説明

センサ装置とこれを用いた攪拌装置ならびにコーティング装置

【課題】本発明は収納物の温度を精度良く検知できるセンサ装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明は、この課題を解決するために、センサ26aの出力が送信器26bを介して送信アンテナ26cへ供給される送信手段26と、送信アンテナ26cから送られた信号を受信する受信アンテナ25aと、この受信アンテナ25aに接続された受信器25bとを設け、送信手段26は、少なくともセンサ26aと送信器26bとが収納される樹脂製の密封容器26eを有し、錠剤3とともに回転ドラム4で攪拌されて回転ドラム4内を転動しつつ送信信号を送信するものである。これにより、送信手段26は錠剤3とともに攪拌されながら温度を検知し、かつその検知信号を送信し続けるので、実質的に錠剤3の温度を検知できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽内の条件を検知するセンサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来のセンサ装置1について図面を用いて説明する。図4は従来のセンサ装置1を用いたコーティング装置の概念図である。図4において、箱体2内には、薬剤などの錠剤3が収納される中空円筒形状の回転ドラム4が設けられている。そしてこの回転ドラム4には、回転ドラム4を回転駆動させるモータ5が連結されている。この回転ドラム4の背面には、ファン(図示せず)が配置されており、吸気通路6から入った空気は、回転ドラム4内を通って、ファンの吸気口へと流れ込む。そしてこのファンの排気口には、排気通路7が連結され、回転ドラム4内の空気が外部へと排出される。
【0003】
ヒータ8は吸気通路6の周囲に設けられ、この吸気通路6を通過する空気を加熱する。これによりファンによって加熱された空気が、回転ドラム4内へ送り込まれ、回転ドラム4内の温度が上昇する。また、回転ドラム4内には錠剤3をコーティングする被覆材料9を霧化して、錠剤3へ噴霧する噴霧器10が設けられている。そしてこれらモータ5、ヒータ8、噴霧器10などはそれぞれ制御器11の出力に接続されている。
【0004】
従来のセンサ装置は、吸気通路6に設けられた温度センサ12と、排気通路に設けられた温度センサ13とから構成されている。この温度センサ12は、吸気通路6においてヒータ8よりも下流に配置され、ヒータ8で加熱された吸気の温度を検知する。一方排気通路の温度センサ13では、排気の温度を検知する。これら温度センサ12と温度センサ13の出力が制御器11の入力へと接続されることにより、制御器11は回転ドラム4内の雰囲気温度を検知し、温度制御を行う。
【0005】
そして以上のように構成された従来のコーティング装置では、以下のようにして錠剤3の表面に被覆材料9をコーティングする。ここで、被覆材料9は液状であり、加熱乾燥によって固化し、錠剤3の表面に被覆材料9がコーティングされるものである。最初に制御器11は回転ドラム4とヒータ8とへ制御信号を出力して、回転ドラム4を回転させるとともに、ヒータ8で回転ドラム4内の空気の温度を上昇させる。その後に制御器11は温度センサ13の出力によって、排気温度があらかじめ定められた値に達したと判定した場合に、噴霧器10に対して被覆材料9を噴霧する旨の指示を与える。なお、このとき噴霧器10から噴霧される被覆材料9の温度は、固化しないように低温(錠剤3の温度よりも低い温度)としている。
【0006】
その後に制御器11は温度センサ12の出力によって、吸気温度があらかじめ設定された温度になったと判定した場合に、ヒータ8を制御し、以降はその温度が維持されるようにする。そして噴霧器10から被覆材料9が規定量噴霧されると、制御器11は、噴霧器10からの被覆材料9の噴霧を停止させる。そしてこの噴霧停止した後で規定時間乾燥させた後にヒータ8をOFFし、冷風を回転ドラム4へ流し込み冷却する。この冷却が完了すると回転ドラム4の回転を停止し、錠剤3への被覆材料9のコーティングが完了する。
【0007】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、2が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭61−109598号公報
