説明

セキュリティ情報媒体読取装置

【課題】 蛍光発光パターンを有するセキュリティ情報媒体を、簡易、かつ確実に読み取りするセキュリティ情報読取装置を提供する。
【解決手段】 本発明のセキュリティ情報媒体読取装置1は、外光を遮光する遮光性筐体3内に、セキュリティ情報媒体を照射する各複数個の赤外発光LED、紫外発光LED、可視光発光LEDを、読み取りするセキュリティ情報媒体の照射面に対する鉛直線を中心軸としてその周囲に配置し、かつセキュリティ情報媒体が発する蛍光発光を内蔵するCCDカメラにより受光して読み取りするセキュリティ情報媒体読取装置において、前記遮光性筐体は前記読み取りするセキュリティ情報媒体を載置して納める着脱自在なトレイ9を有し、当該トレイ9を遮光性筐体3内に差し込みした状態でセキュリティ情報媒体の識別情報が前記LED照射面に位置して読み取り可能にされていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセキュリティ情報媒体読取装置に関する。詳しくは、赤外励起可視蛍光発光材料、紫外励起可視蛍光発光材料、可視光照射により視認可能な材料からなる微細・高精細パターン等の各種認証手段の複合してなるセキュリティ情報媒体の読取装置に関する。
すなわち、遮光性筐体内に赤外発光LED、紫外発光LED、可視光発光LEDを配置し、セキュリティ情報媒体から生じる蛍光パターンを、内蔵するCCDカメラ等の撮像装置(以下、単に「CCDカメラ」という。)で受光し、ディスプレイに表示する真贋判定装置であり、偽造防止パターンを有する情報媒体をトレイに乗せ置きし、トレイを装入すればセキュリティ情報媒体の偽造防止パターンが、CCDカメラの撮像範囲に必ず入ることでセキュリティ情報媒体の真贋判定を確実かつ容易にできるようにしたセキュリティ情報媒体読取装置に関する。
本装置の具体的用途は、身分証明書、クレジットカード、バンクカード、小切手、通帳、パスポート、プリペイドカード、通行券、入場券、定期券などの真贋判定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紫外励起可視蛍光発光材料や可視光照射により視認性の向上するホログラム、マイクロ文字などの各種セキュリティ情報媒体が採用されている。紫外励起可視蛍光発光材料は例えば、ドイツ国特許第497037号明細書が同発光材料を有価証券に用いることを記載するように、従前から使用されているものである。
また、情報記録媒体にホログラムや光回折格子パターンを用いることは、例を挙げるまでもなく周知であり、マイクロ文字を使用することも、特開平8−324094号公報や特開2002−274001号公報等に記載されている。
以上の技術に加えて近年、赤外励起可視蛍光発光材料も開発され情報媒体に実用化されてきたので、セキュリティ情報媒体の態様はますます多様化している。
【0003】
赤外励起可視蛍光発光材料は、無機材料を赤外線で励起して、より波長の短い可視光を発光させるもので、例えば、特許文献1は、赤外可視波長上方変換(アップコンバージョン)蛍光体材料として、ディスプロシウム(Dy)臭化物を記載し、特許文献2は、臭化ガドリニウム(Gd)を母材とし、発光源のエルビウム(Er)イオンと吸光源のディスプロシウムイオンを含む1.3μ域の赤外光を励起光として発光する赤外励起蛍光体を記載している。また、特許文献3は、無機材料からなる赤外可視波長上方変換材料として、少なくともエルビウム(Er)および塩素(Cl)の2種類の元素、あるいはそれらの化合物を含む材料を記載している。
【0004】
一方、紫外励起可視蛍光発光材料には、無機蛍光顔料と有機蛍光顔料とがあり、前記のように従前から知られ実用されている。無機系では、同様に母材を希土類金属で賦活した材料が使用され、ツリウム賦活バナジン酸イットリウムやツリウム賦活タングステン酸カルシウム、ユーロピウム賦活バナジン酸イットリウム等の各種が知られている。有機系では、クマリン類、ベンゾオキサジン誘導体、ユーロピウム錯体等が知られている。
【0005】
このような可視光下では、白色または無色であって目視で確認できず、赤外線や紫外線を照射したときにのみ発光する特徴を活かした情報媒体は、特許文献4、特許文献5、特許文献6等に記載されるように、既に実用されている。また、ホログラムやマイクロ文字等に対して特定の波長の可視光を照射することにより、隠しパターンや特定の反射光を生じさせ、真性を証明することも既に行われている。
【0006】
他方、広く用途展開されるためには、簡単に安全に判別できる読取装置の開発が必要であるが、紫外線蛍光体に用いられるブラックライトのように簡便に使える装置はほとんど提案されていない。また従来、赤外励起可視蛍光発光材料の励起光源としては、十分な発光を得るために、レーザー光源が使用されていた。レーザー光源は、装置の小型化および長寿命という市場要求により、ガスレーザーから半導体レーザが多く使用されている。
半導体レーザは技術の進歩により小型化、低価格化が進み、長寿命、直接変調が可能であるという特徴を持ちその利用分野が拡大しているが、装置の設置および姿勢調整にあたっては、手間および時間がかかること、さらには人体(目)へ危害を及ぼす危険性が高いという欠点がある。
【0007】
そこで、本願出願人は赤外励起可視蛍光発光材料からなる情報媒体の読取装置として、赤外線発光ダイオードを使用した蛍光体読取装置を、特許文献7により提案している。
