説明

セルラー無線ネットワークのカバレッジホールを補償する方法及び装置

【課題】セルラー無線ネットワークのカバレッジホールを補償する。
【解決手段】セルラー無線ネットワーク内の第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジの提供を提供する第2セル又はセルセクタを識別する。識別プロセスは、セル又はセルセクタからの信号がカバレッジホールで実際の又は予想される信号強度を実現するための所定の基準を充足するような隣接するセル又はセルセクタを見出すステップと、発見されたセル又はセルセクタが第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように第1送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には第2セルとしてそのセル又はセルセクタを識別するステップを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルラー無線ネットワークのカバレッジホールの補償に関する。
【背景技術】
【0002】
カバレッジホールは、サービングセル/セクタが自身のカバレッジエリア内の特定の領域/地点にカバレッジを提供することができない際に生じる。これらのカバレッジホールは、1つの隣接セル/セクタのカバレッジを拡張させることによって補償可能である。1つ又は複数のセル/セクタのカバレッジの拡張による隣接セル/セクタ内のカバレッジホールの補償は、SON(Self Organized Network:自己管理ネットワーク)において期待されている機能であるが、その他の形態のセルラー無線ネットワークにおいても望ましいものである。基地局のアンテナは、当初セットアップする際に、送信出力が例えば3〜6dBなどのように実現可能な最大出力よりも小さくなるように構成可能であり、また、アンテナのダウンチルトが例えば2°〜4°などのように更に増分されるように構成可能である。この結果、カバレッジホールの補償が必要となった場合に及び際に、基地局の送信出力及びチルトを変更可能である。従って、現在のカバレッジ補償の方法は、ネットワーク最適化マップ内においてカバレッジ障害を視覚化し、且つ、ネットワーク計画ソフトウェアを使用することにより、最適な解決策が見出される時点まで、隣接セル/セクタの基地局(eNodeB)のアンテナのダウンチルト、アジマス放射パターンの照準方向、及び増幅器の送信出力というパラメータを反復的に変更するというものである。これらの反復は、許容値の範囲全体にわたって実施され、従って、特に、複数の基地局(eNodeB)が関係している際には、相当な演算処理及び時間を要することがある。
【発明の概要】
【0003】
従って、カバレッジホールのカバレッジの提供に使用される改善された方法を提供することが望ましい。
【0004】
本発明の第1の態様の一実施例によれば、セルラー無線ネットワークの第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジの提供に使用される方法が提供され、この方法においては、第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分をカバーするように、第1セル又はセルセクタに隣接するセルラー無線ネットワークのセル又はセルセクタのグループから第2セル又はセルセクタを選択し、そのカバレッジを適合させており、本方法は、前述のグループ内のセル又はセルセクタに関係するデータを使用して識別プロセスを実行し、前述の第2セル又はセルセクタとしての選択に好適なセル又はセルセクタを識別するステップを有し、この識別プロセスは、前述のグループ内の1つ又は複数のセル又はセルセクタに対して順番に実行される。本識別プロセスは、セル又はセルセクタからの信号が前述のカバレッジホールで実際の又は予想される信号強度を実現するための所定の基準を充足するようなセル又はセルセクタをグループ内の中から見出すステップと、そのセル又はセルセクタが第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、所定の基準を充足するものと見出されたセル又はセルセクタの第1送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前述の第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとしてそのセル又はセルセクタを識別するステップと、を有する。
【0005】
この方法の第1の実施例においては、前述のグループ内のセル又はセルセクタの送信データ読取値の信頼性が高い場合には、好ましくは、前述の所定の基準は、セル又はセルセクタからの信号の信号強度がカバレッジホールで最大であることであり、且つ、グループ内のセル又はセルセクタについて、信号強度の降順で識別プロセスにおいて検討される。
【0006】
第1実施例においては、そのセル又はセルセクタがカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、そのセル又はセルセクタの第1送信パラメータ設定を調節することができない場合には、識別プロセスは、そのセル又はセルセクタが第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、そのセル又はセルセクタの第2送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前述の第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとしてそのセル又はセルセクタを識別するステップを更に有することができる。
【0007】
そのセル又はセルセクタがカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、そのセル又はセルセクタの第2送信パラメータ設定を調節することができない場合には、識別プロセスは、そのセル又はセルセクタが第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、そのセル又はセルセクタの第3送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前述の第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとしてそのセル又はセルセクタを識別するステップを更に有することができる。
【0008】
そのセル又はセルセクタがカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、そのセル又はセルセクタの、適宜、第1送信パラメータ設定、又は第1及び第2送信パラメータ設定の組合せ、又は第1、第2、及び第3送信パラメータ設定の組合せを調節することができない場合には、好ましくは、識別プロセスは、まだ検討されていないグループ内のセル又はセルセクタを使用して反復される。
【0009】
第1実施例による方法は、第2セル又はセルセクタの選択の後に、選択された第2セル又はセルセクタの、適宜、第1送信パラメータ設定、又は第1及び第2送信パラメータ設定、又は第1、第2、及び第3送信パラメータ設定を適切に調節するステップを更に有することができる。
【0010】
方法の第2実施例においては、前述のグループ内のセル又はセルセクタの送信データ読取値の信頼性が高くない場合には、好ましくは、所定の基準を充足するセル又はセルセクタが見出される時点まで、又はすべてのセル又はセルセクタの識別プロセスにおける検討が完了する時点まで、前述のグループ内のセル又はセルセクタをカバレッジホールに対する近接性の降順で識別プロセスにおいて検討し、所定の基準は、そのセル又はセルセクタがそのセル又はセルセクタの現在の送信パラメータ設定において望ましい強度を実現可能である最大距離dが、カバレッジホールとそのセル又はセルセクタの間の距離dtを上回っているかどうかである。
【0011】
第2の実施例においては、そのセル又はセルセクタがカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、所定の基準を充足するものと見出されたセル又はセルセクタの第1送信パラメータ設定を調節することができない場合には、好ましくは、識別プロセスは、まだ検討されていないグループ内のセル又はセルセクタを使用して反復される。
【0012】
第2実施例において、前述のグループ内のセル又はセルセクタのいずれもが前述の所定の基準を充足しないと見出された場合には、本方法は、比率dt/dが最小値である前述のグループ内のセル又はセルセクタを見出すステップと、前述の第2セル又はセルセクタとしてそのセル又はセルセクタを選択するステップと、を更に有することができる。
【0013】
比率dt/dが最小値である第2セル又はセルセクタの選択の後に、本方法は、前述の第2セル又はセルセクタが第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、選択された第2セル又はセルセクタの第1送信パラメータ設定及び第2送信パラメータ設定の組合せを調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、選択された第2セル又はセルセクタの第1及び第2送信パラメータ設定を適切に調節するステップを更に有することができる。
