説明

センサ装置

【課題】シート状の信号伝達装置の表面近傍に配置して当該信号伝達装置に各種の測定結果を送信するセンサ装置を提供する。
【解決手段】シート状の信号伝達装置は、第1導体部111と第2導体部121との間で電磁場を伝播させ、表面の近傍に電磁場を浸出させる領域141を有し、識別符号が割り当てられた通信機器が接続されたインターフェース装置からなるセンサタグ942は、信号伝達装置と離間して配置され、当該電磁場が浸出される領域141に属した場合、当該浸出された電磁場を介して当該信号伝達装置と通信可能となり、当該センサタグ942は、当該電磁場が浸出される領域141に属した場合、当該識別符号を当該信号伝達装置に送信することにより、当該センサタグ942が当該電磁場が浸出される領域に属する旨を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の信号伝達装置の表面近傍に配置することによって、当該信号伝達装置に各種の測定結果を送信することができるセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の通信素子が埋め込まれたシート状(布状、紙状、箔状、板状、膜状、フィルム状、メッシュ状など、面としての広がりを持ち、厚さが薄いもの。)の通信装置に関する技術が、本願の発明者らによって提案されている。たとえば、以下の文献では、個別の配線を形成することなく、シート状の部材(以下「シート状体」という。)に埋め込まれた複数の通信素子が信号を中継することにより信号を伝達する通信装置が提案されている。
【特許文献1】特開2004−007448号公報
【0003】
ここで、[特許文献1]に開示される技術においては、各通信素子は、シート状体の面に格子状、三角形状、もしくは蜂の巣状の図形の頂点に配置される。各通信素子は、当該通信素子により発生された電位の変化が近傍には強く、遠方には減衰して伝播することを利用して、周辺に配置されている他の通信素子とのみ通信する。
【0004】
この局所的な通信により通信素子間で信号を順次伝達することによって、目的とする通信素子まで信号が伝達される。また、複数の通信素子は管理機能により階層に分けられ、各階層において経路データが設定されており、効率よく最終目的の通信素子まで信号を伝達することが可能となる。
【0005】
一方で、発明者らの研究により、互いに対向するシート状体に挟まれる狭間領域に電磁場を存在させ、2つのシート状体の間の電圧を変化させて当該電磁場を変化させたり、当該電磁場の変化によってシート状体の間の電圧を変化させて、電磁場を進行させ、通信を行う技術が開発されている。
【0006】
2つのシート状体の間の電圧を検知するには、通信機器を直接両者に有線接続したり、コネクタをシート状体に設け、これを通信機器に接続するのが一般的であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような有線接続をできるだけ行わないようにし、外部の通信機器をシート状体の近傍に寄せることによって信号の伝達ができるようにすると、ユーザにとっても使いやすくなり、メンテナンス効率も向上する。
【0008】
このとき、外部の通信機器として、各種のセンサを利用できるようにすると、さらに利便性が高まる。
【0009】
そこで、このような要望に対応するための新しい技術が強く求められている。
【0010】
本発明は、このような要望に応えるもので、メッシュ状の導体部とシート状の導体部とに挟まれる狭間領域とメッシュ状の導体部側外側の浸出領域とにおいて電磁場を変化させて信号を伝達する信号伝達装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の目的を達成するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。
【0012】
本発明の第1の観点に係るセンサ装置は、シート状の信号伝達装置と、インターフェース装置と、を備え、以下のように構成する。
【0013】
まず、シート状の信号伝達装置は、電磁場を内部で伝播させ、表面の近傍に電磁場を浸出させる領域を有する。
【0014】
一方、インターフェース装置は、当該信号伝達装置と離間して配置され、当該電磁場が浸出される領域に属した場合、当該浸出された電磁場を介して当該信号伝達装置と通信可能となる。
【0015】
さらに、当該インターフェース装置には、識別情報が付与され、当該電磁場が浸出される領域に属した場合、当該識別符号を当該信号伝達装置に送信することにより、当該電磁場が浸出される領域に当該インターフェース装置が属する旨を検知する。
【0016】
また、本発明のセンサ装置において、当該インターフェース装置には、RFタグにより当該識別情報が付与されるように構成することができる。
【0017】
また、本発明のセンサ装置において、当該信号伝達装置と、当該インターフェース装置と、の間に、これらを離間させる弾性体を配置し、当該電磁場が浸出される領域に当該インターフェース装置が属する旨を検知した場合、当該インターフェース装置の近傍に圧力がかかっている旨を検知するように構成することができる。
【0018】
また、本発明のセンサ装置において、当該信号伝達装置と、当該インターフェース装置と、の間に、これらを離間させる弾性体を配置し、当該電磁場が浸出される領域に当該インターフェース装置が属する旨を検知した場合、当該インターフェース装置と当該信号伝達装置との通信の強度により、当該弾性体の変形量を検知するように構成することができる。
【0019】
また、本発明のセンサ装置において、当該弾性体は、ゴム、スポンジ、もしくは、金属の梁構造体であるように構成することができる。
【0020】
また、本発明のセンサ装置において、当該信号伝達装置と、当該インターフェース装置と、の間に、物理量の変化によって誘電率が変化する誘電体を配置し、当該電磁場が浸出される領域に当該インターフェース装置が属する旨を検知した場合、当該インターフェース装置と当該信号伝達装置との通信の強度により、当該物理量の変化を検知するように構成することができる。
【0021】
また、本発明のセンサ装置において、当該インターフェース装置は、当該誘電体と一体に構成され、当該誘電体と当該信号伝達装置とは、着脱可能に構成されるように構成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、シート状の信号伝達装置の表面近傍に配置することによって、当該信号伝達装置に各種の測定結果を送信することができるセンサ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本願発明の範囲に含まれる。
【0024】
以下では、平板状の形状をした信号伝達装置と、当該信号伝達装置に近接させて信号を取得したり信号を送り込んだりするためのインターフェース装置(コネクタ)、これらの組合せにより構成されるセンサについて、順に説明する。
【0025】
なお、以下では、理解を容易にするため、信号伝達に用いる電磁波の周波数帯において導電体であるものを「導電体」と呼び、当該周波数帯において誘電体であるものを「誘電体」と呼ぶ。したがって、たとえば、直流電流に対しては絶縁体であるものを「導電体」と呼ぶこともある。
【実施例1】
【0026】
(信号伝達装置)
図1は、本実施形態に係る信号伝達装置の概要構成を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0027】
本図(b)は、本実施形態に係る信号伝達装置101の断面図である。本図に示すように、信号伝達装置101は、メッシュ状の第1導体部111と、これに略平行な平板状の第2導体部121と、を備えている。
【0028】
ここで、第1導体部111と第2導体部121とに挟まれる領域が、狭間領域131であり、本図において第1導体部111の上側にある領域が、浸出領域141である。
【0029】
本図(a)は、信号伝達装置101の上面図である。本実施形態の第1導体部111は、正方形のメッシュ状となっており、正方形の中から第2導体部121が透けて見えている。
【0030】
またメッシュの繰り返し単位は横に隣り合う正方形の中心同士の距離に等しく、これは、正方形の一辺の長さにほぼ等しい。
【0031】
本実施形態では、狭間領域131および浸出領域141はいずれも空気となっているが、いずれか一方もしくは両方もしくはそれらの一部分を、各種の誘電体としたり、水や土としたり、真空としたりしても良い。
【0032】
