セルロース繊維及び合成繊維を含む繊維構造体とその作成方法
少なくとも2つの層を有する一体繊維構造体(100)であって、構造体の少なくとも1つの層が長セルロース繊維(103)を含み、少なくとも1つの層が短セルロース繊維(102)及び合成繊維(101)の混合物(104)を含む一体繊維構造体と、その繊維構造体を作成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース繊維と合成繊維を組み合わせて含む繊維構造体、及びその作成方法に関するものであり、より具体的には、合成繊維と混合された短セルロース繊維を含む少なくとも1つの層と長セルロース繊維を優勢的に含む少なくとも1つの層とを有する繊維構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
紙ウェブなどの繊維構造体は、当技術分野において周知であり、今日、紙タオル、トイレットペーパー、フェイシャルティシュ、ナプキン、ウェットタオルなど用に普通に使用されている。典型的なティシュペーパーは、ほとんどの場合セルロース繊維から、優勢的には木材系からなる。セルロース繊維の種類は広範囲であるにもかかわらず、そのような繊維は、一般に乾燥弾性率が高く、また直径が相対的に大きいので、その曲げ剛性が幾つかの用途に所望より大きくなることがある。更に、セルロース繊維は、乾燥時に相対的に高い剛性を有して製品の柔軟性に悪影響を及ぼすことがあり、湿潤時に低い剛性を有して得られる製品の吸収性を低下させることがある。
【0003】
ウェブを形成するために、典型的な使い捨て紙製品中の繊維は、化学反応によって相互に結合されており、その結合は、セルロース分子のヒドロキシル基間に自然に生じる水素結合だけであることが多い。より大きな一時的又は永久的な湿潤強度を望む場合には、増強添加物を使用することができる。これらの添加物は通常、セルロースと共有結合反応するか、又は既存の水素結合の周りに保護的な分子被膜を形成するかのいずれかによって作用する。しかしながら、添加物は、相対的に堅い及び非弾性的な結合も作り出して、製品の柔軟及び吸収特性に悪影響を及ぼすことがある。
【0004】
セルロース繊維と共に合成繊維を使用することによって、先に説明した限界の幾つかを乗り越えるのを助けることができる。合成ポリマーは、非常に小さな繊維を含む広範囲の直径を有する繊維に形成可能である。更に、合成繊維は、セルロース繊維より低い弾性率となるように形成可能である。したがって、合成繊維は、非常に低い曲げ剛性を有するように作成可能であり、これによって良好な製品の柔軟性が助長される。更に、合成繊維の機能的断面を、微小工作(micro-engineered)することができる。合成繊維は濡れた時に弾性率を維持するようにも設計可能であるので、そのような繊維で作成されたウェブは、吸収作業中にぺしゃんこになるのに対して抵抗性があることがある。更に、合成繊維を使用すると、ウェブの形成及び/又はその均一性の促進を助けることができる。それ故に、ティッシュ製品において熱結合された合成繊維を使用することにより、(柔軟性及び湿潤強度に関しては良好である)水抵抗性の高強度結合により接合された(柔軟性に関しては良好である)高可撓性繊維の強固な網状構造が生じる。しかしながら、合成繊維は、セルロース繊維と比較すると相対的に高価であり得る。したがって、繊維が提供する望ましい効果を得るのに必要な量の合成繊維だけを含むことが望ましい。短セルロース繊維を合成繊維と混合すると、合成繊維の分散促進を助けることができ、従って、ウェブ中に短セルロース繊維が混合されていない場合よりも数少ない(又は少量の)合成繊維が必要とされながら、合成繊維の効果の多くを個々に又は相互に組み合わさって提供可能であることを、我々は見出した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、セルロース繊維及び合成繊維を組み合わせて含む改善された繊維構造体と、そのような繊維構造体を作成するための方法とを提供することが有利である。得られるウェブのある所望の部分内に集中された合成繊維を有する製品と、そのような繊維のそのような非ランダム配置を可能にする方法とを提供することも有利である。少なくとも1つの層内に配置された短セルロース繊維及び合成繊維と、1つ以上の別の層内に優勢的に配置されたより長い繊維とを含む製品、並びにその製品の作成方法を有することも有利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来技術に関する問題点に対処するために、構造体の少なくとも1つの層が長セルロース繊維を含み、少なくとも1つの層が短セルロース繊維と合成繊維の混合物を含む、少なくとも2つの層を有する一体繊維構造体を、我々は発明した。
【0007】
更に、我々は、繊維構造体を作成する方法を発明しており、その方法は:合成繊維と短セルロース繊維との混合物を含む1つ以上の層を形成するように、合成繊維と短セルロース繊維との混合物を形成部材上に供給する工程;長セルロース繊維段階を優勢的に含む1つ以上の層を形成するように、合成繊維と短セルロース繊維との混合物の上に複数の長セルロース繊維を供給する工程;並びに合成繊維と短セルロース繊維との混合物を含む1つ以上の層と長セルロース繊維を優勢的に含む1つ以上の層とを含む、一体繊維構造体を形成する工程とを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書で使用する時、次の用語は、次に示す意味を有する。
【0009】
「平均セルロース繊維幅」は、ジョージア州ナルコス(Narcoss,GA)のメトソオートメーションカヤニ社(Metso Automation Kajaani Ltd.)から入手可能なカヤニファイバーラボ(Kajaani FiberLab)設備により測定される時の、セルロース繊維の平均繊維幅である。
【0010】
「平均合成繊維直径」は、次の式から導出される合成繊維の平均繊維直径である:平均合成繊維直径=平方根(質量デニール×K/密度)、ここで質量デニールとは繊維のデニールの質量部分(グラム)のみ(例えば、3デニールの繊維は3g/9000mであるが、その繊維の質量デニールは3g)であり、K=141.5である。定数K=141.5は、円筒形繊維用である。非円筒形繊維の場合は、異なる定数K1が、繊維の非円筒形断面積を使用して再計算されなければならない。このようにして、繊維直径は、マイクロメートルの単位を有する。
【0011】
「繊維粗度」は、TAPPI方法T234cm−02で示されるような、100m当りミリグラムとして表示される繊維の単位長さ当りの重量として定義される。
【0012】
「共接合繊維」は、少なくとも部分的にそれぞれ個々の繊維特性を保持したまま、溶融、接着、包装、化学的若しくは機械的結合により互いに融着又は接着された、ないしは別の方法で共に接合された2つ以上の繊維を意味する。
【0013】
「繊維長比」とは、以降の実施例において説明されるような、カヤニファイバーラボ(Kajaani FiberLab)設備を使用して測定される、長さ加重平均繊維長(LL)に関するTAPPI T271om−02パラグラフ8.2で示される方法により測定される、異なる繊維種類の長さ加重平均繊維長の比である。
【0014】
「長セルロース性繊維」又は「長セルロース繊維」は、一般に針葉樹源からの繊維であって、平らで真っ直ぐな形状で測定する時、約2mmを超える最長寸法長さを有する。長セルロース繊維の非限定的な例は、マツ、トウヒ、モミ、シーダーの木類から得ることができる。
【0015】
「PTP係数」は、以下の実施例において更に詳細に説明するように、平均セルロース幅に対する平均合成繊維直径の比である。理論に束縛されるものではないが、PTP係数は、合成繊維とセルロース繊維の間の機能的な結合を形成する傾向に関係すると考えられている。この好都合な結合傾向は、合成繊維と短セルロース繊維の混合物内で合成繊維をより均一に分布させる結果として生じ得る。
【0016】
「再分配」は、本発明の単一繊維構造内に含まれる複数の繊維の少なくとも一部が、それらの当初のウェブ内位置、状態、及び/又は形状を、少なくとも部分的に溶融、移動、収縮、及び/又は他の方法で変化させることを意味する。
【0017】
「短セルロース性繊維」又は「短セルロース繊維」は、通常は広葉樹から来る繊維であって、平らで真っ直ぐな形状で測定する時、約2mm未満の最長寸法長さを有する。ある例では、短セルロース繊維は、約1mm未満の長さのことがある。短セルロース繊維の非限定的な例は、ユーカリノキ、アカシア、及びカエデの木類から得ることができる。
【0018】
「単一繊維構造体」は、複数のセルロース繊維及び合成繊維を含む構成であり、これらの繊維は中で絡み合って又は他の方法で結合して、幾つかの所定の微視的な形状特性、物理的特性、及び外観特性を有するシート製品を形成する。セルロース及び/又は合成繊維であっても、単一繊維構造体内で積層又は異なる配置であってもよい。
【0019】
本発明の繊維構造体は、多数の異なる形体をとることができるが、一般に、セルロース繊維と混合された合成繊維を有する少なくとも1つの層と、セルロース繊維を含む少なくとも1つの隣接層とを含む。より具体的には、本発明の一実施形態では、繊維構造体は、本明細書で説明するように、短セルロース繊維と混合された合成繊維を含む1つ以上の層を含むことができる。合成繊維/短セルロース繊維の混合物は、異なる繊維が概ねランダムに及び層全体にわたって分散されているという点で比較的均質であってもよく、あるいは、合成繊維及び/又はセルロース繊維が概ね非ランダムに配置されているようなふうにより構造的であってもよい。更に、混合したセルロース繊維及び合成繊維の1つ以上の層は、ウェブ作成中又は後で何かのタイプの操作で形成される又はそれにかけられて、混合した合成繊維及びセルロース繊維の予め定められたパターン又は他の非ランダムなパターンの層(単数又は複数)を提供してもよい。
【0020】
繊維構造体は、種々の繊維種類を含むことができる。例えば、その構造体は、広葉樹源、針葉樹源、又は他の非木材植物からの繊維など、天然に生じる繊維を含むことができる。好適な天然繊維の非限定的な例は、表1で確認される。植物からの天然繊維の他の供給源として、アルバーディン(albardine)、エスパルト、麦、稲、コーン、サトウキビ、パピルス、黄麻、ヨシ、サビア(sabia)、ラフィア、竹、サイダル(sidal)、ケナフ、アバカ、サンヘンプ、木綿、大麻、亜麻、及びラミーなどが挙げられるが、これらに限定されない。更に他の天然繊維として、ダウン、羽毛、絹などの他の天然非植物源からの繊維も含まれることがある。天然繊維は、望ましい特性を提供するために機械的又は化学的に処理又は他の方法で変性されてもよく、又は自然界に見出し得る形体に概ね類似の形体であってもよい。本明細書に記述される開発に関しては、天然繊維の機械的及び/又は化学的操作によって、天然繊維と考えられる範疇からこれらが除外されることはない。
【0021】
【表1】
【0022】
繊維構造体はまた、いずれかの好適な合成繊維を含むことができる。合成繊維は、例えば、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリヒドロキシアルカノエート類、多糖類、及びいずれかのこれらの組み合わせからなる群から選択される、いずれかの材料とすることができる。より具体的には、合成繊維の材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート)、イソフタル酸コポリマー類、エチレングリコールコポリマー類、ポリカプロラクトン、ポリ(ヒドロキシエーテルエステル)、ポリ(ヒドロキシエーテルアミド)、ポリエステルアミド、ポリ(乳酸)、ポリヒドロキシブチラート、デンプン、セルロース、グリコーゲン、及びこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されることができる。更に、合成繊維は、単一構成成分(すなわち、単一の合成材料又は繊維全体を組み立てる混合物)、二構成成分(すなわち、繊維は領域群に分割され、領域群は2つの異なる合成材料又はその混合物を含む)、又は多構成成分繊維(すなわち、繊維は領域群に分割され、領域群は2つ以上の異なる合成材料又はその混合物を含む)、又はそれらのいずれかの組み合わせとすることができる。また、合成繊維のいずれか又は全ては、繊維のいずれかの所望の特性を変化させるために、本発明のプロセスの前、その間、又は後で処理されてもよい。例えば、ある実施形態では、合成繊維は、より親水性、より湿潤性などにするために、抄紙プロセスの前又はその間に処理することが望ましい。
【0023】
本発明のある実施形態では、所望の特性を準備するために、繊維の特定の組み合わせを有するのが望ましいことがある。例えば、ある長さ、幅、繊維粗度、又は他の特性の繊維を、ある層群内に組み合わせて、又は互いに分離して有するのが望ましいことがある。繊維は、個々に、ある種の所望の特性を有することができる。例えば、長セルロース繊維は、上に示される定義に一致するいずれかの所望の特性を有することができる。ある実施形態では、長セルロース繊維は、平均セルロース繊維幅が約50μm未満、約40μm未満、約30μm未満、約25μm未満であるか、又は平均セルロース繊維幅が約10〜約50μmの範囲内に入るのが望ましいことがある。更に、短セルロース繊維は、平均セルロース繊維幅が約25μm未満、約20μm未満、約18μm未満であるか、又は平均セルロース繊維幅が約8〜約25μmの範囲内に入るのが望ましいことがある。合成繊維に関しては、例えば、平均繊維直径が約10μm超過の、約15μm超過の、約25μm超過の、約30μm超過の、又は平均合成繊維直径が約10〜約50μmの範囲内に入るような、ある種の特性を有するのが望ましいことがある。
【0024】
また、1つ以上の層内の繊維は、1つ以上の層内の特定繊維が互いに関して特定の範囲内の繊維長比すなわち本明細書で定義したPTP係数を有するように、混合されるのが望ましいことがある。ある実施形態では、混合層105内の短セルロース繊維102に対する合成繊維101の繊維長比は、約1を超える、約1.25を超える、約1.5を超える、又は約2を超えるが、いかなる上側又は下側限界もその範囲内に入る約1〜約20に広がる範囲のような、繊維長比についての他の最低限界も考慮されている。ある実施形態では、混合層105はまた、PTP係数が約0.75超過、約1超過、約1.25超過、約1.5超過、又は約2超過が望ましいことがあるが、いかなる上側又は下側限界もその範囲内に入る約0.75〜約10に広がる範囲のような、PTP係数についての他の最低限界も考慮されている。混合層はまた、繊維粗度値が約50未満mg/100m、約40未満mg/100m、約30未満mg/100m、又は約25未満mg/100mであるのが望ましいことがあるが、約5mg/100m〜約75mg/100mに広がる範囲のような、繊維粗度についての他の最高限界も考慮されている。
【0025】
以下の実施例において見ることができるように、本発明は、驚くべき特性を有するウェブ及びウェブの形成方法を提供する。例えば、本発明の繊維構造体は、単独又は組み合わさって、例えば柔軟性、より良い及び/又はより均一な地合、及び湿潤破裂の領域において、現在入手可能なウェブを上回る効果を提供することができ、得られるウェブで同一特性を得るのに必要なセルロース繊維のリファイニングが減少するので、生産速度の増大による製造効果を提供することができる。
【0026】
実施例1で説明されるように、NSK及びユーカリ繊維を含む2プライ紙ウェブが作成される。得られたウェブは、約374gの湿潤破裂強度を有する。実施例2では、2プライ紙ウェブが、実施例1と同一方法であるが、ユーカリ繊維の10重量%を合成2構成成分ポリエステル繊維(3mm長)10重量%で置き換えて作成される。合成/ユーカリ混合物は、繊維長比4.2、PTP係数1.2、及び繊維粗度値11.0mg/100mを有する。実施例2で得られる繊維構造体は、約484gの湿潤破裂強度を有し、これは、実施例1で作成される典型的な製品の湿潤破裂強度より高い。実施例3では、2プライ紙ウェブが、実施例1と同一方法であるが、ユーカリ繊維の5重量%を合成2構成成分ポリエステル繊維(6mm長)5重量%で置き換えて作成される。合成/ユーカリ混合物は、繊維長比8.4、PTP係数1.2、及び繊維粗度値11.6mg/100mを有する。実施例3で得られる繊維構造体は、更により少ない重量の合成繊維であるが、約472gの湿潤破裂強度を有し、これは、実施例1の製品の湿潤破裂強度より依然はるかに高い。したがって、本発明の構造及びその構造を作成する方法は、短セルロース繊維と混合された小さな重量パーセントの合成繊維の使用で、ウェブの湿潤破裂を強化する驚くべき手段を提供するのを見ることができる。もちろん、これらの実施例は本発明の効果の唯一の例と考えるべきではなく、他の実施例が考えられるものであり、そのような他の実施例は本明細書の教示に基づいて当業者により容易になされ得ることを理解すべきである。更に、いかなるそのような追加又は変更例も、たとえその特定の効果又は特性が本明細書において詳細に説明されていなくても、本発明の範囲内とするものである。
【0027】