【0014】
選択された第2セル又はセルセクタの第1及び第2送信パラメータ設定の調節が、選択されたセル又はセルセクタがカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供するのに不十分である場合には、本方法は、第1及び第2送信パラメータ設定並びに第3送信パラメータ設定の組合せを前述の第2セル又はセルセクタが第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるようなパラメータの望ましい設定に対して調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、選択された第2セル又はセルセクタの第1、第2、及び第3送信パラメータ設定を適切に調節するステップを更に有することができる。
【0015】
本発明の第2の態様の一実施例によれば、セルラー無線ネットワーク内において使用される装置が提供される。この装置は、第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分をカバーするように、第1セル又はセルセクタに隣接するセルラー無線ネットワークのセル又はセルセクタのグループから第2セル又はセルセクタを選択し、そのカバレッジを調節することにより、セルラー無線ネットワークの第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジの提供を支援するべく動作可能である。この装置は、前述のグループ内のセル又はセルセクタに関係したデータを使用して識別プロセスを実行し、前述の第2セル又はセルセクタとしての選択に好適なセル又はセルセクタを識別するべく構成された識別手段を有する。この識別手段は、前述のグループ内の1つ又は複数のセル又はセルセクタに対して順番に識別プロセスを実行するべく動作可能である。この識別プロセスは、セル又はセルセクタからの信号が前述のカバレッジホールで実際の又は予想される信号強度を実現するための所定の基準を充足するようなセル又はセルセクタをグループ内の中から見出すステップと、そのセル又はセルセクタが第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、所定の基準を充足するものと見出されたセル又はセルセクタの第1送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前述の第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとしてそのセル又はセルセクタを識別するステップと、を有する。
【0016】
この装置の第1実施例においては、前述のグループ内のセル又はセルセクタの送信データ読取値の信頼性が高い場合には、好ましくは、前述の所定の基準は、セル又はセルセクタからの信号の信号強度がカバレッジホールで最大であることであり、且つ、識別手段は、グループ内のセル又はセルセクタを信号強度の降順で識別プロセスにおいて検討するべく動作可能である。
【0017】
この装置の第1実施例において、そのセル又はセルセクタがカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、そのセル又はセルセクタの第1送信パラメータ設定を調節することができないと識別手段が判定した場合には、識別手段によって実行される識別プロセスは、そのセル又はセルセクタが第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、セル又はセルセクタの第2送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前述の第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとしてそのセル又はセルセクタを識別するステップを更に有することができる。
【0018】
そのセル又はセルセクタがカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、セル又はセルセクタの第2送信パラメータ設定を調節することができないと識別手段が判定した場合には、識別手段によって実行される識別プロセスは、そのセル又はセルセクタが第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、そのセル又はセルセクタの第3送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前述の第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとしてそのセル又はセルセクタを識別するステップを更に有することができる。
【0019】
そのセル又はセルセクタがカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、そのセル又はセルセクタの、適宜、第1送信パラメータ設定、又は第1及び第2送信パラメータ設定の組合せ、又は第1、第2、及び第3送信パラメータ設定の組合せを調節することができないと識別手段が判定した場合には、識別手段は、好ましくは、まだ検討されていないグループ内のセル又はセルセクタを使用して識別プロセスを反復するべく動作可能である。
【0020】
第2セル又はセルセクタの選択の後に、本装置は、選択された第2セル又セルセクタの、適宜、第1送信パラメータ設定、又は第1及び第2送信パラメータ設定、又は第1、第2、及び第3送信パラメータ設定を適切に調節するべく動作可能であってよい。
【0021】
この装置の第2実施例においては、前述のグループ内のセル又はセルセクタの送信データ読取値の信頼性が高くない場合には、好ましくは、識別手段は、所定の基準を充足するセル又はセルセクタが見出される時点まで、又はすべてのセル又はセルセクタの識別プロセスにおける検討が完了する時点まで、カバレッジホールに対する近接性の降順で前述のグループ内のセル又はセルセクタを識別プロセスにおいて検討するべく動作可能であり、所定の基準は、そのセル又はセルセクタがそのセル又はセルセクタの現在の送信パラメータ設定において望ましい信号強度を実現することができる最大距離dが、カバレッジホールとそのセル又はセルセクタの間の距離dtを上回っているかどうかである。
【0022】
この装置の第2実施例において、そのセル又はセルセクタがカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、所定の基準を充足するものと見出されたセル又はセルセクタの第1送信パラメータ設定を調節することができないと識別手段が判定した場合には、識別手段は、まだ検討されていないグループ内のセル又はセルセクタを使用して識別プロセスを反復するべく動作可能であってよい。
【0023】
前述のグループ内のセル又はセルセクタのいずれもが前述の所定の基準を充足しないと見出された場合には、本装置は、比率dt/dが最小値である前述のグループ内のセル又はセルセクタを見出し、且つ、前述の第2のセル又はセルセクタとしてそのセル又はセルセクタを選択するべく動作可能であってよい。
【0024】
比率dt/dが最小値である第2セル又はセルセクタの選択の後に、好ましくは、本装置は、前述の第2セル又はセルセクタが第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、選択された第2セル又はセルセクタの第1送信パラメータ設定及び第2送信パラメータ設定の組合せを調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、選択された第2セル又はセルセクタの第1及び第2送信パラメータ設定を適切に調節するべく動作可能である。
【0025】
選択された第2セル又はセルセクタの第1及び第2送信パラメータ設定の調節が、選択されたセル又はセルセクタがカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供するのに不十分である場合には、本装置は、前述の第2セル又はセルセクタが第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、第1及び第2送信パラメータ設定並びに第3送信パラメータ設定の組合せを調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、選択された第2セル又はセルセクタの第1、第2、及び第3送信パラメータ設定を適切に調節するべく動作可能であってよい。
【0026】
本発明を実施した方法又は装置において、前述の第1送信パラメータ設定は、アンテナのダウンチルトであってよい。
【0027】
本発明を実施した方法又は装置において、前述の第2送信パラメータ設定は、アンテナの送信出力であってよい。
【0028】
本発明を実施した方法又は装置において、前述の第3送信パラメータ設定は、アンテナ放射パターンの照準方向に対するアジマス角であってよい。
【0029】
本発明の第3の態様の一実施例においては、コンピュータ上において稼働した際に、そのコンピュータに本発明の第1の態様を実施した方法を実行させるか又はそのコンピュータを本発明の第2の態様を実施した装置とするコンピュータプログラムが提供される。
