説明

セルローズ繊維を含有する編成製品ウェブを染色する方法

本発明はセルローズ繊維を含有する編成製品ウェブを染色する方法に関する。セルローズを含有する編成製品を幅出しされた状態で連続的に染色浴を用いて染色し、加工ラインにて後続の染色ホットフルーにて乾燥しかつ染色固定できるためには、編成製品はまず長手方向縁部にて、連続的に搬送する緊張チェーンにて掴まれ、次いで緊張チェーンに保持された長手方向縁部領域に境界を接して長手方向縁部を補強する膠横線が施される。膠は乾燥され、次いで緊張チェーンから解き放された製品ウェブが幅出しされ連続的に、染色浴と染色ホットフルーとを通して、製織された製品ウェブと同じ原理で導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルローズ繊維を含有する編成製品ウェブを染色する方法に関する。この場合には染色する前に縁部領域に、編成製品ウェブの縦縁に境界を接して膠ストライプが施され、乾燥によって硬化させられる。編成製品ウェブは染色浴で染色され、次いで染色ホットフルーで乾燥されかつ染色固定される。
【0002】
編成製品は一般的には筒状体として製造される。製品ウェブは、筒状体がその長手方向軸線に対し平行にできるだけ直線に沿って切り開かれることによって生じる。この際に発生する切断縁部には丸まる傾向がある。「セルローズを含有する」とは編成製品が完全に又は部分的にセルローズから成っていることを意味している。
【0003】
通常は縁が独りでに丸まることのない、製織された製品ウェブを連続的に染色することはいわゆるパッドドライ原理に従って行なわれる。次いで−つまりラインにて連続的に−染色された製品ウェブは染色ホットフルーにて乾燥されかつ染色固定される。ホットフルーにて製品ウェブは側縁部では保持されない。したがって従来はパッドドライ法は製織された製品ウェブ及びそれに類似した面安定の製品ウェブの場合にしか使用できなかった。
【0004】
セルローズ繊維を含む編成製品としての製品ウェブはこれに対し、染色が必要であると、いわゆる引出し染色方法で又はコールドパッドバッチ原理で処理される。この方法は非連続的に作業し、相応して時間がかかる。
【0005】
DE10135044A1号及びDE10131000A1号明細書によれば、編成製品を連続染色する方法であって、全面が(一時的に)硬化されるか又は編成製品の縁部領域にいわゆる補助縁部を設け、あとで再び除去することが公知である。これらの文献においては製品を染色プロセスの「前」に(全面的に又は縁部において)硬化することが開示されている。したがってこの前処置は染色と同一工程で連続的には実施されない。
【0006】
DE3238378A1号明細書においては丸まる傾向のある編成製品ウェブの縁における縁部膠線又は硬化ゾーンのいくつかの形式が開示されている。DE19522124A1号明細書においては緊張フレームにおける縁部膠線付けが記述されている。この場合には、溶融接着剤が緊張フレームの出口にて編成製品の縁部に施されるという記載に注目されたい。
【0007】
本発明の課題は、セルローズ繊維を染色する場合に従来用いられていた引出し法又はコールドパッドバッチ原理による時間のかかる方法の代りとなる、編成製品を連続的に染色する染色設備を提供することである。特に本発明の課題はセルローズ繊維を含有する編成製品を一工程で製品ウェブの幅出しから乾燥と染色固定まで連続的に処理することである。
【0008】
本発明によれば前記課題は請求項1によって解決された。
【0009】
本発明の特徴は冒頭に述べた形式の方法において、
(イ)丸まる傾向のある製品ウェブ(1)の両方のウェブ長手方向縁部(10)における幅出し、
(ロ)両方の長手方向縁部(10)を、連続的に搬送する緊張チェーン(6,7)に固定することで製品ウェブ(1)を連続的に緊張させ、
(ハ)製品ウェブ送り方向(2)で、膠のない領域で中断された膠横線の形をした膠ストライプを施し、その際、膠横線の長さ(製品ウェブ縁から搬送方向に対し横方向に測った長さ)が値的に染色ホットフルー(21)の上部及び下部ローラ(25,26)の間の軸間隔の1/25であるが、しかし少なくとも約1cmであり、
