センサーモジュール、センサーデバイス、センサーデバイスの製造方法及び電子機器
【課題】多軸に対応したセンサーモジュール及びそれを備えたセンサーデバイスの提供。
【解決手段】センサーモジュール1は、互いに直交する3つの支持面11,12,13を有する支持部材10と、能動面21側に接続端子22、外部接続端子23を有し、能動面21に沿った非能動面29側が支持部材10の各支持面11,12,13に取り付けられた3つのICチップ20と、基部31と基部31から延伸された各振動腕(32a,32bなど)と接続電極39とを有する3つの振動ジャイロ素子30と、ICチップ20の外部接続端子23と接続されたフレキシブル配線基板40,40aと、を備え、各振動ジャイロ素子30は、各ICチップ20の能動面21側に配置され、一方の主面30aが支持面11,12,13に沿うように、接続電極39が各ICチップ20の接続端子22に取り付けられ、フレキシブル配線基板40は、補強層43を有する。
【解決手段】センサーモジュール1は、互いに直交する3つの支持面11,12,13を有する支持部材10と、能動面21側に接続端子22、外部接続端子23を有し、能動面21に沿った非能動面29側が支持部材10の各支持面11,12,13に取り付けられた3つのICチップ20と、基部31と基部31から延伸された各振動腕(32a,32bなど)と接続電極39とを有する3つの振動ジャイロ素子30と、ICチップ20の外部接続端子23と接続されたフレキシブル配線基板40,40aと、を備え、各振動ジャイロ素子30は、各ICチップ20の能動面21側に配置され、一方の主面30aが支持面11,12,13に沿うように、接続電極39が各ICチップ20の接続端子22に取り付けられ、フレキシブル配線基板40は、補強層43を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーモジュール、センサーモジュールを備えたセンサーデバイス、センサーデバイスの製造方法及びセンサーモジュールを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加速度や角速度などをセンシングするセンサーデバイスにおいては、センサー素子と該センサー素子を駆動する機能を有する回路素子とを備えたセンサーモジュールを用いた構成が知られている。
例えば、特許文献1には、センサー素子としてのジャイロ振動片と、回路素子としての半導体装置(以下、ICチップという)と、を備えたセンサーモジュールが、パッケージに収納されたジャイロセンサー(圧電発振器)が開示されている。
この構成では、ICチップが支持基板に固着され、支持基板に形成されたリード配線部と電気的に接続されている。また、センサー素子(ジャイロ振動片)は、支持基板に固着されたリード線に接続されることによって、ICチップと空隙を保ち該ICチップと平面視で重なるように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−292079号公報(図12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のジャイロセンサー(以下、センサーデバイスという)は、1軸の検出軸(センシング軸:例えば、センサー素子の主面に直交する軸)に対応したセンサーデバイスとして、センサーモジュールのセンサー素子の主面が、パッケージの底面と略平行になるように配置されている。
近年は、このような1軸に対応したものだけでなく、互いに交差する2軸または3軸の検出軸に対応したセンサーデバイスが要求されている。
【0005】
この互いに交差する2軸または3軸の検出軸に対応するためには、例えば、特許文献1のような1軸の検出軸に対応したセンサーデバイスを2個または3個用意し、各センサーデバイスを各軸に対応した姿勢で対象機器に実装する構成が考えられる。
この結果、対象機器におけるセンサーデバイスの実装スペースは、相当程度の広さが必要となることから、対象機器の小型化の阻害要因となる虞がある。
また、上記構成では、パッケージが2個または3個必要なことから、パッケージが1個の場合と比較して、コスト面において割高になるという問題がある。
また、上記構成では、センサーデバイス間の検出軸の直交度が、対象機器における各センサーデバイスの実装精度(各パッケージの取り付け角度の精度)に少なからず依存するという問題がある。
【0006】
また、1軸の検出軸に対応したセンサーデバイスにおいても、センサー素子の種類によっては、主面をパッケージの底面に対して直交または傾斜する姿勢となるように配置しなければならないものがあり、センサー素子の新たな実装構造の提供が求められている。
【0007】
また、特許文献1のセンサーデバイスは、ICチップが支持基板に固着され、支持基板に形成されたリード配線部と電気的に接続されている。
このリード配線部に、例えば、フレキシブル配線基板を用いた場合には、ICチップが支持基板から突出していることから、フレキシブル配線基板をICチップと支持基板とに架け渡して実装する際に、フレキシブル配線基板の折れ曲がりにより、フレキシブル配線基板の配線パターンとICチップの端部とが接触して短絡する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]本適用例にかかるセンサーモジュールは、第1基準平面に平行な第1支持面と、前記第1基準平面に対して直交または傾斜した第2基準平面に平行な第2支持面と、を有した支持部材と、一面側に接続端子と外部接続端子を有し、前記一面に沿った他面側が前記第1支持面及び前記第2支持面の少なくとも一方に取り付けられているICチップと、前記ICチップの少なくとも一つの前記外部接続端子に取り付けられているフレキシブル配線基板と、接続電極を有し、前記接続電極が前記ICチップの前記接続端子に取り付けられており、前記ICチップの前記一面側に配置され、主面が前記支持部材の前記第1支持面及び前記第2支持面のうち、前記ICチップが取り付けられている支持面に沿っているセンサー素子と、を備え、前記フレキシブル配線基板の前記ICチップ側とは反対側の面に、前記フレキシブル配線基板の剛性を向上させる補強部が、平面視で、前記外部接続端子への取り付け領域から前記ICチップの端部を過ぎるまでの範囲に亘って設けられていることを特徴とするセンサーモジュール。
【0010】
これによれば、センサーモジュールは、支持部材の互いに直交または傾斜した第1支持面及び第2支持面(以下、第1支持面、第2支持面、後述する第3支持面を、単に支持面または各支持面ともいう)にICチップが取り付けられ、ICチップの一面側にセンサー素子が取り付けられている。
この際、センサーモジュールは、センサー素子の主面が、ICチップが取り付けられた支持面に沿うように取り付けられていることから、センサー素子の主面が、互いに直交または傾斜することとなる。
このことから、センサーモジュールは、例えば、1つのパッケージの内部に収納されることで、2軸に対応したセンサーデバイスを提供できる。
したがって、センサーモジュールは、2軸に対応したセンサーデバイスの実装スペースを、従来の1軸に対応したセンサーデバイスを2個用いていた構成と比較して、相当程度狭くできることから、対象機器の更なる小型化を図ることが可能となる。
【0011】
また、センサーモジュールは、2軸に対応したセンサーデバイスを1つのパッケージで提供できることから、従来の1軸に対応したセンサーデバイスを2個用いていた構成と比較して、パッケージに関わるコストを低減できる。
【0012】
また、センサーモジュールは、2軸に対応したセンサーデバイスを1つのパッケージで提供できることから、従来の1軸に対応したセンサーデバイスを2個用い、パッケージの取り付け姿勢を本来の取り付け姿勢と変えることで2軸に対応していた構成と比較して、耐衝撃性を向上させることが可能となる。
【0013】
また、センサーモジュールは、支持部材の互いに直交または傾斜した支持面にICチップが取り付けられ、ICチップの一面側に、主面が支持部材の支持面に沿うようにセンサー素子が取り付けられている。
これにより、センサーモジュールは、センシング軸の交差度が支持部材の加工精度で決まることから、従来のような、センシング軸の交差度が、対象機器における各センサーデバイスの実装精度(各パッケージの取り付け角度の精度)に依存することを解消できる。
【0014】
また、センサーモジュールは、ICチップの外部接続端子に、フレキシブル配線基板が取り付けられ、フレキシブル配線基板におけるICチップ側とは反対側の面に、フレキシブル配線基板の剛性を向上させる補強部が、少なくともICチップの外部接続端子への取り付け領域からICチップの端部を過ぎるまでの範囲に亘って設けられている。
これにより、センサーモジュールは、フレキシブル配線基板における少なくともICチップの外部接続端子への取り付け領域からICチップの端部を過ぎるまでの範囲に亘って剛性が向上する。
この結果、センサーモジュールは、例えば、パッケージなどの外部部材への取り付け時に、前述したような、フレキシブル配線基板が容易に折れ曲がり、配線パターンがICチップの端部に接触することが生じ難くなり、フレキシブル配線基板とICチップとの短絡を回避することができる。
【0015】
[適用例2]上記適用例にかかるセンサーモジュールにおいて、前記支持部材は、前記第1基準平面及び前記第2基準平面に対して直交または傾斜した第3基準平面に平行な第3支持面を有し、前記ICチップが、前記第3支持面に取り付けられ、前記センサー素子は、前記ICチップの前記一面側に配置され、前記主面が前記第3支持面に沿うように、前記接続電極が前記ICチップの前記接続端子に取り付けられたことが好ましい。
【0016】
これによれば、センサーモジュールは、支持部材が第1支持面及び第2支持面に加えて、第3支持面を有し、ICチップが第3支持面に取り付けられ、センサー素子の主面が第3支持面に沿うように、センサー素子がICチップに取り付けられている。
このことから、センサーモジュールは、例えば、1つのパッケージの内部に収納されることで、3軸に対応したセンサーデバイスを提供できる。
したがって、センサーモジュールは、3軸に対応したセンサーデバイスの実装スペースを、従来の1軸に対応したセンサーデバイスを3個用いていた構成と比較して、相当程度狭くできることから、対象機器の更なる小型化を図ることが可能となる。
【0017】
また、センサーモジュールは、3軸に対応したセンサーデバイスを1つのパッケージで提供できることから、従来の1軸に対応したセンサーデバイスを3個用いていた構成と比較して、パッケージに関わるコストを低減できる。
【0018】
また、センサーモジュールは、3軸に対応したセンサーデバイスを1つのパッケージで提供できることから、従来の1軸に対応したセンサーデバイスを3個用い、パッケージの取り付け姿勢を本来の取り付け姿勢と変えることで3軸に対応していた構成と比較して、耐衝撃性を向上させることが可能となる。
【0019】
[適用例3]上記適用例にかかるセンサーモジュールにおいて、前記フレキシブル配線基板の前記補強部は、金属を含んでなることが好ましい。
【0020】
これによれば、センサーモジュールは、フレキシブル配線基板の補強部が、金属を含んでなることから、例えば、フレキシブル配線基板の配線用の金属被膜(一例として銅箔)の一部を上記範囲に残すことで形成可能となる。
このことから、センサーモジュールは、合理的にフレキシブル配線基板の補強部を設けることができる。
【0021】
[適用例4]上記適用例にかかるセンサーモジュールにおいて、前記ICチップの前記接続端子は、前記一面側に突出した突起電極であることが好ましい。
【0022】
これによれば、センサーモジュールは、ICチップの接続端子が一面側に突出した突起電極であることから、センサー素子とICチップとの間に隙間を設けることが可能となり、センサー素子とICチップとの接触を確実に回避することができる。
これにより、センサーモジュールは、センサー素子の安定的な駆動を行うことが可能となる。
【0023】
[適用例5]上記適用例にかかるセンサーモジュールにおいて、前記ICチップは、前記支持部材の前記第1支持面ないし前記第3支持面のうち、隣り合う2つの支持面であって、前記2つの支持面に直交する直線が互いに遠ざかるように延びる側となる前記2つの支持面に取り付けられたことが好ましい。
【0024】
これによれば、センサーモジュールは、ICチップが、支持部材の各支持面のうち、隣り合う2つの支持面であって、2つの支持面に直交する直線が互いに遠ざかるように延びる側となる2つの支持面に取り付けられていることから、支持面同士が接近しても、ICチップ、センサー素子、フレキシブル配線基板が互いに干渉することを回避できる。
したがって、センサーモジュールは、各構成要素をより接近させて配置できることから、さらなる小型化を図ることができる。
【0025】
[適用例6]上記適用例にかかるセンサーモジュールにおいて、前記第1支持面ないし前記第3支持面の少なくとも1つには、凹部が設けられたことが好ましい。
【0026】
これによれば、センサーモジュールは、各支持面の少なくとも1つに凹部が設けられたことから、ICチップを凹部に配置することにより、ICチップを各支持面の所定の位置に精度よく取り付けることができる。
【0027】
[適用例7]本適用例にかかるセンサーデバイスは、上記適用例のいずれか一例に記載のセンサーモジュールと、前記センサーモジュールを収納するパッケージと、を有し、前記センサーモジュールが、前記パッケージ内に収納されたことを特徴とする。
【0028】
これによれば、センサーデバイスは、上記適用例のいずれか一例に記載のセンサーモジュールが、パッケージ内に収納されたことから、上記適用例のいずれか一例に記載された効果を奏するセンサーデバイスを提供できる。
【0029】
[適用例8]本適用例にかかる電子機器は、上記適用例のいずれか一例に記載のセンサーモジュールを備えたことを特徴とする。
【0030】
これによれば、電子機器は、上記適用例のいずれか一例に記載のセンサーモジュールを備えたことから、上記適用例のいずれか一例に記載された効果を奏する電子機器を提供できる。
【0031】
[適用例9]本適用例にかかるセンサーデバイスの製造方法は、第1基準平面に平行な第1支持面と、前記第1基準平面に対して直交または傾斜した第2基準平面に平行な第2支持面と、を有した支持部材、または第1基準平面に平行な第1支持面と、前記第1基準平面に対して直交または傾斜した第2基準平面に平行な第2支持面と、前記第1基準平面及び第2基準平面に対して直交または傾斜した第3基準平面に平行な第3支持面と、を有した支持部材を用意する工程と、一面と該一面に沿った他面とを備え、前記一面側に接続端子と外部接続端子とを有したICチップを用意する工程と、接続電極を有したセンサー素子を用意する工程と、複数のフレキシブル配線基板であって、少なくとも1つのフレキシブル配線基板における前記ICチップ側とは反対側となる面に、剛性を向上させる補強部が、少なくとも前記ICチップの前記外部接続端子への取り付け領域から前記ICチップの端部を過ぎるまでの範囲に亘って設けられたフレキシブル配線基板を用意する工程と、前記各構成要素を収納するパッケージを用意する工程と、前記ICチップの前記外部接続端子に前記フレキシブル配線基板を取り付ける工程と、前記ICチップの前記一面側に前記センサー素子を配置し、前記センサー素子の主面が前記一面または前記他面に沿うように、前記センサー素子の前記接続電極を前記ICチップの前記接続端子に取り付ける工程と、前記フレキシブル配線基板を介して、前記センサー素子及び前記ICチップの調整及び特性検査を行う工程と、前記センサー素子及び前記フレキシブル配線基板が取り付けられた前記ICチップを具備してなるセンサーユニットの、前記ICチップの前記他面側を、前記支持部材の前記第1支持面ないし前記第3支持面のうち、前記パッケージの支持部材接合面に対して直交または傾斜した支持面の少なくとも1つに取り付ける工程と、前記センサーユニットが取り付けられた前記支持部材を、前記パッケージの前記支持部材接合面に取り付ける工程と、前記パッケージの前記支持部材接合面に取り付けられた前記支持部材の前記第1支持面ないし前記第3支持面のうち、前記パッケージの前記支持部材接合面に沿った支持面に、別の前記センサーユニットであって、前記補強部を備えた前記フレキシブル配線基板が取り付けられた前記センサーユニットの前記ICチップの前記他面側を取り付ける工程と、前記各センサーユニットの前記各フレキシブル配線基板を前記パッケージの前記支持部材接合面に取り付ける工程と、を含むことを特徴とする。
【0032】
これによれば、センサーデバイスの製造方法は、上記適用例7に記載の効果を奏するセンサーデバイスを製造し、提供することができる。
また、センサーデバイスの製造方法は、センサーユニットを、支持部材の各支持面のうち、パッケージの支持部材接合面に対して直交または傾斜した支持面に、先に取り付ける。
これにより、センサーデバイスの製造方法は、センサーユニットを後から取り付ける、支持部材におけるパッケージの支持部材接合面に沿った支持面を、例えば吸着装置などで保持することが可能となることから、支持部材の取り扱いが容易となる。
この結果、センサーデバイスの製造方法は、支持部材のパッケージへの取り付けが容易となることから、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態のセンサーモジュールの概略構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の矢印A方向から見た側面図。
【図2】(a)は、図1(a)の矢印B方向から見た側面図であり、(b)は、図1(a)の矢印C方向から見た側面図。
【図3】図1(a)のD−D線での断面図。
【図4】センサー素子の拡大平面図。
【図5】振動ジャイロ素子の動作を説明する模式平面図。
【図6】(a)、(b)は、振動ジャイロ素子の検出振動状態を示す模式平面図。
【図7】センサーモジュールの要部拡大平面図。
【図8】センサーモジュールの要部拡大断面図。
【図9】第2実施形態のジャイロセンサーの概略構成を示す模式図であり、(a)はリッド(蓋)側から俯瞰した平面図、(b)は(a)のJ−J線での断面図。
【図10】ジャイロセンサーの製造工程を示すフローチャート。
【図11】支持部材準備工程を説明する模式斜視図。
【図12】フレキシブル配線基板接合工程を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は側面図。
