説明

セルロース粉末

平均重合度が150〜450、平均粒子径が30〜250μm、見掛け比容積が7cm/gを超え、分子量400のポリエチレングリコール保持率が190%以上であるセルロース粉末。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセルロース粉末、セルロース粉末の製造方法、及びセルロース粉末と一種以上の活性成分を含む成型体組成物に関するものである。該組成物は、医薬、食品、その他化学工業分野で用いられる、活性な成分を含有する成型体の賦形剤として有用であり、中でも、医薬品用錠剤の賦形剤として特に有用なものである。
【背景技術】
【0002】
医薬、食品、その他化学工業分野において、セルロース粉末を賦形剤として用いることにより活性成分を含有する成型体を調製することは、従来から広く行われている。
このとき用いられるセルロース粉末としては、結晶セルロース、粉末セルロースが知れられており、例えば、以下に挙げる例がある。
【0003】
特許文献1には、平均重合度が150〜375、見掛け比容積が1.84〜8.92cm/g、粒度が300μm以下のセルロース粉末が記載されている。
特許文献2には、平均重合度が60〜375、見掛け比容積が1.6〜3.1cm/g、200メッシュ以上の成分が2〜80重量%であるセルロース粉末、特許文献3には、セルロース質物質を酸加水分解又はアルカリ酸化分解して得られる平均重合度100〜375、見掛け比容積が4.0〜6.0cm/g、実質的に355μm以上の粒子がなく平均粒子径が30〜120μmであるセルロース粉末についての記載がある。
【0004】
特許文献4には、平均重合度150〜450、平均粒子径が20〜250μm、見掛け比容積が4.0〜7.0cm/gであるセルロース粉末の記載がある。
特許文献5には、平均重合度が100〜375、メッシュ径が75μmの篩を通過し、メッシュ径が38μmの篩上に残留する粒子が全重量の70%以上であるセルロース粉末についての記載がある。
特許文献6には精製パルプを前処理によって平均重合度が450〜650になるまで解重合させた後、機械的粉砕処理により得られた粒子の50%以上が200メッシュ篩を通過するようにした錠剤成形用添加剤の製造方法が記載されている。
特許文献7には、セルロース粉末を粉砕し、平均粒子径を30μm以下としたセルロース粉末が記載されている。該特許文献に開示されている方法で、セルロース粉末の平均粒子径を10μm以下に調製すると、比較的見掛け比容積の大きいセルロース粉末が得られる旨の記載がある。
【0005】
しかし、前記特許文献に開示されている方法で得られたセルロース粉末は、圧縮成形性が低いため、圧縮成形性が不足し、得られた錠剤について実用的な錠剤硬度が得られないという問題があった。更に、活性成分が液状、半固形状の場合には、錠剤の成型圧縮時に活性成分の浸みだしや打錠障害が発生するという問題もあった。
また、従来は常温で液状又は半固形状の活性成分を錠剤化する場合に、特許文献8〜19に記載されているように、液状成分をそのまま吸着担体に保持させた後、又は活性成分を水、有機溶媒、油脂、水溶性高分子、界面活性剤に溶解、乳化、懸濁したものを吸着担体に保持させた後、乾燥工程を経て、得られた乾燥粉末、又は顆粒を圧縮成形する方法が知られている。かかる方法では、乾燥に関わる多くの工程が必須であり、それに伴う設備コストや乾燥に使用するエネルギーのコストが高くなることが課題であった。
【0006】
また、特許文献20及び21には、活性成分を界面活性剤又は水溶性高分子と非水溶媒の存在下で混合した後、溶媒を除去する方法、又は液状ポリエチレングリコールに溶解させた後、散剤又は顆粒剤を得た後、圧縮成形する方法が記載されている。かかる方法では、非水溶媒を使用した際に、加熱脱溶剤工程が必要となり、それに伴う設備のコストや乾燥に使用するエネルギーのコストが高くなることが課題であった。また、溶剤を加えずポリエチレングリコールのみを使用した際には、実施例に散剤のみが記載され、実質的に錠剤は得られていない。
【0007】
特許文献22には、活性成分と活性成分に対し10重量%以上の油脂を含有する錠剤の製造方法が開示されているが、かかる方法では、活性成分、油脂成分と賦形剤とを一旦、圧縮ローラーで乾式顆粒とする工程が必要であり、それに伴う設備が必要となりコスト高となることが課題であった。
【0008】
特許文献23には、食用油脂物質を内部に吸収した通常の結晶セルロースである油脂吸収物質と結合剤、抗酸化剤、フレーバー及び/又は着色剤から成る前処理した活性成分組成物と、活性成分の粒子混合物及び食用油、バインダー、乳化剤、フレーバー及び着色料から成り該活性成分粒子がこれらバインダー等の他の成分で被覆されている前処理した活性成分組成物と、結合剤及びフレーバーから成る前処理した直接圧縮錠剤化用助剤組成物と、の混合物から成る圧縮咀撓錠が記載されている。しかし、該特許文献に記載の方法では、三種の組成物を得るためにそれぞれ前処理工程が必要であり、多くの工程を経ることで、製造方法が複雑になり、それに伴い、設備コストが高くなることが課題であった。また、かかる方法では、錠剤硬度が低い錠剤しか得られないので、錠剤硬度の高い錠剤を得る目的には合わない。
【0009】
特許文献24には、油又は油状物質と活性成分及び、平均粒子径が150μmより大きい、水と結合し得る水不溶性の非架橋ポリマー賦形剤を含む固体の医薬品組成物並びにその製造方法が開示されている。しかし、かかる方法では、油状物質と活性成分と水と特定の水不溶性の非架橋ポリマーとを高い剪断力で攪拌する必要があるが、これに伴う設備が必要となることが課題であった。
【0010】
特許文献25には、水に難溶性の生理活性成分の溶出性に優れ、更に適切な硬度を有する固体製剤を製造する方法として、生理活性成分とノニオン界面活性剤及び/又はアニオン界面活性剤とを混合した後、比表面積が5000cm/g以上である水膨潤性高分子化合物にこの混合物を担持させ、これに汎用のセルロース粉末を添加して圧縮成形する方法が記載されている。かかる方法では、薬物を界面活性剤と混合する工程、及びそれを特定の水膨潤性の高分子化合物に担持させる工程が必須となり、多くの工程を経ることになるので、製造方法が複雑になり、それに伴い、設備コストが高くなることが課題であった。
【0011】
以上のように、従来の方法では、製造工程が複雑になり、それに伴う設備、エネルギーがコスト高になること、圧縮成形時に実用的な錠剤硬度が得られず、液状活性成分の浸みだしや打錠障害が発生するという問題を解決することができなかった。
【特許文献1】特公昭40−26274号公報
【特許文献2】特公昭56−2047号公報
【特許文献3】特開平6−316535号公報
【特許文献4】WO02/02643号公報
【特許文献5】特開平11−152233号公報
【特許文献6】特開昭50−19917号公報
【特許文献7】特開昭63−267731号公報
【特許文献8】特開昭56−7713号公報
【特許文献9】特開昭60−25919号公報
【特許文献10】特開昭61−207341号公報
【特許文献11】特開平11−193229号公報
【特許文献12】特開平11−35487号公報
【特許文献13】特開2000−16934号公報
