説明

センサ装置

【課題】本発明は、容器内に充填される粉体の量を検出するセンサ装置に関し、現像剤容器の形状にかかわらず適用可能で、現像剤量の測定精度と耐ノイズ性を向上できるセンサ装置を提供するものである。
【解決手段】この目的を達成するために本発明は、検出部21、検出電極部22、リファレンス電極部23および処理回路24を筐体31の内部に収納したセンサ装置において、筐体31には検出電極部22を露出させる開口部32も設けるとともに、この開口部32からリファレンス電極部23を露出させる構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に充填される粉体の量を検出するセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4はコピー機に搭載されるプロセスカートリッジと呼ばれるユニットの側面断面図である。このプロセスカートリッジ1は感光体および感光体に作用するプロセス手段を一体化したものであり、コピー機本体(図示せず)に着脱自在に装着される。図4において、2は感光体ドラムであり、帯電ローラ3によって帯電され、次いでレーザーダイオード、ポリゴンミラー等からなる光学手段(図示せず)から画像情報に応じたレーザー光を照射することによって、感光体ドラム2上に潜像が形成される。この潜像は現像手段4によって現像され、可視像、すなわちトナー像とされる。
【0003】
現像剤容器5に収納された現像剤の量や廃現像剤溜め6に溜められた現像剤の量を検出するセンサとしては図5に示すようなものが知られている。図5に示すように、このセンサは現像剤と接触して現像剤量に対応する静電容量を検知する第1の測定電極部材7Aと、現像剤と接触することなく大気中の静電容量を検知する第2の測定電極部材7Bとからなる。第1の測定電極部材7Aと第2の測定電極部材7Bは1つの基板8上に形成されており、第1の測定電極部材7Aは現像剤容器5の内部側面等の現像剤と接触する位置に設けられている。また第2の測定電極部材7Bは外方へ折り曲げて第1の測定電極部材7Aが配置された側と同じ側の現像剤容器5内であって、仕切壁9にて区画された、現像剤と接触しない位置に設けられている。第1の測定電極部材7Aは所定の間隔で略平行に対峙する分岐部を有する電極10,11からなり、同様にして第2の測定電極部材7Bも所定の間隔で略平行に対峙する分岐部を有する電極10,12からなる。現像剤の誘電率は空気よりも大きいために、第1の測定電極部材7Aの表面に現像剤が接触することにより電極10,11間の静電容量は増加する。一方、第2の測定電極部材7Bは現像剤と接触しない位置に設けられているために、電極10,12間の静電容量は現像剤の量には依存せず周囲の温度や湿度等の雰囲気で決まることになる。したがって、処理回路(図示せず)において、第1の測定電極部材7Aの電極10,11間の静電容量と、第2の測定電極部材7Bの電極10,12間の静電容量との差分に対応する電圧を求めることにより、現像剤容器5に収納された現像剤の量を測定することができるものである。
【0004】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−122398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来のセンサ装置においては、第1の測定電極部材7Aの電極10,11間の静電容量値および第2の測定電極部材7Bの電極10,12間の静電容量値の変化の両方を正確に測定する必要があるために、処理回路と第1、第2の測定電極部材7A,7Bとの接続線路長が長い場合には、電極10,11間の静電容量値および電極10,12間の静電容量値に接続線路間の静電容量が付加されることにより測定精度が低下したり、接続線路に電源ノイズ等が乗ることによる誤動作が発生したりするという問題点を有していた。また、従来のセンサ装置においては、現像剤容器5の側面の形状が変更する場合にはそれに対応して基板8の形状を変更する必要があるとともに、現像剤中のキャリアにより第1の測定電極部材7Aの電極10,11および第2の測定電極部材7Bの電極10,12が磨耗、損傷することにより、現像剤量の測定が困難になるという問題点をも有していた。
【0007】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、容器の形状にかかわらず適用可能で、粉体量の測定精度と耐ノイズ性を向上できるとともに、測定電極部の電極の磨耗、損傷を防止することで信頼性の高いセンサ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために本発明は、検出部、検出電極部、リファレンス電極部および処理回路を筐体の内部に収納したセンサ装置において、筐体には検出電極部を露出させる開口部も設けるとともに、この開口部からリファレンス電極部を露出させた構造とした。
【発明の効果】
【0009】
この構造により本発明は、容器の形状にかかわらず適用可能で、粉体量の測定精度と耐ノイズ性を向上できるとともに、測定電極部の電極の磨耗、損傷を防止することで信頼性の高いセンサ装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態におけるセンサ装置の検出部の正面図
【図2】(a)同センサ装置の斜視図、(b)図2(a)のA−A線断面図
【図3】同センサ装置の使用状態を示す模式図
【図4】プロセスカートリッジユニットの側面断面図
【図5】従来のセンサ装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施の形態におけるセンサ装置の検出部の正面図を示したもので、この図1において、21は左右に延びる長方形状のポリフェニレンサルファイドフィルム(以下、PPSフィルムと称する)からなる可撓性を有する検出部で、この検出部21の主面側には右端部から左端部にかけてカーボン、銀等により構成された検出電極部22およびリファレンス電極部23と、処理回路24が設けられている。
【0013】