しかし、赤外発光ダイオード(LED)のみを使用した読取装置は、紫外線励起蛍光発光材料や可視光励起蛍光発光材料を併せて使用したセキュリティ情報媒体をも含めて、広範囲に使用できない問題がある。そこで、本願出願人は、このような多様なまたは複合したセキュリティ情報媒体を読み取りする装置を特許文献8、特許文献9に提案した。
【0008】
【特許文献1】特開平8−69025号公報
【特許文献2】特開平8−259942号公報
【特許文献3】特開平6−102550号公報
【特許文献4】特開2003−340954号公報
【特許文献5】特開2003−288019号公報
【特許文献6】特公平2−12196号公報
【特許文献7】特願2005−007126号
【特許文献8】特願2006−008134号
【特許文献9】特願2006−008135号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、セキュリティ情報媒体が、赤外励起可視蛍光発光材料からなるパターン、紫外励起可視発光材料からなるパターン、可視光照射により視認可能な材料からなる微細・高精細パターンのいずれかの組み合わせから構成されている場合には、簡易な装置で確実に判別できる読取装置が提供されていなかった。
【0010】
また、既に提案の特許文献8、特許文献9のセキュリティ情報媒体読取装置は、CCDカメラを内蔵する遮光性筐体内に赤外発光LED、紫外発光LED、可視光発光LEDを配置することを提案しているが、セキュリティ情報媒体を定位置に置いて観察するには、十分に便利な状態にはされていない問題がある。すなわち、セキュリティ情報媒体を読み取りする際に、情報媒体の交換の都度、装置自体を持ち上げて識別情報位置をLED照射中心に位置合わせしなければならない煩わしさがあった。特に、識別情報パターンが薄色であるか印刷面積が小さい場合は特に位置合わせが困難になった。読取装置がカメラ型で上から覗き込むタイプでは、CCDカメラ型よりも位置合わせし易いが、外光が入るため識別情報の発光輝度が低下し、その分発光パターンが見難くなる問題もあった。LEDの照射窓を誤って眼で見てしまう安全性の面での問題もあった。
そこで、本発明はより一層の利便性を備えた読取装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明の要旨の1は、外光を遮光する遮光性筐体内に、セキュリティ情報媒体を照射する各複数個の赤外発光LED、紫外発光LED、可視光発光LEDを、読み取りするセキュリティ情報媒体の照射面に対する鉛直線を中心軸としてその周囲に配置し、かつセキュリティ情報媒体が発する蛍光発光を、内蔵する撮像装置により受光して読み取りするセキュリティ情報媒体読取装置において、前記遮光性筐体は前記読み取りするセキュリティ情報媒体を載置して納める着脱自在なトレイを有し、当該トレイを遮光性筐体内に差し込みした状態でセキュリティ情報媒体の識別情報が前記LED照射面に位置して読み取り可能にされていることを特徴とするセキュリティ情報媒体読取装置、にある。
【0012】
上記において、赤外発光LED、紫外発光LED、可視光発光LEDの発光順序を切り替え、かつ組み合わせ発光させるスイッチを有するようにすれば、所望の光源により所定の蛍光発光を観察することができる。また、前記トレイを差し込みした状態でセキュリティ情報媒体読取装置が動作状態になり、トレイを引き出した状態でセキュリティ情報媒体読取装置が待機状態になるようにされている、ようにすればセキュリティ情報媒体読取装置の操作が自動化され簡単になる。
【0013】
また、前記トレイがセキュリティ情報媒体を抑える透明板を有し、当該透明板とトレイの底板の間にセキュリティ情報媒体を挟むようにされていれば、情報媒体を安定して迅速に読み取りできる。
【0014】
上記課題を解決する本発明の要旨の2は、外光を遮光する遮光性筐体内に、セキュリティ情報媒体を照射する各複数個の赤外発光LED、紫外発光LED、可視光発光LEDを、読み取りするセキュリティ情報媒体の照射面に対する鉛直線を中心軸としてその周囲に配置し、かつセキュリティ情報媒体が発する蛍光発光を内蔵する撮像装置により受光して読み取りするセキュリティ情報媒体読取装置において、撮像装置による撮像パターンを発光輝度の強弱により2値化し、閾値以上の輝度を有する画素数の多少により良否の判定を行うことを特徴とするセキュリティ情報媒体読取装置、にある。
【0015】
上記要旨の1または2において、セキュリティ情報媒体は、赤外励起可視蛍光発光材料からなるパターン、紫外励起可視蛍光発光材料からなるパターン、可視光照射により視認可能な材料からなる微細・高精細パターン、のいずれかの組み合わせから構成されているようにすることができ、撮像装置をCCDカメラとすることもできる。
【発明の効果】
【0016】
(1)本発明のセキュリティ情報媒体読取装置は、光源に複数種のLEDを用いているので、異なる励起光を発光することができ、複数の異なる蛍光材料がセキュリティ情報媒体に用いられている場合も、それぞれの蛍光発光を生じさせて真贋識別できる。また、情報媒体のセキュリティ内容が明確ではない場合も、光源を切り替えることにより、いずれかの蛍光を検知して真贋識別できる。