【特許文献2】特開平09−180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のコーティング装置1では、吸気と排気の温度を測定しているので、測定した温度と実際の錠剤3の温度とは異なる。さらに温度センサ12や温度センサ13で測定した吸気や排気の温度が同じであっても、錠剤3の形状、大きさや収納量が異なると、錠剤3自体の温度はそれぞれ異なる。あるいは噴霧途中で短時間噴霧が停止したような場合に、錠剤3の温度が上がりすぎてしまう場合も発生する。しかしながら従来のコーティング装置1では、吸気と排気の温度を測定するものであるので、このような条件において精度良く錠剤3の温度を測定できないという課題を有していた。
【0010】
そこで本発明は、この問題を解決したもので、錠剤の温度を精度よく測定できるセンサ装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために送信手段には、所定の情報を検知するセンサと、このセンサの出力が接続された送信器と、この送信器から出力された送信信号が供給される送信アンテナとを有し、受信手段には、前記送信アンテナから送られた前記送信信号を受信する受信アンテナと、この受信アンテナに接続された受信器と、この受信器に接続された出力端子とを備え、前記出力端子は制御器に対して少なくとも前記制御器に制御信号を生成させるためのデータ信号を出力し、前記送信手段は、前記センサや前記送信回路手段を駆動する電源回路と、少なくともこの電源回路と前記センサと前記送信器とが収納される樹脂製の緩衝ケースとを有し、前記収納物や被覆材料とともに前記攪拌手段で攪拌されて前記収納容器内を転動しつつ前記送信信号を送信するものである。これにより所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明によれば、収納容器に収納される収納物とともに前記収納容器へ収納される送信手段と、前記送信手段から送られた送信信号を受信する受信手段とを含み、前記送信手段には、所定の情報を検知するセンサと、このセンサの出力が接続された送信器と、この送信器から出力された送信信号が供給される送信アンテナとを有し、前記受信手段には、前記送信アンテナから送られた前記送信信号を受信する受信アンテナと、この受信アンテナに接続された受信器と、この受信器に接続された出力端子とを備え、前記出力端子は制御器に対して少なくとも前記制御器に制御信号を生成させるためのデータ信号を出力し、前記送信手段は、前記センサや前記送信回路手段を駆動する電源回路と、少なくともこの電源回路と前記センサと前記送信器とが収納される樹脂製の緩衝ケースとを有し、前記収納物を攪拌する攪拌手段で前記収納物とともに攪拌されて前記収納容器内を転動しつつ前記送信信号を送信するセンサ装置である。これにより、送信手段は収納物とともに攪拌されるので、非常に精度良く収納物の条件を測定できるセンサ装置を実現できる。
【0013】
さらにこのようなセンサ装置における出力端子に制御器を接続することにより、収納物の状態を精度よく判定できる。したがって、この受信手段から入力された精度の良い情報に基づいて、収納容器の諸条件を制御すれば、緻密な制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態におけるコーティング装置の回路ブロック図
【図2】同、装置の概念図
【図3】同、装置の側面から見た断面図
【図4】従来のコーティング装置の概念図
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態におけるセンサ装置を用いたコーティング装置21について図面を用いて説明する。図1は本実施の形態におけるコーティング装置の回路ブロック図であり、図2は、同装置の概念図であり、図3は同装置の側面から見た断面図である。なお図1から図3において、従来(図4)と同じものには同じ番号を用い、その説明は簡略化している。本実施の形態におけるコーティング装置21は、回転ドラム4(収納容器の一例として用いた。またここでは攪拌手段も兼ねており、攪拌手段の一例としても用いている)内に収納された数千錠の錠剤3(収納物の一例として用いた)を回転ドラム4で攪拌しながら加熱し、錠剤3の表面に被覆材料9をコーティングする装置である。
