説明

ズーム鏡枠、撮像装置、及び携帯情報端末

【課題】ズームカメラモジュールにおいて、小型化を実現することが可能であると共に、合焦位置決め時間の短縮が可能なズーム鏡枠、撮像装置、及び携帯情報端末を提供する。
【解決手段】固定枠30により光軸方向Aに移動可能に支持されると共に、ズームレンズ16,17を支持する支持枠14と、この支持枠14に設けられた第1の電磁力部12と、固定枠30に設けられ、第1の電磁力部12に対向する第2の電磁力部13と、を備え、支持枠14は、光軸方向Aの一端側の第1の当接位置P1及び他端側の第2の当接位置において固定枠30に当接し、ズームレンズ16,17は、第1の当接位置P1から光軸方向Aに移動して第1のズーム倍率をなし、第2の当接位置から光軸方向Aに移動して第2のズーム倍率をなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズーム鏡枠と、このズーム鏡枠を備える撮像装置と、この撮像装置を備える携帯情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型撮像カメラモジュールにおいて、ズームカメラモジュールの小型化が求められている。
従来の撮像カメラモジュールは、駆動源として一般にステッピングモータが使用されており、このステッピングモータの大きさが小型化の妨げとなっていた。
【0003】
そこで、単焦点カメラモジュールでは、ボイスコイル等の原理を用いた電磁式アクチュエータを駆動源として使用した技術や、圧電素子の伸縮を駆動源として使用した技術として、特許文献1及び2の技術が提案されている。
【0004】
特許文献1の技術では、レンズを保持するレンズ支持枠側にコイルまたは磁石が装着されると共に、ベース側に磁石またはコイルが装着され、コイルに電流を印加することで生じる電磁駆動力によって、可動部材を光軸方向に駆動するようにしている。
【0005】
特許文献2の技術では、可動部材が振動部材に沿って移動可能であり、圧電素子の伸縮によって、可動部材を光軸方向に駆動するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−52196号公報
【特許文献2】特開2008−197220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術は、バネにより移動量の制約を受けてストロークを確保することができないため、小型化は実現できるが、単焦点カメラモジュールに対し、レンズ移動量が比較的大きいズームカメラモジュールには適していない。
【0008】
一方、特許文献2の技術は、可動部材を支持する支持部材(シャフト)の摩擦によってレンズを保持しているため、姿勢によっては重力の影響を受け、移動量のヒステリシスが確保できない。
【0009】
そのため、特許文献2の技術等における合焦位置決めでは、アクチュエータの初期位置の一方端から合焦位置決めを行う必要があり、ズームレンズの場合、合焦位置決め行うのに時間がかかる。
【0010】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、特に2つのズーム倍率を有するズームカメラモジュールにおいて、小型化を実現することが可能であると共に、合焦位置決め時間の短縮が可能なズーム鏡枠、撮像装置、及び携帯情報端末の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、本発明の態様のひとつであるズーム鏡枠は、固定枠により光軸方向に移動可能に支持されると共に、ズームレンズを支持する支持枠と、支持枠に設けられた第1の電磁力部と、固定枠に設けられ、第1の電磁力部に対向する第2の電磁力部と、を備え、支持枠は、光軸方向の一端側の第1の当接位置及び他端側の第2の当接位置において固定枠に当接し、ズームレンズは、第1の当接位置から光軸方向に移動して第1のズーム倍率をなし、第2の当接位置から光軸方向に移動して第2のズーム倍率をなす、ことを特徴とする。
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明の別の態様のひとつであるズーム鏡枠は、固定枠により光軸方向に移動可能に支持されると共に、ズームレンズを支持する支持枠と、支持枠を光軸方向に移動させる駆動部とを備え、支持枠は、光軸方向の一端側の第1の当接位置及び他端側の第2の当接位置において固定枠に当接し、ズームレンズは、第1の当接位置から光軸方向に移動して第1のズーム倍率をなし、第2の当接位置から光軸方向に移動して第2のズーム倍率をなす、ことを特徴とする。