(2)セキュリティ情報媒体を載置して納める着脱自在なトレイを読取装置本体部下面側に有しているので、セキュリティ情報媒体を位置決めしてトレイ内に置き、当該トレイを遮光性筐体内に差し込みして装着した状態でセキュリティ情報媒体の識別情報が前記LED照射面に位置し、確実に真贋識別できる。
【0017】
(3)前記トレイを差し込みした状態でセキュリティ情報媒体読取装置が動作状態になり、トレイを引き出した状態でセキュリティ情報媒体読取装置が待機状態になる場合(請求項3)には、スイッチの切り替え操作が減少し、効率的に作業を行うことができる。
(4)前記トレイがセキュリティ情報媒体を抑える透明板を有する場合(請求項4)は、当該透明板とトレイの底板の間にセキュリティ情報媒体を挟んで安定して読み取りすることができる。また、識別情報の位置決めが容易になる。
(5)撮像装置による撮像パターンを発光輝度の強弱により2値化し、閾値以上の輝度を有する画素数の多少により良否の判定を行う場合(請求項5)では、判定者の主観が入らないので客観的な判断を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、主として赤外励起可視蛍光発光材料からなるパターン、紫外励起可視蛍光発光材料からなるパターン、可視光照射により視認可能な材料からなる微細・高精細パターン、の組み合わせから構成されるセキュリティ情報媒体の読取装置である。主としてとするのは、組み合わせは、いずれか2種のパターンの組み合わせであってもよく、組み合わせではない単独のパターンも勿論読み取り可能だからである。
【0019】
赤外励起可視蛍光発光材料からなるパターンとは、前記のように赤外可視波長上方変換(アップコンバージョン)蛍光体材料を使用したパターンである。また、紫外励起可視蛍光発光材料からなるパターンとは、紫外線により可視光域に蛍光発光する蛍光体材料を使用したパターンである。例えば、特公平2−12196号公報(特許文献6)中の例4等は、紫外線励起可視光発光の蛍光体を有価証券に用いることを記載し、特開平6−297883号公報は、紫外線励起により蛍光を発するバーコード等の情報パターン印刷物、について記載している。いずれも可視光下では、白色または無色であって目視で確認できない程度のものが好ましい。着色していては目視確認可能であり、蛍光色も不純となるからである。なお、各蛍光体材料の詳細については後述する。
【0020】
可視光照射により視認可能な材料からなる微細・高精細パターンとは、ホログラムや光回折格子パターン、あるいはマイクロ文字等を意味する。ホログラムは可視光照射により立体視が可能になり、また特定の色彩を生じることができる。光回折格子パターンの場合も、可視光照射により特定の方向に特定の色彩の回折光を発光する。これらの場合は、ホログラムや光回折格子パターン以外の通常のパターンを混在させたパターンとしておけば、可視光照射により立体視が可能になり、または特定の色彩を呈することにより、セキュリティ情報を含まない偽造品とを識別することができる。
【0021】
以下、本発明のセキュリティ情報媒体読取装置について図面を参照して説明する。
図1は、セキュリティ情報媒体読取装置の概略外観図、図2は、読取装置本体部の鉛直方向断面図、図3は、光源部におけるLEDの配置を示す平面図、図4は、LED切替スイッチ部を示す図、図5は、読取装置本体部からトレイを抜き出した状態を示す図、図6は、LEDに対する電源系統を示す図、図7は、セキュリティ情報媒体の例を示す図、である。
【0022】
図1は、本願セキュリティ情報媒体読取装置の概略外観図である。セキュリティ情報媒体読取装置1は、読取装置本体部2と画像処理用PC(パーソナルコンピュータ)20からなっている。読取装置本体部2と画像処理用PC20はUSBケーブル7で接続されている。読取装置本体部2は内部に図示しない電源装置を備え、本体部用ACアダプタ31に接続している。画像処理用PC20はPC用ACアダプタ32に接続している。
読取装置本体部2は、その下面側部分に差し込み引き出し可能(着脱自在)なトレイ9を有し、セキュリティ情報媒体10を当該トレイ内に固定して、トレイ9を差し込みした状態で情報媒体10がLEDの照射面に位置して読み取り可能にされている。
従って、遮光性筐体3の下面側は完全に遮蔽されており、トレイ9を差し込みした状態で内部は外光から遮断される。
【0023】
読取装置本体部2は、遮光性筐体3内に光源として3種類のLEDと撮像用のCCDカメラを内蔵している。CCDカメラと各LEDは画像処理用PC20のバスパワーに接続可能であるが、バスパワーのみでは電力不足となり易いので、本体部用ACアダプタ31に接続するのが好ましい。3種類のLEDとは、赤外発光LED、紫外発光LED、可視光発光LEDであり、赤外発光LEDは、セキュリティ情報媒体10の赤外励起可視蛍光発光材料を発光させ、紫外発光LEDは、紫外励起可視蛍光発光材料を発光させ、可視光発光LEDは可視光により蛍光を発する蛍光発光材料を発光させる目的である。それぞれ所定の蛍光発光が得られるように複数個のLEDが用いられる。
【0024】
前記のように、LEDに電力を供給する電源装置も遮光性筐体3内に納められているが、レギュレータにより電圧を可変するようにされ、間欠発光させるためにはパルス発生器を使用する。いずれのLEDの場合も、20〜110mA程度の直流電圧が供給される。後述するように、LED切替スイッチを備えることができる。
【0025】