【0016】
図1から図3において、箱体2内に設けられた回転ドラム4であり、この回転ドラム4に連結されたモータ5によって回転する。本実施の形態における回転ドラム4は、箱体2内においてほぼ水平な軸周りに回転するように装着されている(図示矢印A)。この回転ドラム4は中空の円筒形状をなし、この中に錠剤3が収納される。そのために回転ドラム4の前面側の中央部には開口部4aが設けられている。一方箱体2には、回転ドラム4の開口部4aに対応する位置に、開口部2aが設けられている。そして、錠剤3は、この開口部2aと開口部4aとを通り、回転ドラム4への投入や回転ドラム4からの取り出しが行われる。さらに、箱体2には、開口部2aを塞ぐ開閉扉2bが装着されている。本実施の形態では、開閉扉2bには金属製枠の中央に透明な耐熱樹脂がはめ込まれ、金属枠外周には開口部2aをしっかりと塞ぐための、ゴムが設けられている。
【0017】
なお回転ドラム4の周面には通気のために複数の孔4bが設けられている。なお本実施の形態では、この孔4bは錠剤3がひっかかることで錠剤3を攪拌する機能も有している。また本実施の形態において余分な被覆材料9は孔4bを通って、箱体2の外部へと排出される。本実施の形態では回転ドラム4を回転させることで、錠剤3を攪拌したが、これは固定の収納容器内を回転する攪拌棒(あるいは攪拌ヘラ)などによって攪拌してもよい。さらに、孔4bは回転ドラム4の周面に形成したが、これは回転ドラム4の側面へも形成してもよい。
【0018】
回転ドラム4の中央部には、被覆材料9を錠剤3へ向けて噴霧する噴霧器10(塗布手段の一例として用いた)が設けられている。この噴霧器10は、開口部2aと開口部4aとを通って、開閉扉2bの中央部(耐熱樹脂部分)を貫通し、その先端は被覆材料9が貯蔵されたタンク22へと連結されている。なお、このタンク22内には液状の被覆材料9が貯蔵されている。なお本実施の形態では、噴霧器10によって被覆材料9を噴霧して被覆材料9を塗布したが、これはカーテンフローや、シャワーなどの方法で塗布しても良い。
【0019】
本実施の形態において被覆材料9は水溶性であり、熱により乾燥されることで、錠剤3上に被覆材料によりコーティングされるものである。具体的には錠剤3へ塗布された液状の被覆材料9は、回転ドラム4内へ噴出す高温の空気によって乾燥されて、被覆材料9が錠剤3の表面にコーティングされる。そのために回転ドラム4には吸気通路6の途中にヒータ8(硬化手段の一例として用いた)を配置する。このヒータ8によって吸気通路6から吸入された空気(図示矢印B)を加熱し、その空気を回転ドラム4へ流し込むことで、回転ドラム4内の空気の温度が上がることとなる。
【0020】
そこで、加熱された空気を回転ドラム4へ流し込むために、吸気通路6の出口は回転ドラム4の周面と面する位置に配置され、回転ドラム4の背面には回転ドラム4内の空気を吸引するファン23が連結されている。これにより、吸気通路6より入った高温の空気は、回転ドラム4の孔4bを通って回転ドラム4内へと流れ込む。なお本実施の形態では、被覆材料は水溶性であり、熱による乾燥により被覆材料が硬化したが、これは他の材料や方法によるものでも良い。例えば被覆材料として熱硬化型の樹脂やUVなどのような光による硬化型の樹脂などでもよい。そしてUV硬化によって被覆の硬化を行う場合には、硬化手段としてUV照射器などが用いられる。
【0021】
このようにして回転ドラム4内に流れ込んだ温風は、錠剤3に触れて被覆材料9を乾燥させることにより熱が奪われ、温度が低下する。そしてこの温度が下がった空気は、回転ドラム4の下方の孔4b内を通ってファン23へと吸引されて(図示矢印D)、回転ドラム4から排出される。このファン23の排出口には排気通路7が連結されており、回転ドラム4内で熱を奪われた空気は、排気通路7より箱体2の外へと排出される(図示矢印D)。
【0022】
