説明

セラミックス触媒装置

【課題】排気ガスのマットに対する影響を低減し、かつ、部品点数の低減が可能なセラミックス触媒装置を提供する。
【解決手段】排気管110から出力される排気ガスを浄化する触媒を担持したセラミックス製の触媒担体10と、この触媒担体10を保持する外筒13と、触媒担体10と外筒13との間に挟持される保持マット12とを備えたセラミックス触媒装置において、排気管110の端部110Aを触媒担体10に対して近接させて配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス触媒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンからの排気ガスを浄化する触媒装置として、セラミックス製の触媒担体に触媒を担持させたものが提案されている。この種のセラミックス触媒装置では、触媒担体の外周を多層絶縁材層(以下、マットという)で取り巻いて金属製容器の内側に付設すると共に、マットの金属製容器に対する保持力向上のために、金属製容器の内側に上記マットに対し、軸方向への取付圧を加える端部リングを設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−101466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の構成では、端部リングを備える分、部品点数が多くなってしまう。
しかし、従来の構成から端部リングを取り外すと、排気ガスがマットに触れることが予測されるため、排気ガスのマットに対する影響を低減できる構成が望まれる。
【0004】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、排気ガスのマットに対する影響を低減し、かつ、部品点数の低減が可能なセラミックス触媒装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述課題を解決するため、本発明は、排気管から出力される排気ガスを浄化する触媒を担持したセラミックス製の触媒担体と、この触媒担体を保持する外筒と、触媒担体と外筒との間に挟持されるマットとを備えたセラミックス触媒装置において、前記排気管の端部を、前記触媒担体に対して近接させて配置したことを特徴とする。この発明によれば、排気管の端部を触媒担体に対して近接させて配置したので、端部リングを設けることなく排気ガスのマットに対する影響を低減でき、部品点数の低減が可能になる。
【0006】
また、前記排気管の端部は、前記排気管の位置決めを行う位置決め用部材と前記外筒との取付部よりも前記触媒担体側にしてもよい。この構成によれば、排気管の端部を触媒担体により一層近づけることができるので、マットに対して排気ガスが流れることを低減させることが期待できる。
【0007】
また、前記マットの端部は、前記触媒担体の端部よりも排気ガス下流側にオフセットして配置されており、前記排気管の端部と前記触媒担体との間の距離は、前記オフセットの量よりも小さくしてもよい。この構成によれば、触媒担体の端部よりもマットの端部を排気ガス下流側に配置することにより、マットの保護が可能になると共に風食をも低減させることを期待することができる。
【0008】
また、前記排気管の端部を、前記触媒担体に対して、前記排気管が排気ガスで線膨張する分だけ離して配置してもよい。この構成によれば、排気管の熱膨張による触媒担体への影響を回避することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、排気管から出力される排気ガスを浄化する触媒を担持したセラミックス製の触媒担体と、この触媒担体を保持する外筒と、触媒担体と外筒との間に挟持されるマットとを備えたセラミックス触媒装置において、排気管の端部を触媒担体に対して近接させて配置したので、排気ガスのマットに対する影響を低減し、かつ、部品点数の低減が可能になる。
また、排気管の端部は、排気管の位置決めを行う位置決め用部材と外筒との取付部よりも触媒担体側にしたので、排気管の端部を触媒担体により一層近づけることができ、マットに対して排気ガスが流れることを低減させることが期待できる。
また、マットの端部は、触媒担体の端部よりも排気ガス下流側にオフセットして配置されており、排気管の端部と触媒担体との距離は、上記オフセットの量よりも小さくたので、マットの保護が可能になると共に風食をも低減させることを期待することができる。
