説明

セラミックス焼成炉

【課題】本発明は、焼成炉内部の気体雰囲気を均一に形成することによって焼成されるセラミックス基板の不良を最小限に抑えることができるセラミックス焼成炉に関する。
【解決手段】本発明に係るセラミックス焼成炉は、成形体が配置される内部空間を備えるケースと、ケースの内部に配置されて熱を発散する発熱体と、外力によって回転可能になるようにケースを貫通して締結されケースの内部空間に気体を供給する多数の給気部とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼成炉に関し、より詳細には、気体を焼成炉の内部に円滑に供給及び排出できるセラミックス焼成炉に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、セラミックスを利用したセラミックス電子装置としては、積層セラミックスキャパシター(capacitor)、バリスタ(varistor)、フェライト(ferrite)、圧電体(piezo−electricbody)などがある。
【0003】
このようなセラミックス電子装置の基本となる積層セラミックス成形体は、セラミックス原料を所定の形状に成形して成形体を製造する工程と、成形体を焼成炉で焼成する工程とを経て完成される。
【0004】
これらのうち、成形体を焼成炉で焼成する工程は、セラミックス成形体を焼成炉で60℃〜450℃の温度でバーンアウト(burn−out)してバインダー成分を除去する脱バインダー工程と、900℃以内の温度で焼成する焼成工程と、焼成完了後に常温になるまで冷却する冷却工程とが連続的に行われる。
【0005】
このように、焼成炉で焼成されたセラミックス成形体は、その外部面に外部電極及び端子電極などを形成することによって、最終的なセラミックス製品として完成される。
【0006】
しかしながら、このような従来の焼成炉は、焼成炉の内部に気体を円滑に供給することが困難であるという問題がある。即ち、従来は、焼成炉内の気体雰囲気を均一に形成することが容易でないため、焼成されるセラミックス基板の焼結緻密度の低下及び巨大気孔の発生等の不良があり、大面積・高厚のLTCCセラミックス基板(例えば、200mm×200mm×5mm)の焼成時にはさらに悪化するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、焼成炉内部の気体雰囲気を均一に形成することによって、焼成されるセラミックス基板の不良を最小限に抑えることができるセラミックス焼成炉を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係るセラミックス焼成炉は、成形体が配置される内部空間を備えるケースと、ケースの内部に配置されて熱を発散する発熱体と、外力によって回転可能になるようにケースを貫通して締結されケースの内部空間に気体を供給する多数の給気部とを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る給気部は、ケースの内部空間に配置される給気管と、ケースの外部で給気管の一端と連結され外力によって容易に回転される角度調節つまみとを含むことが好ましい。
【0010】
本発明に係る給気管は、管状に形成され、長手方向に沿って噴射ノズルが形成されることが好ましい。
【0011】
本発明に係る角度調節つまみは、上部面に、噴射ノズルが形成された方向と同一の方向に噴射ノズルの位置を表示するノズル位置マークが形成されることができる。
【0012】
本発明に係る給気部は、角度調節つまみとケースの外部面との間に介在され上部面に一定の間隔に回転角度が表示されている角度表示板をさらに含むことが好ましい。
【0013】
本発明に係る角度調節つまみは、内部に貫通孔を備え、貫通孔の下端には給気管が締結され、上端には給気管に気体を供給する給気チューブが締結されることができる。
【0014】
本発明に係る給気部は、ケースのすべての隅角部に垂直方向に延在してそれぞれ備えられることが好ましい。
【0015】
本発明に係るケースは、四角の箱型に形成され、多数の給気部は、ケースの上端面を貫通して締結されることが好ましい。
【0016】
本発明に係る給気部は、ケースの四つの隅角部にそれぞれ備えられることが好ましい。
【0017】
本発明に係る給気部は、給気管の他端がケースの底面から一定の間隔に離隔されるように、ケースに締結されることができる。
【0018】
本発明は、焼成時に発生した不純物が含まれた気体が外部に排出される通路として利用される排気部をさらに含むことが好ましい。
【0019】
本発明に係る排気部は、ケースの壁面の少なくともいずれか一面に形成される多数の排気口と、ケースの外部で排気口に締結される排気管とを含むことが好ましい。