画像処理用PC20は、ディスプレイ(モニター)21と画像処理機能、および画像保存(記憶)と再生機能が必要とされる。汎用機であっても専用機であってもよいが、モニターの表示エリアは、直径10mm程度の円形エリアが表示できれば使用可能である。
バスパワーを供給する場合はUSBコネクタを有しUSB2.0の仕様によりバスパワーを供給できる必要がある。CCDカメラからの画像信号は、USBケーブル7の信号線(D+,D−)を介してPC20に送信される。
パソコンの電源としては、AC100V±10V(50/60Hz)が用いられる。
【0026】
読取装置本体部2は、判定ロジックを組み込んだIC回路と当該IC回路を作動させる接触型スイッチを備え、前記トレイ9が挿入されると、トレイ9が接触型スイッチを押し、IC回路が作動し、PC側へ判定開始の信号を送信して自動的にセキュリティー情報媒体10の読み取りが開始され、OK/NG(良否)の判定が行われる。また、前記トレイ9を引き出しすると、トレイ9が接触型スイッチから離れてIC回路が作動し、PC側へ判定終了の信号を送信して、自動的に待機状態になるようにされている。
接触型スイッチには、ピン押ボタン形、ヒンジ・レバー形等のものを採用できる。
【0027】
遮光性筐体3の外形は、図1のように立方体形状のものであってもよく略円筒状に形成されていてもよい。外光が入らないようにし内面は無反射性にする。
複数種類のLEDの先端は、トレイ9内のセキュリティ情報媒体10に接触するか近接するように配列される。遮光性筐体3は、鉄板やアルミニウム板等の金属材料が好適に用いられるが、遮光性のプラスチック成型体で構成することも好ましい。
【0028】
セキュリティ情報媒体読取装置1の画像処理用PC20側には、真贋判定ボタン23や画像保存ボタン24、終了ボタン25が設けられ、判定結果の表示26がされるようになっている。判定対象マーク種別27や保存ファイル名28が登録されることも好ましい。保存ファイル名28は例えば、「2006年6月18日11時39分05秒、判定OK」のような表示とすることができる。
【0029】
図2は、読取装置本体部の鉛直方向断面図である。図2のように、遮光性筐体3の下面側に接近してLED4が複数個配置される。赤外発光LED4r、紫外発光LED4v、可視光発光LED4gが、それぞれ2個図示されているが、図示の都合のためであって、各LED4の数は、実際にはさらに多数必要となる。充分な照明光を得るために好ましくは、各6個ないし12個程度の数、が適当であることが確認されている。LED4は、照明するセキュリティ情報媒体10の照射部を中心に、当該照射面の鉛直線を中心軸としてその周囲に配置する。好ましくは略円環状に配置するのがよい。
LED4はセキュリティ情報媒体10の識別情報12に接近する方が強い蛍光発光が得られるが、設置位置はLEDの発光強度により適宜に可変する。LED4のレンズ状頭頂部がセキュリティ情報媒体10に接触する位置から、最大で150mm程度離れる位置までに設置できるが、一般的には、10〜30mm程度が最適値となる。
【0030】
セキュリティ情報媒体10は、トレイ9の内側に取り付けされて、上記複数個のLED4からの照射光を受光して蛍光発光するが、発光した蛍光像は遮光性筐体3の上方のレンズ部5Lに到達する。CCDカメラ5のセンサー5Sは、この蛍光像を受光して情報媒体の真偽を判定する。図2では図示してないが、セキュリティ情報媒体10の面には、透明板を載せて、光源に対して位置合わせしたり位置ずれを防止することが行われる。
【0031】
LED4rは赤外発光、LED4vは紫外発光であるため、目で見ても光線は不可視である。ただし、蛍光発光した識別情報12は例えば、緑色等に輝いて見える。LED4gは可視光発光であるので、セキュリティ情報媒体10に用いられている可視蛍光体により選択して使用する。例えば、緑色発光、青色発光、赤色発光であり、それら3色の組み合わせ(3波長白色)にもできる。青色LEDと黄色の蛍光体(2波長白色)を使用した白色LEDであってもよい。緑色発光、青色発光、赤色発光も各種の発光波長のものが市販されている。LEDは位相の揃ったレーザー光と異なり拡散光であるため、直接観察者の目に入っても人体に危害を及ぼすことは少ない。
【0032】
赤外発光LEDとして実用化されているものは、3種類に分類される。第1はGaAs:Si系LED、第2はGaAlAs系LED、第3はGaInAsP系LEDである。GaAs結晶中に添加されたSi系は周期律表で14族元素であるため、ドナーにもアクセプターにもなる両性を示す。どちらになるかは結晶成長温度などの成長条件によって決まり、pn接合形成にはこの性質が利用されている。
【0033】
紫外発光LEDは、青色LEDよりもさらに短波長域の発光であり、日亜化学株式会社やナイトライド・セミコンダクター(徳島県鳴門市)等により市販されている。当該LEDはGaN系の材料からなると見られる。波長350nmのものも実現しているといわれるが出力は、0.1mWと低出力である。市販品としては、波長365nm、出力1.4mW、波長375nm、出力1.5mW、波長385nm、出力3.5mW、波長395nm、出力3.0mW等のものがある。
【0034】
蛍光発光像は、肉眼でも観察可能であるが、本発明ではCCDカメラ5を用いて受光する。セキュリティ情報媒体の蛍光発光をレンズ部5Lで集光して、可視光域に感度があるCCDカメラ5のCCDセンサー5Sに入力する。CCDカメラ5はUSB対応機種を使用し、USB2.0のバスパワーにより駆動可能なものとする。レンズ部5Lはズーム機能を有するのが好ましいが、PC側でデジタル画像処理してもよい。
