説明

セメント組成物及び該セメント組成物を用いたソイルセメント、地盤改良工法

【課題】地盤改良工事分野での生コンスラッジの再利用を促進するとともに、ベントナイトの全部代替かつセメントの一部代替が可能な高品質の生コンスラッジ微粉末を含む地盤改良工事用のセメント組成物、該セメント組成物をセメントとして用いたソイルセメント、該ソイルセメントによる地盤改良工法を提供する。
【解決手段】生コンスラッジ微粉末を含むセメント組成物であって、前記生コンスラッジ微粉末は生コンスラッジ発生後5日以内の生コンスラッジを加熱乾燥・粉砕処理してなるものであり、前記セメント組成物におけるセメントと前記生コンスラッジ微粉末の割合は、重量比でセメント:生コンスラッジ微粉末=100:3〜70であるセメント組成物、該セメント組成物によるソイルセメント、地盤改良工法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソイルセメント柱列壁の造成、鋼管ソイルセメント複合杭による基礎、ソイルセメントの法面への吹付け等のセメントとベントナイトを併用したソイルセメントによる地盤改良工事において、ベントナイトの全部代替かつセメントの一部代替として好適な生コンスラッジ微粉末を用いたセメント組成物、及び該セメント組成物によるソイルセメント、地盤改良工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、軟弱地盤の補強、構造物基礎の構築、緑化法面基盤の造成等の各種地盤改良工事に、土砂とセメント組成物とを混合してなるソイルセメントが用いられてきている。セメント組成物は目的に応じて種々の配合のものがあるが、概して、セメントとベントナイトの混合物を主体としたものが多く、ソイルセメント柱列壁の造成では注入固化材の主流となってきた。
【0003】
ベントナイトは膨潤性、増粘性、懸濁安定性、チクソトロピー性、吸着性、イオン交換性等の種々の特異な性質を有しているので、これらの性質を利用して注入固化材としてのセメントスラリーの粘度・流動性を調整し、ソイルセメントに止水性を付与するために用いられる。
【0004】
しかし、セメントとベントナイトを併用した場合、ベントナイトの種類、ロット等によって性能が安定せず、ベントナイトによってはベントナイト量が増えるに従って急激にセメントの硬化能力が下がる、ベントナイト中のナトリウムイオンがセメントから遊離したカルシウムイオンとイオン交換反応を起こしベントナイトの膨潤性能が急激に失われる、ベントナイトがソイルセメントの流動性に及ぼす影響が大きくベントナイトの添加量が少し増えただけで流動性が大きく低下してしまうといった問題があるため、ベントナイト代替について検討されてきている。
【0005】
例えば、特許文献1にはソイル柱造成時に排出された固結材と土砂の混合物の乾燥粉末と製紙スラッジから生成した微細繊維を顆粒状にした物質との混合物をベントナイト代替としたソイル柱材が開示されている。また、特許文献2には、コンクリート廃材を加熱、磨砕して得られた再生微粉末をベントナイト代替としたソイルセメント壁造成材料が開示されている。
【0006】
一方、生コン製造、コンクリート製品製造、コンクリート施工において発生する残コン、アジテータ車からの戻りコン、生コンプラントアジテータ車の洗浄で発生する生コンスラッジの処分については従来から問題となっており再利用についても種々検討されてきているが、環境規制が厳しさを増すに伴いその重要性は高まっている。
【0007】
そんな中で再利用方法の一つとして地盤工事や建設工事における注入材、充填材がある。例えば、特許文献3には生コン工場やコンクリート製品工場で発生するセメントゲルを含むスラッジの懸濁液を主成分とするグラウト材としてのセメント系泥水が開示されている。
【0008】
また、特許文献4にはセメントと砂とコンクリート取り扱い設備の洗浄に伴って発生するスラッジ水を所定濃度に濃縮することで得られる濃縮スラッジ水とを含有する建設工事用充填材が開示されている。
【0009】
また、特許文献5にはベントナイト等の可塑材と水からなる可塑材B液と、生コンスラッジを含有するA液とを混合することにより得られる生コンスラッジを用いた可塑性注入材が開示されている。
【0010】
一方、産業廃棄物の処理に対する規制強化、二酸化炭素排出量の削減強化といった環境規制の強化に伴い、上記生コンスラッジとともに産業副産物である高炉スラグについても地盤改良分野でその利用拡大が種々検討されている。
【0011】
例えば、特許文献6には結合材として高炉スラグ微粉末、石膏、ポルトランドセメント、解体コンクリートからの再生コンクリート微粉末からなる高炉セメント組成物を用いた地盤改良用スラリー組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−197356号公報