【図13】振動ジャイロ素子接合工程を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は側面図。
【図14】センサーユニット第1接合工程を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の矢印K方向から見た側面図。
【図15】支持部材接合工程を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のM−M線での断面図。
【図16】センサーユニット第2接合工程を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のN−N線での断面図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。
【0035】
(第1実施形態)
図1、図2は、第1実施形態のセンサーモジュールの概略構成を示す模式図である。図1(a)は、平面図であり、図1(b)は、図1(a)の矢印A方向から見た側面図である。図2(a)は、図1(a)の矢印B方向から見た側面図であり、図2(b)は、図1(a)の矢印C方向から見た側面図である。
図3は、図1(a)のD−D線での断面図であり、図4は、センサー素子の拡大平面図である。なお、以降の図を含む各図における各構成要素の寸法比率は、実際と異なる。
【0036】
図1、図2に示すように、センサーモジュール1は、支持部材10と、3つのICチップ20と、センサー素子としての3つの振動ジャイロ素子(ジャイロ振動片)30と、2種類のフレキシブル配線基板40,40aとを備えている。
【0037】
支持部材10は、構造用鋼、ステンレス鋼、銅、黄銅、燐青銅、洋伯などの金属からなり、平面形状が略L字状(逆L字状)の平板を、L字の屈曲部分で曲げ方向が互いに直交するように2箇所が直角に曲げ起こされている。
これにより、支持部材10は、図示しない第1基準平面に平行な第1支持面としての支持面11と、第1基準平面に対して直交した図示しない第2基準平面に平行な第2支持面としての支持面12と、第1基準平面及び第2基準平面に対して直交した図示しない第3基準平面に平行な第3支持面としての支持面13と、を有した構成となっている。
【0038】
支持部材10は、支持面11と支持面12との成す角度θ1、支持面12と支持面13との成す角度θ2及び支持面11と支持面13との成す角度θ3が、共に90度(直角)となっている。なお、角度θ1〜θ3については、センシング機能に影響を及ぼさない範囲で多少の誤差は許容される(例えば、0度〜2度程度)。
なお、支持面12と支持面13とは、隣り合う支持面であって、支持面12に直交する直線と支持面13に直交する直線とが、互いに遠ざかるように延びる側にある。
【0039】
図3に示すように、ICチップ20は、一面としての能動面21側に接続端子22と、外部接続端子23とを有している。
そして、ICチップ20は、能動面21の反対側の面であって、能動面21に沿った他面としての非能動面29が、支持部材10の各支持面11,12,13に、絶縁性接着剤50により支持部材10と絶縁された状態で取り付けられている。
【0040】
詳述すると、ICチップ20には、能動面21側にトランジスターやメモリー素子などの半導体素子を含んで構成される集積回路(図示せず)が形成されている。この集積回路には、振動ジャイロ素子30を駆動振動させるための駆動回路と、角速度が加わったときに振動ジャイロ素子30に生じる検出振動を検出する検出回路とが備えられている。
ICチップ20は、能動面21側に設けられた第1の電極24と、第1の電極24に電気的に接続されて能動面21側に設けられた接続端子22と、能動面21と接続端子22との間に設けられた応力緩和層25と、能動面21側に設けられた外部接続端子23とを備えている。
【0041】
第1の電極24は、ICチップ20の集積回路に直接導通して形成されたものである。また、能動面21上には、パッシベーション膜となる第1絶縁層26が形成されており、この第1絶縁層26には、第1の電極24上に開口部26aが形成されている。
このような構成によって第1の電極24は、開口部26a内にて外側に露出した状態となっている。
【0042】
第1絶縁層26上には、第1の電極24や他の電極を避けた位置に、絶縁樹脂からなる応力緩和層25が形成されている。
また、第1の電極24には、第1絶縁層26の開口部26a内にて再配置配線としての配線27が接続されている。この配線27は、集積回路の電極の再配置を行うためのもので、ICチップ20の所定部に配置された第1の電極24から延びて形成され、さらに応力緩和層25上にまで引き回されて形成されたものである。
この配線27は、ICチップ20の第1の電極24と接続端子22との間を配線することから、一般的には再配置配線とよばれ、微細設計によって位置の制約が大きい第1の電極24に対して、接続端子22の位置を任意にずらして配置し、ICチップ20における振動ジャイロ素子30との接続位置の自由度を高めるための重要な構成要素である。
【0043】
また、ICチップ20の能動面21側には、配線27や応力緩和層25、第1絶縁層26を覆って樹脂からなる耐熱性の第2絶縁層28が形成されている。なお、第2絶縁層28は、ソルダーレジストでもよい。
この第2絶縁層28には、応力緩和層25上にて配線27上に開口部28aが形成されている。このような構成によって配線27の一部は、開口部28a内にて外側に露出した状態となっている。
【0044】
そして、この開口部28a内に露出した配線27上に、接続端子22が配設されている。この接続端子22は、例えば、ハンダボール、金線、アルミニウム線などを用いてバンプ形状に形成された突起電極となっている。ここで、接続端子22として、樹脂突起の表面に金属膜や導電性接着剤などを設けたバンプ(例えば、樹脂コアバンプ)を用いることも可能である。また、金属バンプの表面に導電性接着剤などを設けることで、接続端子22による電気的接続を更に確実にしても良い。
このような構成のもとに、ICチップ20に形成された集積回路は、第1の電極24、配線27、接続端子22を介して振動ジャイロ素子30と電気的に接続されるようになっている。
この際、センサーモジュール1は、接続端子22が突起電極となっていることから、振動ジャイロ素子30とICチップ20との間に十分な隙間が設けられている。この隙間により、振動ジャイロ素子30の駆動振動や検出振動のための空間が確保されている。
【0045】
また、ICチップ20に形成された集積回路には、第1の電極24以外に図示しない他の電極が形成されている。この他の電極は、第1の電極24の場合と同様に、再配置配線が接続され、第2絶縁層28の開口部28b内にて、外部に露出した外部接続端子23と接続されている。
外部接続端子23は、例えば、ハンダボール、金線、アルミニウム線などを用いてバンプ形状に形成された突起電極となっており、フレキシブル配線基板40,40aが取り付けられるようになっている。
【0046】
第1の電極24、他の電極、配線27などの再配置配線は、金(Au)、銅(Cu)、銀(Ag)、チタン(Ti)、タングステン(W)、チタンタングステン(TiW)、窒化チタン(TiN)、ニッケル(Ni)、ニッケルバナジウム(NiV)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)などによって形成されている。
なお、これら配線27などの再配置配線としては、上記材料による単層構造のみならず、複数種類の上記材料を組み合わせた積層構造としてもよい。なお、これら配線27などの再配置配線については、通常は同一工程で形成するため、互いに同じ材料となる。
【0047】
また、第1絶縁層26、第2絶縁層28を形成するための樹脂としては、例えばポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、BCB(benzocyclobutene)及びPBO(polybenzoxazole)などが用いられる。
なお、第1絶縁層26については、酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si3N4)などの無機絶縁材料によって形成することもできる。
【0048】
ICチップ20の非能動面29は、支持部材10の各支持面11,12,13に、ポリイミド系、エポキシ系、シリコーン系などの絶縁性接着剤50により、絶縁された状態で取り付けられている。
なお、一部の図では、便宜的にICチップ20の第2絶縁層28を能動面21と表記している。
【0049】
図4に示すように、振動ジャイロ素子30は、圧電材料である水晶を基材(主要部分を構成する材料)として形成されている。水晶は、電気軸と呼ばれるX軸、機械軸と呼ばれるY軸及び光学軸と呼ばれるZ軸を有している。
そして、振動ジャイロ素子30は、水晶結晶軸において直交するX軸及びY軸で規定される平面に沿って切り出されて平板状に加工され、平面と直交するZ軸方向に所定の厚みを有している。なお、所定の厚みは、発振周波数(共振周波数)、外形サイズ、加工性などにより適宜設定される。
【0050】
また、振動ジャイロ素子30をなす平板は、水晶からの切り出し角度の誤差を、X軸、Y軸及びZ軸の各々につき多少の範囲で許容できる。例えば、平板は、X軸を中心に0度から7度の範囲で回転して切り出したものを使用することができる。これは、Y軸及びZ軸についても同様である。
振動ジャイロ素子30は、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチング(ウエットエッチングまたはドライエッチング)により形成されている。なお、振動ジャイロ素子30は、1枚の水晶ウエハーから複数個取りすることが可能である。
【0051】
振動ジャイロ素子30は、ダブルT型と呼ばれる構成となっている。
振動ジャイロ素子30は、中心部分に位置する基部31と、基部31からY軸に沿って延伸された振動部としての1対の検出用振動腕32a,32bと、検出用振動腕32a,32bと直交するように、基部31からX軸に沿って延伸された1対の連結腕33a,33bと、検出用振動腕32a,32bと略平行になるように、各連結腕33a,33bの先端側からY軸に沿って延伸された振動部としての各1対の駆動用振動腕34a,34b,35a,35bとを備えている。
【0052】
また、振動ジャイロ素子30は、基部31から各振動腕間(例えば、検出用振動腕32aと駆動用振動腕34aとの間など)を通って概ねY軸に沿って延伸された支持腕36a,36b,37a,37bと、同方向に延伸された支持腕36a,37aの先端部に跨って設けられた支持部38aと、同方向に延伸された支持腕36b,37bの先端部に跨って設けられた支持部38bとを備えている。
支持部38a,38bは、1対の連結腕33a,33bに沿って各振動腕の先端越しに延在している。
支持腕36a,36b,37a,37bは、誤検出の原因となる機械的衝撃を吸収する機能を有する。誤検出の原因となる機械的衝撃が振動ジャイロ素子30に加わった際、支持腕36a,36b,37a,37bが撓みや屈曲などの変形をすることによって、その機械的衝撃を吸収する機能を有する。よって、誤検出の原因となる機械的衝撃が、駆動用振動腕34a,34b,35a,35bや検出用振動腕32a,32bへ伝わることを抑制できる。
【0053】
また、振動ジャイロ素子30は、検出用振動腕32a,32bに、図示しない検出電極が形成され、駆動用振動腕34a,34b,35a,35bに、図示しない駆動電極が形成されている。
振動ジャイロ素子30は、検出用振動腕32a,32bで、角速度を検出する検出振動系を構成し、連結腕33a,33bと駆動用振動腕34a,34b,35a,35bとで、振動ジャイロ素子30を駆動する駆動振動系を構成している。
【0054】
また、検出用振動腕32a,32bのそれぞれの先端部には、重り部32c,32dが形成され、駆動用振動腕34a,34b,35a,35bのそれぞれの先端部には、重り部34c,34d,35c,35dが形成されている。
これにより、振動ジャイロ素子30は、小型化および角速度の検出感度の向上が図られている。
【0055】
振動ジャイロ素子30は、平面視において、ICチップ20と重なるようにICチップ20の能動面21側に配置されている。
なお、振動ジャイロ素子30は、基部31、各振動腕、各支持部を含む平板の表裏面を主面とする。本実施形態では、外部と電気的に接続される面を一方の主面30aといい、一方の主面30aと対向する面(反対側の面)を他方の主面30bという。
【0056】
振動ジャイロ素子30の支持部38a,38bの一方の主面30aには、上記各検出電極、各駆動電極から引き出された接続電極39が設けられている。
図3に示すように、振動ジャイロ素子30は、一方の主面30a(他方の主面30b)が、支持部材10の各支持面11,12,13に沿う(略平行になる)ようにして、各接続電極39がICチップ20の各接続端子22に取り付けられている(電気的及び機械的に接続されている)。
換言すれば、振動ジャイロ素子30は、一方の主面30a(他方の主面30b)が、ICチップ20の能動面21または非能動面29に沿うようにして、各接続電極39がICチップ20の各接続端子22に取り付けられている(電気的及び機械的に接続されている)。
【0057】
ここで、センサーモジュール1の振動ジャイロ素子30の動作について説明する。
図5及び図6は、振動ジャイロ素子の動作を説明する模式平面図である。図5は駆動振動状態を示し、図6(a)、図6(b)は、角速度が加わった状態における検出振動状態を示している。
なお、図5及び図6において、振動状態を簡易に表現するために、各振動腕は線で表し、各支持腕、各支持部は省略してある。
【0058】
図5において、振動ジャイロ素子30の駆動振動状態を説明する。
まず、ICチップ20の集積回路(駆動回路)から駆動信号が印加されることにより、振動ジャイロ素子30は角速度が加わらない状態において、駆動用振動腕34a,34b,35a,35bが矢印Eで示す方向に屈曲振動を行う。この屈曲振動は、実線で示す振動姿態と2点鎖線で示す振動姿態とを所定の周波数で繰り返している。
【0059】
次に、この駆動振動を行っている状態で、振動ジャイロ素子30にZ軸回りの角速度ωが加わると、振動ジャイロ素子30は、図6に示すような振動を行う。
まず、図6(a)に示すように、駆動振動系を構成する駆動用振動腕34a,34b,35a,35b及び連結腕33a,33bには、矢印F方向のコリオリ力が働く。また同時に、検出用振動腕32a,32bは、矢印F方向のコリオリ力に呼応して、矢印H方向に変形する。
【0060】
その後、図6(b)に示すように、駆動用振動腕34a,34b,35a,35b及び連結腕33a,33bには、矢印F’方向に戻る力が働く。また同時に、検出用振動腕32a,32bは、矢印F’方向の力に呼応して、矢印H’方向に変形する。
振動ジャイロ素子30は、この一連の動作を交互に繰り返して新たな振動が励起される。
なお、矢印F,F’方向の振動は、重心Gに対して周方向の振動である。そして、振動ジャイロ素子30は、検出用振動腕32a,32bに形成された検出電極が、振動により発生した水晶の歪を検出することでZ軸回りの角速度ωが求められる。
【0061】
図3に戻って、フレキシブル配線基板40は、例えば、ポリイミドなどの可撓性を有する樹脂を主体としたベース層41と、ベース層41に接合され、所望の形状にパターニングされた銅箔を主体とした配線パターン層42とを備えている。
そして、フレキシブル配線基板40は、ベース層41におけるICチップ20の能動面21側とは反対側の面に、フレキシブル配線基板40の剛性を向上させる補強部としての補強層43が、少なくともICチップ20の外部接続端子23への取り付け領域からICチップ20の端部20aを過ぎるまでの範囲に亘って設けられている。
補強層43は、配線パターン層42の各配線パターンに対応(対向)した位置に、個別の矩形形状をした島状に設けられている。
補強層43は、配線パターン層42と同じく、銅箔を主体とした金属被膜(金属)を含んでなる。
つまり、補強層43は、両面に金属被膜(例えば、銅箔)を有した両面フレキシブル配線基板の一方の面の金属被膜を上記のような所望の形状に残すことによって設けることができる。
【0062】
このように、フレキシブル配線基板40は、ベース層41、配線パターン層42、補強層43を備えた積層構造となっている。
フレキシブル配線基板40は、一方の端部44の配線パターン層42が、ICチップ20の外部接続端子23に取り付けられている(接合されている)。
なお、フレキシブル配線基板40aは、フレキシブル配線基板40から補強層43を除去したものである。
【0063】
フレキシブル配線基板40,40aは、可撓性を有することから、可撓性の程度に応じて自在に折り曲げることが可能である。
これにより、フレキシブル配線基板40,40aは、図1〜図3に示すように、ICチップ20の姿勢に関わらず、途中から折り曲げることによって、支持面11の反対面14を載置面にして支持部材10が載置されたステージ60(外部部材)に沿わせることができる。
この際、フレキシブル配線基板40は、補強層43を備えたことから、この部分の剛性が向上し、図3に示すような、ICチップ20の非能動面29側へ折り曲げられることによる、配線パターン層42とICチップ20の端部20aとの接触が生じにくくなっている。
フレキシブル配線基板40に設ける補強層43は、フレキシブル配線基板40のベース層41の材料よりもヤング率の大きい材料で形成するのが好ましい。これにより、フレキシブル配線基板40のICチップ20側への撓みを、より効果的に抑制することができる。
【0064】
なお、フレキシブル配線基板40,40aは、配線パターン層42の配線パターン間のピッチがICチップ20(一方の端部44)側より、他方の端部45側の方が広くなるように形成されていてもよい。
また、フレキシブル配線基板40,40aは、配線パターン層42を部分的に覆い、配線パターン層42を外部から絶縁、保護する保護層を備えていてもよい。
【0065】
本実施形態では、ICチップ20に振動ジャイロ素子30及びフレキシブル配線基板40,40aが取り付けられたものをセンサーユニットという。
換言すれば、センサーユニットとは、振動ジャイロ素子30及びフレキシブル配線基板40,40aが取り付けられたICチップ20を具備してなるものである。
そして、支持部材10の支持面11に取り付けられたセンサーユニットをセンサーユニット101と表記し、支持面12に取り付けられたセンサーユニットをセンサーユニット102と表記し、支持面13に取り付けられたセンサーユニットをセンサーユニット103と表記する。