200万画素のカラーUSB2.0対応CCDセンサーとしては、Artray Co.,Ltdの「ARTCAM200SH」があり、同じく507万画素のものとして「ARTCAM500P」がある。
【0035】
識別情報12は、セキュリティ情報媒体10の面上で直径10mm程度の円形エリアサイズにまとめられているのが適切である。識別情報12が10mm程度よりも大きくなると単位面積あたりの照射光量が減少し蛍光像が見難くなるからであり、逆に識別情報12が10mm程度よりも小さくなると情報媒体上のセキュリティ印刷面積を過小にしなくてはならないからである。従って、この程度の面積であれば、より低画素数のセンサーであってもよい。カメラ分解能としては水平方向640ドット、垂直方向480ライン程度の分解能が実現できれば使用できる。
【0036】
CCDセンサー5Sに適宜な焦点距離のレンズ部5Lを装着して、CCDカメラ5として使用する。所定の蛍光発光のみを観察する場合は、他の色光を遮蔽する光学ガラスまたはゼラチンフィルターを使用する。フィルターはカメラレンズ部5Lの前面等の光路に切り替え可能に取り付けする。必要な光学フィルターは観察する色光とカットする色光とにより選択する。所望の像を高コントラストで見えるようにするフィルターが好ましい。
例えば、イーストマンコダック社のラッテンフィルターシリーズから選択できる。色分解用のB(青)、G(緑)、R(赤)フィルターを使用してもよい。
【0037】
図示していないが、LED4とセキュリティ情報媒体10の間に集光レンズを挿入してもよい。これにより識別情報12に対する照明強度を上げることができる。多数のLEDを使用する場合、LED集合群の発光を効率よく集光するためには集光レンズを設けるのが好ましい。集光レンズの挿入により遮光性筐体3の縦寸法は拡大される。
【0038】
図3は、光源部におけるLEDの配置を示す平面図である。図3のように、遮光性筐体3の内面に嵌合する配線基板8を設け、その中心部に円形開口8pを設ける。円形開口8pを通して発光した蛍光像がCCDカメラ5に達するようにするためである。
LED4r,4v,4gは当該開口8pの周囲に適宜に配置できる。各発光LEDが偏在しないように循環して配置するのが好ましい。LED4を取り付けする配線基板8等も市販されているので、当該基板の中心に円形開口8pを穿って使用することができる。
図3の場合は、各4個のLED4r,4g,4vが配列している例であるが、発光輝度等により各LEDの数は調製する。実際にはより多数が好ましい。
円形開口8p内の数字「1」は情報媒体10の識別情報12であって、例えば、赤外励起により緑色に輝く蛍光発光文字を意味する。配線基板8の外寸は遮光性筐体3の内寸に合わせる。また、円形開口8pの径は、15mm〜30mm程度とする。
【0039】
CCDカメラ5により読み取られた画像データは、USBケーブル7を介して画像処理用PC20に送信される。PCは内蔵する画像ソフトウェアにより、画像を拡大または縮小して観察できるようにされている。また、各読取画像はメモリに記憶保存し、必要により随時読み出し(再生)できるようにされる。
セキュリティー情報媒体10の識別情報12の撮像パターンを画像処理用PC20のディスプレイ21に表示し、PC内部の判定ロジックを用い、取り込んだCCDカメラ5の撮像パターンを画素毎の発光輝度の強弱により2値化し、閾値以上の輝度を有する有効面積の大小(モニタディスプレイ21面では画素数の多少)によりOK/NG(良否)の判定を行わせることができる。発光輝度は、例えば、8bitsで表される場合は、最大値と最小値はそれぞれ255と0になるように変換する。
【0040】
図4は、LED切替スイッチ部を示す図である。LED切替スイッチ62等は遮光性筐体3の側面等に取り付けする。電源スイッチ61の「ON」「OFF」によりLEDの発光が可能になるが、読み取りの開始自体は、前記のようにトレイ9の着脱に伴い行われるのが好ましい。また、LED切替スイッチ62をプッシュすることにより、IR(赤外)、UV(紫外)、VIS(可視光)表示ランプ63が点灯するようにされている。
単一のLEDのみの発光に限らず、2種または3種のLEDが同時発光するようにしてもよい。もっとも単一種類の情報媒体を連続して読み取りする場合は、蛍光体の種類が限定されるので光源を切り替える頻度は少なくなる。
以上の実施形態の一部は、特許文献9(特願2006−008135)にも記載されている内容である。以下、本願の特徴についてさらに述べる。
【0041】
図5は、読取装置本体部からトレイを抜き出した状態を示す図である。トレイ9の内側には、セキュリティー情報媒体10が納められ、トレイ9を読取装置本体部2に差し込みした際に、識別情報12部分がLED光源の直下に位置するようにされている。このとき、前記のようにトレイ9が接触型スイッチに接触して、読み取り動作が開始される。
【0042】
セキュリティー情報媒体10の識別情報12の位置決めを容易にするためと、セキュリティー情報媒体10を挟んでトレイ9の底板側に抑えつける目的で、トレイ9には透明板15が開閉可能に設けられる。透明板15はセキュリティー情報媒体10の全体を覆う面積である必要はないが、トレイ9の着脱によって、セキュリティー情報媒体10が移動したり反り返って遮光性筐体3内に引っかかることがない程度の大きさが必要となる。