【0030】
本発明を実施した方法、装置、又はコンピュータプログラムは、カバレッジホールの補償のために最も適切なセル/セクタを選択するべく必要とされる演算処理及び時間を大幅に低減し、且つ、大規模な計算を伴うことなしに、選択されたセル/セクタの送信パラメータの初期値を提供する。具体的には、関係するすべての基地局(dNodeB)の許容値の範囲全体にわたって反復を実施する従来の方法とは異なり、本発明の識別プロセスは、一度に1つの候補セルに対して実行することが必要とされるのみであり、且つ、既に検討済みの1つ又は複数のセル/セクタを第2セル/セクタとして選択することができない場合にのみ、グループ内の次の候補を検討する必要がある。初期送信パラメータ値の周辺における何回かにわたる反復により、解決策の微細チューニングを実現可能である。例えば、選択された初期送信パラメータ値によって提供されるカバレッジホールの補償を計画ツール上において試験することが可能であり、且つ、必要に応じて、満足のゆくカバレッジが実現される時点まで、パラメータ設定の1つ又は複数のものを更に調節(チューニング)可能である。解決策を実際のネットワークに適用する際に、カバレッジホールが予め存在していた領域内のモバイルユーザーから送信される新しい計測報告に基づいて、パラメータ設定の更なるチューニングを実行可能である。
【0031】
以下においては、一例として、添付の図面を参照することとする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】商用基地局のアンテナの垂直放射パターンの一例である。
【図2】隣接するセル/セクタの可能なカバレッジの拡張を伴うカバレッジホールを示す。
【図3】商用基地局のアンテナの水平放射パターンの一例である。
【図4】本発明の第1実施例による、信頼性の高い隣接セル計測値が利用可能である際の初期パラメータ設定アルゴリズムのフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施例による、信頼性の高い隣接セル計測値が利用可能ではない際の初期パラメータ設定アルゴリズムのフローチャートである。
【図6】(A)及び(B)は、本発明の第1及び第2実施例による個別の装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明を実施する方法においては、第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールをカバーするべく、第1セル又はセルセクタに隣接するセルラー無線ネットワークのセル又はセルセクタのグループから第2セル又はセルセクタを選択し、そのカバレッジを適合させることにより、第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分をカバーしている。前述のグループ内のセル又はセルセクタに関係したデータを使用して識別プロセスが実行し、前述の第2セル又はセルセクタとしての選択に好適なセル又はセルセクタを識別している。関係するすべてのeNodeBについて許容値の範囲全体にわたって反復を実施する従来の方法とは異なり、本発明の識別プロセスは、前述のグループ内の1つ又は複数のセル又はセルセクタに対して順番に実行される。識別プロセスは、セル又はセルセクタからの信号が前述のカバレッジホールで実際の又は予想される信号強度を実現するための所定の基準を充足するようなセル又はセルセクタをグループ内の中から見出すステップと、そのセル又はセルセクタが第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、所定の基準を充足するものと見出されたセル又はセルセクタの第1送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前述の第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとしてそのセル又はセルセクタを識別するステップと、を有する。
【0034】
識別プロセスのステップは、第1セル/セクタに隣接するセルからのカバレッジホールにおける送信データ読取値の信頼性が高いかどうかによって左右される。読取値の信頼性は、様々な方法によって判定可能である。例えば、信号レベルの測定値が特定の閾値を上回っておりノイズフロアにないことが確実である場合に、信頼性が高いと見なすことができる。更には、読取値は、同一のカバレッジホールからの異なるモバイルユーザーからの複数の読取値が、限られた値の範囲内に納まっており、これにより、複数のユーザーが略同一の読取値を提供していることが示されている場合に、信頼性が高いと見なすことができる。
【0035】
本発明の第1実施例において、カバレッジホールの場所における隣接セルからの信号について信頼性の高い信号強度値を入手可能である場合には、識別プロセスは、カバレッジホールにおいて最強の信号を提供しているという所定の基準(すなわち、実際の信号強度を実現するための所定の基準)をいずれの隣接セルが充足しているのかを見出す。これらは、弱い信号であり、且つ、時間平均値となることから、使用する信号強度値の信頼性は高くなければならない。
【0036】
次いで、識別プロセスは、そのセル又はセルセクタが第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、所定の基準を充足するものと見出されたセル又はセルセクタの第1送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定する。調節可能である場合には、そのセル又はセルセクタは、前述の第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとして識別される。以下、第1送信パラメータ設定を調節する方法の一例について説明することとする。
【0037】
この例においては、調節のために検討される第1パラメータは、アンテナのダウンチルトである。アンテナのダウンチルトは、(垂直面上における)アンテナの垂直放射パターンに関係している。通常、このパターンは、尖鋭部(cusp:カスプ)以外の部分の放射出力が鋭く低下するように、非常に狭いメインビームを具備している。これは、隣接するセルに対する干渉出力の低減に有用である。垂直面上における代表的なアンテナ放射パターンが図1に示されている。
【0038】
図1において観察されるように、いくつかのアンテナは、放射パターンにおける固有のダウンチルトを具備している(この場合には、4°である)。ダウンチルトの調節を算出する際には、これを検討しなければならない。最強の隣接セル信号を使用することにより、十分なカバレッジを実現するべく(カバレッジホール内の)モバイルユーザーに対する必要なダウンチルト角εを推定する。
【0039】
図2は、隣接するセル/セクタの可能なカバレッジの拡張を伴うカバレッジホールを示している。図2に示されているように、角度θは、カバレッジホールまでの信号経路の角度である。これは、以下のように算出される。
【0040】
θ=tan-1((hb−hm−e)/dt) (1)
【0041】
b及びhmは、eNodeB及び移動局のアンテナの高さを表しており、eは、移動局からeNodeBまでの標高の差である。dtは、カバレッジホールまでの距離を表している。標高の差の項eは、次のように算出される。
【0042】
e=移動局の場所における標高−基地局の場所における標高 (2)
【0043】
このアンテナのメインビームの尖鋭部における現在の角度がηであると仮定する。これは、ダウンチルトと、(図1に示されている)放射パターン内における固有のチルトと、を含む。現在の設定においては、カバレッジホールまでの信号の射線は、垂直放射パターン上において(η−θ)という角度を有している。この現在の設定におけるカバレッジホールに向かう信号減衰を算出する必要がある。
【0044】
この段階において、必要とされる信号強度の改善Δを検討する必要がある。これは、隣接セルからの十分なカバレッジを提供するために必要とされる計測信号強度に対する改善である。垂直パターン減衰表(図1)から、メインビームの尖鋭部を角度θに向かってリアライメントすることにより、この信号の改善Δを実現することができるかどうかを突き止めることができる。実現可能である場合には、増分Δを充足させるためのアンテナパターンの調節により、カバレッジホールの補償のための選択されたセル/セクタの新しいメインビーム角εが付与されることになる。
【0045】
D(η−θ)−D(ε−θ)=Δ (3)
【0046】
演算子D()は、その特定の角度における(図1の表からの)信号の減衰を表している。アンテナパターンがα°という固有のダウンチルトを含んでいる場合には、必要とされるダウンチルトは、次式によって付与されることになる。
【0047】
ダウンチルト=ε−α (4)
【0048】
必要とされる信号の改善Δが、第1パラメータ設定、即ち、アンテナチルトのみの調節によって実現可能なものを上回っている場合には、この実施例においては、識別プロセスは、そのセル又はセルセクタが第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、そのセル又はセルセクタの第2送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定する。調節可能である場合には、そのセル又はセルセクタが、前述の第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとして選択される。
