説明

センサ

【課題】通気フィルタに付着した水分がセンサ内部へ進入するのを抑制
【解決手段】Oリング15を介して保持内筒12の後端開口36を覆うように通気フィルタ13を保持内筒12に被せる。次に、外筒閉塞部31が後端開口36を覆うとともに外筒筒状部32が保持内筒12の外周面を取り囲むように、保持外筒14を通気フィルタ13に被せる。これにより、Oリング15と通気フィルタ13が、外筒筒状部32と保持内筒12との間に挟まれた状態となる。さらに、保持外筒14の外筒筒状部32と保持内筒12との間でOリング15と通気フィルタ13が圧縮された状態にし、この状態で保持外筒14の外筒筒状部32を介して径方向に加締め、加締部26,27を形成する。これにより、保持内筒12の屈曲部81と保持外筒14の外筒閉塞部31により通気フィルタ13が圧縮された状態を保持して保持内筒12と保持外筒14とを固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気フィルタを介して外気を内部に導入するセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、O2ガスやN2ガス等の被測定ガスを検出する長尺状の検出素子と、検出素子を保持する主体金具と、主体金具の後端側に配置されるとともに先端開口部から挿入された検出素子の後端部を内部に収容する外筒とを備えるセンサが知られている。
【0003】
そして、このようなセンサは、外筒の後端開口部を通じて外筒の外部から外筒の内部に配設されて検出素子に接続されるリード線と、外筒の後端開口部の内部に配置されるとともに、リード線の径方向周囲を覆う状態でリード線を保持する弾性部材(以下、グロメットという)とを備えて構成されている。
【0004】
このように構成されたセンサのうちで、例えば酸素センサのように、センサ内部に外気を導入して、導入した外気の物理量を基準として測定対象物の物理量を検出する外気導入型のセンサにおいては、外気をセンサ内部に導入するための貫通孔がグロメットに設けられている。そして、通気性及び防水性を有する通気フィルタが、この貫通孔における後端開口部を覆うように配置される。これにより、通気フィルタを貫通してセンサ内部に水分を通すことなく通気を確保している(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−249678号公報 (第2図)
【特許文献2】特開2002−286682号公報 (第10図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の通気フィルタは、グロメットに設けられた貫通孔の内周面と、貫通孔に挿入される筒状挿入部材との間で挟まれた状態で配置され、通気フィルタの端部がセンサ内部に配置されている。このため、通気フィルタに付着した水分が、通気フィルタの表面を伝わり、貫通孔の内周面と通気フィルタとの間の隙間を通って、センサ内部に水分が進入するおそれがあった。
【0006】
また、特許文献2に記載の通気フィルタは、グロメットの上面の略全体を覆う状態で配置され、さらに通気フィルタを覆うように保護部材が設けられている。そして保護部材は外筒と接合されており、通気フィルタの端部は保護部材とグロメットとの隙間に配置されている。このため、通気フィルタに付着した水分が、通気フィルタの表面を伝わり、さらに通気フィルタの端部を回り込んで、グロメットの上面と通気フィルタとの間の隙間を通って貫通孔の後端開口部に到達して、センサ内部に水分が進入するおそれがあった。
【0007】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、通気フィルタに付着した水分が通気フィルタの表面を伝ってセンサ内部へ進入するのを抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、軸線方向に延びる検出素子の先端を被測定ガスに晒すように検出素子を保持するとともに、自身の軸線方向における後端が開口して形成された軸線方向に延びる筒型形状のケーシングと、外気をケーシング内に導入するために軸線方向に沿って貫通する貫通孔が形成され、ケーシングの後端開口を塞ぐように配置される第1弾性部材とを備えるセンサであって、第1弾性部材の貫通孔内に一部が挿入される筒状の保持内筒と、通気性及び防水性を有し、保持内筒の後端開口を塞ぐ通気フィルタと、軸線方向に沿って貫通する一つまたは複数の通気孔を備えると共に通気フィルタを覆う外筒閉塞部、及び、外筒閉塞部に接続し、保持内筒の外周面の一部を周方向に取り囲む外筒筒状部を有する保持外筒と、を有し、通気フィルタは、保持内筒の後端部と保持外筒の外筒閉塞部とにより、保持内筒に沿った環状の領域が圧縮されることを特徴とするセンサである。
【0009】
