説明

センサ制御装置

【課題】PMセンサの異常を好適に検出することができるセンサ制御装置を提供する。
【解決手段】PMセンサ17は、排気中に含まれるPM(導電性粒子状物質)を付着させる被付着部と、被付着部に互いに離間して設けられる一対の対向電極とを有し、一対の対向電極間の抵抗値に応じた検出信号を出力する。マイコン44は、PMセンサ17によるセンサ検出値に基づいてPM堆積量を算出する。PMセンサ17には、被付着部に付着したPMを燃焼除去させるべく被付着部を加熱するヒータ部35が設けられている。マイコン44は、ヒータ部35による加熱期間にセンサ検出値を取得し、該取得したセンサ検出値に基づいて、PMセンサ17の異常診断を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状物質検出センサの検出信号に基づいて粒子状物質(PM:Particulate Matter)の量を算出するセンサ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジン等から排出されるPMの量を検出するPMセンサ(粒子状物質検出センサ)が各種提案されている。例えば、特許文献1のPMセンサでは、絶縁基板上に一対の対向電極を設けておき、その一対の対向電極間にPMが堆積すると電極間抵抗が変化することを利用し、電極間抵抗を計測することでPM量を検出する構成としている。この場合、センサ素子に接続される信号出力回路としては、一対の対向電極間の抵抗分である電極間抵抗と所定のシャント抵抗とにより分圧回路を構成し、分圧回路の中間点電圧をセンサ検出信号として出力するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−196453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、PMセンサでは、当該PMセンサの経時変化や、PMセンサに接続された信号出力回路の故障等に起因してセンサ検出値が正常値から外れたものとなり、結果としてPM堆積量が誤って検出されるという不都合が生じることが想定される。この場合、PM堆積量が誤検出されると、その検出結果を用いて実施される各種制御に悪影響が及ぶことになる。ゆえに、PMセンサにて発生する異常に関して対策を要する。
【0005】
本発明は、PMセンサの異常を好適に検出することができるセンサ制御装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について説明する。
【0007】
本発明のセンサ制御装置は、ガス中に含まれる導電性の粒子状物質を付着させる被付着部と、前記被付着部に互いに離間して設けられる一対の対向電極とを有し、前記一対の対向電極間の抵抗値に応じた検出信号を出力する粒子状物質検出センサに適用され、該粒子状物質検出センサによるセンサ検出値に基づいて前記粒子状物質の付着量を算出するものである。そして、請求項1に記載の発明では、前記被付着部に付着した粒子状物質を燃焼除去させるべく前記被付着部を加熱する加熱手段と、前記加熱手段による加熱の実施期間内において前記センサ検出値を取得し、該取得したセンサ検出値に基づいて、前記粒子状物質検出センサの異常診断を実施する異常診断手段と、を備える。
【0008】
要するに、粒子状物質検出センサでは、被付着部に付着した粒子状物質に応じて一対の対向電極間の抵抗値が変わり、それに伴いセンサ検出値が変動する。また、粒子状物質自体が温度に対して抵抗値が変化する温度特性を有していることから、被付着部に付着した粒子状物質を燃焼除去させるべく加熱手段による加熱を実施している際には、粒子状物質の付着量は変わらずとも、粒子状物質の温度特性に基づく抵抗値の変化に依存してセンサ検出値の変動が生じる。
【0009】
本発明は、被付着部に付着した粒子状物質を燃焼除去させるべく加熱を実施する際に、一対の対向電極間の抵抗値の変化により、図4に示すように、センサ検出値(PM検出電圧Vpm)が、加熱開始に伴い一旦上昇し、その後実際に粒子状物質が燃焼されることに伴い降下するという挙動を呈することに着目し、そのセンサ検出値の挙動に基づいて、粒子状物質検出センサの異常診断を実施するものである。この場合、センサ加熱時においてセンサ正常状態でのセンサ検出値がどのように変化するのかをあらかじめ把握することは可能であり、例えば実際のセンサ検出値とセンサ正常時の基準検出値とを比較することにより、センサ異常の有無を診断できる。その結果、粒子状物質検出センサの異常を好適に検出することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、加熱手段による加熱開始に伴い一対の対向電極間の抵抗値が減少変化する期間にセンサ検出値を取得し、一対の対向電極間の抵抗値が減少変化する期間でのセンサ検出値の変化の速さに基づいて、粒子状物質検出センサの異常診断を実施する。
【0011】
加熱手段による加熱開始時には、図4のタイミングt1〜t2の期間に示すように、粒子状物質の温度特性による電極間抵抗値の変化により、センサ検出値(PM検出電圧Vpm)が上昇する。この場合、粒子状物質検出センサに異常が生じていると、センサ加熱開始後におけるセンサ検出値の変化の速さが正常の速さと異なるため、粒子状物質検出センサの異常の有無を検出できる。
【0012】
具体的には、加熱開始直後におけるセンサ検出値の変化速度(上昇速度)を算出し、その算出した変化速度とあらかじめ定めた正常状態の変化速度とを比較することにより異常診断を実施するとよい。又は、センサ検出値があらかじめ定めた所定値(上限値)に到達するまでの実際の所要時間を算出し、その算出した実所要時間とあらかじめ定めた正常状態の所要時間とを比較することにより異常診断を実施するとよい。
【0013】
請求項3に記載の発明では、粒子状物質検出センサには信号出力回路が接続され、該信号出力回路により所定出力範囲内でセンサ検出値が変化可能となっている。そして、加熱手段による加熱開始後にセンサ検出値が変化して所定出力範囲の限界値に到達した状態で、センサ検出値を取得し、センサ検出値が所定出力範囲の限界値に到達した状態でのセンサ検出値に基づいて、粒子状物質検出センサの異常診断を実施する。
【0014】
信号出力回路は、例えばマイコンにて処理可能な電圧範囲内でセンサ検出値を変化させてセンサ検出信号を出力するものである。ここで、加熱手段による加熱開始後であって粒子状物質がある程度温度上昇した状態では、図4のタイミングt2〜t4の期間に示すように、粒子状物質の温度特性による電極間抵抗値の変化により、センサ検出値(PM検出電圧Vpm)が信号出力回路における所定出力範囲の限界値に到達し、当該限界値に張り付いた状態となる。この場合、粒子状物質検出センサに異常が生じていると、センサ検出値が所定出力範囲の限界値に到達した状態が正常の状態と異なるため、粒子状物質検出センサの異常の有無を検出できる。
【0015】
具体的には、センサ検出値が所定出力範囲の限界値に到達した状態での継続時間(張り付き時間)を算出し、その算出した継続時間とあらかじめ定めた正常状態の継続時間とを比較することにより異常診断を実施するとよい。又は、所定出力範囲の限界値に到達した状態のセンサ検出値が、一対の対向電極間の抵抗値が上昇する側に変化し始める時期を算出し、その算出した時期とあらかじめ定めた正常状態の時期とを比較することにより異常診断を実施するとよい。さらに、センサ検出値が所定出力範囲の限界値に到達する筈の期間内で、正常状態の限界値とセンサ検出値とを比較することにより異常診断を実施するとよい。
