキシラジカル損傷を低減することもできる。
【0075】
典型的に、本発明のSOD擬似物は、約0.001mMないし約10mMの濃度で、最も通常には1mMですすぎまたは保存溶液中に存在する。例えば、本発明を限定するものではないが、好適なすすぎ溶液はリンゲル液(102mMのNaCl、4mMのKCl、3mMのCaCl、28mMの乳酸ナトリウム、pH7.0)または0.1mMのアデノシンを含むリンゲル液、および最終濃度1mMで化合物1を含む。さらに、すすぎ溶液は、さらなる抗酸化剤(例えば、グルタチオン、アロプリノール)を含み得る。本発明のSOD擬似物を含有する保存またはすすぎ溶液を用いて、器官(例えば、腎臓、肝臓、膵臓、肺、胎児神経組織、心臓、脈管移植片、骨、靭帯、腱、皮膚)の優れた保存または潅水を提供することができ、それは組織の生存力を高め、酸化的損傷(例えば、虚血/再灌流の結果として)に対する耐性を高めると考えられる。
【0076】
別法として、反応性酸素種の分解を触媒する本発明の化合物の能力を有利に用いて、生物組織および細胞に対する損傷を阻害または鈍化し得る。例えば、UV光に対する曝露、タバコ喫煙および老化に伴う結合組織(例えばコラーゲン)に対するオキシラジカル誘導損傷は、UV光に対する曝露、タバコ喫煙または他のオキシラジカル発生プロセス(例えば、細胞老化)とほぼ同時に本発明のSOD擬似化合物を投与することによって低減し得る。
【0077】
本発明のSOD擬似物は、化粧品または日焼け予防クリームおよびローションにおける局所適用用の脂肪親和性基剤(または、望む場合には水性担体)に処方化することもできる。典型的な化粧品または日焼け防止クリームもしくはローションは、化粧品または日焼け防止クリームもしくはローション1g当り約1mgないし50mgのSOD擬似化合物を含むであろう。本発明の化合物は、局所適用および/または分子酸素およびオキシラジカルによる化粧料の酸化の低下用の化粧品基材に処方化し得る。液剤として処方化した本発明の医薬/化粧品組成物には、典型的に、医薬上または化粧品上許容し得る有機溶媒が含まれる。“医薬上許容し得る有機溶媒”および“化粧品上許容し得る有機溶媒”なる語句は、その中にサレン−金属化合物および所望により抗炎症剤をも分散または溶解させ得ることに加えて、許容し得る安全性(例えば、刺激および感作特徴)ならびに良好な審美的特性(例えば、油っぽくないまたはねばねばしていないこと)をも有する有機溶媒をいう。かかる溶媒の最も典型的な例は、イソプロパノールである。他の好適な有機溶媒の例には:プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(200−600)、ポリプロピレングリコール(425−2025)、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトールエステル、1,2,6−ヘキサントリオール、エタノール、ブタンジオール、水およびそれらの混合物が含まれる。これらの溶液は、約0.001%ないし約20%、好ましくは約0.1%ないし約10%の抗酸化サレン−金属錯体、約0.01%ないし約5%、好ましくは約0.5%ないし約2%の抗炎症剤、および約80%ないし約99%、好ましくは約90%ないし約98%の許容し得る有機溶媒を含む。
【0078】
本明細書中で用いる“緩和薬”とは、乾燥を予防または軽減しならびに皮膚を保護するために用いる材料をいう。広範な種々の好適な緩和薬が知られており、本発明において用い得る。出典明示して本明細書の一部とみなす、Sagarin, Cosmetics, Science and Technology, 2nd Edition, Vol. 1, pp. 32-43 (1972)は、好適な材料の多くの例を含んでいる。皮膚コンディショニングを供する特に有用な緩和薬は、グリセリン、ヘキサントリオール、ブタントリオール、乳酸およびその塩、尿素、ピロリドンカルボン酸およびその塩、アミノ酸、グアニジン、ジグリセロールおよびトリグリセロールである。好ましい皮膚コンディショニング剤はプロポキシル化グリセロール誘導体である。
【0079】
本発明は、所望により少なくとも1のさらなる食品保存剤(例えば、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、硫酸塩、亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウム)と組合せてもよい、有効量の少なくとも本発明のSOD擬似化合物を食料品に適用することによって食品損傷および酸化を予防する方法も提供する。もう1の態様において、本発明はフリーラジカル−媒介重合機構、特にオキシラジカル−媒介重合および/またはオキシラジカル−媒介悪臭発生(rancidification)もしくはガム形成、を介して生成した望ましくない炭化水素ポリマーの形成を阻害するのに用いる抗酸化組成物および方法に関する。本発明のSOD擬似化合物は、種々の炭化水素に適用して望ましくない酸化および/または重合を低下させることができ、あるいはポリマー形成の望ましい状態で(例えば、望ましい平均鎖長で)重合反応をクエンチすることができる。例えば、本発明を限定するものではないが、かかる飽和および不飽和炭化水素の例には:石油蒸留物および石油化学製品、テレペンチン、塗料、合成および天然ゴム、植物油およびワックス、動物脂、重合性樹脂、ポリオレフィンなどが含まれる。
【0080】
本発明の化合物を用いて、イオン化放射線および化学療法剤(例えば、ブレオマイシン)のごときフリーラジカル生成剤から細胞および組織を保護することもできる。好ましくは、少なくとも約0.001mg/kg体重のSOD擬似物を含む保護的投与量を1またはそれを超える幾つかの経路(例えば、経口、静脈内、腹膜内、胃内洗浄、浣腸、門脈注入、局所または噴霧の吸入)によって投与して、例えば新生物の化学療法または放射線療法に関連するフリーラジカル毒性に対して、正常細胞を保護する。本発明の化合物は、好ましくは化学療法および/または放射線療法を開始する前に、通常、化学療法および/または放射線療法の開始の約24時間以内、および、好ましくは開始の約3−6時間以内に患者に前投与する。その化合物は、療法の工程の間に患者に連続的に投与し得る。
【0081】
本発明のSOD擬似物を個人に投与して、フリーラジカル発生剤による放射線傷害または化学傷害を予防することもできる。軍職員および核、核医学および/または化学産業で作業する個人に、本発明の化合物を予防的に投与し得る。これらは、化学保護剤として用いて、化学的発癌;特に反応性エポキシド中間体(例えば、ベンゾピレン、ベンゾアントラセン)を形成する発癌剤によるおよび直接的または間接的にフリーラジカルを形成する発癌剤またはプロモーション剤(例えば、フェノバルビタール、TPA、ベンゾイルペルオキシソーム増殖薬:シプロフィブレート、クロフィブレート)による化学的発癌を予防することもできる。かかる化学発癌性物質に曝露された個人を本発明の化合物で前処理して、新生物の発生または発達の危険性を低減する。
【0082】
前記の化学反応は一般的に本発明の化合物の調製への最も広範な適用の見地から開示する。ときおり、その反応は、開示した範囲内に含まれる各化合物に記載どおりに適用しないこともある。これが起こる化合物は、当業者によって容易に認識されるであろう。すべてのかかる場合において、いずれの反応も当業者に知られている慣用的な修飾によって、例えば、妨害基の適当な保護によって、別の慣用試薬に変化させることによって、反応条件の日常的修飾によってなど、あるいは本明細書中に開示したかさもなくば慣用的な他の方法によって首尾よく行い得ることは、本発明の対応する化合物の調製に適用可能であろう。すべての調製法において、すべての出発材料は知られているかまたは知られている出発材料から容易に調製可能である。
【0083】
さらに説明しなくとも、当業者であれば先の記載を用いて本発明をその最大範囲で利用し得ると考えられる。したがって、以下の好ましい特異的な具体例は、単なる説明目的であって、いかなる場合においても開示の残部を限定するものではない。
【実施例】
【0084】
一般的実験
Analtech0.15mmシリカゲル60−GFプレート上で分析薄層クロマトグラフィー(TLC)を行った。視覚化はUV光を用いるか、ヨードに曝露するかまたはホスホモリブデン酸を用いた酸化によって行った。抽出用の溶媒は、HPLCまたはACS等級とした。クロマトグラフィーは、示す溶媒系と共にMerckシリカゲル60(230−400メッシュ)を用いるStillの方法によって行った。すべての反応は、アルゴンの正圧下で行った。NMRスペクトルはVarian Unity 400、VXR−400、およびVXR−300分光計上で収集した。H NMRスペクトルは、σスケールでテトラメチルシランからのppmで報告する。データは以下のごとく報告する:化学シフト、多重度(s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット、br=広がった、obs=不明瞭)、カップリング定数(Hz)および相対積分。13C NMRスペクトルは、中央重水素化溶媒ピーク(例えば、DSMO−dについては39.0ppm)からのppmで報告する。データは以下の様に報告する:化学シフト、多重度。
【0085】
実施例1
ジシクロヘキシルテトラアミン四塩酸塩の合成
A. N−(トリフェニルメチル)−(1R,2R)−ジアミノシクロヘキサンの合成
0℃の無水CHCl(3.5L)中の(1R,2R)−ジアミノシクロヘキサン(250g、2.19モル)の溶液に、無水CHCl(2L)中の塩化トリチル(254g、912モル)の溶液を4時間にわたって滴下した。得られた混合物を放置して室温まで温め、一晩攪拌した。その反応混合物を水性洗浄液のpHが8.0未満になるまで水(4×2000ml)で洗浄し、NaSO上で乾燥させた。溶媒を濾過および濃縮して、322.5g(99%収率)のN−(トリフェニルメチル)−(1R,2R)−ジアミノシクロヘキサンをガラスとして得た:
1H NMR (300 MHz, DMSO−d6) d 7.50 (d, J=7.45 Hz, 6H), 7.26 (app t, J=7.45 Hz, 6H), 7.16 (app t, J=7.25 Hz, 3H), 2.41 (dt, J=10.3, 2.62 Hz, 1H), 1.70 (m, 1H), 1.54-0.60 (complex m, 8H);
13C NMR (75 MHz, DMSO-d6) dc 147.2 (s), 128.4 (d), 127.3 (d), 69.9 (s), 59.0 (d), 54.4 (d), 36.6 (t), 32.5 (t), 24.6 (t), 24.3 (t);
MS (LR-FAB) m/z=363 [M+Li]+.
【0086】
B. N−(トリフェニルメチル)−(1R,2R)−ジアミノシクロヘキサンのグリオキサールビスイミン
メタノール(4L)中のN−(トリフェニルメチル)−(1R,2R)−ジアミノシクロヘキサン(322.5g、905ミリモル)の溶液に、グリオキサール(水中の40%溶液、51.9ml、452.3ミリモル)を30分間にわたって滴下した。得られた混合物をその後16時間攪拌した。沈澱した生成物を濾過によって単離し、真空下にて乾燥させて322.1g(97%収率)のビスイミンを白色固形物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDC13) d 7.87 (s, 2H), 7.51 (d, J=8.1 Hz, 12H), 7.16-7.05 (m, 18H), 2.95 (bm, 2H), 2.42 (bm, 2H), 1.98-0.81 (complex m, 18H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) dc 161.67 (d), 147.24 (s), 147.22 (s), 128.90 (d), 128.81 (d), 127.73 (d), 127.61 (d), 126.14 (d), 73.66 (s), 70.86 (d), 70.84 (d), 56.74 (d), 32.45 (t), 31.77 (t), 24.02 (t), 23.62 (t);
MS (LR-ESI) m/z 757 [M+Na]+.
【0087】
C. N,N'−ビス{(1R,2R)−[2−(トリフェニルメチルアミノ)]シクロヘキシル}−1,2−ジアミノエタン
N−(トリフェニルメチル)−(1R,2R)−ジアミノシクロヘキサン(586g、798ミリモル)のグリオキサールビスイミンをTHF(6L)に溶解し、室温にてLiBH(86.9g、4.00モル)で処理した。その混合物を室温にて12時間攪拌し、その後4時間40℃まで加温した。その反応物を水(1L)で注意深くクエンチし、減圧下にてTHFを除去した。残渣スラリーをCHCl(3L)と水(1のさらなるL)との間に分配させた。層を分離させ、その水性層をCHCl(1L)で抽出した。合したCHCl層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮して590g(100%収率)のN,N'−ビス{(1R,2R)−[2−(トリフェニルメチルアミノ)]シクロヘキシル}−1,2−ジアミノエタンを白色泡状物として得た。
MS (LR-ESI) m/z 739 [M+H]+.
【0088】
D. N,N'−ビス{(1R,2R)−[2−(アミノ)]シクロヘキシル}−1,2−ジアミノエタン四塩酸塩
アセトン(3L)中のN,N’−ビス{(1R,2R)−[2−(トリフェニルメチルアミノ)]シクロヘキシル}−1,2−ジアミノエタン(590g、798ミリモル)の溶液に、濃HCl(1.5L)を添加した。その反応物を2時間攪拌し、濃縮した。残渣を水(2L)とCHCl(1L)との間に分配させた。層を分離させ、その水性層を濃縮し、真空下にて乾燥させて257g(80%収率)の四塩酸塩を顆粒状の灰色がかった白色固形物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDC13) d 3.82-3.57 (complex m, 8H), 2.42 (d, J=9.9 Hz, 2H), 2.29 (d, J=9.3 Hz, 2H), 2.02-1.86 (complex m, 4H), 1.79-1.60 (complex m, 4H), 1.58-1.42 (complex m, 4H);
13C NMR (75 MHz, CDC13) dc 59.1 (d), 51.3 (d), 40.8 (t), 29.2 (t), 26.0 (t), 22.3 (t), 22.2 (t);
MS (LR-FAB) m/z 255 [M+H]+.
【0089】
実施例2
本発明の化合物の合成における触媒ギ酸アンモニウム還元の使用
化合物Bの精製したビスイミン前駆体(15.0g、29.6ミリモル)を1.5Lの無水MeOHに溶解し、フラスコに窒素を数分間流し、ついで3%のPd/C(7.5g、50重量%)を添加した。懸濁液を加熱するに従って、固形ギ酸アンモニウム(7.5g、118.9ミリモル、4当量)を注意深く添加した。還流後1時間が経過したら、第2の部のホルマート(3.75g、59.5ミリモル、2当量)を添加した。その黒色懸濁液を還流から2.5時間後にRTまで放冷し(この時点で、上清は実質的に無色であった)、1/2−インチ床のアルミナ(Al、Brockmann等級、中性、MeOHで洗浄済み)を通して濾過した。触媒およびアルミナの床をMeOH(2×100mL)で洗浄し、合した溶媒を減圧下にて除去した。真空下、RTにて一晩乾燥させる際に、残渣明黄色泡状物をCHCl(500mL)と共に15−20分間攪拌し、ついで10μフィルターを通して濾過した。溶媒を除去する際に、14.7gの明黄色泡状物を単離した。その泡状物を600mLの脱イオン水に溶解し、0.5NのNaOH水溶液で緑色溶液のpHを初期の4.9からほぼ7.5とした。ついで、90gのNaClを添加して、NaCl含量を15%とした。溶液が得られたら、つづいてCHCl(4×250ml)で抽出した。合した有機抽出物を10gの無水NaSO上で15分間乾燥させ、ついで濾過し、溶媒を減圧下にて除去して明黄緑色泡状物(14.5g、96%収率)を得た。この物質のHPLCは、3.8:1の比率のS,S−対−S,R異性体および98%の合計純度を示した。
【0090】
【表14】

