説明

センサ装置及びセンサ装置の自己診断方法

【課題】機能診断をより精度良く行うことができるセンサ装置を提供する。
【解決手段】センサ素子1の各出力端子VSM,VSPとグランドとの間に、抵抗値がそれぞれ等しく設定される抵抗素子R1_1及びR1_2と、抵抗素子R2とを接続し、抵抗素子R1_2と並列にスイッチ回路S1を接続する。そして、スイッチ回路S1のオンオフ状態を自己診断時と通常動作時とで異なるように制御し、自己診断時にはスイッチ回路S1をオンして出力端子VSMとグランドとの間の抵抗値を変化させてセンサ素子1の出力電圧を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歪ゲージ抵抗をブリッジ接続して構成されるセンサ素子に駆動電流を供給し、前記センサ素子の出力電圧を増幅して出力するセンサ装置,及びセンサ装置の自己診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図18は、特許文献1に開示されている半導体式加速度検出装置の構成を示すものである。センサ素子1は、4つの半導体歪ゲージ抵抗2a〜2dをブリッジ接続して構成されたブリッジ(歪ゲージブリッジ)回路からなり、歪ゲージ抵抗2a及び2bの共通接続点にはセンサ駆動電流発生回路3からの定電流Isが供給され、歪ゲージ抵抗2c及び2dの共通接続点はグランドに接続されている。
歪ゲージ抵抗2b及び2dの共通接続点(電位VSP)と、歪ゲージ抵抗2a及び2cの共通接続点(電位VSM)とは、夫々増幅調整部4の入力端子に接続されており、増幅調整部4は、両接続点の電位差を増幅率Avで増幅した電圧VOUTを出力する。
VOUT=Av・(VSP−VSM)+VOFS …(1)
尚、VOFSは、増幅調整部4の回路において発生するオフセット電圧である。
【0003】
また、歪ゲージ抵抗2a及び2cの共通接続点とグランドとの間には、抵抗素子R1及びスイッチ回路S1の直列回路が接続され、歪ゲージ抵抗2b及び2dの共通接続点とグランドとの間には、抵抗素子R2及びスイッチ回路S2の直列回路が接続されている。これらは、センサ素子1が正常に動作するか診断を行うために使用され、この場合、抵抗素子R1,R2の抵抗値は僅かに異なる値に設定される。
【0004】
即ち、図19に示すように、通常動作時はスイッチ回路S1,S2をオフしておき、自己診断時には、自己診断信号V_DIGを与えてそれらをオンすることで各端子VSP,VSMをプルダウンする。プルダウン抵抗素子R1,R2の抵抗値は異なるので端子VSP,VSMの電圧が不平衡となり、その差に応じた電圧ΔVOUTが出力されれば、センサ素子1が正常に動作していることを確認できる。
【特許文献1】特許第3019550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、通常動作時において、センサ素子1の各出力端子VSP,VSMと増幅調整部4との間が断線すると、増幅調整部4の入力端子電位が不定になるため、断線状態を検出することができないという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、その目的は、通常動作時における断線の検出も可能にして自己診断を行うことができるセンサ装置,及びセンサ装置の自己診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のセンサ装置によれば、センサ素子の各出力端子と基準電位との間に、抵抗値がそれぞれ等しく設定される1つ以上の電位確定用の抵抗素子を接続し、電位確定用抵抗素子の少なくとも一方について、前記抵抗素子の一端と基準電位との間に1つ以上のスイッチ回路を備える。そして、スイッチ回路のオンオフ状態を自己診断時と通常動作時とで異なるように制御し、自己診断時にはセンサ素子の出力端子と基準電位との間の抵抗値を変化させることでセンサ素子の出力電圧を変化させ、通常動作時には、センサ素子の各出力端子を、抵抗素子を介して基準電位に接続する。したがって、通常動作時においてセンサ素子の出力端子に断線が発生すると増幅回路の対応する入力端子の電位は電位確定用抵抗素子を介して基準電位となるので、断線の発生を確実に検出することができる。
【0007】
請求項2記載のセンサ装置によれば、スイッチ回路を前記抵抗素子に並列に接続し、自己診断時にはスイッチ回路がオンされてセンサ素子の出力端子と基準電位との間の抵抗値を減少させる。したがって、自己診断には、出力端子の電位が基準電位側に近付くように変化することで、センサ素子の診断結果を得ることができる。
【0008】
請求項3記載のセンサ装置によれば、スイッチ回路がトランジスタで構成される場合に、スイッチ回路が接続されていない方の出力端子と基準電位との間に、スイッチ回路と同じ電気的特性のトランジスタで構成されてオフ状態に維持されるダミースイッチ回路を配置する。すなわち、トランジスタはオフ状態でも微小なリーク電流が流れるので、通常動作時にスイッチ回路をオフにしてもリーク電流分だけ出力電圧に変化が生じることが想定される。そこで、スイッチ回路を接続しない出力端子側にダミースイッチ回路を配置すれば、通常動作時にリーク電流が流れても各出力端子に生じる電圧変化が同じになるので、出力端子間に電位差が発生することを防止できる。
【0009】
請求項4記載のセンサ装置によれば、スイッチ回路は、前記抵抗素子に並列に接続されて自己診断時にオフされることで、センサ素子の出力端子と基準電位との間の抵抗値を増加させる。したがって、自己診断には、出力端子の電位が基準電位側より遠ざかるように変化することで、センサ素子の診断結果を得ることができる。
【0010】
請求項5記載のセンサ装置によれば、スイッチ回路は、抵抗素子に直列に接続されて自己診断時にオフされることでセンサ素子の出力端子と基準電位との間をハイインピーダンス状態にするので、前記出力端子の電位を変化させることができる。
【0011】
請求項6記載のセンサ装置によれば、スイッチ回路がトランジスタで構成される場合に、スイッチ回路が接続されていない方の出力端子と基準電位との間に、スイッチ回路と同じ電気的特性のトランジスタで構成されオン状態に維持されるダミースイッチ回路を配置する。すなわち、トランジスタはオン抵抗を有しているので、通常動作時にスイッチ回路をオンしていると、オン抵抗分だけ出力電圧に変化が生じることが想定される。そこで、スイッチ回路を接続しない出力端子側にダミースイッチ回路を配置すれば、通常動作時において、オン抵抗の影響により各出力端子に生じる電圧変化が同じになるので、出力端子間に電位差が発生することを防止できる。
【0012】
請求項7記載のセンサ装置によれば、基準電位をグランドレベルとするので、抵抗素子をグランドに接続すれば、基準電位を付与して出力端子の電位を簡単に確定させることができる。
請求項8記載のセンサ装置によれば、基準電位を、電流源回路を介してセンサ素子に印加される電位を分圧した電位とする。この場合、基準電位が例えば請求項7のグランドレベルと比較してより高くなるので、その分だけ電位確定用抵抗素子の抵抗値を小さくすることができる。
【0013】
請求項9記載のセンサ装置によれば、抵抗値調整手段の作用により、電流源回路を介してセンサ素子に印加される電圧の変化に応じて、自己診断時におけるセンサ素子の出力電圧の変化が一定となるように前記出力端子と基準電位との間の抵抗値を自動的に調整することができる。
【0014】
請求項10記載のセンサ装置によれば、抵抗値調整手段は、電流増幅回路が、電流源回路において駆動電流を決定するために付与される電流決定電圧に応じて流れる第1電流とセンサ素子の印加電圧に応じて流れる第2電流との比に応じた電流を増幅して出力すると、I/V変換回路がその電流を電圧に変換する。そして、複数のコンパレータは、I/V変換回路により変換された電圧と複数の基準抵抗素子で分圧された各レベルの基準電位とを比較し、複数のコンパレータの出力信号に応じて自己診断時における各スイッチ回路のオンオフ状態を決定する。したがって、センサ素子の印加電圧等が変化した場合でも自己診断時における出力電圧の変化量を一定にできる。