なお、フレキシブル配線基板40は、センサーユニット101に用いられ、フレキシブル配線基板40aは、センサーユニット102及びセンサーユニット103に用いられている。
【0066】
図1、図2に戻って、X’軸、Y’軸及びZ’軸は、互いに直交する軸である。そして、支持部材10の支持面11は、Z’軸に直交し、支持面12は、X’軸に直交し、支持面13は、Y’軸に直交している。
これにより、支持面11に取り付けられたセンサーユニット101は、振動ジャイロ素子30の一方の主面30a(他方の主面30b)がZ’軸に直交することから、Z’軸に対する角速度を検出することができる。
同様に、支持面12に取り付けられたセンサーユニット102は、振動ジャイロ素子30の一方の主面30a(他方の主面30b)がX’軸に直交することから、X’軸に対する角速度を検出することができる。
また、同様に、支持面13に取り付けられたセンサーユニット103は、振動ジャイロ素子30の一方の主面30a(他方の主面30b)がY’軸に直交することから、Y’軸に対する角速度を検出することができる。
したがって、センサーユニット101,102,103を備えたセンサーモジュール1は、互いに直交するX’軸、Y’軸及びZ’軸の3軸に対する角速度を検出することができる。
【0067】
上述したように、第1実施形態のセンサーモジュール1は、支持部材10の互いに直交する3つの支持面11,12,13にICチップ20がそれぞれ取り付けられ、各ICチップ20の能動面21側に振動ジャイロ素子30が取り付けられている。
この際、センサーモジュール1は、振動ジャイロ素子30の一方の主面30a(他方の主面30b)が、支持部材10の各支持面11,12,13に沿うように取り付けられていることから、センサーユニット101,102,103の振動ジャイロ素子30の一方の主面30a(他方の主面30b)が、互いに直交するX’軸、Y’軸及びZ’軸に直交することとなる。
【0068】
このことから、センサーモジュール1は、例えば、1つのパッケージの内部に収納されることで、3軸に対応したセンサーデバイス(ジャイロセンサー)を提供できる。
したがって、センサーモジュール1は、3軸に対応したセンサーデバイスの実装スペースを、従来の1軸に対応したセンサーデバイスを3個用いていた構成と比較して、相当程度狭くできることから、対象機器の更なる小型化を図ることが可能となる。
【0069】
また、センサーモジュール1は、3軸に対応したセンサーデバイスを1つのパッケージで提供できることから、従来の1軸に対応したセンサーデバイスを3個用いていた構成と比較して、パッケージに関わるコストを低減できる。
【0070】
また、センサーモジュール1は、3軸に対応したセンサーデバイスを1つのパッケージで提供できることから、従来の1軸に対応したセンサーデバイスを複数用い、パッケージの取り付け姿勢を本来の取り付け姿勢と変えることで3軸に対応していた構成と比較して、耐衝撃性を向上させることが可能となる。
【0071】
また、センサーモジュール1は、支持部材10の互いに直交する3つの支持面11,12,13にICチップ20がそれぞれ取り付けられ、各ICチップ20の能動面21側に振動ジャイロ素子30の一方の主面30a(他方の主面30b)が、各支持面11,12,13に沿うように取り付けられている。
これにより、センサーモジュール1は、センシング軸(X’軸、Y’軸、Z’軸)の直交度が支持部材10の加工精度(角度θ1,θ2,θ3の精度)で決まることから、従来のような、センシング軸の直交度が、対象機器における各センサーデバイスの実装精度(パッケージの取り付け角度の精度)に依存することを解消できる。
【0072】
また、センサーモジュール1は、フレキシブル配線基板40,40aが可撓性を有することから、各ICチップ20の姿勢に関わらず、フレキシブル配線基板40,40aを折り曲げて部分的に水平状態にすることが可能となる。
このことから、センサーモジュール1は、水平状態のフレキシブル配線基板40,40aを介して、例えば、パッケージなどの外部部材への取り付け、ICチップ20及び振動ジャイロ素子30の特性検査などを容易に行うことができる。
この結果、センサーモジュール1は、生産性を向上させることができる。
【0073】
また、センサーモジュール1は、フレキシブル配線基板40,40aの配線パターン層42の配線パターン間のピッチが、ICチップ20側(一方の端部44側)より、他方の端部45側の方が広く形成されていてもよい。
このことから、センサーモジュール1は、配線パターン層42にプローブを接触させての振動ジャイロ素子30及びICチップ20の調整及び特性検査や、パッケージなどの外部部材への取り付けを容易に行うことができる。
この結果、センサーモジュール1は、生産性を向上させることができる。
【0074】
また、センサーモジュール1は、センサーユニット101のICチップ20の外部接続端子23に、フレキシブル配線基板40が取り付けられ、フレキシブル配線基板40におけるICチップ20の能動面21側とは反対側の面に、剛性を向上させる補強層43が、少なくともICチップ20の外部接続端子23への取り付け領域からICチップ20の端部20aを過ぎるまでの範囲に亘って設けられている。
これにより、センサーモジュール1は、フレキシブル配線基板40における少なくともICチップ20の外部接続端子23への取り付け領域からICチップ20の端部20aを過ぎるまでの範囲に亘って剛性が向上する。
従って、センサーモジュール1は、例えば、パッケージなどの外部部材への取り付け時に、前述したような、フレキシブル配線基板40が容易に折れ曲がり、ICチップ20の端部20aに接触することが生じ難くなる。
この結果、センサーモジュール1は、例えば、ICチップ20の端部20aに能動面21が露出している場合などにおける、フレキシブル配線基板40とICチップ20との接触によるフレキシブル配線基板40の配線パターン層42とICチップ20との短絡や、ICチップ20を介した配線パターン層42の配線パターン間の短絡を回避することができる。
【0075】
また、センサーモジュール1は、フレキシブル配線基板40の補強層43が、金属被膜であることから、例えば、両面フレキシブル配線基板の一方の金属被膜(銅箔)の一部を上述した形状に残すことで補強層43が形成可能となる。
このことから、センサーモジュール1は、新規な別部材を必ずしも用意する必要はなく、合理的にフレキシブル配線基板40の補強層43を設けることができる。
【0076】
また、センサーモジュール1は、ICチップ20の接続端子22が能動面21側に突出した突起電極であることから、振動ジャイロ素子30とICチップ20との間に隙間を設けることが可能となり、振動ジャイロ素子30とICチップ20との接触を回避することが可能となる。
これにより、センサーモジュール1は、振動ジャイロ素子30の安定的な駆動を行うことができる。
【0077】
また、センサーモジュール1は、支持部材10の支持面12と支持面13とが、隣り合う支持面であって、支持面12に直交する直線と支持面13に直交する直線とが、互いに遠ざかるように延びる側にある。
これにより、センサーモジュール1は、支持面12,13が互いに接近しても、支持面12,13に取り付けられているICチップ20、振動ジャイロ素子30、フレキシブル配線基板40aが互いに干渉することを回避できる。
したがって、センサーモジュール1は、各構成要素をより接近させて配置できることから、さらなる小型化を図ることができる。
また、支持部材10の材料として導電体を用いたり、あるいは、支持部材10の母材として絶縁体を用いた場合でも、支持部材10の表面に導電性材料による皮膜を施したりすることによって、異なる検出軸間におけるICチップ20や振動ジャイロ素子30の不要な容量結合を抑制することができる。すなわち、支持部材10のシールド効果により、センサーユニット101,102,103間の不要な容量結合を低減することができる。
加えて、センサーモジュール1は、支持面12の反対面(裏面)と支持面13の反対面(裏面)とに、センサーユニット102,103を取り付けた場合と比較して、フレキシブル配線基板40aの引き回しが単純となることから、フレキシブル配線基板40aをパッケージなどの外部部材へ容易に取り付けることができる。
【0078】
なお、センサーモジュール1は、図7の要部拡大平面図に示すように、フレキシブル配線基板40の補強層43の形状が、配線パターン層42の配線パターン間に跨る略矩形形状であってもよい。
フレキシブル配線基板40の補強層43の平面形状は、所望の剛性に応じて、本実施形態の形状を含めた上記形状などから適宜選択してもよい。
【0079】
なお、センサーモジュール1は、センサーユニット102,103に、フレキシブル配線基板40aに代えて、補強層43を有したフレキシブル配線基板40を用いてもよい。
これによれば、センサーモジュール1は、センサーユニット102,103におけるフレキシブル配線基板40aをフレキシブル配線基板40とすることで、フレキシブル配線基板40aで起こり得るICチップ20側への折れ曲がりによる両者の短絡を回避することができる。
なお、センサーモジュール1は、フレキシブル配線基板40の補強層43を、例えば、ポリイミド系、エポキシ系などの樹脂を含んでなる部材で構成してもよい。
【0080】
なお、センサーモジュール1は、図8の要部拡大断面図に示すように、支持部材10の各支持面11,12,13に凹部15が設けられていてもよい。
これによれば、センサーモジュール1は、ICチップ20を凹部15に配置することで、ICチップ20を各支持面11,12,13の所定の位置に精度よく取り付けることができる。
なお、凹部15は、各支持面11,12,13の法線視において、ICチップ20の全周を取り囲む形状が好ましいが、ICチップ20の一辺側が囲まれていない形状であってもよい。
【0081】
なお、センサーモジュール1は、パッケージ(外部部材)への接合面(反対面14)と直交する支持面12に、センサーユニット102が取り付けられ、センサーユニット101,103が除去された構成とすることもできる。または、センサーモジュール1は、支持面13に、センサーユニット103が取り付けられ、センサーユニット101,102が除去された構成とすることもできる。
これらにより、センサーモジュール1は、センサー素子(振動ジャイロ素子30)の主面をパッケージの底面に対して直交した姿勢で実装する1軸に対応したセンサーデバイスにおける、センサー素子の確実な実装構造を提供できる。
【0082】
なお、センサーモジュール1は、センサーユニット101,102,103のいずれか1つを除去して、互いに直交する2軸に対する角速度を検出する構成としてもよい。なお、この場合には、支持部材10の形状をL型アングル形状としてもよい。
また、センサーモジュール1は、支持部材10を平板の曲げ加工品ではなく、直方体または立方体としてもよい。
【0083】
なお、センサーモジュール1は、振動ジャイロ素子30の接続電極39を基部31の一方の主面30aに設けることにより、振動ジャイロ素子30の支持腕36a,36b,37a,37b及び支持部38a,38bを除去した構成としてもよい。
これによれば、センサーモジュール1は、ICチップ20の平面サイズを振動ジャイロ素子30の平面サイズより小さくすることができる。
【0084】
また、センサーモジュール1は、センサー素子の特性によって各支持面11,12,13が互いに直交せずに、角度θ1,θ2,θ3が鋭角または鈍角になる構成(傾斜した構成)となってもよい。
【0085】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態のセンサーデバイスとしてのジャイロセンサーの概略構成を示す模式図である。図9(a)は、リッド(蓋)側から俯瞰した平面図であり、図9(b)は、図9(a)のJ−J線での断面図である。
なお、平面図では、便宜的にリッドを省略し、リッドの内壁形状を2点鎖線で示してある。
また、上記第1実施形態との共通部分については、同一符号を付して説明を省略し、上記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0086】
図9に示すように、ジャイロセンサー2は、センサーモジュール1と、センサーモジュール1を収納するパッケージ90と、を有し、センサーモジュール1がパッケージ90の内部に配置され収納されている。
【0087】
パッケージ90は、矩形平板状のパッケージベース91と、凹部92を有しパッケージベース91を覆うリッド93などから構成されている。
パッケージベース91には、セラミックグリーンシートを成形して焼成した酸化アルミニウム質焼結体、水晶、ガラスなどが用いられている。
リッド93には、パッケージベース91と同材料、または、コバール、42アロイ、ステンレス鋼などの金属が用いられている。
【0088】
パッケージベース91の上面94(リッド93に覆われる面)には、センサーモジュール1の各センサーユニット101,102,103のフレキシブル配線基板40,40aに対応した位置に内部端子95,96,97が設けられている。
パッケージベース91の下面98(パッケージ90の底面であって、上面94に沿っている面)には、外部機器(外部部材)などに実装される際に用いられる複数の外部端子99が設けられている。
内部端子95,96,97は、図示しない内部配線により、外部端子99に接続されている。
内部端子95,96,97及び外部端子99は、例えば、タングステン(W)などのメタライズ層にニッケル(Ni)、金(Au)などの各被膜をメッキなどにより積層した金属被膜からなる。
【0089】
なお、パッケージは、凹部を有したパッケージベースと、パッケージベースを覆う平板状のリッドなどから構成されていてもよい。また、パッケージは、パッケージベース及びリッドの両方に凹部を有していてもよい。
【0090】
センサーモジュール1は、パッケージベース91の上面94に載置され、支持面11の反対面14(裏面)が、接着剤などの接合部材51により上面94に取り付けられている。
そして、センサーモジュール1は、センサーユニット101のフレキシブル配線基板40における他方の端部45の配線パターン層42が、導電性接着剤、異方性導電膜、ハンダなどの導電性を有する接合部材52により、パッケージベース91の内部端子95に取り付けられている。
同様に、センサーモジュール1は、センサーユニット102のフレキシブル配線基板40aにおける他方の端部45の配線パターン層42が、接合部材52によりパッケージベース91の内部端子96に取り付けられている。
また、同様に、センサーモジュール1は、センサーユニット103のフレキシブル配線基板40aにおける他方の端部45の配線パターン層42が、接合部材52によりパッケージベース91の内部端子97に取り付けられている。
これらにより、ジャイロセンサー2は、センサーモジュール1の各センサーユニット101,102,103と内部端子95,96,97と外部端子99とが、互いに電気的に接続されている。
【0091】
ジャイロセンサー2は、パッケージベース91の上面94にセンサーモジュール1が上記のように取り付けられた状態で、パッケージベース91がリッド93により覆われ、パッケージベース91にリッド93が、シームリング、低融点ガラス、接着剤などの接合部材53により取り付けられることによって、パッケージ90の内部が気密に封止されている。
なお、パッケージ90の内部は、各センサーユニット101,102,103の振動ジャイロ素子30の振動が阻害されないように、真空状態(真空度が高い状態)に保持されていることが好ましい。
【0092】
ジャイロセンサー2は、互いに直交するX’軸、Y’軸、Z’軸の3軸に対する角速度を検出するセンサーモジュール1をパッケージ90内に備えたことから、3軸に対応したジャイロセンサーとなっている。
このことから、ジャイロセンサー2は、例えば、撮像機器の手ぶれ補正や、GPS(Global Positioning System)衛星信号を用いた移動体ナビゲーションシステムにおける車両などの姿勢検出、姿勢制御などに用いられる。
【0093】
ここで、ジャイロセンサー2の製造方法の一例について説明する。
図10は、ジャイロセンサーの製造工程を示すフローチャートであり、図11〜図16は、主要製造工程を説明する模式図である。
【0094】
図10に示すように、ジャイロセンサー2の製造方法は、支持部材準備工程S1と、ICチップ準備工程S2と、振動ジャイロ素子準備工程S3と、フレキシブル配線基板準備工程S4と、パッケージ準備工程S5と、フレキシブル配線基板接合工程S6と、振動ジャイロ素子接合工程S7と、調整及び特性検査工程S8と、センサーユニット第1接合工程S9と、支持部材接合工程S10と、センサーユニット第2接合工程S11と、リッド接合工程S12と、を含んでいる。
【0095】
[支持部材準備工程S1]
まず、図11に示すように、前述した互いに直交する3つの支持面11,12,13を有した支持部材10を用意する。
【0096】
[ICチップ準備工程S2]
ついで、能動面21側に接続端子22と外部接続端子23とを有したICチップ20を用意する(図1、図3参照)。
【0097】
[振動ジャイロ素子準備工程S3]
ついで、図4に示す、基部31と、基部31から延伸された各振動腕(32aなど)と、各支持部38a,38bに設けられた接続電極39とを有した振動ジャイロ素子30を用意する。
【0098】
[フレキシブル配線基板準備工程S4]
ついで、可撓性を有したフレキシブル配線基板40,40aを用意する(図1、図3参照)。なお、上述したように、フレキシブル配線基板40には、剛性を向上させる補強層43が、少なくともICチップ20の外部接続端子23への取り付け領域からICチップ20の端部20aを過ぎるまでの範囲に亘って設けられている。
【0099】
[パッケージ準備工程S5]
ついで、上記各構成要素を収納するパッケージ90(パッケージベース91、リッド93など)を用意する(図8参照)。
なお、各準備工程S1〜S5の順番は、上記順番に限定するものではなく、順不同で構わない。
【0100】
[フレキシブル配線基板接合工程S6]
ついで、図12に示すように、ICチップ20の外部接続端子23に、フレキシブル配線基板40,40aの一方の端部44の配線パターン層42を、超音波接合法、加熱加圧接合法などにより取り付ける(接合する)(接合部分の詳細は図3参照)。