第1導体部111と第2導体部121の外形は、いずれもシート状(布状、紙状、箔状、板状、膜状、フィルム状、メッシュ状など、面としての広がりを持ち、厚さが薄いもの。)である。
【0033】
したがって、たとえば、部屋の壁を本実施形態の信号伝達装置とする場合には、まず第2導体部121として金属箔を貼り付け、つぎに絶縁体を吹き付けてから、第1導体部111として金属の網を貼り付け、さらに絶縁体の壁紙を貼り付ければ良い。
【0034】
さて、このように、信号伝達装置101において、第1導体部111と第2導体部121とに挟まれる狭間領域131の間を伝播する電磁波モードに注目する。
【0035】
かりに第1導体部111がメッシュではなく、箔状の開孔がない構造であった場合には、電磁波は狭間領域131に完全に閉じ込められる。
【0036】
しかしながら、第1導体部111は、メッシュ状の構造を持ち、開孔がある。このような形状では、メッシュの間隔と同程度の高さまで、電磁場が染み出すようになる。電磁波が染み出す領域が、浸出領域141である。
【0037】
浸出領域141の高さ(厚さ)は、メッシュの繰り返し単位と同程度である。実際には、第1導体部111の表面からの距離に応じて、指数的に電磁波の強度が減衰するようになる。
【0038】
図2は、本実施形態の信号伝達装置に対する最も単純な形状のインターフェース装置の様子を示す説明図である。本図では、ループアンテナもしくはダイポールアンテナをインターフェース装置とすることによって、信号伝達装置101との間で通信を行う様子が示されている。以下、本図を参照して説明する。
【0039】
メッシュ状の第1導体部111の表面に存在する浸出領域141に、送受信を行う通信回路201と、当該通信回路に接続されたループ型アンテナ202と、の組合せが、本図では4つ示されている。
【0040】
ループ型アンテナ202の長さは、信号伝達装置101により伝達される電磁波の波長の半分程度が好適であるが、これより大きくとも小さくとも、通信は可能である。
【0041】
本図では、長方形状のループ型アンテナ202を第1導体部111の表面に平行に配置する場合、第1導体部111の表面に垂直に配置する場合が示されている。
【0042】
また、本図では、コの字型のループ型アンテナ202の両端が通信回路201によって終端されており、第1導体部111の表面に平行に配置されている場合が示されている。
【0043】
さらに、本図では、コの字型のループ型アンテナ202が通信回路201に接続され、さらにその端部が通信回路201の反対側にまで延伸しているような形状のものを、第1導体部111の表面に垂直に配置する場合が示されている。
【0044】
このほか、同軸ケーブルの芯線が露出しただけのダイポール型アンテナ203を利用したインターフェース装置も図示されている。この場合は、ダイポール型アンテナ203の芯線を第1導体部111に近接させることによって、同軸ケーブルに接続された通信機器と信号伝達装置101との間で、電磁波の授受が可能となる。
【0045】
これらの通信回路201同士や、同軸ケーブルに接続された通信機器と通信回路201とは、信号伝達装置101を介して互いに通信を行うことが可能である。また、本図には示していないが、第1導体部111と第2導体部121とに直接有線接続される通信機器がある場合には、当該通信機器との通信も可能である。このようにして、1対1、1対N、N対1、N対Nのいずれの通信も可能である。
【0046】
さらに、通信回路201として、RFIDタグの回路を用い、本装置をタグの読み取り装置とすることもできるし、さらにそこにセンサを搭載することもできる。また、通信回路から配線によって外部機器と接続したり、通信回路に接続するかわりに同軸ケーブルに接続し、外部機器と接続する使用形態もある。
【0047】
また、マイクロ波を用いて、インターフェース装置側を充電して、電力を供給することも可能である。
【0048】
また、上記の実施形態では、第2導体部121は、箔状の開孔のない導電体としているが、第2導体部121を第1導体部111と同様のメッシュ状としても良い。図3はこのような構成に係る断面図である。
【0049】
本図に示すように、第2導体部121の外側にも浸出領域141に相当する対向領域151が存在し、ここにも電磁波が染み出すようになる。したがって、表面と裏面の両方に電磁波が浸出するため、インターフェース装置をいずれかの面に近接させれば、信号の授受が可能になる。
【0050】
さて、以下では、このような浸出領域141の理論的背景について簡単に説明する。上記のような構成の信号伝達装置101では、狭間領域131(およびその近傍である浸出領域141や対向領域151)において、信号伝達装置101の外側へ電磁波を「放射」せずに進行する電磁波のモードφnが存在する。
【0051】
ここで、狭間領域131と同程度の強度の電磁場が染み出し、かつ遠方への電磁放射がない近接場の高さLは、メッシュの繰り返しの単位長さをdとしたとき、L = d/(2π)程度である。
【0052】
ここで、浸出領域141や対向領域151において、第1導体部111や第2導体部121の表面からの距離をzとしたとき、染み出した電磁波の振幅は、概ねe-z/Lのように減衰する。
【0053】
したがって、第1導体部111(や第2導体部121)から距離Lの範囲にインターフェース装置を配置して、φnを誘起して、信号の伝達を行うのである。なお、インターフェース装置の感度によって、距離Lではなく、長さd程度としても良い。すなわち、浸出領域141(や対向領域151)の厚さは、L乃至d程度と考えることができる。
【0054】
以下、さらに詳細に考える。図4は、信号伝達装置101の分析に用いる座標系の様子を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0055】
本図に示すように、z = 0には、繰り返し単位長さがdのメッシュ状の第1導体部111が配置され、z = -Dには、第2導体部121が配置されているものとする。そして、第1導体部111と第2導体部121以外は、誘電率εの誘電体で満たされているものとする。メッシュは正方形の網目状とする。原点はメッシュ交点に重なっており、x軸、y軸はメッシュに平行である。
【0056】
このとき、電磁エネルギーがメッシュ近傍に局在しており、電磁場のうちの電場Eについて、
Ez = Af(x,y,z) exp(-j(xkx + yky))
という形をした進行波解が存在する。ここで、Ezは、電界のz成分、A,kx,kyは定数、f(x,y,z)はx方向、y方向に周期dを持つ関数であり、k = (kx,ky,0)は、進行波の進行方向を示す波数ベクトル(伝搬ベクトル)である。
【0057】
すなわち、任意のx,y,zに対して、
f(x+d,y,z) = f(x,y,z) = f(x,y+d,z)
が成立する。
【0058】
さて、Ezを含む電磁場は、誘電体において、波動方程式
ΔEz = -(ω2/c2)Ez
を満たし、
kx2 + ky2 ≒ ω2/c2
である。
【0059】
ここで、z > 0での電磁場に注目すると、fの周期性により、fは以下のようなフーリエ展開が可能である。
f(x,y,z) = Σm,n a(m,n)exp(2πj m x/d)exp(2πj n y/d)g(m,n,z)
ここで、m,nは整数である。
【0060】
dが電磁波長λより十分小さく、2π/dがω/cより十分大きく、(m,n)≠(0,0)では、フーリエ展開の各成分の独立性より、成分
u(m,n) = exp(2πj m x/d)exp(2πj n y/d)g(m,n,z)
は、近似的に、
Δu = (-(2πm/d)2-(2πn/d)2+∂2/∂z2)u = 0
すなわち、
2/∂z2 g ≒ (2π)2(m2+n2)/d2 g
を満たす。したがって、
g(m,n,z) ≒ B exp(-2π(m2+n2)1/2 z/d)
である。ただし、Bは定数である。したがって、(m,n)≠(0,0)の成分については、その減衰定数は、d/(2π)以下となる。
【0061】
ここで、(m,n)≠(0,0)の成分は、メッシュ構造の周期の変調を受けた進行波成分に相当する。
【0062】
また、(m,n)=(0,0)に相当する成分、すなわち、メッシュ構造の周期の変調を受けていない進行波成分は、波長λ = 2π/(kx2 + ky2)1/2程度までは到達するが、その強度は、小さい。この成分は、項exp(-j(xkx + yky))に直接係る成分である。
【0063】
このような理論的背景により第1導体部111をd = 2[mm]の正方形網目状のメッシュ状の形状の導体とし、第2導体部121を箔状の導体とし、第1導体部111に平均線電荷密度σ = 1[C/m]を与えたときに、生じる垂直電界Ez[V/m]に定数4πεを乗じたものを求めてみた。