【0015】
請求項11記載のセンサ装置によれば、複数のレベル保持回路は、複数のコンパレータに対応してそれぞれ配置され、自己診断を行う場合に与えられる自己診断信号をトリガとして各コンパレータの出力信号レベルを保持する。したがって、複数の基準抵抗素子で分圧されて定められる各レベルの基準電位の境界付近で電圧変化が発生した場合に、チャタリングのような現象が発生して、スイッチ回路のオンオフ状態が変化することを防止できる。
【0016】
請求項12記載のセンサ装置によれば、センサ素子の出力端子の一方と基準電位との間に、抵抗値がそれぞれ等しく設定される1つ以上の電位確定用の抵抗素子を接続し、電位確定用抵抗素子の一端と基準電位との間に配置され、1つは電位確定用抵抗素子と直列に接続される1つ以上のスイッチ回路を備える。この場合、センサ素子の出力端子が接続される増幅回路の入力段を、バイポーラトランジスタで構成する。
そして、スイッチ回路のオンオフ状態を自己診断時と通常動作時とで異なるように制御し、自己診断時にはセンサ素子の出力端子と基準電位との間の抵抗値を変化させてセンサ素子の出力電圧を変化させ、その際に、抵抗値調整手段は、電流源回路を介してセンサ素子に印加される電圧の変化に応じてセンサ素子の出力電圧の変化が一定となるように、前記出力端子と前記基準電位との間の抵抗値を調整する。また、通常動作時には、電位確定用抵抗素子と直列に接続されているスイッチ回路をオフさせる。
【0017】
すなわち、増幅回路の入力段をバイポーラトランジスタで構成すると、センサ素子の出力端子の電位が抵抗素子を介して定まるように構成されていない場合でも、通常動作時にセンサ素子の出力端子に断線が発生すると増幅回路の対応する入力端子の電位が確定する。したがって、この場合も断線の発生を確実に検出することができる。また、抵抗値調整手段が請求項9と同様に作用することにより、自己診断時におけるセンサ素子の出力電圧の変化が一定となるように自動的に調整できる。
【0018】
請求項13記載のセンサ装置によれば、センサ素子は、圧力センサ又は加速度センサを構成するので、歪ゲージ抵抗により構成したブリッジ回路により圧力や加速度を検出するものに本発明を適用することができる。
【0019】
請求項14記載のセンサ装置によれば、センサ素子は、車両側面のドア内部に配置される側面衝突検出用の圧力センサを構成するので、事故発生時に車両の乗員の安全を確保するため、確実に動作する必要があるものについて自己診断を行う場合に、本発明を適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図1を参照して説明する。図1は、本実施例の圧力センサ装置11の構成を示すものである。尚、図18と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。圧力センサ装置11では、センサ素子1の出力端子VSMとグランド(基準電位)との間に抵抗素子R1_1,R1_2(電位確定用抵抗素子)の直列回路を接続し、抵抗素子R1_2に対して並列にスイッチ回路S1を接続している。
また、出力端子VSP側についてはスイッチ回路S2を削除し、抵抗素子R2(電位確定用抵抗素子)を直接グランドに接続している。そして、抵抗素子R1_1,R1_2の抵抗値の和は、抵抗素子R2の抵抗値に等しくなるように設定されている。すなわち、
R1_1+R1_2=R2 …(1.1)
である。
【0021】
次に、本実施例の作用について説明する。圧力センサ装置11の通常動作時には、スイッチ回路S1をオフすることで、センサ素子1の各出力端子VSM,VSPは、同じ抵抗値でプルダウンされる。そして、自己診断を行う場合は、自己診断信号V_DIGを与えてスイッチ回路S1をオンにして、抵抗素子R1_2を短絡する。この場合のタイミングチャートは図19と同様になる。すると、出力端子VSMは、抵抗素子R1_1のみでプルダウンされる。この時、
R1_1<R2 …(1.2)
となるから、圧力センサ装置11の出力電圧VOUTを変化させることができる。
【0022】
以上のように本実施例によれば、センサ素子1の各出力端子VSM,VSPとグランドとの間に、抵抗値がそれぞれ等しく設定される抵抗素子R1_1及びR1_2と、抵抗素子R2とを接続し、抵抗素子R1_2と並列にスイッチ回路S1を接続する。そして、スイッチ回路S1のオンオフ状態が自己診断時と通常動作時とで異なるように制御し、自己診断時にはスイッチ回路S1をオンして出力端子VSMとグランドとの間の抵抗値を変化(減少)させてセンサ素子1の出力電圧を変化させるようにした。
【0023】
したがって、通常動作時においてセンサ素子1の出力端子VSM,VSPに断線が発生すると、増幅調整部4(増幅回路)の対応する入力端子の電位が、それぞれ抵抗素子R1_1及びR1_2,R2を介してグランドレベルとなるので、断線の発生を確実に検出することができる。また、基準電位をグランドレベルとするので、抵抗素子R1,R2をグランドに接続すれば、基準電位を付与して出力端子VSM,VSPの電位を簡単に確定させることができる。
【0024】
(第2実施例)
図2は本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と異なる部分について説明する。第2実施例の圧力センサ装置12は、センサ素子1の出力端子VSPとグランドとの間に抵抗素子R2_1,R2_2の直列回路を接続し、抵抗素子R2_2に対して並列にスイッチ回路S2を接続している。この場合、各抵抗素子の抵抗値の関係は、
R1_1+R1_2=R2_1+R2_2 …(2.1)
となっている。
【0025】
また、スイッチ回路S1,S2は、例えばNPNトランジスタや、NチャネルMOSFETなどであり、両者は電気的特性が同一のトランジスタで構成されている。
次に、第2実施例の作用について説明する。第2実施例では、第1実施例と同様に、圧力センサ装置12について自己診断を行う場合は、自己診断信号V_DIGを与えてスイッチ回路S1をオンにして抵抗素子R1_2を短絡する。スイッチ回路S2については、常時オフ状態を維持させる。この場合、各抵抗素子の抵抗値の関係は、
R1_1<R2_1+R2_2 …(2.2)
となる。
【0026】
スイッチ回路S1がトランジスタで構成される場合は、オフ状態であっても僅かながらリーク電流が発生している。そこで、自己診断時にもオンさせる必要がないスイッチ回路S2を敢えて接続し、通常動作時においてスイッチ回路S1,S2の双方に同じリーク電流を流すことで、各出力端子VSM,VSPの対称性を確保する。
【0027】
以上のように第2実施例によれば、スイッチ回路S1がトランジスタで構成される場合に、スイッチ回路S1が接続されていない方の出力端子VSPとグランドとの間に、スイッチ回路S1と同じ電気的特性のトランジスタで構成されてオフ状態に維持されるダミーのスイッチ回路S2を配置したので、通常動作時にスイッチ回路S1,S2の双方でリーク電流が流れても、各出力端子VSM,VSPに生じる電圧変化が同じになり、それらの端子間に電位差が発生することを防止できる。
【0028】
(第3実施例)
図3及び図4は本発明の第3実施例を示すものである。第3実施例の圧力センサ装置13は、第2実施例の構成において、出力端子VSPはそのままとし、出力端子VSMを抵抗素子R1により直接プルダウンしたものである。この場合、抵抗素子R1の抵抗値は、
R1=R2_1 …(3.1)
とする。
【0029】
そして、スイッチ回路S2を、通常動作時はオン,自己診断時にはオフとするように制御する。したがって、通常動作時には(3.1)式が成立し、自己診断時は端子VSP側のプルダウン抵抗値が大きくなり、
R1<R2_1+R2_2 …(3.2)
となる。この場合のタイミングチャートは図4に示すようになり、端子VSP,VSMの電位は上昇する方向に変化する。