繊維構造体100を作成する本発明のプロセスは、一般的には、複数の短セルロース繊維102に混合されて1つ以上の層に配置された複数の合成繊維101を有するウェブを形成する点から説明される。その構造体はまた、一般的には、より長い繊維を通常は長セルロース繊維103を含む1つ以上の層を含む。一実施形態では、合成繊維101及び短セルロース繊維102を含む混合層105は、少なくとも部分的に概ね非ランダムなパターンで配置されるように形成することができる。長繊維103の層106は、通常は(例えば図9に示されるように)概ねランダムに配置されるが、そのような層106は、パターン化されても、又は他の方法で非ランダムに配置されてもよい。本発明の方法及び装置は、概ね非ランダムパターンで配置された複数の長セルロース繊維103と、共に混合されて層105内に(例えば図9Aに示されるように)概ねランダムに配置された複数の合成繊維101及び短セルロース繊維102とを有するウェブを形成することにも好適である。
【0028】
合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104が非ランダムに配置される実施形態においては、その方法は、合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物を形成部材上に供給して、合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104が少なくとも部分的に所定の領域すなわち溝内へ配置されるようにする工程と、合成繊維と短セルロース繊維102の混合物104の上に複数の長セルロース繊維103を概ねランダムに準備する工程と、ランダムに配置されたセルロース繊維及び非ランダムに配置された合成繊維/短セルロース繊維の混合物104を含む一体繊維構造体を形成する工程とを含むことができる。
【0029】
合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104が概ねランダムに配置されて、長セルロース繊維103が非ランダムに配置される実施形態においては、その方法は、複数の長セルロース繊維を形成部材上に供給して、長セルロース繊維103が少なくとも部分的に形成部材の所定の領域すなわち溝内へ配置されるようにする工程と、長セルロース繊維103の上に短セルロース繊維102と合成繊維101の混合物をランダムに準備する工程と、非ランダムに配置された長セルロース繊維103及びランダムに配置された合成繊維/短セルロース繊維の混合物104を含む一体繊維構造体を形成する工程とを含むことができる。
【0030】
図1には、本発明の連続プロセスの代表的な一実施形態が示され、繊維の水性スラリー11が、ヘッドボックス12から形成部材13上に堆積されて、初期ウェブ10を形成する。(しかしながら、これは、本発明のウェブのために使用可能な、追加若しくはより少ない工程を伴う類似方法又はエアレイイングなどの異なる方法を含む、無数の方法の1つに過ぎない。更に、本発明の方法は、ウェブを作成するためのこれら又は他の既知の方法の1つ以上の組み合わせを含むことができる。)この特定の実施形態では、形成部材13は、ロール13a、13b、及び13cにより支持されて、これらの回りを矢印Aの方向へ連続的に走行する。スラリー11は、いかなる数の異なる繊維種類を含んでもよく、また複数層で堆積されてもよい。一実施形態では、スラリー11は、本明細書で説明したような、合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104を含む、少なくとも1つの層を含む。更に加えて、スラリー11は、本明細書で説明したような、長セルロース繊維103の1つ以上の層も含むことができる。短セルロース繊維102と合成繊維101の混合物104が非ランダムパターンに形成されるのが望ましい場合、混合物104は、混合物104の少なくとも一部が形成部材13内に存在する(例えば図7、図8に示されるような)溝53などの所定の領域へ向かうように、長セルロース繊維103の堆積の前に形成部材13上に堆積されてもよい。ある実施形態では、2つ以上のヘッドボックス12が使用可能であり、及び/又は混合物104が形成部材13上に堆積され、次に異なる形成部材に移送されて、そこで次に、混合物104上に長セルロース繊維103が堆積されてもよい。
【0031】
本発明の一実施形態では、合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104は、少なくとも合成繊維104が形成部材13の溝53の中へ優勢的に配置されるように供給される。すなわち、合成繊維101の半分を超える、ウェブ10が形成される時に、溝53内に配置される。ある実施形態では、合成繊維101の少なくとも約60%、約75%、約80%、又は実質的に全てが、ウェブ10が形成される時に、溝53内に配置されることが望ましい。更に加えて、得られる製品のウェブ100は、あるパーセントの合成繊維101を1つ以上の層内に配置されて含むことが望ましい。例えば、最初に又は形成部材13の最も近くに配置された繊維により形成された層は、約50%を超える、約60%を超える、又は約75%を超える合成繊維101の濃度を有することが望ましい。あるいは、そのような層は、合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104の殆ど、全て、又はあるパーセントを有することが望ましい。(ウェブ製品層内の特定種類の繊維のパーセントを測定するのに好適な方法が、米国特許第5,178,729号(ブルースジェンダ(Bruce Janda)、1993年1月12日発行)にて開示されている。)更に、ある実施形態では、長セルロース繊維103は、合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104に隣接する少なくとも1つの層に優勢的に配置されるように供給されることが望ましい。別の実施形態では、長セルロース繊維103の少なくともあるパーセント、例えば約55%を超える、約60%を超える、又は約75%を超える、ウェブ100の少なくとも1つの層内に配置されることが望ましい。通常、長セルロース繊維103の少なくとも1つの層は、概ねランダムに配置される。したがって、得られるウェブ100は、概ねランダムに分配された長セルロース繊維103(例えば図9及び図10)の1つ以上の層に結合された、非ランダムパターンの合成繊維101及び/又は合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104を備えることができる。更に、異なる坪量のマイクロ領域を有する繊維構造体が形成可能である。
【0032】
形成部材13は、いかなる好適な構造であってもよく、また通常は少なくとも部分的に流体透過性である。例えば、形成部材13は、例えば図2〜図6に示されるように、複数の流体透過性区域54と複数の流体不透過性区域55とを有することができる。流体透過性区域又は開口54は、ウェブ側51から裏側52まで形成部材13の厚さHを貫いて延びることができる。ある実施形態では、開口を有する流体透過性区域54の幾つかは、米国特許第5,972,813号(ポラト(Polat)ら、1999年10月26日発行)に記載されているように、「ブラインド」、すなわち「閉じられて」いてもよい。流体透過性区域54は、開いていようと、ブラインドすなわち閉じられていようと、溝53を形成し、この中へ繊維が向かうことができる。複数の流体透過性区域54と複数の流体不透過性区域55の少なくとも1つは通常、成型部材50全体にわたってパターンを形成する。そのようなパターンは、ランダムパターン又は非ランダムパターンを含むことができ、実質的に連続(例えば図2)、実質的に半連続(例えば図4)、分離性(例えば図5)、又はいずれかのこれらの組み合わせとすることができる。
【0033】
形成部材13は、いかなる好適な厚さHを有してもよく、実際に、厚さHは、所望により形成部材13全体にわたって変化して作成可能である。更に、溝53は、いかなる形状又は異なる形状の組み合わせであってもよく、またいかなる深さDを有してもよく、深さDは、形成部材13全体にわたって変化可能である。溝53はまた、いかなる所望の容積をも有することができる。溝53の深さD及び容積は、合成繊維101及び/又は短セルロース繊維102の所望の濃度が溝53内で確実となるのを助けるために、望むように変化可能である。ある実施形態では、溝53の深さDは、約254μm未満、又は約127μm未満であることが望ましい。更に、形成部材13上に堆積される合成繊維101及び/又は短セルロース繊維102の量は、合成繊維101及び/又は短セルロース繊維102の所望の比又はパーセントが特定の深さD又は容積の溝53内に確実に配置されるように、変化可能である。例えば、ある実施形態では、ウェブ作成プロセス中に長セルロース繊維103が溝53内に実質上に配置されないように、溝53を実質的に満たすのに充分な合成繊維101又は合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104を供給することが望ましい。別の実施形態では、少なくとも一部の長セルロース繊維103も溝53の中へ向かうことができるように、溝53の一部を満たすのに充分なだけの合成繊維101及び/又は短セルロース繊維102を供給することが望ましい。
【0034】
幾つかの代表的な形成部材13は、流体透過性の補強要素70とこれから延びて複数の溝53を形成するパターン又は枠組60とを含む、図2〜図8に示されるような構造を有することができる。図5及び図6に示されるような一実施形態では、形成部材13は、補強要素70に結合された又はこれと一体になった、複数の分離性突出部61を有することができる。補強要素70は、一般に、一体性、安定性、及び耐久性を提供又は促進するように働く。補強要素70は、流体透過性又は部分的に流体透過性とすることができ、様々な実施形態及び織りパターンを有することができ、また様々な材料、例えば複数の織り合わせ糸(ジャガードタイプ及び類似織りパターンを含む)、フェルト、プラスチック若しくは他の合成材料、網、複数の穴を有するプレート、又はいずれかのこれらの組み合わせなどを含むことができる。好適な補強要素70の例が、米国特許第5,496,624号(ステルジェス(Stelljes)ら、1996年3月5日発行)、第5,500,277号(トロクハン(Trokhan)ら、1996年3月19日発行)、及び第5,566,724号(トロクハン(Trokhan)ら、1996年10月22日発行)に記載されている。別の方法としては、ジャガードタイプの織成などを含む補強要素70を用いることができる。ベルトの例は、米国特許第5,429,686号(チウ(Chiu)ら、1995年7月4日発行)、第5,672,248号(ウェント(Wendt)ら、1997年9月30日発行)、第5,746,887号(ウェント(Wendt)ら、1998年5月5日発行)、及び第6,017,417号(ウェント(Wendt)ら、2000年1月25日発行)に見出すことができる。更に、ジャガード織りパターンの様々なデザインが、形成部材13として使用可能である。
【0035】
代表的で好適な枠組要素60及び枠組60を補強要素70に適用する方法が、例えば米国特許第4,514,345号(ジョンソン(Johnson)、1985年4月30日発行)、第4,528,239号(トロクハン(Trokhann)、1985年7月9日発行)、第4,529,480号(トロクハン(Trokhann)、1985年7月16日発行)、第4,637,859号(トロクハン(Trokhann)、1987年1月20日発行)、第5,334,289号(トロクハン(Trokhann)、1994年8月2日発行)、第5,500,277号(トロクハン(Trokhann)ら、1996年3月19日発行)、第5,514,523号(トロクハン(Trokhann)ら、1996年5月7日発行)、第5,628,876号(エイヤース(Ayers)ら、1997年5月13日発行)、第5,804,036号(ファン(Phan)ら、1998年9月8日発行)、第5,906,710号(トロクハン(Trokhann)、1999年5月25日発行)、第6,039,839号(トロクハン(Trokhann)ら、2000年3月21日発行)、第6,110,324号(トロクハン(Trokhann)ら、2000年8月29日発行)、第6,117,270号(トロクハン(Trokhann)、2000年9月12日発行)、第6,171,447B1号(トロクハン(Trokhann)、2001年1月9日発行)、及び第6,193,847B1号(トロクハン(Trokhann)、2001年2月27日発行)により教示される。更に、図6に示すように、枠組60は、枠組要素60を貫いて延びる1つ又は開口又は穴58を含むことができる。そのような穴58は、溝53とは異なっており、並びにこれを使用することにより、スラリー若しくはウェブからの脱水を助ける、及び/又は枠組60上に堆積された繊維が溝53の中へ完全に移動するのを防止する助けをすることができる。
【0036】
あるいは、形成部材13は、合成繊維101及び/又は短セルロース繊維102がその中へ向くことができる溝53の幾つかのパターンを含めて繊維を受け取るのに好適ないずれか他の構造を含んでもよく、これには、すき網、複合ベルト、及び/又はフェルトなどが挙げられるが、これらに限定されない。いずれの場合も、そのパターン又は枠組60は、上記のように分離性又は実質的に分離性であってもよく、連続的又は実質的に連続的であってもよく、あるいは半連続的又は実質的に半連続的であってもよい。本発明の方法と共に使用するのに一般に好適なある種の代表的な形成部材13は、米国特許第5,245,025号、第5,277,761号、第5,443,691号、第5,503,715号、第5,527,428号、第5,534,326号、第5,614,061号、及び第5,654,076号に記載される形成部材を含む。
【0037】
形成部材13がプレスフェルトを含む場合、米国特許第5,580,423号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1996年12月3日発行)、第5,609,725号(ファン(Phan)、1997年3月11日発行)、第5,629,052号(トロクハン(Trokhan)ら、1997年5月13日発行)、第5,637,194号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1997年6月10日発行)、第5,674,663号(マクファーランド(McFarland)ら、1997年10月7日発行)、第5,693,187号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1997年12月2日発行)、第5,709,775号(トロクハン(Trokhan)ら、1998年1月20日発行)、第5,776,307号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1998年7月7日発行)、第5,795,440号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1998年8月18日発行)、第5,814,190号(ファン(Phan)、1998年9月29日発行)、第5,817,377号(トロクハン(Trokhan)ら、1998年10月6日発行)、第5,846,379号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1998年12月8日発行)、第5,855,739号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1999年1月5日発行)、及び第5,861,082号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1999年1月19日発行)などの教示により作成することができる。代替実施形態では、形成部材13は、米国特許第5,569,358号(キャメロン(Cameron)、1996年10月29日発行)の教示又はいずれか他の好適な構造によりプレスフェルトとして実施可能である。形成部材13として使用するのに好適な他の構造は、任意の成型部材50に関連して以降において説明される。
【0038】
形成部材13の下側に配置された真空装置14などの真空機器を使用して、形成部材13上に配置されたスラリーに流体差圧をかけて、初期ウェブ10の少なくとも部分脱水を促進することができる。この流体差圧は、所望の繊維が、例えば合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104が、形成部材13の溝53の中へ向かうのも助けることができる。ウェブ10の脱水及び/又は繊維が形成部材13の溝53の中へ向かうのを助けるために、真空装置14に加えて又はその代替として、他の既知の方法を使用してもよい。
【0039】
