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センサー装置
説明

センサー装置

【課題】コンクリートの品質劣化を防止しつつ、測定対象物の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができるセンサー装置を提供すること。
【解決手段】本発明のセンサー装置1は、電気抵抗体3と、電気抵抗体3に対して離間して設けられた電気抵抗体4と、電気抵抗体3上に設けられ、毛管凝縮効果を生じるように厚さ方向に貫通する貫通孔82を有する絶縁膜8と、電気抵抗体4上に設けられ、毛管凝縮効果を実質的に生じないように厚さ方向に貫通する貫通孔92を有する絶縁膜9と、電気抵抗体3、4の抵抗値をそれぞれ測定する機能を有する機能素子51とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
センサー装置としては、例えば、コンクリート中の鉄筋の腐食状態を測定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
施工直後のコンクリート構造物中のコンクリートは、通常、強アルカリ性を呈する。そのため、施工直後のコンクリート構造物中の鉄筋は、その表面に不動態膜が形成されるため、安定である。しかし、施工後に酸性雨や排気ガス等の影響を受けたコンクリート構造物は、コンクリートが徐々に酸性化していくため、鉄筋が腐食することとなる。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1に係るセンサー装置では、コンクリート構造物中の鉄筋と同種材料からなる細線をコンクリート構造物中に埋設し、腐食による細線の断線の有無を検知することにより、コンクリート中の鉄筋の腐食状況を予測する。
特許文献1に係るセンサー装置では、細線が切断されたタイミングにより、コンクリート構造物中の鉄筋の腐食が始まった時期を知ることは可能である。しかし、特許文献1に係るセンサー装置では、細線が腐食し始めてから切断に至るまでの間に鉄筋の腐食が進行してしまい、鉄筋の腐食前に予防的または計画的な保全を行うことができないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−153568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、コンクリートの品質劣化を防止しつつ、測定対象物の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができるセンサー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のセンサー装置は、第1の電気抵抗体と、
前記第1の電気抵抗体に対して離間して設けられた第2の電気抵抗体と、
前記第1の電気抵抗体上に設けられ、毛管凝縮効果を生じるように厚さ方向に貫通する貫通孔を有する絶縁膜と、
前記第1の電気抵抗体および前記第2の電気抵抗体の抵抗値をそれぞれ測定する機能を有する機能素子とを備えることを特徴とする。
【0007】
このように構成されたセンサー装置によれば、第1の電気抵抗体を第2の電気抵抗体よりも塩化物イオンにより腐食されやすくするとともに、第1の電気抵抗体を第2の電気抵抗体よりも二酸化炭素により腐食されにくくすることができる。
そのため、第1の電気抵抗体の抵抗値に基づいて、塩化物イオンの侵入(塩害)を検知し、また、第2の電気抵抗体の抵抗値に基づいて、二酸化炭素の侵入(中性化)を検知することができる。
このようなことから、コンクリートの品質劣化を防止しつつ、測定対象物の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができる。
【0008】
本発明のセンサー装置は、第1の電気抵抗体と、
前記第1の電気抵抗体に対して離間して設けられた第2の電気抵抗体と、
前記第1の電気抵抗体上に設けられ、毛管凝縮効果を生じるように厚さ方向に貫通する第1の貫通孔を有する第1の絶縁膜と、
前記第2の電気抵抗体上に設けられ、毛管凝縮効果を実質的に生じないように厚さ方向に貫通する第2の貫通孔を有する第2の絶縁膜と、
前記第1の電気抵抗体および前記第2の電気抵抗体の抵抗値をそれぞれ測定する機能を有する機能素子とを備えることを特徴とする。
【0009】
このように構成されたセンサー装置によれば、第1の電気抵抗体を第2の電気抵抗体よりも塩化物イオンにより腐食されやすくするとともに、第1の電気抵抗体を第2の電気抵抗体よりも二酸化炭素により腐食されにくくすることができる。
そのため、第1の電気抵抗体の抵抗値に基づいて、塩化物イオンの侵入(塩害)を検知し、また、第2の電気抵抗体の抵抗値に基づいて、二酸化炭素の侵入(中性化)を検知することができる。
このようなことから、コンクリートの品質劣化を防止しつつ、測定対象物の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができる。
【0010】
本発明のセンサー装置では、前記第2の貫通孔の幅は、前記第1の貫通孔の幅よりも大きいことが好ましい。
これにより、比較的簡単に、毛管凝縮効果を生じるように第1の貫通孔を形成するとともに、毛管凝縮効果を実質的に生じないように第2の貫通孔を形成することができる。
本発明のセンサー装置では、前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜は、それぞれ、多孔質体で構成されていることが好ましい。
これにより、比較的簡単に、毛管凝縮効果を生じるように第1の貫通孔を形成するとともに、毛管凝縮効果を実質的に生じないように第2の貫通孔を形成することができる。
