説明

ズームレンズ

【課題】投光用のライトの配置スペースを確保して小型化できること。
【解決手段】ズームレンズ100は、少なくとも1群と2群の移動するレンズ群を備える。このズームレンズ100は、各群のレンズを保持するレンズ保持枠をそれぞれ光軸方向に移動させるものであり、移動させるレンズ保持枠との係合部の作動可能範囲がほぼ重なるよう光軸に対し並列に配置される複数のモータ111,112、リードスクリュー121,122と、前記複数のうち1群のレンズのレンズ保持枠に設けられ、光軸方向に沿って所定長さを有してリードスクリュー121に係合する延出部と、各部を収容する鏡筒101の前面に突出して設けられ、移動するレンズ保持枠を収容する筒部102と、鏡筒101の筒部102の周囲に配置される円環状の投光部103と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ズームレンズに関し、特に、小型化できるズームレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
ズームレンズは、フォーカス/ズームモーターのリードスクリューとキャリッジによりレンズ群(レンズ枠)を光軸方向に移動させている。レンズ群は複数のレンズ群構成となっている。これらのレンズ枠を光軸方向に移動させてズームおよびフォーカス制御するようになっている。
【0003】
ズームレンズが組み込まれる撮像装置の一例として監視カメラがある。このような監視カメラには、LED等の投光部が設けられて夜間監視がおこなえるようになっており、投光部およびズームレンズがドーム等のカバーに収容される構成となっている(たとえば、下記特許文献1〜3参照)。
【0004】
図7−1は、従来のズームレンズの構造を示す平面図である。このズームレンズ1500は、2群構成(1群フォーカス、2群ズーム)であり、1群(フォーカス)用のモータ1501と、2群(ズーム)用のモータ1502の配置を互いに逆に向けて配置している。1群用のモータ1501は、リードスクリュー1511を介して1群レンズ1521を光軸方向に移動させ、2群用のモータ1502は、リードスクリュー1512を介して2群レンズ1522を光軸方向に移動させる。なお、1群レンズ1521と、2群レンズ1522は、それぞれレンズ枠(図示略)に保持され、このレンズ枠がリードスクリュー1511,1512に連結されている。図中Aは、ズームレンズ1500に対する入射光線を示す角度範囲である。
【0005】
図7−2は、従来のズームレンズの各群の作動可能範囲を示す平面図である。1群レンズ1521の作動可能範囲W1と、2群レンズ1522の作動可能範囲W2を示した。図示のように、1群レンズ1521の作動可能範囲W1と、2群レンズ1522の作動可能範囲W2は、一部が重なるが、それぞれ異なる範囲で1群レンズ1521と2群レンズ1522を作動させるために、図7−1に示したように、1群用のモータ1501と、2群用のモータ1502を互い違いに配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−145004号公報
【特許文献2】特開2004−159253号公報
【特許文献3】特開2005−136800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の構成では、LEDライト等の配置スペースを確保しにくく、ズームレンズ全体が大型化した。図8は、従来のズームレンズに投光部を設けた状態を示す平面図である。図7−1に示す構成のズームレンズ1500の前面にLEDライト1530を配置しようとすると、図8に示すように、入射光線が遮られてしまう。LEDライト1530は、円環状に形成されているが、ズームレンズ1500程度の外径とすると、上述した入射光線の角度範囲Aが狭くなってしまい、入射光線を遮るという問題が生じる。この入射光線の角度範囲Aは、ズームレンズ1500を広角端にしたときに最も角度が広くなる。
【0008】
このため、図9−1に示す、LEDライトを設けた従来のズームレンズの正面図、および図9−2の平面図に示すように、設計時には、ズームレンズ1500が広角端のときに最大となる角度範囲Aの入射光線を遮らないようにLEDライト1530の配置を考慮する。具体的には、LEDライト1530をズームレンズ1500の前面から内側に入り込む位置に配置しなければならない。この場合、円環状のLEDライト1530は、ズームレンズ1500の外径より大きな内径となる。LEDライト1530が設けられる位置には、ズームレンズ1500の一方のモータ1502が位置しており、LEDライト1530の内径は、モータ1502の位置より外部に位置させるために、大きくなった。これにより、LEDライト1530を備えたズームレンズ1500全体が大型化してしまう。