【0030】
以上のように第3実施例によれば、スイッチ回路S2を、抵抗素子R2_2に並列に接続されて自己診断時にオフさせて、出力端子VSPとグランドとの間の抵抗値を増加させるようにしたので、自己診断には、出力端子VSPの電位がグランドレベルより遠ざかるように変化することで、センサ素子1の診断結果を得ることができる。
【0031】
(第4実施例)
図5は本発明の第4実施例を示すものであり、第3実施例と異なる部分について説明する。第4実施例の圧力センサ装置14では、第3実施例の圧力センサ装置13に対して、抵抗素子R1とグランドとの間にスイッチ回路S1を配置し、スイッチ回路S1については常時オン状態を維持させる。この場合、スイッチ回路S1,S2は、第2実施例と同様に同一特性のトランジスタで構成する。
【0032】
すなわち、スイッチ回路S2がトランジスタで構成される場合は、オン状態であっても、ドレイン−ソース,若しくはエミッタ−コレクタ間にオン電圧が発生している。そこで、自己診断時にオフさせる必要がないスイッチ回路S1を敢えて接続し、通常動作時においてスイッチ回路S1,S2の双方に同じオン電圧を発生させることで、各端子VSM,VSPの対称性を確保する。
【0033】
以上のように第4実施例によれば、スイッチ回路S2がトランジスタで構成される場合に、スイッチ回路S2が接続されない方の出力端子VSMとグランドとの間に、スイッチ回路S2と同じ電気的特性のトランジスタで構成されオン状態に維持されるダミーのスイッチ回路S1を配置するので、通常動作時にオン抵抗の影響により各出力端子VSM,VSPに生じる電圧変化が同じになり、出力端子VSM,VSP間に電位差が発生することを防止できる。
【0034】
(第5実施例)
図6は本発明の第5実施例を示すものであり、第2,第4実施例と異なる部分について説明する。第5実施例の圧力センサ装置15は、第4実施例の圧力センサ装置14を改良したものであるが、回路構成としては、第2実施例の圧力センサ装置12と同じである。但し、スイッチ回路S1,S2のオンオフ状態は、第2実施例と異なっている。すなわち、第5実施例では、スイッチ回路S1については常時オン状態を維持させ、スイッチ回路S2については第4実施例と同様に、通常動作時にオン,自己診断時にオフさせる。
【0035】
そして、通常動作時には、各抵抗素子の抵抗値の関係は、
R1_1=R2_1 …(5.1)
となり、自己診断時には、
R1_1<R2_1+R2_2 …(5.2)
となる。これにより、通常動作時におけるスイッチ回路S2のオン抵抗を、端子VSM側について補償する。
【0036】
以上のように第5実施例によれば、センサ素子1の出力端子VSMとグランドとの間に抵抗素子R1_1及びR1_2を接続し、出力端子VSPとグランドとの間に抵抗素子R2_1及びR2_2を接続した。そして、抵抗素子R1_2,R2_2とそれぞれ並列にスイッチ回路S1,S2を接続し、スイッチ回路S1は常時オン状態として、スイッチ回路S2は通常動作時にオン,自己診断時にオフさせるようにした。したがって、自己診断時には、出力端子VSPのプルダウン抵抗値を増加させるように変化させてセンサ素子1の出力電圧を変化させ、ダミースイッチ回路S1により第4実施例と同様にオン抵抗の影響をキャンセルできる。
【0037】
(第6実施例)
図7は本発明の第6実施例を示すものである。第6実施例の圧力センサ装置16は、出力端子VSMを抵抗素子R1により直接プルダウンし、出力端子VSPとグランドとの間に、抵抗素子R2とスイッチ回路S2との直列回路を接続する。そして、スイッチ回路S2を、通常動作時はオンにして、自己診断時にはオフにする。したがって、通常動作時は、
R1=R2 …(6.1)
となり、自己診断時には、抵抗素子R2の下端をオープン状態にする。
以上のように第6実施例によれば、スイッチ回路S2を、抵抗素子R2と直列に接続して自己診断時にオフさせて出力端子VSPをハイインピーダンス状態にして、出力端子VSPの電位を変化させることができる。
【0038】
(第7実施例)
図8は本発明の第7実施例を示すものである。第7実施例の圧力センサ装置17は、第6実施例の圧力センサ装置16を改良したもので、抵抗素子R1とグランドとの間にスイッチ回路S1を挿入する。そして、スイッチ回路S1は常時オン状態に維持する。これにより、通常動作時にスイッチ回路S2をオンした場合に発生するオン電圧を、端子VSM側について補償する。
【0039】
尚、圧力センサ装置17では、スイッチ回路S1,S2に与える制御信号について、簡単な論理回路を付加すれば、検査時においてスイッチ回路S1,S2をともにオフすることで、増幅調整部4の入力電流を測定することができる。これに対して、第1〜第6実施例の構成では、端子VSP,VSMの何れか一方が直列にスイッチ回路を介すことなくプルダウンされているため、上記入力電流を測定するには、別途スイッチ回路を追加する必要がある。
追加するスイッチ回路のオン抵抗を小さくするには、MOSFETで構成する場合、ゲート幅Wとゲート長Lとの比W/Lを大きくする必要があり、スイッチ回路のサイズが大きくなってしまう。これに対して、論理回路を追加する方が、回路サイズがより小さくなる。
【0040】
以上のように第7実施例によれば、出力端子VSMとグランドとの間に抵抗素子R1及びスイッチ回路S1の直列回路を接続し、出力端子VSPとグランドとの間に抵抗素子R2及びスイッチ回路S2の直列回路を接続した。そして、スイッチ回路S1は常時オン状態に維持することで、通常動作時にスイッチ回路S2をオンした場合に発生するオン電圧を端子VSM側について補償し、検査時にスイッチ回路S1,S2をともにオフにすることで、増幅調整部4の入力電流を測定できる。
【0041】
(第8実施例)
図9は本発明の第8実施例を示すものである。第8実施例の圧力センサ装置18は、例えば第1実施例の圧力センサ装置11について、抵抗素子R1_1,R2及びスイッチ回路S1の一端に、電位がグランドよりも高く設定される基準電位VD_REFを与えるように構成したものである。
【0042】
そのため、センサ駆動電流発生回路3(電流源回路)と、センサ素子1の共通接続点の電位VSIを、オペアンプOP1により構成される電圧バッファを介して電位VO1とし、オペアンプOP1の出力端子とグランドとの間に、抵抗素子RO1H,RO1Lの直列回路を接続する。そして、両者の共通接続点で得られる分圧電位を、オペアンプOP2により構成される電圧バッファを介して、抵抗素子R1_2,R2及びスイッチ回路S1の低電位側端子に供給する。
【0043】
圧力が印加された場合のセンサ素子1の歪みゲージ抵抗2(a〜d)の抵抗値変化は、高々数%であるから、端子VSP,VSMの電位は、
VSP=VSM≒VSI/2 …(8.1)
となっている。したがって、第1〜第7実施例ではプルダウンされた抵抗素子の両端には電圧VSI/2が印加されるが、第8実施例で印加される電圧は(VSI/2−VD_REF)となる。
【0044】
そして、基準電位VD_REFは、
VD_REF={RO1L/(RO1H+RO1L)}・VSI …(8.2)
であるから、例えば、RO1H=3・RO1L,とすれば、
VD_REF=VSI/4 …(8.3)
となる。したがって、プルダウンされた抵抗素子の両端に印加される電圧は、
VSI/2−VSI/4=VSI/4 …(8.4)
となり、他の実施例の1/2となるので、プルダウン用抵抗素子の抵抗値を1/2にすることができる。
以上のように第8実施例によれば、基準電位を、センサ駆動電流発生回路3を介してセンサ素子1に印加される電位VSIを分圧した電位としてグランドレベルよりも高い電位にすることで、その分だけ抵抗素子R1,R2の抵抗値を小さくできる。
【0045】
(第9実施例)
図10乃至図13は本発明の第9実施例を示すものである。第1〜第8実施例において、自己診断時における圧力センサ装置の出力電圧変化ΔVOUTは、端子VSP,VSMの何れもプルダウンされる場合は、
【0046】
【数1】