【特許文献2】特開2004−218337号公報
【特許文献3】特許第3312780号公報
【特許文献4】特開平10−102057号公報
【特許文献5】特開2006−274765号公報
【特許文献6】特開2010−285465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の通り、ソイルセメントに用いられるベントナイトの代替物として廃材を利用したものが幾つか知られているが、水和活性の高いものではないためベントナイトと同様に多量に使用するとソイルセメントの強度発現が悪くなるおそれがある。粘度・流動性においてベントナイトに類似の作用効果を有するとともに、ベントナイトほどセメントの硬化能力を低下させることなく、添加量の差異が流動性に及ぼす影響もベントナイトに比べ小さいベントナイト代替物は未だ無い。
【0014】
一方、上記の通り、生コンスラッジを再利用した注入材・充填材は幾つか知られているものの、使用する生コンスラッジは単に含水率を調整しただけのものであるからして必ずしも水和活性の高いものではなく、回収した含水率の高い生コンスラッジをそのまま再利用すると水和が進みその程度も環境状況によって一定ではないので、品質や品質安定性の低下を招くおそれがある。
【0015】
本発明は、上述のような課題を鑑みてなしたものであり、セメントとベントナイトを併用する地盤改良工事分野での生コンスラッジの再利用を促進するとともに、添加量の差異が流動性に及ぼす影響がベントナイトに比べ小さく、併用するセメントの硬化能力をベントナイトほど低下させずに、ベントナイトの全部代替かつセメントの一部代替が可能な高品質の生コンスラッジ微粉末を含む地盤改良工事用のセメント組成物、該セメント組成物をセメントとして用いたソイルセメント、該セメント組成物をベントナイトの全部代替として用い、ベントナイトを使用しないソイルセメントによる地盤改良工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のセメント組成物は、地盤改良工事に用い、ベントナイトの全部代替かつセメントの一部代替となり得る生コンスラッジ微粉末を含むセメント組成物であって、前記生コンスラッジ微粉末は生コンスラッジ発生後5日以内の生コンスラッジを加熱乾燥・粉砕処理してなるものであり、前記セメント組成物におけるセメントと前記生コンスラッジ微粉末の割合は、重量比でセメント:生コンスラッジ微粉末=100:3〜70であることを特徴とするセメント組成物である。
【0017】
本発明で言う地盤改良工事とは、注入固化材としてセメントとベントナイトを併用する地盤改良工事であり、例えば、ソイルセメント柱列壁の造成工事、鋼管ソイルセメント複合杭による基礎工事、ソイルセメントの法面への吹付け工事等である。
【0018】
セメントは従来から地盤改良工法に用いられているセメント、結合材、水硬性組成物であれば特に限定されない。普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等のポルトランドセメント、高炉セメント等の混合セメント、速硬セメント、エコセメント等のセメント、これらのセメントに複数の無機混和材を混和してなる水硬性組成物が挙げられる。
【0019】
中でも高炉セメントは好ましい。高炉セメント中の高炉スラグ微粉末と生コンスラッジ微粉末との相乗効果により、流動性向上、強度向上、土壌からの六価クロム溶出低減が図れるからである。
【0020】
なお、市販の高炉セメントの代わりに普通ポルトランドセメントに高炉スラグ微粉末を混合して用いても良いが、上記定義の通り、この場合は混合物を本発明で言うセメントとする。
【0021】
生コンスラッジ微粉末は生コンスラッジを微粉末にしたものであり、生コンスラッジは所定の水が加えられた残コン又は戻りコン、あるいはレディーミクストコンクリートを製造したり生コン車を洗浄する生コン工場、レディーミクストコンクリートを製造したり使用したりする二次製品工場から発生する洗浄廃水であるスラリー状被処理物を処理して得られる脱水ケーキである。
【0022】
生コンスラッジは発生後5日以内のものを用いる。生コンスラッジの発生とは残コン、戻りコン、余剰コン、洗浄廃水が発生した時点をいう。用いる生コンスラッジを5日以内とするのは、5日を過ぎるとセメントの水和が進んでセメントクリンカ粒子における未水和部分が少なくなり、生コンスラッジの水和活性が著しく低下するからである。
【0023】
用いる生コンスラッジは、できるだけ発生後からの経過時間が少ないものがよい。また、生コンスラッジの水和が進行しないような処置(例えば、冷温下での保管、遅延剤の添加混合等)を施しておくのは好ましい。
【0024】
