説明

セラミック金属インターロック部品並びにその製造及び使用方法

【課題】セラミック金属インターロック部品並びにその製造及び使用方法を提供すること。
【解決手段】複合素子が提供される。複合素子は、第1の端部及び第2の端部を有するキャビティを画成するセラミック部品と、ヘッド及び本体を含む金属部品とを含む。金属部品の本体の少なくとも一部がキャビティ内に配置され、金属部品のヘッドが、キャビティの第1の端部上に配置される。本体の一部の断面積は第1の端部の面積よりも大きい。加えて、セラミック部品と金属部品がインターロックされる。複合素子を製造する方法及びクリアランスセンサ部品を製造する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック部品と金属部品を有する複合素子(composite element)に関し、より詳細にはインターロックされたセラミック部品と金属部品並びにその製造及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの物体間の距離を測定するのに様々なタイプのセンサが用いられてきた。例えば、タービンは、シュラウドに隣接して配置された幾つかのタービンを有する。タービンブレードとシュラウドとの間のクリアランスは、特に限定されないが、タービンの温度、RPM(毎分回転数)、負荷及び使用年数などの様々な要因に応じて変化する。タービンの安全かつ効率的な作動のため、タービンブレードとシュラウドの間の間隔つまりクリアランスが維持されることが望ましい。タービンブレードとシュラウドの間の距離を測定するために、タービン内にセンサを配置することができる。
【0003】
かかるセンサは通常、金属とセラミック部品の組合せを利用している。金属部品は、セラミック部品内に部分的に配置される。通常、金属部品とセラミック部品は、ろう付け継手によって互いに保持される。しかし、かかるクリアランスセンサは、主として過酷な環境(エンジン内部など)で利用されるので、センサ部品及びろう付け継手において動作温度及び圧力が高いことが問題となっている。作動中に偶発的にろう付け継手が機能不全になった場合、エンジン内に金属又はセラミック部品が放出される危険性があり、場合によってはエンジンに損傷を与えることがある。
【0004】
従って、作動中にエンジン内に放出することのないセラミック部品と金属部品を利用したセンサを提供する必要性がある。また、かかるセンサ部品を製造するための安価に利用可能な方法を提供することが有利となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6877651号明細書
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では複合素子が提供される。複合素子は、第1の端部及び第2の端部を有するキャビティを画成するセラミック部品と、ヘッド及び本体を含む金属部品とを含む。金属部品の本体の少なくとも一部がキャビティ内に配置され、金属部品のヘッドが、キャビティの第1の端部上に配置される。本体の一部の断面積が第1の端部の面積よりも大きく、セラミック部品と金属部品がインターロックされる。
【0007】
別の実施形態では、複合素子の製造方法が提供される。複合素子は、セラミック部品とインターロックされた金属部品を含む。本方法は、第1の端部及び第2の端部を有するキャビティを画成するセラミック部品を準備する段階と、キャビティ内に分解性材料を配置する段階と、インベストメント内にセラミック部品を配置する段階とを含む。本方法はさらに、キャビティから分解性材料を除去する段階と、キャビティ内に溶融金属を配置する段階と、溶融金属を固化して金属部品を形成する段階を含む。金属部品は、セラミック部品とインターロックされて複合素子を形成する。本方法はさらに、鋳型から複合素子を取り出す段階を含む。
【0008】
さらに別の実施形態では、クリアランスセンサ部品を製造する方法が提供される。本方法は、金属部品用の1以上のキャビティを画成するセラミック部品を設ける段階と、セラミック部品の側部にセンサケース用の1以上のキャビティを画成する段階と、金属部品及びセンサケースの1以上のキャビティに分解性材料を配置する段階とを含む。本方法はさらに、セラミック部品をインベストメント内に配置する段階と、1以上のキャビティから分解性材料を除去する段階と、1以上のキャビティ内に溶融金属を配置する段階と、を含む。
【0009】
別の実施形態では、本発明の方法を用いて形成される複合素子が提供される。
【0010】
本発明のこれらの及びその他の特徴、態様並びに利点は、図面全体を通して同じ参照符号が同様の部分を表す添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むと、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るクリアランスセンサを有するタービンの概略図。