【0091】
実施例3
ストップフロー動力学解析によるスーパーオキシドジスムターゼ活性の評価
ストップフロー動力学解析を利用して、化合物がスーパーオキシドの不均化を触媒し得るかを決定した(Riley, D. P., Rivers, W. J.およびWeiss, R. H., "Stopped-Flow Kinetic Analysis for Monitoring Superoxide Decay in Aqueous Systems," Anal. Biochem, 196: 344-349 1991)。一定かつ正確な測定を達成するために、すべての試薬は生物学的に清澄であって、金属を含んでいなかった。これを達成するために、すべての緩衝液(Calbiochem)は生物学的等級であって金属を含まない緩衝液とし、最初に0.1NのHCl、つづいて精製水で洗浄し、つづいてpH8の10−4MのEDTA浴中で濯ぎ、つづいて精製水で濯いで65℃にて数時間乾燥させた器具で取扱った。カリウムスーパーオキシド(Aldrich)の乾燥DMSO溶液は、乾燥したガラス製品を用いてVacuum Atmospeheres乾燥グローブボックス中、アルゴンの乾燥した不活性雰囲気下で調製した。DMSO溶液は、毎ストップフロー実験の直前に調製した。モーターおよび乳棒を用いて黄色固形カリウムスーパーオキシド(約100mg)をすり潰した。ついで、その粉体を数滴のDMSOと共にすり潰し、そのスラリーをさらに25mlのDMSOを含有するフラスコに移した。得られたスラリーを1/2時間攪拌し、ついで濾過した。この手法により、約2mM濃度のDMSO中のスーパーオキシドを再現性よく得た。これらの溶液を、窒素下にてシリンジを負荷する前に、シールしたバイアル中で窒素下のグローブバックに移した。DMSO/スーパーオキシド溶液が水、熱、空気および外来の金属に極めて感受性であることは注意しなければならない。新鮮な純粋な溶液は、非常にわずかに黄色がかった色を有している。
【0092】
緩衝液用の水は家庭用脱イオン水システムからBarnstead Nanopure Ultrapure Series 550水システムにデリバリーし、ついで、最初にアルカリ性過マンガン酸カリウムおよびついで希釈EDTA溶液から二重蒸留した。例えば、1.0gの過マンガン酸カリウム、2Lの水およびpHを9.0とするのに必要なさらなる水酸化ナトリウムを含有する溶液を、溶液蒸留ヘッドを付けた2−リットルフラスコに添加した。この蒸留は水中のいずれかの痕跡量の有機化合物を酸化するであろう。この最終蒸留は、窒素下、最初の蒸留からの1500mlの水および1.0×10−6MのEDTAを含有する2.5Lフラスコ中で行った。この工程は、超純水から残りの微量金属を除去するであろう。還流アーム上から蒸留ヘッドにEDTAの霧が揮発するのを妨げるために、40cmの垂直アームにガラスビーズを充填し、絶縁体でラップした。このシステムは、2.0ナノオーム/cm未満の導電率を有すると測定し得る脱酸素水をつくりだす。
【0093】
ストップフロー分光光度計システムはKinetic Instruments Inc.(Ann Arbor, Mich.)によって設計および製造し、MAC IICXパーソナルコンピューターにインターフェースした。ストップフロー解析用のソフトウェアは、Kinetics Instruments Inc.によって提供され、MacAdiosドライバーを用いてQuickBasicで書いた。典型的なインジェクター体積(0.10mlの緩衝液および0.006mlのDMSO)は、DMSO溶液全体にわたる大過剰量の水が一緒に混合するように較正した。実際の比率は、水溶液中のスーパーオキシドの初期濃度が60−120μMの範囲内となるように、ほぼ19/1とした。245nmにおけるHOの公表されているスーパーオキシドの吸光率は約2250M−1cm−1(1)であるため、2cmの路長のセルについてはほぼ0.3−0.5の初期吸収値が予想され、このことは実験的に認められた。スーパーオキシドのDMSO溶液と混合すべき水溶液は、80mM濃度のHepes緩衝液、pH8.1(遊離酸+Na形態)を用いて調製した。1のリザーバーシリンジに5mlのDMSO溶液を満たし、一方別のシリンジには5mlの水性緩衝液を満たした。全体注射ブロック、ミキサーおよび分光光度計セルは、21.0℃±0.5℃の温度のサーモスタット式循環水浴中に浸漬した。スーパーオキシド崩壊についてのデータ収集を開始する前に、数回分の緩衝液およびDMSO溶液を混合チャンバーに注射することによってベースライン平均を得た。これらの数回分を平均化してベースラインとして保存した。一連の実験の間に収集すべき第1の数回分は、触媒を含まない水溶液と共であった。このことは、各シリーズの試行が第1指令のスーパーオキシド崩壊プロフィールを発生することができる不純物を全く含まないことを保証する。緩衝液の数回分について認められた崩壊が第2の指令であった場合、マンガン(II)錯体の溶液を利用し得る。一般的に、潜在的SOD触媒を広範な濃度にわたってスクリーニングした。DMSOと水性緩衝液とを混合した際のスーパーオキシドの初期濃度は約1.2倍の10−4Mであったため、本発明者らは、基質スーパーオキシドよりも少なくとも20倍低いマンガン(II)錯体濃度を用いることを望んだ。その結果、本発明者らは一般的に5×10−7ないし8×10−6Mの範囲の濃度を用いてスーパーオキシド不均化活性について化合物をスクリーニングした。実験から獲得したデータは、標準動力学データ解析を行い得るように好適な数学プログラム(例えば、Cricket Graph)にインポートした。マンガン(II)錯体によるスーパーオキシドを不均化する触媒速度定数は、観察された速度定数(kobs)−対−マンガン(II)錯体の濃度の線形プロットから決定した。kobs値は、245nmの吸収−対−マンガン(II)錯体によるスーパーオキシドの不均化についての時間の線形プロットから得た。
【0094】
実施例4
化合物3の合成
A. 4−クロロ−2,6−ピリジンジカルボン酸ジメチルの合成
CHCl(2.00L)中のケリダミック酸(chelidamic acid)(200g、1.10モル)の攪拌懸濁液に、窒素雰囲気下、PCl(1.00kg、4.80モル)を室温にて少量づつ2時間にわたって添加した。ついで、その混合物を3時間還流し、清澄な茶色溶液を一晩放置して室温まで冷却した。ついで、その溶液を0℃まで冷却し、MeOH(2.30L)中のトリエチルアミン(215mL、1.54モル)の溶液を、温度を0ないし−10℃に維持しつつ5−6時間にわたって滴下した。さらに1.5時間攪拌した後に、その混合物を一晩放置して室温まで温めた。真空下にて溶液を濃縮して白色固形物の結晶化を生じ、ついでこれを濾過および乾燥させて110g(43%収率)の生成物を無色針状物として得た。
融点141−2℃;
1H NMR (CDC13, 300MHz), δ 8.31 (s, 2H), 4.05 (s, 6H);
13C NMR (CDC13, 75MHz) δ 164.09, 149.44, 146.79, 128.29, 53.48;
FAB質量スペクトル(NBA-Li) m/z (相対強度) 252 (30) [M+Na]+, 236 (91) [M+Li]+, 230 (100)[M + H]+.
【0095】
B. 4−シクロヘキシル−2,6−ピリジン−ジカルボン酸ジメチルの合成
−78℃の塩化シクロヘキシルマグネシウム(エチルエーテル中の2M、78.5mL、157ミリモル)の攪拌溶液に、−78℃の無水THF(150mL)中のZnBr(35.5g、157ミリモル)の溶液を添加した。その混合物を−78℃にて1時間攪拌し、ついで放置して室温まで温めた。ついで、無水THF(100mL)中のテトラキス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の溶液を室温にて添加し、つづいて無水THF(150mL)中の4−クロロ−2,6−ピリジンジカルボン酸ジメチル(30.0g、131ミリモル)を添加した。ついで、その混合物を50℃まで3時間加温し、室温にて一晩放置した。ついで、その反応を飽和NHCl(250mL)およびHO(50mL)でクエンチした。層を分離させ、その水性層を酢酸エチル(3×80mL)で抽出した。合した有機層を飽和NaCl(2×50mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させた。溶媒を濾過および真空下で除去して、41gの暗茶色固形物を得た。不純物はフラッシュ・クロマトグラフィー(シリカゲル、60:40から50:50のヘキサン−CHClグラジエント)につづいて酢酸エチル−ヘキサンからの結晶化によって精製して、17.9g(49.3%収率)の生成物を灰色がかった白色固形物として得た。
融点113−5℃;
1H NMR (CDC13, 300 MHz) δ8.16 (s, 2H), 4.02 (s, 6H), 2.64-2.73 (m, 1H), 1.88-1.96 (m, 4H), 1.77-1.81 (m, 1H), 1.22-1.56 (m, 5H);
13C NMR (CDCl3, 75MHz)δ165.44, 159.72, 148.24, 126.79, 53.13, 44.88, 33.23, 26.35, 25.72;
FAB質量スペクトル(NBA-Li)m/z(相対強度)561(13)[2H+Li]+, 300(9)[M+Na]+
284(27)[M+Li]+, 278 (100)[M+H]+, 218 (18)[M-HCO2CH3]+
元素分析C15H19NO4として 計算値C, 64.97; H, 6.91; N, 5.05;
実測値C, 64.98; H, 6.84; N, 5.05
【0096】
C. 4−シクロヘキシル−2,6−ピリジンジメタノールの合成
氷浴で温度を適度にしつつ、室温にて、無水THF(225mL)中の4−シクロヘキシル−2,6−ピリジンジカルボン酸ジメチル(6.50g,22.5ミリモル)の攪拌溶液に、LiBH(1.96g、90.2ミリモル)を添加した。その橙色溶液をアルゴン雰囲気下で1.5時間攪拌し、ついでHO(100mL)を徐々に添加することによってクエンチした。真空下にて溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル(500mL)およびHO(250mL)の混合物中に溶解した。層を分離させ、その酢酸エチル層を飽和NaHCO(2×250mL)、飽和NaCl(250mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させた。溶媒を濾過および真空下にて除去して白色結晶性固形物を得、これを酢酸エチル−ヘキサンから再結晶化させることによって精製して4.65g(92.7%収率)の生成物を無色針状物として得た。
融点 106−8℃;
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ7.04 (s, 2H), 4.73 (s, 4H), 3.85 (s, 2H), 2.52 (m, 1H), 1.74-1.87 (m, 5H), 1.19-1.47 (m, 5H);
13C NMR(100MHz, CDCl3)δ158.89, 158.32, 118.13, 64.35, 44.06, 33.50, 26.48, 25.89;
FAB質量スペクトル(NBA-Li)m/z 228 [M+Li]+.
【0097】
D. 4−シクロヘキシル−2,6−ピリジン−ジカルボキシアルデヒドの合成
−60℃の無水CHCl(50mL)中の塩化オキサリル(11.1g、87.2ミリモル)の攪拌溶液に、無水CHCl(25mL)中の無水DMSO(14.9g、190ミリモル)の溶液を5分間にわたって滴下した。−60℃にて10分間攪拌した後に、無水DMSO(25mL)中の4−シクロヘキシル−2,6−ピリジンジメタノール(4.39g、19.8ミリモル)の溶液を5分間にわたって滴下し、得られた混合物を−60℃にて20分間攪拌した。ついで、トリエチルアミン(111mL、796ミリモル)を5分間にわたって滴下し、−60℃にて5分間攪拌した後にその混合物を放置して室温まで温めた。2時間後に、HO(300mL)を添加し、その混合物をCHCl(3×250mL)で抽出した。抽出物を合し、飽和NaCl(250mL)で洗浄してNaSO上で乾燥させた。濾過および溶媒を真空下にて除去して、5.38gの褐色固形物を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル(98:2のCHCl:MeOH))によって精製して、3.86g(89.7%収率)の生成物を褐色結晶性固形物として得た。
1H NMR (400 MHz, C6D6) δ 10.05 (s, 2H), 7.72 (s, 2H), 1.97 (d (t), J=9.7, 3.5Hz, 1H), 1.50-1.54 (m, 3H), 1.33-1.37 (m, 2H), 0.83-1.08 (m, 5H);
13C NMR (100 MHz, C6D6) δ 192.32, 159.31, 153.55, 123.31, 43.49, 33.00, 26.38, 25.64;
FAB質量スペクトル (NBA-Li) m/z 224 [M+Li]+;
HR質量スペクトル (ESI) m/z 218.1124 [M+H]+ (C13H16NO2として計算値218.1181).
【0098】
E. マンガン(II)ジクロロ 4R,9R,14R,19R−3,10,13,20,26−ペンタアザ−24−シクロヘキシルテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(25),22(26),23−トリエンの合成
無水エタノール(70mL)中の実施例1と同様にして調製したテトラアミン四塩酸塩(2.80g、7.00ミリモル)の攪拌懸濁液に、KOH(1.79g−88%、28.0ミリモル)を添加し、その混合物をアルゴン雰囲気下、室温にて攪拌した。30分後に、MnCl(881mg、7.00ミリモル)を添加し、その懸濁液をさらに30分間攪拌した。ついで、4−シクロヘキシル−2,6−ピリジンジカルボキシアルデヒド(1.52g、7.00ミリモル)を暗緑色混合物に添加し、それを還流させた。65時間後に、反応は完了し;ビス(イミン)のみが認められた:
質量スペクトル(ESI) m/z (相対強度) 525 (100) [M-Cl]+, 245 (73) [M-2Cl] ++.
ついで、メタノール(35mL)を橙色混合物に添加し、0℃まで冷却する際にNaBH(1.06g、28ミリモル)を添加した。その混合物を0℃にて1時間攪拌し、ついで放置して室温まで温めた。5時間後に、さらなるNaBH(1.06g、28.0ミリモル)を添加し、その混合物を18時間攪拌した。その混合物を再度0℃まで冷却し、さらなるNaBH(1.06g(28.0ミリモル))を添加し、その混合物をさらに3日間攪拌した。溶媒を真空下にて除去し、その残渣をHO(50mL)、飽和NaCl(250mL)およびCHCl(250mL)の混合物に溶解した。層を分離させ、その水溶液をCHCl(250mL)で抽出した。抽出物を合し、飽和NaCl(250mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させた。濾過および真空下にて溶媒を除去して、茶色固形物を得た。粗製生成物をフラッシュ・クロマトグラフィー(シリカゲル、98:2のCHCl:MeOH)によって精製して、2.22g(56.1%収率)の生成物を灰色がかった白色固形物として得た。
ESI質量スペクトルm/z (相対強度) 529 (78) [M-Cl]+, 247 (100) [M-2C1]++;
HR質量スペクトル (ESI) m/z (相対強度) 531.2738 (31)/529.2748 (100)[M-Cl]+ (C27H45N5MnClとして計算値531.2714/529.2744);
HPLC (Vydac 218TP54 protein and peptide C18; 10分間にわたる0.1 % TFA/20 % CH3CNを含む82 % H2Oから0.1 % TFA を含む100 % H20;流速=2 mL/min; 5μL初期体積) Tr=15.2分(100 % 純度).
【0099】
実施例5
化合物28の合成
A. N,N'−ビス{(1R,2R)−2−[(トリフェニルメチル)アミノ]シクロヘキシル}−(1R)−メチル−1,2−ジイミノエタンの合成
1.50LのMeOH中の実施例1と同様にして合成したN−(トリフェニルメチル)−(1R,2R)−ジアミノシクロヘキサン(224g、628ミリモル)の攪拌溶液に、アルゴン雰囲気下、室温にてピルビンアルデヒド(48.0mL−HO中の40%、314ミリモル)の溶液を添加した。30分以内に形成した沈澱物を破砕し、6時間放置した。その固形物を濾過し、MeOHで洗浄し、真空下にて乾燥させて170g(72.3%収率)の生成物を褐色粉末として得た。
質量スペクトル (ESI) m/z (相対強度) 755 (1) [M+Li]+, 243 (100) [(C6H5)3C]+;
HR質量スペクトル (ESI) m/z 749.4597 [M+H]+ (C53H57N4として計算値749.4583).
【0100】
B. N,N'−ビス{(1R,2R)−2−[(トリフェニルメチル)アミノ]シクロヘキシル}(1R)−メチル−1,2−ジアミノエタンの合成
無水THF(1.50L)およびMeOH(1.50L)の混合物中のN,N'−ビス{(1R,2R)−2−[(トリフェニルメチル)アミノ]−シクロヘキシル}−(1R)−メチル−1,2−ジイミノエタン(170g、227ミリモル)の攪拌溶液に、−10℃にてNaBH(85.8g、2.27モル)を添加し、その混合物を放置して室温まで温めた。5日後に、溶媒を真空下にて除去し、残渣をHO(500mL)およびCHCl(1.00L)の混合物に溶解し、層を分離させた。そのCHCl層をHO(500mL)、飽和NaCl(250mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させた。濾過および真空下にて溶媒を除去して、予想された量的収率で178gの生成物を黄色固形物として得た。
1H NMR (C6D6,300 MHz) δ 7.66-7.80 (m, 12H), 6.97-7.17 (m, 18H), 3.88 (br s, 1H), 3.28 (br s, 1H), 2.43-2.63 (m, 2H), 2.10-2.38 (m, 3H), 1.64-1.90 (m, 5H), 1.32-1.55 (m, 5H), 0.94-1.21 (m, 7H), 0.52 -0.85 (m, 6H);
13C NMR (C6D6, 75 MHz) δ 148.23, 147.99, 129.43, 129.35, 127.88, 127.82, 126.36, 126.26, 71.19, 71.13, 61.31, 58.88, 57.61, 50.90, 33.72, 33.31, 32.43, 31.14, 25.72, 24.92, 24.84, 24.61, 20.30;
質量スペクトル (ESI) m/z (相対強度) 753 (3) [M+H]+, 243 (100) [(C6H5)3C]+;
HR質量スペクトル (ESI) m/z 753.4900 [M+H]+ (C53H61N4として計算値753.4896).
【0101】
C. N,N'−ビス[(1R,2R)−2−アミノシクロヘキシル]−(1R)−メチル−1,2−ジアミノエタン四塩酸塩の合成
実施例2Bと同様にして調製したN,N'−ビス{(1R,2R)−2−[(トリフェニルメチニル)アミノ]シクロヘキシル}−(1R)−メチル−1,2−ジアミノエタンを含有するフラスコに、濃HCl溶液(250mL)を添加し、その懸濁液を1時間攪拌し、ついで室温にて16時間放置した。HO(250mL)を添加した後に、固形物を濾過により除去し、溶媒を真空下にて除去した。残存するHOを無水エタノール(2×250mL)と共沸させることによって除去して、17.9g(81.1%収率)の生成物を褐色固形物として得た。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.22 (br s, 4H), 8.94, (br s, 3H), 8.81 (br s, 3H), 3.07-3.75 (m, 7H), 1.06-2.17 (m, 19H);
13C NMR (DMSO-d6,100 MHz) δ 58.50, 54.95, 50.73, 50.09 br, 48.37 br, 47.16, 29.11 br, 28.87, 28.69, 28.58, 25.67 br, 22.65, 22.49, 22.37, 22.09, 14.28;
HR 質量スペクトル (ESI) 269.2692 [M+H]+ (C15H33N4として計算値269.2705)
【0102】
D. マンガン(II)ジクロロ−(4R,9R,11R,14R,19R)−3,10,13,20,26−ペンタアザ−24−シクロヘキシル−11−メチルテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(25),22(26),23−トリエンの合成
無水エタノール(100mL)中のビス−シクロヘキシルテトラアミン四塩酸塩(4.29g、10.4ミリモル)の攪拌溶液に、KOH(2.64g−88%、41.4ミリモル)を添加し、その混合物をアルゴン雰囲気下、室温にて30分間攪拌した。ついで、MnCl(1.30g、10.4ミリモル)を添加し、懸濁液をさらに30分間攪拌した後に、4−シクロヘキシル−2,6−ピリジンジカルボキシアルデヒド(2.25g、10.4ミリモル)を茶色混合物に添加し、ついでそれを還流させた。24時間後に、反応が完了し;ビス(イミン)のみが認められた。
質量スペクトル (ESI) m/z (相対強度) 539 (25) [M-Cl]', 252 (100) [M-2Cl] ++.
MeOH(50mL)を添加した後に、その混合物を0℃まで冷却し、NaBH(1.57g、41.4ミリモル)を添加し、その混合物を30分間攪拌した。ついで、0℃にてさらなるNaBH(1.57g、41.4ミリモル)を添加し、その混合物をさらに60分間攪拌しつつ放置して室温まで温めた。溶媒を真空下にて除去し、その残渣油性物をCHCl(250mL)およびHO(250mL)の混合物に溶解した。その混合物を濾過して少量の茶色固形物を除去し、飽和NaCl(250mL)を添加して層を分離させた。その水性層をCHCl(250mL)で抽出し、抽出物を合した。合した抽出物を飽和NaCl(250mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させた。濾過および真空下にて溶媒を除去して、5.86gの茶色泡状物を得た。粗製生成物をフラッシュ・クロマトグラフィー(シリカゲル、98:2のCHCl−MeOH)によって精製して、1.78g(29.7%収率)の生成物を淡黄色固形物として得た。
HR質量スペクトル (ESI) m/z (相対強度) 543.2902 (100)/545.2892 (35) [M-Cl]+ (C28H47N5MnClとして計算値 543.2901/545.2871);
元素分析 C28H47N5MnCl2として
計算値: C, 58.03; H, 8.17; N, 12.08; Cl, 12.23
実測値: C, 57.11; H, 8.12; N, 11.85; Cl, 11.95.
HPLC (Vydac 218TP54 protein and peptide C18 ; 0.1 % TFA/35 % CH3CN を含む65 % H20;流速=2 mL/min; 5 uL 接種体積) T=7.58 min. (99.9 % 純度).
【0103】
実施例6
化合物1の合成
A. 4−クロロ−2,6−ジヒドロキシメチルピリジンの合成
実施例4と同様にして調製した4−クロロ−2,6−ピリジンジカルボン酸ジメチル(85.0g、370ミリモル)をMeOH(2.3L)に溶解した。その溶液を0℃に冷却した。冷却した溶液にNaBH(63.0g、167ミリモル)を少量づつ添加した。その反応混合物を0℃にて1時間、ついで室温にて2−3時間攪拌した。約3時間後に、その混合物を一晩還流させておいた。その反応混合物にアセトン(425mL)を添加した。その溶液を1時間加熱還流させ、ついで真空下にて濃縮した。飽和NaCO溶液(650mL)を濃縮物に添加し、45分間還流させた。フラスコを放置して室温に達せさせて、室温にて16時間放置した。フラスコは白色沈澱物を含有し、これを濾過しクロロホルム(30mL)で洗浄した。白色固形物を熱THF(300mL)に溶解し、硫酸マグネシウム上で乾燥させて濾過し、ついで真空下にて濃縮して32.1gの4−クロロ−2,6−ジヒドロキシメチルピリジンを白色固形物として得た。その濾液を濃縮した。得られた白色固形物をTHF(500mL)中で加熱し、硫酸マグネシウム上で乾燥せて濾過した。このプロセスを繰返し、ついで固形物を200mLのCHCl中で攪拌させて濾過して、23.6g(87%収率)の純粋な4−クロロ−2,6−ジヒドロキシメチルピリジンを白色固形物として得た。
1H NMR (CD30D, 400 MHz) δ 7.62 (s, 2H), 5.02 (s, 2H), 4.83 (s, 4H);
13C NMR (CD3OD, 100 MHz) δ 162.57, 145.75, 118.76, 63.74.
【0104】
B. 4−クロロピリジン−2,6−ジカルボキシアルデヒドの合成
塩化オキサリル(126.93g、154ミリモル)およびCHCl(80mL)を1Lの三口丸底フラスコに入れた。その溶液を−60℃に冷却した。冷却した溶液に、ジクロロメタン(80mL)中のDMSO(24mL)を滴下漏斗を介して5分間にわたって添加した。10分後に、DMSO(40mL)中の4−クロロ−2,6−ジヒドロキシメチルピリジン(12.13g、69.9ミリモル)をこれも滴下漏斗を介して5分間にわたって添加した。20分後に、トリエチルアミン(200mL)を添加し、その反応物を−60℃にてさらに5分間攪拌した。ついで、その反応混合物を放置して室温に達せさせた。水(400mL)をフラスコに添加した。その水性混合物を少量づつのCHClで抽出し、その有機画分を一緒に添加し、NaSO上で乾燥させ、濾過して濃縮した。その粗製生成物を、CHClを用いるシリカゲル(Aldrich 200-400メッシュ、60Å)を通して溶出させて、8.20g(69%収率)の純粋な4−クロロピリジン−2,6−ジカルボキシアルデヒドを明黄色固形物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.12 (s), 8.11 (s);
13C NMR (CD3OD, 100 MHz) δ 191.26, 154.24, 147.55, 125.53
融点=163℃
【0105】
C. マンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)の合成
実施例1と同様にして調製したN,N'−ビス{(1R,2R)−[2−(アミノ)]シクロヘキシル}−1,2−ジアミノエタン四塩酸塩(29.98g、72.4ミリモル)をEtOH(750mL)と共にフラスコに入れた。攪拌した懸濁液にKOH(18.90g、289.7ミリモル)を添加した。KOHは溶解し、微細なKClが沈澱した。30分後に、MnCl(9.18g、72.4ミリモル)を添加した。MnClは徐々に溶解し、緑色懸濁液を得た。MnClが溶解した後に、実施例3Bと同様にして調製した4−クロロピリジンジカルボキシアルデヒド(12.28g、72.4ミリモル)を添加した。その反応混合物を室温にて1時間攪拌し、ついで数日間加熱還流させた。その反応混合物を室温まで冷却し、MeOH(350mL)を添加した。そのフラスコを氷水浴中で0℃まで冷却した。その反応混合物に、NaBH(5.57g、144.8ミリモル)を少量づつ添加した。そのフラスコを放置して室温に達せさせた。水を添加し、その反応混合物を濃縮した。粗製物質を等量(各500mL)のCHCH、HOおよびブラインで抽出した。その水性層を幾つかの少量のCHClで洗浄した。その有機画分を一緒に添加し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。その粗製物質をCHClに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(Aldrich 200-400メッシュ、60Å)によって精製した。生成物は1%のMeOH/CHClから2%のMeOH/CHClまで上昇する溶出液でカラムを通して溶出した。精製により、32.17g(90%収率)のマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R-24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)]を得た。
MS (LR-ESI) m/z 481 (M-Cl)+, 445 (M-Cl-HCl)+, 223 (M-2Cl)++
元素分析 C21H34N5MnCl3・CH3OHとして
計算値: C, 48.06; H, 6.87; N, 12.74; Cl, 19.34
実測値: C, 47.62; H, 6.79; N, 12.97; Cl, 19.77.
【0106】
合成を以下に図示する:
【0107】
【化6】