【0013】
前述した目的を達成するために、本発明の別の態様のひとつである撮像装置は、上記いずれかのズーム鏡枠を備えることを特徴とする。
前述した目的を達成するために、本発明の別の態様のひとつである撮像装置は、上記いずれかのズーム鏡枠と、ズーム鏡枠の出射光を撮像する撮像素子と、を備えることを特徴とする。
【0014】
前述した目的を達成するために、本発明の別の態様のひとつである携帯情報端末は、上記いずれかの撮像装置と、撮像装置を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、2つのズーム倍率を有するズームカメラモジュールにおいて、小型化を実現することが可能であると共に、合焦位置決め時間の短縮が可能なズーム鏡枠、撮像装置、及び携帯情報端末を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係る撮像装置を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る撮像装置の支持枠等を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る撮像装置の駆動方法を説明するための断面図である。
【図4A】本発明の一実施の形態に係る携帯情報端末を示す正面図である。
【図4B】本発明の一実施の形態に係る携帯情報端末を示す背面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る携帯情報端末の制御構成を示す概略ブロック図である。
【図6A】本発明の一実施の形態に係る撮像装置の広角端における合焦初期状態を示す断面図である。
【図6B】本発明の一実施の形態に係る撮像装置の望遠端における合焦初期状態を示す断面図である。
【図7A】本発明の一実施の形態におけるズームレンズ(支持枠)の広角側における合焦位置までの移動軌跡を示す説明図である。
【図7B】本発明の一実施の形態におけるズームレンズ(支持枠)の望遠側における合焦位置までの移動軌跡を示す説明図である。
【図8】比較例におけるズームレンズ(支持枠)の望遠側における合焦位置までの移動軌跡を示す説明図である。
【図9】本発明の他の実施の形態に係る撮像装置を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施の形態に係る携帯情報端末の制御構成を示す概略ブロック図である。
【図11】本発明の他の実施の形態に係る撮像装置の合焦動作を説明するための駆動部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係るズーム鏡枠、撮像装置、及び携帯情報端末について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
<一実施の形態>
図1は、本発明の一実施の形態に係る撮像装置1を示す断面図である。
図2は、上記撮像装置1の支持枠14等を示す断面図である。
図3は、上記撮像装置1の駆動方法を説明するための断面図である。
【0019】
図1に示す撮像装置1は、ズーム鏡枠10と、撮像部20と、固定枠30と、を備える。
ズーム鏡枠10は、磁性部材11と、第1の電磁力部12と、第2の電磁力部13と、支持枠14と、コイル枠15と、ズームレンズ16,17と、図2に示すガイド軸18と、を備える。本実施の形態では、第1の電磁力部12が磁石(分割片12a,12b)を有し、第2の電磁力部13がコイル13a〜13dを有する例について説明する。
【0020】
撮像部20は、撮像素子21と、基板22と、撮像レンズ23と、カバーガラス24と、カバーガラスホルダ25と、を備える。
磁性部材11は、ズームレンズ16,17の周方向に亘って設けられたヨークであり、支持枠14の周囲に設けられたリング形状のコイル枠15に固定されている。
【0021】
第1の電磁力部12は、支持枠14の周囲において支持枠14に設けられ光軸方向で2つ(複数)の分割片12a,12bに分割された磁石を有する。これら分割片12a,12bは、それぞれN,Sに着磁された片面2極の配置構造を呈する。
【0022】
第2の電磁力部13は、固定枠30の内側に設けられた複数のコイル13a〜13dを有し、第1の電磁力部12に一部が対向する。複数のコイル13a〜13dは、磁性部材11よりも内側でコイル枠15に固定されている。
【0023】