【図2】本発明の実施形態に係るクリアランスセンサの複合素子の断面斜視図。
【図3】本発明の実施形態に係る複合素子の製造方法の概略フローチャート。
【図4】本発明の実施形態に係る複合素子の製造方法の概略フローチャート。
【図5】本発明の実施形態に係る金属ケース内に配置された複合素子の側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下で詳細に検討するように、本発明の実施形態は、インターロックしたセラミック部品と金属部品を有する複合素子並びにその製造及び使用方法に関する。詳細には、本発明の技法は、セラミック部品と金属部品を共に保持するのにろう付け継手に依存しない複合素子を利用する。特定の実施形態では、複合素子は、第1の端部及び第2の端部を備えるキャビティを有するセラミック部品と、ヘッド及び本体を有する金属部品とを含み、該金属部品の本体の少なくとも一部がキャビティ内に配置され、金属部品のヘッドがキャビティの第1の端部上に配置され、本体の一部の断面積が第1の端部の面積よりも大きく、互いにインターロックされたセラミック部品と金属部品を提供する。
【0013】
1つの非限定的な実施例において、複合素子は、クリアランスセンサで利用することができる。通常、クリアランスセンサは、出力タービン(例えば、蒸気又はガス/油燃焼出力タービン、もしくは航空機エンジン)、発電機、回転部品を有する機械、その他などの種々のシステムにおいて2つの物体間のクリアランスの正確な測定を提供するよう機能する。
【0014】
図1は、タービン10などの回転機械を示しており、本発明のクリアランスセンサを組み込んで回転部品と静止部品の間のクリアランスを測定することができる。蒸気タービン10は、静止ハウジング14内に配置されたロータ12を含む。バケットとも呼ぶことができる複数のタービンブレード16がロータ12に固定される。作動中、ブレード16は、高温高圧の蒸気又は空気に曝され、これにより軸線周りにブレード16が回転するようにする。ブレード16は、静止ハウジング又はシュラウド14内で回転し、ブレード16の周りに半径方向及び円周方向に位置付けられる。ブレード16とシュラウド14の間には比較的小さなクリアランスが存在し、シュラウド14内のブレード16の回転を可能にしながら、ブレード16とシュラウド14の間で作動流体(すなわち蒸気又は空気)の過剰な漏出も阻止する。
【0015】
図示の実施例では、参照符号18、20及び22などで表される1以上のクリアランスセンサは、静止シュラウド14の周りに円周方向に配置される。図示の実施例では、クリアランスセンサ18、20及び22の各々は、ブレード16に対応する第2のパラメータを表す信号を発生するよう構成された複数のプローブ先端を含むことができる。例示的な実施形態では、クリアランスセンサ18、20及び22は、容量性プローブであり、検知パラメータはキャパシタンスである。別の実施例では、クリアランスセンサ18、20及び22は渦電流センサであり、第2のパラメータは誘導電流である。センサ18、20及び22の各々は、それぞれの円周方向位置におけるシュラウド14に対するブレード16の半径方向及び軸方向位置を表す信号を発生するよう構成することができる。
【0016】
図2は、ケーシング33内で電極先端30、32のペアを利用し、タービンブレードに密接に近接して配置されたクリアランスセンサ28の実施例を示す。電極先端30、32は、図3及び4に関して詳細に説明されるように、溶融金属を鋳造することにより形成される一体成形品とすることができる。電極先端30、32は、バイア34及び36を定め、キャビティ内に高温の計装ケーブル38及び40を受けて電極を形成する。バイア34及び36の直径は通常、ケーブル38及び40の直径及びろう付け領域の所望の壁厚によって決まる。
【0017】
セラミック部品42は、電極先端30、32の一部を収容するのに使用される。セラミック部品42は、アルミナのような高温セラミックを含むことができる。セラミック部品42は、電極先端30、32と共に、インターロックしたセラミック−金属部品を有する複合素子を形成する。
【0018】
通常、かかるセンサの電極先端は、セラミック部品にろう付けされる。作動中、ろう付け継手が機能不全となった場合、電極先端は、セラミック部品を通って滑動し、場合によっては偶発的にエンジン内に放出される可能性がある。有利には、本発明の電極先端30、32の形状は、該電極先端をセラミック部品42とインターロックさせることができる。換言すると、電極先端30の形状により、作動中に先端30がエンジン内に放出されるのを阻止することができる。電極先端30、32の少なくとも一部46は、セラミック部品42の開口48よりも大きな断面積を有し、これにより電極先端30がセラミック部品42から取り出されるのが阻止される。