【0108】
実施例7 キレート化後置換反応による化合物1から本発明の種々の触媒の合成
A. 化合物8[マンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R)-24-(2-アミノエチルチオ)−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)]の合成
0℃のエタノール中の1.2%(w/v)の2-メルカプトエチルアミンの溶液に、ナトリウムエトキシド(1.1当量)を添加してチオラートを生成した。1.75時間攪拌した後に、そのチオラート溶液を0℃のDMF中の1.3%(w/v)の化合物1(1当量)の溶液に滴下した。その反応混合物を一晩攪拌させておいた。溶媒を真空下にて除去し、生成物混合物を塩化メチレンで抽出し、真空下にて濃縮した。溶出液として塩化メチレン:メタノール(9:1)を用いるフラッシュ・カラムクロマトグラフィーを精製に用い、それをHPLCを介してモニターした。
【0109】
B. 化合物12[マンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R)-24−(N,N−ジエチル−2−アミノエチルチオ)−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)]の合成
実施例6と同様にして調製したマンガン(II)ジクロロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)(1.00g、1.94ミリモル)をフラスコに入れ、DMF(80mL)に溶解した。別のフラスコにおいて、2−ジエチルアミノエタンチオール・HCl(364mg、2.14ミリモル)をDMF(20mL)に溶解した。そのフラスコを氷水浴中で0℃まで冷却した。そのフラスコに、NaH(102mg、8.5ミリモル)を添加した。30分間攪拌した後に、2−ジエチルアミノエタンチオラート溶液を、マンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26)、22(23),24−トリエン)溶液にカニューレを介して添加した。その反応混合物をHPLCによって分析すべく攪拌2時間後にサンプリングした。HPLC分析により、出発物質しか存在しないことが確認された。フラスコに還流凝縮装置を備え、油浴中で80℃に一晩加熱した。その反応混合物を室温に冷却し、HPLC分析用にサンプリングした。HPLC分析により、出発物質のみが存在することが確認された。そのフラスコを氷水浴中で0℃に冷却した。別のフラスコに、2−ジエチルアミノエタンチオール・HCl(725mg、4.27ミリモル)を添加した。2−ジエチルアミノエタンチオール・HClをエタノール(45mL)に溶解した。そのフラスコを氷水浴中で0℃まで冷却した。その溶液に、NaOEt(3mL、21重量%、8.54ミリモル)を添加した。冷却したマンガン(II)ジクロロ−(4R,9R,14R,19R−24−ジエチルアミノメルカプト−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)溶液に、2−ジエチルアミノエタンチオラート溶液をカニューレを介して添加した。そのフラスコを一晩攪拌しつつ80℃に加熱した。反応混合物をHPLCによって分析すべくサンプリングした。HPLC分析により、生成物が存在し、出発物質が存在しないことが確認された。水(50mL)を反応フラスコに添加した。DMF、水およびEtOHを真空下にて除去した。その濃縮物を飽和NaCl溶液(250mL)、水(250mL)およびCHCl(250mL)で抽出した。その水層を幾つかの少量のCHClで洗浄した。それらの有機画分を合し、NaSO上で乾燥させ、真空下にて濃縮した。
【0110】
粗製物質をシリカゲル・クロマトグラフィー(Aldrich 200−400メッシュ、60Å)によって精製した。生成物は、1%のMeOH/CHClから6%のMeOH/CHClまで徐々に上昇する溶出液を用いてカラムを通して溶出した。画分をHPLCによって分析し、合して504mg(43%収率)の純粋なマンガン(II)ジクロロ−(4R,9R,14R,19R)−24−(N,N−ジエチル−2−アミノエチルチオ)−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)を得た。
MS (LR-FAB) m/z 578 (M-Cl)+;
HRMS C24H48ClMnN6Sとして
計算値 578.2730
実測値 578.2764.
【0111】
C. 化合物29[マンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−S−(2−チオプロパン)−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)]の合成
実施例6と同様にして調製したマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)(1.01g、1.96ミリモル)をフラスコに入れ、DMF(60mL)に溶解した別のフラスコにて、2−メルカプトプロパン(165mg、2.15ミリモル)をDMF(60mL)に溶解した。そのフラスコを氷水浴中で0℃に冷却した。そのフラスコに、NaH(51mg、2.13ミリモル)を添加した。30分間攪拌した後に、2−チオプロパン溶液を、マンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)溶液にカニューレを介して添加した。そのフラスコに還流凝縮装置を備え、油浴槽中で80℃に2日間加熱した。その反応混合物を室温に冷却し、HPLC分析用にサンプリングした。HPLC分析により、出発物質のみが存在することが確認された。そのフラスコを氷水浴中で0℃に冷却した。EtOH(10mL)を含有するフラスコに、2−メルカプトプロパン(328mg、4.31ミリモル)を添加した。そのフラスコを氷水浴中で0℃に冷却した。その溶液にNaOEt(3mL、21重量%、8.62ミリモル)を添加した。冷却したマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)溶液に、2−チオプロパン溶液をカニューレを介して添加した。そのフラスコを一晩攪拌しつつ80℃に加熱した。その反応混合物をHPLCによって分析すべくサンプリングした。HPLC分析により、生成物が存在し、出発物質が存在しないことが確認された。水(50mL)を反応フラスコに添加した。DMF、水およびEtOHを真空下にて除去した。その濃縮物を飽和NaCl溶液(250mL)および水(250mL)で抽出し、ついでCHCl(250mL)で抽出した。その水性層を幾つかの少量のCHClで洗浄した。有機画分を合し、NaSO上で乾燥させ、真空下にて濃縮した。粗製物質をシリカゲル・クロマトグラフィー(Aldrich 200−400メッシュ、60Å)によって精製した。生成物を1%のMeOH/CHClから2%のMeOH/CHClまで徐々に上昇する溶出液でカラムを通して溶出させた。画分をHPLCによって分析し、合して504mg(46.6%収率)の純粋なマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R)−24−S−(2−チオプロパン)−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)を得た。
MS (LR-FAB) m/z 578 (M-Cl)+
HRMS C24H4lN5SMnClとして
計算値:521.2152
実測値:521.2136.
【0112】
D. 化合物30[マンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−S−(2−チオブタン)−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)]の合成
実施例6と同様にして調製したマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)(1.01g、1.96ミリモル)をフラスコに入れ、DMF(80mL)に溶解した。別のフラスコにおいて、2−メルカプトブタン(191mg、2.12ミリモル)をDMF(20mL)に溶解した。そのフラスコを氷水浴中で0℃に冷却した。そのフラスコにNaH(51mg、2.13ミリモル)を添加した。30分間攪拌した後に、2−チオブタン溶液をマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)溶液にカニューレを介して添加した。そのフラスコに還流凝縮装置を備え、油浴中で80℃に一晩加熱した。その反応混合物を室温に冷却し、HPLC分析用にサンプリングした。HPLC分析により、少量の生成物しか存在しないことが確認された。そのフラスコを氷水浴中で0℃に冷却した。EtOH(20mL)を含有するフラスコに、2−メルカプトブタン(415mg、4.27ミリモル)を添加した。そのフラスコを氷水浴中で0℃に冷却した。その溶液に、NaOEt(3mL、21重量%、8.62ミリモル)を添加した。冷却したマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)溶液に、2−メルカプトブタン溶液をカニューレを介して添加した。そのフラスコを一晩攪拌しつつ80℃に加熱した。その反応混合物をHPLCによって分析すべくサンプリングした。HPLC分析により、生成物が存在し、出発物質が存在しないことが確認された。水(50mL)を反応フラスコに添加した。DMF、水およびEtOHを真空下にて除去した。その濃縮物を飽和NaCl溶液(250mL)、水(250mL)およびCHCl(250mL)で抽出した。その水性層を幾つかの少量のCHClで洗浄した。その有機画分を合し、NaSO上で乾燥させ、真空下にて濃縮した。その粗製物質をシリカゲル・クロマトグラフィー(Aldrich 200−400メッシュ、60Å)によって精製した。生成物を1%のMeOH/CHClから2%のMeOH/CHClまで徐々に上昇させる溶出液を用いてカラムを通して溶出した。画分をHPLCによって分析し、合して680mg(61%収率)の純粋なマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R)−24−(2−ブタンチオ)−3,10,13,20,26− ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)を得た。
MS (LR−FAB) m/z 535 (M−Cl)+
HRMS C25H43ClMnN5S'として
計算値: 535.2308
実測値: 535.2312.
【0113】
E. 化合物14[マンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−S−(シクロヘキシルチオ)−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)]の合成
実施例6と同様にして調製したマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26− ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)(1.00g、1.93ミリモル)をフラスコに入れ、DMF(80mL)に溶解した。別のフラスコにおいて、シクロヘキシルメルカプタン(247mg、2.12ミリモル)をDMF(20mL)に溶解した。そのフラスコを氷水浴中で0℃に冷却した。そのフラスコに、NaH(51mg、2.13ミリモル)を添加した。30分間攪拌した後に、シクロヘキシルチオラート溶液をマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)溶液にカニューレを介して添加した。そのフラスコを室温にて一晩攪拌させておいた。その反応混合物をHPLC分析用にサンプリングした。HPLC分析により、少量の生成物しか存在しないことが確認された。そのフラスコを氷水浴中で0℃に冷却した。EtOH(10mL)を含有するフラスコに、シクロヘキシルメルカプタン(475mg、4.25ミリモル)を添加した。そのフラスコを氷水浴中で0℃に冷却した。その溶液に、NaOEt(3mL、21重量%、8.62ミリモル)を添加した。冷却したマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)溶液に、2−メルカプトブタン溶液をカニューレを介して添加した。そのフラスコを一晩攪拌させつつ放置して室温に達せさせた。その反応混合物をHPLCによって分析すべくサンプリングした。HPLC分析により、生成物が存在し、出発物質が存在しないことが確認された。水(50mL)を反応フラスコに添加した。DMF、水およびEtOHを真空下にて除去した。その濃縮物をCHCl(250mL)で希釈し、ついで合した飽和NaCl溶液(250mL)および水(250mL)で洗浄した。その水性層を幾つかの少量のCHClで洗浄した。それらの有機画分を合し、NaSO上で乾燥させ、真空下にて濃縮した。その粗製物質をシリカゲルクロマトグラフィー(Aldrich 200−400メッシュ、60Å)によって精製した。その生成物は1%のMeOH/CHClから2%のMeOH/CHClに徐々に上昇する溶出液を用いてカラムを通して溶出した。画分をHPLCによって分析し、合して675mg(59%収率)の純粋なマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R)−24−(シクロヘキシルチオ)−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)を得た。
MS (LR−ESI) m/z 561 (M−Cl)+, 263 (M−2Cl)++, 222(M−2Cl−シクロヘキセン)++
HRMS C27H45ClMnN5Sとして
計算値: 561.2465
実測値: 561.2477.
【0114】
F. 化合物31[マンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−S−(2−チオ酢酸エチル)−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)]の合成
実施例6と同様にして調製したマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン) (22.26g、42.99ミリモル)を、乾燥した5Lの磁気スターラーバーを備えた四口丸底フラスコにアルゴン雰囲気下にて入れた。無水DMF(2L)をフラスコに添加し、固形物を溶解した。そのフラスコを氷水浴に入れた。水素化ナトリウム(3.40g、142ミリモル)を、磁気スターラーバーを備えた500mLフラスコに不活性雰囲気下にて計量した。無水DMF(230mL)を水素化ナトリウムに添加し、スラリーを生成した。そのフラスコを氷水浴中で冷却し、チオグリコール酸エチル(16.97mL、155ミリモル)をスラリーに徐々に添加した。ガスの発生が止まった後に、氷浴を取り除き、120mLのチオラート溶液をマンガン錯体の溶液に添加した。冷却浴を取り除いた。4.6時間後に、さらに100mLのチオラート溶液を反応物に添加した。その反応混合物を一晩攪拌させておいた。HPLC分析は、反応が完了したことを示した。DMFを真空下にて除去して残渣を得、これを850mLの塩化メチレン、250mLの水、および250mLの飽和NaClに溶解した。層を混合し、分離させた。その水性層を250mLの塩化メチレンで3回抽出した。塩化メチレン層を合し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、40g重量の粗製油性混合物に濃縮した。その粗製物質を、CHCl、ついでCHCl中の1−2%のEtOHを用いるシリカゲル・クロマトグラフィーによって、精製して、生成物を溶出させた。不純物画分を合し、固形物に濃縮し、これをCHCl中のエーテルでトリチュレートして純粋な生成物を得、これをカラムからの純粋な画分と合し、濃縮して15.61g(60%)の純粋なマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−S−(2−チオ酢酸エチル)−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)を白色固形物として得た。x−線結晶構造を得、これは生成物の構造を確認した。
MS ESI: m/z 565 (M−C1)+, 265(M−Cl2)++, 251(M−C2H5−Cl2)++, 222 (M‐SCH2CO2C2H5−Cl2)++;
元素分析 C25H41N5O2SMnCl2 0.5(C2H5OH)として
計算値: C, 50.00; H, 7.10; N, 11.21; S, 5.13; Cl, 11.35
実測値: C, 50.19; H, 7.14; N, 11.17; S, 5.29; Cl, 11.14.
【0115】
G. 化合物16[マンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−S−(2−チオ酢酸メチル)−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)]の合成
チオグリコール酸メチル(190μL、2.12ミリモル)を、10mLの無水DMF中のNaH(50.9mg、2.12ミリモル)のスラリーに添加し、これを氷水浴中で冷却した。その混合物を放置して室温まで温めた。実施例6と同様にして調製したマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)(1.00g、1.93ミリモル)を10mLのDMF中のスラリーとしてチオラート溶液に添加した。その混合物を室温にて攪拌し、ついで80℃の油浴中で2時間加熱した。さらなるDMF(100mL)を反応物に添加し、その反応物を室温にて4日間攪拌した。ブライン(20mL)を反応混合物に添加し、固形沈澱物を収集した。その濾液を濃縮し、エーテルで抽出して962mgの粗製生成物を得た。その粗製生成物をCHCl中の1%のMeOHで溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。収量 627mg(55%、HPLCによって97%純粋)
MS ESI: m/z 551 (M−Cl)+, 258 (M−Cl2)++
HRMS C24H39N5O2SMnClとして
計算値: 551.1894
実測値: 551.1886.
【0116】
H. 化合物25[マンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−S−(3−ヒドロキシプロパンチオ)−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)]の合成
水素化ナトリウム(153mg、6.37ミリモル)をDMF(150mL)中の3−メルカプト−1−プロパノール(600μL、6.95ミリモル)の冷却溶液に添加した。氷浴を取り外し、10分後に、実施例6と同様にして調製したマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)(3.00g、5.79ミリモル)を懸濁液に添加した。その懸濁液は黄−褐色に変化した。一晩攪拌した後に、その反応物は色において紫−茶色に見えた。HPLCおよびMSによれば、出発物質および生成物が存在した。さらに200μLの3−メルカプト−1−プロパノールおよび40mLのDMF中の51mgのNaHを反応混合物に添加し、つづいてさらに20mLのDMFを添加した。数時間後に、125μLの3−メルカプト−1−プロパノールおよびDMF中の34mgのNaHからなるチオラートのもう1の添加を行った。HPLCによって反応が完了したことが示された。その反応混合物を真空下にて濃縮し、塩化メチレンおよびブラインで仕上げ処理した。その水性層を塩化メチレンで数回抽出した。CHCl層を合し、NaSO上で乾燥させ、濾過して濃縮した。その粗製物質を、シリカゲルを用い、CHCl、ついでCHCl中の1−3%のMeOHで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製した。純粋な画分を合して、マンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−S−(3−ヒドロキシプロパンチオ)−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)を灰色がかった白色粉状物として得た(重量2.17g(65%))。HPLCは99%純度を示した。
MS ESI: m/z 537 (M−C1)+, 501(M−HCl−Cl)+, 251(M−2C1)++, 222 (M−2Cl−C3H60H)++
X−線結晶構造により、生成物の構造が確認された。
【0117】
I. 化合物19[マンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−S−(N−メチル−2−チオアセトアミド)−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)]の合成
マンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−S− (3−ヒドロキシプロパンチオ)−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)(実施例7H)の調製法に従って、N−Meメルカプトアセトアミド(196μL、2.22ミリモル)および水素化ナトリウム(51mg、2.12ミリモル)を用いてチオラート溶液を形成した。実施例6と同様にして調製したマンガン(II)ジクロロ−(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン) (1.00g、1.93ミリモル)をチオラート溶液に添加した。その反応物を仕上げ処理し、精製して372mgのマンガン(II)ジクロロ−(4R,9R,14R,19R−24−S−(N−メチル−2−チオアセトアミド)−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)(33%、HPLCによって99%純粋)を灰色がかった白色固形物として得た。