このように構成されたセンサでは、通気性及び防水性を有する通気フィルタが保持内筒の後端開口を塞ぐ。このため、通気フィルタを貫通してセンサ内部に水分を通すことなく、通気フィルタを介して外気をセンサ内部に導入することができる。
【0010】
そして通気フィルタは、保持内筒の後端部と保持外筒の外筒閉塞部とにより、保持内筒に沿った環状の領域が圧縮される。これにより、保持内筒に沿った環状の領域における通気フィルタと保持内筒の後端部との間の隙間、及び通気フィルタと保持外筒(外筒閉塞部)との間の隙間が形成され難くなる。このため、通気フィルタにおける保持外筒と対向している側の面(以下、通気フィルタの表面という)に付着した水分が、通気フィルタの端部を回り込んで、通気フィルタの裏面と保持内筒の後端部との隙間を通って貫通孔の後端開口部に到達することを抑制することができる。つまり、通気フィルタに付着した水分がセンサ内へ進入するのを抑制することができる。なお、通気孔は一つであってもよいし、複数であってもよい。
【0011】
また請求項1に記載のセンサにおいては、請求項2に記載のように、保持内筒の後端部と通気フィルタとの間、または外筒閉塞部と通気フィルタとの間に、通気フィルタが環状に圧縮されている領域に沿って、防水性を有する第2弾性部材が配置されるようにしてもよい。
【0012】
このように構成されたセンサでは、保持内筒の後端部と通気フィルタとの間に配置された第2弾性部材が、保持内筒の後端部と通気フィルタとの間の隙間、または通気フィルタと保持外筒との間の隙間を埋めることができる。このため、通気フィルタに付着した水分が、通気フィルタの裏面と保持内筒との間の隙間を伝ってセンサ内へ進入するのをさらに抑制することができる。
【0013】
また請求項1または請求項2に記載のセンサにおいて、保持内筒の後端部と保持外筒の外筒閉塞部により通気フィルタが圧縮された状態を保持して保持内筒と保持外筒とを固定するには、請求項3に記載のように、外筒筒状部には、保持内筒に向かって周方向に加締められた第1加締部を有するようにしてもよいし、請求項5に記載のように、保持外筒の外筒筒状部の内周面に第1ネジ山が設けられ、保持内筒の外周面に、第1ネジ山に螺合する第2ネジ山が設けられるようにしてもよい。
【0014】
また請求項3に記載のセンサにおいては、請求項4に記載のように、保持内筒の外周面には、第1加締部により加締められた第2加締部を有するようにしてもよい。これにより、保持内筒と保持外筒とをより強固に固定することができる。
【0015】
また請求項1〜請求項5の何れかに記載のセンサにおいては、請求項6に記載のように、 保持内筒の後端側が保持内筒の先端側を向くように保持内筒の内側に向けて折り返されてなる屈曲部を有していてもよい。
【0016】
このように構成されたセンサでは、保持内筒の屈曲部と、保持外筒の外筒閉塞部との間で、通気フィルタが圧縮される。そして、屈曲部は折り返されているので表面が滑らかに形成されており、屈曲部に接触している部材(例えば、上記の通気フィルタまたは第2弾性部材)が、この接触により破損してしまうことを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下に本発明の第1実施形態を図面とともに説明する。
図1は、本発明が適用された実施形態の酸素センサ1の全体構成を表す断面図、図2はシールユニット10の構成を表す断面図、図3は保持外筒14の平面図である。
【0018】
尚、本実施形態においては、図1中の酸素センサ1の下端側が本発明における「センサの先端側」に相当し、同様に、酸素センサ1の上端側が「センサの後端側」に相当する。
酸素センサ1は、図1に示すように、ZrO2を主成分とする固体電解質体により先端が閉じた中空軸状に形成された検出素子2、検出素子2内に配置された軸状のセラミックヒータ3、及び酸素センサ1の内部構造物を収容するとともに酸素センサ1を排気管等の取付部に固定するケーシング4等から構成されている。
【0019】
これらのうちケーシング4は、検出素子2を保持するとともにその検出部25を排気管等の内部に突出させる主体金具5と、主体金具5の上部に延設されて検出素子2との間で基準ガス空間を形成する外筒6とから構成されている。
【0020】
また主体金具5は、円筒状の本体を有して検出素子2を下方から支持する支持部材51、支持部材51の上部に充填される滑石粉末からなる充填部材52、充填部材52を上方から押圧するスリーブ53等を内部に収容する。
【0021】
そして、主体金具5の下端側の内周には、内向き突出した段部54が設けられており、この段部54にパッキン55を介して支持部材51が係止されることにより、検出素子2が下方から支持されている。また、支持部材51の上側における主体金具5の内周面と検出素子2の外周面との間に充填部材52が配設され、さらにこの充填部材52の上側に筒状のスリーブ53及びパッキン56が順次同軸状に内挿された状態で主体金具5の上端部が内方(下方)に加締められることで、充填部材52が加圧充填され、それにより、検出素子2が主体金具5に対してしっかりと固定されている。また、主体金具5の下端側外周には、検出素子2の突出部分を覆うとともに、複数の孔部を有する金属製の二重のプロテクタ57,58が溶接によって取り付けられている。