【0016】
請求項4に記載の発明では、加熱手段による加熱開始後に粒子状物質が燃焼除去されるのに伴い一対の対向電極間の抵抗値が増加変化する期間にセンサ検出値を取得し、一対の対向電極間の抵抗値が増加変化する期間でのセンサ検出値の変化の速さに基づいて、粒子状物質検出センサの異常診断を実施する。
【0017】
加熱手段による加熱開始後であって粒子状物質が実際に燃え始めた後には、図4のタイミングt4〜t5の期間に示すように、粒子状物質の焼失による電極間抵抗値の変化により、センサ検出値(PM検出電圧Vpm)が降下する。この場合、粒子状物質検出センサに異常が生じていると、粒子状物質の実際の燃焼開始後におけるセンサ検出値の変化の速さが正常の速さと異なるため、粒子状物質検出センサの異常の有無を検出できる。
【0018】
具体的には、粒子状物質の実際の燃焼開始後におけるセンサ検出値の変化速度(降下速度)を算出し、その算出した変化速度とあらかじめ定めた正常状態の変化速度とを比較することにより異常診断を実施するとよい。又は、センサ検出値があらかじめ定めた所定値(0点)に到達するまでの実際の所要時間を算出し、その算出した実所要時間とあらかじめ定めた正常状態の所要時間とを比較することにより異常診断を実施するとよい。
【0019】
請求項5に記載の発明では、加熱手段による加熱開始から、被付着部に付着している粒子状物質の燃焼除去により一対の対向電極間の抵抗値が増加変化してセンサ検出値が初期値に戻るまでの所要時間を算出し、その所要時間に基づいて、粒子状物質検出センサの異常診断を実施する。
【0020】
加熱手段による加熱開始後には、図4のタイミングt1〜t5の期間に示すように、センサ検出値(PM検出電圧Vpm)が一旦上昇した後降下し、その後初期値(0点)に復帰する。この場合、粒子状物質検出センサに異常が生じていると、一連の燃焼処理におけるセンサ検出値の変化が正常状態とは異なるものとなり、加熱開始後にセンサ検出値が初期値に復帰するまでの所要時間が正常の所要時間と異なる。そのため、粒子状物質検出センサの異常の有無を検出できる。
【0021】
請求項6に記載の発明では、加熱手段は、通電により発熱する発熱体よりなり、発熱体の温度変化を検出する手段を備える。そして、加熱手段による加熱開始に伴い一対の対向電極間の抵抗値が減少変化する期間に、センサ検出値と発熱体の温度変化情報とを取得し、一対の対向電極間の抵抗値が減少変化する期間でのセンサ検出値の変化と発熱体の温度変化情報との相関に基づいて、粒子状物質検出センサの異常診断を実施する。
【0022】
加熱手段による加熱開始時には、図4のタイミングt1〜t2の期間に示すように、発熱体の温度変化情報としての抵抗値(ヒータ抵抗)が上昇とするとともに、その発熱に合わせて、一対の対向電極間の抵抗値の変化によりセンサ検出値(PM検出電圧Vpm)が上昇する。この場合、粒子状物質検出センサに異常が生じていると、センサ検出値の変化と発熱体の抵抗値の変化との相関が正常時の相関と異なるため、粒子状物質検出センサの異常の有無を検出できる。
【0023】
具体的には、加熱開始直後におけるセンサ検出値の変化速度と発熱体の抵抗値の変化速度とを算出し、それら両変化速度の速度比とあらかじめ定めた正常状態の速度比とを比較することにより異常診断を実施するとよい。
【0024】
請求項7に記載の発明では、異常診断手段は、加熱手段による加熱期間内で取得したセンサ検出値を異常診断パラメータとし、該異常診断パラメータとあらかじめ定めた異常判定値とを比較することにより粒子状物質検出センサの異常診断を実施するものである。そして特に、加熱手段による加熱開始時点でのセンサ検出値を取得する手段と、加熱開始時点で取得したセンサ検出値に基づいて、異常診断パラメータ及び異常判定値の少なくともいずれかを補正する手段と、を備える。
【0025】
例えば、加熱手段による加熱開始後に、図4のタイミングt1〜t2のようにセンサ検出値(PM検出電圧Vpm)が上昇する際、その上昇速度は、加熱開始時点でのセンサ検出値の大きさ(電圧レベル)、言い換えれば被付着部の粒子状物質の付着量に応じて変わると考えられる。また、これ以外にも、センサ検出値が所定出力範囲の限界値に到達した状態での継続時間(張り付き時間)なども、加熱開始時点でのセンサ検出値の大きさ(電圧レベル)、言い換えれば被付着部の粒子状物質の付着量に応じて変わると考えられる。
【0026】
この点、加熱開始時点で取得したセンサ検出値に基づいて、異常診断パラメータ及び異常判定値の少なくともいずれかを補正する構成によれば、加熱開始に際して、その加熱開始時点でのセンサ検出値の大きさ(電圧レベル)がばらつくことがあっても、異常診断の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】発明の実施の形態におけるエンジン制御システムの概要を示す構成図。
【図2】PMセンサを構成するセンサ素子の要部構成を分解して示す分解斜視図。
【図3】PMセンサに関する電気的構成図。
【図4】PM強制燃焼時の基本動作を説明するためのタイムチャート。
【図5】第1の異常診断処理を示すフローチャート。
【図6】第2の異常診断処理を示すフローチャート。
【図7】第3〜第5の異常診断処理を示すフローチャート。
【図8】第6〜第8の異常診断処理を示すフローチャート。
【図9】第9の異常診断処理を示すフローチャート。
【図10】PM検出電圧の上昇変化とヒータ抵抗の上昇変化との相関に基づいて異常診断を実施する場合の異常判定基準を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、車載エンジンを備える車両エンジンシステムにおいて、同エンジンから排出される排気中のPM量(導電性粒子状物質の量)を監視するものである。特に、エンジン排気管にPMセンサを設け、そのPMセンサでのPM付着量に基づいてPM量を監視するものとしている。図1は、本システムの概略構成を示す構成図である。
【0029】
図1において、エンジン11は直噴式ガソリンエンジンであり、同エンジン11には、同エンジン11の運転に関わるアクチュエータとして燃料噴射弁12や点火装置13等が設けられている。エンジン11の排気管14には排気浄化装置としての三元触媒15が設けられており、その三元触媒15の上流側にはA/Fセンサ16が設けられ、下流側には粒子状物質検出センサとしてのPMセンサ17が設けられている。その他、本システムでは、エンジン回転速度を検出するための回転センサ18や、吸気管圧力を検出するための圧力センサ19等が設けられている。
【0030】
ECU20は、周知のCPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータ(マイコン)を主体として構成されており、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、都度のエンジン運転状態に応じてエンジン11の各種制御を実施する。すなわち、ECU20は、上記各種センサ等から各々信号を入力し、それらの各種信号に基づいて燃料噴射量や点火時期を演算して燃料噴射弁12や点火装置13の駆動を制御する。
【0031】
また、ECU20は、PMセンサ17の検出信号に基づいてエンジン11の実際のPM排出量(実PM排出量)を算出し、その実PM排出量に基づいてエンジン11の燃焼状態を診断する。具体的には、実PM排出量が所定の異常判定値を超えていれば、PM排出過多の状態であり、エンジン異常であると判定する。
【0032】