望む場合には、形成部材13上に形成された初期ウェブ10は、形成部材13からフェルト又は成型部材などの他の構造体へ移送可能である。成型部材は、構造的な要素であって、初期ウェブの支持体として、並びに繊維構造体に所望の微視的形状を形成又は「成型」するための形成ユニットとして使用可能である。成型部材は、上部に生成される構造体に微視的な三次元パターンを付与する能力を有するいかなる構成要素を含んでもよく、この成型部材は、固定板、ベルト、(ジャガードタイプなどの織布パターンを含む)織布、バンド、ロールを具備する単層構造体及び多層構造体を制限なく包含する。
【0040】
図1に示される代表的な実施形態では、成型部材50は流体透過性であり、真空シュー15が、形成部材13上に配置された初期ウェブ10を引き離して成型部材50に付着させるのに充分な真空圧をかける。図1の成型部材50は、ロール50a、50b、50c、及び50dにより支持されて、これらの回りを矢印Bの方向へ走行するベルトを含む。成型部材50は、ウェブに接触する側151と、このウェブに接触する側151に対向する裏側152とを有する。
【0041】
成型部材50は、いかなる好適な形態をもとることができ、いかなる好適な材料でも作成可能である。成型部材50は、いかなる構造を含んでもよく、形成部材13に関連して本明細書で説明した方法のいずれかによって作成されてもよいが、成型部材50は、そのような構造及び方法に限定されない。例えば、成型部材50は、例えば図13、図14に示されるような、補強要素170に結合された樹脂枠組160を含む。更に、様々なデザインのジャガード織パターンが、成型部材50、及び/又は圧縮表面210として使用可能である。望む場合には、成型部材50は、プレスフェルトであってもこれを含んでもよい。本発明と共に使用するのに好適なプレスフェルトには、形成部材13に関連して本明細書で説明したものが含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
ある実施形態では、成型部材50は、例えば図13、図14に示されるように、複数の流体透過性区域154と複数の流体不透過性区域155とを有することができる。流体透過性区域又は開口154は、ウェブ側151から裏側152まで成型部材50の厚さH1を貫いて延びる。形成部材13に関連して上記したように、成型部材の厚さH1は、いかなる所望の厚さにもすることができる。更に、溝153の深さD1及び容積は、望むように変化可能である。更に、開口を含む流体透過性区域154の1つ以上は、形成部材13に関連して上述のように、「ブラインド」すなわち「閉じられて」いてもよい。複数の流体透過性区域154及び複数の流体不透過性区域155の少なくとも1つは通常、成型部材50の全体にわたって非ランダム反復パターンを形成する。そのようなパターンは、ランダムパターン又は非ランダムパターンを含むことができ、また実質的に連続的、実質的に半連続的、分離性、又はこれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。成型部材50中の開口154と位置が一致する補強要素170の部分は、単一繊維性構造体100の作成プロセス中に成型部材50の流体透過性区域に撓み込む繊維に対して支持を提供することができる。補強要素は、作成中のウェブの繊維が成型部材50を通り抜けるのを防ぐ助けをすることができ、これにより、得られる構造体100中にピンホールが発生するのを低減する。別の実施形態では、成型部材50は、米国特許第6,576,090号(トロクハン(Trokhan)ら、2003年6月10日発行)により教示されるように、複数のベース部分から延びる複数の懸垂部分を含むことができる。
【0043】
初期ウェブ10が成型部材50のウェブに接触する側151上に配置されると、ウェブ10は、好ましくは、少なくとも部分的に、成型部材50の三次元パターンに適合する。更に、初期ウェブ10のセルロース繊維及び/又は合成繊維を成型部材50の三次元パターンに適合させて、成型ウェブ(図1では「20」として示されている)となるようにする、又はそれを促すべく、様々な手段を利用することができる。(本明細書では、参照番号「10」と「20」、並びに用語「初期ウェブ」と「成型ウェブ」は互換的に使用可能であることを理解すべきである。)1つの方法は、複数の繊維に流体圧力差を付与することを含む。例えば、図1に示すように、成型部材50の裏側152に配置された真空装置16及び/又は17を、成型部材50、及びひいては上部に配置された複数の繊維に真空圧を印加するために配置することができる。真空装置16及び17それぞれの真空圧により生じた流体圧力差ΔP1及び/又はΔP2の影響の下、初期ウェブ10の一部は、成型部材50の溝153内に偏向され、その三次元パターンに適合し得る。
【0044】
初期ウェブ10の一部を成型部材50の溝153内に偏向することにより、成型部材50の溝153内に形成される結果として生じたピロー150の密度を成型ウェブ20の残部の密度に比べて低下させることができる。開口内に撓まない領域168は、後に、例えば図1に示される乾燥ドラム200の表面210とロール50cの間に形成される加圧ニップ内などの、加圧表面218と成型部材50の間で(図11)ウェブ20が型押しされることにより、圧痕が付けられてもよい。圧痕形成される場合、領域168の密度は、ピロー150の密度に対して更により大きいことがある。複数のピロー150は、対称的なピロー、非対照的なピロー、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0045】
マイクロ領域の異なる高さは、深さ又は高さが異なる三次元パターンを有する成型部材50によって形成することもできる。異なる深さ/高さを有するこのような三次元パターンは、成型部材50の予め選択された一部をやすりにかけ、それらの高さを低くすることによって作成することができる。別の方法としては、深さ/高さが異なる凹部/凸部を有する三次元マスクを使用して、異なる高さを有する対応する枠組160を形成することができる。高さが異なる表面を形成する他の従来技法もまた、上述の用途に使用することができる。成型部材を形成するために本明細書で説明した技法は、形成部材13の形成にも適用可能であることを理解すべきである。
【0046】
ある実施形態では、本発明の繊維構造体100を作成時に短縮させるのが望ましいことがある。例えば、成型部材50は、形成部材13の線速度より遅い線速度を有するように構成してもよい。形成部材13から成型部材50への移送点におけるそのような速度差を使用して、「微小収縮」を達成することができる。米国特許第4,440,597号に、湿式微小収縮の詳細な一例が記載されている。そのような湿潤マイクロ収縮は、低繊維濃度を有するウェブを任意の第一部材(例えば、有孔フォーミング部材など)から、第一部材よりも遅い速度で動く任意の第二部材(例えば、目の荒い織布など)へと移送することを含むことができる。第一の部材と第二の部材の間の速度差は、繊維構造体100の所望の最終特性に従って変化可能である。微小収縮を達成するための方法を記載する他の特許には、例えば米国特許第5,830,321号、第6,361,654号、及び第6,171,442号が含まれる。
【0047】
繊維構造体100は、追加的に又は代替として、形成された後及び/又は実質的に乾燥した後で短縮されてもよい。例えば、短縮は、例えば図1に示すように乾燥ドラム200の表面210などの剛直表面から構造体100をクレーピングすることによって達成することができる。この及び他の形態のクレーピングは、当技術分野において既知である。米国特許第4,919,756号(ソーダイ(Sawdai)、1992年4月24日発行)に、ウェブをクレーピングするのに好適な1つの方法が記載されている。もちろん、クレープのない(例えばクレープ加工されない)及び/又は他の方法で短縮された繊維構造体100は、クレープはないが他の方法で短縮された繊維構造体100であるとして、本発明の範囲内と意図されている。
【0048】
ある実施形態では、合成繊維101の少なくとも一部は、少なくとも部分的に溶融又は軟化されるのが好ましいことがある。合成繊維が少なくとも部分的に溶融又は軟化されると、それらは、短セルロース繊維102であれ、長セルロース繊維103であれ、又は他の合成繊維101であれ、隣接する繊維と共接合可能になることがある。繊維の共接合は、機械的な共接合及び化学的な共接合を含むことができる。化学的な共接合は、少なくとも2つの隣接する繊維が、個々の共接合繊維のアイデンティティが共接合区域にて実質的に失われるように分子レベルで共に接合される時に起こる。繊維の機械的な共接合は、1つの繊維が隣接する繊維の形状に単に適合する時に起こり、共接合繊維間に化学反応はない。図12は、機械的共接合の一実施形態を示し、繊維111は、隣接する合成繊維112により物理的に取り込まれている。繊維111は合成繊維又はセルロース繊維であり得る。図12に示す例において、合成繊維112は、コア112a及びシース、又はシェル、112bを含む2成分構造体を含み、コア112aの溶融温度は、シース112bの溶融温度よりも大きく、故に、加熱すると、シース112bのみが溶融し、一方コア112aはその完全性を保持する。しかしながら、異なるタイプの二構成成分繊維及び/又は三を超える構成成分を含む多構成成分繊維が、単一構成成分繊維が可能であるように、本発明において使用可能であることを理解すべきである。
【0049】
ある実施形態では、ウェブ100が形成された後で、ウェブ100内の合成繊維101の少なくとも一部を再分配するのが望ましいことがある。そのような再分配は、ウェブ100が成型部材50上に配置されている間に、又はプロセス中の異なる時及び/又は場所で、生じることができる。例えば、加熱装置90、乾燥表面210、及び/又は乾燥ドラムのフード(例えば、ヤンキーの乾燥フード80など)を使用して、形成された後のウェブ100を加熱し、合成繊維101の少なくとも一部を再分配することができる。理論に束縛されるものではないが、合成繊維101は、充分に高い温度を掛けられた後で、2つの現象の内の少なくとも1つの影響の下で、移動することができると考えられている。合成繊維101を溶融するのに充分な程温度が高い場合、結果として生じる液体ポリマーは、表面張力に起因して自らの表面積/質量を最小にし、あまり熱の影響を受けない繊維部分の端部で球体のような形状を形成する傾向を有する。一方、温度が溶融点よりも低い場合、残留応力が高い繊維は、応力が繊維の縮み又はコイル化により緩和される点まで軟化する。これは、ポリマー分子が典型的には非線形にコイル化した状態でいることを好むために起こると考えられている。それらの製造中に非常に延伸され、次いで冷却された繊維は、準安定性形状に延伸されたポリマー分子から成る。その後の加熱により、繊維は、自由エネルギーが最小のコイル化状態に戻る。
【0050】
再分配は、いずれの番号の工程で達成されてもよい。例えば、合成繊維101は、繊維ウェブ100が成型部材50上に配置されている間に、例えばウェブ100のピロー部を通して熱ガスを吹かされ、その結果、合成繊維101が第一のパターンにより再分配されることにより、最初の再分配を受けることができる。次いで、ウェブ100を別の成型部材50に移送することができ、合成繊維101は第二のパターンに従って更に再分配され得る。
【0051】
ウェブ100における合成繊維101の加熱は、成型部材50の流体透過性区域154に対応する複数のマイクロ領域を加熱することにより達成され得る。例えば、加熱装置90からの熱ガスは、ウェブ100を通って押入され得る。熱エネルギー源として、プレドライヤーも使用可能である。いずれの場合にも、プロセスに応じて、熱ガスの流れの方向を、図1に示す方向に対して反転することができ、故に熱ガスは成型部材50を通ってウェブを貫通する。次いで、成型部材50の流体透過性区域154に配置されるウェブのピロー部分150は、主に熱ガスによって影響される。ウェブ100の残部は、成型部材50により熱ガスから遮蔽される。その結果、合成繊維101は、ウェブ10のピロー部分150で優勢的に軟化又は溶融する。更に、この領域は、合成繊維101の溶融又は軟化に起因する繊維の共接合が最も生じやすい場所である。
【0052】
合成繊維101の再分配は繊維101の幾つかの少なくとも一部の上を熱ガスが通過することにより影響を受けたものとして上記では説明したが、繊維101を加熱するためのいかなる好適な手段も実施することができる。例えば、熱流体、並びにマイクロ波、無線波、超音波エネルギー、レーザー又は他の光エネルギー、加熱ベルト又はロール、熱ピン、磁気エネルギー、又はこれら若しくは加熱のための他の既知の手段のいずれかの組み合わせを使用してもよい。更に、合成繊維101の再分配は一般的に繊維101を加熱することにより影響を受けたものとして言及したが、再分配はまた、ウェブ10の一部を冷却することの結果として生じてもよい。加熱の場合と同様に、合成繊維101の冷却は、繊維101の形状変化及び/又はウェブの残りに関してそれ自体の方向替えを引き起し得る。更にまた、合成繊維は、再分配物質との反応に起因して再分配されてもよい。例えば、合成繊維101は、合成繊維101を軟化又は他の方法で操作して、ウェブ10内のその形状、向き、又は位置に何らかの変化の影響を及ぼすような化学組成物の対象となってもよい。更にまた、再分配は、機械的手段及び/又は磁気、静電気などの他の手段により影響されることが可能である。それ故に、本明細書に記述するような合成繊維101の再分配は、合成繊維101の熱再分配だけに限定されると考えるべきではなく、むしろウェブ10内の合成繊維101のいずれかの部分を再分配(例えば、形状、向き、又は位置の変更)するための全ての既知の手段を包含すると考えるべきである。
【0053】
合成繊維101が本明細書で説明される方法及び手段により再分配されてもよいが、ウェブを生産するプロセスは、長セルロース繊維103及び/又は短セルロース繊維102の分配が合成繊維101を再分配するために使用される手段により著しい影響を及ぼされないように選定可能である。したがって、結果として得られる繊維構造体100は、再分配されていてもいなくても、繊維構造体全体にわたってランダムに分配された複数の長セルロース繊維103と、非ランダムパターンで分配された複数の合成繊維101とを含むことができる。図10は、繊維構造体100の一実施形態を示しており、そこでは、長セルロース繊維103が構造体全体にわたってランダムに分配され、合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104が非ランダム繰返しパターンで分配されている。
【0054】
本発明のウェブの作成方法はまた、他のいずれかの所望の工程を含んでもよい。例えば、その方法は、ウェブをロール上に巻き取る、ウェブをカレンダー加工する、ウェブをエンボス加工する、ウェブに穿孔する、ウェブに印刷する、及び/又はウェブを1つ以上の他のウェブ又は材料に接合して多プライ構造体を形成するなどの、コンバーティング工程を含んでもよい。エンボス加工を記載する幾つかの代表的特許には、米国特許第3,414,459号、第3,556,907号、第5,294,475号、及び第6,030,690号が含まれる。更に加えて、その方法は、軟化、強化、及び/又は他の処理を製品の表面に又はウェブの形成時に加えるなどの、ウェブの特性に追加又は増強する1つ以上の工程を含んでもよい。更に、ウェブは、例えば、米国特許第3,879,257号又は他のもので説明されるような、ラテックスなどを備えてもよい。
【0055】
本発明の繊維構造体100を用いて様々な製品を作成することができる。例えば、結果として生じた製品は、空気、油及び水用フィルタ;掃除機用フィルタ;炉用フィルタ;フェイスマスク;コーヒーフィルタ、ティー又はコーヒーバッグ;断熱材及び遮音材;おむつ、女性用パッド及び失禁物品などの一回使用型衛生製品用の不織布;微小繊維又は通気性布地のような吸水性及び着用の柔軟性のための織物布地;粉塵の回収及び除去のための静電的に帯電した構造ウェブ;補強材、及び包装紙、筆記用紙、新聞印刷用紙、ダンボールのような硬質紙用ウェブ、及びトイレットペーパー、紙タオル、ナプキン及びフェイシャルティッシュなどの紙のティッシュ等級用ウェブ;外科用カーテン、創傷包帯、包帯及び皮膚貼付剤のような医療用途での使用を見出し得る。繊維構造体100はまた、特定用途のための臭い吸収剤、シロアリ忌避剤、殺虫剤、殺鼠剤などを包含してもよい。得られた製品は、水及び油を吸収することができ、並びに油若しくは水こぼれの清掃、又は農業若しくは園芸の用途のための制御された水保持及び放出に用途を見出すことができる。
【0056】
(非限定的な実施例)
(実施例1)
パイロット規模の長網抄紙機が、本実施例で使用される。NSKの3重量%水性スラリーが、従来型リパルパー内で作成される。NSKスラリーは、軽くリファイニングされて、永久湿潤強度樹脂(すなわち、デラウェア州ウィルミングトン(Wilmington,Del.)のハーキュレス社(Hercules incorporated)により市販されるカイメン(Kymene)557LX)の2%溶液が、乾燥繊維の1重量%の率でNSK紙料管に添加される。カイメン(Kymene)557LXのNSKへの吸着は、インラインミキサーにより強められる。カルボキシメチルセルロース(CMC)の1%溶液が、乾燥繊維の0.2重量%の率でインラインミキサーの後に添加され、繊維基材の乾燥強度を上昇させる。ユーカリ繊維の3重量%水性スラリーが、従来型リパルパー内で作成される。