複数のコイル13a〜13dは、巻き方向が交互になるように13a〜13dの順に配置されている。そのため、コイル13aとコイル13cとの巻き方向が同一であり、また、コイル13bとコイル13dとの巻き方向が同一である。なお、後述するが、これら複数のコイル13a〜13dは、支持枠14を光軸方向Aへ移動させる際、第1の電磁力部12との相対位置によって電流方向を変更される。なお、本実施の形態では、第2の電磁力部13は13a〜13dの4つで図示されているが、これには限定されずより多くの電磁力部を備えることで、ストロークをより長くすることができる。
【0024】
支持枠14は、断面円形の中空部分を有する略四角形状を呈し、固定枠30に固定された例えば2本の図2に示すガイド軸18に沿って光軸方向Aに移動可能に支持される。このガイド軸18は、支持枠14の例えば、四つ角のうちの対向する2つの角において、支持枠14を光軸方向Aに貫通し、支持枠14をガイドする。
【0025】
また、支持枠14は、光軸方向Aの入射側に位置する例えばメニスカスレンズであるズームレンズ16と、出射側に位置する例えば両凹レンズであるズームレンズ17とを支持する。
【0026】
図3に示すように、第2の電磁力部13の複数のコイル13a〜13dに駆動電流が印加されることで、第1の電磁力部12である磁石に電磁駆動力Fが作用し、支持枠14は、図2に示すガイド軸18に沿って移動する(フレミング左手の法則)。なお、駆動電流の方向は、磁石である分割片12a,12bとの相対位置によって変更される。これにより、支持枠14ひいてはズームレンズ16,17のストロークを伸ばすことができる。
【0027】
一方、駆動電流が印加されていない状態では、支持枠14は、磁性部材11に第1の電磁力部12の磁石である分割片12a,12bが引き寄せられることによりズームレンズ16,17の位置を保持する。
【0028】
詳しくは後述するが、支持枠14は、図6A(図1及び図3)に示す第1の当接位置P1(広角端)では、固定枠30の好ましくは3箇所以上に設けられた凸部30aにおいて後面14aで固定枠30に当接する。
【0029】
また、支持枠14は、図6Bに示す第2の当接位置P2(望遠端)では、固定枠30の好ましくは3箇所以上に設けられた凸部30bにおいて前面14bで固定枠30に当接する。
【0030】
コイル枠15には、前述のように複数のコイル13a〜13d及び磁性部材11が固定される。そして、コイル枠15は、複数のコイル13a〜13dを巻くための図示しない4つのガイド体を有する。また、コイル枠15は、例えば2つの面において磁性部材11を位置決めする。
【0031】
撮像素子21は、基板22に実装され、ズーム鏡枠1の出射光を撮像して撮像信号を出力する。
基板22は、例えば図示しないフレキシブル基板によって、図4A〜図5に示す後述する携帯情報端末100の制御部101(図5参照)に接続されている。
【0032】
撮像レンズ23は、固定枠30により支持され、ズーム鏡枠10を通ってきた光線を撮像素子21に集光させる。
カバーガラス24は、撮像レンズ23と撮像素子21との間に配置され、表面には赤外線カットフィルタが例えば蒸着により設けられている。
【0033】
カバーガラスホルダ25は、基板22により支持され、カバーガラス24を支持している。また、カバーガラスホルダ25は、固定枠30に嵌合するような形状になっており、固定枠30と嵌合することで、固定枠30に対するカバーガラスホルダ25の位置決めを行う。
【0034】
図4A及び図4Bは、本発明の一実施の形態に係る携帯情報端末100を示す正面図及び背面図である。
図5は、上記携帯情報端末100の制御構成を示す概略ブロック図である。
【0035】
図4A及び図4Bに示すように、携帯情報端末100は、上述の撮像装置1と、制御部101(図5参照)と、表示部102と、スピーカ103と、マイク104と、照明部105と、を備える。携帯情報端末100としては、例えばカメラ付き携帯電話やタブレットなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
制御部101は、携帯情報端末100の撮像装置1等の各部の制御を行う。制御部101は、撮像装置1を制御する場合、外部から入力された信号等に基づいて、撮像装置1に所定の条件で撮像を行わせる。
【0037】
表示部102は、タッチパネル式の入力部を兼ね、制御部101へ信号を入力することができる。
スピーカ103及びマイク104は、表示部102を挟んで配置され、電話としての機能を備える。
【0038】
照明部105は、撮像対象に照明光を照射して、暗部でも撮像装置1によって撮像することを可能にする。