【0011】
本発明のセンサー装置では、前記第1の電気抵抗体は、長尺状をなし、
前記第1の絶縁膜は、前記第1の電気抵抗体の長手方向での一部の表面に接触していることが好ましい。
これにより、第1の電気抵抗体を局所的に腐食させ、第1の電気抵抗体を腐食により切断されやすくすることができる。
【0012】
本発明のセンサー装置では、前記第1の電気抵抗体は、前記第1の絶縁膜に覆われていない部分の表面積が前記第1の絶縁膜に覆われている部分の表面積よりも大きいことが好ましい。
これにより、電気抵抗体の腐食を促進することができる。
本発明のセンサー装置では、前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜は、それぞれ、耐アルカリ性を有する材料から構成されていることが好ましい。
これにより、測定対象部位がコンクリートである場合であっても、第1の絶縁膜および第2の絶縁膜の耐久性を優れたものとすることができる。そのため、コンクリートの状態を長期に亘り安定して測定することができる。
【0013】
本発明のセンサー装置では、前記第1の電気抵抗体および前記第2の電気抵抗体は、それぞれ、測定対象部位の環境変化に伴って表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる金属材料で構成されていることが好ましい。
これにより、測定対象部位のpHが所定値以上である場合に、第1の電気抵抗体および第2の電気抵抗体の表面に不動態膜が形成される。そのため、測定対象部位のpHが所定値以上であるか否かにより、第1の電気抵抗体および第2の電気抵抗体の二酸化炭素による腐食されやすさが急激に変化する。このようなことから、第1の電気抵抗体または第2の電気抵抗体の抵抗値に基づいて、測定対象部位に二酸化炭素が侵入したことを高精度に検知することができる。
【0014】
本発明のセンサー装置では、前記金属材料は、鉄、ニッケルまたはこれらを含む合金であることが好ましい。
これらの金属は比較的安価で入手が容易である。また、例えば、センサー装置をコンクリート構造物の状態測定に用いた場合、第1の電気抵抗体および第2の電気抵抗体をコンクリート構造物中の鉄筋と同一材料(または近似した材料)で構成することが可能であり、コンクリート構造物中の鉄筋の腐食状態を効果的に検知することができる。
【0015】
本発明のセンサー装置では、前記機能素子は、前記電気抵抗体の抵抗値に基づいて、前記測定対象部位のpHあるいは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知する機能をも有することが好ましい。
これにより、測定対象物のpH変化あるいは塩化物イオン濃度変化に伴う状態変化を検知することができる。
本発明のセンサー装置は、アンテナと、前記アンテナに給電する機能を有する通信用回路とを有し、
前記機能素子は、前記通信用回路を駆動制御する機能をも有することが好ましい。
これにより、無線により測定対象物の外部へ測定結果を送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図である。
【図2】図1に示すセンサー装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す電気抵抗体および機能素子を説明するための平面図である。
【図4】図2に示す電気抵抗体を説明するための断面図(図3中のA−A線断面図)である。
【図5】図2に示す電気抵抗体(第1の電気抵抗体)を説明するための拡大断面図である。
【図6】図2に示す電気抵抗体(第2の電気抵抗体)を説明するための拡大断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るセンサー装置を示す平面図である。
【図8】図7に示す電気抵抗体を説明するための断面図(図7中のA−A線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のセンサー装置の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図、図2は、図1に示すセンサー装置の概略構成を示すブロック図、図3は、図2に示す電気抵抗体および機能素子を説明するための平面図、図4は、図2に示す電気抵抗体を説明するための断面図(図3中のA−A線断面図)、図5は、図2に示す電気抵抗体(第1の電気抵抗体)を説明するための拡大断面図、図6は、図2に示す電気抵抗体(第2の電気抵抗体)を説明するための拡大断面図である。
【0018】
なお、以下では、本発明のセンサー装置をコンクリート構造物の品質測定に用いる場合を例に説明する。
図1に示すセンサー装置1は、コンクリート構造物100の品質を測定するものである。
コンクリート構造物100は、コンクリート101内に複数の鉄筋102が埋設されている。そして、センサー装置1は、コンクリート構造物100のコンクリート101内の鉄筋102付近に埋設されている。なお、センサー装置1は、コンクリート構造物100の打設する際に、コンクリート101の打設前に鉄筋に固定して埋め込んでもよいし、打設後に硬化したコンクリート101に穿孔して埋め込んでもよい。
【0019】
このセンサー装置1は、本体2と、その本体2上に設けられた電気抵抗体3、4とを有する。本実施形態では、電気抵抗体3(第1の電気抵抗体)および電気抵抗体4(第2の電気抵抗体)は、鉄筋102よりもコンクリート構造物100の外表面側において、コンクリート構造物100の外表面からの距離が互いに等しくなるように設置されている。また、電気抵抗体3および電気抵抗体4は、それぞれ、コンクリート構造物100の外表面に対して平行または略平行となるように設置されている。そして、電気抵抗体3および電気抵抗体4は、それぞれ、コンクリート101の測定対象部位の酸または塩化物イオンによって腐食し、切断するように構成されている。また、図1では説明の便宜上図示を省略しているが、電気抵抗体3上には、絶縁膜(第1の絶縁膜)8が設けられ、また、電気抵抗体4上には、絶縁膜(第2の絶縁膜)9が設けられている(図3、4参照)。なお、電気抵抗体3、電気抵抗体4、絶縁膜8および絶縁膜9については、後に詳述する。