(ニ)染色浴(17)に走入する前に緊張チェーン(6,7)から製品ウェブ(1)を解き放し、
(ホ)10ニュートン±5ニュートンの大きさの均等な製品長手方向の張力で製品ウェブ(1)を案内するために染色ホットフルー(21)を設計する、
ことである。
【0010】
有利には染色されかつ乾燥された製品ウェブの長手方向及び幅方向の緊張のない送出が続くことができる。若干の改良と別の構成は従属請求項に記載されている。
【0011】
先にDE10135044A1号及びDE10131000A1号明細書を引用した公知技術によれば、編成製品ウェブの少なくとも縁領域を硬化し、以後連続的に染色し、乾燥しかつ染色された製品ウェブを染色固定することは開示されているが、この公知技術には縁領域の硬化を染色、乾燥及び染色固定プロセスの前に連続的に接続することについての示唆はない。しかし本発明ではこれが目的である。本発明は全体として公知技術に基づき容易に発明できるものではない。何故ならば縁にて丸まる傾向のある製品ウェブを連続的な作業プロセスで加工することは、専門家の知識によればすでに前もって行なわれた縁硬化を前提条件とするからである。
【0012】
換言すれば、セルローズ繊維を含有する編成製品ウェブを幅出しされた状態で連続的に染色浴を用いて染色し、生産ラインにて後続する染色ホットフルーにて乾燥しかつ染色固定することを達成するためには、編成製品はまず長手方向縁にて連続的に搬送する緊張チェーンで掴まれ、次いで緊張チェーンに保持された長手方向縁部に境界を接して、長手方向縁部領域を硬化する膠で負荷し、次いで(緊張チェーンから解放されているにも拘らず)幅出しされて連続的に、つまり生産ラインにて、染色浴と染色ホットフルーとを通って−製織された製品ウェブと同じ原理で−導かれる。有利にはホットフルーの上部及び/又は下部ローラが駆動される。
【0013】
染色固定と乾燥とに使用されたホットフルー、例えばDE3336328C2号明細書によるホットフルーにおいては、製品ウェブは所定の長手方向の引っ張り力でメアンダ状に上下に案内ローラを介して案内される。ホットフルー内の下部領域と上部領域とにおいては、互いにほぼ平行な案内ローラ(いわゆる上もしくは下ローラ)から成るローラ群がそれぞれ共通の平面に配置されている。それぞれ2つの上部案内ローラもしくは2つの下部案内ローラの間に張られた製品ウェブループは上もしくは下から一般的には加熱された空気が乾燥と固定とのために吹込まれる。
【0014】
所定の長手方向の引っ張りなしでは製品ウェブはこのようなホットフルーを通して移動させることはできない。製織製品である製品ウェブの場合にはこれは一般的には問題を引き起こすことはない。しかし編成製品から成る製品ウェブ(本発明に従って安定化させられていない縁部領域を有していない製品ウェブ)の場合には、長手方向の引っ張り力の結果、製品ウェブが機械にて(安定ローラを介して走行する場合に)幅出しされた状態に留まらず、ホットフルーの個々のループを通過する場合にウェブ縁部が次第に丸まり、極端な場合には幅出しされたウェブからストランドが形成されることになる。このようなストランドではホットフルーの長所が発揮されず、したがって編成製品を従来ホットフルーで乾燥させかつ染色固定することはできなかった。
【0015】
本発明によれば製品ウェブの全幅に対し狭幅の縁部領域だけを膠横線又はそれに類似した安定化手段で硬化することが提案されている。驚くべきことに狭幅の縁部領域の前記硬化だけで、編成製品ウェブはホットフルーにてストランドに丸まることはなくなり、ホットフルーを製織製品ウェブのように幅出しされて通過するようになった。この場合に有利であることは製品ウェブ縁部における膠ストライプが一貫しておらず、分断されていることである。例えば製品ウェブの走行方向で見て膠付けされた横線の1つの長さ単位に、膠付けされていない領域のほぼ2つの長さ単位が続くことができる。実施においては1:2の寸法関係が有利であることが証明された。
【0016】