【0020】
本発明に係る排気管は、一端が多数の排気口にそれぞれ締結される個別排気管と、個別排気管の他端が統合されて一つの管として形成される統合排気管とを含むことができる。
【0021】
本発明に係る排気口は、ケース内部の垂直高さを基準として、底面から1/4の高さに該当する位置に形成されることができる。
【0022】
本発明に係る多数の排気口は、ケースの底面と平行な横方向に沿って一列に配置されることが好ましい。
【0023】
本発明に係る排気口は、ケースの全壁面にそれぞれ同一の形状に形成されることが好ましい。
【0024】
本発明に係るケースは、四角の箱型に形成され、排気口は、ケースの四つの壁面にそれぞれ同一の形状に形成されることができる。
【0025】
また、本発明の他の実施形態に係るセラミックス焼成炉は、成形体が配置される内部空間を備え、壁面の少なくともいずれか一面に多数の排気口が形成されるケースと、ケースの内部に配置されて熱を発散する発熱体と、ケースの外部で排気口に締結される排気管とを含むことを特徴とする。
【0026】
本発明に係る排気管は、一端が多数の排気口にそれぞれ締結される個別排気管と、個別排気管の他端が統合されて一つの管として形成される統合排気管とを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る焼成炉は、噴射方向を容易に調節できる給気部を含む。これにより、焼成炉内全体に均一に気体を供給することができ、焼成炉の外部にある角度調節つまみを利用して給気管の気体噴射方向の角度を直接調節することで、最適な焼成環境を形成することができる。
【0028】
さらに、多数の排気口を備える排気管を備えることによって、焼成炉内で急激な空気の温度変化が発生したり、排気口で過流現象が発生したりすることを最小限に抑えることができる。
【0029】
したがって、焼成炉内部の気体雰囲気を最適化し温度偏差を最小限に抑えることによって、焼成時にセラミックス製品の特性が変化したりセラミックス基板内部に巨大気孔が発生したりすることを防止し、焼結緻密度及び基板の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係るセラミックス焼成炉の概略断面図である。
【図2】図1に示されるセラミックス焼成炉のA−A’線に沿う断面図である。
【図3】図2に示されるセラミックス焼成炉のB−B’線に沿う断面図である。
【図4】図1に示されるセラミックス焼成炉の概略側面図である。
【図5】図1に示されるセラミックス焼成炉の角度調節部を示す概略平面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る焼成炉の平面図である。
【図7a】従来技術に係る焼成炉で焼成したセラミックス基板の破断面である。
【図7b】本発明の実施形態に係る焼成炉で焼成したセラミックス基板の破断面である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の詳細な説明に先立って、本明細書及び特許請求の範囲で用いられる用語や単語は、通常的又は辞書的な意味に解釈されるべきではなく、発明者が自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に基づいて本発明の技術的思想に適う意味と概念で解釈されるべきである。したがって、本明細書に記載の実施形態と図面の構成は、本発明の最も好ましい実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて説明するものではないため、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例があることもあるということを理解すべきである。
【0032】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳述する。この際、添付の図面において同一の構成要素は、できるだけ同一の符号を付して示す。なお、本発明の要旨を不明確にする公知の機能及び構成に対する詳細な説明は省略することもある。同様に、添付の図面において一部の構成要素は、誇張、省略又は概略的に図示され、各構成要素のサイズは、実際のサイズを完全に反映するものではない。
【0033】
以下、本発明の実施形態を添付の図面を参照して詳述する。
【0034】
図1は、本発明の実施形態に係るセラミックス焼成炉の概略断面図、図2は、図1に示されるセラミックス焼成炉のA−A’線に沿う断面図、図3は、図2に示されるセラミックス焼成炉のB−B’線に沿う断面図である。
【0035】
なお、図4は、図1に示されるセラミックス焼成炉の概略側面図、図5は、図1に示されるセラミックス焼成炉の角度調節部を示す概略平面図である。