【0064】
上記と同様に、第1導体部111はz = 0に配置され、第2導体部121はz = -Dに配置されている。原点はメッシュ交点に重なっており、x軸、y軸はメッシュに平行である。
【0065】
図5は、この場合の、信号伝達装置の種々の場所の垂直電界の強度を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0066】
本図上段の3つのグラフに示すように、(x,y) = (0,0)、(x,y) = (d/2,d/2)、(x,y) = (d/2,0)のいずれの場合も、z = 1[mm]付近から垂直電界がほぼ0になることがわかる。また、y = 1[mm],z = 0.2[mm]における垂直電界は、本図下段の1つのグラフに示すような周期パターンとなる。
【0067】
このように、メッシュの繰り返し単位長さが2mmのとき、電磁場の染み出しは約1mmと考えられるから、この距離以下にインターフェース装置を近付ければ、電磁場との間での誘導が可能になり、信号の送受が可能となると考えられる。
【0068】
なお、z = -Dに配置される第2導体部121をz = 0に配置される第1導体部111と同じメッシュ構造とした場合の電界分布は、対称の原理により、z = -D/2に箔状の第2導体部121を配置し、z = 0にメッシュ状の第1導体部111を配置した場合と同じ分布となる。したがって、上記と同様の結論が得られる。
【0069】
このように、浸出領域141や対向領域151の厚さとしては、d/(2π)〜d/2〜d程度のオーダーを考慮すれば十分であり、浸出領域141や対向領域151の中にインターフェースを「浸す」ことによって、通信を行うことができるのである。
【0070】
なお、(m,n) = (0,0)に対応する成分は、通信層内での電磁波長λ = 2π/(kx2 + ky2)1/2の程度まで浸出する場合があるが、通信層の表面付近では、この成分の強度は他の成分よりも小さいので、無視することができる。
【0071】
なお、メッシュは必ずしも正方形の繰り返しである必要はなく、各種の多角形形状のメッシュとしても良い。また、メッシュの単位は同じ形状に限る必要はなく、適切な網目状となっていれば、異なる形状であっても良い。この場合には、上記のdに相当する値は、各メッシュの大きさの平均であると考えることができる。また、これらの基本周期が存在する場合は、その周期をdと考えることもできる。
【0072】
このほか、平板導体にハニカム状に円形のパンチ穴を複数開孔したものを、第1導体部111としても良い。この場合は、円の中心同士の距離が、上記のdに相当する。
【0073】
(インターフェース装置)
上記の説明では、インターフェース装置においてループ型アンテナ202やダイポール型アンテナ203を用いていたが、以下では、指向性を持つ電磁場を放出できるようなインターフェース装置を提案する。
【0074】
なお、ここで提案するインターフェース装置は、上記の信号伝達装置101と組み合わせて使用するのが好適であるが、信号を伝達する電磁場に接することができれば、通信は可能である。したがって、当該インターフェース装置を使用する局面は、上記の信号伝達装置101との組み合わせには限られない。
【0075】
図6は、このような電磁場の指向性を説明するための説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0076】
本図に示すように、信号伝達装置101の第1導体部111と第2導体部121に垂直に設定されたz軸の周りの角度をθとすると、本実施形態に係るインターフェース装置が放出する電磁場φ1は、z方向の電界をEz、z軸左回りの磁場成分をBθとしたとき、
Ez ≒ e(r,z)cosθ;
Bθ ≒ b(r,z)cosθ;
ただし、r2 = (x2 + y2)である。
【0077】
(インターフェース装置の例)
図7は、このような指向性を有するインターフェース装置の一つの実施形態の概要構成を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0078】
インターフェース装置601は、大別して、内部導体部602、外部導体部603、経路導体部604に分けることができる。
【0079】
内部導体部602は、信号伝達装置101に近接する導体であり、幅tの帯状の形状をしており、その一端は、外部導体部603に、その他端は、経路導体部604に、それぞれ接続されている。
【0080】
外部導体部603は、箱状の構造をして内部導体部602を覆っている。外部導体部603には開孔があり、その開孔を経路導体部604が非接触に貫通している。
【0081】
これにより、外部導体部603〜内部導体部602〜経路導体部604の電流経路が成立する。そして、外部導体部603の開孔付近で、外部導体部603と経路導体部604に同軸ケーブルや、信号送受信回路を結合して、ここに流れる電流を変化させると、電磁波が主に、本図矢印の方向に放出されることになる。
【0082】
なお、θ = 0は、内部導体部602に沿う向きである。
【0083】
このように、外部導体部603が内部導体部602および経路導体部604を覆うことによって、インタフェース装置601の外部への無用な電磁放射が防止できるので、信号伝送装置101との間で、効率よく電磁エネルギを授受できるようになる。
【0084】
なお、外部導体部603、内部導体部602、経路導体部604以外の部分は誘電体で充填されていてもよい。また、外部導体部603、内部導体部602、経路導体部604は、その表面が表皮厚さ分だけ導体であればよく、その内部の材料は任意であってよい。
【0085】
外部導体部603と内部導体部602の互いに対向しあう面は平行であることが望ましく、内部導体部602もまた平面帯状となっていることが望ましいが、段差や凹凸があっても良い。
【0086】
外部導体部603と内部導体部602の互いに対向しあう面の距離をwとしたとき、tがwよりも極端に大きくならないことが望ましい。すなわち、tがwと同程度、もしくはtがw以下であることが望ましい。
【0087】
図8は、インターフェース装置601におけるtとwの値の関係を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0088】
tがwと同程度かそれ以下であれば、内部導体部602に電流が流れることで生じる電磁場は、インターフェース装置601の外部にも生ずるようになり(本図右側の網かけ領域)、信号伝達装置101の進行波モードと結合して、進行波を誘起することができる。
【0089】
一方、tが大きくなり、インターフェース装置601の底面をすべて覆えば、信号の送受はまったくできなくなる。
【0090】
しかし、底面の一部に隙間が開いていれば、信号伝達装置101の狭間領域131の進行波モードとの結合が生じる。そこで、インターフェース装置601を駆動するケーブルや通信回路とのインピーダンス整合をとる際に、(ケーブルとインターフェース装置601との接続部である)外部導体部603の開孔から、インタフェース装置601内部側をみたときのインピーダンスを小さくするために、tをwより大きくする場合も考えられる。
【0091】
ただしその場合、本図左側の網かけ領域S内に蓄積されるエネルギーの、インターフェース装置601の外側に生じる電磁エネルギーに対する割合が大きくなり、領域Sに接する第1導体部111や、領域Sにおける誘電損失によって余計なエネルギーロスが生じてしまう。
【0092】
したがって、tそのものを大きくするのではなく、内部導体部602を、複数の細い帯からなるようにして、インピーダンス整合をとる手法を採用することができる。図9は、このような場合の内部導体部602の経路導体部604に接続される側の概形を示す説明図である。
【0093】
本図に示すように内部導体部602はフォーク状の形状をしており、細い帯が、経路導体部604から複数延伸して、外部導体部603(本図には図示せず)に接続されるように構成するのである。
【0094】
また、内部導体部602の長さR(内部導体部602が外部導体部603に接続される点と、内部導体部602が経路導体部604に接続される点と、の距離はR - mになる。)と、当該電磁場の波長λとについて、Rがλより極端に小さくはないことが望ましい。
【0095】
ここで、λは、信号伝達装置101における進行波の波長2π/(kx2 + ky2)1/2である。
【0096】