【0039】
以下、撮像装置1の広角側と望遠側との2焦点についての合焦動作について説明する。
図6Aは、撮像装置1の広角端における合焦初期状態を示す断面図である。
図6Bは、撮像装置1の望遠端における合焦初期状態を示す断面図である。
【0040】
図7Aは、ズームレンズ16,17(支持枠14)の広角側における合焦位置までの移動軌跡を示す説明図である。
図7Bは、ズームレンズ16,17(支持枠14)の望遠側における合焦位置までの移動軌跡を示す説明図である。
【0041】
まず、広角側の合焦動作については、初期位置出しをするために、図5に示す制御部101は、図6A及び図7Aに示すように、支持枠14の後面14aが固定枠30の凸部30aに当接する第1の当接位置P1に支持枠14を移動させる。
【0042】
また、制御部101は、図7Aに示すように、支持枠14を光軸方向Aにステップ移動させて、合焦位置を探す。このとき、制御部101は、1ステップごとに撮像素子21から入力される撮像信号を処理して、撮像画像のコントラスト値を取得する。そして、制御部101は、このコントラスト値が最良となる支持枠14の位置を合焦位置として取得する。
【0043】
合焦位置を取得したところで、制御部101は、もう一度支持枠14を後面14aが固定枠30の凸部30aに当接する第1の当接位置P1に移動させる。そして、制御部101は、前述の取得した合焦位置まで支持枠14をステップ移動させる。この合焦位置において、ズームレンズ16,17は、第1のズーム倍率をなす。
【0044】
次に、望遠側の合焦動作については、初期位置出しをするために、制御部101は、図6B及び図7Bに示すように、支持枠14の前面14bが固定枠30の凸部30bに当接する第2の当接位置P2に支持枠14を移動させる。
【0045】
また、制御部101は、図7Bに示すように、支持枠14を光軸方向Aにステップ移動させて、合焦位置を探す。合焦位置を取得したところで、制御部101は、もう一度支持枠14を前面14bが固定枠30の凸部30bに当接する第2の当接位置P2に移動させる。そして、制御部101は、前述の取得した合焦位置まで支持枠14をステップ移動させる。この合焦位置において、ズームレンズ16,17は、第2のズーム倍率をなす。
【0046】
一方、図8に示す望遠側の合焦動作の比較例では、初期位置出しをするための当接位置を広角側にしか持たないため、図7Aに示す本実施の形態の広角側の合焦動作と同様になり、合焦位置が望遠側の場合、制御部は、支持枠を広角側から望遠側まで光軸方向に動かして、合焦位置を探し、合焦位置を取得したところで、もう一度支持枠を広角端にある初期位置まで戻す。そして、制御部は、先ほど取得した望遠側の合焦位置まで動かす。
【0047】
このように、図8の比較例における望遠側の合焦動作では、合焦位置が望遠側の場合、合焦位置を取得した後、もう一度支持枠を広角端にある初期位置に戻すことになるため、図7Bの本実施の形態における望遠側の合焦動作よりも合焦位置決め時間がかかる。
【0048】
以上説明した一実施の形態では、支持枠14に設けられた第1の電磁力部12と、固定枠30に設けられた第2の電磁力部13とによって、ズームレンズ16,17(支持枠14)は、第1の当接位置P1で初期位置だしをして光軸方向Aに移動して第1のズーム倍率(図7Aの合焦位置)をなし、第2の当接位置P2で初期位置だしをして光軸方向Aに移動して第2のズーム倍率(図7Bの合焦位置)をなす。このように第1の当接位置P1と第2の当接位置P2を設けることによって、初期位置だしが可能となり、比較例に比べて合焦位置決め時間の短縮をすることが可能となる。
【0049】
そのため、ステッピングモータ等の大きな駆動源を用いなくとも、短時間で2つのズーム倍率を有するズームレンズの合焦動作を行うことができる。よって、本実施の形態によれば、ズームカメラモジュールにおいて、小型化を実現することが可能であると共に、合焦位置決め時間の短縮が可能なズーム鏡枠10、撮像装置1、及び携帯情報端末100を提供できる。
【0050】
また、本実施形態では、第1の電磁力部12と第2の電磁力部13をズームレンズ16,17(支持枠14)の周りに配置することにより、従来のステッピングモータを用いた構成に比べて、小型化を実現することが可能である。
【0051】
また、本実施の形態では、複数のコイル13a〜13dは、例えば、巻き方向が交互になるように13a〜13dの順に配置され、支持枠14を光軸方向Aへ移動させる際、第1の電磁力部12との相対位置によって複数のコイル13a〜13dの電流方向を変更される。そのため、支持枠14ひいてはズームレンズ16,17のストロークを伸ばすことができる。