端子VSPはプルダウンされず、端子VSMがプルダウンされる場合は、
【0047】
【数2】

となる。但し、Avは増幅調整部4のゲイン,R1_DIG,R2_DIGは、それぞれ自己診断時における出力端子VSM,VSPのプルダウン抵抗値である。また、Rs≪R1_DIG,R2_DIGであり、スイッチ回路S1,S1_0,…,S1_N−1,S2のオン抵抗は無視している。
【0048】
ゲインAvは抵抗比で決定されるため、そのばらつきは1%程度であるが、センサ駆動電流発生回路3によって供給される電流Isは、センサ素子1の感度と同程度であり約20%である。また、各抵抗値Rs,R1_DIG,R2_DIGも20%程度ばらつく。その結果、出力電圧変化ΔVOUTの精度が悪く、自己診断時における異常検出の精度に影響を及ぼしている。更に、歪みゲージ抵抗2の温度係数は数1000ppm/℃であるから、温度特性も悪くなっている。
そこで、第9実施例では、(9.1)式に含まれている項(Is・Rs)に応じて、自己診断時のプルダウン抵抗値R1_DIGを自動調整することで、出力電圧変化ΔVOUTの精度向上を図る。
【0049】
図10は、第7実施例における圧力センサ装置17について、抵抗素子R1を自動調整する構成に置き換えて構成した圧力センサ装置21を示す。まず、センサ駆動電流発生回路(電流源回路)3の詳細構成について説明する。電源VCCとグランドとの間には、PチャネルMOSトランジスタ(FET)P11,NチャネルMOSトランジスタN11,抵抗素子R11の直列回路が接続されており、オペアンプOP11の反転入力端子と出力端子とは、トランジスタN11のソース,ゲートに夫々接続されている。そして、オペアンプOP11の非反転入力端子には、D/A変換回路(DAC_K)22より基準電圧VK(電流決定電圧)が与えられる。そのD/A変換回路22に対しては、EPROM23より上記の基準電圧VKを与えるためのデータDKが入力されている。
【0050】
PチャネルMOSトランジスタP12,P13のソースは電源VCCに接続され、ゲートは、トランジスタP11のゲート及びドレインに接続されてワイドラー型の二連出力形カレントミラー回路を構成している。トランジスタP13のドレインとグランドとの間には、NチャネルMOSトランジスタN12が接続されており、NチャネルMOSトランジスタN13のソースはグランドに接続され、ゲートはトランジスタN12のゲート及びドレインに接続されて、トランジスタN12,N13はカレントミラー回路を構成している。また、電源とトランジスタN13との間には、PチャネルMOSトランジスタP14が接続されている。
【0051】
PチャネルMOSトランジスタP15のソースはトランジスタP12のドレインに、ゲートはトランジスタP14のドレインに夫々接続されている。そして、トランジスタP14のゲートは、トランジスタP15のソースに接続されており、トランジスタP15のドレインより定電流Isが出力される。尚、以上の構成は、特開2006−140888号公報に開示されている定電流生成回路と同様である。
【0052】
次に、センサ駆動電流発生回路3の詳細動作について説明する。トランジスタP11,P12の電流ミラー比をmとすると、センサ素子1に供給される定電流Isは、
【0053】
【数3】

となる。ミラー比mは、トランジスタP11のゲート幅,ゲート長をW11,L11とし、トランジスタP12のゲート幅,ゲート長をW12,L12とすれば、
【0054】
【数4】

で表される。
【0055】
一般に定電流回路では、トランジスタP11,P12の特性の相対精度を高めるため、L11=L12に設定し、ゲート幅がW11,W12よりも小さい単位トランジスタを複数個並列に接続してトランジスタP11,P12を構成する。また、トランジスタP13〜P15やトランジスタN12,N13は、電流ミラー比の変動を抑制するために配置されている。即ち、圧力センサ素子1の抵抗値が変化すると、トランジスタP15のソース−ドレイン間電圧は変化するが、トランジスタP12のソース−ドレイン間電圧は変化しないので、電流ミラー比mは一定に維持される。
【0056】
次に、Is・Rs検出回路24について説明する。Is・Rs検出回路24は、オペアンプOP21と、トランジスタP21〜P25,N21〜N23により、センサ駆動電流発生回路3と同様に構成される定電流回路25を備えており、オペアンプOP21の非反転入力端子には、トランジスタP15のドレインが接続されている。定電流回路25の電流ミラー比を「1」とすると、出力電流IR22は(9.4)式となり、
【0057】
【数5】