そして、これらのモータ5、ヒータ8、噴霧器10やファン23には制御器24の出力が接続され、モータ5や噴霧器10、ファン23のオン・オフの制御や、ヒータ8の温度コントロールが行われる。一方制御器24の入力には、受信手段25の出力が接続される。この受信手段25は、後述する送信手段26から送られた送信信号を受信するものであり、受信アンテナ25aと受信器25bとを含んでいる。このとき送信信号は高周波信号であり、受信アンテナ25aはこの高周波信号を受信して受信器25bへと供給する。本実施の形態では、送信信号の周波数には2.4GHz周波数帯域を用いている。そして受信器25bは、受信アンテナ25aから入力された高周波信号を低い周波数へと変換し、復調された信号(以降データ信号という)として、出力端子25cから制御器24へと出力する。つまり、本実施の形態では、送信手段26と受信手段25とによってセンサ装置が形成されることとなる。そして受信手段25の出力端子から出力されるデータ信号によって、制御器24はモータ5、ヒータ8、噴霧器10やファン23などを制御するための制御信号を生成する。
【0023】
ここで回転ドラム4は金属製であるので、受信アンテナ25aは開口部2a(開口部4a)から見通せる位置に配置することが望ましい。そこで、本実施の形態における受信アンテナ25aは、先端が回転ドラム4中央に位置するように開閉扉2bへ固定されている。したがって、良好な受信感度を実現できる。なお本実施の形態における受信アンテナ25aは、ダイポール型のアンテナとしているので、さらに良好な受信感度を得ることができる。本実施の形態ではダイポール型アンテナとしたが、これはもちろんモノポール型のアンテナを用いてもかまわない。また、受信アンテナ25aを開閉扉2bの中央の樹脂部分に貼り付けて設けても良い。
【0024】
送信手段26は、錠剤3とともに回転ドラム4へ収納され、回転ドラム4によって錠剤3とともに攪拌されて、回転ドラム4内を転動しつつ送信信号を送信するものである。そのために送信手段26には、センサ26a、送信器26b、送信アンテナ26c、電池26d、樹脂製の密封容器26e(緩衝ケースの一例として用いた)とを含んでいる。
【0025】
センサ26aはこのセンサ26aが検知した結果に応じた検知信号が出力されるものであり、このセンサ26aの出力は送信器26bへ接続される。本実施の形態においてセンサ26aは密封容器26eの温度を測定する温度センサであり、測定した温度に応じた検知信号が出力される。そして送信手段26が錠剤3とともに攪拌されることで、センサ26aは実質的に錠剤3の温度を検出することとなる。
【0026】
送信器26bは、センサ26aから入力された検知信号を送信信号へと変換して、送信アンテナ26cへと出力する。具体的には、送信器26bでは検知信号を変調するとともに2.4GHzの周波数へと変換する。
【0027】
電池26dは、これらのセンサ26aや送信器26bの電源端子へと接続され、これらを駆動する。このように送信手段26には電池26dを内蔵しているので、たとえ回転ドラム4によって攪拌されても安定して、センサ26aや送信器26bは動作する。したがって安定して送信信号が送信される。
【0028】
そしてセンサ26a、送信器26b、送信アンテナ26cと電池26dとは、樹脂製の密封容器26e内へ収納される。このように送信手段26が樹脂製の密封容器26e内に収納されているので、この密封容器26eが回転ドラム4内での転動や、錠剤3との衝突などによって生じる力を緩和することができる。従って、これらの力が送信手段26へ加わりにくくなるので、送信手段26は転動状態においても安定して送信を継続することができる。
【0029】
なお、本実施の形態における密封容器26eの形状は、錠剤3とほぼ同じサイズでありかつほぼ同じ形状としている。したがって、精度良く温度を検出できる。なお、錠剤3と密封容器26eのサイズは異ならせても良い。この場合には、錠剤3と送信手段26とを容易に判別することができる。ここで、密封容器26eを用いるのは、被覆材料9が液状であるので、この液状の被覆材料9が密封容器26e内への進入を防止するためである。なおこの密封容器26eは転動が可能なように、円弧がつながって形成されたような形状としておくと良い。また密封容器26eが表裏満遍なく転げるようにするために、送信手段26の重心は電池26dの中に位置するように(できうる限り送信手段26の重心と電池26dの重心とを近い位置に)配置するとよい。そのためには電池26dの厚みが、センサ26a、送信器26bや送信アンテナ26cの厚みに比べて厚いものを用いる。