MS ESI: m/z 550 (M−Cl)+, 258(M−2Cl)++
HRMS C24H40N6OSMnClとして
計算値: 550.2053
実測値: 550.2062.
【0118】
J. 化合物26[マンガン(II)クロロ(4R,9R,14R,19R−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン−24−S−(2−チオ酢酸)]の合成
実施例7Fと同様にして調製したマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−S−(2−チオ酢酸エチル)−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)(1.16g、1.93ミリモル)を、THF(25mL)、飽和NaHCO(50mL)および水(50mL)に溶解した。その混合物を、HPLCが完全なエステル加水分解を示すまで数日間攪拌した。THFを真空下にて除去し、ブライン(50mL)を添加し、その水性混合物を塩化メチレンで抽出した。その塩化メチレン層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して粗製生成物を得た。その粗製物質を、シリカゲルを用い、CHCl中の2−3%のMeOHで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製した。820mgの灰色がかった白色固形物として、マンガン(II)クロロ(4R,9R,14R,19R−24−S−(2−チオ酢酸)−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)を得た。
元素分析 C23H36N5SO2MnCl H2Oとして
計算値: C, 49.77; H, 6.90; N, 12.62; S, 5.78; Cl, 6.39
実測値: C, 49.63; H, 6.91; N, 12.49; S, 5.78; Cl, 6.47.
【0119】
K. 化合物32[マンガン(II)ジクロロ[[(4R,9R,14R,19R−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(25),22(26),23−トリエン−24−イルチオ)メチル]ジエトキシホスフィノ−1−オン]]の合成
0℃にて5mLのDMF中のNaH(0.26g、11ミリモル)のスラリーに、15mLのDMF中のメルカプトメチルホスホン酸ジエチル(2.2g、12ミリモル)の溶液を徐々に添加した。得られたスラリーを室温にて1時間攪拌し、窒素下、カニューレを介して、100mLのDMF中の、実施例6と同様にして調製したマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)(2.84g、5.50ミリモル)の溶液に移した。得られた混合物を室温にて48時間攪拌した。4mLのDMF中の、メルカプトメチルホスホン酸ジエチルから前記と同様にして調製したさらなるチオラート(0.43g、2.3ミリモル)およびNaH(53mg、2.2ミリモル)を反応混合物に添加し、スラリーを60℃に18時間加熱し、その時点で、質量スペクトル分析により出発4−クロロピリジン錯体が完全に消費されたことが確認された。溶媒を蒸発させ、その残渣をCHCl(100mL)とブライン(50mL)との間に分配させた。その水性層を分離し、CHCl(3×50mL)で抽出した。有機層を合し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させて茶色油性物とした。粗製生成物の精製は、100%エタノール中に調製した100gのシリカゲル上のフラッシュ−カラムクロマトグラフィーによって行った。生成物は100%のクロロホルムに溶出された。画分を逆相HPLCによって分析した。純粋な画分を合し、濃縮して黄色油性物を得た。その油性物を5mLのCHClに採り、ジエチルエーテル(75mL)を徐々に添加することによって結晶化させた。沈澱物を濾過によって単離し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下、室温にて18時間乾燥させて目的の生成物を灰色がかった白色固形物として得た(0.55g(15%))。
融点 >300℃(d)
FABMS m/z=664, 629 [M−Cl]+
元素分析 C26H46N5Cl2PS03Mn・1.0 H20として
計算値: C, 45.68; H, 7.08; N, 10.25; S, 4.69; Cl, 10.37;
実測値: C, 45.69; H, 7.01; N, 10.10; S, 4.68; Cl, 10.41.
【0120】
L. 化合物33[マンガン(II)ジクロロ[[2−(4R,9R,14R,19R−3,10,20,26−ペンタアザテトラシクロ−20.3.1.04,9.014,15]ヘキサコサ−1(25),22(26),23−トリエン−24−イル(チオ)フェニル]メタン−1−オール]]の合成
窒素下、0℃にて15mLのDMF中の水素化ナトリウム(0.27g、6.75ミリモル)の攪拌した冷却懸濁液に、5mLのDMFに溶解した2−メルカプトベンジルアルコール(1.04g、7.44ミリモル)を徐々に添加した。得られた溶液を放置して室温まで温め、30分間攪拌した。ついで、それを、窒素下、室温にて、80mLのDMF中の実施例6と同様にして調製したマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24− クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)の攪拌溶液にカニューレを介して移した。添加の間に固形沈澱物が形成した。ついで、その反応物を58℃にて3日間攪拌し、その時点で、質量スペクトル分析により出発4−クロロピリジン錯体が完全に消費されたことが確認された。溶媒を真空下にて除去し、得られた油性物を100mLのブラインで洗浄し、ジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。それらの抽出物を合し、硫酸マグネシウム上で乾燥させて濾過した。粗製生成物の精製は、最初に100%のジクロロメタンで溶出し、ついでジクロロメタン中の2%のメタノールで溶出する100mLのシリカゲル上のフラッシュ−カラムクロマトグラフィーによって行った。画分は逆相HPLCによって分析した。同様な画分を合し、濃縮して橙色油性物を得た。この油性物を塩化メチレン/ジエチルエーテル(60/40、v/v)に採り、デカンテーションし、ついで、生成物が完全に沈澱するまでその溶液にジエチルエーテルを添加した。得られた沈澱物を濾過によって収集し、真空下、室温にて一晩乾燥させて、330mg(18%)の目的の生成物を非晶質の明黄色固形物として得た(HPLCにより〜87%純粋)。
FABMS m/z=620, 585 [M−Cl]+;
ESMS m/z=585 [M−Cl]+, 275 [M‐2Cl]+2.
【0121】
M. 化合物34および35[マンガン(II)ジクロロ[ジエチル4R,9R,14R,19R−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(25),22(26),23−トリエン−24−ホスファート]およびマンガン(II)ジクロロ[(4R,9R,14R,19R−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(25),22(26),23−トリエン−24−イル)エトキシホスフィン酸]]の合成
0℃にてDMF(4mL)中のNaH(78mgの油中の60%分散液、2.0ミリモル)の溶液に、亜リン酸ジエチル(0.27mlの98%純度、2.1ミリモル)を添加した。その反応混合物を放置して室温まで温め、ほぼ45分後にガス発生はもはや顕著でなかった。ついで、得られたアニオンをDMF(30mL)中の実施例6の錯体(503mg、0.97ミリモル)の混合物に添加した。その反応混合物を室温にて一晩攪拌した。この時点で、質量スペクトル分析は4−置換型ジエチルホスフェートエステル、m/z=599 [M-Cl]++ならびにモノエチルエステル生成物としての目的の4−ホスホナート、m/z=555 [M-Cl]+および幾分かの未反応マンガン錯体出発物質、m/z=481([M-Cl]+および223([M-2Cl]++が存在することを示した。
【0122】
N. 化合物37[マンガン(II)ジクロロ[エチル(4R,9R,14R,19R−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(25),22(26),23−トリエン−24−イルチオ)ベンゾアート]]の合成
窒素下、0℃にて10mLのDMF中の水素化ナトリウム(0.32g、8.11ミリモル)の攪拌した冷却懸濁液に、5mLのDMFに溶解した3−メルカプト安息香酸エチル(1.62g、8.88ミリモル)を徐々に添加した。得られた清澄な黄色溶液を放置して室温まで温め、60分間攪拌した。ついで、それを、窒素下、室温にて100mLのDMF中の実施例6と同様にして調製したマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)の攪拌溶液にカニューレを介して移した。固形物の添加の間に、沈澱物が形成した。ついで、その反応物を58℃にて3日間攪拌し、その時点で、MSにより出発錯体が完全に消費されたことが確認された。溶媒を真空下にて除去した。得られた油性物を100mLのブラインで洗浄し、クロロホルム(3×50mL)で抽出した。それらの抽出物を合し、硫酸マグネシウム上で乾燥させて濾過した。粗製生成物の精製は、100%のエタノール中で調製した200mLのシリカゲル上のフラッシュ−カラムクロマトグラフィーによって行った。生成物は100%クロロホルム中に溶出された。画分を逆相HPLCによって分析した。純粋な画分を合し、濃縮して橙色油性物を得た。この油性物を6mLのTHFに採り、0.5mLの水を添加し、ついで生成物が完全に沈澱するまでt−ブチルメチル=エーテルを溶液に添加した。得られた明黄色固形物を濾過によって収集し、真空下、室温にて一晩乾燥させて目的の純粋な生成物を淡黄色固形物として得た。835mg(32%)。
融点 >300℃(d)
ESMS m/z=662,627 [M−Cl]', 296 [M−2CI]+2.
元素分析 C30H43N5Cl2SO2Mn・0.5H2Oとして:
計算値: C, 53.57; H, 6.59; N, 10.41; S, 4.77; Cl, 10.54
実測値: C, 53.64; H, 6.62; N, 10.23; S, 4.82; Cl, 10.52.
【0123】
O. 化合物38[マンガン(II)ジクロロ[1−(4R,9R,14R,19R−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(25),22(26),23−トリエン−24−イルチオ)]−3−メトキシベンゼン]の合成
窒素下、0℃にて10mLのDMF中の水素化ナトリウム(0.27g、6.75ミリモル)の攪拌冷却懸濁液に、5mLのDMFに溶解した3−メトキシチオフェノール(1.03g、7.34ミリモル)を徐々に添加した。得られた清澄無色溶液を放置して室温まで温め、30分間攪拌した。ついで、窒素下、室温にて80mLのDMF中の実施例6と同様にして調製したマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)の攪拌溶液にカニューレを介して移した。添加の間に、固形沈澱物が形成した。ついで、その反応物を58℃にて3日間攪拌し、その時点で、MSにより出発4−クロロピリジン錯体が完全に消費されたことが実証された。溶媒を真空下にて除去した。得られた油性物を100mLのブラインで洗浄し、クロロホルム(3×50mL)で抽出した。それらの抽出物を合し、硫酸マグネシウム上で乾燥させて濾過した。粗製生成物の精製は、最初に100%のクロロホルムで溶出し、ついでクロロホルム中の2%のメタノールで溶出する100mLのシリカゲル上のフラッシュ−カラムクロマトグラフィーによって行った。画分は逆相HPLCによって分析した。純粋な画分を合し、濃縮して橙色油性物を得た。この油性物をクロロホルム/ジエチルエーテル(75/25、v/v)に採り、デカンテーションし、ついで生成物が完全に沈澱するまで溶液にジエチルエーテルを添加した。得られた明黄色結晶を濾過によって収集し、真空下、室温にて一晩乾燥させて目的の純粋な生成物を明黄色結晶として得た(555mg(31%))。
融点 >300℃(d)
ESMS m/z=620, 585 [M−Cl]+, 275 [M−2C1]+2
元素分析 C28H4lN5Cl2SOMnとして
計算値: C, 54.11; H, 6.65; N, 11.27; S, 5.16; Cl, 11.41
実測値: C, 54.11; H, 6.70; N, 11.15; S, 5.06; Cl, 11.47.
【0124】
P. 化合物39[マンガン(II)ジクロロ[1−(4R,9R,14R,19R−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(25),22(26),23−チエン−24−イルチオ)]−2−メトキシベンゼン]の合成
窒素下、0℃にて10mLのDMF中の水素化ナトリウム(0.27g、6.75ミリモル)の攪拌冷却懸濁液に、5mLのDMFに溶解した2−メトキシチオフェノール(1.04g、7.44ミリモル)を徐々に添加した。得られた溶液を放置して室温に温め、30分間攪拌した。ついで、それを、窒素下、室温にて、80mLのDMF中の実施例6と同様にして調製したマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13、20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−チエン)の攪拌溶液にカニューレを介して移した。添加の間に固形沈澱物が形成した。ついで、その反応物を58℃にて3日間攪拌し、その時点で、MSにより出発錯体が完全に消費されたことが確認された。溶媒を真空下にて除去した。得られた油性物を100mLのブラインで洗浄し、クロロホルム(3×50mL)で抽出した。その抽出物を合し、硫酸マグネシウム上で乾燥させて濾過した。粗製生成物の精製は、最初に100%のクロロホルムで溶出し、ついでクロロホルム中の2%のメタノールで溶出する100mLのシリカゲル上のフラッシュ−カラムクロマトグラフィーによって行った。画分は逆相HPLCによって分析した。純粋な画分を合し、濃縮して橙色油性物を得た。この油性物をクロロホルム/ジエチルエーテル(60/40、v/v)に採り、デカンテーションし、ついで生成物が完全に沈澱するまでジエチルエーテルをその溶液に添加した。得られた明黄色固形物を濾過によって収集し、真空下、室温にて一晩乾燥させて目的の純粋な生成物を非晶質明黄色固形物として得た(240mg(13%))。
融点 >300℃(d)
ESMS m/z=620, 585 [M−Cl]+, 275 [M−2Cl]+2
元素分析C28H41N5Cl2SOMn・2H2Oとして
計算値: C, 51.14; H, 6.90; N, 10.65; S, 4.88; Cl, 10.78
実測値: C, 51.41; H, 6.82; N, 10.46; S, 4.88; Cl, 10.62.
【0125】
Q. 化合物36および35[マンガン(II)ジクロロ[(4R,9R,14R,19R−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(25),22(26),23−トリエン−24−イル)ジエトキシホスフィノ−1−オン]およびマンガン(II)ジクロロ[(4R,9R,14R,19R−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(25),22(26),23−トリエン−24−イル)エトキシホスフィン酸]]の合成
室温にてDMF(5mL)中のビス(アセトニトリル)−ジクロロパラジウム(II)(17mg、0.05ミリモル)および塩化テトラフェニルホスホニウム(111mg、0.3ミリモル)の溶液に、トリエチルアミン(170μLの99%純度、1.2ミリモル)につづいて亜リン酸ジエチル(160μLの98%純度、1.2ミリモル)を添加した。その混合物に、DMF(30mL)中の実施例6と同様にして調製したマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13−20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)の溶液を添加した。その反応混合物を90℃に加熱し、一晩攪拌した。その時点で、質量スペクトル分析により、目的の4−ジエチルホスホナート生成物、m/z=583 [M−Cl]+、ならびに幾分かの未反応出発錯体、MS(LRFAB) m/z=481[M-Cl]+を伴う部分加水分解生成物、m/z=555 [M−Cl]+が存在することが示された。
【0126】
R. 化合物40[マンガン(II)ジクロロ[4-(4R,9R,14R,19R-3,20,13,20,26-ペンタアザテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ-1(25),22(26),23-トリエン−24−イルチオ)安息香酸エチル]]の合成
窒素下、0℃にて15mLのDMF中の水素化ナトリウム(0.65g、16.22ミリモル)の攪拌冷却懸濁液に、5mLのDMFに溶解した4−メルカプト安息香酸エチル(3.2g、17.76ミリモル)を徐々に添加した。得られた溶液を放置して室温まで温め、60分間攪拌した。ついで、窒素下、室温にて、それを80mLのDMF中の実施例6と同様にして調製したマンガン(II)ジクロロ(4R,9R,14R,19R−24−クロロ−3,10,13,20,26−ペンタアザテトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン)の攪拌溶液にカニューレを介して移した。添加の間に固形沈澱物が形成した。ついで、その反応物を58℃に3日間攪拌し、その時点で、質量スペクトル分析により出発4−クロロピリジン錯体が完全に消費されたことが確認された。溶媒は真空下にて除去し、得られた油性物を100mLのブラインで洗浄し、クロロホルム(3×50mL)で抽出した。それらの抽出物を合し、硫酸マグネシウム上で乾燥させて濾過した。粗製生成物の精製は、100%のメタノール中で調製し、100%のクロロホルムで溶出する240mLのシリカゲル上のフラッシュ−カラムクロマトグラフィーによって行った。画分は逆相HPLCによって分析した。同様な画分を合し、濃縮して1.8g(35%)の目的生成物を橙色油性物(HPLCにより〜87%純粋)を得た。
FABMS m/z=662,627 [M−Cl]+.
【0127】
実施例8
化合物7の合成
A. 2,6−ビス[(ジメトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボン酸ジエチル
水中の10%酢酸アンモニウムの溶液(31.0ml、3.10g、39.2ミリモル)の溶液に、ホルムアルデヒド(394mg、13.1ミリモル)および4,4−ジメトキシ−3−オキソ−酪酸エチル(5.00g、26.3ミリモル)を添加した。その混合物をエタノール(30ml)で希釈し、16時間還流させた。エタノールを蒸発させ、その水性混合物をCHCl(3×100mL)で抽出した。合した抽出物を乾燥(MgSO)させ、濾過し、濃縮して3.8g(78%収率)の生成物を黄色油性物を得た。
1H NMR (300 MHz, CDC13) δ 7.41 (bs, 1H), 5.99 (s, 2H), 4.25 (q, J=7.20Hz, 4H), 3.48 (s, 12H), 3.42 (d, J=11.7 Hz, 2 H), 1.36 (t, J=7.2 Hz, 6 H);
13C NMR (75 MHz, CDCl3) dc 166.64 (s), 144.39 (s), 100.39 (s), 98.43 (d), 60.02 (t), 54.98 (q), 24.99 (t), 14.29 (q).MS (LR−ESI) m/z 374 [M + H] +.
【0128】
B. 2,6−ビス[(ジメトキシ)メチル]−3,5−ピリジンジカルボン酸ジエチル
トルエン(200ml)中の2,6−ビス[(ジメトキシ)メチル]−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボン酸ジエチル(3.40g、9.10ミリモル)の溶液に、活性化二酸化マンガン(3.96g、45.5ミリモル)を添加し、得られた混合物を2時間加熱還流した。この時点で、もう1の3.96g(45.5ミリモル)の活性化二酸化マンガンを添加し、還流をさらに2時間続けた。その反応物を放置して室温に冷却し、セライトを通して濾過し、濃縮して3.10g(92%収率)の2,6−ビス[(ジメトキシ)メチル]−3,5−ピリジンジカルボン酸ジエチルを無色油性物として得た。
1H NMR(300 MHz, CDCl3) δ8.29 (s, 1 H), 5.93 (s, 2H), 4.40 (q, J=7.2 Hz, 4H), 3.48 (s, 12H), 1.41 (t, J=7.2Hz, 6H);