電圧VSIに比例した電流となる。
【0058】
定電流回路25の電流出力端子(トランジスタP25のドレイン)は、抵抗素子R22の一端に接続されていると共に、電流増幅回路26の入力端子INに接続されている。抵抗素子R22の他端は、電流増幅回路26の入力端子IPに接続されていると共に、後述する自己診断抵抗調整回路27(抵抗値調整手段)より基準電圧VREFが与えられている。電流増幅回路26の入力端子I1_REFには、センサ駆動電流発生回路3と同様に基準電圧VKが与えられており、入力端子I2_REFには、センサ素子1への印加電圧VSIが与えられている。
【0059】
図11は、電流増幅回路26の具体構成を示すものである。この回路は、例えば特開2006−170620号公報の図12に開示されているものと同様である(但し、出力において電流−電圧変換を行うIV変換回路719を除く)。ここで、電流増幅回路26の回路動作について説明する。電流増幅回路26は、定電流発生回路28及び29,差動回路30,差動増幅部31で構成されている。
【0060】
VI1_REFを入力端子I1_REFに印加される電圧とすると、定電流発生回路28において、トランジスタQ38,Q39のコレクタ電流(定電流)I1は(9.5)式となる。
I1=VI1_REF/RI1_REF …(9.5)
そして、差動回路30において、入力端子IP,IN間には、抵抗素子R22の端子電圧VAが印加される。
VIP−VIN=VA …(9.6)
VIP,VINは、それぞれ入力端子IP,INに印加される電圧である。そして、トランジスタQ3,Q4のコレクタからエミッタに流れる電流IQ3,IQ4は、(9.7),(9.8)式となる。
IQ3=I1+VA/RIN …(9.7)
IQ4=I1−VA/RIN …(9.8)
この時、トランジスタQ3,Q4のエミッタ電位VP,VNは、(9.9),(9.10)式となる。
VP=VCC−(kT/q)ln(IQ3/Is) …(9.9)
VN=VCC−(kT/q)ln(IQ4/Is) …(9.10)
kはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは電子の電荷、IsはトランジスタQ3,Q4の逆方向飽和電流である。
【0061】
トランジスタQ5〜Q8のベースエミッタ間電圧をVFとすると、差動増幅部31におけるトランジスタQ9,Q10のベース電位VQ9,VQ10は、(9.11),(9.12)式となる。
VQ9 =VN−2VF …(9.11)
VQ10=VP−2VF …(9.12)
また、VI2_REFを入力端子I2_REFに印加される電圧とすると、定電流発生回路29において、トランジスタQ48のコレクタ電流(定電流)I2は(9.13)式となる。
I2=VI2_REF/RI2_REF …(9.13)
差動増幅部31におけるトランジスタQ9側に流れる電流をIx,Q10側に流れる電流をIyとすると、定電流I2との関係は、(9.14)式となる。
I2=Ix+Iy …(9.14)
(9.14)式より電流Ix,Iyの増減は互いに逆になる。変数ΔI2を電流をIx,Iyの差で定義する。即ち、
Ix−Iy=2・ΔI2 …(9.15)
と表す。(9.14)式,(9.15)式より
Ix=I2/2+ΔI2,Iy=I2/2−ΔI2 …(9.16)
となる。
【0062】
また、トランジスタQ9,Q10のエミッタ電位をVE,逆方向飽和電流をIs’とすすると、(9.11),(9.12)式より、(9.17),(9.18)式が成り立つ。
VN−2VF−VE=(kT/q)ln(Ix/Is’) …(9.17)
VP−2VF−VE=(kT/q)ln(Iy/Is’) …(9.18)
そして、(9.18)式と(9.17)式との差をとり、(9.9),(9.10)式を使うと、
VP−VN=(kT/q)ln(Iy/Ix)
(kT/q)ln(IQ4/IQ3)=(kT/q)ln(Iy/Ix)
となるから、
IQ4/IQ3=Iy/Ix …(9.19)
の関係が成り立つ。すると、(9.7),(9.8),(9.16),(9.19)式より、(9.15)式を計算すると、
Ix−Iy=2・ΔI2=(VA/RIN)・(I2/I1) …(9.20)
となる。
【0063】
ここで、差動増幅部31の出力段において、トランジスタQ21のコレクタ電流がIx,トランジスタQ18のコレクタ電流がIyに相当するから、電流(Ix−Iy)は、差動増幅部31の出力電流IOに等しい。出力電流IOは、(9.20)式に、(9.5),(9.6),(9.13)式を代入すると、
【0064】
【数6】

と表される。
【0065】
入力端子I1_REF,I2_REFには、それぞれ電圧VSI,VKが印加されているので、
VI1_REF=VK …(9.22a)
VI2_REF=VSI=Rs・Is …(9.22b)
である。また、IP、INにはR22が接続されているので、
VIP−VIN=−IR22・R22 …(9.23)
である。(9.21)式に(9.22a),(9.22b),(9.23)式を代入し、(9.2),(9.4)式を使って整理すると
【0066】
【数7】

となる。
【0067】
図10において、電流増幅回路26の出力端子には、オペアンプOP31により構成されるI/V変換回路32が配置されており、オペアンプOP31の非反転入力端子には、基準電圧VREFが与えられている。従って、I/V変換回路32の出力電圧VOは、
VO=−IO・RO+VREF …(9.25)
となる。ROは、オペアンプOP31に接続されている帰還抵抗である。
【0068】
(9.24)式を(9.25)式に代入すると、
【0069】
【数8】

ここで、係数αを(9.27)式に定義すると、
【0070】
【数9】

出力電圧VOは、
VO=−α・Is・Rs+VREF …(9.28)
となり、出力電圧VOによって[Is・Rs]が検出できることが判る。
【0071】
次に、自己診断抵抗調整回路27について説明する。電源VCCとグランドとの間には、抵抗素子RH,RL0,RL1,RL2,…,RLN−1,RLNの直列回路が接続されており、抵抗素子RH,RL0の共通接続点は、オペアンプOP41の非反転入力端子に接続されている。オペアンプOP41は、電圧バッファを構成しており、前記共通接続点の分圧電位が上述した基準電圧VREFとして出力される。基準電圧VREFは、(9.29)式となる。
【0072】
【数10】

また、抵抗素子RL0及びRL1,RL1及びRL2,…,RLN−1及びRLNの各共通接続点は、コンパレータCP0,CP1,…,CPN−1の各反転入力端子に接続されており、これらのコンパレータCP0,CP1,…,CPN−1の各非反転入力端子には、I/V変換回路32の出力電圧VOが共通に与えられている。抵抗素子RL0及びRL1,RL1及びRL2,…,RLN−1及びRLNの各共通接続点は、基準電圧VREF0,…,VREFN−1となる。これらは、例えば
【0073】
【数11】

となる。
【0074】
コンパレータCP0,CP1,…,CPN−1の各出力端子は、DフリップフロップDF0,DF1,…,DFN−1(レベル保持回路)の各入力端子Dに接続されており、DフリップフロップDF0,DF1,…,DFN−1のクロック端子Cには、自己診断信号V_DIGが共通に与えられている。また、DフリップフロップDF0,DF1,…,DFN−1のリセット端子RBには、パワーオンリセット(POR)回路からのパワーオンリセット信号が共通に与えられている。
DフリップフロップDF0,DF1,…,DFN−1の各出力端子Qは、ANDゲートAND0,AND1,…,ANDN−1の一方の入力端子にそれぞれ接続されており、各ANDゲートの他方の入力端子には自己診断信号V_DIGが共通に与えられている。
【0075】
センサ素子1の端子VSMとグランドとの間には、抵抗素子R1_0,R1_1,R1_2,…,R1_N−1,R1_N及びスイッチ回路S1(常時オン)の直列回路が接続されており、抵抗素子R1_0及びR1_1,R1_1及びR1_2,…,R1_N−1及びR1_Nの各共通接続点とグランドとの間には、スイッチ回路S1_0,S1_1,…,S1_N−1が接続されている。そして、ANDゲートAND0,AND1,…,ANDN−1の出力信号が、各スイッチ回路S1_0,S1_1,…,S1_N−1の制御信号として与えられている。
【0076】
図12は、横軸に[Is・Rs],縦軸に電流増幅回路26を介して出力される電圧VOに基づく各基準電圧VREF(0〜N−1)の値をとって両者の関係を示すもので、図中の直線は(9.28)式を示す。基準電圧VREF0は、想定される出力電圧VOの最大値MAX(すなわち、[Is・Rs]の最小値MIN)よりも高い値に設定し、基準電圧VREFN−1は、想定される出力電圧VOの最小値MIN(すなわち、[Is・Rs]の最大値MAX)よりも低い値に設定する。そして、その他の基準電圧VREF1,VREF2,…,VREFN−2は、電位差(VREF0−VREFN−1)を等間隔で分圧するように抵抗素子RH,RL0,…,RLNの抵抗値を設定する。
【0077】
DフリップフロップDF0,DF1,…,DFN−1は、出力電圧VOが何れかの基準電圧境界付近で変動した場合に発生するチャタリングを防止するために配置されており、自己診断信号V_DIGの立上りエッジで、各スイッチ回路S1_0,S1_1,…,S1_N−1のオンオフ切替え状態を確定させる。
端子VSM,VSPのプルダウン抵抗素子の抵抗値は、以下のような関係で設定する。
R1_1=r/2 …(9.32)
R1_2=R1_3=…=R1_N−1=r …(9.33)
R2=R1_0+R1_1+…+R1_N−1+R1_N …(9.34)
ここで、rは抵抗素子の直列回路(抵抗ラダー)を構成する単位抵抗値である。
【0078】
図13は、図12と同じ縦軸に対し、横軸に自己診断時における端子VSM側のプルダウン抵抗値R1_DIGを示す。[VREFN−1<VO<VREF0]の範囲では、抵抗値R1_DIGが図中に示すように折れ線状に切り替わる。図中で折れ線の中心を結んで通る直線は、
【0079】
【数12】

