説明

セパレーター用工具

【課題】コンクリート構造物の建築の際に多用されている型枠にセパレーターを締結する作業を容易なものとするためのセパレーター用工具を提供すること。
【解決手段】本発明では、型枠(22)の間に配設されたセパレーター(23)を型枠(22)に締結するためのセパレーター用工具(1)において、セパレーター(23)の外周部に形成されたギヤ部(24)に噛合させるための一対の無端状のチェーン(駆動チェーン3と従動チェーン4)を開閉可能に対向配置することにした。また、一方のチェーン(駆動チェーン3)に駆動機構5を接続するとともに、一対のチェーン(駆動チェーン3と従動チェーン4)の間に連動機構6を介設することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型枠の間に配設されたセパレーターを型枠に締結するために使用するセパレーター用工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンクリート製の構造物は、一対の型枠の間にセパレーターを取付けて一定の間隔を保持し、その中にコンクリートを打設して建築する。
【0003】
その際に、型枠にセパレーターを締結する作業を行う必要がある。このセパレーターを型枠に締結する作業においては、型枠の間に配設されたセパレーターに対して型枠の外方又は型枠の上方から締結作業を行っている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−132682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、型枠の外方に他の構造物が存在している場合や、型枠の高さが高く深い位置のセパレーターを締結する場合などにおいては、作業者が作業するのに十分なスペースが確保できず、セパレーターの締結作業が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、請求項1に係る本発明では、型枠の間に配設されたセパレーターを型枠に締結するためのセパレーター用工具において、セパレーターの外周部に形成されたギヤ部に噛合させるための一対の無端状のチェーンを開閉可能に対向配置することにした。
【0007】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、一方のチェーンに駆動機構を接続するとともに、一対のチェーンの間に連動機構を介設することにした。
【発明の効果】
【0008】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0009】
すなわち、本発明では、型枠の間に配設されたセパレーターを型枠に締結するためのセパレーター用工具において、セパレーターの外周部に形成されたギヤ部に噛合させるための一対の無端状のチェーンを開閉可能に対向配置することにしているために、セパレーターのギヤ部に一対のチェーンを噛合させ、一対のチェーンを回転させることで、セパレーターを型枠に締結することができるので、セパレーターの締結作業を容易なものとすることができる。
【0010】
特に、一方のチェーンに駆動機構を接続するとともに、一対のチェーンの間に連動機構を介設することにした場合には、セパレーター用工具の構造を簡単なものとすることができ、セパレーター用工具を安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るセパレーター用工具を示す正面図。
【図2】同正面断面図。
【図3】同左側面図。
【図4】セパレーターを示す側面図(a)、断面図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係るセパレーター用工具の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1〜図3に示すように、セパレーター用工具1は、本体2に一対の無端状のチェーン(駆動チェーン3と従動チェーン4)を開閉可能に対向配置し、駆動チェーン3に駆動機構5を接続するとともに、駆動チェーン3と従動チェーン4との間に連動機構6を介設している。
【0014】
本体2は、前後一対の略横向きT字型の駆動側本体7,7に前後一対の略I字型の従動側本体8,8を開閉(回動)可能に取付けている。ここで、駆動側本体7は、上下に伸延する支持部9の中途部左側に左右に伸延する連結部10を形成し、支持部9で駆動チェーン3を回動自在に支持するとともに、連結部10で連動機構6を支持し、連結部10の先端部に従動側本体8の中途部を回動自在に支持している。また、従動側本体8は、上下に伸延する把持部11の下端に上下に伸延する支持部12を形成し、把持部11で作業者が把持できるようにするとともに、支持部12で従動チェーン4を支持している。