【0022】
そして、主体金具5の上部開口部を覆うように外筒6の下端開口端部が当該主体金具5に外挿された後、この下端開口端部に外方から溶接が施され、外筒6が主体金具5に装着されている。
【0023】
また、外筒6の後端開口61近傍には、セラミックで筒状に形成された絶縁性のセパレータ7が内挿されている。セパレータ7は、その軸方向中央付近の外周面に外側に突出したフランジ部71を有し、外筒6が外方から加締められることにより、このフランジ部71の下端面が外筒6上部に係止される態様で外筒6内に保持されている。
【0024】
さらに、外筒6の後端開口61には、検出素子2の電極に夫々接続されるリード線21,22及びセラミックヒータ3に接続される一対のリード線(不図示)を夫々外部に引き出すとともに、酸素センサ1内部への水分や油分の侵入を防止するシールユニット10が設けられている。
【0025】
このシールユニット10は、図2に示すように、外筒6の後端開口61を塞ぐ円柱状のグロメット11と、このグロメット11の中央を軸方向に貫通する貫通孔41に挿入された保持内筒12と、保持内筒12の後端開口36を塞ぐ通気フィルタ13と、通気フィルタ13を覆う保持外筒14と、後端開口36からの水分の浸入を阻止するためのOリング15とから構成されている。
【0026】
これらのうちグロメット11は、フッ素ゴムからなり、上記貫通孔41と、リード線21,22及びヒータ用リード線を挿通するための4つの挿通孔42(図1,2中では2つのみ示す)とが形成されている。尚、4つの挿通孔42は、中央に配置された貫通孔41を取り囲むように配置される。
【0027】
保持内筒12は、SUS304等のステンレス鋼で形成されており、グロメット11の貫通孔41内に配置されている。また保持内筒12の後端側には、保持内筒12の先端側を向くように保持内筒12の内側に向けて滑らかに曲げられ折り返されてなる屈曲部81が形成されている。さらに保持内筒12の先端側には、保持内筒12の外側に向けて曲げられてなる係止部82が形成されており、グロメット11からの抜けを防止している。
【0028】
また通気フィルタ13は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の未焼成成形体を、PTFEの融点よりも高い加熱温度で一軸方向に延伸することにより得られる多孔質繊維構造体(例えば、商品名:ゴアテックス(ジャパンゴアテックス(株)))により、水滴等の水を主体とする液体の透過は阻止し、かつ気体(空気、水蒸気等)の透過は許容する通気フィルタとして構成されている。なお本実施形態では、通気フィルタ13の厚さは0.3mmである。
【0029】
また保持外筒14は、SUS304等のステンレス鋼で形成されており、外筒閉塞部31と外筒筒状部32を有する有底筒状に形成されている。このうち外筒閉塞部31は、通気フィルタ13を覆い、具体的には保持内筒12の後端開口36を塞ぐことができる大きさで形成されている。また外筒閉塞部31には、図2,3に示すように、保持内筒12の後端開口36の開口面積と比べて十分小さい開口面積を有する複数の通気孔33が形成されている。
【0030】
外筒筒状部32は、保持内筒12を覆うようにして、グロメット11の貫通孔41内に配置されている。そして外筒筒状部32には、保持内筒12に向かって周方向に加締められた加締部26を有する。さらに保持内筒12には、加締部26により加締められた加締部27を有する。
【0031】
Oリング15は、フッ素ゴムからなる環状部材であり、通気フィルタ13と保持内筒12との間に配置されている。
そして、これらグロメット11、保持内筒12、通気フィルタ13、保持外筒14、及びOリング15を以下に示すように組み付けることにより、シールユニット10を形成する。
【0032】
まず、有底筒状の保持外筒14内に通気フィルタ13を配置する。さらに、保持外筒14内にOリング15を配置する。その後に、保持内筒12を保持外筒14内に挿入する。
これにより、Oリング15と通気フィルタ13が、保持外筒14の外筒閉塞部31と保持内筒12との間に挟まれた状態となる。さらに、保持外筒14の外筒閉塞部31と保持内筒12との間でOリング15と通気フィルタ13が圧縮された状態にし、この状態で保持外筒14の外筒筒状部32を介して径方向に加締め、加締部26と加締部27を形成する。これにより、保持内筒12の屈曲部81と保持外筒14の外筒閉塞部31により通気フィルタ13が圧縮された状態を保持して保持内筒12と保持外筒14とを固定する。
【0033】