なお、図12では、ICチップ20上にフレキシブル配線基板40,40aを載置して取り付けているが、フレキシブル配線基板40,40aを反転してステージ(作業台)上に載置し、反転したICチップ20をフレキシブル配線基板40,40a上に載置してICチップ20の外部接続端子23をフレキシブル配線基板40,40aの配線パターン層42に取り付けてもよい。
【0101】
[振動ジャイロ素子接合工程S7]
ついで、図13に示すように、ICチップ20の能動面21(第2絶縁層28)側に振動ジャイロ素子30を配置し、振動ジャイロ素子30の一方の主面30a(他方の主面30b)が能動面21(第2絶縁層28)または非能動面29に沿うように(略平行になるように)、振動ジャイロ素子30の接続電極39をICチップ20の接続端子22に取り付ける(接合する)(接合部分の詳細は図3参照)。
これにより、ICチップ20に振動ジャイロ素子30及びフレキシブル配線基板40,40aが取り付けられたセンサーユニット101,102,103が得られる。
【0102】
[調整及び特性検査工程S8]
ついで、フレキシブル配線基板40,40aを介して、振動ジャイロ素子30及びICチップ20の調整及び特性検査を行う。
具体的には、センサーユニット101,102,103を図示しない調整装置、特性検査装置にセットして、振動ジャイロ素子30の各振動腕の各重り部に設けられた金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)などの金属被膜にレーザーを照射して除去することによって各振動腕の質量のバランスをとるバランス調整(バランスチューニング)などの調整作業や、振動ジャイロ素子30及びICチップ20の各種特性検査を行う。
【0103】
[センサーユニット第1接合工程S9]
ついで、図14に示すように、センサーユニット102,103を、支持部材10の支持面12,13に取り付ける(接合する)。
詳述すると、センサーユニット102,103のICチップ20の非能動面29側を、絶縁性接着剤50により支持部材10と絶縁された状態で、支持部材10における各支持面11,12,13のうち、パッケージ90の支持部材接合面としてのパッケージベース91の上面94に対して直交する支持面である支持面12,13に取り付ける。
つまり、センサーユニット102を支持面12に取り付け、センサーユニット103を支持面13に取り付ける。
この際、各振動ジャイロ素子30の一方の主面30a(他方の主面30b)は、各支持面12,13に沿った状態となっている。
【0104】
[支持部材接合工程S10]
ついで、図15に示すように、パッケージベース91の上面94に沿った支持面11を図示しない吸着装置で吸着して、各センサーユニット102,103が取り付けられた支持部材10を搬送し、支持面11の反対面14をパッケージベース91の上面94に接合部材51を用いて取り付ける。
なお、接合部材51には、短絡を防止する観点から絶縁性を有した接着剤が好ましい。
【0105】
[センサーユニット第2接合工程S11]
ついで、図16に示すように、センサーユニット101をパッケージベース91の上面94に沿った支持面11に取り付ける。
詳述すると、センサーユニット101のICチップ20の非能動面29側を、絶縁性接着剤50を用いて支持部材10と絶縁された状態で、支持部材10の支持面11に取り付ける。
ついで、センサーユニット101,102,103のフレキシブル配線基板40,40aにおける他方の端部45の配線パターン層42を、接合部材52によりパッケージベース91の上面94の内部端子95,96,97にそれぞれ取り付ける。
これにより、センサーモジュール1が構成され、センサーモジュール1は、パッケージ90の内部に配置されたこととなる。
【0106】
[リッド接合工程S12]
ついで、図9に戻って、真空状態(真空度の高い状態)でリッド93を接合部材53によってパッケージベース91に取り付け、パッケージ90の内部を気密に封止する。これにより、パッケージ90の内部を真空状態に保持する。また、これにより、センサーモジュール1は、パッケージ90の内部に収納されたこととなる。
なお、大気中でリッド93をパッケージベース91に取り付けた後、パッケージベース91またはリッド93に設けた貫通孔を介してパッケージ90の内部を減圧し、貫通孔を封止することによってパッケージ90の内部を真空状態(真空度の高い状態)に保持してもよい。
【0107】
上記各工程などを経ることにより、図9に示すようなジャイロセンサー2を得る。
なお、上記各工程の順番は、必要に応じて適宜入れ換えてもよい。例えば、支持部材準備工程S1は、センサーユニット第1接合工程S9の直前でもよく、パッケージ準備工程S5は、支持部材接合工程S10の直前でもよく、フレキシブル配線基板接合工程S6と振動ジャイロ素子接合工程S7とは、互いに順番を入れ換えてもよい。
なお、センサーユニット第1接合工程S9において、センサーユニット102,103のフレキシブル配線基板40aの内部端子96,97への取り付けを行ってもよい。
【0108】
上述したように、第2実施形態のジャイロセンサー2は、第1実施形態のセンサーモジュール1が、パッケージ90に収納されたことから、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
主要な効果として、ジャイロセンサー2は、1つのパッケージ90の内部にX’軸、Y’軸、Z’軸の3軸に対応したセンサーモジュール1が収納されていることで、3軸に対応したジャイロセンサーを提供できる。
したがって、ジャイロセンサー2は、従来の1軸に対応したジャイロセンサーを3個用いていた構成と比較して、実装スペースを相当程度狭くできることから、対象機器(ジャイロセンサーが搭載される機器)の更なる小型化を図ることが可能となる。
【0109】
また、ジャイロセンサー2は、3軸に対応したジャイロセンサーを1つのパッケージ90で提供できることから、従来の1軸に対応したジャイロセンサーを3個用いていた構成と比較して、パッケージに関わるコストを低減できる。
【0110】
また、ジャイロセンサー2は、センサーモジュール1の支持部材10の互いに直交する3つの支持面11,12,13にICチップ20がそれぞれ取り付けられ、各ICチップ20の能動面21側に振動ジャイロ素子30の一方の主面30a(他方の主面30b)が、各支持面11,12,13に沿うように取り付けられている。
これにより、ジャイロセンサー2は、センシング軸(X’軸、Y’軸、Z’軸)の直交度が支持部材10の加工精度で決まることから、従来のような、センシング軸の直交度が、対象機器における各ジャイロセンサーの実装精度(取り付け角度の精度)に依存することを解消できる。
【0111】
また、ジャイロセンサー2は、センサーユニット101のICチップ20の外部接続端子23に、フレキシブル配線基板40が取り付けられ、フレキシブル配線基板40におけるICチップ20の能動面21側とは反対側の面に、剛性を向上させる補強層43が、少なくともICチップ20の外部接続端子23への取り付け領域からICチップ20の端部20aを過ぎるまでの範囲に亘って設けられている。
これにより、ジャイロセンサー2は、フレキシブル配線基板40における少なくともICチップ20の外部接続端子23への取り付け領域からICチップ20の端部20aを過ぎるまでの範囲に亘って剛性が向上する。
従って、ジャイロセンサー2は、センサーモジュール1のパッケージベース91への取り付け時に、前述したような、フレキシブル配線基板40が容易に折れ曲がり、ICチップ20の端部20aに接触することが生じ難くなる。
この結果、ジャイロセンサー2は、例えば、ICチップ20の端部20aに能動面21が露出している場合などにおける、フレキシブル配線基板40とICチップ20との接触によるフレキシブル配線基板40の配線パターン層42とICチップ20との短絡や、ICチップ20を介した配線パターン層42の配線パターン間の短絡を回避することができる。
【0112】
なお、ジャイロセンサー2は、センサーモジュール1の各センサーユニット101,102,103のいずれか1つを除去することにより、2軸に対応したジャイロセンサーを提供できる。
また、ジャイロセンサー2は、センサーモジュール1の各センサーユニット101,102,103のいずれか1つを残す(他の2つを除去する)ことにより、検出軸(X’軸、Y’軸、Z’軸)の方向に関わらず、パッケージ90の取り付け姿勢を変える必要がない1軸に対応したジャイロセンサーを提供できる。
【0113】
また、ジャイロセンサー2の製造方法は、上記の効果を奏するジャイロセンサーを製造し、提供することができる。
また、ジャイロセンサー2の製造方法は、センサーユニット102,103を、支持部材10の各支持面11,12,13のうち、パッケージベース91の上面94と直交する支持面12,13に、支持面11より先に接合する。
これにより、ジャイロセンサー2の製造方法は、支持部材10におけるパッケージベース91の上面94に沿った、センサーユニット101が接合されていない支持面11を、吸着装置などで吸着し、支持部材10を保持することが可能となることから、支持部材10の取り扱い(搬送)が容易となる。
この結果、ジャイロセンサー2の製造方法は、センサーユニット102,103が取り付けられた支持部材10の、パッケージベース91への取り付けが容易となることから、生産性を向上させることができる。
【0114】
なお、ジャイロセンサー2は、支持部材10を反転させて、反対面14がリッド93の天井(凹部92の底面)側を向くようにパッケージ90内に配置してもよい。この際、ジャイロセンサー2は、センサーユニット101を、支持面11直下のパッケージベース91の上面94に直接取り付けてもよく、支持部材10の反対面14に取り付けてもよい。
なお、このときは、センサーユニット102,103のフレキシブル配線基板40aがパッケージベース91の上面94側に位置するように、センサーユニット102,103の取り付け方向も変えることとなる。
【0115】
なお、上記各実施形態では、振動ジャイロ素子30の基材を水晶としたが、これに限定するものではなく、例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電体、またはシリコン(Si)などの半導体であってもよい。
また、振動ジャイロ素子30は、ダブルT型以外にも、二脚音叉、三脚音叉、H型音叉、くし歯型、直交型、角柱型など、種々のジャイロ素子を用いることが可能である。
また、ジャイロ素子は振動型以外のものであってもよい。
また、振動ジャイロ素子30の振動の駆動方法や検出方法は、圧電体の圧電効果を用いた圧電型によるものの他に、クーロン力を利用した静電型によるものや、磁力を利用したローレンツ型によるものなどであってもよい。
また、センサー素子の検出軸(センシング軸)は、センサー素子の主面に直交する軸のほかに、センサー素子の主面に平行な軸であってもよい。
【0116】
また、上記各実施形態では、センサーモジュールのセンサー素子として振動ジャイロ素子を例に挙げたが、これに限定するものではなく、例えば、加速度に反応する加速度感知素子、圧力に反応する圧力感知素子、重さに反応する重量感知素子などでもよい。
また、上記第2実施形態では、センサーデバイスとしてジャイロセンサーを例に挙げたが、これに限定するものではなく、例えば、上記加速度感知素子を備えたセンサーモジュールを用いた加速度センサー、圧力感知素子を備えたセンサーモジュールを用いた圧力センサー、重量感知素子を備えたセンサーモジュールを用いた重量センサーなどでもよい。
【0117】
(電子機器)
上記ジャイロセンサー、加速度センサー、圧力センサー、重量センサーなどのセンサーデバイスは、デジタルスチールカメラ、ビデオカメラ、ナビゲーション装置、車体姿勢検出装置、ポインティングデバイス、ゲームコントローラー、携帯電話、ヘッドマウントディスプレイなどの電子機器に、センシング機能を備えたデバイスとして好適に用いることができ、いずれの場合にも上記各実施形態で説明した効果を奏する電子機器を提供することができる。
【符号の説明】
【0118】
1…センサーモジュール、2…センサーデバイスとしてのジャイロセンサー、10…支持部材、11…第1支持面としての支持面、12…第2支持面としての支持面、13…第3支持面としての支持面、14…反対面、20…ICチップ、21…一面としての能動面、22…接続端子、23…外部接続端子、24…第1の電極、25…応力緩和層、26…第1絶縁層、26a…開口部、27…配線、28…第2絶縁層、28a,28b…開口部、29…他面としての非能動面、30…センサー素子としての振動ジャイロ素子、30a…一方の主面、30b…他方の主面、31…基部、32a,32b…検出用振動腕、32c,32d…重り部、33a,33b…連結腕、34a,34b…駆動用振動腕、34c,34d…重り部、35a,35b…駆動用振動腕、35c,35d…重り部、36a,36b,37a,37b…支持腕、38a,38b…支持部、39…接続電極、40,40a…フレキシブル配線基板、41…ベース層、42…配線パターン層、43…補強部としての補強層、44…一方の端部、45…他方の端部、50…絶縁性接着剤、51,52,53…接合部材、60…ステージ(外部部材)、90…パッケージ、91…パッケージベース、92…凹部、93…リッド、94…支持部材接合面としての上面、95,96,97…内部端子、98…下面、99…外部端子、101,102,103…センサーユニット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーモジュール、センサーモジュールを備えたセンサーデバイス、センサーデバイスの製造方法及びセンサーモジュールを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加速度や角速度などをセンシングするセンサーデバイスにおいては、センサー素子と該センサー素子を駆動する機能を有する回路素子とを備えたセンサーモジュールを用いた構成が知られている。
例えば、特許文献1には、センサー素子としてのジャイロ振動片と、回路素子としての半導体装置(以下、ICチップという)と、を備えたセンサーモジュールが、パッケージに収納されたジャイロセンサー(圧電発振器)が開示されている。
この構成では、ICチップが支持基板に固着され、支持基板に形成されたリード配線部と電気的に接続されている。また、センサー素子(ジャイロ振動片)は、支持基板に固着されたリード線に接続されることによって、ICチップと空隙を保ち該ICチップと平面視で重なるように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−292079号公報(図12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のジャイロセンサー(以下、センサーデバイスという)は、1軸の検出軸(センシング軸:例えば、センサー素子の主面に直交する軸)に対応したセンサーデバイスとして、センサーモジュールのセンサー素子の主面が、パッケージの底面と略平行になるように配置されている。
近年は、このような1軸に対応したものだけでなく、互いに交差する2軸または3軸の検出軸に対応したセンサーデバイスが要求されている。
【0005】
この互いに交差する2軸または3軸の検出軸に対応するためには、例えば、特許文献1のような1軸の検出軸に対応したセンサーデバイスを2個または3個用意し、各センサーデバイスを各軸に対応した姿勢で対象機器に実装する構成が考えられる。
この結果、対象機器におけるセンサーデバイスの実装スペースは、相当程度の広さが必要となることから、対象機器の小型化の阻害要因となる虞がある。
また、上記構成では、パッケージが2個または3個必要なことから、パッケージが1個の場合と比較して、コスト面において割高になるという問題がある。
また、上記構成では、センサーデバイス間の検出軸の直交度が、対象機器における各センサーデバイスの実装精度(各パッケージの取り付け角度の精度)に少なからず依存するという問題がある。
【0006】
また、1軸の検出軸に対応したセンサーデバイスにおいても、センサー素子の種類によっては、主面をパッケージの底面に対して直交または傾斜する姿勢となるように配置しなければならないものがあり、センサー素子の新たな実装構造の提供が求められている。
【0007】
また、特許文献1のセンサーデバイスは、ICチップが支持基板に固着され、支持基板に形成されたリード配線部と電気的に接続されている。
このリード配線部に、例えば、フレキシブル配線基板を用いた場合には、ICチップが支持基板から突出していることから、フレキシブル配線基板をICチップと支持基板とに架け渡して実装する際に、フレキシブル配線基板の折れ曲がりにより、フレキシブル配線基板の配線パターンとICチップの端部とが接触して短絡する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]本適用例にかかるセンサーモジュールは、第1基準平面に平行な第1支持面と、前記第1基準平面に対して直交または傾斜した第2基準平面に平行な第2支持面と、を有した支持部材と、一面側に接続端子と外部接続端子を有し、前記一面に沿った他面側が前記第1支持面及び前記第2支持面の少なくとも一方に取り付けられているICチップと、前記ICチップの少なくとも一つの前記外部接続端子に取り付けられているフレキシブル配線基板と、接続電極を有し、前記接続電極が前記ICチップの前記接続端子に取り付けられており、前記ICチップの前記一面側に配置され、主面が前記支持部材の前記第1支持面及び前記第2支持面のうち、前記ICチップが取り付けられている支持面に沿っているセンサー素子と、を備え、前記フレキシブル配線基板の前記ICチップ側とは反対側の面に、前記フレキシブル配線基板の剛性を向上させる補強部が、平面視で、前記外部接続端子への取り付け領域から前記ICチップの端部を過ぎるまでの範囲に亘って設けられていることを特徴とするセンサーモジュール。
【0010】
これによれば、センサーモジュールは、支持部材の互いに直交または傾斜した第1支持面及び第2支持面(以下、第1支持面、第2支持面、後述する第3支持面を、単に支持面または各支持面ともいう)にICチップが取り付けられ、ICチップの一面側にセンサー素子が取り付けられている。
この際、センサーモジュールは、センサー素子の主面が、ICチップが取り付けられた支持面に沿うように取り付けられていることから、センサー素子の主面が、互いに直交または傾斜することとなる。
このことから、センサーモジュールは、例えば、1つのパッケージの内部に収納されることで、2軸に対応したセンサーデバイスを提供できる。