その他、ECU20は、PMセンサ17の検出結果から算出される実PM排出量に基づいて、エンジン11の制御態様を可変に制御する構成であってもよい。例えば、実PM排出量に基づいて燃料噴射量を制御したり、燃料噴射時期を制御したり、点火時期を制御したりすることが可能である。
【0033】
次に、PMセンサ17の構成、及びそのPMセンサ17に関する電気的構成を図2及び図3を用いて説明する。図2は、PMセンサ17を構成するセンサ素子31の要部構成を分解して示す分解斜視図であり、図3は、PMセンサ17に関する電気的構成図である。
【0034】
図2に示すように、センサ素子31は、長尺板状をなす2枚の絶縁基板32,33を有しており、一方の絶縁基板32にはPM量を検出するためのPM検出部34が設けられ、他方の絶縁基板33にはセンサ素子31を加熱するためのヒータ部35が設けられている。センサ素子31は、絶縁基板32,33が二層に積層されることで構成されている。絶縁基板32が被付着部に相当する。
【0035】
絶縁基板32には、他方の絶縁基板33とは反対側の基板表面に、互いに離間して設けられる一対の検出電極36a,36bが設けられており、この一対の検出電極36a,36bによりPM検出部34が構成されている。検出電極36a,36bは、各々複数の櫛歯を有する櫛歯形状をなしており、各検出電極36a,36bの櫛歯同士が互い違いとなるようして所定間隔をあけて対向配置されている。また、ヒータ部35は例えば電熱線からなる発熱体により構成されている。
【0036】
ただし、一対の検出電極36a,36bの形状は上記に限定されず、曲線状をなす形状で設けられているものや、各1本の線からなる一対の電極部が所定距離を隔てて平行に対向配置されているものであってもよい。
【0037】
なお、図示は省略するが、PMセンサ17は、センサ素子31を保持するための保持部を有しており、センサ素子31はその一端側が保持部により保持された状態で排気管に固定されるようになっている。この場合、少なくともPM検出部34及びヒータ部35を含む部位が排気管内に位置するように配されるとともに、センサ素子31において絶縁基板32(PM被付着部)が排気上流側を向くようにして、PMセンサ17が排気管に取り付けられる構成となっている。これにより、PMを含む排気が排気管内を流れる際、そのPMが絶縁基板32において検出電極36a,36b及びその周辺に付着し堆積する。また、PMセンサ17は、センサ素子31の突出部分を覆う保護カバーを有している。
【0038】
上記構成のPMセンサ17は、排気中のPMがセンサ素子31の絶縁基板32に付着し堆積すると、それによりPM検出部34の抵抗値(すなわち一対の検出電極36a,36b間の抵抗値)が変化すること、及びその抵抗値の変化がPM堆積量に対応していることから、その抵抗値の変化を利用してPM量を検出するものである。
【0039】
図3に示すように、PMセンサ17に関する電気的構成として、PMセンサ17のPM検出部34の一端側にはセンサ電源41が接続され、他端側にはシャント抵抗42が接続されている。センサ電源41は、例えば定電圧回路により構成されており、定電圧Vccが5Vとなっている。この場合、PM検出部34とシャント抵抗42とにより分圧回路40が形成されており、それらの中間点電圧がPM検出電圧Vpm(センサ検出値)としてECU20に入力されるようになっている。つまり、PM検出部34ではPM堆積量に応じて抵抗値Rpmが変化し、その抵抗値Rpmとシャント抵抗42の抵抗値RsとによりPM検出電圧Vpmが変化する。そして、そのPM検出電圧VpmがA/D変換器43を介してマイコン44に入力される。
【0040】
ここで、Vcc=5V、Rs=5kΩとすると、PM検出電圧Vpmは次の(1)式で求められる。
Vpm=5V×5kΩ/(5kΩ+Rpm) …(1)
このとき、PM堆積量が0(又は略0)であれば、PM検出部34の抵抗値Rpmは無限大になることから、Vpm=0Vとなる。また、PM堆積によりPM検出部34の抵抗値Rpmが例えば1kΩまで低下すると、Vpm=4.16Vとなる。こうしてPM検出部34でのPM堆積量に応じてPM検出電圧Vpmが変化する。マイコン44は、PM検出電圧Vpmに応じてPM堆積量を算出する。
【0041】
分圧回路40により信号出力回路が構成されており、この分圧回路40によって0〜5Vを出力範囲としてPM検出電圧Vpmが変化可能となっている。この場合、PM検出電圧Vpmの出力上限値は5Vであり、より厳密には5Vよりも若干低い4.95Vとなっている。
【0042】
本実施形態では特に、上記のとおりPM検出部34にPMが堆積した状態、例えばPM検出部34の抵抗値Rpmが1kΩになった状態でのPM検出電圧Vpmが「4.16V」であり、PM検出電圧Vpmの出力上限値(5V)に対して小さい値となっている。これは、PM強制燃焼中におけるPM検出電圧Vpmの上昇分を見越したものであるが、その詳細については後述する。4.16〜5Vは、PM強制燃焼中におけるPM検出電圧Vpmの変化領域となっている。
【0043】
また、PMセンサ17のヒータ部35には、ヒータ電源45が接続されている。ヒータ電源45は例えば車載バッテリであり、車載バッテリからの給電によりヒータ部35が加熱される。この場合、ヒータ部35のローサイドにはスイッチング素子としてのトランジスタ46が接続されており、マイコン44によりトランジスタ46がオン/オフされることでヒータ部35の加熱制御が行われる。
【0044】
絶縁基板32上にPMが堆積した状態でヒータ部35の通電を開始すると、堆積PMの温度が上昇し、それに伴い堆積PMが強制的に燃焼される。こうした強制燃焼により、絶縁基板32に堆積したPMが燃焼除去される。マイコン44は、例えば、エンジン始動時や運転終了時に、又はPM堆積量が所定量になったと判定された時に、PMの強制燃焼要求が生じたとしてヒータ部35による加熱制御を実施する。
【0045】
その他、ECU20には、各種の学習値や異常診断値(ダイアグデータ)等を記憶するためのバックアップ用メモリとしてのEEPROM47が設けられている。
【0046】
さて本実施形態では、PMセンサ17に堆積したPMを強制燃焼により除去する際のPM検出電圧Vpmの挙動に基づいて、PMセンサ17の異常診断を実施することとしている。以下、その異常診断処理について詳しく説明する。まずは、PM強制燃焼時の基本動作について図4のタイムチャートを用いて説明する。
【0047】
図4において、タイミングt1では、PM燃焼要求フラグがセットされ、それに伴いPMセンサ17のヒータ部35への通電が開始されることで、ヒータ抵抗が上昇する。また、タイミングt1〜t2では、PMセンサ17(絶縁基板32)に堆積している堆積PMの温度が上昇することにより電極間抵抗が小さくなり、それに伴いPM検出電圧Vpmが上昇する。つまり、PMは、温度上昇により抵抗値が下がる温度特性を有しており、抵抗値が下がることでPM検出電圧Vpmが上昇し、同Vpmが出力上限値に張り付いた状態に移行する。
【0048】
PM検出電圧Vpmは、タイミングt2で出力上限値(例えば4.95V)に到達し、それ以降、出力上限値に張り付いた状態となっている。また、ヒータ抵抗は、ヒータ通電の開始後に徐々に増加し、タイミングt3でヒータ抵抗上限値に張り付いた状態となっている。なお、ヒータ抵抗上限値は、ヒータ部35の温度上昇が収束して一定となった状態での抵抗値である。
【0049】
