説明

セフジトレンを含むナノ粒子状および制御放出組成物

本発明は、感染症および関連する状態の治療および予防に有用なセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルを含む組成物を提供する。本発明は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態および少なくとも1つの表面安定剤を含むナノ微粒子状粒子を含む組成物を提供する。ナノ微粒子状粒子は、有効平均粒径が約2000nm未満である。本発明は、また、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、またはそれを含むナノ粒子をパルスまたは連続様式で送達する組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感染症および関連する状態の予防および治療のための組成物および方法に関する。特に、本発明は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルを含む組成物、および当該組成物を製造および使用するための方法に関する。本発明の1実施形態において、該組成物は、ナノ粒子状であり、少なくとも1つの表面安定剤をさらに含む。本発明は、また、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルの制御送達のための新規の剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
化学的には(−)−(6R,7R)−2,2−ジメチルプロピオニルオキシメチル7−[(Z)−2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−メトキシイミノアセトアミド]−3−[(z)−2−(4−メチルチアゾール−5−イル)エテニル]−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクト−2−エン−2−カルボキシレートとして知られるセフジトレンピボキシルは、経口送達可能な第3世代のセファロスポリンである。実験式は、C2528であり、分子量は、620.73である。
【0003】
セフジトレンピボキシル(cefditoren pivoxil)の化学構造を以下に示す。
【0004】
【化1】

【0005】
セフジトレンピボキシルは、経口投与のための半合成セファロスポリン抗生物質である。それは、吸収中に、胃および小腸において胃腸エステラーゼによって加水分解されて、活性セフジトレンを形成するプロドラッグである。セフジトレンは、循環血液で配給される。臨床用途に向けて開発された非晶質形態のセフジトレンピボキシルは、淡黄色の粉末である。それは、希塩酸に無制限に溶解し、エタノールには6.06mg/mL、水には0.1mg/mL未満に相当するレベルで溶解する。
【0006】
セフジトレンピボキシルは、登録商標名SPECTRACEF(登録商標)でTAP Pharmaceuticals Inc.によって市販されている剤形の一部として投与され得る。SPECTRACEF(登録商標)錠剤は、セフジトレンピボキシルとしての200mgのセフジトレン、およびクロスカルメロースナトリウム、カゼイン酸ナトリウム(牛乳タンパク質)、D−マンニトール、ステアリン酸マグネシウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースのような不活性成分を含有する。錠剤コーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、二酸化チタン、ポリエチレングリコールおよびカルナウバ蝋を含有する、錠剤は、FD&CブルーNo.1、D&CレッドNo.27、シェラックおよびプロピレングリコールを含有するインクでプリントされる。
【0007】
セフジトレンピボキシルは、インフルエンザ菌(β−ラクタマーゼ産性株を含む)、パラインフルエンザ菌(β−ラクタマーゼ産性株を含む)、肺炎連鎖球菌(ペニシリン感受性株のみ)またはモラクセラカタラーリス(β−ラクタマーゼ産性株を含む)によって引き起こされる慢性気管支炎の急性細菌性増悪;インフルエンザ菌(β−ラクタマーゼ産性株を含む)、パラインフルエンザ菌(β−ラクタマーゼ産性株を含む)、肺炎連鎖球菌(ペニシリン感受性株のみ)またはモラクセラカタラーリス(β−ラクタマーゼ産性株を含む)によって引き起こされる市中感染性肺炎;化膿連鎖球菌によって引き起こされる咽頭炎/扁桃炎;および黄色ブドウ球菌(β−ラクタマーゼ産性株を含む)または化膿連鎖球菌によって引き起こされる無併発性皮膚および皮膚構造感染症のような状態における一定の微生物の感受性株によって引き起こされるヒトにおける軽度または中程度の感染症の治療に対して指示される。
【0008】
セファロスポリン化合物およびそれらの使用は、例えば、参照により本明細書に組み込まれている「セファロスポリン化合物およびそれらの製造方法」(Cephalosporin Compounds and the Production Thereof)についての米国特許第4,839,350号、「セフェム化合物」(Cephem Compounds)についての米国特許第4,918,068号および「経口投与のための抗菌性化合物」(Antibacterial Composition for Oral Administration)についての米国特許第5,598,915号に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
セフジトレンは、経口摂取された場合は低い生物学的利用能を示すため、セフジトレンピボキシルは、一般には、吸収を高めるために食物とともに摂取されるように処方される。また、従来のセフジトレンピボキシル錠剤は、細菌感染症の治療のために、一般には、1日3回投与されなければならない。本発明は、セフジトレンの低い生物学的利用能を克服し、製品を食物とともに摂取する必要性を解消する、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルを含有するナノ粒子組成物を提供することによって当該問題に対処する。本発明は、また、セフジトレンを1日2回以上摂取する必要性を解消することによって、患者の利便性および服薬遵守を向上させるセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルを含有する制御放出組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、(A)セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルと、(B)少なくとも1つの表面安定剤とを含むナノ粒子組成物に関する。該組成物は、場合によって、薬学的に許容される担体および任意の所望の賦形剤も含むことができる。表面安定剤をそのナノ微粒子状粒子の表面に吸着または会合させることができる。そのナノ微粒子状粒子は、約2,000nm未満の有効平均粒径を有する。本発明の好ましい剤形は、固体の剤形であるが、任意の薬学的に許容される剤形を利用することができる。
【0011】
本発明の好ましい剤形は、固体剤形であるが、任意の薬学的に許容できる剤形を利用することができる。
本発明の1実施形態は、対象への投与の後のセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の薬物動態プロファイルが、対象の摂食状態または絶食状態に影響されないセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルを含むナノ粒子組成物を包括する。
【0012】
さらに他の実施形態において、本発明は、絶食状態の対象への組成物の投与が、摂食状態の対象への組成物の投与と生物学的に同等であるセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルを含むナノ粒子組成物を包括する。
【0013】
本発明の他の実施形態は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルを含むとともに、感染症および他の関連する状態の予防および治療に有用な1つまたは複数のさらなる化合物を含むナノ粒子組成物に向けられる。
【0014】
本発明は、さらに、独創的なナノ粒子組成物を製造する方法を提供する。当該方法は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルを含む安定したナノ粒子組成物を提供するのに十分な時間および条件下で、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルを含むナノ微粒子状粒子を少なくとも1つの表面安定剤と接触させることを含む。
【0015】
本発明は、また、本明細書に開示されている新規のナノ粒子組成物を使用する感染症および他の関連する疾患の予防および治療を含むが、それに限定されない治療方法を対象とする。かかる方法は、上記組成物の治療有効量を患者に投与するステップを含む。本発明のナノ粒子組成物を用いるその他の治療方法は、当業者には知られている。
【0016】
本発明は、さらに、連続して与えられるセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグまたは他の形態の2つ以上のIR剤形の投与によって生成される血漿プロファイルと実質的に類似した血漿プロファイルを作用中に生成するセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルを含む制御放出組成物に関する。セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を、少なくとも1つの表面安定剤をも含むナノ微粒子状粒子に含有させることができる。
【0017】
即時放出(IR)剤形が定期的間隔で投与される従来の高頻度の投与計画は、一般的にパルス型の血漿プロファイルを生じさせる。この場合、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の濃度のピークが、連続的な投与時点の間に展開する谷(セジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の低濃度の領域)とともに各IR投与量の投与後に観察される。かかる投与計画(およびその結果生ずるパルス型の血漿プロファイル)は、それに付随する特定の薬理学的効果および治療効果を有する。例えば、ピーク間の活動性の血漿濃度の減退によって与えられる休薬期間は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態に対する患者の耐容性を減少させるまたは妨げる要因であると考えられてきた。
【0018】
本発明は、さらに、連続して与えられる薬物の2つ以上の剤形の投与によって生成される「ピーク」および「谷」を解消する血漿プロファイルを、当該プロファイルが有益であれば作用中に生成するセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルを含む制御放出組成物に関する。この種のプロファイルは、連続送達を可能にする制御放出機構を用いて得ることができる。セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を、少なくとも1つの表面安定剤をも含むナノ微粒子状粒子に含有させることができる。
【0019】
本明細書で開示されているものと類似した調節制御放出多粒子組成物が、両方共参照により本明細書に組み込まれているDevaneらの米国特許第6228398号および第6730325号に開示され、特許請求されている。この分野の関連する先行技術のすべてをそこで見出すこともできる。
【0020】
本発明のさらなる目的は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシル、またはそれを含有するナノ粒子をパルス様式または連続様式で作用中に送達する制御放出組成物を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、連続的に与えられる2つ以上のIR剤形の投与によって生ずる薬理効果および治療効果を実質的に模倣する制御放出組成物を提供することである。
本発明の他の目的は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルに対する患者の耐容性の発生を実質的に減少または排除する制御放出組成物を提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、二様式(bimodal)で、その中の活性成分を放出する制御放出組成物を提供することである。これは、例えば、組成物の活性成分の最初の部分が投与されるとすぐに放出され、活性成分の第2部分が最初の遅延期間の後急速に放出される組成物において達成することができる。
【0023】
本発明の他の目的は、侵食性製剤、拡散制御製剤、または浸透圧制御製剤としてのセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルの剤形を処方することである。
【0024】
本発明の他の目的は、二様式または多様式で、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルまたはそれを含有するナノ粒子を放出することができる制御放出組成物であって、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはそれを含有するナノ粒子の最初の部分を直ちにまたは遅延時間の後のいずれかに放出して、放出のパルスを提供し、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはそれを含有するナノ粒子の1つまたは複数のさらなる部分をそれぞれの時間のずれの後に放出して最大24時間の間に放出のさらなるパルスを提供する組成物を提供することである。
【0025】
本発明の他の目的は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルを含む制御放出組成物を含む固体の経口用剤形を提供することである。セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を、少なくとも1つの表面安定剤をも含むナノ微粒子状粒子に含有させることができる。
【0026】
本発明の他の目的としては、連続して与えられるセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルの2つの即時放出型剤形投与によって生成される血漿プロファイルと実質的に類似した血漿プロファイルを作用中に生成するその1日1回の剤形および当該剤形の投与に基づく感染症または関連する状態の予防および治療のための方法の提供が挙げられる。セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルを、少なくとも1つの表面安定剤をも含むナノ微粒子状粒子に含有させることができる。
【0027】
上記の目的は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルまたはそれを含有するナノ粒子の第1の集団を含む第1の構成成分、およびセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルまたはそれを含有するナノ粒子の第2の集団を含む第2の構成成分または製剤を有する制御放出組成物によって実現される。その第2の構成成分の成分含有粒子は、放出コーティングまたは放出マトリックス材、またはその両方を含む調節放出構成物質をさらに含む。経口送達の後、該組成物は、作用中、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはそれを含有するナノ粒子をパルス様式または持続様式で送達する。
【0028】
本発明は、以前よりも頻度の低い投与、好ましくは1日1回の投与を可能とし、患者の利便性および服薬遵守を向上させる固体経口投与製剤からのセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルまたはそれを含有するナノ粒子の制御放出送達を利用する。制御放出の機構は、好ましくは、非限定であるが、侵食性製剤、拡散制御製剤および浸透圧制御製剤を利用する。全体投与量の一部を効果の急激な発生を可能にするように直ちに放出させることができる。本発明は、患者の服薬遵守を向上させるのに有用であるため、感染状態の予防および治療を含むが、それらに限定されないセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を必要とするすべての治療に対する治療結果の向上に有用である。このアプローチにより、感染症状の予防および治療における補助療法として1日多数回投与される従来のセフジトレン錠剤および液剤を切り替えることができる。
【0029】
本発明は、また、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルまたはそれを含有するナノ粒子の制御放出のための調節制御放出組成物に関する。特に、本発明は、作用中にセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルまたはそれを含有するナノ粒子を、パルス様式または連続様式で好ましくは最大24時間の間ずっと送達する制御放出組成物に関する。
【0030】
本発明は、さらに、制御放出組成物を含有する固体の経口用剤形に関する。
好ましい制御放出製剤は、侵食性製剤、拡散制御製剤および浸透圧制御製剤である。本発明によれば、全体投与量の一部が直ちに放出されて急速な効果の発現を可能とし、全体投与量の残りの部分が延長された時間にわたって放出されるようにすることができる。本発明は、患者の服薬遵守を向上させるのに有用であるため、感染状態の予防および治療を含むが、それらに限定されないセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を必要とするすべての治療に対する治療結果の向上に有用である。
【0031】
本発明は、また、ナノ微粒子状粒子それ自体が多粒子状粒子を形成している上記タイプの多粒子組成物にも関する。
上記の概要および以下の詳細な説明は、いずれも典型的な説明のためのものであり、特許請求されている本発明のさらなる説明を提供することが意図されている。その他の目的、利点、および新たな特徴は、以下の本発明の詳細な説明から当業者には容易に明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、本明細書において、下記および本出願の全体にわたって示すいくつかの定義を用いて記載している。
本明細書で使用される「約」は、当業者によって理解されており、それが使用される状況でいくらかの範囲で変化する。当業者に明白でない用語の使用がある場合、それが使用される状況に鑑みて、「約」は、その特定の用語のプラスまたはマイナス10%までを意味する。
【0033】
本明細書に用いられるように、「治療有効量」という語句は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態が関連する治療を必要とする多数の対象に投与して明確な薬理反応を提供する投与量を意味するものとする。特定の事例における特定の患者に投与されるセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の治療有効量は、当該投与量が当業者により治療有効量とみなされるけれども、本明細書に記載されている状態の治療に常に有効であるとは限らないことを強調しておく。