【0009】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、投光用のライトの配置スペースを確保して小型化できるズームレンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明に係るズームレンズは、少なくとも1群と2群の移動するレンズ群を備えたズームレンズにおいて、前記各群のレンズを保持するレンズ保持枠をそれぞれ光軸方向に移動させるものであり、移動させる前記レンズ保持枠との係合部の作動可能範囲がほぼ重なるよう光軸に対し並列に配置される複数の駆動手段と、前記複数のうち1群のレンズの前記レンズ保持枠に設けられ、光軸方向に沿って所定長さを有して前記駆動手段に係合する延出部と、各部を収容する鏡筒の前面に突出して設けられ、移動する前記レンズ保持枠を収容する筒部と、前記鏡筒の前記筒部の周囲に配置される円環状の投光部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、前記延出部は、前記複数のうち被写体側に配置される1群のレンズの前記レンズ保持枠に設けられ、該レンズ保持枠が前記駆動手段と係合する位置よりも前記1群のレンズを被写体側に配置させるように光軸方向に沿って所定長さを有していることを特徴とする。
【0012】
また、前記駆動手段は、モータと、当該モータに連結され前記レンズ保持枠に係合するリードスクリューと、を含み、前記モータは、前記光軸に対し同一方向に向けて配置されたことを特徴とする。
【0013】
また、前記駆動手段は、前記光軸方向において、前記モータが前記リードスクリューの結像面側に配置されたことを特徴とする。
【0014】
また、前記延出部は、前記レンズの径方向において、前記駆動手段が前記鏡筒に固設される位置と前記1群のレンズが配置される位置との間に配設されることを特徴とする。
【0015】
また、前記鏡筒は、前記筒部の外周面に、前記レンズの径方向において前記駆動手段が固設される部分よりも光軸側へ段状に変化する段部を有し、前記投光部は、前記段部に配置され、前記1群のレンズは、前記筒部の内周部において、光軸に沿って移動可能に配設されることを特徴とする。
【0016】
また、前記鏡筒は、円環状の前記投光部の形状内に収まるように角部を落とした形状であり、当該角部を落とした箇所に前記駆動手段が配置されたことを特徴とする。
【0017】
また、前記駆動手段は、前記リードスクリューと並行に配置された並行板部と、該並行板部の両端にて前記並行板部に垂直に配置された垂直板部とを有する支持板を備えており、前記鏡筒は、前記角部を落とした箇所が前記光軸直交方向に対して傾斜した傾斜面で形成され、該傾斜面に前記支持板の前記並行板部が配置されていることを特徴とする。
【0018】
また、前記投光部は、前記各群のレンズが広角端に位置するときに、前記筒部からの入射光線の角度範囲を遮らない位置に配置されたことを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、駆動手段はレンズ保持枠との係合部を光軸方向に移動させる作動可能範囲がほぼ重なるよう光軸に対し並列に配置されているため、光軸方向の奥行きを小型化できる。また、1群のレンズの移動範囲は、延出部の長さ分だけ物体側に位置するため、1群のレンズと2群のレンズの干渉を防止できる。さらに、鏡筒の筒部の径は、1群のレンズ保持枠を収容する程度で良いため、小径にでき、筒部の周囲に投光部を配置するスペースを確保することができ、前面からみた幅および高さの小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るズームレンズによれば、投光用のライトの配置スペースを確保して小型化できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明に係る実施の形態のズームレンズを示す斜視図である。
【図2】この発明に係るズームレンズの各群の作動可能範囲を示す平面図である。
【図3】この発明に係るズームレンズの内部構造を示す側断面図である。
【図4】1群レンズの駆動手段を示す斜視図である。
【図5】ズームレンズにLEDライトを取り付けた状態を示す平面図である。
【図6】この発明に係る他の実施の形態のズームレンズを示す正面図である。
【図7−1】従来のズームレンズの構造を示す平面図である。
【図7−2】従来のズームレンズの各群の作動可能範囲を示す平面図である。
【図8】従来のズームレンズに投光部を設けた状態を示す平面図である。
【図9−1】LEDライトを設けた従来のズームレンズの正面図である。
【図9−2】LEDライトを設けた従来のズームレンズの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態1)
以下に添付図面を参照して、この発明に係るズームレンズの好適な実施の形態を説明する。このズームレンズは、たとえば監視カメラ等に設けることができる。
【0023】
(ズームレンズの構成)
図1は、この発明に係る実施の形態のズームレンズを示す斜視図である。このズームレンズ100は、四角形状の鏡筒101の前面(物体側)に小径な筒部102が設けられ、この筒部102の周囲に円環状の投光部(LEDライト)103が設けられている。LEDライト103の外径は、鏡筒101の径(縦、横の幅)程度とされている。また、鏡筒101から突出する筒部102の突出量程度の奥行きを有している。