【特許文献14】特開2000−247869号公報
【特許文献15】特開2001−181195号公報
【特許文献16】特開2001−316248号公報
【特許文献17】特表2002−534455号公報
【特許文献18】特開2003−161号公報
【特許文献19】特開2003−55219号公報
【特許文献20】特開昭61−151116号公報
【特許文献21】特開昭61−225121号公報
【特許文献22】特開昭57−165392号公報
【特許文献23】特開昭58−194808号公報
【特許文献24】特開平8−268914号公報
【特許文献25】特開2001−335469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、賦形剤として用いた場合、各種活性成分を含む成型体の製造において、優れた圧縮成形性、液状成分の保持性を示し、特に、医薬品錠剤製造において、液状活性成分の浸みだしや打錠障害がなく、且つ、充分な錠剤硬度を有する錠剤を簡便な製造工程で実現することを可能とする、セルロース粉末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、セルロース粉末の粉体物性を特定範囲に制御することにより、圧縮成形性、液状成分保持性を兼ね備えたセルロース粉末が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は下記の通りである。
(1)平均重合度が150〜450、平均粒子径が30〜250μm、及び見掛け比容積が7cm/gを超え、分子量400のポリエチレングリコール保持率が190%以上であるセルロース粉末。
(2)平均重合度が150〜450になるまで加水分解処理された天然セルロース系物質により構成されるセルロース分散粒子と媒体を含むセルロース分散液であって、該セルロース分散粒子の平均粒子径が50μm以上である上記セルロース分散液を乾燥することを含む上記(1)のセルロース粉末の製造方法。
(3)1種以上の活性成分と上記(1)のセルロース粉末を含む成型体組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明のセルロース粉末は、圧縮成形性、液状成分の保持性の諸物性を併せ持ち、このセルロース粉末を含有する組成物は、固形状活性成分に加え、特に液状、半固形状活性成分を圧縮成形する場合に、簡単な工程で、適切な硬度を有し、液状成分の浸みだしがなく、打錠障害がない成型体が得られる効果を有する。
発明を実施するための形態
【0015】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明のセルロース粉末は、その平均重合度が150〜450である必要がある。平均重合度が150未満であると圧縮成形性が不足するので好ましくない。また平均重合度が450を超えると、原料セルロースの加水分解が十分進行していないため、セルロースの非晶質部分を多く含み、繊維性が強く現れ弾性回復し易くなるため、成形性を損なう傾向にある。また、平均重合度が450を超えると、たとえ、後述するポリエチレングリコール保持率が高くても、成型圧縮時には液状成分が浸みだし、打錠障害を発生するため好ましくない。
【0016】
本発明のセルロース粉末の平均粒子径は30〜250μmである必要がある。平均粒子径が30μm未満であると微粒化する際に、過度に粒子表面に衝撃を受け、液状成分の保持性が低くなり好ましくない。また、セルロース粒子が凝集しやすく、活性成分と混合する際に、活性成分が均一に分散せず、得られた錠剤の活性成分含量のばらつきが大きくなるので好ましくない。一方、平均粒径が250μmを超えると、活性成分が空気輸送時に分離偏析し、含量均一性の低下を招く場合があり、好ましくない。
【0017】
本発明のセルロース粉末は見掛け比容積が7.0cm/gを超える必要がある。見掛け比容積が7.0cm/g以下であると、成形性が不足するので十分な成型体に充分な力学強度を与えることができない。なお、見掛け比容積は大きければ大きい程良く、その上限に特に制限はないが、通常13.0cm/gあれば良い。13.0cm/gを超えると、セルロース粉末の流動性が悪化したり、セルロース粒子が凝集し易くなり、活性成分と混合する際に、活性成分が均一に分散せず、得られた錠剤の活性成分含量のばらつきが大きくなるので好ましくない。
【0018】
本発明のセルロース粉末は、平均分子量400のポリエチレングリコール保持率が190%以上である必要がある。好ましくは200%以上、特に好ましくは250%以上である。
本発明のセルロース粉末は、平均分子量400のポリエチレングリコール保持率が190%以上であるときに、液状、半固形状活性成分を含む成型体を圧縮成形する際に、液状活性成分を保持し、その浸みだしを防止することができる。平均分子量400のポリエチレングリコール保持率が190%未満であると、液状活性成分とともに圧縮成形する際に、液状成分を保持しきれず粉体層に液状成分が浸みだすため、結合剤として働くセルロース粒子同士の接触が粗になり、成型体に十分な力学強度を付与できず、打錠障害が生じるので好ましくない。
平均分子量400のポリエチレングリコール保持率を190%以上にするためには、少なくとも平均重合度と見かけ比容積を所定の範囲に制御することが必要である。
なお、ポリエチレングリコール保持率は大きければ大きい程良く、その上限に特に制限はないが、通常、440%あればよい。440%もあれば、賦形剤として十分な性能を発揮するからである。
【0019】
以下に本発明のセルロース粉末の製造方法について記述する。
本発明のセルロース粉末は、例えば、加水分解処理された天然セルロース系物質を適当な媒体に分散して得られるセルロース分散液を乾燥することにより得られる。この場合、加水分解処理により得られる反応溶液から、加水分解処理されたセルロース系物質を含む固形分を単離し、別途これを適当な媒体に分散させて調製した分散液を乾燥してもよいし、また、同加水分解溶液がそのままの状態でセルロース分散液を形成している場合は、この分散液を直接乾燥してもよい。
【0020】
天然セルロース系物質とは植物性でも動物性でもよく、例えば、木材、竹、コットン、ラミー、ホヤ、バガス、ケナフ、バクテリアセルロース等のセルロースを含有する天然物由来の繊維質物質であり、セルロースI型の結晶構造を有していることが好ましい。原料として、上記物質のうち一種の天然セルロース質物質を使用してもよいし、二種以上を混合したものを使用してもよい。また、精製パルプの形態で使用することが好ましいが、パルプの精製方法には特に制限はなく、溶解パルプ、クラフトパルプ、NBKPパルプ等いずれのパルプを使用してもよい。
【0021】
加水分解方法は、酸加水分解であっても、アルカリ酸化分解、熱水分解、スチームエクスプロージョン等であってもよく、また、いずれかの方法単独であっても、二種を併用することも可能である。
【0022】