【0034】
セフジトレンのプロドラッグに言及する場合に本明細書に用いられる「プロドラッグ」という用語は、対象に対する投与後に、代謝して、活性セフィトレンを形成する化合物を意味する。
【0035】
本明細書で使用される用語「粒子状」とは、それらの大きさ、形状または形態に関係なく、不連続の粒子、ペレット、ビーズまたは顆粒の存在を特徴とする物質の状態を指す。
本明細書で使用される用語「多粒子」とは、それらの大きさ、形状または形態に関係なく、複数の不連続、または凝集した粒子、ペレット、ビーズ、顆粒またはそれらの混合物を意味する。多粒子を含む組成物は、本明細書においては「多粒子組成物」として記載する。
【0036】
用語「ナノ粒子」とは、多粒子であって、その中の粒子の「有効平均粒径」(下記参照)が直径約2000nm(2ミクロン)未満であるものを指す。ナノ粒子を含む組成物は、本明細書においては「ナノ粒子組成物」として記載する。
【0037】
多粒子(例えばナノ粒子)を説明するために本明細書において使用される語句「有効平均粒径」とは、その中の粒子の少なくとも50%が特定の大きさのものであることを意味する。したがって、「直径約2000nm未満の有効平均粒径」は、その中の粒子の少なくとも50%が直径約2000nm未満であることを意味する。
【0038】
「D50」とは、多粒子中の50%の粒子がそれより下の範囲に収まる粒径を指す。同様に、「D90」は、多粒子中の90%の粒子がそれより下の範囲に収まる粒径である。
安定粒子に関して本明細書に用いられているように、「安定」とは、以下のパラメータのいずれかを意味するが、それらに限定されない。(1)粒子は、粒子間引力または経時的な粒径の著しい増加により明らかに凝集または凝塊しないこと;(2)粒子の物理構造は、非晶質相から結晶質相への変換等によって経時変化しないこと;(3)粒子は、化学的に安定していること;および/または(4)セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態が、本発明のナノ粒子の調製において、粒子の融点以上の温度で加熱ステップを受けていない場合。
【0039】
「水溶性に劣る薬物」という語句は、水に対する溶解度が約30mg/ml未満、約20mg/ml未満、約10mg/ml未満または約1mg/ml未満である薬物を意味する。
【0040】
本明細書において使用される用語「調節放出」としては、即時ではない放出が挙げられ、制御放出、持続放出、徐放性放出および遅延放出を含む。
本明細書において使用される用語「時間遅延」とは、本発明の組成物を含む剤形の投与とその特定の構成成分からの活性成分放出の間の時間帯を指す。
【0041】
本明細書において使用される用語「時間のずれ」とは、組成物のある構成成分からの有効成分の放出と、組成物の別の構成成分の有効成分の放出の間の時間を指す。
本明細書において使用される用語「侵食性」とは、体内の物質の作用によって摩滅、減少、または分解され得る製剤を指す。
【0042】
本明細書において使用される用語「拡散制御の」とは、その自発運動の結果として、例えば、高濃度の領域から低濃度の領域に広がることができる製剤を指す。
本明細書において使用される用語「浸透圧制御の」とは、膜の両側の製剤の濃度を等しくする傾向のある半透膜を通る高濃度の溶液へのそれらの移動の結果として広がることができる製剤を指す。
【0043】
I.セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含むナノ粒子組成物
本発明は、(A)セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシルと、(B)少なくとも1つの表面安定剤とを含むナノ粒子組成物を提供する。ナノ粒子組成物は、米国特許第5145684号に最初に記載された。ナノ粒子活性薬剤組成物は、また、例えば、米国特許第5,298,262号、同第5,302,401号、同第5,318,767号、同第5,326,552号、同第5,328,404号、同第5,336,507号、同第5,340,564号、同第5,346,702号、同第5,349,957号、同第5,352,459号、同第5,399,363号、同第5,494,683号、同第5,401,492号、同第5,429,824号、同第5,447,710号、同第5,451,393号、同第5,466,440号、同第5,470,583号、同第5,472,683号、同第5,500,204号、同第5,518,738号、同第5,521,218号、同第5,525,328号、同第5,543,133号、同第5,552,160号、同第5,565,188号、同第5,569,448号、同第5,571,536号、同第5,573,749号、同第5,573,750号、同第5,573,783号、同第5,580,579号、同第5,585,108号、同第5,587,143号、同第5,591,456号、同第5,593,657号、同第5,622,938号、同第5,628,981号、同第5,643,552号、同第5,718,388号、同第5,718,919号、同第5,747,001号、同第5,834,025号、同第6,045,829号、同第6,068,858号、同第6,153,225号、同第6,165,506号、同第6,221,400号、同第6,264,922号、同第6,267,989号、同第6,270,806号、同第6,316,029号、同第6,375,986号、同第6,428,814号、同第6,431,478号、同第6,432,381号、同第6,582,285号、同第6,592,903号、同第6,656,504号、同第6,742,734号、同第6,745,962号、同第6,811,767号、同第6,908,626号、同第6,969,529号、同第6,976,647号、および同第6,991,191号、ならびに米国特許出願公開第20020012675号、同第20050276974号、同第20050238725号、同第20050233001号、同第20050147664号、同第20050063913号、同第20050042177号、同第20050031691号、同第20050019412号、同第20050004049号、同第20040258758号、同第20040258757号、同第20040229038号、同第20040208833号、同第20040195413号、同第20040156895号、同第20040156872号、同第20040141925号、同第20040115134号、同第20040105889号、同第20040105778号、同第20040101566号、同第20040057905号、同第20040033267号、同第20040033202号、同第20040018242号、同第20040015134号、同第20030232796号、同第20030215502号、同第20030185869号、同第20030181411号、同第20030137067号、同第20030108616号、同第20030095928号、同第20030087308号、同第20030023203号、同第20020179758号、同第20020012675号、および同第20010053664号に記載されている。非晶質の小粒子組成物は、例えば、米国特許第4783484号、同第4826689号、同第4997454号、同第5741522号、同第5776496号に記載されている。
【0044】
上で述べたように、本発明のナノ粒子組成物中の粒子の有効平均粒径は、直径約2000nm(すなわち2ミクロン)未満である。本発明の実施形態において、その有効平均粒径は、光散乱法、顕微鏡、またはその他の適当な方法により測定して、例えば、直径約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、または約50nm未満であり得る。
【0045】
このナノ微粒子状粒子は、結晶相、非晶相、半結晶相、半非晶相、またはそれらの混合物で存在し得る。
大きさがより小さい固体剤形を可能にすることに加えて、本発明のナノ粒子組成物は、生物学的利用能の増大を示し、必要とするセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の投与量はセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含む従来の標準的非ナノ粒子組成物と比較してより少ない。本発明の1実施形態において、本発明のナノ粒子組成物中で投与される場合のセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態は、従来の剤形中で投与される場合のセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態より約50%大きい生物学的利用能を有する。他の実施形態において、本発明のナノ粒子組成物中で投与される場合のセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態は、従来の剤形中で投与される場合のセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態より約40%大きい、約30%大きい、約20%または約10%大きい生物学的利用能を有する。
【0046】
該ナノ粒子組成物は、好ましくはまた、哺乳動物対象へのその初回投与に続いて測定すると、望ましい薬物動態プロファイルを有する。該組成物の望ましい薬物動態プロファイルとしては、これらに限定されないが、(1)投与後哺乳動物対象の血漿中でアッセイされる場合、非ナノ粒子組成物による同じ投与量で送達される同一セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のCmaxより好ましくは大きいセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のCmax;および/または(2)投与後哺乳動物対象の血漿中でアッセイされる場合、非ナノ粒子組成物による同じ投与量で送達される同一セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のAUCより好ましくは大きいセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のAUC;および/または(3)投与後哺乳動物対象の血漿中でアッセイされる場合、非ナノ粒子組成物による同じ投与量で送達される同一セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のTmaxより好ましくは小さいセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のTmaxが挙げられる。
【0047】
本発明の1実施形態において、本発明のナノ粒子組成物は、例えば、非ナノ粒子組成物により同じ投与量で送達された同じセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のTmaxの約90%を超えないそこに包含されているセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のTmaxを示す。本発明の他の実施形態において、本発明のナノ粒子組成物は、例えば、非ナノ粒子組成物により同じ投与量で送達された同じセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のTmaxの約80%を超えない、約70%を超えない、約60%を超えない、約50%を超えない、約30%を超えない、約25%を超えない、約20%を超えない、約15%を超えない、約10%を超えない、約5%を超えないそこに包含されているセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のTmaxを示し得る。本発明の1実施形態において、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のTmaxは、哺乳動物対象の血漿中でアッセイされる場合、投与後約6から約8時間未満である。本発明の他の実施形態において、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のTmaxは、投与後約6時間未満、約5時間未満、約4時間未満、約3時間未満、約2時間未満、約1時間未満または約30分未満である。
【0048】
本発明の1実施形態において、本発明のナノ粒子組成物は、例えば、非ナノ粒子組成物により同じ投与量で送達された同じセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のCmaxの少なくとも約50%であるそこに包含されているセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のCmaxを示す。本発明の他の実施形態において、本発明のナノ粒子組成物は、例えば、非ナノ粒子組成物により同じ投与量で送達された同じセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のCmaxより少なくとも約100%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、少なくとも約600%、少なくとも約700%、少なくとも約800%、少なくとも約900%、少なくとも約1000%、少なくとも約1100%、少なくとも約1200%、少なくとも約1300%、少なくとも約1400%、少なくとも約1500%、少なくとも約1600%、少なくとも約1700%、少なくとも約1800%、または少なくとも約1900%大きいそこに包含されているセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のCmaxを示し得る。
【0049】
本発明の1実施形態において、本発明のナノ粒子組成物は、例えば、非ナノ粒子組成物により同じ投与量で送達された同じセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のAUCより少なくとも約25%大きいそこに包含されているセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のAUCを示す。本発明の他の実施形態において、本発明のナノ粒子組成物は、例えば、非ナノ粒子組成物により同じ投与量で送達された同じセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のAUCより少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、少なくとも約500%、少なくとも約550%、少なくとも約600%、少なくとも約750%、少なくとも約700%、少なくとも約750%、少なくとも約800%、少なくとも約850%、少なくとも約900%、少なくとも約950%、少なくとも約1000%、少なくとも約1050%、少なくとも約1100%、少なくとも約1150%、または少なくとも約1200%大きいそこに包含されているセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のAUCを示し得る。
【0050】
本発明は、投与後のセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の薬物動態プロファイルがその組成物を摂取する患者の摂食状態または絶食状態によって実質的に影響されないナノ粒子組成物を包含する。これはそのナノ粒子組成物を摂食状態と絶食状態で対比して投与しても吸収されるセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の量または吸収の速度に実質的な違いがないことを意味する。従来のセフジトレン製剤、すなわちSPECTRAFEC(登録商標)においては、セフジトレンの吸収は食物と一緒に投与すると増加する。従来のセフジトレン製剤で見られるこの吸収の違いは望ましくない。本発明の組成物はこの問題を克服する。
【0051】
食物の影響を実質的に除去する剤形の利点としては、患者が食物と一緒か食物なしのいずれかで彼らが服用していることを確保する必要がないので、患者の便利さが増し、それによって患者の服薬遵守が増すことが挙げられる。このことは、患者の服薬遵守が欠乏するとセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態が処方される病状の増加が観察され得るので重要である。
【0052】
本発明は、また、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含むナノ粒子組成物であって、絶食状態の患者へのその組成物の投与が摂食状態の患者へのその組成物の投与と生物学的に同等であるものを包含する。
【0053】
摂食状態と絶食状態と対比させて投与したときの本発明の組成物の吸収率の違いは、好ましくは、約60%未満、約55%未満、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、または約3%未満である。
【0054】
本発明の1実施形態において、本発明は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含む組成物であって、絶食状態の患者へのその組成物の投与が摂食状態の患者へのその組成物の投与と生物学的に、特に米国食品医薬品局および対応するヨーロッパの管理機関(EMEA)により与えられているCmaxおよびAUCの指針により示した場合に同等であるものを包含する。米国FDAの指針のもとでは2つの製品または方法は、AUCおよびCmaxに対する90%の信頼区間(CI)が0.80から1.25の間である場合に生物学的に同等である(Tmaxの測定結果は、規制の目的に対する生物学的同等性とは無関係である)。ヨーロッパのEMEA指針に準じて2つの化合物または投与の状態の間の生物学的同等性を示すには、AUCに対する90%のCIは、0.80から1.25の間でなければならず、Cmaxに対する90%のCIは、0.70から1.43の間でなければならない。
【0055】
本発明のナノ粒子組成物は、予想外に飛躍的な溶解プロファイルを有することがもくろまれている。セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の急速な溶解は、より早い溶解がより早い作用の発現およびより大きな生物学的利用能を一般にもたらすので好ましい。セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の溶解プロファイルおよび生物学的利用能を改善するためには、薬物の溶解をそれが100%に近い水準を得ることができるように増大させることが好都合である。
【0056】
本発明の組成物は、約5分以内にその組成物の少なくとも約20%が溶解する溶解プロファイルを好ましくは有する。本発明の他の実施形態においては、その組成物の少なくとも約30%または少なくとも約40%が約5分以内に溶解する。本発明のさらに他の実施形態においては、好ましくはその組成物の少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が、約10分以内に溶解する。最後に、本発明の別の実施形態においては、好ましくはその組成物の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%が、約20分以内に溶解する。