したがって、センサーモジュールは、2軸に対応したセンサーデバイスの実装スペースを、従来の1軸に対応したセンサーデバイスを2個用いていた構成と比較して、相当程度狭くできることから、対象機器の更なる小型化を図ることが可能となる。
【0011】
また、センサーモジュールは、2軸に対応したセンサーデバイスを1つのパッケージで提供できることから、従来の1軸に対応したセンサーデバイスを2個用いていた構成と比較して、パッケージに関わるコストを低減できる。
【0012】
また、センサーモジュールは、2軸に対応したセンサーデバイスを1つのパッケージで提供できることから、従来の1軸に対応したセンサーデバイスを2個用い、パッケージの取り付け姿勢を本来の取り付け姿勢と変えることで2軸に対応していた構成と比較して、耐衝撃性を向上させることが可能となる。
【0013】
また、センサーモジュールは、支持部材の互いに直交または傾斜した支持面にICチップが取り付けられ、ICチップの一面側に、主面が支持部材の支持面に沿うようにセンサー素子が取り付けられている。
これにより、センサーモジュールは、センシング軸の交差度が支持部材の加工精度で決まることから、従来のような、センシング軸の交差度が、対象機器における各センサーデバイスの実装精度(各パッケージの取り付け角度の精度)に依存することを解消できる。
【0014】
また、センサーモジュールは、ICチップの外部接続端子に、フレキシブル配線基板が取り付けられ、フレキシブル配線基板におけるICチップ側とは反対側の面に、フレキシブル配線基板の剛性を向上させる補強部が、少なくともICチップの外部接続端子への取り付け領域からICチップの端部を過ぎるまでの範囲に亘って設けられている。
これにより、センサーモジュールは、フレキシブル配線基板における少なくともICチップの外部接続端子への取り付け領域からICチップの端部を過ぎるまでの範囲に亘って剛性が向上する。
この結果、センサーモジュールは、例えば、パッケージなどの外部部材への取り付け時に、前述したような、フレキシブル配線基板が容易に折れ曲がり、配線パターンがICチップの端部に接触することが生じ難くなり、フレキシブル配線基板とICチップとの短絡を回避することができる。
【0015】
[適用例2]上記適用例にかかるセンサーモジュールにおいて、前記支持部材は、前記第1基準平面及び前記第2基準平面に対して直交または傾斜した第3基準平面に平行な第3支持面を有し、前記ICチップが、前記第3支持面に取り付けられ、前記センサー素子は、前記ICチップの前記一面側に配置され、前記主面が前記第3支持面に沿うように、前記接続電極が前記ICチップの前記接続端子に取り付けられたことが好ましい。
【0016】
これによれば、センサーモジュールは、支持部材が第1支持面及び第2支持面に加えて、第3支持面を有し、ICチップが第3支持面に取り付けられ、センサー素子の主面が第3支持面に沿うように、センサー素子がICチップに取り付けられている。
このことから、センサーモジュールは、例えば、1つのパッケージの内部に収納されることで、3軸に対応したセンサーデバイスを提供できる。
したがって、センサーモジュールは、3軸に対応したセンサーデバイスの実装スペースを、従来の1軸に対応したセンサーデバイスを3個用いていた構成と比較して、相当程度狭くできることから、対象機器の更なる小型化を図ることが可能となる。
【0017】
また、センサーモジュールは、3軸に対応したセンサーデバイスを1つのパッケージで提供できることから、従来の1軸に対応したセンサーデバイスを3個用いていた構成と比較して、パッケージに関わるコストを低減できる。
【0018】
また、センサーモジュールは、3軸に対応したセンサーデバイスを1つのパッケージで提供できることから、従来の1軸に対応したセンサーデバイスを3個用い、パッケージの取り付け姿勢を本来の取り付け姿勢と変えることで3軸に対応していた構成と比較して、耐衝撃性を向上させることが可能となる。
【0019】
[適用例3]上記適用例にかかるセンサーモジュールにおいて、前記フレキシブル配線基板の前記補強部は、金属を含んでなることが好ましい。
【0020】
これによれば、センサーモジュールは、フレキシブル配線基板の補強部が、金属を含んでなることから、例えば、フレキシブル配線基板の配線用の金属被膜(一例として銅箔)の一部を上記範囲に残すことで形成可能となる。
このことから、センサーモジュールは、合理的にフレキシブル配線基板の補強部を設けることができる。
【0021】
[適用例4]上記適用例にかかるセンサーモジュールにおいて、前記ICチップの前記接続端子は、前記一面側に突出した突起電極であることが好ましい。
【0022】
これによれば、センサーモジュールは、ICチップの接続端子が一面側に突出した突起電極であることから、センサー素子とICチップとの間に隙間を設けることが可能となり、センサー素子とICチップとの接触を確実に回避することができる。
これにより、センサーモジュールは、センサー素子の安定的な駆動を行うことが可能となる。
【0023】
[適用例5]上記適用例にかかるセンサーモジュールにおいて、前記ICチップは、前記支持部材の前記第1支持面ないし前記第3支持面のうち、隣り合う2つの支持面であって、前記2つの支持面に直交する直線が互いに遠ざかるように延びる側となる前記2つの支持面に取り付けられたことが好ましい。
【0024】
これによれば、センサーモジュールは、ICチップが、支持部材の各支持面のうち、隣り合う2つの支持面であって、2つの支持面に直交する直線が互いに遠ざかるように延びる側となる2つの支持面に取り付けられていることから、支持面同士が接近しても、ICチップ、センサー素子、フレキシブル配線基板が互いに干渉することを回避できる。
したがって、センサーモジュールは、各構成要素をより接近させて配置できることから、さらなる小型化を図ることができる。
【0025】
[適用例6]上記適用例にかかるセンサーモジュールにおいて、前記第1支持面ないし前記第3支持面の少なくとも1つには、凹部が設けられたことが好ましい。
【0026】
これによれば、センサーモジュールは、各支持面の少なくとも1つに凹部が設けられたことから、ICチップを凹部に配置することにより、ICチップを各支持面の所定の位置に精度よく取り付けることができる。
【0027】
[適用例7]本適用例にかかるセンサーデバイスは、上記適用例のいずれか一例に記載のセンサーモジュールと、前記センサーモジュールを収納するパッケージと、を有し、前記センサーモジュールが、前記パッケージ内に収納されたことを特徴とする。
【0028】
これによれば、センサーデバイスは、上記適用例のいずれか一例に記載のセンサーモジュールが、パッケージ内に収納されたことから、上記適用例のいずれか一例に記載された効果を奏するセンサーデバイスを提供できる。
【0029】
[適用例8]本適用例にかかる電子機器は、上記適用例のいずれか一例に記載のセンサーモジュールを備えたことを特徴とする。
【0030】
これによれば、電子機器は、上記適用例のいずれか一例に記載のセンサーモジュールを備えたことから、上記適用例のいずれか一例に記載された効果を奏する電子機器を提供できる。
【0031】
[適用例9]本適用例にかかるセンサーデバイスの製造方法は、第1基準平面に平行な第1支持面と、前記第1基準平面に対して直交または傾斜した第2基準平面に平行な第2支持面と、を有した支持部材、または第1基準平面に平行な第1支持面と、前記第1基準平面に対して直交または傾斜した第2基準平面に平行な第2支持面と、前記第1基準平面及び第2基準平面に対して直交または傾斜した第3基準平面に平行な第3支持面と、を有した支持部材を用意する工程と、一面と該一面に沿った他面とを備え、前記一面側に接続端子と外部接続端子とを有したICチップを用意する工程と、接続電極を有したセンサー素子を用意する工程と、複数のフレキシブル配線基板であって、少なくとも1つのフレキシブル配線基板における前記ICチップ側とは反対側となる面に、剛性を向上させる補強部が、少なくとも前記ICチップの前記外部接続端子への取り付け領域から前記ICチップの端部を過ぎるまでの範囲に亘って設けられたフレキシブル配線基板を用意する工程と、前記各構成要素を収納するパッケージを用意する工程と、前記ICチップの前記外部接続端子に前記フレキシブル配線基板を取り付ける工程と、前記ICチップの前記一面側に前記センサー素子を配置し、前記センサー素子の主面が前記一面または前記他面に沿うように、前記センサー素子の前記接続電極を前記ICチップの前記接続端子に取り付ける工程と、前記フレキシブル配線基板を介して、前記センサー素子及び前記ICチップの調整及び特性検査を行う工程と、前記センサー素子及び前記フレキシブル配線基板が取り付けられた前記ICチップを具備してなるセンサーユニットの、前記ICチップの前記他面側を、前記支持部材の前記第1支持面ないし前記第3支持面のうち、前記パッケージの支持部材接合面に対して直交または傾斜した支持面の少なくとも1つに取り付ける工程と、前記センサーユニットが取り付けられた前記支持部材を、前記パッケージの前記支持部材接合面に取り付ける工程と、前記パッケージの前記支持部材接合面に取り付けられた前記支持部材の前記第1支持面ないし前記第3支持面のうち、前記パッケージの前記支持部材接合面に沿った支持面に、別の前記センサーユニットであって、前記補強部を備えた前記フレキシブル配線基板が取り付けられた前記センサーユニットの前記ICチップの前記他面側を取り付ける工程と、前記各センサーユニットの前記各フレキシブル配線基板を前記パッケージの前記支持部材接合面に取り付ける工程と、を含むことを特徴とする。
【0032】
これによれば、センサーデバイスの製造方法は、上記適用例7に記載の効果を奏するセンサーデバイスを製造し、提供することができる。
また、センサーデバイスの製造方法は、センサーユニットを、支持部材の各支持面のうち、パッケージの支持部材接合面に対して直交または傾斜した支持面に、先に取り付ける。
これにより、センサーデバイスの製造方法は、センサーユニットを後から取り付ける、支持部材におけるパッケージの支持部材接合面に沿った支持面を、例えば吸着装置などで保持することが可能となることから、支持部材の取り扱いが容易となる。
この結果、センサーデバイスの製造方法は、支持部材のパッケージへの取り付けが容易となることから、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態のセンサーモジュールの概略構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の矢印A方向から見た側面図。
【図2】(a)は、図1(a)の矢印B方向から見た側面図であり、(b)は、図1(a)の矢印C方向から見た側面図。
【図3】図1(a)のD−D線での断面図。
【図4】センサー素子の拡大平面図。
【図5】振動ジャイロ素子の動作を説明する模式平面図。
【図6】(a)、(b)は、振動ジャイロ素子の検出振動状態を示す模式平面図。
【図7】センサーモジュールの要部拡大平面図。
【図8】センサーモジュールの要部拡大断面図。
【図9】第2実施形態のジャイロセンサーの概略構成を示す模式図であり、(a)はリッド(蓋)側から俯瞰した平面図、(b)は(a)のJ−J線での断面図。
【図10】ジャイロセンサーの製造工程を示すフローチャート。
【図11】支持部材準備工程を説明する模式斜視図。
【図12】フレキシブル配線基板接合工程を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は側面図。
【図13】振動ジャイロ素子接合工程を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は側面図。
【図14】センサーユニット第1接合工程を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の矢印K方向から見た側面図。
【図15】支持部材接合工程を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のM−M線での断面図。
【図16】センサーユニット第2接合工程を説明する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のN−N線での断面図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。
【0035】
(第1実施形態)
図1、図2は、第1実施形態のセンサーモジュールの概略構成を示す模式図である。図1(a)は、平面図であり、図1(b)は、図1(a)の矢印A方向から見た側面図である。図2(a)は、図1(a)の矢印B方向から見た側面図であり、図2(b)は、図1(a)の矢印C方向から見た側面図である。
図3は、図1(a)のD−D線での断面図であり、図4は、センサー素子の拡大平面図である。なお、以降の図を含む各図における各構成要素の寸法比率は、実際と異なる。
【0036】
図1、図2に示すように、センサーモジュール1は、支持部材10と、3つのICチップ20と、センサー素子としての3つの振動ジャイロ素子(ジャイロ振動片)30と、2種類のフレキシブル配線基板40,40aとを備えている。
【0037】
支持部材10は、構造用鋼、ステンレス鋼、銅、黄銅、燐青銅、洋伯などの金属からなり、平面形状が略L字状(逆L字状)の平板を、L字の屈曲部分で曲げ方向が互いに直交するように2箇所が直角に曲げ起こされている。
これにより、支持部材10は、図示しない第1基準平面に平行な第1支持面としての支持面11と、第1基準平面に対して直交した図示しない第2基準平面に平行な第2支持面としての支持面12と、第1基準平面及び第2基準平面に対して直交した図示しない第3基準平面に平行な第3支持面としての支持面13と、を有した構成となっている。
【0038】
支持部材10は、支持面11と支持面12との成す角度θ1、支持面12と支持面13との成す角度θ2及び支持面11と支持面13との成す角度θ3が、共に90度(直角)となっている。なお、角度θ1〜θ3については、センシング機能に影響を及ぼさない範囲で多少の誤差は許容される(例えば、0度〜2度程度)。
なお、支持面12と支持面13とは、隣り合う支持面であって、支持面12に直交する直線と支持面13に直交する直線とが、互いに遠ざかるように延びる側にある。
【0039】
図3に示すように、ICチップ20は、一面としての能動面21側に接続端子22と、外部接続端子23とを有している。
そして、ICチップ20は、能動面21の反対側の面であって、能動面21に沿った他面としての非能動面29が、支持部材10の各支持面11,12,13に、絶縁性接着剤50により支持部材10と絶縁された状態で取り付けられている。
【0040】
詳述すると、ICチップ20には、能動面21側にトランジスターやメモリー素子などの半導体素子を含んで構成される集積回路(図示せず)が形成されている。この集積回路には、振動ジャイロ素子30を駆動振動させるための駆動回路と、角速度が加わったときに振動ジャイロ素子30に生じる検出振動を検出する検出回路とが備えられている。
ICチップ20は、能動面21側に設けられた第1の電極24と、第1の電極24に電気的に接続されて能動面21側に設けられた接続端子22と、能動面21と接続端子22との間に設けられた応力緩和層25と、能動面21側に設けられた外部接続端子23とを備えている。
【0041】
第1の電極24は、ICチップ20の集積回路に直接導通して形成されたものである。また、能動面21上には、パッシベーション膜となる第1絶縁層26が形成されており、この第1絶縁層26には、第1の電極24上に開口部26aが形成されている。
このような構成によって第1の電極24は、開口部26a内にて外側に露出した状態となっている。
【0042】
第1絶縁層26上には、第1の電極24や他の電極を避けた位置に、絶縁樹脂からなる応力緩和層25が形成されている。
また、第1の電極24には、第1絶縁層26の開口部26a内にて再配置配線としての配線27が接続されている。この配線27は、集積回路の電極の再配置を行うためのもので、ICチップ20の所定部に配置された第1の電極24から延びて形成され、さらに応力緩和層25上にまで引き回されて形成されたものである。
この配線27は、ICチップ20の第1の電極24と接続端子22との間を配線することから、一般的には再配置配線とよばれ、微細設計によって位置の制約が大きい第1の電極24に対して、接続端子22の位置を任意にずらして配置し、ICチップ20における振動ジャイロ素子30との接続位置の自由度を高めるための重要な構成要素である。
【0043】
また、ICチップ20の能動面21側には、配線27や応力緩和層25、第1絶縁層26を覆って樹脂からなる耐熱性の第2絶縁層28が形成されている。なお、第2絶縁層28は、ソルダーレジストでもよい。
この第2絶縁層28には、応力緩和層25上にて配線27上に開口部28aが形成されている。このような構成によって配線27の一部は、開口部28a内にて外側に露出した状態となっている。
【0044】
そして、この開口部28a内に露出した配線27上に、接続端子22が配設されている。この接続端子22は、例えば、ハンダボール、金線、アルミニウム線などを用いてバンプ形状に形成された突起電極となっている。ここで、接続端子22として、樹脂突起の表面に金属膜や導電性接着剤などを設けたバンプ(例えば、樹脂コアバンプ)を用いることも可能である。また、金属バンプの表面に導電性接着剤などを設けることで、接続端子22による電気的接続を更に確実にしても良い。
このような構成のもとに、ICチップ20に形成された集積回路は、第1の電極24、配線27、接続端子22を介して振動ジャイロ素子30と電気的に接続されるようになっている。
この際、センサーモジュール1は、接続端子22が突起電極となっていることから、振動ジャイロ素子30とICチップ20との間に十分な隙間が設けられている。この隙間により、振動ジャイロ素子30の駆動振動や検出振動のための空間が確保されている。
【0045】
また、ICチップ20に形成された集積回路には、第1の電極24以外に図示しない他の電極が形成されている。この他の電極は、第1の電極24の場合と同様に、再配置配線が接続され、第2絶縁層28の開口部28b内にて、外部に露出した外部接続端子23と接続されている。
外部接続端子23は、例えば、ハンダボール、金線、アルミニウム線などを用いてバンプ形状に形成された突起電極となっており、フレキシブル配線基板40,40aが取り付けられるようになっている。
【0046】