【0036】
図1から図5を参照すると、本発明の実施形態に係る焼成炉100は、セラミックス製品用の箱型焼成炉であって、断熱材12が収容されたケース10と、断熱材12の内部面に沿って配置される少なくとも一つの発熱体20と、ケース10の内部空間に配置されその上部面にセラミックス成形体1が安着される支持部30と、焼成炉100内部の気体雰囲気を均一に組成するための気体循環部50、60とを含んでなる。
【0037】
断熱材12は、アルミナ系セラミックス繊維製ボード又はムライト耐火物の耐火断熱材からなり、上記の二つの材質を組み合わせて複合的に用いることもできる。即ち、ケース10の壁面は、アルミナ系セラミックス繊維製ボードで構成し、底面は、ムライト耐火物の耐火断熱材で構成することができる。しかしながら、これらに限定されず、焼成炉100内部の温度を効果的に断熱できる材質であれば、多様に利用されることができる。
【0038】
発熱体20は、支持部30の上部に安着されるセラミックス成形体1を焼成させるために、焼成炉100の内部空間に熱を供給する加熱部材であって、外部から供給される電気エネルギーによって発熱され、SiC、MoSi等の熱発生率の高い材質からなることができる。
【0039】
本実施形態に係る発熱体20は、断熱材12の内部面に付着される。したがって、発熱体20は、焼成炉100内部の壁面と底面及び天井面の全体にわたって形成されることができるし、あるいは必要に応じて選択的に形成されることもできる。
【0040】
なお、本実施形態においては、発熱体20が断熱材12の一面に付着される場合を例に挙げている。しかしながら、本発明は、これに限定されず、発熱体20が断熱材12の内部に挿入されるように構成したり、断熱材12から焼成炉100の内部方向に一定距離だけ離隔されるように発熱体20を配置することもできる。
【0041】
このような発熱体20は、焼成炉100の内部を効果的に加熱することができるのであれば、多様な形状に形成されることができる。
【0042】
支持部30は、焼成炉100の内部空間でセラミックス成形体1を支持する。この際、セラミックス成形体は、大面積・高厚のLTCCセラミックス基板であっても良い。
【0043】
支持部30は、急速昇温及び急速冷却が可能であり、温度の均一性を維持するのに有利であるように一層の板状に形成され、円板、多角形板等の多様な形状に形成されることができる。
【0044】
さらに、支持部30は、セラミックス成形体1の焼成時、セラミックス成形体1に及ぶ温度を均一にするために、搭載されたセラミックス成形体1を回転させることができるように、下部に回転力を与える駆動部(図示せず)を備えることができる。
【0045】
なお、焼成炉100の一面には、セラミックス成形体1の出入りのための出入り用ドア13を備えることができる。出入り用ドア13は、内部に断熱材12を備えることが好ましく、必要に応じて発熱体20が付着されるように構成されることができる。本実施形態では、出入り用ドア13が焼成炉100の壁面のうちの一面に形成される場合を例に挙げているが、これに限定されず、焼成炉100の底面又は天井面からセラミックス成形体1が出入りするように構成したり、焼成炉100の多面に形成されるように構成したりする等の多様な応用が可能である。
【0046】
気体循環部50、60は、焼成炉100の内部に気体(又は流体)を供給し、内部空間に存在する気体を外部に排出する役割を行う。
【0047】
気体循環部50、60は、焼成炉100の内部に気体を供給する給気部50と、焼成時に発生した有機物が含まれたバインダー及びその他の不純物を外部に排出する排気部60とを含んでなる。
【0048】
本実施形態に係る給気部50は、給気管52と、給気管52を回転させるための角度調節部57とを含む。
【0049】
給気管52は、管状に形成され、長手方向に沿って一定の間隔に噴射ノズル53が形成される。給気管52の噴射ノズル53は、焼成炉100内部に位置する給気管52の全体にわたって形成される。これにより、焼成炉100内部全体に同一に気体を供給するようになる。
【0050】
なお、本実施形態に係る給気管52は、噴射ノズル53がすべて一方向に形成されて、噴射ノズル53が位置する一方向のみに気体を噴射するように構成される。
【0051】
このような噴射ノズル53は、給気管52にスクリュー状や放射状に形成されることもできるが、この場合は、噴射ノズル53から噴射される気体の流れが一定でないこともある。このように、気体の流れが一定でないと、脱バインダー経路がかなり長い大面積・高厚のLTCCセラミックス基板の場合、セラミックス成形体1に存在する有機物バインダーが効果的に除去されず、焼成の品質に問題が発生することもある。