【0019】
電極は、要求に応じて正又は負の電圧を供給できる電圧源に電気的に接続される。1つの実施例において、センサ28の外側金属ケース33に対して、1つの電極が、正電圧に分極され、他方が負電位に分極される。作動中、クリアランスセンサ28は、タービンブレードの先端と電極の検知先端30、32との間の空隙のキャパシタンスを監視することによって、それらの間の距離を測定する。
【0020】
クリアランス測定システムを作動させる例示的なプロセスは、1以上のプローブ先端を有するセンサからの複数の信号を受け取る段階を含む。この信号は、第1の物体と第2の物体の間(例えば、タービンブレードとシュラウドの間)の検知パラメータを表す。一実施形態では、センサは容量性プローブであり、検知パラメータはキャパシタンスである。或いは、センサは渦電流センサであり、検知パラメータは誘導電流である。複数の検知パラメータの同時サブセットが形成される。1つの実施例において、各同時サブセットは、少なくとも2つのプローブ先端からの検知パラメータを含む。さらに、第1の物体と第2の物体の間のクリアランスは、処理ユニットを介したプローブ先端からの検知パラメータの同時サブセットの各々に基づいて推定することができる。特定の実施形態では、ルックアップテーブル又は較正曲線又は分析テーブル又は算術演算又はこれらの組合せを利用して、検知パラメータに基づいたクリアランスを推定することができる。処理ユニットは、プローブ先端全てからの信号に基づいてクリアランスを決定する。
【0021】
図3は、本発明の実施形態に係る複合素子の製造方法の例示的なステップを示す。図示の実施形態では、キャビティ52を画成するセラミック部品50が設けられる。キャビティ52は、電極先端を形成する金属部品の少なくとも一部を収容するのに利用される。キャビティ52の各々は、第1の端部54及び第2の端部56を有する。セラミック部品50のキャビティ52の形状は、複合素子の金属部品の所望の形状によって管理される。上述のように、金属部品の形状は、キャビティ52の第1の端部54を金属部品が通過できないようにすることができる。図示の実施形態の金属部品の形状はテーパ形状である。しかし、理解されるように、他の形状が同じ基準を満たすこともあり、複合素子において利用してもよい。
【0022】
金属部品の使い捨て原型58をキャビティ52内に配置することができる。使い捨て原型58は、ワックス、ポリマー、プラスチック又はこれらの組合せなどの使い捨て材料から作ることができる。使い捨て原型58は、例えば、直接書き込み(direct write)プロセスプロトタイプ、ラピッドプロトタイプ、射出成形プロトタイプ、ダイカストプロトタイプ又はこれらの組合せを用いて形成することができる。射出成形及びダイカストプロトタイプが比較的安価であり、より簡素な形状に利用することができる。理解されるように、ラピッドプロトタイプは、大部分は自動プロセスであり、データから直接単一のプロトタイプを生成する。プロセスは、3次元(3D)プリンティング、熱溶融造形(FDM)、多重ジェット造形(MJM)、熱ジェット造形、ステレオリソグラフィ(SLA)及び選択的レーザ焼結A(SLS)を含む。異なる種類のラピッドプロトタイプを利用して、金属部品用の複雑な形状を鋳造することができる。一実施形態では、使い捨て原型58は、2以上の要素から形成することができる。図示の実施形態では、使い捨て原型58は、2つの部品、ヘッド60及び本体62から形成することができる。ヘッド60及び本体62は、本体62をキャビティ52内に配置し、ヘッド60をキャビティ52の第1の端部60上に配置した後、共に接合することができる。
【0023】
さらに、図示の実施形態では、注入口形成原型66は、使い捨て原型58と結合され、通路67から出て使い捨て原型58を除去した後、溶融金属68をキャビティ52内に導入するようにする。注入口形成原型66は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、鋼材及び他の同様の金属又はこれらの合金に選択プラスチックスを加えたものなど、あらゆる軽量化構造材料から構成することができる。注入口形成原型66の基本的考慮事項は、重量、表面平滑さ、補修性及びインベストメント64及び使い捨て原型の材料との適合性である。
【0024】