【0049】
この例においては、調節のために検討される第2パラメータは、送信出力である。増分が、例えば、前述の3〜6dBなどのように、基地局(ENodeB)の能力内にある場合には、そのセル/セクタがカバレッジホールのカバーを提供することができるように、アンテナのダウンチルトと共に、基地局の送信出力を適合させることができる。従って、選択されたセル/セクタの初期パラメータ設定は、ダウンチルトの調節角度と、送信出力における必要な増分と、である。
【0050】
第1及び第2送信パラメータ設定の両方の調節が、カバレッジホールにおいて必要とされる信号レベルを充足するのに不十分である場合には、この実施例においては、識別プロセスは、そのセル又はセルセクタが第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、更に、そのセル又はセルセクタの第3送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定するステップを更に有する。調節可能である場合には、そのセル又はセルセクタは、前述の第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとして識別される。
【0051】
この例においては、第3送信パラメータ設定は、アジマス放射パターンの照準方向(bore-sight angle:ボアサイト方向)である。図3には、商用基地局のアンテナの水平放射パターンの一例が示されており、この図において観察されるように、アジマスパターンは、45°未満の角度増分においては、ゆっくりと劣化している一方で、45°を超えると急速に劣化している。45°から60°にかけて(60°は、3セクタ化レイアウトにおける放射パターンの最大スプレッドである)、約5dBの利得差が存在している。従って、必要とされる追加の利得が5dB以内であり、且つ、アジマス角βが45°〜60°の範囲内にある場合には、照準方向の変更を検討可能である。照準方向は、必要とされる追加の利得を実現すべく適切な角度だけ変更することを要する。これが3セクタ化レイアウトである場合には、全部の3セクタパターンが回転されるように、その他の2つのセクタの照準方向も、同一角度だけ、変更することを要する。従って、この場合には、初期パラメータ設定は、アンテナチルトと、送信出力と、アジマス照準方向と、に対する変更を含む。
【0052】
最強の信号強度を有する隣接セル/セクタの第1、第2、及び第3送信パラメータの設定を変更することによってカバレッジホールのために必要とされるカバレッジの拡張を得ることができない場合には、本発明の第1の態様を実施した方法においては、次いで、カバレッジホールの補償のための必要なパラメータ設定が実現される時点まで、又は信頼性の高い計測値を有する隣接セル/セクタのリストが尽きる時点まで、順次、信頼性の高い信号強度計測値を有する次の最強の隣接セル/セクタとの関係において識別プロセスを実行する。
【0053】
隣接セル/セクタのカバレッジを拡張してカバレッジホールを補償するための適切なパラメータ設定が見出された際には、このカバレッジの拡張によって影響を受けることになるいくつかの隣接セル又はセクタが存在可能である。このような隣接セル/セクタのカバレッジは、干渉を回避するべく収縮させる必要がある。カバレッジを収縮させるための基本的な設定を算出する必要がある。これらは、ダウンチルトの増大と、送信出力の低減と、アジマス方向の変更と、から構成されることになる。
【0054】
図4は、本発明の第1実施例による一連のステップを説明するフローチャートを示している。
【0055】
カバレッジホールの場所における隣接セルからの信号について入手できる信号強度値の信頼性が十分に高くない場合には、本発明の第2実施例においては、識別プロセスは、そのセル又はセルセクタがそのセル又はセルセクタの現在の送信パラメータ設定において望ましい信号強度を実現することができる最大距離dが、カバレッジホールとそのセル又はセルセクタの間の距離dtを上回っているかどうかという所定の基準をいずれの隣接セルが充足しているのかを見出し、所定の基準を充足するセル又はセルセクタが見出される時点まで、又はすべてのセル又はセルセクタの検討が完了する時点まで、隣接セル/セクタのグループ内のセル又はセルセクタがカバレッジホールに対する近接性の降順において検討される。この場合に、所定の基準は、予想される信号強度を実現するための基準である。
【0056】
以下、隣接セルの信号強度計測値の信頼性が高くなく、且つ、カバレッジホールまでの距離のみが判明している際の一般的なケースについて分析することとする。最初に検討する隣接セルは、カバレッジホールまでの距離が最小であるものである。図2に示されているように、カバレッジホールは、アジマスプレーン内においてアンテナの照準方向から距離dtにおいて且つ角度βにおいて存在している。課題は、このセルのカバレッジを拡張させると共にカバレッジホールを補償することになるアンテナのチルトθを算出するということである。このためには、アンテナの(アジマスプレーン上における)水平放射パターンが必要である。代表的なアジマスパターン(図1と同一のアンテナのもの)が図3に示されている。
【0057】
このパターンが示しているように、アンテナの利得は、水平角βが増大するのに伴って低減する。特定の角度βにおける利得の低減(減衰)を算出し(Aβによって表記されている)、且つ、これを最大許容可能経路損失(Maximun Allowable Path LossMAPL)から差し引く。MAPLは、リンク設計における標準的な計算項目であり、且つ、等価等方輻射電力(Effective Isotropic Radiated Power:EIRP)とモバイルユーザーの受信感度レベルの間の差からすべての関係するマージンを差し引くと共に適切な利得を加えたものである。
【0058】
MAPL=EIRP−受信機の感度−マージン+利得 (5)
【0059】
ここで、EIRPは、次式のように定義される。
【0060】
EIRP=送信出力+照準方向におけるアンテナ利得−ケーブル損失 (6)
【0061】
従って、角度βにおける許容可能経路損失APL(β)は、次式のようになる。
【0062】
APL(β)=MAPL−Aβ (7)
【0063】
ここで、Aβは、アンテナのデータシートから得られる、最大利得からの減衰である(例えば、図3を参照されたい)。
【0064】
次いで、経路損失モデルをAPL(β)に適用し、この角度βにおける最大伝播距離を得る。一般的に使用されている経路損失モデルは、例えば、COST 231−HATAであり、且つ、このモデルを使用した場合には、経路損失の式は、次式のようになる。
【0065】
APL(β)=46.3+33.9*log(f)−13.83*log(hb)+(44.9−6.55*log(hb))*log(d)−ahm+Cm (8)
【0066】
ここで、fは、MHzを単位とする搬送波周波数であり、hbは、メートルを単位とする基地局アンテナの高さであり、dは、kmを単位とする距離であり、ahmは、移動局アンテナの高さに関係した項であり、且つ、Cmは、クラッタ固有損失である。この時点において、dを除いて、すべてのその他の項が既知であり、従って、dを算出可能である。この距離dは、検討対象のセル/セクタの現在の送信出力及びアジマス設定により、この方向βにおいてカバー可能な最大距離である。
【0067】
次いで、カバレッジホールの距離dtが最大距離d未満であるかどうかをチェックする必要がある。dt<dである場合には、カバレッジホールは、ダウンチルトのみによって補償可能であり、従って、次いで、ダウンチルトを算出する。dt>dである場合には、カバレッジホールは、検討対象のセル/セクタからのアンテナのダウンチルトのみによって補償するには、離れ過ぎており、従って、次の最も近いセル/セクタを同様の方式によって分析し、そのセル/セクタが条件dt<dを充足可能であるかどうかを判定する。必要に応じて、条件を充足するセル/セクタを識別することができる時点まで、又は隣接セル/セクタのリストが尽きる時点まで、前述の方式により、カバレッジホールに対する近接性の降順において、隣接セル/セクタのグループ内のそれぞれのセル/セクタを順番に分析し、いずれのものが条件dt<dを充足するのかを判定する。
【0068】
候補セル/セクタのいずれかによってdt<dが充足される場合には、ダウンチルトの計算を以下のように実行可能である。dt<dであることに伴って、メインビームの尖鋭部がカバレッジホールに向かって投影された場合に、カバレッジは、カバレッジホールを超えて拡張され、これにより、その他のセルに対する過剰な干渉を生成することになろう。従って、更に拡張されることなしに、カバレッジホールのみをカバーするダウンチルト角を見出すことが望ましい。このために、メインビームの尖鋭部は、射線角θ(図2)によって最大アンテナ利得からの減衰Δが付与される状態において、距離dt内を指し示す必要がある。この減衰(又は、バックオフ出力)Δは、COST 231−HATA経路損失モデルを仮定した場合に、距離比率dt/dを次のように見なすことにより、見出すことができる。