となるように抵抗値R1_0,rを設定する。そして、抵抗値R1_Nは(9.34)式を満たすように設定する。
【0080】
次に、第9実施例の作用を、出力電圧VOが、図12,図13に示すVREFi−1と、VREFiとの間にある場合について説明する。
<通常動作時>
通常動作時は、自己診断信号V_DIGはインアクティブ(Lレベル)であるから、全てのANDゲートAND0〜ANDN−1の出力信号がLレベルとなり、スイッチ回路S1_0〜S1_N−1は全てオフになる。この場合、端子VSMのプルダウン抵抗値R1_NORは、
R1_NOR=R1_0+R1_1+…+R1_N−1+R1_N
=R2 …(9.36)
となり、端子VSPのプルダウン抵抗値R2_NORは、
R2_NOR=R2 …(9.37)
となる。したがって、
R1_NOR=R2_NOR…(9.38)
となり、端子VSM,VSPは、同じ抵抗値でプルダウンされる。
【0081】
<自己診断時>
この時、コンパレータCP0,…,CPi−1の出力信号はLレベルであるから、スイッチ回路S1_0〜S1_i−1はオフになり、コンパレータCPi,…,CPN−1の出力信号はHレベルであるから、スイッチ回路S1_i〜S1_N−1はオンになる。したがって、端子VSMのプルダウン抵抗値R1_DIGは、
R1_DIG=R1_0+…+R1_i
=R1_0+(i−1/2)・r …(9.39)
となる。また、スイッチ回路S2はオフしているので、端子VSP側はプルダウンされない。
【0082】
プルダウン抵抗値R1_DIGは、±r/2の誤差以内で、出電圧VOと(9.35)式の関係にある。したがって、(9.28),(9.35)式より、
【0083】
【数13】

となる。(9.40)式を、(9.1b)式に代入すると、
【0084】
【数14】

となり、基準電圧VREF,VREF0は、電源電圧VCCと抵抗比とで決定される。更に、(9.27)式より、
【0085】
【数15】

となるから、[α・R1_0]も、MOSFETのサイズ比と抵抗比とで決定される。すなわち、自己診断時の出力電圧変化ΔVOUTは、駆動電流Is,ゲージ抵抗Rs,プルダウン抵抗のばらつきに関係なく、全て回路定数の比で決定されるので、自己診断を高精度で行うことができる。
【0086】
実際には、(9.35)式に基づいて決定されるプルダウン抵抗値R1_DIGは、±r/2の誤差を含んでいる。[r≪R1_DIG]とすると、
【0087】
【数16】

となるから、出力電圧変化ΔVOUTは、厳密には
【0088】
【数17】

となり、r/(2・R1_DIG)の誤差を含むことになる。したがって、出力電圧変化ΔVOUTについて要求される精度に応じて、プルダウン抵抗素子の分割数Nを設定すれば良い。
【0089】
以上のように第9実施例によれば、Is・Rs検出回路24と自己診断抵抗調整回路27の作用により、(Is・Rs)に応じて、自己診断時におけるセンサ素子1の出力電圧の変化が一定となるように、出力端子VSMとグランドとの間の抵抗値を自動的に調整することができる。電流増幅回路26が、電流源回路において駆動電流を決定するために付与される電流決定電圧VKに応じて流れる第1電流I1と電圧VSIに応じて流れる第2電流I2との比に応じた電流を増幅して出力すると、I/V変換回路32がその電流を電圧Voに変換する。
【0090】
そして、コンパレータCP0〜CPN−1は、I/V変換回路32により変換された電圧Voと基準抵抗素子RH,RL0〜RLNで分圧された各レベルの基準電位VREF0〜VREFN−1とを比較し、コンパレータCP0〜CPN−1の出力信号に応じて自己診断時における各スイッチ回路S1_0〜S1_N−1のオンオフ状態を決定する。このようにして、(Is・Rs)に応じて出力端子VSMとグランドとの間の抵抗値を自動的に調整することにより、自己診断時における出力電圧ΔVOUTの変化量を一定にできる。
【0091】
また、DフリップフロップDF0,DF1,…,DFN−1は、コンパレータCP0〜CPN−1に対応してそれぞれ配置され、自己診断を行う場合に与えられる自己診断信号をトリガとして各コンパレータCP0〜CPN−1の出力信号レベルを保持する。したがって、基準抵抗素子RH,RL0〜RLNで分圧されて定められる各レベルの基準電位VREF(0〜N−1)の境界付近で電圧変化が発生した場合に、チャタリングのような現象が発生して、スイッチ回路S1_0〜S1_N−1のオンオフ状態が変化することを防止できる。
【0092】
(第10実施例)
図14及び図15は本発明の第10実施例を示すものであり、第9実施例と異なる部分について説明する。第10実施例では、自己診断時に出力端子VSM,VSPの双方をプルダウンすると共に、双方のプルダウン抵抗値を自動調整する場合である。第10実施例の圧力センサ装置41では、センサ素子1の端子VSPとグランドとの間に、抵抗素子R2に替えて、抵抗素子R2_0,R2_1,R2_2,…,R2_N−1,R2_Nの直列回路が接続されている。
【0093】
そして、抵抗素子R2_0及びR2_1,R2_1及びR2_2,…,R2_N−1及びR2_Nの各共通接続点とグランドとの間には、スイッチ回路S2_0,S2_1,…,S2_N−1が接続されている。そして、ANDゲートAND0,AND1,…,ANDN−1の出力信号が、各スイッチ回路S2_0,S2_1,…,S2_N−1に対しても制御信号として与えられている。また、出力端子VSM側のスイッチ回路S1は削除されている。
【0094】
出力端子VSP側のプルダウン抵抗値は、以下のように設定される。抵抗素子R2_0及びR2_1,R2_1及びR2_2,…,R2_N−1及びR2_Nの抵抗値は、対応する出力端子VSM側の抵抗値のβ(>1)倍に設定する。
R2_0=β・R1_0 …(10.1)
R2_1=β・R1_1=β・(r/2) …(10.2)
R2_2=…=R2_N−1=β・r …(10.3)
また、通常動作時に、端子VSM,VSPを同じ抵抗値でプルダウンするため、
R1_NOR=R2_NOR …(10.4)
R1_NOR=R1_0+(N−3/2)・r+R1_N …(10.5)
R2_NOR=R2_0+R2_1+R2_2+…+R2_N−1+R2_N
=β・{R1_0+(N−3/2)・r}+R2_N …(10.6)
を満足するように、抵抗素子R2_Nの抵抗値は設定されている。
【0095】
次に、第10実施例の作用について図15も参照して説明する。
<通常動作時>
通常動作時は、自己診断信号V_DIGはインアクティブ(Lレベル)であるから、全てのANDゲートAND0〜ANDN−1の出力信号がLレベルとなり、スイッチ回路S1_0〜S1_N−1は全てオフになるから、(10.4)〜(10.6)式に示すように、出力端子VSM,VSPは同じ抵抗値でプルダウンされる。
【0096】
<自己診断時>
第9実施例と同様に、出力電圧VOがVREFi−1とVREFiとの間にあるとする。出力端子VSMのプルダウン抵抗値R1_DIGは、第9実施例と同様である。出力端子VSPのプルダウン抵抗値R2_DIGは、
R2_DIG=β・R1_DIG …(10.7)
であるから、(9.1a)より、
【0097】
【数18】