タイミングt2〜t4の期間では、PM検出電圧Vpmが出力上限値に張り付いたまま保持される。また、t2〜t4の期間では、堆積PMの温度が上昇することに伴い堆積PMの燃焼が開始される。そして、堆積PMの燃焼に伴いPM検出部34のPMが徐々に除去され、それに応じて電極間抵抗が小さくなり始めると、その電極間抵抗の減少に伴い、タイミングt4でPM検出電圧Vpmが出力上限値から降下し始める。
【0050】
その後、タイミングt5では、絶縁基板32上のPMが概ね全て燃焼除去され、一対の電極間がPMにて導通された状態が解消されることにより、PM検出電圧Vpmが出力下限値である0V(0点)に復帰する。さらに、タイミングt6では、一連の強制燃焼処理が終了したとして、ヒータ通電がオフされるとともに、PM燃焼要求フラグがリセットされる。
【0051】
本実施形態では、PM強制燃焼時には上記のような挙動が現れることを前提に、PM強制燃焼中におけるPM検出電圧Vpmに基づいて複数の異常診断パラメータを設定し、その異常診断パラメータに基づいてPMセンサ17の異常診断を実施する。以下には、各異常診断パラメータと、それに基づく第1〜第9の異常診断処理の概要とを説明する。なお、説明の便宜上、図4には、本実施形態で設定している異常診断パラメータについて丸数字を付して記載している。
【0052】
(1)第1の異常診断処理
第1の異常診断処理では、ヒータ通電開始直後におけるPM検出電圧Vpmの上昇速度を異常診断パラメータとしている。つまり、図4のタイミングt1〜t2の期間におけるPM検出電圧Vpmの上昇速度を算出し、その上昇速度をあらかじめ定めた正常状態の上昇速度と比較することによりPMセンサ17の異常診断を実施する。上昇速度は、平均速度として算出される。それ以外に上昇加速度(上昇速度の変化の傾き)を算出し、それをパラメータとすることも可能である。
【0053】
(2)第2の異常診断処理
第2の異常診断処理では、ヒータ通電開始後においてPM検出電圧Vpmが出力上限値に到達した時期である上限張り付き時期を異常診断パラメータとしている。この上限張り付き時期は、ヒータ通電開始からPM検出電圧Vpmが出力上限値に到達するまで(張り付くまで)の所要時間として算出される。つまり、図4のタイミングt1〜t2の所要時間を算出し、その所要時間をあらかじめ定めた正常状態の所要時間と比較することによりPMセンサ17の異常診断を実施する。
【0054】
(3)第3の異常診断処理
第3の異常診断処理では、ヒータ通電状態でPM検出電圧Vpmが出力上限値に張り付いている時間である上限張り付き時間を異常診断パラメータとしている。つまり図4のタイミングt2〜t4の経過時間を算出し、その経過時間をあらかじめ定めた正常状態の上昇張り付き時間と比較することによりPMセンサ17の異常診断を実施する。
【0055】
(4)第4の異常診断処理
第4の異常診断処理では、ヒータ通電状態での実際のPM燃焼開始に伴いPM検出電圧Vpmが降下し始める時期である降下開始時期を異常診断パラメータとしている。つまり図4のタイミングt1〜t4の経過時間を算出し、その経過時間をあらかじめ定めた正常状態の降下開始時期(降下開始までの所要時間)と比較することによりPMセンサ17の異常診断を実施する。
【0056】
(5)第5の異常診断処理
第5の異常診断処理では、ヒータ通電状態で検出されたPM検出電圧Vpmの最大値を異常診断パラメータとしている。つまり、図4のタイミングt1〜t4の期間では、その期間中にPM検出電圧Vpmが出力上限値に到達する筈である。ゆえに、タイミングt1〜t4の期間でのPM検出電圧Vpmの最大値を算出し、そのVpm最大値をあらかじめ定めた正常状態の最大値(出力上限値)と比較することによりPMセンサ17の異常診断を実施する。
【0057】
(6)第6の異常診断処理
第6の異常診断処理では、実際のPM燃焼発生後におけるPM検出電圧Vpmの降下速度を異常診断パラメータとしている。つまり、図4のタイミングt4〜t5の期間におけるPM検出電圧Vpmの降下速度を算出し、その降下速度をあらかじめ定めた正常状態の降下速度と比較することによりPMセンサ17の異常診断を実施する。降下速度は、平均速度として算出される。それ以外に降下加速度(降下速度の変化の傾き)を算出し、それをパラメータとすることも可能である。
【0058】
(7)第7の異常診断処理
第7の異常診断処理では、実際のPM燃焼発生後においてPM検出電圧Vpmが降下し始めて出力下限値(0V)に到達するまでの所要時間である降下時間を異常診断パラメータとしている。つまり、図4のタイミングt4〜t5に要した降下時間を算出し、その降下時間をあらかじめ定めた正常状態の降下時間と比較することによりPMセンサ17の異常診断を実施する。
【0059】
(8)第8の異常診断処理
第8の異常診断処理では、ヒータ通電開始後においてPM検出電圧Vpmが一旦上昇し、その後降下した後に出力下限値(0V)に到達するまでの所要時間である燃焼時間を異常診断パラメータとしている。つまり、図4のタイミングt1〜t5に要した燃焼時間を算出し、その燃焼時間をあらかじめ定めた正常状態の燃焼時間と比較することによりPMセンサ17の異常診断を実施する。
【0060】
(9)第9の異常診断処理
第9の異常診断処理では、ヒータ通電開始直後においてPM検出電圧Vpmの上昇変化とヒータ抵抗の上昇変化との相関を異常診断パラメータとしている。つまり、図4のタイミングt1〜t3において、PM検出電圧Vpmの上昇速度とヒータ抵抗の上昇速度とを算出し、それら両上昇速度の速度比をあらかじめ定めた正常状態の速度比と比較することによりPMセンサ17の異常診断を実施する。
【0061】
次に、上記の第1〜第9の異常診断処理について具体的な処理内容を図5〜図9のフローチャートを参照しながら説明する。これら各フローチャートの処理は、マイコン44により所定時間ごとに繰り返し実行される。
【0062】
<第1の異常診断処理>
はじめに、第1の異常診断処理を図5のフローチャートに基づいて説明する。図5において、ステップS101では、PMセンサ17について強制燃焼要求が生じているか否かを判定する。本実施形態では、エンジン始動時であること、エンジン運転終了時であること、PM堆積量が所定量になったこと、前回のPM強制燃焼からのエンジン運転時間や車両走行距離が所定値になったことの少なくともいずれかによりPM燃焼要求フラグがセットされ、それに伴い強制燃焼要求が生じるとしている。強制燃焼要求が無いと判定される場合、そのまま本処理を終了する。なお、強制燃焼要求が無いと判定される場合において、その時点でPM強制燃焼処理が実施されている場合には、その強制燃焼処理が直ちに終了される。
【0063】
強制燃焼要求が有りと判定される場合には、PMセンサ17でのPM強制燃焼処理とそれに伴う異常診断処理とを実施すべく後続のステップS102に進む。ステップS102では、PM強制燃焼処理を実施する。具体的には、PMセンサ17のヒータ部35の通電をオンする。ステップS103では、今現在のPM検出電圧Vpmを取得する。続くステップS104では、今回の処理がPM強制燃焼の開始後最初の処理であるか否かを判定し、YESであれば、ステップS105に進んで、今現在のPM検出電圧Vpmを燃焼開始時電圧Vstとして記憶する。
【0064】
その後、ステップS106では、上昇時間カウンタを1インクリメントする。上昇時間カウンタは、ヒータ通電開始時を起点としてその通電開始からの経過時間を計測するためのカウンタである。
【0065】