生コンスラッジは加熱乾燥処理、粉砕処理して生コンスラッジ微粉末にする。加熱乾燥処理と粉砕処理は同時に行ってもよい。加熱乾燥は80〜150℃で行うのが好ましく、より好ましくは110〜140℃である。
【0025】
粉砕処理はブレーン値で4000〜15000cm2/gの微粉末となるまで行う。生コンスラッジ微粉末は、生コンスラッジ発生後からの経過時間が経ったものほどブレーン値を高くすることが好ましい。経過時間が短いものでもブレーン値を高くして用いることはよい。
【0026】
本発明のセメント組成物における前記セメントと前記生コンスラッジ微粉末の割合は、重量比でセメント:生コンスラッジ微粉末=100:3〜70である。生コンスラッジ微粉末の割合が3未満では粘性・流動性におけるベントナイト代替としての効果、強度におけるセメントの一部代替としての効果が十分得られない。逆に、70を超えると強度発現が不十分になったり粘性・流動性の安定性が欠けたりする。
【0027】
本発明のセメント組成物は、ソイルセメントを用いる地盤改良工事におけるソイルセメントのセメントとして用いるのが好ましい。ソイルセメントを用いる地盤改良工事の代表的なものとしてソイルセメント柱列壁の造成工法等があるが、多くの工法ではセメントとベントナイトが併用されるため、上記本発明のセメント組成物をベントナイトの全部代替かつセメントの一部代替として用いれば、セメントとベントナイトの併用で発生する前記問題を解決できるとともに、セメント使用量を減らすこともでき、処分に困っていた生コンスラッジの大量再利用もできる。
【0028】
本発明で用いる前記生コンスラッジ微粉末は、密度が2.6g/cm3未満でブレーン値が8000cm2/g以上、あるいは、密度が2.6g/cm3以上でブレーン値が4000cm2/g以上のいずれかであるのが好ましい。
【0029】
生コンスラッジ微粉末は水和の進行程度(未水和部分の量)によって密度がバラツキ、概して2.2〜3.0の範囲にある。生コンスラッジの発生時期(回収時期)が早いものを速やかに加熱乾燥・粉砕処理して得た生コンスラッジ微粉末は未水和部分の量が多いので密度が高く、前記発生時期が遅い生コンスラッジを用いたものや発生時期が早いものを用いても処理時期が遅いと水和が進行して未水和部分の量が少なくなり水和物の量が多くなるので生コンスラッジ微粉末の密度は低くなる。したがって、密度によって生コンスラッジ微粉末の水和活性の高低が推測でき、密度の高いものほど水和活性が高いと言える。
【0030】
前述の通り、本発明で用いる生コンスラッジ微粉末は、生コンスラッジ発生後からの経過時間が経ったものほどブレーン値を高くすることが好ましい。また、経過時間が短いものでもブレーン値を高くして用いることはよい。
【0031】
言い換えれば、密度が低いものほどブレーン値を高くすることが好ましい。また、密度の高いものはブレーン値を高くして用いてもある程度低くして用いてもよい。目安となる密度は2.6g/cm3である。
【0032】
密度が2.6g/cm3以上の水和活性の高い生コンスラッジ微粉末であればブレーン値が4000cm2/g以上と必ずしも著しく高くする必要はないが、密度が2.6g/cm3未満の水和活性のあまり高くない生コンスラッジ微粉末であればブレーン値が8000cm2/g以上と著しく高くしないとセメントの一部代替となり難くなる可能性がある。
【0033】
本発明で用いる前記生コンスラッジ微粉末は、含水率が1〜2%であるのが好ましい。2%を超えると水和進行により粒子同士の結合が進み固結となったりする可能性がある。2%以下であれば未水和部分の水和進行はほとんどないので安定した品質のものができる。コスト面からも品質的にも1%未満にする必要はない。1%未満にすると逆に吸湿・吸水する可能性がある。
【0034】
本発明で用いる前記生コンスラッジ微粉末は、ig.lossが20重量%以下で、酸化カルシウムが45〜65重量%、二酸化珪素15〜35重量%であるのが好ましい。ig.lossが高いほど水和や風化が進行した水和活性の低いものと判断される。
【0035】
水和活性の点からして20重量%以下が好ましい。酸化カルシウムや二酸化珪素の量も生コンスラッジ微粉末の水和活性、品質の目安となるものであり、なるべくセメントの組成に近いものが好ましい。上記範囲にあれば品質の高いものと判断され得る。
【0036】
本発明で用いる前記生コンスラッジ微粉末は、上記の通り、生コンスラッジの発生時期や処理時期によって水和活性の異なるものが得られるので、水和活性の高いものを用いようとすると、密度が高くig.lossが少なく酸化カルシウムや二酸化珪素においてセメント組成に近いものが良いが、中でも材令28日での圧縮強度において普通ポルトランドセメントの40%以上となるものが特に好ましい。
【0037】