上記製法において、加水分解処理されたセルロース系物質を含む固形分を、その後適当な媒体に分散させる場合に用いられる媒体としては、工業的に使用されるものであれば特に制限はないが、例えば、水及び/又は有機溶剤を使用してもよい。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、2−メチルブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素類、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類等が挙げられる。特に、有機溶剤は医薬品に使用されるものが好ましく「医薬品添加剤事典2000」(薬事日報社(株)発行)に溶剤として分類されるものが挙げられる。水、有機溶媒は、それを単独で使用しても、二種以上を併用することも自由であり、一種の媒体で一旦分散させた後、その媒体を除去し、異なる媒体に分散させてもよい。
【0023】
このようにして得られるセルロース分散液中に存在するセルロース分散粒子の平均粒子径は50μm以上である必要がある。平均粒子径が50μm未満である場合、セルロース分散液を乾燥しても、得られたセルロース粉末の見かけ比容積が小さく、本願発明の圧縮成形性、液状成分保持性に優れるセルロース粉末は得られない。特に、平均粒子径が50μm未満のセルロース分散液は、比較的多量のセルロース分散微粒子成分を含むが、この微粒子成分は、微粒化する際に、粒子表面に過度に衝撃を受け、表面構造が変化しているため、微粒子成分を多く含む分散液を乾燥しても、液状成分の保持性が高いセルロース粉末は得られない。
【0024】
上記セルロース分散液において、平均粒径が50μm以上となるセルロース分散粒子を得るためには、例えば、乾燥前のセルロース分散液について、デカンターを使用したデカンテーション等により、水分含量が40%以上となるように制御された、脱水精製を行うことができる。
【0025】
別法として、篩分けにより選別された平均粒径50μm以上のセルロース分散粒子又はこれら粒子を含む分散液を別途、適当な溶媒に分散させてもよい。
また、いずれかの方法単独であっても、併用してもよい。
乾燥方法も特に制限はないが、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥、棚段乾燥、気流乾燥、真空乾燥及び有機溶剤と共に乾燥する乾燥方法でもよい。
【0026】
本発明でいう成型体組成物は、一種以上の活性成分と本発明のセルロース粉末を含有していればよく、その量に特に制限はないが、通常の範囲としては、活性成分は0.001〜99%、本発明のセルロース粉末は1〜99%である。更に、混合、撹拌、造粒、整粒、打錠等の公知の方法で加工できる。
【0027】
本発明の活性成分とは、医薬品薬効成分、農薬成分、肥料成分、飼料成分、食品成分、化粧品成分、色素、香料、金属、セラミックス、触媒、界面活性剤をいい、粉体状、結晶状、油状、液状、半固形状等のいずれの形態でもよい。また溶出制御、苦味低減等の目的でコーティングを施したものであってもよい。活性成分は、単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
【0028】
例えば、医薬品薬効成分としては、解熱鎮痛消炎薬、催眠鎮静薬、眠気防止薬、鎮暈薬、小児鎮痛薬、健胃薬、制酸薬、消化薬、強心薬、不整脈用薬、降圧薬、血管拡張薬、利尿薬、抗潰瘍薬、整腸薬、骨粗鬆症治療薬、鎮咳去痰薬、抗喘息薬、抗菌剤、頻尿改善剤、滋養強壮剤、ビタミン剤等の経口で投与されるものが対象となる。薬効成分は、それを単独で使用しても、二種以上を併用することも自由である。
【0029】
本発明で使用される、油状、液状活性成分としては、例えば、テプレノン、インドメタシン・ファルネシル、メナテトレノン、フィトナジオン、ビタミンA油、フェニペントール、ビタミンD、ビタミンE等のビタミン類、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、肝油等の高級不飽和脂肪酸類、補酵素Q類、オレンジ油、レモン油、ペパーミント油等の油溶性香味料等の「日本薬局方」、「局外基」、「USP」、「NF」、「EP」に記載の医薬品薬効成分等が挙げられる。ビタミンE等の上述した油状、液状活性成分には種々の同族体、誘導体があるが、常温で液状であれば特に限定されない。例えば、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、d−α−トコフェロール、酢酸d−α−トコフェロール等を挙げることができ、上記成分から選ばれる一種を単独で使用しても、二種以上を併用することも自由である。
【0030】
半固形状活性成分としては、例えば、地竜、カンゾウ、ケイヒ、シャクヤク、ボタンピ、カノコソウ、サンショウ、ショウキョウ、チンピ、マオウ、ナンテンジツ、オウヒ、オンジ、キキョウ、シャゼンシ、シャゼンソウ、石蒜、セネカ、バイモ、ウイキョウ、オウバク、オウレン、ガジュツ、カミツレ、ゲンチアナ、ゴオウ、獣胆、シャジン、ショウキョウ、ソウジュツ、チョウジ、チンヒ、ビャクジュツ、チクセツニンジン、ニンジン、葛根湯、桂枝湯、香蘇散、紫胡桂枝湯、小紫胡湯、小青竜湯、麦門冬湯、半夏厚朴湯、麻黄湯等の漢方又は生薬エキス類、カキ肉エキス、プロポリス及びプロポリス抽出物、補酵素Q類等を挙げることができ、上記成分から選ばれる一種を単独で使用しても、二種以上を併用することも自由である。
【0031】
本発明の錠剤組成物は、活性成分、セルロース粉末の他に、必要に応じて崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤等の他の成分を含有することも自由である。
【0032】
崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、コメデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン等のデンプン類、クロスポビドン、クロスポビドンコポリマー等の合成高分子等の「医薬品添加物事典2000」(薬事日報社(株)発行)に崩壊剤として分類されるものを挙げることができる。上記崩壊剤から選ばれる一種を単独で使用しても、二種以上を併用することも自由である。
【0033】
結合剤としては、白糖、ブドウ糖、乳糖、果糖等の糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、ゼラチン、プルラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、寒天、グルコナンナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の水溶性多糖類、結晶セルロース、粉末セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、アルファー化デンプン、デンプン糊等のデンプン類、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子類、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機化合物類等の「医薬品添加物事典2000」(薬事日報社(株)発行)に結合剤として分類されるものを挙げることができる。上記結合剤から選ばれる一種を単独で使用しても、二種以上を併用することも自由である。