透明板15には、LED光源の直下位置になる部分を示す基準線16を設けることが好ましい。これにより、トレイ9に対するセキュリティー情報媒体10の識別情報12部分の位置決めを容易にすることができる。
【0043】
透明であれば可視光線を通常遮断しないが、透明板15は、さらに紫外線や赤外線を遮断しない性質であることが好ましい。このため、透明板15には紫外線透過ガラスや紫外線透過アクリル板等のプラスチック板を使用することが好ましい。赤外線も特に処理しない限り一般的には遮断しない。もっとも、透明板15の識別情報12部分を当該大きさの円形等にくり抜く(直径10〜15mm程度)ようにしておけば、紫外線等の吸収問題を考慮する必要はない。厚みは、1.0mm程度以下のものが好ましい。
【0044】
図6は、LEDに対する電源系統を示す図である。LEDに対する電源は、図6のようにパルス発生器64に対して、各n個の赤外発光LED4r,4v,4gを接続する。各LEDの数は同一の数にする必要はなく、輝度等により調製する。LED4の内部抵抗が小さいので直列に抵抗R(Rr,Rv,Rg)を接続するのが好ましい。
電源には、USBバスパワーまたは商用電源(交流100V)を直流に整流して使用できるが、乾電池等を用いてもよい。LED4r,4v,4gの数が多い場合はUSBバスパワーでは電力不足となる。
【0045】
次に、セキュリティ情報媒体について説明する。図7は、セキュリティ情報媒体10の例を示す図である。図7(A)は、基材11面に可視蛍光発光インキによる固定識別情報12が全面に設けられている例である。この場合、固定識別情報12は、赤外励起可視発光、紫外励起可視発光、可視光発光の蛍光体が混在するものであってもよい。
図7(B)は、基材11面に異なる可視蛍光発光インキによる固定識別情報12a,12b,12cが部分的に設けられている例である。可視蛍光発光インキがホログラムやマイクロ文字を含む微細・高精細パターンからなっていてもよい。
図7(C)は、基材11面に異なる可視蛍光発光インキによる可変識別情報13a,13bと、オフセット印刷等により印刷された蛍光色素ではない固定情報14が設けられている例である。
【0046】
これらの識別情報12の域は前記のように、セキュリティ情報媒体10の面上で直径、10mm程度の円形エリアサイズが適切である。
なお、固定識別情報とは、マークや商標、商品名等のセキュリティ情報媒体10に共通の不変情報をいい、可変識別情報とは、シリアル番号、製造ナンバー、不定文字表示等のセキュリティ情報媒体10毎に変化する情報のことである。従って、可視蛍光発光インキによる情報は固定識別情報であっても可変識別情報であってもよい。蛍光発光によりその特徴が認識できれば良いからである。
【0047】
情報媒体の基材11としては、特に限定されず、例えば、普通紙、上質紙、コート紙、トレーシングペーパ、各種プラスチック等、いずれの材質のシートであっても良く、また、立体成型物でも良い。形状的には、カード、パスポート、商品券、証明書、チケット、カタログ、カメラ、電子部品、コンピュータ機器、家電製品、等であっても構わない。
【0048】
本発明において、可視蛍光発光インキには、第1に無機蛍光色素であって主に赤外線を吸収し、アップコンバージョン蛍光発光する希土類元素含有微粒子を分散した印刷インキがあり、第2に無機または有機蛍光色素であって紫外線を吸収して可視光蛍光発光する材料を分散した印刷インキがある。第3に同様に、無機または有機蛍光色素であって可視光を吸収して可視光蛍光発光する材料を分散した印刷インキがある。
【0049】
赤外線吸収、アップコンバージョン発光する希土類元素含有微粒子には、Ca、Ba、Mg、Zn、Cdなどの酸化物、硫化物、ケイ酸塩、リン酸塩、タングステン酸塩などの結晶を主成分とし、Mn、Zn、Ag、Cu、Sb、Pbなどの金属元素もしくはランタノイド類などの希土類元素を活性剤として添加して焼成して得られる顔料を用いることができる。具体的には、YF3 :Er,Yb、ZnGeO:Mn、YO:Eu、Y(P、V)O:Eu、NaLnF4 :Er、YOSi:Eu、YLiF4 :Er等、がある。
【0050】
このアップコンバージョン発光する希土類元素としては、一般的には3価のイオンとなる希土類元素を挙げることができ、中でもエルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、プラセオジム(Pr)、ツリウム(Tm)、ネオジム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)およびセリウム(Ce)からなる群から選択される少なくとも1つ以上の希土類元素が好ましく用いられる。
【0051】
アップコンバージョン発光する希土類元素の励起波長としては、例えば、700nm〜2000nmの範囲内の波長であり、中でも800nm〜1600nmの範囲内の波長であることが好ましい。このようにアップコンバージョン発光が可能な希土類元素を用いたものは、エネルギーの高い光、例えば紫外光等で励起する必要がない。
そして発光波長は、検出の容易さから通常は可視光であることが好ましいので、アップコンバージョン発光の場合はこれより波長の長い赤外光が励起光として用いられる。