概して、密度、ig.loss等において上記条件を満たせば、おのずと強度発現性の良いものが得られるが、密度や化学組成を測定するまでもなく、圧縮強度試験を行って強度が普通ポルトランドセメントの40%以上となるものであれば高品質のものであるのでそれでよい。
【0038】
本発明のセメント組成物は前記セメントと前記生コンスラッジ微粉末を主体としたもの度あればよく、必要に応じて、第三成分を添加しても良い。第三成分としては、高炉スラグ粉、フライアッシュ、減水剤、流動化剤等が挙げられる。中でも高炉スラグ粉を含ませることは好ましい。
【0039】
前述の通り、高炉スラグ粉と生コンスラッジ微粉末との相乗効果により、流動性向上、強度向上、土壌からの六価クロム溶出低減が図れるからである。高炉スラグ粉の含ませ方は、セメントとして高炉セメントを用いるか、第三成分として高炉スラグ微粉末を所定量添加するかである。
【0040】
本発明のセメント組成物は、前述の通り、ソイルセメントのセメントとして用いるのが好ましく、また、セメント組成物中には高炉スラグ粉が含まれるのが好ましい。一例として、高炉セメントB種と前記生コンスラッジ微粉末のみからなる本発明のセメント組成物を掘削土砂に混和してなるソイルセメントが挙げられる。このソイルセメントにおいては、掘削土砂1m3に対し、高炉セメントB種180〜260kg、生コンスラッジ微粉末10〜120kgの配合割合が好ましい。
【0041】
高炉セメントB種は180kg未満であると強度不足となる虞がある。また、260kgを超えると必要な流動性を確保するための水量が増えブリージング率が増加し易くなる。生コンスラッジ微粉末は10kg未満であると十分な添加効果が得られない。
【0042】
120kgを超えると強度不足になったり必要な流動性が得られ難くなったりする。ソイルセメントは、ソイルセメント柱列連続壁造成工法における本削孔工事でのソイルセメントとして用いるのが好ましい。
【0043】
また、このソイルセメントの性能は、流動性能がJHS A 313−1992によるシリンダーフロー値が150〜450mmで、強度性能がJIS A 1216による材令28日での一軸圧縮強度が0.5N/mm2以上であるのが好ましい。このような流動特性と強度特性にすれば、生コンスラッジ微粉末が大量に使用でき、ベントナイトを使わなくても高品質のソイルセメント柱列連続壁が得られる。
【0044】
以上のように、本発明のセメント組成物は、セメントとベントナイトを併用するソイルセメントよる地盤改良工法において、該セメントと該ベントナイトの代替として好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明のセメント組成物は、セメントとベントナイトを併用する地盤改良工事において、ベントナイトの全部代替かつセメントの一部代替として使うことができるので、セメントの効果能力の低下、粘性におけるベントナイトの性能低下、ベントナイトの添加量の差異による流動性の著しい変化等のセメントとベントナイトの併用による弊害が解消できる。また、セメントとベントナイトを併用する地盤改良工事分野での生コンスラッジの再利用を促進できセメント使用量も減らせる。
【0046】
本発明のソイルセメントによれば、ベントナイトを使わなくてもソイルセメントを用いた地盤改良工事ができ、ソイルセメント柱列連続壁の造成工事においては、生コンスラッジ微粉末が大量に使用でき、ベントナイトを使わなくても高品質のソイルセメント柱列連続壁が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】ベントナイトもしくは生コンスラッジ微粉末の添加量とシリンダーフロー値との関係を示す図である。
【図2】ベントナイトもしくは生コンスラッジ微粉末の添加量とJAロートでの流下時間との関係を示す図である。
【図3】ベントナイトもしくは生コンスラッジ微粉末の添加量と材令28日での一軸圧縮強度との関係を示す図である。
【図4】本発明のセメント組成物中における生コンスラッジ微粉末の含有量(内割%)とシリンダーフロー値との関係を示す図である。
【図5】本発明のセメント組成物中における生コンスラッジ微粉末の含有量(内割%)とJAロートでの流下時間との関係を示す図である。
【図6】本発明のセメント組成物中における生コンスラッジ微粉末の含有量(内割%)と材令28日での一軸圧縮強度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明のセメント組成物、ソイルセメント、該ソイルセメントを用いた地盤改良工法(ソイルセメント柱列連続壁の造成工法)について詳細に説明する。
【0049】
[本発明のセメント組成物]
本発明のセメント組成物は、セメントと生コンスラッジ微粉末を含み、これらを主体としたものである。第三成分として、高炉スラグ微粉末、減水剤、流動化剤等の従来から地盤改良工事に使われている無機材や化学添加剤を含んでも良い。
【0050】