【0057】
NSK完成紙料及びユーカリ繊維は、ヘッドボックス内で層状にされて、異なる層として長網上に堆積され、初期ウェブを形成する。脱水が、長網を通して生じ、デフレクター及びバキュームボックスにより補助される。長網は、モノフィラメントをセンチメートル当り機械方向に33本及び機械横方向に30本それぞれ有する(インチ当り84及び77本)、5シェッド(shed)サティン織りの構成である。初期湿潤ウェブは、長網から移送点において約22%の繊維濃度で感光性ポリマーファブリックへ移送され、感光性ポリマーファブリックは、6.45cm2(平方インチ)当り150のリニアー・アイダホ(Linear Idaho)セル、20%のナックル面積、及び0.432mm(17ミル)の感光性ポリマー深さを有する。ウェブが約28%の繊維濃度になるまで、真空の助けによる排水により、更なる脱水が達成される。パターン付けされたウェブは、約65重量%の繊維濃度まで通風により前乾燥される。ウェブは、次に、ポリビニルアルコール(PVA)の0.25%水溶液を含むスプレーされたクレーピング接着剤で、ヤンキードライヤーの表面に接着される。繊維濃度は、ドクターブレードでウェブをドライクレーピングするまでに、推定96%に上昇される。ドクターブレードは、約25度のベベル角を有し、及び約81度の衝撃角を形成するようにヤンキードライヤーに関して配置され、ヤンキードライヤーは、毎分約183m(約600fpm(毎分フィート))で運転される。乾燥ウェブは、毎分171m(560fpm)の速度でロールに形成される。
【0058】
2プライのウェブが、PVA接着剤の使用で共にラミネート及びエンボス加工されることにより、紙タオル製品に形成される。その紙タオルは、約40g/m2の坪量を有し、ノーザーン針葉樹クラフト70重量%とユーカリ30重量%の組成を含む。得られた紙タオルは、約374グラムのエージング後湿潤破裂を有する。
【0059】
(実施例2)
紙タオルが、実施例1と類似方法によるが、ユーカリの10重量%を3mmの合成2構成成分ポリエステル繊維10重量%で置き換えて、作成される。合成/ユーカリ混合物は、繊維長比4.2、PTP係数1.2、及び繊維粗度値11.0mg/100mを有する。繊維長比、PTP係数、及び繊維粗度値は、以下の試験方法の節に示されるカヤニ(Kajaani)法により決定される。紙タオルは、約40g/m2の坪量を有し、並びに1つの層に70重量%のノーザーン針葉樹クラフトと、他方の層に20重量%のユーカリ及び10重量%の3mm長さ合成繊維の混合物とを含む。得られた紙タオルは、約484グラムのエージング後湿潤破裂を有する。
【0060】
(実施例3)
紙タオルが、実施例1と類似方法によるが、ユーカリの5重量%を6mmの合成2構成成分ポリエステル繊維5重量%で置き換えて、作成される。合成/ユーカリ混合物は、以下の試験方法の節に示されるように及び実施例2の説明のように測定される、繊維長比8.4、PTP係数1.2、及び繊維粗度値11.6mg/100mを有する。紙タオルは、約40g/m2の坪量を有し、並びに1つの層に70重量%のノーザーン針葉樹クラフトと、他方の層に25重量%のユーカリ及び5重量%の6mm長さ合成繊維の混合物とを含む。得られた紙タオルは、約472グラムのエージング後湿潤破裂を有する。
【0061】
(試験方法)
(カヤニ(Kajaani)法)
セルロース繊維の長さ加重平均繊維長及びセルロース/合成繊維混合物の繊維粗度は、カヤニ(Kajaani)ファイバーラボ(FiberLab)繊維分析器で決定される。分析器は、報告範囲を0mm〜7.6mmに設定し、長さが0.08mm未満の繊維は繊維長及び繊維粗度の計算から除外されるようにプロファイルを設定して、製造者推奨により操作される。この大きさの粒子が計算から除外されるのは、これらが主として非繊維性の断片からなり、本発明が向けられる用途に対して機能的でないと考えられるからである。
【0062】
正確な試料重量がカヤニ(Kajaani)ファイバーラボ(FiberLab)計器へ確実に入れられるように、試料準備には注意を払わなければならない。試料準備の受容可能な方法は、次の工程を有する。
【0063】
1)試料の湿分含量を決定し、次に分析用試料を計量する。短広葉樹繊維に対する目標試料重量は、0.02〜0.04グラムであり、普通長さの針葉樹繊維に対しては、0.15〜0.30グラムである。試料は、繊維粗度分析については+/−0.1ミリグラムの精度で計量されなければならない。
【0064】
2)手動離解器に温水を約150ml満たして乾燥試料を加え、試料が完全に離解されるまで、すなわち繊維束又は結束が試料中に残らなくなるまで、離解器の撹拌器を上下に移動させることにより、乾燥試料を離解する。しかしながら、必要な離解時間の超過及び繊維の過度に荒い取扱いは、繊維を破壊しないために、避けるべきである。
【0065】
3)手動離解器内のパルプスラリーを2000mlメスフラスコへ移して、2000ml線まで水道水を満たす。よく混合して、均一を達成する。繊維粗度試料に対する希釈精度は、+/−4mlでなければならない。
【0066】
4)試料の濃度を決定し、次の式を使用して必要な試料の量を計算する:試料の量=(目標濃度×2000)/(プロセス濃度)、ここで広葉樹に対する目標濃度は0.005〜0.010%であり、針葉樹に対しては0.015〜0.025%である。
【0067】
5)試料量を2000mlメスフラスコに加え、2000ml線まで水道水を満たして、よく混合する。
【0068】
6)先端開口部が少なくとも2mmのピペットを使用して試料スラリーの50mlアリコートを採り、そのアリコートをカヤニ(Kajaani)の試料容器の中へ入れる。
【0069】
7)繊維粗度分析の場合、次の式を使用して、50mlアリコート中に存在する総試料重量を計算する:50mlアリコート中の繊維重量(mg/50ml)=(50ml/2000ml)×(計量された繊維の乾燥重量、mg)
8)試料容器をカヤニ(Kajaani)の試料ユニットの中に置いて、分析を開始する。
【0070】
9)カヤニ(Kajaani)ファイバーラボ(FiberLab)設備は、長さ加重平均繊維長をミリメートルで、平均セルロース繊維幅をマイクロメートルで、及び繊維粗度をミリグラム/メートルで、自動的に報告する。カヤニ(Kajaani)ファイバーラボ(FiberLab)設備は、重み付け無しの繊維長メートル当りミリグラムの単位(mg/m)で粗さを報告する。この値は、100を掛算されて、上の繊維粗度の定義で示されたように、100メートル当りミリグラムの単位で繊維粗度を得る。パルプの繊維粗度は、混合物から取った3つの繊維試料の3つの繊維粗度測定値の平均である。
【0071】
(エージング後湿潤破裂)
湿潤破裂は、ペンシルバニア州フィラデルフィア(10960 Dutton Road,Philadelphia,Pa.19154)のスイングアルバート・インストルメント社(Thwing-Albert Instrument Co.)から入手される、2000グラムロードセルを備えたスイングアルバート破裂試験機カタログ番号177を使用して決定される。試料は、約22.8±1.1℃(73°+/−2°F)の温度及び約50%+/−2%相対湿度に空調された室内に少なくとも約24時間置かれる。紙は、105℃のオーブン内で約5分間エージングされる。ペーパーカッターを使用して、約11.4cm(4.5インチ)幅(CD)×30.48cm(12インチ)長さ(MD)の8枚の試験用細長片を切断する。それぞれの細長片を、蒸留水で濡らして、試料保持具の下側リングの上にワイヤ面を上に向けて置いて、試料が下側リングの開口部を完全に覆い、試料の少量が下側リングの外径を越えて延びるようにする。試料細長片が下側リング上に適切に置かれたのち、上側リングが空気圧保持具と共に降下されて、試料が上側リングと下側リングの間に保持される。下側リングの開口部の直径は、約8.9cm(3.5インチ)である。プランジャーは、約1.5cm(0.6インチ)の直径を有する。試験器が活性化されると、プランジャーが、約12.7cm/分(毎分5インチ)の速度で上昇して、紙を破裂する。試験器は、試料が破裂した時に、湿潤破裂強度値をグラム直接で提供する。8枚の試料細長片に対して得られた試験結果を平均して、紙試料の湿潤破裂値をグラム単位で記録する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明のプロセスの実施形態の概略的な側面図。
【図2】実質的に連続的な枠組を有する形成部材の実施形態の概略的な平面図。
【図3】代表的な形成部材を表示する断面図。
【図4】実質的に半連続的な枠組を有する形成部材の実施形態の概略的な平面図。
【図5】分離性パターンの枠組を有する形成部材の実施形態の概略的な平面図。
【図6】代表的な形成部材を表示する断面図。
【図7】形成部材内に形成された溝の中へ分配された代表的な合成繊維を示す概略的な断面図。
【図8】本発明の単一繊維構造体を示す断面図であり、セルロース繊維が合成繊維を含む形成部材上にランダムに分配されている。
【図9】本発明の単一繊維構造体の断面図であり、セルロース繊維が概ねランダムに分配されており、合成繊維が概ね非ランダムに分配されている。
【図9A】本発明の単一繊維構造体の断面図であり、合成繊維が概ねランダムに分配されており、セルロース繊維が概ね非ランダムに分配されている。
【図10】本発明の一体繊維構造体の実施形態の概略的な平面図。
【図11】圧縮表面と成型部材の間の本発明の一体繊維構造体の概略的な断面図。
【図12】別の繊維と共接合された2構成成分合成繊維の概略的な断面図。
【図13】実質的に連続的なパターンの枠組を有する成型部材の実施形態の概略的な平面図。
【図14】図13の線14−14に沿って見る概略的な断面図。
【図15】一体繊維構造体の断面図であり、合成繊維及び短セルロース繊維が1つの層内に配置され、長セルロース繊維が隣接層内に配置されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース繊維と合成繊維を組み合わせて含む繊維構造体、及びその作成方法に関するものであり、より具体的には、合成繊維と混合された短セルロース繊維を含む少なくとも1つの層と長セルロース繊維を優勢的に含む少なくとも1つの層とを有する繊維構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
紙ウェブなどの繊維構造体は、当技術分野において周知であり、今日、紙タオル、トイレットペーパー、フェイシャルティシュ、ナプキン、ウェットタオルなど用に普通に使用されている。典型的なティシュペーパーは、ほとんどの場合セルロース繊維から、優勢的には木材系からなる。セルロース繊維の種類は広範囲であるにもかかわらず、そのような繊維は、一般に乾燥弾性率が高く、また直径が相対的に大きいので、その曲げ剛性が幾つかの用途に所望より大きくなることがある。更に、セルロース繊維は、乾燥時に相対的に高い剛性を有して製品の柔軟性に悪影響を及ぼすことがあり、湿潤時に低い剛性を有して得られる製品の吸収性を低下させることがある。
【0003】
ウェブを形成するために、典型的な使い捨て紙製品中の繊維は、化学反応によって相互に結合されており、その結合は、セルロース分子のヒドロキシル基間に自然に生じる水素結合だけであることが多い。より大きな一時的又は永久的な湿潤強度を望む場合には、増強添加物を使用することができる。これらの添加物は通常、セルロースと共有結合反応するか、又は既存の水素結合の周りに保護的な分子被膜を形成するかのいずれかによって作用する。しかしながら、添加物は、相対的に堅い及び非弾性的な結合も作り出して、製品の柔軟及び吸収特性に悪影響を及ぼすことがある。
【0004】
セルロース繊維と共に合成繊維を使用することによって、先に説明した限界の幾つかを乗り越えるのを助けることができる。合成ポリマーは、非常に小さな繊維を含む広範囲の直径を有する繊維に形成可能である。更に、合成繊維は、セルロース繊維より低い弾性率となるように形成可能である。したがって、合成繊維は、非常に低い曲げ剛性を有するように作成可能であり、これによって良好な製品の柔軟性が助長される。更に、合成繊維の機能的断面を、微小工作(micro-engineered)することができる。合成繊維は濡れた時に弾性率を維持するようにも設計可能であるので、そのような繊維で作成されたウェブは、吸収作業中にぺしゃんこになるのに対して抵抗性があることがある。更に、合成繊維を使用すると、ウェブの形成及び/又はその均一性の促進を助けることができる。それ故に、ティッシュ製品において熱結合された合成繊維を使用することにより、(柔軟性及び湿潤強度に関しては良好である)水抵抗性の高強度結合により接合された(柔軟性に関しては良好である)高可撓性繊維の強固な網状構造が生じる。しかしながら、合成繊維は、セルロース繊維と比較すると相対的に高価であり得る。したがって、繊維が提供する望ましい効果を得るのに必要な量の合成繊維だけを含むことが望ましい。短セルロース繊維を合成繊維と混合すると、合成繊維の分散促進を助けることができ、従って、ウェブ中に短セルロース繊維が混合されていない場合よりも数少ない(又は少量の)合成繊維が必要とされながら、合成繊維の効果の多くを個々に又は相互に組み合わさって提供可能であることを、我々は見出した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、セルロース繊維及び合成繊維を組み合わせて含む改善された繊維構造体と、そのような繊維構造体を作成するための方法とを提供することが有利である。得られるウェブのある所望の部分内に集中された合成繊維を有する製品と、そのような繊維のそのような非ランダム配置を可能にする方法とを提供することも有利である。少なくとも1つの層内に配置された短セルロース繊維及び合成繊維と、1つ以上の別の層内に優勢的に配置されたより長い繊維とを含む製品、並びにその製品の作成方法を有することも有利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来技術に関する問題点に対処するために、構造体の少なくとも1つの層が長セルロース繊維を含み、少なくとも1つの層が短セルロース繊維と合成繊維の混合物を含む、少なくとも2つの層を有する一体繊維構造体を、我々は発明した。
【0007】
更に、我々は、繊維構造体を作成する方法を発明しており、その方法は:合成繊維と短セルロース繊維との混合物を含む1つ以上の層を形成するように、合成繊維と短セルロース繊維との混合物を形成部材上に供給する工程;長セルロース繊維段階を優勢的に含む1つ以上の層を形成するように、合成繊維と短セルロース繊維との混合物の上に複数の長セルロース繊維を供給する工程;並びに合成繊維と短セルロース繊維との混合物を含む1つ以上の層と長セルロース繊維を優勢的に含む1つ以上の層とを含む、一体繊維構造体を形成する工程とを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書で使用する時、次の用語は、次に示す意味を有する。
【0009】
「平均セルロース繊維幅」は、ジョージア州ナルコス(Narcoss,GA)のメトソオートメーションカヤニ社(Metso Automation Kajaani Ltd.)から入手可能なカヤニファイバーラボ(Kajaani FiberLab)設備により測定される時の、セルロース繊維の平均繊維幅である。
【0010】
「平均合成繊維直径」は、次の式から導出される合成繊維の平均繊維直径である:平均合成繊維直径=平方根(質量デニール×K/密度)、ここで質量デニールとは繊維のデニールの質量部分(グラム)のみ(例えば、3デニールの繊維は3g/9000mであるが、その繊維の質量デニールは3g)であり、K=141.5である。定数K=141.5は、円筒形繊維用である。非円筒形繊維の場合は、異なる定数K1が、繊維の非円筒形断面積を使用して再計算されなければならない。このようにして、繊維直径は、マイクロメートルの単位を有する。
【0011】
「繊維粗度」は、TAPPI方法T234cm−02で示されるような、100m当りミリグラムとして表示される繊維の単位長さ当りの重量として定義される。
【0012】
「共接合繊維」は、少なくとも部分的にそれぞれ個々の繊維特性を保持したまま、溶融、接着、包装、化学的若しくは機械的結合により互いに融着又は接着された、ないしは別の方法で共に接合された2つ以上の繊維を意味する。
【0013】
「繊維長比」とは、以降の実施例において説明されるような、カヤニファイバーラボ(Kajaani FiberLab)設備を使用して測定される、長さ加重平均繊維長(LL)に関するTAPPI T271om−02パラグラフ8.2で示される方法により測定される、異なる繊維種類の長さ加重平均繊維長の比である。
【0014】
「長セルロース性繊維」又は「長セルロース繊維」は、一般に針葉樹源からの繊維であって、平らで真っ直ぐな形状で測定する時、約2mmを超える最長寸法長さを有する。長セルロース繊維の非限定的な例は、マツ、トウヒ、モミ、シーダーの木類から得ることができる。