【0052】
また、本実施の形態では、支持枠14は、第1の当接位置P1(広角端)及び第2の当接位置P2(望遠端)では、固定枠30の凸部30a,30bにおいて固定枠30に当接する。このように当接位置を凸部とすることで、より精度よく初期位置出しをすることができる。
【0053】
また、本実施の形態では、支持枠14は、第1の当接位置P1(広角端)及び第2の当接位置P2(望遠端)では、固定枠30の凸部30a,30bを各々例えば3箇所設けて、固定枠30に当接させる。そのため、第1の当接位置P1(広角端)及び第2の当接位置P2(望遠端)において支持枠14ひいてはズームレンズ16,17に傾きが生じるなどの位置ズレを抑えることができる。なお、凸部は、支持枠14及び固定枠30の少なくとも一方に設けられればよい。
【0054】
なお、本実施の形態では、支持枠14に設けられた第1の電磁力部12が磁石の分割片12a,12bを有し、固定枠30に設けられた第2の電磁力部13がコイル13a〜13dを有するが、第1の電磁力部12がコイルを有し、第2の電磁力部13が磁石を有するようにすることも可能である。
【0055】
また、複数のコイル13a〜13dの巻き方向を交互にするためには、少なくとも3つのコイルがあればよい。また、複数のコイルとしては、2つのコイルがあれば、支持枠14ひいてはズームレンズ16,17のストロークを伸ばすことができる。
【0056】
また、支持枠14と固定枠30とは、少なくとも一方に設けられた凸部で当接することが望ましいが、例えば平面同士で当接させるようにしてもよく、当てつけることで位置決めを行えればよい。
【0057】
また、支持枠14と固定枠30とは、一方に一体的に設けられた部材を介して当接するようにしてもよい。
【0058】
<他の実施の形態>
図9は、本発明の他の実施の形態に係る撮像装置2を示す断面図である。
本実施の形態の撮像装置2は、前述の一実施の形態の撮像装置1の撮像部20と同様の撮像部20を備える。そのため、撮像部20についての説明は省略する。
【0059】
図9に示す撮像装置2は、ズーム鏡枠40と、撮像部20と、固定枠50と、を備える。
ズーム鏡枠40は、駆動部41と、支持枠42と、図9の断面では表されないズームレンズ(前述の一実施の形態では符号16,17)と、を備える。
【0060】
駆動部41は、圧電素子41aと、保持部材41bと、振動軸41cと、弾性部材41dと、を有し、支持部材42を光軸方向Aに移動させる。
圧電素子41aは、多数の圧電板が積層されており(図9では2層で図示)、電圧が印加されることで伸縮する。
【0061】
保持部材41bは、圧電素子41aを伸縮方向の一端において片持ちで保持し、質量のある金属材料から形成されている。
振動軸41cは、圧電素子41aの伸縮方向の他端に結合されたロッド状の部材であり、すべり性が良く硬い材料から形成されている。
【0062】
弾性部材41dは、振動軸41cと支持枠42との間に摩擦力を付加する例えば引っ張りバネ、板バネなどである。
支持枠42は、略円筒形状を呈し、前述の一実施の形態と同様に、固定枠50により例えば2本のガイド軸(図2のガイド軸18参照)を介して光軸方向Aに移動可能に支持される。また、支持枠42は、図示しないズームレンズを支持する。
【0063】
支持枠42は、図9に示す第1の当接位置P1(広角端)では、固定枠50の好ましくは3箇所以上に設けられた凸部50aにおいて後面42aで固定枠50に当接する。
また、支持枠42は、第2の当接位置(望遠端)では、固定枠50の好ましくは3箇所以上に設けられた凸部50bにおいて前面42bで固定枠50に当接する。
【0064】
図10は、本実施の形態に係る携帯情報端末200の制御構成を示す概略ブロック図である。
携帯情報端末200の概略構成については、図4A及び図4Bに示す一実施の形態の携帯情報端末100と同様であるため、説明を省略する。
【0065】
制御部201は、携帯情報端末200の撮像装置2等の各部の制御を行う。制御部201は、撮像装置2を制御する場合、外部から入力された信号等に基づいて、撮像装置2に所定の条件で撮像を行わせる。
【0066】
以下、撮像装置2の広角側と望遠側との2焦点についての合焦動作について説明する。
図11は、撮像装置2の合焦動作を説明するための駆動部41の概略図である。