【0057】
溶解は、識別できる媒体中で好ましくは測定する。かかる溶解媒体は、胃液中での非常に異なる溶解プロファイルを有する2つの製品に対して2つの非常に異なる溶解曲線を生ずる。すなわち、その溶解媒体は、組成物のインビボ溶解を予測できる。例となる溶解媒体は、0.025Mの界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウムを含有する水性媒体である。溶解された量の測定は、分光光度法により実施することができる。回転羽根法(rotating blade method)(ヨーロッパ薬局方)を使用して溶解を測定することができる。
【0058】
本発明のナノ粒子組成物のさらなる特徴は、粒子が直径約2000nm未満の有効平均粒径を有するようにその粒子が再分散することである。これは、粒子が直径約2000nm未満の有効平均粒径を有するようにその粒子が再分散しなかった場合、該組成物はその中のセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態をナノ粒子の形態に処方することによって提供される利点を失う可能性があるために重要である。これは、ナノ粒子組成物は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含む粒子の大きさが小さいことによって利点が得られるためである。投与したとき粒子が小さい粒径に再分散しない場合は、そのとき「凝集塊」または凝集粒子が、ナノ粒子系の著しく高い表面自由エネルギーおよび自由エネルギーの全体的な削減を達成するための熱力学的推進力によって形成される。かかる凝集粒子の形成によって、その剤形の生物学的利用能は、ナノ粒子組成物の分散液の形態で見られるものよりはるかに下まで降下する可能性がある。
【0059】
本発明の他の実施形態において、本発明の再分散された粒子(水、生体関連媒体、またはその他の任意の適当な液体媒体中に再分散)は、光散乱法、顕微鏡、またはその他の適当な方法により測定して、直径が、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、または約50nm未満の有効平均粒径を有する。有効平均粒径を測定するのに適する上記の方法は、当業者には知られている。
【0060】
再分散性は、技術的に知られている任意の適当な手段を用いて試験することができる。例えば、「ポリマー状表面安定剤およびジオクチルスルホコハク酸ナトリウムの相乗的組み合わせを含む固体投与型ナノ粒子組成物(Solid Dose Nanoparticulate Compositions Comprising a Synergistic Combination of a Polymeric Surface Stabilizer and Dioctyl Sodium Sulfosuccinate.)」についての米国特許第6375986号の実施例の項を参照されたい。
【0061】
本発明のナノ粒子組成物は、ヒトまたは動物などの哺乳類に投与したとき、生体と関連した水性媒体中で再構成/再分散によって実証される再分散した粒子の有効平均粒径が約2000nm未満であるような粒子の劇的な再分散を示す。かかる生体と関連した水性媒体は、媒体の生体関連性のための基礎を形成する所望のイオン強度およびpHを示す任意の水性媒体であり得る。その所望のpHおよびイオン強度は、人体において見出される生理的状態を代表するものである。そのような生体と関連した水性媒体は、例えば、所望のpHおよびイオン強度を示す電解質水溶液あるいは塩、酸、もしくは塩基またはそれらの組み合わせの水溶液であり得る。
【0062】
生体と関連するpHは、技術的によく知られている。例えば、胃において、そのpHは2より少し下(ただし一般的には1より大きい)から最高4または5までの範囲である。小腸内のpHは4から6の範囲であり得、大腸内のそれは6から8の範囲であり得る。生体と関連するイオン強度もまた技術的によく知られている。絶食状態の胃液は、約0.1Mのイオン強度を有しており、一方絶食状態の腸液は、約0.14のイオン強度を有する。Lindahlら、「Characterization of Fluids from the Stomach and Proximal Jejunum in Men and Women」、Pharm. Res.、14(4):497〜502(1997年)を参照されたい。試験溶液のpHおよびイオン強度は、特定の化学物質含有量よりさらに重要であるものと考えられる。したがって、適切なpHおよびイオン強度の値は、強酸、強塩基、塩、単一または複数の共役酸塩基対(すなわち、弱酸およびその酸の対応する塩)、一塩基性および多塩基性電解質などの多数の組み合わせによって得ることができる。
【0063】
代表的な電解質溶液は、これらに限定されないが、濃度が約0.001から約0.1Nまでの範囲のHCl溶液、および濃度が約0.001から約0.1Mまでの範囲のNaCl溶液、ならびにこれらの混合物であり得る。例えば、電解質溶液は、これらに限定されないが、約0.1N以下のHCl、約0.01N以下のHCl、約0.001N以下のHCl、約0.1M以下のNaCl、約0.01M以下のNaCl、約0.001M以下のNaCl、およびそれらの混合物であり得る。これらの電解質溶液の0.01MのHClおよび/または0.1MのNaClが、胃腸管近位のpHおよびイオン強度条件を有する最も代表的な絶食状態のヒトの生理的状態である。
【0064】
0.001NのHCl、0.01NのHCl、および0.1NのHClの電解質濃度は、それぞれpH3、pH2、およびpH1に相当する。したがって、0.01NのHCl溶液は、胃の中で見られる典型的な酸性状態を擬態する。0.1MのNaClの溶液は、胃腸液を含めた体全体で見出されるイオン強度の状態の妥当な近似を提供するものではあるが、0.1Mより高い濃度がヒトのGI管内の摂食状態を擬態するためには採用され得る。
【0065】
所望のpHおよびイオン強度を示す塩、酸、塩基またはそれらの組み合わせの典型的な溶液としては、これらに限定はされないが、リン酸/リン酸塩+塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化カルシウムの塩;酢酸/酢酸塩+塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化カルシウムの塩;炭酸/重炭酸塩+塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化カルシウムの塩;およびクエン酸/クエン酸塩+塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化カルシウムの塩が挙げられる。
【0066】
上記のように該組成物はまた少なくとも1つの表面安定剤を含む。その表面安定剤は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の表面に吸着されるかまたはそれと会合することができる。好ましくはその表面安定剤は粒子の表面に接着、またはそれと会合はするが、粒子または他の表面安定剤分子と化学的な反応はしない。表面安定剤の個別に吸着された分子は、基本的に分子間架橋を起こすことはない。
【0067】
本発明の組成物中に存在するセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態と表面安定剤の相対量は、幅広く変動し得る。個々の構成成分の随意的な量は、とりわけ、選択された特定の薬物、親水性−親油性バランス(HLB)、融点、および安定剤の水溶液の表面張力に依存し得る。セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の濃度は、他の賦形剤を含めないセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態と表面安定剤(1つまたは複数)を組み合わせた全体重量を基準として、約99.5重量%から約0.001重量%、約95重量%から約0.1重量%、または約90重量%から約0.5重量%まで変化させることができる。表面安定剤(1つまたは複数)の濃度は、他の賦形剤を含めないセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態と表面安定剤(1つまたは複数)を組み合わせた全体の乾燥重量を基準として、約0.5重量%から約99.999重量%、約0.5重量%から約99.9重量%、または約10重量%から約99.5重量%まで変化させることができる。
【0068】
セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のための表面安定剤(1つまたは複数)の選択は、重要であり、望ましい製剤を実現するために多数の実験を必要とする。したがって、本発明は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含むナノ粒子組成物を製造することができる驚くべき発見を対象としている。
【0069】
複数の表面安定剤の組み合わせを本発明においては使用することができる。本発明で採用することができる有用な表面安定剤としては、これらに限定はされないが、既知の有機および無機医薬品賦形剤が挙げられる。かかる賦形剤としては、様々なポリマー、低分子量オリゴマー、天然物、および界面活性剤が挙げられる。表面安定剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、イオン性、および両性イオン性界面活性剤を含む。
【0070】
表面安定剤の代表例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(今はヒプロメロースとして知られる)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファチド)、デキストラン、アカシアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、セトマクロゴール1000のようなマクロゴールエステル)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば市販のTween(登録商標)類、例えばTween 20(登録商標);およびTween 80(登録商標)(ICI Speciality Chemicals));ポリエチレングリコール(例えば、Carbowaxs 3550(登録商標)および934(登録商標)(Union Carbide));ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸塩、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロースフタレート、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンオキシドとホルムアルデヒドとの4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー(チロキサポール、スペリオン、およびトリトンとしても知られる)、ポロキサマー(例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーであるPluronics F68(登録商標)およびF108(登録商標));ポロキサミン(例えば、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのエチレンジアミンへの逐次付加由来の四官能基ブロックコポリマーであるPoloxamine 908(登録商標)としても知られる、Tetronic 908(登録商標)(BASF Wyandotte Corporation、Parsippany、N.J.));アルキルアリールポリエーテルスルホン酸であるTetronic 1508(登録商標)(T−1508)(BASF Wyandotte Corporation)、Tritons X−200(登録商標)(Rohm and Haas);ステアリン酸スクロースおよびジステアリン酸スクロースの混合物であるCrodestas F−110(登録商標)(Croda Inc.);Olin−10G(登録商標)または界面活性剤10−G(登録商標)としても知られるp−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール)(Olin Chemicals,Stamford,CT);Crodestas SL−40(登録商標)(Croda,Inc.);および、C1837CH(CON(CH)−CH(CHOH)(CHOH)であるSA9OHCO(Eastman Kodak Co.);デカノイル−N−メチルグルカミド;n−デシルβ−D−グルコピラノシド;n−デシルβ−D−マルトピラノシド;n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド;n−ドデシルβ−D−マルトシド;ヘプタノイル−N−メチルグルカミド;n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド;n−ヘプチルβ−D−チオグルコシド;n−ヘキシルβ−D−グルコピラノシド;ノナノイル−N−メチルグルカミド;n−ノイルβ−D−グルコピラノシド;オクタノイル−N−メチルグルカミド;n−オクチル−β−D−グルコピラノシド;オクチルβ−D−チオグルコピラノシド;PEG−リン脂質、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE、リゾチーム、ならびにビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのランダムコポリマーなどが挙げられる。
【0071】
有用なカチオン性表面安定剤としては、これらに限定はされないが、ポリマー、バイオポリマー、多糖、セルロース誘導体、アルギナート、リン脂質、および非ポリマー化合物、例えば両性イオン安定剤、ポリ−n−メチルピロリジニウム、アンスリウル(anthryul)ピリジニウムクロリド、カチオン性リン脂質、キトサン、ポリリシン、ポリビニルイミダゾール、ポリブレン、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミドブロミド(PMMTMABr)、ヘキシデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDMAB)、およびポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチル硫酸が挙げられる。
【0072】
その他の有用なカチオン性安定剤としては、これらに限定はされないが、カチオン脂質、スルホニウム、ホスホニウム、ならびにステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツトリメチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、C12〜15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチル硫酸塩、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリドまたはブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウムクロリドまたはブロミド、N−アルキル(C12〜18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14〜18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシリドメチルベンジル(tetradecylidmethylbenzyl)アンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N−アルキルおよび(C12〜14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ハロゲン化トリメチルアンモニウム、アルキル−トリメチルアンモニウム塩およびジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩および/またはエトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N−アルキル(C12〜14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリドおよびドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12,C15,C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロリド、ハロゲン化アルキルジメチルアンモニウム、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド(ALIQUAT 336(登録商標))、POLYQUAT 10(登録商標)、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル(脂肪酸のコリンエステルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム化合物(塩化ステアリルトリモニウムおよび塩化ジ−ステアリルジモニウムなど)、臭化または塩化セチルピリジニウム、第四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン塩、MIRAPOL(商標)およびALKAQUAT(商標)(Alkaril Chemical Company)、アルキルピリジニウム塩などの第四級アンモニウム化合物;アルキルアミン、ジアルキルアミン、アルカノールアミン、ポリエチレンポリアミン、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート、およびビニルピリジンなどのアミン類、酢酸ラウリルアミン、酢酸ステアリルアミン、アルキルピリジニウム塩、およびアルキルイミダゾリウム塩などのアミン塩、ならびにアミンオキシド;イミドアゾリニウム塩;プロトン化第四級アクリルアミド;ポリ[塩化ジアリルジメチルアンモニウム]およびポリ−[塩化N−メチルビニルピリジニウム]などのメチル化第四級ポリマー;ならびにカチオン性グアールが挙げられる。
【0073】
そのような例示的カチオン性表面安定剤および他の有用なカチオン性表面安定剤は、J. Cross and E. Singer, Cationic Surfactants: Analytical and Biological Evaluation (Marcel Dekker, 1994);P. and D. Rubingh (Editor), Cationic Surfactants: Physical Chemistry (Marcel Dekker, 1991);およびJ. Richmond, Cationic Surfactants: Organic Chemistry, (Marcel Dekker, 1990)に記載されている。
【0074】