製品ウェブ縁部からウェブ走行方向に対し横方向に測った膠付けトラックの幅は、本発明によれば染色ホットフルーの上部ローラと下部ローラとの間隔に関連している。この間隔が大きければ大きいほど、それぞれ2つのローラの間の道程で、硬化させられた縁部が丸まったりもしくは折れ返えることを回避するためには、膠付けストライプの幅も大きく選択されなければならない。この縁部の丸まりは、製品ウェブ縁部から測った膠付けストライプの幅(膠線の長さ)が本発明に従って、上部と下部のホットフルーローラの軸間隔の約1/25であると阻止されることが判明した。膠付けストライプの幅は少なくとも約1cmに選択したい。
【0017】
製品ウェブに作用する長手方向の引っ張り力が小さければ小さいほど、縁部の折れ返りもしくは丸まりは回避される。同様に本発明の枠内では、製品ウェブに作用する長手方向の引っ張り力がホットフルー内のどの部分においても、つまりどの製品ウェブループにおいてもほぼ一様であることが有利である。染色ホットフルー全体を通して一様で僅かな製品ウェブ長手方向の引っ張り力を達成するためには、上部ローラを一緒に1つのチェーン駆動装置を介して駆動するのではなく、各個別の上部ローラを−又はそれぞれ2つ又は3つのローラを一緒に(製品品質に応じて)−駆動トルクが調節可能である個別のモータで−駆動することが有利である。
【0018】
本発明の枠内では、「乾燥及び染色固定」という表現は、乾燥時の固定も乾燥とそれに続く固定も意味するものである。製品ウェブが乾燥されかつ固定されると製品ウェブは−編成製品の場合に一般的であるように−長手方向及び幅方向に引っ張られることなく−例えばベルトトランスポータを介してロールに巻上げられるか又はタフタを介してスタックに積上げられる。択一的に製品ウェブはまず固定を目的としてホットフルーにて処理され、生産ラインにおける連続的な搬送で洗浄され、乾燥させられ、場合によっては長手方向及び幅方向の張力なしで搬出させられることもできる。
【0019】
以下、添付図面に示した少なくとも部分的にセルローズ繊維から成る幅出しされた編成製品ウェブを連続的に染色するための本発明による設備構想の1実施例に基づき本発明の詳細を説明する。
【0020】
図1は染色設備の垂直方向で断面した概略的な縦方向断面図。
【0021】
図2は図1に示した染色設備の1部の平面図。
【0022】
製品ウェブ1は搬送方向2(製品ウェブの長手方向)でロール3から、図2の平面図でも原理的に示された緊張フレーム5に幅出し装置4を介して走入する。緊張フレーム5は2つの緊張チェーン6と7を有し、これらの緊張チェーン6,7は製品ウェブ1の長手方向縁部10における縁部領域9を固定する針8(クリップも可)を備えている。各緊張チェーンはエンドレスに鎖歯車11(水平又は垂直な歯車軸12を有する鎖歯車)を介して案内されている。製品ウェブ1もしくはその縁部領域9が各緊張チェーン6,7に固定されると、膠付けステーション13にて膠横線が縁部領域9に塗り付けられる。膠横線の長さb(搬送方向2に対し横方向で見た)は製品ウェブ1の全体幅Bよりも小さく、あとで説明するホットフルーの上方ローラと下方ローラとの間隔の1/25とほぼ等しくされている。塗付された膠は搬送方向2に続く縁乾燥ステーション14にて硬化させられる。これによって縁部領域9は編成製品が通常有しているフレキシブル性を失い、製品ウェブ1は緊張フレーム5の出口15にて解放されたあとで丸まることは最早やなくなる。
【0023】
次いで製品ウェブ1は案内ローラ16を介して、浸漬ローラ18を有する染色浴17にかつ次いで全体として符号21で示した染色ホットフルーの入口スリット20へもたらされる。ホットフルー21内で製品ウェブ1は変向ローラ22を介しかつメアンダ形状に上下に2つの案内ローラ組23と24を介して案内される。案内ローラ組23と24はそれぞれ多数の案内ローラ、つまり下部ローラ25と上部ローラ26とから成っている。ホットフルー21の内部ではローラ組23,24のそれぞれ2つの案内ローラ25,26の間に張られた製品ウェブストライプ27がブローノズル28から加熱された空気で負荷される。ホットフルー21内で案内された製品ウェブ1の終端部にて製品ウェブ1は変向ローラ29と出口スリット30とを介して走行領域31に達する。この走出領域31は例えば、製品ウェブ1を長手方向及び幅方向の張力がかけることなくロール33に送出する支持ベルト32を有していることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】染色設備の垂直方向で断面した概略的な縦断面図。