図10に示す制御部201が図11(a)に示す圧電素子41a−1にパルス電圧を印加すると、圧電素子41a−1は伸長振動し、同時に振動軸41c−1は軸方向に振動する。そして、パルス電圧を緩やかに立ち上がらせることにより、圧電素子41a−1は、図11(b)に示すように比較的ゆっくり伸長する(41a−2)。
【0067】
従って、振動軸41c−1は保持部材41bから離れる方向(光軸方向の一方A1)に移動し(41c−2)、これに伴って支持枠42−1(図11においては簡易的に図示)も同方向A1にステップ移動する(42−2)。
【0068】
一方、制御部201がパルス電圧を急速に立ち下がらせることにより、図11(c)に示すように、圧電素子41a−2は急速に収縮して初期長さに戻る(41a−3)。このとき、振動軸41c−2も急速に保持部材41bに向かう方向(光軸方向の他方A2)に移動するが(41c−3)、支持枠42は慣性によってその位置に留まるか、または僅かだけ保持部材41bの方向に移動する。
【0069】
従って、このようなパルス電圧を連続的に印加することによって、支持枠42はパルス数に応じて少しずつA1方向に移動する。なお、振動軸41cと支持枠42との間には弾性部材41dによって摩擦力が付加されているため、パルス電圧が印加されていない状態では、支持枠42は振動軸41dとの摩擦力により位置を保持される。
【0070】
制御部201は、支持枠42の1ステップごとに撮像素子21から入力される信号を処理して、撮像画像のコントラスト値を取得する。そして、制御部201は、このコントラスト値が最良となる支持枠42の位置を合焦位置として取得する。
【0071】
合焦動作については前述の一実施の形態と同様であり、制御部201は、広角側については、支持枠42の後面42aを固定枠の凸部50aに当接させた第1の当接位置P1(広角端)から支持枠42を移動させ、合焦位置を取得したところで、制御部201は、もう一度支持枠42を後面42aが固定枠50の凸部50aに当接する第1の当接位置P1(広角端)に移動させる。そして、制御部201は、前述の取得した合焦位置まで支持枠42をステップ移動させる。この合焦位置において、ズームレンズは、第1のズーム倍率をなす。
【0072】
次に、望遠側の合焦動作については、初期位置出しをするために、制御部201は、支持枠42を前面42bが固定枠50の凸部50bに当接する図示しない第2の当接位置(望遠端)に移動させる。
【0073】
また、制御部201は、支持枠42を光軸方向Aにステップ移動させて、合焦位置を探す。合焦位置を取得したところで、制御部201は、もう一度支持枠42を前面42bが固定枠50の凸部50bに当接する第2の当接位置(望遠端)に移動させる。そして、制御部201は、前述の取得した合焦位置まで支持枠42をステップ移動させる。この合焦位置において、ズームレンズは、第2のズーム倍率をなす。
【0074】
以上説明した他の実施の形態では、駆動部41によって、ズームレンズ(支持枠42)は、第1の当接位置P1で初期位置だしをして光軸方向Aに移動して第1のズーム倍率(広角側の合焦位置)をなし、第2の当接位置P2で初期位置だしをして光軸方向Aに移動して第2のズーム倍率(望遠側の合焦位置)をなす。このように第1の当接位置P1と第2の当接位置P2を設けることによって、比較例に比べて合焦位置決め時間の短縮をすることが可能となる。
【0075】
そのため、ステッピングモータ等の大きな駆動源を用いなくとも、短時間で合焦動作を行うことができる。よって、本実施の形態によれば、ズームカメラモジュール(撮像装置2)において、小型化を実現することが可能であると共に、合焦位置決め時間の短縮が可能なズーム鏡枠40、撮像装置2、及び携帯情報端末200を提供できる。
【0076】
また、本実施の形態では、支持枠42は、第1の当接位置P1(広角端)及び第2の当接位置(望遠端)では、固定枠50の凸部50a,50bにおいて固定枠50に当接する。このように当接位置を凸部とすることで、より精度よく初期位置出しをすることができる。
【0077】
また、本実施の形態では、駆動部41は、圧電素子41aを有する。そのため、簡素な構成で合焦動作を行うことができ、更なる小型化を実現することが可能である。なお、本実施の形態では、駆動部41として圧電素子を用いたが、これに限定されるものではない。
【0078】
なお、図面にハッチングが記載されているが、各部の材質はハッチングの種類によって限定されるものではない。
その他、本発明は、前述した実施の形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良・変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 撮像装置