その後、ステップS107では、上昇時間カウンタが所定値に達したか否かを判定し、ステップS107がNOの場合に、ステップS108では、今現在のPM検出電圧Vpmが出力上限値に張り付いているか否かを判定する。そして、ステップS107,S108のいずれかがYESであれば、後続のステップS109に進み、PM検出電圧Vpmの上昇速度を算出する。このとき、今現在のPM検出電圧Vpmと燃焼開始時電圧Vstとの差を、上昇時間カウンタとの値で割ることにより、「上昇速度」としてPM検出電圧Vpmの上昇時における平均速度を算出する。
【0066】
また、ステップS110では、ステップS109で算出した上昇速度に基づいて診断値S1を算出する。本実施形態では、診断値S1を、実際の上昇速度(S109の算出値)と正常状態での標準上昇速度との差として算出することとしている。このとき、上昇速度は、燃焼開始時電圧Vst(すなわちPM堆積量)に応じて変動するものであり、燃焼開始時電圧Vstが高いほど上昇速度(上昇平均速度)が大きくなると考えられるため、その燃焼開始時電圧Vstに基づいて標準上昇速度としての基準速度T1を算出し、実際の上昇速度と基準速度T1との差の絶対値を診断値S1とする(S1=|上昇速度−基準速度T1|)。
【0067】
その後、ステップS111では、異常判定値KE1を設定する。異常判定値KE1は、上昇速度のずれ(速度差)の許容レベルに基づいて定められるものである。なお、燃焼開始時電圧Vstによる補正を行って異常判定値KE1を設定することも可能である。ステップS112では、診断値S1が異常判定値KE1以上であるか否かを判定する。S1≧KE1である場合、ステップS113に進んでPMセンサ17に異常が生じていると判定する。異常発生時であると判定された場合、異常診断データをEEPROM47等に記憶する。なお、異常判定値KE1として、正常範囲の上限値と下限値とを設定し、診断値S1が正常範囲内であるか否かを判定することも可能である。
【0068】
<第2の異常診断処理>
次に、第2の異常診断処理を図6のフローチャートに基づいて説明する。図6において、ステップS201では、PMセンサ17について強制燃焼要求が生じているか否かを判定し、YESの場合に、ステップS202に進んでPM強制燃焼処理を実施する(ヒータ通電状態とする)。また、ステップS203では、今現在のPM検出電圧Vpmを取得する。なお、ステップS201〜S203は図5のステップS101〜S103と同様の処理である。
【0069】
その後、ステップS204では、燃焼実行カウンタを1インクリメントする。ステップS205では、今回の処理がPM強制燃焼の開始後最初の処理であるか否かを判定し、YESであれば、ステップS206に進んで、今現在のPM検出電圧Vpmを燃焼開始時電圧Vstとして記憶する。
【0070】
その後、ステップS207では、今現在のPM検出電圧Vpmが出力上限値に張り付いているか否かを判定する。そして、ステップS207がYESであれば、後続のステップS208に進み、PM検出電圧Vpmが出力上限値に張り付いた(到達した)時点の燃焼実行カウンタの値に基づいて、上限張り付き時期に関する診断値S2を算出する。本実施形態では、診断値S2を、実際の上限張り付き時期(カウンタ値)と正常状態での標準張り付き時期との差として算出することとしている。このとき、上限張り付き時期は、燃焼開始時電圧Vst(すなわちPM堆積量)に応じて変動するものであり、燃焼開始時電圧Vstが高いほど上限張り付きまでの所要時間が短くなると考えられるため、その燃焼開始時電圧Vstに基づいて標準張り付き時期としての基準時間T2を算出し、燃焼実行カウンタの値と基準時間T2との差の絶対値を診断値S2とする(S2=|カウンタ値−T2|)。
【0071】
その後、ステップS209では、異常判定値KE2を設定する。異常判定値KE2は、上限張り付き時期のずれの許容レベルに基づいて定められるものである。なお、燃焼開始時電圧Vstによる補正を行って異常判定値KE2を設定することも可能である。ステップS210では、診断値S2が異常判定値KE2以上であるか否かを判定する。S2≧KE2である場合、ステップS211に進んでPMセンサ17に異常が生じていると判定する。異常発生時であると判定された場合、異常診断データをEEPROM47等に記憶する。なお、異常判定値KE2として、正常範囲の上限値と下限値とを設定し、診断値S2が正常範囲内であるか否かを判定することも可能である。
【0072】
<第3,第4,第5の異常診断処理>
次に、第3〜第5の異常診断処理を図7のフローチャートに基づいて説明する。図7では、はじめにステップS201〜S206を実施するが、これは図6と同じ処理であり、説明を割愛する。そして、ステップS201〜S206を実施した後、ステップS301に進む。
【0073】
ステップS301では、今現在のPM検出電圧Vpmが出力上限値に張り付いているか否かを判定し、ステップS301がNOの場合に、ステップS302では、PM検出電圧Vpmが上限張り付き状態から降下し始めているか否かを判定する。図4で説明すると、タイミングt1〜t2の期間では、ステップS301,S302が共にNOとなり、そのまま本処理を一旦終了する。また、タイミングt2〜t4の期間では、ステップS301がYESとなり、ステップS303に進む。タイミングt4では、ステップS301がNO、S302がYESとなり、ステップS306に進む。
【0074】
ステップS303に進んだ場合、同ステップS303では、今現在が上限張り付きの状態であると判定し、続くステップS304では、上限張り付きカウンタをインクリメントする。また、ステップS305では、上限張り付き状態にある期間内で、PM検出電圧Vpmの最大値を算出する。具体的には、上限張り付き期間内(図4のt2〜t4)においてPM検出電圧Vpmが取得される都度、それまでの最大値との比較を行い、大きい方を最大値として記憶する。
【0075】
一方、ステップS306に進んだ場合、同ステップS306では、今現在が降下状態であると判定し、後続の異常診断処理を実施する。図7では、第3,第4,第5の異常診断処理をまとめて図示しており、ステップS311〜S314が第3の異常診断処理に相当し、ステップS321〜S324が第4の異常診断処理に相当し、ステップS331〜S334が第5の異常診断処理に相当する。
【0076】
まず第3の異常診断処理では、ステップS311で、PM検出電圧Vpmが降下し始めた時点(上限張り付き終了時点)の上限張り付きカウンタの値に基づいて、上限張り付き時間に関する診断値S3を算出する。本実施形態では、診断値S3を、実際の上限張り付き時間(カウンタ値)と正常状態での標準張り付き時間との差として算出することとしている。このとき、上限張り付き時間は、燃焼開始時電圧Vst(すなわちPM堆積量)に応じて変動するものであり、燃焼開始時電圧Vstが高いほど上限張り付き時間が長くなると考えられるため、その燃焼開始時電圧Vstに基づいて標準張り付き時間としての基準時間T3を算出し、上限張り付きカウンタの値と基準時間T3との差の絶対値を診断値S3とする(S3=|カウンタ値−T3|)。
【0077】
その後、ステップS312では、異常判定値KE3を設定する。異常判定値KE3は、上限張り付き時間のずれの許容レベルに基づいて定められるものである。なお、燃焼開始時電圧Vstによる補正を行って異常判定値KE3を設定することも可能である。ステップS313では、診断値S3が異常判定値KE3以上であるか否かを判定する。S3≧KE3である場合、ステップS314に進んでPMセンサ17に異常が生じていると判定する。異常発生時であると判定された場合、異常診断データをEEPROM47等に記憶する。
【0078】