13C NMR (75 MHz, CDC13) dc 165.68 (s), 156.25 (s), 138.52 (d), 126.59 (d), 101.26 (d), 61.50 (t), 54.08 (q), 13.75 (q);
MS (LR−CI) m/z 372 [M+H]+.
【0129】
C. 3,5−ビス(エトキシカルボニル)−2,6−ピリジンジカルボキシアルデヒド
THF(80ml)中の2,6−ビス[(ジメトキシ)メチル]−3,5−ピリジンジカルボン酸エチル(4.40g、11.9ミリモル)の溶液に、2N HCl(80mL)および得られた混合物を50℃にて30分間攪拌した。この時点で、反応混合物をTHF(80ml)および2NのHCl(80ml)で再度処理した。合計1.5時間後に、TLCにより反応が完了したことが示された(10/1のCHCl/MeOH)。その混合物を冷却し、水(1L)で希釈した。pHは0.94で、したがって、固形物NHCOで4.5に調製した。その混合物をEtOAc(2×300ml)で抽出し、合した抽出物を乾燥(MgSO)させ、濾過し、濃縮して1.78gの粗製3,5−ビス(エトキシカルボニル)−2,6−ピリジンジカルボキシアルデヒドを黄色油性物として得た。
1H NMR(300 MHz, CDCl3) δ10.42 (s, 2H), 8.49 (s, 1H), 4.57 (q, J=7.2 Hz, 4H), 1.51 (t, J=7.2 Hz, 6H)
13C NMR (75 MHz, CDC13) dc 189.83 (s), 164.67 (s), 152.17, 138.75, 130.64, 63.11 (t), 13. 90 (q).
MS (LR−CI) m/z 280 [M+H]+.
【0130】
D. マンガン(II)ジクロロ(エチル−3,10,13,20,26−ペンタアザ−25−(エトキシカルボニル)テトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),2,20,22(23)、24−ペンタエン−23−カルボキシラート)
500mLのフラスコ中にて、N,N'−ビス{(1R,2R)−[2−(アミノ)]シクロヘキシル}−1,2−ジアミノ四塩酸塩(860mg、2.15ミリモル)をエタノール(30mL)に懸濁し、固形KOH(502mgの89%、8.00ミリモル)で処理し、得られた混合物を52℃(浴温度)にて20分間攪拌した。その時点で、MnCl(264mg、2.10ミリモル)を少量づつ添加した。5分後に、粗製3,5−ビス(エトキシカルボニル)−2,6−ピリジンジカルボキシアルデヒド(65%純粋であると概算される930mgの物質、ほぼ2.10ミリモル)を添加し、得られた混合物をその後16時間還流させた。この時点以降、橙赤色テンプレート生成物、マンガン(II)ジクロロ(エチル−3,10,13,20,26−ペンタアザ−25−(エトキシカルボニル)−テトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),2,20,22(23),24−ペンタエン−23−カルボキシラート)が暗示的な生成物のみとしてエタノール性反応混合物中に認められた。
MS (LR−FAB) m/z 443 [M−Cl]+
HPLC (Vydac 218TP54 protein and peptide C18 ; 0.1%のTFA/20%のアセトニトリルを含む80%のH0;流速=1ml/分;5ml注射体積) TR=3.19分
この混合物を次工程に直接採用した。
【0131】
E. マンガン(II)ジクロロ(エチル−3,10,13,29,26−ペンタアザ−25−(エトキシカルボニル)テトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン−25−カルボキシラート)]
前記工程Dからのエタノール性反応混合物を、アルゴン雰囲気下、Pd(黒)(500mg)、10%のPd(C)(350mg)およびギ酸アンモニウム(1.6g)で(注意深く)処理した。得られた混合物をアルゴン下にて2時間加熱還流した。この時点で、HPLC(Vydac 218TP54 protein and peptide C18;0.1%のTFA/30%のアセトニトリルを含む70%のH2O;流速=2ml/分;5ml注射体積)は、生成物のみ示した。その反応混合物を冷却し、アルゴン
ブランケット下、セライトの1インチパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィー(SiO、210:1、CHCl/メタノールにつづいて100:1のCHCl/メタノール)によって精製して、450mgのマンガン(II)ジクロロ(エチル
3,10,13,20,26−ペンタアザ−25−(エトキシカルボニル)テトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン−23−カルボキシラート)を黄色泡状物として得た。
MS (HR−ESI) m/z 591.2386 [M−Cl]+ (C27H43N504Clとして計算値591.2384);
HPLC (Vydac 218TP54 protein and peptide C18;0.1%のTFA/30%のアセトニトリルを含む70%HO;流速=2 ml/分;5ml注射体積) TR=5.05分 (97.3% 純粋).
【0132】
実施例9
化合物42の合成
A. 4−シクロヘキシル−2,6−ビス(ジメトキシメチル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボン酸ジエチル
酢酸アンモニウム水溶液(310mL−10%溶液、30.83g、400ミリモル)に、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド(11.22g、100ミリモル)および4,4−ジメトキシ−3−オキソ−酪酸エチル(38.04g、200ミリモル)を迅速に添加した。エタノール(60mL)を添加し、その反応物を油浴中、80℃に16時間加熱した。その反応物を蒸発させてエタノールを除去し、水(200mL)を添加した。その混合物を塩化メチレン(3×500mL)で抽出した。その有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて41.1gの4−シクロヘキシル−2,6−ビス(ジメトキシメチル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボン酸ジエチルを油性物として得た。
1H NMR (CDCl3) δ 7.71 (s, 1H) 5.93 (s, 2H) 4.20−3.27 (m, 17H) 1.60−0.80 (m, 16H);
13C NMR (CDCl3) δ 167.58, 143.62, 103.43, 98.75, 60.00, 54.70, 51.21, 44.57, 39.20, 28.88, 26.62, 14.32.
【0133】
B. 4−シクロヘキシル−2,6−ビス(ジメトキシメチル)ピリジン−3,5−ジカルボン酸ジエチル
室温にて、アセトン(450mL)中の4−シクロヘキシル−2,6−ビス(ジメトキシメチル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボン酸ジエチルの溶液に、水(125mL)中の硝酸アンモニウムセリウム(75.05g、135.08ミリモル)の溶液をかなり迅速に添加した。10分間攪拌した後に、得られた溶液を濃縮してアセトンを除去した。水(300mL)を添加し、その混合物をCHCl(3×500mL)で抽出した。その有機層をブライン(600mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、蒸発させて29.23gの4−シクロヘキシル−2,6−ビス(ジメトキシメチル)ピリジン−3,5−ジカルボン酸ジエチルを油性物として得た。その油性物をヘキサン/酢酸エチル混合物を用いてシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して単一スポット物質を得た:
1H NMR (CDCl3) δ 5.37 (s, 2H) 4.32 (q, J=7.2 Hz, 4H) 3.33 (s, 12H) 2.4−2.6 (m, 1H) 1.0−1.8 (m, 16H);
13C NMR (CDCl3) δ 167.79, 153.25, 151.44, 128.68, 104.01, 61.51, 54.41, 52.18, 44.41, 31.10, 27.19, 25.85, 14.04;
MS(HR−ESI) m/z 460.2534 [M+Li]+(C23H35NO8Liとして計算値 460.2523)
元素分析C23H35NO8として
計算値: C, 60.91; H, 7.78; N, 3.09
実測値: C, 60.34; H, 7.60; N, 3.04.
【0134】
C. 8−アザ−6,10−ジヒドロキシ−5,11−ジオキサトリシクロ[7.3.0.03,7]ドデカ−1(9),2,7(8)−トリエン−4,12−ジオン
1:4の濃HCl:酢酸(1.5L)中の4−シクロヘキシル−2,6−ビス(ジメトキシメチル)ピリジン−3,5−ジカルボン酸ジエチル(4.8g、10.58ミリモル)の溶液を室温にて16時間攪拌した。その反応物を蒸発し、水(500mL)と共沸させて3.21gの8−アザ−6,10−ジヒドロキシ−5,11−ジオキサトリシクロ[7.3.0.03,7]−ドデカ−1(9),2,7(8)−トリエン−4,12−ジオンを褐色固形物として得た。
1H NMR (DMSO) δ 8.8 (bs, 2H) 6.75 (m, 2H) 4.16−4.24 (m, 1H), 1.2−2.37 (m, 1OH)
13C NMR (DMSO) δ1 72.70, 166.14, 160.27, 120.48, 96.75, 36.84, 28.87, 28.80, 28.74, 26.45, 25.41
MS, m/z (相対強度) 306 [ (M + H)+, 100]
MS (HR−ESI, 陰イオン) m/z 304.0830 [M−H]− (C15H14NO6として計算値304.0821)
【0135】
D. マンガン(II)ジクロロ(3,10,13,20,26−ペンタアザ−24−シクロヘキシルテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),2,20,22(23),24−ペンタエン−23,25−ジアンモニウムカルボキシラート
エタノール(100mL)中のN,N'−ビス{(1R,2R)−[2−(アミノ)]シクロヘキシル}−1,2−ジアミノエタン四塩酸塩(4.01g、10.01ミリモル)の懸濁液に、水酸化カリウム(2.83g、50.54ミリモル)を添加した。その反応物を室温にて30分間攪拌し、MnCl(1.26g、10.01ミリモル)を添加した。その反応物を室温にてさらに30分間攪拌した。エタノール(90mL)中の8−アザ−6,10−ジヒドロキシ−5,11−ジオキサトリシクロ[7.3.0.3,7]−ドデカ−1(9),2,7(8)−トリエン−4,12−ジオン(3.21g、10.51ミリモル)の溶液を添加し、その反応物を16時間還流させた。この時点で、HPLC分析によりテンプレート生成物、マンガン(II)ジクロロ(3,10,13,20,26−ペンタアザ−24−シクロヘキシルテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),2,20,22(23),24−ペンタエン−23,25−ジアンモニウムカルボキシラート)]のみが示された:
HPLC (Vydac 218TP54 protein and peptide C18; 0.1%のTFA/20%のアセトニトリルを含む80%のH2O; 流速=2ml/分;10ml注射体積) TR=3.85分
その反応物を室温まで冷却して、直接次工程に採用した。
【0136】
E. マンガン(II)ジクロロ(3,110,13,20,26−ペンタアザ−24−シクロヘキシルテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン−23,25−ジアンモニウムカルボキシラート)
工程Dからの橙−赤色エタノール溶液を水(200mL)で希釈した。パラジウムブラック(5g)およびギ酸アンモニウム(10g)を添加し、その反応物を3時間還流させた。その反応物を室温に冷却し、セライトを通して濾過し、ケーキを水(500mL)およびエタノール(500mL)で洗浄した。その濾液を蒸発させて、10gのマンガン(II)ジクロロ−(3,10,13,20,26−ペンタアザ−24−シクロヘキシルテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン−23,25−ジアンモニウムカルボキシラートを得た)
HPLCMS, m/z 695.4 [M2C1+TFA+.
【0137】
F. マンガン(II)ジクロロ(3,10,13,20,26−ペンタアザ−24−シクロヘキシル−25−エトキシカルボニル)テトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン−23−カルボン酸エチル)
DMF(15mL)中のマンガン(II)ジクロロ−(3,10,13,20,26−ペンタアザ−24−シクロヘキシルテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン−23,25−ジアンモニウムカルボキシラート)(0.65g、0.93ミリモル)の懸濁液に、ヨウ化エチル(1.49g、9.3ミリモル)を添加し、その反応物を室温にて16時間した。その反応物を濃縮し、その残渣をブライン(50mL)と酢酸エチル(50mL)との間に分配させた。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾過し、蒸発させて0.7gの粗製物質を得、これを100:1のCHCl/エタノールを用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して、純粋なマンガン(II)ジクロロ(3,10,13,20,26−ペンタアザ−24−シクロヘキシル−25−エトキシカルボニル)テトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン−23−カルボン酸エチル)]を得た。
MS (HR−ESI) m/z 673.3176 [M−Cl]+ (C33H53N504MnClとして計算値673.3167).
試料を水性THF/メチル=t-ブチル=エーテルから水和形として再結晶化した。
元素分析 C33H53N5O4MnCl2 [H2O]1.5として
計算値: C, 53.80; H, 7.66; N, 9.51; Cl, 9.62;
実測値: C, 53.90; H, 7.68; N, 9.30; Cl, 9.40.
【0138】
実施例10
化合物15の合成
マンガン(II)ジクロロ(3,10,13,20,26-ペンタアザ−24−シクロヘキシル−25−メトキシカルボニル)テトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン−23−カルボン酸メチル)
DMF(132mL)中の実施例9に記載したマンガン(II)ジクロロ−(3,10,13,20,26−ペンタアザ−24−シクロヘキシルテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン−23,25−ジアンモニウムカルボキシラート)の懸濁液に、ヨウ化メチル(13.47g、94.9ミリモル)を添加し、その反応物を室温にて16時間攪拌した。その反応物を濃縮し、残渣をブライン(150mL)と酢酸エチル(150mL)との間に分配させた。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾過し、蒸発させて1.1gの粗製物質を得、これを100:1のCHCl:メタノールを用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して純粋なマンガン(II)ジクロロ(3,10,13,20,20,26−ペンタアザ−24−シクロヘキシル−25−メトキシカルボニル)テトラシクロ−[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン−23−カルボン酸メチル)]を得た。
MS (HR−ESI) m/z 645.2896 [M−C1]+ (C3lH49N5O4MnClとして計算値645.2896).
【0139】
実施例11
化合物17の合成
[マンガン(II)ジクロロ−(4R,9R,14R,19R)−3,10,13,20,26−ペンタアザ−24−ピペリジルテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(25),22(26),23−トリエン]
マンガン(II)ジクロロ−(4R,9R,14R,19R)−3,10,13,20,26−ペンタアザ−24−ブロモテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ-1(26),22(23),24−トリエン(2.0 9,3.56ミリモル)(化合物23)を丸底フラスコ(200mL)に添加し、炭酸セシウム(1.62g、0.267ミリモル)、酢酸パラジウム(0.060g、0.267ミリモル)およびS−2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル(0.155g、0.249ミリモル)につづいてジオキサン(30mL)を添加した。ピペリジン(0.36g、4.26ミリモル)を添加し、系を不活性化し、ついでその反応混合物を105℃に加熱した。一晩攪拌した後に、さらなる酢酸パラジウム(0.028g、0.124ミリモル)およびS−2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル(0.080g、0.124ミリモル)を添加した。出発ブロモ錯体が存在しないことによって判定される反応の終点に、反応混合物を室温に冷却し、濾過し、溶媒を減圧下にて除去した。その残渣を水(60mL)とジクロロメタン(150mL)との間に分配させた。層を分離させ、その水性層をジクロロメタン(50mL)で洗浄した。合したジクロロメタン層を飽和塩化ナトリウム溶液(50mL)と攪拌し、その有機層を分離し、もう1の体積の塩化ナトリウム溶液と再度攪拌した。乾燥(硫酸マグネシウム)および濾過した後に、溶媒を減圧下にて除去した。ジクロロメタン中の2%から4%のメタノールで溶出するシリカゲル上でクロマトグラフィーを行った。画分77ないし100を合し、遊離配位子が存在することを証明するためにジオキサン中の3回の少量の二塩化マンガン(0.053g、0.152gおよび0.53g)で45℃にて3日間にわたって処理した。最後の添加後に、反応混合物を一晩還流させた。室温に冷却し濾過した後に、溶媒を減圧下にて除去した。その残渣をジクロロメタン(50mL)に溶解し、飽和塩化ナトリウム水溶液と共に攪拌した。層を分離させ、溶媒を減圧下にて除去し、その残渣を99/1のジクロロメタン/メタノールで溶出するシリカ上のクロマトグラフィーによって精製して0.073g(0.129ミリモル、3.6%収率)を得た。
HRMS (エレクトロスプレー) (M+−Cl) C26H44035ClN6Mnとして
計算値 530.2697,
実測値 530.2709;
C26H44037CIN6Mnとして
計算値 532.2667,
実測値 532.2679.
【0140】
実施例12
化合物41の合成
[マンガン(II)ジクロロ−(4R,9R,14R,19R)−3,10,13,20,26−ペンタアザ−23−ベンジルオキシ−25−クロロテトラシクロ[20.3.1.04,9.014,19]ヘキサコサ−1(26),22(23),24−トリエン]
2Lの四口丸底フラスコ中で、N,N'−ビス{(1R,2R)−[2−(アミノ)]シクロヘキシル}−1,2−ジアミノエタン四塩酸塩(10.88g、27.22ミリモル)を無水エタノール(500mL)に懸濁し、粉末化した水酸化カリウム(6.94g、123.65ミリモル)を添加しつつ室温にて攪拌した。1時間後に、塩化マンガン(3.42g、27.2ミリモル)を添加し、その反応混合物を室温にて0.5時間攪拌した。3−ベンジルオキシ−5−クロロ=ピリジン=ジカルボキシアルデヒド(7.5g、27.2ミリモル)をエタノール(200mL)と共に添加し、反応混合物を一晩攪拌した。室温に冷却した後に、メタノール(175mL)を添加した。その反応混合物を約−5℃に冷却し、発泡を制御するようにホウ水素化ナトリウム(3.30g、87.2ミリモル)を少量づつ添加した。その反応混合物を一晩放置して室温に徐々に温めた。減圧下にて溶媒を除去した後に、粗製生成物を水(100mL)とジクロロメタン(300mL)との間に分配させた。その有機層を飽和塩化ナトリウム(2×80mL)で洗浄した。水性層はジクロロメタン(2×100mL)で洗浄した。合した有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させて濾過した。溶媒を減圧下にて除去した。徐々に(0.1%の増分で)96%のジクロロメタン/4%のメタノールまで変化するジクロロメタンで溶出するシリカ上のクロマトグラフィーにより、純粋な生成物(6.95g、11.13ミリモル、41.0%収率)を得た。
HRMS (エレクトロスプレー) (M+−Cl) C28H40MnN5035Cl2として
計算値 587.1990,
実測値 587.2000;
C28H40MnN5O37Cl2として
計算値 589.1961,
実測値 589.1983.
【0141】
実施例13
局所適用用の例示的処方