また、センサー装置1は、図2に示すように、電気抵抗体3および電気抵抗体4にそれぞれ電気的に接続された機能素子51と、電源52と、温度センサー53と、通信用回路54と、アンテナ55と、発振器56とを有し、これらが本体2内に収納されている。
【0020】
以下、センサー装置1を構成する各部を順次説明する。
(本体)
本体2は、電気抵抗体3、電気抵抗体4および機能素子51等を支持する機能を有する。
このような本体2は、図3および図4に示すように、電気抵抗体3、電気抵抗体4および機能素子51を支持する基板21を有する。なお、基板21は、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56をも支持するが、図3および図4では、説明の便宜上、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56の図示を省略している。
【0021】
この基板21は、絶縁性を有する。基板21としては、特に限定されず、例えば、アルミナ基板、樹脂基板等を用いることができる。
この基板21上には、例えばソルダーレジストのような絶縁性の樹脂組成物で構成された絶縁層23が設けられている。そして、この絶縁層23を介して基板21上には、電気抵抗体3、電気抵抗体4および機能素子51が実装されている。
【0022】
図3に示すように、機能素子51の導体部61、62(電極パッド)が配線71、72を介して電気抵抗体3の両端部に電気的に接続され、機能素子51の導体部63、64(電極パッド)が配線73、74を介して電気抵抗体4の両端部に電気的に接続されている。
また、本体2は、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を収納する機能を有する。
【0023】
特に、本体2は、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を液密的に収納するように構成されている。
具体的には、図3および図4に示すように、本体2は、封止部24を有する。この封止部24は、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を封止する機能を有する。これにより、センサー装置1を水分やコンクリートの存在下に設置した場合に、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56の劣化を防止することができる。
【0024】
ここで、封止部24は、絶縁膜8、9の電気抵抗体3、4とは反対側の部分を露出させつつ、かかる部分以外の各部を覆うように設けられている。これにより、かかる部分以外の各部の劣化を防止しつつ、センサー装置1が測定を行うことができる。また、より確実に、後述するように、電気抵抗体3の絶縁膜8で覆われていない部分の酸(CO)による腐食を抑制するとともに、電気抵抗体4の絶縁膜9で覆われていない部分の塩化物イオンによる腐食を抑制することができる。なお、電気抵抗体3、4の一部が露出していてもよい。
【0025】
封止部24の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂のような熱硬化性樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、封止部24は、必要に応じて設ければよく、省略することもできる。
【0026】
(電気抵抗体)
電気抵抗体3および電気抵抗体4は、図4に示すように、それぞれ、前述した本体2の基板21上に設けられている。特に、電気抵抗体3および電気抵抗体4は、同一平面上に設けられている。そのため、電気抵抗体3および電気抵抗体4の設置環境の差が生じるのを防止することができる。
【0027】
また、電気抵抗体3および電気抵抗体4は、互いに電位の影響を受けない程度(例えば数mm)に離間している。
この電気抵抗低3、4は、それぞれ、酸または塩化物イオンにより腐食するものである。そのため、電気抵抗体3、4は、酸または塩化物イオンの環境下で、腐食により切断される。
【0028】
また、電気抵抗体3、4の外形は、それぞれ、板状またはシート状をなしている。また、電気抵抗体3、4は、それぞれ、長尺状をなしている。すなわち、電気抵抗体3、4は、それぞれ、帯状をなしている。これにより、電気抵抗体3、4をそれぞれ腐食により切断され易くすることができる。
また、電気抵抗体3は、電気抵抗体4よりも長尺となっている。なお、電気抵抗体3、4の長さの関係は、これに限定されず、例えば、電気抵抗体4が電気抵抗体3よりも長尺であってもよいし、電気抵抗体の長さと電気抵抗体4の長さが等しくてもよい。
【0029】
このような電気抵抗体3(第1の電気抵抗体)の構成材料としては、酸または塩化物イオンの存在下で腐食するものであれば、特に限定されないが、測定対象部位の環境変化に伴って表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる金属材料を用いるのが好ましい。
これにより、測定対象部位のpHが所定値以上である場合に、電気抵抗体3の表面に不動態膜が形成される。
このような不動態膜(第1の不動態膜)を形成する金属材料(第1の金属材料)としては、例えば、Fe、Ni、Mg、Znまたはこれらを含む合金等が挙げられる。