【0024】
LEDライト103は、前面に複数のLED103aが所定間隔毎に設けられており、夜間等の点灯制御時には、ズームレンズ100前面を照射し、ズームレンズ100による撮像時の明るさを確保する。撮像時の光線が入射する筒部102に対し、周囲に円環状にLEDライト103を設けることにより、撮像する対象を均一に照射し、良好に撮像できる。
【0025】
後述するが、ズームレンズ100内部には、1群レンズおよび2群レンズが設けられている。1群レンズは、1群用のモータ111およびリードスクリュー121を介して光軸方向(図中X軸)に移動する。同様に、2群レンズは、2群用のモータ112およびリードスクリュー122を介して光軸方向(図中X軸)に移動する。このズームレンズ100は、1群レンズがフォーカス用であり、2群レンズがズーム用である。
【0026】
そして、1群用のモータ111と2群用のモータ112は、いずれも同じ向きで配置されている。図1に示す例では、これら1群用のモータ111と2群用のモータ112は、光軸方向において、背面(結像面側)に設けられており、その手前にリードスクリュー121,122がいずれも前方を向いて設けられている。
【0027】
(ズームレンズの作動可能範囲)
図2は、この発明に係るズームレンズの各群の作動可能範囲を示す平面図である。LEDライト103部分は取り外した状態である。1群レンズの作動可能範囲W1と、2群レンズの作動可能範囲W2を示した。この作動可能範囲W1,W2は、いずれもリードスクリュー121,122部分での作動可能範囲である。
【0028】
図示のように、1群レンズの作動可能範囲W1と、2群レンズの作動可能範囲W2は重なり、ほぼ同一範囲である(詳細は図3を用いて説明する)。これにより、鏡筒101の奥行きは、1個のモータ111とリードスクリュー121を合わせた長さ分で済み、小型化することができる。また、1群用のモータ111と、2群用のモータ112がいずれも背面(像側)に位置しているため、鏡筒101の前面(対物側)にモータが位置せず、鏡筒101の前面側にモータが位置することによる不要な突起をなくすことができる。
【0029】
図3は、この発明に係るズームレンズの内部構造を示す側断面図である。(a),(b)を用いて、1群レンズ201と、2群レンズ202の作動可能範囲を説明する。(a)は、広角端における位置、(b)は、望遠端における位置である。
【0030】
1群レンズ201および2群レンズ202は、それぞれ複数枚のレンズで構成されており、1群レンズ201は、レンズ保持枠211に保持されている。このレンズ保持枠211は、複数のスライド軸221と、リードスクリュー121によって光軸方向にスライド自在に保持されている。そして、リードスクリュー121端部に設けられた1群用のモータ111によって光軸方向に移動する。1群レンズの作動可能範囲は図中W1である。
【0031】
また、2群レンズ202は、レンズ保持枠212に保持されている。このレンズ保持枠212についても、同様に、複数のスライド軸222と、リードスクリュー122によって光軸方向にスライド自在に保持されている。そして、リードスクリュー122端部に設けられた2群用のモータ112によって光軸方向に移動する。2群レンズの作動可能範囲は図中W2である。
【0032】
このように、1群レンズ201の駆動手段である1群用のモータ111と、リードスクリュー121と、2群レンズ202の駆動手段である2群用のモータ112と、リードスクリュー122の作動可能範囲は重なり(厳密にはW1内にW2が含まれる)、光軸方向に対しこれら2つの駆動手段は並列に配置されている。
【0033】
図4は、1群レンズの駆動手段を示す斜視図である。1群レンズ201のレンズ保持枠211は、両側に一対の延出板241が光軸方向に沿って所定長さ設けられている。延出板241は、鏡筒101の筒部102の内周面に摺接する。そして、この延出板241は、前端に1群レンズ201を保持し、後端には係合ブロック251,261がそれぞれ設けられ、一対のスライド軸221にそれぞれ係合保持される。
【0034】
係合ブロック261は、スライド軸221に保持されるとともに、リードスクリュー121に係合(螺合)するネジ部(不図示)を備えた係合部271を備えている。リードスクリュー121は、支持板281によって回転自在に支持されている。支持板281は、リードスクリュー121と並行な並行板281aと、並行板281aの両端に垂直(光軸に対し直交する方向)に折曲して設けられ、リードスクリュー121を軸支する一対の垂直板281bとを有する。結像面側の垂直板281bには1群用のモータ111が固定され、この1群用のモータ111の回転軸はリードスクリュー121に連結される。
【0035】
これにより、1群用のモータ111の回転駆動により、リードスクリュー121が回転し、リードスクリュー121に係合している1群のレンズ保持枠211が光軸方向にスライド可能である。このように、延出板241は、光軸方向に沿って所定長さを有し、レンズ保持枠211が駆動手段(リードスクリュー121)と係合する位置よりも1群レンズ201を被写体側に配置させる。また、延出板241は、レンズの径方向において、駆動手段であるモータ111、リードスクリュー121が鏡筒101に固設される位置と、1群レンズ201が配置される位置との間に配設されている。