検出電極部22は所定の間隔で略平行に対峙する櫛歯形状の分岐部を有する電極25,27からなり、同様にしてリファレンス電極部23も所定の間隔で略平行に対峙する櫛歯形状の分岐部を有する電極26,27からなる。
【0014】
電極25,27間の静電容量および電極26,27間の静電容量はIC、コンデンサ、抵抗等からなる処理回路24で電気的に処理され、現像剤量に対応する電圧信号が出力端子28に出力される。29,30は各々処理回路24に電気的に接続された電源端子、グランド端子である。
【0015】
このように検出電極部22、リファレンス電極部23、処理回路24を検出部21に一体に形成することにより、検出電極部22、リファレンス電極部23と処理回路24との接続線路長をきわめて短くすることができるため、接続線路間の静電容量は検出電極部22、リファレンス電極部23の静電容量に比べて無視できるほど小さくなって現像剤量の測定精度が向上するとともに、耐ノイズ性能も向上でき、これにより、小形で信頼性の高いセンサ装置を提供することができる。
【0016】
図2(a)は本発明の一実施の形態におけるセンサ装置の斜視図、図2(b)は図2(a)におけるA−A線断面図を示す。図2(a)、図2(b)において、31はケース31aと、ホルダ31bと、カバー31cから構成された筐体であり、検出部21と同種のPPS等の樹脂で成形されている。検出部21はケース31aとホルダ31bとカバー31cとの間で挟持されている。
【0017】
また、カバー31cの上面には開口部32が設けられており、この開口部32から検出電極部22とリファレンス電極部23を露出させて、検出電極部22およびリファレンス電極部23が現像剤等の粉体と接触できるようにしている。そして、検出電極部22の周辺における粉体の堆積状況により検出電極部22を形成する電極25,27間の静電容量値が変化し、これを処理回路24に出力する。
【0018】
なお、検出電極部22による静電容量の検出は、通常、現像剤と接触しない部分にリファレンス電極部23を設け、このリファレンス電極部23で現像剤の量に依存せず周囲の温度や湿度等の雰囲気で決まる静電容量を生成し、この静電容量をリファレンス容量として処理回路24に出力する。そして、リファレンス電極部23から出力されたリファレンス容量と検出電極部22から出力された静電容量を処理回路24で比較することで、センサ装置としての検出信号を生成する。この点については図4および図5で説明した従来の技術においても同様である。
【0019】
しかしながら、センサ装置で検出する現像剤が粉体であることから、図3に示すように、容器33に粉体34を収集する際に粉体34が飛散した場合、従来の構成においては、この飛散した粉体34aは、検出電極部22に付着するがリファレンス電極部23には付着しない状況となる。そして、この検出電極部22に付着した飛散した粉体34aの誘電率により検出電極部22の静電容量が変化して処理回路24に出力されるので、結果的に、容器33に堆積した粉体34の量に対応しない静電容量の変化がセンサ装置から出力される。
【0020】
そこで、この一実施の形態のセンサ装置においては、上述したようにカバー31cに設けた開口部32から検出電極部22およびリファレンス電極部23を共に露出させる構成とした。この構成によれば、リファレンス電極部23も検出電極部22と同様に容器33の内部に配置されるので、容器33の内部で粉体34が飛散した場合でも、飛散した粉体34aは検出電極部22とリファレンス電極部23の両方に付着するため、容器33の内部雰囲気に応じてリファレンス電極部23の静電容量が変化する。よって、容器33の内部で飛散した粉体34aによる検出電極部22の出力変動を抑制することが出来る。
【0021】
また、このようにリファレンス電極部23を検出電極部22と同様に容器33の内部に配置することになるので、従来のようにリファレンス電極部23を容器33の外部に設ける必要がなくなりセンサ装置として格段に小型化できる。
【0022】
なお、容器33において粉体34は下方から上方に堆積していくことから、リファレンス電極部23は検出電極部22より上方に配置することが好ましく、また、検出電極部22と同様の雰囲気であることが好ましいことから、検出電極部22とリファレンス電極部23とは近接配置することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明に係るセンサ装置は、容器の形状にかかわらず適用可能で、粉体量の測定精度と耐ノイズ性を向上できるという効果を有するものであり、特に、コピー機の現像剤容器等に収納された現像剤の量や現像剤中のトナーとキャリアの混合比を検出するセンサ装置として有用なものである。
【符号の説明】
【0024】
21 検出部
22 検出電極部
23 リファレンス電極部
24 処理回路
31 筐体
32 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出部と、この検出部に設けられた検出電極部およびリファレンス電極部と、前記検出部に実装されて前記検出電極部およびリファレンス電極部からの出力信号を電気的に処理する処理回路と、前記検出部、検出電極部、リファレンス電極部および処理回路を内部に収納する筐体とを備え、前記筐体には前記検出電極部を露出させる開口部を設けるとともに、この開口部から前記リファレンス電極部を露出させたことを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
検出電極部とリファレンス電極部とを近接配置したことを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
リファレンス電極部を検出電極部より上方に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−44696(P2013−44696A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184409(P2011−184409)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】