水中油型エマルジョン(重量%として)

SOD擬似物 0.25
50モルのエチレンオキシドでポリオキシエチレン化
したポリエチレングリコール 1.50
モノステアリン酸ジグリセリル 1.50
流動パラフィン 24.00
セチルアルコール 2.50
トリエタノールアミン pH7.0まで
水 100%バランス
【0142】
油中水型エマルジョン(重量%として)

SOD擬似物 0.25
セスキイソステアリン酸ポリグリセリル 4.0
白ミツロウ 0.5
ステアリン酸マグネシウム 1.5
ステアリン酸アルミニウム 1.0
(7モルのエチレンオキシドの)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 3.0
パルミチン酸イソプロピル 10.0
パーヒドロスクアレン 15.0
水 100%バランス
【0143】
実施例14
ラット脚カラギーナンモデルにおける痛覚脱失剤としての本発明のSOD擬似物
の使用
Institutional Animal Care and Use Committeeのガイドラインおよび実験動物健康に対するNIHガイドラインに従って雄性スプラーグ-ドーリーラット(170-200g、Harlan Sprague Dawley, Indianapolis, IN, USA)を飼育し、世話した。ラットに、右後脚にカラギーナン(0.85%の塩類溶液中の1%懸濁液0.1ml)を準脚裏注射した。脚体積は、カラギーナンを注射する直前にプレスチモメーター(Ugo-Basile, Varese, Italy)を用いて測定し、その後6時間まで1時間間隔で測定した。浮腫は、各動物についての注射前の値に比較したカラギーナン注射後の脚体積(ml)における増加として表した。薬剤は、カラギーナン注射の30分前または少なくとも3時間後に、2.5ml/kgの体積で静脈内(iv)投与した。熱に対する痛覚過敏応答は、Hargreavesの方法(Hargreavesら, 1988)によって同動物において決定した。ラットは、個別にプレキシガラス・チャンバーに30分間拘束し、順化させた。高強度プロジェクターバルブからなるモービルユニットを設置して、チャンバーの下側から個々の後脚に熱刺激を直接デリバリーした。注射および反対側の脚の引っ込み潜伏期(withdrawal latency)は、電子式クロック回路および熱電対を用いてほぼ0.1秒まで決定した。動物が20秒までに応答しなかった場合は試験を終了した。各点はカラギーナン注射の前に採った対照測定値と比較した引っ込み潜伏期における変化を表すであろう。ラットにおけるカラギーナンの脚底内注射は、脚体積における時間依存性の増大を引き起こし、痛覚過敏は3-6時間後に最大であった。図4−8に示すごとく、本発明の幾つかのSOD擬似物はカラギーナン阻止浮腫の注射の15分前に静脈内投与した。本発明のSOD擬似物を最大の痛覚過敏症の時点(すなわちカラギーナン後3時間)で治療的に投与すると、それは、下記表に示すごとく非常に迅速な作用の開始(作用の5分開始)で最高に痛覚過敏応答を阻害した。(SE=観察された心血管副作用、ND=測定せず):
【0144】
【表15】