また、排気管の端部を、触媒担体に対して排気管が排気ガスで線膨張する分だけ離して配置したので、排気管の熱膨張による触媒担体への影響を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1及び図2は、本発明の実施形態に係るセラミックス触媒装置1を備えた排気マフラ100の断面図である。この排気マフラ100は、自動二輪車のエンジンから延びる排気管110の後端に接続され、この排気管110を通った排気ガスを減圧して外部に排出するサイレンサとして機能する。
この排気マフラ100は、エンジンから延びる単一の排気管110が接続される筒状本体120を有し、この筒状本体120内に、セラミック製の触媒担体10を備えるセラミックス触媒装置(以下、触媒装置)1が支持される。
この筒状本体120は、この筒状本体120の外周面を構成する外筒121と、この外筒121内に挿入される内筒122と、これら筒部材121、122の前部開口及び後部開口を各々覆うように連結される略お椀状の前壁部123及び後壁部124とを備える。
この内筒122、前壁部123及び後壁部124とによって形成される内部空間は、複数枚(本例では2枚)の隔壁(以下、第1隔壁131、第2隔壁132という)を介して複数(本例では3つ)の膨張室(以下、第1膨張室A、第2膨張室B、第3膨張室Cという)に仕切られ、排気管110の端部110Aが筒状本体120の前壁部123を貫通して筒状本体120内に挿入される。
【0011】
筒状本体120内の前側に位置する第1隔壁131には、この第1隔壁131を貫通して筒状本体120の長手方向に延びる位置決め用筒部材(位置決め用部材)135が取り付けられる。この位置決め用筒部材135は、前壁部123側に向かって徐々に径が細くなる筒形状に形成され、最も小径の前端部135Aに排気管110が略隙間無く挿入されて溶接等で接合される。
また、この位置決め用筒部材135の後端部135Bには、触媒装置1の外ケースを構成する外筒13が嵌め込まれて溶接等で接合される。排気管110は、この位置決め用筒部材135内で後方に向かって徐々に拡径する拡径部110Bを有し、この拡径部110Bの端部110Aが、位置決め用筒部材135よりも後方に位置する。すなわち、排気管110の端部110Aは、位置決め用筒部材135と外筒13との取付部137よりも後方に位置して外筒13内に入り込む。また、この排気管110の端部110Aは、触媒装置1内の触媒担体10と略同径に形成され、触媒担体10に近接配置される。
【0012】
触媒装置1の外筒13は、筒状本体120の長手方向に沿って延在して第2隔壁132を貫通し、第2隔壁132に支持される。この場合、触媒装置1が、位置決め用筒部材135と第2隔壁132とに支持されるので、支持強度を十分に確保できる。また、同一の位置決め用筒部材135に触媒装置1と排気管110とが支持されるので、触媒装置1と排気管110との位置関係を正確に設定することができる。
なお、筒状本体120の外筒121と内筒122との間にはグラスウール等の吸音材102が設けられ、また、後壁部124を構成する内側後壁部124Aと外側後壁部124Bとの間、及び、後壁部124を貫通するテールパイプ145の外周を覆う筒体125の内側にも吸音材102が設けられる。
【0013】
触媒装置1は、触媒担体10に形成された多数の貫通孔5を介して排気管110の端部110A側と第1膨張室Aとを連通させ、この排気管端部110Aから排出された排気ガスを触媒担体10を通過する際に浄化する。ここで、触媒装置1の外径は、排気管端部110Aの外径よりも大径に形成されると共に、位置決め用筒部材135によって排気管端部110Aと触媒担体10とが略同軸上に位置決めされる。このため、排気管端部110Aから排出された排気ガスを、触媒担体10に効率よく入れて第1膨張室Aに流入させることができる。
また、第2隔壁132には、触媒装置1からずれた位置に、第1連通管141と第3連通管143とが貫通して固定され、また、第1隔壁131には、位置決め用筒部材135からずれた位置に第2連通管142が貫通して固定される。
第1連通管141は、第1膨張室Aと第2膨張室Bとを連通し、第2連通管142は、第2膨張室Bと第3膨張室Cとを連通する。また、第3連通管143は、一端が第2膨張室Bを横断して第1隔壁131を貫通して第3膨張室Cに開口すると共に、他端が第1膨張室Aを横断し、その後端に連結されたテールパイプ145が筒状本体120の後壁部124を貫通して第3膨張室Cと排気マフラ100外の空間とを連通する。
【0014】
この排気マフラ100では、排気管110の端部110Aから排出された排気ガスが、図1に矢印で示すように、触媒装置1を通過して排気マフラ100内の第1膨張室Aに流入し、流れ方向を反転して第1連通管141を通って第2膨張室Bに流入し、再び流れ方向を反転して第2連通管142を通って第3膨張室Cに流入した後、再び流れ方向を反転して第3連通管143及びテールパイプ145を通って外部へと排出される。