【0030】
例えば、Feは、pHが約9よりも大きいときに不動態膜を形成する。また、FeAl(Al0.8%)系炭素鋼は、pHが約4よりも大きいときに不動態膜を形成する。また、Niは、pHが8〜14であるときに不動態膜を形成する。また、Mgは、pHが10.5よりも大きいときに不動態膜を形成する。また、Znは、pHが6〜12であるときに不動態膜を形成する。
【0031】
また、例えば、炭素鋼(SD345)は、塩化物イオン濃度が約1.2kg/mを超えたときに不動態膜の破壊が始まる。
中でも、電気抵抗体3を構成する金属材料は、FeまたはFeを含む合金(Fe系合金)、すなわち鉄系材料(具体的には、炭素鋼、合金鋼、SUS等)、ニッケルまたはこれらを含む合金であるのが好ましい。これらの材料は安価で入手が容易である。また、本実施形態のように、センサー装置1をコンクリート構造物100の状態測定に用いた場合、電気抵抗体3の構成材料をコンクリート構造物100の鉄筋102と同一または近似の材料とすることが可能であり、鉄筋102の腐食環境状態を効果的に検知することができる。例えば、電気抵抗体3がFeで構成されている場合、pHが9以上か否かの判断ができる。
【0032】
一方、電気抵抗体4(第2の電気抵抗体)の構成材料としては、電気抵抗体3の構成材料と同様、酸または塩化物イオンの存在下で腐食するものであれば、特に限定されないが、不動態膜(第2の不動態膜)を形成する金属材料(第2の金属材料)、例えば、Fe、Ni、Mg、Znまたはこれらを含む合金等を用いるのが好ましい。
また、電気抵抗体4の構成材料は、前述した電気抵抗体3の構成材料と同じであっても異なっていてもよい。
【0033】
このような電気抵抗体3および電気抵抗体4は、それぞれ、特に限定されず、成膜法を用いて形成することができる。
また、電気抵抗体3、4の厚さは、それぞれ、特に限定されないが、腐食による電気抵抗の変化が大きく、コンクリート強度に影響を及ぼさないためには、10nm以上5mm以下であるのが好ましい。
【0034】
(第1の絶縁膜)
絶縁膜8は、電気抵抗体3の基板21とは反対側の面を覆うように設けられている。そして、絶縁膜8は、図5に示すように、複数の貫通孔82を構成する複数の空孔を有する多孔質体83で構成されている。そして、各貫通孔82は、隣接する空孔同士が連通する連続空孔(細孔)であり、絶縁膜8の厚さ方向に貫通するとともに、絶縁膜8の表面に開口している。
【0035】
この各貫通孔82は、毛管凝縮効果を生じさせるように構成されている。これにより、水分を含有するコンクリート101内において、各貫通孔82内を水で満たすことができる。
このように貫通孔82内が水で満たされていると、コンクリート101内に塩化物イオンが侵入したとき、その塩化物イオンを貫通孔82内の水を通じて電気抵抗体3上に供給することができる。
【0036】
また、貫通孔82内が水で満たされていると、コンクリート101内に二酸化炭素が侵入していても、その二酸化炭素は、貫通孔82内の水によりブロックされるため、電気抵抗体3上に到達しにくくなる。そのため、電気抵抗体3上に塩化物イオンを選択的に供給することができる。すなわち、電気抵抗体3は、二酸化炭素(中性化)による腐食よりも、塩化物イオンによる腐食の方が生じやすくなる。
【0037】
本実施形態では、絶縁膜8が前述したような連続空孔を有する多孔質体83で構成されている。これにより、空孔の径を適宜設定することにより、比較的簡単に、毛管凝縮効果を生じるように貫通孔82を形成することができる。
また、絶縁膜8の各貫通孔82による毛管凝縮効果を効果的に生じさせることができる。そのため、電気抵抗体3上に安定して液体の水を存在させることができる。すなわち、仮に絶縁膜8を省略した場合に電気抵抗体3上に結露が生じないような低い相対湿度においても、電気抵抗体3上に結露させて液体の水を存在させることができる。
【0038】
このようなことから、コンクリート101内に塩化物イオンが侵入すると、コンクリート101内の水分とともに塩化物イオンを速やかに電気抵抗体3上に供給することができる。その結果、電気抵抗体3が塩化物イオンにより腐食しやすくなり、コンクリート101内への塩化物イオンの侵入を迅速に検知することができる。
また、複数の貫通孔82の幅(平均幅)W1は、前述したように毛管凝縮効果を生じ得る範囲であれば、特に限定されないが、例えば、2nm以上1000nm以下であるのが好ましく、10nm以上1000nm以下であるのがより好ましく、10nm以上50nm以下であるのがさらに好ましい。すなわち、貫通孔82は、メソ孔であるのが好ましい。
【0039】
さらに、絶縁膜8を構成する多孔質体83の空孔率は、それぞれ、前述したように毛管凝縮効果を生じ得る範囲であれば、特に限定されないが、例えば、10%以上90%以下であるのが好ましい。
また、絶縁膜8の構成材料としては、絶縁性を有するものであれば、特に限定されないが、絶縁性および耐久性に優れるという観点から、例えば、金属やシリコンの酸化物、窒化物、フッ化物等(セラミックス材料)を用いるのが好ましい。なお、絶縁膜8の構成材料として、樹脂材料を用いることもできる。
【0040】
また、絶縁膜8は、耐アルカリ性を有するのが好ましい。例えば、絶縁膜8の構成材料として、SiO、Si等の耐アルカリ性に優れた材料を用いるのが好ましい。これにより、測定対象部位がコンクリート101である場合であっても、絶縁膜8の耐久性を優れたものとすることができる。そのため、コンクリート101の状態を長期に亘り安定して測定することができる。
【0041】