非ポリマー表面安定剤は、塩化ベンザルコニウム、カルボニウム化合物、ホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、ハロニウム化合物、カチオン性有機金属化合物、第四級リン化合物、ピリジニウム化合物、アニリニウム化合物、アンモニウム化合物、ヒドロキシルアンモニウム化合物、第一級アンモニウム化合物、第二級アンモニウム化合物、第三級アンモニウム化合物、および式NR(+)の第四級アンモニウム化合物などの任意の非ポリマー化合物である。式NR(+)の化合物について:
(i)R〜RのいずれもCHではない;
(ii)R〜Rの1つがCHである;
(iii)R〜Rの3つがCHである;
(iv)R〜Rの全部がCHである;
(v)R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、かつR〜Rの1つが炭素原子7個以下のアルキル鎖である;
(vi)R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、かつR〜Rの1つが炭素原子19個以上のアルキル鎖である;
(vii)R〜Rの2つがCHであり、かつR〜Rの1つが基C(CH(n>1)である;
(viii)R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、かつR〜Rの1つが少なくとも1つのヘテロ原子を含む;
(ix)R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、かつR〜Rの1つが少なくとも1つのハロゲンを含む;
(x)R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、かつR〜Rの1つが少なくとも1つの環状断片を含む;
(xi)R〜Rの2つがCHであり、かつR〜Rの1つがフェニル環である;または
(xii)R〜Rの2つがCHであり、かつR〜Rの2つが純粋に脂肪族の断片である。
【0075】
そのような化合物としては、これらに限定はされないが、塩化ベヘナルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベヘントリモニウム、塩化ラウラルコニウム、塩化セタルコニウム、臭化セトリモニウム、塩化セトリモニウム、セチルアミンフッ化水素、塩化クロルアリルメテンアミン(Quaternium−15)、塩化ジステアリルジモニウム(Quaternium−5)、塩化ドデシルジメチルエチルベンジルアンモニウム(Quaternium−14)、Quaternium−22、Quaternium−26、Quaternium−18ヘクトライト、塩化ジメチルアミノエチル塩酸塩、システイン塩酸塩、ジエタノールアンモニウムPOE(10)オレチルエーテルリン酸塩、ジエタノールアンモニウムPOE(3)オレイルエーテルリン酸塩、塩化タローアルコニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウムベントナイト、塩化ステアラルコニウム、臭化ドミフェン、安息香酸デナトニウム、塩化ミリスタルコニウム、塩化ラウルトリモニウム、エチレンジアミン二塩酸塩、塩酸グアニジン、ピリドキシンHCl、塩酸イオフェタミン、塩酸メグルミン、塩化メチルベンゼトニウム、臭化ミルトリモニウム、塩化オレイルトリモニウム、ポリクオタニウム−1、塩酸プロカイン、ココベタイン、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトナイト、ステアリルトリヒドロキシエチルプロピレンジアミン二フッ化水素、塩化タロートリモニウム、および臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0076】
表面安定剤は市販されており、かつ/または当技術分野において公知の技術により調製することができる。これらの表面安定剤の殆どは公知の薬学的賦形剤であり、Handbook of Pharmaceutical Excipients、American Pharmaceutical AssociationおよびThe Pharmaceutical Society of Great Britainの共同出版(The Pharmaceutical Press, 2000)に詳細が記載されており、これは参照により本明細書に特に組み込まれる。
【0077】
本発明の組成物は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態に加えて感染状態または他の併発状態の治療に有用な1つまたは複数の化合物を含むことができる。該組成物は、また、そのような化合物と共に投与することもできる。これらの他の活性化合物としては、好ましくは、頭痛、熱、痛み、および感染の発症により一般的に生じる他の類似状態のような身体的状態の治療に有用な化合物が挙げられる。当該活性化合物は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の治療効果に干渉しないような、当業者が決定する形態で存在すべきである。
【0078】
本発明の組成物は、また、1つまたは複数の結合剤、充填剤、希釈剤、平滑剤、乳化および懸濁剤、甘味料、風味剤、保存料、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、芳香剤、およびその他の賦形剤を含むことができる。そのような賦形剤は当技術分野では公知である。さらに、微生物の成長の防止を、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの様々な抗菌剤および抗真菌剤を添加することによって確保することができる。注射製剤として使用するためには該組成物は、砂糖、塩化ナトリウム、などの等張剤、および注射製剤の吸収遅延に使用する薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなども含むことができる。
【0079】
充填剤の例は、ラクトース一水和物、無水ラクトース、および様々なデンプンであり;結合剤の例は、様々なセルロースおよび架橋ポリビニルピロリドン、Avicel PH101(登録商標)およびAvicel PH102(登録商標)などの微結晶セルロース、微結晶セルロース、ならびにケイ化微結晶セルロース(ProSolv SMCC(商標))である。
【0080】
圧縮すべき粉末の流動性に作用する物質を含む、適当な滑沢剤は、Aerosil(登録商標)200などのコロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびシリカゲルである。
【0081】
甘味料の例は、スクロース、キシリトール、サッカリンナトリウム、シクラメート、アスパルテーム、およびアクスルフェーム(acsulfame)などの任意の天然および人工甘味料である。風味剤の例は、Magnasweet(登録商標)(MAFCOの商標)、風船ガム風味、および果実風味などである。
【0082】
保存料の例は、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸およびその塩、ブチルパラベンなどのパラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、エチルアルコールもしくはベンジルアルコールなどのアルコール、フェノールなどのフェノール化合物、または塩化ベンザルコニウムなどの第四級化合物である。
【0083】
適当な希釈剤としては、微結晶セルロース、ラクトース、二塩基性リン酸カルシウム、糖類、および/または前述の任意の混合物などの、薬学的に許容される不活性充填剤が挙げられる。希釈剤の例としては、Avicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102などの微結晶セルロース;ラクトース一水和物、無水ラクトース、およびPharmatose(登録商標)DCL21などのラクトース;Emcompress(登録商標)などの二塩基性リン酸カルシウム;マンニトール;デンプン;ソルビトール;スクロース;ならびにグルコースが挙げられる。
【0084】
適当な崩壊剤としては、軽度に架橋されているポリビニルピロリドン、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、および加工デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロス−ポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、ならびにその混合物が含まれる。
【0085】
発泡剤の例は、有機酸および炭酸塩または重炭酸塩などの発泡対である。適当な有機酸としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、およびアルギン酸ならびに酸無水物および酸性塩が挙げられる。適当な炭酸塩および重炭酸塩には、例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸グリシンナトリウム、炭酸L−リシン、および炭酸アルギニンが含まれる。別法では、発泡対の重炭酸ナトリウム構成成分のみが含まれていてもよい。
【0086】
本発明の組成物は、また、担体、補助剤、または媒体(以後「担体」と総称する)を含むことができる。
ナノ粒子組成物は、例えば、磨砕、均質化、析出、凍結、または鋳型エマルション(template emulsion)技術を使用して製造することができる。ナノ粒子組成物を製造する典型的な方法は、前記の’684号特許に記載されている。ナノ粒子組成物を製造する典型的な方法は、また、米国特許第5518187号、第5718388号、第5862999号、第5665331号、第5662883号、第5560932号、第5543133号、第5534270号、第5510118号、および第5470583号にも記載されている。
【0087】
1つの方法において、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含む粒子は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態が十分に溶解しない液体分散媒中に分散される。機械的手段をその後研磨材存在下で使用して粒径を所望の有効平均粒径まで小さくする。分散媒は、例えば、水、ベニバナ油、エタノール、t−ブタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、ヘキサン、またはグリコールであり得る。好ましい分散媒は、水である。粒子は、少なくとも1つの表面安定剤の存在下で粒径を減少させることができる。セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含む粒子を摩擦後に1つまたは複数の表面安定剤と接触させることができる。粒径減少工程中に、希釈剤などの他の化合物を組成物に加えることができる。分散液は連続的にまたはバッチ様式で製造することができる。当業者であれば、磨砕の後、すべての粒子が所望の粒径まで小さくなっていないかもしれない場合があり得ることは理解しよう。そのような場合は所望の粒径の粒子を分離して本発明の実践に使用することができる。
【0088】
所望のナノ粒子組成物を形成する別の方法は、微小析出によるものである。これは、どんな痕跡量の毒性溶媒または可溶化重金属不純物も含まない、表面安定剤(1つまたは複数)および1つまたは複数のコロイド安定促進界面活性剤の存在下で、難溶性のセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の安定な分散液を調製する方法である。当該方法は、例えば:(1)セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を適当な溶媒に溶解するステップと;(2)ステップ(1)からの調合物を少なくとも1つの表面安定剤を含む溶液に加えるステップと;(3)ステップ(2)からの調合物を適当な非溶媒を用いて析出させるステップとを含む。この方法は、続いて、生成した塩がある場合は、透析またはダイアフィルトレーションによってこれを除去し、通常の手段により分散液を濃縮することもできる。
【0089】
ナノ粒子組成物は、均質化によっても形成することができる。典型的均質化法は、米国特許第5510118号、「ナノ粒子を含む治療用組成物を調製する方法(Process of Preparing Therapeutic Compositions Containing Nanoparticles)」に記載されている。当該方法は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含む粒子を液体分散媒に分散させるステップと続いてその分散液を均質化にかけて粒径を所望の有効平均粒径まで減少させるステップとを含む。その粒子は、少なくとも1つの表面安定剤の存在下で大きさを減少させることができる。その粒子は、摩擦の前または後のいずれかに1つまたは複数の表面安定剤と接触させることができる。その他の化合物、例えば希釈剤を粒径減少工程の前、途中、または後に組成物に加えることができる。分散液は、連続的にまたはバッチ様式で製造することができる。
【0090】
所望のナノ粒子組成物を形成する別の方法は、液体中への噴霧凍結(SFL)によるものである。この技術は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態および表面安定剤(1つまたは複数)の有機または有機水溶液を液体窒素などの低温液体中に注入するステップを含む。薬物含有溶液の液滴は、結晶化および粒子の成長を最小限にするのに十分な速度で凍結し、かくしてナノ構造粒子を形成する。溶媒系および処理条件の選択によって、粒子は、様々な粒子形態を有することができる。単離のステップにおいて、窒素と溶媒は、粒子の凝集または熟成をさける条件下で除去する。
【0091】
SFLの相補的技術として、大幅に高められた表面積を有する均等なナノ構造粒子を生み出すために、超急速冷凍(URF)も使用することができる。URFは、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態および表面安定剤(1つまたは複数)の水混和性、無水、有機、または有機水溶液を取り上げるステップおよびそれを極低温の下地に塗布するステップを含む。溶媒は、次に凍結乾燥または大気圧凍結乾燥などの手段によって除去し、その結果ナノ構造粒子が後に残る。
【0092】
所望のナノ粒子組成物を形成する別の方法は、鋳型エマルションによるものである。鋳型エマルションは、制御された粒径分布および急速溶解性能を備えたナノ構造粒子を生み出す。該方法は、水中油滴型エマルションを調製し、次いでそれをセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態および表面安定剤(1つまたは複数)を含む非水性溶液で膨潤させるステップを含む。粒子の大きさの分布は、エマルションに薬物を添加する前のエマルション滴の大きさの直接的な結果である。粒径はこの方法において制御および最適化することができる。その上、溶媒および安定剤の使用の選択を介してオストワルド熟成が少しも起こらないかまたは抑制されたエマルションの安定性が得られる。その後溶媒と水が除去され、安定したナノ構造粒子が回収される。処理条件の適切な制御によって様々な粒子形態を得ることができる。
【0093】
本発明は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含むナノ粒子組成物の有効量の投与を含む方法を提供する。
本発明の組成物は、非経口的投与(例えば、静脈内、筋肉内、または皮下)、経口投与(固体、液体、またはエアロゾルの形で)、腟内、経鼻、直腸、眼、局所(例えば、粉末、軟膏または液滴の形で)、頬側、大槽内、腹腔内、または局所投与などのために製剤することができる。
【0094】
ナノ粒子組成物は、固体または液体の投薬形態、例えば、液体分散物、ゲル、エアロゾル、軟膏、クリーム、制御放出製剤、急速融解製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、カプセル、遅延放出性製剤、持続放出性製剤、パルス放出性製剤、即時放出性と制御放出が混合された製剤などに利用することができる。
【0095】
非経口注射に適した組成物は、生理学的に許容される滅菌水性または非水性溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、および滅菌注射液または分散液へと再構成するための滅菌粉末を含み得る。適当な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒、または媒体の例としては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、その適当な混合物、植物油(オリーブ油など)およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが挙げられる。適当な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合は必要とされる粒径の維持、および界面活性剤の使用により、維持することができる。
【0096】
経口投与のための固体剤形としては、これらに限定はされないが、錠剤、カプセル剤、サシェ、菓子錠剤、散剤、ピル剤、または顆粒剤が挙げられ、その固体剤形は、例えば、急速融解剤形、制御放出剤形、凍結乾燥剤形、遅延放出剤形、持続放出剤形、パルス放出剤形、即時放出と制御放出の組み合わせの剤形、またはそれらの組み合わせであり得る。固体投与の錠剤処方が好ましい。そのような固体の剤形において、活性薬剤は下記の少なくとも1つと混合する:(a)1つまたは複数の、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの不活性賦形剤(または担体);(b)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤または増量剤;(c)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシアなどの結合剤;(d)グリセロールなどの湿潤剤;(e)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(f)パラフィンなどの溶液凝固遅延剤;(g)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(h)セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤;(i)カオリンおよびベントナイトなどの吸着剤;ならびに(j)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、またはその混合物などの潤滑剤。カプセル剤、錠剤、およびピル剤については、それらの剤形は緩衝剤も含むことができる。
【0097】
経口投与のための液体剤形としては、薬学的に許容される、乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が挙げられる。セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態に加えて、液体剤形は、水または他の溶媒などの、当技術分野において一般に用いられる不活性希釈剤、可溶化剤、および乳化剤を含んでいてもよい。典型的乳化剤はエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油などの油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物などである。