【0034】
流動化剤としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等のケイ素化合物類等の「医薬品添加物事典2000」(薬事日報社(株)発行)に流動化剤として分類されるものを挙げることができる。上記流動化剤から選ばれる一種を単独で使用しても、二種以上を併用することも自由である。
【0035】
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク等の「医薬品添加物事典2000」(薬事日報社(株)発行)に滑沢剤として分類されるものを挙げることができる。上記滑沢剤から選ばれる一種を単独で使用しても、二種以上を併用することも自由である。
【0036】
矯味剤としては、グルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、1−メントール等の「医薬品添加物事典2000」(薬事日報社(株)発行)に矯味剤として分類されるものを挙げることができる。上記矯味剤から選ばれる一種を単独で使用しても、二種以上を併用することも自由である。
【0037】
香料としては、オレンジ、バニラ、ストロベリー、ヨーグルト、メントール、ウイキョウ油、ケイヒ油、トウヒ油、ハッカ油等の油類、緑茶末等の「医薬品添加物事典2000」(薬事日報社(株)発行)に着香剤、香料として分類されるものを挙げることができる。上記香料から選ばれる一種を単独で使用しても、二種以上を併用することも自由である。
【0038】
着色剤としては、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、銅クロロフィンナトリウム、酸化チタン、リボフラビン等の「医薬品添加物事典2000」(薬事日報社(株)発行)に着色剤として分類されるものを挙げることができる。上記着色剤から選ばれる一種を単独で使用しても、二種以上を併用することも自由である。
【0039】
甘味剤としては、アスパルテーム、サッカリン、ギリチルリチン酸二カリウム、ステビア、マルトース、マルチトール、水飴、アマチャ末等の「医薬品添加物事典2000」(薬事日報社(株)発行)に甘味剤として分類されるものを挙げることができる。上記甘味剤から選ばれる一種を単独で使用しても、二種以上を併用することも自由である。
【0040】
本発明の成型体組成物の例としては、医薬品に用いる場合、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、エキス剤、丸剤の固形製剤等が挙げられる。医薬品に限らず、菓子、健康食品、食感改良剤、食物繊維強化剤等の食品、固形ファンデーション、浴用剤、動物薬、診断薬、農薬、肥料、セラミックス触媒等においても本発明の成型体組成物を用いることができる。
【0041】
本発明でいう錠剤とは、本発明のセルロース粉末と、一種以上の活性成分と必要に応じて他の添加剤を含んだものであって、圧縮成形により得られ得る成形体をいう。本発明のセルロース粉末を配合した錠剤用組成物は、特に、複雑な工程を経ずに直接打錠法のような簡便な方法で実用硬度が得られるものであるが、乾式顆粒圧縮法、湿式顆粒圧縮法、後末法、予め圧縮成形した錠剤を内核とする多核錠の製造方法等のいずれかの製造方法を使用してもよい。
【0042】
以下に1種以上の活性成分と本発明のセルロース粉末を主成分とする錠剤組成物の製造方法について記述するが、これは一例であって、本発明の効果は、これらの方法に制限されるものではない。
ここでいう活性成分とは、固形状、液状、半固形状のいずれの形態でもよく、活性成分を単体で使用しても、活性成分を媒体に溶解、懸濁、又は乳化して使用してもよい。
【0043】
製造方法としては、例えば、
i)本発明のセルロース粉末と活性成分単体を混合し圧縮成形する製造方法、
ii)活性成分を予め水に溶解又は分散させたものと本発明のセルロース粉末を混合し圧縮成形する製造方法、
iii)活性成分を予め少量の有機溶剤に溶解させた後水に分散させたものと本発明のセルロース粉末を混合し圧縮成形する製造方法、
iv)活性成分を予め水溶性高分子若しくは水溶性高分子水溶液に溶解又は分散させたものを本発明のセルロース粉末と混合し圧縮成形する製造方法、
v)活性成分を予め油脂に溶解又は分散させたものを本発明のセルロース粉末と混合し圧縮成形する製造方法
等が挙げられる。また、活性成分を予め多量の有機溶剤に溶解させたものと本発明のセルロース粉末を混合し公知の方法で圧縮成形してもよい。但し、この製造方法を使用する際は、脱有機溶剤させるため、得られた錠剤を乾燥する必要がある。
【0044】
上記の製造方法のうち、i)に示される本発明のセルロース粉末と活性成分単体を混合し圧縮成形する製造方法の場合は、混合の際に必要に応じて本発明のセルロース粉末、活性成分以外に界面活性剤、油脂等のいわゆる溶解改善剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤等の他の成分を添加してもよい。これらは、一種を単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。各成分の添加及び混合の順序に制限はないが、本発明のセルロース粉末に活性成分を添加及び混合しても、活性成分に本発明のセルロース粉末を添加及び混合しても、両者を一括で添加及び混合してもよい。本発明のセルロース粉末、活性成分以外に他の成分を添加する場合は、予め活性成分と混合したものに本発明のセルロース粉末を添加及び混合しても、予め本発明のセルロース粉末と混合したものに活性成分を添加及び混合しても、予め本発明のセルロース粉末と活性成分を混合したものに添加及び混合しても、各成分を一括で添加及び混合してもよい。活性成分の添加方法は、通常行われている方法であれば特に制限はないが、小型吸引輸送装置、空気輸送装置、バケットコンベヤ、圧送式輸送装置、バキュームコンベヤ、振動式定量フィーダー、スプレー、漏斗等を用いて連続的に添加しても、一括投入してもよい。混合方法は、通常行われている方法であれば特に制限はないが、V型、W型、ダブルコーン型、コンテナタック型混合機等の容器回転式混合機、又は高速撹拌型、万能撹拌型、リボン型、パグ型、ナウター型混合機等の撹拌式混合機、高速流動式混合機、ドラム式混合機、流動層式混合機を使用してもよい。またシェーカー等の容器振とう式混合機を使用することもできる。組成物の圧縮成形方法は、通常行われている方法であれば特に制限はないが、臼と杵を使用し所望の形状に圧縮成形する方法、予めシート状に圧縮成形した後所望の形状に割断する方法でもよい。圧縮成形機としては、例えば、静圧プレス機、ブリケッティングローラー型プレス機、平滑ローラー型プレス機等のローラー式プレス機、シングルパンチ打錠機、ロータリー打錠機等の圧縮機を使用できる。
【0045】