【0030】
以上のように構成されたコーティング装置21を用いて、錠剤3へ被覆材料9を塗布する方法について説明する。タンク22へ液状の被覆材料9を注がれ、一方回転ドラム4には送信手段26と、多くの個数の錠剤3とが開口部4aから投入される。このとき既にセンサ26aでは温度が検知され、送信器26bではセンサ26aから入力した検知信号の送信が開始されている。その後に開閉扉2bを閉めスタートスイッチ(図示せず)を押すと、制御器24がモータ5、ヒータ8とファン23とをONとする。これによって回転ドラム4が回転し、回転ドラム4内の温度が上昇する。このときセンサ26aは錠剤3とともに攪拌されながら温度の測定と検知信号の送信とを行い続けるので、センサ26aは実質的に錠剤3の温度を検出することができることとなる。これにより制御器24は、センサ26aが検知した温度を錠剤3の温度として扱っても、精度良く錠剤3の温度を検知できるわけである。そこで、以降本願ではセンサ26aが検知した温度を錠剤3の温度として説明を行うものとする。
【0031】
制御器24は錠剤3の温度が規定の温度に達したと判定した場合に、噴霧器10に対して被覆材料9を噴霧する旨の指示信号(制御信号の一例として用いた)を与え、噴霧器10に被覆材料9の噴霧を開始させる。なお、噴霧する旨の指示信号により、タイマカウンタでの時間計測も開始される。このとき噴霧器10から噴霧される被覆材料9の温度は、固化しないように低温(錠剤3の温度よりも低い温度)としているので、この噴霧によって錠剤3の温度は急激に低下し、ある温度に安定する。そこで、制御器24は錠剤3の温度が安定したと判断した場合に、ヒータ8を制御し、以降はその温度が維持されるように指示の信号を出力する(他の例の制御信号として用いた)。
【0032】
このとき、被覆材料9の噴霧にさらされている場所の錠剤3の温度は低く、それ以外の場所の錠剤3の温度は高くなる。そこで本実施の形態では、回転ドラム4内に複数個の送信手段26(センサ26a)が投入され、制御器24ではこれらの複数個の送信手段26で検知した温度の平均値を錠剤3の温度としている。これにより、非常に精度良く検知することができる。
【0033】
そして制御器24は噴霧開始時点からの、タンク22内の被覆材料9の減少量(もしくはタイマカウンタにより規定時間の経過)を計測し、規定の量が減少(あるいは規定時間が経過)した場合に噴霧器10に対し、噴霧器10からの被覆材料9の噴霧を停止する旨の信号を出力する。そして噴霧器10から被覆材料9が規定量噴霧されると、制御器24は、噴霧器10からの被覆材料9の噴霧を停止させる。そしてこの噴霧を停止した後で規定時間乾燥させた後にヒータ8をOFFし、冷風を回転ドラム4へ流し込み自然冷却する。そして、冷却が完了すると回転ドラム4の回転を停止し、錠剤3への被覆材料9のコーティングが完了する。
【0034】
被覆材料9の噴霧を停止すると、今度は徐々に錠剤3の温度が上昇するので、この錠剤3の温度が規定値となったときにヒータ8をOFFすることにより錠剤3への被覆材料9のコーティングが完了する。
【0035】
以上のように、送信手段26は錠剤3とともに攪拌されながら温度を検知し、かつその検知信号を送信し続けるので、錠剤3の温度などの条件を非常に精度良く測定できるコーティング装置を実現できる。これにより、錠剤3の過熱などによる薬剤の変質なども発生しにくくできる。なお、本実施の形態におけるセンサ26aには温度センサを用いたが、これ以外のセンサでもよく、振動センサ、衝撃センサや、圧力センサあるいは加速度センサまたは、湿度センサなどでもよい。
【0036】
例えば、振動、衝撃力や圧力を検知するセンサを用いれば、錠剤3に加わる力を検知できるので、センサが検知した力の値が大きい場合、回転ドラム4の回転速度を遅くするなども可能となる。この場合、特に壊れやすい錠剤3などに対してコーティングする場合に有用となる。また、乾燥を終了する時点で依然として湿度が高いと水滴などが乾燥された被覆材料上に付着し、錠剤に水滴の跡が生じたりする恐れがあるので、乾燥の完了時点では、回転ドラム4内の湿度は低い状態となっていることが望ましい。そこで、センサ26aに湿度センサを用い、制御器24は湿度センサで検知した湿度が規定値より低くなるまで、回転ドラム4内へ冷風を吹き込ませる。これにより回転ドラム4内の湿度を検知して乾燥することも可能となり、水滴の跡などが生じにくくできる。従って、錠剤3の歩留まりが向上する。また、温度センサに加えて他のセンサが搭載されても良い。この場合においても、それらの条件を精度良く検知することができる。