また、絶縁膜8の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、10nm以上1000nm以下であるのが好ましい。これにより、前述したような毛管凝集効果を生じ得る貫通孔82を有する絶縁膜8を比較的簡単に形成することができる。これに対し、かかる平均厚さが薄すぎると、前述したような毛管凝集効果を生じ得る貫通孔82を形成するのが難しく、一方、かかる平均厚さが厚すぎると、貫通孔82を通じて水分等を電気抵抗体3に供給するのが難しくなる。
【0042】
このような絶縁膜8は、特に限定されず、公知の多孔質体膜の形成方法を用いて形成することができる。例えば、絶縁膜8が金属酸化物で構成されている場合、金属酸化物の前駆体である金属オキソ種と、ポリスチレン系界面活性剤とを極性溶媒に溶解した前駆溶液をスピンコート、インクジェット法等の塗布法により成膜し、乾燥、焼成することにより絶縁膜8を形成することができる。
なお、図5に示す複数の貫通孔82の形状は、一例であり、前述したように絶縁膜8の連続空孔が毛管凝縮効果を発揮し得るものであれば、図示のものに限定されず、絶縁膜8は、連続空孔を有する公知の各種多孔質体で構成することができる。また、貫通孔82は、例えばエッチング等により形成され、規則的な形状をなしていてもよい。
【0043】
(第2の絶縁膜)
絶縁膜9は、電気抵抗体4の基板21とは反対側の面を覆うように設けられている。そして、絶縁膜9は、図6に示すように、複数の貫通孔92を構成する複数の空孔を有する多孔質体93で構成されている。そして、各貫通孔92は、隣接する空孔同士が連通する連続空孔(細孔)であり、絶縁膜9の厚さ方向に貫通するとともに、絶縁膜9の表面に開口している。
【0044】
この各貫通孔92は、毛管凝縮効果を実質的に生じさせないように構成されている。これにより、水分を含有するコンクリート101内においても、各貫通孔92内が水で満たされるのを防止し、各貫通孔92内にその貫通方向での全域に亘って気体を存在させることができる。なお、ここで、「毛管凝集効果を実質的に生じさせない」とは、毛管凝集効果を全く生じさせないか、または、毛管凝集効果を生じていても、その作用(効果)が著しく少ないことをいう。
【0045】
このように貫通孔92内に気体が存在していると、コンクリート101内に二酸化炭素が侵入したとき、その二酸化炭素を貫通孔92内を通じて電気抵抗体4上に供給することができる。
また、貫通孔92内に気体が存在していると、コンクリート101内に塩化物イオンが侵入していても、その塩化物イオンは、貫通孔82内の気体によりブロックされるため、電気抵抗体4上に到達しにくくなる。そのため、電気抵抗体4上に二酸化炭素を選択的に供給することができる。すなわち、電気抵抗体4は、塩化物イオンによる腐食よりも、二酸化炭素(中性化)による腐食の方が生じやすくなる。
【0046】
本実施形態では、絶縁膜9が前述したような連続空孔を有する多孔質体93で構成されている。これにより、空孔の径を適宜設定することにより、比較的簡単に、毛管凝縮効果を実質的に生じないように貫通孔92を形成することができる。
また、貫通孔92の幅W2は、前述した絶縁膜8の貫通孔82の幅W1よりも大きい。これにより、比較的簡単に、毛管凝縮効果を生じるように貫通孔82を形成するとともに、毛管凝縮効果を実質的に生じないように貫通孔92を形成することができる。
【0047】
また、複数の貫通孔92の幅(平均幅)W2は、前述したように毛管凝縮効果を生じさせない範囲であれば、特に限定されないが、例えば、0.1mm以上1mm以下であるのが好ましい。
さらに、絶縁膜9を構成する多孔質体93の空孔率は、それぞれ、特に限定されないが、例えば、10%以上90%以下であるのが好ましい。
【0048】
また、絶縁膜9の構成材料としては、絶縁性を有するものであれば、特に限定されず、前述した絶縁膜8と同様の材料を用いることができる。
また、絶縁膜9の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、10nm以上1000nm以下であるのが好ましい。
このような絶縁膜9は、特に限定されず、前述した絶縁膜8と同様、公知の多孔質体膜の形成方法を用いて形成することができる。
なお、図6に示す複数の貫通孔92の形状は、一例であり、前述したように絶縁膜9の連続空孔が毛管凝縮効果を生じさせないものであれば、図示のものに限定されず、絶縁膜9は、連続空孔を有する公知の各種多孔質体で構成することができる。また、貫通孔92は、例えばエッチング等により形成され、規則的な形状をなしていてもよい。
【0049】
(機能素子)
機能素子51は、前述した本体2の内部に埋設されている。なお、機能素子51は、前述した本体2の基板21に対して電気抵抗体3および電気抵抗体4とは、同一面に設けても、反対側に設けても良い。
この機能素子51は、電気抵抗体3および電気抵抗体4の抵抗値をそれぞれ測定する機能を有する。これにより、電気抵抗体3、4の抵抗値に基づいて、測定対象部位の状態を測定することができる。
【0050】
また、機能素子51は、電気抵抗体3および電気抵抗体4の抵抗値に基づいて、測定対象物であるコンクリート構造物100の測定対象部位のpHあるいは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知する機能をも有する。これにより、コンクリート構造物100のpH変化あるいは塩化物イオン濃度変化に伴う状態変化を検知することができる。
このような機能素子51は、例えば、集積回路である。より具体的には、機能素子51は、例えば、MCU(マイクロコントロールユニット)であり、図2に示すように、CPU511と、A/D変換回路512と、測定回路514とを有する。
【0051】
また、機能素子51は、電源52からの通電により作動する。電源52は、機能素子51を動作可能な電力を供給できるものであれば、特に限定されず、例えば、ボタン型電池のような電池であってもよいし、圧電素子のような発電機能を有する素子を用いた電源ものであってもよい。