【0069】
Δ=44.9−6.55*log(hb))*log(dt/d) (9)
【0070】
その他の経路損失モデルの場合にも、前述のように、距離に関係する項を関係付けることにより、同様に算出可能である。
【0071】
比率dt/d<1であることから、減衰には、負の値が付与されることになる。この値の大きさを図1の垂直放射パターンの減衰に対して整合させる。この減衰は、尖鋭部が距離dt内において内側を指し示すように、パターンの左側(メインビームの尖鋭部の左)から実現することを要する。この減衰を付与する角度がδであると仮定することにより、メインビームの尖鋭部は、(図2における)射線角θから更にδ度だけダウンチルトされることになる。射線角は、カバレッジホール内におけるユーザーの位置の幾何学的考察によって付与される。合計ダウンチルト角は、次式によって付与される。
【0072】
ダウンチルト=θ+δ=tan-1((hb−hm−e)/dt)+δ (10)
【0073】
標高の差eは、先程の式(2)と同様に算出される。
【0074】
t<dが候補セル/セクタのいずれによっても充足不可能である場合には、カバレッジホールの補償を提供するべく、最小の比率dt/dを有する隣接セル/セクタのグループ内のセル/セクタを選択する。式(9)におけると同様に、経路損失モデルの距離に関係した項により、カバレッジをカバレッジホールに提供するべく必要とされる追加の出力が付与されることになる。
【0075】
Δ1=(44.9−6.55*log(hb))*log(dt/d) (11)
【0076】
Δ1は、距離dtをカバーするのに必要とされる追加の利得を付与することになる。dt>dであることから、Δ1は、正の値となる。例えば、最大で3〜6dBなどのように、出力限度内にある最小比率dt/dを有するセル/セクタの送信出力を増大させることにより、この利得を実現可能である場合には、そのセル/セクタによってカバレッジホールを補償することができる。この場合には、補償ステップは、次のようになる。
【0077】
i.メインビーム(垂直パターン)の尖鋭部がカバレッジホールにおけるユーザーを指し示すように、ダウンチルトを調節する。ダウンチルト角θは、次式によって付与される。
θ=tan-1((hb−hm−e)dt)−垂直放射パターンにおける固有のダウンチルト (12)
【0078】
ii.(式11の)Δ1だけ、送信出力を増分する。
【0079】
ダウンチルトと送信出力の両方の増大が、必要とされる出力増分Δ1を充足するのに不十分である場合には、アジマス照準方向の変更を検討可能である。具体的には、第1実施例を参照して前述したように、必要とされる追加の利得が5dB以内であり、且つ、アジマス角βが45°〜60°の範囲内にある場合には、照準方向の変更が有益であろう。照準方向は、必要とされる追加の利得を実現するべく、適切な角度だけ変更することを要する。この適切な角度をγによって表記する。これが3セクタ化レイアウトである場合には、全部の3セクタパターンが回転されるように、その他の2つのセクタの照準方向も同一の角度だけ変更することを要する。従って、この場合には、初期パラメータ設定は、アンテナチルトと、送信出力と、アジマス照準方向と、に対する変更を含む。
【0080】
第1実施例を参照して説明したように、このカバレッジの拡張によって影響を受けることになるいくつかの隣接セル/セクタが存在可能である。これらの隣接セル/セクタのカバレッジは、干渉を回避するべく収縮することを要する。カバレッジを収縮させるための基本設定を算出する必要がある。これらは、ダウンチルトの増大と、送信出力の低減と、アジマス方向の変更と、から構成されることになる。
【0081】
図5は、本発明の第2実施例による一連のステップを説明するフローチャートを示している。
【0082】
図6の(A)及び図6の(B)は、それぞれ、本発明の第1及び第2実施例を実施した方法の実行に好適な装置を示している。図6の(A)及び図6の(B)のそれぞれのものにおいて、装置は、カバレッジホールを具備したセル又はセルセクタの基地局1内に提供されており、且つ、カバレッジを提供するのに好適な第2セル又はセルセクタを識別するように、カバレッジホールが存在するセル又はセルセクタに隣接するセルのグループ内のセル又はセルセクタと関係するデータを使用して識別プロセスを実行するべく構成された識別手段2と、識別手段2にセル/セルセクタデータを供給するためのセルデータ供給手段3と、選択された第2セル又はセルセクタとその初期設定を識別するデータを受信するべく識別手段2に接続される出力手段4を有する。識別手段2は、前述のグループ内の1つ又は複数のセル又はセルセクタに対して識別プロセスを順番に実行するべく動作可能であり、識別手段2は、且つ、n個の隣接セルに関係する送信データ読取値T1〜Tnをセルデータ供給手段3から受信し、セル又はセルセクタからの信号が前述のカバレッジホールで実際の又は予想される信号強度を実現するための所定の基準を最良に充足するようなセル又はセルセクタをグループ内から見出し、且つ、そのセル/セクタの識別子を出力するべく構成された第1手段21を有する。識別手段2は、第1手段21の出力を受信し、セル又はセルセクタの放射パターンがカバレッジホールに拡張されるように、所定の基準を充足するものと見出されたセル又はセルセクタの第1送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合に、調節されたパラメータ設定を出力するべく構成された第2手段22を有する。識別手段2は、調節済みのパラメータ設定を受信し、調節済みのパラメータ設定において、セル又はセルセクタが第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分の望ましい信号強度のカバレッジを提供することができるかどうかを判定し、且つ、提供可能である場合に、カバレッジホールをカバーするのに好適なセル又はセルセクタとしてそのセル又はセルセクタを識別すると共にこれを実現するべく第1送信パラメータ設定に対する必要とされる調節について通知する出力を出力手段4へ提供するべく構成された第3手段23と、を有する。
【0083】
第1実施例(即ち、カバレッジホールにおける信号強度読取値の信頼性が高い場合)による方法において使用されるべく構成された図6の(A)の装置において、カバレッジホールにおいて望ましい信号強度を提供するのに第1送信パラメータ設定の調節のみでは不十分であると第3手段23が見出した場合に、第3手段23は、同一のセル/セクタについてプロセスを反復することにより、第1送信パラメータ設定及び第2送信パラメータ設定の調節が、カバレッジホールにおいて望ましい信号強度を提供するのに十分であるかどうかを判定する必要があることを第2手段22に通知するべく動作可能である。次いで、第1及び第2送信パラメータ設定の調節がカバレッジホールにおいて望ましい信号強度を提供するのに依然として不十分であると第3手段23が見出した場合には、第3手段23は、同一のセル/セクタについてプロセスを反復することにより、第1及び第2送信パラメータ設定並びに第3送信パラメータ設定の調節がカバレッジホールにおいて望ましい信号強度を提供するのに十分であるかどうかを判定する必要があることを第2手段22に通知するべく動作可能である。十分でない場合には、第3手段23は、所定の基準を次に最良に充足するグループ内のセル/セクタについてプロセスを反復する必要があると第1手段21に通知するべく動作可能である。この場合には、所定の基準は、カバレッジホールにおけるセル又はセルセクタからの信号の最大強度であり、且つ、グループ内のセル又はセルセクタは、信号強度の降順において検討される。
【0084】
第2の実施例(即ち、カバレッジホールにおける信号強度読取値の信頼性が高くない場合)による方法において使用されるべく構成された図6の(B)の装置内においては、所定の基準は、そのセル又はセルセクタがそのセル又はセルセクタの現在の送信パラメータ設定において望ましい信号強度を実現することができる最大距離dが、カバレッジホールとそのセル又はセルセクタの間の距離dtを上回っているかどうかであり、且つ、グループ内のセル又はセルセクタは、カバレッジホールに対する近接性の降順において検討される。この場合には、第1送信パラメータ設定のみの調節がカバレッジホールにおいて望ましい信号強度を提供するのに不十分であると第3手段23が見出した場合に、第3手段は、適切なセル/セクタを見出すことができる時点まで、又は候補セル/セクタのリストが尽きる時点まで、所定の基準を次に最良に充足するグループ内のセル/セクタについて順番にプロセスを反復する必要があると第1手段21に通知するべく動作可能である。
【0085】