第1の電極24、他の電極、配線27などの再配置配線は、金(Au)、銅(Cu)、銀(Ag)、チタン(Ti)、タングステン(W)、チタンタングステン(TiW)、窒化チタン(TiN)、ニッケル(Ni)、ニッケルバナジウム(NiV)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)などによって形成されている。
なお、これら配線27などの再配置配線としては、上記材料による単層構造のみならず、複数種類の上記材料を組み合わせた積層構造としてもよい。なお、これら配線27などの再配置配線については、通常は同一工程で形成するため、互いに同じ材料となる。
【0047】
また、第1絶縁層26、第2絶縁層28を形成するための樹脂としては、例えばポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、BCB(benzocyclobutene)及びPBO(polybenzoxazole)などが用いられる。
なお、第1絶縁層26については、酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si3N4)などの無機絶縁材料によって形成することもできる。
【0048】
ICチップ20の非能動面29は、支持部材10の各支持面11,12,13に、ポリイミド系、エポキシ系、シリコーン系などの絶縁性接着剤50により、絶縁された状態で取り付けられている。
なお、一部の図では、便宜的にICチップ20の第2絶縁層28を能動面21と表記している。
【0049】
図4に示すように、振動ジャイロ素子30は、圧電材料である水晶を基材(主要部分を構成する材料)として形成されている。水晶は、電気軸と呼ばれるX軸、機械軸と呼ばれるY軸及び光学軸と呼ばれるZ軸を有している。
そして、振動ジャイロ素子30は、水晶結晶軸において直交するX軸及びY軸で規定される平面に沿って切り出されて平板状に加工され、平面と直交するZ軸方向に所定の厚みを有している。なお、所定の厚みは、発振周波数(共振周波数)、外形サイズ、加工性などにより適宜設定される。
【0050】
また、振動ジャイロ素子30をなす平板は、水晶からの切り出し角度の誤差を、X軸、Y軸及びZ軸の各々につき多少の範囲で許容できる。例えば、平板は、X軸を中心に0度から7度の範囲で回転して切り出したものを使用することができる。これは、Y軸及びZ軸についても同様である。
振動ジャイロ素子30は、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチング(ウエットエッチングまたはドライエッチング)により形成されている。なお、振動ジャイロ素子30は、1枚の水晶ウエハーから複数個取りすることが可能である。
【0051】
振動ジャイロ素子30は、ダブルT型と呼ばれる構成となっている。
振動ジャイロ素子30は、中心部分に位置する基部31と、基部31からY軸に沿って延伸された振動部としての1対の検出用振動腕32a,32bと、検出用振動腕32a,32bと直交するように、基部31からX軸に沿って延伸された1対の連結腕33a,33bと、検出用振動腕32a,32bと略平行になるように、各連結腕33a,33bの先端側からY軸に沿って延伸された振動部としての各1対の駆動用振動腕34a,34b,35a,35bとを備えている。
【0052】
また、振動ジャイロ素子30は、基部31から各振動腕間(例えば、検出用振動腕32aと駆動用振動腕34aとの間など)を通って概ねY軸に沿って延伸された支持腕36a,36b,37a,37bと、同方向に延伸された支持腕36a,37aの先端部に跨って設けられた支持部38aと、同方向に延伸された支持腕36b,37bの先端部に跨って設けられた支持部38bとを備えている。
支持部38a,38bは、1対の連結腕33a,33bに沿って各振動腕の先端越しに延在している。
支持腕36a,36b,37a,37bは、誤検出の原因となる機械的衝撃を吸収する機能を有する。誤検出の原因となる機械的衝撃が振動ジャイロ素子30に加わった際、支持腕36a,36b,37a,37bが撓みや屈曲などの変形をすることによって、その機械的衝撃を吸収する機能を有する。よって、誤検出の原因となる機械的衝撃が、駆動用振動腕34a,34b,35a,35bや検出用振動腕32a,32bへ伝わることを抑制できる。
【0053】
また、振動ジャイロ素子30は、検出用振動腕32a,32bに、図示しない検出電極が形成され、駆動用振動腕34a,34b,35a,35bに、図示しない駆動電極が形成されている。
振動ジャイロ素子30は、検出用振動腕32a,32bで、角速度を検出する検出振動系を構成し、連結腕33a,33bと駆動用振動腕34a,34b,35a,35bとで、振動ジャイロ素子30を駆動する駆動振動系を構成している。
【0054】
また、検出用振動腕32a,32bのそれぞれの先端部には、重り部32c,32dが形成され、駆動用振動腕34a,34b,35a,35bのそれぞれの先端部には、重り部34c,34d,35c,35dが形成されている。
これにより、振動ジャイロ素子30は、小型化および角速度の検出感度の向上が図られている。
【0055】
振動ジャイロ素子30は、平面視において、ICチップ20と重なるようにICチップ20の能動面21側に配置されている。
なお、振動ジャイロ素子30は、基部31、各振動腕、各支持部を含む平板の表裏面を主面とする。本実施形態では、外部と電気的に接続される面を一方の主面30aといい、一方の主面30aと対向する面(反対側の面)を他方の主面30bという。
【0056】
振動ジャイロ素子30の支持部38a,38bの一方の主面30aには、上記各検出電極、各駆動電極から引き出された接続電極39が設けられている。
図3に示すように、振動ジャイロ素子30は、一方の主面30a(他方の主面30b)が、支持部材10の各支持面11,12,13に沿う(略平行になる)ようにして、各接続電極39がICチップ20の各接続端子22に取り付けられている(電気的及び機械的に接続されている)。
換言すれば、振動ジャイロ素子30は、一方の主面30a(他方の主面30b)が、ICチップ20の能動面21または非能動面29に沿うようにして、各接続電極39がICチップ20の各接続端子22に取り付けられている(電気的及び機械的に接続されている)。
【0057】
ここで、センサーモジュール1の振動ジャイロ素子30の動作について説明する。
図5及び図6は、振動ジャイロ素子の動作を説明する模式平面図である。図5は駆動振動状態を示し、図6(a)、図6(b)は、角速度が加わった状態における検出振動状態を示している。
なお、図5及び図6において、振動状態を簡易に表現するために、各振動腕は線で表し、各支持腕、各支持部は省略してある。
【0058】
図5において、振動ジャイロ素子30の駆動振動状態を説明する。
まず、ICチップ20の集積回路(駆動回路)から駆動信号が印加されることにより、振動ジャイロ素子30は角速度が加わらない状態において、駆動用振動腕34a,34b,35a,35bが矢印Eで示す方向に屈曲振動を行う。この屈曲振動は、実線で示す振動姿態と2点鎖線で示す振動姿態とを所定の周波数で繰り返している。
【0059】
次に、この駆動振動を行っている状態で、振動ジャイロ素子30にZ軸回りの角速度ωが加わると、振動ジャイロ素子30は、図6に示すような振動を行う。
まず、図6(a)に示すように、駆動振動系を構成する駆動用振動腕34a,34b,35a,35b及び連結腕33a,33bには、矢印F方向のコリオリ力が働く。また同時に、検出用振動腕32a,32bは、矢印F方向のコリオリ力に呼応して、矢印H方向に変形する。
【0060】
その後、図6(b)に示すように、駆動用振動腕34a,34b,35a,35b及び連結腕33a,33bには、矢印F’方向に戻る力が働く。また同時に、検出用振動腕32a,32bは、矢印F’方向の力に呼応して、矢印H’方向に変形する。
振動ジャイロ素子30は、この一連の動作を交互に繰り返して新たな振動が励起される。
なお、矢印F,F’方向の振動は、重心Gに対して周方向の振動である。そして、振動ジャイロ素子30は、検出用振動腕32a,32bに形成された検出電極が、振動により発生した水晶の歪を検出することでZ軸回りの角速度ωが求められる。
【0061】
図3に戻って、フレキシブル配線基板40は、例えば、ポリイミドなどの可撓性を有する樹脂を主体としたベース層41と、ベース層41に接合され、所望の形状にパターニングされた銅箔を主体とした配線パターン層42とを備えている。
そして、フレキシブル配線基板40は、ベース層41におけるICチップ20の能動面21側とは反対側の面に、フレキシブル配線基板40の剛性を向上させる補強部としての補強層43が、少なくともICチップ20の外部接続端子23への取り付け領域からICチップ20の端部20aを過ぎるまでの範囲に亘って設けられている。
補強層43は、配線パターン層42の各配線パターンに対応(対向)した位置に、個別の矩形形状をした島状に設けられている。
補強層43は、配線パターン層42と同じく、銅箔を主体とした金属被膜(金属)を含んでなる。
つまり、補強層43は、両面に金属被膜(例えば、銅箔)を有した両面フレキシブル配線基板の一方の面の金属被膜を上記のような所望の形状に残すことによって設けることができる。
【0062】
このように、フレキシブル配線基板40は、ベース層41、配線パターン層42、補強層43を備えた積層構造となっている。
フレキシブル配線基板40は、一方の端部44の配線パターン層42が、ICチップ20の外部接続端子23に取り付けられている(接合されている)。
なお、フレキシブル配線基板40aは、フレキシブル配線基板40から補強層43を除去したものである。
【0063】
フレキシブル配線基板40,40aは、可撓性を有することから、可撓性の程度に応じて自在に折り曲げることが可能である。
これにより、フレキシブル配線基板40,40aは、図1〜図3に示すように、ICチップ20の姿勢に関わらず、途中から折り曲げることによって、支持面11の反対面14を載置面にして支持部材10が載置されたステージ60(外部部材)に沿わせることができる。
この際、フレキシブル配線基板40は、補強層43を備えたことから、この部分の剛性が向上し、図3に示すような、ICチップ20の非能動面29側へ折り曲げられることによる、配線パターン層42とICチップ20の端部20aとの接触が生じにくくなっている。
フレキシブル配線基板40に設ける補強層43は、フレキシブル配線基板40のベース層41の材料よりもヤング率の大きい材料で形成するのが好ましい。これにより、フレキシブル配線基板40のICチップ20側への撓みを、より効果的に抑制することができる。
【0064】
なお、フレキシブル配線基板40,40aは、配線パターン層42の配線パターン間のピッチがICチップ20(一方の端部44)側より、他方の端部45側の方が広くなるように形成されていてもよい。
また、フレキシブル配線基板40,40aは、配線パターン層42を部分的に覆い、配線パターン層42を外部から絶縁、保護する保護層を備えていてもよい。
【0065】
本実施形態では、ICチップ20に振動ジャイロ素子30及びフレキシブル配線基板40,40aが取り付けられたものをセンサーユニットという。
換言すれば、センサーユニットとは、振動ジャイロ素子30及びフレキシブル配線基板40,40aが取り付けられたICチップ20を具備してなるものである。
そして、支持部材10の支持面11に取り付けられたセンサーユニットをセンサーユニット101と表記し、支持面12に取り付けられたセンサーユニットをセンサーユニット102と表記し、支持面13に取り付けられたセンサーユニットをセンサーユニット103と表記する。
なお、フレキシブル配線基板40は、センサーユニット101に用いられ、フレキシブル配線基板40aは、センサーユニット102及びセンサーユニット103に用いられている。
【0066】
図1、図2に戻って、X’軸、Y’軸及びZ’軸は、互いに直交する軸である。そして、支持部材10の支持面11は、Z’軸に直交し、支持面12は、X’軸に直交し、支持面13は、Y’軸に直交している。
これにより、支持面11に取り付けられたセンサーユニット101は、振動ジャイロ素子30の一方の主面30a(他方の主面30b)がZ’軸に直交することから、Z’軸に対する角速度を検出することができる。
同様に、支持面12に取り付けられたセンサーユニット102は、振動ジャイロ素子30の一方の主面30a(他方の主面30b)がX’軸に直交することから、X’軸に対する角速度を検出することができる。
また、同様に、支持面13に取り付けられたセンサーユニット103は、振動ジャイロ素子30の一方の主面30a(他方の主面30b)がY’軸に直交することから、Y’軸に対する角速度を検出することができる。
したがって、センサーユニット101,102,103を備えたセンサーモジュール1は、互いに直交するX’軸、Y’軸及びZ’軸の3軸に対する角速度を検出することができる。
【0067】
上述したように、第1実施形態のセンサーモジュール1は、支持部材10の互いに直交する3つの支持面11,12,13にICチップ20がそれぞれ取り付けられ、各ICチップ20の能動面21側に振動ジャイロ素子30が取り付けられている。
この際、センサーモジュール1は、振動ジャイロ素子30の一方の主面30a(他方の主面30b)が、支持部材10の各支持面11,12,13に沿うように取り付けられていることから、センサーユニット101,102,103の振動ジャイロ素子30の一方の主面30a(他方の主面30b)が、互いに直交するX’軸、Y’軸及びZ’軸に直交することとなる。
【0068】
このことから、センサーモジュール1は、例えば、1つのパッケージの内部に収納されることで、3軸に対応したセンサーデバイス(ジャイロセンサー)を提供できる。
したがって、センサーモジュール1は、3軸に対応したセンサーデバイスの実装スペースを、従来の1軸に対応したセンサーデバイスを3個用いていた構成と比較して、相当程度狭くできることから、対象機器の更なる小型化を図ることが可能となる。
【0069】
また、センサーモジュール1は、3軸に対応したセンサーデバイスを1つのパッケージで提供できることから、従来の1軸に対応したセンサーデバイスを3個用いていた構成と比較して、パッケージに関わるコストを低減できる。
【0070】
また、センサーモジュール1は、3軸に対応したセンサーデバイスを1つのパッケージで提供できることから、従来の1軸に対応したセンサーデバイスを複数用い、パッケージの取り付け姿勢を本来の取り付け姿勢と変えることで3軸に対応していた構成と比較して、耐衝撃性を向上させることが可能となる。
【0071】
また、センサーモジュール1は、支持部材10の互いに直交する3つの支持面11,12,13にICチップ20がそれぞれ取り付けられ、各ICチップ20の能動面21側に振動ジャイロ素子30の一方の主面30a(他方の主面30b)が、各支持面11,12,13に沿うように取り付けられている。
これにより、センサーモジュール1は、センシング軸(X’軸、Y’軸、Z’軸)の直交度が支持部材10の加工精度(角度θ1,θ2,θ3の精度)で決まることから、従来のような、センシング軸の直交度が、対象機器における各センサーデバイスの実装精度(パッケージの取り付け角度の精度)に依存することを解消できる。
【0072】
また、センサーモジュール1は、フレキシブル配線基板40,40aが可撓性を有することから、各ICチップ20の姿勢に関わらず、フレキシブル配線基板40,40aを折り曲げて部分的に水平状態にすることが可能となる。
このことから、センサーモジュール1は、水平状態のフレキシブル配線基板40,40aを介して、例えば、パッケージなどの外部部材への取り付け、ICチップ20及び振動ジャイロ素子30の特性検査などを容易に行うことができる。
この結果、センサーモジュール1は、生産性を向上させることができる。
【0073】
また、センサーモジュール1は、フレキシブル配線基板40,40aの配線パターン層42の配線パターン間のピッチが、ICチップ20側(一方の端部44側)より、他方の端部45側の方が広く形成されていてもよい。
このことから、センサーモジュール1は、配線パターン層42にプローブを接触させての振動ジャイロ素子30及びICチップ20の調整及び特性検査や、パッケージなどの外部部材への取り付けを容易に行うことができる。
この結果、センサーモジュール1は、生産性を向上させることができる。
【0074】
また、センサーモジュール1は、センサーユニット101のICチップ20の外部接続端子23に、フレキシブル配線基板40が取り付けられ、フレキシブル配線基板40におけるICチップ20の能動面21側とは反対側の面に、剛性を向上させる補強層43が、少なくともICチップ20の外部接続端子23への取り付け領域からICチップ20の端部20aを過ぎるまでの範囲に亘って設けられている。
これにより、センサーモジュール1は、フレキシブル配線基板40における少なくともICチップ20の外部接続端子23への取り付け領域からICチップ20の端部20aを過ぎるまでの範囲に亘って剛性が向上する。
従って、センサーモジュール1は、例えば、パッケージなどの外部部材への取り付け時に、前述したような、フレキシブル配線基板40が容易に折れ曲がり、ICチップ20の端部20aに接触することが生じ難くなる。
この結果、センサーモジュール1は、例えば、ICチップ20の端部20aに能動面21が露出している場合などにおける、フレキシブル配線基板40とICチップ20との接触によるフレキシブル配線基板40の配線パターン層42とICチップ20との短絡や、ICチップ20を介した配線パターン層42の配線パターン間の短絡を回避することができる。
【0075】
また、センサーモジュール1は、フレキシブル配線基板40の補強層43が、金属被膜であることから、例えば、両面フレキシブル配線基板の一方の金属被膜(銅箔)の一部を上述した形状に残すことで補強層43が形成可能となる。
このことから、センサーモジュール1は、新規な別部材を必ずしも用意する必要はなく、合理的にフレキシブル配線基板40の補強層43を設けることができる。
【0076】
また、センサーモジュール1は、ICチップ20の接続端子22が能動面21側に突出した突起電極であることから、振動ジャイロ素子30とICチップ20との間に隙間を設けることが可能となり、振動ジャイロ素子30とICチップ20との接触を回避することが可能となる。
これにより、センサーモジュール1は、振動ジャイロ素子30の安定的な駆動を行うことができる。
【0077】