【0015】
「PTP係数」は、以下の実施例において更に詳細に説明するように、平均セルロース幅に対する平均合成繊維直径の比である。理論に束縛されるものではないが、PTP係数は、合成繊維とセルロース繊維の間の機能的な結合を形成する傾向に関係すると考えられている。この好都合な結合傾向は、合成繊維と短セルロース繊維の混合物内で合成繊維をより均一に分布させる結果として生じ得る。
【0016】
「再分配」は、本発明の単一繊維構造内に含まれる複数の繊維の少なくとも一部が、それらの当初のウェブ内位置、状態、及び/又は形状を、少なくとも部分的に溶融、移動、収縮、及び/又は他の方法で変化させることを意味する。
【0017】
「短セルロース性繊維」又は「短セルロース繊維」は、通常は広葉樹から来る繊維であって、平らで真っ直ぐな形状で測定する時、約2mm未満の最長寸法長さを有する。ある例では、短セルロース繊維は、約1mm未満の長さのことがある。短セルロース繊維の非限定的な例は、ユーカリノキ、アカシア、及びカエデの木類から得ることができる。
【0018】
「単一繊維構造体」は、複数のセルロース繊維及び合成繊維を含む構成であり、これらの繊維は中で絡み合って又は他の方法で結合して、幾つかの所定の微視的な形状特性、物理的特性、及び外観特性を有するシート製品を形成する。セルロース及び/又は合成繊維であっても、単一繊維構造体内で積層又は異なる配置であってもよい。
【0019】
本発明の繊維構造体は、多数の異なる形体をとることができるが、一般に、セルロース繊維と混合された合成繊維を有する少なくとも1つの層と、セルロース繊維を含む少なくとも1つの隣接層とを含む。より具体的には、本発明の一実施形態では、繊維構造体は、本明細書で説明するように、短セルロース繊維と混合された合成繊維を含む1つ以上の層を含むことができる。合成繊維/短セルロース繊維の混合物は、異なる繊維が概ねランダムに及び層全体にわたって分散されているという点で比較的均質であってもよく、あるいは、合成繊維及び/又はセルロース繊維が概ね非ランダムに配置されているようなふうにより構造的であってもよい。更に、混合したセルロース繊維及び合成繊維の1つ以上の層は、ウェブ作成中又は後で何かのタイプの操作で形成される又はそれにかけられて、混合した合成繊維及びセルロース繊維の予め定められたパターン又は他の非ランダムなパターンの層(単数又は複数)を提供してもよい。
【0020】
繊維構造体は、種々の繊維種類を含むことができる。例えば、その構造体は、広葉樹源、針葉樹源、又は他の非木材植物からの繊維など、天然に生じる繊維を含むことができる。好適な天然繊維の非限定的な例は、表1で確認される。植物からの天然繊維の他の供給源として、アルバーディン(albardine)、エスパルト、麦、稲、コーン、サトウキビ、パピルス、黄麻、ヨシ、サビア(sabia)、ラフィア、竹、サイダル(sidal)、ケナフ、アバカ、サンヘンプ、木綿、大麻、亜麻、及びラミーなどが挙げられるが、これらに限定されない。更に他の天然繊維として、ダウン、羽毛、絹などの他の天然非植物源からの繊維も含まれることがある。天然繊維は、望ましい特性を提供するために機械的又は化学的に処理又は他の方法で変性されてもよく、又は自然界に見出し得る形体に概ね類似の形体であってもよい。本明細書に記述される開発に関しては、天然繊維の機械的及び/又は化学的操作によって、天然繊維と考えられる範疇からこれらが除外されることはない。
【0021】
【表1】
【0022】
繊維構造体はまた、いずれかの好適な合成繊維を含むことができる。合成繊維は、例えば、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリヒドロキシアルカノエート類、多糖類、及びいずれかのこれらの組み合わせからなる群から選択される、いずれかの材料とすることができる。より具体的には、合成繊維の材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート)、イソフタル酸コポリマー類、エチレングリコールコポリマー類、ポリカプロラクトン、ポリ(ヒドロキシエーテルエステル)、ポリ(ヒドロキシエーテルアミド)、ポリエステルアミド、ポリ(乳酸)、ポリヒドロキシブチラート、デンプン、セルロース、グリコーゲン、及びこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されることができる。更に、合成繊維は、単一構成成分(すなわち、単一の合成材料又は繊維全体を組み立てる混合物)、二構成成分(すなわち、繊維は領域群に分割され、領域群は2つの異なる合成材料又はその混合物を含む)、又は多構成成分繊維(すなわち、繊維は領域群に分割され、領域群は2つ以上の異なる合成材料又はその混合物を含む)、又はそれらのいずれかの組み合わせとすることができる。また、合成繊維のいずれか又は全ては、繊維のいずれかの所望の特性を変化させるために、本発明のプロセスの前、その間、又は後で処理されてもよい。例えば、ある実施形態では、合成繊維は、より親水性、より湿潤性などにするために、抄紙プロセスの前又はその間に処理することが望ましい。
【0023】
本発明のある実施形態では、所望の特性を準備するために、繊維の特定の組み合わせを有するのが望ましいことがある。例えば、ある長さ、幅、繊維粗度、又は他の特性の繊維を、ある層群内に組み合わせて、又は互いに分離して有するのが望ましいことがある。繊維は、個々に、ある種の所望の特性を有することができる。例えば、長セルロース繊維は、上に示される定義に一致するいずれかの所望の特性を有することができる。ある実施形態では、長セルロース繊維は、平均セルロース繊維幅が約50μm未満、約40μm未満、約30μm未満、約25μm未満であるか、又は平均セルロース繊維幅が約10〜約50μmの範囲内に入るのが望ましいことがある。更に、短セルロース繊維は、平均セルロース繊維幅が約25μm未満、約20μm未満、約18μm未満であるか、又は平均セルロース繊維幅が約8〜約25μmの範囲内に入るのが望ましいことがある。合成繊維に関しては、例えば、平均繊維直径が約10μm超過の、約15μm超過の、約25μm超過の、約30μm超過の、又は平均合成繊維直径が約10〜約50μmの範囲内に入るような、ある種の特性を有するのが望ましいことがある。
【0024】
また、1つ以上の層内の繊維は、1つ以上の層内の特定繊維が互いに関して特定の範囲内の繊維長比すなわち本明細書で定義したPTP係数を有するように、混合されるのが望ましいことがある。ある実施形態では、混合層105内の短セルロース繊維102に対する合成繊維101の繊維長比は、約1を超える、約1.25を超える、約1.5を超える、又は約2を超えるが、いかなる上側又は下側限界もその範囲内に入る約1〜約20に広がる範囲のような、繊維長比についての他の最低限界も考慮されている。ある実施形態では、混合層105はまた、PTP係数が約0.75超過、約1超過、約1.25超過、約1.5超過、又は約2超過が望ましいことがあるが、いかなる上側又は下側限界もその範囲内に入る約0.75〜約10に広がる範囲のような、PTP係数についての他の最低限界も考慮されている。混合層はまた、繊維粗度値が約50未満mg/100m、約40未満mg/100m、約30未満mg/100m、又は約25未満mg/100mであるのが望ましいことがあるが、約5mg/100m〜約75mg/100mに広がる範囲のような、繊維粗度についての他の最高限界も考慮されている。
【0025】
以下の実施例において見ることができるように、本発明は、驚くべき特性を有するウェブ及びウェブの形成方法を提供する。例えば、本発明の繊維構造体は、単独又は組み合わさって、例えば柔軟性、より良い及び/又はより均一な地合、及び湿潤破裂の領域において、現在入手可能なウェブを上回る効果を提供することができ、得られるウェブで同一特性を得るのに必要なセルロース繊維のリファイニングが減少するので、生産速度の増大による製造効果を提供することができる。
【0026】
実施例1で説明されるように、NSK及びユーカリ繊維を含む2プライ紙ウェブが作成される。得られたウェブは、約374gの湿潤破裂強度を有する。実施例2では、2プライ紙ウェブが、実施例1と同一方法であるが、ユーカリ繊維の10重量%を合成2構成成分ポリエステル繊維(3mm長)10重量%で置き換えて作成される。合成/ユーカリ混合物は、繊維長比4.2、PTP係数1.2、及び繊維粗度値11.0mg/100mを有する。実施例2で得られる繊維構造体は、約484gの湿潤破裂強度を有し、これは、実施例1で作成される典型的な製品の湿潤破裂強度より高い。実施例3では、2プライ紙ウェブが、実施例1と同一方法であるが、ユーカリ繊維の5重量%を合成2構成成分ポリエステル繊維(6mm長)5重量%で置き換えて作成される。合成/ユーカリ混合物は、繊維長比8.4、PTP係数1.2、及び繊維粗度値11.6mg/100mを有する。実施例3で得られる繊維構造体は、更により少ない重量の合成繊維であるが、約472gの湿潤破裂強度を有し、これは、実施例1の製品の湿潤破裂強度より依然はるかに高い。したがって、本発明の構造及びその構造を作成する方法は、短セルロース繊維と混合された小さな重量パーセントの合成繊維の使用で、ウェブの湿潤破裂を強化する驚くべき手段を提供するのを見ることができる。もちろん、これらの実施例は本発明の効果の唯一の例と考えるべきではなく、他の実施例が考えられるものであり、そのような他の実施例は本明細書の教示に基づいて当業者により容易になされ得ることを理解すべきである。更に、いかなるそのような追加又は変更例も、たとえその特定の効果又は特性が本明細書において詳細に説明されていなくても、本発明の範囲内とするものである。
【0027】
繊維構造体100を作成する本発明のプロセスは、一般的には、複数の短セルロース繊維102に混合されて1つ以上の層に配置された複数の合成繊維101を有するウェブを形成する点から説明される。その構造体はまた、一般的には、より長い繊維を通常は長セルロース繊維103を含む1つ以上の層を含む。一実施形態では、合成繊維101及び短セルロース繊維102を含む混合層105は、少なくとも部分的に概ね非ランダムなパターンで配置されるように形成することができる。長繊維103の層106は、通常は(例えば図9に示されるように)概ねランダムに配置されるが、そのような層106は、パターン化されても、又は他の方法で非ランダムに配置されてもよい。本発明の方法及び装置は、概ね非ランダムパターンで配置された複数の長セルロース繊維103と、共に混合されて層105内に(例えば図9Aに示されるように)概ねランダムに配置された複数の合成繊維101及び短セルロース繊維102とを有するウェブを形成することにも好適である。
【0028】
合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104が非ランダムに配置される実施形態においては、その方法は、合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物を形成部材上に供給して、合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104が少なくとも部分的に所定の領域すなわち溝内へ配置されるようにする工程と、合成繊維と短セルロース繊維102の混合物104の上に複数の長セルロース繊維103を概ねランダムに準備する工程と、ランダムに配置されたセルロース繊維及び非ランダムに配置された合成繊維/短セルロース繊維の混合物104を含む一体繊維構造体を形成する工程とを含むことができる。
【0029】
合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104が概ねランダムに配置されて、長セルロース繊維103が非ランダムに配置される実施形態においては、その方法は、複数の長セルロース繊維を形成部材上に供給して、長セルロース繊維103が少なくとも部分的に形成部材の所定の領域すなわち溝内へ配置されるようにする工程と、長セルロース繊維103の上に短セルロース繊維102と合成繊維101の混合物をランダムに準備する工程と、非ランダムに配置された長セルロース繊維103及びランダムに配置された合成繊維/短セルロース繊維の混合物104を含む一体繊維構造体を形成する工程とを含むことができる。
【0030】
図1には、本発明の連続プロセスの代表的な一実施形態が示され、繊維の水性スラリー11が、ヘッドボックス12から形成部材13上に堆積されて、初期ウェブ10を形成する。(しかしながら、これは、本発明のウェブのために使用可能な、追加若しくはより少ない工程を伴う類似方法又はエアレイイングなどの異なる方法を含む、無数の方法の1つに過ぎない。更に、本発明の方法は、ウェブを作成するためのこれら又は他の既知の方法の1つ以上の組み合わせを含むことができる。)この特定の実施形態では、形成部材13は、ロール13a、13b、及び13cにより支持されて、これらの回りを矢印Aの方向へ連続的に走行する。スラリー11は、いかなる数の異なる繊維種類を含んでもよく、また複数層で堆積されてもよい。一実施形態では、スラリー11は、本明細書で説明したような、合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104を含む、少なくとも1つの層を含む。更に加えて、スラリー11は、本明細書で説明したような、長セルロース繊維103の1つ以上の層も含むことができる。短セルロース繊維102と合成繊維101の混合物104が非ランダムパターンに形成されるのが望ましい場合、混合物104は、混合物104の少なくとも一部が形成部材13内に存在する(例えば図7、図8に示されるような)溝53などの所定の領域へ向かうように、長セルロース繊維103の堆積の前に形成部材13上に堆積されてもよい。ある実施形態では、2つ以上のヘッドボックス12が使用可能であり、及び/又は混合物104が形成部材13上に堆積され、次に異なる形成部材に移送されて、そこで次に、混合物104上に長セルロース繊維103が堆積されてもよい。
【0031】
本発明の一実施形態では、合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104は、少なくとも合成繊維104が形成部材13の溝53の中へ優勢的に配置されるように供給される。すなわち、合成繊維101の半分を超える、ウェブ10が形成される時に、溝53内に配置される。ある実施形態では、合成繊維101の少なくとも約60%、約75%、約80%、又は実質的に全てが、ウェブ10が形成される時に、溝53内に配置されることが望ましい。更に加えて、得られる製品のウェブ100は、あるパーセントの合成繊維101を1つ以上の層内に配置されて含むことが望ましい。例えば、最初に又は形成部材13の最も近くに配置された繊維により形成された層は、約50%を超える、約60%を超える、又は約75%を超える合成繊維101の濃度を有することが望ましい。あるいは、そのような層は、合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104の殆ど、全て、又はあるパーセントを有することが望ましい。(ウェブ製品層内の特定種類の繊維のパーセントを測定するのに好適な方法が、米国特許第5,178,729号(ブルースジェンダ(Bruce Janda)、1993年1月12日発行)にて開示されている。)更に、ある実施形態では、長セルロース繊維103は、合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104に隣接する少なくとも1つの層に優勢的に配置されるように供給されることが望ましい。別の実施形態では、長セルロース繊維103の少なくともあるパーセント、例えば約55%を超える、約60%を超える、又は約75%を超える、ウェブ100の少なくとも1つの層内に配置されることが望ましい。通常、長セルロース繊維103の少なくとも1つの層は、概ねランダムに配置される。したがって、得られるウェブ100は、概ねランダムに分配された長セルロース繊維103(例えば図9及び図10)の1つ以上の層に結合された、非ランダムパターンの合成繊維101及び/又は合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104を備えることができる。更に、異なる坪量のマイクロ領域を有する繊維構造体が形成可能である。
【0032】
形成部材13は、いかなる好適な構造であってもよく、また通常は少なくとも部分的に流体透過性である。例えば、形成部材13は、例えば図2〜図6に示されるように、複数の流体透過性区域54と複数の流体不透過性区域55とを有することができる。流体透過性区域又は開口54は、ウェブ側51から裏側52まで形成部材13の厚さHを貫いて延びることができる。ある実施形態では、開口を有する流体透過性区域54の幾つかは、米国特許第5,972,813号(ポラト(Polat)ら、1999年10月26日発行)に記載されているように、「ブラインド」、すなわち「閉じられて」いてもよい。流体透過性区域54は、開いていようと、ブラインドすなわち閉じられていようと、溝53を形成し、この中へ繊維が向かうことができる。複数の流体透過性区域54と複数の流体不透過性区域55の少なくとも1つは通常、成型部材50全体にわたってパターンを形成する。そのようなパターンは、ランダムパターン又は非ランダムパターンを含むことができ、実質的に連続(例えば図2)、実質的に半連続(例えば図4)、分離性(例えば図5)、又はいずれかのこれらの組み合わせとすることができる。