このセメント組成物は、セメントとベントナイトを併用する地盤改良工法においてセメントとベントナイトの代替として用いることができる。中でもソイルセメントにおけるセメントとして用い、ベントナイトを含まないこのソイルセメントを用いてソイルセメント柱列連続壁の造成工事を行うことは好ましい。
【0051】
このセメント組成物におけるセメントと生コンスラッジ微粉末の割合は、重量比でセメント:生コンスラッジ微粉末=100:3〜70である。生コンスラッジ微粉末の割合が3未満では粘性・流動性におけるベントナイト代替としての効果、強度におけるセメントの一部代替としての効果が十分得られない。
【0052】
逆に、70を超えると強度発現が不十分になったり粘性・流動性の安定性が欠けたりする。セメントと生コンスラッジ微粉末はプレミックスされたものを用いて施工現場で調合して用いてもよい。
次に、セメント組成物の主体を構成するセメントと生コンスラッジ微粉末について説明する。
【0053】
(1)セメント
セメントは従来から地盤改良工事に用いられているセメントであれば特に限定されない。普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等のポルトランドセメント、高炉セメント等の混合セメント、速硬セメント、エコセメント、これらのセメントに複数の無機混和材を混和してなるセメント組成物が挙げられる。
【0054】
中でも高炉セメントは好ましい。高炉セメント中の高炉スラグ微粉末と生コンスラッジ微粉末との相乗効果により、流動性向上、強度向上、土壌からの六価クロム溶出低減が図れるからである。
【0055】
(2)生コンスラッジ微粉末
生コンスラッジ微粉末は発生後5日以内の生コンスラッジを80〜150℃での加熱乾燥し、粉砕してブレーン値4000〜15000cm2/gの微粉末にしたものである。密度が2.6g/cm3以上の水和活性の高い生コンスラッジ微粉末であればブレーン値が4000cm2/g以上と必ずしも著しく高くする必要はないが、密度が2.6g/cm3未満の水和活性のあまり高くない生コンスラッジ微粉末であればブレーン値が8000cm2/g以上と著しく高くしないとセメントの一部代替となり難くなる可能性がある。
【0056】
また、密度が高くig.lossが少なく酸化カルシウムと二酸化珪素の組成がセメントに近いものが好ましく、特に材令28日での圧縮強度が普通ポルトランドセメントの40%以上となる強度発現性を有するものが好ましい。
【0057】
上記品質・性能の生コンスラッジ微粉末を得るための製造方法は特に限定されないが、例えば、特許第4472776号に記載される製造方法がある。
【0058】
この製造方法は、残コン等からのスラリー状被処理物から振動篩等による骨材分離工程で砂利と砂を分離して含砂率が10質量%以下のスラッジ水を得、湿式サイクロン等による微砂分除去工程で微砂分を除去し、得られた濃縮スラッジ水をフィルタプレスにかけて含水率が25〜45質量%の脱水ケーキ(生コンスラッジ)を得る脱水ケーキ製造工程と、この脱水ケーキを内部空間に破砕撹拌翼を備えた横型の回転ドラムに供給し、回転ドラムの端部から熱風を吹き込みながら回転ドラムを回転させ、脱水ケーキの破砕と乾燥とを実質的に同時に行う脱水ケーキの破砕・乾燥工程からなる。横型の回転ドラムとしては、ロータリードライヤ、加熱ミルが挙げられる。
【0059】
この製造方法では、脱水ケーキの破砕と加熱を同時に行うので生コンスラッジ微粉末を得るまでの時間が短時間で済み、乾燥時における未水和部分の水和進行を十分に抑制することができる。したがって、本願発明のセメント組成物に好適な水和活性の高い高品質の生コンスラッジ微粉末が得られる。
【0060】
[本発明のソイルセメント]
上記本発明のセメント組成物は、ソイルセメントを用いる地盤改良工法におけるソイルセメントのセメントとして用いるのが好ましい。ソイルセメントを用いる地盤改良工法の代表的なものとしてソイルセメント柱列壁の造成工法等があるが、多くの工法ではセメントとベントナイトが併用されるため、上記本発明のセメント組成物をベントナイトの全部代替かつセメントの一部代替として用いれば、セメントとベントナイトの併用で発生する前記問題を解決できるとともに、セメント使用量を減らすこともでき、処分に困っていた生コンスラッジの大量再利用もできる。
【0061】
本発明のセメント組成物を用いた好適なソイルセメントは、高炉セメントB種と生コンスラッジ微粉末のみからなる本発明のセメント組成物を掘削土砂に混和してなるソイルセメントである。このソイルセメントにおいては、掘削土砂1m3に対し、高炉セメントB種180〜260kg、生コンスラッジ微粉末10〜120kgの配合割合が好ましい。
【0062】
高炉セメントB種は180kg未満であると強度不足となる虞がある。また、260kgを超えると必要な流動性を確保するための水量が増えブリージング率が増加し易くなる。