【0052】
したがって、噴射ノズル53は、いずれか一方向のみに形成されることが好ましい。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されるものではない。即ち、同時に二方向に気体を噴射するように噴射ノズル53を形成し、必要に応じて一定の間隔にはなく多様な間隔で噴射ノズル53が形成されるように構成することもできる。
【0053】
このような噴射ノズル53は、直径が約1mm〜5mm程度に形成され、隣接する噴射ノズル53との離隔距離は、各噴射ノズル53の端間の距離が約10mm〜50mm程度に形成されることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0054】
このように構成される本実施形態に係る給気管52は、耐熱性材質、特にSiC又はアルミナ材質で形成されることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0055】
角度調節部57は、角度調節つまみ54と、角度表示板56とを含む。
【0056】
角度調節つまみ54は、作業者が給気管52の噴射方向を直接操作できるように提供されるつまみであって、焼成炉100の外部面に締結され、その下端には給気管52の一端が締結される。
【0057】
さらに、角度調節つまみ54の内部には、貫通孔が形成される。貫通孔の下端は、給気管52と連結され、上端は、給気チューブ58の一端と連結される。ここで、給気チューブ58は、給気管52に気体が供給される通路であって、その他端は給気装置(図示せず)に連結される。したがって、給気装置から供給される気体は、給気チューブ58及び角度調節つまみ54の貫通孔を経て給気管52に供給される。
【0058】
このような角度調節つまみ54は、その上端面にノズル位置マーク55を備える。ノズル位置マーク55は、給気管52のノズル53の位置を示す。若し、ノズル位置マーク55が焼成炉100の壁面に向かうように角度調節つまみ54が位置しているのであれば、給気管52のノズル53は焼成炉100の壁面に向かうようになり、これにより給気管52から噴射される気体もまた焼成炉100の壁面に向かって噴射される。
【0059】
角度表示板56は、角度調節つまみ54と焼成炉100との間に介在され、焼成炉100のケース10の外部面に付着される。角度表示板56の一面には、角度が表示されている。したがって、作業者は、角度表示板56に表示された角度を元に、角度調節つまみ54の回転角度を認知しながら角度調節つまみ54を回転させるようになる。
【0060】
ここで、本実施形態では、角度表示板56の縁に沿って10度の間隔で総360度の角度が表示された場合を例に挙げている。しかしながら、本発明は、これに限定されず、作業者の必要に応じて多様な間隔で角度を表示することができる上、角度ではなく他の数値や範囲等を複合的に表示するように構成する等の多様な応用も可能である。
【0061】
このような本実施形態に係る焼成炉100は、内部の四つの隅角部に四つの給気部50がそれぞれ備えられる。各給気部50は、ケース10から一定の間隔に離隔されて配置され、すべて個別に回転できるように構成される。したがって、作業者は、図2に示されるように、必要に応じてそれぞれの給気管52を多様な方向に回転させることで、所望の方向(例えば、図2の矢印方向)に気体が噴射されるように調節することができる。
【0062】
また、各給気管52は、焼成炉100内部のサイズに対応する長さに形成され、本実施形態では、給気管52の他端が焼成炉100の底面から1cm程度離隔される長さに形成されることを例に挙げている。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではない。即ち、給気管52の他端が底面に接触したり、底面に挿入されるように形成することもできる。この場合、給気管52は、容易に回転可能になるように底面に接触又は挿入される。
【0063】
このような本実施形態に係る給気部50は、焼成炉100内全体に均一に気体を供給するための構成を有し、作業者は、焼成炉100の外部にある角度調節つまみ54を利用して給気管52の気体噴射方向の角度を直接調節しながら気体の供給方向を必要に応じて自由に調節することができる。これにより、セラミックス成形体1のサイズや状態、積載された方法や状況に応じて、気体供給方向を調節し、最適な焼成環境を形成することができる。
【0064】
さらに、給気部50は、脱バインダー工程と焼成工程のみならず、冷却工程においても冷却気体を噴射するのに容易に利用されることができる。
【0065】