【0145】
【表16】

【0146】
【表17】

【0147】
【表18】

【0148】
【表19】

【0149】
実施例15
マウスにおけるオピオイド耐性の予防における本発明のSOD擬似物の使用
雄性CD−1マウス(Charles River, 28−35グラム)を自由に食餌させた。マウスを、12時間明暗サイクルの温度制御された部屋で、ケージ当り5−7匹で飼育した。痛覚刺激閾値は、57℃に維持したホットプレート(Model 35, IITC Inc., Woodland Hills, CA)上の後脚回避潜伏期を比較することによって測定した。マウスを高さ25cm、直径15cmの透明なガラスシリンダーによって囲まれた加熱表面上に置いた。潜伏期応答は、後脚を間欠的に上げるかなめる時間として報告した。20秒の遮断潜伏期を用いて、非応答性動物における組織損傷を予防した。抗有害刺激(antinociception)の決定は、7:00から10:00AMの間に評価した。グループは7−14匹のマウスからなり、各動物を1の実験条件に用いた。3mg/kg攻撃用量のモルヒネに対する抗有害刺激応答が5日目に低下することによって明らかなごとく、4日間のモルヒネ(2×10mg/kg 日)の毎日2回の皮下注射によってマウスは耐性になった。天然マウスにおける3.0mg/kgのモルヒネに対する潜伏期は注射後50分で11−13秒の範囲であり、これを100%の最高抗有害刺激スコアに指定した。モルヒネはMallinckrodt(St. Louis)から得た。SOD擬似物を重炭酸ナトリウム(26mM、pH8.3)に溶解した以外は、薬物は塩類溶液に溶解した。注射体積は0.01mL/g体重とした。
【0150】
天然マウスの潜伏期(5.4±0.7秒)を0%痛覚脱失と表示した。3mg/kg体重を投与して3時間後の天然マウスの潜伏期を100%と表示した。後記表 IV投与および皮下投与を参照されたい。耐性マウスは、5日目(耐性が観察された時点)に測定して3mg/kgのモルヒネ後6.8±0.7秒の潜伏期を示した。5日目に、モルヒネの5分前(iv実験)または40分前(sc実験)にSOD擬似物(mg/kg)を注射し、抗有害刺激を50分後に測定した。9−20匹のマウスを各用量で用いた。本明細書中で下に掲載する表に示されるごとく、SOD擬似物は用量依存様式でモルヒネ痛覚脱失に対する耐性の発展を減じた(下記の表を参照されたい)。SOD擬似物は天然マウスにおいては抗有害刺激を誘起せず、これは、用いた用量においてそれらマウスがオピオイド様痛覚脱失のように行動しないことを示している。
【0151】
【表20】

【0152】
実施例16
内毒素血症ラットにおける難治性低血圧症の治療における本発明のSOD擬似物の使用
Institutional Animal Care and Use Committeeのガイドラインおよび実験動物健康に対するNIHガイドラインに従って雄性スプラーグ-ドーリーラット(175-200g、Harlan Sprague Dawley, Indianapolis, IN, USA)を飼育し、世話した。ラットをイナクチン(100mg/kg腹膜内)で麻酔した。気管をカニューレ挿入して呼吸を促進し、実験(9時間)の全時間パッドを加熱することによって体温を37℃に維持した。薬剤を投与するために、左大腿深静脈にカニューレを挿入した。30分の安定期間の後に、イー・コリ(E.coli)からのリポ多糖(LPS;4mg/kg、血清型0111:B4)を0.3mlの体積でボーラス静脈内(iv)注射として投与し、平均動脈圧/心拍を9時間モニターした。対照動物には、同体積かつ同経路で等張塩類溶液を与えた。LPS投与から1、3または5時間後に、SOD擬似物またはビヒクル(26mMの重炭酸ナトリウム緩衝液、pH8.3)を6時間の期間注入した。
【0153】
LPS(4mg/kg、血清型0111:B4)は高い死亡率(9時間において99±5%死亡率、n=10)に関連する血圧における大きな低下を誘導した。0.25mg/kgで化合物Aを投与すると、低血圧症の進展が予防され(図1を参照されたい)、死亡率が大きく低下した(9時間において20%死亡率、n=10)。化合物25(0.075mg/kg/h)をLPS投与後3時間に実験プロトコールの時間iv注入として投与した。低血圧症のさらなる進展(図2を参照されたい)および死亡率は完全に予防された(9時間において0%死亡率、n=10)。同様な結果は化合物31で得られた(図3を参照されたし)。したがって、本発明の化合物を用いた場合には、より少ないSOD擬似物で改善された結果が得られた。
【0154】
実施例17
カラギーナン誘導胸膜炎モデルにおける抗炎症剤としての本発明のSOD擬似物の使用
雄性スプラーグ−ドーリーラット(300−350g;Charles River;Milan;Italy)を制御された環境下で飼育し、標準的なげっ歯類の餌および水を与えた。動物の世話は、実験および他の科学目的用に用いる動物の保護に対するイタリア規則(D.M.116192)ならびにEEC規則(O. J of E.C. L 358/1 12/18/1986)に従った。ラットをイソフルランで麻酔し、左第6肋間空間のレベルで皮膚切除を行った。横たわる筋肉を切除し、塩類溶液(0.2ml)または1%のλ-カラギーナンを含有する塩類溶液(0.2ml)を胸膜腔に注射した。皮膚切除を縫合術で閉じ、動物を回復させた。化合物16、化合物31および化合物25(示すごとく.5-20mg/kg)または等体積(0.3ml)のビヒクル(26mMの重炭酸ナトリウム緩衝液、pH8.1-8.3)をカラギーナンの15分間に腹膜内投与(i.p.)注射した。カラギーナンを注射して4時間後に、COの吸入によって動物を殺した。胸を注意深く開き、胸膜腔をヘパリン(5U/ml)およびインドメタシン(10μg/ml)を含有する2mlの塩類溶液で濯いだ。滲出物および洗浄液を吸引によって除去し、合計体積を測定した。血液が混入したいずれの滲出物も破棄した。滲出物の量は、回収した合計体積から注射した体積(2ml)を差し引くことによって計算した。滲出物中の白血球をリン酸緩衝液セーライン(PBS)中に懸濁し、生トリパンブルー染色後にBurkerのチャンバー中で光学顕微鏡でカウントした。肺組織ミエロペルオキシダーゼ活性およびマロンジアルデヒドを測定した。ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性、好中球のアズロフィル顆粒中に位置するヘムタンパク質は、組織への好中球浸潤の生化学的マーカーとして用いられている(Bradleyら, 1982)。本実験においては、MPOを以前に記載されたものと同様な方法によって測光的に測定した(Laightら, 1994)。カラギーナンを胸膜内注射して4時間後に、肺組織を得て計量した。組織の各片を10mMのリン酸カリウム緩衝液に溶解した0.5%の臭化ヘキサドデシル−トリメチルアンモニウム(pH7)中でホモジナイズし、4℃、20,000×gにて30分間遠心した。ついで、上清のアリコットをテトラメチルベンジリジン(1.6mM)および0.1mMのHの溶液と反応させた。吸収における変化の比率を650nmにて分光測定法で測定した。MPO活性は37℃にて1マイクロモルの過酸化物を分解する酵素の量として定義し、湿組織100mg当りのミリユニットとして表した。肺組織中のマロンジアルデヒド(MDA)レベルを、脂質過酸化のインジケーターとして決定した(Okhawaら, 1979)。特定の時間に収集した肺組織を1.15%のKCl溶液中でホモジナイズした。ホモジネートのアリコット(100μl)を、200μlの8.1%のSDS、1500μlの20%の酢酸(pH3.5)、1500μlの0.8%のチオバルビツール酸および700μlの蒸留水を含有する反応混合物に添加した。ついで、試料を95℃にて1時間煮沸し、3,000×gにて10分間遠心した。上清の吸光度を650nmで分光測定法で測定した。
【0155】
ラットの胸膜腔におけるカラギーナンの注射は:多数の好中球(PMN)を含む胸膜腔における流体の蓄積、(肺組織におけるミエロペルオキシダーゼ(MPO)を測定する)肺組織におけるPMNの浸潤および(肺組織におけるマロンジアルデヒド(MDA)のレベルを測定する)肺組織における膜の脂質過酸化、ならびに誘導形の一酸化窒素合成酵素の誘導、によって特徴付けられる急性炎症応答を誘起した。ラットを化合物16、化合物31および化合物25で処理すると(示したごとく、カラギーナンの15分前、腹膜内注射、i.p.によって投与する.5−20mg/kg)、炎症のすべてのパラメータを緩和した。その結果を下記の表に掲載する。
【0156】
【表21】