【0033】
形成部材13は、いかなる好適な厚さHを有してもよく、実際に、厚さHは、所望により形成部材13全体にわたって変化して作成可能である。更に、溝53は、いかなる形状又は異なる形状の組み合わせであってもよく、またいかなる深さDを有してもよく、深さDは、形成部材13全体にわたって変化可能である。溝53はまた、いかなる所望の容積をも有することができる。溝53の深さD及び容積は、合成繊維101及び/又は短セルロース繊維102の所望の濃度が溝53内で確実となるのを助けるために、望むように変化可能である。ある実施形態では、溝53の深さDは、約254μm未満、又は約127μm未満であることが望ましい。更に、形成部材13上に堆積される合成繊維101及び/又は短セルロース繊維102の量は、合成繊維101及び/又は短セルロース繊維102の所望の比又はパーセントが特定の深さD又は容積の溝53内に確実に配置されるように、変化可能である。例えば、ある実施形態では、ウェブ作成プロセス中に長セルロース繊維103が溝53内に実質上に配置されないように、溝53を実質的に満たすのに充分な合成繊維101又は合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104を供給することが望ましい。別の実施形態では、少なくとも一部の長セルロース繊維103も溝53の中へ向かうことができるように、溝53の一部を満たすのに充分なだけの合成繊維101及び/又は短セルロース繊維102を供給することが望ましい。
【0034】
幾つかの代表的な形成部材13は、流体透過性の補強要素70とこれから延びて複数の溝53を形成するパターン又は枠組60とを含む、図2〜図8に示されるような構造を有することができる。図5及び図6に示されるような一実施形態では、形成部材13は、補強要素70に結合された又はこれと一体になった、複数の分離性突出部61を有することができる。補強要素70は、一般に、一体性、安定性、及び耐久性を提供又は促進するように働く。補強要素70は、流体透過性又は部分的に流体透過性とすることができ、様々な実施形態及び織りパターンを有することができ、また様々な材料、例えば複数の織り合わせ糸(ジャガードタイプ及び類似織りパターンを含む)、フェルト、プラスチック若しくは他の合成材料、網、複数の穴を有するプレート、又はいずれかのこれらの組み合わせなどを含むことができる。好適な補強要素70の例が、米国特許第5,496,624号(ステルジェス(Stelljes)ら、1996年3月5日発行)、第5,500,277号(トロクハン(Trokhan)ら、1996年3月19日発行)、及び第5,566,724号(トロクハン(Trokhan)ら、1996年10月22日発行)に記載されている。別の方法としては、ジャガードタイプの織成などを含む補強要素70を用いることができる。ベルトの例は、米国特許第5,429,686号(チウ(Chiu)ら、1995年7月4日発行)、第5,672,248号(ウェント(Wendt)ら、1997年9月30日発行)、第5,746,887号(ウェント(Wendt)ら、1998年5月5日発行)、及び第6,017,417号(ウェント(Wendt)ら、2000年1月25日発行)に見出すことができる。更に、ジャガード織りパターンの様々なデザインが、形成部材13として使用可能である。
【0035】
代表的で好適な枠組要素60及び枠組60を補強要素70に適用する方法が、例えば米国特許第4,514,345号(ジョンソン(Johnson)、1985年4月30日発行)、第4,528,239号(トロクハン(Trokhann)、1985年7月9日発行)、第4,529,480号(トロクハン(Trokhann)、1985年7月16日発行)、第4,637,859号(トロクハン(Trokhann)、1987年1月20日発行)、第5,334,289号(トロクハン(Trokhann)、1994年8月2日発行)、第5,500,277号(トロクハン(Trokhann)ら、1996年3月19日発行)、第5,514,523号(トロクハン(Trokhann)ら、1996年5月7日発行)、第5,628,876号(エイヤース(Ayers)ら、1997年5月13日発行)、第5,804,036号(ファン(Phan)ら、1998年9月8日発行)、第5,906,710号(トロクハン(Trokhann)、1999年5月25日発行)、第6,039,839号(トロクハン(Trokhann)ら、2000年3月21日発行)、第6,110,324号(トロクハン(Trokhann)ら、2000年8月29日発行)、第6,117,270号(トロクハン(Trokhann)、2000年9月12日発行)、第6,171,447B1号(トロクハン(Trokhann)、2001年1月9日発行)、及び第6,193,847B1号(トロクハン(Trokhann)、2001年2月27日発行)により教示される。更に、図6に示すように、枠組60は、枠組要素60を貫いて延びる1つ又は開口又は穴58を含むことができる。そのような穴58は、溝53とは異なっており、並びにこれを使用することにより、スラリー若しくはウェブからの脱水を助ける、及び/又は枠組60上に堆積された繊維が溝53の中へ完全に移動するのを防止する助けをすることができる。
【0036】
あるいは、形成部材13は、合成繊維101及び/又は短セルロース繊維102がその中へ向くことができる溝53の幾つかのパターンを含めて繊維を受け取るのに好適ないずれか他の構造を含んでもよく、これには、すき網、複合ベルト、及び/又はフェルトなどが挙げられるが、これらに限定されない。いずれの場合も、そのパターン又は枠組60は、上記のように分離性又は実質的に分離性であってもよく、連続的又は実質的に連続的であってもよく、あるいは半連続的又は実質的に半連続的であってもよい。本発明の方法と共に使用するのに一般に好適なある種の代表的な形成部材13は、米国特許第5,245,025号、第5,277,761号、第5,443,691号、第5,503,715号、第5,527,428号、第5,534,326号、第5,614,061号、及び第5,654,076号に記載される形成部材を含む。
【0037】
形成部材13がプレスフェルトを含む場合、米国特許第5,580,423号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1996年12月3日発行)、第5,609,725号(ファン(Phan)、1997年3月11日発行)、第5,629,052号(トロクハン(Trokhan)ら、1997年5月13日発行)、第5,637,194号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1997年6月10日発行)、第5,674,663号(マクファーランド(McFarland)ら、1997年10月7日発行)、第5,693,187号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1997年12月2日発行)、第5,709,775号(トロクハン(Trokhan)ら、1998年1月20日発行)、第5,776,307号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1998年7月7日発行)、第5,795,440号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1998年8月18日発行)、第5,814,190号(ファン(Phan)、1998年9月29日発行)、第5,817,377号(トロクハン(Trokhan)ら、1998年10月6日発行)、第5,846,379号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1998年12月8日発行)、第5,855,739号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1999年1月5日発行)、及び第5,861,082号(アンプルスキー(Ampulski)ら、1999年1月19日発行)などの教示により作成することができる。代替実施形態では、形成部材13は、米国特許第5,569,358号(キャメロン(Cameron)、1996年10月29日発行)の教示又はいずれか他の好適な構造によりプレスフェルトとして実施可能である。形成部材13として使用するのに好適な他の構造は、任意の成型部材50に関連して以降において説明される。
【0038】
形成部材13の下側に配置された真空装置14などの真空機器を使用して、形成部材13上に配置されたスラリーに流体差圧をかけて、初期ウェブ10の少なくとも部分脱水を促進することができる。この流体差圧は、所望の繊維が、例えば合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104が、形成部材13の溝53の中へ向かうのも助けることができる。ウェブ10の脱水及び/又は繊維が形成部材13の溝53の中へ向かうのを助けるために、真空装置14に加えて又はその代替として、他の既知の方法を使用してもよい。
【0039】
望む場合には、形成部材13上に形成された初期ウェブ10は、形成部材13からフェルト又は成型部材などの他の構造体へ移送可能である。成型部材は、構造的な要素であって、初期ウェブの支持体として、並びに繊維構造体に所望の微視的形状を形成又は「成型」するための形成ユニットとして使用可能である。成型部材は、上部に生成される構造体に微視的な三次元パターンを付与する能力を有するいかなる構成要素を含んでもよく、この成型部材は、固定板、ベルト、(ジャガードタイプなどの織布パターンを含む)織布、バンド、ロールを具備する単層構造体及び多層構造体を制限なく包含する。
【0040】
図1に示される代表的な実施形態では、成型部材50は流体透過性であり、真空シュー15が、形成部材13上に配置された初期ウェブ10を引き離して成型部材50に付着させるのに充分な真空圧をかける。図1の成型部材50は、ロール50a、50b、50c、及び50dにより支持されて、これらの回りを矢印Bの方向へ走行するベルトを含む。成型部材50は、ウェブに接触する側151と、このウェブに接触する側151に対向する裏側152とを有する。
【0041】
成型部材50は、いかなる好適な形態をもとることができ、いかなる好適な材料でも作成可能である。成型部材50は、いかなる構造を含んでもよく、形成部材13に関連して本明細書で説明した方法のいずれかによって作成されてもよいが、成型部材50は、そのような構造及び方法に限定されない。例えば、成型部材50は、例えば図13、図14に示されるような、補強要素170に結合された樹脂枠組160を含む。更に、様々なデザインのジャガード織パターンが、成型部材50、及び/又は圧縮表面210として使用可能である。望む場合には、成型部材50は、プレスフェルトであってもこれを含んでもよい。本発明と共に使用するのに好適なプレスフェルトには、形成部材13に関連して本明細書で説明したものが含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
ある実施形態では、成型部材50は、例えば図13、図14に示されるように、複数の流体透過性区域154と複数の流体不透過性区域155とを有することができる。流体透過性区域又は開口154は、ウェブ側151から裏側152まで成型部材50の厚さH1を貫いて延びる。形成部材13に関連して上記したように、成型部材の厚さH1は、いかなる所望の厚さにもすることができる。更に、溝153の深さD1及び容積は、望むように変化可能である。更に、開口を含む流体透過性区域154の1つ以上は、形成部材13に関連して上述のように、「ブラインド」すなわち「閉じられて」いてもよい。複数の流体透過性区域154及び複数の流体不透過性区域155の少なくとも1つは通常、成型部材50の全体にわたって非ランダム反復パターンを形成する。そのようなパターンは、ランダムパターン又は非ランダムパターンを含むことができ、また実質的に連続的、実質的に半連続的、分離性、又はこれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。成型部材50中の開口154と位置が一致する補強要素170の部分は、単一繊維性構造体100の作成プロセス中に成型部材50の流体透過性区域に撓み込む繊維に対して支持を提供することができる。補強要素は、作成中のウェブの繊維が成型部材50を通り抜けるのを防ぐ助けをすることができ、これにより、得られる構造体100中にピンホールが発生するのを低減する。別の実施形態では、成型部材50は、米国特許第6,576,090号(トロクハン(Trokhan)ら、2003年6月10日発行)により教示されるように、複数のベース部分から延びる複数の懸垂部分を含むことができる。
【0043】
初期ウェブ10が成型部材50のウェブに接触する側151上に配置されると、ウェブ10は、好ましくは、少なくとも部分的に、成型部材50の三次元パターンに適合する。更に、初期ウェブ10のセルロース繊維及び/又は合成繊維を成型部材50の三次元パターンに適合させて、成型ウェブ(図1では「20」として示されている)となるようにする、又はそれを促すべく、様々な手段を利用することができる。(本明細書では、参照番号「10」と「20」、並びに用語「初期ウェブ」と「成型ウェブ」は互換的に使用可能であることを理解すべきである。)1つの方法は、複数の繊維に流体圧力差を付与することを含む。例えば、図1に示すように、成型部材50の裏側152に配置された真空装置16及び/又は17を、成型部材50、及びひいては上部に配置された複数の繊維に真空圧を印加するために配置することができる。真空装置16及び17それぞれの真空圧により生じた流体圧力差ΔP1及び/又はΔP2の影響の下、初期ウェブ10の一部は、成型部材50の溝153内に偏向され、その三次元パターンに適合し得る。
【0044】
初期ウェブ10の一部を成型部材50の溝153内に偏向することにより、成型部材50の溝153内に形成される結果として生じたピロー150の密度を成型ウェブ20の残部の密度に比べて低下させることができる。開口内に撓まない領域168は、後に、例えば図1に示される乾燥ドラム200の表面210とロール50cの間に形成される加圧ニップ内などの、加圧表面218と成型部材50の間で(図11)ウェブ20が型押しされることにより、圧痕が付けられてもよい。圧痕形成される場合、領域168の密度は、ピロー150の密度に対して更により大きいことがある。複数のピロー150は、対称的なピロー、非対照的なピロー、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0045】
マイクロ領域の異なる高さは、深さ又は高さが異なる三次元パターンを有する成型部材50によって形成することもできる。異なる深さ/高さを有するこのような三次元パターンは、成型部材50の予め選択された一部をやすりにかけ、それらの高さを低くすることによって作成することができる。別の方法としては、深さ/高さが異なる凹部/凸部を有する三次元マスクを使用して、異なる高さを有する対応する枠組160を形成することができる。高さが異なる表面を形成する他の従来技法もまた、上述の用途に使用することができる。成型部材を形成するために本明細書で説明した技法は、形成部材13の形成にも適用可能であることを理解すべきである。
【0046】
ある実施形態では、本発明の繊維構造体100を作成時に短縮させるのが望ましいことがある。例えば、成型部材50は、形成部材13の線速度より遅い線速度を有するように構成してもよい。形成部材13から成型部材50への移送点におけるそのような速度差を使用して、「微小収縮」を達成することができる。米国特許第4,440,597号に、湿式微小収縮の詳細な一例が記載されている。そのような湿潤マイクロ収縮は、低繊維濃度を有するウェブを任意の第一部材(例えば、有孔フォーミング部材など)から、第一部材よりも遅い速度で動く任意の第二部材(例えば、目の荒い織布など)へと移送することを含むことができる。第一の部材と第二の部材の間の速度差は、繊維構造体100の所望の最終特性に従って変化可能である。微小収縮を達成するための方法を記載する他の特許には、例えば米国特許第5,830,321号、第6,361,654号、及び第6,171,442号が含まれる。
【0047】
繊維構造体100は、追加的に又は代替として、形成された後及び/又は実質的に乾燥した後で短縮されてもよい。例えば、短縮は、例えば図1に示すように乾燥ドラム200の表面210などの剛直表面から構造体100をクレーピングすることによって達成することができる。この及び他の形態のクレーピングは、当技術分野において既知である。米国特許第4,919,756号(ソーダイ(Sawdai)、1992年4月24日発行)に、ウェブをクレーピングするのに好適な1つの方法が記載されている。もちろん、クレープのない(例えばクレープ加工されない)及び/又は他の方法で短縮された繊維構造体100は、クレープはないが他の方法で短縮された繊維構造体100であるとして、本発明の範囲内と意図されている。