【0036】
なお、図示は省略するが、2群レンズ202の駆動手段についても、1群レンズ201(図4)同様の構成とされ、光軸方向に移動自在である。ここで、1群レンズ201の駆動手段には、光軸方向に所定の長さを有する延出板241が設けられているが、2群レンズ202の駆動手段には、この延出板241に相当するものを設けない。これにより、1群レンズ201と、2群レンズ202のリードスクリュー121,122の長さ相当の作動可能範囲は、図2に示すように重なっているが、1群レンズ201は、延出板241の光軸方向の長さ分だけ鏡筒101の前方(物体側)の位置の移動範囲で移動することになり、1群レンズ201の繰り出し量を稼ぐことができ、また、2群レンズ202との干渉を避けることができる。
【0037】
(LEDライトの配置構成)
図5は、ズームレンズにLEDライトを取り付けた状態を示す平面図である。上述した鏡筒101の前方の筒部102に円環状のLEDライト103が取り付けられる。LEDライト103は、前方(物体側)に向けて円周状に複数のLED103aが設けられている。
【0038】
図5に示すように、上記構成のズームレンズ100では、鏡筒101の外周面にレンズの径方向において、駆動手段であるモータ111,112等が固設される部分よりも小径に形成され、段部として形成された筒部102の部分にLEDライト103が取り付けられる。これにより、LEDライト103を鏡筒101の外径程度にでき、鏡筒101よりも突出することがなく、小型化を達成できる。また、1群レンズ201は、筒部102の内周部に、光軸に沿って移動可能に配設される。このように、筒部102は、内部に1群レンズ201が移動するスペースを設けるだけで良いため、小径に形成でき、その分、LEDライト103を設けるスペースを確保できるようになる。
【0039】
また、LED103aの位置について、ズームレンズ100が広角端のとき(図3(a))、入射光線の入射角が図中Aで示す角度範囲となり、最も広くなる。設計時には、広角端のときに鏡筒101、およびLEDライト103により、入射光線が遮られないようにLEDライト103の位置を決定する。図5に示す状態で、ズームレンズ100が広角端のとき、LED103aの位置は1群レンズ201よりも像側に位置しており、角度範囲A全ての入射光線が1群レンズ201に入射できる。
【0040】
上記実施の形態では、望遠端のとき(図3(b))、LED103aの位置が1群レンズ201よりも物体側に位置する状態となる。しかし、この望遠端では入射光線の入射角が狭いため、LEDライト103によって入射光線が遮られることはない。
【0041】
(ズームレンズの他の構成例)
図6は、この発明に係る他の実施の形態のズームレンズを示す正面図である。図6に示すズームレンズ100は、鏡筒101の形状を多角形にしたものである。組み込まれるカメラ側のサイズに応じてズームレンズ100の鏡筒101の外形寸法(円環状の直径)が規定され、これにあわせて鏡筒101内に収容されるレンズの径が決まる。このように、限られたスペースに鏡筒100およびレンズを収容するためには、鏡筒101の不要な突起を省き、たとえば、図6に示すように駆動手段(モータ111,112およびリードスクリュー121,122)を固設したときの鏡筒101の外周形状を略円環状(図6では正確には8角形)に形成する。
【0042】
角部を落とした部分のうち2つの角部分には、モータ111,112およびリードスクリュー121,122が設けられる。図6に示すように、角部を落とした斜めの辺(傾斜面)101aの部分に、駆動手段である支持板281の並行板281aを配置する。図6に示すように、鏡筒101は多角形にするに限らず、円形状に形成することもできる。
【0043】
このような、ズームレンズ100は、不要な4隅の突出部分をなくすことができ、カメラの小型化を図ることができる。また、監視カメラに組み込まれる際に、前面に設けられる半球状のドームに対し、角部分が接触することがなく、ドーム内に効率よく収めることができるようになる。
【0044】
上述した実施の形態では、レンズ群を2群構成とし、各群の駆動手段を光軸方向に対し並列に配置する構成としたが、3群以上の複数群の構成においても、同様に各群の駆動手段を光軸方向に対し並列に配置する構成にできる。この場合、たとえば1群のレンズ枠には上述した光軸方向の前面(物体側)に延出板を延ばして形成し、3群のレンズ枠には光軸方向の背面(像側)に延出板を延ばして形成すれば、それぞれのレンズ枠の移動位置を確保することができる。
【0045】
以上説明した実施の形態によれば、駆動手段のリードスクリューは、レンズ保持枠を光軸方向に移動させる作動可能範囲がほぼ重なるよう光軸に対し並列に配置されているため、光軸方向の奥行きを小型化できるようになる。また、モータを像側に配置することにより、物体側にモータを配置せず物体側ではモータのスペースを必要とせず、効率的にスペースを利用できる。