【0015】
駆動チェーン3は、駆動側本体7,7の上端部間に回動自在に取付けた駆動スプロケット13と駆動側本体7,7の下端部間に回動自在に取付けた転動スプロケット14とに巻回するとともに、駆動側本体7,7の中途部間に回動自在に取付けた連動スプロケット15にも巻回している。
【0016】
従動チェーン4は、従動側本体8,8の中途部間に回動自在に取付けた従動スプロケット16と従動側本体8,8の下端部間に回動自在に取付けた転動スプロケット17とに巻回している。
【0017】
駆動機構5は、駆動側本体7の上端部にハンドル18を回動自在に取付け、ハンドル18の基端部を駆動スプロケット13に連結している。
【0018】
連動機構6は、駆動側本体7に駆動ギヤ19と反転ギヤ20と従動ギヤ21とを順に噛合させた状態で回動自在に取付け、駆動ギヤ19に連動スプロケット15を連結するとともに、従動ギヤ21に従動スプロケット16を連結している。
【0019】
これにより、セパレーター用工具1は、駆動機構5のハンドル18を回すことで、駆動スプロケット13を介して駆動チェーン3を回転させることができる。また、駆動チェーン3の回転に伴って、連動スプロケット15が回転し、連動機構6の駆動ギヤ19と反転ギヤ20と従動ギヤ21とを順に介して従動スプロケット16が回転し、従動チェーン4を回転させることができる。
【0020】
このセパレーター用工具1は、図4に示すように、型枠22の所要位置に配設されたセパレーター23を型枠22に締結する際に使用される。セパレーター23には、予め外周部に一対のチェーン(駆動チェーン3と従動チェーン4)に噛合するギヤ部24が形成されている。そして、作業者が把持した従動側本体8,8を駆動側本体7,7に対して開閉することで一対のチェーン(駆動チェーン3と従動チェーン4)を開閉させて、駆動チェーン3と従動チェーン4とでセパレーター23のギヤ部24を挟みながら噛合させ、ハンドル18を回転操作することで、セパレーター23を回転させて型枠22に締結する。なお、型枠22とセパレーター23との締結は、図4に示すように、セパレーター23の端部に接続したPコン25にナット26を締結する場合に限られず、型枠22に取付けた締結具にセパレーター23を上方から落とし込んでセパレーター23を締結具に締結するようにしてもよい。
【0021】
以上に説明したように、上記セパレーター用工具1は、セパレーター23の外周部に形成されたギヤ部24に噛合させるための一対の無端状のチェーン(駆動チェーン3と従動チェーン4)を開閉可能に対向配置した構成となっている。
【0022】
そのため、上記構成のセパレーター用工具1では、セパレーター23のギヤ部24に一対のチェーン(駆動チェーン3と従動チェーン4)を噛合させ、一対のチェーン(駆動チェーン3と従動チェーン4)を回転させることで、セパレーター23を型枠22に締結することができるので、セパレーター23の締結作業を容易なものとすることができる。
【0023】
また、上記セパレーター用工具1は、一方のチェーン(駆動チェーン3)に駆動機構5を接続するとともに、一対のチェーン(駆動チェーン3と従動チェーン4)の間に連動機構6を介設した構成となっている。
【0024】
そのため、上記構成のセパレーター用工具1では、構造を簡単なものとすることができ、セパレーター用工具1を安価に製造することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 セパレーター用工具 2 本体
3 駆動チェーン 4 従動チェーン
5 駆動機構 6 連動機構
7 駆動側本体 8 従動側本体
9 支持部 10 連結部
11 把持部 12 支持部
13 駆動スプロケット 14 転動スプロケット
15 連動スプロケット 16 従動スプロケット
17 転動スプロケット 18 ハンドル
19 駆動ギヤ 20 反転ギヤ
21 従動ギヤ 22 型枠
23 セパレーター 24 ギヤ部
25 Pコン 26 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠の間に配設されたセパレーターを型枠に締結するためのセパレーター用工具において、
セパレーターの外周部に形成されたギヤ部に噛合させるための一対の無端状のチェーンを開閉可能に対向配置したことを特徴とするセパレーター用工具。
【請求項2】
一方のチェーンに駆動機構を接続するとともに、一対のチェーンの間に連動機構を介設したことを特徴とする請求項1に記載のセパレーター用工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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