次に、インベストメント64が、使い捨て原型58を有するセラミック部品50の周囲に配置される。インベストメント64として利用されるセラミックモールドは、コーティング、スタッコ仕上げ及び硬化を含むステップを繰り返すことにより生成することができる。コーティングは、使い捨て原型58を有するセラミック部品50を耐熱材料のスラリーに浸漬し、均一な表面が生成されるように過剰スラリーを排出可能にする段階を含む。微細耐熱材料は、円滑な表面仕上げを生成し、微細部を再生する。第2のステップにおいて、使い捨て原型58を有するセラミック部品50は、セラミック粗粒子でスタッコ仕上げされる。スタッコ仕上げは、流動層への浸漬又はレインサンダー内への配置の1以上を実施又は手動で粗粒子を加えることにより達成することができる。スタッコ仕上げに続いて、セラミックコーティングを硬化させる。上記ステップは、インベストメント64が所要厚みを増大するまで繰り返すことができる。一実施形態では、インベストメント64の厚みは、約5mm〜約15mmの範囲とすることができる。複数浸漬に対する代替手段は、使い捨て原型58を有するセラミック部品50をコンテナ内に配置した後、インベストメント材料をコンテナに注ぐことである。一実施形態では、コンテナを振動(又は攪拌)させ、捕捉空気を逃がし、詳細部の全てにインベストメント材料を充填できるようにすることができる。インベストメント64に好適な材料は、特に限定されないが、シリカ、ジルコン、アルミニウム及びケイ酸アルミニウムを含むことができる。
【0025】
次に、インベストメント64を完全に乾燥させる。インベストメントを乾燥させる時間は、インベストメント64で使用される材料によって決まる。一実施形態では、インベストメント64は、約10時間〜約50時間の範囲の時間で乾燥することができる。乾燥は、真空化又は環境湿度を最小限にすることによって可能にすることができる。
【0026】
インベストメント64が、セラミック部品50、使い捨て原型58及び注入口形成原型66の周りに形成されて乾燥されると、インベストメント64は、注入口形成原型66及び使い捨て原型58をキャビティ52から除去する処理を受ける。使い捨て原型58をセラミック部品50から除去すると、キャビティ52及び53が残される。注入口形成原型66及び使い捨て原型58は、何れかの従来の技法によって取り除くことができる。一実施形態では、インベストメント64は、注入口形成原型66を除去し、使い捨て原型の材料を流出させることができるように、反転位置で加熱することができる。注入口形成原型66は、インベストメント64から除去した後に、別の使い捨て原型と共に再利用することができる。また、注入口形成原型66の外側表面は、薄いコーティングワックス又は膜剥離剤でコーティングされ、原型66の除去を可能にすることができる。特定の実施形態では、使い捨て原型の材料は、使い捨て原型の材料は、炉又はオートクレーブ内にインベストメント64を配置し、使い捨て原型の材料を溶解及び/又は蒸発させることにより除去することができる。
【0027】
使い捨て原型58を除去後、セラミック部品50は空のキャビティ52及び53を有する。センサの金属部品用の所望の溶融金属68が、キャビティ52及び53内に溶融形態で配置される。溶融金属は、単一金属、金属合金又は金属合金の組合せを含むことができる。詳細には、高温クリアランスセンサに関連する用途において、溶融金属68は、Pt−Rh、Pt−Irなどの超合金及び白金群金属及び合金を含むことができる。低温センサは、ステンレス鋼、ニッケルコバルト合金鉄(例えば、kovar(商標))などの低温金属で製作することができる。1つの実施例において、キャビティ52及び53は、負圧を印加することにより溶融金属を充填することができる。別の実施例において、キャビティの充填は、正の空気圧、真空鋳造、傾斜鋳造、圧力支援鋳込み、遠心鋳造又は求心鋳造を適用することによって支援することができる。溶融金属が求心鋳造である実施形態では、インベストメント64の毎分回転数は、約100〜約500の範囲とすることができる。高RPMでは、金属が乱流を伴ってキャビティ52内に入り、高速に起因して、溶融金属の方向の何れかの突発的変化又はキャビティ52及び53内に存在するあらゆるガスの障害が、溶融金属の流れることができる距離を短縮する可能性がある。しかし、RPMを減少させ又は機械速度を低下させることにより、溶融金属は、平滑で均一な流れでキャビティ52及び53に流入することができ、あらゆるガスをインベストメント64内部に押し込んでキャビティ52及び53を充填し、清浄で孔のない鋳造を提供する能力を有する。
【0028】
金属の固化後、インベストメント64が除去され、セラミック部品50及び金属部品72を有する複合素子70が得られる。インベストメント64は、特に限定されないが、ハンマリング、メディアブラスト法、振動、水ジェット、化学的溶解などの1以上の技法を利用して除去され、複合素子70を放出することができる。次に、複合素子70を清浄にし、通常は研削によって、鋳造プロセスの痕跡を除去することができる。
【0029】