こうして、保持外筒14の外筒筒状部32と通気フィルタ13とが密着するとともに通気フィルタ13とOリング15とが密着し、さらにOリング15と保持内筒12の屈曲部81とが密着する。そして通気フィルタ13が、後端開口36を塞いだ状態で固定される。なお、上記のようにして保持内筒12、通気フィルタ13、保持外筒14、及びOリング15が一体化されたものを以下、フィルタユニット19という。
【0034】
その後、フィルタユニット19を貫通孔41に挿入し、シールユニット10を作成する。
そして、このように形成されたシールユニット10が、外筒6の後端開口61の内側に配置され、グロメット11が、外筒6を介して径方向に加締められる。こうして、外筒6及びグロメット11が密着し、そのシール性がより確実なものとされる。そして、この通気フィルタ13により通気性及び防水性を保持しつつ、大気側から保持内筒12の内部に形成された通気経路を介して基準ガス空間に空気が導入される。
【0035】
このように構成された酸素センサ1では、通気性及び防水性を有する通気フィルタ13が保持内筒12の後端開口36を塞ぐ。このため、通気フィルタ13を貫通して酸素センサ1内部に水分を通すことなく、通気フィルタ13を介して外気を酸素センサ1内部に導入することができる。
【0036】
そして通気フィルタ13は、保持内筒12の屈曲部81と保持外筒14の外筒閉塞部31とにより、保持内筒12の屈曲部81に沿って環状に圧縮される。これにより、通気フィルタ13における保持内筒12の屈曲部81と接触する領域で、通気フィルタ13と保持内筒12の屈曲部81との間の隙間、及び通気フィルタ13と保持外筒14との間の隙間が形成され難くなる。このため、通気フィルタ13における保持外筒14と対向している側の面(以下、通気フィルタ13の表面という)に付着した水分が、通気フィルタ13の端部を回り込んで、通気フィルタ13の裏面と保持内筒12の屈曲部81との隙間を通って貫通孔41の後端開口部に到達することを抑制することができる。つまり、通気フィルタ13に付着した水分が酸素センサ1内へ進入するのを抑制することができる。
【0037】
また、保持内筒12の屈曲部81と通気フィルタ13との間に、通気フィルタ13が環状に圧縮されている領域に沿って、Oリング15が配置されている。これにより、保持内筒12の屈曲部81と通気フィルタ13との間の隙間、または通気フィルタ13と保持外筒14との間の隙間を埋めることができる。このため、通気フィルタ13に付着した水分が、通気フィルタ13の裏面と保持内筒12との間の隙間を伝って酸素センサ1内へ進入するのをさらに抑制することができる。
【0038】
また、保持内筒12の外周面には、加締部26により加締められた加締部27が形成されているので、加締部26のみが形成されている場合と比較して、保持内筒12と保持外筒14とをより強固に固定することができる。
【0039】
また、屈曲部81の表面が滑らかであるので、屈曲部81に接触している部材(本実施形態ではOリング15)が、この接触により破損してしまうことを抑制することができる。
【0040】
以上説明した実施形態において、酸素センサ1は本発明におけるセンサ、グロメット11は本発明における第1弾性部材、Oリング15は本発明における第2弾性部材、加締部26は本発明における第1加締部、加締部27は本発明における第2加締部である。
【0041】
(第2実施形態)
以下に本発明の第2実施形態について図面をもとに説明する。尚、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0042】
図4は第2実施形態のシールユニット10の構成を表す断面図、図5は保持外筒114の平面図である。
第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、図4に示すように、フィルタユニット19の代わりにフィルタユニット119が設けられた点である。
【0043】
フィルタユニット119は、グロメット11の中央を軸方向に貫通する貫通孔41に挿入された保持内筒112と、保持内筒112の後端開口121を塞ぐ通気フィルタ113と、通気フィルタ113を保護する保持外筒114と、後端開口121からの水分の浸入を阻止するためのOリング115と、保持内筒112の後端開口121の外径と略等しい外径を有するワッシャ116とから構成されている。
【0044】
これらのうち保持内筒112は、その外周面にネジ山122が形成されている。
また保持外筒114は、外筒閉塞部131と外筒筒状部132を有する有底筒状に形成されている。そして外筒閉塞部131は、保持内筒112の後端開口121を塞ぐことができる大きさで形成されている。また外筒閉塞部131には、図4,5に示すように、保持内筒112の後端開口121の開口面積と比べて十分小さい開口面積を有する複数の通気孔133が形成されている。外筒筒状部132は、保持内筒112を覆うようにして、グロメット11の貫通孔41内に配置されており、外筒筒状部132は、その内周面に、保持内筒112のネジ山122に螺合するネジ山134が形成されている。