【0048】
ある実施形態では、合成繊維101の少なくとも一部は、少なくとも部分的に溶融又は軟化されるのが好ましいことがある。合成繊維が少なくとも部分的に溶融又は軟化されると、それらは、短セルロース繊維102であれ、長セルロース繊維103であれ、又は他の合成繊維101であれ、隣接する繊維と共接合可能になることがある。繊維の共接合は、機械的な共接合及び化学的な共接合を含むことができる。化学的な共接合は、少なくとも2つの隣接する繊維が、個々の共接合繊維のアイデンティティが共接合区域にて実質的に失われるように分子レベルで共に接合される時に起こる。繊維の機械的な共接合は、1つの繊維が隣接する繊維の形状に単に適合する時に起こり、共接合繊維間に化学反応はない。図12は、機械的共接合の一実施形態を示し、繊維111は、隣接する合成繊維112により物理的に取り込まれている。繊維111は合成繊維又はセルロース繊維であり得る。図12に示す例において、合成繊維112は、コア112a及びシース、又はシェル、112bを含む2成分構造体を含み、コア112aの溶融温度は、シース112bの溶融温度よりも大きく、故に、加熱すると、シース112bのみが溶融し、一方コア112aはその完全性を保持する。しかしながら、異なるタイプの二構成成分繊維及び/又は三を超える構成成分を含む多構成成分繊維が、単一構成成分繊維が可能であるように、本発明において使用可能であることを理解すべきである。
【0049】
ある実施形態では、ウェブ100が形成された後で、ウェブ100内の合成繊維101の少なくとも一部を再分配するのが望ましいことがある。そのような再分配は、ウェブ100が成型部材50上に配置されている間に、又はプロセス中の異なる時及び/又は場所で、生じることができる。例えば、加熱装置90、乾燥表面210、及び/又は乾燥ドラムのフード(例えば、ヤンキーの乾燥フード80など)を使用して、形成された後のウェブ100を加熱し、合成繊維101の少なくとも一部を再分配することができる。理論に束縛されるものではないが、合成繊維101は、充分に高い温度を掛けられた後で、2つの現象の内の少なくとも1つの影響の下で、移動することができると考えられている。合成繊維101を溶融するのに充分な程温度が高い場合、結果として生じる液体ポリマーは、表面張力に起因して自らの表面積/質量を最小にし、あまり熱の影響を受けない繊維部分の端部で球体のような形状を形成する傾向を有する。一方、温度が溶融点よりも低い場合、残留応力が高い繊維は、応力が繊維の縮み又はコイル化により緩和される点まで軟化する。これは、ポリマー分子が典型的には非線形にコイル化した状態でいることを好むために起こると考えられている。それらの製造中に非常に延伸され、次いで冷却された繊維は、準安定性形状に延伸されたポリマー分子から成る。その後の加熱により、繊維は、自由エネルギーが最小のコイル化状態に戻る。
【0050】
再分配は、いずれの番号の工程で達成されてもよい。例えば、合成繊維101は、繊維ウェブ100が成型部材50上に配置されている間に、例えばウェブ100のピロー部を通して熱ガスを吹かされ、その結果、合成繊維101が第一のパターンにより再分配されることにより、最初の再分配を受けることができる。次いで、ウェブ100を別の成型部材50に移送することができ、合成繊維101は第二のパターンに従って更に再分配され得る。
【0051】
ウェブ100における合成繊維101の加熱は、成型部材50の流体透過性区域154に対応する複数のマイクロ領域を加熱することにより達成され得る。例えば、加熱装置90からの熱ガスは、ウェブ100を通って押入され得る。熱エネルギー源として、プレドライヤーも使用可能である。いずれの場合にも、プロセスに応じて、熱ガスの流れの方向を、図1に示す方向に対して反転することができ、故に熱ガスは成型部材50を通ってウェブを貫通する。次いで、成型部材50の流体透過性区域154に配置されるウェブのピロー部分150は、主に熱ガスによって影響される。ウェブ100の残部は、成型部材50により熱ガスから遮蔽される。その結果、合成繊維101は、ウェブ10のピロー部分150で優勢的に軟化又は溶融する。更に、この領域は、合成繊維101の溶融又は軟化に起因する繊維の共接合が最も生じやすい場所である。
【0052】
合成繊維101の再分配は繊維101の幾つかの少なくとも一部の上を熱ガスが通過することにより影響を受けたものとして上記では説明したが、繊維101を加熱するためのいかなる好適な手段も実施することができる。例えば、熱流体、並びにマイクロ波、無線波、超音波エネルギー、レーザー又は他の光エネルギー、加熱ベルト又はロール、熱ピン、磁気エネルギー、又はこれら若しくは加熱のための他の既知の手段のいずれかの組み合わせを使用してもよい。更に、合成繊維101の再分配は一般的に繊維101を加熱することにより影響を受けたものとして言及したが、再分配はまた、ウェブ10の一部を冷却することの結果として生じてもよい。加熱の場合と同様に、合成繊維101の冷却は、繊維101の形状変化及び/又はウェブの残りに関してそれ自体の方向替えを引き起し得る。更にまた、合成繊維は、再分配物質との反応に起因して再分配されてもよい。例えば、合成繊維101は、合成繊維101を軟化又は他の方法で操作して、ウェブ10内のその形状、向き、又は位置に何らかの変化の影響を及ぼすような化学組成物の対象となってもよい。更にまた、再分配は、機械的手段及び/又は磁気、静電気などの他の手段により影響されることが可能である。それ故に、本明細書に記述するような合成繊維101の再分配は、合成繊維101の熱再分配だけに限定されると考えるべきではなく、むしろウェブ10内の合成繊維101のいずれかの部分を再分配(例えば、形状、向き、又は位置の変更)するための全ての既知の手段を包含すると考えるべきである。
【0053】
合成繊維101が本明細書で説明される方法及び手段により再分配されてもよいが、ウェブを生産するプロセスは、長セルロース繊維103及び/又は短セルロース繊維102の分配が合成繊維101を再分配するために使用される手段により著しい影響を及ぼされないように選定可能である。したがって、結果として得られる繊維構造体100は、再分配されていてもいなくても、繊維構造体全体にわたってランダムに分配された複数の長セルロース繊維103と、非ランダムパターンで分配された複数の合成繊維101とを含むことができる。図10は、繊維構造体100の一実施形態を示しており、そこでは、長セルロース繊維103が構造体全体にわたってランダムに分配され、合成繊維101と短セルロース繊維102の混合物104が非ランダム繰返しパターンで分配されている。
【0054】
本発明のウェブの作成方法はまた、他のいずれかの所望の工程を含んでもよい。例えば、その方法は、ウェブをロール上に巻き取る、ウェブをカレンダー加工する、ウェブをエンボス加工する、ウェブに穿孔する、ウェブに印刷する、及び/又はウェブを1つ以上の他のウェブ又は材料に接合して多プライ構造体を形成するなどの、コンバーティング工程を含んでもよい。エンボス加工を記載する幾つかの代表的特許には、米国特許第3,414,459号、第3,556,907号、第5,294,475号、及び第6,030,690号が含まれる。更に加えて、その方法は、軟化、強化、及び/又は他の処理を製品の表面に又はウェブの形成時に加えるなどの、ウェブの特性に追加又は増強する1つ以上の工程を含んでもよい。更に、ウェブは、例えば、米国特許第3,879,257号又は他のもので説明されるような、ラテックスなどを備えてもよい。
【0055】
本発明の繊維構造体100を用いて様々な製品を作成することができる。例えば、結果として生じた製品は、空気、油及び水用フィルタ;掃除機用フィルタ;炉用フィルタ;フェイスマスク;コーヒーフィルタ、ティー又はコーヒーバッグ;断熱材及び遮音材;おむつ、女性用パッド及び失禁物品などの一回使用型衛生製品用の不織布;微小繊維又は通気性布地のような吸水性及び着用の柔軟性のための織物布地;粉塵の回収及び除去のための静電的に帯電した構造ウェブ;補強材、及び包装紙、筆記用紙、新聞印刷用紙、ダンボールのような硬質紙用ウェブ、及びトイレットペーパー、紙タオル、ナプキン及びフェイシャルティッシュなどの紙のティッシュ等級用ウェブ;外科用カーテン、創傷包帯、包帯及び皮膚貼付剤のような医療用途での使用を見出し得る。繊維構造体100はまた、特定用途のための臭い吸収剤、シロアリ忌避剤、殺虫剤、殺鼠剤などを包含してもよい。得られた製品は、水及び油を吸収することができ、並びに油若しくは水こぼれの清掃、又は農業若しくは園芸の用途のための制御された水保持及び放出に用途を見出すことができる。
【0056】
(非限定的な実施例)
(実施例1)
パイロット規模の長網抄紙機が、本実施例で使用される。NSKの3重量%水性スラリーが、従来型リパルパー内で作成される。NSKスラリーは、軽くリファイニングされて、永久湿潤強度樹脂(すなわち、デラウェア州ウィルミングトン(Wilmington,Del.)のハーキュレス社(Hercules incorporated)により市販されるカイメン(Kymene)557LX)の2%溶液が、乾燥繊維の1重量%の率でNSK紙料管に添加される。カイメン(Kymene)557LXのNSKへの吸着は、インラインミキサーにより強められる。カルボキシメチルセルロース(CMC)の1%溶液が、乾燥繊維の0.2重量%の率でインラインミキサーの後に添加され、繊維基材の乾燥強度を上昇させる。ユーカリ繊維の3重量%水性スラリーが、従来型リパルパー内で作成される。
【0057】
NSK完成紙料及びユーカリ繊維は、ヘッドボックス内で層状にされて、異なる層として長網上に堆積され、初期ウェブを形成する。脱水が、長網を通して生じ、デフレクター及びバキュームボックスにより補助される。長網は、モノフィラメントをセンチメートル当り機械方向に33本及び機械横方向に30本それぞれ有する(インチ当り84及び77本)、5シェッド(shed)サティン織りの構成である。初期湿潤ウェブは、長網から移送点において約22%の繊維濃度で感光性ポリマーファブリックへ移送され、感光性ポリマーファブリックは、6.45cm2(平方インチ)当り150のリニアー・アイダホ(Linear Idaho)セル、20%のナックル面積、及び0.432mm(17ミル)の感光性ポリマー深さを有する。ウェブが約28%の繊維濃度になるまで、真空の助けによる排水により、更なる脱水が達成される。パターン付けされたウェブは、約65重量%の繊維濃度まで通風により前乾燥される。ウェブは、次に、ポリビニルアルコール(PVA)の0.25%水溶液を含むスプレーされたクレーピング接着剤で、ヤンキードライヤーの表面に接着される。繊維濃度は、ドクターブレードでウェブをドライクレーピングするまでに、推定96%に上昇される。ドクターブレードは、約25度のベベル角を有し、及び約81度の衝撃角を形成するようにヤンキードライヤーに関して配置され、ヤンキードライヤーは、毎分約183m(約600fpm(毎分フィート))で運転される。乾燥ウェブは、毎分171m(560fpm)の速度でロールに形成される。
【0058】
2プライのウェブが、PVA接着剤の使用で共にラミネート及びエンボス加工されることにより、紙タオル製品に形成される。その紙タオルは、約40g/m2の坪量を有し、ノーザーン針葉樹クラフト70重量%とユーカリ30重量%の組成を含む。得られた紙タオルは、約374グラムのエージング後湿潤破裂を有する。
【0059】
(実施例2)
紙タオルが、実施例1と類似方法によるが、ユーカリの10重量%を3mmの合成2構成成分ポリエステル繊維10重量%で置き換えて、作成される。合成/ユーカリ混合物は、繊維長比4.2、PTP係数1.2、及び繊維粗度値11.0mg/100mを有する。繊維長比、PTP係数、及び繊維粗度値は、以下の試験方法の節に示されるカヤニ(Kajaani)法により決定される。紙タオルは、約40g/m2の坪量を有し、並びに1つの層に70重量%のノーザーン針葉樹クラフトと、他方の層に20重量%のユーカリ及び10重量%の3mm長さ合成繊維の混合物とを含む。得られた紙タオルは、約484グラムのエージング後湿潤破裂を有する。
【0060】
(実施例3)
紙タオルが、実施例1と類似方法によるが、ユーカリの5重量%を6mmの合成2構成成分ポリエステル繊維5重量%で置き換えて、作成される。合成/ユーカリ混合物は、以下の試験方法の節に示されるように及び実施例2の説明のように測定される、繊維長比8.4、PTP係数1.2、及び繊維粗度値11.6mg/100mを有する。紙タオルは、約40g/m2の坪量を有し、並びに1つの層に70重量%のノーザーン針葉樹クラフトと、他方の層に25重量%のユーカリ及び5重量%の6mm長さ合成繊維の混合物とを含む。得られた紙タオルは、約472グラムのエージング後湿潤破裂を有する。
【0061】
(試験方法)
(カヤニ(Kajaani)法)
セルロース繊維の長さ加重平均繊維長及びセルロース/合成繊維混合物の繊維粗度は、カヤニ(Kajaani)ファイバーラボ(FiberLab)繊維分析器で決定される。分析器は、報告範囲を0mm〜7.6mmに設定し、長さが0.08mm未満の繊維は繊維長及び繊維粗度の計算から除外されるようにプロファイルを設定して、製造者推奨により操作される。この大きさの粒子が計算から除外されるのは、これらが主として非繊維性の断片からなり、本発明が向けられる用途に対して機能的でないと考えられるからである。
【0062】
正確な試料重量がカヤニ(Kajaani)ファイバーラボ(FiberLab)計器へ確実に入れられるように、試料準備には注意を払わなければならない。試料準備の受容可能な方法は、次の工程を有する。
【0063】
1)試料の湿分含量を決定し、次に分析用試料を計量する。短広葉樹繊維に対する目標試料重量は、0.02〜0.04グラムであり、普通長さの針葉樹繊維に対しては、0.15〜0.30グラムである。試料は、繊維粗度分析については+/−0.1ミリグラムの精度で計量されなければならない。
【0064】
2)手動離解器に温水を約150ml満たして乾燥試料を加え、試料が完全に離解されるまで、すなわち繊維束又は結束が試料中に残らなくなるまで、離解器の撹拌器を上下に移動させることにより、乾燥試料を離解する。しかしながら、必要な離解時間の超過及び繊維の過度に荒い取扱いは、繊維を破壊しないために、避けるべきである。
【0065】
3)手動離解器内のパルプスラリーを2000mlメスフラスコへ移して、2000ml線まで水道水を満たす。よく混合して、均一を達成する。繊維粗度試料に対する希釈精度は、+/−4mlでなければならない。
【0066】
4)試料の濃度を決定し、次の式を使用して必要な試料の量を計算する:試料の量=(目標濃度×2000)/(プロセス濃度)、ここで広葉樹に対する目標濃度は0.005〜0.010%であり、針葉樹に対しては0.015〜0.025%である。
【0067】
5)試料量を2000mlメスフラスコに加え、2000ml線まで水道水を満たして、よく混合する。
【0068】
6)先端開口部が少なくとも2mmのピペットを使用して試料スラリーの50mlアリコートを採り、そのアリコートをカヤニ(Kajaani)の試料容器の中へ入れる。
【0069】
7)繊維粗度分析の場合、次の式を使用して、50mlアリコート中に存在する総試料重量を計算する:50mlアリコート中の繊維重量(mg/50ml)=(50ml/2000ml)×(計量された繊維の乾燥重量、mg)
8)試料容器をカヤニ(Kajaani)の試料ユニットの中に置いて、分析を開始する。
【0070】
9)カヤニ(Kajaani)ファイバーラボ(FiberLab)設備は、長さ加重平均繊維長をミリメートルで、平均セルロース繊維幅をマイクロメートルで、及び繊維粗度をミリグラム/メートルで、自動的に報告する。カヤニ(Kajaani)ファイバーラボ(FiberLab)設備は、重み付け無しの繊維長メートル当りミリグラムの単位(mg/m)で粗さを報告する。この値は、100を掛算されて、上の繊維粗度の定義で示されたように、100メートル当りミリグラムの単位で繊維粗度を得る。パルプの繊維粗度は、混合物から取った3つの繊維試料の3つの繊維粗度測定値の平均である。
【0071】
(エージング後湿潤破裂)