仮に2πR≪λが成立してしまうと、電流経路の近傍に局所的に生ずる電磁エネルギーに対して、遠方の放射されるエネルギーの割合が著しく小さくなるため、信号伝達装置101に電磁波を送り込む際のエネルギーロス(インタフェース部周辺の誘電損失、金属の抵抗による)の割合が大きくなってしまうからである。
【0097】
さて、このような概形のインターフェース装置601は、上記の信号伝達装置101と結合できるほか、2枚のシート状導電体を対向させて局所的に開孔を設けた信号伝達装置や、1枚のシート状導電体の上にシート状誘電体を貼付した信号伝達装置とも結合させることができる。したがって、インターフェース装置601は、種々の信号伝達装置に対して適用することができる。
【0098】
以下では、インターフェース装置601が発生させる電磁場についてさらに詳細に検討する。
【0099】
図10は、インターフェース装置601の形状のパラメータを示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0100】
内部導体部602(以下、適宜「近接経路」とも呼ぶ。)の長さをR、内部導体部602と外部導体部603との間の距離をw、内部導体部602が経路導体部604との接続点を超えてさらに延伸する長さをmとする。
【0101】
図11は、このような条件のもとで、内部導体部602の近傍の領域Sに生ずる電磁場の様子を示す説明図である。
【0102】
インターフェース装置601に接続される同軸ケーブルのインピーダンスと、同軸ケーブルが接続される部分からインターフェース装置601の内部を見たインピーダンスが近くなるようにR,m,w,tを調整する。ここで、そして、R ≒ λ/4のときに、インピーダンスのリアクタンス成分がゼロ交差する場所がある。そこで、Rの長さをゼロ交差する場所に設定する。
【0103】
次に、インピーダンスの実部が、同軸ケーブルのインピーダンスになるように、m,t,wをあわせて調整するのである。
【0104】
このようなφ1モードの電磁場が生ずるのであるが、図12は、φ1モードの電磁場の様子を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0105】
本図上段と本図下段に示される長方形は、内部導体部602に相当するものである。また、外部導体部603は、点線で示される円形形状をしている。
【0106】
本図上段は、信号伝達装置101内の磁場Bθのθ = 0,180°の方向についての分布の様子を示すものである。他の方向は、本図の分布をcosθ倍した形状になる。なお、中心近くでは、磁場には動経方向成分Brも存在するが、本発明においては、大きな役割を果たすものではない。
【0107】
信号伝達装置101内の第1導体部111を流れる電流の様子を示す。このように、電流を1方向に誘導するだけで電磁波が放出できるため、都合が良い。
【0108】
すなわち、本実施形態のインターフェース装置601が生じさせる電磁場は、非対称なφ1モードの電磁場との重なりが大きく、信号伝達装置101の近傍で一方向の磁場もしくは電流を誘導するだけで電磁波が放出される。このため、本実施形態のインターフェース装置601が生じさせる信号伝達装置101の電磁場と良く結合するのである。
【0109】
(様々な形状のインターフェース装置)
以下では、他の形状のインターフェース装置について、さらに提案する。図13および図14は、円形のインターフェース装置の概要構成を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0110】
図13上段は、インターフェース装置601の底面図であり、中段および下段は断面図である。図14は、インターフェース装置601の斜視図である。
【0111】
本図に示すように、円形のインターフェース装置601の外部導体部603は、円板に円柱状の側面をつけた形状をしており、円板の逆側には縁取がされている。内部導体部602は、その縁取に接続されている。
【0112】
また、内部導体部602は、円形の中心を通過しており、円形の中心に相当する場所で、経路導体部604に接続されている。
【0113】
経路導体部604は、外部導体部603の中心付近に設けられた開孔を貫通している。
【0114】
そして、外部導体に覆われる領域は、誘電体が充填され、絶縁体部605をなしている。
【0115】
この構造では、インターフェース装置601の中心軸について対称な定在波とも結合しやすく、φ1モードと軸対称モード(インタフェース装置601から放射状に全方向等しいエネルギー密度で電磁波が進行するモード)の両方に結合できるため、インターフェース装置601がメッシュのどこに存在しても、場所依存性の少ない安定した結合が可能になると考えられる。
【0116】
また、本実施形態では、内部導体部602を十文字状の形状とし、当該十文字の中心が経路導体部604に接続され、当該十文字の4つの端が外部導体部603に接続されるように構成しても良い。
【0117】
図15は、この他の実施形態を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0118】
本図に示す例では、内部導体部602と経路導体部604とが一体化しており、一本のループ状の導線が円板状の外部導体部603の接続点606で接続されている。このようにシールドとして機能する外部導体部603に覆われる中に、ループして電流経路を確保することとしても良い。
【0119】
このほか、内部導体部602が外部導体部603に接続されていない形態を考えることもできる。図16は、このような場合のパラメータの関係と、電流や磁場の様子を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0120】
内部導体部602が外部導体部603に直接接続されていない形態では、本図上段に示すように、内部導体部602の長さRは、波長λの半分程度とすることが望ましい。内部導体部602の幅tや内部導体部602と外部導体部603の間の距離w、内部導体部602と経路導体部604の接点から内部導体部602の端点までの距離のうち小さい方の距離mを調整することでインピーダンス整合をとる。
【0121】
本図下段の3つのグラフは、電流分布、磁場分布、電場分布を示すものである。図11のグラフの形状をさらに延長したものが、本図のグラフの形状である。
【0122】
本図に示す例の場合、内部導体部602の長さは、電磁波長λの半分に設定されている。本図に示すように、内部導体部602の右側先端からインターフェース装置601の中心寄りに向かって距離xにおけるインピーダンスZを見ると、x = 0では、回路が開放されているためZ = ∞であるが、x = λ/4でZ = 0に近付く。
【0123】
したがって、x = λ/4の地点で、内部導体部602と外部導体部603をショートしたのと同じこととなる。すなわち、波長λにおいては、内部導体部602と外部導体部603が等価的にコンデンサとコイルの直列接続を形成することによって、ループ状の電流経路が形成されていると考えることができるのである。
【0124】
図17は、インピーダンス整合を行う他の手法を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0125】
本図に示すように、内部導体部602が途中で切断されており、容量結合的に結合されることとなっている。
【0126】
このように、内部導体部602を途中で切断するのは、インターフェース装置601の入口で、内部導体部602に容量(典型的にはコンデンサである。)を直列接続するのと同じ効果をもたらす。
【0127】
これらの場合、電流経路は分断されるが、分断地点の近傍はいわばコンデンサとして機能することとなり、通信に用いる周波数帯によっては良好な接続が可能であることが、実験により確認されている。すなわち、このような場合であっても、非直流成分については、電流ループが形成されていると考えることができる。
【0128】
図17に示す実施形態の場合、インターフェース装置601の外形が小さくとも、分断を行うことによってインピーダンス整合がとりやすくなる、という利点がある。
【0129】
また、図16や図17に示す実施形態の場合、(分断を含む)ループ構造を流れる電流と経路長によって電磁波の放射や受入の強度が決定されるのであり、分断の位置と信号伝達装置101との相対的位置関係が、その強度を直接的に決定するわけではない。
【0130】
このように、上記の実施形態では、電磁波を2次元的に封じ込めて通信を行うため、一定距離への情報伝達に必要なエネルギーが、いわゆる無線通信の場合よりも小さい。