この筒状本体120の断面積は、この筒状本体120に挿入される排気管110よりも大きく形成されるため、排気ガスが各膨張室A〜Cに流入する際に減圧される。また、触媒装置1を排気マフラ100の筒状本体120内に配置したため、触媒装置1のレイアウトスペースが容易に確保される。また、触媒装置1を排気管110の端部110Aと同軸上に配置したため、排気管110の端部110Aから排出された排気ガスをその流れ方向を変えることなく触媒装置1に円滑に流入させることができる。
【0015】
次に触媒装置1について詳述する。図3は触媒装置1の分解斜視図を示している。この図に示すように、触媒装置1は、排気ガス浄化機能を有する触媒を担持した触媒担体10と、触媒担体10の外周を覆う保持マット(触媒保持マットとも称する)12と、触媒担体10を保持マット12を介して保持する外筒13とを備えている。
触媒担体10は、その軸線方向に沿って延びる貫通孔5をハニカム状に形成したハニカム構造体を基材とし、この基材の内側に、排気ガス成分を分解する白金、パラジウム、ロジウム等の触媒を担持している。すなわち、この触媒担体10は、白金、パラジウム、ロジウム等によって排気ガス中の炭化水素と一酸化炭素と酸化窒素とを酸化、還元反応によって除去する三元触媒として機能する。
ここで、この触媒担体10の断面形状、つまり、ハニカム構造体の断面形状は、真円断面を有する柱形状(円柱形状)に形成されている。なお、断面形状に楕円形状等の他形状を適用してもよい。
【0016】
また、本実施形態では、このハニカム構造体に、多孔構造を有するセラミックス多孔体で形成されたセラミックスハニカムを用いている。このため、金属製のハニカム構造体を用いた場合よりも全体重量を軽くできる、また、多孔質のセラミックスを用いたため、内部の表面積を確保し易くなり、触媒も担持し易くなる、といった利点がある。
ここで、触媒担体10の基材となるセラミックスの好ましい例としてはコージェライト、ムライト、アルミナ、アルカリ土類金属のアルミネート、炭化ケイ素、窒化ケイ素等、或いはこれらの類似物を含む各種耐熱性セラミックスが挙げられる。また、基材の形状は、粉末状、顆粒状、粒状(球を含む)、ペレット状(円筒形や環状を含む)、タブレット状、ハニカム状等、いずれの形態であってもよく、好ましくはハニカム構造である。
【0017】
触媒担体10にパラジウム、ロジウム、白金を担持させるための溶液は、これら金属を含む化合物を所定溶媒に溶解させたものである。パラジウムを担持させるために用いる材料としては、硝酸塩、塩化物、酢酸塩、錯塩(ジクロロテトラアンミンパラジウム等)等が挙げられる。また、白金を担持させる材料としては、硝酸塩、塩化物、酢酸塩、錯塩(ジニトロジアンミン白金、トリクロロトリアンミン白金等)等が挙げられる。また、触媒担体にロジウムを担持させる材料としては、硝酸塩、塩化物、酢酸塩、硫酸塩、錯塩(ペンタアンミンクロロロジウム、ヘキサアンミンロジウム等)等が挙げられる。そして、これらの材料の溶液を調整し、この溶液に上述した触媒担体10を含浸させることにより、触媒担体10にパラジウム、白金、ロジウムを担持させることができる。溶媒としては、水や有機溶媒を用いることが可能であるが、溶解度や廃液処理の容易性、入手容易性等を考慮すると水が好ましい。また、上記溶液に触媒担体を含浸させた後、触媒担体を、例えば250度程度に加熱して乾燥させることで、触媒担体10が有する多孔構造にパラジウム、ロジウム、白金が担持され、排気ガス中の窒素酸化物、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)等を分解浄化することができる。なお、要求される排ガス浄化性能によっては、パラジウム、ロジウム、白金のいずれか1または2種のみを触媒担体10に担持させて触媒を構成してもよい。また、パラジウム、ロジウム、白金の他に、触媒として機能する金属や金属化合物等を触媒担体10に担持させてもよい。
【0018】
保持マット12は、セラミックス製の繊維をマット状に集積して構成したものである。この保持マット12は、長尺状に形成され、触媒担体10の外表面に巻き付けられる。この保持マット12の一端には凸状の合わせ部12Aが形成され、他端には凹状の合わせ部12Bが形成され、保持マット12を触媒担体10に巻き付けた際にこれら合わせ部12A、12Bを係合して触媒担体10に巻き付けた状態に保持することができる。
また、保持マット12は、繊維が絡み合った集合体であるため、表面及び内部には微細な隙間が無数に形成される。このため、保持マット12は、比較的大きな弾性を有すると共に、表面の面粗度が粗くなり、表面の摩擦係数も比較的高いものとなる。ここで、保持マット12の材質は、耐熱性及び弾性を有するものであれば良く、アルミナ、ムライト、コージェライト、炭化珪素等のセラミックス材料の他に、繊維状の金属を集積したものやグラスウール等を用いることができる。