所定の基準を充足するセルを見出すことができない場合には、第3手段23は、比率dt/dが最小値であるグループ内のセル/セクタの識別子を第1手段21から得ると共にカバレッジホールをカバーするのに好適なセル又はセルセクタとしてそのセル又はセルセクタを識別する出力を提供するように図6の(B)の識別手段2の第4手段に通知するべく動作可能である。又、第4手段24は、選択されたセル/セクタの第1送信パラメータ設定及び第2送信パラメータ設定をそのセル/セクタがカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるパラメータの設定に対して調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、選択されたセル/セクタの第1及び第2送信パラメータ設定に対する必要とされる調節を通知する出力を提供するべく動作可能である。選択されたセル/セクタの第1及び第2送信パラメータ設定を適切な設定に対して調節することができない場合には、第4手段24は、第3送信パラメータ設定を、選択されたセル/セクタがカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるパラメータの設定に対して調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、選択されたセル/セクタの第1〜第3送信パラメータ設定に対する必要とされる調節を通知する出力を出力手段4へ提供するべく動作可能である。
【0086】
図6の(A)及び図6の(B)の装置は、基地局内に配置されるものとして説明したが、この装置は、別の場所に提供することも可能である。例えば、SONにおいては、装置は、SONサーバー又はコントローラ上に提供可能である。SONサーバーは、基地局のうちの1つのものに存在可能であるが、更に好ましくは、基地局よりも高いレベルに提供することも可能であり、通常は、ネットワークのOAM(Operations And Maintenance)エンティティを伴っている。
【0087】
別個に説明したが、本発明の異なる実施例のそれぞれのものは、適宜、任意のその他の実施例と共に組み合わせることができる。
【0088】
本発明の実施例は、ハードウェアとして、又は1つ又は複数のプロセッサ上において稼働するソフトウェアモジュールとして、或いは、これらの組合せとして実装可能である。即ち、当業者であれば、実際には、マイクロプロセッサ又はデジタル信号プロセッサ(DSP)を使用して前述の機能の一部又はすべてを実装可能であることを理解するであろう。
【0089】
又、本発明は、本明細書に記述されている方法の一部又はすべてを実行する1つ又は複数の装置又は装置プログラム(例えば、コンピュータプログラム及びコンピュータプログラムプロダクト)として実施することも可能である。本発明を実施したこれらのプログラムは、コンピュータ可読媒体上において保存することも可能であり、或いは、例えば、1つ又は複数の信号の形態を有することも可能であろう。これらの信号は、インターネットウェブサイトからダウンロード可能なデータ信号であってもよく、或いは、キャリア信号上において、又は任意のその他の形態において、提供することも可能である。
【0090】
以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
セルラー無線ネットワークの第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供するために、前記第1セル又はセルセクタ内の前記カバレッジホールの少なくとも一部分をカバーするように、前記第1セル又はセルセクタに隣接する前記セルラー無線ネットワークのセル又はセルセクタのグループから第2セル又はセルセクタを選択し、前記第2セル又はセルセクタのカバレッジを適合させる方法であって、
前記グループ内のセル又はセルセクタに関係するデータを使用して識別プロセルを実行し、前記第2セル又はセルセクタとしての選択に好適なセル又はセルセクタを識別するステップを有し、
前記識別プロセスは、前記グループ内の1つ又は複数のセル又はセルセクタに対して順番に実行され、
セル又はセルセクタからの信号が前記カバレッジホールで実際の又は予想される信号強度を実現するための所定の基準を充足するようなセル又はセルセクタを前記グループ内の中から見出すステップと、
前記セル又はセルセクタが前記第1セル又はセルセクタ内の前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記所定の基準を充足するものと見出された前記セル又はセルセクタの第1送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前記第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとして前記セル又はセルセクタを識別するステップと、
を有する方法。
(付記2)
前記グループ内の前記セル又はセルセクタの前記送信データ読取値の信頼性が高い場合には、前記所定の基準は、前記セル又はセルセクタからの信号の信号強度が前記カバレッジホールで最大であることであり、且つ、前記グループ内の前記セル又はセルセクタは、信号強度の降順で前記識別プロセスにおいて検討される付記1に記載の方法。
(付記3)
前記セル又はセルセクタが前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記セル又はセルセクタの前記第1送信パラメータ設定を調節することができない場合に、前記識別プロセスは、
前記セル又はセルセクタが前記第1セル又はセルセクタ内の前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記セル又はセルセクタの第2送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前記第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとして前記セル又はセルセクタを識別するステップ、
を更に有する付記2に記載の方法。
(付記4)
前記セル又はセルセクタが前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記セル又はセルセクタの前記第2送信パラメータ設定を調節することができない場合に、前記識別プロセスは、
前記セル又はセルセクタが前記第1セル又はセルセクタ内の前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記セル又はセルセクタの第3送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前記第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとして前記セル又はセクタを識別するステップ、
を更に有する付記3に記載の方法。
(付記5)
前記セル又はセルセクタが前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記セル又はセルセクタの、適宜、前記第1送信パラメータ設定、又は前記第1及び第2送信パラメータ設定の組合せ、又は前記第1、第2、及び第3送信パラメータ設定の組合せを調節することができない場合に、前記識別プロセスは、まだ前記識別プロセスで検討されていない前記グループ内のセル又はセルセクタを使用して反復される付記2〜4のいずれかに記載の方法。
(付記6)
前記第2セル又はセルセクタの選択の後に、前記選択された第2セル又はセルセクタの、適宜、前記第1送信パラメータ設定、又は前記第1及び第2送信パラメータ設定、又は前記第1、第2、及び第3送信パラメータ設定を適切に調節するステップを更に有する付記2〜5のいずれかに記載の方法。
(付記7)
前記グループ内の前記セル又はセルセクタの前記送信データ読取値の信頼性が高くない場合に、前記グループ内の前記セル又はセルセクタは、前記所定の基準を充足するセル又はセルセクタが見出される時点まで、又は前記識別プロセスにおけるすべての前記セル又セルセクタの検討が完了する時点まで、前記カバレッジホールに対する近接性の降順で前記識別プロセスにおいて検討され、前記所定の基準は、前記セル又はセルセクタがそのセル又はセルセクタの現在の送信パラメータ設定において望ましい強度を実現することができる最大距離dが、前記カバレッジホールとそのセル又はセルセクタの間の距離dtを上回っているかどうかである付記1に記載の方法。
(付記8)
前記セル又はセルセクタが前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記所定の基準を充足するものと見出された前記セル又はセルセクタの前記第1送信パラメータ設定を調節することができない場合に、前記識別プロセスは、前記識別プロセスでまだ検討されていない前記グループ内のセル又はセルセクタを使用して反復される付記7に記載の方法。
(付記9)
前記グループ内の前記セル又はセルセクタのいずれもが前記所定の基準を充足しないと見出された場合に、比率dt/dが最小値である前記グループ内の前記セル又はセルセクタを見出し、且つ、前記第2セル又はセルセクタとしてそのセル又はセルセクタを選択するステップを更に有する付記8に記載の方法。
(付記10)
前記比率dt/dが最小値である前記第2セル又はセルセクタの選択の後に、前記第2セル又はセルセクタが前記第1セル又はセルセクタ内の前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記選択された第2セル又はセルセクタの前記第1送信パラメータ設定及び第2送信パラメータ設定の組合せを調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前記選択された第2セル又はセルセクタの前記第1及び第2送信パラメータ設定を適切に調節するステップを更に有する付記9に記載の方法。