【0037】
なお送信アンテナは、密封容器内に収納しておくと良い。これにより送信アンテナ26cが攪拌などによって脱落することがない。また、送信アンテナは、密封容器26eの外周面に形成してもよい。これによれば、密封容器26e内に送信アンテナ26cを形成する必要がなく、小型の送信手段26を実現できる。
【0038】
また、本実施の形態における密封容器26eには送信手段26のみを格納したが、送受信手段を格納してもよい。なおこの場合、受信器25bに代えて送受信器を用いる。これにより、ドラム外からドラム内の装置へ信号を送信することが可能となる。したがって、たとえば回転ドラム4内に収納される送受信装置をオン・オフすることができ、電力消費の小さな送信手段26を実現できる。あるいは、センサ26aで検知するサンプリングタイムを長く設定するようなことも可能となる。これにより、消費電力を小さくでき、受信手段25を長時間使用することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明にかかるセンサ装置は、収納物の温度を精度良く検知できるという効果を有し、薬剤を錠剤などの表面にコーティングするコーティング装置等に用いると有用である。
【符号の説明】
【0040】
2 箱体
3 錠剤
4 回転ドラム
9 被覆材料
10 噴霧器
25 受信手段
25a 受信アンテナ
25b 受信器
25c 出力端子
26 送信手段
26a センサ
26b 送信器
26c 送信アンテナ
26e 密封容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納容器に収納される収納物とともに前記収納容器へ収納される送信手段と、前記送信手段から送られた送信信号を受信する受信手段とを含み、前記送信手段には、所定の情報を検知するセンサと、このセンサの出力が接続された送信器と、この送信器から出力された送信信号が供給される送信アンテナとを有し、前記受信手段には、前記送信アンテナから送られた前記送信信号を受信する受信アンテナと、この受信アンテナに接続された受信器と、この受信器に接続された出力端子とを備え、前記出力端子は制御器に対して少なくとも前記制御器に制御信号を生成させるためのデータ信号を出力し、前記送信手段は、前記センサや前記送信回路手段を駆動する電源回路と、少なくともこの電源回路と前記センサと前記送信器とが収納される樹脂製の緩衝ケースとを有し、前記収納物を攪拌する攪拌手段で前記収納物とともに攪拌されて前記収納容器内を転動しつつ前記送信信号を送信するセンサ装置。
【請求項2】
電源には、電池が用いられた請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
センサでは収納容器内の環境条件を検知するとともに、データ信号は制御器に対して少なくとも収納容器内の環境条件を制御させるための信号とし、前記センサで検知した条件に基づいて収納容器内の環境が制御される請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
センサでは少なくとも温度を測定するとともに、データ信号は制御器に対して少なくとも収納容器内の温度を制御させるための信号とし、前記センサで検知した温度に基づいて前記収納容器内の温度が制御される請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項5】
収納容器内には、複数個の収納物が収納される請求項4に記載のセンサ装置。
【請求項6】
ケースは密封容器とし、収納容器内では収納物の表面上へ塗布される被覆材料が前記送信手段へも塗布され、センサは前記被覆材料の塗布による温度変化を検知する請求項5に記載のセンサ装置。
【請求項7】
送信アンテナは、密封容器内に収納された請求項5に記載のセンサ装置。
【請求項8】
送信アンテナは、密封容器の外周面に形成された請求項5に記載のセンサ装置。