また、第4の異常診断処理では、ステップS321で、PM検出電圧Vpmが降下し始めた時点(上限張り付き終了時点)の燃焼実行カウンタの値に基づいて、降下開始時期に関する診断値S4を算出する。本実施形態では、診断値S4を、実際の降下開始時期(カウンタ値)と正常状態での標準降下開始時期との差として算出することとしている。このとき、降下開始時期は、燃焼開始時電圧Vst(すなわちPM堆積量)に応じて変動するものであり、燃焼開始時電圧Vstが高いほど降下開始までの所要時間が長くなると考えられるため、その燃焼開始時電圧Vstに基づいて標準降下開始時期としての基準時間T4を算出し、燃焼実行カウンタの値と基準時間T4との差の絶対値を診断値S4とする(S4=|カウンタ値−T4|)。
【0079】
その後、ステップS322では、異常判定値KE4を設定する。異常判定値KE4は、降下開始時期のずれの許容レベルに基づいて定められるものである。なお、燃焼開始時電圧Vstによる補正を行って異常判定値KE4を設定することも可能である。ステップS323では、診断値S4が異常判定値KE4以上であるか否かを判定する。S4≧KE4である場合、ステップS324に進んでPMセンサ17に異常が生じていると判定する。異常発生時であると判定された場合、異常診断データをEEPROM47等に記憶する。
【0080】
なお、上述した異常判定値KE3,KE4として、正常範囲の上限値と下限値とを設定し、診断値S3,S4が正常範囲内であるか否かを判定することも可能である。
【0081】
さらに、第5の異常診断処理では、ステップS331で、上限張り付き状態にある期間内で算出されたPM検出電圧Vpmの最大値(ステップS305の算出値)を診断値S5として算出する。その後、ステップS332では、異常判定値KE5を設定する。異常判定値KE5は、出力上限値(=4.95V)として定められている。ステップS333では、診断値S5が異常判定値KE5未満であるか否かを判定する。S5<KE5である場合、ステップS334に進んでPMセンサ17に異常が生じていると判定する。異常発生時であると判定された場合、異常診断データをEEPROM47等に記憶する。
【0082】
<第6,第7,第8の異常診断処理>
次に、第6〜第8の異常診断処理を図8のフローチャートに基づいて説明する。図8では、はじめにステップS201〜S206を実施するが、これは図6と同じ処理であり、説明を割愛する。そして、ステップS201〜S206を実施した後、ステップS401に進む。
【0083】
ステップS401では、今現在のPM検出電圧Vpmが上限張り付き状態から降下し始めているか否かを判定する。図4で説明すると、タイミングt1〜t4の期間では、ステップS401がNOとなり、そのまま本処理を一旦終了する。また、タイミングt4以降の期間では、ステップS401がYESとなり、ステップS402に進む。
【0084】
ステップS402に進んだ場合、同ステップS402では、今現在が降下状態であると判定する。続くステップS403では、今回の処理が電圧降下の開始後最初の処理であるか否かを判定し、YESであれば、ステップS404に進んで、今現在のPM検出電圧Vpmを降下開始時電圧Vdwとして記憶する。
【0085】
その後、ステップS405では、降下時間カウンタを1インクリメントする。降下時間カウンタは、PM検出電圧Vpmの降下開始時を起点としてその降下開始からの経過時間を計測するためのカウンタである。
【0086】
その後、ステップS406では、降下時間カウンタが所定値に達したか否かを判定し、ステップS406がNOの場合に、ステップS407では、今現在のPM検出電圧Vpmが出力下限値(0V)に張り付いているか否かを判定する。そして、ステップS406,S407のいずれかがYESであれば、後続の異常診断処理を実施する。図8では、第6,第7,第8の異常診断処理をまとめて図示しており、ステップS411〜S415が第6の異常診断処理に相当し、ステップS421〜S425が第7の異常診断処理に相当し、ステップS431〜S434が第8の異常診断処理に相当する。
【0087】
まず第6の異常診断処理では、ステップS411で、PM検出電圧Vpmの降下速度を算出する。このとき、降下開始時電圧Vdwを降下時間カウンタとの値で割ることにより、「降下速度」としてPM検出電圧Vpmの降下時における平均速度を算出する。
【0088】
また、ステップS412では、ステップS411で算出した降下速度に基づいて診断値S6を算出する。本実施形態では、診断値S6を、実際の降下速度(S411の算出値)と正常状態での標準降下速度との差として算出することとしている。このとき、降下速度は、降下開始時電圧Vdwに応じて変動するものであり、降下開始時電圧Vdwが低いほど降下速度(降下平均速度)が小さくなると考えられるため、その降下開始時電圧Vdwに基づいて標準降下速度としての基準速度T6を算出し、実際の降下速度と基準速度T6との差の絶対値を診断値S6とする(S6=|降下速度−基準速度T6|)。基準速度T6を燃焼開始時電圧Vstに基づいて算出することも可能である。
【0089】
その後、ステップS413では、異常判定値KE6を設定する。異常判定値KE6は、降下速度のずれ(速度差)の許容レベルに基づいて定められるものである。なお、降下開始時電圧Vdwや燃焼開始時電圧Vstによる補正を行って異常判定値KE6を設定することも可能である。ステップS414では、診断値S6が異常判定値KE6以上であるか否かを判定する。S6≧KE6である場合、ステップS415に進んでPMセンサ17に異常が生じていると判定する。異常発生時であると判定された場合、異常診断データをEEPROM47等に記憶する。
【0090】
また、第7の異常診断処理では、ステップS421で、PM検出電圧Vpmが0Vに張り付いた(到達した)時点の降下時間カウンタの値に基づいて、降下時間に関する診断値S7を算出する。本実施形態では、診断値S7を、実際の降下時間(カウンタ値)と正常状態での標準降下時間との差として算出することとしている。このとき、降下時間は、降下開始時電圧Vdwに応じて変動するものであり、降下開始時電圧Vdwが低いほど降下時間が短くなると考えられるため、その降下開始時電圧Vdwに基づいて標準降下時間としての基準時間T7を算出し、降下時間カウンタの値と基準時間T7との差の絶対値を診断値S7とする(S7=|カウンタ値−T7|)。基準時間T7を燃焼開始時電圧Vstに基づいて算出することも可能である。
【0091】
その後、ステップS423では、異常判定値KE7を設定する。異常判定値KE7は、降下時間のずれの許容レベルに基づいて定められるものである。なお、降下開始時電圧Vdwや燃焼開始時電圧Vstによる補正を行って異常判定値KE7を設定することも可能である。ステップS424では、診断値S7が異常判定値KE7以上であるか否かを判定する。S7≧KE7である場合、ステップS425に進んでPMセンサ17に異常が生じていると判定する。異常発生時であると判定された場合、異常診断データをEEPROM47等に記憶する。
【0092】
さらに、第8の異常診断処理では、ステップS431で、PM検出電圧Vpmが0Vに張り付いた(到達した)時点の燃焼実行カウンタの値に基づいて、燃焼時間に関する診断値S8を算出する。本実施形態では、診断値S8を、実際の燃焼時間(カウンタ値)と正常状態での標準燃焼時間との差として算出することとしている。このとき、燃焼時間は、燃焼開始時電圧Vst(図5のS105参照)に応じて変動するものであり、燃焼開始時電圧Vstが高いほど燃焼時間が長くなると考えられるため、その燃焼開始時電圧Vstに基づいて標準燃焼時間としての基準時間T8を算出し、燃焼実行カウンタの値と基準時間T8との差の絶対値を診断値S8とする(S8=|カウンタ値−T8|)。