排気部60は、焼成時に発生した有機物が含まれたバインダーと、その他の不純物が含まれた気体とを外部に排出するのに用いられる通路であって、焼成炉100に貫通孔状に形成される排気口62と、排気口62に締結される管状の排気管63とを含む。
【0066】
排気口62は、焼成炉100のケース10の壁面の下部に形成される。特に、本実施形態に係る排気口62は、二つ以上の多数個が形成されることを特徴とし、このような多数の排気口62は横方向、即ち、焼成炉100の底面と平行な水平面に沿って一列に配置される。
【0067】
このような多数の排気口62は、それぞれ排気管63と連結される。このため、本実施形態に係る排気管63は、それぞれの排気口62に締結される個別排気管64と、多数の個別排気管64が統合されて一つの管として形成される統合排気管65とを含む。
【0068】
焼成炉100内に排気口62を一つのみ形成する場合、排気の流れが排気口62のみに集中され、その流れが速くなって排気口62付近で過流現象が発生することがある。過流現象は、焼成炉100内部を均一な温度に具現する上で差し支えになるため、これを防止するために、本実施形態に係る焼成炉100には少なくとも二つの排気口62が形成されて利用される。
【0069】
このような排気口62は、焼成炉100の壁面の下部、即ち、底面に隣接する位置に形成されることが好ましい。より詳細には、焼成炉100内部の垂直高さを全体高さとすると、底面から約1/4の高さに該当する位置に形成される。
【0070】
さらに、各排気口62は、一定の間隔に離隔されて配置されることが好ましい。より詳細には、焼成炉100内部の水平長さを全体幅とすると、二つの排気口62は、全体幅の1/4地点と3/4地点にそれぞれ形成される。
【0071】
さらに、本実施形態に係る排気口62は、焼成炉100の内部サイズが横50cm×縦50cm×高さ40cmに形成されて100、000cmの容量を有する場合、直径25mmのサイズに形成されることができる。
【0072】
上述した本実施形態に係る排気口62と排気管63の構成は、上述した実施形態に限定されず、必要に応じて多様な応用が可能である。
【0073】
なお、排気管63と排気口62を上記のように構成する理由は、焼成炉100内部の温度分布をできるだけ均一に維持するためであり、以下では、これについてより詳細に説明する。
【0074】
一般的に、焼成炉100内で加熱された空気は、対流現象によって上部に上がる。しかしながら、本実施形態に係る焼成炉100は、排気口62が上部や天井面に形成されないため、加熱された空気が焼成炉100内の上部に上がるなり外部に排出されることを防止することができる。これにより、加熱された空気は、焼成炉100内部に淀むようになり、焼成炉100内部の空気循環によって排気口62に隣接している空気が順次排出される。したがって、焼成炉100内で急激な空気の温度変化が発生することを最小限に抑えることができる。
【0075】
このように、排気口62を二つ以上形成し、その位置を底面と平行に横方向に配置して形成すると、上部と下部との温度の差を最小限に抑えることができる。さらに、排気口62付近で発生することがある過流現象を減少させることで、円滑な排気の流れを具現し、これによって焼成炉100内での均一な温度分布を具現することができる。
【0076】
さらに、本実施形態に係る焼成炉100は、排気管63が焼成炉100の天井面ではなくケース10の壁面に位置するようになるため、排気管63の外部から異物が落下することによって、セラミックス成形体1が汚染されることを防止することができる。
【0077】
排気口62の数は、焼成炉100の内部容量に応じて増やすことができる。特に、100、000cmを基準として排気口62を二つ形成し、容量が100、000cmずつ増えるたびに排気口62を横方向に一つずつ等間隔で加えることが好ましい。排気口62の直径は、20mm〜30mmに形成されることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0078】
図6は、本発明の他の実施形態に係る焼成炉の概略平面図である。
【0079】
本実施形態に係る焼成炉200は、上述した実施形態に係る焼成炉(図1の焼成炉100)と類似するように構成され、排気部160の構成においてのみ差異がある。したがって、同一の構成要素に対する詳細な説明は省略し、排気部160の構造を中心としてより詳細に説明する。
【0080】
図6を参照すると、本実施形態に係る焼成炉200は、焼成炉200の全ての壁面に排気口162と排気管163とが形成される。この際、各壁面に形成される排気口162は、すべて対応される形態に形成される。
【0081】