【請求項9】
収納容器内には複数個の送信手段が収納される請求項5に記載のセンサ装置。
【請求項10】
複数個の送信手段で測定した複数の情報の平均値を前記収納物の温度とする請求項9に記載のセンサ装置。
【請求項11】
収納物が収納される収納容器と、この収納容器へ収納される送信手段と、前記収納物を攪拌する攪拌手段と、前記送信手段から送られた送信信号を受信する受信手段と、この受信手段の出力が接続された制御器とを含み、前記送信手段には、所定の情報を検知するセンサと、このセンサの出力が接続された送信器と、この送信器から出力された送信信号が供給される送信アンテナとを有し、前記受信手段には、前記送信アンテナから送られた前記送信信号を受信する受信アンテナと、この受信アンテナに接続された受信器とを備え、前記送信手段は、前記センサや前記送信回路手段を駆動する電源回路と、少なくともこの電源回路と前記センサと前記送信器とが収納される樹脂製の緩衝ケースとを有し、前記攪拌手段で前記収納物とともに攪拌されて前記収納容器内を転動しつつ前記送信信号を送信し、前記制御器は前記送信器から受信した前記送信信号に基づいて前記収納物の攪拌条件を制御する攪拌装置。
【請求項12】
箱体と、この箱体内に設けられた回転ドラムと、この回転ドラム内に収納される収納物の状態を検知するセンサ手段と、このセンサ手段の出力が接続された制御器とを含み、前記センサ手段は、センサと、このセンサで検知した信号を高周波信号へと変換する送信器と、前記高周波信号が供給される送信アンテナと、この送信アンテナから送信された前記高周波信号を受信する受信アンテナと、この受信アンテナで受信した前記高周波信号をデータ信号へと変換する受信器と、この受信器から出力された前記データ信号によって制御信号を生成する制御器とを備え、前記センサや前記送信回路手段を駆動する電源回路と、この電源回路と前記センサと前記送信器とが収納される樹脂製の緩衝ケースとを有し、前記電源回路と前記センサと前記送信器とは、前記回転ドラム内に収納され前記収納物とともに攪拌されて前記収納容器内を転動しつつ前記送信信号を送信し、前記制御器は前記送信器から受信した前記送信信号に基づいて前記収納物の攪拌条件を制御する攪拌装置。
【請求項13】
センサは少なくとも温度を測定する温度センサを含むとともに、制御器の出力に接続されたヒータを有した請求項12に記載の攪拌装置。
【請求項14】
箱体と、この箱体内に設けられた収納容器とを有し、この収納容器には同一形状の収納物が複数個収納され、この収納物の表面を被覆材料で同時にコーティングするコーティング装置において、前記収納物を攪拌する攪拌手段と、前記収納物の表面上へ前記被覆材料を塗布する塗布手段と、この塗布された前記被覆材料を硬化させる硬化手段と、前記収納物とともに前記収納容器へ収納される送信手段と、前記送信手段から送られた送信信号を受信する受信手段と、この受信手段の出力が供給された制御器とを含み、前記送信手段には、所定の情報を検知するセンサと、このセンサの出力が接続された送信器と、この送信器から出力された送信信号が供給される送信アンテナとを有し、前記受信手段には、前記送信アンテナから送られた前記送信信号を受信する受信アンテナと、この受信アンテナに接続された受信器とを備え、前記送信手段は、前記センサや前記送信回路手段を駆動する電源回路と、少なくとも前記センサと前記送信器とが収納される樹脂製の密封容器とを有し、前記収納物や被覆材料とともに前記攪拌手段で攪拌されて前記収納容器内を転動しつつ前記送信信号を送信し、前記制御器は前記送信信号に基づいて、前記塗布手段と前記硬化手段の少なくともいずれか一方の条件を制御するコーティング装置。
【請求項15】
センサは少なくとも温度を測定する温度センサを含み、硬化手段はヒータとした請求項14に記載のコーティング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−138290(P2011−138290A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297413(P2009−297413)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】