湿潤破裂は、ペンシルバニア州フィラデルフィア(10960 Dutton Road,Philadelphia,Pa.19154)のスイングアルバート・インストルメント社(Thwing-Albert Instrument Co.)から入手される、2000グラムロードセルを備えたスイングアルバート破裂試験機カタログ番号177を使用して決定される。試料は、約22.8±1.1℃(73°+/−2°F)の温度及び約50%+/−2%相対湿度に空調された室内に少なくとも約24時間置かれる。紙は、105℃のオーブン内で約5分間エージングされる。ペーパーカッターを使用して、約11.4cm(4.5インチ)幅(CD)×30.48cm(12インチ)長さ(MD)の8枚の試験用細長片を切断する。それぞれの細長片を、蒸留水で濡らして、試料保持具の下側リングの上にワイヤ面を上に向けて置いて、試料が下側リングの開口部を完全に覆い、試料の少量が下側リングの外径を越えて延びるようにする。試料細長片が下側リング上に適切に置かれたのち、上側リングが空気圧保持具と共に降下されて、試料が上側リングと下側リングの間に保持される。下側リングの開口部の直径は、約8.9cm(3.5インチ)である。プランジャーは、約1.5cm(0.6インチ)の直径を有する。試験器が活性化されると、プランジャーが、約12.7cm/分(毎分5インチ)の速度で上昇して、紙を破裂する。試験器は、試料が破裂した時に、湿潤破裂強度値をグラム直接で提供する。8枚の試料細長片に対して得られた試験結果を平均して、紙試料の湿潤破裂値をグラム単位で記録する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明のプロセスの実施形態の概略的な側面図。
【図2】実質的に連続的な枠組を有する形成部材の実施形態の概略的な平面図。
【図3】代表的な形成部材を表示する断面図。
【図4】実質的に半連続的な枠組を有する形成部材の実施形態の概略的な平面図。
【図5】分離性パターンの枠組を有する形成部材の実施形態の概略的な平面図。
【図6】代表的な形成部材を表示する断面図。
【図7】形成部材内に形成された溝の中へ分配された代表的な合成繊維を示す概略的な断面図。
【図8】本発明の単一繊維構造体を示す断面図であり、セルロース繊維が合成繊維を含む形成部材上にランダムに分配されている。
【図9】本発明の単一繊維構造体の断面図であり、セルロース繊維が概ねランダムに分配されており、合成繊維が概ね非ランダムに分配されている。
【図9A】本発明の単一繊維構造体の断面図であり、合成繊維が概ねランダムに分配されており、セルロース繊維が概ね非ランダムに分配されている。
【図10】本発明の一体繊維構造体の実施形態の概略的な平面図。
【図11】圧縮表面と成型部材の間の本発明の一体繊維構造体の概略的な断面図。
【図12】別の繊維と共接合された2構成成分合成繊維の概略的な断面図。
【図13】実質的に連続的なパターンの枠組を有する成型部材の実施形態の概略的な平面図。
【図14】図13の線14−14に沿って見る概略的な断面図。
【図15】一体繊維構造体の断面図であり、合成繊維及び短セルロース繊維が1つの層内に配置され、長セルロース繊維が隣接層内に配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの層を含む繊維構造体であって、前記繊維構造体の前記層の少なくとも1つが、長セルロース繊維を含み、且つ前記層の少なくとも1つが、短セルロース繊維と合成繊維との混合物を含み、好ましくは前記合成繊維の少なくとも一部が前記短セルロース繊維の少なくとも一部に接合している、繊維構造体。
【請求項2】
前記短セルロース繊維と合成繊維との混合物が、1超過の繊維長比を有し、好ましくは1〜20の間の繊維長比を有する、請求項1に記載の繊維構造体。
【請求項3】
前記短セルロース繊維と合成繊維との混合物が、0.75超過のPTP係数を有する、請求項1又は2のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項4】
前記短セルロース繊維が、2mm未満の長さ加重平均繊維長を有し、好ましくは前記短セルロース繊維が、1mm未満の長さ加重平均繊維長と18マイクロメートル未満の平均セルロース繊維幅とを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項5】
前記合成繊維が、2mm超過の長さ加重平均繊維長と15マイクロメートル超過の平均合成繊維直径とを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項6】
前記長セルロース繊維が、2mm超過の長さ加重平均繊維長と50マイクロメートル未満の平均セルロース繊維幅とを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項7】
前記短セルロース繊維と合成繊維との混合物が、50未満mg/100m、好ましくは25未満mg/100m、の繊維粗度値を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項8】
前記一体繊維構造体が、クレープ加工される、クレープ加工されない、又はエンボス加工される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項9】
前記繊維構造体が、別個の繊維構造体と組み合わされて、多プライ物品を形成する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項10】
前記一体繊維構造体の少なくとも一部の上に配置されたラテックスを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項11】
合成繊維と短セルロース繊維との混合物を含む1つ以上の層を形成するように、前記合成繊維と短セルロース繊維との混合物を形成部材上に供給する工程と、前記形成部材が好ましくは溝のパターンを有し、且つ前記合成繊維の少なくとも一部が前記溝内に配置され、
長セルロース繊維を優勢的に含む1つ以上の層を形成するように、前記合成繊維と短セルロース繊維との混合物の上に複数の長セルロース繊維を供給する工程と、
前記合成繊維と短セルロース繊維との混合物を含む前記1つ以上の層と長セルロース繊維を優勢的に含む1つ以上の層とを含む一体繊維構造体を形成する工程と、を含む繊維構造体の製造方法。
【請求項12】
合成繊維と短セルロース繊維との混合物を含む第一の水性スラリーを準備する工程と、
複数の長セルロース繊維を含む第二の水性スラリーを準備する工程と、
前記第一と第二の水性スラリーを、溝のパターンを有する流体透過性の形成部材の上に堆積させる工程と、
前記堆積された第一と第二の水性スラリーを部分的に脱水して繊維ウェブを形成する工程と、前記繊維ウェブが、前記繊維ウェブの少なくとも1つの層の全体にわたってランダムに分配された前記複数の長セルロース繊維と、少なくとも部分的に非ランダムに溝内に分配された前記合成繊維と短セルロース繊維との混合物とを含み、
成型部材上に配置された前記繊維ウェブに流体差圧を付与することにより前記繊維ウェブを前記溝のパターンによって成型する工程と、ここで前記成型部材上に配置された前記繊維ウェブが、前記成型部材の複数の流体透過性区域に対応する第一の複数のマイクロ領域と、前記成型部材の複数の流体不透過性区域に対応する第二の複数のマイクロ領域とを含み、
前記繊維ウェブを前記成型部材から乾燥表面へ移送する工程と、
前記合成繊維と短セルロース繊維との混合物が予め定められたパターンで配置され、且つ前記複数の長セルロース繊維が前記繊維構造体の少なくとも1つの層の全体にわたって概ねランダムに分配されたままである、前記一体繊維構造体を形成する工程と、を含む一体繊維構造体の製造方法。
【請求項13】
前記合成繊維と短セルロース繊維との混合物が、1超過の繊維長比を有し、好ましくは前記合成繊維と短セルロース繊維との混合物が、1〜20の間の繊維長比を有する、請求項11及び12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記合成繊維と短セルロース繊維との混合物が、50未満mg/100mの繊維粗度値を有する、請求項11〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
好ましくは前記合成繊維の一部の少なくとも一部を加熱又は冷却することにより、前記合成繊維の少なくとも一部を再分配する工程を含む、請求項11〜14のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項16】
前記繊維構造体を形成部材と乾燥表面の間で型押しして、前記繊維構造体の一部を濃密化する工程を含む、請求項11〜15のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項17】
前記形成部材が第一の速度で移動しており、且つ前記製造方法が:
前記第一の速度より遅い第二の速度である第二の部材を準備する工程と、
前記初期ウェブを前記形成部材から前記第二の部材へ移送して、前記初期ウェブを微小収縮させる工程と、を含む、請求項11〜16のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項18】
前記一体繊維構造体が、クレープ加工される、クレープ加工されない、又はエンボス加工される、請求項11〜17のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項19】
前記一体繊維構造体の少なくとも1つの表面の少なくとも一部にラテックスを供給する工程を含む、請求項11〜18のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項20】
前記複数の長セルロース繊維が供給される前に、前記合成繊維と短セルロース繊維との混合物が前記形成部材上に供給される、請求項11〜19のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項1】
少なくとも2つの層を含む繊維構造体であって、前記繊維構造体の前記層の少なくとも1つが、長セルロース繊維を含み、且つ前記層の少なくとも1つが、短セルロース繊維と合成繊維との混合物を含み、好ましくは前記合成繊維の少なくとも一部が前記短セルロース繊維の少なくとも一部に接合している、繊維構造体。
【請求項2】
前記短セルロース繊維と合成繊維との混合物が、1超過の繊維長比を有し、好ましくは1〜20の間の繊維長比を有する、請求項1に記載の繊維構造体。
【請求項3】
前記短セルロース繊維と合成繊維との混合物が、0.75超過のPTP係数を有する、請求項1又は2のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項4】
前記短セルロース繊維が、2mm未満の長さ加重平均繊維長を有し、好ましくは前記短セルロース繊維が、1mm未満の長さ加重平均繊維長と18マイクロメートル未満の平均セルロース繊維幅とを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項5】
前記合成繊維が、2mm超過の長さ加重平均繊維長と15マイクロメートル超過の平均合成繊維直径とを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項6】
前記長セルロース繊維が、2mm超過の長さ加重平均繊維長と50マイクロメートル未満の平均セルロース繊維幅とを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項7】
前記短セルロース繊維と合成繊維との混合物が、50未満mg/100m、好ましくは25未満mg/100m、の繊維粗度値を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項8】
前記一体繊維構造体が、クレープ加工される、クレープ加工されない、又はエンボス加工される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項9】
前記繊維構造体が、別個の繊維構造体と組み合わされて、多プライ物品を形成する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項10】
前記一体繊維構造体の少なくとも一部の上に配置されたラテックスを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の繊維構造体。
【請求項11】
合成繊維と短セルロース繊維との混合物を含む1つ以上の層を形成するように、前記合成繊維と短セルロース繊維との混合物を形成部材上に供給する工程と、前記形成部材が好ましくは溝のパターンを有し、且つ前記合成繊維の少なくとも一部が前記溝内に配置され、
長セルロース繊維を優勢的に含む1つ以上の層を形成するように、前記合成繊維と短セルロース繊維との混合物の上に複数の長セルロース繊維を供給する工程と、
前記合成繊維と短セルロース繊維との混合物を含む前記1つ以上の層と長セルロース繊維を優勢的に含む1つ以上の層とを含む一体繊維構造体を形成する工程と、を含む繊維構造体の製造方法。
【請求項12】
合成繊維と短セルロース繊維との混合物を含む第一の水性スラリーを準備する工程と、
複数の長セルロース繊維を含む第二の水性スラリーを準備する工程と、
前記第一と第二の水性スラリーを、溝のパターンを有する流体透過性の形成部材の上に堆積させる工程と、
前記堆積された第一と第二の水性スラリーを部分的に脱水して繊維ウェブを形成する工程と、前記繊維ウェブが、前記繊維ウェブの少なくとも1つの層の全体にわたってランダムに分配された前記複数の長セルロース繊維と、少なくとも部分的に非ランダムに溝内に分配された前記合成繊維と短セルロース繊維との混合物とを含み、
成型部材上に配置された前記繊維ウェブに流体差圧を付与することにより前記繊維ウェブを前記溝のパターンによって成型する工程と、ここで前記成型部材上に配置された前記繊維ウェブが、前記成型部材の複数の流体透過性区域に対応する第一の複数のマイクロ領域と、前記成型部材の複数の流体不透過性区域に対応する第二の複数のマイクロ領域とを含み、
前記繊維ウェブを前記成型部材から乾燥表面へ移送する工程と、
前記合成繊維と短セルロース繊維との混合物が予め定められたパターンで配置され、且つ前記複数の長セルロース繊維が前記繊維構造体の少なくとも1つの層の全体にわたって概ねランダムに分配されたままである、前記一体繊維構造体を形成する工程と、を含む一体繊維構造体の製造方法。
【請求項13】
前記合成繊維と短セルロース繊維との混合物が、1超過の繊維長比を有し、好ましくは前記合成繊維と短セルロース繊維との混合物が、1〜20の間の繊維長比を有する、請求項11及び12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記合成繊維と短セルロース繊維との混合物が、50未満mg/100mの繊維粗度値を有する、請求項11〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
好ましくは前記合成繊維の一部の少なくとも一部を加熱又は冷却することにより、前記合成繊維の少なくとも一部を再分配する工程を含む、請求項11〜14のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項16】
前記繊維構造体を形成部材と乾燥表面の間で型押しして、前記繊維構造体の一部を濃密化する工程を含む、請求項11〜15のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項17】
前記形成部材が第一の速度で移動しており、且つ前記製造方法が:
前記第一の速度より遅い第二の速度である第二の部材を準備する工程と、
前記初期ウェブを前記形成部材から前記第二の部材へ移送して、前記初期ウェブを微小収縮させる工程と、を含む、請求項11〜16のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項18】
前記一体繊維構造体が、クレープ加工される、クレープ加工されない、又はエンボス加工される、請求項11〜17のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項19】
前記一体繊維構造体の少なくとも1つの表面の少なくとも一部にラテックスを供給する工程を含む、請求項11〜18のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項20】
前記複数の長セルロース繊維が供給される前に、前記合成繊維と短セルロース繊維との混合物が前記形成部材上に供給される、請求項11〜19のいずれか1項に記載の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2006−514177(P2006−514177A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518485(P2005−518485)
【出願日】平成16年2月4日(2004.2.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/003341
【国際公開番号】WO2004/072372
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月4日(2004.2.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/003341
【国際公開番号】WO2004/072372
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
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