上記の製造方法のうち、ii)活性成分を予め水に溶解または分散させたものと本発明のセルロース粉末を混合し圧縮成形する製造方法の場合に、前処理として活性成分を水に溶解又は分散させる際には、必要に応じて界面活性剤、油脂等のいわゆる溶解改善剤等を加えることも自由である。これらは一種を単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。溶解又は分散させる際の各成分の添加及び混合の順序について、特に制限はないが、水に活性成分を添加及び混合しても、活性成分に水を添加及び混合しても、一括で添加及び混合してもよい。溶解補助剤を添加する際は、活性成分と溶解補助剤の混合物を水に添加及び混合しても、水に溶解補助剤を溶解又は分散させたものに活性成分を添加及び混合しても、各成分を一括で添加及び混合してもよい。溶解又は分散方法としては、通常行われる溶解、分散方法であれば特に制限はないが、ポータブルミキサー、立体ミキサー、側面ミキサーなどの一方向回転式、多軸回転式、往復反転式、上下移動式、回転−上下移動式、管路式等の撹拌翼を使用する撹拌混合方法、ラインミキサー等の噴流式撹拌混合方法、気体吹き込み式の撹拌混合方法、高剪断ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等を使用する混合方法でも、シェーカーを使用する容器振とう式混合方法等を用いてもよい。上記の方法で得られた溶液又は分散液と本発明のセルロース粉末を混合する際には、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤、溶解補助剤等の他の成分を添加してもよい。これらは一種を単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。各成分の添加及び混合の順序に制限はないが、本発明のセルロース粉末に活性成分溶液又は分散液を添加及び混合しても、活性成分溶液又は分散液に本発明のセルロース粉末を添加及び混合してもよい。また、本発明のセルロース粉末、活性成分溶液又は分散液に加えて他の成分を添加する際は、この成分を予め本発明のセルロース粉末と混合したものに活性成分溶液又は分散液を添加及び混合しても、この成分を予め活性成分溶液又は分散液と混合したものに本発明のセルロース粉末を添加及び混合しても、予め本発明のセルロース粉末と活性成分溶液又は分散液と混合したものにこの成分を添加及び混合しても、各成分を一括で添加及び混合してもよい。この際の添加方法、混合方法、圧縮成形方法については、通常使用される方法であれば特に制限はないが、i)の製造方法に一例としてあげた方法を使用してもよい。
【0046】
製造方法として、iii)活性成分を予め少量の有機溶剤に溶解させた後水に分散させたものと本発明のセルロース粉末を混合し圧縮成形する製造方法の場合に、前処理として活性成分を少量の有機溶媒に溶解させる際には、添加順序については特に制限はなく、有機溶剤に活性成分を添加及び混合しても、活性成分に有機溶剤を添加及び混合しても、両者を一括で添加及び混合してもよい。この活性成分溶液を水に分散させる際には、1種以上の溶解補助剤を併用してもよい。この際の添加順序についても特に制限はなく、活性成分溶液と溶解補助剤の混合物を水に添加及び混合しても、水に溶解補助剤を溶解又は分散させたものに活性成分溶液を添加及び混合しても、水と活性成分溶液を混合したものに溶解補助剤を添加及び混合しても、各成分を一括で添加混合してもよい。溶解又は分散方法としては、通常行われる溶解、分散方法であれば特に制限はないが、ii)の製造方法に一例として挙げた溶解又は分散方法を使用してもよい。上記の方法で得られた活性成分溶液または分散液と本発明のセルロース粉末を混合する際には、必要に応じて崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤、溶解補助剤等を添加してもよい。これらは一種を単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。この際の添加、混合、圧縮成形方法には、特に制限はないが、i)の製造方法に一例として挙げた方法を使用してもよい。
【0047】
製造方法として、iv)活性成分を予め水溶性高分子若しくは水溶性高分子水溶液に溶解又は分散させたものを本発明のセルロース粉末と混合し圧縮成形する製造方法の場合に、前処理として活性成分を水溶性高分子若しくは水溶性高分子水溶液に溶解又は分散させる際に、必要に応じて溶解補助剤を添加してもよい。各成分の添加順序については特に制限はないが、例えば水溶性高分子若しくは水溶性高分子水溶液に活性成分を添加及び混合しても、活性成分に水溶性高分子若しくは水溶性高分子水溶液を添加及び混合しても、両者を一括で添加及び混合してもよい。溶出補助剤を添加する場合も、添加順序には特に制限はないが、活性成分と溶解補助剤の混合物を水溶性高分子若しくは水溶性高分子水溶液に添加及び混合しても、水溶性高分子若しくは水溶性高分子水溶液と溶解補助剤の混合物を活性成分に添加及び混合しても、活性成分と水溶性高分子若しくは水溶性高分子溶液の混合物を溶解補助剤に添加及び混合しても、各成分を一括で添加及び混合してもよい。上記の方法で得られた活性成分溶液又は分散液と本発明のセルロース粉末を混合する際は、必要に応じて崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤、溶解補助剤等を添加してもよい。これらは一種を単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。この際の添加、混合、圧縮成形方法には、特に制限はないが、i)の製造方法に一例として挙げた方法を使用してもよい。
【0048】
製造方法として、v)活性成分を予め油脂に溶解又は分散させたものを本発明のセルロース粉末と混合し圧縮成形する製造方法の場合に、前処理として活性成分を油脂に溶解又は分散させる際に、溶出補助剤を添加してもよい。各成分の添加、溶解又は分散方法には特に制限はなく、iv)の製造方法に一例として挙げた方法を用いてもよい。得られた溶液又は分散液と本発明のセルロース粉末を混合する際には、必要に応じて崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤、溶解補助剤等を添加してもよい。これらは一種を単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。この際の添加、混合、圧縮成形方法には、特に制限はないが、i)の製造方法に一例として挙げた方法を使用してもよい。
【0049】
これらの製造方法において、特に活性成分が水に難溶性である場合には、溶解補助剤を添加するi)〜v)の製造方法、溶解補助剤を添加しないiii)、iv)、v)の製造方法を使用することで、得られる組成物は、活性成分の水への溶解性又は分散性を改善できる。
上記の製造方法において使用する有機溶剤としては、医薬品に使用されるものであれば、特に制限されるものでは、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類等の「医薬品添加剤事典2000」(薬事日報社(株)発行)に溶剤として分類されるものが挙げられ、それを単独で使用しても、二種以上を併用することも自由である。
【0050】
水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、デンプン糊等の「医薬品添加剤事典2000」(薬事日報社(株)発行)に記載される水溶性高分子が挙げられ、それを単独で使用しても、二種以上を併用することも自由である。