(付記11)
前記選択された第2セル又はセルセクタの前記第1及び第2送信パラメータ設定の調節が前記選択されたセル又はセルセクタが前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供するのに不十分である場合に、前記第1及び第2送信パラメータ設定並びに第3送信パラメータ設定の組合せを、前記第2セル又はセルセクタが前記第1セル又はセルセクタ内の前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるようなパラメータの望ましい設定に対して調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前記選択された第2セル又はセルセクタの前記第1、第2、及び第3送信パラメータ設定を適切に調節するステップを更に有する付記10に記載の方法。
(付記12)
前記第1送信パラメータ設定は、アンテナのダウンチルトである前項までの付記のいずれかに記載の方法。
(付記13)
前記第2送信パラメータ設定は、アンテナの送信出力である付記3、4、10、又は11に記載の、又は付記3又は4に従属した状態において参照された際の付記5又は6に記載の方法。
(付記14)
前記第3送信パラメータ設定は、アンテナ放射パターンのボアサイトに対するアジマス角である付記4又は11に記載の、又は付記4に従属した状態において参照された際の付記5又は6に記載の方法。
(付記15)
セルラー無線ネットワークにおいて使用され、前記セルラー無線ネットワークの第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジの提供を、前記第1セル又はセルセクタ内の前記カバレッジホールの少なくとも一部分をカバーするように、前記第1セル又はセルセクタに隣接する前記セルラー無線ネットワークのセル又はセルセクタのグループから第2セル又はセルセクタを選択して前記第2セル又はセルセクタのカバレッジを調節することにより支援するべく動作可能な装置であって、
前記グループ内のセル又はセルセクタに関係するデータを使用して識別プロセスを実行し、前記第2セル又はセルセクタとしての選択に好適なセル又はセルセクタを識別するべく構成され、前記グループ内の1つ又は複数のセル又はセルセクタに対して識別プロセスを順番に実行するべく動作可能な識別手段を有し、
前記識別プロセスは、
セル又はセルセクタからの信号が前記カバレッジホールで実際の又は予想される信号強度を実現するための所定の基準を充足するようなセル又はセルセクタを前記グループ内の中から見出すステップと、
前記セル又はセルセクタが前記第1セル又はセルセクタ内の前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記所定の基準を充足するものと見出された前記セル又はセルセクタの第1送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前記第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとして前記セル又はセルセクタを識別するステップと、
を有する装置。
(付記16)
前記グループ内の前記セル又はセルセクタの前記送信データ読取値の信頼性が高い場合には、前記所定の基準は、前記セル又はセルセクタからの信号の信号強度が前記カバレッジホールで最大であることであり、且つ、前記グループ内の前記セル又はセルセクタは、信号強度の降順で前記識別プロセスにおいて検討するべく動作可能である付記15に記載の装置。
(付記17)
前記セル又はセルセクタが前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記セル又はセルセクタの前記第1送信パラメータ設定を調節することができないと前記識別手段が判定した場合に、前記識別手段によって実行される前記識別プロセスは、
前記セル又はセルセクタが前記第1セル又はセルセクタ内の前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記セル又はセルセクタの第2送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前記第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとして前記セル又はセルセクタを識別するステップ、
を更に有する付記16に記載の装置。
(付記18)
前記セル又はセルセクタが前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記セル又はセルセクタの前記第2送信パラメータ設定を調節することができないと前記認識手段が判定した場合に、前記識別手段によって実行される前記識別プロセスは、
前記セル又はセルセクタが前記第1セル又はセルセクタ内の前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記セル又はセルセクタの第3送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前記第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとして前記セル又はセルセクタを識別するステップ、
を更に有する付記17に記載の装置。
(付記19)
前記セル又はセルセクタが前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記セル又はセルセクタの、適宜、前記第1送信パラメータ設定、又は前記第1及び第2送信パラメータ設定の組合せ、又は前記第1、第2、及び第3送信パラメータ設定の組合せを調節することができないと前記識別手段が判定した場合に、前記識別手段は、まだ前記識別プロセスで検討されていない前記グループ内のセル又はセルセクタを使用して前記識別プロセスを反復するべく動作可能である付記16〜18のいずれかに記載の装置。
(付記20)
前記第2セル又はセルセクタの選択の後に、前記選択された第2セル又はセルセクタの、適宜、前記第1送信パラメータ設定、又は前記第1及び第2送信パラメータ設定、又は前記第1、第2、及び第3送信パラメータ設定を適切に調節するべく動作可能である付記16〜19のいずれかに記載の装置。
(付記21)
前記グループ内の前記セル又はセルセクタの前記送信データ読取値の信頼性が高くない場合に、前記識別手段は、前記所定の基準を充足するセル又はセルセクタが見出される時点まで、又は前記識別プロセスにおけるすべての前記セル又はセルセクタの検討が完了する時点まで、前記グループ内の前記セル又はセルセクタを前記カバレッジホールに対する近接性の降順で前記識別プロセスにおいて検討するべく動作可能であり、前記所定の基準は、前記セル又はセルセクタがそのセル又はセルセクタの現在の送信パラメータ設定において望ましい最大強度を実現することができる最大距離dが、前記カバレッジホールとそのセル又はセルセクタの間の距離dtを上回っているかどうかである付記15に記載の装置。
(付記22)
前記セル又はセルセクタが前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記所定の基準を充足するものと見出された前記セル又はセルセクタの前記第1送信パラメータ設定を調節することができないと識別手段が判定した場合に、前記識別手段は、前記識別プロセスでまだ検討されていない前記グループ内のセル又はセルセクタを使用して前記識別プロセスを反復するべく動作可能である付記21に記載の装置。
(付記23)
前記グループ内の前記セル又はセルセクタのいずれもが前記所定の基準を充足しないと見出された場合に、比率dt/dが最小値である前記グループ内の前記セル又はセルセクタを見出し、且つ、前記第2セル又はセルセクタとしてそのセル又はセルセクタを選択するべく動作可能である付記22に記載の装置。
(付記24)
前記比率dt/dが最小値である前記第2セル又はセルセクタの選択の後に、前記第2セル又はセルセクタが前記第1セル又はセルセクタ内の前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記選択された第2セル又はセルセクタの前記第1送信パラメータ設定及び第2送信パラメータ設定の組合せを調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前記選択された第2セル又はセルセクタの前記第1及び第2送信パラメータ設定を適切に調節するべく動作可能である付記23に記載の装置。
(付記25)
前記選択された第2セル又はセルセクタの前記第1及び第2送信パラメータ設定の調節が、前記選択されたセル又はセルセクタが前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供するのに不十分である場合には、前記第2セル又はセルセクタが前記第1セル又はセルセクタ内の前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記第1及び第2送信パラメータ設定並びに第3送信パラメータ設定の組合せを調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前記選択された第2セル又はセルセクタの前記第1、第2、及び第3送信パラメータ設定を適切に調節するべく動作可能である付記24に記載の装置。