図示していないが、複合素子を完成させるのに、最終のタッチアップ機械加工を必要とする場合がある。例えば、センサの鋳造金属部分に追加の特徴部を機械加工することができる。追加の特徴部の機械加工は、バイアの穿孔、最終表面仕上げ加工及びセンサの残りの部分に取り付ける嵌合部分の機械加工を含むことができる。例えば、バイアは、金属部品72に穿孔することができる。バイアを利用して、検知目的の電気ケーブル(計装ケーブル用)を受けることができる。或いは、所望のバイアの形状を有するセラミック形状は、キャビティ52内に溶融金属68を配置する前にキャビティ52内に配置することができる。このセラミック形状は、部品50のセラミックに対して低溶融点のセラミックから作ることができ、セラミック部品50がほとんど悪影響を受けないまま、加熱によってセラミック形状を除去することができるようになる。
【0030】
図4は、本発明による複合素子を製造する方法の代替の実施形態を示す。図4の代替の方法は、複雑な形状を有する金属部品を形成するのにより好適である。キャビティ82を有するセラミック部品80が設けられる。図示の実施例において、キャビティは、狭いセクション84と広いセクション86とを有する。
【0031】
セラミック部品80は、射出成形ダイ90内に配置することができる。射出成形ダイ90は、複合素子の金属部品のヘッド92を画成する。次に、液体ポリマー93をキャビティ82内に圧力注入することができる。矢印95は、射出成形ダイ90に圧力を加える方向を示す。液体ポリマー93の非限定的な実施例は、液体ビニルポリマー、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂又はこれらの組合せを含むことができる。液体ポリマー93は、キャビティ82内に噴射された後に固化され、金属部品のプラスチック原型94を形成する
次に、プラスチック部品94を有するセラミック部品80が、射出成形ダイ90から取り出される。インベストメント鋳型96が、セラミック部品80の周りに配置されると共に、溶融金属用の送給ライン又は注入口形成原型97を提供する。プラスチック部品94のポリマー材料がキャビティか除去される。特定の実施形態では、ポリマー材料は、キャビティ82及びヘッド92から熱処理又は化学処理の何れかによって除去することができる。次いで、ポリマー材料は、図3に関して上記で説明された方法を利用することによって、キャビティから除去される。
【0032】
溶融金属98は、キャビティ82及びヘッド92に配置される。溶融金属は、圧力噴射(矢印99)を用いることによって配置することができる。負圧又は求心圧力を印加し、キャビティ82及びヘッド92内に溶融金属を充填するのを助けることができる。続いて、インベストメント96が除去され、セラミック部品80及び金属部品102を有する複合素子100が得られる。
【0033】
金属部品102の広い部分104は、セラミック部品80とインターロックする。インターロックにより、作動中のエンジンへの金属部品102の放出が阻止される。
【0034】
一実施形態では、インベストメント鋳型は、セラミック部品の周りに配置され、鋳型がセラミック部品の周りにキャビティを画成するようにすることができる。使い捨て原型又は液体ポリマーは、セラミック部品の外部のこれらのキャビティ内に配置することができる。プロセスの後段では、キャビティは溶融金属を充填し、クリアランスセンサの複合素子の周りに金属ケースを形成することができる。
【0035】
図5に示すように、特定の実施形態では、金属ケース118は、セラミック部品120とインターロックされる金属部品124を形成するステップと同じステップ中に複合素子122の周りに形成される。これらの実施形態では、使い捨て原型は、金属ケース118の所定位置に配置することができ、別の使い捨て原型は、金属部品124の所定位置に配置することができる。本方法の残りのステップは、図3及び4に関して上記で説明した方法ステップと類似している。金属部品124は、ヘッド126及び本体128を含む。本体128は、狭い部分130と広い部分132とを含む。金属部品124を有する広い部分132は、金属部品124が作動中にエンジンに放出されるのを阻止する。セラミックもまた、外側金属ケース118内にインターロックされ、領域134で定められる。
【0036】
上述の複合素子及びこれを製造する方法の種々の態様は、様々な用途で汎用性がある。例えば、上記で説明した複合素子は、出力タービンにおける回転部品と静止部品の間のクリアランスを測定するのに用いることができる。得られる複合素子はまた、他の特定の用途において、例えば、発電機における静止部品と回転部品の間のクリアランスを測定するために用いることができる。本技法は、ほとんどはクリアランスセンサに関して検討してきたが、本発明の複合素子は、点火装置、スパークプラグ、圧力ゲージ及び酸素センサなど、他の複数の用途でも利用できる点に留意されたい。
【0037】