さらに、(9.40)より、
【0098】
【数19】

となる。
【0099】
すなわち、図15に示すように、端子VSM,VSPのプルダウン抵抗値R1_DIGは、R2_DIGは、それぞれの折れ線の中心を結んで通る直線の傾きが「β」分異なっている。したがって、第9実施例と同様に、自己診断を高精度に行うことができる。
【0100】
(第11実施例)
図16は本発明の第11実施例を示すものである。第11実施例の圧力センサ装置51は、第9実施例の圧力センサ装置21より、出力端子VSP側の抵抗素子R2及びスイッチ回路S2を取り除き、通常動作時にプルダウンを行わない構成である。そして、端子VSM側については、第9実施例と同様にプルダウンを行う。この場合、増幅調整部4Aの入力段をバイポーラトランジスタで構成すれば、通常動作時においてセンサ素子1と増幅調整部4Aとの間が断線しても、入力電圧レベルが確定されるため、断線を検出することができる。
【0101】
(第12実施例)
図17は本発明の第12実施例を示すものである。第12実施例は、本発明の圧力センサ装置を、車両における側面衝突検出用の圧力センサに適用した場合を具体的に示す。自動車の側面ドア61は、車体外側のドアアウタパネル61aと、車室内側のドアインナパネル61bとによって断面が中空となるように形成されており、このドア内空間61cには、圧力センサ62が、ドアインナパネル61bの内面のほぼ中央に固定して、ドア内空間61cの気圧を測定可能に設けられている。
【0102】
圧力センサ62は、エアバッグ制御用のECU(Electronic Control Unit)63に接続されている。ECU63は、圧力センサ62から入力された信号を処理して側面衝突の判定を行い、また側面衝突の判定時には、エアバッグモジュール64にインフレータの着火信号を出力するように構成されている。なお、ここでエアバッグモジュール64は、インフレータとエアバッグとをアッセンブリ化して構成されている。
【0103】
以上のように構成される第12実施例によれば、本発明の圧力センサ装置を、車両側面のドア61内部に配置される側面衝突検出用の圧力センサ62に適用したので、事故発生時に車両の乗員の安全を確保するため、確実に動作する必要があるものについて自己診断を行う場合に、本発明を適用することができる。
【0104】
本発明は上記し且つ図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形または拡張が可能である。
車両の側面衝突検出用の圧力センサに限ることなく、その他の用途の圧力センサについても広く適用することができる。
また、圧力センサに限ることなく、加速度センサや歪みゲージ抵抗をブリッジ接続して構成されるセンサ素子を使用するものであれば適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の第1実施例であり、圧力センサ装置の構成を示す図
【図2】本発明の第2実施例を示す図1相当図
【図3】本発明の第3実施例を示す図1相当図
【図4】自己診断時における各端子の電圧変化を示す図
【図5】本発明の第4実施例を示す図1相当図
【図6】本発明の第5実施例を示す図1相当図
【図7】本発明の第6実施例を示す図1相当図
【図8】本発明の第7実施例を示す図1相当図
【図9】本発明の第8実施例を示す図1相当図
【図10】本発明の第9実施例を示す図1相当図
【図11】電流増幅回路の詳細構成を示す図
【図12】横軸に[Is・Rs],縦軸に電圧VOに基づく各基準電圧VREF(0〜N−1)の値を示す図
【図13】図12と同じ縦軸に対し、横軸に自己診断時における端子VSM側のプルダウン抵抗値R1_DIGを示す図
【図14】本発明の第10実施例を示す図10相当図
【図15】図13相当図
【図16】本発明の第11実施例を示す図10相当図
【図17】本発明の第12実施例であり、車両の側面ドア内部に圧力センサを配置した状態を示す断面図
【図18】従来技術を示す図1相当図
【図19】図4相当図
【符号の説明】
【0106】
図面中、1は圧力センサ素子(歪ゲージブリッジ回路)、3はセンサ駆動電流発生回路(電流源回路)、4は増幅調整部(増幅回路)、11〜18,21は圧力センサ装置、24はIs・Rs検出回路(抵抗値調整手段)、26は電流増幅回路、27は自己診断抵抗調整回路(抵抗値調整手段)、32はI/V変換回路、41,51は圧力センサ装置、62は圧力センサ、R1,R2は電位確定用抵抗素子、S1,S2はスイッチ回路、RH,RL0,…,RLNは基準抵抗素子、CP0〜CPN−1はコンパレータ、DF0,DF1,…,DFN−1はDフリップフロップ(レベル保持回路)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歪ゲージ抵抗をブリッジ接続して構成されるセンサ素子と、
このセンサ素子に駆動電流を供給する電流源回路と、
前記センサ素子の出力電圧を増幅する増幅回路と、
前記センサ素子の各出力端子と基準電位との間に接続され、抵抗値がそれぞれ等しく設定される1つ以上の電位確定用の抵抗素子と、
この電位確定用抵抗素子の少なくとも一方について、前記抵抗素子の一端と前記基準電位との間に配置される1つ以上のスイッチ回路とを備え、
前記スイッチ回路のオンオフ状態は、自己診断時と通常動作時とで異なるように制御され、
自己診断時には、前記センサ素子の出力端子と前記基準電位との間の抵抗値を変化させることで、前記センサ素子の出力電圧を変化させ、
通常動作時には、前記センサ素子の各出力端子が前記抵抗素子を介して前記基準電位に接続されることを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記スイッチ回路は、前記抵抗素子に並列に接続され、自己診断時にオンされることで、前記センサ素子の出力端子と前記基準電位との間の抵抗値を減少させることを特徴とする請求項1記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記スイッチ回路が、トランジスタで構成される場合に、
前記スイッチ回路が接続されていない方の出力端子と前記基準電位との間に、前記スイッチ回路と同じ電気的特性のトランジスタで構成され、オフ状態に維持されるダミースイッチ回路を配置したことを特徴とする請求項2記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記スイッチ回路は、前記抵抗素子に並列に接続され、自己診断時にオフされることで、前記センサ素子の出力端子と前記基準電位との間の抵抗値を増加させることを特徴とする請求項1記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記スイッチ回路は、前記抵抗素子に直列に接続され、自己診断時にオフされることで、前記センサ素子の出力端子と前記基準電位との間をハイインピーダンス状態にすることを特徴とする請求項1記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記スイッチ回路が、トランジスタで構成される場合に、