【0051】
油脂としては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸ショ糖エステル、流動パラフィン等のパラフィン類、カルナウバロウ、硬化ヒマシ油等の硬化油類、ヒマシ油、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール等の「医薬品添加剤事典2000」(薬事日報社(株)発行)に記載される油脂が挙げられ、それを単独で使用しても、二種以上を併用することも自由である。
【0052】
界面活性剤としては、例えば、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンサンモノラウレート、ポリソルベート、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリド、モノオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、モノオキシエチレンソルビタンモノステアレート、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、ラウリル硫酸ナトリウム等の「医薬品添加剤事典2000」(薬事日報社(株)発行)に界面活性剤として分類されるものが挙げられ、それを単独で使用しても、二種以上を併用することも自由である。
【0053】
上記の如く圧縮成形し錠剤にして使用する以外に、本発明の錠剤用組成物は、液状成分の保持性に優れるため、特に流動性、耐ブロッキング性、耐凝集性を改善する目的で顆粒剤又は散剤として使用してもよい。
また、本発明のセルロース粉末は従来のセルロース粉末に比較して成形性が非常に高いため、錠剤中に多量に配合すると溶媒中で錠剤が崩壊せずに形状を保つことができ、錠剤中の活性成分の放出を制御できるようになる。このため、マトリックス型の徐放性基剤としても有用である。
更に、低融点薬物、油脂、液体や半固体状薬物を賦形剤等に担持させたものを公知の方法で打錠する場合に、本発明のセルロース粉末を配合しておくと低打圧で発生するスティッキング、高打圧で発生するキャッピング、ラミネーション等の打錠障害を顕著に防止する効果がある。特に本発明のセルロース粉末であれば、従来知られている結晶セルロースや粉末セルロースよりも少ない添加量で上記打錠障害を回避できるため、薬剤含量を増したり、錠剤を小型化したりできる利点を有する。またスティッキング防止剤として従来より利用されている無機系添加剤(例えばケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)に比較して、打錠障害を抑制する量を付与した場合に、高い錠剤硬度、摩損度を付与する以外に、飛散しにくい等の点で取扱いが容易であり、空気輸送時の分離偏析を生じない等の理由で含量均一性確保が可能である等の観点で従来の賦形剤にはなかった利点を有する。
【実施例】
【0054】
本発明を実施例に基づいて説明する。但し、本発明の実施態様は、これら実施例の記載に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例における各物性の測定方法は以下の通りである。
【0055】
(1)平均重合度
第14改正日本薬局方、結晶セルロースの確認試験(3)に記載された銅エチレンジアミン溶液粘度法により測定した値とした。
(2)分散液中のセルロース粒子の平均粒子径(μm)
実施例及び比較例に記載されたセルロース粉末製造過程で得られたセルロース分散液を試料として、レーザー回折散乱粒度分布計(堀場製作所(株)製、LA−910)を用いて所定の方法により測定した。平均粒子径は体積頻度の数平均として算出した。
(3)セルロース粉末の平均粒子径(μm)
粉体試料の平均粒径はロータップ式篩振盪機(平工作所製シーブシェーカーA型)、JIS標準篩(Z8801−1987)を用いて、試料10gを10分間篩分することにより粒度分布を測定し、累積重量50%粒径として表した。かかる乾燥後のセルロース粉末の平均粒子径と、(2)のレーザー回折散乱法による分散液中のセルロース分散粒子の平均粒子径は測定原理が全く異なるため、それぞれで得られた値は必ずしも相関するものではない。
(4)見掛け比容積(cm/g)
100cmのガラス製メスシリンダーに粉体試料を定量フィーダー等を用い、2〜3分かけて粗充填し、粉体層上面を筆のような軟らかい刷毛で水平にならし、その容積を読み取り、これを粉体試料の重量で除した値である。粉体の重量は容積が70〜100cm程度になるように適宜設定した。
(5)平均分子量が400のポリエチレングリコール保持率(重量%)
セルロース粉末試料2.0gをガラス盤上において、ビューレットからポリエチレングリコール(三洋化成(株)製、ポリエチレングリコール400)を滴下しながら、その都度スパチラで混練し、粉体表面にマクロゴールが浸みだす点を終点として、以下の計算式により飽和保持率(%)を算出した。
飽和保持率=
(セルロース粉末に吸収されたマクロゴール重量)×100/(セルロース粉末重量)
(6)錠剤硬度(N)
セルロース粉末試料から所定の方法により調製された、円柱状成形体又は錠剤試料をシュロインゲル硬度計(フロイント産業(株)製、6D型)を用いて、円柱状成形体あるいは錠剤の直径方向に荷重を加え、破壊したときの荷重を測定した。試料三個の数平均で示した。
(7)液状成分の浸みだし
圧縮成形により得られた錠剤表面の液状成分の浸みだしを、目視により観察した。
(8)打錠障害発生率(%)
圧縮成形により得られた錠剤で、スティッキング、チッピング、キャッピング、ラミネーションを生じた錠剤の個数を目視により計測し、上記の打錠障害を生じた錠剤の個数を得られた錠剤の総数で割り返し、百分率を算出した。
【実施例1】
【0056】
市販のパルプ(重合度1030)を細断したもの2kgと、4Nの塩酸水溶液30Lを低速型攪拌機(池袋琺瑯工業(株)製、30LGL反応器、翼径約30cm)に入れ、攪拌速度5rpmで攪拌しながら、40℃、24時間加水分解し、平均重合度が310の酸不溶解性残渣を得た。得られた酸不溶解性残渣は、ヌッチェを使用し、固形分40%となるよう濾過し、濾過残渣を更に純水で洗浄し、アンモニア水で中和後、90Lのポリバケツに入れ、純水を加えて、スリーワンモーター(HEIDON製、タイプ1200G、8M/M、攪拌翼径5cm)で、攪拌速度5rpmで攪拌することにより、固形分濃度10%のセルロース分散液とした(セルロース分散液中のセルロース粒子の平均粒子径は67μmであった)。これを噴霧乾燥(分散液供給速度6L/hr、入口温度180〜220℃、出口温度50〜70℃)して、セルロース粉末Aを得た。セルロース粉末Aの粉体物性を表1に示す。
【実施例2】
【0057】
市販のパルプ(重合度790)を使用し、加水分解条件を48時間とする以外は実施例1と同じ操作を行い、平均重合度が270の酸不溶解性残渣を得た。得られた酸不溶解性残渣は、実施例1と同じ操作を行い、濾過、中和、攪拌した後、固形分濃度22%のセルロース分散液を得た(セルロース分散液中のセルロース粒子の平均粒子径は54μmであった)。得られたセルロース分散液を実施例1と同じ操作で噴霧乾燥し、セルロース粉末Bを得た。セルロース粉末Bの粉体物性を表1に示す。