複雑な形状は、特に限定されないが、上記の方法を射出成形、トランスファー成形などの好適な技法を利用することによって合金及び超合金から生成することができる。加えて、本技法は、セラミック部品及び金属部品の両方を有する複合素子の経済的な生成方法を提供する。
【0038】
本発明の特定の特徴のみを本明細書で例示し説明してきたが、当業者であれば、多くの変更形態及び変形が想起されるであろう。従って、本発明の範囲内にあるかかる変更形態及び変更全ては、添付の請求項によって保護されるものとする点を理解されたい。
【符号の説明】
【0039】
10 タービン
12 ロータ
14 静止ハウジング
16 タービンブレード
18 クリアランスセンサ
20 クリアランスセンサ
22 クリアランスセンサ
28 クリアランスセンサ
30 電極先端
32 電極先端
33 ケーシング
34 バイア
36 バイア
38 高温計装ケーブル
40 高温計装ケーブル
42 セラミック部品
46 電極先端の一部
50 セラミック部品
52 キャビティ
53 キャビティ
54 第1の端部
56 第2の端部
58 使い捨て原型
60 ヘッド
62 本体
64 インベストメント
66 注入口成形原型
67 通路
68 溶融金属
70 複合素子
72 金属部品
80 セラミック部品
82 キャビティ
84 狭いセクション
86 広いセクション
90 射出成形ダイ
92 ヘッド
93 液体ポリマー
94 プラスチック原型
95 矢印
96 インベストメント鋳型
97 注入口成形原型
98 溶融金属
99 圧力噴射
100 複合素子
102 金属部品
104 広い部分
118 外側金属ケース
120 セラミック部品
122 複合素子
124 金属部品
126 ヘッド
128 本体
130 狭い部分
132 広い部分
134 外側金属ケース内でセラミックがインターロックされた領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部及び第2の端部を有するキャビティを画成するセラミック部品と、
ヘッド及び本体を含む金属部品と
を備える複合素子であって、金属部品の本体の少なくとも一部が上記キャビティ内に配置され、金属部品のヘッドが、上記キャビティの第1の端部上に配置され、本体の一部の断面積が第1の端部の面積よりも大きく、セラミック部品と金属部品がインターロックされている、複合素子。
【請求項2】
前記本体がテーパ形状を有する、請求項1記載の複合素子。
【請求項3】
前記ヘッドが白金含有合金を含む、請求項1記載の複合素子。
【請求項4】
前記本体及びヘッドが単一の連続要素を形成する、請求項1記載の複合素子。
【請求項5】
前記金属部品が、溶融金属を鋳造することによって形成される一体成形品である、請求項4記載の複合素子。
【請求項6】
セラミック部品とインターロックされた金属部品を含む複合素子を製造する方法であって、
第1の端部及び第2の端部を有するキャビティを画成するセラミック部品を準備する段階と、
キャビティ内に分解性材料を配置する段階と、
インベストメント内にセラミック部品を配置する段階と、
キャビティから分解性材料を除去する段階と、
キャビティ内に溶融金属を配置する段階と、
溶融金属を固化し、セラミック部品とインターロックされた金属部品を形成して、複合素子を形成する段階と、
鋳型から複合素子を取り出す段階と
を含む方法。
【請求項7】
前記キャビティ内に分解性材料を配置する段階が、金属部品の使い捨て原型を準備して、セラミック部品内にキャビティを画成する段階を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記使い捨て原型が、直接書き込みプロセス、射出成形、ラピッドプロトタイプ法又はこれらの組合せの1以上を利用することによって形成される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
クリアランスセンサ部品を製造する方法であって、
金属部品用の1以上のキャビティを画成するセラミック部品を設ける段階と、
セラミック部品の側部にセンサケース用の1以上のキャビティを画成する段階と、
金属部品及びセンサケースの1以上のキャビティに分解性材料を配置する段階と、
セラミック部品をインベストメント内に配置する段階と、
1以上のキャビティから分解性材料を除去する段階と、
1以上のキャビティ内に溶融金属を配置する段階と
を含む方法。
【請求項10】
請求項6記載の方法を用いて形成される複合素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−95256(P2011−95256A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−229191(P2010−229191)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】