【0098】
当業者には当然のことであるが、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の治療有効量は、経験的に決めることができる。本発明のナノ粒子組成物中のセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の実際の用量レベルは、特定の組成物および投与法に対して所望の治療反応を得るために有効な薬物の量を得るために変動し得る。したがって、選択した用量レベルは所望の治療効果、投与経路、投与したセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の力価、所望の治療期間、および他の因子に依存する。
【0099】
投与単位組成物は、それを用いて1日用量を構成することができるような、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の量またはその約数量を含むことができる。しかし、任意の特定の患者のための特定の用量レベルは様々な因子、すなわち、達成すべき細胞または生理学的応答のタイプおよび程度;採用される特定の薬剤または組成物の活性;採用される特定の薬剤または組成物;患者の年齢、体重、全体的健康状態、性別、および食生活;投与の時間、投与経路、およびセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の排出速度;治療期間;セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態と組み合わせて、または同時に用いる活性化合物;ならびに医学分野において公知の同様の因子に依存することは理解されよう。
【0100】
II.セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含む制御放出組成物
本出願に用いられているように、「活性薬剤」という用語は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含むナノ粒子、または医薬的影響を有する任意のその他の化合物を意味し得る。
【0101】
病状の予防および治療における医薬品の有効性は、剤形から患者への該化合物の送達の早さと持続時間を含む様々な因子に依存する。患者に与えられた剤形により示される送達速度および持続時間の組み合わせは、そのインビボ放出プロファイルとして記すことができ、投与された医薬品によって、血漿プロファイルと呼ばれる血液の血漿中の医薬品の濃度および持続時間と関係する。医薬品は、生物学的利用能、ならびに吸収および排出の速度などその薬物速度論的特性が変動するため、放出プロファイルおよびそれに伴う血漿プロファイルは、効果的な治療を設計することを考える上で重要なエレメントとなる。
【0102】
剤形の放出プロファイルは、放出の様々な速度および持続時間を示すことができ、持続的またはパルス型であり得る。連続的放出プロファイルとしては、一定量の1つまたは複数の医薬品が投与間隔を通して一定速度または変化する速度のいずれかで連続的に放出される放出プロファイルが挙げられる。パルス放出プロファイルとしては、1つまたは複数の医薬品の少なくとも2つの離散量が異なる速度および/または異なる時間枠で放出される放出プロファイルが挙げられる。与えられた任意の医薬品またはかかる化合物の組み合わせに対して、与えられた剤形に対する放出プロファイルは、患者にそれと関連した血漿プロファイルを生じさせる。剤形の2つ以上の構成成分が異なる放出プロファイルを有する場合、その剤形の全体としての放出プロファイルは、個々の放出プロファイルの組み合わせであり、一般に「多様式」として記載することができる。各構成成分が異なる放出プロファイルを有する2つの構成成分の剤形の放出プロファイルは、「二様式」と記すことができ、各構成成分が異なる放出プロファイルを有する3つの構成成分の剤形の放出プロファイルは、「三様式」と記すことができる。
【0103】
放出プロファイルに適用できる可変性と同様に、患者におけるそれと関連する血漿プロファイルは作用の持続時間を通した医薬品の一定のまたは変化する血漿濃度水準を示すことができ、連続的またはパルス式であり得る。連続血漿プロファイルとしては、単一の血漿濃度の最大を示すすべての速度および持続時間の血漿プロファイルが挙げられる。パルス型の血漿プロファイルとしては、医薬品の少なくとも2つのより高い血漿濃度水準がより低い血漿濃度水準によって分離されている血漿プロファイルが挙げられ、一般に「多様式」として記すことができる。2つのピークを示すパルス型血漿プロファイルは、「二様式」と記すことができ、3つのピークを示すパルス型血漿プロファイルは、「三様式」と記すことができる。剤形に含まれる医薬品の薬物動態ならびに剤形の個々の構成成分の放出プロファイルの少なくとも一部により、多様式放出プロファイルは、患者に投与したとき持続的またはパルス型血漿プロファイルのいずれかをもたらし得る。
【0104】
1実施形態において、本発明は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシル、またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子をパルス様式で送達する調節放出多粒子組成物を提供する。そのナノ粒子は、上記のタイプのものであり、少なくとも1つの表面安定剤も含む。
【0105】
さらに他の実施形態において、本発明は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシル、またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子を様式で送達する調節放出多粒子組成物を提供する。そのナノ粒子は、上記のタイプのものであり、少なくとも1つの表面安定剤も含む。
【0106】
さらに他の実施形態において、本発明は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシル、またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子の第1の部分を投与直後に放出し、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシル、またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子の1つまたは複数の後続部分を最初の時間遅延の後に放出する調節放出多粒子組成物を提供する。
【0107】
なおも別の実施形態において、本発明は、本発明の調節放出多粒子組成物を含む1日1回または1日2回投与するための固体の経口剤形を提供する。
さらに他の実施形態において、本発明は、本発明の組成物の投与を含む感染症および他の関連する疾患の予防および/または治療のための方法を提供する。
【0108】
1実施形態において、本発明は、多粒子を形成している粒子が上記のタイプのナノ微粒子状粒子である調節放出多粒子組成物を提供する。そのナノ微粒子状粒子は、所望により、調節放出コーティングおよび/または調節放出マトリックス材を含有することができる。
【0109】
1実施形態において、本明細書に記載されている組成物に使用されるセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態は、セフジトレンピボキシルである。
【0110】
本発明の1態様によれば、活性成分含有粒子を含む第1の構成成分および活性成分含有粒子を含む少なくとも1つの後続の構成成分を有しており、各後続の構成成分が第1の構成成分とは異なる放出の速度および/または持続時間を有している医薬品組成物であって、前記構成成分の少なくとも1つがセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、例えばセフジトレンピボキシル、を含有する粒子を含む組成物が提供される。本発明の1実施形態において、多粒子を形成するセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有する粒子は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態およびさらに少なくとも1つの表面安定剤も含む上記のタイプのナノ微粒子状粒子をそれ自身が含有することができる。本発明の他の実施形態においては、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態およびさらに少なくとも1つの表面安定剤を含む上記のタイプのナノ微粒子状粒子それ自体が、多粒子の薬物含有粒子である。薬物含有粒子は、調節放出コーティングにより被覆することができる。別法では、またはさらに、薬物含有粒子は、調節放出マトリックス材を含むことができる。経口送達に続いて、該組成物は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子をパルス様式で送達する。1実施形態において、第1の構成成分は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子の即時放出を提供し、1つまたは複数の後続の構成成分は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子の調節放出を提供する。かかる実施形態において、即時放出構成成分は、投与からの時間を最小限にすることによって治療効果のある血漿濃度水準に至る作用の発現を早めることに寄与し、1つまたは複数の後続の構成成分は、血漿濃度水準の変動を最小にし、かつ/または投与間隔を通した治療効果のある血漿濃度を維持することに寄与する。
【0111】
調節放出コーティングおよび/または調節放出マトリックス材は、活性成分含有粒子の最初の集団からの活性成分の放出と活性成分含有粒子の後続の集団からの活性成分の放出との間の時間のずれを引き起こす。活性成分含有粒子の複数の集団が調節放出を提供する場合、調節放出コーティングおよび/または調節放出マトリックス材は、活性成分含有粒子の様々の集団からの活性成分の放出の間の時間のずれを引き起こす。これらの時間のずれの持続時間は、利用する調節放出コーティングの組成および/または量を変更することにより、および/または調節放出マトリックス材の組成および/または量を変更することによって変えることができる。したがって、時間のずれの持続時間は、望ましい血漿プロファイルに似せることができる。
【0112】
投与するとき調節放出組成物によって生ずる血漿プロファイルは、連続して与えられる2個以上のIR剤形の投与によって生ずる血漿プロファイルと実質的に類似しているために、本発明の調節放出組成物は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を投与するためには特に有用である。
【0113】
本発明の別の態様によれば、該組成物は、連続して与えられる2個以上のIR剤形の投与と関係する血漿濃度水準の変動を最小にするか排除する血漿プロファイルを生ずるように設計することができる。かかる実施形態においては、該組成物は、投与からの時間を最小にすることによって治療効果のある血漿濃度水準に至る作用の発現を早める即時放出成分、および投与間隔を通して治療効果のある血漿濃度を維持する少なくとも1つの調節放出成分を備えることができる。
【0114】
各構成成分中の活性成分は、同じものか異なるものであり得る。例えば、該組成物は、活性成分として、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子のみを含む構成成分を含むことができる。別法では、該組成物は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子を含む第1の構成成分、およびセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態以外の活性成分、またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態と共投与するのに適したセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子を含む少なくとも1つの後続の構成成分、あるいはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態以外の活性成分、またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子を含有する第1の構成成分、およびセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態または、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子を含む少なくとも1つの後続する構成成分を含むことができる。実際、2つ以上の活性成分は、その活性成分が互いに相溶する場合は同じ構成成分中に組み込むことができる。組成物のある構成成分中に存在する活性成分は、その生物学的利用能または治療効果を調節するために、該組成物の別の構成成分中に、例えばエンハンサー化合物または感作化合物を伴わせることができる。
【0115】
本明細書で用いられる用語「エンハンサー」とは、動物、例えばヒトのGITにおける総輸送量を増進することによって活性成分の吸収および/または生物学的利用能を高めることができる化合物を指す。エンハンサーとしては、これらに限定はされないが、中鎖脂肪酸;塩、エステル、エーテルおよびグリセリドおよびトリグリセリドを含むそれらの誘導体;非イオン界面活性剤、例えばエチレンオキシドを脂肪酸、脂肪アルコール、アルキルフェノールまたはソルビタンもしくはグリセロール脂肪酸エステルと反応させることによって調製することができるものなど;シトクロムP450阻害薬、P−糖タンパク阻害薬など;およびこれら作用物質の2つ以上の混合物が挙げられる。
【0116】
複数の薬物を含有する構成成分が存在するような実施形態においては、各構成成分中に含まれるセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の割合は、所望の投与計画によって、同じであるか異なってもよい。第1の構成成分中および後続の構成成分中に存在するセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態は、治療効果のある血漿濃度水準を生ずるのに十分な任意の量であり得る。セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態は、当てはまる場合は、1つの実質的に光学的に純粋な立体異性体、あるいはラセミ体またはさもなくば2つ以上の立体異性体の混合物としての形態のいずれかで存在することができる。セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態は、組成物中に、約0.1から約500mgまでの量、好ましくは約1mgから約100mgまでの量で好ましくは存在する。セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態は、第1の構成成分中に、約0.5mgから約60mgまでの量で好ましくは存在し;より好ましくは、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態は、第1の構成成分中に、約2.5mgから約30mgまでの量で存在する。セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態は、後続の構成成分中には、第1の構成成分に対して記したものと類似した範囲内の量で存在する。
【0117】
セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のそれぞれの構成成分からの送達についての持続放出の特徴は、存在し得る賦形剤および/またはコーティングの調節を含む各構成成分の組成を調節することによって変えることができる。特にセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子の放出は、組成および/または粒子上の調節放出コーティングの量を、そのようなコーティングが存在する場合は変化させることによって制御することができる。複数の調節放出構成成分が存在する場合は、これらの構成成分のそれぞれについての調節放出コーティングは同じであるか異なってもよい。同様に、調節放出を、調節放出マトリックス材を含めることによって促進する場合は、活性成分の放出は、利用する調節放出マトリックス材の選択および量によって制御することができる。調節放出コーティングは、各構成成分中に、各特定の構成成分についての所望の遅延時間を生じるのに十分な任意の量で存在させることができる。調節放出コーティングは、各構成成分中に、構成成分間の望ましい時間のずれを生ずるのに十分な任意の量で存在させることができる。
【0118】
各構成成分からのセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の放出についての時間のずれおよび/または時間遅延は、さらに、存在し得る任意の賦形剤およびコーティングを含む各構成成分の組成を調節することによって変化させることもできる。例えば、第1の構成成分は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子が投与するとすぐに放出される即時放出構成成分であり得る。別法では、その第1の構成成分は、例えば、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子が時間遅延の後すぐに実質的に全体として放出される時間遅延即時放出構成成分であり得る。第2および後続の構成成分は、例えば、説明したばかりの時間遅延即時放出構成成分または、別法では、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子が長期間にわたって制御された様式で放出される時間遅延徐放性放出または持続放出構成成分であり得る。
【0119】
当業者には当然のことであろうが、血漿濃度曲線の正確な性質は、説明したばかりのすべてのこれらの因子の組み合わせによって影響される。特に各構成成分中のセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子の送達(およびそれゆえさらに作用の発現)の間の時間のずれは、各構成成分の組成およびコーティング(存在する場合は)を変化させることによって制御することができる。かくして、各構成成分(1つまたは複数の活性成分の量および性質を含む)の組成の変化と時間のずれの変化とにより、多数の放出プロファイルおよび血漿プロファイルを得ることができる。セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子の各構成成分からの放出の間の時間のずれの持続時間およびセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子の各構成成分からの放出の性質(すなわち、即時放出、徐放性放出など)によって、血漿プロファイルは、持続式(すなわち単一の最大値を有する)であるか、または血漿プロファイル中のピークがはっきりと分離されていて特徴がはっきりしている(例えば、時間のずれが長いとき)かまたはある程度重なり合った(時間のずれが短いとき)パルス型であり得る。