なお、本実施形態では、焼成炉200の各壁面にそれぞれ一つの排気口162のみが形成される場合を例に挙げているが、これに限定されるものではない。即ち、上述した実施形態と同一の形態に各壁面に二つの排気口162を一列に形成することもできる。さらに、本発明は、各壁面に形成される排気口162の数と、排気口162が形成される位置及び排気口162のサイズとを全部同一にすると、より容易に適用されることができる。
【0082】
さらに、図6は、出入り用ドア113にも排気口162が形成されたことを示している。このように、本実施形態に係る焼成炉200は、出入り用ドア113の開閉に問題がなければ、出入り用ドア113にも他の壁面と同様に排気口162及び排気管163が形成されることが好ましい。なお、排気口162の形成のために、出入り用ドア113を焼成炉200の底面や天井面に形成する方法を利用することもできる。
【0083】
このように、出入り用ドア113を含む全ての壁面に排気口162が形成される場合、焼成炉200の内部空間の気体は、いずれか一つの排気口162に集まることなく、焼成炉200の四方から排出されることができる。したがって、排気管163付近で気体の流れが急激に速くなることを最小限に抑えることができる。
【0084】
また、本発明の実施形態による焼成炉100、200は、四つの給気部50を介して気体を焼成炉100、200の内部に供給することを特徴とする。したがって、本実施形態のように、四つの排気口162を一定の間隔に配置して焼成炉200の全体にわたって形成する場合、焼成炉200内部の気体の流れをより容易に調節することができる。
【0085】
なお、本図面では、各排気口162に連結される排気管163がそれぞれ個別に構成されることを示しているが、これに限定されるものではない。即ち、上述した実施形態のように、それぞれの排気管(図2の排気管64)が統合されて最終的に一つの管として形成されるように構成する等の多様な応用が可能である。
【0086】
以上のように構成される本実施形態に係るセラミックス焼成炉は、噴射方向を容易に調節できる給気部を含む。これにより、焼成炉内全体に均一に気体を供給することができ、焼成炉の外部にある角度調節つまみを利用して給気管の気体噴射方向の角度を直接調節することで、最適な焼成環境を形成することができる。
【0087】
さらに、多数の排気口を備える排気管を備えることによって、焼成炉内で急激に空気の温度変化が発生したり、排気口で過流現象が発生したりすることを最小限に抑えることができる。
【0088】
したがって、焼成炉内部の気体雰囲気を最適化し温度偏差を最小限に抑えることによって、焼成時にセラミックス製品の特性が変化したりセラミックス基板内部に巨大気孔が発生したりすることを防止し、焼結緻密度及び基板の強度を向上させることができる。
【0089】
図7aは、従来技術に係る焼成炉で焼成したセラミックス基板の破断面、図7bは、本発明の実施形態に係る焼成炉で焼成したセラミックス基板の破断面である。
【0090】
これを参照すると、本発明の実施形態に係る焼成炉で焼成したLTCCセラミックス基板の方が、断面内部の微細構造において巨大気孔が除去され組織が緻密化されていることを確認することができる。
【0091】
このように、本発明に係る焼成炉を用いることで、従来の焼成炉で大面積・高厚のLTCCセラミックス基板の焼成時に発生する焼成品質の低下をかなり改善できることが分かる。
【0092】
なお、本発明に係るセラミックス焼成炉は、上述した実施形態に限定されず、本発明の技術的思想内でこの分野における通常の知識を有する者によって多様な変形が可能である。
【0093】
例えば、上述した実施形態では、手動操作で給気部の角度調節つまみを回して給気管を回転させる場合を例に挙げている。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではない。
【0094】
即ち、角度調節つまみを省略し、電動機(motor)を利用して給気管を回転させるように構成することも可能である。この場合、給気管は、給気チューブと直接連結され、電動機は、ギアやベルト等を介して給気管と連結されて給気管を回転させるように構成することができる。なお、精密な角度制御のために、電動機は、ステッピングモーター(stepping motor)を利用することができる。
【0095】
このように、電動機を利用する場合、各電動機を制御するために、別途の制御部を備えることが好ましい。制御部は、各電動機と電気的に連結されて、各電動機の回転角度、回転方向及び回転速度などを制御できるように構成することができる。
【0096】
さらに、本実施形態では、セラミックス製品用の焼成炉を例に挙げて説明したが、本発明は、これに限定されず、特定空間の内部に気体を均一に給気及び排出するように構成される設備や装置であれば、多様に適用されることができる。
【符号の説明】
【0097】
100、200 焼成炉