【図2】図1に示した染色設備の1部の平面図。
【符号の説明】
【0025】
1 製品ウェブ
2 搬送方向
3 ロール
4 幅出し装置
5 緊張フレーム
6,7 緊張チェーン
8 針
9 縁部領域
10 長手方向縁部
11 鎖歯車
12 鎖歯車軸
13 膠付けステーション
14 乾燥ステーション
15 出口
16 案内ローラ
17 染色浴
18 浸漬ローラ
19 押し潰し部
20 入口スリット
21 染色ホットフルー
22 変向軸
23,24 案内ローラ組
25 下部ローラ
26 上部ローラ
27 製品ウェブストライプ
28 ブローノズル
29 変向ローラ
30 出口スリット
31 走出領域
32 支持ベルト
33 ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルローズを含有する編成製品ウェブ(1)を染色する方法であって、染色する前に、編成製品ウェブ(1)の長手方向縁部(10)に境界を接して、当該編成製品ウェブ(1)の縁部領域(9)に膠ストライプを施しかつ乾燥によって硬化させ、該編成製品ウェブを染色浴(17)にて染色し、次いで染色ホットフルー(21)にて乾燥しかつ染色固定する方法において、
(イ)丸まる傾向のある製品ウェブ(1)の両方のウェブ長手方向縁部(10)における幅出し、
(ロ)両方の長手方向縁部(10)を、連続的に搬送する緊張チェーン(6,7)に固定することで製品ウェブ(1)を連続的に緊張させ、
(ハ)製品ウェブ送り方向(2)で、膠のない領域で中断された膠横線の形をした膠ストライプを施し、その際、膠横線の長さ(製品ウェブ縁から搬送方向に対し横方向に測った長さ)が値的に染色ホットフルー(21)の上部及び下部ローラ(25,26)の間の軸間隔の1/25であるが、しかし少なくとも約1cmであり、
(ニ)染色浴(17)に走入する前に緊張チェーン(6,7)から製品ウェブ(1)を解き放し、
(ホ)10ニュートン±5ニュートンの大きさの均等な製品長手方向の張力で製品ウェブ(1)を案内するために染色ホットフルー(21)を設計する、
以上(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)を特徴とする、セルローズ繊維を含有する編成製品ウェブを染色する方法。
【請求項2】
個々に又はグループごとに駆動される下部及び上部ローラを備えた染色ホットフルー(21)を使用する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
膠横線が−製品搬送方向(2)で見て−大きさ的に膠のない領域の2倍幅にされている、請求項1又は2項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−518426(P2006−518426A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501498(P2006−501498)
【出願日】平成16年2月13日(2004.2.13)
【国際出願番号】PCT/DE2004/000257
【国際公開番号】WO2004/076736
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(501169213)アー モンフォルツ テクスティールマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (6)
【氏名又は名称原語表記】A.Monforts Textilmaschinen GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Schwalmstrasse 301, D−41238 Moenchengladbach, Germany
【Fターム(参考)】