【0063】
生コンスラッジ微粉末は10kg未満であると十分な添加効果が得られない。120kgを超えると強度不足になったり必要な流動性が得られ難くなったりする。
水量は水/粉体(セメント+生コンスラッジ微粉末)比率で150〜250%とするのが好ましい。
【0064】
ソイルセメントの性能としては、流動性能がJHS A 313−1992によるシリンダーフロー値が150〜450mmで、強度性能がJIS A 1216による材令28日での一軸圧縮強度が0.5N/mm2以上であるのが好ましい。このような流動特性と強度特性にすれば、生コンスラッジ微粉末が大量に使用でき、ベントナイトを使わなくても高品質のソイルセメント柱列連続壁が得られる。
【0065】
なお、流動性能は上記シリーダーフロー試験に代えてJAロート試験(JACE−F 531−1999)で見ることもできる。また、より詳細にコンシステンシー、グラウト特性等のレオロジー特性を見たい場合は、シリーダーフロー試験とJAロート試験の両方を行ってソイルセメントの流動性能を評価することもできる。
【0066】
次に、本発明のセメント組成物の性能を確認すべく行った、ソイルセメントでの粘性・流動性試験と強度試験について示す。
【0067】
<ソイルセメントの性能試験>
(1)使用材料
1)セメント 記号;C
・高炉セメント(株式会社トクヤマ社製)記号;BB
【0068】
2)生コンスラッジ微粉末 記号;DSP
・スラパウダーL(三和石産社製)記号;L
発生当日の生コンスラッジを加熱乾燥・粉砕処理したもの
(密度2.82g/cm3、ブレーン値6070cm2/g、含水率1.0%、
ig.loss10.11重量%、酸化カルシウム51重量%、
二酸化珪素21重量%)
・スラパウダーH(三和石産社製)記号;H
発生翌日の生コンスラッジを加熱乾燥・粉砕処理したもの
(密度2.48g/cm3、ブレーン値8800cm2/g、含水率1.1%、
ig.loss14.63重量%、酸化カルシウム50重量%、
二酸化珪素20重量%)
【0069】
3)ベントナイト 記号;VN
・アースゲル(クニミネ工業株式会社製)記号;E…一般的ベントナイト
・V1(クニミネ工業株式会社製)記号;V1…活性の高いベントナイト
【0070】
4)土
・笠岡粘土(湿潤密度;1.49g/cm3、含水比;80%)
【0071】
5)混練水
・水道水
【0072】
(2)ソイルセメントの配合及び作製
表1、表2、表3に各試験例での各ソイルセメントの配合を示す。各ソイルセメントは、ホバート型モルタルミキサーにより5分間練り混ぜて作製した。
【0073】
(3)試験方法
1)粘性・流動性
JHS A313−1992に準じてシリンダーフロー試験を行った。
併せて、JSCE−F531−1999に準じてJAロート試験も行った。
2)強度
JIS A 1216に準じて材令7日と材令28日で一軸圧縮強度試験を行った。
【0074】
(4)試験
1)試験例1
本発明のソイルセメントと従来のベントナイトを含むソイルセメントとの比較試験を行った。表1に配合を、表2と図1〜図3に試験結果を示す。
【0075】
【表1】

【0076】
上表に示すように、ベントナイト及びベントナイト全部代替としての生コンスラッジ微粉末(DSP)は、セメントに対して外割りで添加した。水量はW/C=200%で一定とした。
【0077】
【表2】

【0078】
図1のシリンダーフロー値は平均値を用いた。図1、図2からわかるように、従来のベントナイトを用いたソイルセメントでは、ベントナイトの種類によって粘性・流動性は大きく変わる。そして、ベントナイトによっては添加量の差異が粘性・流動性に大きく影響し添加量が増えると流動性が悪くなる。
【0079】
一方、本発明の生コンスラッジ微粉末をソイルセメントでは、生コンスラッジ微粉末の差異による粘性・流動性への影響はあるもののベントナイトほどではない。そして、添加量の差異が粘性・流動性に与える影響もベントナイトほど大きくはなく、添加量を増やしても流動性は悪くならない。また、ベンナイト並みの粘性・流動性は十分得られる。
【0080】
図3からわかるように、従来のベントナイトを用いたソイルセメントでは、ベントナイトの種類によって強度発現は大きく変わり、ベントナイトによっては添加量が増えると強度が低下する。
【0081】
一方、本発明の生コンスラッジ微粉末をソイルセメントでは、生コンスラッジ微粉末の差異による強度発現への影響はあるもののベントナイトほどではない。概して、生コンスラッジ微粉末を添加するとセメント単味のものと比べ強度がほぼ同等以上となり同じ水粉体比でもベントナイトを添加したものでは強度低下を起こすものもあることから、本発明の生コンスラッジ微粉末は単なる微粉末効果以外のセメントとしての作用効果も若干あると見られる。また、ベンナイト並み以上の強度は十分得られる。