また、機能素子51は、温度センサー53の検知温度情報を取得し得るように構成されている。これにより、測定対象部位の温度に関する情報も得ることができる。このような温度に関する情報を用いることにより、測定対象部位の状態をより正確に測定したり、測定対象部位の変化を高精度に予想したりすることができる。
【0052】
温度センサー53は、測定対象物であるコンクリート構造物100の測定対象部位の温度を検知する機能を有する。このような温度センサー53としては、特に限定されず、例えば、サーミスター、熱電対等の公知の様々な種類の温度センサーを用いることができる。
また、機能素子51は、通信用回路54を駆動制御する機能をも有する。例えば、機能素子51は、電気抵抗体3、4の抵抗値に関する情報(以下、単に「抵抗値情報」ともいう)と、測定対象部位のpHあるいは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かに関する情報(以下、単に「pH情報」ともいう)とをそれぞれ通信用回路54に入力する。また、機能素子51は、温度センサー53によって検知された温度に関する情報(以下、単に「温度情報」ともいう)も併せて通信用回路54に入力する。
【0053】
通信用回路54は、アンテナ55に給電する機能(送信機能)を有する。これにより、通信用回路54は、入力された情報をアンテナ55を介して無線送信することができる。送信された情報は、コンクリート構造物100の外部に設けられた受信機(リーダー)で受信される。
この通信用回路54は、例えば、電磁波を送信するための送信回路、信号を変調する機能を有する変調回路等を有する。なお、通信用回路54は、信号の周波数を小さく変換する機能を有するダウンコンバータ回路、信号の周波数を大きく変換する機能を有するアップコンバータ回路、信号を増幅する機能を有する増幅回路、電磁波を受信するための受信回路、信号を復調する機能を有する復調回路等を有していてもよい。
【0054】
また、アンテナ55は、特に限定されないが、例えば、金属材料、カーボン等で構成され、巻線、薄膜等の形態をなす。
また、機能素子51は、発振器56からのクロック信号を取得し得るように構成されている。これにより、各回路の同期をとったり、各種情報に時刻情報を付加したりすることができる。
【0055】
発振器56は、特に限定されないが、例えば、水晶振動子を利用した発振回路で構成されている。
以上説明したように構成されたセンサー装置1を用いた測定方法は、電気抵抗体3および電気抵抗体4を測定対象物であるコンクリート構造物100内にそれぞれ埋設し、電気抵抗体3、4の抵抗値に基づいて、コンクリート構造物100の状態を測定する。
【0056】
以下、電気抵抗体3、4がFe(炭素鋼)で構成されている場合を一例として、センサー装置1の作用を説明する。
打設直後のコンクリート構造物100において、通常、適切に打設されていれば、コンクリート101は強アルカリ性を呈する。そのため、このとき、電気抵抗体3および電気抵抗体4は、それぞれ、安定な不動態膜を形成する。
【0057】
その後、コンクリート構造物100は、二酸化炭素、酸性雨、排気ガス等の影響により、コンクリート101のpHが徐々に酸性側に変化していく。
コンクリート101のpHが9程度にまで下がる前に、コンクリート構造物100のコンクリート101の測定対象部位に塩化物イオンが侵入すると、測定対象部位の塩化物イオン濃度が炭素鋼を腐食させる限界濃度(約1.2kg/m)に達していなくても(約0.1kg/m程度であっても)、電気抵抗体3に形成された不動態膜が絶縁膜8の各貫通孔82を通じた塩化物により腐食し、電気抵抗体3の抵抗値が大きくなる。なお、測定対象部位の塩化物イオン濃度が炭素鋼を腐食させる限界濃度に達していなくても、電気抵抗体3に形成された不動態膜が腐食するのは、貫通孔82を通じた塩化物イオンにより隙間腐食または孔食と同一または近似の現象が生じるためである。
【0058】
一方、電気抵抗体4においては、測定対象部位の塩化物イオン濃度が炭素鋼を腐食させる限界濃度に達するまでの間、電気抵抗体4に形成された不動態膜は、塩化物イオンの存在下においても、腐食せず、電気抵抗体4の抵抗値がほとんど変化せず低い状態に維持される。
そして、測定対象部位の塩化物イオン濃度が炭素鋼を腐食させる限界濃度に達すると、電気抵抗体4も腐食し、電気抵抗体4の抵抗値が大きくなる。ただし、塩化物イオンによる電気抵抗体4の腐食速度は、塩化物イオンによる電気抵抗体3の腐食速度よりも遅い。
このような電気抵抗体3、4の抵抗値に基づいて、測定対象部位への塩化物イオンの侵入を段階的に検知することができる。
【0059】
また、コンクリート構造物100のコンクリート101の測定対象部位に塩化物イオンが侵入していなくても、コンクリート101へ二酸化炭素が侵入し、コンクリート101のpHが9程度にまで下がると、電気抵抗体3、4がともに腐食し、電気抵抗体3、4の抵抗値がともに大きくなる。ただし、二酸化炭素による電気抵抗体4の腐食速度は、二酸化炭素による電気抵抗体3の腐食速度よりも遅い。
このような電気抵抗体3、4の抵抗値に基づいて、測定対象部位のpHが9程度になったことを検知することができる。
【0060】
このような検知結果を利用することにより、コンクリート構造物100の打設後の品質の経時変化をモニタリングすることができる。そのため、鉄筋102が腐食する前に、コンクリート101の劣化(中性化や塩分侵入)を把握することができる。これにより、鉄筋102が腐食する前に、コンクリート構造物100に塗装や防腐剤混入モルタル等による補修工事を行うことが可能となる。
【0061】