【0045】
ワッシャ116は、SUS304からなる環状部材であり、Oリング115と保持内筒112との間に配置されている。
そして、これら保持内筒112、通気フィルタ113、保持外筒114、Oリング115、及びワッシャ116を以下に示すように組み付けることにより、フィルタユニット119を形成する。
【0046】
まず、有底筒状の保持外筒114内に通気フィルタ113を配置する。さらに、保持外筒114内にOリング115を配置する。そして、保持外筒114内にワッシャ116を配置する。その後、保持外筒114の先端開口135と、保持内筒112の後端開口121と向き合うようにして、保持外筒114の先端開口135から保持内筒112を挿入する。さらに、保持内筒112のネジ山122と保持外筒114のネジ山134とが螺合した状態で、保持内筒112を保持外筒114に対して回転させることで、保持内筒112が保持外筒114内に向かって進入する。そして最終的に、通気フィルタ113が保持外筒114と保持内筒112との間で圧縮されて且つ後端開口121を塞いだ状態で固定され、これによりフィルタユニット119が完成する。
【0047】
なお、通気フィルタ113と保持内筒112との間にワッシャ116が配置されている。これにより、保持内筒112を保持外筒114内に挿入して保持内筒112を保持外筒114に対して回転させる際に通気フィルタ113が捩れるのを抑制している。
【0048】
このように構成された酸素センサ1では、通気性及び防水性を有する通気フィルタ113が保持内筒112の後端開口121を塞ぐ。このため、通気フィルタ113を貫通して酸素センサ1内部に水分を通すことなく、通気フィルタ113を介して外気を酸素センサ1内部に導入することができる。
【0049】
そして通気フィルタ113は、保持内筒112の後端部と保持外筒114の外筒閉塞部131により圧縮される。これにより、通気フィルタ113と保持内筒112の後端部との間で隙間、及び通気フィルタ113と保持外筒114との間の隙間が形成され難くなる。このため、通気フィルタ113における保持外筒114と対向している側の面(以下、通気フィルタ113の表面という)に付着した水分が、通気フィルタ113の端部を回り込んで、通気フィルタ113の裏面と保持内筒112の後端部との隙間を通って貫通孔41の後端開口部に到達することを抑制することができる。つまり、通気フィルタ113に付着した水分が酸素センサ1内へ進入するのを抑制することができる。
【0050】
以上説明した実施形態において、Oリング115は本発明における第2弾性部材、ネジ山134は本発明における第1ネジ山、ネジ山122は本発明における第2ネジ山である。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
例えば上記実施形態では、酸素センサに利用されるシールユニット10を示したが、酸素センサに限定されるものではなく、通気フィルタを介して外気をセンサ内部に導入する方式のセンサであればよい。
【0052】
また上記実施形態では、筒型の検出素子2であったが、これに限られず、板型の検出素子であってもよい。
また上記実施形態では、本発明の通気孔として、板状の外筒閉塞部31,131に穿孔して形成した通気孔33,133を示したが、網目状に構成された通気孔にしてもよい。例えば、網目状に形成されたシート部材(例えばSUSメッシュ)を有底筒状に成形して保持外筒を構成するようにしてもよい。また、網目状に形成されたシート部材(以下、網目状シート部材という)を外筒閉塞部とするとともに、この網目状シート部材とは別体の筒状の金属部材を網目状シート部材の端縁部で接続してこの金属部材を外筒筒状部とすることにより保持外筒を構成するようにしてもよい。
【0053】
また上記第2実施形態では、ワッシャ116を配置するものを示したが、ワッシャ116の代わりに板バネを配置するようにしてもよい。
また上記第2実施形態では、保持内筒112のネジ山122と保持外筒114のネジ山134とを直接螺合させるものを示したが、ネジ山122とネジ山134との間にシールを挟んで螺合させることにより防水性能を向上させるようにしてもよい。
【0054】
また上記第1実施形態では、保持外筒14の外筒筒状部32が加締められるものを示したが、保持外筒14の外筒筒状部32と保持内筒12とを溶接することにより、保持外筒14を保持内筒12に対して固定するようにしてもよい。
【0055】
また上記実施形態では、Oリング15,115を通気フィルタ13,113と保持内筒12,112との間に配置したが、図6に示されるように、Oリング215を通気フィルタ13と保持外筒14との間に配置してもよい。なお、この図6は、Oリング215の配置、及び保持内筒212の後端側の形状以外は第1実施形態と同形状である。