【0082】
以上から、本発明の生コンスラッジ微粉末は、ベントナイトの全部代替かつセメントの一部代替となり得ると見られる。
【0083】
2)試験例2
本発明のソイルセメントにおいて、生コンスラッジ微粉末の添加量が比較的多い領域での本発明のセメント組成物におけるセメントと生コンスラッジ微粉末との配合割合、生コンスラッジ微粉末の添加量の差異を見るための試験を行った。表3に配合割合を、表4と図4〜図6に試験結果を示す。
【0084】
【表3】

【0085】
上表において、配合No.1は表1の配合No.1と同じものであるため、同じ番号を用いた。
【0086】
【表4】

【0087】
配合No.1のデータは試験例1でのデータを流用した。また、図4のシリンダーフロー値は平均値を用いた。図4、図5からわかるように、本発明のセメント組成物では、生コンスラッジ微粉末の含有量が10〜40重量%と多くても、概して、流動性は大きく低下しない。
【0088】
ソイルセメントではシリンダーフロー値が150mm以上であれば作業性がよいので、本発明のソイルセメントは流動性の面で十分実用的と言える。450mmを超えるとブリージングが増えたり強度不足となったりすることが起き易くなる。
【0089】
図6からわかるように、本発明のセメント組成物では、生コンスラッジ微粉末の含有量が10〜40重量%と多いとセメント含有量の減少による影響が現れ強度は低下するものの、生コンスラッジ微粉末の水和活性効果や微粉末効果により、概して含有量の増加に伴う強度低下は抑制される傾向にあり、生コンスラッジ微粉末の含有量が比較的多い領域でも0.5N/mm2以上の実用的強度がある。(ソイルセメントの強度は、材令28日での一軸圧縮強度が0.5N/mm2以上であれば良いとされている。)
【0090】
セメント量と一軸圧縮強度が比例関係にあるとして、配合No.1の材令28日での一軸圧縮強度1.507N/mm2からセメント量が70%に減少した場合(配合No.14、No.15に対応)の一軸圧縮強度を推定すると、1.507×0.7=1.055N/mm2となるが、表4に示すように配合No.14では1.232N/mm2、配合 No.15では1.157N/mm2でありいずれも前記推定値を上回っている。
【0091】
これは生コンスラッジ微粉末がセメントと同様にして水和し強度発現に寄与したことによると見られ、この結果からしても生コンスラッジ微粉末はセメントの一部代替となり得ることがわかる。
【0092】
以上、上記試験例1と試験例2からわかるように、本発明のセメント組成物では、概して、生コンスラッジ微粉末の含有量が変動しても粘性・流動性は大きく変化せず安定した粘性・流動性が得られる。
【0093】
また、従来のベントナイトを使用したものと比べ、粘性・流動性及び強度において同等以上の性能を発揮するとともに、生コンスラッジ微粉末の添加量が比較的多い領域でも十分実用的な粘性・流動性と強度を示すので、生コンスラッジ微粉末はベントナイトの全部代替かつセメントの一部代替として使用できると言える。
【0094】
[本発明の地盤改良工法]
本発明のソイルセメントによる地盤改良工法の一例として、ソイルセメント柱列壁の造成工法の概要を示す。注入固化液として従来用いられていたセメントベントナイト液に代えて本発明のセメント組成物によるスラリーを用いる以外は従来と同様の方法で施工する。例えば、以下のようにして施工する。
【0095】
(1)先行削孔
ソイルセメント柱列壁の本工事に先立ち、N値が50以上の砂礫地盤、硬質地盤などの場合は、先行削孔を行い、地盤を緩める方法をとる。この際のスラリーに、本発明で用いる生コンスラッジ微粉末を利用することも出来る。
【0096】
<削孔工程概要>
ソイルセメント柱列壁の杭穴に対して1本置きに、一軸オーガーにて、正回転でスラリーとエアーを掘削ヘッドから吐出しながら計画深度まで削孔し、最後逆回転しながら引き上げを行う。引き上げ完了後、次の削孔位置に重機を移動して、同様に削孔を行う。
【0097】
(2)本削孔
注入固化液として、予め、本発明のセメント組成物によるスラリーを製造しておく。このスラリーの配合は、例えば、高炉セメントB種180〜260kg/m3、生コンスラッジ微粉末10〜120kg/m3、混練水量150〜250重量%(高炉セメントB種と生コンスラッジ微粉末の合量に対して)である。ベントナイトは使用しない。掘削オーガ等の施工装置は従来からイルセメント柱列壁の造成工法の本削孔に用いられているものであれば特に限定されない。
【0098】
<掘削工程概要>
まず、掘削オーガの位置決めを行い、オーガ掘削軸の掘削ヘッドを正回転させ削孔を開始する。その際、上記本発明のセメント組成物によるスラリーとエアーを掘削ヘッドから吐出して孔内に注入し、原位置で掘削土砂と撹拌混練する。このように正回転しながら所定の深さまで注入、削孔を継続したら引き上げを開始し、その際も前記スラリーを注入し続ける。