【0046】
また、レンズ保持枠に延出部を設けることにより、1群のレンズの移動範囲は、延出部の長さ分だけ物体側に位置するため、1群のレンズと2群のレンズの干渉を防止できる。さらに、鏡筒の筒部は、1群のレンズ保持枠を収容する程度の径とすれば良いため、小径にでき、筒部の周囲に投光部を配置するスペースを確保することができ、前面からみた幅および高さの小型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明に係るズームレンズは、小型化されたズームレンズに適し、特に、監視カメラ等の投光部を有するズームレンズに適している。
【符号の説明】
【0048】
100 ズームレンズ
101 鏡筒
102 筒部
103 投光部(LEDライト)
111,112 モータ
121,122 リードスクリュー
201 1群レンズ
202 2群レンズ
211,212 レンズ保持枠
221,222 スライド軸
241 延出板
251,261 係合ブロック
271 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1群と2群の移動するレンズ群を備えたズームレンズにおいて、
前記各群のレンズを保持するレンズ保持枠をそれぞれ光軸方向に移動させるものであり、移動させる前記レンズ保持枠との係合部の作動可能範囲がほぼ重なるよう光軸に対し並列に配置される複数の駆動手段と、
前記複数のうち1群のレンズの前記レンズ保持枠に設けられ、光軸方向に沿って所定長さを有して前記駆動手段に係合する延出部と、
各部を収容する鏡筒の前面に突出して設けられ、移動する前記レンズ保持枠を収容する筒部と、
前記鏡筒の前記筒部の周囲に配置される円環状の投光部と、
を備えたことを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
前記延出部は、前記複数のうち被写体側に配置される1群のレンズの前記レンズ保持枠に設けられ、該レンズ保持枠が前記駆動手段と係合する位置よりも前記1群のレンズを被写体側に配置させるように光軸方向に沿って所定長さを有していることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
前記駆動手段は、
モータと、当該モータに連結され前記レンズ保持枠に係合するリードスクリューと、を含み、
前記モータは、前記光軸に対し同一方向に向けて配置されたことを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項4】
前記駆動手段は、前記光軸方向において、前記モータが前記リードスクリューの結像面側に配置されたことを特徴とする請求項3に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記延出部は、前記レンズの径方向において、前記駆動手段が前記鏡筒に固設される位置と前記1群のレンズが配置される位置との間に配設されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記鏡筒は、前記筒部の外周面に、前記レンズの径方向において前記駆動手段が固設される部分よりも光軸側へ段状に変化する段部を有し、
前記投光部は、前記段部に配置され、
前記1群のレンズは、前記筒部の内周部において、光軸に沿って移動可能に配設されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記鏡筒は、円環状の前記投光部の形状内に収まるように角部を落とした形状であり、当該角部を落とした箇所に前記駆動手段が配置されたことを特徴とする請求項3に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記駆動手段は、前記リードスクリューと並行に配置された並行板部と、該並行板部の両端にて前記並行板部に垂直に配置された垂直板部とを有する支持板を備えており、
前記鏡筒は、前記角部を落とした箇所が前記光軸直交方向に対して傾斜した傾斜面で形成され、該傾斜面に前記支持板の前記並行板部が配置されていることを特徴とする請求項7に記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記投光部は、前記各群のレンズが広角端に位置するときに、前記筒部からの入射光線の角度範囲を遮らない位置に配置されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のズームレンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【公開番号】特開2013−37085(P2013−37085A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171329(P2011−171329)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000133227)株式会社タムロン (355)
【Fターム(参考)】