【0056】
また上記実施形態では、通気フィルタ13,113は保持内筒12,112と保持外筒14,114とにより、保持内筒12,112に沿って環状に圧縮されていたが、通気フィルタ13,113を予め保持内筒12,112または保持外筒14,114に接着剤を用いて接着、若しくは溶着し、その後、通気フィルタ13,113は保持内筒12,112と保持外筒14,114とにより、保持内筒12,112に沿って環状に圧縮してもよい。
【0057】
また、第1実施形態の保持内筒12の後端側には屈曲部81を設けたが、これに限られず、第2実施形態のように、保持内筒112の後端側は、軸線方向に垂直な面にて形成されていてもよいし、図6に示されるように、保持内筒212の後端側が、円弧の凸部281であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】酸素センサ1の全体構成を表す断面図である。
【図2】第1実施形態のシールユニット10の構成を表す断面図である。
【図3】第1実施形態の保持外筒14の平面図である。
【図4】第2実施形態のシールユニット10の構成を表す断面図である。
【図5】第2実施形態の保持外筒114の平面図である。
【図6】別の実施形態のシールユニット10の構成を表す断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1…酸素センサ、2…検出素子、3…セラミックヒータ、4…ケーシング、5…主体金具、6…外筒、7…セパレータ、10…シールユニット、11…グロメット、12,112,212…保持内筒、13,113…通気フィルタ、14,114…保持外筒、15,115,215…Oリング、19,119…フィルタユニット、26,27…加締部、31,131…外筒閉塞部、32,132…外筒筒状部、33,133…通気孔、36,121…後端開口、41…貫通孔、42…挿通孔、61…後端開口、81…屈曲部、82…係止部、116…ワッシャ、122,134…ネジ山、281…凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びる検出素子の先端を被測定ガスに晒すように前記検出素子を保持するとともに、自身の前記軸線方向における後端が開口して形成された前記軸線方向に延びる筒型形状のケーシングと、
外気を前記ケーシング内に導入するために前記軸線方向に沿って貫通する貫通孔が形成され、前記ケーシングの後端開口を塞ぐように配置される第1弾性部材と
を備えるセンサであって、
前記第1弾性部材の前記貫通孔内に一部が挿入される筒状の保持内筒と、
通気性及び防水性を有し、前記保持内筒の後端開口を塞ぐ通気フィルタと、
前記軸線方向に沿って貫通する一つまたは複数の通気孔を備えると共に前記通気フィルタを覆う外筒閉塞部、及び、前記外筒閉塞部に接続し、前記保持内筒の外周面の一部を周方向に取り囲む外筒筒状部を有する保持外筒と、を有し、
前記通気フィルタは、前記保持内筒の後端部と前記保持外筒の前記外筒閉塞部とにより、前記保持内筒に沿った環状の領域が圧縮される
ことを特徴とするセンサ。
【請求項2】
前記保持内筒の前記後端部と前記通気フィルタとの間、または前記外筒閉塞部と前記通気フィルタとの間に、前記通気フィルタが環状に圧縮されている領域に沿って、防水性を有する第2弾性部材が配置される
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記外筒筒状部には、前記保持内筒に向かって周方向に加締められた第1加締部を有する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記保持内筒の外周面には、前記第1加締部により加締められた第2加締部を有する
ことを特徴とする請求項3に記載のセンサ。
【請求項5】
前記保持外筒の前記外筒筒状部の内周面に第1ネジ山が設けられ、
前記保持内筒の外周面に、前記第1ネジ山に螺合する第2ネジ山が設けられる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサ。
【請求項6】
前記保持内筒の後端側は、前記保持内筒の先端側を向くように前記保持内筒の内側に向けて折り返されてなる屈曲部を有する
ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載のセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−78488(P2010−78488A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248024(P2008−248024)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】