【0099】
この引き上げでは正回転と逆回転を交互に繰り返しスラリーと掘削土砂を十分撹拌混練する。ある程度引き上げたならば、再度、正回転・逆回転を駆使して掘削と撹拌混練を行い、最後に逆回転しながらゆっくり引き上げを行い、ソイルセメント柱列を造成する。
【0100】
ソイルセメントが硬化する前に応力負担材であるH形鋼等を芯材として適宜間隔で挿入しソイルセメント柱列壁を得る。
【0101】
上記例のように、ソイルセメントよる地盤改良工事における注入固化液として、本発明のセメント組成物によるスラリーを従来用いられていたセメントベントナイト液に代えて用いればベントナイトを使用しなくても従来のものと比べ遜色のない安定した品質のソイルセメントによる地盤改良工事ができる。また、生コンスラッジの大量処理もでき環境面でも大きな貢献ができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤改良工事に用い、ベントナイトの全部代替かつセメントの一部代替となり得る生コンスラッジ微粉末を含むセメント組成物であって、前記生コンスラッジ微粉末は生コンスラッジ発生後5日以内の生コンスラッジを加熱乾燥・粉砕処理してなるものであり、前記セメント組成物におけるセメントと前記生コンスラッジ微粉末の割合は、重量比でセメント:生コンスラッジ微粉末=100:3〜70であることを特徴とするセメント組成物。
【請求項2】
前記地盤改良工事がソイルセメントを用いた工事であり、前記セメント組成物が前記ソイルセメントのセメントであることを特徴とする請求項1に記載のセメント組成物。
【請求項3】
前記生コンスラッジ微粉末は、密度が2.6g/cm3未満でブレーン値が8000cm2/g以上、あるいは、密度が2.6g/cm3以上でブレーン値が4000cm2/g以上のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載のセメント組成物。
【請求項4】
前記生コンスラッジ微粉末は、含水率が1〜2%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセメント組成物。
【請求項5】
前記生コンスラッジ微粉末は、ig.lossが20重量%以下で、酸化カルシウムが45〜65重量%、二酸化珪素15〜35重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のセメント組成物。
【請求項6】
前記生コンスラッジ微粉末の強度発現性が、材令28日での圧縮強度において、普通ポルトランドセメントの40%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のセメント組成物。
【請求項7】
前記セメント組成物は、高炉スラグ粉を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のセメント組成物。
【請求項8】
高炉セメントB種と前記生コンスラッジ微粉末のみからなる請求項7に記載のセメント組成物を掘削土砂に混和してなるソイルセメントであって、前記ソイルセメントにおけるこれらの配合割合が、掘削土砂1m3に対し、前記高炉セメントB種180〜260kg、前記生コンスラッジ微粉末10〜120kgであることを特徴とするソイルセメント。
【請求項9】
前記請求項8に記載のソイルセメントであって、ソイルセメント柱列連続壁造成工法における本削孔工事でのソイルセメントとして用いることを特徴とするソイルセメント。
【請求項10】
前記請求項9に記載のソイルセメントであって、流動性能がJHS A 313−1992によるシリンダーフロー値が150〜450mmで、強度性能がJIS A 1216による材令28日での一軸圧縮強度が0.5N/mm2以上であることを特徴とするソイルセメント。
【請求項11】
セメントとベントナイトを併用するソイルセメントよる地盤改良工法において、該セメントと該ベントナイトの代替として、前記請求項1〜7に記載のセメント組成物を用いることを特徴とする地盤改良工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−32233(P2013−32233A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168142(P2011−168142)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000179915)ジェコス株式会社 (27)
【出願人】(509042389)三和石産株式会社 (10)
【Fターム(参考)】