前記スイッチ回路が接続されていない方の出力端子と前記基準電位との間に、前記スイッチ回路と同じ電気的特性のトランジスタで構成され、オン状態に維持されるダミースイッチ回路を配置したことを特徴とする請求項4又は5記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記基準電位を、グランドレベルとすることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記基準電位を、前記電流源回路を介して前記センサ素子に印加される電位を分圧した電位とすることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記電流源回路を介して前記センサ素子に印加される電圧の変化に応じて、自己診断時における前記センサ素子の出力電圧の変化が一定となるように、前記センサ素子の出力端子と前記基準電位との間の抵抗値を調整する抵抗値調整手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載のセンサ装置。
【請求項10】
前記抵抗値調整手段は、前記電流源回路において前記駆動電流を決定するために付与される電流決定電圧に応じて流れる第1電流と、前記センサ素子の印加電圧に応じて流れる第2電流との比に応じた電流を増幅して出力する電流増幅回路と、
前記電流増幅回路の出力電流を電圧に変換するI/V変換回路と、
電源とグランドとの間に接続される複数の基準抵抗素子と、
前記I/V変換回路によって変換された電圧と、前記基準抵抗素子によって分圧された各レベルの基準電位とを比較する複数のコンパレータとを備え、
これら複数のコンパレータの出力信号に応じて、自己診断時における各スイッチ回路のオンオフ状態を決定することを特徴とする請求項9記載のセンサ装置。
【請求項11】
前記複数のコンパレータに対応してそれぞれ配置され、自己診断を行う場合に与えられる自己診断信号をトリガとして、各コンパレータの出力信号レベルを保持する複数のレベル保持回路を備えたことを特徴とする請求項10記載のセンサ装置。
【請求項12】
歪ゲージ抵抗をブリッジ接続して構成されるセンサ素子と、
このセンサ素子に駆動電流を供給する電流源回路と、
前記センサ素子の出力電圧を増幅する増幅回路と、
前記センサ素子の出力端子の一方と基準電位との間に接続され、抵抗値がそれぞれ等しく設定される1つ以上の電位確定用の抵抗素子と、
この電位確定用抵抗素子の一端と前記基準電位との間に配置され、1つは前記電位確定用抵抗素子と直列に接続される1つ以上のスイッチ回路と、
前記電流源回路を介して前記センサ素子に印加される電圧の変化に応じて、自己診断時における前記センサ素子の出力電圧の変化が一定となるように、前記センサ素子の出力端子と前記基準電位との間の抵抗値を調整する抵抗値調整手段とを備え、
前記センサ素子の出力端子が接続される前記増幅回路の入力段は、バイポーラトランジスタで構成されており、
前記スイッチ回路のオンオフ状態は、自己診断時と通常動作時とで異なるように制御され、
自己診断時には、前記センサ素子の出力端子と前記基準電位との間の抵抗値を変化させることで、前記センサ素子の出力電圧を変化させ、
通常動作時には、前記電位確定用抵抗素子と直列に接続されているスイッチ回路がオフされることを特徴とするセンサ装置。
【請求項13】
前記センサ素子は、圧力センサ又は加速度センサを構成するものであることを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載のセンサ装置。
【請求項14】
前記センサ素子は、車両側面のドア内部に配置される側面衝突検出用の圧力センサを構成するものであることを特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載のセンサ装置。
【請求項15】
歪ゲージ抵抗をブリッジ接続して構成されるセンサ素子と、
このセンサ素子に駆動電流を供給する電流源回路と、
前記センサ素子の出力電圧を増幅する増幅回路と、
前記センサ素子の各出力端子と基準電位との間に接続され、抵抗値がそれぞれ等しく設定される1つ以上の電位確定用の抵抗素子と、
この電位確定用抵抗素子の少なくとも一方について、前記抵抗素子の一端と前記基準電位との間に配置される1つ以上のスイッチ回路とを備えてなるセンサ装置の自己診断方法において、
前記スイッチ回路のオンオフ状態を、自己診断時と通常動作時とで異なるように制御することで、自己診断時には、前記センサ素子の出力端子と前記基準電位との間の抵抗値を変化させて前記センサ素子の出力電圧を変化させ、通常動作時には、前記センサ素子の各出力端子を、前記抵抗素子を介して前記基準電位に接続させることを特徴とするセンサ装置の自己診断方法。
【請求項16】
前記スイッチ回路を前記抵抗素子に並列に接続し、自己診断時にオンすることで、前記センサ素子の出力端子と前記基準電位との間の抵抗値を減少させることを特徴とする請求項15記載のセンサ装置の自己診断方法。
【請求項17】
前記スイッチ回路を前記抵抗素子に並列に接続し、自己診断時にオフすることで、前記センサ素子の出力端子と前記基準電位との間の抵抗値を増加させることを特徴とする請求項15記載のセンサ装置の自己診断方法。
【請求項18】
前記基準電位を、グランドレベルとすることを特徴とする請求項15乃至17の何れかに記載のセンサ装置の自己診断方法。
【請求項19】
前記基準電位を、前記センサ素子に印加される電位を分圧した電位とすることを特徴とする請求項15乃至17の何れかに記載のセンサ装置の自己診断方法。
【請求項20】
前記電流源回路を介して前記センサ素子に印加される電圧の変化に応じて、自己診断時における前記センサ素子の出力電圧の変化が一定となるように、前記センサ素子の出力端子と前記基準電位との間の抵抗値を調整することを特徴とする請求項15乃至19の何れかに記載のセンサ装置の自己診断方法。
【請求項21】
歪ゲージ抵抗をブリッジ接続して構成されるセンサ素子と、
このセンサ素子に駆動電流を供給する電流源回路と、
前記センサ素子の出力電圧を増幅する増幅回路と、
前記センサ素子の出力端子の一方と基準電位との間に接続され、抵抗値がそれぞれ等しく設定される1つ以上の電位確定用の抵抗素子と、
この電位確定用抵抗素子の一端と前記基準電位との間に配置され、1つは前記電位確定用抵抗素子と直列に接続される1つ以上のスイッチ回路と、
前記電流源回路を介して前記センサ素子に印加される電圧の変化に応じて、自己診断時における前記センサ素子の出力電圧の変化が一定となるように、前記センサ素子の出力端子と前記基準電位との間の抵抗値を調整する抵抗値調整手段とを備えてなるセンサ装置の自己診断方法において、
前記センサ素子の出力端子が接続される前記増幅回路の入力段を、バイポーラトランジスタで構成し、
前記スイッチ回路のオンオフ状態を、自己診断時と通常動作時とで異なるように制御し、
自己診断時には、前記センサ素子の出力端子と前記基準電位との間の抵抗値を変化させて、前記センサ素子の出力電圧を変化させ、
通常動作時には、前記電位確定用抵抗素子と直列に接続されているスイッチ回路をオフすることを特徴とするセンサ装置の自己診断方法。
【請求項22】
前記センサ素子は、圧力センサ又は加速度センサを構成するものであることを特徴とする請求項15乃至21の何れかに記載のセンサ装置の自己診断方法。
【請求項23】
前記センサ素子は、車両側面のドア内部に配置される側面衝突検出用の圧力センサを構成するものであることを特徴とする請求項15乃至22の何れかに記載のセンサ装置の自己診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−85190(P2010−85190A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253418(P2008−253418)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】