【0131】
また、エネルギーが拡散される範囲が狭いため、電力供給を行うことも可能である。
【0132】
さらに、マルチパス問題が回避でき、無線に比べて高速化が可能であると考えられる。
【0133】
そして、電気的な配線不要で、インターフェース装置601と信号伝達装置101との信号の授受ができる。
【0134】
(実験結果)
インターフェース装置601の外部導体部603に覆われた領域には比誘電率10の誘電体を充填し、周波数帯は2.4GHzであり、R = 10mmとし、w = 1.6mmとした。なお、経路導体部604の接続位置mは、m = 5mmの場合にも良好な結果を示したが、以下ではm = 0mmの場合の実験結果を示す。また、メッシュ周期d = 15mmである。
【0135】
図18は、信号伝達装置101とインターフェース装置601の実験パラメータを示す説明図である。
【0136】
本図における諸元にて、2つのインターフェース装置601を中心間隔10[cm]で配置し、振幅1[V]の2.4[GHz]信号を一方から他方に送信する。他方のインターフェース装置601の高さ(z軸方向の位置。)を変化させたときの受信電圧(S12)を観測した。また、両側のインターフェースには50[Ω]のケーブルを接続して、ネットワークアナライザを用いて、受信電圧(S12)を計測するのである。
【0137】
なお、本図における諸元においては、「線幅1mm、メッシュの開口部辺14mm」となっているが、これらは、メッシュの繰り返し単位dが15mmである場合に相当する。
【0138】
図19は、その結果を示すグラフである。0.5mm程度離れるまでに、受信強度は急速に減衰した。
【0139】
次の実験は、2つのインターフェース装置601同士の間隔を6[cm]とし、受信側のインターフェース装置601のメッシュに対する向きを三通り考えた。1GHzから5GHzの間で、各周波数ごとに1V振幅の信号を入力したときの受信電圧S12をグラフにしてある。2つのインターフェースに50Ωのケーブルを接続して、ネットワークアナライザを用いて受信電圧(S12)を計測するのである。
【0140】
図20は、その結果を示すグラフである。グラフ横軸の左端が1GHz、右端が5GHzに相当する。本図に示す通り、広い帯域で信号が観測され、本発明の有効性が確認された。なお、それぞれのインピーダンスを本図最下段に示してある。インターフェース装置601と信号伝達装置101との間の結合が強いため、設置の向きによって2.4GHz帯におけるインピーダンスが変化していることがわかる。
【0141】
図21は、上記の場合で、一方のインターフェース装置601の位置を移動させた場合のグラフである。本図に示す通り、いずれの場所においても、十分な強度の信号が観測された。
【0142】
さて、以下では、上記の実施形態の種々の変形例について説明する。
【0143】
図22は、インターフェース装置の他の実施形態の断面を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0144】
本図下段に記載のインターフェース装置601は、図2に記載の通信装置201とループ型アンテナ202の組合せを外側導体部603で覆ったものに相当する形態である。ループ型アンテナ202の開放側が、内側導体部602に相当し、ループ型アンテナ202の外側導体部603側が、経路導体部604に相当する、と考えることができる。
【0145】
本図中段に記載のインターフェース装置601は、経路導体部604にかえて、通信装置201を採用するとともに、当該通信装置201で外側導体部603と内側導体部602を直結するものである。
【0146】
本図上段に記載のインターフェース装置601は、内部導体部602と外部導体部603とが接続される点が、開孔の近傍である形態であり、図15に示す実施形態に類似するものである。
【0147】
本発明のインターフェース装置601は、内部導体部602がループの一部をなし、当該ループは、インターフェース装置601が信号伝達装置101に接すると信号伝達装置101の表面に対して垂直になることによって、電磁場の密な結合をなすものである。このとき、電磁場の漏れを防止するために、これらを覆う外部導体部603を用意するのである。
【0148】
図23は、インターフェース装置と、これが接続可能な他の形態の信号伝達装置のとの関係を示す断面図である。以下、本図を参照して説明する。
【0149】
本図上段に記載のインターフェース装置601は、対向して配置される2つの導体板(シート状の導体でも良い。以下同様。)901のうち、開孔を持つ導体板901の開孔付近に配置されている。上記実施形態同様、2つの導体板901の間に電磁波が封じ込められるので、信号伝達が可能であると同時に、開孔から染み出す電磁場を介して、インターフェース装置601が通信を行うのである。
【0150】
本図下段に記載のインターフェース装置601も上記と同様であるが、本実施形態では、下方の導体板901と、これより幅の狭い情報の導体901と、が配置されており、2つの導体板901は、いずれも、本図に直交する方向に延伸していて、全体としては帯状の形状をしている。そして、2つの導体板901に挟まれる領域に電磁波を封じ込めるのであるが、幅が異なるため、本図に示すように、下方の導体板901が露出しているところでは電磁場が染み出す。そこで、これを用いて、インターフェース装置601が通信を行う。
【0151】
図24は、信号伝達装置に有線接続を行う場合の説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0152】
本図に示すように、信号伝達装置101のメッシュ状の第1導体部111が同軸ケーブル902の芯線に接続される接合部903の直前で、インピーダンスを整合するように電線の幅を調整する。また、同軸ケーブル902の外側導体は、第2導体部121に接続される。
【0153】
また、本図に示す例では、第1導体部111の縁には、帯状の導体部904が配置されており、帯状の導体部904と第2導体部121との間には、集合抵抗などの電磁波吸収体を配置して、電磁波の漏れを防止している。
【0154】
図25は、信号伝達装置の第1導体部をメッシュ状ではなく、ストライプ状にした実施形態を示す説明図である。
【0155】
本図に示すように、信号伝達装置101の第1導体部111が、第2導体部121の本図手前側に配置され、第1導体部111は、メッシュ状ではなく根本で集中したストライプ状の形状となっている。このストライプの間隔をdとすると、上記実施形態と同様、電磁波の染み出しの程度はd程度となるので、上記実施形態と同様の浸出領域を形成することができる。
【0156】
(ダイポール型のインターフェース装置)
上述した通り、メッシュ状の信号伝達装置(図1、図3等)、導体の大きさを変更することによって開孔部やストライプ構造等を有することとした信号伝達装置(図23、図25等)では、いずれも、電磁波の浸出領域が形成されている。
【0157】
そして、図2では、このような電磁波の浸出領域に近接させることによってアンテナをインターフェース装置として機能させる態様について説明した。
【0158】
以下では、このようなインターフェース装置と信号伝達装置の関係を整理した一形態である水平給電方式を提案するとともに、上記のインターフェース装置とは異なる構成のダイポール型アンテナを用いた形態について説明する。
【0159】
図26は、信号伝達装置に対する水平給電方式の基本的な考え型を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0160】
第1導体部111と第2導体部121とが略平行に配置され、第1導体部111が第2導体部121に対して重ならない領域が存在することによって、電磁波の浸出領域が存在しうることとなるような信号伝達装置101を考える。本図では、当該第1導体部111が第2導体部121に対して重ならない領域が、大きさ2rの開孔931となっている。
【0161】
水平給電方式とは、第1導体部111に設けられた開孔931の辺縁の2つの接続領域932に対して、電圧を印加し、もしくは、両者の間に電流を流すことによって、信号の送受を行う方式である。
【0162】
接続領域932に対して電圧を印加し、もしくは電流の経路を形成する手法としては、本図(a)に示すように、インターフェース装置601を直接接続とすることも可能であるし、本図(b)に示すように、インターフェース装置601の電極933を水平方向に近接させるのみとして間接接続とすることも可能である。また、本図(c)に示すように、接続領域932とインターフェース装置601の電極933を、本図垂直方向に間隔をもって配置して、容量結合とすることも可能である。