10、110 ケース
12 断熱材
13、113 出入り用ドア
20 発熱体
30 支持部
50 給気部
52 給気管
53 噴射ノズル
54 角度調節つまみ
55 ノズル位置マーク
56 角度表示板
58 給気チューブ
60、160 排気部
62 排気口
63、163 排気管
64 個別排気管
65 統合排気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形体が配置される内部空間を備えるケースと、
当該ケースの内部に配置されて熱を発散する発熱体と、
外力によって回転可能になるように前記ケースを貫通して締結され、前記ケースの前記内部空間に気体を供給する多数の給気部と、
を含む、セラミックス焼成炉。
【請求項2】
前記給気部は、
前記ケースの前記内部空間に配置される給気管と、
前記ケースの外部で前記給気管の一端と連結され、外力によって容易に回転される角度調節つまみと、
を含む、請求項1に記載のセラミックス焼成炉。
【請求項3】
前記給気管は、
管状に形成され、長手方向に沿って噴射ノズルが形成される、請求項2に記載のセラミックス焼成炉。
【請求項4】
前記角度調節つまみは、
上部面に前記噴射ノズルが形成された方向と同一の方向に前記噴射ノズルの位置を表示するノズル位置マークが形成される、請求項3に記載のセラミックス焼成炉。
【請求項5】
前記給気部は、
前記角度調節つまみと前記ケースの外部面との間に介在され上部面に一定の間隔に回転角度が表示されている角度表示板をさらに含む、請求項4に記載のセラミックス焼成炉。
【請求項6】
前記角度調節つまみは、
内部に貫通孔を備え、当該貫通孔の下端には前記給気管が締結され、上端には前記給気管に気体を供給する給気チューブが締結される、請求項2に記載のセラミックス焼成炉。
【請求項7】
前記給気部は、
前記ケースのすべての隅角部に垂直方向に延在してそれぞれ備えられる、請求項2に記載のセラミックス焼成炉。
【請求項8】
前記ケースは、四角の箱型に形成され、
多数の前記給気部は、前記ケースの上端面を貫通して締結される、請求項2に記載のセラミックス焼成炉。
【請求項9】
前記給気部は、
前記ケースの四つの隅角部にそれぞれ備えられる、請求項8に記載のセラミックス焼成炉。
【請求項10】
前記給気部は、
前記給気管の他端が前記ケースの底面から一定の間隔に離隔されるように前記ケースに締結される、請求項8に記載のセラミックス焼成炉。
【請求項11】
焼成時に発生した不純物が含まれた気体が外部に排出される通路として利用される排気部をさらに含む、請求項1に記載のセラミックス焼成炉。
【請求項12】
前記排気部は、
前記ケースの壁面の少なくともいずれか一面に形成される多数の排気口と、
前記ケースの外部で前記排気口に締結される排気管と、
を含む、請求項11に記載のセラミックス焼成炉。
【請求項13】
前記排気管は、
一端が前記多数の排気口にそれぞれ締結される個別排気管と、
当該個別排気管の他端が統合されて一つの管として形成される統合排気管と、
を含む、請求項12に記載のセラミックス焼成炉。
【請求項14】
前記排気口は、
前記ケース内部の垂直高さを基準として、底面から1/4の高さに該当する位置に形成される、請求項12に記載のセラミックス焼成炉。
【請求項15】
前記多数の排気口は、
前記ケースの底面と平行な横方向に沿って一列に配置される、請求項12に記載のセラミックス焼成炉。
【請求項16】
前記排気口は、前記ケースの全壁面にそれぞれ同一の形状に形成される、請求項12に記載のセラミックス焼成炉。
【請求項17】
前記ケースは、四角の箱型に形成され、
前記排気口は、前記ケースの四つの壁面にそれぞれ同一の形状に形成される、請求項12に記載のセラミックス焼成炉。
【請求項18】
成形体が配置される内部空間を備え、壁面の少なくともいずれか一面に多数の排気口が形成されるケースと、
当該ケースの内部に配置されて熱を発散する発熱体と、
当該ケースの外部で前記排気口に締結される排気管と、
を含む、セラミックス焼成炉。
【請求項19】
前記排気管は、
一端が前記多数の排気口にそれぞれ締結される個別排気管と、
当該個別排気管の他端が統合されて一つの管として形成される統合排気管と、
を含む、請求項18に記載のセラミックス焼成炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【公開番号】特開2012−37218(P2012−37218A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284191(P2010−284191)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】