【0019】
外筒13は、円筒形状に形成され、より具体的には、図4に示すように、排気管110の外径よりも大径であって、かつ、上述した位置決め用筒部材135との嵌め込み部分を確保するために触媒担体10及び保持マット12よりも長く形成されている。この外筒13の材質は、強度及び耐熱性の高い金属が用いられ、例えばステンレス等の鋼材が用いられる。
保持マット12を巻き付けた触媒担体10は、外筒13に圧入されることによって外筒13内に収容される。この場合、保持マット12は外筒13と触媒担体10との間で圧縮された状態で挟持されるため、保持マット12の弾性力及び摩擦力によって触媒担体10を外筒13に保持する保持力が生じる。従って、触媒担体10の外表面が、摩擦係数が比較的低いセラミックス面であっても、この保持マット12を用いることによって保持力を確保できる。
なお、保持マット12を巻き付けた触媒担体10を外筒13に収容する際、圧入以外の方法、例えば、キャニング或いは巻き締めを適用してもよい。キャニングする場合には、円筒を軸線方向に沿って複数の片に分割するように形成した分割片により、保持マット12が巻き付けられた触媒担体10を囲い、分割片どうしを接合して外筒13を形成する。また、巻き締めする場合には、保持マット12が巻き付けられた触媒担体10に板材を巻き付けて、板材の端部どうしを接合して外筒13を形成する。ここで、キャニング及び巻き締めの接合は、溶接、接着及びボルト止め等で行うことができる。
【0020】
本実施形態では、図1に示すように、触媒装置1を、排気管110を保持する位置決め用筒部材135と第2隔壁132とに支持して排気管端部110Aを触媒担体10と同軸上にレイアウトすると共に、排気管端部110Aを触媒担体10に近接させたレイアウトとしている。また、保持マット12の排気管110側の端部は、図4に示すように、触媒担体10の端部よりも排気ガス下流側にオフセットして配置され、排気管端部110Aと触媒担体10との距離(軸間距離L1)が、上記オフセットの量(オフセット量L2)よりも小さくされる。この軸間距離L1は、好ましくは3mm〜7mm程度であり、例えば5mmに設定される。また、オフセット量L2は、好ましくは5mm〜20mm程度であり、例えば10mmに設定される。
このように排気管端部110Aを触媒担体10に近接させて配置した構成では、排気管端部110Aから排出される排気ガスが、図4に矢印で示すように、その流れ方向に対して径方向に殆ど拡がることなく、触媒担体10に流入する。これにより、排気ガスによる保持マット12の腐食、つまり、保持マット12の風食を抑えることができる。仮に、排気管端部110Aから排出される排気ガスが、排気管端部110A直後で径方向に拡がって流れたとしても、触媒担体10の外径が排気管端部110Aの外径よりも大径に形成されているため、排気ガスを保持マット12に接触させることなく触媒担体10に流入させることができる。
【0021】
ここで、この排気管端部110Aと触媒担体10との離間距離L1(図1及び図4参照)は、排気管110が排気ガスで長手方向に線膨張する分だけ離した距離とされ、好ましくは、排気管110が排気ガスの熱で線膨張しても触媒担体10に接触しない最低距離に設定される。このため、排気管110の熱膨張による触媒担体10への影響を回避しつつ、排気管端部110Aと触媒担体10とを近接させることができる。
【0022】
このように本実施形態によれば、排気管端部110Aを触媒担体10に近接させて配置したため、従来のような保持マットの端部を覆う端部リングを設けることなく、排気ガスの保持マット12に対する影響(保持マット12の風食等)を低減することができる。また、端部リングを設けない分、部品点数の低減及び部品形状の複雑化を回避でき、簡易な構成にすることができる。
また、本実施形態では、排気管端部110Aと触媒担体10とを同軸上に近接配置したので、排気管端部110Aからの排気ガスを触媒担体10により確実に流入させることができ、保持マット12の風食をより確実に抑えることができる。
しかも、本実施形態では、第1隔壁131に支持された位置決め用筒部材135に触媒装置1と排気管110とを位置決め支持するので、排気管端部110Aと触媒担体10とを精度良く位置合わせすることができる。従って、触媒容積の有効利用を図ることができ、触媒担体10の大径化を回避でき、触媒装置1を収容する排気マフラ100を小型化でき、マフラ形状の設計自由度を向上することができる。
【0023】