【0120】
本発明の組成物を含む単一の製剤単位の投与から生ずる血漿プロファイルは、2つ以上の製剤単位の投与を必要としないで2つ以上の活性成分のパルスを送達することが望ましい場合に好都合である。
【0121】
セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の放出を望ましい様式に調節する任意のコーティング材料を使用することができる。特に、本発明の実施において使用するのに適するコーティング材料としては、これらには限定されないが、ポリマーコーティング材料、例えば、酢酸セルロースフタレート、酢酸セルローストリマレテート(celluloseacetate trimaletate)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリ酢酸ビニルフタレート、アンモニオメタクリレート共重合体、例えば商標Eudragit(登録商標)RSおよびRLのもとで販売されているものなど、ポリアクリル酸およびポリアクリレートおよびメタクリレート共重合体、例えば商標Eudragit(登録商標)SおよびLのもとで販売されているものなど、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、シェラック;ヒドロゲルおよびゲル形成性材料、例えばカルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、デンプン、およびセルロースベースの架橋ポリマーであって架橋度が水の吸収およびポリマーマトリックスの膨張を容易にするように低いもの、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、架橋デンプン、微結晶性セルロース、キチン、アミノアクリル−メタクリレート共重合体(Eudragit(登録商標)RS−PM、Rohm& Haas)、プルラン(pullulan)、コラーゲン、カゼイン、寒天、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、(膨潤性親水性ポリマー)ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)(分子量約5k〜5,000k)、ポリビニルピロリドン(分子量約10k〜360k)、アニオン性およびカチオン性ヒドロゲル、低い酢酸エステル残基を有するポリビニルアルコール、寒天とカルボキシメチルセルロースとの膨潤性混合物、無水マレイン酸とスチレン、エチレン、プロピレンまたはイソブチレンとの共重合体、ペクチン(分子量約30k〜300k)、多糖類、例えば寒天、アカシア、カラヤ、トラガカント、アルギンおよびグアー、ポリアクリルアミド、Polyox(登録商標)ポリエチレンオキシド(分子量約100k〜5,000k)、AquaKeep(登録商標)アクリレートポリマー、ポリグルカンのジエステル、架橋ポリビニルアルコールおよびポリ−N−ビニル−2−ピロリドン、グリコール酸デンプンナトリウム(例えばExplotab(登録商標)、EdwardMandrell C.Ltd.);親水性ポリマー、例えば多糖類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはカルシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル、ポリエチレンオキシド(例えばPolyox(登録商標)、UnionCarbide)、メチルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、ブチルセルロース、プロピオン酸セルロース、ゼラチン、コラーゲン、デンプン、マルトデキストリン、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、グリセロール脂肪酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、メタクリル酸のコポリマーまたはメタクリル酸(例えばEudragit(登録商標)、Rohm& Haas)、その他のアクリル酸誘導体、ソルビタンエステル、天然ゴム、レシチン、ペクチン、アルギネート、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸プロピレングリコール、寒天、およびゴム類例えばアラビア、カラヤ、ローカストビーン、トラガカント、カラゲーン類、グアル、キサンタン、スクレログルカンおよびそれらの混合物およびブレンドが挙げられる。当業者には当然のことであるように、可塑剤、潤滑剤、溶媒などの賦形剤をコーティングには添加することができる。適当な可塑剤としては、例えば、アセチル化モノグリセリド;ブチルフタリルブチルグリコレート;酒石酸ジブチル;フタル酸ジエチル;フタル酸ジメチル;フタル酸エチルグリコール酸エチル;グリセリン;プロピレングリコール;トリアセチン;シトレート;トリプロピオイン(tripropioin);ジアセチン;フタル酸ジブチル;アセチルモノグリセリド;ポリエチレングリコール;ヒマシ油;クエン酸トリエチル;多価アルコール、グリセロール、酢酸エステル、三酢酸グリセロール、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ブチルオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ブチルオクチル、アゼライン酸ジオクチル、エポキシ化タレート(tallate)、トリメリット酸トリイソオクチル、フタル酸ジエチルヘキシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−i−オクチル、フタル酸ジ−i−デシル、フタル酸ジ−n−ウンデシル、フタル酸ジ−n−トリデシル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチルが挙げられる。
【0122】
調節放出構成成分が調節放出マトリックス材を含むとき、任意の適当な調節放出マトリックス材または調節放出マトリックス材の適当な組み合わせを使用することができる。かかる材料は、当業者には知られている。本明細書に用いられている「調節放出マトリックス材」という用語は、インビトロまたはインビボにおいてそこに分散しているセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の放出を調節することができる親水性ポリマー、疎水性ポリマーおよびそれらの混合物を含む。本発明の実施に対して適当な調節放出マトリックス材としては、これらに限定はされないが、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドキシアルキルセルロース、ポリエチレンオキシド、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのアルキルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、酢酸セルロース、酢酸セルロースブチレート、酢酸セルロースフタレート、酢酸セルローストリメリテート、ポリ酢酸ビニルフタレート、ポリアルキルメタクリレート、ポリ酢酸ビニルおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0123】
本発明による調節放出組成物は、パルス様式での活性成分の放出を容易にする任意の適当な剤形中に組み込むことができる。1実施形態において、その剤形は、即時放出構成成分と調節放出の構成成分とを作り出す活性成分含有粒子の異なる集団のブレンドを含み、そのブレンドは、適当なカプセル、例えば硬質または軟質のゼラチンカプセル中に充填される。別法では、活性成分含有粒子の個々の異なる集団は、後から適切な割合でカプセル中に充填することができるミニ錠剤中に圧縮する(場合によってはさらなる賦形剤と共に)ことができる。別の適当な剤形は、多層錠剤のそれである。この場合は、調節放出構成組成物の第1の構成成分を1層に圧縮し、2番目の構成成分を多層錠剤の2番目の層として後から追加することができる。本発明の組成物を作り出す粒子の集団は、さらに、急速溶解剤形、例えば、発泡性剤形または急速融解剤形などに含めることができる。
【0124】
1実施形態において、該組成物は、少なくとも2つのセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有する構成成分、すなわち、第1の構成成分および1つまたは複数の後続の構成成分を含む。当該実施形態において、該組成物の第1の構成成分は、その第1の構成成分中に含有されているセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子の実質的にすべてが、その剤形を投与したとき急速に放出するか、急速ではあるが時間の遅延後に放出する(遅延放出)か、または時間をかけてゆっくり放出するプロファイルを含む様々な放出プロファイルを示すことができる。1つの当該実施形態において、その第1の構成成分中に含有されているセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子は、患者に投与すると急速に放出される。本明細書で用いる「急速に放出される」としては、構成成分の活性成分の少なくとも約80%が放出される放出プロファイルが挙げられ、用語「遅延放出」としては、構成成分の活性成分が時間の遅延の後に(急速にまたはゆっくりと)放出される放出プロファイルが挙げられ、用語「制御放出」および「持続放出」としては、構成成分中に含有されている活性成分の少なくとも約80%がゆっくりと放出される放出プロファイルが挙げられる。
【0125】
上記実施形態の2番目の構成成分もまた、即時放出プロファイル、遅延放出プロファイルまたは制御放出プロファイルを含む様々な放出プロファイルを示すことができる。1つの当該実施形態において、第2の構成成分は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子が時間遅延の後に放出される遅延放出プロファイルを示す。
【0126】
セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子を含む即時放出型構成成分、およびセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子を含む少なくとも1つの調節放出構成成分を含む本発明の剤形の投与によって生ずる血漿プロファイルは、連続して与えられる2つ以上のIR剤形の投与によって生ずる血漿プロファイル、またはIRおよび調節放出の別々の剤形の投与によって生ずる血漿プロファイルと実質的に類似したものであり得る。したがって、本発明の剤形は、薬物動態パラメータの維持が望ましいものであり得るが問題があるセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の投与に対して特に有用であり得る。
【0127】
1実施形態において、組成物および該組成物を含有する固体の経口用剤形は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子を、第1の構成成分中に含有されている実質的にすべてのセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子が、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子が少なくとも1つの後続の構成成分から放出される前に放出されるように放出する。例えば、第1の構成成分がIR構成成分を含むときは、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子の少なくとも1つの後続の構成成分からの放出は、そのIR構成成分中の実質的にすべてのセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子が放出されるまで遅延することが好ましい。少なくとも1つの後続の構成成分からのセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態、またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子の放出は、上で詳述したように、調節放出コーティングおよび/または調節放出マトリックス材の使用によって遅延させることができる。
【0128】
セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の最初の投与の患者の系からの洗い流しを促す投与計画を提供することによって患者の耐容性を最小限にすることが望ましいときは、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子の後続の構成成分からの放出は、第1の構成成分中に含有されている実質的にすべてのセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子が放出されるまで遅延させることができ、さらに、第1の構成成分から放出されるセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の少なくとも一部が患者の系から一掃されるまで遅延させることができる。1実施形態において、組成物の後続の構成成分からのセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子の放出は、その組成物の投与後少なくとも約2時間の間は、完全とまではいかなくても実質的に遅延される。他の実施形態において、組成物の後続の構成成分からのセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子の放出は、その組成物の投与後少なくとも約4時間の間は、完全とまではいかなくても実質的に遅延される。
【0129】
下文で記すように、本発明はまた、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子をパルス様式または持続様式のいずれかで送達することができる様々なタイプの調節放出システムを含む。これらのシステムとしては、これらに限定はされないが、ポリマーマトリックス中にセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子を備えたフィルム(モノリスデバイス);セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子がポリマーによって包含されている系(リザーバーデバイス);リザーバーデバイスおよびマトリックスデバイスの形をしたポリマーコロイド粒子またはマイクロカプセル(ミクロ粒子、ミクロスフェアまたはナノ粒子);セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子が、多孔性のデバイスまたはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の放出を浸透圧により制御することができるデバイスを与える親水性かつ/または浸出性の添加剤、例えば、第2のポリマー、界面活性剤または可塑剤などを含有するポリマーによって包含されている系(いずれもリザーバーデバイスおよびマトリックスデバイス);腸溶コーティング(イオン化可能であり適当なpHで溶解);(共有)結合しているセフジトレン分子、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態分子を備えた(溶解性)ポリマー;ならびに放出速度が動的に、例えば、浸透圧ポンプで制御されるデバイスが挙げられる。
【0130】
本発明の送達機構は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子の放出の速度を制御することができる。機構によってはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態またはセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有するナノ粒子を一定速度で放出するが、他の機構は変化する濃度勾配または空隙率をもたらす添加剤の浸出などの因子によって時間に応じて変動する。
【0131】
徐放性コーティングに使用されるポリマーは、必ず生体適合性であり、理想としては生分解性である。天然素材のポリマー、例えば、Aquacoat(登録商標)(米国フィラデルフィア州、FMC社、食品および医薬品部(FMC Corporation,Food & Pharmaceutical Products Division))(機械的に球形化してサブミクロンの大きさにしたエチルセルロースの水性擬似ラテックス分散体)、および同様に、合成ポリマー、例えば、Eudragit(登録商標)(Rohm Pharma,Weiterstadt.)の並びのポリ(アクリレート、メタクリレート)共重合体などの両方の例が技術的に知られている。
【0132】
リザーバーデバイス
調節放出に対する典型的なアプローチは、薬物を、ポリマーフィルムまたは膜内に完全に(例えばコアとして)マイクロカプセル化または包含すること(すなわち、マイクロカプセルまたはスプレー/パンコーティングしたコア)である。
【0133】
拡散過程に影響を及ぼすことができる様々な要因は、リザーバーデバイスに容易に適用することができ(例えば、添加剤、ポリマー官能基(および、したがって、シンク溶液のpH)の空隙率、フィルムキャスティング条件、その他の影響)、したがって、ポリマーの選択は、リザーバーデバイスの開発において重要な検討事項でなければならない。セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の輸送が溶液の拡散機構によるものであるリザーバーデバイス(およびモノリスデバイス)の放出の特徴のモデリングは、それゆえ、当面する境界条件に対するフィックの第二法則(不安定状態の条件;濃度依存性の拡散変化)に当てはまる溶液と一般的には関係する。デバイスが溶解した活性薬剤を含有する場合、デバイス中のその薬剤の濃度(活性)(すなわち、放出の原動力)が減少するのに伴って、放出の速度は時間と共に指数関数的に減少する(すなわち、一次放出)。しかしながら、活性薬剤が飽和した懸濁液中にある場合であれば、放出の原動力はデバイスが最早飽和状態ではなくなるまで一定に保たれる。別法では、放出速度の動態は、脱離によって制御され、時間の平方根の関数であり得る。
【0134】
被覆した錠剤の輸送特性は、そのとき錠剤から浸透性を引き出すように作用する浸透圧の内部強化を可能にすることができる錠剤のコアの封入された性質(拡散性)によって、遊離のポリマーフィルムと比較して高めることができる。
【0135】
ポリ(エチレングリコール)(PEG)含有シリコーンエラストマーに被覆された塩を含有する錠剤に対する脱イオン水の影響と、また、遊離のフィルムに対する水の影響とを調査した。錠剤からの塩の放出は、コーティングの水和および浸透圧ポンプ作用によって形成される水が充填された細孔を通過する拡散の混合体であることが見出された。丁度10%のPEGを含有するフィルムを通るKClの輸送は、大規模な膨潤が類似の遊離フィルムにおいて観察されるにもかかわらず、無視できる程であり、KClの放出に対しては次いで細孔間の拡散によって発生する空隙率が必要であることを示した。円盤の形状をした被覆した塩の錠剤は、脱イオン水中で膨潤し、内部静水圧の増加の結果形状が偏球に変化することが見出された。その形状の変化は、発生した力を測定する手段を提供する。当然のことだが、浸透力はPEG含量レベルの増加と共に減少した。低いPEGレベルは、水が水和ポリマーを介して吸収されることを可能とし、一方、より高レベルのPEG含量(20〜40%)において溶解するコーティングによりもたらされる空隙率は、圧力がKClの流れによって軽減されることを可能にする。