また、センサーモジュール1は、支持部材10の支持面12と支持面13とが、隣り合う支持面であって、支持面12に直交する直線と支持面13に直交する直線とが、互いに遠ざかるように延びる側にある。
これにより、センサーモジュール1は、支持面12,13が互いに接近しても、支持面12,13に取り付けられているICチップ20、振動ジャイロ素子30、フレキシブル配線基板40aが互いに干渉することを回避できる。
したがって、センサーモジュール1は、各構成要素をより接近させて配置できることから、さらなる小型化を図ることができる。
また、支持部材10の材料として導電体を用いたり、あるいは、支持部材10の母材として絶縁体を用いた場合でも、支持部材10の表面に導電性材料による皮膜を施したりすることによって、異なる検出軸間におけるICチップ20や振動ジャイロ素子30の不要な容量結合を抑制することができる。すなわち、支持部材10のシールド効果により、センサーユニット101,102,103間の不要な容量結合を低減することができる。
加えて、センサーモジュール1は、支持面12の反対面(裏面)と支持面13の反対面(裏面)とに、センサーユニット102,103を取り付けた場合と比較して、フレキシブル配線基板40aの引き回しが単純となることから、フレキシブル配線基板40aをパッケージなどの外部部材へ容易に取り付けることができる。
【0078】
なお、センサーモジュール1は、図7の要部拡大平面図に示すように、フレキシブル配線基板40の補強層43の形状が、配線パターン層42の配線パターン間に跨る略矩形形状であってもよい。
フレキシブル配線基板40の補強層43の平面形状は、所望の剛性に応じて、本実施形態の形状を含めた上記形状などから適宜選択してもよい。
【0079】
なお、センサーモジュール1は、センサーユニット102,103に、フレキシブル配線基板40aに代えて、補強層43を有したフレキシブル配線基板40を用いてもよい。
これによれば、センサーモジュール1は、センサーユニット102,103におけるフレキシブル配線基板40aをフレキシブル配線基板40とすることで、フレキシブル配線基板40aで起こり得るICチップ20側への折れ曲がりによる両者の短絡を回避することができる。
なお、センサーモジュール1は、フレキシブル配線基板40の補強層43を、例えば、ポリイミド系、エポキシ系などの樹脂を含んでなる部材で構成してもよい。
【0080】
なお、センサーモジュール1は、図8の要部拡大断面図に示すように、支持部材10の各支持面11,12,13に凹部15が設けられていてもよい。
これによれば、センサーモジュール1は、ICチップ20を凹部15に配置することで、ICチップ20を各支持面11,12,13の所定の位置に精度よく取り付けることができる。
なお、凹部15は、各支持面11,12,13の法線視において、ICチップ20の全周を取り囲む形状が好ましいが、ICチップ20の一辺側が囲まれていない形状であってもよい。
【0081】
なお、センサーモジュール1は、パッケージ(外部部材)への接合面(反対面14)と直交する支持面12に、センサーユニット102が取り付けられ、センサーユニット101,103が除去された構成とすることもできる。または、センサーモジュール1は、支持面13に、センサーユニット103が取り付けられ、センサーユニット101,102が除去された構成とすることもできる。
これらにより、センサーモジュール1は、センサー素子(振動ジャイロ素子30)の主面をパッケージの底面に対して直交した姿勢で実装する1軸に対応したセンサーデバイスにおける、センサー素子の確実な実装構造を提供できる。
【0082】
なお、センサーモジュール1は、センサーユニット101,102,103のいずれか1つを除去して、互いに直交する2軸に対する角速度を検出する構成としてもよい。なお、この場合には、支持部材10の形状をL型アングル形状としてもよい。
また、センサーモジュール1は、支持部材10を平板の曲げ加工品ではなく、直方体または立方体としてもよい。
【0083】
なお、センサーモジュール1は、振動ジャイロ素子30の接続電極39を基部31の一方の主面30aに設けることにより、振動ジャイロ素子30の支持腕36a,36b,37a,37b及び支持部38a,38bを除去した構成としてもよい。
これによれば、センサーモジュール1は、ICチップ20の平面サイズを振動ジャイロ素子30の平面サイズより小さくすることができる。
【0084】
また、センサーモジュール1は、センサー素子の特性によって各支持面11,12,13が互いに直交せずに、角度θ1,θ2,θ3が鋭角または鈍角になる構成(傾斜した構成)となってもよい。
【0085】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態のセンサーデバイスとしてのジャイロセンサーの概略構成を示す模式図である。図9(a)は、リッド(蓋)側から俯瞰した平面図であり、図9(b)は、図9(a)のJ−J線での断面図である。
なお、平面図では、便宜的にリッドを省略し、リッドの内壁形状を2点鎖線で示してある。
また、上記第1実施形態との共通部分については、同一符号を付して説明を省略し、上記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0086】
図9に示すように、ジャイロセンサー2は、センサーモジュール1と、センサーモジュール1を収納するパッケージ90と、を有し、センサーモジュール1がパッケージ90の内部に配置され収納されている。
【0087】
パッケージ90は、矩形平板状のパッケージベース91と、凹部92を有しパッケージベース91を覆うリッド93などから構成されている。
パッケージベース91には、セラミックグリーンシートを成形して焼成した酸化アルミニウム質焼結体、水晶、ガラスなどが用いられている。
リッド93には、パッケージベース91と同材料、または、コバール、42アロイ、ステンレス鋼などの金属が用いられている。
【0088】
パッケージベース91の上面94(リッド93に覆われる面)には、センサーモジュール1の各センサーユニット101,102,103のフレキシブル配線基板40,40aに対応した位置に内部端子95,96,97が設けられている。
パッケージベース91の下面98(パッケージ90の底面であって、上面94に沿っている面)には、外部機器(外部部材)などに実装される際に用いられる複数の外部端子99が設けられている。
内部端子95,96,97は、図示しない内部配線により、外部端子99に接続されている。
内部端子95,96,97及び外部端子99は、例えば、タングステン(W)などのメタライズ層にニッケル(Ni)、金(Au)などの各被膜をメッキなどにより積層した金属被膜からなる。
【0089】
なお、パッケージは、凹部を有したパッケージベースと、パッケージベースを覆う平板状のリッドなどから構成されていてもよい。また、パッケージは、パッケージベース及びリッドの両方に凹部を有していてもよい。
【0090】
センサーモジュール1は、パッケージベース91の上面94に載置され、支持面11の反対面14(裏面)が、接着剤などの接合部材51により上面94に取り付けられている。
そして、センサーモジュール1は、センサーユニット101のフレキシブル配線基板40における他方の端部45の配線パターン層42が、導電性接着剤、異方性導電膜、ハンダなどの導電性を有する接合部材52により、パッケージベース91の内部端子95に取り付けられている。
同様に、センサーモジュール1は、センサーユニット102のフレキシブル配線基板40aにおける他方の端部45の配線パターン層42が、接合部材52によりパッケージベース91の内部端子96に取り付けられている。
また、同様に、センサーモジュール1は、センサーユニット103のフレキシブル配線基板40aにおける他方の端部45の配線パターン層42が、接合部材52によりパッケージベース91の内部端子97に取り付けられている。
これらにより、ジャイロセンサー2は、センサーモジュール1の各センサーユニット101,102,103と内部端子95,96,97と外部端子99とが、互いに電気的に接続されている。
【0091】
ジャイロセンサー2は、パッケージベース91の上面94にセンサーモジュール1が上記のように取り付けられた状態で、パッケージベース91がリッド93により覆われ、パッケージベース91にリッド93が、シームリング、低融点ガラス、接着剤などの接合部材53により取り付けられることによって、パッケージ90の内部が気密に封止されている。
なお、パッケージ90の内部は、各センサーユニット101,102,103の振動ジャイロ素子30の振動が阻害されないように、真空状態(真空度が高い状態)に保持されていることが好ましい。
【0092】
ジャイロセンサー2は、互いに直交するX’軸、Y’軸、Z’軸の3軸に対する角速度を検出するセンサーモジュール1をパッケージ90内に備えたことから、3軸に対応したジャイロセンサーとなっている。
このことから、ジャイロセンサー2は、例えば、撮像機器の手ぶれ補正や、GPS(Global Positioning System)衛星信号を用いた移動体ナビゲーションシステムにおける車両などの姿勢検出、姿勢制御などに用いられる。
【0093】
ここで、ジャイロセンサー2の製造方法の一例について説明する。
図10は、ジャイロセンサーの製造工程を示すフローチャートであり、図11〜図16は、主要製造工程を説明する模式図である。
【0094】
図10に示すように、ジャイロセンサー2の製造方法は、支持部材準備工程S1と、ICチップ準備工程S2と、振動ジャイロ素子準備工程S3と、フレキシブル配線基板準備工程S4と、パッケージ準備工程S5と、フレキシブル配線基板接合工程S6と、振動ジャイロ素子接合工程S7と、調整及び特性検査工程S8と、センサーユニット第1接合工程S9と、支持部材接合工程S10と、センサーユニット第2接合工程S11と、リッド接合工程S12と、を含んでいる。
【0095】
[支持部材準備工程S1]
まず、図11に示すように、前述した互いに直交する3つの支持面11,12,13を有した支持部材10を用意する。
【0096】
[ICチップ準備工程S2]
ついで、能動面21側に接続端子22と外部接続端子23とを有したICチップ20を用意する(図1、図3参照)。
【0097】
[振動ジャイロ素子準備工程S3]
ついで、図4に示す、基部31と、基部31から延伸された各振動腕(32aなど)と、各支持部38a,38bに設けられた接続電極39とを有した振動ジャイロ素子30を用意する。
【0098】
[フレキシブル配線基板準備工程S4]
ついで、可撓性を有したフレキシブル配線基板40,40aを用意する(図1、図3参照)。なお、上述したように、フレキシブル配線基板40には、剛性を向上させる補強層43が、少なくともICチップ20の外部接続端子23への取り付け領域からICチップ20の端部20aを過ぎるまでの範囲に亘って設けられている。
【0099】
[パッケージ準備工程S5]
ついで、上記各構成要素を収納するパッケージ90(パッケージベース91、リッド93など)を用意する(図8参照)。
なお、各準備工程S1〜S5の順番は、上記順番に限定するものではなく、順不同で構わない。
【0100】
[フレキシブル配線基板接合工程S6]
ついで、図12に示すように、ICチップ20の外部接続端子23に、フレキシブル配線基板40,40aの一方の端部44の配線パターン層42を、超音波接合法、加熱加圧接合法などにより取り付ける(接合する)(接合部分の詳細は図3参照)。
なお、図12では、ICチップ20上にフレキシブル配線基板40,40aを載置して取り付けているが、フレキシブル配線基板40,40aを反転してステージ(作業台)上に載置し、反転したICチップ20をフレキシブル配線基板40,40a上に載置してICチップ20の外部接続端子23をフレキシブル配線基板40,40aの配線パターン層42に取り付けてもよい。
【0101】
[振動ジャイロ素子接合工程S7]
ついで、図13に示すように、ICチップ20の能動面21(第2絶縁層28)側に振動ジャイロ素子30を配置し、振動ジャイロ素子30の一方の主面30a(他方の主面30b)が能動面21(第2絶縁層28)または非能動面29に沿うように(略平行になるように)、振動ジャイロ素子30の接続電極39をICチップ20の接続端子22に取り付ける(接合する)(接合部分の詳細は図3参照)。
これにより、ICチップ20に振動ジャイロ素子30及びフレキシブル配線基板40,40aが取り付けられたセンサーユニット101,102,103が得られる。
【0102】
[調整及び特性検査工程S8]
ついで、フレキシブル配線基板40,40aを介して、振動ジャイロ素子30及びICチップ20の調整及び特性検査を行う。
具体的には、センサーユニット101,102,103を図示しない調整装置、特性検査装置にセットして、振動ジャイロ素子30の各振動腕の各重り部に設けられた金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)などの金属被膜にレーザーを照射して除去することによって各振動腕の質量のバランスをとるバランス調整(バランスチューニング)などの調整作業や、振動ジャイロ素子30及びICチップ20の各種特性検査を行う。
【0103】
[センサーユニット第1接合工程S9]
ついで、図14に示すように、センサーユニット102,103を、支持部材10の支持面12,13に取り付ける(接合する)。
詳述すると、センサーユニット102,103のICチップ20の非能動面29側を、絶縁性接着剤50により支持部材10と絶縁された状態で、支持部材10における各支持面11,12,13のうち、パッケージ90の支持部材接合面としてのパッケージベース91の上面94に対して直交する支持面である支持面12,13に取り付ける。
つまり、センサーユニット102を支持面12に取り付け、センサーユニット103を支持面13に取り付ける。
この際、各振動ジャイロ素子30の一方の主面30a(他方の主面30b)は、各支持面12,13に沿った状態となっている。
【0104】
[支持部材接合工程S10]
ついで、図15に示すように、パッケージベース91の上面94に沿った支持面11を図示しない吸着装置で吸着して、各センサーユニット102,103が取り付けられた支持部材10を搬送し、支持面11の反対面14をパッケージベース91の上面94に接合部材51を用いて取り付ける。
なお、接合部材51には、短絡を防止する観点から絶縁性を有した接着剤が好ましい。
【0105】
[センサーユニット第2接合工程S11]
ついで、図16に示すように、センサーユニット101をパッケージベース91の上面94に沿った支持面11に取り付ける。
詳述すると、センサーユニット101のICチップ20の非能動面29側を、絶縁性接着剤50を用いて支持部材10と絶縁された状態で、支持部材10の支持面11に取り付ける。
ついで、センサーユニット101,102,103のフレキシブル配線基板40,40aにおける他方の端部45の配線パターン層42を、接合部材52によりパッケージベース91の上面94の内部端子95,96,97にそれぞれ取り付ける。
これにより、センサーモジュール1が構成され、センサーモジュール1は、パッケージ90の内部に配置されたこととなる。
【0106】
[リッド接合工程S12]
ついで、図9に戻って、真空状態(真空度の高い状態)でリッド93を接合部材53によってパッケージベース91に取り付け、パッケージ90の内部を気密に封止する。これにより、パッケージ90の内部を真空状態に保持する。また、これにより、センサーモジュール1は、パッケージ90の内部に収納されたこととなる。
なお、大気中でリッド93をパッケージベース91に取り付けた後、パッケージベース91またはリッド93に設けた貫通孔を介してパッケージ90の内部を減圧し、貫通孔を封止することによってパッケージ90の内部を真空状態(真空度の高い状態)に保持してもよい。
【0107】
上記各工程などを経ることにより、図9に示すようなジャイロセンサー2を得る。
なお、上記各工程の順番は、必要に応じて適宜入れ換えてもよい。例えば、支持部材準備工程S1は、センサーユニット第1接合工程S9の直前でもよく、パッケージ準備工程S5は、支持部材接合工程S10の直前でもよく、フレキシブル配線基板接合工程S6と振動ジャイロ素子接合工程S7とは、互いに順番を入れ換えてもよい。
なお、センサーユニット第1接合工程S9において、センサーユニット102,103のフレキシブル配線基板40aの内部端子96,97への取り付けを行ってもよい。
【0108】
上述したように、第2実施形態のジャイロセンサー2は、第1実施形態のセンサーモジュール1が、パッケージ90に収納されたことから、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
主要な効果として、ジャイロセンサー2は、1つのパッケージ90の内部にX’軸、Y’軸、Z’軸の3軸に対応したセンサーモジュール1が収納されていることで、3軸に対応したジャイロセンサーを提供できる。
したがって、ジャイロセンサー2は、従来の1軸に対応したジャイロセンサーを3個用いていた構成と比較して、実装スペースを相当程度狭くできることから、対象機器(ジャイロセンサーが搭載される機器)の更なる小型化を図ることが可能となる。
【0109】
また、ジャイロセンサー2は、3軸に対応したジャイロセンサーを1つのパッケージ90で提供できることから、従来の1軸に対応したジャイロセンサーを3個用いていた構成と比較して、パッケージに関わるコストを低減できる。
【0110】
また、ジャイロセンサー2は、センサーモジュール1の支持部材10の互いに直交する3つの支持面11,12,13にICチップ20がそれぞれ取り付けられ、各ICチップ20の能動面21側に振動ジャイロ素子30の一方の主面30a(他方の主面30b)が、各支持面11,12,13に沿うように取り付けられている。
これにより、ジャイロセンサー2は、センシング軸(X’軸、Y’軸、Z’軸)の直交度が支持部材10の加工精度で決まることから、従来のような、センシング軸の直交度が、対象機器における各ジャイロセンサーの実装精度(取り付け角度の精度)に依存することを解消できる。
【0111】
また、ジャイロセンサー2は、センサーユニット101のICチップ20の外部接続端子23に、フレキシブル配線基板40が取り付けられ、フレキシブル配線基板40におけるICチップ20の能動面21側とは反対側の面に、剛性を向上させる補強層43が、少なくともICチップ20の外部接続端子23への取り付け領域からICチップ20の端部20aを過ぎるまでの範囲に亘って設けられている。