【0163】
2つの接続領域932は、本図に示すように、開口部の中心を通過する直線について線対称の形状とするのが典型的である。また、本図に示すように、接続領域932や電極933の形状を、開孔931の中心から辺縁に向かうにしたがって滑らかに広がるような形状とすることで、反射を少なくして、周波数特性を改善させることができるようになる。
【0164】
なお、電極933の形状は、単なる線形状とし、幅や太さが一定のものとしても良い。
【0165】
これらの接続領域932と電圧印加や電流発生をさせる機器とにより形成される経路の途中には、インピーダンスを整合させるために、コイル等のインダクタンスやコンデンサ等の容量を、適宜結合させても良い。
【0166】
このような水平給電方式により、図6を参照しながら上述したような、φ1モードの電磁波が発生される。
【0167】
2つの接続領域932から放射される波動は、逆相で駆動されることとなるので、干渉によって波動を強め合うことによって通信特性を向上させるため、狭間領域131における電磁波の波長λに対して、開孔931の大きさ(直径)2rや、2つの電極933の全長Lをλ/2程度とすることが望ましい。実際には、開孔931の辺縁や接続領域932の辺縁で波動の迂回が生じるため、最適な2rやLの大きさはλ/2からずれることもある。
【0168】
以下、図26(b)に示すような、直接接続されない電極933を用いるダイポール型のインターフェース装置(近接コネクタ)の構成について、説明する。
【0169】
2つの電極933の間の電圧または電流と、2つの接続領域932のそれぞれにおける電界または磁界、電束密度や時速密度(これらは、電圧や電流およびその変化を一般化したものに対応する。)と、は、直接接続もしくは近傍に配置されることにより、相互作用を起こし、特に、容量結合した場合や誘導結合した場合(この場合は、電磁波の波長以下まで近接する必要がある。)には、この相互作用が大きく働く。そして、両者の変化が互いに呼応することにより、通信を行うことができるのである。
【0170】
ここで、電極を導電層に近接させた状態で、電極表面に電荷が生じると、導電層には逆符号の電荷が誘導される。これを「容量結合している状態」と呼ぶ。
【0171】
また電極表面に電流が生じると、これによって発生する磁場を導電層の内部から排斥するように導電層の表面に電流が流れる。これを「誘導結合している状態」呼ぶ。
【0172】
一つの電極上に電荷分布、電流分布が同時に生じる結果、それらが同時に生じることもある。
【0173】
図27は、信号伝達装置にダイポール型のインターフェース装置を近接させた断面の様子を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0174】
本図に示すように、第2導体部121と重ならない領域として開孔931を有する第1導体部111の領域に、2本の線状の電極(以下「線状電極」という。)933を有するインターフェース装置601が近接している。第1導体部111と第2導体部121の間隔はdであり、狭間領域131には比誘電率εの誘電体が充填されている。
【0175】
電極933には、外部の通信機器934が接続されており、この通信機器934が電圧や電流を電極933に与えれば送信が行え、開孔931近傍の浸出領域の電磁場の変化を検知すれば、受信が行える。
【0176】
2本の線状電極933は、開孔931の中心を通る直線上に離間して配置されるのが好適である。ここで、2本の線状電極933からなるインターフェース装置601の全長Lは、λ/2程度とすることが望ましいが、詳細な最適条件は、後述する。また、線状電極933の一方の長さ(給電位置)をx、線状電極933の幅(電線で線状電極933を構成する場合は、電線の太さの直径に相当する。図示せず。)をDとおく。
【0177】
本図に示すダイポール型のインターフェース装置601は、図2に示す各種のループアンテナ202や同軸ケーブルを用いたダイポールアンテナ203と同様の原理で動作することとなるが、発生する電磁波の性質、駆動インピーダンス、最適条件は、上記の場合とは異なる。以下詳細に説明する。
【0178】
インターフェース装置601に接続されるケーブルのインピーダンスや通信機器934の出力インピーダンスをRとする。また、開孔931の縁辺からインターフェース装置601の電極933の一端までの距離をgとする。以下では、R = 50Ω,d = 3mm,ε=2.0,D = 0.1mmとし、電磁波の周波数帯を2.4GHzの場合を考える。
【0179】
かりに、開孔931の大きさを無限大とし、2つの線状電極933の長さをいずれも無限大とすると、線状電極933と第2導体部121との間の特性インピーダンスZ0は、Z0 ≒ 260Ω程度である。また、2つの線状電極933の間のインピーダンスは2 Z0程度となる。
【0180】
ここで、第1導体部111が存在しないものと仮定する。
【0181】
Lが小さいときは、2つの線状電極933の間のインピーダンスについて、その絶対値は、2 Z0より大きくなり、容量性の性質を示す。
【0182】
ここから、Lを大きくしていくと、L ≒ λ/2のある値に達したとき、2つの線状電極933の間のインピーダンスについて、インピーダンスは実数となり、絶対値が極小値となる。このとき、線状電極933の付近には、定在波が生じる。
【0183】
この定在波の磁界は、線状電極933と第2導体部121の間の空間においては、線状電極933にほぼ垂直で第2導体部121の表面に対してほぼ平行である。
【0184】
一般に、nを整数とするとき、2つの線状電極933の間のインピーダンスが実数になる状態はL ≒ (λ/2)nの近傍に、周期的に出現する。
【0185】
このような前提のもとで、L,x,d,D,g、および、線状電極933の間隔を調整して、線状電極933同士の間のインピーダンスを、駆動インピーダンスRに一致させることができる。
【0186】
このようにして、インピーダンスを整合させると、たとえばインターフェース装置601にケーブルを接続した場合、ケーブルを進行してきた電磁波のエネルギーは反射されることなく、狭間領域131に放射される。
【0187】
線状電極933の端と、第1導体部111の最近傍点との間のインピーダンスの絶対値がZ0より大きい場合(たとえば、gが大きい場合)、線状電極933の付近に生じる整合時(共振時)の電界分布について考える。図28は、n = 1の共振状態の場合の電界分布の様子を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0188】
共振時には、狭間領域131の中の電界は、実数Eを用いてE exp(jωt + θ)と表現することができ、狭間領域131の境界面に略垂直となる。本図には、このときのEの分布が示されている。本図に示すように、線状電極933付近における電界分布Eは、中央でゼロ交差する。
【0189】
gが大きい場合等、第1導体部111の最近傍点との間のインピーダンスの絶対値がZ0より大きい場合については、上記の通りであるが、線状電極933の全長Lが開孔931よりも大きく、線状電極933と第1導体部111との結合が十分に強い場合には、状況が異なる。この場合について、以下に説明する。
【0190】
なお、理解を容易にするため、インターフェース装置601は対称な形状を持つものとし、線状電極933同士の離間部分は、開孔931の中央に配置されるものとする。図29は、このような場合のインターフェース装置601と信号伝達装置101との位置関係を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0191】
線状電極933と第1導体部111との結合が十分に強い場合のインピーダンス整合のための条件は、線状電極933の全長Lよりも、開孔931の半径rに強く依存するようになる。
【0192】
gが大きい場合は、線状電極933の端点から外を見たときのインピーダンスzは、|z|>>Z0を満たしていた(開放端条件)。一方、本図に示す場合には、線状電極933の開孔931の縁辺に対向する点P(図中の黒丸)と、この点に対向する第2導体部121との点Q(図中の黒丸)との間のインピーダンスzが、|z|<<Z0となる場合がある(短絡端条件)。
【0193】
短絡端条件が満たされる場合、2r≒λ/2となるようなrをうまく選択すると、線状電極933の間のインピーダンスは実数となり、その絶対値が極大となる。
【0194】