2 撮像装置
10 ズーム鏡枠
11 磁性部材
12 第1の電磁力部
12a,12b 分割片(磁石)
13 第2の電磁力部
13a〜13d コイル
14 支持枠
14a 後面
14b 前面
15 コイル枠
16,17 ズームレンズ
18 ガイド軸
20 撮像部
21 撮像素子
22 基板
23 撮像レンズ
24 カバーガラス
25 カバーガラスホルダ
30 固定枠
30a,30b 凸部
40 ズーム鏡枠
41 駆動部
41a 圧電素子
41b 保持部材
41c 振動軸
41d 弾性部材
42 支持枠
42a 後面
42b 前面
50 固定枠
50a,50b 凸部
100 携帯情報端末
101 制御部
102 表示部
103 スピーカ
104 マイク
105 照明部
200 携帯情報端末
201 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定枠により光軸方向に移動可能に支持されると共に、ズームレンズを支持する支持枠と、
前記支持枠に設けられた第1の電磁力部と、
前記固定枠に設けられ、前記第1の電磁力部に対向する第2の電磁力部と、を備え、
前記支持枠は、前記光軸方向の一端側の第1の当接位置及び他端側の第2の当接位置において前記固定枠に当接し、
前記ズームレンズは、前記第1の当接位置から前記光軸方向に移動して第1のズーム倍率をなし、前記第2の当接位置から前記光軸方向に移動して第2のズーム倍率をなす、ことを特徴とするズーム鏡枠。
【請求項2】
前記第1の電磁力部は、前記支持枠に設けられ前記光軸方向で複数に分割された磁石を有することを特徴とする請求項1に記載のズーム鏡枠。
【請求項3】
前記第2の電磁力部は、複数のコイルを有し、前記第1の電磁力部に一部が対向することを特徴とする請求項1に記載のズーム鏡枠。
【請求項4】
前記複数のコイルは、前記支持枠を移動させる際、前記第1の電磁力部との相対位置によって当該複数のコイルの電流方向を変更されることを特徴とする請求項3に記載のズーム鏡枠。
【請求項5】
前記支持枠は、前記第1の当接位置及び前記第2の当接位置では、当該支持枠及び前記固定枠の少なくとも一方に設けられた凸部において前記固定枠に当接することを特徴とする請求項1に記載のズーム鏡枠。
【請求項6】
固定枠により光軸方向に移動可能に支持されると共に、ズームレンズを支持する支持枠と、
前記支持枠を前記光軸方向に移動させる駆動部とを備え、
前記支持枠は、光軸方向の一端側の第1の当接位置及び他端側の第2の当接位置において前記固定枠に当接し、
前記ズームレンズは、前記第1の当接位置から前記光軸方向に移動して第1のズーム倍率をなし、前記第2の当接位置から前記光軸方向に移動して第2のズーム倍率をなす、ことを特徴とするズーム鏡枠。
【請求項7】
前記支持枠は、前記第1の当接位置及び前記第2の当接位置において、当該支持枠及び前記固定枠の少なくとも一方に設けられた凸部において前記固定枠に当接することを特徴とする請求項6に記載のズーム鏡枠。
【請求項8】
前記駆動部は、圧電素子を有することを特徴とする請求項6に記載のズーム鏡枠。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のズーム鏡枠を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のズーム鏡枠と、
前記ズーム鏡枠の出射光を撮像する撮像素子と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求9乃至10に記載の撮像装置と、
前記撮像装置を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする携帯情報端末。

【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6A】
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【図6B】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−242499(P2012−242499A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110579(P2011−110579)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】