【実施例3】
【0058】
市販のパルプ(重合度840)を使用し、加水分解条件を5N塩酸水溶液、40℃、60時間とする以外は、実施例1と同じ操作を行い、平均重合度が160の酸不溶解性残渣を得た。得られた酸不溶解性残渣は濾過せず、純水で洗浄した後中和し、攪拌を与えず、目開き38μmの篩を使用し、篩通過分を除去し、固形分濃度10%のセルロース分散液を得た(セルロース分散液中のセルロース粒子の平均粒子径は59μmであった)。得られたセルロース分散液は、実施例1と同じ操作で噴霧乾燥し、セルロース粉末Cを得た。セルロース粉末Cの粉体物性を表1に示す。
【実施例4】
【0059】
市販のパルプ(重合度790)を使用し、加水分解条件を5N塩酸水溶液、40℃、4時間、攪拌速度30rpmとする以外は実施例1と同じ操作を行い、平均重合度が440の酸不溶解性残渣を得た。得られた酸不溶解性残渣は、実施例1と同じ操作を行い濾過、中和した後、攪拌速度500rpmで攪拌し、固形分濃度17%のセルロース分散液を得た(セルロース分散液中のセルロース粒子の平均粒子径は51μmであった)。得られたセルロース分散液をドラム乾燥機(楠木製作所(株)製、KDD−1型、スチーム圧力0.35MPa、ドラム表面温度136℃、ドラム回転数2rpm、溜部分温度100℃)で乾燥後ハンマーミルを用いて粉砕し、目開き425μmの篩で粗大粒子を取り除き、セルロース粉末Dを得た。セルロース粉末Dの粉体物性を表1に示す。
【実施例5】
【0060】
市販のパルプ(重合度1030)を粉砕したものを、有効塩素1.6g/Lの次亜塩素酸ナトリウム溶液中に浸漬してpHを10.9として60℃で6時間処理し、処理後のパルプを十分水洗して遠心脱水後、105℃で送風乾燥したものを家庭用ミキサーで10分間粉砕した。得られた粉砕パルプ2kgを使用し、加水分解条件を4N塩酸水溶液、40℃、15時間とし、実施例1と同じ方法で加水分解し、平均重合度が300の酸不溶解性残渣を得た。得られた酸不溶解性残渣は、実施例1と同じ操作を行い、濾過、中和、攪拌した後、固形分濃度10%のセルロース分散液を得た(セルロース分散液中のセルロース粒子の平均粒子径は65μmであった)。得られたセルロース分散液を実施例1と同じ操作で噴霧乾燥し、セルロース粉末Eを得た。セルロース粉末Eの粉体物性を表1に示す。
【0061】
比較例1
加水分解条件を3N塩酸水溶液、40℃、20時間、反応中の攪拌速度を20rpmとする以外は、実施例1と同じ操作により加水分解し、平均重合度が440の酸不溶解性残渣を得た。得られた酸不溶解性残渣は、ヌッチェを使用し、固形分70%となるよう濾過した。得られた濾過残渣をさらに純水で洗浄し、アンモニア水で中和後、90Lのポリバケツに入れ、純水を加えて、実施例1と同じ操作で、攪拌速度100rpmで攪拌し、固形分濃度6%のセルロース分散液とした(セルロース分散液中のセルロース粒子の平均粒子径は41μmであった)。得られたセルロース分散液を実施例1と同じ操作で噴霧乾燥し、セルロース粉末F(前記特許文献4の実施例7に相当)を得た。セルロース粉末Fの粉体物性を表1に示す。
【0062】
比較例2
加水分解条件を0.14N塩酸水溶液、121℃、1時間、反応中の攪拌速度を30rpmとする以外は、実施例1と同じ操作により加水分解し、平均重合度が220の酸不溶解性残渣を得た。得られた酸不溶解性残渣は、ヌッチェを使用し、固形分70%となるよう濾過した。得られた濾過残渣を更に純水で洗浄し、アンモニア水で中和後、90Lのポリバケツに入れ、純水を加えて、実施例1と同じ操作で、攪拌速度500rpmで攪拌し、固形分濃度17%のセルロース分散液とした(セルロース分散液中のセルロース粒子の平均粒子径は29μmであった)。得られたセルロース分散液を実施例1の噴霧乾燥した後、目開き325メッシュの篩で粗大粒子を取り除き、セルロース粉末G(前記特許文献1の実施例1に相当)を得た。セルロース粉末Gの粉体物性を表1に示す。
【0063】
比較例3
針葉樹、広葉樹混合溶解パルプシート(α−セルロース90.5%、β−セルロース4.7%、銅安相対粘度4.70、白色度93)を解砕後、有効塩素1.6g/Lの次亜塩素酸ナトリウム溶液中に浸漬してpHを10.9として60℃で310分間処理した(セルロース分散液中のセルロース粒子の平均粒子径は50μmであった)。処理後のパルプを十分水洗し、遠心脱水した後、105℃で送風乾燥した。このパルプを家庭用ミキサー(三洋電機(株)製、SM−L56型)で15分間粉砕し目開き80メッシュの篩で粗大粒子を取り除き、セルロース粉末H(前記特許文献6の実施例2に相当)を得た。セルロース粉末Hの粉体物性を表1に示す。
【0064】
比較例4
市販のパルプ(重合度1030)500gを、家庭用ミキサー(三洋電機(株)製、SM−L56型)で30分間粉砕し、得られた粉砕物を目開き150μmの篩を使用して粗大粒子を取り除き、セルロース粉末Iを得た(セルロース分散液を経ないので、分散液中のセルロース粒子の平均粒子径は記載できない)。セルロース粉末Iの粉体物性を表1に示す。
【0065】
比較例5
比較例2により得られたセルロース粉末Gを、気流式粉砕機((株)セイシン企業製、シングルトラックジェットミルSTJ−200型)を使用して粉砕し、セルロース粉末J(前記特許文献7の実施例1に相当)を得た。セルロース粉末Jの粉体物性を表1に示す。
【0066】
比較例6
比較例1により得られたセルロース粉末Fを、エアージェットシーブ(ALPINE社製)を使用し、目開き75μmの篩で粗大粒子を取り除いた後、目開き38μmの篩で微粒子成分を取り除き(前記特許文献5の実施例の方法)、セルロース粉末Kを得た。セルロース粉末Kの粉体物性を表1に示す。
【0067】
比較例7
加水分解条件を0.14N塩酸水溶液、121℃、1時間、反応中の攪拌速度を30rpmとする以外は、実施例1と同じ操作により加水分解し、平均重合度が220の酸不溶解性残渣を得た。得られた酸不溶解性残渣は、ヌッチェを使用し、固形分70%となるよう濾過した。得られた濾過残渣を更に純水で洗浄し、アンモニア水で中和後、90Lのポリバケツに入れ、純水を加えて、実施例1の操作で、攪拌速度500rpmで攪拌し、固形分濃度4%のセルロース分散液とした(セルロース分散液中のセルロース粒子の平均粒子径は29μmであった)。得られたセルロース分散液を実施例1と同じ操作で噴霧乾燥した後、目開き400メッシュの篩で微粒子を取り除き、セルロース粉末L(前記特許文献1の嵩密度8.92cm/gに相当)を得た。セルロース粉末Lの粉体物性を表1に示す。
【実施例6〜10】
【0068】
市販の結晶セルロース(旭化成(株)製、アビセルPH−101)10gに、液状活性成分の一例として、マクロゴール400(三洋化成(株)製)を6.5g添加し、ガラスビーカー中でスパチラを使用し、10分間攪拌混合した後、軽質無水ケイ酸(日本アエロジル(株)製、アエロジル200)2.5gを更に添加し、スパチラを使用し、5分間攪拌混合した。得られた混合粉体3.5gと、実施例1〜5により得られたセルロース粉末A〜E各々1.5gずつをポリエチレンバッグ中で3分間混合した(混合粉体の最終組成重量比は、セルロース粉末/PH−101/アエロジル/マクロゴール=30/37.8/9.5/22.7である。)。