このときのインピーダンスがRに等しくなるように、各パラメータを調整すれば、最適な性能が得られる。
【0195】
なお、上記の例において、電極933の端点でのインピーダンスがZ0と同程度の場合は、最適条件がL≒λ/2や2r≒λ/2とは大きくずれる場合もあるが、その場合においても、適切なパラメータを選択することが可能である。
【0196】
また、上記のいずれの場合でも、インピーダンスが完全整合していなくとも、ある程度のパワーでの電磁波の送受は可能であり、パラメータは用途に合わせて適宜変更できる。
【0197】
なお、線状電極933は、線状電極933として、太さ一定の電線状の素材を採用しても良いが、図26(c)に示すように、外側にいくにしたがって滑らかに徐々に広がるような形状としても良い。
【0198】
後者の場合、インターフェース装置601と開孔931との相対位置がずれても、反射係数が急激に変化することがなく、線状電極933間のインピーダンスが極端に変化することがなくなる。したがって、信号伝達装置101との接続がなめらかになるとともに、線状電極933の特定の箇所における強い反射が抑えられ、広い帯域での信号伝送が可能となる。
【0199】
図30は、本実施態様のインターフェース装置の種々の形状の断面を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0200】
本図(I)、本図(II)は、図27、図29に示す実施形態に相当するものであり、本図(III)、本図(IV)は、図29に示す実施形態に対して、線状電極933を覆うシールド935を用意するものである。
【0201】
本図(III)は、線状電極933はシールド935とは独立に構成されており、本図(IV)は、線状電極933の一方がシールド935に接続されている。また、本図には示していないが、線状電極933の両方をシールド935に接続しても良い。
【0202】
シールド935を用いると、電磁波が信号伝達装置101とは反対側に放射されるのを防止することができる。本図(IV)で、gが十分に大きい場合は、L≒λ/4が最適長さになり、このとき、駆動端子間のインピーダンスは極小となる。
【0203】
また、本図(I)に対してシールド935を設け(図示せず)、線状電極933の両方のお互いに最も離れた端点をシールド935に接続した場合は、g > 0であり、L≒λ/2が最適長さとなり、そのとき駆動端子間のインピーダンスは極大となる。
【0204】
図31は、折り返しダイポール型のインターフェース装置の形状を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0205】
本図に示すように、インターフェース装置601の全長Lは、開孔931の直径2rよりも小さい。
【0206】
また、線状の導電体の両端部を残りの部分に平行に折り曲げた折り曲げ電極936が1つだけ用意されている。これに通信機器934を接続すると、ちょうど長い長方形の辺を電極とし、その長手方向の辺の一部を分割して、通信機器934を挿入したような形状となる。
【0207】
本図に示す態様は、一見図2に示すようなループアンテナのような形状となっているが、実際にはダイポールアンテナを2本並べたものと同様の電磁場が形成され、駆動インピーダンスは大きくなるものの、上記のような単純なダイポール型のインターフェース装置601と類似の通信特性を示すようになる。
【0208】
なお、折り返し部分は、丸くなっていても良い。また、長方形形状ではなく長楕円形状など、曲線形状を採用することも可能である。
【0209】
ここで、これらの実施形態の特徴について整理する。
(1)線状電極933の全長Lは、λ/2付近に最適値があるが、それ以外の長さでも信号の送受は可能である。
(2)給電位置xの最適値は、必ずしもL/2ではなく、実施用途および態様に応じて適宜調整ができる。
(3)線状電極933の太さや形状の制限は少ない。典型的には直線状の形状を採用するが、屈曲した形状やV字型の形状でも良い。また、2つの線状電極933の形状が異なるような非対称の構造(たとえば、一方が幅広の帯、他方が幅狭の帯等。)を採用しても良い。
(3)線状電極933の一部としてコイルや共振器を挿入しても良い。gが大きい場合には、コイルを挿入することでLを小さくすることができる。また、共振器を挿入すると、複数周波数での駆動が可能となる。
(4)開孔931の大きさ2rは、Lより大きくとも小さくとも良い。また、開孔931の中心位置と線状電極933の全長の中心位置とが一致しなくとも良い。
(5)図1に示すようなメッシュ型の信号伝達装置101でも利用が可能であるほか、開孔931に導電体の線が張られてメッシュ状となっているような場合にも適用ができる。
【0210】
(センサ装置)
上記のように、各種の信号伝達装置101において電磁場が浸出するエバネッセント領域にインターフェース装置601を配置することにより、インターフェース装置601に接続された通信機器934との通信が可能である。
【0211】
そこで、この通信機器934としてRFタグを採用し、インターフェース装置601とRFタグとを一体に組み合わせたものを「センサタグ」と呼ぶこととする。
【0212】
センサタグを複数用意し、それぞれのIDを異なるものとしておけば、いずれのセンサタグがエバネッセント領域に存在し、いずれのセンサタグがエバネッセント領域の外に存在するか、を、信号伝達装置101を介して接続されたRFタグリーダや各種のコンピュータにおいて、検知することが可能である。したがって、これらを応用したセンサ装置を構成することができる。
【0213】
エバネッセント領域の中にあるか否かを検知することから、これを利用したセンサ装置の構成では、
(1)信号伝達装置101とセンサタグとの距離が変化することを検知するもの
(2)信号伝達装置101とセンサタグとの間の誘電率の変化を検知するもの
の2通りが考えられる。
【0214】
まず第1の手法について説明する。図32は、信号伝達装置101とセンサタグとの距離が変化することを検知することによるセンサ装置の断面を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0215】
本図に示すように、信号伝達装置101の浸出領域141側には、第1導体部111や狭間領域131を覆うように、弾性体941が配置されている。
【0216】
弾性体941は、外部からの圧力がかからない自然長の場合に、センサタグ942が浸出領域141側に配置されるように、センサタグ942と信号伝達装置101の距離を保っている。
【0217】
そして、外部からの圧力がかかると、弾性体941は変形し、センサタグ942が浸出領域141の内側に入ることとなる。いずれのセンサタグ942が浸出領域141内に入ったか否かによって、どの位置に外力がかかっているか否かを検知することがきる。
【0218】
また、センサタグ942との通信における信号の強さによって、当該センサタグ942近傍における弾性体941の変形量(ひいては、外力・圧力の大きさ)を求めることも可能である。信号の強さが大きければそれだけ、センサタグ942が浸出領域141の中に入り込んでいることになるから、変形量も大きいことになる。
【0219】
弾性体941としては、ゴムやスポンジなどを採用することもできるし、本図に示すように、梁構造の形状をした金属を採用しても良い。
【0220】
また、弾性体941のかわりに、SMAやバイメタルなど、温度変化によって変形するものを採用すれば温度センサになるし、光・湿度・化学物質などで変形する材料を採用すれば、それぞれのセンサになる。
【0221】
次に第2の手法について説明する。図33は、信号伝達装置101とセンサタグとの間の誘電率の変化を検知することによるセンサ装置の断面を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0222】
本図に示すように、センサタグ942の信号伝達装置101側には、誘電体943が配置され、RFタグが接続されたインターフェース装置601がその上に貼付されている。そして、センサタグ942が信号伝達装置101の表面に配置されると、インターフェース装置601が、当該誘電体943が存在する環境下で信号伝達装置101の浸出領域141内に配置されるようになっている。
【0223】
誘電体943の素材として、光・熱・温度・化学物質・圧力によって誘電率が変化する素材を使用すると、外的要因によって、インターフェース装置601と信号伝達装置101との電気的結合(通信の電磁波の伝達強度)が変化することとなる。
【0224】