また、コンクリート構造物100の打設時に異常があった否かを判断することもできる。そのため、コンクリート構造物100の初期トラブルを防止し、コンクリート構造物100の品質を向上させることができる。
以上説明したように第1実施形態のセンサー装置1によれば、電気抵抗体3を電気抵抗体4よりも塩化物イオンにより腐食されやすくするとともに、電気抵抗体3を電気抵抗体4よりも二酸化炭素により腐食されにくくすることができる。
【0062】
そのため、電気抵抗体3の抵抗値に基づいて、塩化物イオンの侵入(塩害)を検知し、また、電気抵抗体4の抵抗値に基づいて、二酸化炭素の侵入(中性化)を検知することができる。これにより、塩化物イオンの侵入と二酸化炭素の侵入とを区別して検知することができる。
このようなことから、センサー装置1は、コンクリート101の品質劣化を防止しつつ、コンクリート構造物100の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋102の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができる。
【0063】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係るセンサー装置を示す平面図、図8は、図7に示す電気抵抗体を説明するための断面図(図7中のA−A線断面図)である。
以下、第2実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0064】
第2実施形態のセンサー装置は、第1の電気抵抗体および第1の絶縁膜の形状が異なるとともに、第2の絶縁膜を省略した以外は、第1実施形態のセンサー装置とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
図7に示すセンサー装置1Aは、本体2A上に設けられた電気抵抗体3A(第1の電気抵抗体)と、電気抵抗体3Aの表面に接触して設けられた絶縁膜8Aとを有する。
【0065】
ここで、本体2Aは、開口部241を有する封止部24Aを備えている。この封止部24Aは、開口部241から電気抵抗体3Aおよび電気抵抗体4の一部をそれぞれ露出させつつ、電気抵抗体3Aおよび電気抵抗体4以外の各部を覆うように設けられている。これにより、封止部24Aが電気抵抗体3Aおよび電気抵抗体4以外の各部の劣化を防止しつつ、センサー装置1Aが測定を行うことができる。なお、開口部241は、電気抵抗体3Aの少なくとも一部および電気抵抗体4の少なくとも一部を露出するように形成されていればよい。
【0066】
電気抵抗体3Aは、長尺状をなし、その途中に幅狭の部分を有する。すなわち、電気抵抗体3は、幅広の2つの第1の部分31、32と、この2つの第1の部分31、32間に形成された幅狭の第2の部分33とから構成されている。
この第2の部分33の平面視での面積は、第1の部分31の平面視での面積、および、第1の部分32の平面視での面積よりも小さくなっている。すなわち、第1の部分31の平面視での面積、および、第1の部分32の平面視での面積は、それぞれ、第2の部分33の平面視での面積よりも大きくなっている。これにより、電気抵抗体3Aの腐食時にカソード反応を生じる部分の表面積を大きくすることができる。また、電気抵抗体3Aの腐食時にアノード反応を生じる部分の横断面(電流が流れる方向に直交する断面)の面積を小さくし、絶縁膜8A付近において電気抵抗体3Aが腐食により切断されやすくすることができる。
【0067】
絶縁膜8Aは、前述した電気抵抗体3Aの第2の部分33上に設けられている。
特に、絶縁膜8Aは、電気抵抗体3Aの長手方向での一部の表面に接触している。これにより、電気抵抗体3Aを局所的に腐食させ、電気抵抗体3Aを腐食により切断されやすくすることができる。
このような絶縁膜8Aは、公知の成膜法により形成することができる。
【0068】
このようなセンサー装置1Aによれば、電気抵抗体4の塩化物イオンによる腐食前に、電気抵抗体3Aの第2の部分33を塩化物イオンにより腐食させることができる。
特に、電気抵抗体3Aは、絶縁膜8Aに覆われていない部分(開口部241から露出した部分)の表面積が絶縁膜8Aに覆われた部分の表面積よりも大きい。これにより、電気抵抗体3Aの腐食を促進することができる。
【0069】
以上説明したような第2実施形態に係るセンサー装置1Aによっても、コンクリート101の品質劣化を防止しつつ、測定対象物の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋102の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができる
以上、本発明のセンサー装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0070】
例えば、本発明のセンサー装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。また、例えば、本発明の測定方法では、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。
また、前述した実施形態では電気抵抗体がそれぞれ基板上に設けられた場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、電気抵抗体は、例えば、センサー装置の本体の封止樹脂で構成された部分の外表面上に設けてもよい。
【0071】
また、電気抵抗体の設置位置、大きさ(大小関係)、数等についても、前述したような測定が可能であれば、前述した実施形態に限定されず、任意である。