【0157】
【表22】

【0158】
さらに、化合物Aを示す投与量で投与した場合に下記の表に掲載する結果が得られた。前記に掲載した化合物Aは、この胸膜炎モデルで試験したSOD擬似物の親非置換型化合物である。このデータは、本発明の3のSOD擬似物がすべて、親非置換型化合物Aよりも良好な抗炎症作用を示すことを実証している。
【0159】
【表23】

【0160】
実施例18
生イー・コリ(E.coli)誘導ショックのラットモデルにおける腐敗性ショックに関連する低血圧症の予防における本発明のSDS擬似物の使用
腐敗性ショックは、長期にわたり機器を備え付けたラットに生イー・コリ(E.coli)細菌(1010)を注射することによって誘導した。これは、24時間以内に動物の>90%の死亡率に通じる平均動脈圧(MAP)における進行性で時間依存性の低下を引き起こす(MAPは、細菌前の基底125mmHgから6時間までに75mmHgまで、24時間までに25mmHgまで低下する)。化合物25、化合物3および化合物28を0.25mg/kg(合計用量=1.5mg/kg)で6時間注入した:注入は生イー・コリ注射から3時間後に開始し、全ラットがショックの徴候を示した時点である。さらに、化合物Aを生イー・コリ注射から3時間後に0.075または0.25mg/kg/hのいずれかで合計6時間注入した。対照として、生イー・コリ注射から3時間後に塩類溶液をラットに合計6時間投与した。ラットは、その時間の間にMAPを測定する24時間モニターした。さらに、心拍も化合物Aで治療したラットにおいてモニターした。全ての動物に、生イー・コリを投与してから30分後および9時間後に抗生物質を与えた。
【0161】
化合物25、化合物3および化合物28は、実験の過程全体を通してMAPにおける低下を完全に予防した(24時間におけるMAPは約125mmHgであり、これは基底値と同様である)。さらに、図9aおよび9bは塩類溶液注入の流体回復が、実験の最初の9時間にわたる対照ラットのMAPにおける低下を予防するのに十分であったことを示している。しかしながら、この注入を停止した直後にこれらのラットのMAPは鋭利に低下し、24時間までに77%の死亡率が生じた。逆に、25mg/Kg/hで化合物Aで処理したラット(図9a)はMAPにおけるこれらの低下に対して保護され、24時間までに顕著に低い死亡率を有していた。したがって、本発明のSOD擬似物でのラットの処理は、敗血性ショックと関連する低血圧を完全に予防した。
【0162】
本発明の好ましい具体例の前記の記載は、例示および説明の目的で示されている。それらは本発明を開示した正確な形態を消耗することを意図するものではなく、前記教示の見地から多くの改良および変形が可能である。当業者に明らかとなり得るかかる修飾および変形は、本発明の範囲内に存在することが意図される。また、本発明のSOD擬似物といずれかの痛覚脱失剤または抗炎症剤の組合せが望ましく、相乗効果を示しそうなことも当業者に明らかである。
前記の観点から、本発明の幾つかの目的が達成され、他の有利な結果が獲得されることが示されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】

{式中、大環の窒素およびそれが結合する2の隣接する炭素原子は、独立して、2ないし20の炭素原子を有する置換型不飽和含窒複素環Wを形成し、それは、複素環および大環の両方の一部分である窒素に結合した水素ならびに複素環および大環の両方の一部分である炭素原子に結合したR基が存在しない場合には、芳香族複素環となり得;
R、R、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、RおよびR'は、独立して、水素、または置換型もしくは非置換型のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルシクロアルキル、シクロアルケニルアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロアルケニル、アルケニルシクロアルキル、アルケニルシクロアルケニル、複素環、アリールおよびアラルキル基を表し;
所望により、RもしくはR'とRもしくはR'、RもしくはR'とRもしくはR'、RもしくはR'とRもしくはR'、またはRもしくはR'とRもしくはR'の1またはそれを超えるものは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、独立して、2ないし20の炭素原子を有する置換型または非置換型の含窒複素環を形成し得、それは、複素環および大環の両方の一部分である窒素に結合した水素ならびに複素環および大環の両方の一部分である炭素原子に結合したR基が存在しない場合には、芳香族複素環となり得;
所望により、RおよびR'、RおよびR'、RおよびR'、RおよびR'、RおよびR'、RおよびR'、RおよびR'、ならびにRおよびR'の1またはそれを超えるものは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、独立して、3ないし20の炭素原子を有する飽和、部分飽和または不飽和の環式または複素環を形成し得;
所望により、R、R、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、RおよびR'の1は、大環配位子中の異なる炭素原子に結合したR、R、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、RおよびR'の異なる1と一緒になって結合して、式:
−(CH−M−(CH−L−(CH−J−(CH
[ここに、w、x、yおよびzは、独立して、0ないし10の整数であって、M、LおよびJは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルカリル、アルクヘテロアリール、アザ、アミド、アンモニウム、オキサ、チア、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、ホスホリル、ホスフィニル、ホスフィノ、ホスホニウム、ケト、エステル、アルコール、カルバマート、尿素、チオカルボニル、ボラート、ボラン、ボラザ、シリル、シロキシ、シラザおよびそれらの組合せよりなる群から選択される]
によって表されるストラップを形成し得;
ならびに前記いずれかの組合せであり;
Mはマンガンおよび鉄よりなる群から選択される遷移金属のカチオンであり;ならびに
X、YおよびZは、いずれかの単座または多座配位子または配位子系由来の好適な配位子または荷電中和アニオンあるいはそれらの対応するアニオンを表す}
を有するスーパーオキシドを不均化する触媒。
【請求項2】
さらに、式:
【化2】

[式中、UおよびVは3ないし20の炭素原子を含む飽和環式構造であって、それらが結合する大環の炭素原子とシクロアルキル環を形成する]
によって記載される請求項1記載の触媒。
【請求項3】
UおよびVが4ないし10の炭素原子を含む飽和環式構造であって、それらが結合する大環の炭素原子とシクロアルキル環を形成する請求項2記載の触媒。
【請求項4】
UおよびVがtrans−シクロヘキサニル縮合環である請求項2記載の触媒。
【請求項5】
Wが置換型ピリジノ基である請求項2記載の触媒。
【請求項6】
UおよびVがtrans−シクロヘキサニル縮合環であって、Wが置換型ピリジノ基である請求項2記載の触媒。
【請求項7】
Wがシクロヘキシルおよびベンジルオキシよりなる群から選択される1ないし3の置換基を有する置換型ピリジノ基である請求項2記載の触媒。
【請求項8】
Wがアルキル(2−チオ酢酸)エステルおよびアリール(2−チオ酢酸)エステルよりなる群から選択される1ないし3の置換基を有する置換型ピリジノ基である請求項2記載の触媒。
【請求項9】
Wがヒドロキシルアルキルチオ、メトキシアリールチオ、およびアルコキシカルボニルアリールチオよりなる群から選択される1ないし3の置換基を有する置換型ピリジノ基である請求項2記載の触媒。
【請求項10】
化合物1、3、4、7、10、13、14、15、16、25、28、31および42よりなる群から選択される請求項1記載の触媒。
【請求項11】
以下の式:
【化3】

[式中、大環の窒素およびそれが結合する2の隣接する炭素原子は、独立して、2ないし20の炭素原子を有する置換型不飽和含窒複素環Wを形成し、それは、複素環および大環の両方の一部分である窒素に結合する水素ならびに複素環および大環の両方の一部分である炭素原子に結合するR基が存在しない場合には、芳香族複素環となり得;
R、R、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、RおよびR'は、独立して、水素、または置換型もしくは非置換型のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルシクロアルキル、シクロアルケニルアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロアルケニル、アルケニルシクロアルキル、アルケニルシクロアルケニル、複素環、アリールおよびアラルキル基を表し;
所望により、RもしくはR'とRもしくはR'、RもしくはR'とRもしくはR'、RもしくはR'とRもしくはR'、またはRもしくはR'とRもしくはR'の1またはそれを超えるものは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、独立して、2ないし20の炭素原子を有する置換型または非置換型の含窒複素環を形成し得、それは、複素環および大環の両方の一部分である窒素に結合した水素ならびに複素環および大環の両方の一部分である炭素原子に結合したR基が存在しない場合には、芳香族複素環となり得;
所望により、RおよびR'、RおよびR'、RおよびR'、RおよびR'、RおよびR'、RおよびR'、RおよびR'、ならびにRおよびR'の1またはそれを超えるものは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、独立して、3ないし20の炭素原子を有する飽和、部分飽和または不飽和の環式または複素環を形成し;
所望により、R、R、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、RおよびR'の1は、大環配位子中の異なる炭素原子に結合したR、R、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、RおよびR'の異なる1と一緒になって結合して、式:
−(CH−M−(CH−L−(CH−J−(CH
[ここに、w、x、yおよびzは、独立して、0ないし10の整数であって、M、LおよびJは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルカリル、アルクヘテロアリール、アザ、アミド、アンモニウム、オキサ、チア、スルホニル、スルフィニル、スルホンアミド、ホスホリル、ホスフィニル、ホスフィノ、ホスホニウム、ケト、エステル、アルコール、カルバマート、尿素、チオカルボニル、ボラート、ボラン、ボラザ、シリル、シロキシ、シラザおよびそれらの組合せよりなる群から選択される]
によって表されるストラップを形成し得;
ならびに前記いずれかの組合せである]
を有する大環有機配位子。
【請求項12】
さらに、式:
【化4】

[式中、UおよびVは3ないし20の炭素原子を含む飽和環式構造であって、それらが結合する大環の炭素原子とシクロアルキル環を形成する]
によって記載される請求項11記載の配位子。
【請求項13】
UおよびVが4ないし10の炭素原子を含む飽和環式構造であって、それらが結合する大環の炭素原子とシクロアルキル環を形成する請求項12記載の配位子。
【請求項14】
UおよびVがtrans−シクロヘキサニル縮合環である請求項12記載の配位子。
【請求項15】
Wが置換型ピリジノ基である請求項12記載の配位子。
【請求項16】
UおよびVがtrans−シクロヘキサニル縮合環であって、Wが置換型ピリジノ基である請求項12記載の配位子。
【請求項17】
Wがシクロヘキシルおよびベンジルオキシよりなる群から選択される少なくとも1の置換基を有する置換型ピリジノ基である請求項12記載の配位子。
【請求項18】
Wがアルキル(2−チオ酢酸)エステルおよびアリール(2−チオ酢酸)エステルよりなる群から選択される少なくとも1の置換基を有する置換型ピリジノ基である請求項12記載の配位子。
【請求項19】
Wがヒドロキシルアルキルチオ、メトキシアリールチオ、およびアルコキシカルボニルアリールチオよりなる群から選択される少なくとも1の置換基を有する置換型ピリジノ基である請求項12記載の配位子。
【請求項20】
化合物1、3、4、7、10、13、14、15、16、25、28、31および42の前駆体配位子よりなる群から選択される請求項11記載の配位子。
【請求項21】
請求項1記載の触媒および医薬上許容し得る担体を含む医薬組成物。
【請求項22】
局所適用用に処方化された請求項21記載の医薬組成物。
【請求項23】
非経口投与用に処方化された請求項21記載の医薬組成物。
【請求項24】
請求項2記載の触媒および医薬上許容し得る担体を含む医薬組成物。
【請求項25】
局所適用用に処方化された請求項24記載の医薬組成物。
【請求項26】
非経口用に処方化された請求項24記載の医薬組成物。
【請求項27】
請求項1記載の化合物をスーパーオキシドアニオンを含む水性環境に添加することを含むスーパーオキシドアニオンを不均化する方法。
【請求項28】
スーパーオキシド濃度が該水性環境内で低下する請求項27記載の方法。
【請求項29】
当該予防または治療を必要とする対象に治療、予防、病理または回復有効量の請求項1記載の少なくとも1の化合物を投与することを含む、スーパーオキシドアニオンが関り合う疾患または障害を予防または治療する方法。
【請求項30】
該疾患または障害が、虚血心筋に対する再灌流傷害、一般的炎症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、慢性関節リューマチ、骨関節症、高血圧症、乾癬、器官移植拒絶反応、器官保存、放射性誘導傷害、血小板凝集、卒中、自己免疫疾患、難治性低血圧症、成人呼吸窮迫症候群、発癌、抗−腫瘍、抗−転移、ブドウ膜炎、重篤な慢性疼痛、オピオイド耐性の反転、痛覚過敏症および腐敗症よりなる群から選択される請求項29記載の方法。
【請求項31】
当該予防または治療を必要とする対象に、治療、予防、病理または回復有効量の少なくとも1の請求項1記載の化合物を投与することを含む、スーパーオキシドアニオンが関り合う放射性または化学的傷害を予防または治療する方法。
【請求項32】
該傷害がUV光、アルファ粒子、ガンマ線、陽子放射および化学剤よりなる因子の群に対する曝露によって引き起こされる請求項31記載の方法。
【請求項33】
該疾患または障害が、虚血再灌流傷害、炎症、痛覚過敏症、腐敗症、難治性低血圧症、卒中、オピオイド耐性の反転、および高血圧症よりなる群から選択される請求項29記載の方法。
【請求項34】
a)式:
【化5】

[式中、Wは複素環中の6の原子および大環の一員である置換型の反対側の窒素よりなる芳香族含窒複素環である]
で示される化合物とハロゲン化物を準備し;
b)求核試薬をa)における化合物に添加し;ついで
c)反応が完了するまで反応混合物を攪拌することを含む、遷移金属イオンと配位子とのキレート化錯体を維持しつつ、式:
【化6】

[式中、Wは複素環中の6の原子および求核原子を有する大環の一員である置換型の反対側の窒素よりなる芳香族含窒複素環であって、R、R、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、R、R'、RおよびR'は請求項1の定義に同じである]
を有する請求項1記載の化合物を合成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−97097(P2012−97097A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−269121(P2011−269121)
【出願日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【分割の表示】特願2001−523400(P2001−523400)の分割
【原出願日】平成12年9月14日(2000.9.14)
【出願人】(590004567)フアルマシア・コーポレーシヨン (4)
【復代理人】
【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆
【復代理人】
【識別番号】100156122
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 剛
【Fターム(参考)】