好適態様に用いられる希土類元素は、上述したように所定の範囲内の波長の光により励起されてアップコンバージョン発光することが可能な希土類元素であれば特に限定されない。また、希土類元素は、1種類で用いても、2種類以上同時に用いてもよい。
【0052】
紫外線を吸収して可視光蛍光発光する材料には、CaWO4 、Zn2 SiO4 :Mn、Y2 3 :Eu、Mg6 As2 11:Mn、Y3 Al5 12:Ce、ZnS:Ag、ZnO:Zn、Gd2 2 S:Tb、Y2 2 S:Eu、SrAl2 4 :Eu,Dy等の無機蛍光顔料やベンゾオキサジン誘導体、ユーロピウム錯体等の有機蛍光染料および有機金属錯体等を使用することができる。一般に、無機蛍光顔料よりも有機蛍光染料や有機金属錯体が発光効率が高いと言われる。
【0053】
可視蛍光発光インキは、上記のような材料を、バインダー樹脂に分散したインキである。インキは、シルクスクリーン印刷インキ、オフセット印刷インキ、活版印刷インキ、グラビア印刷インキとすることができ、また、熱溶融転写リボン、すなわち熱転写プリント用インキリボンの形態としてもよい。
バインダー樹脂には、耐磨耗性、透明性、硬度等に優れたバインダー樹脂を適宜用いることができる。具体的には、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、繊維素系樹脂、塩化ゴム系樹脂等を挙げることができる。また、アクリル系モノマー等の電離放射線照射により架橋硬化する樹脂等を用いることもできる。
【実施例】
【0054】
セキュリティ情報媒体読取装置1を、図1の外観図のように構成した。遮光性筐体3をアルミニウム板で立方体状に形成し、内面は黒色の無反射発泡ゴムシート貼りにした。
セキュリティ情報読取装置1の鉛直方向断面は、図2のように、中空構造の遮光性筐体3の中段に配線基板8を設け、当該配線基板8の中心部に開口を穿ち、その周囲に各6個の赤外発光LED4r、紫外発光LED4v、可視光発光LED4g、を配置した。
なお、赤外発光LED(コーセイ電子株式会社製「EL−1L7」)4rは、GaAs(砒化ガリウム)からなるもので、ピーク発光波長940nmのものを使用し、紫外発光LED(日亜化学「NSHU590A」)4vには、ピーク発光波長375nmのものを使用し、可視光発光LED4gには、ピーク発光波長525nm(緑色)のものを使用した。
【0055】
開口8pは直径が20mm程度となるようにし(図3参照)、当該開口8pの周囲に、上記18個のLED4を略円環状になるように種類毎に循環配列し、かつLED4の先端が円形環状の中心方向を向くように、多少傾けて取り付けした(図2参照)。また、LED4のレンズ頭頂部がセキュリティ情報媒体10面から20mmの位置になるように配置した。これにより、各LED4は、読み取りするセキュリティ情報媒体10の識別情報12の照射面中心に対する鉛直線を中心軸としてその周囲に配置されるようになった。
各LED4には電圧調整のための抵抗Rと配線を接続し、読み取りの妨げとならないように遮光性筐体3の内側面に納めた。従って、セキュリティ情報媒体10から生じる蛍光発光は、直径20mmの開口8pを通して、CCDカメラ5のレンズ部5Lに到達することになる。
【0056】
遮光性筐体3の下面側に幅18mmのトレイ9の挿入口を設け、アルミ板製トレイ9が遮光性筐体3から着脱自在(差し込み引き出しが可能)になるようにした。
トレイ9は、A5判サイズ程度の商品券等が納まる大きさにし、表面を無反射発泡ゴムシート貼りにした。トレイ9に商品券等(セキュリティー情報媒体)10を載置した状態で、厚み1.0mmの透明アクリル板からなる透明板15が、識別情報12部分を含む商品券等の約半分の面積を覆うように、かつ片側(奥側両端)をヒンジで固定して開閉可能なように設けた。なお、透明板15の識別情報12に相当する部分には直径15mmの円形の開口を設けた。当該開口に識別情報12部分がLED照射面の中心位置となることを表示する基準線16を、透明板15の当該位置部分に縦横の赤線で書き入れした。
【0057】
セキュリティ情報媒体10として、上質紙を基材11とし、これに赤外励起蛍光発光と紫外励起蛍光発光の蛍光体微粒子と、それらを保持する透明バインダーからなるシルクスクリーン印刷インキにより、所定の固定識別情報12を、直径10mmの範囲内に、厚み5〜8μmになるようにスクリーン印刷したものを用いた。なお、赤外励起と紫外励起の蛍光剤はいずれも緑色蛍光発光するものである。
インキ組成中における蛍光体含有量は、10〜30質量%とした。また、前記バインダーには、ワックス、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、を単独または混合して使用できるものであるが、実施例の場合は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を使用したものである。
【0058】
上記のセキュリティ情報媒体10を、先に製作したセキュリティ情報媒体読取装置1の読取装置本体部2のトレイ9内に、識別情報12部分がLED照射面の中心位置となるように透明板15の前記開口内に調整してから、LED4をパルス幅tw=100μsec(周期T=10msec)の条件で間欠照射すると、反射光がレンズ部5Lを通してCCDカメラ5に受光され、所定の識別情報12が緑色に蛍光発光するのを、画像処理用PC20のモニターに表示することができた。モニター画像をPCのメモリーに記憶保存し、後日、再表示(再生)することも容易にできた。