また、排気管端部110Aは、排気管110の位置決めを行う位置決め用筒部材135と外筒121との取付部137よりも触媒担体10側にあるので、排気管端部110Aを触媒担体10により一層近づけることができる。このため、保持マット12に対して排気ガスが流れることを低減させることが期待できる。
さらに、保持マット12の排気管110側の端部を、触媒担体10の端部よりも排気ガス下流側にオフセットして配置し、排気管端部110Aと触媒担体10との距離L1を上記オフセットの量L2よりも小さくしたので、触媒担体10を排気管端部110Aに近づけると共に、保持マット12を排気管端部110Aから離すことができ、保持マット12の保護が可能になると共に風食をも低減させることを期待することができる。
【0024】
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、種々の設計変形が可能である。例えば、上述の実施形態では、保持マット12を触媒担体10の外周に一巻きする場合を説明したが、保持マット12の両端を重ねることによって合わせ部12Xの肉厚を厚くし、図5(A)(B)に示すように、触媒担体10を外筒13に対して偏心させてもよい。ここで、図5(A)は、排気マフラ100内の排気管端部110A、位置決め用筒部材135及び触媒装置1を示しており、図5(B)は触媒装置1の断面図を示している。また、図5(B)において、符号C1は触媒担体10の軸中心であり、符号C2は外筒13の軸中心であり、符号L3は偏心量を示している。
この場合、排気マフラ100内のレイアウトスペースの制約等から、排気管端部110Aと外筒13とを偏心させて配置した場合に、上記保持マット12の巻き方だけで、排気管端部110Aと触媒担体10とが同軸上に並ぶようにレイアウトすることが可能になる。
また、上述の実施形態では、自動二輪車用の触媒装置に本発明を適用する場合を説明したが、これに限らず、それ以外のATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両或いは自動車等に搭載され、排気管からの排気ガスを浄化する触媒装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係るセラミックス触媒装置を備えた排気マフラの断面図である。
【図2】図1と異なる方向から見た排気マフラの断面図である。
【図3】触媒装置の分解斜視図である。
【図4】触媒装置と排気管端部のレイアウトの説明に供する図である。
【図5】(A)は変形例に係る触媒装置を周辺構成と共に示す側断面図であり、(B)は(A)の触媒装置の断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 触媒装置(セラミックス触媒装置)
10 触媒担体
12 保持マット
13 外筒
100 排気マフラ
110 排気管
110A 排気管端部
120 筒状本体
131 第1隔壁
132 第2隔壁
135 位置決め用筒部材(位置決め用部材)
141〜143 連通管
145 テールパイプ
L1 離間距離
L2 オフセット量
L3 偏心量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気管から出力される排気ガスを浄化する触媒を担持したセラミックス製の触媒担体と、この触媒担体を保持する外筒と、触媒担体と外筒との間に挟持されるマットとを備えたセラミックス触媒装置において、
前記排気管の端部を、前記触媒担体に対して近接させて配置したことを特徴とするセラミックス触媒装置。
【請求項2】
前記排気管の端部は、前記排気管の位置決めを行う位置決め用部材と前記外筒との取付部よりも前記触媒担体側にあることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス触媒装置。
【請求項3】
前記マットの端部は、前記触媒担体の端部よりも排気ガス下流側にオフセットして配置されており、前記排気管の端部と前記触媒担体との間の距離は、前記オフセットの量よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックス触媒装置。
【請求項4】
前記排気管の端部を、前記触媒担体に対して、前記排気管が排気ガスで線膨張する分だけ離して配置したことを特徴とする請求項1乃至3に記載のセラミックス触媒装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−235931(P2009−235931A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80183(P2008−80183)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】