この情報とRFタグのID検出とを組み合わせることにより、信号伝達装置101の場所とその場所における検知値とを取得することができる。
【0225】
図34は、これらのセンサタグ942を信号伝達装置101の表面に配置する例を示すものである。本図に示すように、好きな場所にセンサタグ942を配置できる。
【0226】
この場合、センサタグ942の底面(信号伝達装置101に配置される側の面)に、あらかじめ適当な大きさの誘電体943を貼り付けておき、自由に配置できることとすると、各種の異なる誘電体943を用いることにより、異なる対象を検知するセンサユニットを構成することができる。
【0227】
また、検知対象が一定である場合は、信号伝達装置101の表面にシート状の誘電体943を貼り付けておき、所望の位置にセンサタグ942を配置することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0228】
以上説明したように、本発明によれば、シート状の信号伝達装置の表面近傍に配置することによって、当該信号伝達装置に各種の測定結果を送信することができるセンサ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0229】
【図1】本発明の実施形態に係るインターフェース装置と組み合わせて使用する信号伝達装置の概要構成を示す説明図である。
【図2】本実施形態の信号伝達装置に対する最も単純な形状のインターフェース装置の様子を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係るインターフェース装置と組み合わせて使用する信号伝達装置の概要構成を示す説明図である。
【図4】信号伝達装置の分析に用いる座標系の様子を示す説明図である。
【図5】信号伝達装置の種々の場所の垂直電界の強度を示す説明図である。
【図6】電磁場の指向性を説明するための説明図である。
【図7】指向性を有するインターフェース装置の一つの実施形態の概要構成を示す説明図である。
【図8】インターフェース装置におけるtとwの値の関係を示す説明図である。
【図9】内部導体部の経路導体部に接続される側の概形を示す説明図である。
【図10】インターフェース装置の形状のパラメータを示す説明図である。
【図11】内部導体部の近傍の領域に生ずる電磁場の様子を示す説明図である。
【図12】φ1モードの電磁場の様子を示す説明図である。
【図13】円形のインターフェース装置の概要構成を示す説明図である。
【図14】円形のインターフェース装置の概要構成を示す説明図である。
【図15】インターフェース装置の他の実施形態を示す説明図である。
【図16】パラメータの関係と、電流や磁場の様子を示す説明図である。
【図17】インピーダンス整合を行う手法を示す説明図である。
【図18】信号伝達装置とインターフェース装置の実験パラメータを示す説明図である。
【図19】インターフェース装置を信号伝達装置から次第に離していく場合の受信電力を示すグラフである。
【図20】2つのインターフェース装置の一方のメッシュに対する向きを変化させた場合の他方の受信電力を示すグラフである。
【図21】2つのインターフェース装置の一方の位置を移動させた場合の他方の受信電力を示すグラフである。
【図22】インターフェース装置の他の実施形態の断面を示す説明図である。
【図23】インターフェース装置と、これが接続可能な他の形態の信号伝達装置のとの関係を示す断面図である。
【図24】信号伝達装置に有線接続を行う場合の説明図である。
【図25】信号伝達装置の第1導体部をメッシュ状ではなく、ストライプ状にした実施形態を示す説明図である。
【図26】信号伝達装置に対する水平給電方式の基本的な考え型を示す説明図である。
【図27】信号伝達装置にダイポール型のインターフェース装置を近接させた断面の様子を示す説明図である。
【図28】線状電極の近傍の電界分布の様子を示す説明図である。
【図29】インターフェース装置と信号伝達装置との位置関係を示す説明図である。
【図30】本実施態様のインターフェース装置の種々の形状の断面を示す説明図である。
【図31】折り返しダイポール型のインターフェース装置の形状を示す説明図である。
【図32】信号伝達装置とセンサタグとの距離が変化することを検知することによるセンサ装置の断面を示す説明図である。
【図33】信号伝達装置とセンサタグとの間の誘電率の変化を検知することによるセンサ装置の断面を示す説明図である。
【図34】センサタグを信号伝達装置の表面に配置する例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0230】
101 信号伝達装置
111 第1導体部
121 第2導体部
131 狭間領域
141 浸出領域
151 対向領域
201 通信回路
202 ループ型アンテナ
203 ダイポール型アンテナ
601 インターフェース装置
602 内部導体部
603 外部導体部
604 経路導体部
605 絶縁体部
606 接続点
901 導体板
902 同軸ケーブル
903 接合部
904 帯状の導体部
931 開孔
932 接続領域
933 電極
934 通信機器
935 シールド
936 折り曲げ電極
941 弾性体
942 センサタグ
943 誘電体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁場を内部で伝播させ、表面の近傍に電磁場を浸出させる領域を有するシート状の信号伝達装置と、
当該信号伝達装置と離間して配置され、当該電磁場が浸出される領域に属した場合、当該浸出された電磁場を介して当該信号伝達装置と通信可能となるインターフェース装置と、
を備えるセンサ装置であって、
当該インターフェース装置には、識別情報が付与され、当該電磁場が浸出される領域に属した場合、当該識別符号を当該信号伝達装置に送信することにより、当該インターフェース装置が当該電磁場が浸出される領域に属する旨を検知する
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ装置であって、
当該インターフェース装置には、RFタグにより当該識別情報が付与される
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のセンサ装置であって、
当該信号伝達装置と、当該インターフェース装置と、の間に、これらを離間させる弾性体を配置し、
当該電磁場が浸出される領域に当該インターフェース装置が属する旨を検知した場合、当該インターフェース装置の近傍に圧力がかかっている旨を検知する
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のセンサ装置であって、
当該信号伝達装置と、当該インターフェース装置と、の間に、これらを離間させる弾性体を配置し、
当該電磁場が浸出される領域に当該インターフェース装置が属する旨を検知した場合、当該インターフェース装置と当該信号伝達装置との通信の強度により、当該インターフェース装置の近傍における当該弾性体の変形量を検知する
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載のセンサ装置であって、
当該弾性体は、ゴム、スポンジ、もしくは、金属の梁構造体である
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載のセンサ装置であって、
当該信号伝達装置と、当該インターフェース装置と、の間に、物理量の変化によって誘電率が変化する誘電体を配置し、
当該電磁場が浸出される領域に当該インターフェース装置が属する旨を検知した場合、当該インターフェース装置と当該信号伝達装置との通信の強度により、当該物理量の変化を検知する
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のセンサ装置であって、
当該インターフェース装置は、当該誘電体と一体に構成され、
当該誘電体と当該信号伝達装置とは、着脱可能に構成される
ことを特徴とするセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2007−150654(P2007−150654A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341580(P2005−341580)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(503054096)株式会社セルクロス (38)
【Fターム(参考)】