【0059】
また、画像処理用PC内部の判定ロジックを用い、取り込んだCCDカメラ5の撮像パターンを発光輝度の強弱により2値化し、所定の閾値以上(例えば8bitsで128以上)の輝度をモニタディスプレイ21面上に表示し、表示された画素数の多少(画素数256以上)によりOK/NG(良否)の判定を行うことができた。なお、前記画素数はPC内部のプログラムにより計数可能である。
【0060】
この種の読み取り試験は従来、専ら外部光の影響の少ない暗室等で行う必要があったが、本発明のセキュリティ情報媒体読取装置は遮光性筐体を備えているので、明るい室内環境でも容易に読み取り試験を行うことが可能であった。
また、PCのモニター面で反復して繰り返し観察できるので、真偽判定に問題が生じた場合にも、判定の当否を後日改めて確認することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】セキュリティ情報媒体読取装置の概略外観図である。
【図2】読取装置本体部の鉛直方向断面図である。
【図3】光源部におけるLEDの配置を示す平面図である。
【図4】LED切替スイッチ部を示す図である。
【図5】読取装置本体部からトレイを抜き出した状態を示す図である。
【図6】LEDに対する電源系統を示す図である。
【図7】セキュリティ情報媒体の例を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 セキュリティ情報媒体読取装置
2 読取装置本体部
3 遮光性筐体
4 LED
5 CCDカメラ
7 USBケーブル
8 配線基板
9 トレイ
10 セキュリティ情報媒体
11 基材
12 識別情報
13 可変識別情報
14 固定情報
15 透明板
16 基準線
20 画像処理用PC(パーソナルコンピュータ)
21 ディスプレイ
31 本体部用ACアダプタ
32 PC用ACアダプタ
61 電源スイッチ
62 切替スイッチ
63 表示ランプ
64 パルス発生器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外光を遮光する遮光性筐体内に、セキュリティ情報媒体を照射する各複数個の赤外発光LED、紫外発光LED、可視光発光LEDを、読み取りするセキュリティ情報媒体の照射面に対する鉛直線を中心軸としてその周囲に配置し、かつセキュリティ情報媒体が発する蛍光発光を、内蔵する撮像装置により受光して読み取りするセキュリティ情報媒体読取装置において、前記遮光性筐体は前記読み取りするセキュリティ情報媒体を載置して納める着脱自在なトレイを有し、当該トレイを遮光性筐体内に差し込みした状態でセキュリティ情報媒体の識別情報が前記LED照射面に位置して読み取り可能にされていることを特徴とするセキュリティ情報媒体読取装置。
【請求項2】
赤外発光LED、紫外発光LED、可視光発光LEDの発光順序を切り替え、かつ組み合わせ発光させるスイッチを有することを特徴とする請求項1記載のセキュリティ情報媒体読取装置。
【請求項3】
前記トレイを差し込みした状態でセキュリティ情報媒体読取装置が動作状態になり、トレイを引き出した状態でセキュリティ情報媒体読取装置が待機状態になるようにされていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のセキュリティ情報媒体読取装置。
【請求項4】
前記トレイがセキュリティ情報媒体を抑える透明板を有し、当該透明板とトレイの底板の間にセキュリティ情報媒体を挟むようにされていることを特徴とする請求項1記載のセキュリティ情報媒体読取装置。
【請求項5】
外光を遮光する遮光性筐体内に、セキュリティ情報媒体を照射する各複数個の赤外発光LED、紫外発光LED、可視光発光LEDを、読み取りするセキュリティ情報媒体の照射面に対する鉛直線を中心軸としてその周囲に配置し、かつセキュリティ情報媒体が発する蛍光発光を内蔵する撮像装置により受光して読み取りするセキュリティ情報媒体読取装置において、撮像装置による撮像パターンを発光輝度の強弱により2値化し、閾値以上の輝度を有する画素数の多少により良否の判定を行うことを特徴とするセキュリティ情報媒体読取装置。
【請求項6】
セキュリティ情報媒体が、赤外励起可視蛍光発光材料からなるパターン、紫外励起可視発光材料からなるパターン、可視光照射により視認可能な材料からなる微細・高精細パターン、のいずれかの組み合わせから構成されていることを特徴とする請求項1または請求項5記載のセキュリティ情報媒体読取装置。
【請求項7】
前記撮像装置がCCDカメラであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1の請求項記載のセキュリティ情報媒体読取装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−328551(P2007−328551A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−159188(P2006−159188)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】