得られた各混合粉体試料0.2gを使用し、臼(菊水製作所製、材質SUK2,3を使用)に入れ、直径0.8cmの円形平面杵(菊水製作所製、材質SUK2,3を使用)で圧縮応力100MPaで圧縮した。その応力を10秒間保持し円柱状成形体を作製した(圧縮機はアイコーエンジニアリング製、PCM−1Aを使用した)。得られた円柱状成形体の硬度を表2に示す。ここで、目視で錠剤表面状態、杵への付着を観察した結果、いずれの錠剤も、液状成分の浸みだしは確認されず、錠剤組成物の杵への付着も確認されなかった。
【0069】
比較例8〜14
セルロース粉末として、比較例1〜7により得られたセルロース粉末F〜Lを使用し、実施例6〜10と同様の操作により円柱状成形体を得た。得られた円柱状成形体の硬度を表2に示す。実施例6〜10と同様方法で、錠剤表面状態、杵への付着を観察した結果、いずれの錠剤も、表面に液状成分の浸みだしがあり、錠剤組成物の杵への付着も確認され、スティッキング打錠障害を生じていた。
また、平均重合度が450を越えるセルロース粉末HおよびIは、ポリエチレングリコールの保持率は高いが、液状成分を粒子内空隙ではなく、粒子間空隙に保持しているためか、圧縮時には錠剤表面への液状成分の浸みだし、打錠障害を発生したものと考えられる。
実施例1〜5の操作により得られたセルロース粉末A〜Eを使用した錠剤の硬度は、いずれも40N以上を示し、一般的に錠剤を工程で輸送、瓶に保存したものを輸送する際に、錠剤が摩損しないとされる実用錠剤硬度(40N以上)であった。それに対し、比較例1〜6の操作により得られたセルロース粉末F〜Kを使用した錠剤の硬度は、40Nに満たず実用的な錠剤硬度が得られなかった。
【実施例11】
【0070】
市販のdl−α−トコフェロール(和光純薬工業(株)製)を、マクロゴール400と重量比1対1で溶解したもの150gを、プラネタリーミキサー((株)三英製作所製、万能混合攪拌機50M−03−R)で、攪拌速度63rpmで攪拌しながら、市販の結晶セルロース(旭化成(株)製、アビセルPH−301)500gに添加し、10分間混合し、更にアエロジル200を65.3g添加し5分間混合した。得られた混合粉体350gとセルロース粉末Aをポリエチレンバッグ中で3分間混合した後、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株)製)を混合粉体総量の0.5重量%添加し、更に0.5分間混合して打錠用混合粉体を得た(混合粉体の最終組成重量比は、セルロース粉末/PH−301/アエロジル/薬物マクロゴール溶液/ステアリン酸マグネシウム=30/49/6.3/14.7/0.5である。)。
該混合粉体をロータリー打錠機((株)菊水製作所製、CLEANPRESS CORRECT 12HUK、攪拌フィーダー)で直径0.8cm、円形平面の杵を用いてターンテーブル回転速度22rpm、圧縮力5000N、10000N、15000Nで打錠し、重量170mgの錠剤を作製した。その錠剤物性を表3に示す。ここでも、目視で錠剤表面、杵への付着を観察した結果、いずれの錠剤も、液状成分の浸みだしは確認されず、錠剤組成物の杵への付着等の打錠障害も確認されなかった。また、錠剤の硬度は、いずれも40N以上を示し、一般的に錠剤を工程で輸送、瓶に保存したものを輸送する際に、錠剤が摩損しないとされる実用錠剤硬度(40N以上)であった。
【0071】
比較例15
実施例11のセルロース粉末Aにかえて比較例3にて調製したセルロース粉末Hを用いた以外は、実施例11と同様の操作により錠剤を作製した。その錠剤物性を表3に示す。高打圧時に浸み出した液成分を保持できないためか、ラミネーション等の打錠障害を起こして十分な硬度が得られなかった。
【実施例12】
【0072】
市販のイブプロフェンを小型粉砕機(スクリーン径φ1.5mm、14000rpm)で粉砕したもの200g、市販造粒乳糖「SUPER−TAB」(ラクトースニュージーランド社製)265g、本発明のセルロース粉末E25g、クロスカルメロースナトリウム(ニチリン化学(株)製)10gをポリエチレン袋中で3分間十分混合した後、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株)製)2.5gを加えてさらにゆっくり30秒間混合し混合紛体とした。該混合紛体をロータリー打錠機((株)菊水製作所製、CLEANPRESS CORRECT 12HUK、オープンフィーダー)で直径0.8cm、上面に刻印を有するR杵(12R)を用いてターンテーブル回転数54rpm、圧縮圧6000Nの条件で打錠を行った。結果を表4に示す。30分間打錠後のスティッキング率(スティッキングした錠剤の個数を目視で計測して測定した錠剤総数で割り返した百分率)は0%であった。
【0073】
比較例16
本発明のセルロース粉末Eを軽質無水ケイ酸(日本アエロジル(株)製)25gとする場合は実施例12と同様に操作して打錠を行った。結果を表4に示す。30分打錠後の錠剤はスティッキングがあり、錠剤表面に亀裂を生じる等他の打錠障害を発生しており硬度も実用硬度(40N以上)を満たさなかった。また錠剤20錠を摩損度試験器(Pharma Test、ジャパンマシナリー(株)製)を使用し、25rpm、4minの条件で試験を行った後、の錠剤重量減少率(摩損度)も高く実用に供さないものであった。
【0074】

【0075】


【0076】

【0077】

【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明はセルロース粉末、セルロース粉末の製造方法、及びセルロース粉末と一種以上の活性成分を含む成型体組成物に関するものである。該組成物は、医薬、食品、その他化学工業分野で用いられる、活性な成分を含有する成型体の賦形剤として有用であり、中でも、医薬品用錠剤の賦形剤として特に有用なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均重合度が150〜450、平均粒子径が30〜250μm、及び見掛け比容積が7cm/gを超え、分子量400のポリエチレングリコール保持率が190%以上であるセルロース粉末。
【請求項2】
平均重合度が150〜450になるまで加水分解処理された天然セルロース系物質により構成されるセルロース分散粒子と媒体を含むセルロース分散液であって、該セルロース分散粒子の平均粒子径が50μm以上である上記セルロース分散液を乾燥することを含む請求項1記載のセルロース粉末の製造方法。
【請求項3】
1種以上の活性成分と請求項1記載のセルロース粉末を含む成型体組成物。

【国際公開番号】WO2004/106416
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506508(P2005−506508)
【国際出願番号】PCT/JP2004/007379
【国際出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】