これにより、ジャイロセンサー2は、フレキシブル配線基板40における少なくともICチップ20の外部接続端子23への取り付け領域からICチップ20の端部20aを過ぎるまでの範囲に亘って剛性が向上する。
従って、ジャイロセンサー2は、センサーモジュール1のパッケージベース91への取り付け時に、前述したような、フレキシブル配線基板40が容易に折れ曲がり、ICチップ20の端部20aに接触することが生じ難くなる。
この結果、ジャイロセンサー2は、例えば、ICチップ20の端部20aに能動面21が露出している場合などにおける、フレキシブル配線基板40とICチップ20との接触によるフレキシブル配線基板40の配線パターン層42とICチップ20との短絡や、ICチップ20を介した配線パターン層42の配線パターン間の短絡を回避することができる。
【0112】
なお、ジャイロセンサー2は、センサーモジュール1の各センサーユニット101,102,103のいずれか1つを除去することにより、2軸に対応したジャイロセンサーを提供できる。
また、ジャイロセンサー2は、センサーモジュール1の各センサーユニット101,102,103のいずれか1つを残す(他の2つを除去する)ことにより、検出軸(X’軸、Y’軸、Z’軸)の方向に関わらず、パッケージ90の取り付け姿勢を変える必要がない1軸に対応したジャイロセンサーを提供できる。
【0113】
また、ジャイロセンサー2の製造方法は、上記の効果を奏するジャイロセンサーを製造し、提供することができる。
また、ジャイロセンサー2の製造方法は、センサーユニット102,103を、支持部材10の各支持面11,12,13のうち、パッケージベース91の上面94と直交する支持面12,13に、支持面11より先に接合する。
これにより、ジャイロセンサー2の製造方法は、支持部材10におけるパッケージベース91の上面94に沿った、センサーユニット101が接合されていない支持面11を、吸着装置などで吸着し、支持部材10を保持することが可能となることから、支持部材10の取り扱い(搬送)が容易となる。
この結果、ジャイロセンサー2の製造方法は、センサーユニット102,103が取り付けられた支持部材10の、パッケージベース91への取り付けが容易となることから、生産性を向上させることができる。
【0114】
なお、ジャイロセンサー2は、支持部材10を反転させて、反対面14がリッド93の天井(凹部92の底面)側を向くようにパッケージ90内に配置してもよい。この際、ジャイロセンサー2は、センサーユニット101を、支持面11直下のパッケージベース91の上面94に直接取り付けてもよく、支持部材10の反対面14に取り付けてもよい。
なお、このときは、センサーユニット102,103のフレキシブル配線基板40aがパッケージベース91の上面94側に位置するように、センサーユニット102,103の取り付け方向も変えることとなる。
【0115】
なお、上記各実施形態では、振動ジャイロ素子30の基材を水晶としたが、これに限定するものではなく、例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電体、またはシリコン(Si)などの半導体であってもよい。
また、振動ジャイロ素子30は、ダブルT型以外にも、二脚音叉、三脚音叉、H型音叉、くし歯型、直交型、角柱型など、種々のジャイロ素子を用いることが可能である。
また、ジャイロ素子は振動型以外のものであってもよい。
また、振動ジャイロ素子30の振動の駆動方法や検出方法は、圧電体の圧電効果を用いた圧電型によるものの他に、クーロン力を利用した静電型によるものや、磁力を利用したローレンツ型によるものなどであってもよい。
また、センサー素子の検出軸(センシング軸)は、センサー素子の主面に直交する軸のほかに、センサー素子の主面に平行な軸であってもよい。
【0116】
また、上記各実施形態では、センサーモジュールのセンサー素子として振動ジャイロ素子を例に挙げたが、これに限定するものではなく、例えば、加速度に反応する加速度感知素子、圧力に反応する圧力感知素子、重さに反応する重量感知素子などでもよい。
また、上記第2実施形態では、センサーデバイスとしてジャイロセンサーを例に挙げたが、これに限定するものではなく、例えば、上記加速度感知素子を備えたセンサーモジュールを用いた加速度センサー、圧力感知素子を備えたセンサーモジュールを用いた圧力センサー、重量感知素子を備えたセンサーモジュールを用いた重量センサーなどでもよい。
【0117】
(電子機器)
上記ジャイロセンサー、加速度センサー、圧力センサー、重量センサーなどのセンサーデバイスは、デジタルスチールカメラ、ビデオカメラ、ナビゲーション装置、車体姿勢検出装置、ポインティングデバイス、ゲームコントローラー、携帯電話、ヘッドマウントディスプレイなどの電子機器に、センシング機能を備えたデバイスとして好適に用いることができ、いずれの場合にも上記各実施形態で説明した効果を奏する電子機器を提供することができる。
【符号の説明】
【0118】
1…センサーモジュール、2…センサーデバイスとしてのジャイロセンサー、10…支持部材、11…第1支持面としての支持面、12…第2支持面としての支持面、13…第3支持面としての支持面、14…反対面、20…ICチップ、21…一面としての能動面、22…接続端子、23…外部接続端子、24…第1の電極、25…応力緩和層、26…第1絶縁層、26a…開口部、27…配線、28…第2絶縁層、28a,28b…開口部、29…他面としての非能動面、30…センサー素子としての振動ジャイロ素子、30a…一方の主面、30b…他方の主面、31…基部、32a,32b…検出用振動腕、32c,32d…重り部、33a,33b…連結腕、34a,34b…駆動用振動腕、34c,34d…重り部、35a,35b…駆動用振動腕、35c,35d…重り部、36a,36b,37a,37b…支持腕、38a,38b…支持部、39…接続電極、40,40a…フレキシブル配線基板、41…ベース層、42…配線パターン層、43…補強部としての補強層、44…一方の端部、45…他方の端部、50…絶縁性接着剤、51,52,53…接合部材、60…ステージ(外部部材)、90…パッケージ、91…パッケージベース、92…凹部、93…リッド、94…支持部材接合面としての上面、95,96,97…内部端子、98…下面、99…外部端子、101,102,103…センサーユニット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基準平面に平行な第1支持面と、前記第1基準平面に対して直交または傾斜した第2基準平面に平行な第2支持面と、を有した支持部材と、
一面側に接続端子と外部接続端子を有し、前記一面に沿った他面側が前記第1支持面及び前記第2支持面の少なくとも一方に取り付けられているICチップと、
前記ICチップの少なくとも一つの前記外部接続端子に取り付けられているフレキシブル配線基板と、
接続電極を有し、前記接続電極が前記ICチップの前記接続端子に取り付けられており、前記ICチップの前記一面側に配置され、主面が前記支持部材の前記第1支持面及び前記第2支持面のうち、前記ICチップが取り付けられている支持面に沿っているセンサー素子と、を備え、
前記フレキシブル配線基板の前記ICチップ側とは反対側の面に、前記フレキシブル配線基板の剛性を向上させる補強部が、平面視で、前記外部接続端子への取り付け領域から前記ICチップの端部を過ぎるまでの範囲に亘って設けられていることを特徴とするセンサーモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサーモジュールにおいて、前記支持部材は、前記第1基準平面及び前記第2基準平面に対して直交または傾斜した第3基準平面に平行な第3支持面を有し、
前記ICチップが、前記第3支持面に取り付けられ、
前記センサー素子は、前記ICチップの前記一面側に配置され、前記主面が前記第3支持面に沿うように、前記接続電極が前記ICチップの前記接続端子に取り付けられたことを特徴とするセンサーモジュール。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のセンサーモジュールにおいて、前記フレキシブル配線基板の前記補強部は、金属を含んでなることを特徴とするセンサーモジュール。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3に記載のセンサーモジュールにおいて、前記ICチップの前記接続端子は、前記一面側に突出した突起電極であることを特徴とするセンサーモジュール。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のセンサーモジュールにおいて、前記ICチップは、前記支持部材の前記第1支持面ないし前記第3支持面のうち、隣り合う2つの支持面であって、
前記2つの支持面に直交する直線が互いに遠ざかるように延びる側となる前記2つの支持面に取り付けられたことを特徴とするセンサーモジュール。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のセンサーモジュールにおいて、前記第1支持面ないし前記第3支持面の少なくとも1つには、凹部が設けられたことを特徴とするセンサーモジュール。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のセンサーモジュールと、
前記センサーモジュールを収納するパッケージと、を有し、
前記センサーモジュールが、前記パッケージ内に収納されたことを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のセンサーモジュールを備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
第1基準平面に平行な第1支持面と、前記第1基準平面に対して直交または傾斜した第2基準平面に平行な第2支持面と、を有した支持部材、または第1基準平面に平行な第1支持面と、前記第1基準平面に対して直交または傾斜した第2基準平面に平行な第2支持面と、前記第1基準平面及び第2基準平面に対して直交または傾斜した第3基準平面に平行な第3支持面と、を有した支持部材を用意する工程と、
一面と該一面に沿った他面とを備え、前記一面側に接続端子と外部接続端子とを有したICチップを用意する工程と、
接続電極を有したセンサー素子を用意する工程と、
複数のフレキシブル配線基板であって、少なくとも1つのフレキシブル配線基板における前記ICチップ側とは反対側となる面に、剛性を向上させる補強部が、少なくとも前記ICチップの前記外部接続端子への取り付け領域から前記ICチップの端部を過ぎるまでの範囲に亘って設けられたフレキシブル配線基板を用意する工程と、
前記各構成要素を収納するパッケージを用意する工程と、
前記ICチップの前記外部接続端子に前記フレキシブル配線基板を取り付ける工程と、
前記ICチップの前記一面側に前記センサー素子を配置し、前記センサー素子の主面が前記一面または前記他面に沿うように、前記センサー素子の前記接続電極を前記ICチップの前記接続端子に取り付ける工程と、
前記フレキシブル配線基板を介して、前記センサー素子及び前記ICチップの調整及び特性検査を行う工程と、
前記センサー素子及び前記フレキシブル配線基板が取り付けられた前記ICチップを具備してなるセンサーユニットの、前記ICチップの前記他面側を、前記支持部材の前記第1支持面ないし前記第3支持面のうち、前記パッケージの支持部材接合面に対して直交または傾斜した支持面の少なくとも1つに取り付ける工程と、
前記センサーユニットが取り付けられた前記支持部材を、前記パッケージの前記支持部材接合面に取り付ける工程と、
前記パッケージの前記支持部材接合面に取り付けられた前記支持部材の前記第1支持面ないし前記第3支持面のうち、前記パッケージの前記支持部材接合面に沿った支持面に、別の前記センサーユニットであって、前記補強部を備えた前記フレキシブル配線基板が取り付けられた前記センサーユニットの前記ICチップの前記他面側を取り付ける工程と、
前記各センサーユニットの前記各フレキシブル配線基板を前記パッケージの前記支持部材接合面に取り付ける工程と、
を含むことを特徴とするセンサーデバイスの製造方法。
【請求項1】
第1基準平面に平行な第1支持面と、前記第1基準平面に対して直交または傾斜した第2基準平面に平行な第2支持面と、を有した支持部材と、
一面側に接続端子と外部接続端子を有し、前記一面に沿った他面側が前記第1支持面及び前記第2支持面の少なくとも一方に取り付けられているICチップと、
前記ICチップの少なくとも一つの前記外部接続端子に取り付けられているフレキシブル配線基板と、
接続電極を有し、前記接続電極が前記ICチップの前記接続端子に取り付けられており、前記ICチップの前記一面側に配置され、主面が前記支持部材の前記第1支持面及び前記第2支持面のうち、前記ICチップが取り付けられている支持面に沿っているセンサー素子と、を備え、
前記フレキシブル配線基板の前記ICチップ側とは反対側の面に、前記フレキシブル配線基板の剛性を向上させる補強部が、平面視で、前記外部接続端子への取り付け領域から前記ICチップの端部を過ぎるまでの範囲に亘って設けられていることを特徴とするセンサーモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサーモジュールにおいて、前記支持部材は、前記第1基準平面及び前記第2基準平面に対して直交または傾斜した第3基準平面に平行な第3支持面を有し、
前記ICチップが、前記第3支持面に取り付けられ、
前記センサー素子は、前記ICチップの前記一面側に配置され、前記主面が前記第3支持面に沿うように、前記接続電極が前記ICチップの前記接続端子に取り付けられたことを特徴とするセンサーモジュール。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のセンサーモジュールにおいて、前記フレキシブル配線基板の前記補強部は、金属を含んでなることを特徴とするセンサーモジュール。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3に記載のセンサーモジュールにおいて、前記ICチップの前記接続端子は、前記一面側に突出した突起電極であることを特徴とするセンサーモジュール。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のセンサーモジュールにおいて、前記ICチップは、前記支持部材の前記第1支持面ないし前記第3支持面のうち、隣り合う2つの支持面であって、
前記2つの支持面に直交する直線が互いに遠ざかるように延びる側となる前記2つの支持面に取り付けられたことを特徴とするセンサーモジュール。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のセンサーモジュールにおいて、前記第1支持面ないし前記第3支持面の少なくとも1つには、凹部が設けられたことを特徴とするセンサーモジュール。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のセンサーモジュールと、
前記センサーモジュールを収納するパッケージと、を有し、
前記センサーモジュールが、前記パッケージ内に収納されたことを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のセンサーモジュールを備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
第1基準平面に平行な第1支持面と、前記第1基準平面に対して直交または傾斜した第2基準平面に平行な第2支持面と、を有した支持部材、または第1基準平面に平行な第1支持面と、前記第1基準平面に対して直交または傾斜した第2基準平面に平行な第2支持面と、前記第1基準平面及び第2基準平面に対して直交または傾斜した第3基準平面に平行な第3支持面と、を有した支持部材を用意する工程と、
一面と該一面に沿った他面とを備え、前記一面側に接続端子と外部接続端子とを有したICチップを用意する工程と、
接続電極を有したセンサー素子を用意する工程と、
複数のフレキシブル配線基板であって、少なくとも1つのフレキシブル配線基板における前記ICチップ側とは反対側となる面に、剛性を向上させる補強部が、少なくとも前記ICチップの前記外部接続端子への取り付け領域から前記ICチップの端部を過ぎるまでの範囲に亘って設けられたフレキシブル配線基板を用意する工程と、
前記各構成要素を収納するパッケージを用意する工程と、
前記ICチップの前記外部接続端子に前記フレキシブル配線基板を取り付ける工程と、
前記ICチップの前記一面側に前記センサー素子を配置し、前記センサー素子の主面が前記一面または前記他面に沿うように、前記センサー素子の前記接続電極を前記ICチップの前記接続端子に取り付ける工程と、
前記フレキシブル配線基板を介して、前記センサー素子及び前記ICチップの調整及び特性検査を行う工程と、
前記センサー素子及び前記フレキシブル配線基板が取り付けられた前記ICチップを具備してなるセンサーユニットの、前記ICチップの前記他面側を、前記支持部材の前記第1支持面ないし前記第3支持面のうち、前記パッケージの支持部材接合面に対して直交または傾斜した支持面の少なくとも1つに取り付ける工程と、
前記センサーユニットが取り付けられた前記支持部材を、前記パッケージの前記支持部材接合面に取り付ける工程と、
前記パッケージの前記支持部材接合面に取り付けられた前記支持部材の前記第1支持面ないし前記第3支持面のうち、前記パッケージの前記支持部材接合面に沿った支持面に、別の前記センサーユニットであって、前記補強部を備えた前記フレキシブル配線基板が取り付けられた前記センサーユニットの前記ICチップの前記他面側を取り付ける工程と、
前記各センサーユニットの前記各フレキシブル配線基板を前記パッケージの前記支持部材接合面に取り付ける工程と、
を含むことを特徴とするセンサーデバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−193971(P2012−193971A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56253(P2011−56253)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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