また、前述した実施形態では機能素子がCPU、A/D変換回路および測定回路を有する場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、機能素子には、ROM、RAM、各種駆動回路等の他の回路が組み込まれていてもよい。
【0072】
また、前述した実施形態では電気抵抗体の抵抗値に関する情報をアクティブタグ通信により無線送信によりセンサー装置外部へ送信する場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、パッシブタグ通信を用いて情報をセンサー装置の外部へ送信してもよいし、有線により情報をセンサー装置の外部へ送信してもよい。
また、前述した実施形態では機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を本体2内に収納し、これらを電気抵抗体3および電気抵抗体4とともに測定対処物であるコンクリート構造物100内に埋設する場合を例に説明したが、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を測定対象物の外部に設けてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1‥‥センサー装置 1A‥‥センサー装置 2‥‥本体 2A‥‥本体 3‥‥電気抵抗体 3A‥‥電気抵抗体 4‥‥電気抵抗体 8‥‥絶縁膜 8A‥‥絶縁膜 9‥‥絶縁膜 21‥‥基板 23‥‥絶縁層 24‥‥封止部 24A‥‥封止部 31‥‥第1の部分 32‥‥第1の部分 33‥‥第2の部分 51‥‥機能素子 52‥‥電源 53‥‥温度センサー 54‥‥通信用回路 55‥‥アンテナ 56‥‥発振器 61‥‥導体部 62‥‥導体部 63‥‥導体部 64‥‥導体部 71‥‥配線 72‥‥配線 73‥‥配線 74‥‥配線 82‥‥貫通孔 83‥‥多孔質体 92‥‥貫通孔 93‥‥多孔質体 100‥‥コンクリート構造物 101‥‥コンクリート 102‥‥鉄筋 241‥‥開口部 511‥‥CPU 512‥‥変換回路 514‥‥測定回路 W1‥‥幅 W2‥‥幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電気抵抗体と、
前記第1の電気抵抗体に対して離間して設けられた第2の電気抵抗体と、
前記第1の電気抵抗体上に設けられ、毛管凝縮効果を生じるように厚さ方向に貫通する貫通孔を有する絶縁膜と、
前記第1の電気抵抗体および前記第2の電気抵抗体の抵抗値をそれぞれ測定する機能を有する機能素子とを備えることを特徴とするセンサー装置。
【請求項2】
第1の電気抵抗体と、
前記第1の電気抵抗体に対して離間して設けられた第2の電気抵抗体と、
前記第1の電気抵抗体上に設けられ、毛管凝縮効果を生じるように厚さ方向に貫通する第1の貫通孔を有する第1の絶縁膜と、
前記第2の電気抵抗体上に設けられ、毛管凝縮効果を実質的に生じないように厚さ方向に貫通する第2の貫通孔を有する第2の絶縁膜と、
前記第1の電気抵抗体および前記第2の電気抵抗体の抵抗値をそれぞれ測定する機能を有する機能素子とを備えることを特徴とするセンサー装置。
【請求項3】
前記第2の貫通孔の幅は、前記第1の貫通孔の幅よりも大きい請求項2に記載のセンサー装置。
【請求項4】
前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜は、それぞれ、多孔質体で構成されている請求項2または3に記載のセンサー装置。
【請求項5】
前記第1の電気抵抗体は、長尺状をなし、
前記第1の絶縁膜は、前記第1の電気抵抗体の長手方向での一部の表面に接触している請求項2ないし4のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項6】
前記第1の電気抵抗体は、前記第1の絶縁膜に覆われていない部分の表面積が前記第1の絶縁膜に覆われている部分の表面積よりも大きい請求項5に記載のセンサー装置。
【請求項7】
前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜は、それぞれ、耐アルカリ性を有する材料から構成されている請求項2ないし6のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項8】
前記第1の電気抵抗体および前記第2の電気抵抗体は、それぞれ、測定対象部位の環境変化に伴って表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる金属材料で構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項9】
前記金属材料は、鉄、ニッケルまたはこれらを含む合金である請求項8に記載のセンサー装置。
【請求項10】
前記機能素子は、前記電気抵抗体の抵抗値に基づいて、前記測定対象部位のpHあるいは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知する機能をも有する請求項1ないし9のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項11】
アンテナと、前記アンテナに給電する機能を有する通信用回路とを有し、
前記機能素子は、前記通信用回路を駆動制御する機能をも有する請求項1ないし10のいずれかに記載のセンサー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−108866(P2013−108866A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254704(P2011−254704)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】