【0093】
その後、ステップS432では、異常判定値KE8を設定する。異常判定値KE8は、燃焼時間のずれの許容レベルに基づいて定められるものである。なお、燃焼開始時電圧Vstによる補正を行って異常判定値KE8を設定することも可能である。ステップS433では、診断値S8が異常判定値KE8以上であるか否かを判定する。S8≧KE8である場合、ステップS434に進んでPMセンサ17に異常が生じていると判定する。異常発生時であると判定された場合、異常診断データをEEPROM47等に記憶する。
【0094】
なお、上述した異常判定値KE6〜KE8として、正常範囲の上限値と下限値とを設定し、診断値S6〜S8が正常範囲内であるか否かを判定することも可能である。
【0095】
<第9の異常診断処理>
次に、第9の異常診断処理を図9のフローチャートに基づいて説明する。図9において、ステップS501では、PMセンサ17について強制燃焼要求が生じているか否かを判定し、YESの場合に、ステップS502に進んでPM強制燃焼処理を実施する(ヒータ通電状態とする)。また、ステップS503では、今現在のPM検出電圧Vpmを取得する。なお、ステップS501〜S503は図5のステップS101〜S103と同様の処理である。
【0096】
その後、ステップS504では、今現在のヒータ抵抗値を取得する。なお、ヒータ抵抗値は、ECU20に設けられたヒータ抵抗算出手段にて算出される。具体的には、ヒータ通電時におけるヒータ印加電圧(バッテリ電圧)とヒータ電流とが検出され、それらの検出値に基づいてヒータ抵抗値が算出される。
【0097】
続くステップS505では、今回の処理がPM強制燃焼の開始後最初の処理であるか否かを判定する。YESの場合、ステップS506では、今現在のPM検出電圧Vpmを燃焼開始時電圧Vstとして記憶し、ステップS507では、今現在のヒータ抵抗値を燃焼開始時ヒータ抵抗値Rstとして記憶する。
【0098】
その後、ステップS508では、上昇時間カウンタを1インクリメントする。上昇時間カウンタは、ヒータ通電開始時を起点としてその通電開始からの経過時間を計測するためのカウンタである。その後、ステップS509では、上昇時間カウンタが所定値に達したか否かを判定し、ステップS509がNOの場合に、ステップS510では、今現在のPM検出電圧Vpmが出力上限値に張り付いているか否かを判定する。さらに、ステップS510がNOの場合に、ステップS511では、ヒータ抵抗値が上限値に張り付いているか否かを判定する。
【0099】
そして、ステップS509〜S511のいずれかがYESであれば、後続のステップS512に進み、PM検出電圧Vpmの上昇速度を算出する。このとき、今現在のPM検出電圧Vpmと燃焼開始時電圧Vstとの差を、上昇時間カウンタとの値で割ることにより、「検出電圧上昇速度」としてPM検出電圧Vpmの上昇時における平均速度を算出する。また、ステップS513では、ヒータ抵抗値の上昇速度を算出する。このとき、今現在のヒータ抵抗値と燃焼開始時ヒータ抵抗値Rstとの差を、上昇時間カウンタとの値で割ることにより、「ヒータ抵抗上昇速度」としてヒータ抵抗値の上昇時における平均速度を算出する。
【0100】
また、ステップS514では、ステップS512で算出した検出電圧上昇速度とステップS513で算出したヒータ抵抗上昇速度とに基づいて診断値S9を算出する。このとき、検出電圧上昇速度をヒータ抵抗上昇速度で割った速度比を診断値S9とする(S9=検出電圧上昇速度/ヒータ抵抗値上昇速度)。
【0101】
その後、ステップS515では、異常判定値KE9を設定する。異常判定値KE9は、正常状態の標準速度比に基づいて定められるものである。なお、正常状態での標準速度比に対して燃焼開始時電圧Vstによる補正を行って異常判定値KE9を設定することも可能である。ステップS516では、診断値S9が異常判定値KE9以上であるか否かを判定する。S9≧KE9である場合、ステップS517に進んでPMセンサ17に異常が生じていると判定する。異常発生時であると判定された場合、異常診断データをEEPROM47等に記憶する。
【0102】
なお、PM検出電圧Vpmの上昇変化とヒータ抵抗の上昇変化との相関に基づいて異常診断を実施する場合の異常判定基準を図10のように設定してもよい。図10(a)では、PM検出電圧Vpmの上昇量(今現在のPM検出電圧Vpmと燃焼開始時電圧Vstとの差)と、ヒータ抵抗上昇量(今現在のヒータ抵抗値と燃焼開始時ヒータ抵抗値Rstとの差)との関係における異常判定領域を示している。
【0103】
また、図10(b)では、PM検出電圧Vpmの上昇量(今現在のPM検出電圧Vpmと燃焼開始時電圧Vstとの差)とヒータ抵抗上昇量(今現在のヒータ抵抗値と燃焼開始時ヒータ抵抗値Rstとの差)とから算出した速度比である診断値S9と、ヒータ抵抗上昇量との関係における異常判定領域を示している。
【0104】
以上詳述した本実施形態では、PM検出部34の堆積PMがヒータ部35により加熱されている期間にPM検出電圧Vpmを取得し、該取得したPM検出電圧Vpmに基づいて、PMセンサ17の異常診断を実施する構成とした。この場合、ヒータ通電時(加熱時)においてセンサ正常状態でのPM検出電圧Vpmがどのように変化するのかをあらかじめ把握することは可能であり、実際のPM検出電圧Vpmの挙動とセンサ正常時のPM検出電圧Vpmの挙動(基準検出値の挙動)とを比較することにより、センサ異常の有無を診断できる。その結果、PMセンサ17の異常を好適に検出することができる。
【0105】
その異常診断処理として、PM温度特性によるPM検出電圧Vpmの上昇期間、PM検出電圧Vpmの上限張り付き期間、PM焼失によるPM検出電圧Vpmの降下期間の各期間におけるPM検出電圧Vpmの挙動に基づいて異常診断を実施する構成としたため、各期間におけるPM検出電圧Vpmの変化の特性を考慮しつつ、きめ細かい異常診断を実施できる。
【0106】
PM強制燃焼に際し、その開始時点(ヒータ通電開始時点)のPM検出電圧Vpmを取得し、そのPM検出電圧Vpmに基づいて異常診断パラメータ及び異常判定値の少なくともいずれかを補正する構成とした。これにより、ヒータ通電開始時点でのPM検出電圧Vpm(PM堆積量)が都度相違していても、そのPM検出電圧Vpmに起因する異常診断パラメータや異常判定値のばらつきを解消でき、ひいては異常診断の精度を向上させることができる。
【0107】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0108】
・上述した第1〜第9の異常診断処理のうちいずれを実施するかを変更することも可能であり、少なくとも1つの異常診断処理を実施する構成であればよい。また、上記の各異常診断処理について、処理実行の周期やタイミングを各々個別に設定し、各異常診断処理をそれぞれ異なるタイミングで実施する構成としてもよい。
【0109】
・上記実施形態では、信号出力回路として図3に示す分圧回路40を用いたが、これを変更してもよい。例えば、分圧回路を構成するPM検出部34とシャント抵抗42との接続を逆にし、PM検出部34をローサイド、シャント抵抗42をハイサイドに設ける構成としてもよい。本構成では、PM検出電圧Vpmは次の(2)式で求められることとなる。
Vpm=5V×Rpm/(Rs+Rpm) …(2)
なお、RpmはPM検出部34の抵抗値、Rsはシャント抵抗42の抵抗値(例えば5kΩ)である。
【0110】