(付記26)
前記第1送信パラメータ設定は、アンテナのダウンチルトである付記15から25のいずれかに記載の装置。
(付記27)
前記第2送信パラメータ設定は、アンテナの送信出力である付記17、18、24、又は25に記載の、又は付記17又は18に従属した状態において参照された際の付記19又は20に記載の装置。
(付記28)
前記第3送信パラメータ設定は、アンテナ放射パターンの照準方向に対するアジマス角である付記18又は25に記載の、又は付記18に従属した状態において参照された際の付記19又は20に記載の装置。
(付記29)
コンピュータ上において実行された場合に、前記コンピュータに付記1〜14のいずれかに記載の方法を実行させるか又は前記コンピュータを付記15〜28のいずれかに記載の装置とするコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0091】
1 基地局
2 識別手段
21 第1手段
22 第2手段
23 第3手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラー無線ネットワークの第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供するために、前記第1セル又はセルセクタ内の前記カバレッジホールの少なくとも一部分をカバーするように、前記第1セル又はセルセクタに隣接する前記セルラー無線ネットワークのセル又はセルセクタのグループから第2セル又はセルセクタを選択し、前記第2セル又はセルセクタのカバレッジを適合させる方法であって、
前記グループ内のセル又はセルセクタに関係するデータを使用して識別プロセルを実行し、前記第2セル又はセルセクタとしての選択に好適なセル又はセルセクタを識別するステップを有し、
前記識別プロセスは、前記グループ内の1つ又は複数のセル又はセルセクタに対して順番に実行され、
セル又はセルセクタからの信号が前記カバレッジホールで実際の又は予想される信号強度を実現するための所定の基準を充足するようなセル又はセルセクタを前記グループ内の中から見出すステップと、
前記セル又はセルセクタが前記第1セル又はセルセクタ内の前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記所定の基準を充足するものと見出された前記セル又はセルセクタの第1送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前記第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとして前記セル又はセルセクタを識別するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記グループ内の前記セル又はセルセクタの前記送信データ読取値の信頼性が高い場合には、前記所定の基準は、前記セル又はセルセクタからの信号の信号強度が前記カバレッジホールで最大であることであり、且つ、前記グループ内の前記セル又はセルセクタは、信号強度の降順で前記識別プロセスにおいて検討される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セル又はセルセクタが前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記セル又はセルセクタの前記第1送信パラメータ設定を調節することができない場合に、前記識別プロセスは、
前記セル又はセルセクタが前記第1セル又はセルセクタ内の前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記セル又はセルセクタの第2送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前記第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとして前記セル又はセルセクタを識別するステップ、
を更に有する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記セル又はセルセクタが前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記セル又はセルセクタの前記第2送信パラメータ設定を調節することができない場合に、前記識別プロセスは、
前記セル又はセルセクタが前記第1セル又はセルセクタ内の前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記セル又はセルセクタの第3送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前記第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとして前記セル又はセクタを識別するステップ、
を更に有する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記セル又はセルセクタが前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記セル又はセルセクタの、適宜、前記第1送信パラメータ設定、又は前記第1及び第2送信パラメータ設定の組合せ、又は前記第1、第2、及び第3送信パラメータ設定の組合せを調節することができない場合に、前記識別プロセスは、まだ前記識別プロセスで検討されていない前記グループ内のセル又はセルセクタを使用して反復される請求項2〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第2セル又はセルセクタの選択の後に、前記選択された第2セル又はセルセクタの、適宜、前記第1送信パラメータ設定、又は前記第1及び第2送信パラメータ設定、又は前記第1、第2、及び第3送信パラメータ設定を適切に調節するステップを更に有する請求項2〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記グループ内の前記セル又はセルセクタの前記送信データ読取値の信頼性が高くない場合に、前記グループ内の前記セル又はセルセクタは、前記所定の基準を充足するセル又はセルセクタが見出される時点まで、又は前記識別プロセスにおけるすべての前記セル又セルセクタの検討が完了する時点まで、前記カバレッジホールに対する近接性の降順で前記識別プロセスにおいて検討され、前記所定の基準は、前記セル又はセルセクタがそのセル又はセルセクタの現在の送信パラメータ設定において望ましい強度を実現することができる最大距離dが、前記カバレッジホールとそのセル又はセルセクタの間の距離dtを上回っているかどうかである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
セルラー無線ネットワークにおいて使用され、前記セルラー無線ネットワークの第1セル又はセルセクタ内のカバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジの提供を、前記第1セル又はセルセクタ内の前記カバレッジホールの少なくとも一部分をカバーするように、前記第1セル又はセルセクタに隣接する前記セルラー無線ネットワークのセル又はセルセクタのグループから第2セル又はセルセクタを選択して前記第2セル又はセルセクタのカバレッジを調節することにより支援するべく動作可能な装置であって、
前記グループ内のセル又はセルセクタに関係するデータを使用して識別プロセスを実行し、前記第2セル又はセルセクタとしての選択に好適なセル又はセルセクタを識別するべく構成され、前記グループ内の1つ又は複数のセル又はセルセクタに対して識別プロセスを順番に実行するべく動作可能な識別手段を有し、
前記識別プロセスは、
セル又はセルセクタからの信号が前記カバレッジホールで実際の又は予想される信号強度を実現するための所定の基準を充足するようなセル又はセルセクタを前記グループ内の中から見出すステップと、
前記セル又はセルセクタが前記第1セル又はセルセクタ内の前記カバレッジホールの少なくとも一部分のカバレッジを提供することができるように、前記所定の基準を充足するものと見出された前記セル又はセルセクタの第1送信パラメータ設定を調節することができるかどうかを判定し、且つ、調節可能である場合には、前記第2セルとしての選択に好適なセル又はセルセクタとして前記セル又はセルセクタを識別するステップと、
を有する装置。
【請求項9】
コンピュータ上において実行された場合に、前記コンピュータに請求項1〜14のいずれかに記載の方法を実行させるか又は前記コンピュータを請求項8に記載の装置とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−151842(P2012−151842A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−4319(P2012−4319)
【出願日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】