【0136】
2つの異なる塩(例えば、KClおよびNaCl)の放出を監視する(独立に)ことによって、浸透圧ポンプ作用および細孔間の拡散の両方が塩の錠剤からの放出に寄与した相対的な大きさの計算を可能にする方法および方程式が開発された。低いPEGレベルにおいては、ほんの低い細孔数密度発生のために、浸透流は細孔間拡散を超える程度まで増大した。20%の添加で両機構共、ほぼ同等に放出に寄与した。しかしながら、静水圧の増大は、浸透流、および浸透ポンプ作用を低減した。PEGのより多い添加においては、水和フィルムは、より多孔性であり、塩の流出に対する抵抗がより低かった。したがって、浸透圧ポンプ作用は増したものの(より少ない添加と比較して)、細孔間の拡散が支配的な放出機構であった。浸透圧放出機構は、また、水溶性コアを含有するマイクロカプセルに対しても報告されている。
【0137】
モノリスデバイス(マトリックスデバイス)
モノリス(マトリックス)デバイスは、薬物の放出を制御するために使用することができる。これは、多分、それらがリザーバーデバイスと比較して加工するのが相対的に容易であり、リザーバーデバイスの膜の破裂に由来する可能性のある突発的な高い投与量の危険が存在しないためである。かかるデバイスにおいては、活性薬剤は、ポリマーマトリックス中の分散体として存在し、それらはポリマー/薬物混合物の圧縮によるか溶解または融解により一般的には形成される。モノリスデバイスの製剤放出特性は、薬物のポリマーマトリックス中の溶解性または、多孔性マトリックスの場合は、粒子の細孔ネットワーク内のシンク溶液中の溶解性、およびさらに、薬物がポリマー中に分散しているかまたはポリマー中に溶解しているかに依存するそのネットワークの屈曲度に(フィルムの浸透性より大きい程度まで)依存し得る。少ない添加量の薬物(0〜5%W/V)については、薬物は、溶液拡散機構(細孔不在)によって放出される。より多い添加量(5〜10%W/V)においては、その放出メカニズムは、薬物が失われるときにデバイスの表面近くに形成される空洞の存在によって複雑になり、周囲からの流体によって満たされているそのような空洞は、薬物の放出の速度を高める。
【0138】
マトリックスデバイス(およびリザーバーデバイス)にその浸透性を高めるための手段として可塑剤(例えば、ポリ(エチレングリコール))、界面活性剤、または補助剤(すなわち、有効性を増す成分)を加えることは一般的である(けれども、その一方で、可塑剤は、一過性であり得、単にフィルム形成を助けるために寄与するのみであり、したがって、浸透性を減少させる−ポリマーペイント塗料において普通はより望ましい特性)。PEGの浸出は、(エチルセルロース)フィルムの浸透性を、空隙率を増すことによってPEG添加量の関数として直線的に増大することが記録されたけれども、そのフィルムは、電解質の輸送を許容しないでそれらのバリア性を保持した。それらの浸透性の高まりは、PEGの浸出により引き起こされた厚さの効果的な減少の結果であると推定された。これは、時間および50%W/WのPEG添加量における膜厚の逆数の関数としての単位面積当りの累積浸透流のプロット、すなわち、均質膜における(フィックの)溶液−拡散型輸送機構に対して期待されるような浸透の速度と膜厚の逆数の間で直線関係を示すプロットから証明された。グラフの時間軸に対する直線領域の外挿によって時間軸上に正の切片(その大きさは、膜厚の減少とともに0に向かって減少する)が与えられた。これらの変化する時間のずれは、実験の初期段階の間の2つの拡散流(薬物の流れおよびさらにPEGの流れ)の発生、ならびにフィルム中の浸透物質の濃度が高まるより普通の時間のずれにもその原因があった。カフェインは、浸透物質として使用した場合、マイナスの時間のずれを示した。これの説明は提供されなかったが、カフェインは系中で低い分配係数を示すこと、およびこれはまた類似したマイナスの時間のずれを示すポリエチレンフィルム中のアニリンの浸透の特徴でもあることが指摘された。
【0139】
添加した界面活性剤の(疎水性の)マトリックスデバイスに対する効果を調査した。界面活性剤は、(i)可溶化の増大、(ii)溶解媒体への「湿潤性」の改善、および(iii)界面活性剤の浸出の結果としての細孔の形成の3つの可能性のある機構によって薬物の放出速度を増大するものと考えられた。検討した系(ソルビトールにより可塑化したEudragit(登録商標)RL100およびRS100、薬物としてのフルルビプロフェン、および一連の界面活性剤)については、錠剤の湿潤性の改良は、効果はEudragit(登録商標)RLよりもEudragit(登録商標)RSでより大きく、そのときの放出に対する最大の影響は、マトリックス内への溶解媒体の接近を可能にするマトリックス中の分裂の形成のためにさらに可溶性となる界面活性剤によるものであったけれども、薬物放出の部分的な改良(その放出は溶解よりもむしろ制御された拡散であることを暗示している)をもたらすのみであることが結論づけられた。これは、ポリマーラテックスを界面活性剤なしとは対照的に界面活性剤を用いて調製することができる容易さのために、薬剤コーティングに適したラテックスフィルムの検討にとって明らかに妥当なものである。アニオン/カチオン界面活性剤と薬物の間の相互作用を示すEudragit(登録商標)RSのみによる2つのポリマーの間で差異が見出された。これは、ポリマーの第四級アンモニウムイオンのレベルが異なるためとみなされた。
【0140】
薬物を含有しないポリマー中のポリマー/塗布された薬物マトリックスからなる複合デバイスも存在する。該デバイスは、Eudragit(登録商標)水性ラテックスにより構成されており、シェルを通るコアからの薬物の拡散による連続放出を提供することが見出された。同様に、薬物を含有するポリマーのコアが製造され、胃液によって侵食されるシェルで被覆された。その薬物の放出の速度は、比較的線状であり(速度の関数はシェルを通る拡散過程に限定)、シェルの厚さに反比例することがわかり、一方でコア単独からの放出は時間と共に減少することがわかった。
【0141】
ミクロスフェア
中空のミクロスフェアを調製する方法が記載されている。中空のミクロスフェアは、薬物およびポリマーを含有するエタノール/ジクロロメタンの溶液を調製することによって形成された。水中に注ぐと、エタノールが急速に拡散してポリマーが液滴の表面に凝結してジクロロメタンに溶解している薬物を封入している硬いシェルを持った粒子を与えるコアセルベーション型の進行によって、分散したポリマー/薬物/溶媒の粒子を含有するエマルションが形成される。ジクロロメタンの気相が、次に粒子内に発生し、それがシェルを通って拡散した後、水相の表面に泡立つのが観察された。減圧状態の中空スフェアは、そのとき水で満たされ、その水は時間をかけて乾燥することにより除去することができた。薬物はその水の中には見出されなかった。高度に多孔質のマトリックスタイプのミクロスフェアもまた記載されている。そのマトリックスタイプのミクロスフェアは、薬物およびポリマーをエタノールに溶解することによって調製された。水に加えると、エタノールがエマルション滴から拡散して高度に多孔質の粒子を残した。そのミクロスフェアの推奨される用途は、胃に使用するための浮遊薬物送達デバイスとしてのものであった。
【0142】
ペンダントデバイス
水性エマルション重合によって調製されるポリ(アクリレート)エステルラテックス粒子へのエステル結合の手段によって、鎮痛薬および抗うつ薬などの一連の薬物を結合する手段が開発されている。これらのラテックスは、ポリマー末端基がそれらの強酸の形に転化するようにイオン交換樹脂を通したとき、エステル結合の加水分解による薬物放出の自触媒作用をすることができる。
【0143】
薬物は、ポリマーに結合しており、また、モノマーは、結合しているペンダント薬物と共に合成されている。剤形としては、薬物が、例えば、胃液中での加水分解によって薬物を放出する第2のポリマー(Eudragit(登録商標)RL)によるマトリックスを形成するために、置換酸無水物から調製されるポリ酸無水物(それ自体は、酸塩化物を薬物と反応させて調製する:塩化メタクリロイルおよびメトキシ安息香酸のナトリウム塩)が使用された不安定な化学結合により生体適合性ポリマーに結合しているものが調製されている。医薬品アミンの担体として使用するのに適するポリマーシッフ塩基の使用もまた記載されている。
【0144】
腸溶性フィルム
腸溶コーティングは、pH感受性ポリマーからなる。一般的にはそのポリマーはカルボキシル化されており、低いpHにおいては水と殆ど相互作用しないが、高いpHにおいてはそのポリマーは、イオン化してそのポリマーの膨潤または溶解を引き起こす。コーティングは、したがって、胃の酸性の環境においては損なわれないまま留まって、薬物をこの環境から、または、胃を薬物から保護するが、腸のよりアルカリ性の環境においては溶解するように設計することができる。
【0145】
浸透圧制御デバイス
浸透圧ポンプは、水を周囲の媒体から半透膜を介して吸収するように作用する浸透性薬剤(例えば、塩の形の活性薬剤)を含有すること以外はリザーバーデバイスと似ている。基本的浸透圧ポンプと呼ばれるそのようなデバイスが記載されている。活性薬剤を溶質の拡散を最小にするように設計された大きさのオリフィスを経てそのデバイスから薬剤を押し通し、同時に、浸透圧を低下し、デバイスの寸法を変化させる作用を有し得る静水圧ヘッドの増強を防ぐ圧力がそのデバイス内に発生する。デバイスの内部体積は一定のままであり、デバイス中に過剰の固体または飽和溶液が存在する間は、放出速度は一定のままであり、溶媒の吸収の容量と同じ容量を送達する。
【0146】
電気的刺激による放出デバイス
モノリスデバイスを、例えば、pHの変化を引き起こす外部の電気刺激を適用したときに膨潤する高分子電解質ゲルを用いて調製した。その放出は、一定またはパルス型放出プロファイルを生み出す印加電流の変化によって調節することができる。
【0147】
ヒドロゲル
薬物マトリックスでのそれらの使用に加えて、ヒドロゲルは、多数の生物医学的応用、例えば、ソフトコンタクトレンズ、および様々なソフトな移植片などでの用途が考えられる。
【0148】
セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含む調節放出組成物の使用方法
本発明の他の態様によれば、固体経口用剤形の本発明の組成物の治療有効量を投与するステップを含む感染症または関連する状態に罹っている患者を治療するための方法が提供される。本発明の方法の利点としては、従来の複数のIR投与計画により必要となる投与頻度を削減してもその間パルス型血漿プロファイルに由来する利点を維持し、あるいは血漿濃度レベルの変動を除去または最小にすることが挙げられる。この投与頻度の減少は、患者の服薬遵守の点で有利であり、本発明の方法により可能となった投与頻度の減少は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の投与に対する医療従事者により消費される時間量の減少によって医療費を抑えることに貢献する。
【0149】
以下の実施例においてすべての百分率は別段の断りのない限り重量基準である。実施例を通して使用される用語「純水」とは、水ろ過システムにそれを通すことによって精製した水を表す。実施例は、説明を目的としているに過ぎず、付随する特許請求の範囲によって規定される本発明の精神および幅を限定するものと解釈すべきでないことは当然のことである。
(実施例)
実施例1から4は、典型的なセフジトレン錠剤処方を提供する。これらの実施例は、特許請求の範囲を何ら限定するものではなく、正確には、本発明の方法において利用することができるセフジトレンの典型的な錠剤処方を提供することを意図したものである。かかる典型的な錠剤は、コーティング剤も含むことができる。
【実施例1】
【0150】
【表1】

【実施例2】
【0151】
【表2】

【実施例3】
【0152】
【表3】

【実施例4】
【0153】
【表4】

【実施例5】
【0154】
セフジトレンを含有する調節放出多粒子組成物
セフジトレンを含有する即時放出構成成分および調節放出構成成分を含む本発明による調節放出多粒子組成物を以下のようにして調製する。
【0155】
(a)即時放出構成成分
セフジトレンの溶液を、表1に示した任意の処方に従って調製する。メチルフェニデート溶液を次にノンパレイルシードに約16.9%の固体重量増のレベルまで、例えば、即時放出構成成分のIR粒子を形成するためのGlatt GCPG3(Glatt,Protech Ltd.、レスター、英国)流動床装置を用いて塗布する。
【0156】
【表5】

【0157】
(b)調節放出構成成分
セフジトレン含有遅延放出粒子を、上の実施例1(a)によって調製した即時放出粒子に表2に詳記した調節放出コーティング溶液を被覆することにより調製する。その即時放出粒子は、例えば流動床装置を用いて最大約30%の重量増まで変動するレベルまで被覆する。
【0158】
【表6】

【0159】
(c)即時および遅延放出粒子のカプセル化
上の実施例1(a)および(b)により調製した即時および遅延放出粒子を、例えば、Bosch GKF 4000Sカプセル化装置を用いてサイズ2の硬ゼラチンカプセル中に全体として20mgの投与強度にカプセル化する。20mgセフジトレンの全体としての投与強度は、即時放出構成成分からの10mgと調節放出構成成分からの10mgとにより構成された。
【実施例6】
【0160】
セフジトレンを含有する調節放出多粒子組成物
即時放出構成成分および調節放出マトリックス材を有する調節放出構成成分を有する本発明による多粒子調節放出セフジトレン組成物を、表3(a)および(b)に示されている処方に従って調製する。
【0161】
【表7】

【0162】
【表8】

【実施例7】
【0163】
本実施例の目的は、ナノ粒子セフチドレン組成物をどのようにして調製できたかを示すことである。
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SL)およびジオクチルスルホコハク酸塩(DODD)のような1つまたは複数の表面安定剤と組み合わせた5%(w/w)セフチドレンの水性分散物を500ミクロンのPolyMill(登録商標)磨細媒体(Dow Chemical Co.)(89%媒体添加)とともにNanoMill(登録商標)0.01(NanoMill Systems,King of Prussia,PA;例えば、米国特許第6431478号参照)の10mlチャンバー中で磨砕することができた。代表的な方法において、混合物を2500rpmのミルスピードで60分間磨砕した。
【0164】
磨砕に続いて、Horiba LA910粒径分析装置を使用して、脱イオン蒸留水中で、磨砕セフチドレン粒子の粒径を測定することができる。良好な組成物では、初期平均および/またはD50磨砕セフチドレン粒径は、2000nm未満であることが期待される。
【0165】
当業者には明らかであろうが、本発明の方法および組成物においては、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、様々な修正および変化を加えることができる。したがって、本発明は、本発明の修正および変化が添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物の領域に入るならば、それらにも及ぶ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含む粒子であって、直径約2000nm未満の有効平均粒径を有する粒子、および(B)少なくとも1つの表面安定剤を含む、安定ナノ粒子組成物。
【請求項2】
前記粒子が、結晶相、非晶相、半結晶相、半非晶相、またはそれらの混合物をなしている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記粒子の有効平均粒径が、直径約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約75nm未満、および約50nm未満からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
(A)注射、経口、膣内、経鼻、直腸、経耳、眼内、局所、頬側、大槽内、腹腔内、または局所的からなる群から選択される投与用に、
(B)錠剤、カプセル剤、サシェ、液剤、分散剤、ゲル剤、エアロゾル剤、軟膏剤、クリーム剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される剤形に、
(C)制御放出製剤、速溶融性製剤、凍結乾燥製剤、遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、および即時放出と制御放出の組み合わせの製剤からなる剤形に、または
(D)(A)、(B)、または(C)の任意の組み合わせで
製剤化された、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
1つまたは複数の薬学的に許容される、賦形剤、担体、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
(A)前記セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態が、他の賦形剤を含まない組成物中のセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態と表面安定剤を合わせた総乾燥重量の約99.5重量%から約0.001重量%、約95重量%から約0.1重量%、または約90重量%から約0.5重量%からなる群から選択される量で前記組成物中に存在するか、
(B)前記1つまたは複数の表面安定剤が、他の賦形剤を含まない組成物中のセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態と表面安定剤を合わせた総乾燥重量を基準として約0.5重量%から約99.999重量%、約5.0重量%から約99.9重量%、または約10重量%から約99.5重量%の総量で存在するか、または
(C)(A)と(B)との組み合わせである、