かかる場合、PM堆積量が0(又は略0)であればVpm=5Vとなる。この5Vが0点に相当する。また、PM堆積によりPM検出部34の抵抗値Rpmが例えば1kΩまで低下すると、Vpm=0.83Vとなる。分圧回路40の電圧範囲は0〜5Vであり、0〜0.83Vは、PM強制燃焼中におけるPM検出電圧Vpmの変化領域となっている。
【0111】
・上記実施形態では、第9の異常診断処理として、ヒータ通電開始直後におけるPM検出電圧Vpmの上昇変化とヒータ抵抗の上昇変化との相関を異常診断パラメータとしたが、これを変更してもよい。要は、ヒータ部35の温度変化を検出し、その温度変化情報を用いる構成であればよい。具体的には、ヒータ通電開始からのヒータ投入電力、ヒータ電力積算値、ヒータ温度、絶縁基板32の温度(素子温度)などを温度変化情報として取得し、それらいずれかの温度変化情報とPM検出電圧Vpmの変化との相関に基づいて、PMセンサ17の異常診断を実施するものであればよい。
【0112】
・PM強制燃焼に際し、その開始時点(ヒータ通電開始時点)のPMセンサ17の温度を取得し、そのセンサ温度に基づいて異常診断パラメータ及び異常判定値の少なくともいずれかを補正する構成としてもよい。これにより、ヒータ通電開始時点でのセンサ温度が都度相違していても、そのセンサ温度に起因する異常診断パラメータや異常判定値のばらつきを解消でき、ひいては異常診断の精度を向上させることができる。なお、PMセンサ17の温度情報として具体的には、素子抵抗値(絶縁基板の抵抗値)や、ヒータ抵抗値、ヒータ投入電力、ヒータ電力積算値等を用いることができる。
【0113】
・上記実施形態では、PM強制燃焼のための加熱手段として、PMセンサ17の絶縁基板33にヒータ部35を設ける構成としたが、これを変更し、排気管内のガス温度をPM燃焼可能温度(例えば650℃)まで上昇させる構成でもよい。例えば、エンジンから排出されるガス温度を上昇させる手法や、排気管にヒータ等の加熱手段を設けて排気管内の温度を上昇させる手法が考えられる。
【0114】
・エンジン排気管にPMを捕集するためのPMフィルタを設け、その下流側又は上流側の少なくともいずれかにPMセンサを設けた構成において、PMセンサの検出値に基づいてPMフィルタの再生タイミングを制御する構成としてもよい。また、PMセンサの検出値に基づいてPMフィルタの故障診断を実施する構成としてもよい。
【0115】
・上記実施形態では、直噴式ガソリンエンジンについての適用を例示したが、他の形式のエンジンにも適用できる。例えば、ディーゼルエンジン(特に、直噴式ディーゼルエンジン)に適用することとし、ディーゼルエンジンの排気管に設けられたPMセンサについて本発明を用いることも可能である。また、エンジンの排気以外のガスを対象としてPM量を検出するものであってもよい。
【符号の説明】
【0116】
11…エンジン、17…PMセンサ(粒子状物質検出センサ)、20…ECU、32…絶縁基板(被付着部)、34…PM検出部、35…ヒータ部(加熱手段)、36a,36b…検出電極(対向電極)、40…分圧回路(信号出力回路)、44…マイコン(異常診断手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス中に含まれる導電性の粒子状物質を付着させる被付着部と、前記被付着部に互いに離間して設けられる一対の対向電極とを有し、前記一対の対向電極間の抵抗値に応じた検出信号を出力する粒子状物質検出センサに適用され、該粒子状物質検出センサによるセンサ検出値に基づいて前記粒子状物質の付着量を算出するセンサ制御装置において、
前記被付着部に付着した粒子状物質を燃焼除去させるべく前記被付着部を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段による加熱の実施期間内において前記センサ検出値を取得し、該取得したセンサ検出値に基づいて、前記粒子状物質検出センサの異常診断を実施する異常診断手段と、
を備えることを特徴とするセンサ制御装置。
【請求項2】
前記加熱手段による加熱開始に伴い前記一対の対向電極間の抵抗値が減少変化する期間に前記センサ検出値を取得する手段を備え、
前記異常診断手段は、前記一対の対向電極間の抵抗値が減少変化する期間での前記センサ検出値の変化の速さに基づいて、前記粒子状物質検出センサの異常診断を実施する請求項1に記載のセンサ制御装置。
【請求項3】
前記粒子状物質検出センサには信号出力回路が接続され、該信号出力回路により所定出力範囲内で前記センサ検出値が変化可能となっており、
前記加熱手段による加熱開始後に前記センサ検出値が変化して前記所定出力範囲の限界値に到達した状態で、前記センサ検出値を取得する手段を備え、
前記異常診断手段は、前記センサ検出値が前記所定出力範囲の限界値に到達した状態での前記センサ検出値に基づいて、前記粒子状物質検出センサの異常診断を実施する請求項1又は2に記載のセンサ制御装置。
【請求項4】
前記加熱手段による加熱開始後に粒子状物質が燃焼除去されるのに伴い前記一対の対向電極間の抵抗値が増加変化する期間に前記センサ検出値を取得する手段を備え、
前記異常診断手段は、前記一対の対向電極間の抵抗値が増加変化する期間での前記センサ検出値の変化の速さに基づいて、前記粒子状物質検出センサの異常診断を実施する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のセンサ制御装置。
【請求項5】
前記加熱手段による加熱開始から、前記被付着部に付着している粒子状物質の燃焼除去により前記一対の対向電極間の抵抗値が増加変化して前記センサ検出値が初期値に戻るまでの所要時間を算出する手段を備え、
前記異常診断手段は、前記加熱手段による加熱開始から前記センサ検出値が初期値に戻るまでの所要時間に基づいて、前記粒子状物質検出センサの異常診断を実施する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のセンサ制御装置。
【請求項6】
前記加熱手段は、通電により発熱する発熱体よりなり、
前記発熱体の温度変化を検出する手段を備え、
前記加熱手段による加熱開始に伴い前記一対の対向電極間の抵抗値が減少変化する期間に、前記センサ検出値と前記発熱体の温度変化情報とを取得する手段を備え、
前記異常診断手段は、前記一対の対向電極間の抵抗値が減少変化する期間での前記センサ検出値の変化と前記発熱体の温度変化情報との相関に基づいて、前記粒子状物質検出センサの異常診断を実施する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のセンサ制御装置。
【請求項7】
前記異常診断手段は、前記加熱手段による加熱期間内で取得したセンサ検出値を異常診断パラメータとし、該異常診断パラメータとあらかじめ定めた異常判定値とを比較することにより前記粒子状物質検出センサの異常診断を実施するものであり、
前記加熱手段による加熱開始時点でのセンサ検出値を取得する手段と、
前記加熱開始時点で取得したセンサ検出値に基づいて、前記異常診断パラメータ及び前記異常判定値の少なくともいずれかを補正する手段と、
を備える請求項1乃至6のいずれか一項に記載のセンサ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−37373(P2012−37373A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177514(P2010−177514)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】