請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記表面安定剤が、非イオン性表面安定剤、アニオン性表面安定剤、カチオン性表面安定剤、両性イオン性表面安定剤、およびイオン性表面安定剤からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記表面安定剤が、塩化セチルピリジニウム、ゼラチン、カゼイン、ホスファチド、デキストラン、グリセロール、アカシアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロースフタレート、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキシドとホルムアルデヒドとの4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー、ポロキサマー;ポロキサミン、荷電したリン脂質、ジオクチルスルホコハク酸、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルアリールポリエーテルスルホナート、ステアリン酸スクロースおよびジステアリン酸スクロースの混合物、p−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール)、デカノイル−N−メチルグルカミド;n−デシルβ−D−グルコピラノシド;n−デシルβ−D−マルトピラノシド;n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド;n−ドデシルβ−D−マルトシド;ヘプタノイル−N−メチルグルカミド;n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド;n−ヘプチルβ−D−チオグルコシド;n−ヘキシルβ−D−グルコピラノシド;ノナノイル−N−メチルグルカミド;n−ノイルβ−D−グルコピラノシド;オクタノイル−N−メチルグルカミド;n−オクチル−β−D−グルコピラノシド;オクチルβ−D−チオグルコピラノシド;リゾチーム、PEG−リン脂質、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE、リゾチーム、酢酸ビニルおよびビニルピロリドンのランダムコポリマー、カチオン性ポリマー、カチオン性生体高分子、カチオン性多糖類、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性アルギン酸塩、カチオン性非重合体化合物、カチオン性リン脂質、カチオン性脂質、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド、スルホニウム化合物、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルスルフェート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ホスホニウム化合物、第四級アンモニウム化合物、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナッツトリメチルアンモニウムクロリド、ココナッツトリメチルアンモニウムブロミド、ココナッツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナッツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、C12〜15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、C12〜15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、ココナッツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナッツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウムクロリド、ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウムブロミド、N−アルキル(C12〜18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシリドメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N−アルキルおよび(C12〜14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ハロゲン化トリメチルアンモニウム、アルキル−トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N−アルキル(C12〜14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲニド、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、POLYQUAT 10(商標)、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム化合物、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジウム、第四級ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン塩、MIRAPOL(商標)、ALKAQUAT(商標)、アルキルピリジニウム塩;アミン、アミン塩、アミンオキシド、イミドアゾリニウム塩、プロトン化された第四級アクリルアミド、メチル化された第四級ポリマー、およびカチオン性グアールからなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
摂食条件下で投与すると、絶食条件下と比較して著しく異なる吸収レベルを生じない、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
絶食状態の患者への組成物の投与が、摂食状態の患者への組成物の投与と生物学的に同等である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
組成物の薬物動態プロファイルが、前記組成物を服用している患者の摂食状態または絶食状態によって著しく影響されない、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
哺乳動物に投与すると、同じセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態の非ナノ粒子の剤形より少ない投薬量で治療結果を生ずる、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
(a)投与後哺乳動物対象の血漿中でアッセイされる場合、非ナノ粒子製剤を用いる同じ用量で投与される同一セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のCmaxより大きいセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のCmax
(b)投与後哺乳動物対象の血漿中でアッセイされる場合、非ナノ粒子製剤を用いる同じ用量で投与される同一セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のAUCより大きいセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のAUC;
(c)投与後哺乳動物対象の血漿中でアッセイされる場合、非ナノ粒子製剤を用いる同じ用量で投与される同一セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のTmaxより小さいセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態のTmax;または
(d)(a)、(b)および(c)の任意の組み合わせ
を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
感染症および他の関連する状態の予防および治療に有用な1つまたは複数の活性化合物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記1つまたは複数の活性化合物は、頭痛、痛み、熱およびそれらの組み合わせからなる群から選択される状態の治療に有用な化合物からなる群から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態は、セフジトレンピボキシルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記粒子は、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含むリザーバーを含有し、前記リザーバーは、水を前記粒子に吸収させて、前記セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を前記粒子から追い出す圧力を生成する半透膜に囲まれている、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記リザーバーは、浸透圧剤をも含む請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
請求項1に記載の組成物を調製する方法であって、セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含み、直径約2000nm未満の有効平均粒径を有するナノ微粒子組成物を提供するのに十分な時間および条件下で、前記セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含む粒子を少なくとも1つの表面安定剤と接触させるステップを含む方法。
【請求項20】
前記接触させるステップが、粉砕技術、湿式粉砕技術、均質化技術、析出技術、鋳型エマルション(template emulsion)技術、または超臨界流体粒子形成技術を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ナノ微粒子状粒子の有効平均粒径が、直径約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1000nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約75nm未満、および約50nm未満からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態は、セフジトレンピボキシルである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
感染症およびそれに関連する状態を予防および/または治療する方法であって、請求項1に記載の組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項24】
粒子の有効平均粒径が、直径約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1000nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約75nm未満、および約50nm未満からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態は、セフジトレンピボキシルである、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含有する粒子の集団を含む制御放出組成物であって、前記粒子は、調節放出コーティング、またはその代わりにもしくはそれに加えて、調節放出マトリックス材をさらに含み、その結果対象への経口送達後、パルス様式または持続様式でセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を送達する制御放出組成物。
【請求項27】
前記セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態は、セフジトレンピボキシルである、請求項26に記載の制御放出組成物。
【請求項28】
前記集団が調節放出粒子を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
前記集団が侵食性製剤である、請求項26に記載の組成物。
【請求項30】
前記粒子は、それぞれ浸透圧デバイスの形状をしている、請求項26に記載の組成物。
【請求項31】
前記調節放出粒子が調節放出コーティングを有する、請求項28に記載の組成物。
【請求項32】
前記調節放出粒子が調節放出マトリックス材を含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項33】
前記調節放出粒子は、周囲の環境への侵食によって前記セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を放出する製剤中に一体化されている、請求項28に記載の組成物。
【請求項34】
用量の少なくとも一部がエンハンサーをさらに含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項35】
組成物中に含まれている活性成分の量が約0.1mgから約1gである、請求項26に記載の組成物。
【請求項36】
硬ゼラチンまたは軟ゼラチンカプセル中に包含されている前記粒子のブレンドを含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項37】
前記粒子がミニ錠剤の形状をしており、カプセルがミニ錠剤の混合物を含んでいる、請求項26に記載の組成物。
【請求項38】
セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含む圧縮された粒子の層を含む錠剤の形状をしている、請求項26に記載の組成物。
【請求項39】
前記粒子が急速に溶解する剤形で提供される、請求項26に記載の組成物。
【請求項40】
速融解錠剤を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項41】
感染症およびそれに関連する状態の予防および/または治療のための方法であって、請求項26に記載の組成物の治療有効量を投与するステップを含む方法。
【請求項42】
前記調節放出粒子が6から12時間の時間遅延の後に活性成分のパルスを放出するのに効果的なpH依存性ポリマーコーティングを含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項43】
前記ポリマーコーティングがメタクリレート共重合体を含む、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記ポリマーコーティングが時間遅延の後に活性成分の放出のパルスを実現するのに十分な比率でメタクリレート共重合体およびアンモニオメタクリレート共重合体の混合物を含む、請求項42に記載の組成物。
【請求項45】
メタクリレート共重合体対アンモニオメタクリレート共重合体の比がほぼ1:1である、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
(A)セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態;および(B)調節放出コーティング、またはその代わりにもしくはそれに加えて、調節放出マトリックス材を含むナノ微粒子状粒子の集団を含み、その結果対象への経口送達後、パルス様式または持続様式でセフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を送達する制御放出組成物。
【請求項47】
前記組成物が、摂食条件下で投与すると、絶食条件下と比較して著しく異なる吸収レベルを生じない、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
前記組成物の薬物動態プロファイルが前記組成物を摂取する患者の摂食状態または絶食状態によって著しく影響されない、請求項46に記載の組成物。
【請求項49】
前記組成物の絶食状態の患者への投与が前記組成物の摂食状態の患者への投与と生物学的に同等である、請求項46に記載の組成物。
【請求項50】
前記集団が調節放出粒子を含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項51】
前記集団が侵食性製剤である、請求項46に記載の組成物。
【請求項52】
前記粒子は、それぞれ浸透圧デバイスの形状をしている、請求項46に記載の組成物。
【請求項53】
前記調節放出粒子が調節放出コーティングを有する、請求項50に記載の組成物。
【請求項54】
前記調節放出粒子が調節放出マトリックス材を含む、請求項50に記載の組成物。
【請求項55】
前記調節放出粒子は、周囲の環境への侵食によって前記セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を放出する製剤中で組み合わされている、請求項50に記載の組成物。
【請求項56】
用量の少なくとも一部がさらにエンハンサーを含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項57】
組成物中に含まれている活性成分の量が約0.1mgから約1gである、請求項46に記載の組成物。
【請求項58】
硬ゼラチンまたは軟ゼラチンカプセル中に包含されている該粒子のブレンドを含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項59】
前記粒子がミニ錠剤の形状をしており、カプセルがミニ錠剤の混合物を含んでいる、請求項46に記載の組成物。
【請求項60】
セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態を含む圧縮された粒子の層を含む錠剤の形状をしている、請求項46に記載の組成物。
【請求項61】
前記粒子が急速に溶解する剤形で提供される、請求項46に記載の組成物。
【請求項62】
速融解錠剤を含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項63】
前記セフジトレン、またはその塩、誘導体、プロドラッグもしくは他の形態は、セフジトレンピボキシルである、請求項46に記載の組成物。
【請求項64】
感染症およびそれに関連する状態の予防および/または治療のための方法であって、請求項46に記載の組成物の治療有効量を投与するステップを含む方法。
【請求項65】
前記調節放出粒子が6から12時間の時間遅延の後に活性成分のパルス放出を放出するのに効果的なpH依存性ポリマーコーティングを含む、請求項50に記載の組成物。
【請求項66】
前記ポリマーコーティングがメタクリレート共重合体を含む、請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
前記ポリマーコーティングが時間遅延の後に活性成分のパルス放出を実現するのに十分な比率でメタクリレート共重合体およびアンモニオメタクリレート共重合体の混合物を含む、請求項65に記載の組成物。
【請求項68】
メタクリレート共重合体対アンモニオメタクリレート共重合体の比がほぼ1:1である、請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
前記粒子は、それぞれ浸透圧デバイスの形状をしている、請求項26に記載の組成物。

【公表番号】特表2009−517485(P2009−517485A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549464(P2008−549464)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/022117
【国際公開番号】WO2008/073068
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(507250508)エラン・ファルマ・インターナショナル・リミテッド (23)
【Fターム(参考)】